JP2014009674A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】この発明は、内燃機関が停止するときに、スロットル弁を利用して燃料噴射弁を冷却し、デポジットの生成を抑制することを目的とする。
【解決手段】エンジン10は、1気筒の2つの吸気ポート20に燃料噴射弁24が個別に配置されたデュアル噴射システムを備える。ECU60は、エンジン10が停止した後に、スロットル弁18を開弁し、燃料噴射弁24の温度が燃料の霧化に適した目標温度に到達したと判断されるときに、スロットル弁18を閉弁する。この結果、吸気通路14からの放熱により燃料噴射弁24を冷却しつつ、吸気系統を保温することができるので、デポジットの生成抑制と、再始動時の燃料霧化とを両立させることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車等の車両に搭載される内燃機関の制御装置に関し、特に、スロットル弁及び燃料噴射弁を吸気通路に配置した内燃機関の制御装置に関する。
従来技術として、例えば特許文献1(特開2010−203348号公報)に開示されているように、1気筒に2つの吸気ポートを設け、個々の吸気ポートにそれぞれ燃料噴射弁を配置するシステム(デュアル噴射システム)を採用した内燃機関の制御装置が知られている。従来技術において、2つの吸気ポートは、互いに合流した状態で吸気マニホールドに接続されており、この合流部から分岐して燃焼室のそれぞれ異なる位置に開口している。そして、2つの燃料噴射弁は、各吸気ポートの分岐部位にそれぞれ配置され、燃焼室に近い位置から燃料を噴射するように構成されている。
特開2010−203348号公報 特開2012−21455号公報 特開2011−236874号公報 特開2005−76522号公報
上述した従来技術では、燃料噴射弁の温度が高くなり易いという問題がある。即ち、1気筒に1つの燃料噴射弁を配置する一般的なシステム(シングル噴射システム)では、燃料噴射弁が2つの吸気ポートの合流部に配置されるため、燃料噴射弁と燃焼室との間にある程度の距離が確保される。これに対し、デュアル噴射システムでは、燃料噴射弁が吸気ポートの分岐部位に配置されるので、シングル噴射システムと比較して燃料噴射弁と燃焼室との距離が近くなり、燃焼室側の熱によって燃料噴射弁の温度が上昇し易い。
このため、従来技術では、燃料噴射弁が高温状態のままエンジンが停止されることが多くなり、エンジンの停止中に燃料噴射弁にデポジットが生成し易いという問題がある。この問題は、デュアル噴射システムだけに生じるものではなく、燃料噴射弁と燃焼室との距離が近い場合には、シングル噴射システムにも生じるものである。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、内燃機関が停止するときに、スロットル弁を利用して燃料噴射弁を冷却し、デポジットの生成を抑制することが可能な内燃機関の制御装置を提供することにある。
第1の発明は、内燃機関の吸入空気量を調整することが可能なスロットル弁と、
前記スロットル弁の下流に配置され、吸気ポートに燃料を噴射する燃料噴射弁と、
前記燃料噴射弁の温度に影響を与える運転パラメータの値を検出し、当該運転パラメータの値に基いて前記燃料噴射弁の温度を推定する温度推定手段と、
内燃機関が停止した後に、前記スロットル弁を開弁し、前記燃料噴射弁の温度が燃料の霧化に適した目標温度に到達したと判断されるときに前記スロットル弁を閉弁する機関停止後スロットル制御手段と、
を備えることを特徴とする。
第2の発明は、内燃機関の停止後に前記燃料噴射弁の温度が前記目標温度に到達する時期である目標時期を、内燃機関の停止時における前記運転パラメータの検出値に基いて予測する予測手段を備え、
前記機関停止後スロットル制御手段は、前記目標時期が到来したときに前記スロットル弁を閉弁する構成としている。
第3の発明は、内燃機関が停止した後に、前記燃料噴射弁の温度、内燃機関の冷却水の温度、潤滑油の温度及び機関温度のうち少なくとも1つの温度指標を周期的に取得し、前記燃料噴射弁の温度が前記目標温度に到達する時期である目標時期を、前記温度指標の取得値に基いて予測する予測手段を備え、
前記機関停止後スロットル制御手段は、前記目標時期が到来したときに前記スロットル弁を閉弁する構成としている。
第4の発明は、内燃機関の冷却水の温度が前記燃料噴射弁の冷却を必要とする下限判定値よりも低い場合に、前記機関停止後スロットル制御手段の作動を禁止する構成としている。
第5の発明は、内燃機関がアイドルストップ制御により停止した場合に、前記機関停止後スロットル制御手段の作動を禁止する構成としている。
第6の発明は、内燃機関で用いる燃料の性状を検出する燃料性状検出手段と、
前記燃料噴射弁の温度が燃料の霧化に適した目標温度に到達したと判断する時期を前記燃料の性状に基いて補正する補正手段と、を備えている。
第1の発明によれば、機関停止後スロットル制御手段は、内燃機関の停止後にスロットル弁を開閉することにより、燃料噴射弁を冷却しつつ、吸気系統を保温することができる。これにより、内燃機関の停止後に生成するデポジットの抑制と、再始動時の燃料霧化とを両立させることができる。
第2の発明によれば、内燃機関の停止時に目標時期を算出し、この算出処理が終了してから目標時期が到来するまでの期間中には、スロットル弁の駆動回路等を停止状態に保持することができる。そして、目標時期が到来したときには、前記駆動回路の停止状態を解除してスロットル弁を閉弁することができる。従って、内燃機関の停止後に消費される消費電力を抑制し、燃費の向上を図ることができる。
第3の発明によれば、内燃機関の停止後には、温度指標の取得タイミング及び目標時期が到来したときにのみ、スロットル弁の駆動回路等を作動させればよく、それ以外の期間中に前記駆動回路等を停止状態に保持することができる。従って、内燃機関の停止後の消費電力を抑制し、燃費の向上を図ることができる。また、内燃機関の停止後に温度指標の実際の変化に基いて目標時期を予測することができるので、目標時期の予測精度を向上させることができる。
第4の発明によれば、例えば暖機完了前のように、水温が下限判定値よりも低い場合には、燃料噴射弁にデポジットが固着し難いので、噴射弁の冷却が不要となる。この場合には、スロットル弁が無駄に駆動されるのを回避し、消費電力を節約することができる。また、内燃機関の停止後に生じるスロットル弁の作動音を最小限に抑えることができ、更に、スロットル弁及びその駆動モータの寿命を延ばすことができる。
第5の発明によれば、アイドルストップ制御の実行時には、内燃機関の停止期間が比較的短くなる傾向があるので、燃料噴射弁の冷却が不要となる。この場合には、スロットル弁が無駄に駆動されるのを回避し、第4の発明と同様の効果を得ることができる。
第6の発明によれば、例えば使用燃料の重質度やアルコール濃度が高いほど、スロットル弁を早く閉弁して燃料噴射弁の先端温度を高めに保持することができる。従って、燃料が霧化し難いほど、噴射弁内に残留する燃料の霧化を促進することができ、残留した燃料によるデポジットの生成を抑制することができる。
本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための全体構成図である。 本発明の実施の形態1において、第1の機関停止対応制御によるエンジン停止後のエンジン回転数、スロットル開度及び各部の温度を、従来技術と比較して示すタイミングチャートである。 本発明の実施の形態1において、第3の機関停止対応制御によるエンジン停止後のエンジン回転数、スロットル開度及び燃料噴射弁の先端温度を示すタイミングチャートである。 本発明の実施の形態1において、ECUにより実行される制御を示すフローチャートである。
実施の形態1.
[実施の形態1の構成]
以下、図1乃至図4を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための全体構成図である。本実施の形態のシステムは、例えば多気筒型の内燃機関としてのエンジン10を備えている。なお、図1では、4気筒エンジンを例示したが、本発明は、任意の気筒数の内燃機関に適用されるものである。エンジン10の各気筒には、図示しないピストンにより燃焼室12が形成されており、ピストンは、エンジン10の出力軸であるクランク軸に連結されている。また、エンジン10は、各気筒の燃焼室12内(筒内)に吸入空気を吸込む吸気通路14と、各気筒から排気ガスが排出される排気通路16とを備えている。吸気通路14には、電子制御式のバタフライ弁等からなるスロットル弁18が設けられている。スロットル弁18は、後述のECU60により駆動されるもので、エンジン10の吸入空気量は、スロットル弁18の開度(スロットル開度)に応じて調整される。
また、各気筒は、吸入空気を筒内に個別に流入させる2つの吸気ポート20,20と、筒内の排気ガスを排出する2つの排気ポート22,22とを備えている。各吸気ポート20は、吸気通路14の一部を構成するもので、各吸気ポート20の上流部は互いに合流している。各吸気ポート20の下流部は、互いに分岐して燃焼室12のそれぞれ異なる位置に開口している。そして、各吸気ポート20の分岐部位には、スロットル弁18の下流に位置して吸気ポート20に燃料を噴射するポート噴射式の燃料噴射弁24がそれぞれ設けられている。即ち、エンジン10は、同一気筒の2つの吸気ポート20,20に燃料噴射弁24を個別に配置したデュアル噴射システムを採用している。また、各気筒は、筒内の混合気に点火する点火プラグ26と、各吸気ポート20を個別に開閉する吸気バルブ28と、各排気ポート22を個別に開閉する排気バルブ30とを備えている。
次に、エンジン10の制御系統について説明する。本実施の形態のシステムは、エンジン10やこれを搭載する車両の制御に必要な各種のセンサを含むセンサ系統と、エンジン10の運転状態を制御するECU(Electronic Control Unit)60とを備えている。まず、センサ系統について説明すると、クランク角センサ40は、クランク軸の回転に同期した信号を出力するもので、エアフローセンサ42は、吸入空気量を検出する。水温センサは、エンジン冷却水の温度(水温)を検出し、油温センサ46は、エンジンを潤滑する潤滑油の温度(油温)を検出し、吸気温センサ48は、吸気温(外気温)を検出する。また、エンジン10は、FFV(Flexible Fuel Vehicle)等の車両に搭載され、アルコール燃料の使用が可能となるように構成されている。このため、エンジン10には、燃料中のアルコール濃度を検出するアルコール濃度センサ50が搭載されている。アルコール濃度センサ50は、本実施の形態の燃料性状検出手段を構成している。
ECU60は、ROM、RAM、不揮発性メモリ等からなる記憶回路と、複数の入出力ポートとを備えた演算処理装置により構成されている。ECU60の入力側には、上記各センサがそれぞれ接続されている。ECU60の出力側には、スロットル弁18、燃料噴射弁24、点火プラグ26等を含む各種のアクチュエータが接続されている。また、ECU60は、タイマカウンタにセットされた時期が到来したか否かを判定するタイマ機能と、スロットル弁18等のアクチュエータを個別に駆動する駆動回路とを備えている。
そして、ECU60は、センサ系統により検出したエンジンの運転情報に基いて各アクチュエータを駆動し、運転制御を行う。具体的には、クランク角センサ40の出力に基いてエンジン回転数(機関回転数)とクランク角とを検出し、エアフローセンサ42により吸入空気量を検出する。また、エンジン回転数と吸入空気量とに基いて負荷(負荷率)を算出し、吸入空気量、負荷、水温、燃料中のアルコール濃度等に基いて燃料噴射量を算出すると共に、クランク角に基いて燃料噴射時期及び点火時期を決定する。そして、燃料噴射時期が到来した時点で燃料噴射弁24を駆動し、点火時期が到来した時点で点火プラグ26を駆動する。これにより、各気筒で混合気を燃焼させ、エンジンを運転する。
[実施の形態1の特徴]
図2は、本発明の実施の形態1において、第1の機関停止対応制御によるエンジン停止後のエンジン回転数、スロットル開度及び各部の温度を、従来技術と比較して示すタイミングチャートである。この図において、図2(A)は従来技術を示し、図2(B)は本実施の形態(第1の機関停止対応制御)を示している。まず、図2(A)を参照して、従来技術の課題について説明すると、エンジンの停止直後には、エンジンの熱がこもることにより、エンジン冷却水の温度が上昇し、これに伴ってエンジン本体(シリンダヘッド等)の温度も上昇する。この熱は、燃料噴射弁の先端部にも伝わることになる。この結果、従来技術では、噴射弁の先端温度がエンジンの停止時点から上昇量ΔTaだけ上昇してデポジット生成温度を超えることがある。なお、図2では、デポジット生成温度として80℃を例示している。噴射弁の先端温度がデポジット生成温度を超えると、噴射孔の内部に生成するデポジットの生成量が顕著に増加することが判明している。従って、従来技術では、エンジンの停止時にデポジットが生成し易いという問題がある。
特に、デュアル噴射システムは、2つの燃料噴射弁24を用いるので、噴射弁毎の燃料噴射量が減少し、燃料による噴射弁の冷却作用が低下し易い。しかも、燃料噴射弁24が吸気ポート20の分岐位置よりも下流側(吸気バルブ28や燃焼室12の近く)に配置されているので、噴射弁の先端温度が上昇し易い。これらの要因により、デュアル噴射システムでは、デポジットの生成が促進される傾向がある。
(第1の機関停止対応制御)
このため、本実施の形態では、エンジンが停止した後に、ECU60により第1の機関停止対応制御を実行する構成としている。第1の機関停止対応制御では、図2(B)に示すように、まず、エンジンの停止後にスロットル弁18を開弁(好ましくは全開)する。これにより、燃料噴射弁24及びその周囲の熱を吸気通路14から放出し、エンジンの停止後における噴射弁の先端温度の上昇量ΔTbを従来技術の上昇量ΔTaと比較して抑制することができる。この結果、燃料噴射弁24の先端温度をデポジット生成温度よりも低温に保持し、デポジットの生成を抑制することができる。
一方、吸気通路14の熱を必要以上に放出すると、再始動時には、吸気系統の温度が低下し過ぎて噴射燃料が霧化し難くなり、始動性や排気エミッションを悪化させる虞れがある。このため、第1の機関停止対応制御では、スロットル弁18を開弁した後に、燃料噴射弁24の先端温度が所定の目標温度に到達したと判断されるときに、スロットル弁18を閉弁する。ここで、目標温度とは、前記デポジット生成温度よりも低温であって、かつ、再始動時に噴射される燃料の霧化に適した温度として定義される。なお、図2(B)に示す一例では、目標温度を70℃〜75℃程度の温度に設定しているが、本発明における目標温度は、この温度範囲に限定されるものではない。
また、燃料噴射弁24の先端温度は、当該先端温度に影響を与える各種の運転パラメータに基いて推定される。具体例を挙げると、前記運転パラメータには、エンジン各部の温度(水温、油温、機関温度、吸気温等)が含まれると共に、エンジン停止時(停止直前)のエンジン回転数、負荷及び燃料噴射量が含まれている。また、機関温度としては、例えばシリンダブロック、シリンダヘッド等の温度が用いられる(図2参照)。ECU60には、前記各運転パラメータの値と噴射弁の先端温度との関係がデータマップ等として予め記憶されている。そして、ECU60は、センサ系統により検出した各運転パラメータの値に基いて前記データマップを参照し、燃料噴射弁24の先端温度を推定する。
この推定処理の具体例を挙げると、燃料噴射弁24の先端温度は、図2に示すように、水温、油温、機関温度等と連動して上昇及び低下する。また、例えばエンジン停止時のエンジン回転数及び負荷が高いほど、燃焼室側から噴射弁への熱伝導が増加するので、エンジン停止後に噴射弁の先端温度が上昇するときの温度勾配が大きくなる。一方、エンジン停止時の吸気温が低いほど、噴射弁から放熱し易くなるので、エンジン停止後に噴射弁の先端温度が低下するときの温度勾配が大きくなる。ECU60は、このような特性に基いて設定されたデータマップを用いることにより、燃料噴射弁24の先端温度を推定する。そして、先端温度の推定値が目標温度に到達した時点で、スロットル弁18を閉弁する。このとき、スロットル弁18は、全閉すると固着する虞れがあるので、数度程度開弁した状態に保持するか、または、一旦全閉してから数度程度まで開弁しておくのが好ましい。
上記第1の機関停止対応制御によれば、吸気系統の熱を適度に放出した後にスロットル弁18を閉弁することができる。これにより、吸気系統が必要以上に冷却されるのを防止し、吸気系統の温度を再始動時の燃料霧化に適した温度範囲に保持することができる。従って、エンジン停止後にスロットル弁18を開閉することにより、燃料噴射弁24を冷却しつつ、吸気系統を保温することができるので、デポジットの生成抑制と、再始動時の燃料霧化とを両立させることができる。特に、デュアル噴射システムを備えたエンジン10においては、デポジットが生成し易いので、上記効果を顕著に発揮することができる。
(第2の機関停止対応制御)
本実施の形態では、前記第1の機関停止対応制御に代えて、以下に述べる第2の機関停止対応制御を実行してもよい。第2の機関停止対応制御では、燃料噴射弁24の先端温度が前記目標温度に到達したかどうかの判断を、時間に基いて実行する。一例を挙げると、ECU60は、エンジン停止後に噴射弁の先端温度が目標温度に到達する時期である目標時期Sを、エンジン停止時(停止直前)における前記各運転パラメータの検出値に基いて予測する。この予測処理では、まず、エンジンが停止するときに、前記各運転パラメータの検出値に基いて噴射弁の先端温度の推移、温度勾配等を推定し、当該推定結果に基いて先端温度が目標温度まで低下する目標時期Sを予測する。
具体的には、例えばエンジン停止時のエンジン回転数、負荷、水温及び油温が高いほど、エンジン停止後に噴射弁の先端温度が上昇するときの温度勾配が大きくなるので、目標時期Sの予測値を増加させる(目標時期を遅らせる)。また、エンジン停止時の吸気温が低いほど、エンジン停止後に噴射弁の先端温度が低下するときの温度勾配が大きくなるので、目標時期Sの予測値を減少させる(目標時期を早くする)。そして、エンジンの停止後には、図2(B)に示すように、予測した目標時期Sが到来したときに、スロットル弁18を閉弁する。
このように構成される第2の機関停止対応制御によれば、前記第1の機関停止対応制御とほぼ同様の作用効果を得ることができ、更に、第1の機関停止対応制御と比較して、エンジン停止後の消費電力を節約することができる。即ち、第1の機関停止対応制御では、燃料噴射弁24の先端温度と目標温度とを比較するために、先端温度を推定する演算処理を常に(少なくも周期的に)実行する必要がある。これに対し、第2の機関停止対応制御では、例えばエンジン停止時にECU60により目標時期Sを算出し、この算出処理が終了してから目標時期Sが到来するまでの期間中に、ECU60を待機状態(タイマ機能のみを作動させ、スロットル弁18の駆動回路等を含む他の機能を停止した状態)に保持することができる。また、例えばタイマ機能を有する素子等を用いてECU60を起動する構成とした場合には、目標時期Sの算出処理が終了してから当該目標時期Sが到来するまでの期間中に、ECU60を停止状態に保持することができる。従って、エンジン停止後の消費電力を抑制し、燃費の向上を図ることができる。
(第3の機関停止対応制御)
また、本実施の形態では、前記第1,第2の機関停止対応制御に代えて、以下に述べる第3の機関停止対応制御を実行してもよい。第3の機関停止対応制御では、燃料噴射弁24の先端温度と連動する特定の温度(以下、温度指標と称する)を周期的に取得し、温度指標の取得値に基いて前記目標時期Sを算出する。この温度指標は、噴射弁の先端温度の推定値でもよいし、水温、油温または機関温度の検出値でもよい。なお、以下の説明では、温度指標として、噴射弁の先端温度を例に挙げて説明する。
図3は、本発明の実施の形態1において、第3の機関停止対応制御によるエンジン停止後のエンジン回転数、スロットル開度及び燃料噴射弁の先端温度を示すタイミングチャートである。図3に示す一例では、前記目標温度が60〜70℃程度の温度に設定されている。また、噴射弁の先端温度は、前述の推定方法により推定(取得)されるもので、先端温度を推定する周期は、自然放熱により生じる温度変化を捕捉可能な時間(ECU60の演算周期と比較して十分に大きな5分程度の時間)に設定される。
図3に示すように、第3の機関停止対応制御では、例えば一定の期間Pが経過する毎に噴射弁の先端温度を推定し、先端温度の変化が増加傾向から減少傾向(上り勾配から下り勾配)に移行するタイミングを検出する。そして、先端温度の変化が減少傾向に移行したら、期間Pが経過する毎に、例えば3点において先端温度の推定値T1,T2,T3を取得し、これらの推定値T1〜T3と期間Pとに基いて温度勾配を算出する。次の処理では、温度勾配の算出結果、推定値T1〜T3等に基いて目標時期Sを予測する。そして、予測した目標時期Sが到来したときには、スロットル弁18を閉弁する。
このように構成される第3の機関停止対応制御によれば、前記第1,第2の機関停止対応制御とほぼ同様の作用効果に加えて、次のような作用効果を得ることができる。第3の機関停止対応制御では、図3に示すように、温度指標(噴射弁の先端温度)の取得タイミング及び目標時期Sが到来したときにのみ、ECU60を作動させればよい。即ち、取得タイミング以外の期間、及び目標時期Sの算出処理が終了してから当該目標時期Sが到来するまでの期間中には、ECU60を待機状態または停止状態に保持することができる。従って、エンジン停止後の消費電力を抑制し、燃費の向上を図ることができる。また、エンジン停止後に温度指標が実際に低下し始めてから、目標時期Sを予測することができるので、エンジン停止時に目標時期Sを予測する場合と比較して、目標時期Sの予測精度を向上させることができる。
(機関停止対応制御の禁止条件)
上述した第1乃至第3の機関停止対応制御では、以下に述べる禁止条件(1)〜(3)の何かが成立した場合に、機関停止対応制御を禁止し、エンジンの停止時点でスロットル弁18を閉弁する通常のスロットル制御を実行してもよい。
(1)エンジン冷却水の水温が噴射弁の冷却を必要とする下限判定値よりも低い場合
(2)エンジンがアイドルストップ制御により停止した場合
(3)バッテリの充電状態(例えば、充電率SOC)が基準レベルよりも悪い場合
上記禁止条件(1)において、下限判定値は、例えば燃料噴射弁24の先端部でデポジットが固着し易くなる最低の温度として設定されるもので、一例を挙げると、エンジンの暖機完了時の水温に対応して設定される。なお、下限判定値は、前記デポジット生成温度と異なる値に設定してもよい。例えば暖機完了前のように、水温が下限判定値よりも低い場合には、噴射弁にデポジットが固着し難いので、仮にデポジットが生じても、再始動時の燃料噴射によりデポジットを洗い流すことができる。このため、機関停止対応制御による噴射弁の冷却は不要となる。なお、本発明では、水温に代えて、例えば噴射弁の先端温度、油温、機関温度等に基いて噴射弁の冷却の必要性を判定する構成としてもよい。
一方、禁止条件(2)は、以下の理由により設定される。アイドルストップ制御では、車両の停止時にアイドル運転を自動的に停止させ、車両の再発進時にエンジンを再始動するので、エンジンの停止期間が比較的短くなる傾向がある。この場合、デポジットは固着する前に洗い流されるので、機関停止対応制御は不要となる。
また、上記禁止条件(3)において、充電状態の基準レベルは、例えば再始動時に確保されていることが好ましい充電率等に基いて設定される。バッテリの充電状態が基準レベルよりも悪い場合には、再始動に対する充電率の余裕が小さいので、機関停止対応制御を禁止し、スロットル弁18の駆動による電力消費を回避する。
このように、上記禁止条件(1),(2)によれば、機関停止対応制御が不要な場合には、これを禁止してスロットル弁18が無駄に駆動されるのを回避し、消費電力を節約することができる。また、エンジン停止後に生じるスロットル弁18の作動音を最小限に抑えることができ、更に、スロットル弁及びその駆動モータの寿命を延ばすことができる。一方、禁止条件(3)によれば、バッテリの状態に応じて消費電力を節約し、バッテリを保護することができる。なお、本発明では、必ずしも上記禁止条件(1)〜(3)の全てを用いる必要はなく、その一部だけを用いる構成としてもよい。
(燃料性状に対応した補正制御)
上述した第1乃至第3の機関停止対応制御では、燃料性状に基いて前記目標時期Sを補正する構成としてもよい。ここで、燃料性状とは、燃料の重質度(重質と軽質の何れであるか)、及び燃料中のアルコール濃度を意味している。燃料が重質である場合や、燃料中のアルコール濃度が高い場合には、燃料の霧化特性が悪化するので、燃料噴射弁24の先端内部に存在する燃料が霧化し難くなり、先端内部に燃料が残留し易くなる。このため、本制御では、ガソリン等の基準燃料と比較して、使用燃料の重質度やアルコール濃度が高いほど、目標時期Sを早くする(目標時期Sの予測値を小さくする)。これにより、スロットル弁18を早く閉弁して噴射弁の先端温度を高めに保持することができる。従って、燃料が霧化し難いほど、噴射弁内に残留する燃料の霧化を促進することができ、残留した燃料によるデポジットの生成を抑制することができる。
[実施の形態1を実現するための具体的な処理]
次に、図4を参照して、上述した制御を実現するための具体的な処理について説明する。図4は、本発明の実施の形態1において、ECUにより実行される制御のフローチャートである。この図に示すルーチンは、前記第3の機関停止対応制御を例示したもので、エンジンの運転中に繰り返し実行されるものとする。図4に示すルーチンでは、まず、ステップ100において、エンジンが停止したか否かを判定する。この判定が成立した場合には、ステップ102において、アイドルストップ制御によるエンジン停止であるか否かを判定する。そして、ステップ100が成立し、かつ、ステップ102が不成立の場合には、ステップ104に移行し、それ以外の場合には本ルーチンを終了する。
次に、ステップ104では、スロットル弁を開弁(全開)し、ステップ106では、前記図3に示すように、燃料噴射弁24の先端温度を期間P毎に推定する。そして、ステップ108では、例えば先端温度の推定値を前回と今回とで比較することにより、先端温度の変化が増加傾向から減少傾向に移行したか否かを判定する。この判定が成立した場合には、ステップ110に移行し、判定が不成立の場合には、当該判定が成立するまでステップ106,108の処理を繰返す。
次に、ステップ110では、隣接する3点の先端温度の推定値T1,T2,T3を取得し、ステップ112では、これらの推定値T1〜T3と期間Pとに基いて温度勾配を算出する。そして、ステップ114では、温度勾配の算出結果、推定値T1〜T3等に基いて目標時期Sを予測(算出)する。次に、ステップ116では、まず、ECU60のタイマカウンタに目標時期Sをセットする。続いて、ECU60をタイマ機能以外が停止した待機状態に保持する。次に、ステップ118では、ECU60のタイマ機能により目標時期Sが到来したか否かを判定する。この判定が成立した場合には、ステップ120において、ECU60の待機状態を解除し、ステップ122では、ECU60の駆動回路等によりスロットル弁18を閉弁する。
なお、前記実施の形態1では、図4中のステップ106が温度推定手段の具体例を示し、ステップ104,118,122が機関停止後スロットル制御手段の具体例を示している。また、ステップ114は、予測手段の具体例を示している。また、「燃料性状に対応した補正制御」が補正手段の具体例を示している。また、実施の形態1では、デュアル噴射システムを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、シングル噴射システムにも適用することができる。
10 エンジン(内燃機関)
12 燃焼室
14 吸気通路
16 排気通路
18 スロットル弁
20 吸気ポート
22 排気ポート
24 燃料噴射弁
26 点火プラグ
28 吸気バルブ
30 排気バルブ
40 クランク角センサ
42 エアフローセンサ
44 水温センサ
46 油温センサ
48 吸気温センサ
50 アルコール濃度センサ(燃料性状検出手段)
60 ECU

Claims (6)

  1. 内燃機関の吸入空気量を調整することが可能なスロットル弁と、
    前記スロットル弁の下流に配置され、吸気ポートに燃料を噴射する燃料噴射弁と、
    前記燃料噴射弁の温度に影響を与える運転パラメータの値を検出し、当該運転パラメータの値に基いて前記燃料噴射弁の温度を推定する温度推定手段と、
    内燃機関が停止した後に、前記スロットル弁を開弁し、前記燃料噴射弁の温度が燃料の霧化に適した目標温度に到達したと判断されるときに前記スロットル弁を閉弁する機関停止後スロットル制御手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 内燃機関の停止後に前記燃料噴射弁の温度が前記目標温度に到達する時期である目標時期を、内燃機関の停止時における前記運転パラメータの検出値に基いて予測する予測手段を備え、
    前記機関停止後スロットル制御手段は、前記目標時期が到来したときに前記スロットル弁を閉弁する構成としてなる請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 内燃機関が停止した後に、前記燃料噴射弁の温度、内燃機関の冷却水の温度、潤滑油の温度及び機関温度のうち少なくとも1つの温度指標を周期的に取得し、前記燃料噴射弁の温度が前記目標温度に到達する時期である目標時期を、前記温度指標の取得値に基いて予測する予測手段を備え、
    前記機関停止後スロットル制御手段は、前記目標時期が到来したときに前記スロットル弁を閉弁する構成としてなる請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 内燃機関の冷却水の温度が前記燃料噴射弁の冷却を必要とする下限判定値よりも低い場合に、前記機関停止後スロットル制御手段の作動を禁止する構成としてなる請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 内燃機関がアイドルストップ制御により停止した場合に、前記機関停止後スロットル制御手段の作動を禁止する構成としてなる請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 内燃機関で用いる燃料の性状を検出する燃料性状検出手段と、
    前記燃料噴射弁の温度が燃料の霧化に適した目標温度に到達したと判断する時期を前記燃料の性状に基いて補正する補正手段と、
    を備えてなる請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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