JP2014015673A - スパッタリングターゲット、半導体薄膜及びそれを用いた薄膜トランジスタ - Google Patents

スパッタリングターゲット、半導体薄膜及びそれを用いた薄膜トランジスタ Download PDF

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Abstract

【課題】高密度で低抵抗の酸化物半導体用のスパッタリングターゲットを提供する。また、プロセスウィンドが広く、高い信頼性を有する薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】インジウム、亜鉛及び金属Mを含む酸化物を含有し、MInの組成からなる結晶を含み、X線回折における前記MInの組成からなる結晶の最大ピーク強度Iと、前記MInの組成からなる結晶以外の酸化物の最大ピーク強度Iが、0.01≦I/I≦1.8を満たすスパッタリングターゲット。
【選択図】図1

Description

本発明は、スパッタリングターゲット、半導体薄膜及びそれを用いた薄膜トランジスタに関する。
電界効果型トランジスタは、半導体メモリ集積回路の単位電子素子、高周波信号増幅素子、液晶駆動用素子等として広く用いられており、現在、最も多く実用化されている電子デバイスである。そのなかでも、近年における表示装置の発展に伴い、液晶表示装置(LCD)のみならず、エレクトロルミネッセンス表示装置(EL)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等の各種表示装置において、表示素子に駆動電圧を印加して表示装置を駆動させるスイッチング素子として、薄膜トランジスタ(TFT)が多用されている。
TFT駆動素子には、現在、シリコン系半導体薄膜が最も広く用いられている。一方、移動度が高く、薄膜の表面の均一性に優れることから金属酸化物からなる透明半導体薄膜が注目されている。
金属酸化物からなる半導体薄膜の成膜に用いるスパッタリングターゲットとして、特許文献1には、酸化インジウム、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムを含むスパッタリングターゲットが開示されている。
また、特許文献2には、In、及びGd、Dy、Ho、Er及びYbから選ばれる元素を少なくとも1種以上を含み、実質的にビックスバイト構造からなるスパッタリングターゲットが開示されている。
しかしながら、酸化物半導体を用いたTFTの特性は成膜時の酸素導入量や成膜後のアニール温度によって大きく変化してしまうために、TFTを製造する際には酸素導入量やアニール温度を限られた適正な範囲に調整する必要があった。
TFT特性が、酸化物半導体薄膜製膜時の酸素導入量に大きく依存すると、わずかな酸素導入量の変化によってTFT特性の面内のばらつきが増大してしまう。また、TFT特性がアニール温度に大きく依存すると、わずかな温度のムラによりTFT特性の面内のばらつきが増大してしまう。さらに、TFT特性が高温のアニールによって変化してしまうと、酸化物チャネル層上に、ち密な保護膜を形成することが困難になり、信頼性が向上しない要因となってしまう。
このようなことから、酸素導入量やアニール温度が狭い範囲に限定されることが、TFT特性のばらつきや信頼性を低下させる原因となっていたため、成膜時の酸素導入量やアニール温度が広い、即ち、プロセスウィンドが広い酸化物半導体材料が必要であった。
非特許文献1には、IZOとZrOのスパッタリングターゲットを用いた、コスパッタリングによって製造された、信頼性の高いTFTが記載されている。
また、非特許文献2には、Hf−IZOのスパッタリングターゲットを用いてRFマグネトロンスパッタリングで製造された、信頼性の高いTFTが記載されている。
ZrやHf等を含有した酸化物半導体をチャネル層に用いたTFTは、信頼性が高いことが報告されているが、これらの元素を含んだターゲットは抵抗が高くなりやすいために、DCスパッタリングを用いることが難しく、ターゲットの低抵抗化が必要であった。また、ターゲットの密度も上がりにくかった。
特開2005−307269号公報 国際公開第2008−114588号パンフレット
Adv.Mater.21,329(2009) Appl.Phys.Lett.96,152102(2010)
本発明の目的は、高密度で低抵抗の酸化物半導体用のスパッタリングターゲットを提供することである。また、本発明の目的は、プロセスウィンドが広く、高い信頼性を有する薄膜トランジスタを提供することである。
本発明によれば、以下のスパッタリングターゲット等が提供される。
1.インジウム、亜鉛及び金属Mを含む酸化物を含有し、
MInの組成からなる結晶を含み、
X線回折における前記MInの組成からなる結晶の最大ピーク強度Iと、前記MInの組成からなる結晶以外の酸化物の最大ピーク強度Iが、0.01≦I/I≦1.8を満たすスパッタリングターゲット。
2.In/(In+Zn+M)で表される原子比が0.45〜0.80であり、M/(In+Zn+M)で表される原子比が0.10〜0.40である1記載のスパッタリングターゲット。
3.前記Iを示す結晶相がビックスバイトに由来する1又は2記載のスパッタリングターゲット。
4.前記金属MがMg、Ca、Sr、Cu、Ni、Co、Be及びFeから選択される1以上である1〜3のいずれか記載のスパッタリングターゲット。
5.前記金属MがMgである4記載のスパッタリングターゲット。
6.ホモロガス構造に由来する結晶相が検出されない1〜5のいずれか記載のスパッタリングターゲット。
7.インジウム、亜鉛及び金属Mを含む酸化物を含有し、
In/(In+Zn+M)で表される原子比が0.45〜0.80であり、
M/(In+Zn+M)で表される原子比が0.10〜0.40である半導体薄膜。
8.非晶質である7に記載の半導体薄膜。
9.ホール移動度が5cm/V・sec以上である7又は8記載の半導体薄膜。
10.前記金属MがMg、Ca、Sr、Cu、Ni、Co、Be及びFeから選択される1以上である7〜9のいずれか記載の半導体薄膜。
11.前記金属MがMgである10に記載の半導体薄膜。
12.前記半導体薄膜の成膜を、真空チャンバー内に所定の間隔を置いて並設された3枚以上のターゲットに対向する位置に、基板を順次搬送し、前記各ターゲットに対して交流電源から負電位及び正電位を交互に印加する場合に、前記交流電源からの出力の少なくとも1つを、分岐して接続した2枚以上のターゲットの間で、電位を印加するターゲットの切替を行いながら、ターゲット上にプラズマを発生させて基板表面に成膜するスパッタリング方法で行うことを特徴とする7〜11のいずれか記載の半導体薄膜の製造方法。
13.前記交流電源の交流パワー密度を3W/cm以上、20W/cm以下とすることを特徴とする12に記載の半導体薄膜の製造方法。
14.7〜11のいずれか記載の半導体薄膜を用いた薄膜トランジスタ。
15.7〜11のいずれか記載の半導体薄膜の上に、少なくともSiNxを含有する保護膜を用いた薄膜トランジスタ。
16.14又は15に記載の薄膜トランジスタを備えた表示装置。
本発明によれば、高密度で低抵抗の酸化物半導体用のスパッタリングターゲットを提供することができる。また、本発明によれば、プロセスウィンドが広く、高い信頼性を有する薄膜トランジスタを提供することができる。
実施例1で得た焼結体のX線チャートである。 実施例1において、酸素濃度を変えて作製した薄膜の伝達曲線を示す図である。 実施例1において、アニール温度を変えて作製した薄膜の伝達曲線を示す図である。 比較例1で得た焼結体のX線チャートである。 比較例2で得た焼結体のX線チャートである。 ACスパッタリング装置の概略図である。
本発明のスパッタリングターゲットは、インジウム、亜鉛及び金属Mを含む酸化物を含有し、MInの組成からなる結晶相を含む。また、X線回折測定(XRD)におけるMInの組成からなる結晶の最大ピーク強度Iと、MInの組成からなる結晶以外の酸化物の最大ピーク強度Iが、0.01≦I/I≦1.8を満たす。
本発明のスパッタリングターゲットにおいて、原子比In/(In+Zn+M)は0.45〜0.80であると好ましく、0.50〜0.77であるとより好ましく、0.55〜0.75であるとより好ましく、0.65〜0.75であるとさらに好ましい。
また、原子比M/(In+Zn+M)は、0.10〜0.40であると好ましく、0.12〜0.35であるとより好ましく、0.13〜0.30であるとより好ましく、0.15〜0.25であるとさらに好ましい。
原子比In/(In+Zn+M)を上記の値とすると、ターゲットの抵抗が下がるため好ましい。また、原子比M/(In+Zn+M)を上記の値とすると、プロセスウィンドが広いTFTが得られるため好ましい。
原子比はICP(誘導結合プラズマ)発光分析法によって測定することができる。
金属Mは、Mg、Ca、Sr、Cu、Ni、Co、Be及びFeから選択される1以上であると好ましい。金属Mはこれらのうち1つのみであってもよいし、2以上であってもよい。
金属Mは、より好ましくはMgである。Mgを用いることで、スパッタリングターゲットの抵抗が下がりやすくなる。また、Mgは下記反応におけるΔが小さく、安定した酸化状態をとることができる。即ち、Mgは酸素を補足する能力が高く、酸素を放出しにくいため、半導体薄膜を成膜する場合の酸素導入量を低減することができ、成膜した半導体薄膜の経時変化(薄膜の特性劣化)を低減できる。
2x/y・M+O→2/y・M
本発明のスパッタリングターゲットは、酸化インジウム、酸化亜鉛、金属Mの酸化物、並びにインジウム、亜鉛及び金属Mの2以上の金属の複合酸化物から選択される酸化物を含む。
本発明のスパッタリングターゲットは、MInの組成からなる結晶相を含む。MInの組成からなる結晶相を含むことにより、ターゲットの抵抗を下げることができる。
結晶構造は、例えばターゲットのX線回折パターンが、想定される結晶構造X線回折パターンと一致することから確認できる。具体的にはJCPDS(Joint Committee of Powder Diffraction Standard)カードやICSD(The Inorganic Crystal Structure Database)から得られる結晶構造X線回折パターンと一致することから確認することができる。
MInの組成からなる結晶を含むことは、X線回折測定で確認できる。
MInの組成からなる結晶相は、X線回折測定で複数個観測される場合がある。
例えば、MgInの組成からなる結晶構造は、JCPDSカード及び、ICSDによると、InMgO(JCPDS:40−1402)やMgIn(ICSD:♯24992)が存在するが、いずれもMgInの組成からなる結晶である。
MInの組成からなる結晶がX線回折測定で複数個確認され、それぞれのピークが重なる場合、それらのピークを分離することなく、最大ピーク強度Iとする。上記InMgO(JCPDS:40−1402)とMgIn(ICSD:♯24992)の場合、X線回折パターンが近似しており、それぞれのピークが重なって観測されるが、いずれもMgInの組成からなる結晶であることから、重なったピークを分離せずに、MgInの単一の組成の結晶として最大ピーク強度Iを求める。
X線回折測定は、具体的には実施例に記載の方法により行うことができる。
MInの組成からなる結晶相としては、スピネル構造や逆スピネル構造が含まれる。
スピネル構造は、Aを2価のカチオン、Bを3価のカチオンとした場合に、ABの組成をとるイオン結晶であり、O2−が形成する立体面心格子の四面体隙間の8分の1にAが充填され、八面体隙間の2分の1にBが充填された構造を有する。逆スピネル構造は、スピネル構造と同様にABの組成をとるイオン結晶であり、四面体隙間の8分の1にBが充填され八面体隙間の2分の1にA及びBが充填された構造を有する。
また、本発明のスパッタリングターゲットは、X線回折におけるMInの組成からなる結晶の最大ピーク強度Iと、MInの組成からなる結晶以外の酸化物の最大ピーク強度Iが、0.01≦I/I≦1.8を満たす。IとIがこの関係を満たすことにより、ターゲットの抵抗を下げることができる。
MInの組成からなる結晶以外の酸化物としては、In等が挙げられる。MInの組成からなる結晶以外の酸化物で最大ピークを示すもの、即ち、Iを示す酸化物としてはInが好ましい。
/Iは、好ましくは1.5以下である。I/Iが1.5以下であれば、ターゲット抵抗が低く、プロセスウィンドが広い半導体薄膜が得られるため好ましい。また、I/Iは、好ましくは0.01以上である。0.01以上であると、ターゲット密度が上昇するため好ましい。I/Iが0.01未満であると、金属Mからなる酸化物が単独で現れることによって、ターゲットの高抵抗化を招く恐れがある。
上記I/Iは、X線回折測定により求めたチャートより、任意の範囲(例えば、2θ=15〜65°の範囲)に存在する最大ピーク強度から計算することによって求めることができる。
本発明のスパッタリングターゲットは、X線回折測定において、ホモロガス構造に由来する結晶相が検出されないことが好ましい。ホモロガス構造に由来する結晶相を含まないことにより、ターゲット抵抗が下がるため好ましい。
ホモロガス構造に由来する結晶相とは、異なる物質の結晶層を何層か重ね合わせた長周期を有する「自然超格子」構造からなる結晶である。結晶周期ないし各薄膜層の厚さが、ナノメーター程度の場合、これら各層の化学組成や層の厚さの組み合わせによって、単一の物質や各層を均一に混ぜ合わせた混晶の性質とは異なる固有の特性を示す場合がある。
ホモロガス構造に由来する結晶相としては、In(ZnO)(mは1〜20の整数)で表される結晶構造等が挙げられる。
ホモロガス相の結晶構造は、例えば、ターゲットの粉砕物又は切削片について測定したX線回折パターンが、組成比から想定されるホモロガス相の結晶構造X線回折パターンと一致することから確認できる。具体的には、JCPDSカードから得られるホモロガス相の結晶構造X線回折パターンと一致することから確認することができる。
また、上記Iを示す結晶相は、ビックスバイト構造に由来することが好ましい。ビックスバイト構造であると、ターゲット抵抗が下がるため好ましい。
を示す結晶相は、Inで表されるビックスバイト構造化合物であるとより好ましい。
ビックスバイト構造であることは、焼結体をX線回折測定した結果、ビックスバイト構造化合物のピークが観察されることにより確認できる。
ビックスバイト(bixbyite)は、希土類酸化物C型又はMn(I)型酸化物とも言われる。「透明導電膜の技術」((株)オーム社出版、日本学術振興会、透明酸化物・光電子材料第166委員会編、1999)等に開示されている通り、化学量論比がM(Mは陽イオン、Xは陰イオンで通常酸素イオン)で、一つの単位胞はM16分子、合計80個の原子(Mが32個、Xが48個)により構成されている。
を示す結晶相のビックスバイト構造化合物がInである場合、X線回折で、JCPDSデータベースのNo.06−0416のピークパターンか、又は類似の(シフトした)パターンを示す。
また、結晶構造中の原子やイオンが一部他の原子で置換された置換型固溶体、他の原子が格子間位置に加えられた侵入型固溶体もビックスバイト構造化合物に含まれる。
本発明のスパッタリングターゲットにおいて、本発明の効果を損ねない範囲において、上述したIn、Zn及び金属M以外の他の金属元素(例えば、すず、ガリウム、アルミニウム、チタン、シリコン、鉄、クロム、銅、カドミウム、鉛、カルシウム、ニッケル、ジルコニウム等)を含有していてもよい。しかしながら、スパッタリングターゲットに含有される金属元素は、実質的にIn,Zn及び金属Mのみ、又はIn,Zn及び金属Mのみであってもよい。
本発明において「実質的」とは、スパッタリングターゲットとしての効果が上記In、Zn及び金属Mに起因すること、又はスパッタリングターゲットの金属元素の95重量%以上100重量%以下(好ましくは98重量%以上100重量%以下)がIn、Zn及び金属Mであることを意味する。
また、本発明のスパッタリングターゲットに含有される金属元素は、In,Zn及び金属Mのみからなり、本発明の効果を損なわない範囲で他に不可避不純物を含んでいてもよい。
本発明のスパッタリングターゲットは、例えば、インジウム化合物、亜鉛化合物及び金属Mの化合物の各粉体(原料粉体)(好ましくは酸化物)を混合粉砕して混合物を調製し、この混合物を所望の形状に成形して成形体を作製し、焼結することにより製造できる。
原料であるインジウム化合物粉は、特に限定はなく、工業的に市販されているものが使用できるが、高純度、例えば、4N(0.9999)以上であることが好ましい。また、酸化物だけでなく、塩化インジウム、硝酸インジウム、酢酸インジウム等のインジウム塩を用いても構わない。
原料である亜鉛化合物粉は、特に限定はなく、工業的に市販されているものが使用できるが、高純度、例えば、4N(0.9999)以上であることが好ましい。また塩化亜鉛、硝酸亜鉛等の亜鉛塩を用いても構わない。
金属Mの化合物としては、例えば、MgO,CaO、SrO、CuO、NiO、CoO、BeO、FeO、Mg(NO、Ca(NO、Sr(NO、Cu(NO、Ni(NO、Co(NO、Be(NO、Fe(NO等が挙げられる。
混合粉砕は、例えば、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル又は超音波装置等の公知の装置を用いて行うことができる。粉砕時間等の条件は、適宜調整すればよいが、6〜100時間程度が好ましい。
各原料の配合比が、原子比In/(In+Zn+M)が0.45〜0.80、原子比M/(In+Zn+M)が0.10〜0.40となるように各原料粉体を混合すると好ましい。尚、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分を添加してもよい。
上記の混合工程で調製した原料を、公知の方法により成形し、焼結することにより酸化物焼結体とする。
成形工程では、混合粉を加圧成形して成形体とする。この工程により、製品の形状(例えば、ターゲットとして好適な形状)に成形する。
成形処理としては、例えば、金型成形、鋳込み成形、射出成形等が挙げられるが、焼結密度の高い焼結体(ターゲット)を得るためには、冷間静水圧(CIP)等で成形するのが好ましい。
尚、成形処理に際しては、ポリビニルアルコールやメチルセルロース、ポリワックス、オレイン酸等の成形助剤を用いてもよい。
焼結工程は、上記成形工程で得られた成形体を焼成する工程である。
焼結条件としては、酸素ガス雰囲気又は酸素ガス加圧下に、通常、1200〜1550℃において、通常30分〜360時間、好ましくは8〜180時間、より好ましくは12〜96時間焼結する。
焼結温度が1200℃未満であると、ターゲットの密度が上がり難くなったり、焼結に時間がかかり過ぎたりするおそれがある。一方、1550℃を超えると成分の気化により、組成がずれたり、炉を傷めたりするおそれがある。
燃焼時間が30分未満であると、ターゲットの密度が上がり難く、360時間より長いと、製造時間がかかり過ぎコストが高くなるため、実用上採用できない。前記範囲内であると相対密度を向上させ、バルク抵抗を下げることができる。
焼成時の昇温速度は、通常8℃/分以下、好ましくは4℃/分以下、より好ましくは3℃/分以下、さらに好ましくは2℃/分以下である。8℃/分以下であるとクラックが発生しにくい。
また、焼成時の降温速度は、通常4℃/分以下、好ましくは2℃/分以下、より好ましくは1℃/分以下、さらに好ましくは0.8℃/分以下、特に好ましくは0.5℃/分以下である。4℃/分以下であるとクラックが発生しにくい。
尚、昇温や降温は段階的に温度を変化させてもよい。
酸化物焼結体を必要に応じて所望の形状に加工することによりスパッタリングターゲットが得られる。
加工は、上記の酸化物焼結体をスパッタリング装置への装着に適した形状に切削加工し、また、バッキングプレート等の装着用治具を取り付けるために行う。酸化物焼結体をスパッタリングターゲットとするには、焼結体を、例えば、平面研削盤で研削して表面粗さ(Ra)を5μm以下とする。さらに、スパッタリングターゲットのスパッタ面に鏡面加工を施して、平均表面粗さRaが1000オングストローム以下としてもよい。平均表面粗さが小さいほどスパッタ成膜初期に発生するパーティクルを低減することができ好ましい。
研削は、0.1mm以上行うことが好ましく、0.3mm以上行うことがより好ましく、0.5mm以上がさらに好ましく、1mm以上行うことが特に好ましい。0.1mm以上研削することで、亜鉛等の成分が気化すること等で発生する表面付近の組成ずれした部位を取り除くことができる。
得られたスパッタリングターゲットをバッキングプレートへボンディングする。ターゲットの厚みは通常2〜20mm、好ましくは3〜12mm、特に好ましくは4〜10mmである。また、複数のターゲットを1つのバッキングプレートに取り付け、実質1つのターゲットとしてもよい。
本発明の半導体薄膜は、インジウム、亜鉛及び金属Mを含む酸化物を含有し、原子比In/(In+Zn+M)が0.45〜0.80であり、原子比M/(In+Zn+M)が0.10〜0.40である。
半導体薄膜をこのような組成とすることにより、成膜時の酸素分圧に大きく依存しない、キャリア濃度が安定した膜とすることができる。
本発明の半導体薄膜は、酸化インジウム、酸化亜鉛、金属Mの酸化物、並びにインジウム、亜鉛及び金属Mの2以上の金属の複合酸化物から選択される酸化物を含む。
原子比In/(In+Zn+M)は、0.50〜0.77であるとより好ましく、0.55〜0.75であるとより好ましく、0.65〜0.75であるとさらに好ましい。また、原子比M/(In+Zn+M)は、0.12〜0.35であるとより好ましく、0.13〜0.30であるとより好ましく、0.15〜0.25であるとさらに好ましい。
原子比はICP(誘導結合プラズマ)発光分析法によって測定することができる。
金属Mは、Mg、Ca、Sr、Cu、Ni、Co、Be及びFeから選択される1以上であると好ましい。金属Mはこれらのうち1つのみであってもよいし、2以上であってもよい。
金属Mは、より好ましくはMgである。半導体薄膜がMgを含むことにより、半導体薄膜の経時変化(薄膜の特性劣化)を低減できる。
本発明の半導体薄膜は、好ましくは非晶質である。非晶質であると膜の表面の均一性がよく、TFT特性の面内のばらつきを減らすことが可能であるため好ましい。非晶質であることは、X線回折測定によりブロードなパターンが得られることにより確認できる。
また、本発明の半導体薄膜は、好ましくはホール移動度が5cm/V・sec以上であり、より好ましくは7cm/V・sec以上である。
ホール移動度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の半導体薄膜において、本発明の効果を損ねない範囲において、上述したIn、Zn及び金属M以外の他の金属元素を含有していてもよい。しかしながら、半導体薄膜に含有される金属元素は、実質的にIn,Zn及び金属Mのみであってもよい。
本発明において「実質的」とは、半導体薄膜としての効果が上記In、Zn及び金属Mに起因すること、又は半導体薄膜の金属元素の95重量%以上100重量%以下(好ましくは98重量%以上100重量%以下)がIn、Zn及び金属Mであることを意味する。
また、本発明の半導体薄膜に含有される金属元素は、In,Zn及び金属Mのみからなり、本発明の効果を損なわない範囲で他に不可避不純物を含んでいてもよい。
本発明のスパッタリングターゲットを用いて、基板等の対象物にスパッタすることにより、本発明の半導体薄膜を成膜することができる。本発明のスパッタリングターゲットを用いることで、成膜時における酸素濃度を抑えることができる。
例えば、スパッタ時における酸素濃度は、通常1〜50%程度であるが、本発明の場合、2〜30%程度にすることができる。
尚、半導体薄膜の原子組成は、成膜に用いたスパッタリングターゲットと同一である。
上記の酸化物薄膜は、好ましくはバンドギャップが3.6eV以上である。
バンドギャップを評価する代表的な手法として、分光エリプソメトリー法が挙げられる。分光エリプソメトリー法とは、直線偏光の光を試料に入射させ、試料を反射した光の偏光状態(一般には楕円偏光)を調べ、膜の物性を記述するのに最適なモデルでフィッティングすることによって、薄膜の屈折率nと消衰係数k(光学定数)や、膜厚、表面粗さ・界面の粗さ等を測定する方法である。また、結晶度や異方性、電気抵抗率やバンドギャップ等の他の物性値を予測することができる。
上記の酸化物薄膜は、薄膜トランジスタ(TFT)に使用でき、特に半導体層(チャネル層)として好適に使用できる。
本発明の薄膜トランジスタは、上記の酸化物薄膜を有していれば、その素子構成は特に限定されず、公知の各種の素子構成を採用することができる。本発明の薄膜トランジスタは、上記の酸化物薄膜を好ましくはチャネル層として有する。
本発明の薄膜トランジスタにおけるチャネル層の膜厚は、通常10〜300nm、好ましくは20〜250nm、より好ましくは30〜200nm、さらに好ましくは35〜120nm、特に好ましくは40〜80nmである。チャネル層の膜厚が10nm未満の場合、大面積に成膜した際の膜厚の不均一性により、作製したTFTの特性が面内で不均一になるおそれがある。一方、膜厚が300nm超の場合、成膜時間が長くなり工業的に採用できないおそれがある。
本発明の薄膜トランジスタにおけるチャネル層は、通常、N型領域で用いられるが、P型Si系半導体、P型酸化物半導体、P型有機半導体等の種々のP型半導体と組合せてPN接合型トランジスタ等の各種の半導体デバイスに利用することができる。
本発明の薄膜トランジスタは、上記チャネル層上に保護膜を備えることが好ましい。本発明の薄膜トランジスタにおける保護膜は、少なくともSiNを含有することが好ましい。SiNはSiOと比較して緻密な膜を形成できるため、TFTの劣化抑制効果が高いという利点を有する。
保護膜は、SiNの他に例えばSiO,Al,Ta,TiO,MgO,ZrO,CeO,KO,LiO,NaO,RbO,Sc,Y,HfO,CaHfO,PbTi,BaTa,Sm,SrTiO又はAlN等の酸化物等を含むことができるが、実質的にSiNのみからなることが好ましい。ここで、「実質的にSiNのみからなる」とは、本発明の薄膜トランジスタにおける保護層を構成する薄膜の70wt%以上、好ましくは80wt%以上、さらに好ましくは85wt%以上がSiNであることを意味する。
保護膜を形成する前に、チャネル層に対し、オゾン処理、酸素プラズマ処理、二酸化窒素プラズマ処理もしくは亜酸化窒素プラズマ処理を施すことが好ましい。このような処理は、チャネル層を形成した後、保護膜を形成する前であれば、どのタイミングで行ってもよいが、保護膜を形成する直前に行うことが望ましい。このような前処理を行うことによって、チャネル層における酸素欠陥の発生を抑制することができる。
また、TFT駆動中に酸化物半導体膜中の水素が拡散すると、閾値電圧のシフトが起こりTFTの信頼性が低下するおそれがある。チャネル層に対し、オゾン処理、酸素プラズマ処理もしくは亜酸化窒素プラズマ処理を施すことにより、結晶構造中においてIn−OHの結合が安定化され酸化物半導体膜中の水素の拡散を抑制することができる。
本発明のTFTに用いるチャネル材料のバンドギャップは3.6eV以上が好ましい。3.6eV以上とすることで、LEDのバックライトに対してTFTの劣化現象を抑制することができる。
薄膜トランジスタは、通常、基板、ゲート電極、ゲート絶縁層、有機半導体層(チャネル層)、ソース電極及びドレイン電極を備える。チャネル層については上述した通りであり、基板については公知の材料を用いることができる。
本発明の薄膜トランジスタにおけるゲート絶縁膜を形成する材料にも特に制限はなく、一般に用いられている材料を任意に選択できる。具体的には、例えば、SiO,SiN,Al,Ta,TiO,MgO,ZrO,CeO,KO,LiO,NaO,RbO,Sc,Y,HfO,CaHfO,PbTi,BaTa,SrTiO,Sm,AlN等の化合物を用いることができる。これらのなかでも、好ましくはSiO,SiN,Al,Y,HfO,CaHfOであり、より好ましくはSiO,SiN,HfO,Alである。
ゲート絶縁膜は、例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)法により形成することができる。
プラズマCVD法によりゲート絶縁膜を形成し、その上にチャネル層を成膜した場合、ゲート絶縁膜中の水素がチャネル層に拡散し、チャネル層の膜質低下やTFTの信頼性低下を招くおそれがある。チャネル層の膜質低下やTFTの信頼性低下を防ぐために、チャネル層を成膜する前にゲート絶縁膜に対してオゾン処理、酸素プラズマ処理、二酸化窒素プラズマ処理もしくは亜酸化窒素プラズマ処理を施すことが好ましい。このような前処理を行うことによって、チャネル層の膜質の低下やTFTの信頼性低下を防ぐことができる。
尚、上記の酸化物の酸素数は、必ずしも化学量論比と一致していなくともよく、例えば、SiOでもSiOでもよい。
ゲート絶縁膜は、異なる材料からなる2層以上の絶縁膜を積層した構造でもよい。また、ゲート絶縁膜は、結晶質、多結晶質、非晶質のいずれであってもよいが、工業的に製造しやすい多結晶質又は非晶質であることが好ましい。
本発明の薄膜トランジスタにおけるドレイン電極、ソース電極及びゲート電極の各電極を形成する材料に特に制限はなく、一般に用いられている材料を任意に選択することができる。例えば、ITO,IZO,ZnO,SnO等の透明電極や、Al,Ag,Cu,Cr,Ni,Mo,Au,Ti,Ta等の金属電極、又はこれらを含む合金の金属電極を用いることができる。
ドレイン電極、ソース電極及びゲート電極の各電極は、異なる2層以上の導電層を積層した多層構造とすることもできる。特にソース・ドレイン電極は低抵抗配線への要求が強いため、AlやCu等の良導体をTiやMo等の密着性に優れた金属でサンドイッチして使用してもよい。
本発明の薄膜トランジスタは、信頼性評価として、Vg(ゲート電圧)=15V、Vd(ドレイン電圧)=15VのDCストレス(ストレス温度80℃下)を10000秒印加した前後における、TFTの閾値電圧シフトの絶対値が0.3V未満であることが好ましい。
TFTの閾値電圧シフトの絶対値が0.3V以上となると、その閾値電圧シフトを補正するための補償回路が必要になる等、パネルのコストアップのおそれがある。
本発明の薄膜トランジスタは、電界効果型トランジスタ、論理回路、メモリ回路、差動増幅回路等各種の集積回路にも適用できる。さらに、電界効果型トランジスタ以外にも静電誘起型トランジスタ、ショットキー障壁型トランジスタ、ショットキーダイオード、抵抗素子にも適応できる。
本発明の薄膜トランジスタの構成は、ボトムゲート、ボトムコンタクト、トップコンタクト等公知の構成を制限なく採用することができる。
特にボトムゲート構成が、アモルファスシリコンやZnOの薄膜トランジスタに比べ高い性能が得られるので有利である。ボトムゲート構成は、製造時のマスク枚数を削減しやすく、大型ディスプレイ等の用途の製造コストを低減しやすいため好ましい。
大面積のディスプレイ用としては、チャンネルエッチ型のボトムゲート構成の薄膜トランジスタが特に好ましい。チャンネルエッチ型のボトムゲート構成の薄膜トランジスタは、フォトリソ工程時のフォトマスクの数が少なく低コストでディスプレイ用パネルを製造できる。中でも、チャンネルエッチ型のボトムゲート構成及びトップコンタクト構成の薄膜トランジスタが移動度等の特性が良好で工業化しやすいため特に好ましい。
本発明の薄膜トランジスタは、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示装置に好適に用いることができる。
実施例1
平均粒経が1μm以下のIn粉末、平均粒経が1μm以下のZnO粉末及び平均粒経が1μm以下のMgO粉末を、In:Zn:Mg(原子比)=67:13:20となるように秤量し、混合した後、樹脂製ポットに入れ、さらに水を加えて、硬質ZrOボールを用いた湿式ボールミル混合を行った。混合時間は20時間とした。
得られた混合スラリーを取り出し、濾過、乾燥及び造粒を行った。得られた造粒物を成形型に入れ、冷間静水圧プレスで3ton/cmの圧力をかけて成形し、成形体を得た。
得られた成形体を以下のように焼結した。まず、焼結炉内に、成形体を載置し、この焼結炉内の容積0.1m当たり5リットル/分の割合で、酸素を流入した。この雰囲気中で、上記成形体を1400℃で24時間焼結した。
この時、焼結炉内の温度は、800℃までは0.5℃/分で昇温し、1000℃〜1400℃間は1℃/分で昇温した。24時間、1400℃で焼結した後は、自然降温させた。
焼結体中の各原子の含有量をICP(誘導結合プラズマ)発光分析法で定量分析したところ、原料粉末を混合する際の仕込み組成が、焼結体中でも維持されていることが確認できた。
また、得られた焼結体についてX線回折測定を行った。得られたチャートを図1に示す。図1において、縦軸は回折したX線の強度、横軸は回折したX線の角度を示す。
X線回折測定は、下記の装置・条件で測定した。
装置:(株)リガク製Ultima−III
X線:Cu−Kα線(波長1.5406Å、グラファイトモノクロメータにて単色化)
2θ−θ反射法、連続スキャン(1.0°/分)
サンプリング間隔:0.02°
スリット DS、SS:2/3°、RS:0.6mm
X線回折測定によりMInの組成からなる結晶が確認された。MInの組成からなる結晶として、MgIn及びInMgOがJCPDSカード及びICSDに一致する結晶相として確認された。
また、MInの組成からなる結晶以外の酸化物で最大のピーク強度を有するものとして、Inのビックスバイト構造が確認された。
MInの組成からなる結晶の最大ピーク強度Iと、Inの最大ピーク強度Iの比は、I/I=0.03であった。
また、X線回折測定によりInZn等のホモロガス構造は確認されなかった。
次に、上記焼結体のスパッタ面をカップ砥石で磨き、直径100mm、厚さ5mmに加工し、In系合金を用いてバッキングプレートを貼り合わせて、スパッタリングターゲットを製造した。
得られたターゲットをDCスパッタリング装置に装着し、室温で、スライドガラス上に、膜厚50nmの半導体薄膜を酸素濃度12.5%で成膜した。
条件は特に断りがない限り、以下の通りである。
基板温度:25℃
到達圧力:8.5×10−5Pa
雰囲気ガス:Arガス、Oガス
スパッタ圧力(全圧):0.4Pa
投入電力:DC50W
S(基板)−T(ターゲット)距離:100mm
成膜した半導体薄膜についてX線回折測定を行った結果、ピークは観測されず非晶質であることが分かった。
また、得られた薄膜に金を蒸着し、300℃で1時間アニールした後、ResiTest8300型(東陽テクニカ社製)を用いて、室温、大気圧、遮光環境下でVan der Paw法によってホール効果を評価した。その結果、7.5cm/V・secであった。
次に、このターゲットをDCスパッタリング装置に装着し、熱酸化シリコン基板上に、室温で、メタルマスクを用い、膜厚50nmの半導体薄膜を酸素濃度25%、12.5%、2%の条件でそれぞれ成膜した。尚、本実施例において、酸素濃度とは、スパッタ圧力(全圧)に対する酸素分圧の百分率である。
その後、半導体薄膜を成膜した基板上に金電極を、メタルマスクを用いてDCスパッタリング装置で成膜し、幅が1000μm、長さが200μmとなるTFTを作製した。300℃で1時間アニールした後、ドレイン電圧5Vにおける伝達曲線を測定した。結果を図2に示す。
図2より、ドレイン電流が1nAとなるときのゲート電圧(閾値電圧)Vthについて、酸素濃度2%及び酸素濃度25%それぞれのVthの差ΔVは2.5Vであり、酸素導入量に対してVthの変化が小さいことがわかる。
また、上記のターゲットを用い、成膜時の酸素濃度を25%、アニール温度を250℃、300℃、350℃とした他は上記と同様にして、それぞれTFTを製造し、ドレイン電圧5Vにおける伝達曲線を測定した。結果を図3に示す。
図3より、得られたTFT特性の電界効果移動度を比較すると、アニール温度が250℃及び350℃における電界効果移動度の差Δμは4.4cm/Vsでありアニール温度に対して大きく変化しないことがわかる。
上記のターゲットを用い、成膜時の酸素濃度を10%で石英基板上に成膜した酸化物半導体薄膜について、300℃で1時間アニールした後、分光エリプソメトリーによりバンドギャップを評価した。具体的には、屈折率及び消衰係数から吸収係数を算出し、直接遷移型を仮定し、吸収係数の2乗とエネルギーのグラフからバンドギャップを求めた。その結果、バンドギャップは3.6eVと算出された。
表1にターゲット及びターゲットを用いて作製したTFTの評価結果、単膜の評価結果を示す。
実施例2〜6、比較例1,2
表1に記載の原子比となるように粉末を混合し、実施例1と同様の条件でターゲットを作製し、それらを用いて単膜及びTFTを作製した。実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
比較例3,4
表1に記載の原子比となるように粉末を混合し、実施例1と同様の条件でターゲットを作製した。これらのターゲットは、DCスパッタリングを実施する際に、異常放電を起こした。
実施例7〜12、比較例5,6
実施例1と同様の条件で作製した表2に示す組成のターゲットについて特開2005−290550号公報に開示された成膜装置を用い、表2に示す条件でACスパッタリングを行い、さらに下記条件で非晶質膜を成膜し、加熱処理を行い、ソース・ドレインパターニングをドライエッチングで行った他は実施例1と同様にして薄膜トランジスタ及び薄膜評価用素子を作製し、評価した。結果を表2に示す。
ACスパッタリングは、具体的には、図6に示す装置を用いて行った。幅200mm、長さ1700mm、厚さ10mmの6枚のターゲット31a〜31fを用い、各ターゲット31a〜31fを基板の幅方向に平行に、距離が2mmになるように配置した。磁界形成手段40a〜40fの幅はターゲット31a〜31fと同じ200mmであった。ガス供給系からスパッタガスであるAr、Oをそれぞれ系内に導入したスパッタ条件は以下の通りである。
到達圧力:8.5×10−5Pa
雰囲気ガス:Arガス、Oガス、
スパッタ圧力(全圧):0.5Pa
尚、成膜時の基板温度、アニール温度は表2に記載の条件であり、その他の条件は実施例1と同様である。
例えば、実施例7において、成膜速度を調べるために記載の条件で10秒成膜し、得られた薄膜の膜厚を測定すると8nmであった。成膜速度は48nm/分と高速であり、量産に適している。
膜厚100nmの熱酸化膜付きの導電性シリコン基板上に、レジストとしてOFPR♯800(東京応化工業株式会社製)を使用し、塗布、プレベーク(80℃、5分)、露光した。現像後、ポストベーク(120℃、5分)し、シュウ酸にてエッチングし、所望の形状にパターニングした。その後熱風加熱炉内にて300℃で60分加熱処理(アニール処理)を行った。
その後、リフトオフ法によりMoをスパッタ成膜により成膜し(100nm)、ソース/ドレイン電極を所望の形状にパターニングした。その後、プラズマCVD法(PECVD)にてSiOを成膜して保護膜とした。フッ酸を用いてコンタクトホールを開口し、薄膜トランジスタを作製した。
薄膜トランジスタ及び薄膜評価用素子を作製し、電界効果移動度、閾値電圧Vth、ホール移動度を測定した。また、XRD測定から薄膜堆積直後は非晶質であり、空気中300℃、60分後も非晶質であることを確認した。
上記で作製した薄膜トランジスタに対して、バイアスストレス試験(信頼性試験)を行った。
具体的には、Vg=15V、Vd=15VのDCストレス(ストレス温度80℃下)を10000秒印加した前後、及びVg=−20VのDCストレス(光照射下(λ=400nm)かつストレス温度80℃下)を10000秒印加した前後において、TFT特性(閾値電圧)を測定した。
光照射として、モノクロメーター式分光光源(CMS100:朝日分光株式会社製)を利用して、λ=400nm、強度200μW/cmの光を照射した。

本発明のスパッタリングターゲットは、酸化物半導体や透明導電膜等の酸化物薄膜の作製に使用できる。また、本発明の酸化物薄膜は、透明電極、薄膜トランジスタの半導体層、酸化物薄膜層等に使用できる。
17a−c 交流電源
31a−f ターゲット
40a−f 磁界形成手段

Claims (16)

  1. インジウム、亜鉛及び金属Mを含む酸化物を含有し、
    MInの組成からなる結晶を含み、
    X線回折における前記MInの組成からなる結晶の最大ピーク強度Iと、前記MInの組成からなる結晶以外の酸化物の最大ピーク強度Iが、0.01≦I/I≦1.8を満たすスパッタリングターゲット。
  2. In/(In+Zn+M)で表される原子比が0.45〜0.80であり、M/(In+Zn+M)で表される原子比が0.10〜0.40である請求項1記載のスパッタリングターゲット。
  3. 前記Iを示す結晶相がビックスバイトに由来する請求項1又は2記載のスパッタリングターゲット。
  4. 前記金属MがMg、Ca、Sr、Cu、Ni、Co、Be及びFeから選択される1以上である請求項1〜3のいずれか記載のスパッタリングターゲット。
  5. 前記金属MがMgである請求項4記載のスパッタリングターゲット。
  6. ホモロガス構造に由来する結晶相が検出されない請求項1〜5のいずれか記載のスパッタリングターゲット。
  7. インジウム、亜鉛及び金属Mを含む酸化物を含有し、
    In/(In+Zn+M)で表される原子比が0.45〜0.80であり、
    M/(In+Zn+M)で表される原子比が0.10〜0.40である半導体薄膜。
  8. 非晶質である請求項7に記載の半導体薄膜。
  9. ホール移動度が5cm/V・sec以上である請求項7又は8記載の半導体薄膜。
  10. 前記金属MがMg、Ca、Sr、Cu、Ni、Co、Be及びFeから選択される1以上である請求項7〜9のいずれか記載の半導体薄膜。
  11. 前記金属MがMgである請求項10に記載の半導体薄膜。
  12. 前記半導体薄膜の成膜を、真空チャンバー内に所定の間隔を置いて並設された3枚以上のターゲットに対向する位置に、基板を順次搬送し、前記各ターゲットに対して交流電源から負電位及び正電位を交互に印加する場合に、前記交流電源からの出力の少なくとも1つを、分岐して接続した2枚以上のターゲットの間で、電位を印加するターゲットの切替を行いながら、ターゲット上にプラズマを発生させて基板表面に成膜するスパッタリング方法で行うことを特徴とする請求項7〜11のいずれか記載の半導体薄膜の製造方法。
  13. 前記交流電源の交流パワー密度を3W/cm以上、20W/cm以下とすることを特徴とする請求項12に記載の半導体薄膜の製造方法。
  14. 請求項7〜11のいずれか記載の半導体薄膜を用いた薄膜トランジスタ。
  15. 請求項7〜11のいずれか記載の半導体薄膜の上に、少なくともSiNxを含有する保護膜を用いた薄膜トランジスタ。
  16. 請求項14又は15に記載の薄膜トランジスタを備えた表示装置。
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