JP2014016448A - 光学素子、その製造方法、並びにそれを用いた偏光板、画像表示装置及び立体画像表示システム - Google Patents
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Abstract
【課題】生産性の高い光学素子の提供。
【解決手段】
透明支持体上に、配向膜と、光学異方性層を有し、配向膜が、少なくとも一種のラジカル重合開始剤の分解物及び少なくとも一種の光酸発生剤の分解物を含有し、光学異方性層が、面内遅相軸方向及び位相差の少なくとも一方が互いに異なる第1位相差領域及び第2位相差領域を含み、該第1及び第2位相差領域が、面内において交互に配置されているパターン光学異方性層であり、かつ、液晶化合物を含む組成物から形成される、光学素子。
【選択図】図1
【解決手段】
透明支持体上に、配向膜と、光学異方性層を有し、配向膜が、少なくとも一種のラジカル重合開始剤の分解物及び少なくとも一種の光酸発生剤の分解物を含有し、光学異方性層が、面内遅相軸方向及び位相差の少なくとも一方が互いに異なる第1位相差領域及び第2位相差領域を含み、該第1及び第2位相差領域が、面内において交互に配置されているパターン光学異方性層であり、かつ、液晶化合物を含む組成物から形成される、光学素子。
【選択図】図1
Description
本発明は、光学素子、光学素子の製造方法、並びに、光学素子を用いた偏光板、画像表示装置及び立体画像表示システムに関する。また、かかる光学素子形成に好適に用いることができる、配向膜に関する。
立体画像を表示する3D画像表示装置には、右眼用画像及び左眼用画像を、例えば、互いに反対方向の円偏光画像とするための光学部材が必要である。かかる光学部材には、遅相軸やレターデーション等が互いに異なる領域が規則的に面内に配置されたパターン光学異方性層を有する光学素子が利用されている。
このようなパターン光学異方性層を有する光学素子を製造する方法として、例えば、特許文献1には、光配向膜に対して、パターン状のフォトマスクを通し、偏光を照射することで、異なる配向処理領域が形成された光配向膜を作製、さらに、光配向膜上に棒状液晶化合物を塗布することで、遅相軸の異なる領域を持つ光学フィルムを形成する方法が提案されている。
ここで、パターン光学異方性層を有する光学素子は、生産性の観点からロール・トゥ・ロールで作製することが好ましい。しかしながら、上記特許文献1および特許文献2について本願発明者が検討を行ったところ、これらの方法を用いてロール・トゥ・トールで連続生産した場合に、条件によっては、配向欠陥が生じてしまったり、パターン光学異方性層の領域間の境界線幅が太くなってしまうなどの問題があることが分かった。
特に生産速度を向上しようとした場合に、これらの問題が顕著であることがわかった。
本発明はかかる問題点を解決することを目的としたものであって、配向状態の良好なパターン光学異方性層を有する光学素子を生産性良く提供することを目的とする。
特に生産速度を向上しようとした場合に、これらの問題が顕著であることがわかった。
本発明はかかる問題点を解決することを目的としたものであって、配向状態の良好なパターン光学異方性層を有する光学素子を生産性良く提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討した結果、ラジカル重合開始剤及び光酸発生剤を含有する配向膜を用いて、ロール・トゥ・ロールで生産速度を向上させてパターン光学異方性層を作成した場合、すなわち、配向膜に対して露光量や露光時間が少なくなった場合でも、配向状態の良好なパターン光学異方性層を作成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
前記課題を解決するための手段は、下記<1>の手段であり、好ましくは、下記<2>〜<13>の手段である。
<1>透明支持体上に、配向膜と、光学異方性層を有し、
配向膜が、少なくとも一種のラジカル重合開始剤の分解物及び少なくとも一種の光酸発生剤の分解物を含有し、
光学異方性層が、面内遅相軸方向及び位相差の少なくとも一方が互いに異なる第1位相差領域及び第2位相差領域を含み、該第1及び第2位相差領域が、面内において交互に配置されているパターン光学異方性層であり、かつ、液晶化合物を含む組成物から形成される、光学素子。
<2>液晶化合物が重合性基を有する、<1>に記載の光学素子。
<3>1)支持体上に、ポリマーと、少なくとも一種のラジカル重合開始剤と、少なくとも一種の光酸発生剤とを含む組成物を適用して膜を形成する工程、
2)膜に紫外線を照射し、パターン露光し、パターン配向膜を形成する工程、
3)パターン配向膜上に、液晶化合物を含む組成物を適用する工程、
を該順に含む光学素子の製造方法。
<4>紫外線が、非偏光紫外線である<3>に記載の光学素子の製造方法。
<5>紫外線を膜に対して垂直に照射する<3>又は<4>に記載の光学素子の製造方法。
<6>紫外線の照射時間が0.01〜0.5秒である<3>〜<5>のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
<7>紫外線の照射量が、1〜1000mJ/cm2である<3>〜<6>のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
<8>ラジカル重合開始剤と光酸発生剤の最大吸収波長が互いに異なる、<3>〜<7>のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
<9>少なくとも第1配向制御領域及び第2配向制御領域の2つ領域を有し、該第1及び第2配向制御領域が、面内において交互に配置されており、前記第1及び第2配向制御領域のラジカル重合開始剤の含有量が互いに異なっており、前記第1及び第2配向制御領域の光酸発生剤の含有量が互いに異なっている、パターン配向膜。
<10>1)透明支持体上に、ポリマーと、少なくとも一種のラジカル重合開始剤と、少なくとも一種の光酸発生剤とを含む組成物からなる膜を形成する工程、
2)膜に紫外線を照射し、パターン露光する工程、
を含むパターン配向膜の製造方法。
<11><1>又は<2>に記載の光学素子と、偏光膜とを含み、光学異方性層の第1及び第2位相差領域のそれぞれの面内遅相軸方向と、偏光膜の吸収軸方向のなす角が45°であることを特徴とする偏光板。
<12><1>又は<2>に記載の光学素子を有する立体画像表示装置。
<13><12>に記載の立体画像表示装置と、光学素子の外側に配置される偏光板とを有し、偏光板を通じて立体画像を視認させる立体画像表示システム。
<1>透明支持体上に、配向膜と、光学異方性層を有し、
配向膜が、少なくとも一種のラジカル重合開始剤の分解物及び少なくとも一種の光酸発生剤の分解物を含有し、
光学異方性層が、面内遅相軸方向及び位相差の少なくとも一方が互いに異なる第1位相差領域及び第2位相差領域を含み、該第1及び第2位相差領域が、面内において交互に配置されているパターン光学異方性層であり、かつ、液晶化合物を含む組成物から形成される、光学素子。
<2>液晶化合物が重合性基を有する、<1>に記載の光学素子。
<3>1)支持体上に、ポリマーと、少なくとも一種のラジカル重合開始剤と、少なくとも一種の光酸発生剤とを含む組成物を適用して膜を形成する工程、
2)膜に紫外線を照射し、パターン露光し、パターン配向膜を形成する工程、
3)パターン配向膜上に、液晶化合物を含む組成物を適用する工程、
を該順に含む光学素子の製造方法。
<4>紫外線が、非偏光紫外線である<3>に記載の光学素子の製造方法。
<5>紫外線を膜に対して垂直に照射する<3>又は<4>に記載の光学素子の製造方法。
<6>紫外線の照射時間が0.01〜0.5秒である<3>〜<5>のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
<7>紫外線の照射量が、1〜1000mJ/cm2である<3>〜<6>のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
<8>ラジカル重合開始剤と光酸発生剤の最大吸収波長が互いに異なる、<3>〜<7>のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
<9>少なくとも第1配向制御領域及び第2配向制御領域の2つ領域を有し、該第1及び第2配向制御領域が、面内において交互に配置されており、前記第1及び第2配向制御領域のラジカル重合開始剤の含有量が互いに異なっており、前記第1及び第2配向制御領域の光酸発生剤の含有量が互いに異なっている、パターン配向膜。
<10>1)透明支持体上に、ポリマーと、少なくとも一種のラジカル重合開始剤と、少なくとも一種の光酸発生剤とを含む組成物からなる膜を形成する工程、
2)膜に紫外線を照射し、パターン露光する工程、
を含むパターン配向膜の製造方法。
<11><1>又は<2>に記載の光学素子と、偏光膜とを含み、光学異方性層の第1及び第2位相差領域のそれぞれの面内遅相軸方向と、偏光膜の吸収軸方向のなす角が45°であることを特徴とする偏光板。
<12><1>又は<2>に記載の光学素子を有する立体画像表示装置。
<13><12>に記載の立体画像表示装置と、光学素子の外側に配置される偏光板とを有し、偏光板を通じて立体画像を視認させる立体画像表示システム。
本発明によれば、パターン光学異方性層を有する光学素子の生産性を高めることが可能になった。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。まず、本明細書で用いられる用語について説明する。
Re(λ)、Rth(λ)は、各々、波長λにおける面内のレターデーション、及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH、又はWR(王子計測機器(株)製)において、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。測定されるフィルムが、1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)が算出される。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50°まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH、又はWRが算出する。なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値、及び入力された膜厚値を基に、以下の式(A)、及び式(B)よりRthを算出することもできる。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50°まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH、又はWRが算出する。なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値、及び入力された膜厚値を基に、以下の式(A)、及び式(B)よりRthを算出することもできる。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d・・・・・・・・・・・式(B)
測定されるフィルムが、1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法により、Rth(λ)は算出される。Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として、フィルム法線方向に対して−50°から+50°まで10°ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。また、上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについては、アッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
また、本明細書では、測定波長について特に付記がない場合は、測定波長は550nmである。
また、本明細書において、角度(例えば「90°」等の角度)、及びその関係(例えば「直交」、「平行」、及び「45°で交差」等)については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、厳密な角度±10°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
また、本明細書において、角度(例えば「90°」等の角度)、及びその関係(例えば「直交」、「平行」、及び「45°で交差」等)については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、厳密な角度±10°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
本発明の光学素子(光学フィルム)は、透明支持体上に、配向膜と、光学異方性層を有し、配向膜が、少なくとも一種のラジカル重合開始剤の分解物及び少なくとも一種の光酸発生剤の分解物を含有し、光学異方性層が、面内遅相軸方向及び位相差の少なくとも一方が互いに異なる第1位相差領域及び第2位相差領域を含み、該第1及び第2位相差領域が、面内において交互に配置されているパターン光学異方性層であり、かつ、液晶化合物を含む組成物から形成されることを特徴とする。
本発明の光学素子は、通常、立体画像表示用の画像表示装置の視認側偏光子のさらに外側に配置され、当該光学素子の第1及び第2の位相差領域のそれぞれを通過した偏光画像が、偏光メガネ等を介して右眼用又は左眼用の画像として、認識される。従って、左右画像が不均一とならないように、第1及び第2の位相差領域は、互いに等しい形状であるのが好ましく、またそれぞれの配置は、均等且つ対称的であるのが好ましい。
本発明の光学素子の一例の断面概略図を図1に、上面模式図を図2に示す。図1及び図2に示す光学素子10は、透明支持体16、配向膜14、及び光学異方性層12を有し、光学異方性層12は、画像表示装置内に、第1及び第2の位相差領域12a及び12bが、均等且つ対称に配置されたパターン光学異方性層である。第1及び第2の位相差領域12a及び12bは、互いに直交する面内遅相軸a及びbをそれぞれ有することが好ましい。
光学素子10が有する配向膜14は、ラジカル重合開始剤の分解物及び光酸発生剤の分解物を含有する。配向膜14の一態様は、ポリビニルアルコールもしくは変性ポリビニルアルコール等のポリマーとともに、ラジカル重合開始剤の分解物及び光酸発生剤の分解物を少なくとも含有する態様である。
配向膜14は通常、一方向に配向処理がされている。例えば、図2に示す第1及び第2の位相差領域12a及び12bを有するパターン光学異方性層の形成に利用される配向膜の一態様は、図3に示す通り、第1の位相差領域12aの面内遅相軸a又は第2の位相差領域12bの面内遅相軸bと一致したC1又はC2方向にラビング処理された配向膜である。
可能であれば、配向膜14として光配向膜を利用してもよく、光照射により一方向に配向処理された光配向膜を利用してもよい。但し、ラビング配向膜は一般的には、ある程度の厚みがあっても配向制御能を維持できるので、透明支持体16の表面に凹凸があっても、それを吸収する厚みの配向膜を形成することで、光学異方性層の表面を平坦化することができる一方で、光配向膜は、配向制御能を十分に発揮するためには、厚みを薄くする必要があるが、透明支持体の凹凸を平坦化するには、厚みが厚い方が好ましいため、配向制御能と透明視自体の凹凸平坦化のバランスを考えて厚みを設定するのが好ましい。透明支持体の凹凸を吸収し、パターン光学異方性層を安定的に作製するという観点では、ラビング配向膜を利用する態様が好ましい。
光学異方性層12は、重合性基を有する液晶化合物を含む少なくとも一種の組成物から形成された光学異方性層である。即ち、本発明では、第1及び第2位相差領域を形成するために、異なる成分を添加したり、配合成分の割合を変化させたりしなくても、パターン光学異方性層を形成できる。すなわち、第1位相差領域と第2位相差領域を同じ材料で形成でき、生産性が向上する。ただし、同じ材料によって形成しても、第1および第2位相差領域の形成過程で、化学反応等により、最終的に形成した光学素子における第1および第2位相差領域中の組成が異なっている場合もある。光学異方性層12の一例は、重合性基を有する円盤状液晶化合物を含む一種の組成物から形成された光学異方性層である。光学異方性層中、円盤状液晶化合物は、円盤面を層面に対して垂直にして配向した状態(垂直配向状態)に固定されているのが好ましい。また、前記組成物は、液晶化合物の配向を制御する配向制御剤を含有していてもよい。本発明に使用可能な配向制御剤の例には、配向膜界面側に偏在し、配向膜界面の液晶化合物の配向を制御する配向膜界面配向制御剤、及び空気界面側に偏在し空気界面側の液晶化合物の配向を制御する空気界面配向制御剤が含まれる。光学異方性層12は、双方を含有していてもよい。本発明に利用可能な配向膜界面制御剤の好ましい例には、ピリジニウム化合物及びイミダゾリウム化合物等のオニウム塩が含まれる。
光学異方性層12中には、さらに配向膜14中のラジカル重合開始剤が分解することによって生じた分解物、光酸発生剤が分解することによって生じた酸性化合物又はそのカウンターアニオンが存在していてもよい。一例では、前記ラジカル重合開始剤から発生した分解物、前記光酸発生剤から発生した酸性化合物もしくはその構成イオンが存在し、前記光学異方性層の第1位相差領域及び第2位相差領域中にそれぞれ含有される該酸性化合物もしくはその構成イオンの割合が互いに異なる。この例では、その割合の違いが、第1及び第2の位相差領域中の液晶化合物を、互いに異なる配向状態にすることを可能にしていてもよい。例えば、光学異方性層12が、配向制御剤としてオニウム塩を含有し、少なくとも一部に含まれるオニウム塩と、前記光酸発生剤から発生された酸性化合物とが、アニオン交換されていてもよい。この例では、前記第1及び第2位相差領域中にそれぞれ存在する前記オニウム塩のアニオン交換の割合が互いに異なることにより、第1及び第2の位相差領域中の液晶化合物を、互いに異なる配向状態にすることを可能にしていてもよい。
光学異方性層12の一例は、図2に示すように、第1及び第2位相差領域12a、12bの面内遅相軸a及びbが互いに直交するとともに、面内レターデーションReがλ/4であるパターンλ/4層である。
前記パターンλ/4層は、例えば、透明支持体16の表面上に一様に配向膜を形成し、一方向に配向処理し、配向処理面上にて、前記液晶性硬化性組成物を配向させ、当該配向状態に固定することで形成できる。前記第1及び第2位相差領域12a、12bの一方については、液晶化合物を配向処理方向(例えばラビング方向)に対して直交且つ垂直に配向させ、即ち直交垂直配向させ、他方については、液晶化合物を配向処理方向(例えばラビング方向)に対して平行且つ垂直に配向させ、即ち平行垂直配向させ、それぞれの状態を固定することで、各位相差領域を形成できる。
円偏光を利用する態様では、第1及び第2の光学素子10のRe(550)はλ/4であるのが好ましく、具体的には、λ/4±30nm程度が好ましく、110〜165nmであるのがより好ましく、120〜145nmであることが特に好ましい。透明支持体16が、位相差フィルムである場合は、透明支持体16のRe(550)も含めて、光学素子全体としてRe(550)が前記範囲であるのが好ましい。一例では、透明支持体16は低Reのフィルムからなり、具体的には、透明支持体16のRe(550)が0〜10nmである。
一方、3D表示装置において、視認側偏光子より外側の部材のRth(550)は全体として小さいほど、3D表示装置に組み込んだ時のクロストークを軽減する観点からは好ましく、具体的には、視認側偏光子より外側の部材全体として、Rth(550)の絶対値が20nm以下であるのが好ましい。
一方、3D表示装置において、視認側偏光子より外側の部材のRth(550)は全体として小さいほど、3D表示装置に組み込んだ時のクロストークを軽減する観点からは好ましく、具体的には、視認側偏光子より外側の部材全体として、Rth(550)の絶対値が20nm以下であるのが好ましい。
以下、本発明の配向膜の製造方法、本発明の光学素子の製造方法、及び各部材について、さらに詳細に説明する。
配向膜の製造方法:
本発明のパターン配向膜の製造方法の一例は、
1)透明支持体上に、ポリマーと、少なくとも一種のラジカル重合開始剤と、少なくとも一種の光酸発生剤とを含む組成物からなる膜を形成する工程、
2)膜に紫外線を照射し、パターン露光する工程、
を含む。
配向膜の製造方法:
本発明のパターン配向膜の製造方法の一例は、
1)透明支持体上に、ポリマーと、少なくとも一種のラジカル重合開始剤と、少なくとも一種の光酸発生剤とを含む組成物からなる膜を形成する工程、
2)膜に紫外線を照射し、パターン露光する工程、
を含む。
本発明の光学素子の製造方法の一例は、
1)透明支持体上に、少なくとも一種のラジカル重合開始剤及び少なくとも一種の光酸発生剤を含む組成物からなる膜を形成する工程、
2)膜に紫外線光を露光し、パターン露光し、パターン配向膜を形成する工程、
3)パターン配向膜上に、重合性基を有する液晶化合物を含む一種の組成物を塗布して塗膜を形成する工程を該順で含む。
本願では1)工程にて形成した少なくとも一種のラジカル重合開始剤及び少なくとも一種の光酸発生剤を含む組成物からなる膜を、露光前配向膜と呼ぶことがある。
パターン露光とは、配向膜の一部の領域のみが露光されるように行う露光のことをいい、具体的には、フォトマスクを用いた露光方法などのことをいう。
1)透明支持体上に、少なくとも一種のラジカル重合開始剤及び少なくとも一種の光酸発生剤を含む組成物からなる膜を形成する工程、
2)膜に紫外線光を露光し、パターン露光し、パターン配向膜を形成する工程、
3)パターン配向膜上に、重合性基を有する液晶化合物を含む一種の組成物を塗布して塗膜を形成する工程を該順で含む。
本願では1)工程にて形成した少なくとも一種のラジカル重合開始剤及び少なくとも一種の光酸発生剤を含む組成物からなる膜を、露光前配向膜と呼ぶことがある。
パターン露光とは、配向膜の一部の領域のみが露光されるように行う露光のことをいい、具体的には、フォトマスクを用いた露光方法などのことをいう。
前記方法では、パターン光学異方性層の形成に、一方向に配向処理された配向膜を利用することが好ましく、ラビング処理又は光配向処理された配向膜を利用することが特に好ましく、ラビング処理されたラビング配向膜を利用することが最も好ましい。なお、配向処理は、1)工程と2)工程との間に、又は2)工程と3)工程との間に、実施することができる。1)工程と2)工程との間に実施するのが好ましい。
ラビング配向膜は、ラビング処理によって配向制御能を発現する。通常、一方向にラビング処理された配向膜上で液晶化合物を配向させると、液晶化合物は、ラビング方向に対して、その遅相軸を平行にして、又は直交にして配向する。いずれの配向状態になるかは、配向膜材料、液晶化合物、及び配向制御剤の1以上の種類等によって決定される。後述するように、本発明では、配向膜への紫外線照射によって発生する酸性化合物の効果により、配向膜材料を分解、及び、配向制御剤の配向膜界面偏在性を変化の少なくともどちらか一方の作用が起こり、ラビング方向に対して液晶化合物の遅相軸が直交配向した配向状態、及びラビング方向に対して液晶化合物の遅相軸が平行配向した配向状態を、それぞれ実現している。第1及び第2の位相差領域の形状及び配置は、2)工程に用いられるフォトマスクを選択することで、所望の形状及び配置のパターンにすることができる。立体画像表示用の画像表示装置に用いられる態様では、前記第1及び第2の位相差領域が、互いの短辺の長さがほぼ等しい帯状であり、かつ交互に繰り返しパターニングされていることが好ましい。
前記本発明の方法では、上記3)の組成物が適用されるときのパターン配向膜は、通常、少なくとも第1配向制御領域及び第2配向制御領域の2つ領域を有し、該第1及び第2配向制御領域が、面内において交互に配置されており、第1及び第2配向制御領域におけるラジカル重合開始剤の分解物の含有量が互いに異なっており、第1及び第2配向制御領域における光酸発生剤の分解物の含有量が互いに異なっている。すなわち、前記本発明の方法では、パターン配向膜の紫外線照射領域上の液晶化合物の遅相軸を第一の方向に配向させ、パターン配向膜の紫外線未照射領域上の液晶化合物の遅相軸を第一の方向とは異なる第二の方向に配向させる。紫外線照射により、光酸発生剤が分解し、紫外線照射領域と紫外線未照射領域とでは、酸発生剤の分解によって生じる酸性化合物の割合に差が生じ、それによって液晶化合物の配向方向を変化させることができる。一例は、以下の通りである。
紫外線未照射領域ではラジカル重合開始剤及び光酸発生剤は、上記2)で形成されたパターン配向膜の段階において、ほぼ未分解のままであり、露光前配向膜材料、液晶化合物、及び所望により添加される配向制御剤の相互作用が配向状態を支配し、液晶化合物を、その遅相軸がラビング方向と直交する方向に配向させる。紫外線照射領域で酸性化合物が発生すると、その相互作用はもはや支配的ではなくなり、ラビング配向膜のラビング方向が配向状態を支配し、液晶化合物は、その遅相軸をラビング方向と平行にして平行配向する。これらの状態を達成する条件は、使用する各材料の種類、量及び紫外線照射条件によって変動し、一概に決めることはできない。本発明では、酸性化合物の生成及び拡散が起こるため、温湿度等の環境条件や照射量がパターン精度に寄与する。例えば、ラビング処理や液晶化合物の塗布配向工程は高湿条件で行われることが好ましく、具体的には、湿度は40%以上であることが特に好ましく、60%以上であることがより好ましい。光学異方性層形成に利用される組成物に少量の水を添加しておくことも好ましい態様である。
紫外線未照射領域ではラジカル重合開始剤及び光酸発生剤は、上記2)で形成されたパターン配向膜の段階において、ほぼ未分解のままであり、露光前配向膜材料、液晶化合物、及び所望により添加される配向制御剤の相互作用が配向状態を支配し、液晶化合物を、その遅相軸がラビング方向と直交する方向に配向させる。紫外線照射領域で酸性化合物が発生すると、その相互作用はもはや支配的ではなくなり、ラビング配向膜のラビング方向が配向状態を支配し、液晶化合物は、その遅相軸をラビング方向と平行にして平行配向する。これらの状態を達成する条件は、使用する各材料の種類、量及び紫外線照射条件によって変動し、一概に決めることはできない。本発明では、酸性化合物の生成及び拡散が起こるため、温湿度等の環境条件や照射量がパターン精度に寄与する。例えば、ラビング処理や液晶化合物の塗布配向工程は高湿条件で行われることが好ましく、具体的には、湿度は40%以上であることが特に好ましく、60%以上であることがより好ましい。光学異方性層形成に利用される組成物に少量の水を添加しておくことも好ましい態様である。
2)工程では、紫外線照射して、紫外線照射領域の前記ラジカル重合開始剤を分解させ、前記光酸発生剤の分解を促進させ、紫外線照射領域に酸性化合物を発生させる。これにより、光酸発生剤の分解とともに酸性化合物の生成及び拡散が起こる。2)の工程は、フォトマスク下、紫外線を照射することが好ましい。このため、フォトマスク下での照射には、紫外線を用い、非偏光紫外線を用いるのが好ましい。また、露光前配向膜に対して垂直に紫外線を照射することも好ましい。照射波長としては200〜400nmにピークを有することが好ましく、その照射量は、1〜1000mJ/cm2程度であることが好ましく、1〜100mJ/cm2程度であることがさらに好ましく、1〜50mJ/cm2程度であることが特に好ましい。照射量がこの範囲であれば、良好なパターン解像度にてパターンを形成することができる。パターン解像度を向上させるためには、室温で露光することが好ましい。
また、本発明では、ラジカル重合開始剤により酸性化合物の生成感度が上昇しているため、ラジカル重合開始剤を用いない系に比べ、紫外線の照射時間を短くすることができる。具体的には、紫外線の照射時間は、0.01〜0.5秒間が好ましく、0.02〜0.4秒間がより好ましく、0.02〜0.3秒間がさらに好ましい。
また、本発明では、ラジカル重合開始剤により酸性化合物の生成感度が上昇しているため、ラジカル重合開始剤を用いない系に比べ、紫外線の照射時間を短くすることができる。具体的には、紫外線の照射時間は、0.01〜0.5秒間が好ましく、0.02〜0.4秒間がより好ましく、0.02〜0.3秒間がさらに好ましい。
ラジカル重合開始剤の分解率が高い方の領域における、ラジカル重合開始剤の分解率としては、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上が特に好ましい。光酸発生剤の分解率が高い方の領域における、光酸発生剤の分解率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。
また、ラジカル重合開始剤の分解率が低い方の領域における、ラジカル重合開始剤の分解率としては、10%以下であることが好ましく、5%以下であることが特に好ましい。光酸発生剤の分解率が低い方の領域における光酸発生剤の分解率としては、10%以下であることが好ましく、5%以下であることが特に好ましい。
ラジカル重合開始剤が光酸発生剤の分解を促進・進行させるためには、ラジカル重合開始剤及び光酸発生剤の最大吸収波長は異なることが好ましい。ラジカル重合開始剤及び光酸発生剤の一態様は、ラジカル重合開始剤及び光酸発生剤の最大吸収波長が紫外領域内(400nm以下)であり、光酸発生剤の最大吸収波長がラジカル重合開始剤の最大吸収波長よりも長波長側である。具体的には、ラジカル重合開始剤及び光酸発生剤の最大吸収波長は、10〜100nm異なることが好ましく、30〜70nm異なることがより好ましい。
本発明に利用可能なラジカル重合開始剤及び光酸発生剤の詳細については後述する。
また、ラジカル重合開始剤の分解率が低い方の領域における、ラジカル重合開始剤の分解率としては、10%以下であることが好ましく、5%以下であることが特に好ましい。光酸発生剤の分解率が低い方の領域における光酸発生剤の分解率としては、10%以下であることが好ましく、5%以下であることが特に好ましい。
ラジカル重合開始剤が光酸発生剤の分解を促進・進行させるためには、ラジカル重合開始剤及び光酸発生剤の最大吸収波長は異なることが好ましい。ラジカル重合開始剤及び光酸発生剤の一態様は、ラジカル重合開始剤及び光酸発生剤の最大吸収波長が紫外領域内(400nm以下)であり、光酸発生剤の最大吸収波長がラジカル重合開始剤の最大吸収波長よりも長波長側である。具体的には、ラジカル重合開始剤及び光酸発生剤の最大吸収波長は、10〜100nm異なることが好ましく、30〜70nm異なることがより好ましい。
本発明に利用可能なラジカル重合開始剤及び光酸発生剤の詳細については後述する。
上記例では、3)工程に用いられる前記組成物(通常は、塗布液)が配向膜界面配向制御剤を含有し、2)工程でパターン配向膜の紫外線照射領域に発生した酸性化合物もしくはその構成イオンが、配向膜界面配向制御剤の配向膜界面偏在性を減少させることによって、パターン配向膜の光照射領域と光未照射領域とで配向制御能に差をもたせてもよい。配向膜界面配向制御剤としてオニウム塩を用いると、円盤状液晶化合物を、ラビング軸に対して円盤面を直交にして且つ円盤面を層面に対して垂直にして配向(即ち直交垂直配向)させることができる。パターン配向膜の紫外線未照射領域上では、該配向膜界面配向制御剤が配向膜界面に偏在し、円盤状液晶化合物を直交垂直配向させるが、パターン配向膜の紫外線照射領域上では、該配向膜界面制御剤の配向膜界面偏在性が、ラジカル重合開始剤及び光酸発生剤が分解することによって生じたラジカル重合開始剤の分解物、酸性化合物又はそれを構成するイオンによって軽減され、配向膜界面配向制御剤の作用は弱められる。その結果、ラビング処理によって発現された配向制御能が支配的になり、円盤状液晶化合物は、ラビング軸に対して円盤面を平行にして且つ円盤面を層面に対して垂直にして配向、即ち平行垂直配向状態に転移する。
この態様では、配向膜界面配向制御剤の配向膜界面偏在性の減少は、配向膜界面配向制御剤を構成しているイオンと、紫外線照射領域に発生した酸性化合物の構成イオンとのイオン交換により生じてもよい。例えば、配向膜界面配向制御剤としてピリジニウム化合物及びイミダゾリウム化合物等のオニウム塩を用いた例では、オニウム塩と、紫外線照射領域に発生した酸性化合物とのアニオン交換により、オニウム塩の配向膜界面偏在性が減少してもよい。
この態様では、配向膜界面配向制御剤の配向膜界面偏在性の減少は、配向膜界面配向制御剤を構成しているイオンと、紫外線照射領域に発生した酸性化合物の構成イオンとのイオン交換により生じてもよい。例えば、配向膜界面配向制御剤としてピリジニウム化合物及びイミダゾリウム化合物等のオニウム塩を用いた例では、オニウム塩と、紫外線照射領域に発生した酸性化合物とのアニオン交換により、オニウム塩の配向膜界面偏在性が減少してもよい。
本発明の光学素子の製造方法では、以下の4)及び5)の工程を含んでいてもよい。
4)温度T1℃でパターン配向膜の紫外線照射領域上の液晶化合物の遅相軸を第一の方向に配向させ、パターン配向膜の紫外線未照射領域上の液晶化合物の遅相軸を第一の方向とは異なる第二の方向に配向させる工程
5)温度T2(但し、T1>T2)℃で重合反応を進行させて配向状態を固定化し、互いに面内遅相軸方向が異なる第1位相差領域及び第2位相差領域を含むパターン光学異方性層を形成する工程。
4)温度T1℃でパターン配向膜の紫外線照射領域上の液晶化合物の遅相軸を第一の方向に配向させ、パターン配向膜の紫外線未照射領域上の液晶化合物の遅相軸を第一の方向とは異なる第二の方向に配向させる工程
5)温度T2(但し、T1>T2)℃で重合反応を進行させて配向状態を固定化し、互いに面内遅相軸方向が異なる第1位相差領域及び第2位相差領域を含むパターン光学異方性層を形成する工程。
5)工程における、配向状態の固定も、光照射(例えば、紫外線照射)により、重合性液晶化合物の重合反応を進行させることで達成するのが好ましい。照射エネルギーは、10mJ/cm2〜10J/cm2であることが好ましく、25〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。照度は10〜1000mW/cm2であることが好ましく、20〜500mW/cm2であることがより好ましく、40〜350mW/cm2であることがさらに好ましい。照射波長としては250〜450nmにピークを有することが好ましく、300〜410nmにピークを有することがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは加熱条件下で光照射を実施してもよい。光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)あるいはショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)が好ましく用いられる。
なお、配向状態の固定のための重合反応は、迅速に進行するので、5)工程において全面に光照射され、その段階で光酸発生剤が分解しても、光学異方性層の配向状態への影響はない。一方、本発明の光学素子に含まれる配向膜については、上記2)のパターン配向膜では、ラジカル重合開始剤および光酸発生剤の分解率の低かった領域についても、ラジカル重合開始剤および酸発生剤の大部分が分解している場合もある。
なお、配向状態の固定のための重合反応は、迅速に進行するので、5)工程において全面に光照射され、その段階で光酸発生剤が分解しても、光学異方性層の配向状態への影響はない。一方、本発明の光学素子に含まれる配向膜については、上記2)のパターン配向膜では、ラジカル重合開始剤および光酸発生剤の分解率の低かった領域についても、ラジカル重合開始剤および酸発生剤の大部分が分解している場合もある。
5)工程における配向状態の固定は、温度T2℃であって、4)工程の液晶化合物の配向温度T1℃との関係で、T1>T2を満足する温度で行う。この条件を満足すると、配向状態の乱れを抑制しつつ、配向状態の固定が可能となる。T1℃及びT2℃それぞれの好ましい温度範囲は、選択する材料等に応じて変動する。一般的には、T1℃は約50〜約150℃であり、T2℃は約20〜約120℃である。またT1とT2との差は、約10〜約100℃であるのが好ましい。
配向膜:
上記1)及び2)工程により、パターン光学異方性層を実現できるパターン配向膜を形成する。さらに、1)工程と2)工程との間に、又は2)工程と3)工程との間に、一方向に配向処理することが好ましい。1)工程と2)工程との間に実施するのが好ましい。配向処理は、ラビング処理が好ましい。即ち、ラビング配向膜を利用するのが好ましい。
本発明に利用可能な「ラビング配向膜」とは、ラビングによって、液晶分子の配向制御能を有するように処理された膜を意味する。ラビング配向膜には、液晶分子を配向制御する配向軸があり、当該配向軸に従って、液晶分子は配向する。本発明では、液晶分子は、パターン配向膜の紫外線照射領域でラビング方向に対して液晶の遅相軸が平行になるように配向し、紫外線未照射領域で液晶分子の遅相軸がラビング方向に対して直交配向するように、配向膜の材料、酸発生剤、液晶化合物、及び配向制御剤を選択する。
上記1)及び2)工程により、パターン光学異方性層を実現できるパターン配向膜を形成する。さらに、1)工程と2)工程との間に、又は2)工程と3)工程との間に、一方向に配向処理することが好ましい。1)工程と2)工程との間に実施するのが好ましい。配向処理は、ラビング処理が好ましい。即ち、ラビング配向膜を利用するのが好ましい。
本発明に利用可能な「ラビング配向膜」とは、ラビングによって、液晶分子の配向制御能を有するように処理された膜を意味する。ラビング配向膜には、液晶分子を配向制御する配向軸があり、当該配向軸に従って、液晶分子は配向する。本発明では、液晶分子は、パターン配向膜の紫外線照射領域でラビング方向に対して液晶の遅相軸が平行になるように配向し、紫外線未照射領域で液晶分子の遅相軸がラビング方向に対して直交配向するように、配向膜の材料、酸発生剤、液晶化合物、及び配向制御剤を選択する。
ラビング処理は、一般にはポリマーを主成分とする膜の表面を、紙や布で一定方向に数回擦ることにより実施することができる。ラビング処理の一般的な方法については、例えば、「液晶便覧」(丸善社発行、平成12年10月30日)に記載されている。
長尺状の偏光膜であって、吸収軸が長手方向の偏光膜と貼り合わせるには、長尺のポリマーフィルムからなる透明支持体上に配向膜を形成し、長手方向に対して45°の方向に連続的にラビング処理して、ラビング配向膜を形成するのが好ましい。
長尺状の偏光膜であって、吸収軸が長手方向の偏光膜と貼り合わせるには、長尺のポリマーフィルムからなる透明支持体上に配向膜を形成し、長手方向に対して45°の方向に連続的にラビング処理して、ラビング配向膜を形成するのが好ましい。
可能であれば(例えば、ラジカル重合開始剤及び光酸発生剤の分解のための光照射と、光配向機能発現のための光照射を分離して実行できる場合は)、光配向膜を利用してもよい。
光配向膜(光反応性配向膜)とは、ある特定の波長の光に対して反応する分子もしくは置換基を含有する配向膜のことであり、光によって分解、異性化、2量化もしくは多量化(重合)することで配向制御能を変化させることができる配向膜のことをいう。光によって分解する分子もしくは置換基としては、ラジカル重合開始剤など、分解によりラジカルを発生するもの、もしくは特定の保護基によって保護された官能基が光反応によって脱保護し、親疎水性などが変化するものなどが挙げられる。光によって異性化する分子もしくは置換基としてはシンナモイル基やアゾ基など、光によってシス−トランス異性化を起こすものが挙げられ、直線偏光もしくは基材に対して斜めから照射された非偏光によって、特定の方向の分子もしくは置換基を異性化させることより、配向制御能を付与するいわゆる光配向膜が例として挙げられる。光によって2量化する分子もしくは置換基としては、シンナモイル基などが挙げられ、これも直線偏光などによる配向性の付与が可能である。光によって多量化する分子もしくは置換基としては、アクリル基やメタクリル基など一般的な重合性基が挙げられ、ラジカル重合開始剤などを添加することで、光照射によって重合反応を起こすことができる。
光配向膜への配向制御能の付与には、上記偏光露光および斜めから照射された非偏光による光配向膜の異性化の他に、ラビング処理による配向膜表面への配向制御能の付与が挙げられる。
光配向膜への配向制御能の付与には、上記偏光露光および斜めから照射された非偏光による光配向膜の異性化の他に、ラビング処理による配向膜表面への配向制御能の付与が挙げられる。
ラビング配向膜及び光配向膜は、一般的にはポリマーを主成分とする。ラビング配向膜の配向膜用ポリマー材料としては、多数の文献に記載があり、多数の市販品を入手することができる。本発明において利用されるポリマー材料は、ポリビニルアルコール又はポリイミド、及びその誘導体が好ましい。特に変性又は未変性のポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールは、種々の鹸化度のものが存在する。本発明では、鹸化度85〜99程度のものを用いるのが好ましい。
ポリビニルアルコールとしては、市販品を用いてもよく、例えば、「PVA103」、「PVA203」(クラレ社製)等は、上記鹸化度のPVAである。ラビング配向膜については、WO01/88574A1号公報の43頁24行〜49頁8行、特許第3907735号公報の段落番号[0071]〜[0095]に記載の変性ポリビニルアルコールを参照することができる。ラビング配向膜の厚さは、0.01〜10μmであることが好ましく、0.01〜1μmであることがさらに好ましい。
ポリビニルアルコールとしては、市販品を用いてもよく、例えば、「PVA103」、「PVA203」(クラレ社製)等は、上記鹸化度のPVAである。ラビング配向膜については、WO01/88574A1号公報の43頁24行〜49頁8行、特許第3907735号公報の段落番号[0071]〜[0095]に記載の変性ポリビニルアルコールを参照することができる。ラビング配向膜の厚さは、0.01〜10μmであることが好ましく、0.01〜1μmであることがさらに好ましい。
光配向膜としては、重合性基を有する変性ポリビニルアルコール、ポリイミド、及びその誘導体、特開2011−2577612号公報記載の光配向膜などが挙げられ、前記重合性基としてはアクリル基、メタクリル基などが挙げられ、WO01/88574A1号公報の43頁24行〜49頁8行、特許第3907735号公報の段落番号[0071]〜[0095]に記載の変性ポリビニルアルコールなどを用いることができる。
ラジカル重合開始剤:
本発明に係わるパターン配向膜は、少なくとも一種のラジカル重合開始剤を含有する。ラジカル重合開始剤とは、紫外線等の光照射により分解し、ラジカルを発生させる化合物である。
本発明に係わるパターン配向膜は、少なくとも一種のラジカル重合開始剤を含有する。ラジカル重合開始剤とは、紫外線等の光照射により分解し、ラジカルを発生させる化合物である。
ラジカル重合開始剤としては、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物等が好ましい。
前記ラジカル重合開始剤の最大吸収波長としては、使用光源における発光波長との関係から最適なものを選ぶことができる。また、光学素子作製時の着色の観点から、前記ラジカル重合開始剤の最大吸収波長は400nm以下であることが好ましく、250〜380nmがより好ましく、270〜350nmがさらに好ましい。
支持体上に前記配向膜を作製する際に、水を含む溶媒に溶かして塗布する場合、前記ラジカル重合開始剤は水への溶解度が高いほうが好ましい。
水への溶解度としては、25℃において0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることが更に好ましい。
水への溶解度としては、25℃において0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることが更に好ましい。
このようなラジカル重合開始剤としては、例えば、分子中にヒドロキシ基を有する化合物が挙げられ、その中でも、Irgacure2959(チバガイギー社製)が好ましい。
また、分子中にモルフォリノ基などのプロトン受容部位を有する化合物も挙げられ、その中でも、Irgacure907(チバガイギー社製)が好ましい。
また、分子中にモルフォリノ基などのプロトン受容部位を有する化合物も挙げられ、その中でも、Irgacure907(チバガイギー社製)が好ましい。
前記ラジカル重合開始剤は、配向膜中に、ポリマーと架橋して取り込まれていてもよいし、分子としてそのまま含まれていてもよい。
前記アセトフェノン系化合物としては、例えば、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられ、これらの中でも2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンが好ましい。
前記ベンジル系化合物としては、例えば、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられ、これらの中でも1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましい。
前記ベンゾインエーテル系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
前記ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーズケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン等が挙げられる。
前記チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は、一種又は二種以上のものを所望の性能に応じて配合して使用することができる。
前記ラジカル重合開始剤のパターン配向膜の紫外線未照射領域における含有量としては、紫外線未照射領域に含まれる高分子化合物の全固形分の1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、2質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
光酸発生剤:
本発明に係わるパターン配向膜は、少なくとも一種の光酸発生剤を含有する。光酸発生剤とは、紫外線等の光照射により分解し酸性化合物を発生する化合物である。前記光酸発生剤が、光照射により分解して酸性化合物を発生すると、配向膜の配向制御能に変化が生じる。ここでいう配向制御能の変化は、配向膜単独の配向制御能の変化として特定されるものであっても、配向膜とその上に配置される光学異方性層形成用組成物中に含まれる添加剤等とによって達成される配向制御能の変化として特定されるものであってもよいし、また、これらの組み合わせとして特定されるものであってもよい。
本発明に係わるパターン配向膜は、少なくとも一種の光酸発生剤を含有する。光酸発生剤とは、紫外線等の光照射により分解し酸性化合物を発生する化合物である。前記光酸発生剤が、光照射により分解して酸性化合物を発生すると、配向膜の配向制御能に変化が生じる。ここでいう配向制御能の変化は、配向膜単独の配向制御能の変化として特定されるものであっても、配向膜とその上に配置される光学異方性層形成用組成物中に含まれる添加剤等とによって達成される配向制御能の変化として特定されるものであってもよいし、また、これらの組み合わせとして特定されるものであってもよい。
液晶化合物が円盤状(ディスコティック)液晶化合物である場合は、オニウム塩を添加することで、直交垂直配向状態になる場合がある。分解により発生した酸と、該オニウム塩とが、アニオン交換すると、該オニウム塩の配向膜界面における偏在性が低下し、直交垂直配向効果を低下させ、平行垂直配向状態を形成させてもよい。また、例えば、配向膜がポリビニルアルコール系配向膜である場合には、そのエステル部分が発生した酸により分解し、その結果、前記オニウム塩の配向膜界面偏在性を変化させてもよい。
前記配向膜に用いられる光酸発生剤としては、水溶性の化合物が好ましく用いられる。使用可能な光酸発生剤の例には、Prog. Polym. Sci., 23巻、1485頁(1998年)に記載の化合物が含まれる。
前記光酸発生剤としては、ピリジニウム塩、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩が特に好ましく用いられる。ピリジニウム塩、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩の好ましい例としては、下記の一般式で表される塩をそれぞれ挙げることができる。
前記光酸発生剤としては、ピリジニウム塩、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩が特に好ましく用いられる。ピリジニウム塩、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩の好ましい例としては、下記の一般式で表される塩をそれぞれ挙げることができる。
式中、Rはそれぞれ水素原子、炭素原子数1〜6の直鎖アルキル基もしくは分岐アルキル基、炭素原子数1〜6の直鎖アルコキシ基もしくは分岐アルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、又はハロゲン原子である。Yは、炭素原子数1〜6の直鎖アルキル基もしくは分岐アルキル基、炭素原子数1〜6の直鎖アルコキシ基もしくは分岐アルコキシ基である。X―は、ピリジニウム塩、ヨードニウム塩又はスルホニウム塩の対アニオンを表し、分解により生じる酸性化合物のアニオンになる。好ましくはPF6 -、BF4 -、又はCnF2n+1SO3 -(但し、nは1〜5の整数)である。例えば、X―がBF4 -である光酸発生剤からは、分解により酸HBF4が発生し、X―がPF6 -である光酸発生剤からは、HPF6が発生し、X―がCnF2n+1SO3 -である光酸発生剤からは、CnF2n+1SO3Hが発生する。
前記光酸発生剤の最大吸収波長としては、使用光源における発光波長との関係から最適なものを選ぶことができる。また、光学異方性素子作製時の着色の観点から、前記光酸発生剤の最大吸収波長は400nm以下であることが好ましく、240〜380nmがより好ましく、280〜350nmがさらに好ましい。
水への溶解度としては、25℃において0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることが更に好ましい。
以下に、本発明に利用可能な光酸発生剤の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。また、以下の具体例では、アニオンが特定された塩を例示するが、当該アニオンを他のアニオンに置き換えた具体例も、使用可能な光酸発生剤の具体例として例示される。
上記具体例の中でも、I−16、17、34〜37が好ましく、I−35がより好ましい。これらの光酸発生剤は、一種又は二種以上のものを所望の性能に応じて配合して使用することができる。
前記光酸発生剤のパターン配向膜の紫外線未照射領域における含有量としては、紫外線未照射領域に含まれる高分子化合物の全固形分の1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、2質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
前記配向膜の形成に利用される組成物は、塗布液として調製するのが好ましい。塗布の調製に用いられる溶媒は、水を含有しているのが好ましく、より好ましくは水を20質量%以上、さらに好ましくは50〜80質量%含む。含水溶媒により調製した塗布液を使用することで、支持体上に塗布する際、溶媒による支持体の溶出を抑制または制御することができる。
パターン光学異方性層:
上記3)工程で、パターン配向膜の表面に、通常、塗布液として調製された、重合性基を有する液晶化合物を主成分とする一種の組成物を適用(好ましくは、塗布)する。適用方法としては特に制限はなく、カーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーテティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ワイヤーバー法等の公知の方法が挙げられる。
上記3)工程で、パターン配向膜の表面に、通常、塗布液として調製された、重合性基を有する液晶化合物を主成分とする一種の組成物を適用(好ましくは、塗布)する。適用方法としては特に制限はなく、カーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーテティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ワイヤーバー法等の公知の方法が挙げられる。
一般的に、液晶化合物はその形状から、棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、いずれの液晶化合物を用いることもできるが、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を用いるのが好ましい。2種以上の棒状液晶化合物、2種以上の円盤状液晶化合物、又は棒状液晶化合物と円盤状液晶化合物との混合物を用いてもよい。温度変化や湿度変化を小さくできることから、反応性基を有する棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を用いて形成することがより好ましく、少なくとも1つは1液晶分子中の反応性基が2以上あることがさらに好ましい。液晶化合物は二種類以上の混合物でもよく、その場合少なくとも1つが2以上の反応性基を有していることが好ましい。
棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11−513019号公報や特開2007−279688号公報に記載のものを好ましく用いることができ、ディスコティック液晶化合物としては、例えば、特開2007−108732号公報や特開2010−244038号公報に記載のものを好ましく用いることができるが、これらに限定されない。
棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11−513019号公報や特開2007−279688号公報に記載のものを好ましく用いることができ、ディスコティック液晶化合物としては、例えば、特開2007−108732号公報や特開2010−244038号公報に記載のものを好ましく用いることができるが、これらに限定されない。
液晶化合物が重合条件の異なる2種類以上の反応性基を有することもまた好ましい。この場合、条件を選択して複数種類の反応性基の一部種類のみを重合させることにより、未反応の反応性基を有する高分子を含む光学異方性層を作製することが可能となる。用いる重合条件としては重合固定化に用いる電離放射線の波長域でもよいし、用いる重合機構の違いでもよいが、好ましくは用いる開始剤の種類によって制御可能な、ラジカル性の反応基とカチオン性の反応基の組み合わせがよい。前記ラジカル性の反応性基がアクリル基および/またはメタクリル基であり、かつ前記カチオン性基がビニルエーテル基、オキセタン基および/またはエポキシ基である組み合わせが反応性を制御しやすく特に好ましい。
本発明では、前述のように、重合性基を有する液晶化合物、特に、重合性基を有するディスコティック液晶化合物の垂直配向を実現するために、オニウム塩を添加することが好ましい。
本発明に使用可能なオニウム塩としては、特開2012−008170号公報に記載の化合物の中から選んで用いることができる。
オニウム塩は、その添加量が、液晶化合物に対して5質量%を超えることはなく、0.1〜2質量%程度であるのが好ましい。
本発明に使用可能なオニウム塩としては、特開2012−008170号公報に記載の化合物の中から選んで用いることができる。
オニウム塩は、その添加量が、液晶化合物に対して5質量%を超えることはなく、0.1〜2質量%程度であるのが好ましい。
液晶化合物の空気界面における配向を制御することを目的としてフルオロ脂肪族基含有共重合体を添加してもよい。フルオロ脂肪族基含有共重合体を添加することで、液晶化合物の分子の空気界面近傍におけるチルト角を増加させる作用がある。さらに、ムラ、ハジキなどの塗布性も改善される。
本発明に使用可能なフルオロ脂肪族基含有共重合体としては、特開2004−333852号、同2004−333861号、同2005−134884号、同2005−179636号、及び同2005−181977号などの各公報及び明細書に記載の化合物の中から選んで用いることができる。特に好ましくは、特開2005−179636号、及び同2005−181977号の各公報及び明細書に記載の、フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ{−OP(=O)(OH)2}}及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを側鎖に含むポリマーである。
フルオロ脂肪族基含有共重合体は、その添加量が、液晶化合物に対して2質量%を超えることはなく、0.1〜1質量%程度であるのが好ましい。
フルオロ脂肪族基含有共重合体は、その添加量が、液晶化合物に対して2質量%を超えることはなく、0.1〜1質量%程度であるのが好ましい。
この様にして形成する光学異方性層の厚みについては特に制限されないが、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜5μmであるのがより好ましい。
透明支持体:
本発明に利用可能な透明支持体(支持体フィルム)としては、その材料については特に制限はない。低レターデーションのポリマーフィルムを用いるのが好ましく、具体的には、面内レターデーションの絶対値が約10nm以下のフィルムを用いるのが好ましい。偏光膜とパターン位相差フィルムとの間に、偏光膜の保護膜が配置されている態様でも、該保護膜として、低レターデーションのポリマーフィルムを用いるのが好ましく、具体的範囲については、上記通りである。
本発明に利用可能な透明支持体(支持体フィルム)としては、その材料については特に制限はない。低レターデーションのポリマーフィルムを用いるのが好ましく、具体的には、面内レターデーションの絶対値が約10nm以下のフィルムを用いるのが好ましい。偏光膜とパターン位相差フィルムとの間に、偏光膜の保護膜が配置されている態様でも、該保護膜として、低レターデーションのポリマーフィルムを用いるのが好ましく、具体的範囲については、上記通りである。
本発明に使用可能な支持体フィルムを形成する材料としては、例えば、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、又は前記ポリマーを混合したポリマーも例としてあげられる。また本発明の高分子フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の紫外線硬化型、熱硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
また、前記フィルムの材料としては、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を好ましく用いることが出来る。熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製のアートン等があげられる。
また、前記フィルムの材料としては、従来偏光板の透明保護フィルムとして用いられてきた、トリアセチルセルロースに代表される、セルロース系ポリマー(以下、セルロースアシレートという)を好ましく用いることが出来る。
前記支持体フィルムの製法については特に制限はなく、溶液製膜法であっても溶融製膜法であってもよい。また、レターデーションの調整のために延伸処理が施された延伸フィルムを用いてもよい。
偏光板:
本発明は、本発明の光学素子を有する偏光板にも関する。本発明の偏光板の一態様は、本発明の光学素子と、偏光膜とを含み、前記光学異方性層の第1及び第2の位相差領域のそれぞれの面内遅相軸方向と、偏光膜の吸収軸方向とが45°にして配置される。本発明の偏光板は、立体画像表示用の画像表示装置の視認側偏光板として、光学素子を視認側に向けて配置される。
本発明の偏光板は、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様の偏光板のみならず、帯状、すなわち、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様(例えば、ロール長2500m以上や3900m以上の態様)の偏光板も含まれる。大画面液晶表示装置用とするためには、上記した通り、偏光板の幅は1470mm以上とすることが好ましい。
本発明は、本発明の光学素子を有する偏光板にも関する。本発明の偏光板の一態様は、本発明の光学素子と、偏光膜とを含み、前記光学異方性層の第1及び第2の位相差領域のそれぞれの面内遅相軸方向と、偏光膜の吸収軸方向とが45°にして配置される。本発明の偏光板は、立体画像表示用の画像表示装置の視認側偏光板として、光学素子を視認側に向けて配置される。
本発明の偏光板は、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様の偏光板のみならず、帯状、すなわち、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様(例えば、ロール長2500m以上や3900m以上の態様)の偏光板も含まれる。大画面液晶表示装置用とするためには、上記した通り、偏光板の幅は1470mm以上とすることが好ましい。
偏光板の製造方法:
本発明の偏光板の製造方法の一例は、
透明支持体であるセルロースアシレートフィルム等の長尺のポリマーフィルムを搬送しつつ、その上に、
少なくとも一種のラジカル重合開始剤及び光酸発生剤を含む組成物からなる膜を形成すること、
膜を、フィルム搬送方向に対して約斜め45度方向に連続的にラビング処理すること、
ストライプ状のフォトマスクを、フォトマスクの遮光部/透過部の境界線がフィルム搬送方向と平行になるように配置してマスク下で紫外線照射して、照射部分に酸性化合物を発生させパターン配向膜を形成すること、
パターン配向膜上に、重合性基を有する液晶化合物を主成分とする一種の組成物を塗布して塗膜を形成すること、
温度T1℃でパターン配向膜の紫外線照射領域上の液晶化合物の遅相軸を第一の方向に配向させ、パターン配向膜の紫外線未照射領域上の液晶化合物の遅相軸を第一の方向と直交する方向に配向させること、
温度T2(但し、T1>T2)℃で(全面露光により)重合反応を進行させて配向状態を固定化し、互いに面内遅相軸方向が直交する第1相差領域及び第2位相差領域を含むパターン光学異方性層を形成すること、
透過軸が幅方向にある長尺の偏光膜と、ロール・トゥ・ロールで積層すること、
を含む方法により製造することができる。
前記偏光板の製造方法は、連続生産できる観点から、従来の製造方法よりも製造コストが低い。また、ラビング方向がフィルム搬送方向に対して約斜め45度方向であると、得られたロール状の偏光板を斜めに打ち抜く必要がなく、偏光板製造時の製造コストも低下させることができる。
本発明の偏光板の製造方法の一例は、
透明支持体であるセルロースアシレートフィルム等の長尺のポリマーフィルムを搬送しつつ、その上に、
少なくとも一種のラジカル重合開始剤及び光酸発生剤を含む組成物からなる膜を形成すること、
膜を、フィルム搬送方向に対して約斜め45度方向に連続的にラビング処理すること、
ストライプ状のフォトマスクを、フォトマスクの遮光部/透過部の境界線がフィルム搬送方向と平行になるように配置してマスク下で紫外線照射して、照射部分に酸性化合物を発生させパターン配向膜を形成すること、
パターン配向膜上に、重合性基を有する液晶化合物を主成分とする一種の組成物を塗布して塗膜を形成すること、
温度T1℃でパターン配向膜の紫外線照射領域上の液晶化合物の遅相軸を第一の方向に配向させ、パターン配向膜の紫外線未照射領域上の液晶化合物の遅相軸を第一の方向と直交する方向に配向させること、
温度T2(但し、T1>T2)℃で(全面露光により)重合反応を進行させて配向状態を固定化し、互いに面内遅相軸方向が直交する第1相差領域及び第2位相差領域を含むパターン光学異方性層を形成すること、
透過軸が幅方向にある長尺の偏光膜と、ロール・トゥ・ロールで積層すること、
を含む方法により製造することができる。
前記偏光板の製造方法は、連続生産できる観点から、従来の製造方法よりも製造コストが低い。また、ラビング方向がフィルム搬送方向に対して約斜め45度方向であると、得られたロール状の偏光板を斜めに打ち抜く必要がなく、偏光板製造時の製造コストも低下させることができる。
偏光膜:
本発明では、偏光膜として一般的な直線偏光膜を用いることができる。偏光膜は延伸フィルムからなっていても、塗布により形成される層であってもよい。前者の例には、ポリビニルアルコールの延伸フィルムをヨウ素又は二色性染料等で染色したフィルムが挙げられる。後者の例には、二色性液晶性色素を含む組成物を塗布して、所定の配向状態に固定した層が挙げられる。
本発明では、偏光膜として一般的な直線偏光膜を用いることができる。偏光膜は延伸フィルムからなっていても、塗布により形成される層であってもよい。前者の例には、ポリビニルアルコールの延伸フィルムをヨウ素又は二色性染料等で染色したフィルムが挙げられる。後者の例には、二色性液晶性色素を含む組成物を塗布して、所定の配向状態に固定した層が挙げられる。
粘着層:
本発明における偏光板は、光学素子と偏光膜との間に粘着層が配置されていてもよい。光学素子と偏光膜との積層のために用いられる粘着層とは、例えば、動的粘弾性測定装置で測定したG’とG”との比(tanδ=G”/G’)が0.001〜1.5である物質のことを表し、いわゆる、粘着剤やクリープしやすい物質等が含まれる。粘着剤については特に制限はなく、例えば、ポリビニルアルコール系粘着剤を用いることができる。
本発明における偏光板は、光学素子と偏光膜との間に粘着層が配置されていてもよい。光学素子と偏光膜との積層のために用いられる粘着層とは、例えば、動的粘弾性測定装置で測定したG’とG”との比(tanδ=G”/G’)が0.001〜1.5である物質のことを表し、いわゆる、粘着剤やクリープしやすい物質等が含まれる。粘着剤については特に制限はなく、例えば、ポリビニルアルコール系粘着剤を用いることができる。
反射防止層:
偏光板の、液晶セルと反対側に配置される側の表面には、反射防止層などの機能性膜を設けることが好ましい。特に、本発明では透明保護膜上に少なくとも光散乱層と低屈折率層がこの順で積層した反射防止層又は透明保護膜上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層した反射防止層が好適に用いられる。これは、特に3D画像を表示する場合に、外光反射によるフリッカが発生してしまうのを効果的に防ぐことができるからである。上記反射防止層は、さらにハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を有していてもよい。上記反射防止層を構成する各層の詳細については、特開2007−254699号公報の[0182]〜[0220]に記載があり、本発明に利用可能な反射防止層についても好ましい特性、好ましい材料等について、同様である。
偏光板の、液晶セルと反対側に配置される側の表面には、反射防止層などの機能性膜を設けることが好ましい。特に、本発明では透明保護膜上に少なくとも光散乱層と低屈折率層がこの順で積層した反射防止層又は透明保護膜上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層した反射防止層が好適に用いられる。これは、特に3D画像を表示する場合に、外光反射によるフリッカが発生してしまうのを効果的に防ぐことができるからである。上記反射防止層は、さらにハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を有していてもよい。上記反射防止層を構成する各層の詳細については、特開2007−254699号公報の[0182]〜[0220]に記載があり、本発明に利用可能な反射防止層についても好ましい特性、好ましい材料等について、同様である。
画像表示装置及び立体画像表示システム:
本発明は、本発明の光学素子を有する画像表示装置及び立体画像表示システムにも関する。本発明の画像表示装置の一例は、本発明の光学素子を有する態様であり、具体的には、
第1及び第2の偏光膜;
第1及び第2の偏光膜の間に配置される、少なくとも一方に電極を有し対向配置された一対の基板と、該一対の基板間の液晶層とを含む液晶セル;及び
第1偏光膜の外側に本発明の光学素子;を少なくとも有する画像表示装置であって、
前記第1偏光膜の吸収軸方向と、前記光学素子の第1及び第2位相差領域の面内遅相軸がそれぞれ±45°の角度をなすことを特徴とする画像表示装置である。
また、本発明の立体画像表示システムの一例は、前記画像表示装置と、前記光学素子の外側に配置される第3の偏光板とを少なくとも備え、第3の偏光板を通じて立体画像を視認させる立体画像表示システムである。
本発明は、本発明の光学素子を有する画像表示装置及び立体画像表示システムにも関する。本発明の画像表示装置の一例は、本発明の光学素子を有する態様であり、具体的には、
第1及び第2の偏光膜;
第1及び第2の偏光膜の間に配置される、少なくとも一方に電極を有し対向配置された一対の基板と、該一対の基板間の液晶層とを含む液晶セル;及び
第1偏光膜の外側に本発明の光学素子;を少なくとも有する画像表示装置であって、
前記第1偏光膜の吸収軸方向と、前記光学素子の第1及び第2位相差領域の面内遅相軸がそれぞれ±45°の角度をなすことを特徴とする画像表示装置である。
また、本発明の立体画像表示システムの一例は、前記画像表示装置と、前記光学素子の外側に配置される第3の偏光板とを少なくとも備え、第3の偏光板を通じて立体画像を視認させる立体画像表示システムである。
本発明の画像表示装置は、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)等、いずれの表示モードの態様であってもよい。
第3の偏光板:
本発明の立体画像表示システムでは、特に3D映像とよばれる立体画像を視認者に認識させるため、眼鏡形状の偏光板(第3の偏光板)を通して画像を認識する。
[偏光眼鏡]
本発明の映像表示システムは、右眼鏡と左眼鏡の遅相軸が直交する偏光眼鏡を含み、前記光学素子の前記第1及び第2の位相差領域のいずれか一方から出射された右眼用画像光が右眼鏡を透過し、且つ左眼鏡で遮光され;前記第1及び第2の位相差領域の他方から出射された左眼用画像光が左眼鏡を透過し、且つ右眼鏡で遮光されるように構成されていることが好ましい。
前記偏光眼鏡は、位相差機能層と直線偏光子を含むことで偏光眼鏡を形成している。なお、直線偏光子と同等の機能を有するその他の部材を用いてもよい。
本発明の立体画像表示システムでは、特に3D映像とよばれる立体画像を視認者に認識させるため、眼鏡形状の偏光板(第3の偏光板)を通して画像を認識する。
[偏光眼鏡]
本発明の映像表示システムは、右眼鏡と左眼鏡の遅相軸が直交する偏光眼鏡を含み、前記光学素子の前記第1及び第2の位相差領域のいずれか一方から出射された右眼用画像光が右眼鏡を透過し、且つ左眼鏡で遮光され;前記第1及び第2の位相差領域の他方から出射された左眼用画像光が左眼鏡を透過し、且つ右眼鏡で遮光されるように構成されていることが好ましい。
前記偏光眼鏡は、位相差機能層と直線偏光子を含むことで偏光眼鏡を形成している。なお、直線偏光子と同等の機能を有するその他の部材を用いてもよい。
偏光眼鏡を含め、本発明の映像表示システムの具体的な構成について説明する。まず、本発明の光学素子は、映像表示パネルの交互に繰り返されている複数の第一ライン上と複数の第二ライン上(例えば、ラインが水平方向であれば水平方向の奇数ライン上と偶数ライン上であり、ラインが垂直方向であれば垂直方向の奇数ライン上と偶数ライン上でもよい)に偏光変換機能が異なる前記第1の位相差領域と前記第2の位相差領域が設けられている。円偏光を表示に利用する場合には、上述の前記第1の位相差領域と前記第2の位相差領域の位相差は、ともにλ/4であることが好ましく、前記第1の位相差領域と前記第2の位相差領域は遅相軸が直交していることがより好ましい。
円偏光を利用する場合、前記第1の位相差領域と前記第2の位相差領域の位相差値をともにλ/4とし、映像表示パネルの奇数ラインに右眼用画像を表示し、奇数ライン位相差領域の遅相軸が45度方向であるならば、偏光眼鏡の右眼鏡と左眼鏡にともにλ/4板を配置することが好ましく、偏光眼鏡の右眼鏡のλ/4板の遅相軸は具体的には略45度に固定すればよい。また、上記の状況であれば、同様に、映像表示パネルの偶数ラインに左眼用画像を表示し、偶数ライン位相差領域の遅相軸が135度方向であるならば、偏光眼鏡の左眼鏡の遅相軸は具体的には略135度に固定すればよい。
更に、一度前記パターニング位相差フィルムにおいて円偏光として画像光を出射し、偏光眼鏡により偏光状態を元に戻す観点からは、上記の例の場合の右眼鏡の固定する遅相軸の角度は正確に水平方向45度に近いほど好ましい。また、左眼鏡の固定する遅相軸の角度は正確に水平135度(又は−45度)に近いほど好ましい。
更に、一度前記パターニング位相差フィルムにおいて円偏光として画像光を出射し、偏光眼鏡により偏光状態を元に戻す観点からは、上記の例の場合の右眼鏡の固定する遅相軸の角度は正確に水平方向45度に近いほど好ましい。また、左眼鏡の固定する遅相軸の角度は正確に水平135度(又は−45度)に近いほど好ましい。
また、例えば前記映像表示パネルが液晶表示パネルである場合、液晶表示パネルのフロント側偏光板の吸収軸方向が通常、水平方向であり、前記偏光眼鏡の直線偏光子の吸収軸が該フロント側偏光板の吸収軸方向に直交する方向であることが好ましく、前記偏光眼鏡の直線偏光子の吸収軸は鉛直方向であることがより好ましい。
また、前記液晶表示パネルのフロント側偏光板の吸収軸方向と、前記パターニング位相差フィルムの奇数ライン位相差領域と偶数ライン位相差領域の各遅相軸は、偏光変換の効率上、45度をなすことが好ましい。
なお、このような偏光眼鏡と、パターニング位相差フィルム及び液晶表示装置の好ましい配置については、例えば特開2004−170693号公報に開示がある。
また、前記液晶表示パネルのフロント側偏光板の吸収軸方向と、前記パターニング位相差フィルムの奇数ライン位相差領域と偶数ライン位相差領域の各遅相軸は、偏光変換の効率上、45度をなすことが好ましい。
なお、このような偏光眼鏡と、パターニング位相差フィルム及び液晶表示装置の好ましい配置については、例えば特開2004−170693号公報に開示がある。
偏光眼鏡の例としては、特開2004−170693号公報に記載のものや、市販品として、Zalman製、ZM−M220Wの付属品を挙げることができる。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
<アルカリ鹸化処理した透明支持体の作製>
TD80UL(富士フイルム(株)製)を、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、フィルムの片面に下記に示す組成のアルカリ溶液を、バーコーターを用いて塗布量14ml/m2で塗布し、110℃に加熱し、(株)ノリタケカンパニーリミテド製のスチーム式遠赤外ヒーターの下に、10秒間搬送した。続いて、同じくバーコーターを用いて、純水を3ml/m2塗布した。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に、70℃の乾燥ゾーンに10秒間搬送して乾燥し、アルカリ鹸化処理したTD80ULを作製した。
────────────────────────────────────
アルカリ溶液の組成(質量部)
────────────────────────────────────
水酸化カリウム 4.7質量部
水 15.8質量部
イソプロパノール 63.7質量部
界面活性剤
SF−1:C14H29O(CH2CH2O)20H 1.0質量部
プロピレングリコール 14.8質量部
────────────────────────────────────
<アルカリ鹸化処理した透明支持体の作製>
TD80UL(富士フイルム(株)製)を、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、フィルムの片面に下記に示す組成のアルカリ溶液を、バーコーターを用いて塗布量14ml/m2で塗布し、110℃に加熱し、(株)ノリタケカンパニーリミテド製のスチーム式遠赤外ヒーターの下に、10秒間搬送した。続いて、同じくバーコーターを用いて、純水を3ml/m2塗布した。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に、70℃の乾燥ゾーンに10秒間搬送して乾燥し、アルカリ鹸化処理したTD80ULを作製した。
────────────────────────────────────
アルカリ溶液の組成(質量部)
────────────────────────────────────
水酸化カリウム 4.7質量部
水 15.8質量部
イソプロパノール 63.7質量部
界面活性剤
SF−1:C14H29O(CH2CH2O)20H 1.0質量部
プロピレングリコール 14.8質量部
────────────────────────────────────
<露光前配向膜付透明支持体A1の作製>
上記作製した支持体の、鹸化処理を施した面に、下記の組成の配向膜塗布液を#14のワイヤーバーで連続的に塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、露光前配向膜付透明支持体A1を形成した。露光前配向膜の膜厚は、0.5μmであった。
────────────────────────────────────
配向膜形成用塗布液の組成
────────────────────────────────────
配向膜用ポリマー材料(P−1) 2.4質量部
光酸発生剤(I−35)(最大吸収波長300nm) 0.2質量部
ラジカル重合開始剤(イルガキュア2959、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)(最大吸収波長280nm)
0.2質量部
メタノール 16.7質量部
イソプロピルアルコール 7.4質量部
水 73.1質量部
────────────────────────────────────
上記作製した支持体の、鹸化処理を施した面に、下記の組成の配向膜塗布液を#14のワイヤーバーで連続的に塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、露光前配向膜付透明支持体A1を形成した。露光前配向膜の膜厚は、0.5μmであった。
────────────────────────────────────
配向膜形成用塗布液の組成
────────────────────────────────────
配向膜用ポリマー材料(P−1) 2.4質量部
光酸発生剤(I−35)(最大吸収波長300nm) 0.2質量部
ラジカル重合開始剤(イルガキュア2959、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)(最大吸収波長280nm)
0.2質量部
メタノール 16.7質量部
イソプロピルアルコール 7.4質量部
水 73.1質量部
────────────────────────────────────
<紫外線露光>
次に、透過部の横ストライプ幅363μm、遮蔽部の横ストライプ幅363μmのストライプマスクを露光前配向膜付透明支持体A1上に配置し、室温空気下にて、200nm〜400nmの波長領域における照度500mW/cm2の紫外線照射装置(Light Hammer 10、240W/cm、Fusion UV Systems社製)を光源ユニットとして用いて紫外線を0.06秒間(30mJ/cm2)照射しパターン配向膜を形成した。このとき、マスクを介さずに別途同量の紫外線を露光した露光前配向膜を水およびメタノールを用いて抽出し、光酸発生剤およびラジカル重合開始剤の残存率を測定したところ、それぞれ14%および40%であった。
次に、透過部の横ストライプ幅363μm、遮蔽部の横ストライプ幅363μmのストライプマスクを露光前配向膜付透明支持体A1上に配置し、室温空気下にて、200nm〜400nmの波長領域における照度500mW/cm2の紫外線照射装置(Light Hammer 10、240W/cm、Fusion UV Systems社製)を光源ユニットとして用いて紫外線を0.06秒間(30mJ/cm2)照射しパターン配向膜を形成した。このとき、マスクを介さずに別途同量の紫外線を露光した露光前配向膜を水およびメタノールを用いて抽出し、光酸発生剤およびラジカル重合開始剤の残存率を測定したところ、それぞれ14%および40%であった。
<パターン光学異方性層の形成>
上記紫外線露光後のパターン配向膜付透明支持体A1を、ストライプマスクのストライプに対して45°の角度を保持して500rpmで一方向に1往復、ラビング処理を行った。次いで、下記の光学異方性層用塗布液を、バーコーターを用いて塗布量4ml/m2で塗布した。さらに、膜面温度110℃で2分間加熱熟成した後、80℃まで冷却し空気下にて20mW/cm2の空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を20秒間照射して、その配向状態を固定化することによりパターン光学異方性層を形成した。マスク露光部分(第1位相差領域)は、ラビング方向に対し遅相軸方向が平行にディスコティック液晶化合物が垂直配向しており、未露光部分(第2位相差領域)は直交に垂直配向していた。なお、光学異方性層の膜厚は、0.9μmであった。
上記紫外線露光後のパターン配向膜付透明支持体A1を、ストライプマスクのストライプに対して45°の角度を保持して500rpmで一方向に1往復、ラビング処理を行った。次いで、下記の光学異方性層用塗布液を、バーコーターを用いて塗布量4ml/m2で塗布した。さらに、膜面温度110℃で2分間加熱熟成した後、80℃まで冷却し空気下にて20mW/cm2の空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を20秒間照射して、その配向状態を固定化することによりパターン光学異方性層を形成した。マスク露光部分(第1位相差領域)は、ラビング方向に対し遅相軸方向が平行にディスコティック液晶化合物が垂直配向しており、未露光部分(第2位相差領域)は直交に垂直配向していた。なお、光学異方性層の膜厚は、0.9μmであった。
光学異方性層塗布液の組成
────────────────────────────────────────
ディスコティック液晶E−2 100質量部
配向膜界面配向剤(II−1) 3.0質量部
空気界面配向剤(P−2) 0.4質量部
光重合開始剤 3.0質量部
(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
増感剤(カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製) 1.0質量部
メチルエチルケトン 400質量部
────────────────────────────────────────
────────────────────────────────────────
ディスコティック液晶E−2 100質量部
配向膜界面配向剤(II−1) 3.0質量部
空気界面配向剤(P−2) 0.4質量部
光重合開始剤 3.0質量部
(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
増感剤(カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製) 1.0質量部
メチルエチルケトン 400質量部
────────────────────────────────────────
(実施例2)
<露光前配向膜付透明支持体A2の作製>
露光前配向膜付透明支持体A1の作製に用いた配向膜塗布液の、光酸発生剤を前記例示化合物I−22(最大吸収波長246nm)に変更する以外は、実施例1と同様にして、露光前配向膜付透明支持体A2を形成した。露光前配向膜の膜厚は、0.5μmであった。
<露光前配向膜付透明支持体A2の作製>
露光前配向膜付透明支持体A1の作製に用いた配向膜塗布液の、光酸発生剤を前記例示化合物I−22(最大吸収波長246nm)に変更する以外は、実施例1と同様にして、露光前配向膜付透明支持体A2を形成した。露光前配向膜の膜厚は、0.5μmであった。
<紫外線露光>
次に、透過部の横ストライプ幅363μm、遮蔽部の横ストライプ幅363μmのストライプマスクを露光前配向膜付透明支持体A2上に配置し、室温空気下にて、200nm〜400nmの波長領域における照度500mW/cm2の紫外線照射装置(Light Hammer 10、240W/cm、Fusion UV Systems社製)を光源ユニットとして用いて紫外線を0.1秒間(50mJ/cm2)照射しパターン配向膜を形成した。このとき、マスクを介さずに別途同量の紫外線を露光した配向膜を水およびメタノールを用いて抽出し、光酸発生剤およびラジカル重合開始剤の残存率を測定したところ、それぞれ15%および40%であった。
次に、透過部の横ストライプ幅363μm、遮蔽部の横ストライプ幅363μmのストライプマスクを露光前配向膜付透明支持体A2上に配置し、室温空気下にて、200nm〜400nmの波長領域における照度500mW/cm2の紫外線照射装置(Light Hammer 10、240W/cm、Fusion UV Systems社製)を光源ユニットとして用いて紫外線を0.1秒間(50mJ/cm2)照射しパターン配向膜を形成した。このとき、マスクを介さずに別途同量の紫外線を露光した配向膜を水およびメタノールを用いて抽出し、光酸発生剤およびラジカル重合開始剤の残存率を測定したところ、それぞれ15%および40%であった。
<パターン光学異方性層の形成>
上記紫外線露光後のパターン配向膜付透明支持体A2を用いること以外は、実施例1と同様にしてパターン光学異方性層を形成した。マスク露光部分(第1位相差領域)は、ラビング方向に対し遅相軸方向が平行にディスコティック液晶化合物が垂直配向しており、未露光部分(第2位相差領域)は直交に垂直配向していた。
上記紫外線露光後のパターン配向膜付透明支持体A2を用いること以外は、実施例1と同様にしてパターン光学異方性層を形成した。マスク露光部分(第1位相差領域)は、ラビング方向に対し遅相軸方向が平行にディスコティック液晶化合物が垂直配向しており、未露光部分(第2位相差領域)は直交に垂直配向していた。
(実施例3)
<露光前配向膜付透明支持体A3の作製>
露光前配向膜付透明支持体A2の作製に用いた配向膜塗布液の、ラジカル重合開始剤をイルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、最大吸収波長243nm)に変更する以外は、実施例2と同様にして、露光前配向膜付透明支持体A3を形成した。露光前配向膜の膜厚は、0.5μmであった。
<露光前配向膜付透明支持体A3の作製>
露光前配向膜付透明支持体A2の作製に用いた配向膜塗布液の、ラジカル重合開始剤をイルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、最大吸収波長243nm)に変更する以外は、実施例2と同様にして、露光前配向膜付透明支持体A3を形成した。露光前配向膜の膜厚は、0.5μmであった。
<紫外線露光>
次に、透過部の横ストライプ幅363μm、遮蔽部の横ストライプ幅363μmのストライプマスクを露光前配向膜付透明支持体A2上に配置し、室温空気下にて、200nm〜400nmの波長領域における照度500mW/cm2の紫外線照射装置(Light Hammer 10、240W/cm、Fusion UV Systems社製)を光源ユニットとして用いて紫外線を0.06秒間(30mJ/cm2)照射しパターン配向膜を形成した。このとき、マスクを介さずに別途同量の紫外線を露光した配向膜を水およびメタノールを用いて抽出し、光酸発生剤およびラジカル重合開始剤の残存率を測定したところ、それぞれ18%および40%であった。
次に、透過部の横ストライプ幅363μm、遮蔽部の横ストライプ幅363μmのストライプマスクを露光前配向膜付透明支持体A2上に配置し、室温空気下にて、200nm〜400nmの波長領域における照度500mW/cm2の紫外線照射装置(Light Hammer 10、240W/cm、Fusion UV Systems社製)を光源ユニットとして用いて紫外線を0.06秒間(30mJ/cm2)照射しパターン配向膜を形成した。このとき、マスクを介さずに別途同量の紫外線を露光した配向膜を水およびメタノールを用いて抽出し、光酸発生剤およびラジカル重合開始剤の残存率を測定したところ、それぞれ18%および40%であった。
<パターン光学異方性層の形成>
上記紫外線露光後のパターン配向膜付透明支持体A3を用いること以外は、実施例1と同様にしてパターン光学異方性層を形成した。マスク露光部分(第1位相差領域)は、ラビング方向に対し遅相軸方向が平行にディスコティック液晶化合物が垂直配向しており、未露光部分(第2位相差領域)は直交に垂直配向していた。
上記紫外線露光後のパターン配向膜付透明支持体A3を用いること以外は、実施例1と同様にしてパターン光学異方性層を形成した。マスク露光部分(第1位相差領域)は、ラビング方向に対し遅相軸方向が平行にディスコティック液晶化合物が垂直配向しており、未露光部分(第2位相差領域)は直交に垂直配向していた。
(比較例1)
<露光前配向膜付透明支持体B1>
前記露光前配向膜付透明支持体A1の配向膜塗布液からラジカル重合開始剤を除いたものを使用する以外は実施例1と同様にして、露光前配向膜付透明支持体B1を作製した。
<露光前配向膜付透明支持体B1>
前記露光前配向膜付透明支持体A1の配向膜塗布液からラジカル重合開始剤を除いたものを使用する以外は実施例1と同様にして、露光前配向膜付透明支持体B1を作製した。
<紫外線露光>
次に、透過部の横ストライプ幅363μm、遮蔽部の横ストライプ幅363μmのストライプマスクを露光前配向膜付透明支持体B1上に配置し、室温空気下にて、200nm〜400nmの波長領域における照度500mW/cm2の紫外線照射装置(Light Hammer 10、240W/cm、Fusion UV Systems社製)を光源ユニットとして用いて紫外線を0.06秒間(30mJ/cm2)照射しパターン配向膜を形成した。このとき、マスクを介さずに別途同量の紫外線を露光した配向膜を水およびメタノールを用いて抽出し、光酸発生剤の残存率を測定したところ、20%であった。
次に、透過部の横ストライプ幅363μm、遮蔽部の横ストライプ幅363μmのストライプマスクを露光前配向膜付透明支持体B1上に配置し、室温空気下にて、200nm〜400nmの波長領域における照度500mW/cm2の紫外線照射装置(Light Hammer 10、240W/cm、Fusion UV Systems社製)を光源ユニットとして用いて紫外線を0.06秒間(30mJ/cm2)照射しパターン配向膜を形成した。このとき、マスクを介さずに別途同量の紫外線を露光した配向膜を水およびメタノールを用いて抽出し、光酸発生剤の残存率を測定したところ、20%であった。
<パターン光学異方性層の形成>
上記紫外線露光後のパターン配向膜付透明支持体B1を用いること以外は、実施例1と同様にしてパターン光学異方性層を形成した。マスク露光部分(第1位相差領域)は、ラビング方向に対し遅相軸方向が平行にディスコティック液晶化合物が垂直配向しており、未露光部分(第2位相差領域)は直交に垂直配向していた。ただし、第1位相差領域内には一部配向欠陥が存在し、パターン光学異方性層を有する光学素子としての性能は不十分であった。
上記紫外線露光後のパターン配向膜付透明支持体B1を用いること以外は、実施例1と同様にしてパターン光学異方性層を形成した。マスク露光部分(第1位相差領域)は、ラビング方向に対し遅相軸方向が平行にディスコティック液晶化合物が垂直配向しており、未露光部分(第2位相差領域)は直交に垂直配向していた。ただし、第1位相差領域内には一部配向欠陥が存在し、パターン光学異方性層を有する光学素子としての性能は不十分であった。
(比較例2)
<露光前配向膜付透明支持体B2>
前記露光前配向膜付透明支持体A2の配向膜塗布液からラジカル重合開始剤を除いたものを使用する以外は実施例2と同様にして、露光前配向膜付透明支持体B2を作製した。
<露光前配向膜付透明支持体B2>
前記露光前配向膜付透明支持体A2の配向膜塗布液からラジカル重合開始剤を除いたものを使用する以外は実施例2と同様にして、露光前配向膜付透明支持体B2を作製した。
<紫外線露光>
次に、透過部の横ストライプ幅363μm、遮蔽部の横ストライプ幅363μmのストライプマスクを露光前配向膜付透明支持体B2上に配置し、室温空気下にて、200nm〜400nmの波長領域における照度500mW/cm2の紫外線照射装置(Light Hammer 10、240W/cm、Fusion UV Systems社製)を光源ユニットとして用いて紫外線を0.1秒間(50mJ/cm2)照射しパターン配向膜を形成した。このとき、マスクを介さずに別途同量の紫外線を露光した配向膜を水およびメタノールを用いて抽出し、光酸発生剤の残存率を測定したところ、25%であった。
次に、透過部の横ストライプ幅363μm、遮蔽部の横ストライプ幅363μmのストライプマスクを露光前配向膜付透明支持体B2上に配置し、室温空気下にて、200nm〜400nmの波長領域における照度500mW/cm2の紫外線照射装置(Light Hammer 10、240W/cm、Fusion UV Systems社製)を光源ユニットとして用いて紫外線を0.1秒間(50mJ/cm2)照射しパターン配向膜を形成した。このとき、マスクを介さずに別途同量の紫外線を露光した配向膜を水およびメタノールを用いて抽出し、光酸発生剤の残存率を測定したところ、25%であった。
<パターン光学異方性層の形成>
上記紫外線露光後のパターン配向膜付透明支持体B2を用いること以外は、実施例1と同様にしてパターン光学異方性層を形成した。マスク露光部分(第1位相差領域)は、ラビング方向に対し遅相軸方向が平行にディスコティック液晶化合物が垂直配向しており、未露光部分(第2位相差領域)は直交に垂直配向していた。ただし、第1位相差領域内には一部配向欠陥が存在し、パターン光学異方性層を有する光学素子としての性能は不十分であった。
上記紫外線露光後のパターン配向膜付透明支持体B2を用いること以外は、実施例1と同様にしてパターン光学異方性層を形成した。マスク露光部分(第1位相差領域)は、ラビング方向に対し遅相軸方向が平行にディスコティック液晶化合物が垂直配向しており、未露光部分(第2位相差領域)は直交に垂直配向していた。ただし、第1位相差領域内には一部配向欠陥が存在し、パターン光学異方性層を有する光学素子としての性能は不十分であった。
(比較例3)
<露光前配向膜付透明支持体B3>
前記露光前配向膜付透明支持体A3の配向膜塗布液からラジカル重合開始剤を除いたものを使用する以外は実施例3と同様にして、露光前配向膜付透明支持体B3を作製した。
<露光前配向膜付透明支持体B3>
前記露光前配向膜付透明支持体A3の配向膜塗布液からラジカル重合開始剤を除いたものを使用する以外は実施例3と同様にして、露光前配向膜付透明支持体B3を作製した。
<紫外線露光>
次に、透過部の横ストライプ幅363μm、遮蔽部の横ストライプ幅363μmのストライプマスクを露光前配向膜付透明支持体B3上に配置し、室温空気下にて、200nm〜400nmの波長領域における照度500mW/cm2の紫外線照射装置(Light Hammer 10、240W/cm、Fusion UV Systems社製)を光源ユニットとして用いて紫外線を0.06秒間(30mJ/cm2)照射しパターン配向膜を形成した。このとき、マスクを介さずに別途同量の紫外線を露光した配向膜を水およびメタノールを用いて抽出し、光酸発生剤の残存率を測定したところ、20%であった。
次に、透過部の横ストライプ幅363μm、遮蔽部の横ストライプ幅363μmのストライプマスクを露光前配向膜付透明支持体B3上に配置し、室温空気下にて、200nm〜400nmの波長領域における照度500mW/cm2の紫外線照射装置(Light Hammer 10、240W/cm、Fusion UV Systems社製)を光源ユニットとして用いて紫外線を0.06秒間(30mJ/cm2)照射しパターン配向膜を形成した。このとき、マスクを介さずに別途同量の紫外線を露光した配向膜を水およびメタノールを用いて抽出し、光酸発生剤の残存率を測定したところ、20%であった。
<パターン光学異方性層の形成>
上記紫外線露光後のパターン配向膜付透明支持体B3を用いること以外は、実施例1と同様にしてパターン光学異方性層を形成した。マスク露光部分(第1位相差領域)は、ラビング方向に対し遅相軸方向が平行にディスコティック液晶化合物が垂直配向しており、未露光部分(第2位相差領域)は直交に垂直配向していた。ただし、第1位相差領域内には一部配向欠陥が存在し、パターン光学異方性層を有する光学素子としての性能は不十分であった。
上記紫外線露光後のパターン配向膜付透明支持体B3を用いること以外は、実施例1と同様にしてパターン光学異方性層を形成した。マスク露光部分(第1位相差領域)は、ラビング方向に対し遅相軸方向が平行にディスコティック液晶化合物が垂直配向しており、未露光部分(第2位相差領域)は直交に垂直配向していた。ただし、第1位相差領域内には一部配向欠陥が存在し、パターン光学異方性層を有する光学素子としての性能は不十分であった。
上記実施例および比較例より、ラジカル重合開始剤および光酸発生剤を含んだ配向膜を用いることにより、ラジカル重合開始剤を含まない場合と比べて、露光量に対する光酸発生剤の分解率を高めることが可能となり、より少ない露光量で配向欠陥がなく、良好な配向状態のパターン光学異方性層を有する光学素子を作成することが可能となる。
10 光学素子
12 パターン光学異方性層
14 配向膜
16 透明支持体
12 パターン光学異方性層
14 配向膜
16 透明支持体
Claims (13)
- 透明支持体上に、配向膜と、光学異方性層を有し、
配向膜が、少なくとも一種のラジカル重合開始剤の分解物及び少なくとも一種の光酸発生剤の分解物を含有し、
光学異方性層が、面内遅相軸方向及び位相差の少なくとも一方が互いに異なる第1位相差領域及び第2位相差領域を含み、該第1及び第2位相差領域が、面内において交互に配置されているパターン光学異方性層であり、かつ、液晶化合物を含む組成物から形成される、光学素子。 - 液晶化合物が重合性基を有する、請求項1に記載の光学素子。
- 1)支持体上に、ポリマーと、少なくとも一種のラジカル重合開始剤と、少なくとも一種の光酸発生剤とを含む組成物を適用して膜を形成する工程、
2)膜に紫外線を照射し、パターン露光し、パターン配向膜を形成する工程、
3)パターン配向膜上に、液晶化合物を含む組成物を適用する工程、
を該順に含む光学素子の製造方法。 - 紫外線が、非偏光紫外線である請求項3に記載の光学素子の製造方法。
- 紫外線を膜に対して垂直に照射する請求項3又は4に記載の光学素子の製造方法。
- 紫外線の照射時間が0.01〜0.5秒である請求項3〜5のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
- 紫外線の照射量が、1〜1000mJ/cm2である請求項3〜6のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
- ラジカル重合開始剤と光酸発生剤の最大吸収波長が互いに異なる、請求項3〜7のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
- 少なくとも第1配向制御領域及び第2配向制御領域の2つ領域を有し、該第1及び第2配向制御領域が、面内において交互に配置されており、前記第1及び第2配向制御領域のラジカル重合開始剤の含有量が互いに異なっており、前記第1及び第2配向制御領域の光酸発生剤の含有量が互いに異なっている、パターン配向膜。
- 1)透明支持体上に、ポリマーと、少なくとも一種のラジカル重合開始剤と、少なくとも一種の光酸発生剤とを含む組成物からなる膜を形成する工程、
2)膜に紫外線を照射し、パターン露光する工程、
を含むパターン配向膜の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の光学素子と、偏光膜とを含み、光学異方性層の第1及び第2位相差領域のそれぞれの面内遅相軸方向と、偏光膜の吸収軸方向のなす角が45°であることを特徴とする偏光板。
- 請求項1又は2に記載の光学素子を有する立体画像表示装置。
- 請求項12に記載の立体画像表示装置と、光学素子の外側に配置される偏光板とを有し、偏光板を通じて立体画像を視認させる立体画像表示システム。
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