JP2014012241A - 被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置およびこの処理装置を用いた被処理ガス中の濃縮対象成分の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のスイング方式による被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置において、吸着剤に吸着した被処理ガス中の濃縮対象成分を吸着塔から排出するために、従来は外部からの供給が必要であったキャリアガス(排出用ガス)を用いずに濃縮対象成分を吸着塔から高濃度で排出することができる処理装置および処理方法が望まれていた。
【解決手段】本発明にかかる被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置は、複数種の吸着剤を充填した吸着塔と、複数種の吸着剤または/および複数種の吸着剤に吸着する成分を加熱する加熱手段を備え、複数種の吸着剤のうちの少なくとも一種に被処理ガス中のキャリアガス成分を吸着するキャリアガス成分吸着剤を用い、他の少なくとも一種に被処理ガス中の濃縮対象成分を吸着する濃縮対象成分吸着剤を用いることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明にかかる被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置は、複数種の吸着剤を充填した吸着塔と、複数種の吸着剤または/および複数種の吸着剤に吸着する成分を加熱する加熱手段を備え、複数種の吸着剤のうちの少なくとも一種に被処理ガス中のキャリアガス成分を吸着するキャリアガス成分吸着剤を用い、他の少なくとも一種に被処理ガス中の濃縮対象成分を吸着する濃縮対象成分吸着剤を用いることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置およびこの処理装置を用いた被処理ガス中の濃縮対象成分の処理方法に係る。さらに詳しくは吸着剤が充填された吸着塔を用いた被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置において、吸着剤に吸着した被処理ガス中の濃縮対象成分を吸着塔から排出するために、従来は外部からの供給が必要であったキャリアガス(排出用ガス)を用いずに濃縮対象成分を吸着塔から高濃度で排出することができる処理装置および処理方法に関するものである。
また、被処理ガス中の成分をキャリアガスとして使用することができる処理装置および処理方法に関するものである。
また、被処理ガス中の成分をキャリアガスとして使用することができる処理装置および処理方法に関するものである。
従来から、VOC(揮発性有機化合物)などを回収する方法としては、吸着剤が充填された吸着塔を用いたスイング方式と呼ばれる回収方法が知られている。そして、このスイング方式は、圧力差を利用した圧力スイング方式と温度差を利用した温度スイング方式の2つに大きく分類されている。
ここで、いずれの方式においても、吸着剤に吸着した被処理ガス中の濃縮対象成分を吸着塔から排出する手段としては、別途用意したキャリアガスを吸着塔の外部から吸着塔に供給して排出する手段を採用しているのが現状である。
例えば、特許文献1には、複数の吸着塔を設置して一の吸着塔で濃縮対象成分を吸着した後の清浄なガスを他の吸着塔にキャリアガスとして供給することによって、効率的な回収を行う方法が開示されている。
例えば、特許文献1には、複数の吸着塔を設置して一の吸着塔で濃縮対象成分を吸着した後の清浄なガスを他の吸着塔にキャリアガスとして供給することによって、効率的な回収を行う方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の回収方法においては、キャリアガスを別途用意する必要はなくなるものの、一の吸着塔で生じた清浄なガスを他の吸着塔に供給するための配管、ポンプ、ファン、ブロアなどが必要となるだけでなく、一の吸着塔で生じた清浄なガスを他の吸着塔に供給するタイミングなどを制御する制御手段が必要になる。従って、設備が大規模になりコストもかかるという欠点がある。
一方、被処理ガス中の濃縮対象成分の吸着塔からの排出において、キャリアガスを用いることが記載されていない文献もある。
例えば、特許文献2の段落[0018]、[0031]には、「該有機汚染物を含有するガスを脱着工程から冷却工程へ移送させるには、脱着工程と吸着工程の間を配管で連結すればよい。」との記載があるだけであり、キャリアガスの使用については言及されていない。
また、特許文献3の段落[0005]にも、「第2工程では...目的温度に瞬時に上昇させ、その温度で吸着成分の脱離を図る。この工程では、ガスの導入を中止あるいは流量を著しく小さくしてあるため脱離ガスは100%に近い濃度となっている。」との記載があるだけであり、キャリアガスの使用については言及されていない。
例えば、特許文献2の段落[0018]、[0031]には、「該有機汚染物を含有するガスを脱着工程から冷却工程へ移送させるには、脱着工程と吸着工程の間を配管で連結すればよい。」との記載があるだけであり、キャリアガスの使用については言及されていない。
また、特許文献3の段落[0005]にも、「第2工程では...目的温度に瞬時に上昇させ、その温度で吸着成分の脱離を図る。この工程では、ガスの導入を中止あるいは流量を著しく小さくしてあるため脱離ガスは100%に近い濃度となっている。」との記載があるだけであり、キャリアガスの使用については言及されていない。
しかしながら、特許文献2の清浄化装置においても、上記の通り段落[0018]、[0031]では「脱着工程と吸着工程の間を配管で連結すればよい。」との記載があるものの、実際の実施形態である[図1]、[図2]においては、脱着工程と吸着工程の間にファン(ポンプ)5およびファン25の記載があり、さらに段落[0022]にはポンプ5を駆動させる旨が記載されている。
従って、特許文献2の清浄化装置においても、吸着剤に吸着させた成分の吸着塔からの排出にキャリアガスを用いることを積極的に排除しているものではなく、何らかの手段(設備)を用いて吸着させた成分を吸着塔から強制的に排出する必要があるという欠点がある。
従って、特許文献2の清浄化装置においても、吸着剤に吸着させた成分の吸着塔からの排出にキャリアガスを用いることを積極的に排除しているものではなく、何らかの手段(設備)を用いて吸着させた成分を吸着塔から強制的に排出する必要があるという欠点がある。
また、特許文献3の吸着回収方法についても、明細書中にはポンプやファン等の強制的な排出設備は記載されていないものの、実施例に記載されている吸着回収装置は家庭用電子レンジおよび冷蔵庫を改造して製作した、いわゆる実験室レベルの装置となっているものである。
従って、処理スケールが小さい場合においては、吸着工程と次工程である冷却工程との距離が短いことから、特許文献3の実施例に記載されているようなポンプやファン等の強制的な排出設備を特段設けることなく吸着剤に吸着させた濃縮対象成分などを吸着塔から排出することができることになるが、実際の処理スケールにおいては特許文献2と同様に、何らかの手段を用いて吸着させた濃縮対象成分などを吸着塔から強制的に排出する必要があるという欠点がある。
従って、処理スケールが小さい場合においては、吸着工程と次工程である冷却工程との距離が短いことから、特許文献3の実施例に記載されているようなポンプやファン等の強制的な排出設備を特段設けることなく吸着剤に吸着させた濃縮対象成分などを吸着塔から排出することができることになるが、実際の処理スケールにおいては特許文献2と同様に、何らかの手段を用いて吸着させた濃縮対象成分などを吸着塔から強制的に排出する必要があるという欠点がある。
以上のことから、従前の被処理ガス中の濃縮対象成分の回収においては、外部からのキャリアガスの供給やポンプ等の手段を用いることが不可欠であり、設備が大規模になり、コストもかかるという欠点があった。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、吸着剤が充填された吸着塔を用いた被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置において、吸着剤に吸着した被処理ガス中の濃縮対象成分を吸着塔から排出するために、従来は外部からの供給が必要であったキャリアガス(排出用ガス)を用いずに濃縮対象成分を吸着塔から高濃度で排出することができる処理装置および処理方法に関するものである。
また、被処理ガス中の成分をキャリアガスとして使用することができる処理装置および処理方法の提供を目的とする。
また、被処理ガス中の成分をキャリアガスとして使用することができる処理装置および処理方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1にかかる被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置は、複数種の吸着剤を充填した吸着塔と、複数種の吸着剤または/および複数種の吸着剤に吸着する成分を加熱する加熱手段を備え、複数種の吸着剤のうちの少なくとも一種に被処理ガス中のキャリアガス成分を吸着するキャリアガス成分吸着剤を用い、他の少なくとも一種に被処理ガス中の濃縮対象成分を吸着する濃縮対象成分吸着剤を用いることを特徴とする。
本発明の請求項2にかかる被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置は、複数種の吸着剤が、吸着塔に層状に充填されていることを特徴とする。
本発明の請求項3にかかる被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置は、濃縮対象成分吸着剤を充填した充填層が、キャリアガス成分吸着剤を充填した充填層よりも下層に配置されていることを特徴とする。
本発明の請求項4にかかる被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置は、加熱手段が、充填層毎に設けられていることを特徴とする。
本発明の請求項5にかかる被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置は、加熱手段が、マイクロ波、高周波誘電、ヒーターから選択される少なくとも1種以上を使用したものであることを特徴とする。
本発明の請求項6にかかる被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置は、加熱手段に、マイクロ波を撹拌する撹拌手段、または/および吸着塔内のガスを対流させるガス対流手段が設けられていることを特徴とする。
本発明の請求項7にかかる被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置に、さらに水分凝集手段が設けられていることを特徴とする。
本発明の請求項8にかかる被処理ガス中の濃縮対象成分の処理方法は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置を用いた被処理ガス中の濃縮対象成分の処理方法において、吸着塔の排出口の開放と、加熱手段による複数種の吸着剤の加熱を同時に行うことを特徴とする。
本発明の請求項9にかかる被処理ガス中の濃縮対象成分の処理方法は請求項4に記載の被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置を用いた被処理ガス中の濃縮対象成分の処理方法において、吸着塔の排出口の開放と、加熱手段によるキャリアガス成分吸着剤の充填層の加熱を同時に行い、その後、濃縮対象成分吸着剤の充填層の加熱を行うことを特徴とする。
本発明によれば、主に以下に記載の効果を得ることができる。
1)スイング方式を用いたVOCガス等の被処理ガスの濃縮回収方法において、吸着した被処理ガスを吸着塔から排出するために、従来は外部からの導入が必要であったキャリアガス(排出用ガス)を用いずに濃縮対象成分を吸着塔から高濃度で排出することができる。また、被処理ガス中の成分をキャリアガスに使用することができ、省設備化、低コスト化を実現することができる。
2)吸着剤が層状に充填されていることによって、吸着塔内においてキャリアガスをより纏まった状態で発生させることができ、その結果、濃縮対象成分を吸着塔から効果的に排出することができる。
また、被処理ガス中に濃縮したい成分が複数混在している場合には、濃縮したい成分毎に対応する吸着剤を層状に充填し、各濃縮対象成分を吸着させた後に、後記するように各層を選択的に加熱することによって、成分毎に濃縮および回収を行うことができる。
3)濃縮対象成分吸着剤の充填層をキャリアガス成分吸着剤の充填層よりも下層に配置することによって、キャリアガス成分によって追い出すように吸着塔から排出することができ、より効果的に濃縮対象成分を排出することができる。
4)加熱手段を充填層毎に設けることによって、吸着した各成分の脱離を選択的に行うことができる。
5)撹拌手段やガス対流手段を設けることによって、加熱ムラを防止することができ、より効果的に濃縮対象成分を吸着剤から脱離させることができる。
6)水分凝集手段を設けることによって、濃縮した濃縮対象成分中の水分を凝集することができ、さらに高濃度の状態で濃縮対象成分を回収することができる。なお、かかる効果は、濃縮対象成分が水に溶解しにくい物質の場合に特に顕著である。
7)排出口を開放のタイミングと加熱手段による吸着剤の加熱のタイミングを調整することによって、より効率的に濃縮対象成分の排出を行うことができる。
2)吸着剤が層状に充填されていることによって、吸着塔内においてキャリアガスをより纏まった状態で発生させることができ、その結果、濃縮対象成分を吸着塔から効果的に排出することができる。
また、被処理ガス中に濃縮したい成分が複数混在している場合には、濃縮したい成分毎に対応する吸着剤を層状に充填し、各濃縮対象成分を吸着させた後に、後記するように各層を選択的に加熱することによって、成分毎に濃縮および回収を行うことができる。
3)濃縮対象成分吸着剤の充填層をキャリアガス成分吸着剤の充填層よりも下層に配置することによって、キャリアガス成分によって追い出すように吸着塔から排出することができ、より効果的に濃縮対象成分を排出することができる。
4)加熱手段を充填層毎に設けることによって、吸着した各成分の脱離を選択的に行うことができる。
5)撹拌手段やガス対流手段を設けることによって、加熱ムラを防止することができ、より効果的に濃縮対象成分を吸着剤から脱離させることができる。
6)水分凝集手段を設けることによって、濃縮した濃縮対象成分中の水分を凝集することができ、さらに高濃度の状態で濃縮対象成分を回収することができる。なお、かかる効果は、濃縮対象成分が水に溶解しにくい物質の場合に特に顕著である。
7)排出口を開放のタイミングと加熱手段による吸着剤の加熱のタイミングを調整することによって、より効率的に濃縮対象成分の排出を行うことができる。
本発明の被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。図1は本発明にかかる被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置の構造を示す模式図であり、図2は本発明にかかる被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置の別の構造を示す模式図であり、図3は 図2のA−A断面図であり、図4は本発明にかかる被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置に用いられるガス対流手段の一の例の構造を示す模式図であり、図5は本発明にかかる被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置に用いられるガス対流手段の別の例の構造を示す模式図であり、図6は本発明にかかる被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置に用いられるマイクロ波を撹拌する撹拌手段の構造を示す模式図である。
まず、本発明にかかる被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置の構成を図1に基づいて説明する。
図1に示す通り、この実施形態にかかる処理装置1は、被処理ガス中のキャリアガス成分を吸着するキャリアガス成分吸着剤2および被処理ガス中の濃縮対象成分を吸着する濃縮対象成分吸着剤3が充填された吸着塔4、キャリアガス成分吸着剤2および濃縮対象成分吸着剤3を加熱するための加熱手段5を主要部品として構成されている。
図1に示す通り、この実施形態にかかる処理装置1は、被処理ガス中のキャリアガス成分を吸着するキャリアガス成分吸着剤2および被処理ガス中の濃縮対象成分を吸着する濃縮対象成分吸着剤3が充填された吸着塔4、キャリアガス成分吸着剤2および濃縮対象成分吸着剤3を加熱するための加熱手段5を主要部品として構成されている。
なお、図1に示す実施形態では吸着塔を1塔しか記載していないが、本発明の処理装置はそれに限定されるものでなく、同様の吸着塔を複数用いることによって、より大量の被処理ガスを処理することもできる。
また、吸着塔4には被処理ガスを吸着塔4内に供給するためのブロワ6が接続された配管7、被処理ガス中の濃縮対象成分を濃縮対象成分吸着剤3に吸着させた後の清浄な気体を吸着塔4から排出するための配管8、濃縮された被処理ガス中の濃縮対象成分を排出して次工程に送るための配管9が接続されている。
さらに、図1に示す実施形態においては、排出された濃縮対象成分中の水分を凝集させることによって濃縮対象成分の濃度をさらに向上させるための水分凝集手段10と、濃縮対象成分を完全燃焼させることによって最終処理を行うための燃焼手段11が、配管9に設けられている。
このような水分凝集手段10を用いれば、濃縮対象成分が水に溶解しにくいVOCなどの場合においては、特に、吸着塔4から排出された濃縮対象成分の濃度をさらに高い状態にして燃焼手段11で燃焼処理することができることから好適である。また、水分凝集手段10を経た濃縮対象成分は吸着塔4から排出された時点の濃縮対象成分の濃度よりもさらに濃度が高くなっていることから、燃焼手段11についても例えば小型バーナー装置などの小型の燃焼装置を用いることができ、設備の小型化を行うことができる。
このような水分凝集手段10を用いれば、濃縮対象成分が水に溶解しにくいVOCなどの場合においては、特に、吸着塔4から排出された濃縮対象成分の濃度をさらに高い状態にして燃焼手段11で燃焼処理することができることから好適である。また、水分凝集手段10を経た濃縮対象成分は吸着塔4から排出された時点の濃縮対象成分の濃度よりもさらに濃度が高くなっていることから、燃焼手段11についても例えば小型バーナー装置などの小型の燃焼装置を用いることができ、設備の小型化を行うことができる。
なお、図1に示す実施形態においては図示していないが、排出された濃縮対象成分中の水分についても燃焼手段11で燃焼処理するような場合には、排出された濃縮対象成分中の水分が配管内において凝集するのを防止するため、水分凝集手段10の代わりに配管加温用のジャケットヒーターを配管9に設けることもできる。また、濃縮対象成分の種類によっては燃焼処理をせずに回収する場合もあり得ることから、かかる場合には燃焼手段11の代わりに回収手段(図示せず)を設けることもできる。
次に、主な構成要件について説明する。
(吸着塔および吸着剤)
本発明の処理装置に用いられる吸着塔4には、吸着剤として、複数種の吸着剤が充填されている必要があり、そのうちの少なくとも一種には被処理ガス中のキャリアガス成分を吸着するキャリアガス成分吸着剤2が用いられ、他の少なくとも一種には被処理ガス中の濃縮対象成分を吸着する濃縮対象成分吸着剤3が用いられる必要がある。このように吸着剤にキャリアガス成分吸着剤2を用いることによって、キャリアガス成分吸着剤2に吸着したキャリアガス成分が気化する際の体積膨張を利用して、従来は外部からの供給が必要であったキャリアガス(排出用ガス)を用いずに濃縮対象成分を吸着塔4から高濃度で排出することができるのである。
本発明の処理装置に用いられる吸着塔4には、吸着剤として、複数種の吸着剤が充填されている必要があり、そのうちの少なくとも一種には被処理ガス中のキャリアガス成分を吸着するキャリアガス成分吸着剤2が用いられ、他の少なくとも一種には被処理ガス中の濃縮対象成分を吸着する濃縮対象成分吸着剤3が用いられる必要がある。このように吸着剤にキャリアガス成分吸着剤2を用いることによって、キャリアガス成分吸着剤2に吸着したキャリアガス成分が気化する際の体積膨張を利用して、従来は外部からの供給が必要であったキャリアガス(排出用ガス)を用いずに濃縮対象成分を吸着塔4から高濃度で排出することができるのである。
キャリアガス成分吸着剤2としては、通常、窒素、二酸化炭素、水蒸気などがキャリアガスとして用いられることから、被処理ガス中に含まれているこれらのキャリアガス成分を吸着する物質が用いられることになり、具体的にはゼオライト、シリカ、シリカゲルなどが挙げられる。なお、これらの物質については、必要とするキャリアガスに応じて単独で用いることも併用することもできる。
なおこの場合、キャリアガス成分は窒素や二酸化炭素などの常温常圧で気体となる物質、すなわち沸点が常温よりも低い物質が好ましい。なぜならば、キャリアガス成分に常温よりも沸点が高い物質を使用した場合には、処理装置の設置状態や稼働の雰囲気などによって、加熱手段によってキャリアガス成分吸着剤2から気化したキャリアガス成分が装置内や配管内で再度凝縮してしまいキャリアガスとしての機能が低下してしまう恐れがあるからである。但し、このような場合でも、処理装置内におけるキャリアガス成分が接触する部分に、かかる凝集現象を防止するため(沸点よりも高温に保つため)のヒータ等を設けておけば、常温よりも沸点が高い物質についてもキャリアガス成分として使用することができる。
濃縮対象成分吸着剤3としては、処理を行う被処理ガス中の濃縮対象成分を吸着する物質であればその他の特性については特に限定されるものではないが、濃縮対象成分吸着剤3に濃縮対象成分を吸着した後、後記する加熱手段5によって濃縮対象成分を濃縮対象成分吸着剤3から脱離させる際に、濃縮対象成分をより効率的に脱離させることができるという点から、細孔内に水分を特定の状態で付着させることができるものであることが好ましい。
そして、このような特性を有する吸着剤としては、組成においてSiO2/Al2O3のモル比が25以上(より好ましくは25以上1000以下)で、かつ細孔径が2nm以下のマイクロ孔を有するものを用いることが好適であり、具体的にはシリカライト、高シリカゼオライト、疎水性シリカなどのいわゆる疎水性吸着剤と呼ばれるものを用いることが好適である。
そして、このような特性を有する吸着剤としては、組成においてSiO2/Al2O3のモル比が25以上(より好ましくは25以上1000以下)で、かつ細孔径が2nm以下のマイクロ孔を有するものを用いることが好適であり、具体的にはシリカライト、高シリカゼオライト、疎水性シリカなどのいわゆる疎水性吸着剤と呼ばれるものを用いることが好適である。
また、本発明に用いる濃縮対象成分吸着剤3については、加熱手段にマイクロ波を用いる場合には、吸着剤の細孔内に水分がいわゆるクラスター状態で付着するものを使用することが好ましい。かかる状態で水分が細孔内に付着することによって、濃縮対象成分を各吸着剤から脱離させる際に、同時に水分も加熱されて細孔内が活性化され、その結果、省エネルギーかつ効率的に吸着剤からの濃縮対象成分の脱離を行うことができることになる。
また、この場合に水分が加熱されることによる細孔内の活性化によって、濃縮対象成分がキシレンやトルエン等の極性を持たないものであっても吸着剤からの脱離が促進されることになり、その結果、濃縮対象成分の極性を考慮することなく濃縮対象成分を回収することができる。
さらに、濃縮対象成分の中に極性を持つ成分が含まれている場合には、水分が加熱される際に当該極性成分も加熱されることになることから、細孔内をより活性化させることができ、濃縮対象成分等の吸着剤からの脱離量をより向上させることができる。
また、この場合に水分が加熱されることによる細孔内の活性化によって、濃縮対象成分がキシレンやトルエン等の極性を持たないものであっても吸着剤からの脱離が促進されることになり、その結果、濃縮対象成分の極性を考慮することなく濃縮対象成分を回収することができる。
さらに、濃縮対象成分の中に極性を持つ成分が含まれている場合には、水分が加熱される際に当該極性成分も加熱されることになることから、細孔内をより活性化させることができ、濃縮対象成分等の吸着剤からの脱離量をより向上させることができる。
ここで、クラスター状態とは、一般的には2個から1000個程度の原子または分子が分子間力や水素結合などによって相互に緩やかに結合している状態をいう。またはパーティクルカウンターやCNCカウンターなどでは検出することができない程の粒子径である状態と表現することもできる。
また、本発明における「クラスター状態」とは、濃縮対象成分の吸着が行われる細孔内が水や水蒸気などの水分で満たされているような状態ではなく、上記のように分子間力や水素結合などにより相互に緩やかに結合した2個から1000個程度の水原子または水分子によって細孔内の表面が薄く覆われているような状態をいう。
より具体的には、例えば絶乾状態の吸着剤に空気中の水分を含んだ被処理ガスを供給した際に当該吸着剤に付着する程度の水分の状態が挙げられ、その中でも吸着剤に付着させる水分の量が吸着剤に吸着させる濃縮対象成分の量の1〜10倍(モル比)の量であることが好適である。
より具体的には、例えば絶乾状態の吸着剤に空気中の水分を含んだ被処理ガスを供給した際に当該吸着剤に付着する程度の水分の状態が挙げられ、その中でも吸着剤に付着させる水分の量が吸着剤に吸着させる濃縮対象成分の量の1〜10倍(モル比)の量であることが好適である。
これら複数種の吸着剤の吸着塔4内における配置については特に限定されるものではなく、かかる吸着剤を混合したものを充填してもよいが、吸着塔4から濃縮対象成分を効率的に排出するためには、例えば図1〜図3に記載のように複数種の吸着剤を層状に配置することが好ましい。
ここで濃縮対象成分は、キャリアガス成分吸着剤2によって作製されるキャリアガス(窒素、二酸化炭素、水蒸気など)よりも通常、比重が大きいことが多いことから、図1に記載のように濃縮対象成分吸着剤3の充填層12aをキャリアガス成分吸着剤2の充填層12bよりも下層に配置して吸着塔4の下部から排出するように構成することができる。このような配置を採用すれば、下層に配置した濃縮対象成分吸着剤3から脱離した重い濃縮対象成分を重力などによって吸着塔4の下部により集めた状態で、さらに上層から降りてくるキャリアガス成分によって追い出すように吸着塔4から排出することができ、より効率的な排出を実現することができる。
すなわち、キャリアガス成分に適するガスは、段落[0032]にも記載した通り常温常圧で気体である物質が好ましいところ、このような気体は比重が軽いことから、キャリアガス成分吸着剤2からの気化による体積膨張とともにかかる気体に作用する重力も利用することによって、キャリアガス成分を吸着塔4の上方から下方に流れ易くすることで吸着塔4から濃縮対象成分を効率的に排出するのである。
すなわち、キャリアガス成分に適するガスは、段落[0032]にも記載した通り常温常圧で気体である物質が好ましいところ、このような気体は比重が軽いことから、キャリアガス成分吸着剤2からの気化による体積膨張とともにかかる気体に作用する重力も利用することによって、キャリアガス成分を吸着塔4の上方から下方に流れ易くすることで吸着塔4から濃縮対象成分を効率的に排出するのである。
また、図2、図3に記載のように濃縮対象成分吸着剤3の充填層12aとキャリアガス成分吸着剤2の充填層12bを周状に配置する構成を採用することもできる。このような配置を採用すれば、被処理ガスの吸着塔4への供給の際には、被処理ガスは吸着塔4内において空洞13aから空洞13bに向かって流れることになり、被処理ガス中の濃縮対象成分および被処理ガス中のキャリアガス成分をより効率的に吸着させることができ、かかる成分が除去された清浄化された空気を空洞13bからバルブ14bおよび配管8を通じて排出することができる。そして、各吸着剤からの各成分の加熱、脱離の際には、キャリアガス成分吸着剤2から気化したキャリアガス成分の体積膨張によって、濃縮対象成分を濃縮対象成分吸着剤3の充填層12aの内周から外周(空洞13a)に向かって押し出すように排出することができ、より効率的な排出を実現することができる。
なお、図2、図3においては濃縮対象成分吸着剤3の充填層12aの内側にキャリアガス成分吸着剤2の充填層12bを断面視において同心円状(ドーナツ状)に配置する構成にしているが、これに限られるものではなく、キャリアガス成分吸着剤2の充填層12bの内側に濃縮対象成分吸着剤3の充填層12aを配置することもできるし、断面視において楕円状や多角形状となるように配置することもできる。
さらに、図1の構成と図2、図3の構成を組み合わせることもできる。
なお、図2、図3においては濃縮対象成分吸着剤3の充填層12aの内側にキャリアガス成分吸着剤2の充填層12bを断面視において同心円状(ドーナツ状)に配置する構成にしているが、これに限られるものではなく、キャリアガス成分吸着剤2の充填層12bの内側に濃縮対象成分吸着剤3の充填層12aを配置することもできるし、断面視において楕円状や多角形状となるように配置することもできる。
さらに、図1の構成と図2、図3の構成を組み合わせることもできる。
また、本発明に用いられる吸着剤には、上記した吸着剤などをハニカム状やペレット状等の構造に成型したものを用いることもできる。またその際には、必要に応じて骨材やバインダー等を用いることもできる。かかる構造とすることにより、吸着剤が被処理ガスに対して有効に働く表面積を増やし、被処理ガスを吸着剤の表面に接触させながら適切に流すことができる。
なお、本発明に用いられる吸着剤は後記する加熱手段5によって加熱されることになるが、加熱手段5による熱量を吸着した物質に洩れなく伝えるという点から、吸着剤そのものが熱の吸収が少ない性質のものを使用することが好ましい。
また、被処理ガス中の濃縮対象成分やキャリアガス成分は、主に各吸着剤内部の細孔内に吸着されることから、後記する加熱手段5にマイクロ波や高周波誘電を用いる場合には、吸着剤についてはかかるマイクロ波等がその内部にまで到達するものを使用することが好ましい。
ここで、吸着剤等の誘電体にマイクロ波等を照射または印加する際、誘電体内部へのマイクロ波等の到達度合を表わす指標として電力半減深度がある。具体的には、マイクロ波等が誘電体の中を浸透していくことによって徐々に減衰する際の当該マイクロ波等の電力密度が1/2にまで半減する深さを表わす指標のことをいう。
従って、本発明に用いられる吸着剤や、必要に応じて用いられる骨材やバインダー等についても、電力半減深度ができるだけ大きいものを用いることが好ましい。但し、マイクロ波等が誘電体の中を浸透していく際における減衰現象については、印加する周波数が低い場合や使用する吸着剤のサイズが小さい場合にはほとんど無視できるものであることから、かかる場合においては電力半減深度に関してはあまり留意することなく吸着剤を選択することができる。
従って、本発明に用いられる吸着剤や、必要に応じて用いられる骨材やバインダー等についても、電力半減深度ができるだけ大きいものを用いることが好ましい。但し、マイクロ波等が誘電体の中を浸透していく際における減衰現象については、印加する周波数が低い場合や使用する吸着剤のサイズが小さい場合にはほとんど無視できるものであることから、かかる場合においては電力半減深度に関してはあまり留意することなく吸着剤を選択することができる。
(加熱手段)
本発明に用いられる加熱手段は、各吸着剤の細孔内に吸着した濃縮対象成分やキャリアガス成分を脱離させる目的、またはクラスター状態で付着している水分を加熱、脱離する目的に用いられるものである。
従って、かかる目的のためには、段落[0039]の記載にも関連する通り、上記した物質(濃縮対象成分、キャリアガス成分、クラスター状態で付着している水分)のみを加熱するものであることが好ましいが、加熱によって濃縮対象成分およびキャリアガス成分が各吸着剤から脱離するものであれば、吸着剤自体を加熱するものであっても構わない。
そして、これらの加熱手段5としては、例えば、図1、2に示すようなマイクロ波や高周波誘電を照射または印加することによる誘電加熱5aや、図4に示すようなシーズヒーター5bに代表されるヒーターなどが挙げられる。また、マイクロ波や高周波誘電を用いる場合の印加する周波数については、上記した物質を加熱させることができる範囲で適宜決定される。
本発明に用いられる加熱手段は、各吸着剤の細孔内に吸着した濃縮対象成分やキャリアガス成分を脱離させる目的、またはクラスター状態で付着している水分を加熱、脱離する目的に用いられるものである。
従って、かかる目的のためには、段落[0039]の記載にも関連する通り、上記した物質(濃縮対象成分、キャリアガス成分、クラスター状態で付着している水分)のみを加熱するものであることが好ましいが、加熱によって濃縮対象成分およびキャリアガス成分が各吸着剤から脱離するものであれば、吸着剤自体を加熱するものであっても構わない。
そして、これらの加熱手段5としては、例えば、図1、2に示すようなマイクロ波や高周波誘電を照射または印加することによる誘電加熱5aや、図4に示すようなシーズヒーター5bに代表されるヒーターなどが挙げられる。また、マイクロ波や高周波誘電を用いる場合の印加する周波数については、上記した物質を加熱させることができる範囲で適宜決定される。
また、吸着剤を層状に配置した場合には、かかる加熱手段5を各層毎に設けることもできる。
(撹拌手段またはガス対流手段)
さらに、上記した加熱手段5においては、吸着塔4内における加熱ムラを防止するためのガス対流手段やマイクロ波の撹拌手段を設けることもできる。
ここでガス対流手段としては図4に示すような耐熱性のベローズポンプ15を吸着塔4の外に設けることや図5に示すような吸着塔4内にモーター16で回転させるファン17を設けることなどが挙げられる。また、マイクロ波の撹拌手段としては、図6に示すようなモーター16で回転させるスタラファン18を、加熱手段5aからマイクロ波を吸着塔4に導く導波管19の出口に設けることなどが挙げられる。
さらに、上記した加熱手段5においては、吸着塔4内における加熱ムラを防止するためのガス対流手段やマイクロ波の撹拌手段を設けることもできる。
ここでガス対流手段としては図4に示すような耐熱性のベローズポンプ15を吸着塔4の外に設けることや図5に示すような吸着塔4内にモーター16で回転させるファン17を設けることなどが挙げられる。また、マイクロ波の撹拌手段としては、図6に示すようなモーター16で回転させるスタラファン18を、加熱手段5aからマイクロ波を吸着塔4に導く導波管19の出口に設けることなどが挙げられる。
また、図示しないが、加熱手段5にマイクロ波を用いる場合には、複数方向からの印加、吸着剤自体の回転、回転もしくは揺動する分散板の使用などの手段を講じることが加熱ムラを防止するためには好適である。
一方、加熱手段5に高周波誘電を用いる場合には、マイクロ波やヒーターと比べると印加する周波数が低いことから、2つの電極で吸着剤を挟み込むようにして印加を行うこととなり吸着剤全体を万遍なく印加することができる。従って、かかる撹拌手段等を使用しないこともできる。
一方、加熱手段5に高周波誘電を用いる場合には、マイクロ波やヒーターと比べると印加する周波数が低いことから、2つの電極で吸着剤を挟み込むようにして印加を行うこととなり吸着剤全体を万遍なく印加することができる。従って、かかる撹拌手段等を使用しないこともできる。
なお、段落[0036]に記載したように、濃縮対象成分の量の1〜10倍(モル比)の量の水分が吸着剤に付着している場合には、かかる水分が加熱前の段階において吸着剤の細孔内でクラスター状態となっていなくても、マイクロ波等が照射または印加された際に当該水分は加熱されることになる。
次に、上記のように構成された濃縮回収装置1の動作(被処理ガス中の濃縮対象成分の処理方法)および作用を図1に基づいて説明する。
(第1段階)
まず、被処理ガスは、吸着塔4のバルブ14aおよびバルブ14bが開放されることによって、ブロワ6を用いて配管7から吸着塔4に供給される。そうすると、被処理ガス中の濃縮対象成分は濃縮対象成分吸着剤3に、被処理ガス中のキャリアガス成分はキャリアガス成分吸着剤2に吸着されることになり、かかる成分が除去された清浄化された空気がバルブ14bから配管8を通じて排出される。なおこの際、被処理ガス中の水分については各吸着剤の細孔内にクラスター状態となって付着することになる。
まず、被処理ガスは、吸着塔4のバルブ14aおよびバルブ14bが開放されることによって、ブロワ6を用いて配管7から吸着塔4に供給される。そうすると、被処理ガス中の濃縮対象成分は濃縮対象成分吸着剤3に、被処理ガス中のキャリアガス成分はキャリアガス成分吸着剤2に吸着されることになり、かかる成分が除去された清浄化された空気がバルブ14bから配管8を通じて排出される。なおこの際、被処理ガス中の水分については各吸着剤の細孔内にクラスター状態となって付着することになる。
(第2段階)
次に、バルブ14aおよびバルブ14bを閉鎖する。そして、バルブ14c(吸着塔4の排出口)の開放と加熱手段5による各吸着剤の加熱を同時に行うことによって、濃縮対象成分およびキャリアガス成分を各吸着剤(各吸着層)から脱離させる。
なお、この加熱の際には細孔内の水分も加熱されることで細孔内が活性化されることになる。従って、活性化された細孔内において同じく吸着されている濃縮対象成分およびキャリアガス成分の加熱も促進されることになり、その結果、濃縮対象成分およびキャリアガス成分の吸着剤からの脱離がより促進されることになる。
次に、バルブ14aおよびバルブ14bを閉鎖する。そして、バルブ14c(吸着塔4の排出口)の開放と加熱手段5による各吸着剤の加熱を同時に行うことによって、濃縮対象成分およびキャリアガス成分を各吸着剤(各吸着層)から脱離させる。
なお、この加熱の際には細孔内の水分も加熱されることで細孔内が活性化されることになる。従って、活性化された細孔内において同じく吸着されている濃縮対象成分およびキャリアガス成分の加熱も促進されることになり、その結果、濃縮対象成分およびキャリアガス成分の吸着剤からの脱離がより促進されることになる。
そして、この加熱手段5による加熱によって、吸着塔4内を満たすことになる気体は濃縮対象成分、キャリアガス成分、細孔内に吸着された水分が大部分を占めることから、濃縮対象成分の濃度は吸着塔4への供給前よりも高濃度のものとなり、さらに供給した被処理ガスよりも減容化されることになる。
(第3段階)
次に、加熱手段5によって脱離した濃縮対象成分は同時に脱離したキャリアガス成分が気化する際の体積膨張や重力による押し出し効果によって吸着塔4から配管9を通じて排出されることになる。
また、上記においては、濃縮対象成分を同時に脱離させたキャリアガス成分のみを用いて吸着塔4から排出しているが、微量のキャリアガスを別途、吸着塔4外から供給することによって濃縮対象成分をより完全に吸着塔4から排出することもできる。なお、この際に使用される微量のキャリアガスは、吸着塔4内を満たしている気体のみを排出すればよいことから、従前において用いられているキャリアガスの体積よりもはるかに少ない体積で済むことになる。具体的には、外部から供給される従前のキャリアガスの供給量の1/5〜1/10000倍(モル比)にすることができる。
次に、加熱手段5によって脱離した濃縮対象成分は同時に脱離したキャリアガス成分が気化する際の体積膨張や重力による押し出し効果によって吸着塔4から配管9を通じて排出されることになる。
また、上記においては、濃縮対象成分を同時に脱離させたキャリアガス成分のみを用いて吸着塔4から排出しているが、微量のキャリアガスを別途、吸着塔4外から供給することによって濃縮対象成分をより完全に吸着塔4から排出することもできる。なお、この際に使用される微量のキャリアガスは、吸着塔4内を満たしている気体のみを排出すればよいことから、従前において用いられているキャリアガスの体積よりもはるかに少ない体積で済むことになる。具体的には、外部から供給される従前のキャリアガスの供給量の1/5〜1/10000倍(モル比)にすることができる。
さらに、上記第2段階および第3段階では、バルブ14c(吸着塔4の排出口)の開放と各吸着剤(各吸着層)の加熱を同時に行う場合を記載したがこれに限定されるものではなく、濃縮対象成分の種類に応じて適宜決定することができる。
例えば、濃縮対象成分吸着剤3から脱離した高濃度の濃縮対象成分と吸着塔4内に滞留している大気(酸素)とが混合されることによって爆発条件が満たされる恐れがある場合などは、まずバルブ14c(吸着塔4の排出口)の開放とキャリアガス成分吸着剤2の充填層12bの加熱を先に行うことで、吸着塔4内に滞留している大気(酸素)を吸着塔4から排出し、その後濃縮対象成分吸着剤3の加熱を行うこともできる。
また、加熱手段5による吸着剤からの各成分の脱離を先に開始した後に、吸着塔4の排出口の開放を行うこともできる。
例えば、濃縮対象成分吸着剤3から脱離した高濃度の濃縮対象成分と吸着塔4内に滞留している大気(酸素)とが混合されることによって爆発条件が満たされる恐れがある場合などは、まずバルブ14c(吸着塔4の排出口)の開放とキャリアガス成分吸着剤2の充填層12bの加熱を先に行うことで、吸着塔4内に滞留している大気(酸素)を吸着塔4から排出し、その後濃縮対象成分吸着剤3の加熱を行うこともできる。
また、加熱手段5による吸着剤からの各成分の脱離を先に開始した後に、吸着塔4の排出口の開放を行うこともできる。
(第4段階)
次に、配管9を通じて水分凝集手段10に送られた高濃度の濃縮対象成分を含有する気体は、水分凝集手段10によって濃縮対象成分中の水分が凝集されて回収されることによって、さらに濃度が高められることになる。なお、本段階においては、段落[0028]においても記載した通り、水分凝集手段10の代わりに配管加温用のジャケットヒーター(図示せず)を設けることもでき、さらに必要に応じてこれらの水分凝集手段10やジャケットヒーターを設けないこともできる。
次に、配管9を通じて水分凝集手段10に送られた高濃度の濃縮対象成分を含有する気体は、水分凝集手段10によって濃縮対象成分中の水分が凝集されて回収されることによって、さらに濃度が高められることになる。なお、本段階においては、段落[0028]においても記載した通り、水分凝集手段10の代わりに配管加温用のジャケットヒーター(図示せず)を設けることもでき、さらに必要に応じてこれらの水分凝集手段10やジャケットヒーターを設けないこともできる。
(第5段階)
最後に、水分凝集手段10によって、水分が除去されてさらに高濃度化された濃縮対象成分は、燃焼手段11に送られて完全燃焼されることによって処理が完結する。なお、段落[0028]に記載した通り、濃縮対象成分の種類によっては燃焼手段11の代わりに凝集器(図示せず)などの回収手段を設けて、濃縮対象成分を回収することもできる。
最後に、水分凝集手段10によって、水分が除去されてさらに高濃度化された濃縮対象成分は、燃焼手段11に送られて完全燃焼されることによって処理が完結する。なお、段落[0028]に記載した通り、濃縮対象成分の種類によっては燃焼手段11の代わりに凝集器(図示せず)などの回収手段を設けて、濃縮対象成分を回収することもできる。
本発明の被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置およびこの処理装置を用いた被処理ガス中の濃縮対象成分の処理方法は、産業設備などから排出される排出ガスの処理に用いることができる。
1 処理装置
2 キャリアガス成分吸着剤
3 濃縮対象成分吸着剤
4 吸着塔
5 加熱手段
5a 加熱手段
5b 加熱手段
6 ブロワ
7 配管
8 配管
9 配管
10 水分凝集手段
11 燃焼手段
12a 充填層
12b 充填層
13a 空洞
13b 空洞
14a バルブ
14b バルブ
14c バルブ
15 ベローズポンプ(ガス対流手段)
16 モーター
17 ファン(撹拌手段)
18 スタラファン
19 導波管
2 キャリアガス成分吸着剤
3 濃縮対象成分吸着剤
4 吸着塔
5 加熱手段
5a 加熱手段
5b 加熱手段
6 ブロワ
7 配管
8 配管
9 配管
10 水分凝集手段
11 燃焼手段
12a 充填層
12b 充填層
13a 空洞
13b 空洞
14a バルブ
14b バルブ
14c バルブ
15 ベローズポンプ(ガス対流手段)
16 モーター
17 ファン(撹拌手段)
18 スタラファン
19 導波管
Claims (9)
- 複数種の吸着剤を充填した吸着塔と、
前記複数種の吸着剤または/および前記複数種の吸着剤に吸着する成分を加熱する加熱手段を備え、
前記複数種の吸着剤のうちの少なくとも一種に被処理ガス中のキャリアガス成分を吸着するキャリアガス成分吸着剤を用い、
他の少なくとも一種に被処理ガス中の濃縮対象成分を吸着する濃縮対象成分吸着剤を用いることを特徴とする被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置。 - 前記複数種の吸着剤が、
前記吸着塔に層状に充填されていることを特徴とする請求項1に記載の被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置。 - 前記濃縮対象成分吸着剤を充填した充填層が、
前記キャリアガス成分吸着剤を充填した充填層よりも下層に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置。 - 前記加熱手段が、
充填層毎に設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3のいずれか一項に記載の被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置。 - 前記加熱手段が、
マイクロ波、高周波誘電、ヒーターから選択される少なくとも1種以上を使用したものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置。 - 前記加熱手段に、
前記マイクロ波を撹拌する撹拌手段、
または/および前記吸着塔内のガスを対流させるガス対流手段が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置。 - 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置に、
さらに水分凝集手段が設けられていることを特徴とする被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置。 - 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置を用いた被処理ガス中の濃縮対象成分の処理方法において、
前記吸着塔の排出口の開放と、
前記加熱手段による前記複数種の吸着剤の加熱を同時に行うことを特徴とする被処理ガス中の濃縮対象成分の処理方法。 - 請求項4に記載の被処理ガス中の濃縮対象成分の処理装置を用いた被処理ガス中の濃縮対象成分の処理方法において、
前記吸着塔の排出口の開放と、
前記加熱手段によるキャリアガス成分吸着剤の充填層の加熱を同時に行い、
その後、濃縮対象成分吸着剤の充填層の加熱を行うことを特徴とする被処理ガス中の濃縮対象成分の処理方法。
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- 2012-07-03 JP JP2012150029A patent/JP2014012241A/ja active Pending
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