JP2014008585A - 多孔プレート製造工具、多孔プレートの製造方法および多孔プレート - Google Patents

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Abstract

【課題】効率良く微細な貫通孔を有する多孔プレートを製造するために使用されることができる多孔プレート製造工具、かかる多孔プレート製造工具を使用した多孔プレートの製造方法および多孔プレートを提供する。
【解決手段】板状のプレートFに複数の貫通孔3を形成するために使用される多孔プレート製造工具10であって、一端面に格子状に溝11gが形成され、溝11gの内面によって表面が形成された複数の断面矩形の突起12を有するブロック11であり、溝11gは、ブロック11の一面において、隣接する突起12間の距離が1〜100μmとなるように形成されている。ブロック11の一面には複数の突起12が形成されているので、ブロック11の突起12を一回板状のプレートFに突き刺せば一度に複数の貫通孔3を形成することができる。したがって、複数の貫通孔3を有する多孔プレート1を製造する生産効率を向上させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、多孔プレート製造工具、多孔プレートの製造方法および多孔プレートに関する。
非常に微細な貫通孔(例えば、直径50μm以下)が形成されたマイクロプレートは、工業分野や医療分野において非常に利用価値があり、かかるプレートの開発が望まれている。
例えば、医科における再生医療材料や医療機器(例えば、機能的透過膜や人工臓器の細胞を保持する枠等)や、半導体製造装置(流量コントローラー)、メンブレンリアクター(膜利用反応プロセス)、精密濾過膜、電気分解(電解反応電極)、バイオ(細胞分離)、食品(酵母濾過)、医療(除菌濾過)等において流体を通過させる部材として使用することができる。
一方、直径50μm以下の微細な貫通孔を加工することは難しい。とくに、厚さが薄い金属プレート(例えば厚さが1mm以下の金属プレート)にかかる孔を形成する場合には、加工の際にプレートが変形する可能性があり、その加工が非常に難しい。
かかる薄い金属プレートに微細な貫通孔を加工して多孔プレートを製造する技術が、特許文献1、2に開示されている。
特許文献1には、複数の凹部を設け、凹部に50μm以下の貫通孔を複数設け、その貫通孔の厚さを、貫通孔の径の倍以上、15倍以下とした金属プレートが開示されている。そして、特許文献1には、「貫通孔3の形成は、レーザー加工や切削、プレス法を用いて行なうことができる。特に、この中でも生産性や耐久性の観点から、レーザー加工(例えば、炭酸ガスレーザー)を使用することが好ましい」(明細書段落0025)、との記載がある。
しかし、金属プレートに対してレーザー等による熱切削や熱穿孔を行った場合、素材に熱変性が生じる可能性がある。例えば、医療用の金属プレートには、純チタニウムやチタニウム合金等が使用されるが、素材に熱変性が生じることで、本来チタニウムが有する良好な生体親和性が損なわれ、物性も劣化する恐れがある。例えば、純チタニウムは熱加工によって周囲雰囲気に含まれる酸素や他の元素と容易に結合し変性してしまうという問題がある。かかる問題は、他の金属性の材料をレーザー等による加工を行った場合でも生じる可能性がある。
一方、特許文献2では、パンチとダイスを使用して、金属プレートに孔を形成する技術が開示されている。この方法の場合、レーザー等による加工に比べて、加工の際に発生する熱が少ないので、素材の熱変性が生じず、素材の性質をある程度維持することができる。
特開2012−108208号公報 特開2011−142831号公報
上述したように、特許文献2の技術を用いた場合、素材の熱変性を生じさせることなく、金属プレートに貫通孔を形成することができる一方、貫通孔を一つずつ形成しなければならない。
上述したようなマイクロプレートでは、1cmあたり数千〜数万個の孔を形成する必要がある。このため、特許文献2の技術によってマイクロプレートを製造した場合、1枚のマイクロプレートを製造するために非常に長時間を要することとなり、生産効率が低下する。
本発明は上記事情に鑑み、効率良く微細な貫通孔を有する多孔プレートを製造するために使用されることができる多孔プレート製造工具、かかる多孔プレート製造工具を使用した多孔プレートの製造方法および多孔プレートを提供することを目的とする。
(多孔プレート製造工具)
第1発明の多孔プレート製造工具は、板状のプレートに複数の貫通孔を形成するために使用される多孔プレート製造工具であって、一面に溝が格子状形成され、該溝の内面によって表面が形成された複数の断面矩形の突起を有するブロックであり、該溝は、該ブロックの一面において、隣接する前記突起間の距離が1〜100μmとなるように形成されていることを特徴とする。
第2発明の多孔プレート製造工具は、第1発明において、前記溝は、ブロックの一面から該溝の底に向かって幅が狭くなるように形成されていることを特徴とする。
第3発明の多孔プレート製造工具は、第1または第2発明において、前記溝は、前記ブロックの一面において、幅が1〜60μmであることを特徴とする。
第4発明の多孔プレート製造工具は、第1、第2または第3発明において、前記溝が、先端が略V字状に形成された工具を、前記ブロックの一面に沿って移動させて形成されたものであることを特徴とする。
(多孔プレートの製造方法)
第5発明の多孔プレートの製造方法は、第1、第2、第3または第4発明の多孔プレート製造工具を使用して板状のプレートに複数の貫通孔を形成する多孔プレートの製造方法であって、多孔プレート製造工具の突起を突き刺しうる硬さを有する表面が平坦面に形成された支持部材の表面に、板状のプレートを載せて、前記多孔プレート製造工具の突起に前記プレートを貫通させることを特徴とする。
第6発明の多孔プレートの製造方法は、第4発明において、前記プレートと該多孔プレート製造工具の溝の底との間の隙間を維持しうる位置まで、前記多孔プレート製造工具の突起に前記プレートを貫通させることを特徴とする。
(多孔プレート)
第7発明の多孔プレートは、板状のプレートに複数の貫通孔が形成されたプレートであって、前記複数の貫通孔は、一辺が1〜60μmの断面矩形の孔であることを特徴とする。
第8発明の多孔プレートは、第7発明において、前記複数の貫通孔が、1〜100μm間隔で形成されていることを特徴とする。
第9発明の多孔プレートは、第7または第8発明において、前記プレートの板厚が、1〜100μmであることを特徴とする。
第10発明の多孔プレートは、第7、第8または第9発明において、前記貫通孔は、その一端から他端に向かって断面積が小さくなるように形成されていることを特徴とする。
第11発明の多孔プレートは、第7、第8、第9または第10発明において、第5または第6発明の多孔プレートの製造方法によって製造されたものであることを特徴とする。
(多孔プレート製造工具)
第1発明によれば、ブロックの一面に、格子状に形成された溝の内面を側面とする略矩形の突起が形成される。しかも、溝は、隣接する突起間の距離が1〜100μmとなるように形成されているので、ブロックの一面において、突起の断面における一辺の長さを1〜60μm程度とすることができる。このため、ブロックの突起を板状のプレートに突き刺せば、突起の断面形状の貫通孔、つまり、一辺が1〜60μm程度の矩形の貫通孔を形成することができる。また、ブロックの一面には複数の突起が形成されているので、ブロックの突起を板状のプレートに一回だけ突き刺しても、プレートに複数の貫通孔を形成することができる。したがって、複数の貫通孔を有するプレートを製造する生産効率を向上させることができる。
第2発明によれば、各突起は、ブロックの一面に格子状に形成された溝の内面によって表面が形成されているので、ブロックの一面側に先端を有する角錐状になる。すると、突起は先端に向かってその断面が小さくなるので、ブロックの突起にプレートが刺さったままとなっても、ブロックの突起からプレートを取り外しやすい。また、一つのブロックでも、一辺の長さが異なる貫通孔や、貫通孔の間隔が異なる多孔プレートを製造することが可能となる。
第3発明によれば、溝の幅を1〜60μmとすれば、溝同士の間隔を1〜100μmとした状態において突起の断面積を適切な大きさとすることができる。
第4発明によれば、先端が略V字状に形成された工具をブロックの一面に沿って移動させて溝を形成しているので、溝の幅が1〜60μm程度、溝により形成される突起間の距離が1〜100μm、となるように、溝を形成することができる。したがって、断面の一辺の長さが1〜60μmである突起を形成することができる。しかも、ブロックの表面に沿って工具を移動させるだけであるので、複数本の溝を簡単に形成できる。したがって、複数の突起を有するブロックを簡単に製造することができる。また、各突起の形状や配列の精度を高くすることができる。
(多孔プレートの製造方法)
第5発明によれば、第1、第2、第3または第4発明の多孔プレート製造工具の突起を板状のプレートに突き刺して、板状のプレートに孔を形成しているので、多数の貫通孔を有するプレートを簡単かつ効率良く製造することができる。また、支持部材が多孔プレート製造工具の突起を突き刺しうる硬さであるから、この支持部材の表面に板状のプレートを載せた状態で多孔プレート製造工具の突起を板状のプレートに突き刺せば、多孔プレート製造工具の突起の先端は支持部材にも突き刺さる。このとき、支持部材の表面が平坦面であるから、突起がプレートに突き刺さった際、プレートの変形を防止することができる。したがって、所定の大きさを有する複数の貫通孔が精度よく並んだ多孔プレートを形成することができる。
第6発明によれば、多孔プレート製造工具の突起が板状のプレートおよび支持部材に突き刺さった状態となっても、プレートと多孔プレート製造工具の溝の底との間の隙間が維持されているので、多孔プレート製造工具の突起からプレートを取り外し易くなる。
(多孔プレート)
第7発明によれば、微細な貫通孔を有しているので、種々の用途に使用することができる。
第8発明によれば、貫通孔密度が大きいので、種々の用途に使用することができる。
第9発明によれば、プレートの強度を高くすることができる。
第10発明によれば、テーパが形成されているので、細孔表面にメッキ等でパラジュームを被覆すれば、水素の水蒸気改質に使用するリアクターとして使用した場合に、水素を高純度で分離精製することができる。
第11発明によれば、第5または第6発明の多孔プレートの製造方法によって製造されているので、貫通孔の大きさのバラツキや、配置のズレなどが少ない。したがって、種々の用途に使用したときに、多孔プレートの性能を高くすることができる。
本実施形態の多孔プレート1の概略説明図であって、(A)は多孔プレート1を表面から見た説明図であり、(B)は(A)のB−B線断面図である。 本実施形態の多孔プレート製造工具10の概略説明図であって、(A)はブロック11の一面11sから見た説明図であり、(B)はブロック11の側面から見た説明図である。 本実施形態の多孔プレート製造工具10を使用して、多孔プレート1を製造する作業の説明図である。 (A)ブロック11に溝11hを形成する工具TSの一例を示した概略説明図であり、(B)は工具TSによってブロック11に溝11hを形成する作業の概略説明図であり、(C)は先端を除去した本実施形態の多孔プレート製造工具10の概略説明図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
なお、本実施形態の多孔プレートに形成される貫通孔や、本実施形態の多孔プレート製造工具の突起などは、多孔プレートや多孔プレート製造工具の全体の大きさと比較して非常に微細である。このため、本実施形態の多孔プレートや本実施形態の多孔プレート製造工具の構造を分り易くするために、図面では、各部材間の相対的な大きさは実際の相対的な大きさとは異なるものとなっている場合がある。
(本実施形態の多孔プレート1の説明)
まず、本実施形態の多孔プレート1を説明する。
本実施形態の多孔プレート1は、板状の部材やフォイル(以下、本体2という)に多数の微細な貫通孔3が形成されたプレートである。
本発明の多孔プレート1は、種々の用途に使用することが可能なプレートである。例えば、医科における再生医療材料や医療機器(例えば、機能的透過膜や人工臓器の細胞を保持する枠等)や、半導体製造装置(流量コントローラー)、メンブレンリアクター(膜利用反応プロセス)、精密濾過膜、電気分解(電解反応電極)、バイオ(細胞分離)、食品(酵母濾過)、医療(除菌濾過)等において流体を通過させる部材として使用することができる。
とくに、本発明の多孔プレート1は、歯科における歯周再生治療を目的として、歯周病や、歯の喪失によって破壊・吸収された歯槽骨を増生・復元する外科手術に用いる組織隔壁膜、臓器由来培養細胞の格納シェルとして利用することに適している。
例えば、GTR(Gaided Tissue Regeneration:歯周組織再生療法)におけるスペースメイキングの際に、再生を目的とする組織を呼び入れるためにバリアメンブレンが使用される。このバリアメンブレンは、生体組織内に空間を囲繞して確保する際に用いられるため、多数の機能が要求される。具体的には、1)生体親和性ならびに安全性に優れていること、2)スペースを維持し続ける強度を有すること、3)誘導する組織に栄養を供給しうる半透過性(フィルター機能)を有すること、4)誘導する以外の細胞の進入が阻止できること、という機能が必要である。従来、使用されてきたGTRメンブレンは、PTFE(テフロン)製であったため、脆弱であり、単体でスペースメイキングに使用するには難点があった。しかし、本発明の多孔プレート1を、チタン等の金属によって製造して、バリアメンブレンとして使用すれば、GTRのスペースメーキングを適切に行うことができる。つまり、金属製の本発明の多孔プレート1は、上述したようなバリアメンブレンに適している。
(多孔プレート1の説明)
図1に示すように、本発明の多孔プレート1は、本体2に対して多数の貫通孔3を形成したものである。なお、図1では、ドットが描かれている領域(孔形成領域1a)に貫通孔3が形成されており、その周囲は貫通孔3が形成されていない領域1bである。
(本体の説明)
図1(B)に示すように、本体2は、板状のプレートまたはフォイルである。この本体2は、板状であればその板厚はとくに限定されない。しかし、上述したような用途で使用する場合であれば、その板厚が、1〜100μm程度に形成されていることが好ましく、1〜30μm程度に形成されていることがより好ましい。
本体2の素材もとくに限定されず、各用途に応じた最適なものを採用することができる。例えば、再生医療材料や医療機器等、生体に使用する場合であれば、純チタニウムあるいはチタニウム合金等の生体親和性を有する金属や、セラミックス、プラスチック、ポリマーとすることが好ましい。かかる素材とすると、多孔プレート1を生体内に配置しても、生体に悪影響を与えることがない。とくに、純チタニウムを用いれば、優れた生体親和性と細胞生育促進能力が期待できる。具体的には、歯科臨床における新規歯周組織再生材料としての用途はもちろん、再生医療用の材料、例えば、人工臓器の材料としても優れた機能を発揮させることができる。
(貫通孔3の説明)
また、本体2の孔形成領域1aには、複数の貫通孔3が設けられている。複数の貫通孔3は、いずれも矩形(好ましくは正方形)に形成されている。そして、複数の貫通孔3は、一の貫通孔3を所定の間隔で平行移動させたように配列されている。具体的には、図1に示すように、一の貫通孔3を上下方向および左右方向に沿って所定の間隔Pで平行移動させた状態となるように、複数の貫通孔3が配列されている。
以上のように、複数の貫通孔3の形状が矩形であれば、貫通孔3が円形である場合に比べて、微細な貫通孔3を容易に加工できる。なぜなら、多孔プレート1を製造する際に使用されるパンチ(つまり、本願請求項でいう多孔プレート製造工具)の製造が容易になるからである。もし、貫通孔3を円形とする場合には、断面円形に形成されたピンを一本ずつプレートに埋め込んでパンチを製造しなければならないが、貫通孔3の形状が矩形の場合には、後述するように、ブロック状の部材を加工するだけでパンチを製造できる。したがって、複数の貫通孔3の形状が矩形が好ましい。しかも、矩形のブロック状の部材によってパンチを形成すれば、このパンチを複数組み合わせて(ブロックの側面同士を面接触させて並べて)集合パンチを形成したときに、貫通孔3の並びを揃えやすくなる。すると、一つのパンチの大きさをそれほど大きくしなくても、広い面積に一度に多数の貫通孔3を形成することも可能となる。
なお、複数の貫通孔3は、各用途において所定の機能を発揮するように適切に形成されればよく、その大きさ(つまり貫通孔3の一辺の長さ)や、貫通孔3を設ける間隔P(つまり、貫通孔3を設ける密度)はとくに限定されない。しかし、上述したような用途で使用する場合であれば、貫通孔3の一辺の長さが約1〜60μm程度(好ましくは1〜30μmm、さらに好ましくは1〜20μm)であって、貫通孔3を設ける間隔Pが1〜100μm程度(好ましくは1〜80μm、さらに好ましくは1〜50μm)が好ましい。
かかる大きさ、密度とすれば、貫通孔3が粉末焼結多孔質体の有する空孔や流体通路と同等の径を有するものとなり、しかも、貫通孔密度が粉末焼結多孔質体における空孔等と同程度の密度となる。よって、粉末焼結多孔質体と同等の機能を有しつつ、粉末焼結多孔質体に比べて、流体が通過するときに発生する圧力損失を低減することができる。
また、図面では、貫通孔3が正方形の場合を例示しているが、貫通孔3は正方形でなくてもよいのはいうまでもなく、長方形でもよいし、各角が90°でなくてもよい。つまり、貫通孔3は、ほぼ矩形であればよい。
とくに、再生医療材料や医療機器に使用するのであれば、貫通孔3の一辺の長さは約1〜20μm程度(好ましくは1〜10μmm)であることが好ましい。
貫通孔3の一辺の長さを上述したような大きさとすると、貫通孔3をヒトの細胞が通過することを防ぎつつ、細胞増殖および分化を制御するサイトカイン等生理活性物質、栄養およびガス成分を通過させることができる。このため、多孔プレート1によって、生体内に空間を形成しかつその空間内に特定の細胞が侵入することを防ぎつつ、空間内に栄養分などを供給することが可能となる。
そして、純チタニウムあるいはチタニウム合金等、生体親和性を有する金属を用いて貫通孔3の一辺の長さが上記のごとき長さである多孔プレート1を形成した場合には、従来のバリアメンブレン、例えば、歯周組織再生用バリアメンブレンに比べて大幅に薄く(約50μm)、かつ同等の機能・強度・抗菌性を有する歯周組織再生バリアメンブレンとすることができる。
さらに、図1(B)に示すように、貫通孔3は、一端から他端に向かって断面積が小さくなるように形成されていてもよい。つまり、貫通孔3の内面がテーパ面となっていてもよい。この場合には、細孔表面にメッキ等でパラジュームを被覆すれば、水素の水蒸気改質に使用するリアクターとして使用した場合に、水素を高純度で分離精製することができるという利点が得られる。
(機能的透過膜)
上述したような本発明の多孔プレート1は多数の貫通孔3を有しているので、本体2を金属で形成しかつこの貫通孔3に生理活性物質や薬品を含有させれば、多孔プレート1を機能的透過膜とすることができる。
つまり、多孔プレート1の貫通孔3に、組織成長因子やサイトカイン等生理活性物質の他、抗生物質や抗癌剤等各種薬品を含有させた状態で、多孔プレート1を生体内に配置し、多孔プレート1の本体に荷電すれば、電気泳動によって貫通孔内の生理活性物質や薬品を生体内に放出させることも可能となる。
(人工臓器)
また、本発明の多孔プレート1を人工臓器の基礎として使用することも可能である。
例えば、本発明の多孔プレート1をその内部に中空な部分ができるような形状(たとえば筒状など)とし、その中に人工的に培養された臓器細胞群を収容して人工臓器を形成したり、複数の多孔プレート1によって臓器細胞群を囲んだり挟んだりして人工臓器を形成することができる。つまり、本発明の多孔プレート1によって外枠を形成し、人工的に培養された臓器細胞群をその中に収容して人工臓器を形成することもできる。
すると、上記のごとき人工臓器を生体内に配置し、臓器細胞群を血管系と接続すれば、外枠内に封止された細胞群の生活を維持するとともに、血液中に細胞群に由来する生理活性物質を放出あるいは血液中の老廃物を除去ないしは浄化することが可能となる。
すなわち、細胞は多孔プレート1を超えて移動することはできないので、多孔プレート1内に培養各種臓器あるいは組織由来細胞を封入できる。そして、封入されている培養各種臓器あるいは組織由来細胞を血管循環系に隣接させることで、封入された細胞は生体内部において血液循環系と機能的に連携することが可能となる。すると、多孔プレート1を介して隣在する細胞・血液あるいは組織に対して栄養のほか、ホルモン、サイトカインをはじめとする生体情報伝達物質およびメディエーターを送達・受諾あるいは交換することができる。また酸素・二酸化炭素ガスの交換が可能となるので、多孔プレート1内に封入されている培養各種臓器あるいは組織由来細胞を、いわゆる人工臓器あるいは組織として機能させることができる。例えば、多孔プレート1の有する細胞隔離機能は、格納される細胞が血管循環系に移動・流出して体内の他の組織に移動する事を厳密に防止できることから、多数の臓器細胞への分化誘導が可能でありながら、それ自身が腫瘍化のリスクが高いため、これまではヒト体内における直接的な利用が困難であったiPS細胞(人工多能性幹細胞: Induced
pluripotent stem cells)を元にした、安全な体内型人工臓器を創生することができる。すなわちiPS細胞から誘導された臓器細胞を、多孔プレート1によって1重あるいは多重に封止された格納容器内部に封入した上で、上記の方法により体内循環系と接続すれば、万一iPS細胞由来の臓器に腫瘍が発生しても、それが血管に流出するおそれがないため、生体への安全は確保される。
なお、多孔プレート1内に培養各種臓器あるいは組織由来細胞を封入せず、多孔プレート1内に中空な空間を形成した状態で生体内に配置すれば、その空間に新たな臓器や組織を人工的に生成させることが可能である。
(多孔プレート1の製造方法)
上述したような本実施形態の多孔プレート1を加工する方法はとくに限定されないが、所定の厚さを有する板状の部材やフォイル(薄膜)に対して、後述するような多孔プレート製造工具10を使用して貫通孔を形成すれば、本実施形態の多孔プレート1を効率良く製造することができる。
(多孔プレート製造工具10の簡単な説明)
まず、多孔プレート1の製造方法を説明する前に、多孔プレート1の製造方法に使用される多孔プレート製造工具10を簡単に説明する。
図2に示すように、多孔プレート製造工具10は、ブロック11の一面に、格子状に溝11gが形成されたものである。具体的には、縦方向(図1では上下方向)に沿って延びた溝11gと、横方向(図1では左右方向)に沿って延びた溝11gとが、互いに直交するように、複数の溝11gが形成されているのである。
縦方向に沿って延びた溝11gは複数本形成されているが、この複数本の溝11gは、互いに平行となるように形成されている。同様に、横方向に沿って延びた溝11gも複数本形成されているが、この複数本の溝11gも、互いに平行となるように形成されている。
そして、上記のごとく溝11gが格子状に形成されているので、ブロック11の一端部には、溝11gによって囲まれた複数の突起12が形成されている。言い換えれば、ブロック11の一端部には、溝11gの内面を側面とする複数の突起12が縦横に並ぶように形成されているのである。なお、各突起12は、格子状に形成された溝11gの内面が側面となっているので、その断面は矩形になっている。
かかる多孔プレート製造工具10を用いて、後述する方法により上述した多孔プレート1を製造する場合には、多孔プレート製造工具10の溝11gは、以下のような寸法や配置とすればよい。
まず、複数の溝11gは、互いに平行かつ隣接する溝11g同士の間隔P1(溝11gを設けるピッチ)が1〜100μmとなるように形成する。言い換えれば、溝11gによって形成される突起12のピッチが1〜100μmとなるように、複数の溝11gを形成する。すると、一辺の長さが約1〜60μm程度(具体的には、一辺の長さが約55μm程度)の貫通孔3を形成することも可能である。とくに、溝11g同士の間隔P1を、1〜20μmとすれば、一辺の長さが約1〜10μm程度の貫通孔3(具体的には、一辺の長さが約1μm程度や約10μm程度)の貫通孔3でも形成することができる。すると、多孔プレート1を再生医療材料や医療機器に使用できるものとすることができる。
なお、ブロック11の一面における溝11gの幅W1はとくに限定されないが、溝11gの幅W1を1〜60μmとすれば、溝11g同士の間隔P1を1〜100μmとした状態において突起12の断面積を適切な大きさとすることができる。そして、溝11gの幅W1を変更すれば、製造する多孔プレート1の構造を種々変更できるので、様々な用途に適した多孔プレート1を製造することができるし、また、ブロック11を多孔プレート1の製造以外の用途にも使用できるものとすることもできる。
なお、溝11gは、その先端(ブロック11の一端面)から底まで同じ幅となるように形成されていてもよいが、その先端から底に向かって幅が狭くなるように形成されていることが好ましい。この場合、突起は先端に向かってその断面が小さくなるので、ブロックの突起にプレートが刺さったままとなっても、ブロックの突起からプレートを取り外しやすい。また、後述するように、一つのブロック11でも、一辺の長さが異なる貫通孔3や貫通孔3間の間隔Wが異なる多孔プレート1を製造することが可能となる。その理由の詳細は後述する。
以下では、多孔プレート製造工具10のブロック11の一面、つまり、複数の突起12の先端によって形成されている面を、ブロック11の突起面11sという。また、ブロック11において、複数の突起12が形成されている部分をブロック11の突起部11aといい、複数の突起12が形成されていない部分をブロック11のベース部11bという(図2(B)参照)。
(多孔プレート1の製造方法の説明)
以上のような多孔プレート製造工具10を使用して、本実施形態の多孔プレート1を製造する方法を、図3に基づいて説明する。
なお、図3では、加工工程を分り易くするために、多孔プレート製造工具10とプレートF、支持部材Sのみを図示して説明している。また、突起の長さやプレートFの厚さは実際よりも厚く記載している。つまり、図3における各部材の相対的な縮尺は、実際の各部材の相対的な縮尺とは異なる。
また、以下では多孔プレート製造工具10をサーボプレスに取り付けて板状のプレートFを加工する場合を説明するが、公知のマシニングセンタやNCフライス盤等を使用してもよいのは言うまでもない。
まず、サーボプレスの金型ホルダに多孔プレート製造工具10を取り付ける。このとき、多孔プレート製造工具10のブロック11の突起面11sがサーボプレスのテーブルを向いた状態となるようにパンチホルダに取り付ける。なお、パンチホルダは、ブロック11のベース部11bを保持する。
ついで、サーボプレスのテーブル上に支持部材Sを配置する。つまり、通常のサーボプレスで使用されるダイに代えて、支持部材Sが配置される。
この支持部材Sは、多孔プレート製造工具10よりも柔らかい素材によって形成された板状の部材であり、その表面(図3では上面および下面)が平坦面かつ互いに平行となるように形成されたものである。
そして、支持部材Sは、パンチホルダに取り付けられている多孔プレート製造工具10の鉛直下方に位置するように配置され、テーブルに固定される。つまり、支持部材Sは、多孔プレート製造工具10の移動経路上に位置するように、テーブルに固定されるのである。
ついで、支持部材Sの表面(図3(A)では上面)に、本実施形態の多孔プレート1の素材となる板状のプレートFを載せる。
このとき、プレートFと支持部材Sとが面接触するように載せておくことが好ましい。これは、両者を面接触させておくと、後述するように多孔プレート製造工具10の突起12をプレートFに突き刺したときに、プレートFが変形することを抑制することができるからである。
支持部材Sの表面に板状のプレートFを配置すると、サーボプレスを作動させる。すると、多孔プレート製造工具10が下降し、多孔プレート製造工具10が支持部材S上のプレートFに向かって移動する。
やがて、多孔プレート製造工具10のブロック11の突起面11sがプレートFの表面に接触するが、多孔プレート製造工具10はその状態からさらに下降する。すると、多孔プレート製造工具10の複数の突起12がプレートFを貫通し、複数の突起12は支持部材Sに突き刺さる。そして、プレートFには、多孔プレート製造工具10の複数の突起12によって、複数の貫通孔3が形成される。
複数の突起12は支持部材Sに突き刺さった状態となると、多孔プレート製造工具10の下降が停止し、多孔プレート製造工具10が上昇する。
プレートFの貫通孔3には、多孔プレート製造工具10の複数の突起12が突き刺さったときにバリ3b(図1(B)参照)が形成されており、このバリ3bの影響で、プレートFは多孔プレート製造工具10とともに上昇する。つまり、突起12にプレートFが突き刺さった状態のまま、多孔プレート製造工具10が上昇する。
最後に、多孔プレート製造工具10からプレートFを取り外すと、複数の突起12の断面形状と相似形の貫通孔3を有する多孔プレート1となる。つまり、複数の矩形の貫通孔3が所定の間隔で縦横に並んだ多孔プレート1が製造されるのである。
以上のように、本実施形態の多孔プレートの製造方法では、多孔プレート製造工具10の突起12を板状のプレートFに突き刺して、板状のプレートFに貫通孔3を形成しているので、多数の貫通孔3を有する多孔プレート1を簡単かつ効率良く製造することができる。
とくに、多孔プレート製造工具10のブロック11の断面が矩形とすれば、複数のブロック11を組み合わせて(ブロック11の側面同士を面接触させて並べて)集合パンチを形成することも可能である。すると、一つの多孔プレート製造工具10のブロック11の大きさをそれほど大きくしなくても、広い面積に一度に多数の貫通孔3を形成することも可能となり、大型の多孔プレート1でも製造することが可能となる。
また、支持部材Sが多孔プレート製造工具10の突起12が突き刺さる硬さであるから、この支持部材Sの表面にプレートFを載せた状態のまま、多孔プレート製造工具10の突起12をプレートFに突き刺すことができる。
このとき、支持部材Sの表面が平坦面であり、突起12がプレートに突き刺さったときに、プレートFを支持部材Sの表面で支持しておくことができる。このため、プレートFに多孔プレート製造工具10の突起12が当たって、プレートFを突起12が貫通するときに、プレートFが下方に折れ曲がったりするなどの変形を防止することができる。
したがって、所定の大きさを有する複数の貫通孔3が精度よく並んだ多孔プレート1を形成することができる。つまり、多孔プレート製造工具10の複数の突起12と相似形の貫通孔3が、複数の突起12と同等の精度で配列した多孔プレート1を製造することができるのである。
なお、多孔プレート製造工具10の突起12をプレートFに突き刺す深さ、言い換えれば、突起12先端が支持部材Sに侵入する深さ(侵入深さ)はとくに限定されない。例えば、突起12の側面がテーパ面となっているような場合であれば、侵入深さによって、貫通孔3の大きさや貫通孔3間の距離を変化させることができる。なぜなら、突起12の側面がテーパ上となっていれば、つまり、突起12が角錐状となっていれば、その先端からの距離によって、その断面の一辺の長さや隣接する突起12との距離が変化するからである。したがって、突起12の側面がテーパ上となっている場合には、多孔プレート1に形成する貫通孔3の大きさ等に応じて、適切な侵入深さとすればよい。
また、侵入深さは、多孔プレート製造工具10の突起12がプレートFおよび支持部材Sに突き刺さった状態において、プレートFと多孔プレート製造工具10の溝11gの底との間に隙間が維持できる深さとすることが好ましい。
この場合、多孔プレート製造工具10の突起12がプレートFに突き刺さった状態となっても(図3(C)参照)、プレートFを多孔プレート製造工具10の突起12から取り外し易くなる。すると、多孔プレート製造工具10の突起12からプレートFを取り外す際に、プレートFの変形等を抑制することができるので、プレートFの歩留まりを向上させることができる。
(支持部材Sの説明)
上述したように、多孔プレートの製造方法で使用される支持部材Sは、多孔プレート製造工具10よりも柔らかい素材によって形成された板状の部材である。ここでいう多孔プレート製造工具10よりも柔らかい素材とは、多孔プレート製造工具10のブロック11の突起面11sを支持部材Sの表面に押し当てたときに、突起12が、折れたり曲がったりすることなく支持部材Sに突き刺さる素材を意味している。
また、支持部材Sは、柔らかすぎる素材は好ましくない。なぜなら、多孔プレート製造工具10の突起12をプレートFに突き刺したときに、プレートFが変形してしまう可能性があるからである。したがって、支持部材Sは、剛性の高いブロックにおける突起等を有しない面を支持部材Sの表面に押し当てて加圧しても、圧縮されたり凹んだりしない程度の剛性を有するものが好ましい。
例えば、多孔プレート製造工具10のブロック11が金属製の場合などには、支持部材Sとして、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂製の板材等を使用することができるが、上記のごとき性質を有する素材によって形成された材料であれば、とくに限定されない。
なお、支持部材Sとして、板状の部材を使用する場合を説明したが、支持部材Sは必ずしも板状の部材に限られない。支持部材Sは、その表面にプレートFを安定した状態(好ましくは面接触した状態)で載せることができ、テーブル上に安定した状態(好ましくは面接触した状態)で配置できる形状を有していればよい。例えば、支持部材Sの形状は、板材よりも分厚いブロック状や、その上面に平面となった領域を有する鞍形状などでもよい。
(多孔プレート製造工具10について)
なお、ブロック11の素材はとくに限定されず、例えばハイス鋼や超硬合金を使用することができるが、ブロック11の突起12を上述した多孔プレート1の材料となる板状のプレートに挿通させることができ、かつ、挿通する際に突起12が変形しない程度の強度を有する素材によって形成されていればよい。つまり、多孔プレート1の材料や板厚、ブロック11に形成する突起12の太さ等に応じて適切な材料を使用すればよい。例えば、板状のプレートがチタン製の厚さ20μmの場合であって、ブロック11の一端面における突起の一辺の長さが20μm程度であれば、ブロック11の素材として、ハイス鋼や超硬合金などを使用することができる。
(多孔プレート製造工具10の製造方法の説明)
多孔プレート製造工具10は、上述したようか構造に形成できるのであれば、その製造方法はとくに限定されない。例えば、精密平面研削盤やスライサーマシンなどの方法によって形成することも可能である。
しかし、以下のような方法で製造すれば、複数の突起12を有するブロック11を簡単に製造することができる。
図4(A)は、円板状の砥石TSを示している。この砥石TSは、その中央部に貫通孔Thが形成されており、この貫通孔Thを、グラインダやマシニングセンタ、NCフライス盤等の主軸に取り付けて使用するものである。
この砥石TSは、貫通孔Thの周囲に砥石TSを工具の主軸に取り付けるための取付面SSを有している。なお、取付面SSは表裏の面が互いに平行に設けられている。
この砥石TSには、取付面SSから砥石TSの外端縁に向かって傾斜した加工面KSが形成されている。具体的には、表裏の加工面KSは、取付面SSから砥石TSの外端縁に向うに従って互いに接近するように傾斜している。つまり、砥石TSは、その外端縁近傍では、その断面が略V字状となるように形成されているのである。
なお、この砥石TSの外端縁が特許請求の範囲にいう先端に相当する。
この砥石TSを使用して多孔プレート製造工具10を製造する作業を説明する。
まず、砥石TSを主軸に取り付つけ、ブロック11を平面研削盤等のテーブルに固定する。
この状態で、砥石TSが取り付けられた主軸の回転軸がブロック11において溝11gを形成する端面と互いに平行となるように、砥石TSを回転させながら、砥石TSをブロック11に接近させる。
そして、所定の切り込み(つまり、溝11gの深さ)となるように、砥石TSをブロック11の一端面に接触させて、ブロック11の一端面に沿って、砥石TSを移動させる。すると、砥石TSによってブロック11が研削され、溝11g(便宜上、縦溝11gという)が形成される。
ついで、溝11gと直交する方向(つまり砥石TSが取り付けられた主軸の軸方向)に所定の量だけ砥石TSを移動させて、上記と同様の方法で砥石TSによってブロック11を研削する。すると、互いに平行かつ同じ深さ(言い換えれば、同じ幅)の溝11gを形成することができる。
この動作を繰り返すと、互いに平行な複数本の溝11gを形成することができる(図4(B)参照)。
ついで、縦溝11gと直交する溝11g(便宜上、横溝11gという)を形成する。
まず、砥石TSが取り付けられた主軸の回転軸がブロック11の溝11gが形成されている端面と互いに平行かつ縦溝11gの軸方向と直交するように配置する。
そして、砥石TSを回転させながら砥石TSをブロック11に接近させて、所定の切り込みとなるように、砥石TSをブロック11の一端面に接触させて、ブロック11の一端面に沿って、砥石TSを移動させる。すると、砥石TSによってブロック11が研削され、すでに形成されている縦溝11gと直交しかつ同じ深さ(言い換えれば、同じ幅)の横溝11gが形成される。
ついで、横溝11gと直交する方向に所定の量だけ砥石TSを移動させて、上記と同様の方法で砥石TSによってブロック11を研削する。すると、互いに平行かつ同じ深さ(言い換えれば、同じ幅)の横溝11gを形成することができる。
この動作を繰り返すと、互いに平行な複数本の横溝11gを形成することができる。
そして、最終的には、同じ幅の格子状に形成された溝11gを一端面に有するブロック11、つまり、多孔プレート製造工具10を製造することができるのである。
例えば、平面研削盤を使用した場合には、砥石TSを主軸に取り付つけ、ブロック11を平面研削盤等のテーブルに固定する。
ついで、所定のピッチP(具体的には突起12の間)の送りで、砥石TSによってブロック11を加工すれば、平行な複数本の縦溝11gを形成することができる。
縦溝11gの形成が終了すると、ブロック11を90°回転させてテーブルに固定する。つまり、既に形成されている縦溝11gと砥石TSの移動方向とが直交するように(言い換えれば、縦溝11gと砥石TSの送り方向が平行となるように)ブロック11をテーブルに固定する。
そして、所定のピッチP(具体的には突起12の間)の送りで、砥石TSによってブロック11を加工すれば、互いに平行な複数本の横溝11gを形成することができる。つまり、ブロック11の一面に格子状の溝11gが形成された多孔プレート製造工具10を製造することができるのである。
なお、図4に示すように、砥石TSの傾斜した加工面KSによってブロック11に溝11gを形成した場合には、形成された突起12はその先端が尖ったものとなる場合もある。この場合、突起12の先端が尖ったまま使用することも可能であるが、その場合、先端がプレートFに貫通孔3を形成する際に損傷する可能性が高くなる。
したがって、砥石TSの切り込みを調整して、ブロック11の一端面が残る状態として、突起12の先端が平坦面となるようにすることが好ましい。
また、ブロック11の突起12の先端が尖った状態となった場合には、図4(C)に示すように、突起12の先端を除去して、突起12の先端が平坦面としてもよい。
また、砥石TSの先端部の厚さや取付面SSの位置における厚さはとくに限定されず、砥石TSの先端部において加工面KS同士がなす角度はとくに限定されないが、0〜10度程度が好ましい。
さらに、図4では、砥石TSの先端部が平坦面となっているが、この先端部は尖っていてもよい。しかし、砥石TSの損傷や摩耗などを考慮すれば、図4のごとく砥石TSの先端部が平坦面となっている方がよい。
そして、上記例では、ブロック11の一端面から底に向かって幅が狭くなるように溝11gを形成する場合に使用する砥石TSを説明したが、溝11gの幅がブロック11の一端面から底まで同じ幅のものとする場合には、砥石TSは、その先端部が平板状(つまり、加工面KSが互いに平行な状態)となるものを使用すればよい。
さらに、砥石TSの厚さはとくに限定されず、ブロック11に形成する溝11gの幅に合わせて適切な厚さとすればよい。
例えば、ブロック11の一端面における溝11gの幅W1を1〜60μmとする場合には、その先端の厚さT1を1〜60μm、その先端から1〜60μmの位置(つまり、砥石TSでブロック11に溝11gを切ったときに一端面に対応する位置)の厚さT2を1〜60μmとすればよい。つまり、T1<T2の場合には、図4に示すようなテーパ状の加工面KSを有する砥石TSとなるし、T1=T2の場合には、加工面KS同士が平行な砥石TSとなるが、T1とT2との関係は、T1がT2以下であればとくに限定されない。
本発明の多孔プレートは、GTRのスペースメイキングや、半導体製造装置(流量コントローラー)、メンブレンリアクター(膜利用反応プロセス)、精密濾過膜、電気分解(電解反応電極)、バイオ(細胞分離)、食品(酵母濾過)、医療(除菌濾過)等において流体を通過させる部材として使用することができる。
1 多孔プレート
2 本体
3 貫通孔
10 多孔プレート製造工具
11 ブロック
11g 溝
12 突起
F プレート
S 支持部材

Claims (11)

  1. 板状のプレートに複数の貫通孔を形成するために使用される多孔プレート製造工具であって、
    一面に溝が格子状に形成され、該溝の内面によって表面が形成された複数の断面矩形の突起を有するブロックであり、
    該溝は、
    該ブロックの一面において、隣接する前記突起間の距離が1〜100μmとなるように形成されている
    ことを特徴とする多孔プレート製造工具。
  2. 前記溝は、
    ブロックの一面から該溝の底に向かって幅が狭くなるように形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の多孔プレート製造工具。
  3. 前記溝は、
    前記ブロックの一面において、幅が1〜60μmである
    ことを特徴とする請求項1または2記載の多孔プレート製造工具。
  4. 前記溝が、
    先端が略V字状に形成された工具を、前記ブロックの一面に沿って移動させて形成されたものである
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の多孔プレート製造工具。
  5. 請求項1、2、3または4記載の多孔プレート製造工具を使用して板状のプレートに複数の貫通孔を形成する多孔プレートの製造方法であって、
    多孔プレート製造工具の突起を突き刺しうる硬さを有する表面が平坦面に形成された支持部材の表面に、板状のプレートを載せて、
    前記プレートに前記多孔プレート製造工具の突起を貫通させる
    ことを特徴とする多孔プレートの製造方法。
  6. 前記プレートと該多孔プレート製造工具の溝の底との間の隙間を維持しうる位置まで、前記プレートに前記多孔プレート製造工具の突起を貫通させる
    ことを特徴とする請求項5記載の多孔プレートの製造方法。
  7. 板状のプレートに複数の貫通孔が形成されたプレートであって、
    前記複数の貫通孔は、一辺が1〜60μmの断面矩形の孔である
    ことを特徴とする多孔プレート。
  8. 前記複数の貫通孔が、1〜100μm間隔で形成されている
    ことを特徴とする請求項7記載の多孔プレート。
  9. 前記プレートの板厚が、1〜100μmである
    ことを特徴とする請求項7または8記載の多孔プレート。
  10. 前記貫通孔は、
    その一端から他端に向かって断面積が小さくなるように形成されている
    ことを特徴とする請求項7、8または9記載の多孔プレート。
  11. 請求項5または6記載の多孔プレートの製造方法によって製造されたものである
    ことを特徴とする請求項7、8、9または10記載の多孔プレート。
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