JP2014012997A - 車両のエンジン自動停止制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の車両のエンジン自動停止制御装置では、車両減速中に、現時点から停車までの時間である第1時間が、エンジン停止指令からエンジン完全停止までの時間である第2時間よりも長い場合、エンジンを停止することとした。
【選択図】 図2
Description
内燃機関であるエンジン1には、エンジン始動を行う始動装置1aを有する。具体的にはスタータモータが備えられ、エンジン始動指令に基づいてエンジンクランキングを行うと共に、燃料を噴射し、エンジン1が自立回転可能となると、スタータモータを停止する。このスタータモータは、回転によりピニオンが回転軸方向にストロークしてフライホイール外周に形成されたリングギヤ等に噛み合うことでエンジン始動を行う一般的な構成である。
ベルト式無段変速機3は、発進クラッチと、プライマリプーリ及びセカンダリプーリと、これらプーリに掛け渡されたベルトから構成され、プーリ溝幅を油圧制御によって変更することで所望の変速比を達成する。また、ベルト式無段変速機3内には、エンジン1によって駆動されるオイルポンプが設けられ、エンジン作動時には、このオイルポンプを油圧源としてトルクコンバータ2のコンバータ圧やロックアップクラッチ圧を供給し、また、ベルト式無段変速機3のプーリ圧やクラッチ締結圧を供給する。
次に、コーストストップ制御処理について説明する。実施例1の車両のコーストストップ制御装置は、車両停止時に、所定の条件が成立したときは、エンジンアイドリングを停止する所謂アイドリングストップ制御を行う。尚、アイドリングストップ制御については周知の構成を適宜実施すればよいため、詳細な説明は省略する。加えて、車両走行中であっても、減速中であり、このまま車両停止してアイドリングストップ制御に移行する可能性が高いと判断したときは、エンジン1を停止するコーストストップ制御を行う。
図2は実施例1のコーストストップ制御処理を表すフローチャートである。尚、本フローチャートに表れない他の条件等を追加設定してもよい。
ステップS1では、車速、マスタシリンダ圧、基準となるコーストストップ許可上限・下限値の読み込みを行う。そして、コーストストップ制御を許可するブレーキペダル操作量の範囲の上限または下限である、コーストストップ許可上限値・下限値の設定をする。車速は車輪速センサ14により検出された各車輪速の平均値でもよいし、従動輪車輪速の平均値でもよく、特に限定しない。
ステップS4では、エンジン回転数Nに応じてエンジン停止指令からエンジン完全停止までの時間である第2時間Bを算出する。基本的にエンジン停止指令出力からエンジン回転数が低下する際の低下勾配は概ね一定であることから、この第2時間Bはエンジン回転数が高いほど長く設定される値、例えばB=k・Nにより算出する。ここでkは比例定数である。
尚、実施例1では減速度として正の値を用いており、減速度が大きいとは、より素早く減速している状態を表す。よって、減速度絶対値で評価する場合と同じ大小関係と考えて差し支えない。
ステップS10では、エンジン停止指令後の現時点における車速Vと車両減速度Gから停車までの時間Dを算出する。よって、D=V/Gと表される。
ステップS11では、現時点における車両減速度Gが所定減速度以下か否かを判断し、所定減速度以下の場合は車両停止までに十分な時間が確保可能であり、エンジン停止状態が得られると判断してステップS13に進みコーストストップ制御を継続する。一方、車両減速度Gが所定減速度よりも大きい場合はステップS12に進む。この所定減速度はステップS5の値と同じであるが、他の値を用いてもよい。
次に、上記フローチャートに基づく作用についてタイムチャートを用いて場合に分けて説明する。尚、タイムチャートの開始時点における走行状態は、コースト走行状態で減速中であり、ロックアップクラッチが締結され、エンジンへの燃料噴射は停止された状態でエンジン回転数も車速も徐々に減少傾向にあるものとする。
(パターン1:第1時間Aが第2時間Bよりも長い場合)
図3は実施例1のコーストストップ制御において第1時間Aが第2時間Bよりも長い場合のタイムチャートである。
時刻t1において、車速が所定車速に到達すると、ロックアップクラッチを解放する。このとき、コーストストップ制御を開始するか否かの判断を行い、CSスタンバイがOKとなる。このとき、車速Vと車両減速度Gとの関係から演算された第1時間Aがエンジン回転数に基づいて演算された第2時間Bよりも長いため、コーストストップ制御が許可され、そのままエンジンを停止する。これにより、車両停止前にエンジン回転数は完全に停止状態が得られるため、車両停止直後に再発進要求等が成された場合も素早くエンジン再始動を実行できるため、ずり下がり等の問題を回避することができる。
図4は実施例1のコーストストップ制御においてエンジン再始動途中でコーストストップの基本条件が成立した場合のタイムチャートである。
時刻t1において、車速が所定車速に到達すると、ロックアップクラッチを解放する。このとき、CSスタンバイがNGとなっているため、燃料噴射を再開し、エンジンの自立回転を促す。
時刻t2において、エンジン燃料噴射が再開されているときにCSスタンバイがOKとなると、この時点における第1時間A及び第2時間Bが演算され、パターン1と同様、第1時間Aが第2時間Bより長いため、コーストストップ制御が許可される。ここで、パターン1よりもエンジン回転数が高いときに第2時間Bが演算されるため、第2時間Bがパターン1よりも長くなっていることが分かる。
図5は実施例1のコーストストップ制御において第1時間Aが第2時間Bよりも短い場合のタイムチャートである。
時刻t1における作用はパターン2と同じであるため説明を省略する。その後も、CSスタンバイNGが継続するためエンジンはアイドル回転数を維持している。
時刻t3において、CSスタンバイOKとなると、この時点における第1時間A及び第2時間Bが演算される。このとき、車速は十分に低下しており、またエンジンはアイドル回転数を維持しているため、第2時間Bよりも第1時間Aが短くなっている。よって、コーストストップ制御が許可されることなく、エンジンはアイドル回転数を維持する。そして、車両停止後、アイドリングストップ制御条件が成立してからエンジン回転数を停止させる。
すなわち、第1時間Aが短い場合、車両停止直後には、エンジン回転数が逆回転していたり、回転数が完全に停止していない状態である。仮に、車両停止直後、すなわち、完全に車両を前方に移動させる慣性力等が無い状態で、再発進要求がなされた場合、エンジンを素早く再始動することができず、登坂路の場合はずり下がりを招くおそれがある。そこで、車両停止前にエンジン回転数が完全停止とならない場合は、コーストストップ制御を禁止することで、登坂路におけるずり下がり等を招くことなく、車両停止直後の再発進要求等に対応することができる。
図6は実施例1のコーストストップ制御においてコーストストップ後に車両減速度が変化した場合のタイムチャートである。
時刻t1における作用はパターン1と同じであるため説明を省略する。コーストストップ制御によりエンジン停止指令を出力した後で、かつ、エンジンが完全停止する前の時刻t4において、運転者が強くブレーキペダル操作等を行い、車両減速度がGxからGyに大きく変化する。このとき、時刻t4におけるエンジン停止までにかかる時間Cと車両停止までにかかる時間Dを算出する。このとき、エンジン回転数はほぼ停止直前の状態であり、時間Cが時間Dよりも短いため、車両停止前にエンジン完全停止状態を得られることから、コーストストップ制御を継続する。これにより、エンジン停止状態を確保することができ、燃費の改善に寄与することができる。
図7は実施例1のコーストストップ制御においてコーストストップ後に車両減速度が変化し、コーストストップ制御を解除する場合のタイムチャートである。
時刻t1からt2にかけてはパターン2と同じであるため説明を省略する。
時刻t5において、車両減速度がGxからGyに大きく変化する。このとき、エンジン停止までにかかる時間Cよりも、車両停止までにかかる時間Dが短い。すなわち、車両停止前にエンジン回転数を完全停止状態とすることができず、車両停止直後にエンジン再始動要求がきた場合、素早くエンジン再始動を行うことができない。そこで、この場合は、コーストストップ制御を解除し、すぐにエンジン燃料噴射を再開する。これにより、エンジン作動状態で車両停止できるため、登坂路等で車両停止直後に再発進要求が来たばあいであっても、車両ずり下がりを回避しつつ発進することができる。
(1)車両減速中に、現時点から停車までの時間である第1時間Aが、エンジン停止指令からエンジン完全停止までの時間である第2時間Bよりも長い場合、エンジンを停止するコーストストップ制御(コーストストップ制御手段)を行う(ステップS7参照)。
よって、停車前にエンジン完全停止が行われるため、停車直後にエンジン再始動要求が来た場合であっても、エンジン停止まで待ってからエンジン再始動するといった場面を回避することで車両のずり下がりを回避できるため、路面勾配に係らず燃費の向上及び運転性の向上を図ることができる。
よって、車速と車両減速度に基づいて早期にコーストストップ制御を開始することができる。
よって、走行状態に応じた適切な判断が可能となり、積極的にコーストストップ制御を行うことによる燃費改善を図ることができる。
よって、走行状態に応じた適切な判断が可能となり、積極的にコーストストップ制御を行うことによる燃費改善を図ることができる。
よって、走行状態が急変した場合であってもエンジンを再始動することで、路面勾配に係わらず燃費の向上及び運転性の向上を図ることができる。
仮に車両停止直後にコーストストップ解除要求が来た場合、エンジンが完全停止するまで待った上でエンジン始動を行うと、登坂路のときには車両ずり下がりが懸念される。また、回転中のエンジンに対して無理やりスタータモータを噛み合わせると、異音の発生やスタータモータの耐久性低下といった問題がある。そこで、即座にコーストストップ制御を解除し、エンジンを再始動することで、これらの問題を事前に回避できる。
この所定減速度は、仮に登坂路等で車両がずり下がるおそれがあるような場合、路面勾配に基づく減速度が生じているはずであり、車両ずり下がりが生じるおそれがある減速度を所定減速度として設定する(低勾配を表す所定減速度)。すなわち、現在の車両減速度が所定減速度以下の場合は、かなりゆっくりと車両停止に向かっており、車両停止までに時間が確保できることに加え、仮にエンジン完全停止前に車両停止したとしても路面勾配がさほど生じていないため、車両停止直後にエンジン再始動要求が来た場合にエンジン再始動が遅れたとしても、車両がずり下がることがない。よって、コーストストップ制御を行う際に何ら支障が生じないと判断できるため、早期にコーストストップを実施することで燃費の改善を図ることができる。
以上、本願発明を実施例に基づいて説明してきたが、上記実施例に限らず、他の構成であっても本願発明に含まれる。例えば、実施例では、ベルト式無段変速機を採用した例を示したが、他の有段式自動変速機や手動変速機等を備えた構成であってもよい。また、トルクコンバータを備えた例を示したが、トルクコンバータを備えていない車両であっても適用できる。
また、実施例では、第1時間Aや第2時間B等をそれぞれ算出したが、例えば、車両減速度のみに基づいて判断するステップS5のみの構成や、車速と車両減速度に基づいて判断するステップS6のみの構成でも構わない。
同様に、エンジン停止指令出力後にあっても、時間Cや時間Dを算出したが、例えば、車両減速度のみに基づいてコーストストップ制御の継続もしくは解除を判断するようにしてもよい。
1a 始動装置
2 トルクコンバータ
3 ベルト式無段変速機
3a 電動オイルポンプ
4 駆動輪
10 エンジンコントロールユニット
10a 路面勾配検出部
10b 車両重量検出部
10c 路面μ検出部
11 ブレーキスイッチ
12 アクセルペダル開度センサ
13 マスタシリンダ圧センサ
14 車輪速センサ
15 外気温センサ
20 コントロールユニット
Claims (7)
- 車両減速中に、現時点から停車までの時間である第1時間が、エンジン停止指令からエンジン完全停止までの時間である第2時間よりも長い場合、エンジンを停止するコーストストップ制御手段を備えたことを特徴とする車両のエンジン自動停止制御装置。
- 請求項1に記載の車両のエンジン自動停止制御装置において、
前記コーストストップ制御手段は、車速が所定車速以上であって、かつ、車両減速度絶対値が所定減速度以下の場合は、前記第1時間が前記第2時間よりも長いとみなすことを特徴とする車両のエンジン自動停止制御装置。 - 請求項2に記載の車両のエンジン自動停止制御装置において、
前記コーストストップ制御手段は、前記所定車速を減速度が小さいほど低く設定することを特徴とする車両のエンジン自動停止制御装置。 - 請求項1ないし3いずれか1つに記載の車両のエンジン自動停止制御装置において、
前記第2時間は、エンジン停止直前のエンジン回転数が高いほど長く設定することを特徴とする車両のエンジン自動停止制御装置。 - 請求項1ないし4いずれか1つに記載の車両のエンジン自動停止制御装置において、
前記コーストストップ制御手段は、エンジンに停止指令後、車両減速度絶対値が所定減速度よりも大きくなった場合は前記エンジンを再始動することを特徴とする車両のエンジン自動停止制御装置。 - 請求項1ないし5いずれか1つに記載の車両のエンジン自動停止制御装置において、
前記コーストストップ制御手段は、エンジンに停止指令後の現時点からエンジン完全停止までの時間が、現時点から停車までの時間よりも長い場合はエンジンを再始動することを特徴とする車両のエンジン自動停止制御装置。 - 請求項1ないし6いずれか1つに記載の車両のエンジン自動停止制御装置において、
前記コーストストップ制御手段は、車両減速度絶対値が低勾配を表す所定減速度以下の場合は、前記第1時間及び第2時間に関わらずエンジンを停止することを特徴とする車両のエンジン自動停止制御装置。
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