JP2014026092A - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 導電層用塗布液を長期間に渡って使用した場合においても、樹脂粒子の凝集が抑えられ、クラックの発生が抑制された電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
【解決手段】 導電層用塗布液が、リンがドープされている酸化スズで被覆されている酸化チタン粒子、疎水化度が10以上30以下であるシリコーン樹脂粒子および溶剤としてメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールおよび1−メトキシ−2−プロパノールからなる群より選択される少なくとも1種の溶剤を含有し、リンがドープされている酸化スズで被覆されている酸化チタン粒子の体積(Vt)に対するシリコーン樹脂の体積(Vs)の比(Vs/Vt)が、1.3以下である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真感光体の製造方法に関する。
現在、プロセスカートリッジや電子写真装置に用いられる電子写真感光体としては、有機光導電性物質を含有する電子写真感光体が主流である。電子写真感光体は、一般的に、支持体および支持体上に形成された感光層を有する。そして、現状は、支持体表面の欠陥の被覆や、支持体から感光層への電荷注入を抑制することを目的として、支持体と感光層との間には、各種の層(中間層)が設けられることが多い。
支持体表面の欠陥を被覆するために中間層を設ける場合、中間層の膜厚を厚くする必要がある。しかし、中間層を厚膜化すると、電気的抵抗(以下、抵抗と省略する)が高くなり過ぎて、残留電荷が発生しやすい。そこで、中間層の抵抗を調節するために、中間層に金属酸化物粒子を含有させることが知られている。以下、このような中間層を導電層と表記する。
特許文献1には、導電層にリンがドープされている酸化スズで被覆されている酸化チタン粒子を含有させる技術が開示されている。
また、近年、電子写真装置は、デジタル複写機やレーザービームプリンター等のレーザーダイオードを光源として露光を行うようになっている。そのため、レーザー光の干渉によって出力画像上に干渉縞が発生しやすい。この干渉縞を抑制する技術として、導電層に樹脂粒子を含有させて、導電層の表面を疎面化する方法が知られている。
しかし、樹脂粒子を用いると、分散性が低下して、大きな樹脂粒子の凝集体が形成され、クラックが発生しやすい。そこで、特許文献2では、特定の濡れ性の球状樹脂微粉末を導電層に用いることで、球状樹脂微粉末の凝集を抑制する技術が開示されている。
特開2012−18381号公報 特開2004−157476号公報
しかしながら、本発明者らの検討の結果、特許文献1および2に開示されている導電層用塗布液では、導電層用塗布液の調製した直後、および/または、これを長期間に渡って保管後に、導電層用塗布液中の樹脂粒子が凝集しやすく、また、形成された導電層にクラックが発生しやすいという課題があった。
本発明の目的は、導電層用塗布液を調製した直後に使用した場合、および長期間に渡って保管した後に使用した場合のいずれにおいても、導電層用塗布液中の樹脂粒子の凝集が抑えられ、導電層のクラックの発生が抑制された電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
本発明は、支持体上に導電層を形成し、該導電層上に感光層を形成して電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法において、
該製造方法が、
リンがドープされている酸化スズで被覆されている酸化チタン粒子、シリコーン樹脂粒子および結着材料を溶剤に分散させて導電層用塗布液を調製する工程、および、
該支持体上に該導電層用塗布液の塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて該導電層を形成する工程
を有し、
該溶剤が、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールおよび1−メトキシ−2−プロパノールからなる群より選択される少なくとも1種を含有し、
該導電層用塗布液における該リンがドープされている酸化スズで被覆されている酸化チタン粒子の体積(Vt)に対する該シリコーン樹脂の体積(Vs)の比(Vs/Vt)が、1.3以下であり、
該シリコーン樹脂粒子の疎水化度が、10以上30以下である
ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法に関する。
本発明によれば、導電層用塗布液を調製した直後に使用した場合、および長期間に渡って保管した後に使用した場合のいずれにおいても、導電層用塗布液中の樹脂粒子の凝集が抑えられ、導電層のクラックの発生が抑制された電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。 図2(A)は、導電層の体積抵抗率の測定方法を説明するための図(上面図)である。図2(B)は、図2(A)の断面図である。 本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。
本発明の電子写真感光体の製造方法は、リンがドープされている酸化スズで被覆されている酸化チタン粒子、シリコーン樹脂粒子、および結着材料を溶剤を分散させて導電層用塗布液を調製し、該シリコーン樹脂粒子の疎水化度が10以上30以下であることを特徴とする。また、溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールおよび1−メトキシ−2−プロパノールからなる群より選択される少なくとも1種を含む溶剤が用いられる。
本発明者らは、この特徴によって、導電層用塗布液を調製した直後に使用した場合、および長期間に渡って保存した後に使用した場合のいずれにおいても、導電層用塗布液中の樹脂粒子の凝集が抑えられ、また、形成された導電層のクラックの発生が抑制される理由を以下のように推測している。
導電層のクラックの発生は、シリコーン樹脂粒子同士の凝集に起因するものであり、シリコーン樹脂粒子が導電層用塗布液中で凝集し、塗膜を形成した後の乾燥時にシリコーン樹脂粒子の凝集体付近でクラックが発生すると考えられている。そして、電子写真感光体の導電層にクラックが発生すると、画像出力した際に、ゆず肌状や黒ポチなどの画像欠陥が発生しやすくなる。
導電層用塗布液に用いられる上述の溶剤は、従来から、アルコール系の溶剤であり、水との相溶性が高い性質を有している。シリコーン樹脂粒子は疎水性の傾向を示すため、上述の溶剤中で凝集しやすくなっている。凝集しにくくするためには、シリコーン樹脂粒子に水との相溶性を有するシラノール基を持たせて、シリコーン樹脂粒子の疎水化度(疎水性の度合い)を制御することが必要である。そこで、特許文献2に、シリコーン樹脂粒子の疎水化度(シリコーン樹脂粒子の濡れ性)を10以上30以下にして、シリコーン樹脂粒子の凝集を抑制することが記載されている。
シリコーン樹脂は、加水分解および縮合反応によって得られ、一般にシラノール基を含有する。これは、縮合反応や乾燥時に反応に関与できなかった残留基である。残留しているシラノール基の量は、加水分解および縮合反応の条件、乾燥温度・時間を制御することにより調節できる。
しかし、シリコーン樹脂粒子の疎水化度を上述の範囲内にした場合であっても、導電層用塗布液の調製直後は、シリコーン樹脂粒子の凝集は抑えられるが、導電層用塗布液を調製してから長期間保管すると、導電層用塗布液中のシリコーン樹脂粒子の凝集が生じて、形成された導電層にクラックが発生しやすくなることが本発明者らの検討の結果、明らかとなった。これは、シリコーン樹脂粒子同士が長期間保管中に接触したときに、表面の疎水性に偏った部分同士でくっついて、凝集が発生していると考えられる。
そこで、本発明者らは、金属酸化物粒子とシリコーン樹脂粒子を含有する導電層用塗布液において、金属酸化物粒子としてリンがドープされている酸化スズで被覆されている酸化チタン粒子(以下、「P−SnO/TiO粒子」とも表記する。)を用いると、導電層用塗布液の調製直後から長期間に渡ってシリコーン樹脂粒子の凝集が抑えられ、クラックの発生が抑制されることを見出した。
P−SnO/TiO粒子と疎水化度が30を超えるシリコーン樹脂粒子とを含有する導電層用塗布液を調製すると、導電層用塗布液の調製直後には、シリコーン樹脂粒子の凝集が見られるが、導電層用塗布液を長期間保管していると、徐々にシリコーン樹脂粒子の凝集が少なくなっていく現象が観察される。このことから、P−SnO/TiO粒子は、シリコーン樹脂粒子との相互作用により、凝集しているあるいは凝集しようとするシリコーン樹脂粒子を引き離していく効果(凝集抑制効果)を有していると推測している。よって、P−SnO/TiO粒子と疎水化度が10以上30以下のシリコーン樹脂粒子とを併用することで、導電層用塗布液の調製してから長期間に渡って保管した後も、導電層用塗布液におけるシリコーン樹脂粒子の凝集が抑えられ、また、形成された導電層におけるクラックの発生が抑制されると考えられる。
本発明の製造方法により製造される電子写真感光体は、支持体、該支持体上に形成された導電層および該導電層上に形成された感光層を有する電子写真感光体である。
感光層は、電荷発生物質および電荷輸送物質を単一の層に含有させた単層型感光層と、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層した積層型感光層が挙げられる。さらに、電子写真特性の観点から、積層型感光層が好ましい。
図3の(a)および(b)は、本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。図3の(a)および(b)中、101は支持体であり、102は導電層であり、103は感光層であり、104は電荷発生層、105は電荷輸送層である。
一般的な電子写真感光体として、円筒状支持体上に感光層(電荷発生層、電荷輸送層)を形成してなる円筒状の電子写真感光体が広く用いられるが、ベルト状、シート状などの形状とすることも可能である。
〔導電層〕
導電層の体積抵抗率は、1.0×10Ω・cm以上5.0×1012Ω・cm以下であることが好ましい。導電層の体積抵抗率が上述の範囲であると、電荷の滞留が抑制されて、残留の発生が抑制されるとともに、支持体から感光層側への局所的な電荷注入による黒ポチの発生が抑制される。
電子写真感光体の導電層の体積抵抗率を測定する方法を説明する。図2(A)は、導電層の体積抵抗率の測定する構成の上面図であり、図2(B)は、導電層の体積抵抗率の測定する構成の断面図である。
導電層の体積抵抗率は、常温常湿(温度23℃/湿度50%RH)環境下において測定する。導電層202の表面に銅製テープ203(住友スリーエム(株)製、型番No.1181)を貼り、これを導電層202の表面側の電極とする。また、支持体201を導電層202の裏面側の電極とする。銅製テープ203と支持体201との間に電圧を印加するための電源206、および、銅製テープ203と支持体201との間を流れる電流を測定するための電流測定機器207を設置する。また、銅製テープ203に電圧を印加するため、銅製テープ203の上に銅線204を載せ、銅線204が銅製テープ203からはみ出さないように、銅線204の上から銅製テープ203と同様の銅製テープ205を貼り、銅製テープ203に銅線204を固定する。銅製テープ203には、銅線204を用いて電圧を印加する。
銅製テープ203と支持体201との間に電圧を印加しないときのバックグラウンド電流値をI(A)とし、直流成分のみの電圧を−1V印加したときの電流値をI(A)とし、導電層202の膜厚d(cm)、導電層202の表面側の電極(銅製テープ203)の面積をS(cm)とするとき、下記式(1)で表される値を導電層202の体積抵抗率ρ(Ω・cm)とする。
ρ(Ω・cm)=1/(I−I)×S/d ・・・(1)
この測定では、絶対値で1×10−6A以下という微小な電流量を測定するため、電流測定機器207としては、微小電流の測定が可能な機器を用いて行うことが好ましい。そのような機器としては、例えば、横河ヒューレットパッカード社製のpAメーター(商品名:4140B)などが挙げられる。
なお、導電層の体積抵抗率は、支持体上に導電層のみを形成したサンプルで測定しても、電子写真感光体から導電層上の各層(電荷発生層、電荷輸送層)を剥離して、該導電層の表面で測定しても、同様の値を示す。電荷発生層、電荷輸送層を剥離する方法としては、電荷発生層、電荷輸送層を形成する際に用いられる電荷発生層用塗布液、電荷輸送層用塗布液の溶剤を用いて、電荷発生層、電荷輸送層を溶解させて剥離する方法などが挙げられる。
〔リンがドープされている酸化スズで被覆されている酸化チタン粒子〕
導電層には、金属酸化物粒子として、リンがドープされている酸化スズで被覆されている酸化チタン粒子(P−SnO/TiO粒子)を含有する。この粒子は、酸化チタン粒子を被覆している酸化スズにリンがドープされていることにより、粒子の抵抗が制御されている。一般的には、酸化スズにリンをドープすることにより、ドープしていないものに比べて、粒子の抵抗(粉体抵抗率など)を低くすることができる。
P−SnO/TiO粒子における酸化スズ(SnO)の割合(被覆率)は、10質量%以上60質量%以下であることが好ましい。酸化スズの被覆率を制御するためには、リンがドープされている酸化スズで被覆されている酸化チタン粒子を製造するときに、酸化スズを生成するのに必要なスズ原材料を配合する必要がある。例えば、スズ原材料として塩化スズ(SnCl)を用いる場合、塩化スズ(SnCl)から生成される酸化スズ(SnO)の量を考慮して、塩化スズの添加量を調整をする。なお、上記の酸化スズの被覆率は、酸化スズにドープされているリンの質量を考慮に入れず、酸化スズと酸化チタンの合計質量に対する酸化スズの質量により計算した値とする。酸化スズの被覆率が10質量%以上60質量%以下であると、リンがドープされている酸化スズが酸化チタン粒子(芯材粒子)の表面の全体を均一に被覆されるため、好ましい。
酸化スズにドープされるリンの量は、酸化スズ(リンを含まない質量)に対して0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。上述の範囲であると、酸化スズの結晶性を維持し、粒子の粉体抵抗率を十分に下げることができるため、好ましい。一般的には、酸化スズにリンをドープすることにより、ドープしていないものに比べて、粒子の粉体抵抗率を低くすることができる。
P−SnO/TiO粒子の製造方法は、特開平06−207118号公報、特開2004−349167号公報、WO2005/008685号公報に記載の方法を用いて製造することができる。
導電層用塗布液におけるリンがドープされている酸化スズで被覆されている酸化チタン粒子の平均粒径は、0.10μm以上0.45μm以下であることが好ましく、0.20μm以上0.43μm以下であることがより好ましい。導電層用塗布液における金属酸化物粒子の平均粒径の測定は、以下のとおり、液相沈降法によって行うことができる。
まず、導電層用塗布液を、その導電層用塗布液に含まれる溶剤で透過率が0.8〜1.0の間になるように希釈する。次に、超遠心式自動粒度分布測定装置を用いて、金属酸化物粒子の平均粒径(体積標準D50)および粒度分布のヒストグラムを作成する。(株)堀場製作所製の超遠心式自動粒度分布測定装置(商品名:CAPA700)を用い、回転数3000rpmの条件で測定を行った。
導電層用塗布液におけるP−SnO/TiO粒子の体積(Vt)に対するシリコーン樹脂粒子の体積(Vs)の比(Vs/Vt)は、1.3以下であることが、シリコーン樹脂粒子の凝集抑制効果が高く、クラック発生確率が低くなるため、好ましい。さらには、0.3以上1.0以下であることが、導電層の疎面化効果が得やすく、シリコーン樹脂粒子の凝集抑制効果が高くなり、導電層のクラック発生確率が低くなるのでより好ましい。導電層用塗布液における金属酸化物粒子の体積およびシリコーン樹脂粒子の体積は、質量を密度で除して求めればよい。
〔シリコーン樹脂粒子〕
導電層には、シリコーン樹脂粒子を含有する。シリコーン樹脂としては、熱加硫型シリコーンゴム、室温硬化型シリコーンゴム、シリコーンレジン、変性シリコーンレジン等が挙げられる。シリコーン樹脂粒子の形状としては、真球状、楕円球状などの球状が好ましい。また、シリコーン樹脂粒子の比重は0.5〜2であり、P−SnO/TiO粒子粒子の比重(4〜7)に比べて小さいため、導電層形成時に効率的に導電層の表面を粗面化することができる。
シリコーン樹脂粒子の個数平均粒径は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。1μm以上5μm以下であると、導電層表面を疎面化と、黒ポチの発生の抑制により優れるため、好ましい。さらに好ましくは1.6μm以上2.5μm以下である。
シリコーン樹脂粒子の疎水化度は、10以上30以下である。上述の溶剤中で、疎水化度がこの範囲であると、シリコーン樹脂粒子同士の凝集が抑えられやすく、クラック発生の抑制効果が大きくなる。疎水化度が10よりも小さいと、水と相溶性を有する官能基が多く、シリコーン樹脂粒子の吸湿性が高くなる。そのため、シリコーン樹脂粒子の細孔等に水分が残留し易い。この残留水分がによって、塗膜に微小孔ができたり、塗膜表面の平滑性が失われる場合がある。また、疎水化度が30よりも大きくなると、水と相溶性を有する官能基が少ないため、シリコーン樹脂粒子同士の凝集が進行し易く、P−SnO/TiO粒子による凝集抑制の作用が効果的に働きにくい。そのため、導電層用塗布液の調製直後から長期間に渡って使用した場合において、樹脂粒子の凝集の抑制と、クラックの発生の抑制が十分ではなかった。
シリコーン樹脂粒子の疎水化度は、シリコーン樹脂粒子を水に浮かべ、徐々に溶剤を添加していく。そして、シリコーン樹脂粒子が沈降する状態を、レーザー光を用いて透過光強度(透過率)の変化としてとらえ、沈降し始めた時の溶剤の量をもって、シリコーン樹脂粒子と溶剤との親和性(疎水性)度の目安として評価する方法である。
シリコーン樹脂粒子の疎水化度の測定は、メタノール滴定で行い、粉体濡れ性試験器 WET−100P(レスカ社製)を使用して以下の方法で行うことができる。まず、イオン交換水60mlの水面上に、疎水化度を測定するシリコーン樹脂粒子0.05gを浮遊させる。次に、300rpmの攪拌速度で分散しながら、この分散液に2.5ml/minの滴下速度でメタノールを滴下し、透過率が30%減少した時のメタノール滴下量を求める。そして、下記式(2)によって、疎水化度を求める。下記式(3)は、透過率を求める式である。初期の透過光強度は、メタノール滴下前の透過光強度を示す。
疎水化度=(メタノール滴下量)/(メタノール滴下量+60) 式(2)
透過率(%)=(透過光強度)/(初期の透過光強度)×100 式(3)
シリコーン樹脂粒子の疎水化度の値が小さいほど、シリコーン樹脂粒子表面に水と相溶性を有する官能基が多く存在することになり、上記の溶剤を用いて分散した場合、シリコ金属酸化物粒子(P−SnO/TiO粒子など)やシリコーン樹脂粒子の密度の測定は、乾式自動密度計を用いて、以下のようにして求めることができる。
まず、(株)島津製作所製の乾式自動密度計(商品名:Accupyc1330)を用いる。容積10cmの容器に測定対象の粒子(金属酸化物粒子、シリコーン樹脂粒子)の前処理としてヘリウムガスパージを最高圧19.5psigで10回行う。この後、容器内圧力が平衡に達したか否かの圧力平衡判定値として、試料室内の圧力の振れが0.0050psig/minを目安とし、この値以下であれば平衡状態とみなして測定を開始し、密度を自動測定した。
〔溶剤〕
本発明において、導電層用塗布液に用いられる溶剤には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールおよび1−メトキシ−2−プロパノールからなる群より選択される少なくとも1種が含まれる。メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールおよび1−メトキシ−2−プロパノールは、水との相溶性を有する溶剤である。さらに、導電層用塗布液に他の溶剤を含有させてもよい。具体的には、ブタノールなどのアルコールや、アセトン、メチルエチルケトン、シクロへキサノンなどのケトンや、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルや、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステルや、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素が挙げられる。上記他の溶剤を用いる場合、P−SnO/TiO粒子の分散安定性、樹脂粒子の凝集を抑制する観点などから、導電層用塗布液中の全溶剤に対して、25質量%以下であることが好ましい。
導電層に用いられる結着材料(結着樹脂)としては、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエステルなどが挙げられる。これらは1種または2種以上用いることができる。また、これらの樹脂の中でも、他の層へのマイグレーション(溶け込み)の抑制、支持体への密着性、P−SnO/TiO粒子の分散安定性などの観点から、硬化性樹脂が好ましく、さらに、熱硬化性樹脂がより好ましい。熱硬化性樹脂として、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂が好ましい。
導電層に硬化性樹脂を用いる場合、導電層用塗布液には、該硬化性樹脂のモノマーおよび/またはオリゴマーを含有させる。
導電層用塗布液における金属酸化物粒子(P−SnO/TiO粒子)(P)と結着材料(結着樹脂)(B)の質量比(P/B)は、クラックの抑制の観点から、1.5/1.0以上3.5/1.0以下の比であることが好ましい。
導電層用塗布液は、P−SnO/TiO粒子、シリコーン樹脂粒子および結着材料(結着樹脂)を溶剤に分散させることによって調製する。分散方法としては、例えば、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。P−SnO/TiO粒子とシリコーン樹脂粒子は、同じ分散機で分散してもよいし、別々の分散機に分散した後に混合してもよい。
導電層は、上記導電層用塗布液を支持体上に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を加熱乾燥させ、硬化させることによって形成することができる。
また、導電層用塗布液には、導電層の表面性を高めるためのレベリング剤を含有させてもよい。また、導電層用塗布液に顔料粒子を含有させてもよい。
導電層の膜厚は、10μm以上40μm以下であることが好ましく、15μm以上35μm以下であることがより好ましい。導電層を含む電子写真感光体の各層の膜厚の測定装置として、(株)フィッシャーインストルメンツ製のFISCHERSCOPE MMSを用いた。
支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)が好ましく、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、金、鉄などの金属または合金製製の支持体を用いることができる。アルミニウムやアルミニウム合金を用いる場合は、押し出し工程および引き抜き工程を含む製造方法により製造されるアルミニウム管や、押し出し工程およびしごき工程を含む製造方法により製造されるアルミニウム管を用いることができる。このようなアルミニウム管は、表面を切削することなく良好な寸法精度や表面平滑性が得られる。しかしながら、無切削のアルミニウム管の表面にはササクレ状の凸状欠陥が生じやすいため、これを被覆するために上述の導電層を設ける。
また、支持体の表面には、電気的特性の改善や干渉縞の抑制のため、陽極酸化などの電気化学的な処理や、湿式ホーニング処理、ブラスト処理、切削処理などの処理を施してもよい。
導電層と感光層との間には、支持体や導電層から感光層への電荷注入を抑制するために、電気的バリア性を有する下引き層(バリア層)を設けてもよい。
下引き層は、樹脂を含有する下引き層用塗布液を上記導電層上に塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
下引き層に用いられる樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルメチルエーテル樹脂、ポリアクリル酸類樹脂、メチルセルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリグルタミン酸樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリグルタミン酸エステルなどが挙げられる。これらの中でも、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂の中でも、熱可塑性のポリアミド樹脂が好ましく、具体的には、共重合ナイロンが好ましい。
下引き層の膜厚は、0.1μm以上2μm以下であることが好ましい。
電荷の流れを促進するために下引き層には、電子輸送物質(アクセプターなどの電子受容性物質)を含有させてもよい。電子輸送物質としては、例えば、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、クロラニル、テトラシアノキノジメタンなどの電子吸引性物質や、これらの電子吸引性物質が高分子化したものなどが挙げられる。
下引き層用塗布液の溶剤としては、例えば、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤および芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。
〔感光層〕
導電層、または下引き層上には、感光層が設けられる。
電荷発生物質としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、チアピリリウム塩、トリフェニルメタン色素、キナクリドン顔料、アズレニウム塩顔料、シアニン染料、キサンテン色素、キノンイミン色素、スチリル色素などが挙げられる。これらの中でも、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンが好ましい。
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層は、電荷発生物質、結着樹脂および溶剤を混合して得られる電荷発生層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、塗膜を乾燥させることによって形成することができる。分散方法としては、例えば、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルなどを用いた方法が挙げられる。
電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらは、単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましく、ポリビニルアセタール樹脂がより好ましい。
電荷発生物質と結着樹脂との割合(電荷発生物質:結着樹脂)は、10:1〜1:10(質量比)の範囲が好ましく、5:1〜1:1(質量比)の範囲がより好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、脂肪族ハロゲン化炭化水素溶剤、芳香族化合物などが挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。また、電荷発生層において電荷の流れが滞らないようにするために、電荷発生層には、電子輸送物質(アクセプターなどの電子受容性物質)を含有させてもよい。電子輸送物質としては、上記下引き層に用いられる電子輸送物質と同じである。
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層上には電荷輸送層が形成される。
感光層に用いられる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリルメタン化合物などが挙げられる。
電荷輸送層は、電荷輸送物質、結着樹脂および溶剤を混合させて得られる電荷輸送層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、塗膜を乾燥させることによって形成することができる。
電荷輸送層に用いられる結着樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。これらは、単独、混合物または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷輸送物質と結着樹脂との割合(電荷輸送物質:結着樹脂)は、2:1〜1:2(質量比)の範囲が好ましい。
電荷輸送層用塗布液に用いられる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、脂肪族ハロゲン化炭化水素溶剤、芳香族化合物などが挙げられる。
電荷輸送層の膜厚は、3μm以上40μm以下であることが好ましく、4μm以上30μm以下であることがより好ましい。
また、電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤を必要に応じて添加することもできる。
感光層が単層型感光層である場合は、電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂、溶剤を混合して得られる単層型感光層用塗布液を塗布して塗膜を形成し、塗膜を乾燥させることによって形成することができる。
また、感光層上に保護層を設けてもよい。保護層は、導電性粒子または電荷輸送物質と結着樹脂とを含有する。また、保護層は、潤滑剤などの添加剤をさらに含有してもよい。また、保護層の結着樹脂自体に導電性や電荷輸送性を有させてもよく、その場合、保護層には、当該樹脂以外の導電性粒子や電荷輸送物質を含有させなくてもよい。また、保護層の結着樹脂は、熱可塑性樹脂でもよいし、熱、光、放射線(電子線など)などにより重合させてなる硬化性樹脂であってもよい。
保護層の膜厚は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上8μm以下であることがより好ましい。
上記各層用の塗布液を塗布する方法としては、各層を構成する材料を溶剤に溶解および/または分散させて得られた塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥および/または硬化させることによって形成する方法が好ましい。塗布液を塗布する方法としては、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
〔プロセスカートリッジおよび電子写真装置〕
図1に、電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。
図1において、1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。回転駆動される電子写真感光体1の表面(周面)は、帯電手段3(一次帯電手段:帯電ローラーなど)により、正または負の所定電位に均一に帯電される。次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)からの露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、次いで現像手段5の現像剤に含まれるトナーにより現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(転写ローラーなど)6からの転写バイアスによって、転写材(紙など)Pに順次転写されていく。なお、転写材Pは、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送される。
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段(クリーニングブレードなど)7によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化される。次いで、前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図1に示すように、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
上記の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段7などの構成要素のうち、複数のものを選択して容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図1では、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
〈導電層用塗布液の調製例〉
金属酸化物粒子とシリコーン樹脂粒子の密度は、乾式自動密度計(商品名:Accupyc1330)を用いて測定した。シリコーン樹脂粒子の疎水化度は、粉体濡れ性試験器 WET−100P(レスカ社製)を用いて測定した。
(導電層用塗布液1−A)
リンがドープされている酸化スズで被覆されている酸化チタン粒子(密度:4.9g/cm)40部、フェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、DIC(株)製、樹脂固形分:60質量%、主溶剤:メタノール)33部、および1−メトキシ−2−プロパノール25部を、直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、回転数:2000rpm、分散処理時間:4時間、冷却水の設定温度:18℃の分散処理条件で分散処理を行い、分散液を得た。この分散液からメッシュでガラスビーズを取り除いた後、分散液にシリコーン樹脂粒子(疎水化度:10、個数平均粒径:2μm、密度:1.3g/cm)13.5部、レベリング剤としてシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.009部を添加して攪拌することによって、導電層用塗布液1−Aを調製した。シリコーン樹脂粒子に対するP−SnO/TiO粒子の体積比は、(シリコーン樹脂粒子:13.5/1.3=10.4)/(金属酸化物:40/4.9=8.16)=1.3であった。
また、導電層用塗布液中のP−SnO/TiO粒子の平均粒径(体積標準D50)を上記の超遠心式自動粒度分布測定装置を用いて測定したところ、0.30μmであった。
(導電層用塗布液2−A〜37−A)
P−SnO/TiO粒子の密度および添加量、溶剤の種類および添加量、シリコーン樹脂の疎水化度をそれぞれ表1に示すように変更した以外は、導電層用塗布液1−Aと同様にして導電層用塗布液2−A〜37−Aを調製した。
(導電層用塗布38−A)
導電層用塗布液を調製する際の分散条件を回転数:2500rpm、分散処理時間:6時間に変更した以外は、導電層塗布液9−Aと同様にして、導電層用塗布液38−Aを調製した。また、導電層用塗布液中のP−SnO/TiO粒子の平均粒径(体積標準D50)を上記の超遠心式自動粒度分布測定装置を用いて測定したところ、0.20μmであった。
(導電層用塗布39−A)
導電層用塗布液を調製する際の分散条件を回転数:1500rpm、分散処理時間:3時間に変更した以外は、導電層塗布液10−Aと同様にして、導電層用塗布液39−Aを調製した。また、導電層用塗布液中のP−SnO/TiO粒子の平均粒径(体積標準D50)を上記の超遠心式自動粒度分布測定装置を用いて測定したところ、0.43μmであった。
(導電層用塗布液C1−A)
特開2012−18381号公報の導電層用塗布液1に従って塗布液を調整した。シリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)の疎水化度と密度を測定すると、疎水化度は38、密度は1.3g/cmであった。また、P−SnO/TiO粒子(被覆率35%)の密度を測定すると、4.9g/cmであった。
まず、P−SnO/TiO粒子(密度:4.9g/cm)204部、フェノール樹脂「プライオーフェンJ−325」148部、および1−メトキシ−2−プロパノール98部を、直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、回転数:2000rpm、分散処理時間:4時間、冷却水の設定温度:18℃の分散処理条件で分散処理を行い、分散液を得た。なお、P−SnO/TiO粒子の平均粒径(体積標準D50)は、0.35μmであった。
この分散液からメッシュでガラスビーズを取り除いた後、分散液にシリコーン樹脂粒子「トスパール120」(疎水化度:38、平均粒径:2μm、密度:1.3g/cm)13.8部、シリコーンオイル「SH28PA」0.014部、メタノール6部および1−メトキシ−2−プロパノール6部を添加して攪拌することによって、導電層用塗布液C1−Aを調製した。シリコーン樹脂粒子に対する金属酸化物の体積比は、(シリコーン樹脂粒子:13.8/1.3=10.6)/(金属酸化物:204/4.9=41.6)=0.25であった。
(導電層用塗布液C2−A)
特開2012−18381号公報の導電層用塗布液19に従って導電層用塗布液を調製した。なお、P−SnO/TiO粒子の平均粒径(体積標準D50)は、0.37μmであった。
(導電層用塗布液C3−A)
特開2012−18405号公報の導電層用塗布液L−4に従って導電層用塗布液を調製した。
(導電層用塗布液C4−A)
特開2012−18405号公報の導電層用塗布液L−13に従って導電層用塗布液を調製した。
(導電層用塗布液C5−A〜C31−A)
金属酸化物粒子の種類および添加量、溶剤の添加量、シリコーン樹脂の疎水化度をそれぞれ表2に示すように変更した以外は、導電層用塗布液1と同様のにして導電層用塗布液C5−A〜C31−Aを調製した。表2において、「SnO/TiO」は、酸化スズで被覆されている酸化チタン粒子を示す。「SnO/BaSO」は、酸化スズで被覆されている硫酸バリウム粒子を示す。「Sb−SnO」は、アンチモンがドープされている酸化スズ粒子を示す。「Sb−SnO/TiO」は、アンチモンがドープされている酸化スズで被覆されている酸化チタン粒子を示す。「ZnO/TiO」は、酸化亜鉛で被覆されている硫酸バリウム粒子を示す。
〈電子写真感光体の製造例〉
(電子写真感光体1−A)
長さ246mm、直径24mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を支持体(導電性支持体)とした。
導電層用塗布液を調製後、一日保管後に温度28℃湿度65%RH環境下で、導電層用塗布液1−Aを支持体上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を30分間140℃で乾燥および熱硬化させることによって、膜厚が30μmの導電層1−Aを形成した。
次に、N−メトキシメチル化ナイロン(商品名:トレジンEF−30T、ナガセケムテックス(株)製)4.5部および共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)1.5部を、メタノール65部およびn−ブタノール30部の混合溶剤に溶解させることによって、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を70℃6分間で乾燥させることによって、膜厚が0.85μmの下引き層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)10部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部およびシクロヘキサノン250部を、直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、分散処理時間:3時間の条件で分散処理を行った。次に、酢酸エチル250部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.12μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(CT−1)で示されるアミン化合物(電荷輸送物質)4.8部および下記式(CT−2)で示されるアミン化合物(電荷輸送物質)3.2部、ならびに、ポリカーボネート樹脂(商品名:Z200、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)10部を、ジメトキシメタン30部/クロロベンゼン70部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、これを30分間110℃で乾燥させることによって、膜厚が10μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 2014026092
このようにして、電子写真感光体1−Aを製造した。
(電子写真感光体2−A〜39−Aおよび電子写真感光体C1−A〜C39−A)
電子写真感光体の製造する際に用いた導電層用塗布液を、導電層用塗布液1−Aから、それぞれ導電層用塗布液2−A〜39−A、C1−A〜C31−Aに変更した以外は、電子写真感光体1−Aと同様に導電層を形成し、電子写真感光体2−A〜39−AおよびC1−A〜C31−Aを製造した。
(電子写真感光体1−Bの製造例)
導電層用塗布液1−Aをロール架台で回しながら保存し、100日経過後の導電層用塗布液1−Bを得た。電子写真感光体の製造の際に用いた導電層用塗布液を、導電層用塗布液1−Aから導電層用塗布液1−Bに変更した以外は、電子写真感光体1−Aと同様にして、導電層1−Bを形成し、電子写真感光体1−Bを製造した。
(電子写真感光体2−B〜39−BおよびC1−B〜C31−B)
導電層用塗布液2−A〜39−AおよびC1−A〜C31−Aをロール架台で回しながら保存し、100日経過後の導電層用塗布液2−B〜39−B、C1−B〜C31−Bを得た。電子写真感光体の製造の際に用いた導電層用塗布液を、導電層用塗布液1−Aから、それぞれ導電層用塗布液2−B〜39−B、C1−B〜C31−Bに変更した以外は、電子写真感光体1−Aと同様にして、導電層2−B〜39−B、C1−B〜C31−Bを形成し、電子写真感光体2−B〜39−BおよびC1−B〜C31−Bを製造した。
Figure 2014026092
Figure 2014026092
(実施例1〜39および比較例1〜31)
上記の方法で、アルミニウムシリンダー上に導電層1−A〜39−A、1−B〜39−B、C1−A〜C31−A、およびC1−B〜C31−Bのみを形成したものを別に用意し、それぞれ日本電子社製のクロスセクションポリッシャー(商品名:SM−09010)によって切削して、導電層の断面サンプルを作製した。その導電層の断面部分を(株)日立製作所製の走査型電子顕微鏡(商品名:S−4800)にて観察し、導電層の断面積4500μm(30μm×150μm)の画像をランダムに20か所取り込み、粒子解析アプリケーションVK−H1G9で解析し、シリコーン樹脂粒子の凝集性を評価した。凝集性の評価法としては、断面画像上で接しているシリコーン樹脂粒子を一つの塊として、その凝集塊の面積を求め、その面積が35μm以上になる凝集塊の個数を求めた。結果を表3および表4に示す。また、導電層の表面を(株)日立製作所製の走査型電子顕微鏡(商品名:S−4800)にて観察し、クラックの評価を行った。クラック評価結果は以下の基準で行った。本発明において、ランクA、Bが本発明の効果が得られているレベルであると判断した。一方、ランクCは本発明の効果が得られていないレベルと判断した。結果を表3および表4に示す。
A:クラックはなかった
B:ごく軽微なクラックがわずかに見られた
C:クラックが全体的に見られた
Figure 2014026092
Figure 2014026092
(実施例40〜78および比較例40〜70)
電子写真感光体1−A〜39−A、C1−A〜C31−A、1−B〜39−BおよびC1−B〜C31−Bを、それぞれヒューレットパッカード社製のレーザービームプリンター(商品名:Laserjet P1505)に装着して、高温高湿(30℃/80%RH)環境下にて3000枚の画像出力を行い、画像の評価を行った。通紙画像では、印字率2%の文字画像をレター紙にて1枚ずつ出力する間欠モードでプリント操作を行い、3000枚の画像出力を行った。そして、3000枚画像出力終了後に1枚の画像評価用のサンプル(1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像)を出力し、黒ポチやゆず肌状の画像評価をした。結果を表5および表6に示す。
Figure 2014026092
Figure 2014026092
201 支持体
202 導電層
203 銅製テープ
204 銅線
205 銅製テープ
206 電源
207 電流測定機器
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
11 前露光光
P 転写材(紙など)

Claims (5)

  1. 支持体上に導電層を形成し、該導電層上に感光層を形成して電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法において、
    該製造方法が、
    リンがドープされている酸化スズで被覆されている酸化チタン粒子、シリコーン樹脂粒子および結着材料を溶剤に分散させて導電層用塗布液を調製する工程、および、
    該支持体上に該導電層用塗布液の塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて該導電層を形成する工程
    を有し、
    該溶剤が、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールおよび1−メトキシ−2−プロパノールからなる群より選択される少なくとも1種を含有し、
    該導電層用塗布液における該リンがドープされている酸化スズで被覆されている酸化チタン粒子の体積(Vt)に対する該シリコーン樹脂の体積(Vs)の比(Vs/Vt)が、1.3以下であり、
    該シリコーン樹脂粒子の疎水化度が、10以上30以下である
    ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記導電層用塗布液における前記リンがドープされている酸化スズで被覆されている酸化チタン粒子の体積(Vt)に対する前記シリコーン樹脂粒子の体積(Vs)の比(Vs/Vt)が、0.3以上1.0以下である請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記溶剤が、メタノールを含有する請求項1または2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記導電層用塗布液における前記リンがドープされている酸化スズで被覆されている酸化チタン粒子の平均粒径が、0.10μm以上0.45μm以下である請求項1から3のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記導電層用塗布液における前記シリコーン樹脂粒子の平均粒径が、1μm以上5μm以下である請求項1から4のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
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