JP2014017111A - アルカリ金属−硫黄系二次電池及び二次電池用電解液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】単体硫黄、金属硫化物、金属多硫化物、及び有機硫黄化合物からなる群から選択される少なくとも一つを含む硫黄系電極活物質を有する正極と、下記式【化1】
(ここで、R1は、炭素数1〜9のアルキル基等、R2は、アルキル基、エチル基等)、で表されるグライムと、アルカリ金属塩と、を含み、グライムとアルカリ金属塩との少なくとも一部が錯体を形成している電解液と、正極の対極である負極と、を備え、グライムに対するアルカリ金属塩の混合比が、モル換算で0.80以上であるアルカリ金属−硫黄系二次電池である。
【選択図】図1
Description
ところで、現在商用化されているNa-S電池は、電解質として固体イオン伝導体であるβアルミナを用いており、作動温度が300℃程度の高温であり、この作動温度においては負極であるNa金属、正極である硫黄(S)ともに溶融状態となっている。このような溶融Na金属を用いる場合、発火などの恐れがあり、電池の安全性の確保が重要な課題となる。そこで、室温付近でNa-S電池を作動させることができれば、Na金属電極が固体状態となるため、溶融金属Naと比較して反応性が低く、電池の安全性を改善することができる。
又、上記非特許文献3記載の技術の場合、固体高分子電解質が室温ではイオン伝導率が低いため、90℃付近まで電池を加熱しないと電池を作動させることが困難である。
従って、本発明の目的は、クーロン効率を向上させると共に、低温で作動可能であり、負極がNa金属であっても溶融させずに安全性の高いアルカリ金属−硫黄系二次電池及び二次電池用電解液を提供することにある。
アルカリ金属塩と、を含み、前記グライムと前記アルカリ金属塩との少なくとも一部が錯体を形成している。
なお、本発明の二次電池用電解液は、上述のアルカリ金属−硫黄系二次電池に限らず、正極と負極を有して複数回の充放電が可能なあらゆる二次電池に適用可能である。
アルカリ金属−硫黄系二次電池は、従来公知の方法で製造することができる。
正極は、単体硫黄、金属硫化物、金属多硫化物、及び有機硫黄化合物からなる群から選択される少なくとも一つを含む硫黄系電極活物質を有する。硫黄系金属硫化物としては、リチウム多硫化物;Li2Sx(1≦x≦8)やNa2Sx(1≦x≦8)が挙げられ、硫黄系金属多硫化物としては、MSx (M=Ni, Co,Cu,Fe、1≦x≦2) が挙げられる。又、有機硫黄化合物としては、有機ジスルフィド化合物、カーボンスルフィド化合物が挙げられる。
上記した正極は、上記した硫黄系電極活物質と結着剤と導電剤とを含んでもよい。そして、これら電極材料のスラリー(ペースト)を、導電性の担体(集電体)に塗布して乾燥することにより、電極材料を担体に担持させて正極を製造することができる。集電体としては、アルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス鋼などの導電性の金属を、箔、メッシュ、エキスパンドグリッド(エキスパンドメタル)、パンチドメタルなどに形成したものが挙げられる。また、導電性を有する樹脂または導電性フィラーを含有させた樹脂を集電体として使用してもよい。集電体の厚さは、例えば5〜30μmであるが、この範囲に限定されない。
電極材料の厚さ(塗布層の片面の厚さ)は、好ましくは、20〜500μmであり、より好ましくは20〜300μmであり、さらに好ましくは20〜150μmである。
導電剤は、導電性を向上させるために配合される添加物であり、黒鉛、ケッチェンブラック、逆オパール炭素、アセチレンブラックなどのカーボン粉末や、気相成長炭素繊維(VGCF)やカーボンナノチューブ(CNT)などの種々の炭素繊維などが挙げられる。又、電極材料が支持塩(下記電解液に含まれる成分)を含んでもよい。
負極は、アルカリ金属、アルカリ金属を含む合金、遷移金属酸化物、又は炭素を有するものとすることができる。負極に含まれる負極活物質は、アルカリ金属イオンを吸蔵脱離するよう作用する。負極活物質としては、リチウム、ナトリウム、炭素、ケイ素、アルミニウム、スズ、アンチモンおよびマグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。より具体的には、TiO2、チタン酸リチウム、リチウム金属、ナトリウム金属、リチウムアルミ合金、ナトリウムアルミ合金、リチウムスズ合金、ナトリウムスズ合金、リチウムケイ素合金、ナトリウムケイ素合金、リチウムアンチモン合金、ナトリウムアンチモン合金等の金属材料、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、活性炭、カーボンファイバー、コークス、ソフトカーボン、ハードカーボンなどの結晶性炭素材や非結晶性炭素材等の炭素材料といった従来公知の負極材料を用いることができる。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。
好ましくは、負極は金属Naからなる。後述するように、本発明においては、アルカリ金属−硫黄系二次電池を従来よりも低温(例えば、室温近傍)で作動可能であるので、負極がNa金属であっても溶融させずに使用することができ、加熱のためのエネルギーが不要であると共に、安全性が高い。
不織布としては、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン(登録商標)、ポリエステル;PP、PEなどのポリオレフィン;ポリイミド、アラミドなど従来公知のものを、単独または混合して用いる。不織布セパレータの空孔率は50〜90%であることが好ましい。さらに、不織布セパレータの厚さは、好ましくは5〜200μmであり、特に好ましくは10〜100μmである。厚さが5μm未満では電解質の保持性が悪化し、200μmを超える場合には抵抗が増大する場合がある。
電解液は、以下のグライムとアルカリ金属塩とを含み、上記グライムとアルカリ金属塩の少なくとも一部が錯体を形成している。以下のグライムは、一種が単独で使用されても、二種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
グライムは、下記式
又、上記した化学式においてR3、R4がメチル基のものを3−メチルテトラグライム(3MeG4)と略記し、R5、R6がメチル基のものを6−メチルテトラグライム(6MeG4)と略記する。
Mとしては特に制限はなく、通常の電池に支持塩や活物質として使用されているアルカリ金属がいずれも使用可能である。具体的には、Li、Na、K、RbおよびCsが挙げられる。より好ましくはLi、NaおよびKであり、最も好ましくはNaである。
Xとしては、特に制限はないが、Cl、Br、I、BF4、PF6、CF3SO3、ClO4、CF3CO2、AsF6、SbF6、AlCl4、N(CF3SO2)2、N(CF3CF2SO2)2、PF3(C2F5)3、N(FSO2)2、N(FSO2)(CF3SO2)、N(CF3CF2SO2)2、N(C2F4S2O4)、N(C3F6S2O4)、N(CN)2、N(CF3SO2)(CF3CO)、R1FBF3(但し、R1F=n-CmF2m+1、m=1〜4の自然数、nはノルマル)およびR2BF3(但し、R2=n−CpH2p+1、p=1〜5の自然数、nはノルマル)からなる群から選ばれる少なくとも一種であると好ましい。グライムに対する溶解性や、錯構造の形成しやすさの点から、より好ましくはN(CF3SO2)2、N(FSO2)2、およびN(CF3CF2SO2)2である。
図2〜図4は、それぞれグライムとして3MeG4、6MeG4及びG5を用い、アルカリ金属塩として後述するNaTFSA(NaN(CF3SO2)2)を用いた電解液の熱重量測定の結果(温度上昇と重量減少の関係)のグラフを示す。なお、各グライムとNaTFSAの混合比(モル換算)を変えた電解液を調製し、電解液の温度を室温から550oCまで、10 oC min-1の昇温速度で上昇させて熱重量測定を行った。又、測定装置として、示唆熱熱重量同時測定装置(セイコーインスツル社製のTG/DTA 6200)を用いた。
なお、例えば図2のNaTFSA/3MeG4=1は、グライムに対するNaTFSAの混合比(モル換算)が1であることを示す。又、図2の3MeG4の示す曲線は、3MeG4のみからなる電解液の熱重量測定を示す。図3及び図4も同様である。
(1)100〜200oCまでの重量減少は、錯形成していないグライムの蒸発に由来する
(2)200〜400oCまでの重量減少は、錯形成しているグライムの蒸発に由来する
(3)400oC以上での重量減少は、アルカリ金属塩(NaTFSA)の熱分解に由来する
従って、上記 (2)のプロセスが熱重量測定の結果から確認できる場合、グライムが錯形成していると考えることができる。
グライムに対するNaTFSAの混合比(モル換算)が0.80以上の系では、すべてのグライムが錯体を形成しているため、(1)のプロセスがほとんどなく、200oC以上から重量減少が始まることがわかる。そして、後述するように、上記混合比(モル換算)が0.80以上であると、上記非特許文献1、2記載の技術に比べてアルカリ金属塩(Na塩)の濃度が高くなり、充電時の副反応が抑制されてクーロン効率を向上させることができる。
一方、グライムに対するNaTFSAの混合比(モル換算)が0.80未満であると、電解液の熱的安定性が低下すると共に、アルカリ金属塩(Na塩)の濃度が低くなり、クーロン効率も低下する。なお、後述するように、3MeG4、6MeG4、G4Et、G5及びG5Et以外のグライム(例えばテトラグライム)の場合、アルカリ金属塩(ナトリウムイオン)の溶解度が低く、上記混合比(モル換算)が0.80以上にならない。
なお、グライム中のアルカリ金属塩の飽和濃度は、30℃のグライムにアルカリ金属塩を溶解させたとき、アルカリ金属塩の固形分が目視で確認できたときの濃度とする。
上記グライムを用いたときの上記混合比の上限は、アルカリ金属塩をNa塩とした場合、通常、モル換算で1.25である。
本発明者が検討したところ、アルカリ金属−硫黄系二次電池の電解液として、上記グライムとアルカリ金属塩にさらに上記溶媒を加えると、電解液のイオン伝導率が上昇し、より低温(室温、又は室温に近い30℃程度)であってもクーロン効率を向上させることができる。この理由は明確ではないが、電解液が上記溶媒を含有すると、イオン伝導率が増大して電流が流れやすくなり、また電解液の粘性率が低下して硫黄-炭素複合電極内の細孔内部まで電解液が浸透しやすくなり、電極と電解液が電気化学反応できる界面が増大するためと考えられる。なお、溶媒が不燃性であると、得られた電池の安全性が向上するので好ましい。
電池反応過程で生成する多硫化アルカリ金属:M2Sn(Mはアルカリ金属カチオン、1≦n≦8)は、親水性溶媒に溶解しやすく、硫黄正極の場合、M2Snが溶解することは充電時の副反応が生じることを示し、充放電の繰り返しによりクーロン効率および放電容量が低下することとなる。そこで、溶媒が疎水性であると、充放電時に生成するM2Snの溶出を抑制するため、高いクーロン効率を維持する。
又、錯体と溶媒の混合性は、錯体と溶媒とを体積比1:1で混合し、相分離の有無を目視で判断する。溶媒がこの錯体と混合しないと、電解液として適さない。
溶媒が多硫化アルカリ金属(M2Sn)と化学反応するか否かは、電池の充電に要した電気量が閾値以上か否かで判定した。例えば、アルカリ金属がLiの場合、充放電時に生成するLi2Snが溶媒と化学反応しなければ、Li2Snが充放電反応に寄与する。このため、電池の放電時に2.2 Vおよび 2.0 V付近で反応が観測され、充電時に2.4 V 付近で反応が観測される。一方、溶媒がLi2Snと反応すると、充電反応が生じない。従って、Liの場合充電に要した電気量が200 mA h g-1 以上であれば化学反応しないとみなした。アルカリ金属がNa,Kの場合も充電に要した電気量が200 mA h g-1 以上であれば化学反応しないとみなした。
なお、溶媒が多硫化アルカリ金属M2Snと化学反応すると、電池の副反応が生じてクーロン効率の低下、放電容量維持率(電池寿命)の低下をもたらし、不適である。例えば、後述する実験で示すように、カーボネート系溶媒は、Li2Snと化学反応することが知られている (文献J. Phys. Chem. C, 115, 25132, (2011))。
なお、本発明に用いる溶媒が上記した各特性を有することが必要な理由については後述する(表2及びその説明を参照)。
又、本発明の溶媒として用いられるイオン液体は、融点100℃以下のオニウム塩である。イオン液体としては、例えば、以下の式4
又、本発明の溶媒として用いられる炭化水素としては、トルエンが挙げられる。
(溶媒)/(アルカリ金属塩)で表される比がモル換算で0.50未満であると、溶媒が少なくて上述した効果が生じず、入出力密度が向上しない場合がある。一方、上記比が5.0を超えても溶媒による効果が飽和し、コストアップとなる。
<電解液の調製>
グライムとして、それぞれ3MeG4、6MeG4、G5、G4Et、G4(テトラグライム)(以上、日本乳化剤社製)を用いた。又、G5Etを以下のように合成した。
G5Etの合成:三口フラスコにトリエチレングリコールモノメチルエーテル20.53 g (125 mmol)、トリエチルアミン15.81 g (156 mmol)、THF 50 mL を加えた。その後、塩化パラトルエンスルホニル19.07 g (100 mmol) をTHF 80 mLに溶解させ、その溶液を滴下漏斗を用いてゆっくり滴下し、一晩撹拌させた。その後、吸引ろ過により析出物を取り除き、THFを取り除くため、溶液を濃縮した。得た溶液にクロロホルム300 mL加え、分液漏斗を用いて、純水100 mLで5回洗浄した。洗浄で得た有機相をMgSO4で乾燥させ、ろ過した後、ろ液を濃縮した。その後、カラムクロマトグラフィーにより精製、濃縮を行い、[2-[2-(2-メトキシエトキシ) エトキシ] エトキシ] p-トルエンスルホナートを得た。
次に、脱水ヘキサンで洗浄済みのNaH 1.65 g (68.8 mmol)を三口フラスコに量りとり、dry-DMF 50 mLを加え撹拌した。その後、滴下ロートにジエチレングリコールモノメチルエーテル9.2 mL (68.8 mmol)、dry-DMF 50 mL入れ、三口フラスコにゆっくり滴下した。少し撹拌させた後、[2-[2-(2-メトキシエトキシ) エトキシ] エトキシ] p-トルエンスルホナート14.8 mL (55.0 mmol)、dry-DMF 50 mL入れ、三口フラスコにゆっくり滴下し、一晩撹拌させた。反応は全て室温で行った。その後、水を適量加え、反応を停止させた。DMFをできるだけ取り除いた後、得られた溶液に純水100 mL を加え、分液漏斗を用いて、Chloroform 50 mL×4で抽出した。抽出で得た有機相をMgSO4で乾燥させ、ろ過した後、ろ液を濃縮した。その後、減圧蒸留(110 °C)を行った。そして、金属ナトリウムを用いて再び減圧蒸留を行った後、一晩加熱真空乾燥をさせ、G5Etを得た。
なお、生成物のキャラクタリゼーションは1H-NMRで行った。
単体硫黄(S8)を硫黄系電極活物質とし、単体硫黄を60 wt%、導電剤としてケッチェンブラックを30 wt%、結着剤としてPVA (ポリビニルアルコール)を10 wt%の割合で混合し、正極の電極材料2a(図1参照)を調製した。まず、単体硫黄とケッチェンブラックを混合後、155 oCで加熱することで単体硫黄とケッチェンブラックを複合化した。この混合物に対し、さらにPVAを溶解した適量のNMP (N-メチル-2-ピロリドン)を加えスラリー状に混錬した。得られたスラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔(集電体)2bに塗布した後、80oCで12時間乾燥してNMPを蒸発させた後、プレスして正極2(図1参照)を得た。厚さ200μmのナトリウム金属板を厚さ500μmのステンレスディスクに貼り付けて負極を作製した。
(1)定電流充放電試験
上記のようにして得られた二次電池について、電流密度を139 mA g-1 (正極に含まれる硫黄の重量で規格化)として定電流放電した。電圧は1.0−3.0Vの範囲とし、60℃一定に保持された恒温槽中で実施した。又、放電電流密度を1/12C(12時間率、電極活物質の理論容量をn (時間) で放電する電流値を1/n のC レートと表す)とした。
なお、正極(硫黄電極)は充電状態で作製されるため、充放電サイクルの第1サイクルは放電過程のみ進行し、第2サイクル目以降は充電と放電過程が進行する。したがって、充放電の順序は、第1サイクルの放電→第2サイクルの充電→第2サイクルの放電→第3サイクルの充電→第3サイクルの放電となる。このようにして、充放電サイクルを20サイクル行い、各サイクルで上記定電流充放電を行った。
上記定電流充放電で得られた充電容量と放電容量(mAh/g:gは単体硫黄の質量当り)から、充放電サイクルの各サイクルで、クーロン効率(%)=放電容量/充電容量を求めた。クーロン効率は、充電した電気量を放電でどれだけ取りだせるかを示す値であり、値が100(%)に近いほど良い。
得られた結果を図5〜図7、及び表1に示す。
一方、グライムとしてG4を用いた比較例1の場合、及びグライムとしてG5を用い、グライムに対するNa[TFSA]の混合比をモル換算で0.80未満とした比較例2の場合、放電容量及びクーロン効率が大幅に低下した。
実験Aで用いた電解液は、常温(30℃程度)でのイオン電導率が高くない(1.0mS/cm以下)ため、60℃で電池を作動させた。そこで、常温(30℃程度)における電解液のイオン電導率を高くするため、電解液に溶媒を添加した。
まず、本発明に適した溶媒として、疎水性を有し、グライムとNa塩との錯体に完全に混合すると共に、Na金属及び多硫化アルカリ金属と化学反応しないものを実験的に見出し、その結果を表2に総合的にまとめた。
なお、表2の[C2mim][TFSA]は1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドであり、PFPMはペンタフルオロプロピオン酸メチルを表す。
<電解液の調製及び電池の作製>
グライムとしてG5を用い、Na塩としてNa[TFSA]を用い、Na[TFSA]/G5=1.0(モル換算)の割合で混合した。又、(溶媒)/ Na[TFSA] =4.0(モル換算)の割合となるよう、各溶媒を混合して電解液を調製した。
この電解液を用い、実験Aと同様にしてナトリウム−硫黄電池を作製した。
<評価>
実験Aと同様にして、定電流充放電試験を行い、クーロン効率及び充放電容量を求めた。なお、試験時の電池の作動温度を30℃とした。
得られた結果を図9〜図12、及び表3に示す。
なお、いずれの溶媒においても、(溶媒)/Na[TFSA]=1.0以上(モル換算)となるように溶媒を添加すると、30℃の電解液のイオン伝導率が1.0mS/cm以上になることを確認した。又、溶媒を添加しないグライム錯体(Na[TFSA]/G5=1.0(モル換算))の場合、30℃の電解液のイオン伝導率が0.61mS/cmであった。
一方、溶媒としてプロピレンカーボネートを用いた比較例21の場合、放電容量及びクーロン効率が大幅に低下した。
4 負極
50 硫黄系二次電池
Claims (4)
- 単体硫黄、金属硫化物、金属多硫化物、及び有機硫黄化合物からなる群から選択される少なくとも一つを含む硫黄系電極活物質を有する正極と、
下記式
で表されるグライムと、アルカリ金属塩と、を含み、前記グライムと前記アルカリ金属塩との少なくとも一部が錯体を形成している電解液と、
前記正極の対極であって、前記アルカリ金属、前記アルカリ金属を含む合金、又は炭素を有する負極と、
を備え、
前記グライムに対する前記アルカリ金属塩の混合比が、モル換算で0.80以上で、かつ前記グライム中の前記アルカリ金属塩の飽和濃度で決まる値以下であるアルカリ金属−硫黄系二次電池。 - 前記電解液がさらに、疎水性を有して前記錯体と完全に混合すると共に、前記アルカリ金属及び多硫化アルカリ金属(M2Sn:1 ≦ n ≦ 8)と化学反応しないフッ素系溶媒、イオン液体、及び炭化水素の群から選ばれる1種又は2種以上を含有する請求項1に記載のアルカリ金属−硫黄系二次電池。
- 前記アルカリ金属塩がMXで表され、ここで、Mはアルカリ金属、Xは、Cl、Br、I、BF4、PF6、CF3SO3、ClO4、CF3CO2、AsF6、SbF6、AlCl4、N(CF3SO2)2、N(CF3CF2SO2)2、PF3(C2F5)3、N(FSO2)2、N(FSO2)(CF3SO2)、N(CF3CF2SO2)2、N(C2F4S2O4)、N(C3F6S2O4)、N(CN)2、N(CF3SO2)(CF3CO)、R1FBF3(但し、R1F=n-CmF2m+1、m=1〜4の自然数)およびR2BF3(但し、R2=n−CpH2p+1、p=1〜5の自然数)からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1又は2に記載のアルカリ金属−硫黄系二次電池。
- 下記式
アルカリ金属塩と、を含み、前記グライムと前記アルカリ金属塩との少なくとも一部が錯体を形成している二次電池用電解液。
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