[実施形態1]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
1.システム
2.ハードウェア構成例
3.機能
4.動作シーケンス
(1.システム)
図1Aは、本発明の一実施形態における位置情報管理システム1を表す。図1Aは、通信装置100、102、104、106、無線端末120、122、124、管理装置140、管理サーバ160、通信装置と無線端末と管理装置とから構成されるネットワーク180及びネットワーク190を有する。ここで、ネットワーク180は、管理装置140によって管理される無線ネットワークである。図1Bは、図1Aにおいて無線ネットワークを構成する通信装置100、102、104、106、無線端末120、122、124、管理装置140を抜き出して示したものである。
通信装置100、102、104、106は、例えば部屋の天井等に固定され、固定された位置に係る、経緯情報、建物の階数及び棟番号のような位置情報(以下「位置情報」とする)そのものを連続的又は断続的に無線送信する。通信装置は、それぞれ独立した筐体を有し、予め設置された電源から給電されて動作するか、あるいはLED蛍光管のような照明器具に組み込まれ、該照明器具から給電されて動作する。通信装置100、102、104、106は、それぞれが保持する位置情報を、無線信号により所定の範囲に送信する。所定の範囲は、用いられる無線信号の信号強度によって定められる。通信装置は、位置の管理対象となる領域をカバーするように配置され、それぞれの領域が重複しないように構成される。あるいは、重複する場合であっても、位置情報を受信する側において、受信電波の強度に基づいて、何れか一つの通信装置が決定できるよう構成される。図1Aの例では、それぞれの通信装置の下方に示される円錐型の点線が、所定の範囲を表している。位置情報を送信する通信方式として、例えば地上補完信号(Indoor Messaging System;IMES)を用いることができる。
無線端末120、122、124は、通信装置100、102、104、106のうち、最寄の通信装置が送信する無線信号を受信することができる。図1Aの例では、それぞれの無線端末は、位置を管理する対象である直方体の管理対象物に付されている。無線端末120、122、124は、自らも電波を送信可能な、例えばアクティブタグのような端末である。以下、無線端末120について説明する。
無線端末120は、通信装置100からの無線信号を受信できる範囲にあり、通信装置100の位置情報を受信する。通信装置100の位置情報の受信は、例えばIMESを用いて行われる。無線端末120は、受信した位置情報と共に、例えばネットワークアドレスのような自らの識別情報を含む情報を通信装置100へ送信する。該送信は、例えばIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)のような近距離無線通信によるネットワーク180を通じて行われる。この場合には、無線端末120の識別情報として、IEEE802.15.4の短縮アドレスまたはIEEE拡張(MAC)アドレスを用いることができる。通信装置100へ送信された識別情報と位置情報は、次に、隣接する通信装置102を経由して、管理装置140に送信される。なお、無線端末120における送受信の動作は、当該無線端末120において予め定められたタイミングか、あるいは、当該無線端末120の備える加速度センサによる加速度の変化が検出されたタイミングで行われる。
管理装置140は、ネットワーク180とネットワーク190とを相互に接続し、ネットワーク180側から送信されたデータをネットワーク190にブリッジする。管理装置140は、例えば建物のフロア毎、または壁などで仕切られた部屋毎に設置される。ネットワーク180がIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)によるPAN(Personal Area Network)であり、ネットワーク190がIEEE802.3規格に基づくLANである場合には、それらの間での通信方式の変換を行う。また、無線端末120の識別情報がIEEE802.15.4の短縮アドレスで表されている場合には、PAN構成時の情報に基づきIEEE拡張アドレスに変換し、管理サーバ160に送信する。
管理サーバ160は、管理装置140を経由して受信された識別情報と位置情報とを、受信日時と共に記録し、通信装置の位置を管理する。管理サーバ160では、無線端末に係る管理対象物が予め記録されている。よって、これらの情報を用いて、管理対象物の所在を探索することができる。
ネットワーク180は、それぞれの通信装置100、102、104、106と、無線端末120、122、124と、管理装置140とを接続する、例えばIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格によって構成されるPANである。PANがIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格で構成される場合は、無線端末、通信装置、管理装置は、それぞれZigBee(登録商標)規格で定められるエンドデバイス機能、ルータ機能及びコーディネータ機能を有する。そして、それぞれの通信装置及び無線端末は、起動時に管理装置の管理下に入り、PANを構成し、管理装置への最小経路が決定される。
ネットワーク190は、管理装置140と管理サーバ160とを接続するネットワークであり、例えばIEEE802.3規格で定められるLANである。
上記の通り、本発明の一実施形態における位置情報管理システム1において、無線端末は、最寄の通信装置と通信できるだけの電力を用いて、識別情報と位置情報とを管理サーバへ送信することができる。また、通信装置を設置するための新たなインフラの敷設が不要であり、導入コストを低減することができる。
なお、通信装置の位置情報は、ネットワーク180を通じて提供されてもよい。これにより、IMESのような位置情報を送信するための送信手段が不要となる。
また、無線端末は、位置情報を送信した通信装置よりさらに近傍に管理装置が存在する場合には、識別情報と位置情報とを管理装置140に送信してもよい。これにより、最短経路で識別情報と位置情報が管理サーバに送信できる。
また、管理サーバに、管理装置の機能を統合してもよい。これにより、個別の管理装置が不要となる。
また、無線端末は、スマートフォン、PDA、PC又はスマートメータのような、アクティブタグと同等の機能を有する無線端末であってもよい。これにより、タグを付することなく、既存の無線端末の位置情報の管理が可能となる。
また、上述の位置情報に加えて、例えば部屋の中の区画を表す情報のような、より細かな位置を特定する情報を含んでもよい。これにより、より細かな位置管理が可能となる。
また、位置管理対象が人であってもよい。これにより、当該システム1によって人の所在を管理することができる。
また、ネットワーク180は、例えばBluetooth LE、ANT、Z-Wave等の近距離無線通信を用いて構成されてもよい。これにより、多様な無線端末の位置情報を管理することが可能となる。
また、ネットワーク190は、例えばインターネットのような、複数の種類のネットワークを含んでもよい。これにより、ネットワーク180と管理サーバ160との間の物理的な位置に関係なく、無線端末の位置情報を管理することが可能となる。
(2.ハードウェア構成例)
次に、図2A、2B、2C、2Dを用いて、位置情報管理システム1に含まれる通信装置100、無線端末120、管理装置140、管理サーバ160のハードウェア構成について説明する。
図2Aは、本発明の一実施形態における通信装置100のハードウェア構成を表す。通信装置100は、CPU200、RAM202、ROM204、位置信号送信制御部206、位置信号送信部208、無線通信制御部210、無線通信部212及びバス214を有する。
CPU200は、当該通信装置100の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM202は、CPU200のワークエリア等を構成する。ROM204は、CPU200が実行するプログラムに加えて、当該通信装置100の位置情報を記憶する。位置信号送信制御部206は、位置信号送信部208を介して当該通信装置100の位置情報を表す測位信号を送信するための処理を実行する。位置信号送信部208は、例えばIMESのような測位信号を送出するアンテナを含む装置である。無線通信制御部210は、無線通信部212を介して無線通信処理を実行する。無線通信部212は、例えばIEEE802.15.4規格に適合する電波を送受信可能なアンテナを含む装置である。バス214は、上記装置を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態における通信装置100は、無線端末120に対して位置情報を送信し、無線端末120から識別情報と位置情報を受信し、これらの情報を管理装置を介して管理サーバへ送信することができる。
なお、上述したように、位置情報を無線通信によって送信する場合には、位置信号送信制御部206と位置信号送信部208は不要となる。
図2Bは、本発明の一実施形態における無線端末120のハードウェア構成を表す。通信端末120は、CPU220、RAM222、ROM224、位置信号受信制御部226、位置信号受信部228、無線通信制御部230、無線通信部232、加速度検出制御部234、加速度検出部236及びバス238を有する。
CPU220は、当該無線端末120の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM222は、CPU220のワークエリア等を構成する。ROM224は、CPU220が実行するプログラムに加えて、当該無線端末120の識別情報や、通信装置100から受信した位置情報を記憶する。位置信号受信制御部226は、位置信号受信部228を介して、位置情報を表す測位信号を受信するための処理を実行する。位置信号受信部228は、例えばIMESのような測位信号を受信するアンテナを含む装置である。無線通信制御部230は、無線通信部232を介して無線通信処理を実行する。無線通信部232は、例えばIEEE802.15.4規格に適合する電波を送受信可能なアンテナを含む装置である。加速度検出制御部234は、加速度検出部236を介して加速度の変化を検出する。加速度検出部236は、例えば加速度センサ又は慣性力や磁気を用いたモーションセンサである。バス238は、上記装置を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態における無線端末120は、通信装置100から位置情報を受信し、前記位置情報と共に自らの識別情報を通信装置100へ送信することができる。特に、無線端末が動かされたタイミングで送信又は受信の動作を行うことにより、効率的に識別情報及び位置情報を送信することができる。
なお、無線端末120がスマートフォンやPCのような情報端末である場合には、ユーザからの入力を受け付ける、例えばタッチパネル、ダイヤルキー、キーボード、マウスのような入力装置及び対応する入力制御部を備えてもよい。さらに、スクリーンのような表示装置及び対応する表示制御部を備えてもよい。
また、無線端末120がGPSアンテナ及び対応する制御部を備える場合には、前記アンテナを用いてIMESによる測位信号を受信でき、ソフトウェアの改修のみによって当該位置情報管理システム1に対応させることができる。
また、加速度検出制御部234及び加速度検出部236は任意の構成要素である。加速度検出制御部234及び加速度検出部236を備えない場合には、当該無線端末120の送信又は受信の動作は、予め定められた間隔又は時刻においてなされる。
また、上述したように、位置情報が無線通信によって受信される場合には、位置信号受信制御部226と位置信号受信部228は不要となる。
図2Cは、本発明の一実施形態における管理装置140のハードウェア構成を表す。管理装置140は、CPU240、RAM242、ROM244、無線通信制御部246、無線通信装置248、有線通信制御部250、有線通信装置252及びバス254を有する。
CPU240は、当該管理装置140の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM242は、CPU240のワークエリア等を構成する。ROM244は、CPU240が実行するプログラムや該プログラムが使用するデータを記憶する。無線通信制御部246は、無線通信装置248を介して無線通信処理を実行する。無線通信装置248は、例えばIEEE802.15.4規格に適合する電波を送受信可能なアンテナを含む装置である。有線通信制御部250は、有線通信装置252を介して有線による通信処理を実行する。有線通信装置252は、例えばIEEE802.3規格に適合するネットワークインターフェースを有する装置である。バス254は、上記装置を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態における管理装置140は、通信装置100及び無線端末120を含むネットワーク180からの信号を、管理サーバ160を含むネットワーク190へと変換することができる。また、PANを構成するネットワーク180がZigBee(登録商標)である場合には、PANに参加するデバイスを管理するコーディネータの機能を有することができる。
図2Dは、本発明の一実施形態における管理サーバ160のハードウェア構成を表す。管理サーバ160は、CPU260、RAM262、ROM264、HDD266、通信制御部268、通信部270、表示制御部272、表示部274、入力制御部276、入力部278及びバス280を有する。
CPU260は、当該管理サーバ160の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM262は、CPU260のワークエリア等を構成する。ROM264は、CPU260が実行するプログラムや該プログラムが使用するデータを記憶する。HDD266は、当該位置情報管理システム1で用いられる無線端末120の位置を管理するための情報を記憶する。通信制御部268は、通信部270を介して通信処理を実行する。通信部270は、例えばIEEE802.3規格に適合するネットワークインターフェースを有する装置である。表示制御部272は、当該管理サーバ160上で実行される、位置管理に係るプログラムの処理内容に合わせて、表示部274に表示される内容を制御する。表示部274は、例えば液晶ディスプレイやCRTディスプレイのようなディスプレイが含まれる。入力制御部276は、ユーザからの入力を受け付ける、キーボード、マウス等の入力部278からの信号を処理する。バス280は、上記装置を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態における管理サーバ160は、無線端末120の位置を管理し、該無線端末120の所在を探索することができる。
なお、HDD266は、テープドライブを含むあらゆる記憶装置であってもよく、あるいは、ネットワークを介してアクセス可能なストレージ領域であってもよい。
また、管理サーバ160は、上述した管理装置140が備える無線通信制御部及び無線通信装置を備え、管理装置140に代えて、その処理を行ってもよい。これにより、管理装置140を別途設ける必要がなくなる。
(3.機能)
図3Aは、本発明の一実施形態における通信装置100の機能ブロック図を表す。本発明の一実施形態における通信装置100は、記憶手段300、通信手段304及び制御手段312を有する。
記憶手段300は、当該通信装置100の位置情報302を記憶する。位置情報302を記憶するためのテーブルの例を図4に示す。図4は、階数、緯度、経度、棟番号の項目を含む。階数は、当該通信装置100が設置される建物の階数を表す。緯度及び経度は、当該通信装置100の所在する位置の緯度及び経度を表す。棟番号は、当該通信装置100が設置される建物の棟番号を表す。図4の例では、通信装置100は、ある建物のC棟の16階に所在し、緯度が35.459555、経度が139.387110の地点に所在する。
通信手段304は、位置情報送信手段306、端末情報受信手段308及び端末情報送信手段310を有する。
位置情報送信手段306は、経緯情報、建物の階数、棟番号のような情報を含む位置情報302を、所定の範囲にある無線端末120に対して連続的又は断続的に無線送信する。位置情報302は、例えばIMESに規定されるフォーマットを用いて送信される。
端末情報受信手段308は、無線端末120から送信された識別情報と位置情報とを受信する。
端末情報送信手段310は、無線端末120から送信された識別情報と位置情報とを、管理装置140を介して管理サーバ160へ送信する。ネットワーク180がZigBee(登録商標)規格を用いてなされる場合には、前記送信は、当該通信装置100が保持するルーティング情報を用いて行われる。
制御手段312は、当該通信装置100の動作を制御する。当該通信装置100が無線端末120及び管理装置140とZigBee(登録商標)を用いてPANを構成する場合には、当該通信装置100がルータ機能を提供するよう制御する。
上記構成により、本発明の一実施形態における通信装置100は、位置情報302を保持し、位置情報302を無線端末120に送信し、該無線端末120の識別情報と位置情報を受信して、該識別情報を管理装置140を通じて管理サーバへ送信することができる。
なお、位置情報302は、通信装置100が設置される建物名や、部屋の中の区画を表す情報のような追加の情報を含んでもよい。これにより、より細かな位置管理が可能となる。
図3Bは、本発明の一実施形態における無線端末120の機能ブロック図を表す。本発明の一実施形態における無線端末120は、記憶手段320、通信手段326、加速度検出手段332及び制御手段334を有する。
記憶手段320は、識別情報322と位置情報324を有する。識別情報322は、当該無線端末120のネットワークアドレスのような、当該位置情報管理システム1上で無線端末120を特定可能な情報を含む。例えば、ネットワーク180がIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格に基づく場合には、IEEE802.15.4の短縮アドレス又はIEEE拡張(MAC)アドレスを用いることができる。位置情報324は、通信装置100から送信された位置情報302である。位置情報324を記憶するためのテーブルの例を図5に示す。構成は図4と同様である。
通信手段326は、位置情報受信手段328と識別情報送信手段330を有する。
位置情報受信手段328は、通信装置100から送信された位置情報302を受信する。受信された位置情報302は、当該無線端末120の記憶手段320に保持される。
識別情報送信手段330は、当該無線端末120の識別情報322と共に位置情報324を通信装置100に送信する。位置情報322は、例えば図6のようなフォーマットにより無線端末120に送信される。図5のフォーマットでは、階数、緯度、経度、棟番号の各フィールドが、それぞれ9ビット、21ビット、21ビット、8ビットで表現され、IMES規格によって受信したメッセージの該当フィールドを繋げた形とする。各フィールドの表現形式はIMES規格に準ずる。実際には、このフォーマットに加えて、通信方式によって規定されるヘッダやチェックサム情報が付加されて送信される。通信方式として、例えばIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格が用いられる。
加速度検出手段332は、当該無線端末120の加速度の変化を検出する。加速度の変化は、例えば当該無線端末120が移動を開始した時、該移動が停止した時、又は傾きを検出した時等に検出される。検出された加速度の変化は、当該無線端末120の送信又は受信の動作のタイミングを決定するために用いられる。なお、当該加速度検出手段332は任意の構成要素である。
制御手段334は、位置情報受信手段238による位置情報の受信のタイミングと、識別情報送信手段330による識別情報322と位置情報324との送信のタイミングを制御する。送受信のタイミングは、加速度検出手段332による加速度の変化の検出に基づいて決定される。あるいは、当該無線端末120に予め設定された間隔あるいは時刻に基づいて決定されてもよい。また、送信と受信のタイミングは、それぞれ独立して決定されてもよい。さらに、制御手段334は、当該無線端末120が通信装置100及び管理装置140と共にZigBee(登録商標)によりPANを構成する場合には、当該無線端末120がエンドポイント機能を提供するよう制御する。
上記構成により、本発明の一実施形態における無線端末120は、通信装置から位置情報を効率的に受信し、該位置情報と共に識別情報通信装置へ効率的に送信することができる。
なお、無線端末120がスマートフォンやPCのような情報端末である場合には、ユーザからの入力を受け付ける入力手段や、ユーザに情報を提示する表示手段を備えてもよい。これにより、ユーザへの識別情報又は位置情報の提示や、ユーザからの識別情報又は位置情報の入力又は修正が可能となる。
図3Cは、本発明の一実施形態における管理装置140の機能ブロック図を表す。本発明の一実施形態における管理装置140は、通信手段340、変換手段346及び制御手段348を有する。
通信手段340は、受信手段342と送信手段344を有する。受信手段342は、ネットワーク180に属する通信装置又は無線端末から送信されたデータを受信する。送信手段344は、当該管理装置140で変換された前記データを、ネットワーク190に属する管理サーバ160へ送信する。ネットワーク180は、例えばIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格に基づくPANである。また、ネットワーク190は、例えばIEEE802.3規格に基づくLANである。
変換手段346は、受信手段342がネットワーク180から受信したデータを、ネットワーク190に適合する形式に変換する。変換されたデータは、送信手段344によって、ネットワーク190を介して管理サーバ160へ送信される。ここで、前記データに含まれる、無線端末120の識別情報が、IEEE802.15.4の短縮アドレスで表されている場合には、PAN構成時の情報に基づき、IEEE拡張アドレスに変換される。
制御手段348は、当該管理装置140の動作を制御する。当該管理装置140が通信装置100と無線端末120と共にZigBee(登録商標)規格によりPANを構成する場合には、当該管理装置140がコーディネータ機能を提供するよう制御する。
上記構成により、本発明の一実施形態における管理装置140は、通信装置100及び無線端末120が属するネットワーク180と、管理サーバが属するネットワーク190との間の通信をブリッジすることができる。
図3Dは、本発明の一実施形態における管理サーバ160の機能ブロック図を表す。本発明の一実施形態における管理サーバ160は、通信手段360、記憶手段366、入力手段370、表示手段372及び制御手段374を有する。
通信手段360は、受信手段362と送信手段364を有する。受信手段362は、管理装置140を通じて無線端末から送信された識別情報と位置情報とを受信する。受信された識別情報と位置情報は、記憶手段366に記憶される。送信手段364は、外部サーバ等に対して位置情報の提供を求められた場合に、該位置情報を前記外部サーバ等に送信する。
記憶手段366は、位置管理情報368を有する。位置管理情報368は、無線端末120から受信した識別情報と位置情報に、受信時刻等の管理情報を付加した情報である。該情報を記憶するテーブルの例を図7に示す。図7は、識別情報、機器名、所有部署、緯度、経度、階数、棟、受信日時の項目を有する。識別情報は、当該識別情報を送信した無線端末120の、例えばIEEE拡張アドレスのような情報である。緯度、経度、階数、棟は、識別情報と共に受信された位置情報に対応する。受信日時は、管理サーバ160が当該情報を受信した日時である。機器名は、当該情報を送信した無線端末120が付される管理対象の名前又は無線端末120の機器名である。所有部署は、当該情報を送信した無線端末120を所有する部署名である。機器名及び所有部署の情報は、予め当該管理サーバ160によって、識別情報と関連付けられている。
入力手段370は、ユーザが位置情報を探索するために、ユーザからの入力を受け付ける。
表示手段372は、ユーザが位置情報を探索するための検索画面に係るGUIを画面上に表示する。検索画面の例を図9Aに示す。図9Aに示された「所在検索システム」では、記憶手段366に記憶された情報を元に、無線端末に係る所有部署と機器名を画面に一覧表示する。ユーザが、検索したい機器のチェックボックスを入力手段370を通じて選択すると、チェックマークが付される。検索したい機器に全てチェックマークを付けた後に「検索実行」ボタンを選択すると、検索が実行され、結果を表示する画面に切り替わる。図9Aの例では、ユーザが「営業1課」が所有する「UCS P3000」という機器を対象として検索を実行する例を示している。図9Bは、その検索結果の画面の例である。「検索実行」ボタンが選択されると、表示手段372は、記憶手段366に記憶されたデータを元に、「UCS P3000」が所在する「A棟4階」のフロア図と、その機器名及び受信日時を表示する。
制御手段374は、当該管理サーバの動作を制御する。
上記構成により、本発明の一実施形態における管理サーバ160は、無線端末の位置を管理し、その所在を検索することができる。特に、無線端末の位置そのものを表す情報そのものを直接受信して管理することができ、位置の探索にかかる計算量を低減することができる。
なお、管理サーバ160は、管理装置160の有する変換手段346、制御手段348及び受信手段342と同様の機能を有し、管理装置160と同様の機能を有してもよい。これにより、管理装置160を個別に設ける必要がなくなる。
また、管理サーバ160によって記憶される位置管理情報368は、図7に示された情報と共に、あるいは該情報に代えて、無線端末が情報を送信した日時、経由した通信装置又は管理装置の識別子、情報の到着までにかかった時間又は電界強度を含む情報を記憶してもよい。これにより、より詳細な条件で位置情報を管理することができる。
また、管理サーバ160は、無線端末の過去の位置情報を記録してもよい。これにより、無線端末の移動を追跡することができる。
(4.動作シーケンス)
図8は、図1の構成における本発明の一実施形態における位置情報管理システム1の動作シーケンスを表す図である。図8では、加速度の変化を検知すると位置情報を受信し、識別情報を送信する通信装置100と、該通信装置100の属する領域に位置情報を送信する無線端末120と、PAN(IEEE802.15.4及びZigBee(登録商標))とLAN(IEEE802.3)とをブリッジする管理装置140と、管理サーバ160とで構成される例について説明する。通信装置100と、無線端末120と、管理装置140との間のPANは既に確立されているものとする。
ステップS800において、通信装置100は、IMES、ZigBee等を用いて位置情報を連続的又は断続的に送信する。
ステップS802において、無線端末120は、加速度の変化を検知する。
ステップS804において、無線端末120は、通信装置100から送信される位置情報を受信する。
ステップS806において、無線端末120は、受信された位置情報を記憶する。
ステップS808において、無線端末120は、識別情報と位置情報を通信装置100へ送信する。
ステップS810において、通信装置100は、無線端末120から受信した識別情報と位置情報とを最小経路を通じて管理装置へ送信する。
ステップS812において、管理装置140は、通信装置100から受信した識別情報と位置情報を含む、ネットワーク180から送信されたデータをネットワーク190で適合する形式へと変換する。
ステップS814において、管理装置140は、ネットワーク190に適合する形式に変換された識別情報と位置情報を管理サーバ160へ送信する。
ステップS816において、管理サーバ160は、管理装置から受信した識別情報と位置情報を、識別情報に対応する無線端末の情報と共に登録する。
以上の手順により、本発明の一実施形態における位置情報管理システム1は、無線端末が最寄の通信装置に対して効率よく識別情報と位置情報とを送信することにより、無線端末の消費電力を抑えることができる。
なお、既に述べたように、管理サーバ160が管理装置140の機能を統合して実行してもよい。この場合には、別個の管理装置140を設置する必要がなくなる。
また、無線端末が加速度検出手段332を備えていない場合には、ステップS802は実行されず、ステップS804における位置情報の受信は、所定の時刻又は所定の間隔で行われ得る。その後の処理は、ステップS806〜S816と同様である。
[実施形態2]
次いで、上述の実施形態を踏まえ、実施形態2について説明する。
図10は、本発明の一実施形態における通信装置の取り付けを表す図である。図中、本実施形態に係る通信装置として、通信装置100−2、102−2、104−2、106−2を示す。
上述したように、通信装置は、それぞれ独立した筐体を有し、予め設置された電源から給電されて動作するか、あるいは例えばLED蛍光管のような照明器具に組み込まれ、該照明器具から給電されて動作する。また、通信装置は、通信装置毎に割り振られた位置情報が予め記憶されてから、順次、割り当てられた設置位置(例えば部屋の天井等)に固定されて取り付けられる。そして、通信装置は、動作を開始すると、位置情報を連続的又は断続的に無線送信する。
ここで、通信装置の取り付け作業は人的作業により実施される。設置者は、予め位置情報が組み込まれている通信装置と、実際の正しい設置位置とを確認しながら、間違えないよう順次取り付けていく。
しかしながら、通信装置の取り付け作業は人的作業であるため、ときに、組み込まれた位置情報に対し、本来取り付けられるべき正しい場所に取り付けられないという可能性がある。つまり、設置者が、本来取り付けるべき場所と異なる取り付け場所に通信装置を取り違えて取り付けてしまう可能性があるという問題がある。この場合、取り違えて取り付けられた通信装置は、動作を開始すると、実際の場所とは異なる別の位置情報を連続的又は断続的に無線送信してしまうことになる。
例えば、図中、本来正しくは、通信装置100−2が設置されるべき場所(例えば、16F)に、全く別の場所(例えば、3F)に取り付けられる予定の通信装置が取り違えて取り付けられた場合、取り違えて取り付けられた通信装置は、動作を開始すると、実際の場所(例えば、16F)とは異なる別の位置情報(例えば、3F)を連続的又は断続的に無線送信してしまうことになる。この場合、この通信装置から位置情報を受信した無線端末は、本来の正確な位置を受信することができず、ひいては、位置情報管理システム1としても、無線端末の正確な位置を管理できない。
本実施形態では、位置情報管理システム1において、通信装置の取り違え(取り付け間違い)を検知する仕組みを導入することにより、より無線端末の正確な位置を担保するものである。以下、実施例1、2を通じて、詳しく説明する。
<実施例1>
(通信装置100−2の機能)
図11は、本発明の一実施形態における通信装置100−2の機能ブロック図を表す。なお、本実施形態において、通信装置100−2、102−2、104−2、106−2を含め全ての通信装置は、本図の通信装置100−2と同様の機能を有するものとする。
通信装置100−2は、図3Aと比べ、記憶手段300、通信手段304、制御手段312に加え、通信手段304内の確認命令受信手段307及び確認命令応答手段309、並びに、位置情報確認手段313を有する。
確認命令受信手段307は、管理サーバ160−2から位置情報確認命令が送信されると、管理装置140−2を介し、同位置情報確認命令を受信する。また、管理装置140−2から、同位置情報確認命令とともに、確認用位置情報を受信する。
位置情報確認手段313は、確認命令受信手段307より、位置情報確認命令が受信されると、位置情報確認命令とともに受信された確認用位置情報を用いて、自身の記憶手段300に記憶した位置情報302の確かさを確認する。また、確認命令応答手段309は、確認結果を、管理装置140−2を介し管理サーバ160−2に応答する。
制御手段312は、確認結果がNG、つまり位置情報302の確かさが確認されない場合、確認結果NGを示す動作を実施する。例えば、上述したように、通信装置がLED蛍光管等の照明器具に組み込まれている場合には、LED蛍光管のLEDランプを点灯又は点滅させる制御を行う。また、何らかの音声(ブザー音、アラート音等)を発してもよい。
(管理サーバ160−2の機能)
図12は、本発明の一実施形態における管理サーバ160−2の機能ブロック図を表す。
管理サーバ160−2は、図3Dと比べ、通信手段360、記憶手段366、入力手段370、表示手段372、制御手段374に加え、位置情報確認命令手段375を有する。また、記憶部366には、確認用位置情報369を予め記憶する。
位置情報確認命令手段375は、位置情報管理システム1下の通信装置に対し、位置情報確認を命令するための位置情報確認命令を発行する。位置情報確認命令は、まず、一の、所望する複数の、又は全ての管理装置に一旦送信され、その管理装置を介し、管理装置が管理下に置く各通信装置に送信される。
また、位置情報確認命令手段375は、位置情報確認命令を発行する際に、記憶部366の確認用位置情報369を参照する。そして、位置情報確認命令を送信する管理装置に対応付けられている確認用位置情報369を取得し、取得した確認用位置情報369とともに位置情報確認命令をその管理装置に送信する。
図13は、本発明の一実施形態における確認用位置情報369の一例を示す。図に示されるように、確認用位置情報369は、位置情報として、「階数」、「緯度」、「経度」、「棟」の情報を含む。この確認用位置情報369は、予め管理装置に応じた位置情報が書き込まれる。つまり、位置情報管理システム1下の管理装置毎に、その管理装置が管理するネットワーク180に取り付けられる通信装置が有するべき位置情報(又は位置情報範囲)が、予め管理者等により確認用位置情報として書き込まれる。
図14は、本発明の一実施形態における管理装置が管理するネットワーク180を説明する図である。図例の管理装置140−2の場合、物理的に、「階数」:16、「緯度」:35.45900−35.46000、「経度」:139.38700−139.38800、「棟」:Cで特定される位置を管理下に置くものである。従って、この管理下に取り付けられる通信装置の位置情報は、管理装置140−2と対応付けられている確認用位置情報369で特定される位置又は位置範囲に一致又は包含されるはずである。
なお、管理装置140−2が管理するネットワーク180の物理的位置範囲は、1点で特定されず、ある程度一定の広がりを持つことから(例えば、1部屋全体)、確認用位置情報369の「緯度」及び「経度」については、例えば、「緯度」:35.45900〜35.46000、「経度」:139.38700〜139.38800というように、一定の座標の範囲でもって、特定される。
ここで、管理者等が管理サーバ160−2を操作し、位置情報確認命令を発行するタイミングとしては、例えば次のような場合がある。通信装置の設置者又は管理者は、位置情報が既に組み込まれている通信装置と、実際の正しい設置位置とを確認しながら、所定の天井等に通信装置を順次取り付けていく。ある部屋について、通信装置の取り付け作業を終了すると、管理者等は、通信装置の取り付け違いがないかどうかを確認するべく、管理サーバ160−2を操作し、その部屋を管理下におく管理装置に対し、位置情報確認命令を発行する。位置情報確認命令(確認用位置情報を含む)は、管理装置に一旦送信され、管理装置を介し、その部屋に取り付けられた各通信装置に送信される。送信は、具体的な通信装置に対し送信されるものではなく、例えばブロードキャスト通信のように、ネットワーク180の全体に送信され、送信された位置情報確認命令及び確認用位置情報369は、ネットワーク180内の全通信装置に受信される。
(動作シーケンス)
図15は、本発明の一実施形態における位置情報確認の動作シーケンスを表す図である。なお、本図の通信装置として、通信装置100−2を示すが、非図示ながら、通信装置102−2、104−2、106−2を含め全ての通信装置は、本図の通信装置100−2と同様の動作を行うものである。
ステップS1501において、管理サーバ160−2は、位置情報確認命令を送信する。具体的には、例えば、管理者等が管理サーバ160−2を操作し、位置情報確認命令を中継させる管理装置(例えば、管理装置140−2)を指定のうえ、位置情報確認命令を発行する。位置情報確認命令は、指定された管理装置に対応付けられた確認用位置情報369とともに、当該管理装置(例えば、管理装置140−2)に対し送信される。
ステップS1502において、管理装置140−2は、管理サーバ160−2から確認用位置情報369とともに位置情報確認命令を受信すると、受信したその位置情報確認命令を確認用位置情報369とともに管理装置140−2が管理するネットワーク180に対し、送信(中継)する。送信は、例えばブロードキャスト通信のように、ネットワーク180に対し送信されるため、通信装置100−2のみならず、通信装置102−2、104−2、106−2を含め全ての通信装置がこれを受信する。
ステップS1503において、通信装置100−2は、確認用位置情報369とともに位置情報確認命令を受信すると、位置情報を確認する。
具体的に、通信装置100−2の位置情報確認手段313は、確認用位置情報369と、自身の記憶手段300に記憶した位置情報302とを比較し、確認用位置情報369と位置情報302が一致する場合、又は確認用位置情報369に位置情報302が含まれる場合、自身の記憶手段300に記憶した位置情報302の確かさを確認する。
一方、確認用位置情報369と位置情報302が一致しない場合、又は確認用位置情報369に位置情報302が含まれない場合、自身の記憶手段300に記憶した位置情報302の確かさを確認しない(確認できない)。
ステップS1504において、通信装置100−2は、管理装置140−2を介し、管理サーバ160−2に、自身の識別情報とともに確認結果を応答する。なお、確認結果は、確認OK、又は確認NGがある。
ステップS1505において、通信装置100−2は、確認結果がNG、つまり位置情報302の確かさが確認されない場合、確認結果NGを示す動作を実施する。例えば、上述したように、通信装置がLED蛍光管等の照明器具に組み込まれている場合には、LED蛍光管のLEDランプを点灯又は点滅させる制御を行う。また、何らかの音声(ブザー音、アラート音等)を発してもよい。
なお、ステップS1502では、通信装置102−2、104−2、106−2を含め全ての通信装置が位置情報確認命令を受信する。このため、これら通信装置を含め、通信装置100−2と同様に、ステップS1502〜S1505の動作を行う。
図16は、本発明の一実施形態における通信装置100−2の有する位置情報302の一例を示す。位置情報302が(a)〜(c)の場合、図13の確認用位置情報369を用いて、位置情報302の確かさを確認する。
通信装置100−2の有する位置情報302が(a)の場合、この通信装置の有する位置情報302は、図13の確認用位置情報369の「階数」:16、「棟」:Cに一致する。また、「緯度」:35.45900−35.46000、「経度」:139.38700−139.38800に含まれる。従って、(a)の場合、位置情報確認手段313は、確認用位置情報369と、自身の記憶手段300に記憶した位置情報302とを比較し、自身の記憶手段300に記憶した位置情報302の確かさを確認する。これは、通信装置は本来取り付けられるべき物理的範囲(例えば、図14の部屋内)に正しく取り付けられていることを示す。
通信装置100−2の有する位置情報302が(b)の場合、この通信装置の有する位置情報302は、図13の確認用位置情報369の「階数」:16、「棟」:Cに一致する。しかし、「緯度」:35.45900−35.46000、「経度」:139.38700−139.38800に含まれない。従って、(b)の場合、位置情報確認手段313は、確認用位置情報369と、自身の記憶手段300に記憶した位置情報302とを比較し、自身の記憶手段300に記憶した位置情報302の確かさを確認しない。これは、通信装置は本来取り付けられるべき物理的範囲(例えば、図14の部屋内)に正しく取り付けられていないことを示す。例えば、同一の16階、C棟ではあるものの、別の部屋に取り付けるべき通信装置であることを示す。
通信装置100−2の有する位置情報302が(c)の場合、この通信装置の有する位置情報302は、図13の確認用位置情報369の「階数」:16、「棟」:Cに一致しない。従って、(c)の場合、位置情報確認手段313は、確認用位置情報369と、自身の記憶手段300に記憶した位置情報302とを比較し、自身の記憶手段300に記憶した位置情報302の確かさを確認しない。これは、通信装置は本来取り付けられるべき物理的範囲(例えば、図14の部屋内)に正しく取り付けられていないことを示す。例えば、別のフロアである3階に取り付けるべき通信装置であることを示す。
図17は、本発明の一実施形態における管理サーバの確認結果画面の例を表す。管理者等は、管理サーバ160−2を操作し、その部屋を管理下におく管理装置に対し、位置情報確認命令を発行する。これにより、その部屋に取り付けられた各通信装置により受信され、確認結果が応答される。
その結果、図に示されるように、管理サーバ160−2は、通信装置100−2、102−2、104−2、106−2のうち、一以上の通信装置から確認NGを受信すると、管理装置の管理下範囲において、例えば、「この位置内において、通信装置の取り付けに誤りがあります。確認して下さい。」との表示を行う。複数存在する場合には、その台数を表示することもできる。また、確認結果が確認OKの無線端末の識別情報、及び/又は、確認結果が確認NGの無線端末の識別情報のリスト表示等を併せて行うことも可能である(非図示)。
通信装置100−2は、確認結果がNGの場合、例えば、LED蛍光管のLEDランプが点灯又は点滅しているため、管理者等は、取り付けに誤りのある通信装置を目視でも特定できる。そして、天井等から、その誤って取り付けられている通信装置を取り外し、本来そこに取り付けられるべき別の正しい通信装置の取り付けを行うことになる。
<実施例2>
上述の実施例1に続いて、位置情報管理システム1において、通信装置を取り違え(取り付け間違い)を検知する仕組みを導入する。上述の実施例1とは、通信装置(通信装置100−3とする)の機能の一部が異なっている。以下、詳しく説明する。
(通信装置100−3の機能)
図18は、本発明の一実施形態における通信装置100−3の機能ブロック図を表す。通信装置100−3は、図11と比べると、さらに周囲位置情報受信手段311及び確認用位置情報算出手段314を有する。
確認命令受信手段307は、管理サーバ160−2から位置情報確認命令が送信されると、管理装置140−2を介し、同位置情報確認命令を受信する。また、管理装置140−2から、同位置情報確認命令とともに、確認用位置情報を受信する。
位置情報確認手段313は、確認命令受信手段307より、位置情報確認命令が受信されると、位置情報確認命令とともに受信された確認用位置情報を用いて、自身の記憶手段300に記憶した位置情報302の確かさを確認する。また、確認命令応答手段309は、確認結果を、管理装置140−2を介し管理サーバ160−2に応答する。
周囲位置情報受信手段311は、確認命令受信手段307が位置情報確認命令とともに、確認用位置情報を受信できない場合、つまり、位置情報確認命令のみを受信した場合、周囲の通信装置から送信されてくる位置情報(周囲位置情報という)を受信する。
確認用位置情報算出手段314は、周囲の通信装置より受信した周囲位置情報を用いて、確認用位置情報を算出(推測)する。ここで算出された確認用位置情報は、位置情報確認手段313により、自身の記憶手段300に記憶した位置情報302の確かさを確認するために用いられる。
以上のように、通信装置100−3は、図11と比べると、位置情報確認命令とともに、確認用位置情報を受信できない場合、周囲位置情報受信手段311及び確認用位置情報算出手段314によって、確認用位置情報を自身で算出する。そもそも、確認用位置情報は、管理装置140−2から位置情報確認命令とともに送信されるが、例えば、管理装置140−2が確認用位置情報を有しない場合、当該ケースに該当する。
本実施例2の場合、通信装置100−3は、管理サーバ160−2から確認用位置情報369を受信できなくとも、確認用位置情報を自身で算出するため、管理者等は、管理サーバ160−2に確認用位置情報369を予め記憶する手間を省略することができる。
なお、通信装置100−3が確認用位置情報を自身で算出するためには、前提として、周囲位置情報を用いることから、通信装置100−3の周囲には他の通信装置が他にも存在するものとする。
(動作シーケンス)
図19は、本発明の一実施形態における位置情報確認の動作シーケンスを表す図である。また、図20は、本発明の一実施形態における管理装置が管理するネットワーク180を説明する図である。図中、通信装置は、通信装置100−3、102−3、104−3、106−3の4台存在する。このうち、通信装置102−3、104−3、106−3は、図に示される位置情報を有しており、取り付けに誤りはないものとする。一方、通信装置100−3は、図に示される(a)〜(c)の3パターンのうち、いずれかの一の位置情報を有する。(b)、(c)は取り付けに誤りがあるケースに該当する(詳細後述)。
本図では、通信装置100−3の動作に着眼して説明を行うが、通信装置102−3、104−3、106−3を含め全ての通信装置も、位置情報確認命令を受信した場合、本図の通信装置100−3と同様の動作を行う。以下、動作シーケンスに沿いつつ、説明する。
ステップS1901において、管理サーバ160−2は、位置情報確認命令を送信する。具体的には、例えば、管理者等が管理サーバ160−2を操作し、管理装置(例えば、管理装置140−2)を指定のうえ、位置情報確認命令を発行する。上述の実施例1での位置情報確認命令は、指定された管理装置に対応付けられた確認用位置情報369とともに、当該管理装置に対し送信されるが、ここでは、管理サーバ160−2の記憶部366には確認用位置情報369が記憶されておらず、確認用位置情報369を取得できなかったものとする。よって、ここでの位置情報確認命令は、確認用位置情報369を含まない。
ステップS1902において、管理装置140−2は、受信した位置情報確認命令のみを、管理装置140−2が管理するネットワーク180に対し送信する。送信は、例えばブロードキャスト通信のように、ネットワーク180の全体に対し送信される。この後、通信装置100−2は、位置情報確認命令を受信するが、ここでは、確認用位置情報369は受信されないため、直ちには位置情報を確認することはできない。
ステップS1903〜1905において、周囲の通信装置102−3、104−3、106−3は、それぞれ、IMES、ZigBee等を用いて位置情報を連続的又は断続的に送信する。
ステップS1906において、通信装置100−3は、周囲の通信装置102−3、104−3、106−3から送信される周囲位置情報を受信する。ここで、具体的に取得される周囲位置情報は、図20を参照すれば、以下の通りである。
「階数」:16、「緯度」:35.459484、「経度」:139.38737、「棟」:C
「階数」:16、「緯度」:35.459453、「経度」:139.38735、「棟」:C
「階数」:16、「緯度」:35.459402、「経度」:139.38737、「棟」:C
ステップS1907において、通信装置100−3は、周囲の通信装置より受信した周囲位置情報を用いて、確認用位置情報を算出(推測)する。確認用位置情報算出方法(確認用位置情報推測方法)は、例えば以下のように算出できる。
まず、「階数」及び「棟」については、一意に算出できる。ここで受信した周囲位置情報は、全て「階数」:16、「棟」:Cであるから、確認用位置情報のうち、「階数」及び「棟」については、「階数」:16、「棟」:Cであると算出する。なお、情報処理としては、全ての周囲位置情報の「階数」及び「棟」について、多数決を取って、最も多い値を、確認用位置情報の「階数」及び「棟」とすればよい
次に、「緯度」及び「経度」については、一定範囲をもって算出する。例えば、周囲位置情報の中から、「緯度」の最大値及び最小値を取得し、最大値〜最小値の範囲を確認用位置情報の「緯度」とする。「経度」についても同様である。この場合、確認用位置情報の「緯度」及び「経度」については次のように算出される。
「緯度」:35.459402〜35.459484
「経度」:139.38735〜139.38737
但し、確認用位置情報のうち一定範囲をもって算出すべき値については、一定分の許容範囲(α)を与える。許容範囲(α)は、管理者等によって適切な値が定められる。具体的に、「緯度」及び「経度」については、最大値〜最小値の範囲の前後に一定分の許容範囲(例えば、0.001程度)を与えてよい。
「緯度」:(35.459402−0.001)〜(35.459484+0.001)
「経度」:(139.38735−0.001)〜(139.38737+0.001)
以上から、ここで算出される確認用位置情報は、次の通りである。
「階数」:16、「緯度」:35.458402〜35.460484、「経度」:139.38635〜139.38837、「棟」:C
ステップS1908において、通信装置100−3は、確認用位置情報が算出されると、算出された確認用位置情報を用いて、位置情報を確認する。
具体的に、通信装置100−3の位置情報確認手段313は、算出された確認用位置情報と、自身の記憶手段300に記憶した位置情報302とを比較し、算出された確認用位置情報と位置情報302が一致する場合、又は算出された確認用位置情報に位置情報302が含まれる場合、自身の記憶手段300に記憶した位置情報302の確かさを確認する。
一方、算出された確認用位置情報と位置情報302が一致しない場合、又は算出された確認用位置情報に位置情報302が含まれない場合、自身の記憶手段300に記憶した位置情報302の確かさを確認しない(確認できない)。
ここで、図20を参照する。通信装置100−3の位置情報が(a)〜(c)の場合、算出された確認用位置情報用いて、位置情報確かさを確認する。
通信装置100−3の有する位置情報302が(a)の場合、位置情報確認手段313は、算出された確認用位置情報と、自身の記憶手段300に記憶した位置情報302とを比較し、自身の記憶手段300に記憶した位置情報302の確かさを確認する。これは、通信装置は本来取り付けられるべき物理的範囲(例えば、図20の部屋内)に正しく取り付けられていることを示す。
通信装置100−3の有する位置情報302が(b)の場合、この通信装置の有する位置情報302は、算出された確認用位置情報369の「階数」:16、「棟」:Cに一致する。しかし、「緯度」:35.458402〜35.460484に含まれない。従って、(b)の場合、自身の記憶手段300に記憶した位置情報302の確かさを確認しない。これは、通信装置は本来取り付けられるべき物理的範囲(例えば、図20の部屋内)に正しく取り付けられていないことを示す。例えば、同一の16階、C棟ではあるものの、別の部屋に取り付けるべき通信装置であることを示す。
通信装置100−3の有する位置情報302が(c)の場合、この通信装置の有する位置情報302は、算出された確認用位置情報369の「階数」:16、「棟」:Cに一致しない。従って、(c)の場合、位置情報確認手段313は、自身の記憶手段300に記憶した位置情報302の確かさを確認しない。これは、通信装置は本来取り付けられるべき物理的範囲(例えば、図20の部屋内)に正しく取り付けられていないことを示す。例えば、別のフロアである3階に取り付けるべき通信装置であることを示す。再び図19に戻る。
ステップS1909において、通信装置100−3は、管理装置140−2を介し、管理サーバ160−2に、自身の識別情報とともに確認結果を応答する。なお、確認結果は、確認OK、又は確認NGがある。
ステップS1910において、通信装置100−3は、確認結果がNG、つまり位置情報302の確かさが確認されない場合、確認結果NGを示す動作を実施する。例えば、上述したように、通信装置がLED蛍光管等の照明器具に組み込まれている場合には、LED蛍光管のLEDランプを点灯又は点滅させる制御を行う。また、何らかの音声(ブザー音、アラート音等)を発してもよい。
以上、本実施例2の場合、通信装置100−3は、管理サーバ160−2から、位置情報確認命令とともに確認用位置情報369を受信できなくとも、確認用位置情報を自身で算出するため、管理者等は、管理サーバ160−2に確認用位置情報369を予め記憶する手間を省略することができる。一方、実施例2の場合、周囲位置情報は確かなものと信頼することが前提であるため、仮に周囲の通信装置にも取り付け誤りがあった場合、算出される確認用位置情報の精度に影響を及ぼす可能性がある。よって、運用的に手間軽減よりも確認精度を重視する場合には、上述の実施例1を実施するとよい。
[総括]
以上、本実施形態によれば、適切で効率的に位置情報を管理する位置情報管理システムを提供することが可能である。なお、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。