JP2014019623A - 懸濁型セメント急結剤及びそれを用いた急結セメントコンクリート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(1)Al2O3換算で10〜12質量%の硫酸アルミニウムを含有してなり、硫酸アルミニウムの最大粒子径が10μm以下であることを特徴とする懸濁型セメント急結剤、(2)ポルトランドセメント類100質量部に対して、(1)の懸濁型セメント急結剤を5〜15質量部を含有してなる急結セメントコンクリート、である。
【選択図】なし
Description
液体急結剤は、粉じん発生量を抑制できる点、人体に対するアルカリ刺激性が少ない点で優れているが、吹付け直後からの凝結速度が一般の急結剤に比べ遅く、湧水などがある場合や厚付けした場合、はく落する場合があった。
本発明で云うセメントコンクリートとは、セメントペースト(セメントミルク)、モルタル、及びコンクリートを総称するものである。
なお、本発明でいう部や%は特に規定のない限り質量基準で示す。
懸濁型にする方法は、特に限定するものではないが、懸濁液(スラリー)のAl2O3量が10〜12%となる様に、所定量の水に攪拌しながら粉末硫酸アルミニウムを投入し、未溶解粒子の最大粒径が10μm以下になるまで攪拌混合する。また、市販の水溶液硫酸アルミニウムに粉末硫酸アルミニウムをAl2O3換算で10から12%になる様に添加混合することもできる。
粉末硫酸アルミニウムの水への最大溶解度は、Al2O3量で10.1%(無水硫酸アルミニウムで34%)程度であるが、温度を高くして溶解すると、常温(0〜30℃)に戻ると結晶が生成して完全な水溶液が得にくいため、通常、一般に市販されている水道用硫酸アルミニウムの液体型では常温(0〜30℃)でも水溶液になる様にAl2O3量は8.0〜8.2%である。
攪拌混合するミキサは、高速回転ほど早く本願発明の懸濁型セメント急結剤を製造することができるので好ましい。
懸濁型セメント急結剤中のAl2O3含有量が10%未満では、十分な凝結力を得ることが難しい場合があり、12%を超えると粘性が高くなり作業性が悪くなる可能性がある。
硫酸アルミニウムの未溶解粒子の粒子径は、10μm以下であり、好ましくは5μm以下である。10μmを越えると急結性が弱く、材料分離が生じ易い。また、5μmよりも小さくてもそれほど急結性が変わらず粉砕動力が多く掛かり経済的でないが、長期的な貯蔵安定性を得るには3μmよりも小さくするとよい。
混ぜたセメントコンクリートに急結剤を合流させて吹き付ける湿式吹付け工法や、ドライ
な状態でコンクリートを圧送し、ノズル手前で液体急結剤を合流させて吹き付ける乾式吹
付け工法が可能である。
特に、地下やトンネル背面等で水が存在する場所やひび割れなどへの逸流を防止する場所へ施工する場合、ベントナイトや石粉等の微粉末質や水中不分離混和剤の併用が水中不分離抵抗性向上の面で有効である。
一方、本願発明の懸濁型セメント急結剤は数秒から数十秒の凝結時間があるため、気泡を壊すことなく急結性のエアモルタルを製造することができ、施工も充分に可能であり、凝結後の急結性状に優れている。このことにより、従来、エアモルタルの欠点とされていた、ひび割れなどへの逸流や水が存在する場所に打設したときの材料分離を防止することができる。
水の使用量は、特に限定されるものではないが、通常は、セメント100部に対して、40〜150部である。40部未満では流動性が悪くなる場合があり、150部を超えると強度発現が遅れる場合がある。
また、合流混合後の管中にスパイラル状のミキサをセットしてさらに混合する方法も可能である。
懸濁型セメント急結剤とセメントコンクリートとの混合が充分であれば、付着性や可塑性が出て施工性が良くなり、混合が不充分だと、部分的に流動する場合があり、完全に施工することが困難になる場合がある。
セメント100部と水100部の配合割合で、ミキサ(スリーワンモーターにタービン型の攪拌羽を取り付けたもの)を用い混練してセメントミルクを製造した。
一方、硫酸アルミニウムと水を表1に示す割合になるように配合し所定の粒度になる様に粉砕(粉砕機は回転数2万回転のホモジナイザー)して懸濁型セメント急結剤を製造した。
製造したセメントミルクと懸濁型セメント急結剤とを別々に混合管に送給し、無駆動ラインミキサで、セメント100部に対して、懸濁型セメント急結剤が10部になるように合流混合しながら連続的に急結性セメントコンクリート(セメントミルク)を調製した。
調製した急結性セメントコンクリートのフロー値の測定と、水中に流し込んだ時の材料分離の確認を行った。結果を表1に併記する。環境温度は20℃である。
なお、比較のため、懸濁型セメント急結剤を使用しないで同様の実験を行った。結果を表1に併記する。
セメント:普通ポルトランドセメント、市販品
水:水道水
硫酸アルミニウム:粉末、試薬、平均粒子径490μm
粒子径:未溶解粒子について走査型電子顕微鏡(SEM)の画像から計測
フロー値:内径80mm、高さ80mmのフローコーン、に急結性セメントコンクリートを入れコーンを引き抜いた後の広がりを1分後に測定(JHS313に準拠)
材料分離:水中に流し込んだときの懸濁具合を目視観察(○:濁りなし、△:少し濁りが確認される、×:濁りが確認される)
実験No.1-2の懸濁型セメント急結剤をセメント100部に対して、表2に示す量となるように合流混合したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
Claims (2)
- Al2O3換算で10〜12質量%の硫酸アルミニウムを含有してなり、硫酸アルミニウムの最大粒子径が10μm以下であることを特徴とする懸濁型セメント急結剤。
- ポルトランドセメント類100質量部に対して、請求項1に記載の懸濁型セメント急結剤を5〜15質量部を含有してなる急結セメントコンクリート。
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