JP2014009402A - 高炉操業方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】エネルギーの損失なく、固体還元材の燃焼率向上を可能とする高炉操業方法を提供する。
【解決手段】羽口3から微粉炭(固体還元材)6を吹き込む場合に、羽口3から吹き込む微粉炭(固体還元材)6に対し、分散材9を重量割合で1〜15%混合することにより、熱エネルギーを損失することなく、固体還元材の燃焼性を向上することができる。また、分散材9は、融点が100℃以上で且つ沸点が400℃以下であり、炭素、水素、酸素、窒素の何れかの元素の組合せからなる化合物であることにより、微粉炭6などの固体還元材の燃焼性をより一層向上することができる。また、化合物が安息香酸又は無水フタル酸であることにより、微粉炭6などの固体還元材の燃焼性をより一層向上することができる。
【選択図】図8

Description

本発明は、高炉羽口から微粉炭などの固体還元材を吹き込んで、生産性の向上及び還元材原単位の低減を図る高炉の操業方法に関するものである。
近年、炭酸ガス排出量の増加による地球温暖化が問題となっており、製鉄業においても排出COの抑制は重要な課題である。これを受け、最近の高炉操業では、低還元材比(低RAR:Reduction Agent Ratioの略で、銑鉄1t製造当たりの、羽口からの吹き込み還元材と炉頂から装入されるコークスの合計量)操業が強力に推進されている。高炉は、主にコークス及び羽口から吹き込む微粉炭を還元材として使用しており、低還元材比、ひいては炭酸ガス排出抑制を達成するためにはコークスなどを廃プラ、LNG、重油等の水素含有率の高い還元材で置換する方策が有効である。下記特許文献1では、羽口から吹き込む微粉炭に、結晶水を含む石炭を配合し、結晶水の気化膨張を利用して微粉炭を分散させ、微粉炭の燃焼性を向上することが提案されている。
特許第3450206号公報
前記特許文献1に記載される高炉操業方法は、従来の微粉炭だけを羽口から吹き込む方法に比べれば、燃焼温度の向上や還元材原単位の低減に効果があり、特に固体状の還元材を吹き込む場合には有効である。しかしながら、前記特許文献1に記載されるように結晶水を含む石炭を用いる場合、結晶水の分解・蒸発にエネルギーが必要となり、還元材原単位の低減効果が小さくなってしまう。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、エネルギーの損失なく、固体還元材の燃焼率向上を可能とする高炉操業方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明の高炉操業方法は、羽口から固体還元材を吹き込む高炉操業方法において、前記羽口から吹き込む固体還元材に対し、分散材を重量割合で1〜15%混合することを特徴とするものである。
また、前記分散材は、融点が100℃以上で且つ沸点が400℃以下であり、炭素、水素、酸素、窒素の何れかの元素の組合せからなる化合物であることを特徴とするものである。
また、前記化合物が安息香酸又は無水フタル酸であることを特徴とするものである。
而して、本発明の高炉操業方法によれば、羽口から固体還元材を吹き込む場合に、羽口から吹き込む固体還元材に対し、分散材を重量割合で1〜15%混合することにより、熱エネルギーを損失することなく、固体還元材の燃焼性を向上することができる。
また、分散材は、融点が100℃以上で且つ沸点が400℃以下であり、炭素、水素、酸素、窒素の何れかの元素の組合せからなる化合物であることにより、微粉炭などの固体還元材の燃焼性をより一層向上することができる。
また、化合物が安息香酸又は無水フタル酸であることにより、微粉炭などの固体還元材の燃焼性をより一層向上することができる。
本発明の高炉操業方法が適用された高炉の一実施形態を示す縦断面図である。 図1のランスから微粉炭だけを吹き込んだときの燃焼状態の説明図である。 図2の微粉炭の燃焼メカニズムの説明図である。 微粉炭のみ及び微粉炭と分散材とを吹き込んだときの燃焼メカニズムの説明図である。 燃焼実験装置の説明図である。 燃焼実験結果の説明図である。 燃焼実験結果の説明図である。 燃焼実験結果の説明図である。
次に、本発明の高炉操業方法の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の高炉操業方法が適用された高炉の全体図である。図に示すように、高炉1の羽口3には、熱風を送風するための送風管2が接続され、この送風管2を貫通してランス4が設置されている。羽口3の熱風送風方向先方のコークス堆積層には、レースウエイ5と呼ばれる燃焼空間が存在し、主として、この燃焼空間で鉄鉱石の還元、即ち造銑が行われる。
図2には、ランス4から微粉炭6だけを吹き込んだときの燃焼状態を示す。ランス4から羽口3を通過し、レースウエイ5内に吹き込まれた微粉炭6は、コークス7と共に、その揮発分と固定炭素が燃焼し、燃焼しきれずに残った、一般にチャーと呼ばれる炭素と灰分の集合体は、レースウエイから未燃チャー8として排出される。羽口3の熱風送風方向先方における熱風速度は約200m/secであり、ランス4の先端からレースウエイ5内におけるOの存在領域は約0.3〜0.5mとされているので、実質的に1/1000秒のレベルで微粉炭粒子の昇温及びOとの接触効率(分散性)の改善が必要となる。
図3は、ランス4から送風管2内に微粉炭(図ではPC:Pulverized Coal)6のみを吹き込んだ場合の燃焼メカニズムを示す。羽口3からレースウエイ5内に吹き込まれた微粉炭6は、レースウエイ5内の火炎からの輻射伝熱によって粒子が加熱し、更に輻射伝熱、伝導伝熱によって粒子が急激に温度上昇し、300℃以上昇温した時点から熱分解が開始し、揮発分に着火して火炎が形成され、燃焼温度は1400〜1700℃に達する。揮発分が放出してしまうと、前述したチャー8となる。チャー8は、主に固定炭素であるので、燃焼反応と共に、炭素溶解反応と呼ばれる反応も生じる。
図4は、ランス4から送風管2内に微粉炭6と共に分散材9を吹き込んだ場合の燃焼メカニズムを示す。図4aは、ランス4から微粉炭6のみを吹き込み、図4bは、ランス4から微粉炭9と分散材9を混合して吹き込んでいる。ランス4から微粉炭6のみを吹き込んだ場合には送風管2の内部に微粉炭流が集中しており、微粉炭6が送風中の酸素と混合する混合領域10が狭い。一方、ランス4から微粉炭6と分散材9を混合して吹き込んだ場合には、分散材9の気化膨張に伴って微粉炭6が分散し、微粉炭6が送風中の酸素と混合する混合領域10が広がり、分散材9が燃焼し、この燃焼熱によって微粉炭6が急速に加熱、昇温すると考えられ、これによりランス4に近い位置で燃焼温度が更に上昇する。
分散材には、融点が100℃以上で且つ沸点が400℃以下であることが望ましい。分散材の融点が100℃未満では、微粉炭の温度で溶融し、微粉炭がランスに付着して詰まりの原因となる。一方、分散材の沸点が400℃を超えると、微粉炭の揮発分の放出とタイミングが同じとなり、微粉炭の分散促進の効果が低い。また、分散材は、炭素、水素、酸素、窒素の何れかの元素の組合せからなる化合物が望ましく、例としては安息香酸や無水フタル酸が挙げられる。安息香酸の融点は122.35℃、沸点は249℃である。また、無水フタル酸の融点は131℃、沸点は284℃である。
このような知見に基づき、図5に示す燃焼実験装置を用いて燃焼実験を行った。実験炉11内にはコークスが充填されており、覗き窓からレースウエイ15の内部を観察することができる。送風管12にはランス14が差し込まれ、燃焼バーナ13で生じた熱風を実験炉11内に所定の送風量で送風することができる。また、この送風管12では、送風の酸素富化量を調整することも可能である。ランス14は、微粉炭及び分散材の何れか一方又は双方を送風管12内に吹き込むことができる。微粉炭及び分散材を同時にランス14から吹き込む場合には、微粉炭と分散材は混合された状態で吹き込まれる。また、実験炉11内で生じた排ガスは、サイクロンと呼ばれる分離装置16で排ガスとダストに分離され、排ガスは助燃炉などの排ガス処理設備に送給され、ダストは捕集箱17に捕集される。
燃焼実験には、ランス14に単管ランスを用い、単管ランスを用いて微粉炭のみを吹き込んだ場合、微粉炭と分散材を混合して吹き込んだ場合の夫々について、燃焼位置、未燃チャー、拡散性を測定した。未燃チャーは、レースウエイ15の後方からプローブで回収して測定した。微粉炭の諸元は、固定炭素(FC:Fixed Carbon)71.3%、揮発分(VM:Volatile Matter)19.6%、灰分(Ash)9.1%で、吹き込み条件は50kg/h(製銑原単位で158kg/t相当)とした。また、分散材の吹き込み条件は、3.6kg/h(5.0Nm/h、製銑原単位で11kg/t相当)とした。送風条件は、送風温度1100℃、流量350Nm/h、流速80m/s、O富化+3.7(酸素濃度24.7%、空気中酸素濃度21%に対し、3.7%の富化)とした。実験結果の評価は、一本の単管ランスから微粉炭のみ(媒体としてNを使用)を吹き込んだ場合の燃焼位置、燃焼率を基準とし、微粉炭に対する分散材の混合率を種々に変更して、微粉炭の分散角度、微粉炭の燃焼位置、微粉炭の燃焼率について評価した。燃焼率は、回収したチャーの灰分の重量割合を化学分析により測定し、この灰分が不変として、燃焼前の灰分の重量割合との差から算出した。
図6には、燃焼実験による分散材の混合率と微粉炭の分散角度の結果を示す。また、図7には、燃焼実験による分散材の混合率と微粉炭の燃焼位置(着火距離)の結果を示す。微粉炭の燃焼位置は、ランス14の吹き込み先端部から微粉炭の着火位置までの距離で表す。図8には、燃焼実験による分散率の混合率と微粉炭の燃焼率の結果を示す。図6より、分散材の混合率が1%以上で微粉炭の分散角度が増大し、混合率10%程度で飽和している。この傾向は、図8の微粉炭の燃焼率も同様である。これは、分散材の混合率が10%程度で微粉炭流の広がりが羽口の内径に達し、それ以上分散できなくなったためである。一方、微粉炭の燃焼位置(着火距離)も分散材の混合率が1%以上で増大し、分散材の混合率が15%程度で飽和している。これらの結果から、ランスから吹き込まれる微粉炭に対する分散材の混合率は1〜15%とするのが良好である。
このように、本実施形態の高炉操業方法では、羽口3から微粉炭(固体還元材)6を吹き込む場合に、羽口3から吹き込む微粉炭(固体還元材)6に対し、分散材9を重量割合で1〜15%混合することにより、熱エネルギーを損失することなく、固体還元材の燃焼性を向上することができる。
また、分散材9は、融点が100℃以上で且つ沸点が400℃以下であり、炭素、水素、酸素、窒素の何れかの元素の組合せからなる化合物であることにより、微粉炭6などの固体還元材の燃焼性をより一層向上することができる。
また、化合物が安息香酸又は無水フタル酸であることにより、微粉炭6などの固体還元材の燃焼性をより一層向上することができる。
1は高炉、2は送風管、3は羽口、4はランス、5はレースウエイ、6は微粉炭(固体還元材)、7はコークス、8はチャー、9は分散材

Claims (3)

  1. 羽口から固体還元材を吹き込む高炉操業方法において、前記羽口から吹き込む固体還元材に対し、分散材を重量割合で1〜15%混合することを特徴とする高炉操業方法。
  2. 前記分散材は、融点が100℃以上で且つ沸点が400℃以下であり、炭素、水素、酸素、窒素の何れかの元素の組合せからなる化合物であることを特徴とする請求項1に記載の高炉操業方法。
  3. 前記化合物が安息香酸又は無水フタル酸であることを特徴とする請求項2に記載の高炉操業方法。
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