JP2014025562A - アイドルストップ車の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】減速時アイドルストップ制御を実施し、車両停止前にアイドルストップ復帰した場合に、クラッチジャダを発生させずに発進クラッチを係合させる。
【解決手段】減速走行中にエンジンが自動停止し、発進クラッチが解放された後、車両停止前にエンジンを再始動させたときの発進クラッチの係合制御パターンの定圧制御期間を、車両停止後にエンジンを再始動させたときの係合制御パターンの定圧制御期間よりも短く設定し、かつ車両停止前にエンジンを再始動させたときの係合制御パターンの定圧制御期間の目標圧を、車両停止後にエンジンを再始動させたときの係合制御パターンの定圧制御期間の目標圧より高く設定した。
【選択図】 図4

Description

本発明はアイドルストップ車の制御装置、特に減速中にアイドルストップを実施し、車両が停止する前にアイドルストップ復帰(エンジン再始動)した場合の発進クラッチの制御に関するものである。ここで、発進クラッチとは、自動変速機(無段変速機も含む)の中に装備され、発進時に係合される前進用係合クラッチのことである。
従来より、運転中に信号待ち等で車両が一時的に停止した時にエンジンを自動停止させ、かつ発進するときにはエンジンを再始動して、無駄な燃料消費や排出ガスの発生を抑えるアイドルストップ制御(エコラン制御とも呼ばれる)が知られている。一方、車両が停止する前に、停止すると予想された時点からエンジンを停止させる、減速時アイドルストップ制御(減速時エコラン制御とも呼ばれる)も実施されている。減速時アイドルストップでは、例えば車速が所定のしきい値(例えば時速7km/h)以下になったことを1つの条件とし、その他のアイドルストップ条件(例えばブレーキON)が成立した場合に、車両が停止する前にエンジンを停止させる。
減速時アイドルストップ制御を実施した後、車両停止前にブレーキOFF等のアイドルストップ解除条件が成立した場合、スタータが起動してエンジンが再始動される。しかし、このように車輪が回転している状態でエンジンが再始動すると、発進クラッチの係合過渡でクラッチの入力回転速度と出力回転速度とが近接するため、入力回転速度の持ち上げによりクラッチに滑りが発生し、クラッチジャダと呼ばれる不快な車体振動が発生することがある。このような現象は、発進クラッチの油圧源がエンジン駆動によるオイルポンプのみ(電動オイルポンプなし)であり、かつタービン回転数センサ(クラッチの入力回転数センサ)を有しないアイドルストップ車の場合(クラッチ係合制御を時間制御で行う場合)に、特に発生しやすい。
図9は、減速中にアイドルストップを実施した後、車両停止までの間にアイドルストップ解除条件が成立した場合の従来の制御を示す。ここでは、ブレーキ信号、車速、エンジン回転数とプライマリシーブ回転数(無段変速機の場合)、発進クラッチの実クラッチ圧と目標クラッチ圧、及び車体Gの各時間変化を示す。
走行中の時刻t1でブレーキがON(ブレーキペダルの踏み込み)すると、車速は低下し始め、エンジン回転数及びプライマリシーブ回転数も低下し始める。時刻t2で車速が所定のしきい値(例えば時速7km/h)以下になると、アイドルストップ制御(減速時エコラン制御)を開始する。そのため、エンジン回転は急速に0rpmまで低下し、目標クラッチ圧も0まで低下し、実クラッチ圧もそれに連れて低下する。その結果、発進クラッチは解放状態となる。
車両が停止する前の時刻t3(例えば車速が2〜3km/h)でブレーキがOFFすると、アイドルストップ制御が解除され、エンジンが再始動される。このとき、発進クラッチは定圧制御が実施され、目標クラッチ圧は所定の一定圧P0に、かつ一定時間T0だけ保持される。しかし、クランキング期間中はエンジン回転数が低いため、オイルポンプの吐出圧も低く、実クラッチ圧は上昇しない。クランキングが終了すると、エンジン回転数が急上昇し、実クラッチ圧が上昇しはじめる。定圧制御中の途中でクラッチのピストンがストロークエンドに達するので、トルク伝達が開始される。しかし、車両が停止していないため、クラッチの入力回転速度と出力回転速度とが近接している。そのため、トルク伝達の開始と共に入力回転速度の持ち上げによるクラッチ滑りが発生し、クラッチジャダと呼ばれる車体振動が発生する。時刻t4で定圧制御期間が終了した後、スイープ制御へ移行し、その後、発進クラッチは完全締結される。
上記のように、発進クラッチの過渡制御は、所定の定圧制御期間とそれに続くスイープ制御期間とを有する係合制御パターンに従って実施されるが、定圧制御及びスイープ制御は油温によって一義的に設定されている。従来では、車両停止後にアイドルストップ復帰を行う場合も、車両停止前にアイドルストップ復帰を行う場合も、係合制御パターンが同じであるため、上述のように車両停止前にアイドルストップ復帰を行うと、車輪が回転しているために、クラッチジャダが発生しやすいという問題がある。
特許文献1には、減速時に所定車速でエンジンの自動停止を開始し、その後、車両が停止するまでの間に再始動する場合に、変速機構を直結した状態でエンジンを再始動するものが開示されている。車両が完全に停止するまでに再始動要求がなかった場合には、車両が完全に停止した時点で変速機構の直結状態を解放する。この場合には、変速機構を直結状態に維持するため、締結要素の係合ショックを防止できる。しかしながら、この制御には常にオイルポンプによる油圧を発生させなければならないので、エンジン駆動式のオイルポンプだけでなく、電動オイルポンプをも必要とする。
特許文献2には、燃料カット制御の燃料カット条件が不成立の場合でも、エンジンの自動停止条件が成立している場合には、燃料カット制御を行い、この自動停止条件の成立中にクラッチ解放条件が成立した場合にクラッチを解放状態に制御することで、エンジンを自動停止するものが開示されている。この場合には、極停車速までクラッチを締結状態で維持することができる。しかし、一旦クラッチを切った後に再始動する場合には、電動オイルポンプと共に、クラッチの係合状態を検出できる回転検出センサを備えているため、係合ショックの防止制御は特に困難ではない。
特許文献3には、減速時のエンジン自動停止後、エンジンを再始動する際に、エンジンを自動停止する前に係合した発進クラッチの締結力を車速やエンジン回転数に応じて制御するものが開示されている。しかし、特許文献1と同様に、エンジン駆動方式のオイルポンプしか装備していない車両の場合には実現できない。
特開2010−164143号公報 特開平8−189395号公報 特開平2006−153246号公報
本発明の目的は、減速時アイドルストップ制御を実施し、車両停止前にアイドルストップ復帰した場合に、クラッチジャダを発生させずに発進クラッチを係合させることが可能なアイドルストップ車の制御装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明の第1実施形態は、エンジンと、前記エンジンによって駆動されるオイルポンプと、エンジン動力を変速して駆動輪に伝達する自動変速機であって、内部に発進クラッチを有する自動変速機と、前記オイルポンプが発生する油圧を前記発進クラッチに供給し、所定の定圧制御期間とそれに続くスイープ制御期間とを有する係合制御パターンにしたがって前記発進クラッチの係合制御を実施するクラッチ制御装置と、車両の減速走行中に前記エンジンを自動停止可能かつ再始動可能に制御するエンジン制御装置と、を備えたアイドルストップ車において、減速走行中に前記エンジンが自動停止し、前記発進クラッチが解放された後、車両停止前に前記エンジンを再始動させたときの前記係合制御パターンの定圧制御期間を、車両停止後に前記エンジンを再始動させたときの前記係合制御パターンの定圧制御期間よりも短く設定し、かつ車両停止前に前記エンジンを再始動させたときの前記係合制御パターンの定圧制御期間の目標圧を、車両停止後に前記エンジンを再始動させたときの前記係合制御パターンの定圧制御期間の目標圧より高く設定したことを特徴とするアイドルストップ車の制御装置を提供する。
本発明の第2実施形態は、エンジンと、前記エンジンによって駆動されるオイルポンプと、エンジン動力を変速して駆動輪に伝達する自動変速機であって、内部に発進クラッチを有する自動変速機と、前記オイルポンプが発生する油圧を前記発進クラッチに供給し、所定の定圧制御期間とそれに続くスイープ制御期間とを有する係合制御パターンにしたがって前記発進クラッチの係合制御を実施するクラッチ制御装置と、車両の減速走行中に前記エンジンを自動停止可能かつ再始動可能に制御するエンジン制御装置と、を備えたアイドルストップ車において、前記自動変速機の回転数の異常変動を検出する異常変動検出手段をさらに備え、減速走行中に前記エンジンが自動停止し、前記発進クラッチが解放された後、車両停止前に前記エンジンを再始動させた場合であって、前記係合制御パターンの定圧制御期間中に前記異常変動検出手段が前記自動変速機の回転数の異常変動を検出した時、前記クラッチ制御装置は前記異常変動の検出時点から前記スイープ制御を開始することを特徴とするアイドルストップ車の制御装置を提供する。
まず、本発明の第1実施形態について説明する。走行中に減速時エンジン停止条件が成立すると、エンジンは自動停止し、発進クラッチは解放される。車両が停止する前の時点でアイドルストップ解除条件が成立すると、エンジンが再始動される。このとき、発進クラッチは係合制御パターン(時間制御)にしたがって定圧制御が実施されるが、その定圧制御期間は、車両停止後にエンジンを再始動させたときの係合制御パターンの定圧制御期間よりも短く、かつ定圧制御期間の目標圧は、車両停止後のエンジン再始動時の定圧制御期間の目標圧より高く設定されている。つまり、クラッチジャダが発生しやすいエンジン再始動時の定圧制御期間の期間を短くしかつその目標圧を高めに設定することで、クラッチジャダの発生を抑制し、不快な振動の発生を抑制できる。第1実施形態のクラッチ制御は、実際にクラッチジャダが発生するか否かに関係なく実施される。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、自動変速機の回転数の異常変動を検出する異常変動検出手段をさらに備えている。エンジンを再始動させた場合に、発進クラッチに対して定圧制御を実施するが、定圧制御期間中に異常変動検出手段が自動変速機の回転数の異常変動を検出した時、予め決められた定圧制御期間の終了とは関係なく、定圧制御からスイープ制御へ強制的に移行させる。つまり、定圧制御を中断してスイープ制御を開始する。そのため、実クラッチ圧が従来よりも早めに上昇し、クラッチジャダが継続するのを抑制できる。なお、異常変動検出手段が自動変速機の回転数の異常変動を検出しない場合には、通常のエンジン再始動時の係合制御パターンと同様に、所定時間の定圧制御とそれに続くスイープ制御とを順次実施すればよい。
一般に、1回クラッチジャダが発生した車両は毎回発生することが多く、第2実施形態のように回転数の異常変動を検出した時点でスイープ制御を開始しても、次回の車両停止前のエンジン再始動時にもクラッチジャダが発生する可能性がある。そこで、クラッチ制御装置は、異常変動検出手段が自動変速機の回転数の異常変動を検出した場合に、発進クラッチの解放指令からエンジンの再始動までの時間、及び又はエンジンの再始動からスイープ制御の開始までの時間を計測し、少なくとも当該計測した時間と油温とを用いて、次回のエンジン再始動時における定圧制御期間の目標圧を学習補正するのが望ましい。つまり、クラッチの残油状態はエンジンの自動停止(クラッチの解放指令)からの時間と油温に依存する。よって、クラッチ解放からの時間が長く、油温が高いときには、残油が少ないので、定圧制御の目標圧の増加補正を行うことで、次回以降のクラッチジャダの発生を抑制できる。さらに、エンジンの再始動からスイープ制御の開始までの時間は、クラッチパックのクリアランスによって異なるので、この時間を用いて定圧制御の目標圧の学習補正することもできる。なお、目標圧の増加補正に加えて、定圧制御区間の短縮、スイープゲインの増加のような学習補正を行うことも可能である。具体的な学習補正の方法としては、例えばクラッチの解放指令からエンジンの再始動までの時間、及び又はエンジンの再始動からスイープ制御の開始までの時間を計測し、その計測時間と油温とに応じた重み係数を、通常時の定圧制御期間の目標圧に乗じて補正済みの目標圧を算出したり、又は計測時間と油温とから次回の定圧保持圧に加算する学習値を算出し、次回の車両停止前のエンジン再始動時に、この補正済みの目標圧を定圧制御期間の目標圧として供給してもよい。
本発明のクラッチ制御には、種々の方法が考えられる。例えば、第1実施形態の場合、定圧制御期間を短くかつ目標圧を高く設定する方法の他に、スイープ制御のスイープゲインを高く(時間勾配を大きく)設定してもよい。この場合も、不快な振動を素早く抑制できる。また、第1実施形態に第2実施形態の学習制御を融合させることもできる。例えば、第1実施形態と同様に車両停止前のエンジン再始動時の定圧制御期間を短く及び目標圧を高く設定した場合に、自動変速機の回転数の異常変動を検出した場合には、クラッチの解放から異常変動の検出時点までの時間に応じて、定圧制御期間を短く補正し、又は定圧制御期間の目標圧を高く補正してもよい。
以上のように、本発明の第1実施形態によれば、車両停止前にエンジンを再始動させた場合に、発進クラッチの係合制御パターン(時間制御)の定圧制御期間を、車両停止後にエンジンを再始動させたときの係合制御パターンの定圧制御期間よりも短く、かつその目標圧を車両停止後にエンジンを再始動させたときの係合制御パターンの定圧制御期間の目標圧より高く設定したので、クラッチジャダによる不快な振動の発生を抑制できる。
また、第2実施形態によれば、エンジンを再始動させた場合に、クラッチジャダに関連する自動変速機の回転数の異常変動を検出し、その検出時に発進クラッチを定圧制御からスイープ制御へ移行させるようにしたので、クラッチの滑りを速やかに解消して、クラッチジャダによる不快な振動が続くのを抑制できる。
本発明に係るアイドルストップ車の構成の一例を示すスケルトン図である。 図1に示す無段変速機の油圧回路図である。 ソレノイド圧Psls に対する、ライン圧、クラッチモジュレータ圧、クラッチ制御圧、及びセカンダリ圧の各特性を示す図である。 本発明に係る減速時アイドルストップ及びアイドルストップ復帰における制御の第1実施例のタイムチャート図である。 図4に示す発進クラッチの係合制御の一例のフローチャート図である。 本発明に係る減速時アイドルストップ及びアイドルストップ復帰における制御の第2実施例のタイムチャート図である。 図6に示す発進クラッチの係合制御の一例のフローチャート図である。 図7の係合制御に追加される学習制御のフローチャート図である。 従来の減速時アイドルストップ及びアイドルストップ復帰における制御の一例のタイムチャート図である。
図1は本発明に係るアイドルストップ車の構成の一例を示す。エンジン1の出力軸1aは、無段変速機2を介してドライブシャフト(出力軸)32に接続されている。無段変速機2には、トルクコンバータ3、変速装置4、油圧制御装置7及びエンジン1により駆動されるオイルポンプ6などが設けられている。なお、油圧制御装置7の油圧源はオイルポンプ6のみであり、電動オイルポンプは備えていない。
無段変速機2は、トルクコンバータ3のタービン軸5の回転を正逆切り替えてプライマリ軸10に伝達する前後進切替装置8、プライマリプーリ11、セカンダリプーリ21及び両プーリ間に巻き掛けられたVベルト15を有する変速装置4、セカンダリ軸20の動力をドライブシャフト32に伝達するデファレンシャル装置30などで構成されている。タービン軸5とプライマリ軸10とは同一軸線上に配置され、セカンダリ軸20とドライブシャフト32とがタービン軸5に対して平行でかつ非同軸に配置されている。したがって、この無段変速機2は全体として3軸構成とされている。
前後進切替装置8は、遊星歯車機構80と逆転ブレーキ(発進クラッチ)B1と直結クラッチC1とで構成されている。逆転ブレーキB1と直結クラッチC1は、それぞれ湿式多板式のブレーキ及びクラッチである。遊星歯車機構80のサンギヤ81がタービン軸5に連結され、リングギヤ82がプライマリ軸10に連結されている。遊星歯車機構80はシングルピニオン方式であり、逆転ブレーキB1はピニオンギヤ83を支えるキャリア84とトランスミッションケースとの間に設けられ、直結クラッチC1はキャリア84とサンギヤ81との間に設けられている。直結クラッチC1を解放して逆転ブレーキB1を締結すると、タービン軸5の回転が逆転され、かつ減速されてプライマリ軸10へ伝えられ、セカンダリ軸20を経てドライブシャフト32がエンジン回転方向と同方向に回転するため、前進走行状態となる。逆に、逆転ブレーキB1を解放して直結クラッチC1を締結すると、キャリア84とサンギヤ81とが一体に回転するので、タービン軸5とプライマリ軸10とが直結され、セカンダリ軸20を経てドライブシャフト32がエンジン回転方向と逆方向に回転するため、後進走行状態となる。
プライマリプーリ11は、プライマリ軸10上に一体に形成された固定シーブ11aと、プライマリ軸10上に軸方向移動自在に、かつ一体回転可能に支持された可動シーブ11bとを備えている。可動シーブ11bの背後には、プライマリ軸10に固定されたシリンダ12が設けられ、可動シーブ11bとシリンダ12との間に油室13が形成されている。油室13に供給される作動油を、図示しないコントロール弁で流量制御することにより、変速制御が実施される。
セカンダリプーリ21は、セカンダリ軸20上に一体に形成された固定シーブ21aと、セカンダリ軸20上に軸方向移動自在に、かつ一体回転可能に支持された可動シーブ21bとを備えている。可動シーブ21bの背後には、セカンダリ軸20に固定されたピストン22が設けられ、可動シーブ21bとピストン22との間に油室23が形成されている。この油室23への供給油圧(セカンダリ圧)を制御することにより、トルク伝達に必要なベルト挟圧力が与えられる。なお、油室23には初期挟圧力を与えるバイアススプリング24が配置されている。セカンダリプーリ21の油室23の近傍の供給油路中には、セカンダリ圧を検出する油圧センサ108(図2参照)が設けられている。
セカンダリ軸20の一方の端部はエンジン側に向かって延び、この端部に出力ギヤ27が固定されている。出力ギヤ27はデファレンシャル装置30のリングギヤ31に噛み合っており、デファレンシャル装置30から左右に延びるドライブシャフト32に動力が伝達され、車輪が駆動される。
エンジン1及び無段変速機2は電子制御装置100(図1参照)によって制御される。電子制御装置100には、センサ101、102、103からそれぞれエンジン回転数、プライマリプーリ回転数、セカンダリプーリ回転数(車速)が入力され、さらにセンサ104、105、106、107、108からアクセル開度(スロットル開度)、シフトポジション、ブレーキ信号、CVTの作動油温、及びセカンダリ圧等の信号が入力されている。入力信号としては、そのほかに、バッテリ電圧、アイドル信号、スタート信号、エンジン水温、吸入空気量、エアコン信号、イグニッション信号などを入力してもよい。但し、この無段変速機2には、タービン軸5の回転数を検出するタービン回転数センサは設けられていない。図1では説明を簡単にするため、単一の電子制御装置100でエンジン1と無段変速機2の両方を制御する例を示したが、実際には個別の電子制御装置によって制御され、両電子制御装置は通信用バスによって相互に連携している。
電子制御装置100は、アイドルストップ開始条件が成立したときにエンジン1を自動停止させ、アイドルストップ復帰条件が成立したときにエンジン1を再始動させるアイドルストップ制御を実施する。アイドルストップ開始条件(エンジン停止条件)としては、車両停止時のアイドルストップ条件と減速中のアイドルストップ条件とがある。特に、減速中のアイドルストップ条件としては、車速が所定のしきい値以下、減速度が所定範囲内、ブレーキ信号ON、油温が設定値以上、変速比が最大変速比(Low)近傍、ロックアップOFFなどがある。但し、エンジン水温が低いときや、バッテリ電圧の消耗時、電気負荷が大きいとき、アクセルペダルが踏まれているとき等には、アイドルストップを許可しない。一方、アイドルストップ復帰条件(エンジン始動条件)としては、例えばブレーキOFF、アクセルペダル踏み込み、車速信号の入力などがある。アイドルストップ開始条件及び復帰条件は公知であるため、ここでは詳しい説明を省略する。
電子制御装置100は、油圧制御装置7に内蔵された複数のソレノイド弁を制御している。油圧制御装置7は、オイルポンプ6、プライマリプーリ11の油室13、セカンダリプーリ21の油室23、逆転ブレーキ(発進クラッチ)B1、直結クラッチC1とそれぞれ接続されている。電子制御装置100は、車速とスロットル開度とに応じて予め設定された変速マップに従って目標プライマリ回転数を決定し、油圧制御装置7内のソレノイド弁を制御することによって、無段変速機2のプライマリプーリ11の油室13への供給油量を制御し、プライマリ回転数を目標値へとフィードバック制御している。また、エンジントルクと変速比とからベルト伝達トルクを求め、ベルト滑りを発生させない最低限のベルト挟圧力となるように、セカンダリプーリ21の油室23への供給油圧(セカンダリ圧)を目標値へとフィードバック制御している。この際、油圧センサ108で実際のセカンダリ圧が検出される。なお、油圧制御装置7は逆転ブレーキB1及び直結クラッチC1への供給油圧を制御する機能も有しており、この制御には後述する減速中アイドルストップ時の逆転ブレーキ(発進クラッチ)B1の制御も含まれる。
図2は油圧制御装置7の一例の油圧回路図である。図2において、SLSはリニアソレノイド弁、71はレギュレータ弁、72はクラッチモジュレータ弁、73はソレノイドモジュレータ弁、74はガレージシフト弁、75はマニュアル弁、79は挟圧コントロール弁である。図2では、セカンダリプーリ21、逆転ブレーキB1及び直結クラッチC1に関連する油圧回路だけを示してあるが、プライマリプーリ11やトルクコンバータ3に内蔵されたロックアップクラッチ3aの油圧回路等については、本発明と直接関係がないので省略する。なお、油圧制御装置7の油圧源は、エンジン1によって駆動されるオイルポンプ6のみであり、電動オイルポンプなどの格別のオイルポンプは備えていない。
リニアソレノイド弁SLSは、ライン圧制御、逆転ブレーキB1及び直結クラッチC1の過渡制御、及びセカンダリプーリ21の油室23の圧力制御を行うためのソレノイド圧Psls を出力する。
レギュレータ弁71は、オイルポンプ6の吐出圧を所定のライン圧Pに調圧する弁であり、信号ポート71aに入力されるソレノイド圧Psls に応じてライン圧Pを調圧している。
クラッチモジュレータ弁72は、直結クラッチC1および逆転ブレーキB1への供給圧(PC1,PB1)の元圧となるクラッチモジュレータ圧Pcmを出力する弁である。入力ポート72aにはライン圧Pが入力され、出力ポート72bからクラッチモジュレータ圧Pcmが出力される。また、第1信号ポート72cには出力圧がスプリング荷重と対向するようにフィードバックされている。そのため、クラッチモジュレータ圧Pcmは、スプリング荷重に相当する一定圧に調圧される。
ソレノイドモジュレータ弁73は、クラッチモジュレータ圧Pcmを調圧して、スプリング荷重に相当する一定のソレノイドモジュレータ圧Psmを発生する弁である。このソレノイドモジュレータ圧Psmは、図示しないアップシフト用及びダウンシフト用ソレノイド弁の元圧となると共に、ガレージシフト弁74及び挟圧コントロール弁79にも供給されている。
ガレージシフト弁74は、シフトレバーをN→D又はN→Rへ切り替えた時(ガレージシフト時)に、直結クラッチC1及び逆転ブレーキB1への供給圧を過渡制御できるように油路を切り替えるための切替弁である。図2の中心線より右側が保持状態、左側が過渡状態である。スプリング74aによって一方向に付勢されたスプール74bを備えており、スプリング荷重と同方向にアップシフト用信号圧とダウンシフト用信号圧とが入力される信号ポート74c,74dが形成されている。カウンタポート74hには、スプリング荷重と対向方向にソレノイドモジュレータ圧Psmが入力されている。ガレージシフト時には信号ポート74c,74dに入力される信号圧Pds1 ,Pds2 が共にONになるので、スプール74bはソレノイドモジュレータ圧Psmに抗して下方へ移動し、左側の過渡状態になる。ポート74eに入力されたソレノイド圧(過渡圧)Psls は出力ポート74fから出力され、マニュアル弁75を介して直結クラッチC1又は逆転ブレーキB1へ供給される。そのため、ソレノイド圧Psls によって直結クラッチC1又は逆転ブレーキB1の係合ショックを回避しつつ緩やかに係合を開始することができる。信号圧Pds1 ,Pds2 の少なくとも一方がOFFになると、右側の保持状態になり、ポート74gに入力されたクラッチモジュレータ圧(保持圧)Pcmが出力ポート74fから出力され、マニュアル弁75を介して直結クラッチC1又は逆転ブレーキB1へ供給される。そのため、リニアソレノイド弁SLSの作動如何にかかわらず直結クラッチC1又は逆転ブレーキB1の締結状態を保持できる。アイドルストップ復帰時には、ガレージシフト弁74は過渡位置に保持されるので、リニアソレノイド弁SLSによって制御されたソレノイド圧Psls が逆転ブレーキB1又は直結クラッチC1に供給される。
マニュアル弁75はシフトレバーと機械的に連結された手動操作弁であり、P、R、N、D、S、Bの各レンジに切り換えられ、ガレージシフト弁74から供給される油圧を直結クラッチC1又は逆転ブレーキB1に選択的に導くものである。入力ポート75aにはガレージシフト弁74から油圧が供給され、出力ポート75bは直結クラッチC1と接続され、出力ポート75c,75dは共に逆転ブレーキB1に接続されている。マニュアル弁75は、Rレンジでは直結クラッチC1に油圧を供給するとともに逆転ブレーキB1の油圧をドレーンし、D、S、Bレンジでは逆転ブレーキB1に油圧を供給するとともに直結クラッチC1の油圧をドレーンし、非走行レンジであるP、Nレンジでは直結クラッチC1及び逆転ブレーキB1の油圧を共にドレーンする。
挟圧コントロール弁79は、セカンダリ油室23の油圧を制御するための圧力制御弁であり、スプリング荷重と対向する一端側の信号ポート79aにソレノイドモジュレータ弁73から一定圧Psmが供給されている。入力ポート79bにはライン圧Pが供給されており、出力ポート79cはセカンダリ油室23と接続され、出力圧はポート79dにフィードバックされている。スプリングが収容された他端側の信号ポート79eにはソレノイド圧Psls が供給される。そのため、信号ポート79eに入力されたソレノイド圧Psls を所定の増幅度で増幅した油圧をセカンダリ油室23に供給することができる。セカンダリ油室23の油圧(セカンダリ圧)は油圧センサ108によって検出される。
図3にリニアソレノイド圧Psls に対する、ライン圧P、クラッチモジュレータ圧Pcm、クラッチ制御圧、及びセカンダリ圧の各特性を示す。ライン圧Pはリニアソレノイド圧Psls にほぼ比例した油圧に調圧される。クラッチモジュレータ圧Pcmは、リニアソレノイド圧Psls が所定値に達するまではライン圧Pと同圧であり、所定値を超えると一定圧に制限される。また、逆転ブレーキB1又は直結クラッチC1には過渡状態においてリニアソレノイド圧Psls が直接供給されるので、クラッチ制御圧はリニアソレノイド圧Psls そのものとなる。セカンダリ圧はリニアソレノイド圧Psls に比例し、油圧ライン圧Pより僅かに低い油圧に調圧される。図3に示したように、クラッチ制御圧とセカンダリ圧は共にリニアソレノイド圧Psls によって制御されるが、常にセカンダリ圧がクラッチ制御圧を上回るように設定されている。セカンダリ圧は、油圧センサ108によって検出される。
〔第1実施例〕
ここで、減速中アイドルストップ及びアイドルストップ復帰における本発明の発進クラッチ制御の第1実施例を、図4を参照しながら説明する。この実施例は、見込み制御の例であり、車両停止前でのエンジン再始動時における発進クラッチの定圧制御の目標圧P1及び期間T1を、車両停止後でのエンジン再始動時における発進クラッチの定圧制御の目標圧P0より高く、かつ期間T0より短くした例である。図4では、ブレーキ信号、車速、エンジン回転数とプライマリシーブ回転数、発進クラッチの実クラッチ圧と目標クラッチ圧、及び車体Gの各時間変化を示している。
図4の時刻t1〜t3までの動きは図9と同様であるため、説明を省略する。車両が停止する前の時刻t3(例えば車速が2〜3km/h)でブレーキがOFFすると、アイドルストップ制御が解除され、エンジンが再始動される。このとき、発進クラッチB1の目標圧は定圧制御のための所定の保持圧に一定時間だけ保持されるが、その定圧制御期間(T1)が車両停止後にエンジンを再始動させたときの定圧制御期間(T0)に比べて短く、かつ保持圧P1が車両停止後にエンジンを再始動させたときの定圧制御期間の保持圧P0に比べて高く設定されている。そのため、クランキングが終了してエンジン回転数が急上昇し、発進クラッチのトルク伝達が開始されたとき、クラッチ滑りを速やかに解消し、クラッチジャダの発生を抑制できる。時刻t5で定圧制御期間が終了した後、スイープ制御へ移行し、スイープ終了後、発進クラッチは完全締結される。スイープ制御の時間勾配(スイープゲイン)およびスイープ時間は図9と同様である。
図5は図4に示した減速時アイドルストップ復帰時の発進クラッチ制御の一例のフローチャート図を示す。まず、IDS(アイドルストップ)復帰条件が成立したか否かを判定する(ステップS1)。IDS復帰条件が成立した場合には、エンジンを再始動させ(ステップS2)、車速が所定値(例えば2〜3km/h)以上であるかどうかを判定する(ステップS3)。車速が所定値未満であれば、車両停止後でのエンジン再始動であると判断して、従前と同様に定圧制御の保持圧P0を目標圧として出力し(ステップS4)、定圧制御を所定時間T0だけ継続する(ステップ5)。一方、ステップS3において車速が所定値以上であれば、車両停止前でのエンジン再始動であると判断して、車両停止後でのエンジン再始動時における定圧制御の保持圧P0より高い保持圧P1を目標圧として出力し(ステップS6)、かつこの定圧制御を車両停止後でのエンジン再始動における定圧制御期間T0より短い期間T1が終了するまで継続する(ステップS7)。定圧制御期間T0,T1及び保持圧P0,P1は、クラッチ過渡制御を実行するリニアソレノイド弁SLSへの指令電流によって容易に設定できる。定圧制御期間T0又はT1が終了すれば、スイープ制御へ移行し(ステップS8)、所定のスイープ時間が経過すれば(ステップS9)、発進クラッチを完全締結(ステップ10)して、制御を終了する。
〔第2実施例〕
図6,図7は、車両停止前でのエンジン再始動時に、発進クラッチより下流側にある無段変速機の回転数の異常変動を検出したとき、定圧制御からスイープ制御へ早期に移行させる発進クラッチ制御の第2実施例を示す。無段変速機の回転数センサとしては、発進クラッチB1の出力側の回転数を検出できるセンサであればよく、例えばプライマリプーリ回転数センサ105を使用してもよい。
図6は、ブレーキ信号、車速、エンジン回転数とプライマリシーブ回転数、発進クラッチの実クラッチ圧と目標クラッチ圧、及び車体Gの各時間変化を示している。図4の時刻t1〜t3までの動きは図9と同様であるため、説明を省略する。
車両が停止する前の時刻t3(例えば車速が2〜3km/h)でブレーキがOFFすると、アイドルストップ制御が解除され、エンジンが再始動される。このとき、目標クラッチ圧は定圧制御のための所定の一定圧P2に保持される。この保持圧P2は、車両停止後でのエンジン再始動時における定圧制御の保持圧P0と同じであってもよいし、それより高い油圧(例えば第1実施例の保持圧P1)であってもよい。無段変速機のプライマリプーリ回転数は、エンジンが再始動する時点(t3)より前から継続的に検出してリングバッファ等に記憶しておき、エンジン再始動までのプライマリプーリ回転数の変動幅(振幅)を算出しておくのがよい。定圧制御期間中の時刻t6で、もしプライマリプーリ回転数の変動幅が大きく(クラッチジャダの発生)なると、その異常変動を検出して定圧制御を終了し、スイープ制御へ移行する。つまり、定圧制御を中断してスイープ制御を開始するため、結果的に定圧制御期間T2が車両停止後でのエンジン再始動時における定圧制御期間T0より短くなる。そのため、実クラッチ圧が従来よりも早期に上昇し、クラッチジャダが継続するのを抑制できる。なお、自動変速機の回転数の異常変動を検出しない場合には、通常のエンジン再始動時の係合制御パターンと同様に、所定時間T0の定圧制御とそれに続くスイープ制御とを順次実施すればよい。
図7は図6に示した減速時アイドルストップ復帰時の発進クラッチ制御の一例のフローチャート図を示す。まずIDS(アイドルストップ)復帰条件が成立したか否かを判定し(ステップS1)、IDS復帰条件が成立した場合には、エンジンを再始動させ(ステップS2)、車速が所定値(例えば2〜3km/h)以上であるかどうかを判定する(ステップS3)。車速が所定値未満であれば、車両停止後でのエンジン再始動であると判断して、従前と同様に定圧制御の保持圧P0を目標圧として出力し(ステップS4)、定圧制御を所定時間T0だけ継続する(ステップ5)。ここまでの動作は、図5と同様である。
一方、ステップS3において車速が所定値以上と判定されれば、車両停止前でのエンジン再始動であると判断して、保持圧P2を定圧制御の目標圧として出力する(ステップS11)。この保持圧P2は、上述のように車両停止後でのエンジン再始動時における定圧制御の保持圧P0と同じでもよいし、それより高い油圧でもよい。この保持圧P2は、後述する学習制御により補正可能である。次に、エンジン始動後の入力回転数(プライマリプーリ回転数)の変動幅がエンジン始動前の変動幅より所定値以上大きいかどうかを判定する(ステップS12)。この判定は、クラッチジャダに起因する入力回転数の異常変動を検出するものであり、この判定がYESであれば、定圧制御期間とは関係なく即座にスイープ制御へ移行し(ステップ8)、スイープ制御を所定期間実施した後(ステップS9)、完全締結する(ステップS10)。もし、ステップ12の判定がNOであれば、所定の定圧制御期間T2が終了するまで、定圧制御を実施する(ステップS13)。なお、定圧制御期間T2は、車両停止後でのエンジン再始動時における定圧制御期間T0と同じでも、異なっていてもよいし、後述する学習制御により補正してもよい。
〔第3実施例〕
図8は、図6、図7のエンジン始動後の入力回転数の異常変動を検出する方法に追加して実施可能な学習制御の例を示す。すなわち、図7のステップ12において入力回転数の異常変動を検出した場合に、発進クラッチの解放指令(t2)からエンジンの再始動(t3)までの時間、及び又はエンジンの再始動(t3)からスイープ制御の開始(t6)までの時間を計測し(ステップS14)、その計測時間と無段変速機の油温(油温センサ108により検出可能)とから前回の定圧保持圧P2pre に加算する学習値を算出する(ステップS15)。例えば、発進クラッチの解放指令(t2)からエンジンの再始動(t3)までの時間はクラッチの解放時間に相当し、クラッチ解放時間が長く、油温が高いほどクラッチ残圧が低いので、次回の目標保持圧P2sub を増圧補正すればよい。また、エンジンの再始動(t3)からスイープ制御の開始(t6)までの時間は、クラッチパックのクリアランスと関係するので、この時間と油温に応じて、次回の目標保持圧P2sub を補正することで、次回のクラッチジャダを抑制できる。なお、計測時間と油温だけでなく、路面傾斜やクランキング時間など他の要因を加味して保持圧を学習補正してもよい。
次回の目標保持圧P2sub を計算式により決定する方法のほか、予め時間と油温に関する参照テーブルを設定しておき、計測した時間と現時点の油温とからそのテーブルを用いて次回の目標保持圧P2sub を決定してもよい。
上記のように定圧制御の目標保持圧P2を学習し、その学習保持圧P2を図7に示す制御に適用すれば、発進クラッチの残油状態やクラッチパックのクリアランスによる影響を少なくでき、次回以降の車両停止前でのエンジン再始動時に、クラッチジャダが発生するのを抑制できる。なお、1回のクラッチジャダの発生で目標保持圧P2を一気に上昇させるのではなく、クラッチジャダの発生回数に応じて目標保持圧P2を段階的に上昇させてもよいし、クラッチジャダが発生しなくなれば、目標保持圧P2を段階的に低下させてもよい。また、他の学習補正の方法として、例えば発進クラッチの解放指令からエンジンの再始動、又はエンジンの再始動からスイープ制御の開始までの時間までの時間Δtを計測し、その計測時間Δtと油温Δsとに応じた重み係数wを、前回の定圧制御期間の目標圧P2pre に乗じて次回の目標圧P2sub を算出してもよい。
図8の学習補正を図7の制御に適用する例を示したが、図8の学習補正を図5に示す制御に適用することも可能である。すなわち、ステップS6の定圧保持圧P1を出力した後、入力回転数の異常変動を検出した場合に、発進クラッチの解放指令からエンジン再始動までの時間、又はエンジン再始動からスイープ制御の開始までの時間を計測し、その計測時間と無段変速機の油温とから前回の定圧保持圧P1に加算する学習値を算出してもよい。この場合は、入力回転数の異常変動を検出したとき、即座にスイープ制御に移行するものではないが、定圧保持圧P1を学習補正することで、クラッチジャダの発生を抑制できる。
本発明は前記実施例に限定されるものではない。例えば、自動変速機の一例として無段変速機を使用したが、有段式の自動変速機を使用してもよい。この場合、発進クラッチとは前進1速段を構成するクラッチ又はブレーキのことである。発進クラッチの油圧回路は、図2に示すものに限らない。実施例では、リニアソレノイド弁SLSを使用し、その出力圧Psls を発進クラッチへ直接供給する例を示したが、リニアソレノイド弁に代えてデューティソレノイド弁を使用することも可能である。その場合は、このデューティソレノイド弁の出力圧をクラッチ圧コントロール弁に信号圧として供給し、そのコントロール弁の出力圧を発進クラッチへ供給してもよい。また、共通のリニアソレノイド弁SLSを用いてセカンダリプーリ21の挟圧制御と発進クラッチB1の過渡制御とを実施したが、個別のソレノイド弁を用いて両者の油圧制御を実施してもよい。
1 エンジン
2 無段変速機(自動変速機)
6 オイルポンプ
7 油圧制御装置
11 プライマリプーリ
21 セカンダリプーリ
B1 逆転ブレーキ(発進クラッチ)
100 電子制御装置(クラッチ制御装置,エンジン制御装置)
SLS リニアソレノイド弁

Claims (3)

  1. エンジンと、
    前記エンジンによって駆動されるオイルポンプと、
    エンジン動力を変速して駆動輪に伝達する自動変速機であって、内部に発進クラッチを有する自動変速機と、
    前記オイルポンプが発生する油圧を前記発進クラッチに供給し、所定の定圧制御期間とそれに続くスイープ制御期間とを有する係合制御パターンにしたがって前記発進クラッチの係合制御を実施するクラッチ制御装置と、
    車両の減速走行中に前記エンジンを自動停止可能かつ再始動可能に制御するエンジン制御装置と、を備えたアイドルストップ車において、
    減速走行中に前記エンジンが自動停止し、前記発進クラッチが解放された後、車両停止前に前記エンジンを再始動させたときの前記係合制御パターンの定圧制御期間を、車両停止後に前記エンジンを再始動させたときの前記係合制御パターンの定圧制御期間よりも短く設定し、かつ車両停止前に前記エンジンを再始動させたときの前記係合制御パターンの定圧制御期間の目標圧を、車両停止後に前記エンジンを再始動させたときの前記係合制御パターンの定圧制御期間の目標圧より高く設定したことを特徴とするアイドルストップ車の制御装置。
  2. エンジンと、
    前記エンジンによって駆動されるオイルポンプと、
    エンジン動力を変速して駆動輪に伝達する自動変速機であって、内部に発進クラッチを有する自動変速機と、
    前記オイルポンプが発生する油圧を前記発進クラッチに供給し、所定の定圧制御期間とそれに続くスイープ制御期間とを有する係合制御パターンにしたがって前記発進クラッチの係合制御を実施するクラッチ制御装置と、
    車両の減速走行中に前記エンジンを自動停止可能かつ再始動可能に制御するエンジン制御装置と、を備えたアイドルストップ車において、
    前記自動変速機の回転数の異常変動を検出する異常変動検出手段をさらに備え、
    減速走行中に前記エンジンが自動停止し、前記発進クラッチが解放された後、車両停止前に前記エンジンを再始動させた場合であって、前記係合制御パターンの定圧制御期間中に前記異常変動検出手段が前記自動変速機の回転数の異常変動を検出した時、前記クラッチ制御装置は前記異常変動の検出時点から前記スイープ制御を開始することを特徴とするアイドルストップ車の制御装置。
  3. 前記クラッチ制御装置は、前記異常変動検出手段が前記エンジンの再始動後に自動変速機の回転数の異常変動を検出した場合に、前記発進クラッチの解放指令から前記エンジンの再始動までの時間、及び又は前記エンジンの再始動から前記スイープ制御の開始までの時間を計測し、少なくとも当該計測した時間と油温とを用いて、次回のエンジン再始動時における定圧制御期間の目標圧を学習補正することを特徴とする、請求項2に記載のアイドルストップ車の制御装置。
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