JP2009090538A - プラスチック薄膜の製造方法 - Google Patents

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英彦 三島
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Abstract

【課題】貫通孔を成形すると同時に残膜を材料薄膜から分離除去することができるとともに、遊離した残膜を同時に処理できるプラスチック薄膜の製造方法を提供する。
【解決手段】厚み方向に貫通する複数の貫通孔10を備えるプラスチック薄膜の製造方法であって、材料薄膜8を、少なくとも塑性変形可能温度まで加熱する加熱工程と、上記材料薄膜を、上記貫通孔を形成する押し型4と対向基材5の間で加圧して、上記押し型を上記材料薄膜に押し入れる1次加圧工程と、上記押し型を押し込んだ材料薄膜を、少なくともガラス転移温度以下まで冷却する冷却工程と、冷却した上記材料薄膜を上記押し型と上記対向基材との間で加圧して、上記押し型の先端部と上記対向基材との間に残留する残膜を、上記材料薄膜から分離させるとともに上記対向基材に保持させる2次加圧工程とを含んで構成される。
【選択図】図4

Description

本願発明は、厚み方向に貫通する複数の貫通孔を備えるプラスチック薄膜の製造方法に関する。特に、多数の超微細貫通孔を備え、インクジェットプリンタ用ノズル、医療用ネブライザノズル等の高機能微細部品として利用できるプラスチック薄膜の製造方法及びこの製造方法によって製造された保護シート付きプラスチック薄膜に関する。
多数の微細貫通孔を備え、高機能微細部品として利用できるプラスチック薄膜を製造する方法として、レーザ加工、射出成形等が知られている。
上記レーザ加工を利用して微細な貫通孔をプラスチック薄膜に形成する場合、レーザ光の照射位置を精度高く位置決めしなければならない。このため、加工装置が高価になるとともに、レーザをプラスチック薄膜に順次照射して貫通孔を一つ一つを形成しなければならないため、多数の貫通孔を備える薄膜を製造する場合は生産性が低くなる。
一方、射出成形法では、成形樹脂材料に高い流動性が要求されるため、薄膜を構成する材料に制限がある。また、口径の小さい貫通孔を狭ピッチで形成する場合、成形樹脂材料の流動抵抗が大きくなり、成形樹脂材料を成形型内に均一に注入することが困難である。
上記問題のない製造方法として、貫通孔に対応する複数の突起を備える押し型と対向基材との間で、プラスチック材料薄膜を塑性変形可能温度以上に加熱しつつ加圧して、上記プラスチック薄膜に複数の貫通孔を一度に形成する手法が提案されている。
特開2006−142711
上記特許文献1に記載されている加工方法は、プラスチック薄膜を、押し型と対向基材との間にセットする工程と、押し型と対向基材との間でプラスチック薄膜をプラスチックの流動開始温度以上に加熱する工程と、流動開始温度以上のプラスチック薄膜を、上記押し型と対向基材との間で加圧して貫通孔を形成する工程とを備えて構成される。
上記特許文献に記載されたプラスチック薄膜の製造方法においては、大きな力でプラスチック薄膜を加圧した場合であっても、上記押し型先端部と上記対向基材との間に、500nm程度のごく薄い残膜が残留してしまう。このため、成形後に上記残膜を分離する工程や装置が必要となり、製造工程が増加するといった問題が生じる。
また、上記残膜はプラスチック薄膜に一体的に繋がっているため、精度高く除去するのは困難であり、残膜を除去する際にプラスチック薄膜を傷めてしまう恐れもある。
さらに、上記残膜をプラスチック薄膜から分離できても、遊離した残膜が上記貫通孔等につまって、上記プラスチック薄膜の機能を害する恐れがある。このため、上記残膜を除去する必要がある。
本願発明は、上記問題を解決するために案出されたものであり、貫通孔を成形すると同時に残膜を材料薄膜から分離除去することができるとともに、遊離した残膜を同時に処理できるプラスチック薄膜の製造方法を提供することを課題としている。
本願発明の請求項1に記載した発明は、厚み方向に貫通する複数の貫通孔を備えるプラスチック薄膜の製造方法であって、材料薄膜を、少なくとも塑性変形可能温度まで加熱する加熱工程と、上記材料薄膜を、上記貫通孔を形成する押し型と対向基材との間で加圧して、上記押し型を上記材料薄膜に押し入れる1次加圧工程と、上記押し型を押し込んだ材料薄膜を、少なくともガラス転移温度以下まで冷却する冷却工程と、冷却した上記材料薄膜を上記押し型と上記対向基材との間で加圧して、上記押し型の先端部と上記対向基材との間に残留する残膜を、上記材料薄膜から分離させるとともに上記対向基材に保持させる2次加圧工程とを含んで構成される。
上記押し型は、金属又はセラミックから形成することができる。また、上記押し型はビッカース硬度が400以上である材料で形成するのが好ましい。上記押し型の製造方法は特に限定されることはなく、たとえば、リソグラフィーを利用した電鋳法、ダイシング、切削加工法等により形成することができる。
上記対向基材を構成する材料も特に限定されることはなく、銅、アルミニウム、ステンレス、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素又はタングステンカーバイドより選ばれた材料、又はこれらの合金から形成することができる。また、上記加熱温度で変形しない耐熱性樹脂を採用することもできる。
上記材料薄膜は、加熱することにより塑性変形可能であれば、種々の樹脂から形成されたものを採用できる。たとえば、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド等のプラスチック製薄膜を採用することができる。また、塑性変形可能であれば、種々のポリマーアロイから形成された薄膜を採用することもできる。上記材料薄膜の厚さも特に限定されることはなく、1μm〜10mmの厚さの材料薄膜を採用することができる。より好ましくは、5μm〜200μmの材料薄膜を採用することができる。
加熱工程における加熱温度は、採用する材料薄膜によって異なるが、上記押し型を押し入れることにより塑性変形あるいは流動変形させて上記貫通孔を形成できる温度以上に設定すればよい。たとえば、熱可塑性樹脂の場合、請求項6に記載した発明のように、ガラス転移温度より20℃〜200℃高い温度を設定することができる。加熱温度をガラス転移温度より20度以上高く設定することにより、材料薄膜を容易に塑性変形させることができる。一方、ガラス転移温度より200℃以上の温度まで加熱すると、材料薄膜が劣化する恐れがあるため、上記範囲内で加熱するのが好ましい。また、ガラス転移温度がはっきりしないポリマーアロイ等に対しては、たとえば、上記加熱温度をビカット軟化点あるいは荷重たわみ温度以上に設定することができる。上記加熱工程は、上記対向基材をセットした金型装置にヒータ等の加熱手段を設けて行うことができる。
上記1次加圧工程は、プレス加工装置の上下型部に設置された上記押し型と上記対向基材との間に上記材料薄膜をセットして行われる。加える圧力は、採用する樹脂材料によって決定され、たとえば、0.5〜50MPaの圧力を、2〜200KPa/sの加圧速度で作用させることができる。また、上記加圧力の作用時間も特に限定されることはないが、生産効率を確保するためには、1200秒以内に設定するのが好ましい。上記1次加圧工程を行うことにより、上記押し型先端部が上記材料薄膜内に押し込まれる。
上記1次加圧工程を行うことにより、上記材料薄膜に上記押し型が押し込まれて貫通孔が形成されるが、上記押し型の先端部と上記対向基材との間に、厚さ500nm程度のごく薄い残膜が残留する。
上記冷却工程は、上記材料薄膜を所定温度以下に冷却して硬化させる工程である。たとえば、冷却温度を、材料薄膜のガラス転移温度から200℃低い温度範囲で設定することができる。材料をガラス転移温度以下まで冷却することにより、塑性変形を制限して上記残膜を容易に分離することができる。また、次に述べる2次加工圧力によって脆性的に破壊して上記材料薄膜から分離させ得る温度まで冷却してもよい。冷却速度も特に限定されることはなく、たとえば、1〜10℃/sの冷却速度で冷却工程を行うことができる。たとえば、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネートを材料薄膜として採用する場合、冷却温度を20〜70℃に設定するとともに、2〜3℃/sの冷却速度で冷却工程を行うことができる。また、上記冷却工程は、加工装置に冷却装置を設けて行うこともできるし、自然冷却を採用することもできる。
また、上記冷却工程は、1次加圧工程における上記加圧力を保持した状態で行うこともできるし、請求項5に記載した発明のように、1次加圧工程における加圧力を除去した状態で行うこともできる。
上記2次加圧工程は、上記冷却された材料薄膜を、上記押し型と対向基材との間で再加圧することにより、上記残膜を上記材料薄膜から分離させる工程である。上記2次加圧工程における圧力は特に限定されることはなく、上記残膜を上記材料薄膜から分離させる圧力であれば足りる。また、上記圧力の形態も特に限定されることはなく、たとえば、請求項4に記載した発明のような衝撃的な加圧力や、振動的に作用する圧力を作用させることもできる。
本願発明では、上記材料薄膜が冷却されているため、その塑性変形が制限される。このため、上記圧力を作用させることにより、上記残膜を上記薄膜から容易に分離させて、薄膜に貫通孔を形成することができる。
上記2次加圧工程において、上記残膜を材料薄膜から分離させて多数の貫通孔を同時に形成することができるが、分離された上記残膜が遊離状態にあると、プラスチック薄膜の機能を害する恐れがある。このため、上記残膜を除去あるいは処理する手段が必要になる。本願発明では、上記材料薄膜から分離された残膜を上記対向基材に保持させる。上記対向基材に保持させる手法として、請求項2及び/又は請求項3に記載した手法を採用できる。
すなわち、請求項2に記載した発明は、上記2次加圧工程において、上記押し型先端部を上記残膜とともに上記対向基材の内部に押し込むことにより、上記対向基材を塑性変形させて上記残膜を上記対向基材内部に保持させるものである。
上記押し型先端部を上記対向基材内部に押し込むことにより、上記残膜を上記材料薄膜から確実に分離させることができる。また、上記残膜が上記対向基材内に押し込まれて保持されるため、分離された残膜を後に収集処理する必要がなくなる。
上記押し型を上記対向基材に押し込む場合、上記対向基材は、上記押し型によって塑性変形させられる。このため、請求項7に記載した発明のように、上記対向基材として、上記押し型先端部を押し込むことにより塑性変形させられる金属シートや耐熱性プラスチックシートを採用するのが好ましい。たとえば、銅、アルミニウム合金、ステンレス合金等の塑性変形可能な金属シートを採用することができる。
一方、請求項3に記載した発明は、上記対向基材表面に設けた粘着剤層に、材料薄膜から分離した上記残膜を保持させるものである。
上記押し型を上記残膜とともに上記対向基材に充分に押し込めない場合は、上記残膜を上記対向基材に確実に保持させることができない恐れがある。特に、広い面積にわたって多数の貫通孔を形成する場合、2次加工圧力が非常に大きくなり、残膜を分離させることができても、上記押し型を上記対向基材内に充分に押し込むことができない場合も考えられる。
また、採用する材料薄膜の熱的特性、あるいは冷却温度及び2次加圧力によっては、残膜を対向基材内部に押し込まずに脆性破壊させて材料薄膜から分離させることができる場合も考えられる。また、上記対向基材の弾性変形領域で、上記残膜を上記材料薄膜から分離させることも可能な場合がある。このような場合、上記粘着剤層を設けることにより、残膜を上記対向基材に確実に保持させることが可能となる。上記構成を採用することにより、2次加工圧力を低く抑えることも可能となる。
本願の請求項8に記載した発明は、厚み方向に貫通する複数の貫通孔を備えるプラスチック薄膜であって、上記貫通孔の形成工程において、上記貫通孔を形成する押し型の対向基材として上記プラスチック薄膜に積層されるともに、上記プラスチック薄膜から分離させられた残膜を保持できる保護シートを備える、保護シート付きプラスチック薄膜に関するものである。
本願発明に係るプラスチック薄膜は、インクジェットプリンタ用ノズル、医療用ネブライザノズル等の高機能微細部品として利用されるものである。一方、厚さは5〜200μmと非常に薄い。このため、プラスチック薄膜単独で取り扱うことは不可能である。
本願発明に係る対向基材を保護シートとして利用することにより、製造段階から保護シートを付属させることが可能となり、搬送途中に破損したり、汚染等の問題が生じることはなくなる。このため、プラスチック薄膜の取扱性が格段に向上する。
本願の請求項9に記載した発明は、上記残膜が、上記保護シート内に押し込まれるようにして保持されているものである。一方、請求項10に記載した発明は、上記保護シートの表面に積層形成された粘着剤層によって上記残膜が保持されているものである。これら構成を採用することにより、使用時にプラスチック薄膜から残膜を確実に除去することが可能となり、プラスチック薄膜の性能が残膜によって害される恐れもなくなる。
本願発明によれば、材料薄膜の塑性を利用して、高精度で超微細な貫通孔を備えるプラスチック薄膜を、生産性高く安価に製造することができる。
以下、本願発明の実施形態を図に基づいて説明する。
本願発明に係るプラスチック薄膜の製造工程の断面図を、図1から図4に示す。また、上記製造工程における、加工圧力と温度の関係を図7に示す。
図1に示すように、本実施形態に係る製造装置1は、プレス装置の互いに近接離間させられる上型部2と下型部3に、押し型4と対向基材5をそれぞれセットして構成される。
本実施形態に係る上記押し型4は、図8に示すように、金属又はセラミック材料で形成されており、基部6の片面に、貫通孔を形成する突起状の矩形型部7を所定間隔で多数配列形成して構成される。本実施形態では、上記各矩形型部7は、一辺T=0.03mm、高さH=0.1mm、隣接する型部との間隔P=0.05mmに設定されている。上記押し型は、リソグラフィーを利用した電鋳法、ダイシング、切削加工等によって形成することができる。なお、上記押し型4の形態は、本実施形態に限定されることはなく、種々の形態の型部を備える押し型を採用することができる。
上記対向基材5として、上記押し型4の先端部を押し込み可能な材料が採用される。たとえば、銅あるいは銅合金、ステンレス合金、アルミニウム合金を採用することができる。また、耐熱性の樹脂材料を採用することもできる。上記対向基材の厚さも特に限定されることなく、10〜1000μmの厚さのシート状材料を採用することができる。
まず図1に示すように、プラスチック材料から形成された材料薄膜8を、上記対向基材5の上に載置するようにして、上記押し型4と対向基材5との間にセットする。
上記材料薄膜8として、比較的狭い範囲で溶融状態となって塑性変形でき、冷却すると急速に硬化するプラスチック材料を採用するのが好ましい。たとえば、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルイミド等のプラスチック薄膜を採用することができる。
材料薄膜の厚さも特に限定されることはなく、1μm〜10mmまでの材料薄膜を採用することができる。実施形態に係る装置では、5μm〜200μmの厚さの材料薄膜を採用するのが好ましい。
次に、図1に示す状態で、図9に示す加熱工程(S1)が行われる。本実施形態では、上記下型部3に設置した図示しないヒータによって、材料薄膜8を塑性変形可能温度まで加熱する。上記加熱温度は、材料薄膜に採用した樹脂によって異なるが、上記押し型先端部を押し込んで塑性変形させることができる温度に加熱すればよい。たとえば、ガラス転移温度より20℃〜200℃高く設定するのが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートでは、200℃〜250℃に加熱すればよい。
上記の温度まで加熱された材料薄膜に、1次加圧工程(S2)が行われる。上記1次加圧工程は、上記押し型4と対向基材5とを近接させて、上記押し型4の矩形型部7を上記材料薄膜8に押し入れることにより行われる。上記押し型4は、矩形型部7の先端部が上記対向基材5の表面にできるだけ近接する深さまで押入れるように圧力が加えられる。採用する材料薄膜の種類によって異なるが、2〜50MPaの圧力を作用させることができる。また、圧力の作用形態も特に限定されることはなく、2〜200kPa/sの加圧速度で上記圧力を作用させることができる。なお、加圧時間は、生産効率上、1200s以下になるように設定するのが好ましい。たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートの場合、2〜8MPaの圧力を、20〜80kPa/sで作用させて、60〜480sで1次加圧工程が終了するように設定することができる。
次に、上記押し型4を押し入れた材料薄膜8を冷却する冷却工程(図9におけるS3)を行う。上記冷却工程(S3)は、上記プレス装置1に別途冷却装置を設けて行うこともできるし、室温による自然冷却を利用することもできる。冷却温度は、次に説明する2次加圧工程において、材料薄膜8の塑性変形を阻止して、上記押し型4の先端部と上記対向基材5の間に形成される残膜を分離除去できる温度まで冷却すればよく、採用する材料薄膜8のガラス転移温度以下の温度に設定することができる。たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートの場合、20〜70℃温度まで冷却すればよい。また、冷却速度を、2〜3℃/sに設定することができる。上記冷却工程は、上記1次加圧工程において作用させた圧力を除去した状態で行うこともできるし、上記圧力を作用させた状態で行うこともできる。
なお、採用する材料薄膜の特性によっては、上記冷却工程において、上記残膜が2次加工圧力によって脆性破壊して分離できるより低い温度まで冷却することもできる。
次に、上記温度まで冷却した上記材料薄膜を、上記押し型4と上記対向基材5の間で再加圧する2次加圧工程(S4)を行う。上記2次加圧工程(S4)において作用させる圧力も特に限定されることはなく、上記残膜9を材料薄膜8から分離できる大きさであればよい。上記残膜9を確実に分離するため、上記1次加圧工程において加えた圧力以上の圧力を作用させるのが好ましい。上記圧力の作用形態も特に限定されることはないが、請求項4に記載した発明のように、衝撃的に作用させるのが好ましい。
本実施形態では、図6及び図7に示すように、上記2次加圧工程(S4)において、上記押し型4の矩形型部7を上記残膜9とともに上記対向基材内部に押し込むことにより上記対向基材を塑性変形させて、上記残膜9を上記対向基材8の内部に保持させる。
上記残膜9を上記対向基材5の内部に押し込むようにして上記2次加圧工程(S4)を行うことにより、上記残膜9を上記材料薄膜8から確実に分離させることができる。しかも、上記残膜9を、上記対向基材5の内部に保持させることができるため、分離した残膜9が遊離することはなく、また、これら分離した残膜9を別途除去する必要もない。
上記押し型4を上記対向基材5に押し込む深さも特に限定されることはないが、分離した残膜9を確実に保持させるため、上記残膜9の厚さ以上の深さに押し込むのが好ましい。その後、図4に示すように、上記上型2と下型3が離間させられ、上記押し型4が上記材料薄膜8から離脱させる脱型工程(S5)が行われる。これにより、上記材料薄膜8と上記対向基材5とが積層された状態で一体的に取り出される。
図10及び図11に示すように、上記残膜9を対向基材5の内部に押し込むことにより、上記材料薄膜8と上記対向基材5とが、仮止めした積層状態となる。このため、上記対向基材5をプラスチック薄膜8の保護シートとして利用することが可能となり、プラスチック薄膜の取扱性を向上させることもできる。
図12に、本願発明の第2の実施形態を示す。この実施形態は、上記対向基材5の表面に、上記残膜9を保持しうる粘着剤層11を設けたものである。上記粘着剤層を設けることにより、上記押し型4の押し込み量が少ない場合であっても、上記残膜9を上記対向基材5に確実に保持させることができる。また、上記材料薄膜8と上記対向基材5の仮止め強度を高めることもできる。上記粘着剤層11は、たとえば、耐熱性のあるシリコン系の粘着剤を、上記対向基材5の積層面に塗着することにより設けることができる。
本願発明は、上述の実施形態に限定されることはない。今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本願発明の範囲は、実施形態で説明した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本願発明によって、インクジェトプリンタ用ノズル、医療用ネブライザノズル、フィルタ等に利用できる超微細貫通孔を備えるプラスチック薄膜を、安価に製造することができる。
加工装置に、材料薄膜を装着した状態を示す断面図である。 1次加圧工程後の状態を示す断面図である。 2次加圧工程後の状態を示す断面図である。 脱型工程後の状態を示す断面図である。 1次加圧工程後の状態を示す要部の拡大断面図である。 2次加圧工程後の状態を示す要部の拡大断面図である。 実施形態に係る製造方法の圧力及び温度の変化を示す図である。 押し型の一例を示す外観斜視図である。 貫通孔を形成したプラスチック薄膜の一例を示す外観斜視図である。 対向基材を保護シートとして備えるプラスチック薄膜の断面図である。 図10の要部要部拡大断面図である。 本願発明の第2の実施形態を示す図であり、図11に相当する断面図である。
符号の説明
4 押し型
5 対向基材
8 プラスチック薄膜(材料薄膜)
10 貫通孔

Claims (10)

  1. 厚み方向に貫通する複数の貫通孔を備えるプラスチック薄膜の製造方法であって、
    材料薄膜を、少なくとも塑性変形可能温度まで加熱する加熱工程と、
    上記材料薄膜を、上記貫通孔を形成する押し型と対向基材との間で加圧して、上記押し型を上記材料薄膜に押し入れる1次加圧工程と、
    上記押し型を押し込んだ材料薄膜を、少なくともガラス転移温度以下まで冷却する冷却工程と、
    冷却した上記材料薄膜を上記押し型と上記対向基材との間で加圧して、上記押し型の先端部と上記対向基材との間に残留する残膜を、上記材料薄膜から分離させるとともに上記対向基材に保持させる2次加圧工程とを含む、プラスチック薄膜の製造方法。
  2. 上記2次加圧工程において、上記押し型先端部を上記残膜とともに上記対向基材内部に押し込むことにより上記対向基材を塑性変形させて、上記残膜を上記対向基材内部に保持させる、請求項1に記載のプラスチック薄膜の製造方法。
  3. 上記対向基材表面に設けた粘着剤層に、材料薄膜から分離した上記残膜を保持させる、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のプラスチック薄膜の製造方法。
  4. 上記2次加圧工程において衝撃的な加圧力を作用させる、請求項1から請求項3のいずれかに記載のプラスチック薄膜の製造方法。
  5. 上記冷却工程は、1次加圧工程における加圧力を除去した状態で行われる、請求項1から請求項4のいずれかに記載のプラスチック薄膜の製造方法。
  6. 上記加熱工程において、上記材料薄膜を、そのガラス転移温度より20〜200℃高い温度まで加熱する、請求項1から請求項5のいずれかに記載のプラスチック薄膜の製造方法。
  7. 上記対向基材は、上記押し型先端部を押し込むことにより塑性変形させられる金属シート又は耐熱性プラスチックシートである、請求項2に記載のプラスチック薄膜の製造方法。
  8. 厚み方向に貫通する複数の貫通孔を備えるプラスチック薄膜であって、
    上記貫通孔の形成工程において、上記貫通孔を形成する押し型の対向基材として上記プラスチック薄膜に積層されるともに、上記貫通孔形成時に上記プラスチック薄膜から分離させられた残膜を保持できる保護シートを備える、保護シート付きプラスチック薄膜。
  9. 上記残膜が、上記保護シート内に押し込まれるようにして保持されている、請求項8に記載の保護シート付きプラスチック薄膜。
  10. 上記保護シートの表面に積層形成された粘着剤層によって上記残膜が保持されている、請求項8又は請求項9のいずれかに記載の保護シート付きプラスチック薄膜。
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