JP2014013268A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】感光体ドラム11Kと中間転写ベルト18とが圧接された転写位置Zaから離れた位置に金属製の1次転写ローラー15Kが中間転写ベルト18に圧接されており、1次転写ローラー15Kに1次転写電流が供給される。中間転写ベルト18の表面抵抗率が低下している場合には、画像形成動作を実行する際のプロセス速度を第2速度に低下させるとともに、1次転写ローラー15Kに供給される1次転写電流を、低下されたプロセス速度に応じて設定された第2電流に低下させる。
【選択図】図2
Description
1次転写は、従来、中間転写ベルトを挟んで感光体ドラムと対向配置された転写ローラーに、予め設定された所定の転写電流を供給することによって形成される。
金属ローラーは、外周面に抵抗体としての弾性層を有しないために、金属ローラーと感光体ドラム間は、中間転写ベルトの厚み方向の抵抗成分だけになる。中間転写ベルトの厚みは、通常、数百μm程度であり、上記の転写ローラーを用いるとした場合の弾性層よりも薄く、中間転写ベルトの厚み方向の抵抗値は、弾性層よりも極めて小さい。
そこで、金属ローラーを、中間転写ベルトと感光体ドラムとが圧接された転写位置から、中間転写ベルトの走行方向の下流側または上流側に離れた位置にずらして中間転写ベルトに圧接させる構成がとられている。
特許文献1には、酸化ケイ素、金属酸化物等の無機層としての表面コート層が外周面に設けられた中間転写ベルトが開示されている。このような中間転写ベルトでは、表面コート層に付着したトナーの剥離性にすぐれており、表面コート層に1次転写されたトナー画像を、転写ムラ(白抜け)等の転写不良が生じることなく、記録シートに2次転写することができる。また、トナー画像が2次転写された後に中間転写ベルトの表面に残留するトナーを容易に除去することができる。
中間転写ベルトの表面抵抗率が局所的に大きく低下すると、その表面抵抗率が低下した領域(抵抗低下領域)を介して感光体ドラムに過剰な電流が供給されることになる。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、中間転写ベルト等の中間転写体の表面抵抗率が低下した場合にも、転写されたトナー画像の品質の低下を抑制することができる画像形成装置を提供することにある。
さらに、前記検出手段は、前記中間転写体の表面抵抗率の指標値として、当該中間転写体に所定の測定電流を供給した場合に当該中間転写体の表面抵抗率の変化により生じる電圧降下に相当する電圧を検出するとしても良い。
ここで、前記制御手段は、前記検出手段による前記中間転写体の周囲の湿度の、現在の検出値が、前回の検出値に対して所定の変化量以上であることを契機に、前記現在の検出値が標準値よりも低い値か否かを判断し、低い値を示す場合に当該中間転写体の移動速度の変更と前記転写部材への供給電流の変更を実行させるとしても良い。
さらに、前記制御手段は、前記像担持体に形成されるトナー画像の印字率が所定値よりも低い場合には、前記指標値の大小に関わらず、前記中間転写体の移動速度と前記転写部材への転写電流の双方の変更を禁止するとしても良い。
さらに、前記中間転写体の、前記像担持体に接する面には、無機層が形成されているとしても良い。
さらに、前記転写部材は、前記中間転写体に摺接する金属製の摺動部材であるとしても良い。
また、前記転写部材と前記中間転写体とが接する位置と、前記像担持体と当該中間転写体とが接する位置との距離が、2〜6mmの範囲内の値であるとしても良い。
[実施形態1]
<画像形成装置の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例であるタンデム型カラープリンター(以下、「プリンター」という。)の概略構成を示す模式図である。このプリンターは、ネットワーク(例えばLAN)を介して外部の端末装置から入力される画像データに基づいて、周知の電子写真方式によりトナー画像を記録シート上に形成する。
なお、他の画像形成ユニット10Y、10M、10Cのそれぞれにおいても、帯電器、露光器、現像器によって、感光体ドラム(像担持体)11Y、11M、11Cの表面に、Y色、M色、C色のトナーによって画像がそれぞれ形成される。
図2は、画像形成ユニット10Kおよびその周囲の構成を説明するための模式図である。1次転写ローラー15Kは、外周面に弾性層が設けられていない金属ローラーによって構成されている。1次転写ローラー15Kは、中間転写ベルト18の幅方向のほぼ全域にわたって圧接される軸方向長さを有しており、中間転写ベルト18の走行に追従して回転する。1次転写ローラー15Kは、外周面に弾性層が設けられていないことによって、低コストで製造することができる。
1次転写ローラー15Kには、1次転写電源部(HV)41Kから、予め設定された所定の1次転写電流(以下、単に「転写電流」という。)が供給されるようになっている。
なお、1次転写電源部(HV)41Y、41M、41Cのそれぞれと、1次転写ローラー15Y、15M、15Cのそれぞれとの間には、K色におけるベルト電圧測定部42は設けられていない。ベルト電圧の測定は、1つのトナー画像形成部で実行すれば十分と考えられるからである。
一方、モノクロ画像を形成する場合には、選択された1つの画像形成ユニット(例えばK色用の画像形成ユニット10K)のみが駆動されて、その画像形成ユニットに設けられた感光体ドラム上に形成されたトナー画像が、中間転写ベルト18に1次転写される。
転写ニップNtへは、カセット22からシート搬送経路21を通って記録シートPが搬送され、記録シートPが転写ニップNtを通過する間に、中間転写ベルト18上に1次転写されたトナー画像が、2次転写バイアス電圧が印加された2次転写ローラー19によって形成される電界の作用により、記録シートP上に2次転写される。
転写ニップNtを通過した記録シートPは、2次転写ローラー19の上方に配置された定着装置30へ搬送される。定着装置30は、相互に圧接された加熱ローラー32と加圧ローラー33とを備えており、加熱ローラー32と加圧ローラー33との圧接により定着ニップNfが形成されている。
定着装置30では、記録シートP上の未定着のトナー画像が、加熱ローラー32および加圧ローラー33の圧接によって形成された定着ニップNfを通過する間に、加熱および加圧されることによって記録シートP上に定着される。トナー画像が定着された記録シートPは、排紙ローラー24によって排紙トレイ23上に排出される。
<中間転写ベルト>
図3は、中間転写ベルト18の構成を説明するための断面図である。中間転写ベルト18は、樹脂材料を射出成型または遠心成形によって、所定の周方向長さの無端円筒形状に形成された基材層18aと、基材層18aの外周面上に積層された表面コート層18bとを有している。
基材層18aは、このような材料を用いる構成に限らず、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ナイロン系樹脂等の樹脂に、カーボン等の導電性フィラー、イオン性の導電材料等を分散させて抵抗調整を行った材料を用いてもよい。
基材層18aの厚さは、80〜150μm、表面コート層18bの厚さは、0.1〜0.5μmが望ましい。また、表面コート層18bの硬度は、ナノインデンテーション法で3GPa以上に調整されている。
中間転写ベルト18は、表面コート層18bが、酸化ケイ素を含有する無機層によって構成されているために、その一部または全部に、若干のヒドロキシ基(OH基)を有するシラノール(SiOH)が残留する場合がある。ヒドロキシ基は親水性を有するために、高湿環境下において水分子を吸着する。ヒドロキシ基が水分子を吸着すると、中間転写ベルト18の表面抵抗率が低下する。
図4は、表面コート層18bにシラノールが残留していない中間転写ベルト18と、表面コート層18bにシラノールが残留している中間転写ベルト18のそれぞれの、標準環境下(温度23℃、相対湿度65%)および高温高湿環境下(温度30℃、相対湿度85%)での表面抵抗率を示すグラフである。
図4では、正常ベルトの標準環境下での表面抵抗率を、一点鎖線の細線ANで示し、高温高湿環境下における表面抵抗率を、二点鎖線の細線AHで示している。
正常ベルトは、温度30℃、相対湿度85%の高温高湿環境下では(二点鎖線AH)、表面抵抗率が2.0×1010Ω/□よりも若干低くなっているが、全周にわたってほぼ一定になっていることが判る。
同図の太線ANe、AHeで示すように、吸湿性ベルトには、周方向の1か所において吸湿により表面抵抗率が低下した部分(吸湿部)があることが判る。
標準環境下では、吸湿部における表面抵抗率ANeが、吸湿部以外(以下、「正常部」という。)よりも低下しているが、その低下は比較的小さい。
図5は、図4に示す表面抵抗率の変化の様子を棒グラフで示した図であり、図5(a)は、正常ベルトの例を、図5(b)は、吸湿性ベルトの例を示している。
このように中間転写ベルト18の表面抵抗率が局所的に変化すると、中間転写ベルト18の正常部と吸湿部とで感光体ドラム11Kに供給される電流値が変化し、電流値の変化により1次転写効率も変化する。
図6は、1次転写ローラー15Kに供給される転写電流と、感光体ドラム11KからK色のトナーが中間転写ベルト18(正常ベルト)に1次転写される場合の転写効率との関係を示すグラフである。
使用した中間転写ベルトは、表面抵抗率が2.0×1010Ω/□(体積抵抗率は5.0×108Ω/cm)に調整された正常ベルトである。システム速度は、普通紙に対してトナー画像を形成する際に設定される標準速度であり、予め決められている。
正常ベルトについては、環境変化による表面抵抗率の変化幅が小さいことから、高温高湿環境下になっても、転写効率のグラフは、図6に示す標準環境下のものとあまり変わらない。従って、実験などにより、転写効率がピークまたはその付近の値になるときの転写電流の値、同図ではATmsを転写電流値に予め設定しておけば、標準環境下でも高温高湿環境下でも、95%以上の転写効率を確保し易い。
そこで、以下では、吸湿性ベルトに着目して、環境変化により転写効率がどのように変化するのかを説明すると共に、本実施形態において吸湿性ベルトに対して転写効率の変化幅をできるだけ抑えるために用いた方法について具体的に説明する。
ここで、吸湿性ベルトは、図6に示す正常ベルトと同じ体積抵抗率のものを用い、図7と図8に示すグラフは、図6に示す正常ベルトの転写効率を求める方法と同じ条件で実験した場合の結果を示している。
図7に示すように標準環境下では、吸湿性ベルトの正常部の転写効率を示すグラフ(実線)と、吸湿部の転写効率を示すグラフ(一点鎖線)を比べると、正常部のグラフ(実線)に対して、吸湿部のグラフ(一点鎖線)が少し低電流側にシフトしていることが判る。これは、次の理由によると考えられる。
換言すれば、この表面抵抗率の環境変化に対する差分が大きくなると、グラフのシフト量が大きくなることを意味し、この差分は、図4で示すように高温高湿環境下の方が標準環境下よりも極めて大きくなることから、グラフのシフト量は、高温高湿環境下の方が標準環境下よりも大きくなることになる。
高温高湿環境下の転写効率の各グラフ(一点鎖線、二点鎖線)が、標準環境下の転写効率のグラフ(破線)よりも低電流側にシフトしているのは、上記のベルト表面抵抗率の変化による転写効率のシフト化による。
正常部の転写OWをOWes、吸湿部の転写OWをOWehとすると、転写OWesとOWehとでは重複領域が少なく、高温高湿環境下での転写電流値を、仮に正常部の転写効率のピークに対応するATmhに設定すれば、正常部については、95%以上の転写効率を得られるが、吸湿部については、95%よりも低い転写効率しか得られず、中間転写ベルト18のうち、吸湿部で白抜け現象が発生し易くなる。
本プリンターでは、転写効率が95%を下回ると一次転写時の白抜けMAが人の目でも判別できる程度に再現されることが確認されているので、白抜けMAによる画質劣化を防止するには、95%以上の転写効率を確保することが望ましいことになる。
転写効率のグラフは、中間転写ベルト18の表面抵抗率が変われば、転写電流の低電流側または高電流側にシフトするので、仮に、吸湿部での表面抵抗率がより低くなれば、図8に示すグラフよりもさらに低電流側にシフトすることになり、転写OWesとOWehの重複領域がより狭くなって、95%以上の転写効率を確保することが困難になる。
このことから事前に、図8に示すような転写OWesとOWehの重複領域内に転写電流値を設定することは、実用的ではないといえる。
図10は、本実施形態のプリンターにおける画像形成動作を制御する制御系の主要部の構成を示すブロック図である。プリンターにおける画像形成動作は、プロセス制御部45によって制御される。
プロセス制御部45は、1次転写ローラー15Y、15M、15C、15Kに転写電流をそれぞれ供給する1次転写電源部(HV)41Y、41M、41C、41Kのそれぞれを制御する。1次転写電源部(HV)41Y〜41Kは、転写電流の値を可変出力することができ、プロセス制御部45から指示された値の転写電流を1次転写ローラー15Y〜15Kに供給する。
さらに、プロセス制御部45は、画像形成動作を実行する際には、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kのそれぞれにおいて所定の画像形成条件でトナー画像が形成されるように、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kのそれぞれを制御する。例えば、画像形成ユニット10Kにおいて、帯電器12K、露光器13K、現像器14Kのそれぞれを、感光体ドラム11Kにおける帯電電位、露光器13Kから照射されるレーザー光Lの露光量、現像器14Kの現像ローラー14aと感光体ドラム11Kとの間の現像バイアス電圧のそれぞれが、所定値になるように制御する。
さらに、プロセス制御部45は、2次転写ローラー19に所定の2次転写バイアス電圧を印加する2次転写電源部43を制御するとともに、プロセスモーター44を所定の回転速度になるように制御する。
プロセス制御部45には、プリンター内の湿度を検出する湿度センサー46の出力、および、画像データ取得部47からの出力がそれぞれ与えられている。画像データ取得部47は、プリントジョブが指示された場合に、指示されたプリントジョブから得られるプリント毎の画像データを取得して、プロセス制御部45に出力する。
図11は、画像形成条件変更制御の処理手順を示すフローチャートであり、画像形成条件変更制御は、プロセス制御部45によりプリントジョブごとに実行される。
同図に示すように、中間転写ベルト18の表面抵抗率を測定するベルト抵抗値測定モードに入り、1次転写電源部(HV)41Kから1次転写ローラー15Kに所定の測定電流、ここでは15μAの測定電流が供給されるように1次転写電源部(HV)41Kを制御すると共に、中間転写ベルト18のプロセス速度が標準速度(第1速度)になるようにプロセスモーター44を制御する(ステップS1)。これにより、中間転写ベルト18は、標準速度で走行する。
そして、中間転写ベルト18が走行している間に、ベルト電圧測定部42によって検出されるベルト電圧を取得する(ステップS2)。
中間転写ベルト18表面を電流が流れると、中間転写ベルト18の表面抵抗成分により電圧降下が生じ、その電圧降下に相当する電圧がベルト電圧として、ベルト電圧測定部42によって検出される。
この場合、中間転写ベルト18の全周にわたってベルト電圧をサンプリングすることができるが、例えば全周の一部、具体的には1/5周だけをサンプリングするとしても良い。サンプリングの範囲を一部だけとしても表面抵抗率の変化をある程度は求めることができるからである。サンプリングの範囲を一部だけに絞れば、サンプリングに要する時間が短縮されるので、ベルト抵抗値測定モードの全体の実行時間を短縮することができる。
図12は、15μAの測定電流を1次転写ローラー15Kに供給した場合に、中間転写ベルト18の表面抵抗率と、ベルト電圧測定部42において測定される平均ベルト電圧VTsとの関係を示すグラフである。
中間転写ベルト18の表面抵抗率が0.8×109(Ω/□)のときに平均ベルト電圧が800Vになることを太線のラインで示しているのは、1次転写時の白抜けの発生の閾値を示すためである。本実施形態のプリンターで検証したところ、中間転写ベルト18の表面抵抗率が0.8×109(Ω/□)以上であれば、人の目に映る程度の白抜けの発生は確認できなかったが、0.8×109(Ω/□)を下回ると、白抜けの発生を確認することができた。
平均ベルト電圧VTs<閾値電圧Vthではない、すなわち平均ベルト電圧VTs≧閾値電圧Vthであることを判断すると(ステップS4で「NO」)、表面抵抗率の局所的な低下による一次転写時の白抜けの発生の蓋然性が低いとして、後述の画像形成条件の変更(ステップS9)を実行せず(スキップして)、画像形成動作を実行する(ステップS10)。この場合、画像形成動作におけるプロセス速度は、標準速度のままであり、転写電流も標準値のままである。これが、上記(b)の処理に相当する。
ステップS5では、当該プリントジョブに係る画像データを1ページ単位で画像データ取得部47から取得する。そして、取得された画像データに基づいて、ページ単位で印字率を算出する(ステップS6)。ここで、印字率とは、ページ単位で、1ページ(記録シート1枚分に相当)の全面積をXa、その1ページのうち画像が形成される部分のトータルの面積をXbとしたとき、(Xb/Xa)を百分率で表したものである。印字率が大きくなるほど、形成画像の面積が増えることになる。
算出された印字率が所定値、ここでは20%以上であるか否かを判断する(ステップS7)。なお、複数ページがある場合には、そのうちの1ページでも印字率が20%以上のページがあれば、20%以上であると判断する。
ステップS8では、プリンター内の湿度が70%以上であるか否かを判断する。プリンター内の湿度は、湿度センサー46により検出される。
画像形成条件の変更は、プロセス速度を第2速度に変更すると共に、転写電流を第2電流値に変更し、二次転写電圧も第1速度に対応した電圧値から、第2速度に対応した電圧値に変更することにより実行される。また、感光体ドラム11Y〜11Kに対する帯電電位、露光器13Y〜13Kから発せられるレーザー光の露光量、現像器14Y〜14Kの現像ローラー14aに印加される現像バイアス電圧のそれぞれも、感光体ドラム11Y〜11Kへのトナー画像の画像形成条件として、第1速度に対応した値から第2速度に対応した値(予め設定された値)に変更される。それぞれの画像形成条件の変更は、上記(c)の処理に相当する。
画像形成条件が変更された状態で、指示されたプリントジョブに対する画像形成動作が実行される(ステップS10)。
図13は、高温高湿環境下において、吸湿性ベルトを第2速度(標準速度の1/2)で走行させた場合における転写電流とK色の転写効率との関係を示すグラフであり、実線が正常部を、破線が吸湿部をそれぞれ示している。この吸湿部が、吸湿性ベルトにおける表面抵抗率が局所的に低下した部分に相当する。なお、図13には、比較のために標準速度時の正常部における転写効率のグラフも一点鎖線で示している。
すなわち、プロセス速度が標準速度から1/2に減速されたことにより、その減速分、単位時間当たりに中間転写ベルト18から感光体ドラム11Kへの転写電流の供給量が増える。転写効率は、転写電流の供給量により変化する。従って、標準速度のときと同じ転写効率を得るのには、転写電流の供給量を、減速時でも同程度にすれば良いはずであり、標準速度時と減速時とで転写電流の供給量を同じにするには、減速分だけ、転写電流の供給量を標準速度時よりも少なくすれば良いからである。
すなわち、吸湿部は、正常部よりも、表面抵抗率の低下により感光体ドラム11Kへの電流供給が行われ易く、換言すれば中間転写ベルト18表面の、感光体ドラム11Kと対向するベルト部分への正電荷の供給が行われ易く、このことは中間転写ベルト18の走行速度が標準速度でも減速時でも同じである。
正常部でも吸湿部でも電流供給が行われ易くなるということは、上記のように転写効率を示すグラフが低電流側にシフトすることであり、このシフトすることは、正常部でも吸湿部でも同様である。ところが、シフト量を比べると、正常部では、標準速度で電流供給が行われ難かった分、標準速度から減速すると、シフト量がある程度、大きくなるのに対し、吸湿部では、標準速度でも減速時でも元々、電流供給が行われ易かったことから、正常部よりもシフト量が少なくなる。
このように正常部の転写効率を示すグラフ(実線)と吸湿部の転写効率を示すグラフ(破線)が近づくということは、正常部の転写OWesと吸湿部の転写OWehの重複領域(転写OWの重複領域)が広くなり、転写OWの重複領域が広くなるということは、正常部でも吸湿部でも95%以上の転写効率を得られる範囲が、標準速度の場合(図8)に比べて広くなることを意味する。
従って、図13に示すようにプロセス速度を第2速度に減速した場合に高温高湿環境下における転写電流値を、正常部の転写OWesと吸湿部の転写OWehの重複領域のうち、正常部の転写効率のピークになるATcに設定すれば、正常部だけでなく吸湿部でも95%以上の転写効率を確保することができる。このことは、K色に限られず、他のY〜C色についても同様である。
画像形成条件の変更制御において変更されるプロセス速度および転写電流の関係は、実験等によって予め求められて、プロセス制御部45に記憶されている。本実施形態では、吸湿性ベルトを標準速度の1/2で走行させた場合に、最大の転写効率が得られる転写電流ATcを第2電流値として実験によって予め求めたところ、標準値の1/2になったので、その転写電流ATcがプロセス制御部45に記憶されている。このことから転写電流ATc(第2電流値)は、中間転写ベルト18の標準速度(第1速度)と第2速度との速度差に応じて低く設定された電流値ということができる。
上記実施形態では、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11K上のトナーを中間転写ベルト18に転写する1次転写部材を、中間転写ベルト18の走行に追従して回転する金属ローラーによって構成された1次転写ローラー15Y、15M、15C、15Kとしたが、このような構成に限らない。
金属製の本体部51Kには、1次転写電源部(HV)41Kから転写電流が供給されるようになっている。また、1次転写電源部(HV)41Kと本体部51Kとの間に、ベルト電圧測定部42が設けられている。
なお、他の感光体ドラム11Y、11M、11C上のトナーを中間転写ベルト18に転写する1次転写部材も、同様の構成の摺動部材とすることができる。
[変形例]
<変形例1>
上記の各実施形態では、中間転写ベルト18の表面抵抗率の低下が検出された場合に、画像形成動作の実行時におけるプロセス速度を、標準速度の1/2の第2速度に変更するとしたが、第2速度は、標準速度の1/2に限られず、例えば標準速度よりも遅く、標準速度の1/2よりも速い速度、具体的には標準速度の80%とすることもできる。
同図に示すように、第2速度を標準速度の80%に設定した場合、正常部の転写効率を示すグラフ(実線)に対し、吸湿部の転写効率を示すグラフ(破線)の低電流側へのシフト量が、第2速度を標準速度の1/2に設定した場合(図13)に比べると、やや大きくなっている。これにより、転写OWesとOWehの重複領域が、第2速度を標準速度の1/2に設定した場合(図13)よりも狭くなっているが、標準速度のままにする場合(図8)に比べると、重複領域が広いことが判る。
なお、上記では、第2速度を、標準速度の1/2にする場合と80%にする場合の例を説明したが、これらの値に限られることはなく、装置構成に適した他の値に設定するとしても良い。
また、中間転写ベルト18の表面抵抗率の低下が検出された場合に、検出される表面抵抗率に基づいて、画像形成動作の実行時におけるプロセス速度(第2速度)を変更する構成としてもよい。
例えば、図11のステップS4において、平均ベルト電圧VTsが、閾値電圧Vth(800V)よりも低くなっている場合でも、平均ベルト電圧VTsが750〜800Vの範囲になっていれば、中間転写ベルト18における表面抵抗率の低下が小さいために、第2速度を標準速度の例えば2/3(66.7%)とし、中間転写ベルト18を標準速度の2/3で走行させた場合に正常部で最大の転写効率が得られる転写電流ATcに転写電流値を変更することもできる。
平均ベルト電圧VTsが750V程度ということは、800Vの場合よりも中間転写ベルト18の表面抵抗率が大きいということであり、その表面抵抗率が大きい分、第2速度を標準速度の1/2よりもやや高速の2/3に設定しても、1/2に設定した場合(図13)よりも、正常部の転写効率を示すグラフ(実線)と吸湿部の転写効率を示すグラフ(破線)とが近づいていることが判る。すなわち、転写OWesとOWehの重複領域が、1/2に設定した場合(図13)よりも広くなっており、転写電流値を、正常部の転写効率のピークを得られるATcに設定すれば、高温高湿環境下において正常部でも吸湿部でも、95%以上の転写効率を確保することができる。
平均ベルト電圧VTsが750Vのときに第2速度を標準速度の2/3、平均ベルト電圧VTsが700Vのときに第2速度を標準速度の3/5にするなど、平均ベルト電圧VTsが800Vから下がるに伴って、第2速度を低速にする構成をとることができる。
(1)上記実施形態では、画像形成条件変更制御において、平均ベルト電圧VTs<800Vの場合、印字率≧20%の場合、プリンターの機内湿度≧70%の場合の3つの条件を満たしたときにだけ、画像形成条件の変更(ステップS9)を実行するとしたが、これに限られない。中間転写ベルト18の表面抵抗率の大きさを指標する指標値、例えば平均ベルト電圧と機内湿度の一方だけを実行条件としても良い。また、中間転写ベルト18の表面抵抗率を測定可能な構成をとれば、表面抵抗率を指標値に用い、測定された表面抵抗率が所定値以下の場合を実行条件とすることもできる。
さらに、各条件が満たされたか否かを判断するのに用いる閾値、すなわち平均ベルト電圧の800V、印字率の20%、湿度の70%が、これらの値に限られず、装置構成に応じた値が所定値として予め実験などにより設定される。
(3)また、ベルト抵抗値測定モード(ステップS1〜S3)だけを、プリントジョブの実行タイミングと切り離して、電源投入時などに実行しておき、プリントジョブ実行時には、ベルト抵抗値測定モード以外の処理(ステップS4以降)だけを実行するとしても良い。このようにすれば、プリントジョブ実行の際に、ベルト抵抗値測定モードを実行しなくても良くなり、それだけプリントジョブの全体に要する時間の短縮化を図れる。
(4)また、ユーザーの指示によって、画像形成条件の変更を禁止する構成にしてもよい。このような構成とすることにより、多数枚の記録シートを連続搬送してプリントするプリントジョブを短時間で実行する必要がある場合等に、ユーザーの指示によって、プロセス速度が低下することを禁じることができる。これにより、プリントの生産効率の低下を防止することができる。
白抜けの発生がシラノールの残留していない中間転写ベルト18(正常ベルト)に発生しないとはいえず、正常ベルトと吸湿性ベルトの如何に関わらず、装置構成によって、湿度変化などに起因して表面抵抗率が変化して白抜けなどの転写むらが生じるような場合には、画像形成条件変更制御を実行するとしても良い。このことは、中間転写ベルト18に無機層が設けられていない場合も同様である。
11Y、11M、11C、11K 感光体ドラム
15Y、15M、15C、15K 1次転写ローラー
18 中間転写ベルト18
18a 基材層
18b 表面コート層
41Y、41M、41C、41K 1次転写電源部(HV)
42 ベルト電圧測定部
45 プロセス制御部
46 湿度センサー
Claims (13)
- 像担持体上のトナー画像を転写位置で中間転写体に転写し、当該中間転写体上のトナー画像をさらに記録シートに転写する画像形成装置であって、
前記中間転写体の移動路を挟んで前記像担持体とは反対側に配され、前記転写位置よりも当該移動方向上流側または下流側の位置で当該中間転写体に接する転写部材と、
前記転写部材に転写のための転写電流を供給する転写電源と、
前記中間転写体を移動路に沿って移動させる駆動手段と、
前記中間転写体の表面抵抗率の指標値を検出する検出手段と、
前記検出された指標値が標準値よりも低い値を示す場合に、前記駆動手段を制御して、前記中間転写体の移動速度を第1速度よりも所定量だけ遅い第2速度に変更させると共に、前記転写電源を制御して、前記転写部材への転写電流を、前記第1速度に対する第1電流よりも前記第1速度と第2速度の速度差に応じて低く設定された第2電流に変更させる制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。 - 前記第2電流の値は、
前記中間転写体を前記第2速度で移動した場合に、当該中間転写体の表面抵抗率の指標値が標準値以下であっても、所定以上の転写効率が得られる電流値として予め決められた範囲内の値であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記検出手段は、
前記中間転写体の表面抵抗率の指標値として、当該中間転写体に所定の測定電流を供給した場合に当該中間転写体の表面抵抗率の変化により生じる電圧降下に相当する電圧を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。 - 前記検出手段は、
前記中間転写体の表面抵抗率の指標値として、当該中間転写体の周囲の湿度を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。 - 前記制御手段は、
前記検出手段による前記中間転写体の周囲の湿度の、現在の検出値が、前回の検出値に対して所定の変化量以上であることを契機に、前記現在の検出値が標準値よりも低い値か否かを判断し、低い値を示す場合に当該中間転写体の移動速度の変更と前記転写部材への供給電流の変更を実行させることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。 - 前記検出手段は、
自装置への電源投入時に前記指標値の検出を実行することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。 - 前記制御手段は、
前記像担持体に形成されるトナー画像の印字率が所定値よりも低い場合には、前記指標値の大小に関わらず、前記中間転写体の移動速度と前記転写部材への転写電流の双方の変更を禁止することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。 - 前記制御手段は、
前記中間転写体の移動速度を第2速度に設定した場合には、前記像担持体上へのトナー画像の画像形成動作を、前記第1速度に対応した画像形成条件から当該第2速度に対応した画像形成条件に変更して実行することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。 - 前記中間転写体の、前記像担持体に接する面には、無機層が形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記転写部材は、
前記中間転写体の移動に追従して回転する金属製のローラーであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像形成装置。 - 前記転写部材は、
前記中間転写体に摺接する金属製の摺動部材であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像形成装置。 - 前記転写部材と前記中間転写体とが接する位置と、前記像担持体と当該中間転写体とが接する位置との距離が、2〜6mmの範囲内の値であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記像担持体および前記転写部材をそれぞれ1つずつ有する複数の画像形成部が設けられており、
前記検出手段は、
いずれか1つの画像形成部において前記指標値の検出を実行することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の画像形成装置。
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