JP2016041557A - 船舶 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】船舶1は、左右舷側の側壁3A,3B、船底4、および船底4の上方に設けられた乾舷甲板5を有した船体2と、船体2内において乾舷甲板5の下方に設けられ、内部空間Siを形成する空間形成部6と、下側の開口部10aが内部空間Siに配置されるとともに、上側の開口部10bが乾舷甲板5よりもさらに上方の外部空間Soに配置され、内部空間Siと外部空間Soとを連通する連通管10と、連通管10内に設けられて、内部空間Siと外部空間Soとを連通可能及び連通不能に切り替える切替部20と、を備える。
【選択図】図2
Description
特許文献1に開示された船舶は、船体の側壁に損傷を受けた場合に、乾舷甲板の上面に浸水した水を二重底下部の空間であるボイドスペースへ流入させる海水案内管を備えている。この船舶は、船体の二重底上甲板からその上方の乾舷甲板までの間に、浸水抑制水密区画を備えている。海水案内管は、海水導入口が乾舷甲板の上面よりも上に配置され、浸水抑制水密区画を貫通するとともに、ボイドスペースに連通している。
このような構成によれば、側壁が損傷を受け、浸水抑制水密区画が浸水しても、乾舷甲板上に浸水した水は、海水案内管を通じてボイドスペースに流れる。ボイドスペースに流入した水は、船舶の重心を下げて、船舶の復原性を高める。
船舶には、上記の海水導入口とは別に、船体内に設けられた燃料タンク、バラストタンク、清水タンク、パイプダクト、汚物処理スペース、フィンスタビライザスペース、機器室、および、空所等の内部空間と、この内部空間の外部とを連通し、内部空間内の空気を外部に排出する空気抜き管が設けられている。
このような構成を備えた船舶においては、船体が傾いて、乾舷甲板上に浸水した海水が空気抜き管の上端の開口部に到達すると、複数の空気抜き管を通して海水が一気に複数の内部空間に流れ込む。
また、船体が損傷した際に空気抜き管が損傷すると、空気抜き管の破損部から海水が内部空間に流れ込む。このような状態では、船体は残在復原力を確保しにくくなる可能性がある。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、船舶の復原性を有効に確保することができる船舶を提供することを目的とする。
このように構成することで、船舶が傾いた場合に、空間形成部の内部空間内の空気を外部空間に排出する空気抜き管や、外部空間と内部空間との間で空気を循環させる循環配管を介して船体内の内部空間に水が浸入することを抑制できる。その結果、船舶が傾くことを有効に抑制できる。
このように構成することで、切替部を手動で操作しなくても、コントローラでアクチュエータを動作させることによって切替部を遠隔操作により開閉させたり、自動で開閉させたりすることができる。手動で開閉する場合、切替部がある場所まで作業者が移動する必要があるが、切替部を遠隔操作や自動で行うことによって、切替部までの作業者の移動時間を省き、切替部を迅速に開閉することができる。
このように構成することで、センサの検出結果に基づいて、切替部を自動的に閉塞し、船舶の傾きを有効に抑えることができる。
(第一実施形態)
図1は、この実施形態の船舶の概略構成を示す図であって、船首尾方向に直交する断面図である。図2は、上記船舶が傾いた状態における図1に相当する断面図である。
図1に示すように、この実施形態の船舶1は、船体2と、空間形成部6と、空気抜き管(連通管)10と、を備えている。船舶1の船種は特定のものに限られず、例えばフェリー、RORO船(Roll−on/Roll−off船)、PCTC(Pure Car & Truck Carrier)等、種々の船種を採用できる。
この実施形態における開閉蓋20は、手動による開閉操作が可能となっている。
図1に示すように、船舶1が損傷を受けていない通常航行時においては、乾舷甲板5よりも上方に開口する空気抜き管10の上側の開口端部10bから海水(液体)が導入されることはない。この場合、空気抜き管10は、必要に応じて空気が流れる配管として機能する。
このように、開口端部10bが水没した場合、および、開口端部10bが水没しそうな場合、空気抜き管10の下側の開口端部10aに設けられた開閉蓋20を、乗員によって閉塞する。これにより、空気抜き管10を通じて、空間形成部6Aの内部空間Siに水が流入することが規制される。
さらに、開閉蓋20を設けることで、空気抜き管10への浸水防止のために上側の開口端部10bを乾舷甲板5に対して上方に大きく離して設置する必要がない。つまり、開閉蓋20を備えた空気抜き管10の上側の開口端部10bを、乾舷甲板5に近づけることができる。これにより、船舶1の重心を低くすることができる。これによっても、船舶1の復原性を高め、損傷時における船舶1の安全レベルを向上させることができる。
次に、この発明にかかる船舶の第二実施形態について説明する。以下に説明する第二実施形態においては、第一実施形態と基本的な構成は共通であるので、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
図3は、上記船舶の第二実施形態における船舶の図1に相当する断面図である。
断面図である。
図3に示すように、この実施形態における船舶は、開閉蓋20を自動開閉する構成となっている。このため、船舶1は、上記第一実施形態と同様の構成に加え、アクチュエータ21と、コントローラ22と、を備えている。
コントローラ22は、船舶1の例えば操舵室等に設けられている。コントローラ22において、操縦者がスイッチを操作する等、所定の操作を行うことで、アクチュエータ21を作動させ、開閉蓋20を開閉動作させる。
次に、この発明にかかる第三実施形態について説明する。以下に説明する第三実施形態においては、第一および第二実施形態と基本的な構成が共通であるので、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
断面図である。
図4に示すように、この実施形態の船舶1は、開閉蓋20を、船舶1の傾きなどに応じて自動的に開閉する構成となっている。このため、船舶1は、上記第二実施形態で示した構成に加え、センサ25と、コントローラ26と、を備える。
閾値記憶部26bは、予め設定された上記検出値の閾値を記憶する。
判断部26cは、センサ25から出力される検出値と、閾値記憶部26bに記憶された閾値とを比較する。判断部26cは、比較の結果、検出値が閾値を超えた場合、開閉蓋20を閉塞させることを決定し、指令部26dに所定の信号を出力する。
指令部26dは、判断部26cから所定の信号が入力された場合、アクチュエータ21に作動指令を出力してアクチュエータ21を作動させ、開閉蓋20を閉じる。
ここで、開閉蓋20を閉塞する閾値と、開閉蓋20を開放する閾値とは、互いに異なる値に設定してもよい。
上記第一から第三実施形態では、開閉蓋20を空気抜き管10の下側の開口端部10aに設けたが、これに限らない。以下に、その変形例を示す。
(第一変形例)
図5は、上記第一から第三実施形態の第一変形例における船舶の図1に相当する断面図である。
図5に示すように、開閉蓋20は、空気抜き管10の上側の開口端部10bに設けても良い。
図6は、上記第一から第三実施形態の第二変形例における船舶の図1に相当する断面図である。
この図6に示すように、開閉蓋20に代えて、開閉バルブ40を空気抜き管10の下側の開口端部10aに設けてもよい。
また、開閉バルブ40を設けることによって、開閉蓋20のように単に開放状態と閉塞状態とを切り替えるのみならず、開閉バルブ40においては、その開度調整を行うことも可能である。
図7は、上記第一から第三実施形態の第三変形例における船舶の図1に相当する断面図である。
この図7に示すように、開閉バルブ40は、空気抜き管10の上側の開口端部10bに設けてもよい。
このような構成においても、上記第二変形例と同様の作用効果を得ることができる。
図8は、上記第一から第三実施形態の第四変形例における船舶の図1に相当する断面図である。
この図8に示すように、開閉バルブ40は、空気抜き管10の中間部であって、水密区画9A内に配置するようにしてもよい。
図9は、上記第一から第三実施形態の第五変形例における船舶の図1に相当する断面図である。
この図9に示すように、空気抜き管10の下側の開口端部10aは、左舷側の空間形成部6Aではなく、船体2の幅方向中間部の空間形成部6Cに連通するよう設けてもよい。
図10は、上記第一から第三実施形態の第六変形例における船舶の図1に相当する断面図である。
この図10に示すように、空気抜き管10の下側の開口端部10aは、左舷側の空間形成部6Aではなく、船体2の二重底上甲板7と、隔壁8A,8Bとに囲まれた空間内に設けられた、タンク(空間形成部)50の内部空間Si内に連通するよう設けてもよい。
この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
例えば、上記第一から第六変形例において、図3に示したように、開閉蓋20や開閉バルブ40を、アクチュエータ21およびコントローラ22によって開閉駆動してもよい。また、図4に示すように、開閉蓋20や開閉バルブ40を、アクチュエータ21、センサ25、コントローラ26によって、センサ25の検出結果に基づいて開閉制御してもよい。
2 船体
3A,3B 側壁
4 船底
4f 上面
5 乾舷甲板
6、6A、6B、6C 空間形成部
6V,6W 仕切壁
7 二重底上甲板
8A,8B 隔壁
9A,9B 水密区画
10 空気抜き管(連通管)
10a 開口端部(開口部)
10b 開口端部(開口部)
20 開閉蓋(切替部)
21 アクチュエータ
22 コントローラ
25 センサ
26 コントローラ
26a 検出値記憶部
26b 閾値記憶部
26c 判断部
26d 指令部
40 開閉バルブ
50 タンク(空間形成部)
Si 内部空間
So 外部空間
Wf 水面(吃水線)
Claims (4)
- 左右舷側の側壁、船底、および前記船底の上方に設けられた乾舷甲板を有した船体と、
前記船体内において前記乾舷甲板の下方に設けられ、内部空間を形成する空間形成部と、
下側の開口部が前記内部空間に配置されるとともに、上側の開口部が前記乾舷甲板よりもさらに上方の外部空間に配置され、前記内部空間と前記外部空間とを連通する連通管と、
前記連通管に設けられて前記内部空間と前記外部空間とを連通させる開放状態と、前記内部空間と前記外部空間とを連通不能とする閉塞状態との間で切り替え可能な切替部と、を備える船舶。 - 前記連通管は、
前記内部空間内の空気を前記外部空間に排出する空気抜き管、および、前記外部空間と前記内部空間との間で空気を循環させる循環配管の少なくとも一方である請求項1に記載の船舶。 - 前記切替部を開閉駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータを動作させるコントローラと、
をさらに備える請求項1または2に記載の船舶。 - 前記船体の傾きまたは前記乾舷甲板上への浸水を検出するセンサを備え、
前記コントローラは、前記船体の傾きまたは前記乾舷甲板上への浸水が予め定めた閾値を超えたときに、前記アクチュエータを動作させて前記切替部を閉じる請求項3に記載の船舶。
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