JP2014016559A - 画像形成装置 - Google Patents

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康仁 久保嶋
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Abstract

【課題】繰り返し使用に伴う感光体劣化によるJob内濃度変動の発生防止のための感光体の交換時期について、感光体の使用環境や使用条件によらず、感光体の交換時期が到来したかどうかの判定及び感光体の交換時期を予測できる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 少なくとも、感光体、該感光体を帯電処理する帯電手段、帯電処理後の感光体表面に静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像を可視化する現像手段を有する画像形成装置であって、
さらに、感光体の表面電位を測定する表面電位測定手段、感光体の回転数をカウントするカウント手段、表面電位及び/または感光体の回転数を記録する記録メモリ、及び、感光体交換時期判定及び/または感光体交換時期予測手段を有し、
帯電・露光した後の感光体の表面電位の変化量と、予め設定した標準表面電位変化量とに基き、感光体の交換時期判定及び/または交換時期予測を行うことを特徴とする画像形成装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、帯電処理後の感光体表面に静電潜像を形成し、これを現像して得られるトナー像を感光体から被転写材へ転写して画像形成を行う複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
帯電処理後の感光体表面に静電潜像を形成し、これを現像して得られるトナー像を感光体から被転写材へ転写して画像形成を行う画像形成装置では、経時使用によって、感光体表面がクリーニングブレードによる摺擦や現像領域での現像剤による摺擦を受けることで摩耗したり、感光体の感光層が帯電と露光・除電の繰り返しによって疲労したりして、感光体が経時劣化する。
このような感光タイの経時劣化が原因で許容範囲を超える画質劣化が生じると感光体は寿命を迎えるが、通常は、寿命を迎える前に交換される。
感光体の交換時期は、一般に、次のように設定される。すなわち、対象機種と同じ構成をもつ試験機を使って標準的な使用環境や使用条件下で事前に耐久試験等を行い、その感光体が寿命を迎えるまでの累積印刷枚数や感光体の累積回転数等の使用回数に応じた寿命指標値を求める。
そして、当該対象機種と同じ構成の画像形成装置については、使用環境や使用条件に拘わらず、標準的な使用環境や使用条件下での寿命指標値に基いて、一律に感光体の交換時期を設定する。
しかしながら、感光体が寿命を迎える時期は、同じ構成の画像形成装置であっても個々の画像形成装置の使用環境や使用条件に大きく依存する。そのため、感光体の交換時期を一律に設定されたのでは、その交換時期になる前に感光体が寿命を迎えてしまうおそれがある。
感光体を交換する前に感光体が寿命を迎えてしまうと、品質上重大な欠陥のある印刷物が出力されてしまう場合がある。この場合、感光体を交換した後に当該印刷物を作り直すことを、ユーザーに強いることになる。
これを防止するため、どのような環境・条件で使用されても、感光体が寿命を迎える前に感光体を交換されるように、感光体の交換時期を十分早い時期に設定しておくことも考えられる。
しかしながら、これでは、未だ十分に使用できる感光体を交換することが多く発生することになり、資源の有効活用の観点やユーザーの経済的負担の観点から不利な結果を招く。
そのため、従来、個々の画像形成装置において、感光体の劣化状態を検出し、その検出結果に基づいて感光体が寿命を迎えたか否かを判定したり、寿命を迎える時期を予測したりすることが提案されている。
例えば、特許文献1の特開2009−92709号公報には、有機感光体に経時的なストレスが加わることにより、感光体を回転させながら帯電処理を開始してから1周目の帯電後電位と2周目の帯電後電位との差から帯電遅れを検知し、その検知結果から感光体が寿命を迎える時期を予測する装置が開示されている。
また、特許文献2の特開平5−100517号公報には、一様に帯電処理された感光体の表面電位VS0を測定した後、露光することなく、かつ、現像バイアスや転写バイアスを印加することなく、感光体を単純に一回転させて、同じ位置の表面電位VS1を測定し、これらの比較値(VS0−VS1)から感光体の残寿命を予知する装置が開示されている。
この画像形成装置では、算出した比較値(VS0−VS1)をこの時点での感光体の暗減衰量VDDとし、新品の時の暗減衰量VDDSと予め設定された感光体寿命時の暗減衰限界量VDDLimiTとの関係から、感光体の残寿命を予知することが開示されている。
感光体表面の摩耗や感光層の疲労などの感光体の劣化が原因で、形成画像に許容範囲を超える画質劣化が生じたときに感光体は寿命を迎えるが、感光体が寿命を迎えたと判断する基準となる画質劣化には、様々な種類が存在する。
画質劣化の一つの現象として、画像の濃度が変動することがある。この画像濃度変動には、比較的長い時間で生じる緩慢な濃度変動と、印刷を開始して一つのJob(一つの作業)内の短いで生じる濃度変動とがある。
前者の濃度変動は、比較的長い時間をかけて起こり、一つのJob内では変動がないため、その影響が目につきにくいことや、画像形成装置の中で濃度を補正するための電位補正ができること等があるため、それほど大きな問題にならないのに対し、後者の濃度変動は、その濃度変動が大きいと、その影響が目立つ上、Job内の数十枚あるいは数枚程度の短い時間内に濃度が変動すると、濃度を補正するための電位補正が困難であり、深刻な問題となる。
特に、印刷ボリュームが多く、かつ画質安定性の要求度が高い軽印刷分野では、一つのJob内で同じ画像パターンを大量に印刷する需要があるが、この場合に一つのJob内で濃度変動が大きいと、画質一貫性が低下することになる。
文字主体の画像パターンであればそれほど目立つことはないが、画像主体でしかもフルカラー画像パターンの場合は、画像濃度の変化だけでなく色味なども変化し、非常に深刻な問題となる(以下、印刷を開始して一つのJob(一つの作業)内で画像濃度が大きく変化する画質劣化を「Job内濃度変動」と称することがある)。
Job内濃度変動が生じる理由としては、繰り返し使用による感光体劣化に伴う感光体の露光後電位の上昇が挙げられるが変動していることがある。
詳しく説明すると、画像形成装置内の感光体は、画像形成動作の過程において、帯電処理によりその表面が適切な帯電電位に帯電されたあと、レーザー光等で露光され、露光部が適切な露光後電位となり静電潜像が形成される。
その後、現像、転写、クリーニング、必要に応じて除電が行われたあと、再び帯電処理がなされ、画像形成動作が繰り返される。
感光体が劣化していない状態であれば、画像形成動作において、感光体の表面電位は潜像形成の露光の前後で、帯電電位から目標露光後電位にまで適切に電位低下する。(このように、帯電電位から露光後電位に電位が変化することを「電位低下」とし、露光後電位から帯電電位に電位が変化することを「電位上昇」とする。)
しかしながら、一つのJob内で繰り返しの画像形成が行われる箇所に対して帯電、露光がされ続けると、感光体の劣化が進み、次第に露光後電位が目標露光後電位まで適切に電位低下しなくなり、一つのJobが終わるまでの極短い間に、徐々に露光後電位が電位上昇していく。その結果、現像ポテンシャルが次第に変化(減少)していくこととなり、トナー付着量が変化(減少)し、Job内濃度変動が生じる。
画像形成動作が繰り返され、感光体の劣化が進むと露光後電位が変動する理由としては、詳細は明らかではないが、感光体の感光層に含まれる電荷輸送物質の静電疲労や、感光層を構成する材料が化学的に変化して電荷トラップが形成され、感光層内の電荷輸送が適切に行われなくなったり、積層型感光体においては、積層の界面が静電疲労により電荷輸送を妨げやすくしたりすることが考えられる。
従来は、感光体劣化に伴うJob内濃度変動の発生による画像品質低下はあまり問題として認識されておらず、従来の画像形成装置においては、感光体劣化に伴うJob内濃度変動の発生による画像品質低下の観点から感光体の交換が必要かどうかを判定したり、交換が必要になる時期を予測したりすることは行っていなかった。
特許文献1の特開2009−92709号公報に記載の画像形成装置は、感光体を回転させながら帯電処理開始し、1周目の帯電後電位と2周目の帯電後電位との差を検知し、帯電遅れの程度から感光体の寿命を検知するものである。
1周目と2周目との単なる帯電後電位の差からは、その検知箇所(感光体表面上の絶対箇所)における帯電遅れの度合い、すなわち、1回の帯電処理での感光体表面電位が目標帯電電位に対してどの程度不足するかを、把握することは可能である。
したがって、特許文献1に記載の画像形成装置によれば、長期間の使用によって生じる帯電遅れによる画質劣化の発生の有無に基く感光体の寿命を予測することは可能である。
しかしながら、Job内濃度変動は、感光体の帯電電位を一定に調節しても、極短い時間内に、露光後電位が変動し、感光体上に付与されるトナー量が変動して生じる現象であり、1周目の帯電による感光体表面電位と2周目の帯電による感光体表面電位の差からは、露光により感光体上に転写された静電潜像を可視化するトナー量が変動して生じる、トナー像の濃度差発生の有無やトナー像の濃度差の程度は把握することはできない。
したがって、特許文献1に記載の画像形成装置では、Job内濃度変動を防止するため、感光体の交換が必要になる時期を予測することはできないし、Job内濃度変動が生じる感光体であるか否かを判定することもできない。
また、特許文献2の特開平5−100517号公報に記載される、感光体を帯電させ、露光せずに暗減衰させた暗減衰量の変化から感光体の寿命を予測する画像形成装置も同様に、Job内濃度変動が発生する感光体であるか否かや、Job内濃度変動発生時期を把握・予測することはできない。
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、繰り返し使用に伴う感光体劣化によるJob内濃度変動の発生防止のための感光体の交換時期について、感光体の使用環境や使用条件によらず、感光体の交換時期が到来したかどうかの判定及び感光体の交換時期を予測できる画像形成装置を提供することである。
本発明者らがJob内濃度変動を解決するため鋭意検討を重ねた結果、一定条件で帯電した感光体を一定露光量で露光した後の感光体の表面電位の変化量とJob内濃度変動Job内濃度変動との間に相関があることを見出し、該露光後の感光体表面電位の変化量から感光体の交換時期判定及び/または交換時期予測が可能になることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題は本発明の下記(1)〜(10)により解決される。
(1)「少なくとも、感光体、該感光体を帯電処理する帯電手段、帯電処理後の感光体表面に静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像を可視化する現像手段を有する画像形成装置であって、
さらに、感光体の表面電位を測定する表面電位測定手段、感光体の回転数をカウントするカウント手段、表面電位及び/または感光体の回転数を記録する記録メモリ、及び、感光体交換時期判定及び/または感光体交換時期予測手段を有し、
帯電・露光した後の感光体の表面電位の変化量と、予め設定した標準表面電位変化量とに基き、感光体の交換時期判定及び/または交換時期予測を行うことを特徴とする画像形成装置」、
(2)「感光体の表面電位の変化量は、累積回転数がn回転目である感光体を、帯電・露光を行い、累積回転数がn+1回転目であるときの露光後電位をVL1、さらに帯電・露光を繰返し、感光体の累積回転数がn+N回転目であるときの露光後電位VL2としたときの、前記VL1と前記VL2との差であることを特徴とする前記第(1)項に記載の画像形成装置;
(ただし、n及びNは、1以上の自然数)」、
(3)「感光体の表面電位の変化量は、帯電・露光を行った後の残留電位を所定時間暗減衰させた残留電位暗減衰量であることを特徴とする前記第(1)項に記載の画像形成装置」、
(4)「前記残留電位暗減衰量を算出するための残留電位を検知する時間が5秒以上であることを特徴とする前記第(3)項に記載の画像形成装置」、
(5)「前記残留電位を検知する前の前記画像形成動作が、感光体の回転数で10回転以上であることを特徴とする前記第(3)項または第(4)項に記載の画像形成装置」、
(6)「感光体の累積回転数と表面電位の変動量との標準となる関係を予め定め、感光体の累積回転数と測定された表面電位の変動量との関係と、前記予め定めた標準となる関係との差が、規定値よりも大きい場合、感光体交換時期判定及び/または感光体交換時期予測を行わず、所定期間経過後に改めて感光体の表面電位の変化量を測定し、該測定結果に基いて感光体交換時期判定及び/または感光体交換時期予測を行うことを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の画像形成装置」、
(7)「感光体の表面電位の変動量または残留電位暗減衰量測定前に、少なくとも1回以上除電することを特徴とする前記第(1)項乃至第(6)項のいずれかに記載の画像形成装置」、
(8)「感光体交換時期判定結果及び/または感光体交換時期予測結果を報知する報知手段を有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載の画像形成装置」、
(9)「前記画像形成装置は、複数の感光体を有し、該複数の感光体上に現像された可視像を重ね合わせて画像を形成するものであり、感光体ごとに感光体交換時期判定及び/または感光体交換時期予測を行うことを特徴とする前記第(1)項乃至第(8)項のいずれかに記載の画像形成装置」、
(10)「前記複数の感光体のうち、交換時期が最も早いと予測された感光体の交換時期に至る前の所定のタイミングで、交換時期が最も早いと予測された感光体と、交換時期が最も遅いと予測された感光体との、交換を促す報知を行う報知手段を有することを特徴とする前記第(9)項に記載の画像形成装置」。
以下の、本発明によれば、画像形成装置の使用環境・条件によらず、Job内濃度変発生による画像品質低下が生じる感光体であるか否か、及び、Job内濃度変動の発生時期を予測でき、感光体の交換作業による予期せぬダウンタイムを低減できるという優れた効果が得られる。
本発明の画像形成装置全体の構成の一例を示す概略図である。 本発明のタンデム型のカラー画像形成装置全体の構成の一例を示す概略図である。 初期感光体とJob内濃度変動が発生する感光体について、帯電と露光を適切な条件に設定した条件で感光体を回転駆動させたときの露光後電位の変化の概要を示すグラフである。 プロセスカートリッジの一例を示す概略図である。 標準的な使用環境や使用条件下での感光体累積回転数と変動量(標準変動量)との関係を示すグラフである。 実施形態1の交換時期判定・予測工程の処理の流れを示すフローチャートである。 実施形態2における感光体入れ替え判断工程の流れを示すフローチャートである。 図5に示した交換時期判定・予測工程中の処理ステップS3と処理ステップS4の間に挿入される変形例に係る追加処理工程を示すフローチャートである。 図5に示した交換時期判定・予測工程中の処理ステップS3と処理ステップS4の間に挿入される変形例に係る追加処理工程の別の例を示すフローチャートである。 標準的な使用環境や使用条件下での感光体累積回転で劣化が進行する感光体ΔVLと残留電位暗減衰量との関係を示すグラフである。 実施形態4の交換時期判定・予測工程の処理の流れを示すフローチャートである。 実施形態2における感光体入れ替え判断工程の流れを示すフローチャートである。 図10に示した交換時期判定・予測工程中の処理ステップS3と処理ステップS4の間に挿入される変形例に係る追加処理工程を示すフローチャートである。
Job内濃度変動は、上述したとおり、繰り返し行われる画像形成動作の中で露光後電位が変動することに起因して発生する。
この露光後電位の変動の量が大きいほど、トナー付着量の減少量が大きくなり、Job内濃度変動が悪化する。
本発明は、一定条件で帯電した感光体を一定露光量で露光した後の感光体の表面電位の変化に基き感光体の交換時期であるか否かを判定する。
感光体表面電位の変化は、以下の方法により行なうことができる。
(1)画像形成動作の中での感光体の露光後電位の変動の量がどの程度なのかを把握するため、帯電させた感光体を露光した後の電位を測定し、所定回数以上帯電・露光した後、再度、先の電位測定時と同じ条件で帯電・露光して電位を測定し、先の露光後電位と後の露光後電位との差(変動量)を求める(以下、この露光後電位の変動を「露光後電位繰り返し変動」、その量を「露光後電位繰り返し変動量」ということもある。)。
前記露光後電位繰り返し変動量は、Job内濃度変動と相関が有り、画質劣化の度合いを示す指標となる。
(2)また、感光体を帯電・露光する画像形成動作を所定回数以上行い、該画像形成動作(Job)終了後の感光体の残留電位を所定時間測定し、その残留電位の変化から残留電位暗減衰量を求める。
前記残留電位暗減衰量は、Job内濃度変動の原因となる前記露光後電位変化量と相関が有り、画質劣化の度合いを示す指標値となる。
本発明は、Job内濃度変動の指標となる露光後電位繰り返し変動量、または、残留電位暗減衰量に基き感光体の寿命を判定することで、Job内濃度変動の発生する感光体であるか否かの正確な判定や、Job内濃度変動の発生する時期の予測ができる。
図1は、本発明に係る画像形成装置全体の構成の一例を示す概略図である。
画像形成装置は、図中矢印方向に回転するドラム状の感光体(1)を備えている。感光体(1)の周囲には、感光体の表面を一様に帯電する帯電手段として帯電装置(2)、帯電された感光体の表面をレーザー光で露光して静電潜像を形成する潜像形成手段として露光装置(3)、静電潜像にトナーを付着させて現像する現像手段として現像装置(4)、現像により得られた感光体上のトナー像を被転写材である記録材としての転写紙上に転写するための転写手段として転写装置(5)、感光体の表面の転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段としてクリーニング装置(6)、必要に応じて除電手段(7)が、感光体回転方向に沿ってこの順序で配置されている。
また、露光装置(3)により露光される箇所(書き込み領域)よりも感光体回転方向下流側かつ現像装置(4)により現像処理がなされる箇所(現像領域)よりも感光体回転方向上流側には、感光体表面電位を測定する電位センサ(8)が配置され、この電位センサ(8)は、露光後電位、及び、残留電位測定手段として機能する。
このほか、本画像形成装置には、図示しない感光体の回転数カウント手段や、交換時期判定手段及び交換時期予測手段として機能する交換時期判定部(9)や、経時変化情報記憶手段として機能する記録メモリ(10)や、判定結果報知手段、必要に応じて、予測結果報知手段及び交換報知手段として機能する報知部(11)なども設けられている。
本画像形成装置で画像形成を行う場合、まず、図示しない画像読取部で原稿から読み取られた原画像信号あるいは外部の図示しないコンピュータ等で作成された原画像信号が図示しない画像処理部に入力され、適切な画像処理が行われる。こうして得られた入力画像信号が露光装置(3)に入力され、レーザー光を変調する。入力画像信号によって変調されたレーザー光は、帯電装置(2)により帯電された感光体(1)の表面に照射される。
感光体表面にレーザー光が照射されると、感光体上には入力画像信号に対応した静電潜像が形成される。感光体上に形成された静電潜像は、現像装置(4)によりトナーで現像され、感光体上にトナー像が形成される。感光体上に形成されたトナー像は、感光体の図中矢印方向への回転に伴い、感光体に対向して配置された転写装置(5)に向かって搬送される。
一方、感光体(1)と転写装置(5)との間の転写領域に向かって図示しない給紙部から転写紙が搬送され、転写装置(5)により転写領域へ印加される転写バイアスの作用により、感光体上のトナー像が転写紙上に転写される。トナー像が転写された転写紙は、図示しない定着装置に搬送され、熱と圧力を加えられることによってトナー像が定着され、機外に排出される。トナー像の転写紙への転写が終了した感光体(1)の表面に残留する転写残トナー等の付着物は、クリーニング装置(6)によりクリーニングされる。さらに、必要に応じて、感光体表面の残留電荷が除電装置(7)により除去されて、1回の画像形成動作が終了する。
上記画像形成装置は、感光体を1つ備えた画像形成装置であるが、本発明は複数の感光体を備えたいわゆるタンデム型のカラー画像形成装置にも同様に適用できる。
図2にタンデム型のカラー画像形成装置の一例を示す概略構成図を示す。
図2にタンデム型のカラー画像形成装置の一例を示す。タンデム型のカラー画像形成装置を構成する各画像形成ユニットは、上記感光体を1つ備えた画像形成装置と同様に、感光体(80)、帯電装置(84)、露光装置(81)、電位センサ(95)、現像装置(82)、一次転写装置、クリーニング装置(85)、必要に応じて除電手段(83)が、感光体回転方向に沿ってこの順序で配置される。
さらに、交換時期判定部、記録メモリ、判定結果報知手段、必要に応じて、予測結果報知手段及び交換報知手段として機能する報知部を有する。これらは各画像形成ユニットごとではなく、画像形成装置に集約していてもよい。
カラー画像形成装置を構成する各画像形成ユニットは、互いに異なる色のトナーを使って、上記画像形成装置と同様にして、それぞれの感光体上に各色トナー像を形成し、これらのトナー像を中間転写体である中間転写ベルト(87)上に互いに重なり合うように1次転写する。そして、中間転写ベルト(87)上で重なり合った各色トナー像(カラートナー像)は、2次転写ローラ(90)と対向する2次転写領域で、レジストローラ対(88)により送り出された転写紙上に2次転写される。カラートナー像が2次転写された転写紙は、転写ベルト(87)及び搬送ベルト(92)の表面に担持されながら搬送され、定着ユニット(93)で熱と圧力を加えられることによってトナー像が定着され、機外に排出される。
これら画像形成装置の感光体は、画像形成動作を何十万回、何百万回と繰り返す中で、感光体(1)は様々なダメージを受けて劣化する。感光体が劣化することによって、上述のように感光体が繰り返し回転する画像形成動作の中での露光後電位の変動が生じ、Job内で画像濃度が変化するJob内濃度変動が生じる場合がある。
図3は、未使用である初期の感光体、及び、Job内濃度変動が許容範囲を超え寿命を迎えた感光体について、帯電と露光を所定の時間繰り返し行ったときの、露光後電位の変化事例の概要を示すグラフである。
初期感光体は、帯電と露光とを繰り返しても、露光後電位に変化がほとんど見られない。一方、Job内濃度変動が許容範囲を超え寿命を迎えた感光体は、帯電と露光を繰り返すと、露光後電位が次第に上昇していく。
このような露光後電位の上昇が、画像形成装置内で繰り返し行われる画像形成動作においても発生していると考えられる。
本発明の交換時期判定部(9)は画像形成装置に搭載されるものであるが、プロセスカートリッジ方式の画像形成装置においては、そのプロセスカートリッジに交換時期判定部(9)を搭載してもよいし、画像形成装置本体に交換時期判定部(9)を搭載してもよい。
プロセスカートリッジの一例を図4に示す。プロセスカートリッジは、感光体(101)と、帯電装置(102)、露光装置(103)、現像装置(104)、転写装置(106)、クリーニング装置(107)、電位センサ(108)のうちの少なくとも1つとを、支持部材で共通支持したものであって、画像形成装置本体に着脱自在に構成された装置(部品)である。
[第1群の発明]
まず、帯電させた感光体を露光した後の電位を測定し、所定回数以上帯電・露光した後、再度、先の電位測定時と同じ条件で帯電・露光して電位を測定し、先の露光後電位と後の露光後電位との差(露光後電位繰り返し変動量)により感光体の寿命を検知する場合について説明する。
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態(以下「実施形態1」という。)について説明する。
本実施形態1では、前回までの画像形成動作を終えて感光体の回転数カウント手段に記録された累積回転数がn回転目であるときに、電位センサ(8)で露光後電位の測定を開始する。
そして、所定の回数N[回]感光体を駆動回転させ、適切な測定条件に設定した状態で帯電・露光を繰り返す。感光体の駆動回転を始め、n+1回転目の露光後電位をVL1とし、n+N回転後の露光後電位をVL2とする(n及びNは、1以上の自然数)。
VL1とVL2と差から露光後電位繰り返し変動量ΔVLを算出し、この露光後電位繰り返し変動量ΔVLを一つのJob内の露光後電位の変動量を示す指標(Job内濃度変動による画質劣化の度合いを示す指標)とする。
すなわち、この露光後電位繰り返し変動量ΔVLに基づいて感光体の交換が必要(寿命を迎える直前)であるか否かを判定したり、交換が必要になる時期を予測したりする。
本実施形態1では、図5に示すような、感光体累積回転数と標準変動量ΔVLとの関係を示す情報(すなわち、所定の環境下において感光体が寿命に至るまでの標準的な変動量ΔVLの経時変化を示す経時変化情報)が記録メモリ(10)に記憶されている。
交換時期判定部(9)は、上記方法で露光後電位繰り返し変動量ΔVLを算出したら、その露光後電位繰り返し変動量ΔVLと交換時期判定基準値dとを比較する。
この比較により露光後電位繰り返し変動量ΔVLが交換時期判定基準値d以上である場合、当該感光体(1)は交換が必要であると判定する。また、交換時期判定部(9)は、露光後電位繰り返し変動量ΔVLが交換時期判定基準値d未満である場合は、記録メモリ(10)内の経時変化情報を参照し、その露光後電位繰り返し変動量ΔVLと経時変化情報とから、当該感光体が寿命を迎え、交換が必要になる時期を予測する。
露光後電位繰り返し変動量ΔVLを測定する際の帯電装置(2)による帯電処理の条件は、任意に設定することができ、画像形成動作時の帯電処理の条件とは異なる条件であってもよい。
具体的な設定方法としては、例えば、累積回転数n=0のときに、露光、転写なしで駆動回転させた感光体表面部分を帯電処理することで感光体の表面電位が−800Vとなるような条件を求めておき、常にこの条件で測定を行う方法が挙げられる。
また、測定を行う前に、毎回、露光、転写なしで駆動回転させた感光体表面部分を帯電処理することで感光体の表面電位が−800Vとなるような条件を求め、その条件で当該測定における帯電処理を行う方法も挙げられ、目的に応じて選択することができる。
前者の条件では初期の帯電条件で測定するため、感光体の帯電能力低下分も測定され、Job内濃度変動だけでなく長期間に亘り徐々に生じる画像濃度変化をも検出でき、他方後者の条件では、感光体の帯電能力が低下しても一定の電位まで帯電されるため、露光後の電位変化によるJob内濃度変化の発生の有無をより正確に検出できる。
また、交換時期判定や交換時期予測を行うための測定は、任意のタイミングで行うことができるが、印刷Job開始前に行うのが好ましい。印刷Jobと印刷Jobとの間や、印刷Jobの終了直後に交換時期判定や交換時期予測を行うための測定を実行する場合、測定前の印刷Jobの内容に応じて感光体に蓄積される短期的な劣化の程度が異なるため、測定結果に誤差が生じやすい。
また、本実施形態1においては、交換時期判定部(9)による感光体の交換時期判定結果や交換時期予測結果が操作パネル等で構成される報知部(11)によって報知される。これにより、ユーザー若しくはサービスマンは、報知部(11)によって報知された情報を基に、適切なタイミングで感光体の交換をすることができる。さらに、ユーザー若しくはサービスマンが、感光体の交換時期予測結果の報知を受けることにより、感光体の寿命が到来する前に交換用の感光体を予め手配しておくこともできる。また、感光体のユーザー交換ができない場合においても、感光体の交換時期予測結果の報知を受けることで、サービスマンがユーザー先を訪問する計画を効率的に立てることもできるため、画像形成装置のダウンタイムが低減され、結果として生産性向上に貢献することができる。
次に、交換時期判定部(9)で実行される交換時期判定・予測工程について説明する。
図6は、本実施形態1の交換時期判定・予測工程の処理の流れを示すフローチャートである。
図6に示すように、まず、前回までの画像形成動作を終えて、感光体の回転数カウント手段からの情報が記録メモリに記録され、累積回転数がn回転目であるときに、帯電、露光を適切な測定条件にした状態で、累積回転数がn+1回転目のときの露光後電位VL1を測定する(S1)。
次いで、帯電、露光を適切な測定条件に維持した状態で感光体をN回転させ、感光体の累積回転数がn+N回目であるときの露光後電位VL2を測定する(S2)。
そして、これらの測定値VL1、VL2から、露光後電位繰り返し変動量ΔVL=|(VL2−VL1)|を算出し(S3)、これを記録メモリ(10)に記録する(S4)。
次に、露光後電位繰り返し変動量ΔVLと、予め設定されている交換時期判定基準値dとを比較して、ΔVL≧dであるかどうかを判断する(S5)。
ΔVL≧dである場合には、感光体の交換時期であると判断し(S6)、報知部(11)によって感光体の交換を報知する(S7)。
露光後電位繰り返し変動量ΔVLを測定する動作での感光体の回転回数Nは、感光体、帯電手段および露光手段の種類、構成、構造、形態にもよるが、50[回]以上、100[回]以下が好ましい。
図4に示すように、露光後電位繰り返し変動量ΔVLは回転回数Nが多くなるほど増大していくが、その値は飽和していく傾向がある。回転回数Nが50[回]未満であると、十分にΔVLが増大しないため、測定精度に誤差が生じやすく、また、回転回数Nが100[回]より大きいと、ΔVL値の飽和領域を測定している時間が長くなるため、不必要に感光体の累積回転数を増やしてしまうこととなる。
また、交換時期判定基準値dは、感光体や画像形成装置の構成や、許容される濃度変化量にもよるが、Job内濃度変動による画像濃度差は、繰り返しの画像形成動作における露光後電位の変動に比例して大きくなる傾向があり、通常、帯電・露光後電位の差が20[V]未満であればJob内濃度変動に関して問題はないが、20[V]以上であるとJob内濃度変動が無視できないものとなる。
一方、上記処理ステップS5においてΔVL<dである場合、まず、VL1を測定した直前の感光体累積回転数nを回転数カウント手段に記録する(S8)。そして、記録メモリ(10)に記憶されている図5に示したような感光体累積回転数と標準的な変動量ΔVLとの関係を示す情報(すなわち、感光体が寿命に至るまでの標準的な変動量ΔVLの経時変化情報)を参照して、ΔVL=dとなるときの感光体の累積回転数(寿命到達累積回転数)を算出し、算出した寿命到達累積回転数を感光体の交換時期の予測値とする(S9)。そして、算出した寿命到達累積回転数と上記処理ステップS8において記録した感光体累積回転数nとから、今後何枚印刷を行ったら感光体が寿命に至るといった残寿命を算出し、その算出結果を報知部(11)によってユーザーやサービスマンに報知する(S10)する。前記算出された残寿命は、次回の測定を行う時期にフィードバックしてもよい。
一般に、上記露光後電位繰り返し変動量ΔVLは、感光体の劣化に従って上昇する傾向を示すが、感光体の累積回転数の増加に対して一定の割合で増加するとは限らない。例えば、図5に示した本実施形態1の場合のように、感光体累積回転数に対して露光後電位繰り返し変動量ΔVLが指数関数的に増加する傾向を示す場合もある。
そのため、画像形成装置の開発段階において、感光体が実際に寿命に至るまでに、感光体累積回転数の増加に従って露光後電位繰り返し変動量ΔVLがどのような挙動を示すかという標準的な変動量ΔVLの経時変化情報を調べておき、その経時変化情報に基づいて感光体の交換時期判定や交換時期予測を行うのが、より正確な交換時期判定や交換時期予測を実現できる点で好ましい。
具体的には、例えば、過去に検出した露光後電位繰り返し変動量ΔVLの推移から、感光体累積回転数に対する露光後電位繰り返し変動量ΔVLの傾きを計算し、これを、現時点からの図5に示した記録メモリ(10)内の経時変化情報を用いた外挿予測若しくは予め把握しておいた感光体累積回転数に対する標準的な変動量ΔVLの傾きデータ及び予め設定された交換時期判定基準値dとを照らし合わせることによって、今後何枚印刷を行ったら感光体が寿命に至るのかといった残寿命を判断することができる。
〔実施形態2〕
次に、本発明の他の実施形態(以下「実施形態2」という。)について説明する。
上記実施形態1に係る画像形成装置は、感光体を1つ備えたモノクロ画像形成装置であったが、本発明は複数の感光体を備えたいわゆるタンデム型のカラー画像形成装置にも同様に適用できる。
ここで、タンデム型のカラー画像形成装置の場合、色ごとに個別の感光体が使われるため、複数の感光体を用いる。一般に、出力画像の内容に応じて各色の使われ方が異なるので、そうした状況下で画像形成が繰り返される結果、色ごとに感光体の劣化速度は異なったものとなる。感光体の劣化速度が異なると、感光体の寿命、つまり感光体の交換時期も異なってくる。そのため、色ごとに、感光体の交換時期判定や交換時期予測を個別に行う必要がある。このとき、各色それぞれについての感光体交換時期になるたびに当該感光体を新たな感光体に交換するようにしてもよいが、この場合、当該画像形成装置全体での感光体交換作業の頻度が高くなり、ユーザーやサービスマンの負担が大きくなる。
そこで、本実施形態2においては、以下のような構成により全感光体の交換時期がおおよそ同時期となるようにしてすべての感光体を一括して交換できるように、感光体入れ替え判断工程を実施する。
図7は、本実施形態2における感光体入れ替え判断工程の流れを示すフローチャートである。
本実施形態2では、4つの感光体それぞれについて上記実施形態1における図6に示した流れで交換時期判定・予測工程と同様の処理を実行する。そして、その工程中の処理ステップS5において、すべての感光体について露光後電位繰り返し変動量ΔVLと交換時期判定基準値dとの比較結果がΔVL≧dでないと判断されたとき、上記交換時期判定・予測工程中における各感光体の予測結果を報知する処理ステップS10に代えて、図7に示す感光体入れ替え判断工程を実施する。
感光体入れ替え判断工程では、まず、図6に示した交換時期判定・予測工程中の処理ステップS9において予測した寿命到達時期から判断される各感光体の残寿命に基づき、残寿命が最も短い感光体を特定する(S21)。
そして、この感光体の残寿命と予め設定された寿命手前の特定値eとを比較して、この感光体の残寿命が特定値e以下であるかどうかを判断する(S22)。この判断において当該感光体の残寿命が特定値eを超えている場合には、図6に示した交換時期判定・予測工程中の処理ステップS10と同様に、残寿命が最も短い感光体の残寿命の判断結果を報知部11によってユーザーやサービスマンに報知する(S23)。なお、感光体ごとの残寿命の判断結果を報知するようにしてもよい。
一方、上記処理ステップS22において、残寿命が最も短い感光体の残寿命が特定値e以下であると判断された場合、次に、各感光体の残寿命に基づいて残寿命が長い感光体を特定する(S24)。
そして、上記処理ステップS21で特定した残寿命が最も短い感光体と上記処理ステップS24で特定した残寿命が最も長い感光体とを入れ替えることを促す内容の報知処理を報知部(11)により行う(S25)。この報知は、残寿命が最も短い感光体と残寿命が最も長い感光体との間で残寿命の差が規定値以上である場合だけ行うようにしてもよい。
本実施形態2において、実際の使用環境や使用条件の下で一定期間使用された後に各感光体の残寿命を判断することにより、その実際の使用環境や使用条件下における色ごとの相対的な劣化速度が把握できる。
本実施形態2では、残寿命が最も短い感光体の残寿命が特定値eを超えるまでは、所定のタイミングで、残寿命が最も短い感光体と残寿命が最も長い感光体との入れ替えを促す内容の報知処理がなされる。そして、この報知を受けて、ユーザーやサービスマンにより残寿命が最も短い感光体と残寿命が最も長い感光体とが互いに入れ替えられることで、その後は、最も残寿命が残っている感光体が最も劣化速度が速い色について使用され、かつ、最も残寿命が少ない感光体が最も劣化速度が遅い色について使用されることになる。
その結果、入れ替え後に当該画像形成装置が一定期間使用されることで、残寿命が最も短い感光体と残寿命が最も長い感光体との間の残寿命差が縮まっていく。これにより、このような入れ替えを行わない場合よりも、全感光体の交換時期を互いに近付けることができ、感光体の寿命を多く残したまま交換するというような無駄が少ない状態で、すべての感光体を一括して交換できる。特に、このような感光体入れ替え判断工程を繰り返し行うことで、全感光体の交換時期をほぼ同時期に調整することが可能となるので、より無駄の少ない状態で全感光体の一括交換が可能となる。
〔変形例〕
次に、上記実施形態1及び上記実施形態2における一変形例について説明する。
画像形成装置に用いられる感光体は、上述したように、繰り返される画像形成の中で様々なダメージを受けて劣化する。また、感光体は画像形成時以外でも、例えば急激な環境変化(温度および/又は湿度の変化)や、装置内に残存した放電生成物の付着などによるダメージを受ける。これらのダメージにより、感光体の劣化状態が通常の感光体劣化推移から大きく逸脱し、感光体の劣化が突発的に進んだ状態になることがある。
しかしながら、このような突発的な感光体の劣化は、画像形成動作やリフレッシュ動作などが行われることで、例えばクリーニングブレードにより感光体表面を摺擦することにより回復する場合がある。そのため、たまたま突発的な感光体劣化時に行った測定に基づく露光後電位繰り返し変動量ΔVLを用いて感光体の交換時期判定・予測工程を行うと、本来の交換時期よりも前に寿命であると判定してしまったり、残寿命の判断誤差が大きくなったりする。
本変形例は、このような突発的な感光体の劣化が生じていても精度の高い交換時期判定や交換時期予測を可能とするものである。
図8は、図6に示した交換時期判定・予測工程中の処理ステップS3と処理ステップS4の間に挿入される本変形例に係る追加処理工程を示すフローチャートである。
図6に示した交換時期判定・予測工程中の処理ステップS3で露光後電位繰り返し変動量ΔVLを算出したら、まず、図5に示した記録メモリ(10)内の経時変化情報(累積回転数に対する標準的な変動量ΔVLの推移)から、今回の測定時である累積回転数nに対応した標準変動量ΔVLnを算出する(S31)。
そして、露光後電位繰り返し変動量ΔVLと標準変動量ΔVLnとの差を算出し、その算出結果と予め設定された設定値fとを比較する(S32)。この比較において|ΔVL−ΔVLn|≦fである場合には、そのまま上記処理ステップS4に進み、上記処理ステップS3で算出した露光後電位繰り返し変動量ΔVLを記録メモリ(10)に記録し、その露光後電位繰り返し変動量ΔVLに基づいて交換時期判定や交換時期予測が行われる。
一方、上記処理ステップS32の比較において|ΔVL−ΔVLn|≦fでない場合には、α時間経過後に(S33)、図5に示した記録メモリ(10)内の経時変化情報から、前回の測定時における累積回転数nに対し、α時間経過するまでに感光体が回転した感光体回転数βを加算した累積回転数m(すなわちm=n+β)に対応した標準変動量ΔVLmを算出する(S34)。
ここでは、α時間経過後に標準変動量ΔVLmを算出する場合であるが、図9に示すように感光体回転数がβ回転した後に標準変動量ΔVLmを算出するようにしてもよい。
このようにして標準変動量ΔVLmを算出したら、感光体累積回転数がm+1回転目であるときに、帯電、露光を適切な測定条件にした状態で、露光後電位VL1’を測定する(S35)。
次いで、感光体の累積回転数がm+N回目であるときに、帯電、露光を適切な測定条件にした状態で、露光後電位VL2’を測定する(S36)。
そして、これらの測定値VL1’,VL2’から、露光後電位繰り返し変動量ΔVL=|(VL1’−VL2’)|を算出し(S37)、これを記録メモリ(10)に記録する(S4)。そして、以後の処理には、上記処理ステップS37で算出した露光後電位繰り返し変動量ΔVLを用いて交換時期判定や交換時期予測を行う。なお、累積回転数nおよび累積回転数mに関して、nは自然数、mはn+2以上の自然数である。また、βは自然数である。
ここで、時間αは、感光体の一時的な劣化が回復するために必要な時間以上に設定されるものであり、回転数βは一時的な劣化が回復するために必要な感光体回転数である。これらの値α、βは、短期間(あるいは感光体を数回回転させるだけ)で回復する場合や、長期間経過しないと回復しない場合もあるので、適宜設定される。
ここで、長期間経過しないと回復しない場合は、例えば感光体を温める、感光体表面にトナーを入力しながら感光体を回転させて感光体表面を強制的に磨耗させるなど、感光体を回復させるためのリフレッシュ処理を加えてもよい。
なお、露光後電位繰り返し変動量ΔVLと標準変動量ΔVLnとの差を算出した際、その算出結果が大きいときには、その旨を報知部(11)によってユーザーやサービスマンに報知するようにしてもよい。
〔実施形態3〕
次に、本発明の他の実施形態(以下「実施形態3」という。)について説明する。
本実施形態は、帯電処理を施す前に感光体の表面を除電する除電手段を備えた画像形成装置に適用される。
画像形成装置に用いる感光体や帯電手段や露光手段について、それらの種類、構成、構造、形態によっては、帯電処理を施す前に感光体表面を除電する除電手段を設けることで、帯電処理を施した後の感光体表面の電位を安定して目標帯電電位にすることができる。
帯電電位が安定しない場合、帯電電位の影響を受けて露光後電位も安定せず、交換時期判定や交換時期予測の精度を下げるおそれがある。
除電手段を設けて感光体表面の電位を安定して目標帯電電位にすることで、高い精度で交換時期判定や交換時期予測を行うことができる。
除電手段を設けた場合、露光後電位繰り返し変動量ΔVLを測定する動作中、帯電、露光とともに適切な除電条件を設定すればよい。
以上、露光後電位繰り返し変動量を測定し感光体寿命を検知する場合について説明した。
前回までの画像形成動作を終えて累積回転数がn回転目である感光体を帯電、露光を適切な測定条件にした状態で回転駆動させて累積回転数がn+1回転目のときの露光後電位VL1を測定し、帯電、露光を前記の測定条件に維持した状態で感光体を更に回転させ、感光体の累積回転数がn+N回転目のときの露光後電位VL2を測定し、前記VL1と前記VL2との差から露光後電位繰り返し変動量ΔVL=|(VL2−VL1)|を算出し、該露光後電位繰り返し変動量に基づいて上記感光体の交換時期が到来したか否かを判定している。
この交換時期判定に用いる露光後電位繰り返し変動量ΔVLは、繰り返しの画像形成動作過程における露光後電位の変動と相関があり、Job内濃度変動による画質劣化の度合いを示す指標となる。よって、Job内濃度変動の発生が発生する感光体であるか否かを適切に判定することができる。
また、上記実施形態1及び上記実施形態2の画像形成装置は、交換時期判定結果を報知する判定結果報知手段を有しているので、ユーザーやサービスマンが感光体が寿命を迎えたことを把握してダウンタイムの低減を図ることができる。
また、上記実施形態2の画像形成装置は、複数の感光体を備え、これらの感光体上に形成された各トナー像を被転写材へ転写するタンデム型の構成であり、露光後電位測定手段を感光体ごとに設け、感光体ごとに交換時期が到来したか否かを判定する。これにより、個々の感光体の劣化速度に応じて各感光体の交換時期の到来を適切に判定することができる。
また、上記実施形態1及び上記実施形態2の画像形成装置は、少なくとも回転駆動する感光体と、該感光体の表面を帯電処理する帯電手段と、帯電処理後の感光体表面に静電潜像を形成する露光手段とを有する画像形成装置である。
この画像形成装置は、更に、静電潜像を形成した後の感光体の表面電位を測定する露光後電位測定手段と、感光体の回転数カウント手段と、を有し、前回までの画像形成動作を終えて累積回転数がn回転目である感光体を帯電、露光を適切な測定条件にした状態で回転駆動させて累積回転数がn+1回転目のときの露光後電位VL1を測定し、帯電、露光を前記の測定条件に維持した状態で感光体を更に回転させ、感光体の累積回転数がn+N回転目のときの露光後電位VL2を測定し、前記VL1と前記VL2との差から露光後電位繰り返し変動量ΔVL=|(VL2−VL1)|を算出し、該露光後電位繰り返し変動量に基づいて上記感光体の交換時期を予測している。この交換時期予測に用いる露光後電位繰り返し変動量ΔVLは、繰り返しの画像形成動作過程における露光後電位の変動と相関があり、Job内濃度変動による画質劣化の度合いを示す指標となる。よって、Job内濃度変動の発生によって到来する感光体の寿命到達時期を適切に予測することができる。
特に、上記実施形態1及び上記実施形態2の画像形成装置は、上記露光後電位繰り返し変動量と、累積回転数増加に伴う露光後電位繰り返し変動量の経時変化情報と、から上記感光体の交換時期を予測する。これにより、当該画像形成装置における露光後電位繰り返し変動量ΔVLの推移(経時変化)が特有の経時変化を示す場合でも、高い精度で交換時期予測を行うことができる。
また、上記変形例の画像形成装置において、感光体の累積回転数と基準変動量との関係を予め特定し、該露光後電位繰り返し変動量と予め特定した基準変動量との差が規定値よりも大きいときには、所定期間経過後に改めて上記VL1及びVL2に対応するVL1’及びVL2’を算出し、該VL1’及びVL2’に基づいて感光体の交換時期を予測する。これにより、突発的な測定異常による交換時期判定ミスや交換時期予測ミスを抑制できる。
また、上記実施形態1及び上記実施形態2の画像形成装置は、感光体の交換時期の予測結果を報知する予測結果報知手段を有しているので、ユーザーやサービスマンが感光体の交換時期を予測して感光体交換準備を整えることができるので、ダウンタイム低減に有効である。
また、上記実施形態2の画像形成装置は、複数の感光体を備え、これらの感光体上に形成された各トナー像を被転写材へ転写するタンデム型の構成であり、露光後電位測定手段を感光体ごとに設け、感光体ごとに交換時期を予測する。これにより、個々の感光体の劣化速度に応じて各感光体の交換時期を適切に予測することができる。
特に、上記実施形態2の画像形成装置において、複数の感光体には、互いに入れ替え可能な2以上の感光体が含まれており、当該2以上の感光体のうち交換時期が最も早いと予測された感光体の交換時期に至る前の所定のタイミングで、該感光体と、該2以上の感光体のうち交換時期が最も遅いと予測された感光体との交換を促す報知を行う交換報知手段を有している。これにより、当該2以上の感光体の交換時期をほぼ同時期に調整することが可能となるので、より無駄の少ない状態で当該2以上の感光体の一括交換が可能となる。
また、上記実施形態3の画像形成装置は、帯電処理を施す前に前記感光体の表面を除電する除電手段を有している。これにより、帯電処理後の帯電電位が安定するので、高い精度で交換時期判定や交換時期予測を行うことができる。
[第2群の発明]
次に、感光体を帯電・露光する画像形成動作を所定回数以上行い、該画像形成動作(Job)終了後の感光体の残留電位暗減衰量により、感光体の寿命を検知する場合について説明する。
図5に示すように、感光体の繰り返し使用によりJob内の露光後電位繰り返し変動量ΔVLは大きくなり、やがて異常画像と認識されることになる。異常画像の発生防止には、上記のように、画像形成装置で許容されるΔVLの閾値dを予め設定し、ΔVL≦dとなる条件で感光体を交換すればよい。
しかしながら、このようなΔVLを求めるためには、通常の画像形成動作以外の専用の露光後電位繰り返し変動量ΔVL検知プロセスを設ける必要があり、また、この検知動作には時間がかかり、検知中は画像形成できないといった課題がある。
露光後電位繰り返し変動量ΔVLと残留電位暗減衰量との関係を図10に示す。図10に示されるように、露光後電位繰り返し変動量ΔVLと残留電位暗減衰量とは高い相関を示す。
〔実施形態4〕
Job内における露光後電位繰り返し変動量ΔVLは、繰り返し使用により感光層の材料が化学的に変化し、感光層バルク中や界面近傍に浅い電荷トラップが形成されやすくなり、比較的短時間で、未使用時は脱トラップで露光後電位が回復、使用時は帯電、露光の繰り返しによりトラップに電荷捕獲されて発生するものと考えられるため、その影響は感光体の画像形成動作終了後の残留電位にも現れ、特に残留電位の暗減衰に現れやすくなっているものと推測される。
そこで、本発明の実施形態4では、Job内の露光後電位繰り返し変動量ΔVL変化と相関性の高い、Jobエンド後の感光体回転停止後の残留電位暗減衰量(以下、RDDとも呼称)の推移を指標として、感光体の劣化進行度合いを検知し、例えば図10で示される残留電位暗減衰量≦Rdでその交換時期の判定や予測を行うものである。
本実施形態4では、感光体累積回転数、すなわち、ΔVLと残留電位暗減衰量との関係を示す情報(すなわち、所定の環境下において感光体が寿命に至るまでの標準的な残留電位暗減衰量の経時変化を示す経時変化情報)が記録メモリ(10)に記憶されている。
より詳細には、感光体10回転以上のJob終了後について10sec間の残留電位暗減衰量を算出記録しており、交換時期判定部(9)は、RDDと交換時期判定基準値Rdとを比較する。
RDDが交換時期判定基準値Rd以上である場合、当該感光体(1)は交換時期を迎えたと判定する。また、交換時期判定部(9)は、RDDが交換時期判定基準値Rd未満であると判断したときは、記録メモリ(10)内の経時変化情報を参照し、そのRDDと経時変化情報とから、当該感光体の交換が必要になる時期を予測する。
RDDを測定するタイミングは、通常の感光体10回転以上の画像形成動作であれば、その動作終了後に可能である。具体的には、例えば、画像形成動作終了後の感光体回転終了後に電位検知手段により、感光体残留電位を10sec以上測定し続け、0sec目の残留電位R1とTsec後の残留電位Rtから残留電位暗減衰量を(R1−Rt)で算出記録する。
残留電位暗減衰量:RDDの算出時間は5sec未満であると測定誤差が生じやすい。
また、交換時期判定の精度を上げるためには、露光後電位の上昇が充分に起こっている必要があるため、RDD測定前の画像形成動作は感光体が10回転以上回転するほうが好ましい。
また、感光体の残留電位は、画像形成動作終了後、除電ランプで1回転以上除電された状態で測定することが必要であるが、感光体を5回転以上除電すると残留電位自体が低くなりすぎるため、RDDの測定誤差が大きくなり、感光体の交換時期判定や交換時期予測の精度が低下することになる。
また、本実施形態4においては、交換時期判定部(9)による感光体の交換時期判定結果や交換時期予測結果が操作パネル等で構成される報知部(11)によって報知される。これにより、ユーザー若しくはサービスマンは、報知部(11)によって報知された情報を基に、適切なタイミングで感光体の交換をすることができる。
さらに、ユーザー若しくはサービスマンが、感光体の交換時期予測結果の報知を受けることにより、感光体の寿命が到来する前に交換用の感光体を予め手配しておくこともできる。
また、感光体のユーザー交換ができない場合においても、感光体の交換時期予測結果の報知を受けることで、サービスマンがユーザー先を訪問する計画を効率的に立てることもできるため、画像形成装置のダウンタイムが低減され、結果として生産性向上に貢献することができる。
次に、交換時期判定部(9)で実行される交換時期判定・予測工程について説明する。
図11は、本実施形態4の交換時期判定・予測工程の処理の流れを示すフローチャートである。
図11に示すように、感光体10回転以上の画像形成動作が終了し感光体回転が停止した直後の残留電位R1を測定する(S1)。
次いで、感光体回転停止Tsec後の残留電位Rtを測定する(S2)。
そして、これらの測定値R1、Rtから、残留電位暗減衰量=(R1−Rt) (%)を算出し(S3)、これを記録メモリ(10)に記録する(S4)。
次に、RDDと、予め設定されている交換時期判定基準値Rdを比較して、RDD≧Rdであるかどうかを判断する(S5)。RDD≧Rdである場合(S6)、報知部(11)によって感光体の交換時期を報知する(S7)。
RDDを測定する前の画像形成動作の感光体の回転回数は、感光体、帯電手段および露光手段の種類、構成、構造、形態にもよるが、10回転以上が好ましい。10回転未満であるとRDDが増大しないため、測定精度に誤差が生じやすくなる。
通常、露光後電位VLの差が20[V]未満であればJob内濃度変動に関して問題はないが、20[V]以上であるとJob内濃度変動が無視できないものとなる。
それに対応するRDDの交換時期判定基準値Rdとしては、例えば実施形態4では、10sec間でRd=30Vが好適であった。
一方、上記処理ステップS5においてRDD<Rdである場合、まず、RDDを算出した直前の画像形成動作終了後の感光体累積回転数Nを回転数カウント手段に記録する(S8)。
そして、記録メモリ(10)に記憶されている感光体累積回転数と標準的なRDDとの関係を示す情報(すなわち、感光体が寿命に至るまでの標準的なRDDの経時変化情報)を参照して、RDD=Rdとなるときの感光体の累積回転数(寿命到達累積回転数)を算出し、算出した寿命到達累積回転数を感光体の寿命到達時期の予測値とする(S9)。
そして、算出した寿命到達累積回転数と上記処理ステップS8において記録した感光体累積回転数Nとから、今後何枚印刷を行ったら感光体が寿命に至るといった残寿命を算出し、その算出結果を報知部(11)によってユーザーやサービスマンに報知する(S10)。
一般に、上記RDDは、感光体の劣化に従って上昇する傾向を示すが、感光体の累積回転数の増加に対して一定の割合で増加するとは限らない。
例えば、感光体累積回転数に対してRDDが指数関数的に増加する傾向を示す場合もある。そのため、予め、画像形成装置において、感光体が実際に寿命に至るまでに、感光体累積回転数の増加に従ってRDDがどのような挙動を示すかという標準的なRDDの経時変化情報を調べておき、その経時変化情報に基づくと共に、測定により得られたRDDを経時変化情報にフィードバックさせて、感光体の交換時期判定や交換時期予測を行うのが、より正確な交換時期判定や交換時期予測を実現できる点で好ましい。
具体的には、例えば、過去に検出したRDDの推移から、感光体累積回転数に対するRDDの傾きを計算し、これを、現時点からの記録メモリ(10)内の経時変化情報を用いた外挿予測若しくは予め把握しておいた感光体累積回転数に対する標準的なRDDの傾きデータ及び予め設定された交換時期判定基準値dとを照らし合わせることによって、今後何枚印刷を行ったら感光体が寿命に至るのかといった残寿命を判断することができる。
〔実施形態5〕
次に、本発明の他の実施形態(以下「実施形態5」という。)について説明する。
上記実施形態4に係る画像形成装置は、感光体を1つ備えたモノクロ画像形成装置であったが、本発明は複数の感光体を備えたいわゆるタンデム型のカラー画像形成装置にも同様に適用でき、全感光体の交換時期がおおよそ同時期となるようにしてすべての感光体を一括して交換できるように、感光体入れ替え判断工程を実施する。
図12は、本実施形態5における感光体入れ替え判断工程の流れを示すフローチャートである。
本実施形態5では、4つの感光体それぞれについて上記実施形態4における図11に示した流れで交換時期判定・予測工程と同様の処理を実行する。
そして、その工程中の処理ステップS5において、すべての感光体についてRDDと交換時期判定基準値Rdとの比較結果がRDD≧Rdでないと判断されたとき、上記交換時期判定・予測工程中における各感光体の予測結果を報知する処理ステップS10に代えて、図12に示す感光体入れ替え判断工程を実施する。
感光体入れ替え判断工程では、まず、図11に示した交換時期判定・予測工程中の処理ステップS9において予測した寿命到達時期から判断される各感光体の残寿命に基づき、残寿命が最も短い感光体を特定する(S21)。
そして、この感光体の残寿命と予め設定された寿命手前の特定値eとを比較して、この感光体の残寿命が特定値e以下であるかどうかを判断する(S22)。
この判断において当該感光体の残寿命が特定値eを超えている場合には、図11に示した交換時期判定・予測工程中の処理ステップS10と同様に、残寿命が最も短い感光体の残寿命の判断結果を報知部(11)によってユーザーやサービスマンに報知する(S23)。
なお、感光体ごとの残寿命の判断結果を報知するようにしてもよい。
一方、上記処理ステップS22において、残寿命が最も短い感光体の残寿命が特定値e以下であると判断された場合、次に、各感光体の残寿命に基づいて残寿命が長い感光体を特定する(S24)。
そして、上記処理ステップS21で特定した残寿命が最も短い感光体と上記処理ステップS24で特定した残寿命が最も長い感光体とを入れ替えることを促す内容の報知処理を報知部(11)により行う(S25)。
この報知は、残寿命が最も短い感光体と残寿命が最も長い感光体との間で残寿命の差が規定値以上である場合だけ行うようにしてもよい。
本実施形態5において、実際の使用環境や使用条件の下で一定期間使用された後に各感光体の残寿命を判断することにより、その実際の使用環境や使用条件下における色ごとの相対的な劣化速度が把握できる。
本実施形態5では、残寿命が最も短い感光体の残寿命が特定値eを超えるまでは、所定のタイミングで、残寿命が最も短い感光体と残寿命が最も長い感光体との入れ替えを促す内容の報知処理がなされる。そして、この報知を受けて、ユーザーやサービスマンにより残寿命が最も短い感光体と残寿命が最も長い感光体とが互いに入れ替えられることで、その後は、最も残寿命が残っている感光体が最も劣化速度が速い色について使用され、かつ、最も残寿命が少ない感光体が最も劣化速度が遅い色について使用されることになる。
その結果、入れ替え後に当該画像形成装置が一定期間使用されることで、残寿命が最も短い感光体と残寿命が最も長い感光体との間の残寿命差が縮まっていく。これにより、このような入れ替えを行わない場合よりも、全感光体の交換時期を互いに近付けることができ、感光体の寿命を多く残したまま交換するというような無駄が少ない状態で、すべての感光体を一括して交換できる。特に、このような感光体入れ替え判断工程を繰り返し行うことで、全感光体の交換時期をほぼ同時期に調整することが可能となるので、より無駄の少ない状態で全感光体の一括交換が可能となる。
〔変形例〕
次に、上記実施形態4及び上記実施形態5における一変形例について説明する。
画像形成装置に用いられる感光体は、上述したように、繰り返される画像形成の中で様々なダメージを受けて劣化する。また、感光体は画像形成時以外でも、例えば急激な環境変化(温度および/又は湿度の変化)や、装置内に残存した放電生成物の付着などによるダメージを受ける。これらのダメージにより、感光体の劣化状態が通常の感光体劣化推移から大きく逸脱し、感光体の劣化が突発的に進んだ状態になることがある。しかしながら、このような突発的な感光体の劣化は、画像形成動作やリフレッシュ動作などが行われることで、例えばクリーニングブレードにより感光体表面を摺擦することにより回復する場合がある。そのため、たまたま突発的な感光体劣化時に行った測定に基づくRDDを用いて感光体の交換時期判定・予測工程を行うと、本来の交換時期よりも前に寿命であると判定してしまったり、残寿命の判断誤差が大きくなったりする。本変形例は、このような突発的な感光体の劣化が生じていても精度の高い交換時期判定や交換時期予測を可能とするものである。
図13は、図11に示した交換時期判定・予測工程中の処理ステップS3と処理ステップS4の間に挿入される本変形例に係る追加処理工程を示すフローチャートである。
図11に示した交換時期判定・予測工程中の処理ステップS3でRDDを算出したら、まず、記録メモリ(10)内の経時変化情報(累積回転数に対する標準的なRDDの推移)から、今回の測定時である累積回転数Nに対応した標準変動量RDD(N)を算出する(S31)。
そして、変動量RDDと標準変動量RDD(N)との差を算出し、その算出結果と予め設定された設定値fとを比較する(S32)。この比較において|RDD−RDD(N)|≦fである場合には、そのまま上記処理ステップS4に進み、上記処理ステップS3で算出した変動量RDDを記録メモリ(10)に記録し、その変動量RDDに基づいて交換時期判定や交換時期予測が行われる。
一方、上記処理ステップS32の比較において|RDD−RDD(N)|≦fでない場合には、算出した変動量RDDは採用せず、α時間経過後(S33)の感光体10回転以上の画像形成動作が終了し感光体回転が停止した直後の残留電位R1を再度測定し(S34)、感光体回転停止Tsec後の残留電位Rtも再度測定し(S35)、残留電位暗減衰量=(R1−Rt) (V)を再算出する(S36)。
ここでは、α時間経過後に再度変動量RDDを算出する場合であるが、感光体回転数がβ回転した後、変動量RDDを算出するようにしてもよい。算出されたRDDを記録メモリ(10)に記録する(S4)。そして、以後の処理には、上記処理ステップS36で算出した変動量RDDを用いて交換時期判定や交換時期予測を行う。
ここで、時間αは感光体の一時的な劣化が回復するために必要な時間以上に設定されるものであり、回転数βは一時的な劣化が回復するために必要な感光体回転数である。これらの値α、βは、短期間(あるいは感光体を数回回転させるだけ)で回復する場合や、長期間経過しないと回復しない場合もあるので、適宜設定される。ここで、長期間経過しないと回復しない場合は、例えば感光体を暖める、感光体表面にトナーを入力しながら感光体を回転させて感光体表面を強制的に磨耗させるなど、感光体を回復させるためのリフレッシュ処理を加えてもよい。
なお、変動量RDDと標準変動量RDD(N)との差を算出した際、その算出結果が大きいときには、その旨を報知部(11)によってユーザーやサービスマンに報知するようにしてもよい。
〔実施形態6〕
次に、本発明の他の実施形態6について説明する。
上記実施形態4、実施形態5及びその変形例に係る画像形成装置は、画像形成装置に交換時期判定手段が具備されていたが、実施形態6では実施形態4、5及びその変形例の構成で、測定算出されたRDD値を通信手段により外部送信し、外部の記憶装置に記録し、外部寿命判断手段により、感光体の寿命や交換時期を判断し、通信手段により本画像形成装置にその判断結果を受信し、本画像形成装置の操作パネル等で構成される報知部(11)によって感光体交換や予測交換時期が報知される。この場合、判断基準値や判断アルゴリズムを外部で適宜変更することができ、様々な使用条件(環境、画像形成ヴォリューム等)にフレキシブルに対応した感光体交換時期判定や交換時期予測が可能となる。
以上、残留電位変動量RDDにより感光体寿命を検知する場合について説明した。
上記実施形態4及び上記実施形態5(上記変形例を含む。以下同じ。)の画像形成装置は、少なくとも、帯電手段、露光手段、現像手段、像担持体、該像担持体の表面電位検知手段、該像担持体の累積回転数カウント手段を有する画像形成装置において、該表面電位検知手段によって、画像形成動作終了後の像担持体の回転終了後の残留電位を検知し、残留電位の時間変化から残留電位暗減衰量を算出記録し、画像形成装置使用時に記録された該残留電位暗減衰量の推移から、予め設定された比較値に基づいて該上記像担持体の交換時期が到来したか否かを判定している。この交換時期判定に用いる変動量RDDは、繰り返しの画像形成動作過程における露光後電位の変動と相関があり、Job内濃度変動による画質劣化の度合いを示す指標となる。よって、Job内濃度変動の発生によって到来する感光体の寿命を適切に判定することができる。
また、上記実施形態4及び上記実施形態5の画像形成装置は、交換時期判定結果を報知する判定結果報知手段を有しているので、ユーザーやサービスマンが感光体が寿命を迎えたことを把握してダウンタイムの低減を図ることができる。
また、上記実施形態5の画像形成装置は、複数の感光体を備え、これらの感光体上に形成された各トナー像を被転写材へ転写するタンデム型の構成であり、露光後電位測定手段を感光体ごとに設け、感光体ごとに寿命が到来したか否かを判定する。これにより、個々の感光体の劣化速度に応じて各感光体の交換時期の到来を適切に判定することができる。
また、上記実施形態4及び上記実施形態5の画像形成装置は、少なくとも、帯電手段、露光手段、現像手段、像担持体、該像担持体の表面電位検知手段、該像担持体の累積回転数カウント手段を有する画像形成装置において、該表面電位検知手段によって、画像形成動作終了後の像担持体の回転終了後の残留電位を検知し、残留電位の時間変化から残留電位暗減衰量を算出記録し、画像形成装置使用時に記録された該残留電位暗減衰量の推移から、予め設定された比較値に基づいて上記像担持体の交換時期を予測している。この交換時期予測に用いる変動量RDDは、繰り返しの画像形成動作過程における露光後電位の変動と相関があり、Job内濃度変動による画質劣化の度合いを示す指標となる。よって、Job内濃度変動の発生する感光体であるか否かを適切に予測することができる。
特に、上記実施形態4及び上記実施形態5の画像形成装置は、上記変動量RDDと、累積回転数増加に伴う変動量の経時変化情報と、から上記感光体の交換時期を予測する。これにより、当該画像形成装置における変動量RDDの推移(経時変化)が特有の経時変化を示す場合でも、高い精度で交換時期予測を行うことができる。
また、上記変形例の画像形成装置において、感光体の累積回転数と基準変動量RDD(N)との関係を予め特定し、該変動量と予め特定した基準変動量との差が規定値よりも大きいときには、所定期間経過後に改めてRDDを算出し、感光体の交換時期を予測する。これにより、突発的な測定異常による交換時期判定ミスや交換時期予測ミスを抑制できる。
また、上記実施形態4及び上記実施形態5の画像形成装置は、感光体の交換時期の予測結果を報知する予測結果報知手段を有しているので、ユーザーやサービスマンが感光体の交換時期を予測して感光体交換準備を整えることができるので、ダウンタイム低減に有効である。
また、上記実施形態5の画像形成装置は、複数の感光体を備え、これらの感光体上に形成された各トナー像を被転写材へ転写するタンデム型の構成であり、露光後電位測定手段を感光体ごとに設け、感光体ごとに交換時期を予測する。これにより、個々の感光体の劣化速度に応じて各感光体の交換時期を適切に予測することができる。
特に、上記実施形態5の画像形成装置において、複数の感光体には、互いに入れ替え可能な2以上の感光体が含まれており、当該2以上の感光体のうち交換時期が最も早いと予測された感光体の交換時期に至る前の所定のタイミングで、該感光体と、該2以上の感光体のうち交換時期が最も遅いと予測された感光体との交換を促す報知を行う交換報知手段を有している。これにより、当該2以上の感光体の交換時期をほぼ同時期に調整することが可能となるので、より無駄の少ない状態で当該2以上の感光体の一括交換が可能となる。
また、上記実施形態6の画像形成装置は、RDD値に基づく交換時期判定や交換時期予測を通信手段により画像形成装置の外部で判断するため、様々な使用条件(環境、画像形成ヴォリューム等)にフレキシブルに対応した高い精度で交換時期判定や交換時期予測を行うことができる。
1 感光体
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 除電手段
8 電位センサ
9 交換時期判定部
10 記録メモリ
11 報知部
80 感光体
81 露光装置
82 現像装置
83 除電手段
84 帯電装置
85 クリーニング装置
86 バイアスローラー
87 中間転写ベルト
88 レジストローラ対
89 紙
90 2次転写ローラ
91 転写ベルト
92 搬送ベルト
93 定着ユニット
94 ファーブラシ
95 電位センサ
101 感光体
102 帯電装置
103 露光装置
104 現像装置
106 転写装置
107 クリーニング装置
108 電位センサ
特開2009−92709号公報 特開平5−100517号公報

Claims (10)

  1. 少なくとも、感光体、該感光体を帯電処理する帯電手段、帯電処理後の感光体表面に静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像を可視化する現像手段を有する画像形成装置であって、
    さらに、感光体の表面電位を測定する表面電位測定手段、感光体の回転数をカウントするカウント手段、表面電位及び/または感光体の回転数を記録する記録メモリ、及び、感光体交換時期判定及び/または感光体交換時期予測手段を有し、
    帯電・露光した後の感光体の表面電位の変化量と、予め設定した標準表面電位変化量とに基き、感光体の交換時期判定及び/または交換時期予測を行うことを特徴とする画像形成装置。
  2. 感光体の表面電位の変化量は、累積回転数がn回転目である感光体を、帯電・露光を行い、累積回転数がn+1回転目であるときの露光後電位をVL1、さらに帯電・露光を繰返し、感光体の累積回転数がn+N回転目であるときの露光後電位VL2としたときの、前記VL1と前記VL2との差であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
    (ただし、n及びNは、1以上の自然数)
  3. 感光体の表面電位の変化量は、帯電・露光を行った後の残留電位を所定時間暗減衰させた残留電位暗減衰量であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 前記残留電位暗減衰量を算出するための残留電位を検知する時間が5秒以上であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記残留電位を検知する前の前記画像形成動作が、感光体の回転数で10回転以上であることを特徴とする請求項3または4に記載の画像形成装置。
  6. 感光体の累積回転数と表面電位の変動量との標準となる関係を予め定め、感光体の累積回転数と測定された表面電位の変動量との関係と、前記予め定めた標準となる関係との差が、規定値よりも大きい場合、感光体交換時期判定及び/または感光体交換時期予測を行わず、所定期間経過後に改めて感光体の表面電位の変化量を測定し、該測定結果に基いて感光体交換時期判定及び/または感光体交換時期予測を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
  7. 感光体の表面電位の変動量または残留電位暗減衰量測定前に、少なくとも1回以上除電することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成装置。
  8. 感光体交換時期判定結果及び/または感光体交換時期予測結果を報知する報知手段を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成装置。
  9. 前記画像形成装置は、複数の感光体を有し、該複数の感光体上に現像された可視像を重ね合わせて画像を形成するものであり、感光体ごとに感光体交換時期判定及び/または感光体交換時期予測を行うことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の画像形成装置。
  10. 前記複数の感光体のうち、交換時期が最も早いと予測された感光体の交換時期に至る前の所定のタイミングで、交換時期が最も早いと予測された感光体と、交換時期が最も遅いと予測された感光体との、交換を促す報知を行う報知手段を有することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014139614A (ja) * 2013-01-21 2014-07-31 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JP2015194602A (ja) * 2014-03-18 2015-11-05 株式会社リコー 定着装置及び画像形成装置
JP2017227736A (ja) * 2016-06-22 2017-12-28 コニカミノルタ株式会社 画像形成装置
JP7524646B2 (ja) 2020-07-20 2024-07-30 株式会社リコー 画像形成装置、及び露光量調整方法

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