JP2014008804A - 船舶 - Google Patents

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Abstract

【課題】万が一の損傷時における船体の重心を降下させ、船舶の復原性を高める船舶を提供する。
【解決手段】船舶の船体が、左右舷側の側壁20a、20b及び船底10Bと、乾舷甲板13と、乾舷甲板13と船底10Bとの間で2重底となる2重底上甲板11とを含む。ボイドスペース81またはバラストタンク82の少なくとも1つは、この船体の内部であって船底10Bと2重底上甲板11との間に備えられている。海水案内管83は、2重底上甲板11を貫通して少なくとも2重底上甲板11の上方かつ乾舷甲板13の下方の空間に配置される海水導入口83Aを備え、ボイドスペース81またはバラストタンク82と、2重底上甲板11の上方かつ乾舷甲板13の下方の空間とを接続する。そして海水案内管83の海水導入口83Aを開閉する開閉バルブ84を備えている。
【選択図】図4

Description

本発明は、旅客船、フェリー、RO−RO船(Roll-on/Roll-off Ship)、自動車専用船としてのPCC(Pure Car Carrier)、PCTC(Pure Car / Truck Carrier)などの船舶に関するものである。
例えば、従来の旅客船は、船体に多層の甲板を有する区画が設けられ、この各区画に各層の甲板間を接続するランプウェイが設けられたものが一般的である。この場合、船体の上層に居住区画が形成され、下層に車両区画が形成され、自動車は、ドライバが運転し、岸壁からショアランプウェイを介して船内の甲板へ入り込み、ランプウェイを経由して下層の甲板に移動し、指定された位置に駐車する。
また、このような旅客船は、居住区画や車両区画とは別に、船内に機関室や軸室など多数の部屋が区画形成されている。この場合、船舶の国際規則として、ダメージスタビリティの要件が規定されており、日本国内法にも反映されている。この規則では、船側損傷の要件として、損傷後の残存復原力の確保、船体傾斜角などが規定されている。
なお、このような従来の船舶の区画構造としては、下記特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載された自動車運搬船は、船舶の船底のボイドスペースを形成する最下層の水密甲板に遠隔で開放可能な海水導入手段を設けたものであり、これにより、船舶の船側外板等が破損して、海水が船内に進入した場合、最下層の水密甲板に設けられた海水導入手段を開放することにより、船内に進入した海水をボイドスペースに導入し、このボイドスペースを海水バラストタンクとして機能させることで、船舶の復原力を回復させることができる。
特開2008−201308号公報
特許文献1の技術は、船舶の復原力を回復させることができるが、万が一の損傷時に船内に侵入した水をボイドスペースまたはバラストタンクに導入する確率をより高め、より短時間で船体の重心を降下させ、船舶の復原性を高めることが望まれている。
本発明は、上述した課題を解決するものであり、万が一の損傷時における船体の重心を降下させ、船舶の復原性を高める船舶を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、船舶は、左右舷側の側壁及び船底と、乾舷甲板と、前記乾舷甲板と前記船底との間で2重底となる2重底上甲板とを含む船体と、前記船体の内部であって前記船底と前記2重底上甲板との間のボイドスペースまたはバラストタンクの少なくとも1つと、前記2重底上甲板を貫通して少なくとも前記2重底上甲板の上方かつ前記乾舷甲板の下方の空間に配置される海水導入口を備え、前記ボイドスペースまたは前記バラストタンクと前記空間とを接続する海水案内管と、前記海水導入口を開閉する開閉バルブと、を備えることを特徴とする。
この構造により、側壁が損傷を受けても、浸水抑制水密区画が浸水するだけで、海水案内管を通じてボイドスペースまたはバラストタンクに海水が流れる。このため、ボイドスペースまたはバラストタンクに流入した水は、船体の重心を降下させることができる。その結果、船舶は復原性を高めることができる。
本発明の望ましい態様として、前記船体は、船首側に左右舷側の前記側壁のそれぞれの内側に前記側壁に沿ってロンジバルクヘッド隔壁を備え、前記海水案内管は、左右舷側のいずれかの前記側壁と前記ロンジバルクヘッド隔壁との間に区画される浸水抑制水密区画に備えられ、前記海水導入口が前記浸水抑制水密区画にあることが好ましい。
この構造により、側壁に損傷を受けた場合、浸水抑制水密区画は浸水するものの、ロンジバルクヘッド隔壁と、2重底上甲板と、乾舷甲板とで囲まれる領域が浸水する確率を下げることができる。また、浸水抑制水密区画が船体の左右両側にそれぞれ設けられることで、浸水抑制性能を向上することができる。
本発明の望ましい態様として、前記開閉バルブは、前記海水導入口を開くように遠隔操作された場合、海水案内管を通じて、前記空間の水を前記ボイドスペースまたは前記バラストタンクに流入できることが好ましい。
この構造により、平時には、浸水抑制水密区画とボイドスペースまたはバラストタンクとを区画することができる。また開閉バルブを開いた場合には、浸水抑制水密区画とボイドスペースまたはバラストタンクとを接続し連通することができる。
本発明の望ましい態様として、前記開閉バルブは、前記空間にある水の圧力により前記海水案内管を通じて、前記空間の水を前記ボイドスペースまたは前記バラストタンクに流入できる逆止弁であることが好ましい。
この構造により、平時には、浸水抑制水密区画とボイドスペースまたはバラストタンクとを区画することができる。また開閉バルブを開いた場合には、浸水抑制水密区画とボイドスペースまたはバラストタンクとを接続し連通することができる。
本発明の望ましい態様として、前記海水案内管は、前記乾舷甲板を貫通し、前記乾舷甲板の上方に第2の海水導入口を備えていることが好ましい。
この構造により、海水案内管は、乾舷甲板の上面に浸水した水をボイドスペースまたはバラストタンクへ流入させることができ、浸水の影響による船体の傾きを抑制することができる。そして、閉鎖された開閉バルブを備えており、開閉バルブが閉鎖された状態であれば、浸水抑制水密区画と、乾舷甲板の上方の空間、例えば車両搭載区画とは、別空間として認定できる。
本発明の船舶によれば、万が一の損傷時における船体の重心を降下させ、船舶の復原性を高めることができる。
図1は、実施形態1に係る船舶の側面を示す模式図である。 図2は、図1に示す船舶のII−II断面の模式図である。 図3は、図1に示す船舶のIII−III断面の模式図である。 図4は、実施形態1に係る浸水抑制水密区画と、海水案内管との関係を示す説明図である。 図5は、図4に示す浸水抑制水密区画の左舷側を船体の中心からみた斜視状態を示す模式図である。 図6は、海水案内管の第1変形例の左舷側を船体の中心からみた斜視状態を示す模式図である。 図7は、海水案内管の第2変形例の左舷側を船体の中心からみた斜視状態を示す模式図である。 図8は、海水案内管の第3変形例の左舷側を船体の中心からみた斜視状態を示す模式図である。 図9は、実施形態2に係る浸水抑制水密区画と、海水案内管との関係を示す説明図である。 図10は、図9に示す海水案内管の左舷側を船体の中心からみた斜視状態を示す模式図である。 図11は、実施形態3に係る浸水抑制水密区画と、ボイドスペースとの関係を示す説明図である。 図12は、実施形態3に係る浸水抑制水密区画と、ボイドスペースの変形例との関係を示す説明図である。 図13は、実施形態4に係る海水案内ダクトを示す模式図である。 図14は、実施形態4に係る海水案内ダクトの配置を説明する説明図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る船舶の側面を示す模式図である。図2は、図1に示す船舶のII−II断面の模式図である。図3は、図1に示す船舶のIII−III断面の模式図である。図3において、実線は図1に示すIII−IIIを上からみた船体10の構造を示し、一点鎖線は、図1に示すIII−IIIを下からみた船体10の構造を示している。
図1に示す船舶1は、車両を運搬可能な車両運搬船(カーフェリー)である。図2に示すように、船舶1の船体10は、船底10Bと、左右の側壁(外板)20a、20bとにより囲まれている。WLは、船体10の満載喫水線である。Bは、満載喫水線WLでの船体10の幅である。CLは、船体の短手方向の幅の中心である。船体10には、主推進力源となる主機関に接続し推進力を伝達するプロペラ71と、船体10の方向を制御する舵72とを含む。船舶1は、プロペラ71の回転及び舵72の操舵方向により船体10の任意の方向の推進力を与えることができる。船体10は、早期に船体10の方向を制御するため、バウスラスタ73を備えていてもよい。
船体10には、船首側右舷に、車両がロールオン・ロールオフするための起倒式の船首舷側ランプウェイ61が設けられ、船尾側右舷には、起倒式の船尾ランプウェイ62が設けられている。そして、乾舷甲板13は、船尾ランプウェイ62または船首舷側ランプウェイ61が備えられた乗り込み甲板となっている。乾舷甲板13の下方には、下層空間が形成され、この下層空間の船尾側に推進用エンジンが配置されている主機室(機関室)42がある。船体10には、乾舷甲板13の上下に多層の甲板11、12、14、15、16、17が備えられている。甲板11は、乾舷甲板13と船底10Bとの間で2重底となる2重底上甲板である。以下、甲板11を2重底上甲板11という。
乾舷甲板13と甲板14との間にも、大型車両も通行可能な少なくとも1本の船内ランプ64、65が設けられている。甲板14と甲板15との間に、少なくとも1本の船内ランプが設けられていてもよい。そして、図2に示すように、乾舷甲板13、甲板14の上にトラック、バス等の大型車両も搭載可能な車両搭載区画が形成されている。
居住区用として、甲板15、16、17が設けられ、複数段の居住区画が形成されている。この場合、居住区画は、推進用エンジンからの騒音を避けるために、推進用エンジンの設置位置である主機室42の直上より船首側に形成されている。そして、居住区画(甲板15上)の船尾側は、遊歩スペースとして利用されている。
また、船体10は、左右の側壁20a、20bと船底10Bとを有しており、乾舷甲板13と船底10Bとの間の空間で、かつ、甲板12の配設位置より後方の空間に、複数の部屋である発電機室41、主機室42、軸室43が設けられている。2重底上甲板11は、2重底上甲板11と、船底10Bと、左右舷側の側壁20a、20bとで囲まれる空間は、ボイドスペース、燃料タンク、バラストタンクまたは空所として利用できる。例えば、図2に示すように、船体10は、船底10Bと2重底上甲板11との間のボイドスペース81を備えている。そして船体10は、ボイドスペース81の左右舷側の側壁20a、20b側に、それぞれバラストタンク82が備えている。このように、ボイドスペース81は、船体10の長手方向と直交する船体の短手方向(幅方向)において左右舷側のバラストタンク82の間に配置されている。なお、2重底上甲板11は、船首から船尾まで配置されていてもよい。本実施形態では、2重底上甲板11と甲板12との間は空所であるが、甲板12と2重底上甲板11との間に船内ランプを備えて、2重底上甲板11を最下層の車両甲板としてもよい。
図1に示すように、船体10は、乾舷甲板13と船底10Bとの間に甲板12が設けられることで、上下の空間(部屋)が区画されている。また、図3に示すように、船体10は、船尾から船首に向かって間隔をあけて、左舷側の側壁20aと右舷側の側壁20bとの間を仕切る隔壁25、24、23、22を備えることで、軸室43、主機室42、発電機室41が区画されている。また、船体10は、隔壁22の船首側に、さらに船首隔壁26を備えている。そして、上述したボイドスペース81は、船首隔壁26と、隔壁22との間に配置されている。ボイドスペース81は、船首隔壁26と、隔壁22との間に配置され、船体10の長手方向に分割されていてもよい。また、ボイドスペース81は、船首隔壁26と、隔壁22との間に配置され、船体10の短手方向(幅方向)に対称または非対称に分割されていてもよい。
そして、船体10には、左舷側の側壁20aと隔壁23に接する左方の水密区画室31a、32aと、右舷側の側壁20bと隔壁23に接する右方の水密区画室31b、32bとが設けられている。また、船体10には、左舷側の側壁20aと隔壁24とに接する左方の水密区画室33aと、右側の側壁20bと隔壁24とに接する右方の水密区画室33bとが設けられている。
甲板12と乾舷甲板13との間に、車両が通行可能な、少なくとも1本の船内ランプ63が設けられている。乾舷甲板13の下方の甲板12上にも車両搭載区画が形成され、この甲板12上の車両搭載区画を囲むように、船体10の船首側にロンジバルクヘッド隔壁21a、21bがある。ロンジバルクヘッド隔壁21a、21bは、船体10の内側に左舷側の側壁20a及び右舷側の側壁20bにそって設けられている。図3に示す下部車両搭載区画DLは、2重底上甲板11と、乾舷甲板13と、ロンジバルクヘッド隔壁21a、21bと、船首隔壁26、隔壁22とで囲まれた空間である。
左舷側の側壁20aとロンジバルクヘッド隔壁21aとの間及び右舷側の側壁20bとロンジバルクヘッド隔壁21bとの間には、複数の水密区画51a、52a、53a、54a、55a、56a、57a、51b、52b、53b、54b、55b、56b、57bが形成されている。これら複数の水密区画51a、52a、53a、54a、55a、56a、57a、51b、52b、53b、54b、55b、56b、57bは、ボイドスペース、燃料タンク、バラストタンク、清水タンク、機器室、倉庫、または貨物室として利用できる。本実施形態では、複数の水密区画51a、52a、53a、54a、55a、56a、57a、51b、52b、53b、54b、55b、56b、57bのうち、水密区画52a、53a、52b、53bに、海水案内管83を備えている。なお、海水案内管83は、水密区画51a、52a、53a、54a、55a、56a、57a、51b、52b、53b、54b、55b、56b、57bのいずれか1つ以上に備えられていてもよい。以下、2重底上甲板11の上方かつ乾舷甲板13の下方の空間であって、この海水案内管83を備える水密区画52a、53a、52b、53bを浸水抑制水密区画52a、53a、52b、53bという。
図4は、実施形態1に係る浸水抑制水密区画と、海水案内管との関係を示す説明図である。また、図4は、図1に示す船舶のIV−IV断面の一部を模式的に示した模式図である。図5は、図4に示す浸水抑制水密区画の左舷側を船体の中心からみた斜視状態を示す模式図である。図3及び図4に示すように、浸水抑制水密区画52b、53bは、船体10の長手方向と直交する船体の短手方向(幅方向)の中心に対して浸水抑制水密区画52a、53aと対称に配置されている。以下の説明は、図4に示す左舷側である浸水抑制水密区画52a、53aを用いて説明するが、浸水抑制水密区画52b、53bも同じ構成であるため、浸水抑制水密区画52b、53bの説明を省略する。
図5に示すように、浸水抑制水密区画52a、53a(52b、53b)は、高さ方向に船体10の2重底上甲板11から乾舷甲板13までを区画した水密区画である。浸水抑制水密区画52a、53a(52b、53b)の上面は、乾舷甲板13の高さまであるため、浸水抑制水密区画52a、53a(52b、53b)に浸水した場合、浸水の影響による船体10の傾きを抑制し、船体10の傾きの復原性を高めることができる。浸水抑制水密区画52a、53a(52b、53b)は、船体10の船底10Bから乾舷甲板13までを区画した水密区画としてもよい。浸水抑制水密区画52a、53a(52b、53b)は、船体10の長手方向の前後に隔壁Kを介して隣接している。
図4に示すロンジバルクヘッド隔壁21a(21b)は、左の側壁20a(右の側壁20b)から短手方向に船体10の中心へ向かう寸法が、満載喫水線WLでの船体10の幅Bの1/10より大きく設定される。このため、国際法であるSOLAS ChapterII-1 Part B-1 Regulation 8.3.2、並びに日本国内法である船舶区画規定の第44条に規定される、想定する損傷の大きさよりも、ロンジバルクヘッド隔壁21a(21b)の左の側壁20a(右の側壁20b)から短手方向に船体10の中心へ向かう寸法を大きくすることができる。例えば、左の側壁20a(右の側壁20b)が損傷した場合でもロンジバルクヘッド隔壁21a(21b)は損傷しにくく、浸水抑制水密区画52a、53a(52b、53b)の損傷のみに止まる可能性が高くなる。そして、船体10の外部から浸水抑制水密区画52a、53aの近傍に位置する左舷側の側壁20aに損傷を受けた場合、浸水抑制水密区画52a、53aは浸水するものの、ロンジバルクヘッド隔壁21a、21bと、2重底上甲板11と、乾舷甲板13とで囲まれる領域が浸水する確率を下げることができる。
図4及び図5に示すように、浸水抑制水密区画52a、53a(52b、53b)は、内部に海水案内管83を備えている。海水案内管83は、ボイドスペース81からバラストタンク82及び2重底上甲板11を貫通して、乾舷甲板13の下方及び2重底上甲板11の上方の空間とボイドスペース81とを接続する。海水案内管83は、船底10Bと2重底上甲板11と左右舷の側壁20a、20bとで囲まれる空間と、乾舷甲板13の下方及び2重底上甲板11の上方の空間とを接続する管部材である。海水案内管83は、少なくとも乾舷甲板13の下方及び2重底上甲板11の上方の空間に海水導入口83Aを備えている。海水導入口83Aが乾舷甲板13の下表面よりも2重底上甲板11の上表面に近くに備えられることにより、浸水抑制水密区画52a、53a、52b、53bの水をボイドスペース81に流入できる確率を高めることができる。
海水導入口83Aは、浸水抑制水密区画52a、53a、52b、53bの内部にある海水案内管83の枝管83aに開口する穴である。海水案内管83は、ボイドスペース81と、浸水抑制水密区画52a、53a、52b、53bのそれぞれを連通させている。そして、海水案内管83は、浸水抑制水密区画52a、53a、52b、53bの内部にある枝管83aの海水導入口83Aを閉じる開閉バルブ84を備えており、通常、開閉バルブ84は閉鎖されている。例えば、船体10には、制御装置2が搭載されており、制御装置2は、遠隔操作により開閉バルブ84を開閉することができる。そして、開閉バルブ84は、海水導入口83Aを開くように遠隔操作された場合、海水案内管83を通じて、浸水抑制水密区画52a、53a、52b、53bの水をボイドスペース81に流入できる。
船体10の外部から浸水抑制水密区画52a、53aの近傍に位置する左舷側の側壁20aに損傷を受けた場合、浸水抑制水密区画52a、53aは浸水するものの、ロンジバルクヘッド隔壁21a、21bと、2重底上甲板11と、乾舷甲板13とで囲まれる領域が浸水する確率を下げることができる。また、図4に示す制御装置2は、遠隔操作により開閉バルブ84を開くことで、浸水抑制水密区画52a、53a(52b、53b)に浸水した水を、海水案内管83を介して下方のボイドスペース81に入れて、短時間で船体10の重心を降下させ、船舶の復原性を高めることができる。また、船舶1は、浸水の影響による船体10の傾きを抑制することができる。
なお、開閉バルブ84は、逆止弁でもよい。この場合、浸水抑制水密区画52a、53a(52b、53b)に浸水した水の圧力により逆止弁が開き、浸水抑制水密区画52a、53a(52b、53b)に浸水した水を、2重底上甲板11の下方のボイドスペース81に流入させ、短時間で船体10の重心を降下させ、船舶の復原性を高める浸水の影響による船体10の傾きを抑制することができる。
海水案内管83の開閉バルブ84は、船底10Bから760mmまたは満載喫水線WLでの船体10の幅Bの1/20より大きく設定される。このため、国際法であるSOLAS ChapterII-1 Part B-1 Regulation 9.2 並びに日本国内法である船舶区画規定の第44条及び第65条に規定される、想定する損傷の大きさよりも、海水案内管83の開閉バルブ84の船底10Bからの位置を高くすることができる。このため、船底10Bが損傷した場合でも、開閉バルブ84の損傷の可能性が抑制される。
また、海水案内管83は、上端の第2の海水導入口である、海水導入口83Bが乾舷甲板13の上面よりも上に配置され、浸水抑制水密区画52a、53a、52b、53bのいずれかを貫通するとともに、乾舷甲板13の上方の空間と、ボイドスペース81とを連通することが好ましい。これにより、海水案内管83は、左舷側の側壁20a(右舷側の側壁20b)に損傷を受け乾舷甲板13の上面に浸水した水をボイドスペース81へ流入させることができ、浸水の影響による船体10の復原性を改善させることができる。
また、海水案内管83は、船体10の長手方向の前後に隣接する浸水抑制水密区画52a、53a(52b、53b)に備えられたそれぞれの海水案内管83の内部流路を繋ぐ、縦通連通管85を備えている。このため、乾舷甲板13の上面に浸水した水をボイドスペース81へ流入させる場合、例えば一方の海水案内管83が内部の流路が流せる流量の上限に達しても、一方の海水案内管83から縦通連通管85を介して浸水した水を迂回させ、他方の海水案内管83が迂回させた水をボイドスペース81へ流入させることができる。このため、海水案内管83の管径を大きくしなくても、複数の海水案内管83により乾舷甲板13の上面に浸水した水をボイドスペース81へ流入させることができる。
このように実施形態1の船舶1にあっては、船体10が、左右舷側の側壁20a、20b及び船底10Bと、乾舷甲板13と、乾舷甲板13と船底10Bとの間で2重底となる2重底上甲板11とを含む。ボイドスペース81またはバラストタンク82の少なくとも1つは、この船体10の内部であって船底10Bと2重底上甲板11との間に備えられている。海水案内管83は、2重底上甲板11を貫通して少なくとも2重底上甲板11の上方かつ乾舷甲板13の下方の空間に配置される海水導入口83Aを備え、ボイドスペース81またはバラストタンク82と、2重底上甲板11の上方かつ乾舷甲板13の下方の空間とを接続する。そして海水案内管83の海水導入口83Aを開閉する開閉バルブ84を備えている。
上述した特許文献1の技術では、空気抜き管が破損することで、船舶の復原性を高める浸水の影響による船体の傾きを抑制することができる。これに対し、本実施形態1の船舶1は、側壁20aまたは側壁20bの破損とともに、海水案内管83が破損してもしなくても、浸水抑制水密区画52a、53a、52b、53bに浸水した水を、2重底上甲板11の下方のボイドスペース81に入れて、短時間で船体10の重心を降下させ、船舶の復原性を高める浸水の影響による船体10の傾きを抑制することができる。このため、特許文献1の技術よりも短時間で船体の重心を降下させ、船舶の復原性を高めることができる。さらに、海水案内管83は、左舷側の側壁20aまたは右舷側の側壁20bに損傷を受け乾舷甲板13の上面に浸水した水をボイドスペース81へ流入させることができ、浸水の影響による船体10の復原性を改善させることができる。
また、実施形態1の船舶1では、左舷側の側壁20aと隔壁23に接する左方の浸水抑制水密区画52a、53aと、右側の側壁20bと隔壁23に接する右方の浸水抑制水密区画52b、53bとを設けている。これにより、浸水抑制水密区画52a、53a、52b、53bが船体10の左右両側にそれぞれ設けられることとなり、浸水抑制性能を向上することができる。
また、実施形態1の船舶1では、船体10は船首側に左右舷側の側壁20a、20bのそれぞれの内側にロンジバルクヘッド隔壁21a、21bを備え、海水案内管83は、左右舷側のいずれかの側壁20a、20bとロンジバルクヘッド隔壁21a、21bとの間に区画される、浸水抑制水密区画52a、53a、52b、53bに備えられている。ロンジバルクヘッド隔壁21a、21bの内側は浸水抑制性能を十分に確保することができる。
また、実施形態1の船舶1では、海水案内管83は、乾舷甲板13を貫通し、乾舷甲板13の上方に海水導入口83Bを備えている。このため、損傷時には、海水案内管83は、左舷側の側壁20aまたは右舷側の側壁20bに損傷を受け乾舷甲板13の上面に浸水した水を、海水導入口83Bを介してボイドスペース81へ流入させることができ、浸水の影響による船体10の傾きを抑制することができる。そして、損傷時以外では閉鎖された開閉バルブ84を備えており、開閉バルブ84が閉鎖された状態であれば、浸水抑制水密区画52a、53a、52b、53bと、乾舷甲板13の上方の空間、例えば車両搭載区画とは、別空間として認定できる。
<実施形態1の第1変形例>
図6は、海水案内管の第1変形例の左舷側を船体の中心からみた斜視状態を示す模式図である。上述した実施形態1と同じ構成要素には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。図6に示すように、海水案内管83は、浸水抑制水密区画53a(53b)に備えられている。海水案内管83は、浸水抑制水密区画53a(53b)の代わりに浸水抑制水密区画52a(52b)に備えられていてもよい。このように、海水案内管83は、複数の水密区画51a、52a、53a、54a、55a、56a、57a、51b、52b、53b、54b、55b、56b、57bのうち、いずれかの水密区画に、海水案内管83を備えていてもよい。
船体10には、海水案内管83を備える浸水抑制水密区画が船体10の左右両側に対称にそれぞれ設けられることが好ましい。海水案内管83を備える浸水抑制水密区画53a、53bが船体10の左右両側に対称にそれぞれ設けられることにより、浸水抑制性能を向上することができる。
図6に示すように、浸水抑制水密区画53a(53b)には、内部に海水案内管83を備え、一度海水案内管83が下部車両搭載区画DLにでた後、ボイドスペース81に挿入されている。このため、海水案内管83は、ボイドスペース81と、下部車両搭載区画DLと、浸水抑制水密区画53a(53b)とのそれぞれが連通している。海水案内管83は、浸水抑制水密区画53a(53b)の内部にある枝管83aの海水導入口83Aを閉じる開閉バルブ84Aと、下部車両搭載区画DLの内部にある枝管83bの海水流出口83Cを閉じる開閉バルブ84Bを備えており、通常、開閉バルブ84A、84Bは閉鎖されている。また、開閉バルブ84Bは、2重底上甲板11の表面近くに配置されている。例えば、船体10には、上述した制御装置2が搭載されており、制御装置2は、遠隔操作により開閉バルブ84A、84Bを開閉することができる。開閉バルブ84Aは、海水導入口83Aを開くように遠隔操作された場合、海水案内管83を通じて、浸水抑制水密区画52a、53a、52b、53bの水をボイドスペース81に流入できる。開閉バルブ84Bは、海水導入口83Cを開くように遠隔操作された場合、海水案内管83を通じて、下部車両搭載区画DLの水をボイドスペース81に流入できる。
船体10の外部から浸水抑制水密区画53aの近傍に位置する左舷側の側壁20aに損傷を受けた場合、浸水抑制水密区画53aは浸水するものの、ロンジバルクヘッド隔壁21a、21bと、2重底上甲板11と、乾舷甲板13とで囲まれる領域が浸水する確率を下げることができる。また、図4に示す制御装置2は、遠隔操作により開閉バルブ84Aを開くことで、浸水抑制水密区画53a(53b)に浸水した水を、2重底上甲板11の下方のボイドスペース81に入れて、短時間で船体10の重心を降下させ、船舶の復原性を高めることができる。また、下部車両搭載区画DLに浸水がある場合、制御装置2は、遠隔操作により開閉バルブ84Bを開くことで、下部車両搭載区画DLに浸水した水を、2重底上甲板11の下方のボイドスペース81に入れて、短時間で船体10の重心を降下させ、船舶の復原性を高めることができる。
また、海水案内管83は、上端の海水導入口83Bが乾舷甲板13の上面よりも上に配置され、浸水抑制水密区画53a(53b)のいずれかを貫通するとともに、乾舷甲板13の上方の空間と、ボイドスペース81とを連通することが好ましい。これにより、海水案内管83は、左舷側の側壁20a(右舷側の側壁20b)に損傷を受け乾舷甲板13の上面に浸水した水をボイドスペース81へ流入させることができ、短時間で船体10の重心を降下させ、船舶の復原性を高めることができる。
<実施形態1の第2変形例>
図7は、海水案内管の第2変形例の左舷側を船体の中心からみた斜視状態を示す模式図である。上述した実施形態1及び第1変形例と同じ構成要素には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。図7に示すように、海水案内管83は、浸水抑制水密区画53a(53b)に備えられている。
船体10には、海水案内管83を備える浸水抑制水密区画が船体10の左右両側に対称にそれぞれ設けられることが好ましい。海水案内管83を備える浸水抑制水密区画53a、53bが船体10の左右両側に対称にそれぞれ設けられることにより、浸水抑制性能を向上することができる。
図7に示すように、浸水抑制水密区画53a(53b)には、内部に海水案内管83を備え、バラストタンク82と、浸水抑制水密区画53a(53b)のそれぞれが連通している。海水案内管83は、浸水抑制水密区画53a(53b)の内部にある枝管83aの海水導入口83Aを閉じる開閉バルブ84Aと、バラストタンク82の内部にある枝管83bの海水流出口83Cを閉じる開閉バルブ84Bを備えており、通常、開閉バルブ84A、84Bは閉鎖されている。例えば、船体10には、上述した制御装置2が搭載されており、制御装置2は、遠隔操作により開閉バルブ84A、84Bを開閉することができる。海水導入口83Aを開くように遠隔操作された場合、浸水抑制水密区画52a、53a、52b、53bの水は、海水案内管83を通じてボイドスペース81に流入できる。また、海水導入口83A、83Cを開くように遠隔操作された場合、浸水抑制水密区画52a、53a、52b、53bの水は、海水案内管83を通じて、バラストタンク82及びボイドスペース81に流入できる。
船体10の外部から浸水抑制水密区画53aの近傍に位置する左舷側の側壁20aに損傷を受けた場合、浸水抑制水密区画53aは浸水するものの、ロンジバルクヘッド隔壁21a、21bと、2重底上甲板11と、乾舷甲板13とで囲まれる領域が浸水する確率を下げることができる。また、図4に示す制御装置2は、遠隔操作により開閉バルブ84A、84Bを開くことで、浸水抑制水密区画53a(53b)に浸水した水を、2重底上甲板11の下方の、ボイドスペース81及びバラストタンク82の少なくとも1つに入れて、短時間で船体10の重心を降下させ、船舶の復原性を高めることができる。
また、海水案内管83は、上端の海水導入口83Bが乾舷甲板13の上面よりも上に配置され、浸水抑制水密区画53a(53b)のいずれかを貫通するとともに、乾舷甲板13の上方の空間と、バラストタンク82とを連通することが好ましい。これにより、海水案内管83は、左舷側の側壁20a(右舷側の側壁20b)に損傷を受け乾舷甲板13の上面に浸水した水を、ボイドスペース81及びバラストタンク82の少なくとも1つへ流入させることができ、短時間で船体10の重心を降下させ、船舶の復原性を高めることができる。
<実施形態1の第3変形例>
図8は、海水案内管の第3変形例の左舷側を船体の中心からみた斜視状態を示す模式図である。上述した実施形態1と同じ構成要素には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。第3変形例では、縦通連通管85の内部の流路を開閉するために、上述した開閉バルブ84を備えている。縦通連通管85の内部の流路を開閉する開閉バルブ84を備えているので、遠隔操作により開閉バルブ84を開くことで、上述した実施形態1のように、複数の海水案内管83により乾舷甲板13の上面に浸水した水をボイドスペース81へ流入させることができる。また、遠隔操作により開閉バルブ84を閉鎖することで、浸水抑制水密区画52a、53a(52b、53b)のうち浸水する区画を決定し、船体10のバランスを調整することができる。
(実施形態2)
図9は、実施形態2に係る浸水抑制水密区画と、海水案内管との関係を示す説明図である。図10は、図9に示す海水案内管の左舷側を船体の中心からみた斜視状態を示す模式図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図9及び図10に示すように、浸水抑制水密区画52a、53a(52b、53b)には、内部に海水案内管86を備え、海水案内管86は、2重底上甲板11の上方で浸水抑制水密区画52a、53a(52b、53b)の内部に海水導入口83Aを備え、ボイドスペース81からバラストタンク82を貫通するように配置され、かつ2重底上甲板11を貫通して、ボイドスペース81と2重底上甲板11の上方の空間とを接続する。また、海水案内管86は、浸水抑制水密区画52a、53a(52b、53b)の内部にある、海水導入口83Aを備え、海水案内管86によりボイドスペース81と、浸水抑制水密区画52a、53a、52b、53bのそれぞれが連通している。そして、海水案内管86は、浸水抑制水密区画52a、53a(52b、53b)の内部にある、海水導入口83Aを閉じる開閉バルブ84を備えており、通常、開閉バルブ84は閉鎖されている。例えば、船体10には、制御装置2が搭載されており、制御装置2は、遠隔操作により開閉バルブ84を開閉することができる。
海水案内管86の開閉バルブ84は、船底10Bから760mmまたは満載喫水線WLでの船体10の幅Bの1/20より高く設定される。このため、国際法であるSOLAS ChapterII-1 Part B-1 Regulation 9.2 並びに日本国内法である船舶区画規定の第44条に規定される、想定する損傷の大きさよりも、海水案内管86の開閉バルブ84の船底10Bからの位置を高くすることができる。このため、船底10Bが損傷した場合でも、逆止弁83の損傷の可能性が抑制される。
船体10の外部から浸水抑制水密区画52a、53aの近傍に位置する左舷側の側壁20aに損傷を受けた場合、浸水抑制水密区画52a、53aは浸水するものの、ロンジバルクヘッド隔壁21a、21bと、2重底上甲板11と、乾舷甲板13とで囲まれる領域が浸水する確率を下げることができる。また、図4に示す制御装置2は、遠隔操作により開閉バルブ84を開くことで、浸水抑制水密区画52a、53a(52b、53b)に浸水した水を、海水案内管86を介して下方のボイドスペース81に入れて、短時間で船体10の重心を降下させ、船舶の復原性を高めると共に、浸水の影響による船体10の傾きを抑制することができる。
なお上述した実施形態1の縦通連通管85と同じように、海水案内管86は、船体10の長手方向の前後に隣接する浸水抑制水密区画52a、53a(52b、53b)に備えられたそれぞれの海水案内管86の内部流路を繋ぐ、縦通連通管を備えていてもよい。
(実施形態3)
図11は、実施形態3に係る浸水抑制水密区画と、ボイドスペースとの関係を示す説明図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図11に示すように、ボイドスペース81の内部には、船体10の長手方向の前後にボイドスペース81を区画する隔壁K1を備えており、隔壁K1には、上述した制御装置2で遠隔操作可能な水密滑り戸87を備えている。水密滑り戸87は、通常は閉鎖されているため、浸水した水を、海水案内管83を介して下方のボイドスペース81に入れて、短時間で船体10の重心を降下させても、ボイドスペース81に流入できる許容量に限界があることがある。この場合、制御装置2で遠隔操作可能な水密滑り戸87を開き、ボイドスペース81の容量を増やし、船体10の重心を降下させ、船舶の復原性を高めることができる。また、制御装置2は、ボイドスペース81への浸水量を段階的に制御できる。
図12は、実施形態3に係る浸水抑制水密区画と、ボイドスペースの変形例との関係を示す説明図である。ボイドスペース81の変形例として、隔壁K1に隔壁K1を貫通するボイドスペース連通管88を備える。そして、ボイドスペース連通管88には、上述した制御装置2で遠隔操作により、ボイドスペース連通管88の開口を開閉可能である開閉バルブ89を備えている。開閉バルブ89は、通常は閉鎖されているため、浸水した水を、海水案内管83を介して下方のボイドスペース81に入れて、短時間で船体10の重心を降下させても、ボイドスペース81に流入できる許容量に限界があることがある。この場合、制御装置2で遠隔操作可能な開閉バルブ89を開き、ボイドスペース81の容量を増やし、船体10の重心を降下させ、船舶の復原性を高めることができる。
なお、上述した実施形態1から実施形態3の浸水抑制水密区画52a、53a(52b、53b)のロンジバルクヘッド隔壁21a(21b)側に、水密滑り戸を備えさせ、水密扉を開閉することで、浸水抑制水密区画52a、53a(52b、53b)の内部への出入りを可能にしてもよい。このため、浸水抑制水密区画52a、53a(52b、53b)は、倉庫、横揺れ抑制(フィン・スタビライザー)機器、空調、汚物処理機器などを格納する機器室、工作機械を格納する工作室として活用することができる。
(実施形態4)
図13は、実施形態4に係る海水案内ダクトを示す模式図である。図14は、実施形態4に係る海水案内ダクトの配置を説明する説明図である。なお、図14も図1に示す船舶のIV−IV断面の一部を模式的に示した模式図である。上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図13及び図14に示すように、ロンジバルクヘッド隔壁21a(21b)の船体の短手方向の幅の中心CL側には、船体10の高さ方向に海水案内ダクト90を備えている。海水案内ダクト90は、一方の端部が乾舷甲板13の上方で開口する中空柱状のダクト本体91と、換気用の開口92と、換気用の開口92よりも高さ方向において低い位置にあり、かつ2重底上甲板11よりも上方にある海水導入用開口93と、上述した制御装置2で遠隔操作可能な水密滑り戸95と、換気用ファンFとを備えている。水密滑り戸95は、通常は閉鎖されている。海水案内ダクト90は、ダクト本体91が2重底上甲板11を貫通する。水密滑り戸95は、水密ハッチまたは制御装置2で開閉を遠隔操作可能なバルブであってもよい。
水密滑り戸95は、船底10Bから760mmまたは満載喫水線WLでの船体10の幅Bの1/20より高く設定される。このため、国際法であるSOLAS ChapterII-1 Part B-1 Regulation 9.2 並びに日本国内法である船舶区画規定の第44条に規定される、想定する損傷の大きさよりも、水密滑り戸95の船底10Bからの位置を高くすることができる。このため、船底10Bが損傷した場合でも、水密滑り戸95の損傷の可能性が抑制される。
図14に示すように、海水案内ダクト90は、開口92及び海水導入用開口93をダクト本体91に複数備えてもよい。海水案内ダクト90は、ロンジバルクヘッド隔壁21a(21b)に沿って、船体10の長手方向に複数備えられてもよい。また、海水案内ダクト90は、は、図14に示すように、ロンジバルクヘッド隔壁21aの内側と、ロンジバルクヘッド隔壁21bの内側にそれぞれ設けられ、船体10の短手方向に対向するように備えられている。
通常、海水案内ダクト90は、換気用のダクトとして作用し、換気用の開口92から空気AIRを換気用ファンFにより、乾舷甲板13の上方へダクト本体91を介して排出する。海水案内ダクト90は、換気用のダクトとして作用し、または海水導入用開口93から空気AIRを換気用ファンFにより、乾舷甲板13の上方へダクト本体91を介して排出してもよい。これにより、下部車両搭載区画DLの空間が換気される。
実施形態4の船舶1にあっては、船体10が、左右舷側の側壁20a、20b及び船底10Bと、乾舷甲板13と、乾舷甲板13と船底10Bとの間で2重底となる2重底上甲板11と、海水案内ダクト90とを含む。ボイドスペース81は、この船体10の内部であって船底10Bと2重底上甲板11との間に備えられている。海水案内ダクト90は、2重底上甲板11を貫通して少なくとも2重底上甲板11の上方かつ乾舷甲板13の下方の空間に配置される海水導入用開口93と、船底10Bと2重底上甲板11との間に備えられる、水密滑り戸95、水密ハッチ及びバルブの少なくとも1つを備えている。水密滑り戸95、水密ハッチ、バルブの少なくとも1つが開放された場合、海水案内ダクト90は、ボイドスペース81と、2重底上甲板11の上方かつ乾舷甲板13の下方の空間とを接続することができる。
下部車両搭載区画DLに浸水がある場合、制御装置2は、例えば、遠隔操作により水密滑り戸95を開くことで、下部車両搭載区画DLに浸水した水wを、海水導入用開口93とダクト本体91とを通じ、2重底上甲板11の下方のボイドスペース81に入れて、短時間で船体10の重心を降下させ、船舶の復原性を高めることができる。
1 船舶
2 制御装置
10 船体
10B 船底
11 2重底上甲板
13 乾舷甲板
12、14、15、16、17 甲板
20a 左舷側の側壁(側壁)
20b 右舷側の側壁(側壁)
21a、21b ロンジバルクヘッド隔壁
22,23、24、25 隔壁
31a、31b、32a、32b、33a、33b 水密区画室
81 ボイドスペース
82 バラストタンク
83、86 海水案内管
83a 枝管
84、84A、84B、89 開閉バルブ
85 縦通連通管
87 水密滑り戸
88 ボイドスペース連通管
90 海水案内ダクト
K、K1 隔壁
WL 満載喫水線

Claims (5)

  1. 左右舷側の側壁及び船底と、乾舷甲板と、前記乾舷甲板と前記船底との間で2重底となる2重底上甲板とを含む船体と、
    前記船体の内部であって前記船底と前記2重底上甲板との間のボイドスペースまたはバラストタンクの少なくとも1つと、
    前記2重底上甲板を貫通して少なくとも前記2重底上甲板の上方かつ前記乾舷甲板の下方の空間に配置される海水導入口を備え、前記ボイドスペースまたは前記バラストタンクと前記空間とを接続する海水案内管と、
    前記海水導入口を開閉する開閉バルブと、
    を備えることを特徴とする船舶。
  2. 前記船体は、船首側に左右舷側の前記側壁のそれぞれの内側に前記側壁に沿ってロンジバルクヘッド隔壁を備え、
    前記海水案内管は、左右舷側のいずれかの前記側壁と前記ロンジバルクヘッド隔壁との間に区画される浸水抑制水密区画に備えられ、前記海水導入口が前記浸水抑制水密区画にあることを特徴とする請求項1に記載の船舶。
  3. 前記開閉バルブは、前記海水導入口を開くように遠隔操作された場合、海水案内管を通じて、前記空間の水を前記ボイドスペースまたは前記バラストタンクに流入できることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の船舶。
  4. 前記開閉バルブは、前記空間にある水の圧力により前記海水案内管を通じて、前記空間の水を前記ボイドスペースまたは前記バラストタンクに流入できる逆止弁であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の船舶。
  5. 前記海水案内管は、前記乾舷甲板を貫通し、前記乾舷甲板の上方に第2の海水導入口を備えていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の船舶。
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