JP2014024783A - ナフタルイミド化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機EL素子用材料として、特に耐久性が高く、高発光効率の有機EL素子を実現するバイポーラー性を有する新規なナフタルイミド化合物を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表されるナフタルイミド化合物。
Figure 2014024783

(式中、Rは水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換基を有してもよい複素環基あるいは芳香族炭化水素基を表し、nは1または2を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、耐久性が高く、高効率の有機EL素子を実現するナフタルイミド化合物に関し、また、該化合物を用いた有機EL素子に関する。
有機薄膜EL素子は、自己発光型であるために視野角依存性に富む、視認性が高い、さらには薄膜型の完全固体素子であるために省スペース化が図れる等の観点から注目され、近年実用化研究が展開されている。しかしながら、現状では、エネルギー変換効率や発光量子効率のさらなる向上、経時での有機薄膜の安定性向上(素子耐久性の向上)など解決すべき問題が多数ある。
これまで、有機薄膜EL素子は低分子を利用したものと高分子を利用したものが報告されている。低分子系においては、種々の積層構造の採用により高効率化の実現が、またドーピング法をうまくコントロールすることにより耐久性の向上が報告されている。ただし、低分子集合体の場合、長時間における経時での膜状態の変化が生じることが報告されており膜の安定性に関して、本質的な問題点を抱えている。さらなる高効率化も依然重要な課題であることに変わりはない。
一方、高分子系材料においては、これまで、主にPPV(poly-p-phenylenevinylene)系列やpoly-thiophene等について精力的に検討が行われてきた。しかしながらこれらの材料系は純度を上げることが困難であることや、本質的に蛍光量子収率が低いことが挙げられ、高性能なEL素子は得られていないのが現状である。高分子材料の場合、本質的にガラス状態が安定であることを考慮した場合、高蛍光量子効率を付与することができれば、優れたEL素子の構築が可能となる。このように低分子を利用したものと高分子を利用したものには、それぞれ一長一短があることが知られている。
低分子材料を用いたEL素子の層構成としては、機能分離型すなわち発光層が電子輸送層とホール輸送層でサンドイッチされた多層構成が主流になっており、高い効率を示すことが報告されている。発光層に用いる発光材料として数多くの化合物が提案されている。その一例として電子輸送性のナフタルイミド系化合物が開示されている(特許文献1)が、一般的に発光層に用いる発光材料としては、界面で生じる相互作用を抑えるために電子輸送性およびホール輸送性の両方を有するバイポーラー性を有することが好ましいとされている。またバイポーラー性を有する下記ナフタルイミド系化合物(NP−VK)を用いた単層構成の発光デバイスも報告されている(非特許文献1)。
Figure 2014024783
上記ナフタルイミド系化合物において、イミド部に結合するカルバゾール環はカルボニル基の立体障害によりねじれるため、ナフタルイミド部位との電子的な相互作用は無いことが示されている。
最近では三重項励起子を利用した高効率化の検討も精力的になされており、発光効率が大きく改善されることが明らかになった。これにともない発光層に用いられるホスト材料の報告も多くなってきている。これらのなかで代表的なホスト材料としてバイポーラー性を有する、4,4‘−ビス(カルバゾリル−9)ビフェニル(CBP)が挙げられるが、結晶化にともなう耐久性低下が問題とされている。
本発明は上記従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、有機EL素子用材料として、特に耐久性が高く、高発光効率の有機EL素子を実現するバイポーラー性を有する新規なナフタルイミド化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、ナフタルイミド化合物を有機EL素子として用いることにより、効率の向上と耐久性を改善することができることを見出した。すなわち、本発明は以下からなる。
[1]「下記一般式(I)で表されるナフタルイミド化合物;
Figure 2014024783
(式中、Rは水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換基を有してもよい複素環基あるいは芳香族炭化水素基を表し、

Figure 2014024783

を表す。式中Ar,Ar,Ar,Ar,ArおよびArは置換基を有してもよい複素環基あるいは芳香族炭化水素基を、RおよびRは水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基あるいは置換基を有してもよい複素環基あるいは芳香族炭化水素基を表す。nは1または2を表す)」。
以下の詳細かつ具体的な説明から理解されるように、本発明における新規ナフタルイミド化合物においては、ナフタルイミドの4位に結合するカルバゾリル基やジアリール置換アミノ基、4′−ジアリールアミノ置換フエニル基との分子内電荷移動の効果により有機EL素子用材料として、特に耐久性が高く、高発光効率の有機EL素子を実現することができる。
以下に本発明を更に詳細に説明する。
本発明の一般式(I)で示されるナフタルイミド系化合物の製造例を下式1)〜4)に示す。
Figure 2014024783
Figure 2014024783
Figure 2014024783
Figure 2014024783
上記式中Xはハロゲン原子を表す。
上記製造例1)および2)におけるナフタルイミド系化合物は、パラジウム触媒を用いるアリールホウ素化合物と有機ハロゲン化物のクロスカップリング反応として知られているSuzuki-Miyaura反応により得られる。
上記したアリールボロン酸の代わりに、熱的に安定で空気中で容易に扱えるビス(ピナコラト)ジボロンを用いハロゲン化アリールから合成されるアリールボロン酸エステルを用いても良い。
パラジウム触媒としてはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II), 酢酸パラジウム(II)および塩化パラジウム(II)など種々の触媒を用いることができるが、最も汎用的にはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)が用いられる。
本反応には塩基が必ず必要であるが、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの比較的弱い塩基が良好な結果を与える。立体障害等の影響を受ける場合には、水酸化バリウムやリン酸カリウムなどの強塩基が有効である。その他苛性ソーダ、苛性カリ、金属アルコシド等、例えばカリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、リチウムt−ブトキシド、カリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムメトキシドなども用いることができる。
トリエチルアミン等の有機塩基も用いることができる。
反応溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル等のアルコールおよびエーテル系、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル系の他ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることができる。
反応は窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
反応温度は、通常20〜150℃、好ましくは60〜130℃、特に好ましくは80℃〜120℃である。
上記製造例3)および4)におけるナフタルイミド系化合物は、パラジウム触媒、第3級ホスフィン類及び塩基の存在下で、ハロゲン化合物とアミン化合物とを反応させることにより製造される。この反応は一般にBuchwald-Hartwig反応(MERCK INDEX 13th.edition)と呼ばれる。
パラジウム触媒としては、均一系のパラジウム触媒が好ましく、具体的には、例えばヘキサクロロパラジウム(IV)酸ナトリウム或いはその水和物、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸カリウム等の4価のパラジウム化合物、例えば塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウムアセチルアセテート(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラアンミンパラジウム(II)、ジクロロ(シクロオクター1,5−ジエン)パラジウム(II)、パラジウムトリフルオロアセテート(II)等の2価のパラジウム化合物、例えばトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウムクロロホルム錯体(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の0価のパラジウム化合物等が挙げられる。
パラジウム触媒の使用量は、ハロゲン化合物1モルに対しパラジウム換算で、通常0.000001〜20モル%、好ましくは0.0001〜10モル%である。
第3級ホスフィン類としては例えば、トリエチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ-n-ブチルホスフィン、トリ-iso-ブチルホスフィン、トリ-sec-ブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、N−フェニルピロール−2−イル−ジシクロペンチルホスフィン、N−フェニルピロール−2−イル−ジシクロヘキシルホスフィン、N−フェニルピロール−2−イル−ジシクロヘプチルホスフィン、N−フェニルピロール−2−イル−ジイソプロピルホスフィン、N−フェニルピロール−2−イル−ジブチルホスフィン、N−フェニルピロール−2−イル−ジイソブチルホスフィン、N−フェニルピロール−2−イル−ジ−sec−ブチルホスフィン、N−フェニルピロール−2−イル−ジ−tert−ブチルホスフィン、N−フェニルインドール−2−イル−ジシクロペンチルホスフィンN−フェニルインドール−2−イル−ジシクロヘキシルホスフィン、N−フェニルインドール−2−イル−ジシクロヘプチルホスフィン、N−フェニルインドール−2−イル−ジイソプロピルホスフィン、N−フェニルインドール−2−イル−ジブチルホスフィン、N−フェニルインドール−2−イル−ジイソブチルホスフィン、N−フェニルインドール−2−イル−ジ−sec−ブチルホスフィン、N−フェニルインドール−2−イル−ジ−tert−ブチルホスフィン等が挙げられる。
第三級ホスフィン類の使用量は、パラジウム触媒1モルに対して、通常0.1〜10モル倍、好ましくは1.0〜5.0モル倍である。
塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、例えばリン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のアルカリ金属リン酸塩、例えばナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等の金属アルコキシド等が挙げられる。かかる塩基の使用量は、ハロゲン化合物1モルに対して、通常2〜50モル、好ましくは2〜10モルである。
溶媒としては、反応に影響を及ぼさなければ特に限定されないが、具体的には例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホシキド等の非プロトン性極性溶媒ジエチルエーテル、テトラハイドロフラン等のエーテル系溶媒等が挙げられる。
反応は窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
反応温度は、通常20〜150℃、好ましくは60〜130℃、特に好ましくは80℃
〜120℃である。
このようにして得られる本発明の一般式(I)で示されるナフタルイミド化合物の具体例を以下に示す。
前記一般式(I)においてR,RおよびRが置換または無置換のアルキル基である場合、以下のものを挙げることができる。
炭素数が1〜25の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基であり、これらのアルキル基は更にフッ素原子、シアノ基、フェニル基又はハロゲン原子もしくは直鎖又は分岐鎖のアルキル基で置換されたフェニル基を含有してもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−シアノエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
およびRが置換または無置換のアルコキシ基である場合は、上記置換または無置換アルキル基の結合位に酸素原子を挿入してアルコキシ基としたものが具体例として挙げられる。
前記一般式(I)においてR,Ar,Ar,Ar,Ar,ArおよびArが置換基を有してもよい複素環基あるいは芳香族炭化水素基を表す場合、以下のものを挙げることができる。
フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ピレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニリデンフェニル基、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテニリデンフェニル基、フリル基、チエニル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基、ピリジル基、ピロリジル基、オキサゾリル基等が挙げられ、これらは上述した置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基を置換基として有していてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これら実施例によって制限されるものではない。
<実施例1>
4−ブロモ―N−ブチル―1,8−ナフタルイミド0.33g、4,4‘−ジメトキシジフェニルアミン0.25g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム27.3mg、N−フェニル―2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)インドール23.2mgおよびナトリウム―tert-ブトキシド0.15gをトルエン4mlに採り、窒素気流下2時間加熱還流した。室温まで放冷したのち内容物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗、乾燥し溶媒を留去した。粗製物をシリカゲルクロマト処理(溶離液;トルエン/酢酸エチル=19/1)した後、トルエン/ヘキサンの混合溶媒から再結晶して赤色プリズム晶の下式で表される本発明のナフタルイミド化合物0.20gを得た。
融点 136.0〜138.0℃
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)cm−1
νC=O 1694、1656 νCOC 1237、1036
元素分析(%)実測値/計算値
C 75.00/74.98 H 5.95/5.87 N 5.81/5.83
Figure 2014024783
<実施例2>
4−ブロモ−N−ブチル−1,8−ナフタルイミド0.33g、3,6−ビス(3−メトキフェニル)カルバゾール0.38gおよびナトリウム−tert−ブトキシド0.19gトルエン20mlに採り30分窒素バブルを行った後、トリ(tert−ブチルホスフィン)の1Mトルエン溶液0.2mlついでビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム27mgを加え、6時間加熱還流した。室温まで放冷したのち内容物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗、乾燥し溶媒を留去した。粗製物をシリカゲルクロマト処理(溶離液;5%酢酸エチル トルエン溶液)して黄色粉末の下式で表される本発明のナフタルイミド化合物0.43gを得た。
融点 131.0〜132.0℃
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)cm−1
νC=O 1701、1656 νCOC 1231、1053
元素分析(%)実測値/計算値
C 80.05/79.98 H 5.46/5.43 N 4.41/4.44
Figure 2014024783
<実施例3>
4−ブロモ−N−ブチル−1,8−ナフタルイミド0.75g、4−ジフェニルアミノフェニルボロン酸0.69g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム73mgを脱気したトルエン8mlおよびエタノール2mlに溶かし、これに脱気した2M炭酸ナトリウム水溶液5.2mlを加え窒素気流下3時間加熱還流した。室温まで放冷したのち内容物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗、乾燥し溶媒を留去した。粗製物をシリカゲルクロマト処理(溶離液;トルエン)して黄色針状晶の下式で表される本発明のナフタルイミド化合物0.78gを得た。
融点 185.0℃
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)cm−1
νC=O 1698、1656
元素分析(%)実測値/計算値
C 81.58/82.23 H 5.67/5.68 N 5.54/5.64
Figure 2014024783
<実施例4>
3,6−ジブロモ−N−フェニルカルバゾール0.38g、N−ブチル−1,8−ナフタルイミド−4−ボロン酸ネオペンチルグリコールエステル 0.73gおよびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム34mgを脱気したトルエン5mlおよびエタノール1mlに溶かし、これに脱気した21.2%炭酸ナトリウム水溶液1.98gを加え、窒素気流下8時間加熱還流した。室温まで放冷したのち内容物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗、乾燥し溶媒を留去した。粗製物をシリカゲルクロマト処理(溶離液;7%酢酸エチル トルエン溶液)して黄色粉末の下式で表される本発明のナフタルイミド化合物0.66gを得た。
融点 220℃以上
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)cm−1
νC=O 1697、1658
元素分析(%)実測値/計算値
C 80.54/80.52 H 5.22/5.27 N 5.50/5.63
Figure 2014024783
特開2001−223081号公報
Weihong Zhu et.al.Synthetic Metals 119(2001)547-548

Claims (1)

  1. 下記一般式(I)で表されるナフタルイミド化合物。
    Figure 2014024783
    (式中、Rは水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換基を有してもよい複素環基あるいは芳香族炭化水素基を表し、

    Figure 2014024783

    を表す。式中Ar,Ar,Ar,Ar,ArおよびArは置換基を有してもよい複素環基あるいは芳香族炭化水素基を、RおよびRは水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基あるいは置換基を有してもよい複素環基あるいは芳香族炭化水素基を表す。nは1または2を表す)
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