JP2014010352A - 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、並びに、該組成物を用いたレジスト膜、パターン形成方法、電子デバイスの製造方法及び電子デバイス - Google Patents

感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、並びに、該組成物を用いたレジスト膜、パターン形成方法、電子デバイスの製造方法及び電子デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】パターン膜減りの抑制並びにレジスト膜の保存安定性の改善を可能とする感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】(A)少なくとも1種の下記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位と、特定の繰り返し単位を有する、酸の作用により分解しアルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂、(B)特定の化合物を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
Figure 2014010352

一般式(1)中、Aは樹脂主鎖構造と結合するための2価の連結基を表す。
【選択図】なし

Description

本発明は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、並びに、該組成物を用いたレジスト膜、及びそれを用いたパターン形成方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、超LSI及び高容量マイクロチップの製造などの超マイクロリソグラフィプロセス、その他のフォトファブリケーションプロセスに好適に用いられる感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、並びに、該組成物を用いたレジスト膜、及びそれを用いたパターン形成方法に関する。特に、本発明は、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザーを照射源とする場合に特に好適な感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、並びに、該組成物を用いたレジスト膜、及びそれを用いたパターン形成方法に関するものである。
また、本発明は、前記組成物を用いた前記パターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法及び該方法により製造された電子デバイスにも関する。
従来、ICやLSIなどの半導体デバイスの製造プロセスにおいては、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。近年、集積回路の高集積化に伴い、サブミクロン領域やクオーターミクロン領域の超微細パターン形成が要求されるようになってきている。それに伴い、露光波長もg線からi線に、さらにKrFエキシマレーザー光に、というように短波長化の傾向が見られる。
KrF露光用のレジスト組成物としては、ポリヒドロキシスチレンを基本骨格とする樹脂を含有するものが開発されてきている。そのような樹脂としては、例えば、ヒドロキシスチレンとアダマンチル基を含むモノマーとのコポリマーが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
一方、主にArF光源により露光されるレジスト組成物としては、芳香環を含有しない樹脂を含む組成物が開発されている。そのような組成物としては、例えば、特定のラクトン構造を有する樹脂を含む組成物や、特定のケトン構造を有する樹脂を含む組成物が知られている(例えば、特許文献2又は3を参照)。
米国特許出願公開第2007/0121390号明細書 特開2008−031298号公報 国際公開第2012/036128号パンフレット
このような組成物では、レジストパターン形成後のドライエッチング工程でのパターンダメージを最小限に抑えるためにパターン形成時の膜厚の確保、即ちパターン形成時に膜減りの少ないレジスト組成物が求められている。
しかしながら、上記のレジスト組成物においては、パターン膜減りの抑制、レジスト膜の保存安定性について、更なる改善が求められている。
本発明の目的は、活性光線又は放射線、特に、ArFエキシマレーザー光を使用する半導体素子の微細加工における性能向上技術の課題を解決することにある。すなわち、本発明の目的はパターン膜減りの抑制並びにレジスト膜の保存安定性の改善を可能とする感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、下記に例示する発明を完成するに至った。
〔1〕
(A)下記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位を有する、酸の作用により分解しアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂、及び
(B)下記一般式(2)で表される化合物
を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
Figure 2014010352

一般式(1)中、Aは樹脂主鎖構造と結合するための2価の連結基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、アルキル基、又はシクロアルキル基を表し、それらを構成する炭素原子の一部が酸素原子に置き換わっていてもよく、同一炭素に結合する2個の水素原子が酸素原子と置き換わってオキソ基を形成してもよい。また、R〜Rの少なくとも2つが結合して環を形成してもよい。m及びnは、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。
Figure 2014010352

一般式(2)中、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。pが2の場合、2つのRは互いに同じであっても異なっていてもよく、2つのRが互いに結合して、複素環を形成していてもよい。
複数のRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
複数のRが互いに結合して、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素環式炭化水素基を形成していてもよい。
oは1〜3の整数、pは0〜2の整数をそれぞれ表し、o+p=3である。
〔2〕
上記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位が、下記一般式(1−1)で表される繰り返し単位である〔1〕に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
Figure 2014010352

一般式(1−1)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表し、R〜Rはそれぞれ上記一般式(1)におけるR〜Rと同義である。Bは下記式(1−1−1)又は(1−1−2)で表される連結基を表す。下記式(1−1−1)及び式(1−1−2)において、カルボニル炭素が一般式(1−1)で表される繰り返し単位における主鎖に結合する。
Figure 2014010352
は、アルキレン基、シクロアルキレン基又はそれらを組み合わせてなる基を表し、Rが複数存在する場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。 Zは、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表し、Zが複数存在する場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。m及びnは、上記一般式(1)におけるm及びnと同義である。qは、0〜5の整数を表す。
〔3〕
上記樹脂(A)が、酸の作用により分解し、アルカリ可溶性基を生じる基を有する繰り返し単位(a)を有し、該繰り返し単位(a)として、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する〔1〕又は〔2〕に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
Figure 2014010352

31は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基又は−CH−R11で表される基を表す。R11は水酸基又は1価の有機基を表し、
32は、アルキル基又はシクロアルキル基を表し、
33は、炭素原子とともに脂環炭化水素構造を形成するのに必要な原子団を表す。
上記脂環炭化水素構造は、環を構成する炭素原子の一部が、ヘテロ原子、又は、ヘテロ原子を有する基で置換されていてもよい。
〔4〕
樹脂(A)が、一般式(I-1)で表される繰り返し単位の少なくとも1種、及び一般式(I-2)で表される繰り返し単位の少なくとも1種を有する〔3〕に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
Figure 2014010352

上記一般式(I-1)中、
41は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基又は−CH−R111で表される基を表す。R111は水酸基又は1価の有機基を表す。
42は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
nは1〜6の整数を表す。
Figure 2014010352

上記一般式(I-2)中、
51は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基又は−CH−R112で表される基を表す。R112は水酸基又は1価の有機基を表す。
52は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
10は、炭素原子とともに多環の脂環構造を形成するのに必要な原子団を表す。
〔5〕
樹脂(A)が、更にラクトン構造を有する繰り返し単位を有する〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔6〕
〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたレジスト膜。
〔7〕
〔6〕に記載のレジスト膜を、露光、現像する工程を含むパターン形成方法。
〔8〕
上記露光が液浸露光である、〔7〕に記載のパターン形成方法。
〔9〕
〔7〕又は〔8〕に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
〔10〕
〔9〕に記載の電子デバイスの製造方法により製造された電子デバイス。
本発明によると、パターン膜減りの抑制並びにレジスト膜の保存安定性の改善を可能とする感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は置換基を有さないものと置換基を有するものをも包含するものである。たとえば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本発明において「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線、イオンビーム等の粒子線等を意味する。また、本発明において「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。
また、本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、極紫外線(EUV光)などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も含まれるものとする。
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位を有する、酸の作用により分解しアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂(以下、適宜「樹脂(A)」とも言う。)と、後述する(B)一般式(2)で表される化合物(以下、適宜「化合物(B)」とも言う。)とを含有する。
本発明者らは、上記樹脂(A)と化合物(B)を組み合わせることにより、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物のパターン膜減りの抑制と保存安定性を改善できることを見出した。
その効果発現のメカニズムは定かではないが、以下のように推定される。
まず、本発明における感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、樹脂(A)と化合物(B)を含有しており、化合物(B)は、酸の作用により、窒素原子から−C(=O)OC(Rで表される基が脱離して、初めて塩基性を発現することの出来る化合物である。これにより、上記機能を有さない通常の塩基性化合物を使用した場合と比較して、レジスト液中の他の成分(特に、一般式(1)で表される部分構造を有する樹脂(A))が塩基性化合物により分解されるおそれを低減することが出来る。その結果、レジスト膜形成後、直ちにパターン形成した場合と、レジスト膜形成後一定時間放置してパターンを形成した場合とで、得られるパターンの性能に差が生じにくく、レジスト膜としての保存安定性を向上できる。
また化合物(B)は、上記したように、酸の作用によって初めて塩基性を発現するものであるため、通常の塩基性化合物を用いた場合と比較して、レジスト膜の露光部における酸が未露光部の内部で失活されにくい傾向にあるものと考えられる。
換言すれば、化合物(B)を含有する組成物により得られるレジスト膜の未露光部は、露光部から酸が拡散されやすい傾向にある(特に、露光後の加熱工程を経ることにより、この傾向は顕著になる)ものと考えられる。
そのため、化合物(B)と共に使用される、酸の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂(以下、酸分解性樹脂とも言う)は、未露光部においても酸の作用による分解反応を起こしやすい。よって、未露光部において、化合物(B)と共に使用される酸分解性樹脂は、通常の塩基性化合物と共に使用される酸分解性樹脂と比較して、アルカリ現像液に対する親和性が高い傾向となるものと考えられる。
上記のような状況において、酸分解性樹脂がフォトレジストにて汎用的に用いられるラクトン構造を有する樹脂である場合、アルカリ現像時にラクトン構造の加水分解が起こりやすく、より一層、樹脂のアルカリ現像液に対する親和性が高まり、未露光部がアルカリ現像液に溶解しやすくなる。その結果、形成されるパターンの膜減りが発生しやすくなるものと考えられる。
これに対して、本発明における酸分解性樹脂、すなわち、樹脂(A)が有する一般式(1)で表される部分構造は、アルカリ現像液に対して適度な親和性を有するケトン構造を有しつつも、上記したラクトン構造のようにアルカリ現像液によって加水分解されるものではないため、未露光部における樹脂のアルカリ現像液に対する親和性の更なる向上を抑制でき、その結果、レジスト膜としての保存安定性を有しながらも、上記したようなレジスト膜の膜減りの発生を抑制できるものと考えられる。
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、例えばポジ型の組成物であり、典型的にはポジ型のレジスト組成物である。以下、この組成物の構成を説明する。
〔1〕樹脂(A)
(1)一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物における樹脂(A)は、下記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位を含む。
Figure 2014010352
一般式(1)中、Aは樹脂主鎖構造と結合するための2価の連結基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、アルキル基、又はシクロアルキル基を表し、それらを構成する炭素原子の一部が酸素原子に置き換わっていてもよく、同一炭素に結合する2個の水素原子が酸素原子と置き換わってオキソ基を形成してもよい。また、R〜Rの少なくとも二つが結合して環を形成してもよく、m及びnは、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。
上記一般式(1)において、R〜Rのアルキル基は、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2−エチルヘキシル基が挙げられる。R〜Rのアルキル基は置換基を有していてもよく、好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。
〜Rのシクロアルキル基は、炭素数3〜20のシクロアルキル基であることが好ましく、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基が挙げられる。
これらのうち、R〜Rの好ましい例としては、水素原子、メチル基であり、水素原子が特に好ましい。R〜Rのシクロアルキル基は置換基を有していてもよく、好ましい置換基としては、R〜Rのアルキル基が有し得る置換基として前述したものと同等の基が挙げられる。
〜Rの少なくとも二つが結合して環を形成してもよく、形成される環としては、4〜7員環が好ましく、5又は6員環がより好ましい。
Aとしての2価の連結基は、特に限定されないが、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、酸素原子、カルボニル基、−NH−基又はこれらを組み合わせてなる基が好ましく、酸素原子とカルボニル基とを組み合わせてなる基(特に、エステル基)、又は、アルキレン基と酸素原子とカルボニル基とを組み合わせてなる基がより好ましい。
アルキレン基は直鎖状、分枝状のいずれでも良く、炭素原子数1〜20が好ましく、炭素原子数1〜10がより好ましく、炭素原子数1〜5がさらに好ましい。シクロアルキレン基は、環状構造を形成する炭素原子の炭素原子数が3〜20であることが好ましく、炭素原子数が4〜10であることがより好ましく、炭素原子数が5〜7であることがさらに好ましい。アリーレン基は、炭素原子6〜30のアリーレン基であることが好ましい。
Aにおけるアルキレン基、シクロアルキレン基及びアリーレン基は、置換基を有していても良い。置換基の例としては、アルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基等が挙げられる。
nは、0〜5の整数であり、0〜3の整数であることが好ましい。
mは、0〜5の整数であり、0〜2の整数であることが好ましい。
また、本発明では一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位は、下記一般式(1−1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
Figure 2014010352
一般式(1−1)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表し、R〜Rはそれぞれ前記一般式(1)におけるR〜Rと同様の基を表す。Bは下記式(1−1−1)又は(1−1−2)で表される連結基を表す。下記式(1−1−1)及び式(1−1−2)において、カルボニル炭素が一般式(1−1)で表される繰り返し単位における主鎖に結合する。
Figure 2014010352
は、アルキレン基、シクロアルキレン基又はそれらを組み合わせてなる基を表し、Rが複数存在する場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。 Zは、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表し、Zが複数存在する場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。m及びnは、前記一般式(1)におけるm及びnと同義である。qは、0〜5の整数を表す。
は水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表し、水素原子又はメチル基を表すことが好ましい。
〜Rとしての基の具体例としては、前記一般式(1)におけるR〜Rにおいて前記したものと同様である。
Bは上記式(1−1−1)又は(1−1−2)で表される連結基を表し、上記式(1−1−1)で表される連結基を表すことが好ましい。
としてのアルキレン基は、鎖状アルキレン基であっても分岐アルキレン基であってもよい。Rとしては、炭素数が1〜10の鎖状アルキレン基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜5の鎖状アルキレン基であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
またRとしてのアルキレン基は置換基を有していてもよく、置換基としては、前記一般式(1)におけるAとしてのアルキレン基が有し得る置換基として前述したものと同等の基が挙げられる。
としてのシクロアルキレン基は、炭素数3〜20の環状アルキレン基であることが好ましく、例えば、シクロヘキシレン基、シクロペンチレン基、ノルボルニレン基、アダマンチレン基等が挙げられる。またRとしてのシクロアルキレン基は置換基を有していてもよく、置換基としては、前記一般式(1)におけるAとしてのシクロアルキレン基がして前述したものと同等の基が挙げられる。
本発明の効果を発現するためにはRは鎖状アルキレン基であることがより好ましい。
Zは、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表し、エーテル結合、エステル結合又はアミド結合を表すことが好ましい。
m及びnは、上記一般式(1)におけるm及びnと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
qは、0〜5の整数であり、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
一般式(1)で表される構造を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。具体例中、Rは水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。
Figure 2014010352
一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して3〜50モル%であることが好ましく、10〜45モル%であることがより好ましい。
(2)酸の作用により分解してアルカリ可溶性基を生じる繰り返し単位
樹脂(A)は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂(酸分解性樹脂)であり、典型的には、酸の作用により分解し、アルカリ可溶性基を生じる基(以下、「酸分解性基」ともいう。)を有する。樹脂(A)は、「酸分解性基を有する繰り返し単位」を有することが好ましい。
アルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
好ましいアルカリ可溶性基としては、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、スルホン酸基が挙げられる。
酸分解性基として好ましい基は、これらのアルカリ可溶性基の水素原子を酸で脱離する基で置換した基である。
酸で脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
01及びR02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
酸分解性基としては好ましくは、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、第3級のアルキルエステル基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基である。
樹脂(A)が含有し得る、酸分解性基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2014010352
一般式(AI)に於いて、Xaは、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基又は−CH−R11で表される基を表す。R11は、ヒドロキシ基又は1価の有機基を表し、1価の有機基としては、例えば、炭素数5以下のアルキル基、炭素数5以下のアシル基が挙げられ、好ましくは炭素数3以下のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基である。Xaは、好ましくは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx〜Rxは、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖若しくは分岐)又はシクロアルキル基(単環若しくは多環)を表す。Rx〜Rxの2つが結合して、シクロアルキル基(単環若しくは多環)を形成してもよい。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、−COO−Rt−基、−O−Rt−基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
Tは、単結合又は−COO−Rt−基が好ましい。Rtは、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、−CH−基、−(CH−基、−(CH−基がより好ましい。
Rx〜Rxのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが好ましい。
Rx〜Rxのシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx〜Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。炭素数5〜6の単環のシクロアルキル基が特に好ましい。
Rx〜Rxの2つが結合して形成される前記シクロアルキル基の環を構成するメチレン基の1つが酸素原子で置き換わっていてもよい。
Rxがメチル基又はエチル基であり、RxとRxとが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
上記各基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1〜4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)などが挙げられ、炭素数8以下が好ましい。
酸分解性基を有する繰り返し単位の合計としての含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、20〜70mol%が好ましく、より好ましくは30〜65mol%である。
好ましい酸分解性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
具体例中、Rx、Xaは、水素原子、CH、CF、又はCHOHを表す。Rxa、Rxbはそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基を表す。Zは、極性基を含む置換基を表し、複数存在する場合、複数のZは互いに同じであっても異なっていてもよい。pは、0又は正の整数を表す。Zは、例えば、水酸基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミド基又はスルホンアミド基自体、又はこれらの少なくとも1つを有する、直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基が挙げられ、好ましくは、水酸基を有するアルキル基である。より好ましくは水酸基を有する分岐状アルキル基である。分岐状アルキル基としてはイソプロピル基が特に好ましい。
Figure 2014010352
Figure 2014010352
樹脂(A)は、一般式(AI)で表される繰り返し単位として、以下の一般式(I)で表される繰り返し単位及び一般式(II)で表される繰り返し単位の少なくともいずれかを有する樹脂であることが好ましく、一般式(I)で表される繰り返し単位を有する樹脂であることがより好ましい。
Figure 2014010352
Figure 2014010352
上記一般式(I)及び(II)中、
31及びRは、各々独立して、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基又は−CH−R11で表される基を表す。R11は水酸基又は1価の有機基を表す。
32、R、R及びRは、各々独立して、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
33は、炭素原子とともに脂環構造を形成するのに必要な原子団を表す。上記脂環炭化水素構造は、単環の脂環炭化水素及び多環の脂環炭化水素構造のいずれでも良い。また、環を構成する炭素原子の一部が、酸素原子などのヘテロ原子、又は、ヘテロ原子を有する基で置換されていてもよい。
31及びRは、好ましくは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。R11における1価の有機基の具体例及び好ましい例は、一般式(AI)のR11で記載したものと同様である。
32におけるアルキル基は、直鎖型でも分岐型でもよく、置換基を有していてもよい。
32におけるシクロアルキル基は、単環でも多環でもよく、置換基を有していてもよい。
32は、好ましくはアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜5のものであり、特に好ましくは炭素数1〜3のものであり、例えばメチル基、エチル基などが挙げられる。
33は、炭素原子とともに脂環構造を形成するのに必要な原子団を表す。Rが該炭素原子とともに形成する脂環構造としては、好ましくは、単環の脂環構造であり、その炭素数は好ましくは3〜7、より好ましくは5又は6である。
は好ましくは水素原子又はメチル基であり、より好ましくはメチル基である。
、R、Rにおけるアルキル基は、直鎖型でも分岐型でもよく、置換基を有していてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが好ましい。
、R、Rにおけるシクロアルキル基は、単環でも多環でもよく、置換基を有していてもよい。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
一般式(I)により表される繰り返し単位としては、下記一般式(I-1)により表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2014010352
上記一般式(I-1)中、
41は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基又は−CH−R111で表される基を表す。R111は水酸基又は1価の有機基を表す。
42は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
nは1〜6の整数を表す。
41の具体例及び好ましい例は、一般式(I)のR31で記載したものと同様である。
111の具体例及び好ましい例は、一般式(I)のR11で記載したものと同様である。
42におけるシクロアルキル基の具体例及び好ましい例は、一般式(I)のR32で記載したものと同様である。
42におけるアルキル基は、直鎖型でも分岐型でもよく、置換基を有していてもよい。
42のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることが更に好ましい。
42は、好ましくはアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜10のものであり、更に好ましくは炭素数1〜5のものであり、特に好ましくは炭素数1〜3のものであり、例えばメチル基、エチル基などが挙げられる。
nは1〜3の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
上記各基が有し得る置換基としては、前記一般式(AI)における各基が有し得る置換基として前述したものと同様の基が挙げられる。
また、一般式(I)により表される繰り返し単位としては、下記一般式(I-2)により表される繰り返し単位も好ましい。
Figure 2014010352
上記一般式(I-2)中、
51は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基又は−CH−R112で表される基を表す。R112は水酸基又は1価の有機基を表す。
52は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
10は、炭素原子とともに多環の脂環構造を形成するのに必要な原子団を表す。
51の具体例及び好ましい例は、一般式(I)のR31で記載したものと同様である。
52におけるシクロアルキル基の具体例及び好ましい例は、一般式(I)のR32で記載したものと同様である。
52におけるアルキル基は、直鎖型でも分岐型でもよく、置換基を有していてもよい。
52のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることが更に好ましい。
10が炭素原子とともに形成する多環の脂環構造としては、炭素数4〜20のものが好ましく、炭素数7〜12のものがより好ましい。
10が炭素原子とともに形成する多環の脂環構造としては、アダマンチル基を含む脂環構造であることが更に好ましい。
112の具体例及び好ましい例は、一般式(I)のR11で記載したものと同様である。
樹脂(A)は、一般式(AI)により表される繰り返し単位として、一般式(I)により表される繰り返し単位及び一般式(II)により表される繰り返し単位を含んだ樹脂であることがより好ましい。
また、他の形態において、一般式(AI)により表される繰り返し単位として、一般式(I)により表される繰り返し単位の少なくとも2種を含んだ樹脂であることがより好ましい。中でも、一般式(I-1)で表される繰り返し単位の少なくとも1種及び一般式(I-2)で表される繰り返し単位の少なくとも1種を有する樹脂であることが特に好ましい。
樹脂(A)が含有する酸分解性基を有する繰り返し単位は、1種であってもよいし、2種以上を併用していてもよい。併用する場合の組み合わせとしては、以下に挙げるものが好ましい。下式において、Rは、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。
Figure 2014010352
樹脂(A)は、繰り返し単位(a)として、下記の「2種の繰り返し単位の組み合わせ」のうちのいずれかの組み合わせを有することが特に好ましい。Rは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
Figure 2014010352
(3)ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位
樹脂(A)は、さらにラクトン構造又はスルトン(環状スルホン酸エステル)構造を有する繰り返し単位を含有してもよい。
ラクトン基又はスルトン基としては、ラクトン構造又はスルトン構造を有していればいずれでも用いることができるが、好ましくは5〜7員環のラクトン構造又はスルトン構造であり、5〜7員環のラクトン構造又はスルトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。下記一般式(LC1−1)〜(LC1−17)、(SL1−1)〜(SL1−3)のいずれかで表されるラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。また、ラクトン構造又はスルトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造又はスルトン構造としては(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−8)であり、より好ましくは(LC1−4)である。特定のラクトン構造又はスルトン構造を用いることでLWRが良好になり、現像欠陥を抑制することができる。
Figure 2014010352
Figure 2014010352
ラクトン構造部分又はスルトン構造部分は、置換基(Rb)を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb)としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、酸分解性基などが挙げられる。より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、酸分解性基である。nは、0〜4の整数を表す。nが2以上の時、複数存在する置換基(Rb)は、同一でも異なっていてもよく、また、複数存在する置換基(Rb)同士が結合して環を形成してもよい。
樹脂(A)は、下記一般式(VI)で表されるラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位を含有することが好ましい。
Figure 2014010352
一般式(VI)中、
Bは、エステル結合(−COO−で表される基)又はアミド結合(−CONH−で表される基)を表す。
は、複数個ある場合にはそれぞれ独立にアルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組み合わせを表す。
Zは、複数個ある場合にはそれぞれ独立に、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合
Figure 2014010352
又はウレア結合
Figure 2014010352
を表す。ここで、Rは、各々独立して水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
は、ラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基を表す。
nは、−R−Z−で表される構造の繰り返し数であり、0〜2の整数を表す。nは、1又は2であることが好ましい。
は、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
のアルキレン基、シクロアルキレン基は、置換基を有してよい。
Zは、好ましくは、エーテル結合、エステル結合であり、特に好ましくはエステル結合である。
のアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。Rのアルキレン基、シクロアルキレン基、Rにおけるアルキル基は、各々、置換されていてもよく、置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子やメルカプト基、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、ベンジルオキシ基等のアルコキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等のアセトキシ基が挙げられる。Rは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基が好ましい。
における鎖状アルキレン基としては、炭素数が1〜10の鎖状のアルキレンが好ましく、より好ましくは炭素数1〜5の鎖状のアルキレンであり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。好ましいシクロアルキレン基としては、炭素数3〜20のシクロアルキレン基であり、例えば、シクロヘキシレン基、シクロペンチレン基、ノルボルニレン基、アダマンチレン基等が挙げられる。本発明の効果を発現するためには鎖状アルキレン基がより好ましく、メチレン基が特に好ましい。
で表されるラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基は、ラクトン構造又はスルトン構造を有していれば限定されるものではなく、具体例として上述した一般式(LC1−1)〜(LC1−17)、(SL1−1)〜(SL1−3)で表されるラクトン構造又はスルトン構造が挙げられ、これらのうち(LC1−4)で表される構造が特に好ましい。また、(LC1−1)〜(LC1−17)、(SL1−1)〜(SL1−3)におけるnは、2以下のものがより好ましい。
また、Rは無置換のラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基、或いはメチル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を置換基として有するラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基が好ましく、シアノ基を置換基として有するラクトン構造(シアノラクトン)又はスルトン構造(シアノスルトン)を有する1価の有機基がより好ましい。
以下に一般式(VI)で表されるラクトン構造又はスルトン構造を有する基を有する繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
下記具体例中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又はハロゲン原子を表し、好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、アセチルオキシメチル基を表す。
下記式中、Meはメチル基を表す。
Figure 2014010352
ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(VI−1)又は(VI−1’)で表される繰り返し単位がより好ましい。
Figure 2014010352
一般式(VI−1)及び(VI−1’)に於いて、
、B、R、Z、及びnは、上記一般式(VI)における各々と同義である。
’、B’、R’、Z’及びn’は、上記一般式(VI)におけるR、B、R、Z及びnとそれぞれ同義である。
は、複数個ある場合にはそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、水酸基又はアルコキシ基を表し、複数個ある場合には2つのRが結合し、環を形成していてもよい。
’は、複数個ある場合にはそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、水酸基又はアルコキシ基を表し、複数個ある場合には2つのR’が結合し、環を形成していてもよい。
X及びX’は、それぞれ独立に、アルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。
m及びm’は、置換基数であって、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。m及びm’は、それぞれ独立に0又は1であることが好ましい。
及びR’のアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基を挙げることができる。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。これらの基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、シアノ基、フッ素原子などのハロゲン原子を挙げることができる。R及びR’は、メチル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基であることがより好ましく、シアノ基であることが更に好ましい。
X及びX’のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基等が挙げられる。X及びX’は、酸素原子又はメチレン基であることが好ましく、メチレン基であることが更に好ましい。
m及びm’が1以上である場合、少なくとも1つのR及びR’は、ラクトンにおけるカルボニル基のα位又はβ位に置換することが好ましく、特にα位に置換することが好ましい。
一般式(VI−1)又は(VI−1’)で表されるラクトン構造を有する基又はスルトン構造を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。下記具体例中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又はハロゲン原子を表し、好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、アセトキシメチル基を表す。
Figure 2014010352
Figure 2014010352
一般式(VI)で表される単位は、一態様において、下記一般式(AII’)で表される繰り返し単位であり得る。
Figure 2014010352
一般式(AII’)中、
Rbは、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rbのアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。Rbのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。Rbとしては、好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基であり、水素原子、メチル基が特に好ましい。
Vは、一般式(LC1−1)〜(LC1−17)、(SL1−1)〜(SL1−3)の内のいずれかで示される構造を有する基を表す。
樹脂(A)は、一般式(VI)で表される単位以外にも、ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位を含有していてもよい。
ラクトン基又はスルトン基を有する繰り返し単位の具体例として、上記に挙げた具体例に加え、以下を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2014010352
Figure 2014010352
上記具体例の中で特に好ましい繰り返し単位としては、下記の繰り返し単位が挙げられる。最適なラクトン基又はスルトン基を選択することにより、パターンプロファイル、疎密依存性が良好となる。
Figure 2014010352
ラクトン基又はスルトン基を有する繰り返し単位は、通常光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90%以上のものが好ましく、より好ましくは95%以上である。
樹脂(A)は、ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位の2種以上を有していてもよい。特に、一般式(VI)の内、nが1であるラクトン繰り返し単位から2種以上を選択し併用することが好ましい。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位を有する樹脂を含有しても、しなくてもよいが、含有する場合、ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位の含有量は、複数種類含有する場合は合計して樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、1〜45mol%が好ましく、より好ましくは1〜30mol%、更に好ましくは1〜10mol%である。
(4)水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位
樹脂(A)は、さらに、水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。これにより、基板密着性、現像液親和性が向上する。水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位は、水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることが好ましく、酸分解性基を有さないことが好ましい。水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造に於ける、脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボルナン基が好ましい。好ましい水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造としては、下記一般式(VIIa)〜(VIId)で表される部分構造が好ましい。
Figure 2014010352
一般式(VIIa)〜(VIIc)に於いて、
c〜Rcは、各々独立に、水素原子、水酸基又はシアノ基を表す。ただし、Rc〜Rcの内の少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。好ましくは、Rc〜Rcの内の1つ又は2つが、水酸基で、残りが水素原子である。一般式(VIIa)に於いて、更に好ましくは、Rc〜Rcの内の2つが水酸基で、残りが水素原子である。
一般式(VIIa)〜(VIId)で表される部分構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AIIa)〜(AIId)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
Figure 2014010352
一般式(AIIa)〜(AIId)に於いて、
cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
c〜Rcは、一般式(VIIa)〜(VIIc)に於ける、Rc〜Rcと同義である。
樹脂(A)は、水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位を含有してもしなくても良いが、含有する場合、水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、5〜40mol%が好ましく、より好ましくは5〜30mol%、更に好ましくは10〜25mol%である。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2014010352
(5)アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位
樹脂(A)は、さらに、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を有してもよい。アルカリ可溶性基としてはカルボキシル基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビススルホニルイミド基、α位が電子求引性基で置換された脂肪族アルコール(例えばヘキサフロロイソプロパノール基)が挙げられ、カルボキシル基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を含有することにより、コンタクトホール用途での解像性が増す。アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖にアルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位のいずれであってもよく、更にはアルカリ可溶性基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入してもよい。連結基は、単環又は多環の環状炭化水素構造を有していてもよい。特に好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位である。
樹脂(A)は、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を含有してもしなくても良いが、含有する場合、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、1〜25mol%が好ましく、より好ましくは3〜15mol%、更に好ましくは5〜10mol%である。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
具体例中、RxはH、CH、CHOH又はCFを表す。
Figure 2014010352
(6)極性基を持たない脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位
樹脂(A)は、更に極性基(例えば、前記アルカリ可溶性基、水酸基、シアノ基等)を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を有することができる。このような繰り返し単位としては、以下の一般式(IV)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2014010352
上記一般式(IV)中、Rは少なくとも一つの環状構造を有し、極性基を有さない炭化水素基を表す。
Raは、水素原子、アルキル基又は−CH−O−Ra基を表す。式中、Raは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Raは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
が有する環状構造には、単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基が含まれる。単環式炭化水素基としては、たとえば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基などの炭素数3〜12のシクロアルキル基、シクロへキセニル基など炭素数3〜12のシクロアルケニル基が挙げられる。好ましい単環式炭化水素基としては、炭素数3〜7の単環式炭化水素基であり、より好ましくは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
多環式炭化水素基には、環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が含まれ、環集合炭化水素基の例としては、ビシクロヘキシル基、パーヒドロナフタレニル基などが含まれる。架橋環式炭化水素環として、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、ビシクロオクタン環(ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ビシクロ[3.2.1]オクタン環等)などの2環式炭化水素環及び、ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環などの3環式炭化水素環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン環などの4環式炭化水素環などが挙げられる。また、架橋環式炭化水素環には、縮合環式炭化水素環、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロインデン、パーヒドロフェナレン環などの5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環も含まれる。
好ましい架橋環式炭化水素環として、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロオクタニル基、トリシクロ[5、2、1、02,6]デカニル基、などが挙げられる。より好ましい架橋環式炭化水素環としてノルボニル基、アダマンチル基が挙げられる。
これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していても良く、好ましい置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、水素原子が置換されたヒドロキシル基、水素原子が置換されたアミノ基などが挙げられる。好ましいハロゲン原子としては臭素、塩素、フッ素原子、好ましいアルキル基としてはメチル、エチル、ブチル、t−ブチル基が挙げられる。上記のアルキル基は更に置換基を有していても良く、更に有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、水素原子が置換されたヒドロキシル基、水素原子が置換されたアミノ基を挙げることができる。
上記水素原子が置換された基としては、たとえばアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、置換メチル基、置換エチル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基、好ましい置換メチル基としてはメトキシメチル、メトキシチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル基、好ましい置換エチル基としては、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、好ましいアシル基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6の脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基としては炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
樹脂(A)は、極性基を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を含有していても含有していなくてもよいが、含有する場合、この繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、1〜40モル%が好ましく、より好ましくは2〜20モル%である。
極性基を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、H、CH、CHOH、又はCFを表す。
Figure 2014010352
樹脂(A)は、上記の繰り返し単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し単位を有することができる。
このような繰り返し単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これにより、樹脂(A)に要求される性能、特に、(1)塗布溶剤に対する溶解性、(2)製膜性(ガラス転移点)、(3)アルカリ現像性、(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、(5)未露光部の基板への密着性、(6)ドライエッチング耐性、等の微調整が可能となる。
このような単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
その他にも、上記種々の繰り返し単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
樹脂(A)において、各繰り返し構造単位の含有モル比はレジストのドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にはレジストの一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
本発明の組成物がArF露光用であるとき、ArF光への透明性の点から、樹脂(A)は実質的には芳香族基を有さないことが好ましい。より具体的には、樹脂(A)の全繰り返し中、芳香族基を有する繰り返し単位が全体の5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましく、理想的には0モル%、すなわち芳香族基を有する繰り返し単位を有さないことが更に好ましい。また、樹脂(A)は、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有することが好ましい。
なお、樹脂(A)は、後述する疎水性樹脂との相溶性の観点から、フッ素原子及び珪素原子を含有しないことが好ましい。
樹脂(A)として好ましいのは、繰り返し単位のすべてが(メタ)アクリレート系繰り返し単位で構成されたものである。この場合、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがアクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位とアクリレート系繰り返し単位とによるもののいずれのものでも用いることができるが、アクリレート系繰り返し単位が全繰り返し単位の50モル%以下であることが好ましい。
本発明の組成物にKrFエキシマレーザー光、電子線、X線、波長50nm以下の高エネルギー光線(EUVなど)を照射する場合には、樹脂(A)は、更に、ヒドロキシスチレン系繰り返し単位を有することが好ましい。更に好ましくは、ヒドロキシスチレン系繰り返し単位、酸分解性基で保護されたヒドロキシスチレン系繰り返し単位、及び(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル等の酸分解性繰り返し単位を有することが好ましい。
酸分解性基で保護されたヒドロキシスチレン系繰り返し単位として好ましいものは、例えば、t−ブトキシカルボニルオキシスチレン、1−アルコキシエトキシスチレン、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステルによる繰り返し単位等を挙げることができる。2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート及びジアルキル(1−アダマンチル)メチル(メタ)アクリレートによる繰り返し単位がより好ましい。
本発明における樹脂(A)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。反応溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド溶剤、更には後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンのような本発明の組成物を溶解する溶媒が挙げられる。より好ましくは、本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合することが好ましい。これにより保存時のパーティクルの発生が抑制できる。
重合反応は、窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。重合開始剤としては市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基、カルボキシル基を有するアゾ系開始剤が好ましい。好ましい開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は5〜50質量%であり、好ましくは10〜30質量%である。反応温度は、通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、更に好ましくは60〜100℃である。
反応終了後、室温まで放冷し、精製する。精製は、水洗や適切な溶媒を組み合わせることにより残留単量体やオリゴマー成分を除去する液々抽出法、特定の分子量以下のもののみを抽出除去する限外ろ過等の溶液状態での精製方法、樹脂溶液を貧溶媒へ滴下することで樹脂を貧溶媒中に凝固させることにより残留単量体等を除去する再沈澱法、ろ別した樹脂スラリーを貧溶媒で洗浄する等の固体状態での精製方法等の通常の方法を適用できる。たとえば、樹脂(A)が難溶或いは不溶の溶媒(貧溶媒)を、反応溶液の10倍以下の体積量、好ましくは10〜5倍の体積量で接触させることにより、樹脂を固体として析出させる。
ポリマー溶液からの沈殿又は再沈殿操作の際に用いる溶媒(沈殿又は再沈殿溶媒)としては、該ポリマーの貧溶媒であればよく、ポリマーの種類に応じて、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化合物、エーテル、ケトン、エステル、カーボネート、アルコール、カルボン酸、水、これらの溶媒を含む混合溶媒等の中から適宜選択して使用できる。
沈殿又は再沈殿溶媒の使用量は、効率や収率等を考慮して適宜選択できるが、一般には、ポリマー溶液100質量部に対して、100〜10000質量部、好ましくは200〜2000質量部、更に好ましくは300〜1000質量部である。
沈殿又は再沈殿する際の温度としては、効率や操作性を考慮して適宜選択できるが、通常0〜50℃程度、好ましくは室温付近(例えば20〜35℃程度)である。沈殿又は再沈殿操作は、攪拌槽などの慣用の混合容器を用い、バッチ式、連続式等の公知の方法により行うことができる。
沈殿又は再沈殿したポリマーは、通常、濾過、遠心分離等の慣用の固液分離に付し、乾燥して使用に供される。濾過は、耐溶剤性の濾材を用い、好ましくは加圧下で行われる。乾燥は、常圧又は減圧下(好ましくは減圧下)、30〜100℃程度、好ましくは30〜50℃程度の温度で行われる。
なお、一度、樹脂を析出させて分離した後に、再び溶媒に溶解させ、該樹脂が難溶或いは不溶の溶媒と接触させてもよい。即ち、上記ラジカル重合反応終了後、該ポリマーが難溶或いは不溶の溶媒を接触させ、樹脂を析出させ(工程a)、樹脂を溶液から分離し(工程b)、改めて溶媒に溶解させ樹脂溶液Aを調製(工程c)、その後、該樹脂溶液Aに、該樹脂が難溶或いは不溶の溶媒を、樹脂溶液Aの10倍未満の体積量(好ましくは5倍以下の体積量)で接触させることにより、樹脂固体を析出させ(工程d)、析出した樹脂を分離する(工程e)ことを含む方法でもよい。
また、組成物の調製後に樹脂が凝集することなどを抑制する為に、例えば、特開2009−037108号公報に記載のように、合成された樹脂を溶剤に溶解して溶液とし、その溶液を30℃〜90℃程度で30分〜4時間程度加熱するような工程を加えてもよい。
樹脂(A)の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、好ましくは1,000〜200,000であり、より好ましくは2,000〜20,000、更により好ましくは3,000〜15,000、特に好ましくは3,000〜11,000である。重量平均分子量を1,000〜200,000とすることにより、耐熱性やドライエッチング耐性の劣化を防ぐことができ、且つ現像性が劣化したり、粘度が高くなって製膜性が劣化することを防ぐことができる。
分散度(分子量分布)は、通常1.0〜3.0であり、好ましくは1.0〜2.6、更に好ましくは1.0〜2.0の範囲のものが使用される。分子量分布の小さいものほど、解像度、レジスト形状が優れ、且つレジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物において、樹脂(A)の配合量は、組成物の全固形分中30〜99質量%が好ましく、より好ましくは60〜95質量%である。
また、樹脂(A)を1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
なお、本発明の効果を損なわない範囲で、樹脂(A)以外の他の樹脂を併用してもよい。樹脂(A)以外の他の樹脂としては、前述した樹脂(A)が含有し得る繰り返し単位を含有していてもよい酸分解性樹脂、またその他の公知の酸分解性樹脂を挙げることができる。
[2]一般式(2)で表される化合物(B)
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、上記で説明した樹脂(A)に加えてここで説明する下記一般式(2)で表される化合物(B)を含む。
本発明において化合物(B)は下記一般式(2)で表される化合物である。
Figure 2014010352
一般式(2)中、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。pが2の場合、2つのRは互いに同じであっても異なっていてもよく、2つのRが互いに結合して、複素環を形成していてもよい。
複数のRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
複数のRが互いに結合して、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素環式炭化水素基を形成していてもよい。
oは1〜3の整数、pは0〜2の整数をそれぞれ表し、o+p=3である。
一般式(2)において、Rが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有していてもよい。好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシ基等が挙げられる。
前記Rのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、及びアラルキル基(好ましくは炭素数7〜30)(これらのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、上記基で置換されていてもよい)の具体例としては、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基が挙げられる。
複数のRが結合して形成される複素環としては、5又は6員環の複素環が好ましい。
また、前記Rが相互に結合して、Rが結合する窒素原子と共に形成する複素環式炭化水素基(好ましくは炭素数1〜20)若しくはその誘導体としては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、ホモピペラジン、4−アザベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、5−アザベンゾトリアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、1,4,7−トリアザシクロノナン、テトラゾール、7−アザインドール、インダゾール、ベンズイミダゾール、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、(1S,4S)−(+)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デック−5−エン、インドール、インドリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン、パーヒドロキノリン、1,5,9−トリアザシクロドデカン等の複素環式化合物に由来する基、これらの複素環式化合物に由来する基を直鎖状、分岐状のアルカンに由来する基、シクロアルカンに由来する基、芳香族化合物に由来する基、複素環化合物に由来する基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基の1種以上或いは1個以上で置換した基等が挙げられる。
としてのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜30)、又はアルコキシアルキル基(好ましくは炭素数2〜20)は、置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、メトキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシ基が挙げられる。
のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基等が挙げられる。Rbのシクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が挙げられる。Rのアリール基としては、フェニル基が挙げられる。Rのアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。Rのアルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル等が挙げられる。
少なくとも2つのRが結合して形成される脂環式炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
本発明において特に好ましい、一般式(2)で表される化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2014010352
Figure 2014010352
Figure 2014010352
一般式(2)で表される化合物は、特開2007−298569号公報、特開2009−199021号公報などに基づき合成することができる。
本発明において、化合物(2)は、一種単独でも又は2種以上を混合しても使用することができる。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物において、化合物(2)の含有量は、組成物の全固形分を基準として、通常、0.001〜20質量%、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%である。
[3]活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(C)
本発明の組成物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「酸発生剤」ともいう)を含有する。
酸発生剤としては、公知のものであれば特に限定されないが、好ましくは下記一般式(ZI)、(ZII)又は(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2014010352
上記一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
なお、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくとも1つが、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくとも1つと、単結合又は連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
は、非求核性アニオン(求核反応を起こす能力が著しく低いアニオン)を表す。
としては、例えば、スルホン酸アニオン(脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなど)、カルボン酸アニオン(脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなど)、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン等を挙げられる。
脂肪族スルホン酸アニオン及び脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位は、アルキル基であってもシクロアルキル基であってもよく、好ましくは炭素数1〜30の直鎖又は分岐のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基が挙げられる。
芳香族スルホン酸アニオン及び芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
上記で挙げたアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。この具体例としては、ニトロ基、フッ素原子などのハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルイミノスルホニル基(好ましくは炭素数2〜15)、アリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20)、アルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数7〜20)、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数10〜20)、アルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数5〜20)、シクロアルキルアルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数8〜20)等を挙げることができる。各基が有するアリール基及び環構造については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を有していてもよい
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルブチル基等を挙げることができる。
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンを挙げることができる。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。これらのアルキル基の置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基等を挙げることができ、フッ素原子又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
その他のZとしては、例えば、弗素化燐(例えば、PF )、弗素化硼素(例えば、BF )、弗素化アンチモン(例えば、SbF )等を挙げることができる。
としては、スルホン酸の少なくともα位がフッ素原子で置換された脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。非求核性アニオンとして、より好ましくはパーフロロ脂肪族スルホン酸アニオン(更に好ましくは炭素数4〜8)、フッ素原子を有するベンゼンスルホン酸アニオン、更により好ましくはノナフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフロロベンゼンスルホン酸アニオン、3,5−ビス(トリフロロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンである。
酸強度の観点からは、発生酸のpKaが−1以下であることが、感度向上のために好ましい。
201、R202及びR203の有機基としては、アリール基(炭素数6〜15が好ましい)、直鎖又は分岐のアルキル基(炭素数1〜10が好ましい)、シクロアルキル基(炭素数3〜15が好ましい)などが挙げられる。
201、R202及びR203のうち、少なくとも1つがアリール基であることが好ましく、3つ全てがアリール基であることがより好ましい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などの他に、インドール残基、ピロール残基などのヘテロアリール基も可能である。
201、R202及びR203としてのこれらアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は更に置換基を有していてもよい。その置換基としては、ニトロ基、フッ素原子などのハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、R201、R202及びR203から選ばれる2つが、単結合又は連結基を介して結合していてもよい。連結基としてはアルキレン基(炭素数1〜3が好ましい)、−O−,−S−,−CO−,−SO−などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
201、R202及びR203のうち少なくとも1つがアリール基でない場合の好ましい構造としては、特開2004−233661号公報の段落0046,0047、特開2003−35948号公報の段落0040〜0046、米国特許出願公開第2003/0224288A1号明細書に式(I−1)〜(I−70)として例示されている化合物、米国特許出願公開第2003/0077540A1号明細書に式(IA−1)〜(IA−54)、式(IB−1)〜(IB−24)として例示されている化合物等のカチオン構造を挙げることができる。
(ZI)で表される化合物の更に好ましい例として、以下に説明する一般式(ZI−3)又は(ZI−4)で表される化合物を挙げることができる。
まず、一般式(ZI-3)で表される化合物について説明する。
Figure 2014010352
上記一般式(ZI−3)中、
は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又はアルケニル基を表し、
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、RとRが互いに連結して環を形成してもよく、
とRは、互いに連結して環を形成してもよく、
及びRは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、2-オキソアルキル基、2-オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アルコキシカルボニルシクロアルキル基を表し、RとRが互いに連結して環を形成してもよく、この環構造は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケトン基、エーテル結合、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
は、非求核性アニオンを表す。
としてのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基であり、アルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-オクタデシル基などの直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、2-エチルヘキシル基などの分岐アルキル基を挙げることができる。Rのアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキル基としては、シアノメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
としてのシクロアルキル基は、好ましくは炭素数3〜20のシクロアルキル基であり、環内に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよい。具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などを挙げることができる。Rのシクロアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基の例としては、アルキル基、アルコキシ基が挙げられる。
としてのアルコキシ基は、好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、t−ブチルオキシ基、t−アミルオキシ基、n−ブチルオキシ基が挙げられる。Rのアルコキシ基は置換基を有していてもよく、置換基の例としては、アルキル基、シクロアルキル基が挙げられる。
としてのシクロアルコキシ基は、好ましくは炭素数3〜20のシクロアルコキシ基であり、シクロヘキシルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、アダマンチルオキシ基などを挙げることができる。Rのシクロアルコキシ基は置換基を有していてもよく、置換基の例としては、アルキル基、シクロアルキル基が挙げられる。
としてのアリール基は、好ましくは炭素数6〜14のアリール基であり、例えばフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられる。Rのアリール基は置換基を有していてもよく、好ましい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基が挙げられる。置換基がアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はシクロアルコキシ基の場合、上述したRとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基及びシクロアルコキシ基と同様のものが挙げられる。
としてのアルケニル基は、ビニル基、アリル基が挙げられる。
及びRは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を表し、RとRが互いに連結して環を形成してもよい。但し、R及びRのうち少なくとも1つは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表す。R、Rについてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基の具体例及び好ましい例としては、Rについて前述した具体例及び好ましい例と同様のものが挙げられる。RとRが互いに連結して環を形成する場合、R及びRに含まれる環の形成に寄与する炭素原子の数の合計は、4〜7であることが好ましく、4又は5であることが特に好ましい。
とRは、互いに連結して環を形成してもよい。RとRが互いに連結して環を形成する場合、Rがアリール基(好ましくは置換基を有してもよいフェニル基又はナフチル基)であり、Rが炭素数1〜4のアルキレン基(好ましくはメチレン基又はエチレン基)であることが好ましく、好ましい置換基としては、上述したRとしてのアリール基が有していても良い置換基と同様のものが挙げられる。RとRが互いに連結して環を形成する場合における他の形態として、Rがビニル基であり、Rが炭素数1〜4のアルキレン基であることも好ましい。
及びRにより表されるアルキル基は、好ましくは炭素数1〜15のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等を挙げることができる。
及びRにより表されるシクロアルキル基は、好ましくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等を挙げることができる。
及びRにより表されるアルケニル基は、好ましくは、2〜30のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、及びスチリル基を挙げることができる。
及びRにより表されるアリール基としては、例えば、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、具体的にはフェニル基、ナフチル基、アズレニル基、アセナフチレニル基、フェナンスレニル基、ペナレニル基、フェナントラセニル基、フルオレニル基、アントラセニル基、ピレニル基、ベンゾピレニル基等が挙げられる。好ましくは、フェニル基、ナフチル基であり、更に好ましくは、フェニル基である。
及びRにより表される2-オキソアルキル基及びアルコキシカルボニルアルキル基のアルキル基部分としては、例えば、先にR及びRとして列挙したものが挙げられる。
及びRにより表される2-オキソシクロアルキル基及びアルコキシカルボニルシクロアルキル基のシクロアルキル基部分としては、例えば、先にR及びRyとして列挙したものが挙げられる。
は、例えば、前述の一般式(ZI)におけるZとして列挙したものが挙げられる。
一般式(ZI−3)で表される化合物は、好ましくは、以下の一般式(ZI−3a)及び(ZI−3b)で表される化合物である。
Figure 2014010352
一般式(ZI−3a)及び(ZI−3b)において、R、R及びRは、上記一般式(ZI−3)で定義した通りである。
Yは、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を表し、酸素原子又は窒素原子であることが好ましい。m、n、p及びqは整数を意味し、0〜3であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。SとYを連結するアルキレン基は置換基を有してもよく、好ましい置換基としてはアルキル基が挙げられる。
は、Yが窒素原子である場合には1価の有機基を表し、Yが酸素原子又は硫黄原子である場合には存在しない。Rは、電子吸引性基を含む基であることが好ましく、下記一般式(ZI−3a−1)〜(ZI−3a−4)で表される基であることが特に好ましい。
Figure 2014010352
上記(ZI−3a−1)〜(ZI−3a−3)において、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、好ましくはアルキル基である。Rについてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基の具体例及び好ましい例としては、上記一般式(ZI−3)におけるRについて前述した具体例及び好ましい例と同様のものが挙げられる。
上記(ZI−3a−1)〜(ZI−3a−4)において、*は一般式(ZI−3a)で表される化合物中のYとしての窒素原子に接続する結合手を表す。
Yが窒素原子である場合、Rは、−SO−Rで表される基であることが特に好ましい。Rは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表し、好ましくはアルキル基である。Rについてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基の具体例及び好ましい例としては、Rについて前述した具体例及び好ましい例と同様のものが挙げられる。
は、例えば、前述の一般式(ZI)におけるZとして列挙したものが挙げられる。
一般式(ZI−3)で表される化合物は、特に好ましくは、以下の一般式(ZI−3a’)及び(ZI−3b’)で表される化合物である。
Figure 2014010352
一般式(ZI−3a’)及び(ZI−3b’)において、R、R、R、Y及びRは、上記一般式(ZI−3a)及び(ZI−3b)で定義した通りである。
は、例えば、前述の一般式(ZI)におけるZとして列挙したものが挙げられる。
一般式(ZI−3)で表される化合物のカチオン部分の具体例を以下に挙げる。
Figure 2014010352
Figure 2014010352
Figure 2014010352
Figure 2014010352
Figure 2014010352
Figure 2014010352
Figure 2014010352
次に、一般式(ZI−4)で表される化合物について説明する。
Figure 2014010352
一般式(ZI−4)中、
13は水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又はシクロアルキル基を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
14は複数存在する場合は各々独立して、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、又はシクロアルキル基を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
15は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はナフチル基を表す。2個のR15が互いに結合して環を形成してもよく、環を構成する原子として、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子などのヘテロ原子を含んでも良い。これらの基は置換基を有してもよい。
lは0〜2の整数を表す。
rは0〜8の整数を表す。
は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZと同様の非求核性アニオンを挙げることができる。
一般式(ZI−4)において、R13、R14及びR15のアルキル基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましい。
13、R14及びR15のシクロアルキル基としては、単環若しくは多環のシクロアルキル基が挙げられる。
13及びR14のアルコキシ基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましい。
13及びR14のアルコキシカルボニル基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数2〜11のものが好ましい。
13及びR14のシクロアルキル基を有する基としては、単環若しくは多環のシクロアルキル基を有する基が挙げられる。これら基は、置換基を更に有していてもよい。
14のアルキルカルボニル基のアルキル基としては、上述したR13〜R15としてのアルキル基と同様の具体例が挙げられる。
14のアルキルスルホニル基及びシクロアルキルスルホニル基としては、直鎖状、分岐状、環状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましい。
上記各基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子)、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
2個のR15が互いに結合して形成してもよい環構造としては、2個のR15が一般式(ZI−4)中の硫黄原子と共に形成する5員又は6員の環、特に好ましくは5員の環(即ち、テトラヒドロチオフェン環又は2,5−ジヒドロチオフェン環)が挙げられ、アリール基又はシクロアルキル基と縮環していてもよい。この2価のR15は置換基を有してもよく、置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。前記環構造に対する置換基は、複数個存在しても良く、また、それらが互いに結合して環を形成しても良い。
一般式(ZI−4)におけるR15としては、メチル基、エチル基、ナフチル基、及び2個のR15が互いに結合して硫黄原子と共にテトラヒドロチオフェン環構造を形成する2価の基等が好ましく、2個のR15が互いに結合して硫黄原子と共にテトラヒドロチオフェン環構造を形成する2価の基が特に好ましい。
13及びR14が有し得る置換基としては、水酸基、アルコキシ基、又はアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)が好ましい。
lとしては、0又は1が好ましく、1がより好ましい。
rとしては、0〜2が好ましい。
以上説明した一般式(ZI−3)又は(ZI−4)で表される化合物が有するカチオン構造の具体例としては、上述した、特開2004−233661号公報、特開2003−35948号公報、米国特許出願公開第2003/0224288A1号明細書、米国特許出願公開第2003/0077540A1号明細書に例示されている化合物等のカチオン構造の他、例えば、特開2011−53360号公報の段落0046、0047、0072〜0077、0107〜0110に例示されている化学構造等におけるカチオン構造、特開2011−53430号公報の段落0135〜0137、0151、0196〜0199に例示されている化学構造等におけるカチオン構造などが挙げられる。
一般式(ZII)、(ZIII)中、
204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基としては、前述の化合物(ZI)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基と同様である。
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としても、前述の化合物(ZI)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよいものが挙げられる。
は、例えば、前述の一般式(ZI)におけるZとして列挙したものが挙げられる。
また、一般式(ZI−3)又は(ZI−4)で表される化合物の他、下記一般式(I’)で表される化合物も酸発生剤として好ましい。下記一般式(I’)で表される化合物を使用することにより、露光光の透過性が向上し、LWR、DOFが良化する。
Figure 2014010352
上記一般式(I’)中、
X’は、酸素原子、硫黄原子又は−N(Rx)−を表す。
’及びR’はそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
’〜R’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基又はアリールカルボニルオキシ基を表す。
Rxは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アシル基、アルケニル基、アルコキシカルボニル基、アリール基、アリールカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基を表す。
’及びR’は互いに連結して環を形成していても良い。また、R’〜R’中のいずれか2つ以上、R’とR’、R’とR’、R’とRx、R’とRxは、それぞれ、互いに連結して環を形成していても良い。
X’は、吸光性(例えば、波長193nmにおける吸光度)を低く抑える観点から、硫黄原子又は−N(Rx)−であることが好ましい。
は、例えば、前述の一般式(ZI)におけるZとして列挙したものが挙げられる。
’〜R’、Rxとしてのアルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基であり、アルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−オクタデシル基などの直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、2−エチルヘキシル基などの分岐アルキル基を挙げることができる。
なお、Rxについての置換基を有するアルキル基としては、シアノメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
’、R’についての置換基を有するアルキル基としては、メトキシエチル基等が挙げられる。
また、特に直鎖又は分岐アルキル基にシクロアルキル基が置換した基(例えば、アダマンチルメチル基、アダマンチルエチル基、シクロヘキシルエチル基、カンファー残基など)なども挙げられる。
’〜R’、Rxとしてのシクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数3〜20のシクロアルキル基であり、環内に酸素原子を有していてもよい。具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などを挙げることができる。
’〜R’、Rxとしてのアシル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜10のアシル基である。具体的には、アセチル基、プロピオニル基、イソブチリル基等が挙げられる。
Rxとしてのアルケニル基は、炭素数2〜8のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。
’〜R’としてのアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などを挙げることができる。
’〜R’としてのアルコキシカルボニル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基である。具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基などを挙げることができる。
’〜R’としてのアルキルカルボニルオキシ基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数2〜20のアルキルカルボニルオキシ基である。具体的には、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基などを挙げることができる。
’〜R’、Rxとしてのアリール基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数6〜14のアリール基であり、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
’〜R’としてのアリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数6〜14のアリールオキシ基であり、例えばフェニルオキシ基、ナフチルオキシ基などが挙げられる。
’〜R’、Rxとしてのアリールオキシカルボニル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数7〜15のアリールオキシカルボニル基であり、例えばフェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基などが挙げられる。
’〜R’としてのアリールカルボニルオキシ基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数7〜15のアリールカルボニルオキシ基であり、例えばフェニルカルボニルオキシ基、ナフチルカルボニルオキシ基などが挙げられる。
Rxとしてのアリールカルボニル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数7〜15のアリールカルボニル基であり、例えばフェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基などが挙げられる。
’〜R’としてのアルキル基、R’〜R ’、Rxとしてのシクロアルキル基、R’〜R’、Rxとしてのアシル基、R’〜R’としてのアルコキシ基、R’〜R’としてのアルコキシカルボニル基、R’〜R’としてのアルキルカルボニルオキシ基、R’〜R ’、Rxとしてのアリール基、R’〜R’としてのアリールオキシ基、R’〜R ’、Rxとしてのアリールオキシカルボニル基、R’〜R’としてのアリールカルボニルオキシ基、Rxとしてのアリールカルボニル基各々が更に有していてもよい置換基としては、アルキル基(直鎖、分岐、環状のいずれであっても良く、炭素数1〜12が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、ニトロ基、フッ素原子などのハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)等が挙げられる。
’及びR’が互いに結合して形成してもよい環構造としては、2価のR’及びR’(例えば、エチレン基、プロピレン基、1,2−シクロヘキシレン基等)が一般式(I’)中の硫黄原子と共に形成する5員又は6員の環、特に好ましくは5員の環(即ち、テトラヒドロチオフェン環)が挙げられる。ただし、酸アニオン発生の分解効率の観点から、R’及びR’は互いに結合して環を形成しないことが好ましい。
’〜R’中のいずれか2つ以上、R’とR’、R’とR’、R’とRx、R’とRxが互いに結合して形成してもよい環構造としては、好ましくは5員又は6員の環、特に好ましくは6員の環が挙げられる。
’、R’としては、アルキル基又はアリール基であることが特に好ましい。
’〜R’の特に好ましい例としては、置換基を有してもよいアルキル基、又は水素原子が挙げられるが、ArFレジスト用途で用いる場合には、193nmの吸収強度の点で水素原子が特に好ましい。
Rxとしては、アルキル基又はアシル基であることが特に好ましい。
次に、非求核性アニオンZ-の好ましい構造である一般式(2)及び一般式(2’)について説明する。
まず、一般式(2)で表されるスルホン酸アニオンについて説明する。
Figure 2014010352
上記一般式(2)中、
Xfは、それぞれ独立に、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
Lは、単結合又は2価の連結基を表し、複数存在する場合のLは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Aは、環状構造を有する有機基を表す。
xは1〜20の整数を表す。
一般式(2)のアニオンについて、更に詳しく説明する。
Xfは、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されているアルキル基であり、フッ素原子で置換されているアルキル基におけるアルキル基は、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。また、Xfのフッ素原子で置換されているアルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
Xfとして、好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。具体的には、フッ素原子、CF、CHF、C、C、C、C11、C13、C15、C17、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH、CH、CHCH、CH、CHCHが挙げられ、中でもフッ素原子、CF、CHF、Cが好ましい。特に、全てのXfがフッ素原子であることが好ましい。
Lは、単結合又は2価の連結基を表し、−COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−N(Ri)−(式中、Riは水素原子又はアルキル基を表す)、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜6)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3〜10)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜6)又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基などが挙げられ、−COO−、−OCO−、−CO−、−SO−、−CON(Ri)−、−SON(Ri)−、−CON(Ri)−アルキレン基−、−N(Ri)CO−アルキレン基−、−COO−アルキレン基−又は−OCO−アルキレン基−であることが好ましく、−COO−、−OCO−、−SO−、−CON(Ri)−又は−SON(Ri)−であることがより好ましい。複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。
Riについてのアルキル基の具体例及び好ましい例としては、R〜Rについてのアルキル基として前述した具体例及び好ましい例と同様のものが挙げられる。
Aの環状の有機基としては、環状構造を有するものであれば特に限定されず、脂環基、アリール基、複素環基(芳香属性を有するものだけでなく、芳香族性を有さないものも含み、例えば、テトラヒドロピラン環、ラクトン環、サルトン環、環状ケトンのような構造も含む。)等が挙げられる。
脂環基としては、単環でも多環でもよく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、ノルボルネン−イル基、トリシクロデカニル基(例えば、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基)、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。また、ピペリジン基、デカヒドロキノリン基、デカヒドロイソキノリン基等の窒素原子含有脂環基も好ましい。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基、デカヒドロキノリン基、デカヒドロイソキノリン基といった炭素数7以上のかさ高い構造を有する脂環基が、PEB(露光後加熱)工程での膜中拡散性を抑制でき、露光ラチチュード向上の観点から好ましい。
アリール基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナンスレン環、アントラセン環が挙げられる。中でも193nmにおける光吸光度の観点から低吸光度のナフタレンが好ましい。
複素環基としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ピリジン環が挙げられる。中でもフラン環、チオフェン環、ピリジン環が好ましい。
上記環状の有機基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、アルキル基(直鎖、分岐、環状のいずれであっても良く、炭素数1〜12が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、スルホン酸エステル基等が挙げられる。
なお、環状の有機基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であっても良い。
xは1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3が特に好ましく、1が最も好ましい。
次に、一般式(2’)で表されるジスルホニルイミド酸アニオンについて説明する。
Figure 2014010352
一般式(2’)中、
Xfは、上記一般式(2)で定義した通りであり、好ましい例も同様である。一般式(2’)において、2つのXfは互いに連結して環構造を形成してもよい。
についてのジスルホニルイミド酸アニオンとしては、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンであることが好ましい。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンにおける2つのアルキル基が互いに連結してアルキレン基(好ましくは炭素数2〜4)を成し、イミド基及び2つのスルホニル基とともに環を形成していてもよい。ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンが形成していてもよい上記の環構造としては、5〜7員環であることが好ましく、6員環であることがより好ましい。
これらのアルキル基、及び2つのアルキル基が互いに連結して成すアルキレン基が有し得る置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基等を挙げることができ、フッ素原子又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
としては、下記一般式(B−1)で表されるスルホン酸アニオンも好ましい。
Figure 2014010352
上記一般式(B−1)中、
b1は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基(CF)を表す。
nは0〜4の整数を表す。
nは0〜3の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
b1は単結合、アルキレン基、エーテル結合、エステル結合(−OCO−若しくは−COO−)、スルホン酸エステル結合(−OSO−若しくは−SO−)、又はそれらの組み合わせを表す。
b1はエステル結合(−OCO−若しくは−COO−)又はスルホン酸エステル結合(−OSO−若しくは−SO−)であることが好ましく、エステル結合(−OCO−若しくは−COO−)であることがより好ましい。
b2は炭素数6以上の有機基を表す。
b2についての炭素数6以上の有機基としては、嵩高い基であることが好ましく、炭素数6以上の、アルキル基、脂環基、アリール基、複素環基などが挙げられる。
b2についての炭素数6以上のアルキル基としては、直鎖状であっても分岐状であってもよく、炭素数6〜20の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、例えば、直鎖又は分岐ヘキシル基、直鎖又は分岐ヘプチル基、直鎖又は分岐オクチル基などが挙げられる。嵩高さの観点から分岐アルキル基であることが好ましい。
b2についての炭素数6以上の脂環基としては、単環式であってもよく、多環式であってもよい。単環式の脂環基としては、例えば、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基などの単環のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環基としては、例えば、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が挙げられる。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基などの炭素数7以上の嵩高い構造を有する脂環基が、PEB(露光後加熱)工程での膜中拡散性の抑制及びMEEF(Mask Error Enhancement Factor)の向上の観点から好ましい。
b2についての炭素数6以上のアリール基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。このアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基及びアントリル基が挙げられる。中でも、193nmにおける光吸光度が比較的低いナフチル基が好ましい。
b2についての炭素数6以上の複素環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよいが、多環式の方がより酸の拡散を抑制可能である。また、複素環基は、芳香族性を有していてもよく、芳香族性を有していなくてもよい。芳香族性を有している複素環としては、例えば、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、及びジベンゾチオフェン環が挙げられる。芳香族性を有していない複素環としては、例えば、テトラヒドロピラン環、ラクトン環、スルトン環、及びデカヒドロイソキノリン環が挙げられる。
上記Rb2についての炭素数6以上の置換基は、更に置換基を有していてもよい。この更なる置換基としては、例えば、アルキル基(直鎖、分岐のいずれであっても良く、炭素数1〜12が好ましい)、シクロアルキル基(単環、多環、スピロ環のいずれであっても良く、炭素数3〜20が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、及びスルホン酸エステル基が挙げられる。なお、上述の脂環基、アリール基、又は複素環基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であっても良い。
一般式(B−1)で表されるスルホン酸アニオン構造の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2014010352
としては、下記一般式(A−I)で表されるスルホン酸アニオンも好ましい。
Figure 2014010352
一般式(A−I)中、
は、アルキル基、1価の脂環式炭化水素基、アリール基、又は、ヘテロアリール基である。
は、2価の連結基である。
Rfは、フッ素原子、又は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基である。
及びnは、それぞれ独立して、0又は1である。
上記Rで表されるアルキル基は、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることが更に好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましい。上記アルキル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、2−(2−メチルプロピル)基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、1−(2−メチルブチル)基、1−(3−メチルブチル)基、2−(2−メチルブチル)基、2−(3−メチルブチル)基、ネオペンチル基、1−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、1−(2−メチルペンチル)基、1−(3−メチルペンチル)基、1−(4−メチルペンチル)基、2−(2−メチルペンチル)基、2−(3−メチルペンチル)基、2−(4−メチルペンチル)基、3−(2−メチルペンチル)基、3−(3−メチルペンチル)基等が挙げられる。
また、上記アルキル基は置換基(好ましくはフッ素原子)を有していてもよく、置換基を有するアルキル基としては、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。
上記Rで表されるアルキル基は、メチル基、エチル基又はトリフルオロメチル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
上記Rで表される1価の脂環式炭化水素基は、炭素数が5以上であることが好ましい。また該1価の脂環式炭化水素基は炭素数が20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましい。上記1価の脂環式炭化水素基は、単環の脂環式炭化水素基であっても、多環の脂環式炭化水素基であってもよい。脂環式炭化水素基の−CH−の一部が、−O−や−C(=O)−と置換されていても良い。
単環の脂環式炭化水素基としては、炭素数5〜12のものが好ましく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロドデカニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクタジエニル基、ピペリジン環基等が挙げられ、特に、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基が好ましい。
多環の脂環式炭化水素基としては、炭素数10〜20のものが好ましく、ビシクロ[4.3.0]ノナニル基、デカヒドロナフタレニル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレニル基、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ボルニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、1,7,7−トリメチルトリシクロ[2.2.1.02,6]ヘプタニル基、3,7,7−トリメチルビシクロ[4.1.0]ヘプタニル基、デカヒドロイソキノリン環基等があげられ、ノルボルニル基、アダマンチル基、ノルアダマンチル基が好ましい。
上記Rで表されるアリール基は、炭素数が6以上であることが好ましい。また該アリール基は炭素数が20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましい。
上記Rで表されるヘテロアリール基は、炭素数が2以上であることが好ましい。また該ヘテロアリール基は炭素数が20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましい。
上記アリール基、ヘテロアリール基は、単環式アリール基、単環式ヘテロアリール基であっても、多環式アリール基、多環式ヘテロアリール基であってもよい。
単環式のアリール基としては、フェニル基等が挙げられる。
多環式のアリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
単環式のヘテロアリール基としては、ピリジル基、チエニル基、フラニル基等が挙げられる。
多環式のヘテロアリール基としては、キノリル基、イソキノリル基等が挙げられる。
上記Rとしての1価の脂環式炭化水素基、アリール基、及び、ヘテロアリール基は、更に置換基を有していてもよく、このような更なる置換基としては、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、ニトロ基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、アセトキシ基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、カルボキシ基が挙げられる。
は、シクロヘキシル基、又は、アダマンチル基であることが特に好ましい。
上記Rで表される2価の連結基としては、特に限定されないが、−COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S―、−SO−、−SO−、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜30のアルキレン基)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3〜30のシクロアルキレン基)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜30のアルケニレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6〜30のアリーレン基)、ヘテロアリーレン基(好ましくは炭素数2〜30のヘテロアリーレン基)、及び、これらの2種以上が組み合わされた基を挙げることができる。上記のアルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基及びヘテロアリーレン基は、置換基を更に有していても良く、そのような置換基の具体例は、Rとしての1価の脂環式炭化水素基、アリール基、及び、ヘテロアリール基が更に有していてもよい置換基について前述したものと同様である。
上記Rで表される2価の連結基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基が好ましく、アルキレン基がより好ましく、炭素数1〜10のアルキレン基が更に好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基が特に好ましい。
Rfは、フッ素原子、又は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基である。このアルキル基の炭素数は、1〜30であることが好ましく、1〜10であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。また、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
Rfは、好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。より具体的には、Rfは、フッ素原子、CF、C、C、C、C11、C13、C15、C17、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH、CH、CHCH、CH、又はCHCHであることが好ましく、フッ素原子又はCFであることがより好ましい。
は1であることが好ましい。
は1であることが好ましい。
上記一般式(A−I)で表されるスルホン酸アニオンの好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔一般式(A−I)で表されるスルホン酸アニオン〕
Figure 2014010352
酸発生剤として、更に、下記一般式(ZV)で表される化合物も挙げられる。
Figure 2014010352
一般式(ZV)中、
208はアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
208のアリール基の具体例としては、上記一般式(ZI)におけるR201〜R203としてのアリール基の具体例と同様のものを挙げることができる。
208のアルキル基及びシクロアルキル基の具体例としては、それぞれ、上記一般式(ZI)におけるR201〜R203としてのアルキル基及びシクロアルキル基の具体例と同様のものを挙げることができる。
Aのアルキレン基としては、炭素数1〜12のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基など)を、Aのアルケニレン基としては、炭素数2〜12のアルケニレン基(例えば、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基など)を、Aのアリーレン基としては、炭素数6〜10のアリーレン基(例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基など)を、それぞれ挙げることができる。
酸発生剤の中で、特に好ましい例を以下に挙げる。
Figure 2014010352
Figure 2014010352
Figure 2014010352
Figure 2014010352
Figure 2014010352
Figure 2014010352
Figure 2014010352
Figure 2014010352
Figure 2014010352
酸発生剤は、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
酸発生剤の組成物中の含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは3〜25質量%、更に好ましくは7〜20質量%である。
〔4〕疎水性樹脂
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、特に液浸露光に適用する際、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する疎水性樹脂(以下、「疎水性樹脂(HR)」ともいう)を含有してもよい。これにより、膜表層に疎水性樹脂(HR)が偏在化し、液浸媒体が水の場合、水に対するレジスト膜表面の静的/動的な接触角を向上させ、液浸液追随性を向上させることができる。
疎水性樹脂(HR)は前述のように界面に偏在するものであるが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくても良い。
疎水性樹脂は、典型的には、フッ素原子及び/又は珪素原子を含んでいる。疎水性樹脂(HR)に於けるフッ素原子及び/又は珪素原子は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
疎水性樹脂がフッ素原子を含んでいる場合、フッ素原子を有する部分構造として、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又は、フッ素原子を有するアリール基を有する樹脂であることが好ましい。
フッ素原子を有するアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖又は分岐アルキル基であり、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4であり、更に他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環又は多環のシクロアルキル基であり、更に他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられ、更に他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又は、フッ素原子を有するアリール基として、好ましくは、下記一般式(F2)〜(F4)のいずれかで表される基を挙げることができるが、本発明は、これに限定されるものではない。
Figure 2014010352
一般式(F2)〜(F4)中、
57〜R68は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基(直鎖若しくは分岐)を表す。但し、R57〜R61の少なくとも1つ、R62〜R64の少なくとも1つ及びR65〜R68の少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)を表す。
57〜R61及びR65〜R67は、全てがフッ素原子であることが好ましい。R62、R63及びR68は、フルオロアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)が好ましく、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基であることが更に好ましい。R62及びR63がパーフルオロアルキル基であるとき、R64は水素原子であることが好ましい。R62とR63は、互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(F2)で表される基の具体例としては、例えば、p−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル基等が挙げられる。
一般式(F3)で表される基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、ノナフルオロブチル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロヘキシル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロ(トリメチル)ヘキシル基、2,2,3,3−テトラフルオロシクロブチル基、パーフルオロシクロヘキシル基などが挙げられる。ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基が好ましく、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基が更に好ましい。
一般式(F4)で表される基の具体例としては、例えば、−C(CFOH、−C(COH、−C(CF)(CH)OH、−CH(CF)OH等が挙げられ、−C(CFOHが好ましい。
フッ素原子を含む部分構造は、主鎖に直接結合しても良く、更に、アルキレン基、フェニレン基、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びウレイレン結合よりなる群から選択される基、あるいはこれらの2つ以上を組み合わせた基を介して主鎖に結合しても良い。
フッ素原子を有する好適な繰り返し単位としては、以下に示すものが挙げられる。
Figure 2014010352
式中、R10及びR11は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基を表す。該アルキル基は、好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基であり、置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキル基としては特にフッ素化アルキル基を挙げることができる。
〜Wは、各々独立に、少なくとも1つ以上のフッ素原子を含有する有機基を表す。具体的には前記(F2)〜(F4)の原子団が挙げられる。
また、疎水性樹脂は、これら以外にも、フッ素原子を有する繰り返し単位として下記に示すような単位を有していてもよい。
Figure 2014010352
式中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、又はアルキル基を表す。該アルキル基は、好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基であり、置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキル基としては特にフッ素化アルキル基を挙げることができる。
ただし、R〜Rの少なくとも1つはフッ素原子を表す。RとR若しくはRとRは環を形成していてもよい。
は、少なくとも1つのフッ素原子を含有する有機基を表す。具体的には前記(F2)〜(F4)の原子団が挙げられる。
は、単結合、あるいは2価の連結基を示す。2価の連結基としては、置換又は無置換のアリーレン基、置換又は無置換のアルキレン基、置換又は無置換のシクロアルキレン基、−O−、−SO−、−CO−、−N(R)−(式中、Rは水素原子又はアルキルを表す)、−NHSO−又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基を示す。
Qは脂環式構造を表す。脂環式構造は置換基を有していてもよく、単環型でもよく、多環型でもよく、多環型の場合は有橋式であってもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数5以上のビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができ、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、ジシクロペンチル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基等を挙げることができる。なお、シクロアルキル基中の少なくとも1つの炭素原子が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。Qとして特に好ましくはノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基等を挙げることができる。
疎水性樹脂は、珪素原子を含有してもよい。
珪素原子を有する部分構造として、アルキルシリル構造(好ましくはトリアルキルシリル基)、又は環状シロキサン構造を有することが好ましい。
アルキルシリル構造、又は環状シロキサン構造としては、具体的には、下記一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基などが挙げられる。
Figure 2014010352
一般式(CS−1)〜(CS−3)に於いて、
12〜R26は、各々独立に、直鎖若しくは分岐アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)又はシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)を表す。
〜Lは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン基、フェニレン基、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、又はウレイレン結合よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを挙げられる。
nは、1〜5の整数を表す。nは、好ましくは、2〜4の整数である。
フッ素原子又は珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位は(メタ)アクリレート系繰り返し単位であることが好ましい。
以下、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明は、これに限定されるものではない。なお、具体例中、Xは、水素原子、−CH、−F又は−CFを表し、Xは、−F又は−CFを表す。
Figure 2014010352
Figure 2014010352
Figure 2014010352
は水素原子、−CH、−F又は−CFを表す。
疎水性樹脂は、下記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する繰り返し単位(b)を有することが好ましい。
(x)アルカリ可溶基
(y)アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(以下、極性変換基ともいう)
(z)酸の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基
繰り返し単位(b)としては、以下の類型が挙げられる。
・1つの側鎖上に、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかと、上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する繰り返し単位(b’)
・上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有し、かつ、フッ素原子及び珪素原子を有さない繰り返し単位(b*)
・1つの側鎖上に上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有し、かつ、同一繰り返し単位内の前記側鎖と異なる側鎖上に、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位(b”)
疎水性樹脂は、繰り返し単位(b)として繰り返し単位(b’)を有することがより好ましい。すなわち、上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する繰り返し単位(b)が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有することがより好ましい。
なお、疎水性樹脂が、繰り返し単位(b*)を有する場合、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位(前記繰り返し単位(b’)、(b”)とは異なる繰り返し単位)とのコポリマーであることが好ましい。また、繰り返し単位(b”)における、上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する側鎖とフッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する側鎖とは、主鎖中の同一の炭素原子に結合している、すなわち下記式(K1)のような位置関係にあることが好ましい。
Figure 2014010352
式中、B1は上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する部分構造、B2はフッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する部分構造を表す。
上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる基は、好ましくは、(x)アルカリ可溶基又は(y)極性変換基であり、(y)極性変換基であることがより好ましい。
アルカリ可溶性基(x)としては、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
好ましいアルカリ可溶性基としては、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホンイミド基、ビス(カルボニル)メチレン基が挙げられる。
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位(bx)としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖にアルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位などが挙げられ、更にはアルカリ可溶性基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入することもでき、いずれの場合も好ましい。
繰り返し単位(bx)が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位である場合(すなわち、前記繰り返し単位(b’)又は(b”)に相当する場合)、繰り返し単位(bx)におけるフッ素原子を有する部分構造としては、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましくは、前記一般式(F2)〜(F4)で表される基を挙げることができる。またこの場合、繰り返し単位(bx)における珪素原子を有する部分構造は、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましくは前記一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基を挙げることができる。
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位(bx)の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、1〜50mol%が好ましく、より好ましくは3〜35mol%、更に好ましくは5〜20mol%である。
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位(bx)の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。なお、具体例中、Xは、水素原子、−CH、−F又は−CFを表す。
Figure 2014010352
極性変換基(y)としては、例えば、ラクトン基、カルボン酸エステル基(−COO−)、酸無水物基(−C(O)OC(O)−)、酸イミド基(−NHCONH−)、カルボン酸チオエステル基(−COS−)、炭酸エステル基(−OC(O)O−)、硫酸エステル基(−OSOO−)、スルホン酸エステル基(−SOO−)などが挙げられ、好ましくはラクトン基である。
極性変換基(y)は、例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルによる繰り返し単位中に含まれることにより、樹脂の側鎖に導入される形態、あるいは極性変換基(y)を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入される形態のいずれも好ましい。
極性変換基(y)を有する繰り返し単位(by)の具体例としては、後述の式(KA−1−1)〜(KA−1−18)で表されるラクトン構造を有する繰り返し単位を挙げることができる。
更に、極性変換基(y)を有する繰り返し単位(by)は、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位である(すなわち、前記繰り返し単位(b’)、(b”)に相当する)ことが好ましい。該繰り返し単位(by)を有する樹脂は疎水性を有するものであるが、特に現像欠陥の低減の点で好ましい。
繰り返し単位(by)として、例えば、式(K0)で示される繰り返し単位を挙げることができる。
Figure 2014010352
式中、Rk1は水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は極性変換基を含む基を表す。
k2はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は極性変換基を含む基を表す。
但し、Rk1、Rk2の少なくとも一方は、極性変換基を含む基を表す。
極性変換基とは、上述したようにアルカリ現像液の作用により分解しアルカリ現像液中での溶解度が増大する基を表す。極性変換基としては、一般式(KA−1)又は(KB−1)で表される部分構造におけるXで表される基であることが好ましい。
Figure 2014010352
一般式(KA−1)又は(KB−1)におけるXは、カルボン酸エステル基:−COO−、酸無水物基:−C(O)OC(O)−、酸イミド基:−NHCONH−、カルボン酸チオエステル基:−COS−、炭酸エステル基:−OC(O)O−、硫酸エステル基:−OSOO−、スルホン酸エステル基:−SOO−を表す。
及びYは、それぞれ同一でも異なっても良く、電子求引性基を表す。
なお、繰り返し単位(by)は、一般式(KA−1)又は(KB−1)で表される部分構造を有する基を有することで、好ましいアルカリ現像液中での溶解度が増大する基を有するが、一般式(KA−1)で表される部分構造、Y及びYが1価である場合の(KB−1)で表される部分構造の場合のように、該部分構造が結合手を有しない場合は、該部分構造を有する基とは、該部分構造における任意の水素原子を少なくとも1つ除いた1価以上の基を有する基である。
一般式(KA−1)又は(KB−1)で表される部分構造は、任意の位置で置換基を介して疎水性樹脂の主鎖に連結している。
一般式(KA−1)で表される部分構造は、Xとしての基とともに環構造を形成する構造である。
一般式(KA−1)におけるXとして好ましくは、カルボン酸エステル基(即ち、KA−1としてラクトン環構造を形成する場合)、及び酸無水物基、炭酸エステル基である。より好ましくはカルボン酸エステル基である。
一般式(KA−1)で表される環構造は、置換基を有していてもよく、例えば、置換基Zka1をnka個有していてもよい。
ka1は、複数ある場合はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、エーテル基、ヒドロキシル基、アミド基、アリール基、ラクトン環基、又は電子求引性基を表す。
ka1同士が連結して環を形成しても良い。Zka1同士が連結して形成する環としては、例えば、シクロアルキル環、ヘテロ環(環状エーテル環、ラクトン環など)が挙げられる。
nkaは0〜10の整数を表す。好ましくは0〜8の整数、より好ましくは0〜5の整数、更に好ましくは1〜4の整数、最も好ましくは1〜3の整数である。
ka1としての電子求引性基は、後述のY及びYとしての電子求引性基と同様である。なお、上記電子求引性基は、別の電子求引性基で置換されていてもよい。
ka1は好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、エーテル基、ヒドロキシル基、又は電子求引性基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又は電子求引性基である。なお、エーテル基としては、アルキル基又はシクロアルキル基等で置換されたもの、すなわち、アルキルエーテル基等が好ましい。電子求引性基は前記と同義である。
ka1としてのハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ka1としてのアルキル基は置換基を有していてもよく、直鎖、分岐のいずれでもよい。直鎖アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜30、更に好ましくは1〜20であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基等が挙げられる。分岐アルキル基としては、好ましくは炭素数3〜30、更に好ましくは3〜20であり、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、i−ペンチル基、t−ペンチル基、i−ヘキシル基、t−ヘキシル基、i−ヘプチル基、t−ヘプチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、i−ノニル基、t−デカノイル基等が挙げられる。メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが好ましい。
ka1としてのシクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、単環型でもよく、多環型でもよい。多環型の場合、シクロアルキル基は有橋式であってもよい。即ち、この場合、シクロアルキル基は橋かけ構造を有していてもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数5以上のビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができ、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基、アンドロスタニル基が挙げられる。シクロアルキル基としては下記構造も好ましい。なお、シクロアルキル基中の少なくとも1つの炭素原子が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
Figure 2014010352
上記脂環部分の好ましいものとしては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、デカリン基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基、トリシクロデカニル基である。
これらの脂環式構造の置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基を表す。上記アルコキシ基としては、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。アルキル基及びアルコキシ基が有してもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4)等を挙げることができる。
また、上記基は更に置換基を有していてもよく、更なる置換基としては、水酸基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、上記のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等のアラルキル基、アラルキルオキシ基、ホルミル基、アセチル基、ブチリル基、ベンゾイル基、シアナミル基、バレリル基等のアシル基、ブチリルオキシ基等のアシルオキシ基、ビニル基、プロペニル基、アリル基等のアルケニル基、ビニルオキシ基、プロペニルオキシ基、アリルオキシ基、ブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、フエノキシ基等のアリールオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアリールオキシカルボニル基等を挙げることができる。
一般式(KA−1)におけるXがカルボン酸エステル基であり、一般式(KA−1)が示す部分構造がラクトン環であることが好ましく、5〜7員環ラクトン環であることが好ましい。
なお、下記(KA−1−1)〜(KA−1−18)におけるように、一般式(KA−1)で表される部分構造としての5〜7員環ラクトン環に、ビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環していることが好ましい。
一般式(KA−1)で表される環構造が結合してもよい周辺の環構造については、例えば、下記(KA−1−1)〜(KA−1−18)におけるもの、又はこれに準じたものを挙げることができる。
一般式(KA−1)が示すラクトン環構造を含有する構造として、下記(KA−1−1)〜(KA−1−18)のいずれかで表される構造がより好ましい。なお、ラクトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましい構造としては、(KA−1−1)、(KA−1−4)、(KA−1−5)、(KA−1−6)、(KA−1−13)、(KA−1−14)、(KA−1−17)である。
Figure 2014010352
上記ラクトン環構造を含有する構造は、置換基を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基としては、上記一般式(KA−1)が示す環構造が有してもよい置換基Zka1と同様のものが挙げられる。
一般式(KB−1)のXとして好ましくは、カルボン酸エステル基(−COO−)を挙げることができる。
一般式(KB−1)におけるY及びYは、それぞれ独立に、電子求引性基を表す。
電子求引性基は、下記式(EW)で示す部分構造である。式(EW)における*は(KA−1)に直結している結合手、又は(KB−1)中のXに直結している結合手を表す。
Figure 2014010352
式(EW)中、
ew1、Rew2は、各々独立して任意の置換基を表し、例えば水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
ewは−C(Rew1)(Rew2)−で表される連結基の繰り返し数であり、0又は1の整数を表す。newが0の場合は単結合を表し、直接Yew1が結合していることを示す。
ew1は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトリル基、ニトロ基、−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基、及びこれらの組み合わせをあげることができ、電子求引性基は例えば下記構造であってもよい。なお、「ハロ(シクロ)アルキル基」とは、少なくとも一部がハロゲン化したアルキル基及びシクロアルキル基を表し、「ハロアリール基」とは、少なくとも一部がハロゲン化したアリール基を表す。下記構造式において、Rew3、Rew4は、各々独立して任意の構造を表す。Rew3、Rew4はどのような構造でも式(EW)で表される部分構造は電子求引性を有し、例えば樹脂の主鎖に連結していてもよいが、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、フッ化アルキル基である。
Figure 2014010352
ew1が2価以上の基である場合、残る結合手は、任意の原子又は置換基との結合を形成するものである。Yew1、Rew1、Rew2の少なくとも何れかの基が更なる置換基を介して疎水性樹脂の主鎖に連結していてもよい。
ew1は、好ましくはハロゲン原子、又は、−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基である。
ew1、Rew2及びYew1の少なくとも2つが互いに連結して環を形成していてもよい。
ここでRf1はハロゲン原子、パーハロアルキル基、パーハロシクロアルキル基、又はパーハロアリール基を表し、より好ましくはフッ素原子、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロシクロアルキル基、更に好ましくはフッ素原子又はトリフルオロメチル基を表す。
f2、Rf3は各々独立して水素原子、ハロゲン原子又は有機基を表し、Rf2とRf3とが連結して環を形成してもよい。有機基としては例えばアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基等を表す。Rf2はRf1と同様の基を表すか、又はRf3と連結して環を形成していることがより好ましい。
f1〜Rf3とは連結して環を形成してもよく、形成する環としては、(ハロ)シクロアルキル環、(ハロ)アリール環等が挙げられる。
f1〜Rf3における(ハロ)アルキル基としては、例えば前述したZka1におけるアルキル基、及びこれがハロゲン化した構造が挙げられる。
f1〜Rf3における、又は、Rf2とRf3とが連結して形成する環における(パー)ハロシクロアルキル基及び(パー)ハロアリール基としては、例えば前述したZka1におけるシクロアルキル基がハロゲン化した構造、より好ましくは−C(n)(2n−2)Hで表されるフルオロシクロアルキル基、及び、−C(n)(n−1)で表されるパーフルオロアリール基が挙げられる。ここで炭素数nは特に限定されないが、5〜13のものが好ましく、6がより好ましい。
ew1、Rew2及びYew1の少なくとも2つが互いに連結して形成してもよい環としては、好ましくはシクロアルキル基又はヘテロ環基が挙げられ、ヘテロ環基としてはラクトン環基が好ましい。ラクトン環としては、例えば上記式(KA−1−1)〜(KA−1−18)で表される構造が挙げられる。
なお、繰り返し単位(by)中に、一般式(KA−1)で表される部分構造を複数、あるいは、一般式(KB−1)で表される部分構造を複数、あるいは、一般式(KA−1)で表される部分構造と一般式(KB−1)で表される部分構造の両方を有していてもよい。
なお、一般式(KA−1)の部分構造の一部又は全部が、一般式(KB−1)におけるY又はYとしての電子求引性基を兼ねてもよい。例えば、一般式(KA−1)のXがカルボン酸エステル基である場合、そのカルボン酸エステル基は一般式(KB−1)におけるY又はYとしての電子求引性基として機能することもあり得る。
また、繰り返し単位(by)が、上記繰り返し単位(b*)又は繰り返し単位(b”)に該当し、かつ、一般式(KA−1)で表される部分構造を有する場合、一般式(KA−1)で表される部分構造は、極性変換基が、一般式(KA−1)で示す構造における−COO−で表される部分構造であることがより好ましい。
繰り返し単位(by)は、一般式(KY−0)で表わされる部分構造を有する繰り返し単位でありえる。
Figure 2014010352
一般式(KY−0)に於いて、
は、鎖状若しくは環状アルキレン基を表し、複数個ある場合は、同じでも異なっていてもよい。
は、構成炭素上の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された、直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を示す。
は、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アミド基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、又はR−C(=O)−若しくはR−C(=O)O−で表される基(Rは、アルキル基若しくはシクロアルキル基を表す。)を表す。Rが複数個ある場合は、同じでも異なっていてもよく、また、2つ以上のRが結合し、環を形成していても良い。
Xは、アルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。
Z、Zaは、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表し、複数ある場合は、同じでも異なっていてもよい。
*は、樹脂の主鎖又は側鎖への結合手を表す。
oは、置換基数であって、1〜7の整数を表す。
mは、置換基数であって、0〜7の整数を表す。
nは、繰り返し数を表し、0〜5の整数を表す。
は鎖状若しくは環状アルキレン基を表し、複数個ある場合は、互いに同じでも異なっていてもよい。
としての鎖状アルキレン基は、直鎖アルキレン基の場合は好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは1〜5であり、更に好ましくは1〜3であり、特に好ましくはメチレン基である。分岐アルキレン基の場合は好ましくは炭素数3〜15、更に好ましくは3〜10であり、更に好ましくは3〜6である。Rとしての鎖状アルキレン基の具体例としては、上記したZka1としてのアルキル基の具体例から任意の水素原子を1個除いた基を挙げることができる。
としての環状アルキレン基は、好ましくは炭素数3〜20であり、より好ましくは炭素数5〜15であり、更に好ましくは炭素数7〜12であり、その具体例としては、上記したZka1としてのシクロアルキル基の具体例から任意の水素原子を1個除いた基を挙げることができる。
としての直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基の炭素数は、直鎖状の場合、好ましくは1〜30、更に好ましくは1〜20であり、分岐状の場合、好ましくは3〜30、更に好ましくは3〜20であり、環状の場合、6〜20である。Rの具体例としては、上記したZka1としてのアルキル基及びシクロアルキル基の具体例を挙げることができる。
及びRとしてのアルキル基及びシクロアルキル基における好ましい炭素数、及び具体例は、上記したZka1としてのアルキル基及びシクロアルキル基において記載したものと同様である。
としてのアシル基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ピバロイル基などを挙げることができる。
としてのアルコキシ基及びアルコキシカルボニル基におけるアルキル部位としては、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル部位を挙げることができ、アルキル部位の好ましい炭素数、及び、具体例は、上記したZka1としてのアルキル基及びシクロアルキル基において記載したものと同様である。
Xとしてのアルキレン基としては、鎖状若しくは環状アルキレン基を挙げることができ、特にメチレン基であることが好ましい。
−R−Z−の構造としては、−(CH−COO−(lは1〜5の整数を表す)で表される構造が好ましい。lは、1又は2であることが好ましく、1であることが特に好ましい。
極性変換基がアルカリ現像液の作用により分解し極性変換がなされることによって、アルカリ現像後のレジスト膜の水との後退接触角を下げることが出来る。アルカリ現像後における膜の水との後退接触角が下がることは、現像欠陥の抑制の観点から好ましい。
アルカリ現像後のレジスト膜の水との後退接触角は、温度23±3℃、湿度45±5%において50°以下であることが好ましく、より好ましくは40°以下、更に好ましくは35°以下、最も好ましくは30°以下である。
後退接触角とは、液滴−基板界面での接触線が後退する際に測定される接触角であり、動的な状態での液滴の移動しやすさをシミュレートする際に有用であることが一般に知られている。簡易的には、針先端から吐出した液滴を基板上に着滴させた後、その液滴を再び針へと吸い込んだときの、液滴の界面が後退するときの接触角として定義でき、一般に拡張収縮法と呼ばれる接触角の測定方法を用いて測定することができる。
疎水性樹脂のアルカリ現像液に対する加水分解速度は0.001nm/秒以上であることが好ましく、0.01nm/秒以上であることがより好ましく、0.1nm/秒以上であることが更に好ましく、1nm/秒以上であることが最も好ましい。
ここで疎水性樹脂のアルカリ現像液に対する加水分解速度は23℃のTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液)(2.38質量%)に対して、疎水性樹脂のみで樹脂膜を製膜した際の膜厚が減少する速度である。
また、繰り返し単位(by)は、少なくとも2つ以上の極性変換基を有する繰り返し単位であることがより好ましい。
繰り返し単位(by)が少なくとも2つの極性変換基を有する場合、下記一般式(KY−1)で示す、2つの極性変換基を有する部分構造を有する基を有することが好ましい。なお、一般式(KY−1)で表される構造が、結合手を有さない場合は、該構造における任意の水素原子を少なくとも1つ除いた1価以上の基を有する基である。
Figure 2014010352
一般式(KY−1)において、
ky1、Rky4はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、エーテル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミド基、又はアリール基を表す。或いは、Rky1、Rky4が同一の原子と結合して二重結合を形成していてもよく、例えばRky1、Rky4が同一の酸素原子と結合してカルボニル基の一部(=O)を形成してもよい。
ky2、Rky3はそれぞれ独立して電子求引性基であるか、又はRky1とRky2が連結してラクトン環を形成するとともにRky3が電子求引性基である。形成するラクトン環としては、前記(KA−1−1)〜(KA−1−18)の構造が好ましい。電子求引性基としては、前記式(KB−1)におけるY、Yと同様のものが挙げられ、好ましくはハロゲン原子、又は、前記−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基である。好ましくはRky3がハロゲン原子、又は、前記−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基であり、Rky2はRky1と連結してラクトン環を形成するか、ハロゲン原子を有さない電子求引性基である。
ky1、Rky2、Rky4はそれぞれ互いに連結して単環又は多環構造を形成しても良い。
ky1、Rky4は具体的には式(KA−1)におけるZka1と同様の基が挙げられる。
ky1とRky2が連結して形成するラクトン環としては、前記(KA−1−1)〜(KA−1−18)の構造が好ましい。電子求引性基としては、前記式(KB−1)におけるY、Yと同様のものが挙げられる。
一般式(KY−1)で表される構造としては、下記一般式(KY−2)で示す構造であることがより好ましい。なお、一般式(KY−2)で表される構造は、該構造における任意の水素原子を少なくとも1つ除いた1価以上の基を有する基である。
Figure 2014010352
式(KY−2)中、
ky6〜Rky10は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、エーテル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミド基、又はアリール基を表す。
ky6〜Rky10は、2つ以上が互いに連結して単環又は多環構造を形成しても良い。
ky5は電子求引性基を表す。電子求引性基は前記Y、Yにおけるものと同様のものが挙げられ、好ましくはハロゲン原子、又は、前記−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基である。
ky5〜Rky10は具体的には式(KA−1)におけるZka1と同様の基が挙げられる。
式(KY−2)で表される構造は、下記一般式(KY−3)で示す部分構造であることがより好ましい。
Figure 2014010352
式(KY−3)中、Zka1、nkaは各々前記一般式(KA−1)と同義である。Rky5は前記式(KY−2)と同義である。
kyはアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。Lkyのアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基等が挙げられる。Lkyは酸素原子又はメチレン基であることが好ましく、メチレン基であることが更に好ましい。
繰り返し単位(b)は、付加重合、縮合重合、付加縮合、等、重合により得られる繰り返し単位であれば限定されるものではないが、炭素−炭素2重結合の付加重合により得られる繰り返し単位であることが好ましい。例として、アクリレート系繰り返し単位(α位、β位に置換基を有する系統も含む)、スチレン系繰り返し単位(α位、β位に置換基を有する系統も含む)、ビニルエーテル系繰り返し単位、ノルボルネン系繰り返し単位、マレイン酸誘導体(マレイン酸無水物やその誘導体、マレイミド、等)の繰り返し単位、等を挙げることが出来、アクリレート系繰り返し単位、スチレン系繰り返し単位、ビニルエーテル系繰り返し単位、ノルボルネン系繰り返し単位が好ましく、アクリレート系繰り返し単位、ビニルエーテル系繰り返し単位、ノルボルネン系繰り返し単位が好ましく、アクリレート系繰り返し単位が最も好ましい。
繰り返し単位(by)が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位である場合(すなわち、前記繰り返し単位(b’)又は(b”)に相当する場合)、繰り返し単位(by)におけるフッ素原子を有する部分構造としては、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましくは、前記一般式(F2)〜(F4)で表される基を挙げることができる。またこの場合、繰り返し単位(by)における珪素原子を有する部分構造は、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましくは前記一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基を挙げることができる。
疎水性樹脂に於ける、繰り返し単位(by)の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、10〜100mol%が好ましく、より好ましくは20〜99mol%、更に好ましくは30〜97mol%、最も好ましくは40〜95mol%である。
アルカリ現像液中での溶解度が増大する基を有する繰り返し単位(by)の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
以下に示す具体例において、Raは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。
Figure 2014010352
Figure 2014010352
上述したような極性変換基(y)を有する繰り返し単位(by)に対応するモノマーの合成方法としては、例えば、国際公開第2010/067905号等に記載の方法を参考にして合成することができる。
疎水性樹脂に於ける、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位(bz)は、樹脂(A)で挙げた酸分解性基を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。
繰り返し単位(bz)が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位である場合(すなわち、前記繰り返し単位(b’)又は(b”)に相当する場合)、繰り返し単位(bz)におけるフッ素原子を有する部分構造としては、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましくは、前記一般式(F2)〜(F4)で表される基を挙げることができる。またこの場合、繰り返し単位(by)における珪素原子を有する部分構造は、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましくは前記一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基を挙げることができる。
疎水性樹脂に於ける、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位(bz)の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、1〜80mol%が好ましく、より好ましくは10〜80mol%、更に好ましくは20〜60mol%である。
以上、上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する繰り返し単位(b)について説明したが、疎水性樹脂に於ける、繰り返し単位(b)の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、1〜98mol%が好ましく、より好ましくは3〜98mol%、更に好ましくは5〜97mol%、最も好ましくは10〜95mol%である。
繰り返し単位(b’)の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、1〜100mol%が好ましく、より好ましくは3〜99mol%、更に好ましくは5〜97mol%、最も好ましくは10〜95mol%である。
繰り返し単位(b*)の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、1〜90mol%が好ましく、より好ましくは3〜80mol%、更に好ましくは5〜70mol%、最も好ましくは10〜60mol%である。繰り返し単位(b*)と共に用いられる、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、10〜99mol%が好ましく、より好ましくは20〜97mol%、更に好ましくは30〜95mol%、最も好ましくは40〜90mol%である。
繰り返し単位(b”)の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、1〜100mol%が好ましく、より好ましくは3〜99mol%、更に好ましくは5〜97mol%、最も好ましくは10〜95mol%である。
疎水性樹脂は、更に、下記一般式(CIII)で表される繰り返し単位を有していてもよい。
Figure 2014010352
一般式(CIII)に於いて、
c31は、水素原子、アルキル基(フッ素原子等で置換されていても良い)、シアノ基又は−CH−O−Rac基を表す。式中、Racは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Rc31は、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
c32は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基又はアリール基を有する基を表す。これら基はフッ素原子、珪素原子を含む基等で置換されていても良い。
c3は、単結合又は2価の連結基を表す。
一般式(CIII)に於ける、Rc32のアルキル基は、炭素数3〜20の直鎖若しくは分岐状アルキル基が好ましい。
シクロアルキル基は、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましい。
アルケニル基は、炭素数3〜20のアルケニル基が好ましい。
シクロアルケニル基は、炭素数3〜20のシクロアルケニル基が好ましい。
アリール基は、炭素数6〜20のフェニル基、ナフチル基が好ましく、これらは置換基を有していてもよい。
c32は無置換のアルキル基又はフッ素原子で置換されているアルキル基が好ましい。
c3の2価の連結基は、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜5)、オキシ基、フェニレン基、エステル結合(−COO−で表される基)が好ましい。
疎水性樹脂は、更に、下記一般式(BII−AB)で表される繰り返し単位を有することも好ましい。
Figure 2014010352
式(BII−AB)中、
c11’及びRc12’は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
Zc’は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、脂環式構造を形成するための原子団を表す。
一般式(CIII)、(BII−AB)で表される繰り返し単位における各基が、フッ素原子又は珪素原子を含む基で置換されている場合、その繰り返し単位は、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位にも相当する。
以下に一般式(CIII)、(BII−AB)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、H、CH、CHOH、CF又はCNを表す。なお、RaがCFである場合の繰り返し単位は、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位にも相当する。
Figure 2014010352
疎水性樹脂は、上述した樹脂(A)と同様、金属等の不純物が少ないのは当然のことながら、残留単量体やオリゴマー成分が0〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0〜5質量%、0〜1質量%が更により好ましい。それにより、液中異物や感度等の経時変化のないレジスト組成物が得られる。また、解像度、レジスト形状、レジストパターンの側壁、ラフネスなどの点から、分子量分布(Mw/Mn、分散度ともいう)は、1〜3の範囲が好ましく、より好ましくは1〜2、更に好ましくは1〜1.8、最も好ましくは1〜1.5の範囲である。
疎水性樹脂は、各種市販品を利用することもできるし、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。
反応溶媒、重合開始剤、反応条件(温度、濃度等)、及び、反応後の精製方法は、上述した樹脂(A)で説明した内容と同様である。
以下に疎水性樹脂(HR)の具体例を示す。また、下記の表1に、各樹脂における繰り返し単位のモル比(具体例に示した各樹脂における各繰り返し単位の位置関係と、表1における組成比の数字の位置関係は対応する)、重量平均分子量、分散度を示す。
Figure 2014010352
Figure 2014010352
Figure 2014010352
Figure 2014010352
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを含有する疎水性の疎水性樹脂を含有することにより、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物から形成された膜の表層に疎水性樹脂が偏在化し、液浸媒体が水の場合、水に対するベーク後且つ露光前における該膜表面の後退接触角を向上させ、液浸液追随性を向上させることができる。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物からなる塗膜をベークした後で且つ露光前の膜の後退接触角は露光時の温度、通常室温23±3℃、湿度45±5%において60°〜90°が好ましく、より好ましくは65°以上、更に好ましくは70°以上、特に好ましくは75°以上である。
疎水性樹脂は前述のように界面に偏在するものであるが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくても良い。
液浸露光工程に於いては、露光ヘッドが高速でウエハ上をスキャンし露光パターンを形成していく動きに追随して、液浸液がウエハ上を動く必要があるので、動的な状態に於けるレジスト膜に対する液浸液の接触角が重要になり、液滴が残存することなく、露光ヘッドの高速なスキャンに追随する性能がレジストには求められる。
疎水性樹脂は、疎水的であるためアルカリ現像後に現像残渣(スカム)、BLOB欠陥が悪化しやすいが、少なくとも1つの分岐部を介してポリマー鎖を3つ以上有することで直鎖型樹脂に比べ、アルカリ溶解速度が向上するため現像残渣(スカム)、BLO欠陥性能が改善される。
疎水性樹脂がフッ素原子を有する場合、フッ素原子の含有量は、疎水性樹脂の重量平均分子量に対し、5〜80質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。また、フッ素原子を含む繰り返し単位が、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、10〜100モル%であることが好ましく、30〜100モル%であることがより好ましい。
疎水性樹脂が珪素原子を有する場合、珪素原子の含有量は、疎水性樹脂の重量平均分子量に対し、2〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。また、珪素原子を含む繰り返し単位は、疎水性樹脂の全繰り返し単位に対し、10〜90モル%であることが好ましく、20〜80モル%であることがより好ましい。
疎水性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは2,000〜50,000、更に好ましくは3,000〜35,000である。ここで、樹脂の重量平均分子量は、GPC(キャリア:テトラヒドロフラン(THF))によって測定したポリスチレン換算分子量を示す。
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の疎水性樹脂の含有量は、レジスト膜の後退接触角が前記範囲になるよう適宜調整して使用できるが、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の全固形分を基準として、0.01〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、更に好ましくは0.1〜10質量%であり、特に好ましくは0.2〜8質量%である。
疎水性樹脂は1種類単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
[5]界面活性剤
本発明の組成物は、更に界面活性剤を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤が好ましい。
これらに該当する界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファックF176、メガファックR08、OMNOVA社製のPF656、PF6320、トロイケミカル(株)製のトロイゾルS−366、住友スリーエム(株)製のフロラードFC430、信越化学工業(株)製のポリシロキサンポリマーKP−341などが挙げられる。
また、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。より具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類などが挙げられる。
その他、公知の界面活性剤が適宜使用可能である。使用可能な界面活性剤としては、例えば、米国特許出願公開第2008/0248425A1号明細書の[0273]以降に記載の界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は界面活性剤を含有していても含有していなくてもよいが、含有する場合、界面活性剤の使用量は、組成物の全固形分に対し、好ましくは0〜2質量%、更に好ましくは0.0001〜2質量%、特に好ましくは0.0005〜1質量%である。
一方、界面活性剤の添加量を10ppm以下、或いは含有しないことも好ましい。これにより疎水性樹脂の表面偏在性があがり、それにより、レジスト膜表面をより疎水的にすることができ、液浸露光時の水追随性を向上させることが出来る。
[6]溶剤
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、溶剤を更に含有していてもよい。
この溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を含有しても良いモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、ピルビン酸アルキル等の有機溶剤を挙げることができる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが好ましく挙げられる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME、別名1−メトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルが好ましく挙げられる。
乳酸アルキルエステルとしては、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチルが好ましく挙げられる。
アルコキシプロピオン酸アルキルとしては、例えば、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチルが好ましく挙げられる。
環状ラクトンとしては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−オクタノイックラクトン、α−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンが好ましく挙げられる。
環を含有しても良いモノケトン化合物としては、例えば、2−ブタノン、3−メチルブタノン、ピナコロン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−メチル−3−ペンタノン、4,4−ジメチル−2−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,2,4,4−テトラメチル−3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、5−メチル−3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−メチル−3−ヘプタノン、5−メチル−3−ヘプタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、5−ノナノン、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、5−ヘキセン−2−オン、3−ペンテン−2−オン、シクロペンタノン、2−メチルシクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、2,2−ジメチルシクロペンタノン、2,4,4−トリメチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、4−エチルシクロヘキサノン、2,2−ジメチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2,2,6−トリメチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、2−メチルシクロヘプタノン、3−メチルシクロヘプタノンが好ましく挙げられる。
アルキレンカーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネートが好ましく挙げられる。
アルコキシ酢酸アルキルとしては、例えば、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル、酢酸−3−メトキシ−3−メチルブチル、酢酸−1−メトキシ−2−プロピルが好ましく挙げられる。
ピルビン酸アルキルとしては、例えば、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピルが好ましく挙げられる。
好ましく使用できる溶剤としては、常温常圧下で、沸点130℃以上の溶剤が挙げられる。具体的には、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル、プロピレンカーボネートが挙げられる。
本発明に於いては、上記溶剤を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明においては、有機溶剤として構造中に水酸基を含有する溶剤と、水酸基を含有しない溶剤とを混合した混合溶剤を使用してもよい。
水酸基を含有する溶剤、水酸基を含有しない溶剤としては前述の例示化合物が適宜選択可能であるが、水酸基を含有する溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキル等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチルがより好ましい。また、水酸基を含有しない溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を含有しても良いモノケトン化合物、環状ラクトン、酢酸アルキルなどが好ましく、これらの内でもプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチルが特に好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノンが最も好ましい。
水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量)は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する2種類以上の混合溶剤であることが好ましい。
[7]その他成分
本発明の組成物は、上記に説明した成分以外にも、カルボン酸オニウム塩、Proceeding of SPIE,2724,355(1996)等に記載の分子量3000以下の溶解阻止化合物、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤などを適宜含有することができる。
[8]塩基性化合物
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物には、前記成分の他に、塩基性化合物を酸捕捉剤として更に含有しても良い。塩基性化合物を用いることにより、露光から後加熱までの経時による性能変化を小さくすることできる。このような塩基性化合物としては、有機塩基性化合物であることが好ましく、より具体的には、脂肪族アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシル基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等が挙げられる。アミンオキサイド化合物(特開2008−102383に記載)、アンモニウム塩(好ましくはヒドロキシド又はカルボキシレートである。より具体的にはテトラブチルアンモニウムヒドロキシドに代表されるテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドがLERの観点で好ましい。)も適宜用いられる。
アミン類の具体例としては、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリイソデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ジデシルアミン、メチルオクタデシルアミン、ジメチルウンデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、メチルジオクタデシルアミン、N,N−ジブチルアニリン、N,N−ジヘキシルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、2,4,6−トリ(t−ブチル)アニリン、トリエタノールアミン、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、トリス(メトキシエトキシエチル)アミンや、米国特許第6040112号明細書のカラム3、60行目以降に例示の化合物、2−[2−{2―(2,2―ジメトキシ−フェノキシエトキシ)エチル}−ビス−(2−メトキシエチル)]−アミンや、米国特許出願公開第2007/0224539A1号明細書の段落[0066]に例示されている化合物(C1−1)〜(C3−3)などが挙げられる。含窒素複素環構造を有する化合物としては、2−フェニルベンゾイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、N−ヒドロキシエチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ジメチルアミノピリジン、アンチピリン、ヒドロキシアンチピリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−ウンデカ−7−エン、などが挙げられる。アンモニウム塩としてはテトラブチルアンモニウムヒドロキシドが好ましい。
これら塩基性化合物の中でも解像性向上の観点でアンモニウム塩が好ましい。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、塩基性化合物を含有しても、含有しなくてもよいが、含有する場合、本発明で使用される塩基性化合物の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.03〜5質量%がより好ましく、0.05〜3質量%が特に好ましい。
[9]パターン形成方法
本発明のパターン形成方法は、レジスト膜を、露光、現像する工程を含んでいる。
レジスト膜は、上記した本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物から形成されるものであり、より具体的には、基板上に形成されることが好ましい。本発明のパターン形成方法に於いて、レジスト組成物による膜を基板上に形成する工程、膜を露光する工程、及び現像工程は、一般的に知られている方法により行うことができる。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、解像力向上の観点から、膜厚30〜250nmで使用されることが好ましく、より好ましくは、膜厚30〜200nmで使用されることが好ましい。感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の固形分濃度を適切な範囲に設定して適度な粘度をもたせ、塗布性、製膜性を向上させることにより、このような膜厚とすることができる。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の全固形分濃度は、一般的には1〜10質量%、より好ましくは1〜8.0質量%、更に好ましくは1.0〜6.0質量%である。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、上記の成分を溶剤に溶解し、フィルター濾過した後、支持体に塗布して用いる。フィルターとしては、ポアサイズ0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下、更に好ましくは0.03μm以下のポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のものが好ましい。なお、フィルターは、複数種類を直列又は並列に接続して用いてもよい。また、組成物を複数回濾過してもよい。さらに、フィルター濾過の前後で、組成物に対して脱気処理などを行ってもよい。
組成物は、集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー等の適当な塗布方法により塗布される。その後乾燥し、感光性のレジスト膜を形成することができる。
当該膜に、所定のマスクを通して活性光線又は放射線を照射し、好ましくはベーク(加熱)を行い、現像、リンスする。これにより良好なパターンを得ることができる。なお、電子ビームの照射では、マスクを介さない描画(直描)が一般的である。
製膜後、露光工程の前に、前加熱工程(PB;Prebake)を含むことも好ましい。
また、露光工程の後かつ現像工程の前に、露光後加熱工程(PEB;Post Exposure Bake)を含むことも好ましい。
加熱温度はPB、PEB共に70〜120℃で行うことが好ましく、80〜110℃で行うことがより好ましい。
加熱時間は30〜300秒が好ましく、30〜180秒がより好ましく、30〜90秒が更に好ましい。
加熱は通常の露光・現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行っても良い。
ベークにより露光部の反応が促進され、感度やパターンプロファイルが改善する。
活性光線又は放射線としては特に限定されないが、例えばKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV光、電子線等であり、ArFエキシマレーザー、EUV光、電子線が好ましい。
現像工程におけるアルカリ現像液としては、通常、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドに代表される4級アンモニウム塩が用いられるが、これ以外にも無機アルカリ、1〜3級アミン、アルコールアミン、環状アミン等のアルカリ水溶液も使用可能である。
さらに、上記アルカリ現像液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加してもよい。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。
現像工程で使用する現像液としては、アルカリ現像液のほかに、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤等の有機系現像液を用いることも出来る。
ケトン系溶剤としては、例えば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、2−ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルー3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等を挙げることができる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール等のアルコールや、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤等を挙げることができる。
アミド系溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が使用できる。
エーテル系溶剤としては、例えば、上記グリコールエーテル系溶剤の他、ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤や水と混合し使用してもよい。有機系現像液中に含まれる水の含量としては、10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。
すなわち、有機系現像液に対する有機溶剤の使用量は、現像液の全量に対して、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
特に、有機系現像液は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤及び炭化水素系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有する現像液であるのが好ましい。有機系現像液には、必要に応じて界面活性剤を適当量添加することができる。
リンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
現像方法としては、たとえば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)などを適用することができる。
リンス工程においては、現像を行ったウェハをリンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、たとえば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)、などを適用することができ、この中でも回転塗布方法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2000rpm〜4000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むことも好ましい。ベークによりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程は、通常40〜160℃、好ましくは70〜95℃で、通常10秒〜3分、好ましくは30秒から90秒間行う。
また、現像工程又は、リンス工程の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を行うことができる。
なお、感光性膜(レジスト膜)を形成する前に、基板上に予め反射防止膜を塗設してもよい。
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、アモルファスシリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型のいずれも用いることができる。また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV−40シリーズ、シプレー社製のAR−2、AR−3、AR−5等の市販の有機反射防止膜を使用することもできる。
活性光線又は放射線の照射時に膜とレンズの間に空気よりも屈折率の高い液体(液浸媒体)を満たして露光(液浸露光)を行ってもよい。これにより解像性を高めることができる。用いる液浸媒体として好ましくは水である。水は屈折率の温度係数の小ささ、入手の容易さや取り扱いのしやすさの点でも好適である。
また、屈折率が向上できるという点で屈折率1.5以上の媒体を用いることもできる。この媒体は、水溶液でもよく有機溶剤でもよい。
液浸液として水を用いる場合、屈折率の向上等を目的とする添加剤を僅かな割合で添加しても良い。添加剤の例としてはシーエムシー出版「液浸リソグラフィのプロセスと材料」の第12章に詳しい。一方、193nm光に対して不透明な物質や屈折率が水と大きく異なる不純物の存在は、膜上に投影される光学像の歪みを招くため、使用する水としては蒸留水が好ましい。更にイオン交換フィルター等で精製した純水を用いてもよい。純水の電気抵抗は18.3MQcm以上であることが望ましく、TOC(有機物濃度)は20ppb以下であることが望ましく、脱気処理をしていることが望ましい。
レジスト膜と液浸液との間には、レジスト膜と液浸液との接触を避けるために、液浸液難溶性膜(以下、「トップコート」ともいう)を設けてもよい。トップコートに必要な機能としては、レジスト膜上への塗布適性、放射線、特には193nmの波長を有した放射線に対する透明性、及び液浸液難溶性が挙げられる。トップコートとしては、レジスト膜と混合せず、レジスト膜上に均一に塗布できるものを用いることが好ましい。
トップコートは、193nmにおける透明性という観点からは、芳香族を含有しないポリマーが好ましい。このようなポリマーとしては、例えば、炭化水素ポリマー、アクリル酸エステルポリマー、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリビニルエーテル、シリコン含有ポリマー及びフッ素含有ポリマーが挙げられる。上述した疎水性樹脂は、トップコートとしても好適なものである。トップコートから液浸液へ不純物が溶出すると光学レンズを汚染されるため、トップコートに含まれるポリマーの残留モノマー成分は、少ない方が好ましい。
トップコートを剥離する際は、現像液を使用してもよいし、別途剥離剤を使用してもよい。剥離剤としては、レジスト膜への浸透が小さい溶剤が好ましい。剥離工程がレジストの現像処理工程と同時にできるという点では、アルカリ現像液により剥離できることが好ましい。アルカリ現像液で剥離するという観点からは、トップコートは酸性であることが好ましいが、レジストとの非インターミクス性の観点から、中性であってもアルカリ性であってもよい。
トップコートと液浸液との間には、屈折率の差がないか又は小さいことが好ましい。この場合、解像力を向上させることが可能となる。露光光源がArFエキシマレーザー(波長:193nm)の場合には、液浸液として水を用いることが好ましいため、ArF液浸露光用トップコートは、水の屈折率(1.44)に近いことが好ましい。
また、透明性及び屈折率の観点から、トップコートは、薄膜であることが好ましい。トップコートは、レジスト膜と混合せず、更に液浸液とも混合しないことが好ましい。この観点から、液浸液が水の場合には、トップコートに使用される溶剤は、本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に使用される溶媒に難溶で、かつ非水溶性の媒体であることが好ましい。また、液浸液が有機溶剤である場合には、トップコートは水溶性であっても非水溶性であってもよい。
また、本発明は、上記した本発明のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法、及びこの製造方法により製造された電子デバイスにも関する。
本発明の電子デバイスは、電気電子機器(家電、OA・メディア関連機器、光学用機器及び通信機器等)に、好適に、搭載されるものである。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
(酸分解性樹脂(A))
国際公開第2012/036128号明細書に記載の方法にて下記樹脂(A−1)〜(A−8)、比較樹脂として(A−R)を合成した。以下、樹脂(A−1)〜(A−8)及び比較樹脂としての樹脂(A−R)のポリマー構造、重量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)を以下に示す。また、下記ポリマー構造の各繰り返し単位の組成比をモル比で示した。
Figure 2014010352
Figure 2014010352
(酸発生剤(C))
酸発生剤としては先に挙げた酸発生剤z1〜z108から適宜選択して用いた。
〔化合物(B)、塩基性化合物〕
特開2007−298569号公報、特開2009−199021号公報などに基づき下記(B−1)及び(B−2)合成した。また比較化合物としてBR−1としてイソプロパノールアミン(東京化成製)を用いた。
Figure 2014010352
(疎水性樹脂(HR))
疎水性樹脂としては先に挙げた疎水性樹脂(B−1)〜(B−31)から適宜選択して用いた。
(界面活性剤)
W−1:メガファックF176(DIC(株)製;フッ素系)
W−2:メガファックR08(DIC(株)製;フッ素及びシリコン系)
W−3:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製;フッ素系)
W−4:PF656(OMNOVA社製;フッ素系)
W−5:PF6320(OMNOVA社製;フッ素系)
(溶剤)
A1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
A2:シクロヘキサノン
A3:γ―ブチロラクトン
B1:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
B2:乳酸エチル
<感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の調製>
(実施例1〜12及び比較例1〜3)
下記表2に示す成分を溶剤に溶解させ、それぞれについて固形分濃度4質量%の溶液を調製し、これを0.1μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターで濾過して感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(ポジ型レジスト組成物)を調製した。調製したポジ型レジスト組成物を下記の方法で評価し、結果を表2に示した。
なお、表2に於いて、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が疎水性樹脂(HR)を含有している場合、その使用形態を「添加」と標記した。感活性光線性又は感放射性樹脂組成物が疎水性樹脂(HR)を含有せず、膜を形成後、その上層に疎水性樹脂(HR)を含有するトップコート保護膜を形成させた場合、その使用形態を「TC」と標記した。
〔露光条件1:ArF液浸露光〕
(実施例1〜11及び比較例1〜3)
<パターン形成方法>
シリコンウエハ(12インチ口径)上に有機反射防止膜ARC29SR(日産化学社製)を塗布し、205℃で、60秒間ベークを行い、膜厚98nmの反射防止膜を形成した。その上に調製したポジ型感光性樹脂組成物を塗布し、110℃で、60秒間ベークを行い、膜厚100nmの感光性膜(レジスト膜)を形成した。トップコートを用いる場合は、更にトップコート用樹脂(疎水性樹脂(HR))をデカン/オクタノール(質量比9/1)に溶解させた3質量%の溶液を前述で得られた膜上に塗布し、85℃で、60秒間ベークを行い、膜厚50nmのトップコート層を形成した。得られたウエハをArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製 XT1700i、NA1.20、C−Quad、アウターシグマ0.981、インナーシグマ0.895、XY偏向)を用い、線幅45nmの1:1ラインアンドスペースパターンの6%ハーフトーンマスクを通して露光した。液浸液としては超純水を使用した。その後120℃で、60秒間加熱した後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)で30秒間現像し、純水でリンスした後、スピン乾燥して線幅45nmの1:1ラインアンドスペースのレジストパターンを得た。
<パターン膜厚評価>
上記シリコンウェハ上に形成したレジストパターンに関し、パターンに対し垂直にウェハを割り、パターン側面を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所S−9380)にて観測し、パターン膜厚を測定した。膜厚が大きい方が、膜減り量が小さいことを意味するため、好ましい。
<保存安定性>
5℃、25℃、40℃及び60℃で、14日間経時させたレジスト膜と、0℃で14日間経時させたレジスト膜(基準レジスト膜)との線幅差にて評価した。具体的には、まず、0℃で14日間経時させたレジスト膜について、線幅45nmの1:1ラインアンドスペースのマスクパターンを再現する露光量Eを求めた。次いで、加温して14日間経時させた4種のレジスト膜にE分の露光を行った。得られたパターンの線幅を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所S−9380)にて測定し、基準レジスト膜で得られた線幅(45nm)に対するパターン線幅の変動値を求めた。得られた4点のデータに基づき、X軸に経時温度(絶対温度)の逆数、Y軸に1年あたりの線幅変動値(即ち、30日経時の線幅変動値を12倍したもの)を片対数グラフにプロットし、直線で近似した。こうして得られた直線の経時温度25℃に対応するY座標の値を読み取った。この値を、レジスト膜を25℃で1年間静置した場合の線幅変動値(nm)として表記した。値が小さいほど良好な保存安定性であることを示す。
〔露光条件2:ArFドライ露光〕
(実施例12)
<パターン形成方法>
12インチのシリコンウエハー上に有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃で、60秒間ベークを行い、膜厚78nmの反射防止膜を形成した。その上に調製したポジ型レジスト組成物を塗布し、110℃で、60秒間ベークを行い、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。これにArFエキシマレーザースキャナー(ASML社製 PAS5500/1100、NA0.75、Dipole、σo/σi=0.89/0.65)を用い、線幅75nmの1:1ラインアンドスペースパターンの6%ハーフトーンマスクを通して露光した。その後100℃で、60秒間加熱した後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)で30秒間現像し、純水でリンスした後、スピン乾燥して線幅75nmの1:1ラインアンドスペースのレジストパターンを得たレジストパターンを得た。
<パターン膜厚評価>
上記シリコンウェハ上に形成したレジストパターンに関し、パターンに対し垂直にウェハを割り、パターン側面を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所S−9380)にて観測し、パターン膜厚を測定した。膜厚が大きい方が、膜減り量が小さいことを意味するため、好ましい。
<保存安定性>
5℃、25℃、40℃及び60℃で、14日間経時させたレジスト膜と、0℃で14日間経時させたレジスト膜(基準レジスト膜)との線幅差にて評価した。具体的には、まず、0℃で14日間経時させたレジスト膜について、線幅75nmの1:1ラインアンドスペースのマスクパターンを再現する露光量Eを求めた。次いで、加温して14日間経時させた4種のレジスト膜にE分の露光を行った。得られたパターンの線幅を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所S−9380)にて測定し、基準レジスト膜で得られた線幅(75nm)に対するパターン線幅の変動値を求めた。得られた4点のデータに基づき、X軸に経時温度(絶対温度)の逆数、Y軸に1年あたりの線幅変動値(即ち、30日経時の線幅変動値を12倍したもの)を片対数グラフにプロットし、直線で近似した。こうして得られた直線の経時温度25℃に対応するY座標の値を読み取った。この値を、レジスト膜を25℃で1年間静置した場合の線幅変動値(nm)として表記した。値が小さいほど良好な保存安定性であることを示す。
Figure 2014010352
表2から分かるように、実施例の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたパターンは、パターンの膜減りが抑制されていることが明らかである。また、表2から分かるように、実施例の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物はレジスト膜の保存安定性に優れていることは明らかである。
一方、本発明における化合物(B)を使用しない比較例1及び2、並びに本発明における樹脂(A)を使用しない比較例3は、レジスト膜の優れた保存安定性と、パターンの膜減りの抑制を両立することは出来なかった。
また、上記実施例のほかに、有機系現像液を使用した評価も行なった。実施例1の実施条件において、現像液を酢酸ブチル(100質量%)に変更してパターン形成を行ったところ、アルカリ現像液を使用した場合と同様に、レジスト膜の優れた保存安定性と、パターンの膜減りを両立できることを確認した。

Claims (10)

  1. (A)下記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位を有する、酸の作用により分解しアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂、及び
    (B)下記一般式(2)で表される化合物
    を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2014010352

    一般式(1)中、Aは樹脂主鎖構造と結合するための2価の連結基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、アルキル基、又はシクロアルキル基を表し、それらを構成する炭素原子の一部が酸素原子に置き換わっていてもよく、同一炭素に結合する2個の水素原子が酸素原子と置き換わってオキソ基を形成してもよい。また、R〜Rの少なくとも2つが結合して環を形成してもよい。m及びnは、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。
    Figure 2014010352

    一般式(2)中、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。pが2の場合、2つのRは互いに同じであっても異なっていてもよく、2つのRが互いに結合して、複素環を形成していてもよい。
    複数のRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
    複数のRが互いに結合して、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素環式炭化水素基を形成していてもよい。
    oは1〜3の整数、pは0〜2の整数をそれぞれ表し、o+p=3である。
  2. 前記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位が、下記一般式(1−1)で表される繰り返し単位である請求項1に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2014010352

    一般式(1−1)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表し、R〜Rはそれぞれ前記一般式(1)におけるR〜Rと同義である。Bは下記式(1−1−1)又は(1−1−2)で表される連結基を表す。下記式(1−1−1)及び式(1−1−2)において、カルボニル炭素が一般式(1−1)で表される繰り返し単位における主鎖に結合する。
    Figure 2014010352
    は、アルキレン基、シクロアルキレン基又はそれらを組み合わせてなる基を表し、Rが複数存在する場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。 Zは、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表し、Zが複数存在する場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。m及びnは、前記一般式(1)におけるm及びnと同義である。qは、0〜5の整数を表す。
  3. 前記樹脂(A)が、酸の作用により分解し、アルカリ可溶性基を生じる基を有する繰り返し単位(a)を有し、該繰り返し単位(a)として、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する請求項1又は2に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2014010352

    31は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基又は−CH−R11で表される基を表す。R11は水酸基又は1価の有機基を表し、
    32は、アルキル基又はシクロアルキル基を表し、
    33は、炭素原子とともに脂環炭化水素構造を形成するのに必要な原子団を表す。
    前記脂環炭化水素構造は、環を構成する炭素原子の一部が、ヘテロ原子、又は、ヘテロ原子を有する基で置換されていてもよい。
  4. 樹脂(A)が、一般式(I-1)で表される繰り返し単位の少なくとも1種、及び一般式(I-2)で表される繰り返し単位の少なくとも1種を有する請求項3に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2014010352

    上記一般式(I-1)中、
    41は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基又は−CH−R111で表される基を表す。R111は水酸基又は1価の有機基を表す。
    42は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
    nは1〜6の整数を表す。
    Figure 2014010352

    上記一般式(I-2)中、
    51は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基又は−CH−R112で表される基を表す。R112は水酸基又は1価の有機基を表す。
    52は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
    10は、炭素原子とともに多環の脂環構造を形成するのに必要な原子団を表す。
  5. 樹脂(A)が、更にラクトン構造を有する繰り返し単位を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたレジスト膜。
  7. 請求項6に記載のレジスト膜を、露光、現像する工程を含むパターン形成方法。
  8. 前記露光が液浸露光である、請求項7に記載のパターン形成方法。
  9. 請求項7又は8に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
  10. 請求項9に記載の電子デバイスの製造方法により製造された電子デバイス。
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