以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
1.システム
2.ハードウェア構成例
3.機能
4.動作シーケンス
(1.システム)
図1Aは本発明の一実施形態における位置情報管理システム1を表す。図1Aは、通信装置100、102、104、106、無線端末120、122、124、管理装置140、管理サーバ160、通信装置と無線端末と管理装置とから構成されるネットワーク180及びネットワーク190を有する。ここで、ネットワーク180は、管理装置140によって管理される無線ネットワークである。図1Bは、図1Aにおいて無線ネットワークを構成する通信装置100、102、104、106、無線端末120、122、124、管理装置140を抜き出して示したものである。
通信装置100、102、104、106は、例えば部屋の天井等に固定され、固定された位置に係る、経緯情報、建物の階数及び棟番号のような位置情報(以下「位置情報」とする)そのものを連続的又は断続的に無線送信する。通信装置は、それぞれ独立した筐体を有し、予め設置された電源から給電されて動作するか、あるいはLED蛍光管のような照明器具に組み込まれ、該照明器具から給電されて動作する。通信装置100、102、104、106は、それぞれが保持する位置情報を、無線信号により所定の範囲に送信する。所定の範囲は、用いられる無線信号の信号強度によって定められる。通信装置は、位置の管理対象となる領域をカバーするように配置され、それぞれの領域が重複しないように構成される。あるいは、重複する場合であっても、位置情報を受信する側において、受信電波の強度に基づいて、何れか一つの通信装置が決定できるよう構成される。図1Aの例では、それぞれの通信装置の下方に示される円錐型の点線が、所定の範囲を表している。位置情報を送信する通信方式として、例えば地上補完信号(Indoor Messaging System;IMES)を用いることができる。
無線端末120、122、124は、通信装置100、102、104、106のうち、最寄の通信装置が送信する無線信号を受信することができる。図1Aの例では、それぞれの無線端末は、位置を管理する対象である直方体の管理対象物に付されている。無線端末120、122、124は、自らも電波を送信可能な、例えばアクティブタグのような端末である。以下、無線端末120について説明する。
無線端末120は、通信装置100からの無線信号を受信できる範囲にあり、所定のタイミングで通信装置100の位置情報を受信する。所定のタイミングとは、例えば、一定の時間間隔か、あるいは所定の時刻である。無線端末120は、通常は低消費電力状態にあるが、位置情報の受信に合わせて通常動作状態に復帰し、再度低消費電力状態に戻る。通信装置100の位置情報の受信は、例えばIMESを用いて行われる。無線端末120は、受信した位置情報と共に、例えばネットワークアドレスのような自らの識別情報を含む情報を所定のタイミングで通信装置100へ送信する。所定のタイミングとは、例えば、一定の時間間隔か、所定の時刻か、あるいは通信装置から位置情報を受信した後である。無線端末120は、通常は低消費電力状態にあるが、識別情報及び位置情報の送信に合わせて通常動作状態に復帰し、再度低消費電力状態に戻る。識別情報及び位置情報の送信は、例えばIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)のような近距離無線通信によるネットワーク180を通じて行われる。この場合には、無線端末120の識別情報として、IEEE802.15.4の短縮アドレスまたはIEEE拡張(MAC)アドレスを用いることができる。通信装置100へ送信された識別情報と位置情報は、次に、隣接する通信装置102を経由して、管理装置140に送信される。なお、無線端末120における送受信の動作は、当該無線端末120の備える加速度センサによる加速度の変化が検出された後に行われてもよい。
また、無線端末120は、通信装置100を通じて、管理サーバ160へ、前記所定のタイミングに関する設定情報を問い合わせる。そして、通信装置100を通じて管理サーバ160から取得した設定情報に基づいて、前記位置情報の受信又は前記識別情報と位置情報の送信を行う。なお、該設定情報には、無線端末120による、前記設定の問い合わせを行うタイミングに関する設定も含まれており、無線端末120は、該設定に基づいて前記問い合わせを行う。
管理装置140は、ネットワーク180とネットワーク190とを相互に接続し、ネットワーク180側から送信されたデータをネットワーク190にブリッジする。管理装置140は、例えば建物のフロア毎、または壁などで仕切られた部屋毎に設置される。ネットワーク180がIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)によるPAN(Personal Area Network)であり、ネットワーク190がIEEE802.3規格に基づくLANである場合には、それらの間での通信方式の変換を行う。また、無線端末120の識別情報がIEEE802.15.4の短縮アドレスで表されている場合には、PAN構成時の情報に基づきIEEE拡張アドレスに変換し、管理サーバ160に送信する。
管理サーバ160は、管理装置140を経由して受信された識別情報と位置情報とを、受信日時と共に記録し、通信装置の位置を管理する。管理サーバ160では、無線端末に係る管理対象物が予め記録されている。よって、これらの情報を用いて、管理対象物の所在を探索することができる。また、管理サーバ160は、各通信装置の動作に関する設定情報を保持し、各通信装置からの問い合わせに応じて、各通信装置へ設定情報を送信する。
ネットワーク180は、それぞれの通信装置100、102、104、106と、無線端末120、122、124と、管理装置140とを接続する、例えばIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格によって構成されるPANである。PANがIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格で構成される場合は、無線端末、通信装置、管理装置は、それぞれZigBee(登録商標)規格で定められるエンドデバイス機能、ルータ機能及びコーディネータ機能を有する。そして、それぞれの通信装置及び無線端末は、起動時に管理装置の管理下に入り、PANを構成し、管理装置への最小経路が決定される。
ネットワーク190は、管理装置140と管理サーバ160とを接続するネットワークであり、例えばIEEE802.3規格で定められるLANである。
上記の通り、本発明の一実施形態における位置情報管理システム1において、無線端末は、最寄の通信装置と通信できるだけの電力を用いて、識別情報と位置情報とを管理サーバへ送信することができる。また、無線端末は、最寄の通信装置と通信できるだけの電力で、管理サーバから動作設定に係る情報を受け取ることができる。また、通信装置を設置するための新たなインフラの敷設が不要であり、導入コストを低減することができる。
なお、通信装置の位置情報は、ネットワーク180を通じて提供されてもよい。これにより、IMESのような位置情報を送信するための送信手段が不要となる。
また、無線端末は、位置情報を送信した通信装置よりさらに近傍に管理装置が存在する場合には、識別情報と位置情報とを管理装置140に送信してもよい。これにより、最短経路で識別情報と位置情報が管理サーバに送信できる。
また、管理サーバに、管理装置の機能を統合してもよい。これにより、個別の管理装置が不要となる。
また、無線端末は、スマートフォン、PDA、PC又はスマートメータのような、アクティブタグと同等の機能を有する無線端末であってもよい。これにより、タグを付することなく、既存の無線端末の位置情報の管理が可能となる。
また、上述の位置情報に加えて、例えば部屋の中の区画を表す情報のような、より細かな位置を特定する情報を含んでもよい。これにより、より細かな位置管理が可能となる。
また、位置管理対象が人であってもよい。これにより、当該システム1によって人の所在を管理することができる。
また、ネットワーク180は、例えばBluetooth LE、ANT、Z-Wave等の近距離無線通信を用いて構成されてもよい。これにより、多様な無線端末の位置情報を管理することが可能となる。
また、ネットワーク190は、例えばインターネットのような、複数の種類のネットワークを含んでもよい。これにより、ネットワーク180と管理サーバ160との間の物理的な位置に関係なく、無線端末の位置情報を管理することが可能となる。
(2.ハードウェア構成例)
次に、図2A、2B、2C、2Dを用いて、位置情報管理システム1に含まれる通信装置100、無線端末120、管理装置140、管理サーバ160のハードウェア構成について説明する。
図2Aは、本発明の一実施形態における通信装置100のハードウェア構成を表す。通信装置100は、CPU200、RAM202、ROM204、位置信号送信制御部206、位置信号送信部208、無線通信制御部210、無線通信部212及びバス214を有する。
CPU200は、当該通信装置100の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM202は、CPU200のワークエリア等を構成する。ROM204は、CPU200が実行するプログラムに加えて、当該通信装置100の位置情報を記憶する。位置信号送信制御部206は、位置信号送信部208を介して当該通信装置100の位置情報を表す測位信号を送信するための処理を実行する。位置信号送信部208は、例えばIMESのような測位信号を送出するアンテナを含む装置である。無線通信制御部210は、無線通信部212を介して無線通信処理を実行する。無線通信部212は、例えばIEEE802.15.4規格に適合する電波を送受信可能なアンテナを含む装置である。バス214は、上記装置を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態における通信装置100は、無線端末120に対して位置情報を送信し、無線端末120から識別情報と位置情報を受信し、これらの情報を管理装置を介して管理サーバへ送信することができる。
なお、上述したように、位置情報を無線通信によって送信する場合には、位置信号送信制御部206と位置信号送信部208は不要となる。
図2Bは、本発明の一実施形態における無線端末120のハードウェア構成を表す。通信端末120は、CPU220、RAM222、ROM224、位置信号受信制御部226、位置信号受信部228、無線通信制御部230、無線通信部232、加速度検出制御部234、加速度検出部236及びバス238を有する。
CPU220は、当該無線端末120の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM222は、CPU220のワークエリア等を構成する。ROM224は、CPU220が実行するプログラムに加えて、当該無線端末120の識別情報、通信装置100から受信した位置情報又は設定情報等を記憶する。位置信号受信制御部226は、位置信号受信部228を介して、位置情報を表す測位信号を受信するための処理を実行する。位置信号受信部228は、例えばIMESのような測位信号を受信するアンテナを含む装置である。無線通信制御部230は、無線通信部232を介して無線通信処理を実行する。無線通信部232は、例えばIEEE802.15.4規格に適合する電波を送受信可能なアンテナを含む装置である。加速度検出制御部234は、加速度検出部236を介して加速度の変化を検出する。加速度検出部236は、例えば加速度センサ又は慣性力や磁気を用いたモーションセンサである。バス238は、上記装置を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態における無線端末120は、通信装置100から位置情報を受信し、前記位置情報と共に自らの識別情報を通信装置100へ送信することができる。特に、無線端末が動かされたタイミングで送信又は受信の動作を行うことにより、効率的に識別情報及び位置情報を送信することができる。
なお、無線端末120がスマートフォンやPCのような情報端末である場合には、ユーザからの入力を受け付ける、例えばタッチパネル、ダイヤルキー、キーボード、マウスのような入力装置及び対応する入力制御部を備えてもよい。さらに、スクリーンのような表示装置及び対応する表示制御部を備えてもよい。
また、無線端末120がGPSアンテナ及び対応する制御部を備える場合には、前記アンテナを用いてIMESによる測位信号を受信でき、ソフトウェアの改修のみによって当該位置情報管理システム1に対応させることができる。
また、加速度検出制御部234及び加速度検出部236は任意の構成要素である。加速度検出制御部234及び加速度検出部236を備えない場合には、当該無線端末120の送信又は受信の動作は、予め定められた間隔又は時刻においてなされる。
また、上述したように、位置情報が無線通信によって受信される場合には、位置信号受信制御部226と位置信号受信部228は不要となる。
図2Cは、本発明の一実施形態における管理装置140のハードウェア構成を表す。管理装置140は、CPU240、RAM242、ROM244、無線通信制御部246、無線通信部248、有線通信制御部250、有線通信部252及びバス254を有する。
CPU240は、当該管理装置140の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM242は、CPU240のワークエリア等を構成する。ROM244は、CPU240が実行するプログラムや該プログラムが使用するデータを記憶する。無線通信制御部246は、無線通信部248を介して無線通信処理を実行する。無線通信部248は、例えばIEEE802.15.4規格に適合する電波を送受信可能なアンテナを含む装置である。有線通信制御部250は、有線通信部252を介して有線による通信処理を実行する。有線通信部252は、例えばIEEE802.3規格に適合するネットワークインターフェースを有する装置である。バス254は、上記装置を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態における管理装置140は、通信装置100及び無線端末120を含むネットワーク180からの信号を、管理サーバ160を含むネットワーク190へと変換することができる。また、PANを構成するネットワーク180がZigBee(登録商標)である場合には、PANに参加するデバイスを管理するコーディネータの機能を有することができる。
図2Dは、本発明の一実施形態における管理サーバ160のハードウェア構成を表す。管理サーバ160は、CPU260、RAM262、ROM264、HDD266、通信制御部268、通信装置270、表示制御部272、表示装置274、入力制御部276、入力装置278及びバス280を有する。
CPU260は、当該管理サーバ160の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM262は、CPU260のワークエリア等を構成する。ROM264は、CPU260が実行するプログラムや該プログラムが使用するデータを記憶する。HDD266は、当該位置情報管理システム1で用いられる無線端末の位置を管理するための情報又は無線端末の設定情報を記憶する。通信制御部268は、通信装置270を介して通信処理を実行する。通信装置270は、例えばIEEE802.3規格に適合するネットワークインターフェースを有する装置である。表示制御部272は、当該管理サーバ160上で実行される、位置管理に係るプログラムの処理内容に合わせて、表示装置274に表示される内容を制御する。表示装置274は、例えば液晶ディスプレイやCRTディスプレイのようなディスプレイが含まれる。入力制御部276は、ユーザからの入力を受け付ける、キーボード、マウス等の入力装置278からの信号を処理する。バス280は、上記装置を電気的に接続する。
上記構成により、本発明の一実施形態における管理サーバ160は、無線端末120の位置を管理し、該無線端末120の所在を探索することができる。
なお、HDD266は、テープドライブを含むあらゆる記憶装置であってもよく、あるいは、ネットワークを介してアクセス可能なストレージ領域であってもよい。
また、管理サーバ160は、上述した管理装置140が備える無線通信制御部及び無線通信装置を備え、管理装置140に代えて、その処理を行ってもよい。これにより、管理装置140を別途設ける必要がなくなる。
(3.機能)
図3Aは、本発明の一実施形態における通信装置100の機能ブロック図を表す。本発明の一実施形態における通信装置100は、記憶手段300、通信手段304、制御手段312及び中継手段314を有する。
記憶手段300は、当該通信装置100の位置情報302を記憶する。位置情報302を記憶するためのテーブルの例を図4に示す。図4は、階数、緯度、経度、棟番号の項目を含む。階数は、当該通信装置100が設置される建物の階数を表す。緯度及び経度は、当該通信装置100の所在する位置の緯度及び経度を表す。棟番号は、当該通信装置100が設置される建物の棟番号を表す。図4の例では、通信装置100は、ある建物のC棟の16階に所在し、緯度が35.459555、経度が139.387110の地点に所在する。
通信手段304は、位置情報送信手段306、端末情報受信手段308及び端末情報送信手段310を有する。
位置情報送信手段306は、経緯情報、建物の階数、棟番号のような情報を含む位置情報302を、所定の範囲にある無線端末120に対して連続的又は断続的に無線送信する。位置情報302は、例えばIMESに規定されるフォーマットを用いて送信される。
端末情報受信手段308は、無線端末120から送信された識別情報と位置情報とを受信する。
端末情報送信手段310は、無線端末120から送信された識別情報と位置情報とを、管理装置140を介して管理サーバ160へ送信する。ネットワーク180がZigBee(登録商標)規格を用いてなされる場合には、前記送信は、当該通信装置100が保持するルーティング情報を用いて行われる。
制御手段312は、当該通信装置100の動作を制御する。当該通信装置100が無線端末120及び管理装置140とZigBee(登録商標)を用いてPANを構成する場合には、当該通信装置100がルータ機能を提供するよう制御する。
中継手段314は、無線端末120から受信した、無線端末120の設定に係る問い合わせに係る通信を、管理サーバ160へ中継する。あるいは、前記問い合わせに応じて管理サーバ160から送信された設定情報に係る通信を、無線端末120へ中継する。
上記構成により、本発明の一実施形態における通信装置100は、位置情報302を保持し、位置情報302を無線端末120に送信し、該無線端末120の識別情報と位置情報を受信して、該識別情報を管理装置140を通じて管理サーバへ送信することができる。また、無線端末と管理サーバとの間の設定に係る通信を中継することができる。
なお、位置情報302は、通信装置100が設置される建物名や、部屋の中の区画を表す情報のような追加の情報を含んでもよい。これにより、より細かな位置管理が可能となる。
図3Bは、本発明の一実施形態における無線端末120の機能ブロック図を表す。本発明の一実施形態における無線端末120は、記憶手段320、通信手段326、加速度検出手段332、制御手段334及び設定問い合わせ手段336を有する。
記憶手段320は、識別情報322、位置情報324及び設定情報338を有する。識別情報322は、当該無線端末120のネットワークアドレスのような、当該位置情報管理システム1上で無線端末120を特定可能な情報を含む。例えば、ネットワーク180がIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格に基づく場合には、IEEE802.15.4の短縮アドレス又はIEEE拡張(MAC)アドレスを用いることができる。位置情報324は、通信装置100から送信された位置情報302である。位置情報324を記憶するためのテーブルの例を図5に示す。構成は図4と同様である。
設定情報338は、例えば、通信装置100から送信される位置情報を受信するタイミングや、通信装置100へ識別情報及び位置情報を送信するタイミングの設定を含む。また、設定情報338は、前記設定を管理サーバ160へ問い合わせるタイミングを含む。該設定を記憶するテーブルの例を図6Bに示す。
図6Bは、動作モード1、動作モード2、動作モード3、送信出力の項目を有する。動作モード1は、通信装置100から送信される位置情報を受信するタイミングを規定する。動作モード2は、通信装置100へ識別情報及び位置情報を送信するタイミングを規定する。動作モード3は、管理サーバ160へ設定を問い合わせるタイミングを規定する。送信出力は、当該無線端末120の電波の送信出力を規定する。ここで、動作モードには、定期動作を表す「PE」、定時動作を表す「RT」、又は位置情報の受信の後に行うことを表す「SE」を指定することができる。PE、RTの後には、それぞれ時間間隔又は時刻を特定する数値を指定することができる。
図6Bの例において、動作モード1における「PE300」とは、300秒に1回、通信装置100からの位置情報の受信を行うことを意味する。また、図示しないが、例えば動作モード3が「RT1330」のように指定された場合には、毎日13時30分に管理サーバ160へ設定を問い合わせることを意味する。それぞれの動作モードは独立して設定可能であるが、動作モード1に「SE」を指定することはできない。また、動作モード2は「SE」と規定されることが多い。一般的に、位置情報の受信の後は、続けざまに通信装置100へ識別情報及び位置情報を送信するためである。
なお、時間間隔、時刻及び動作モードの指定方法、表記方法は任意であり、この例に限られない。
通信手段326は、位置情報受信手段328と識別情報送信手段330を有する。
位置情報受信手段328は、通信装置100から送信された位置情報302を受信する。受信された位置情報302は、当該無線端末120の記憶手段320に保持される。
識別情報送信手段330は、当該無線端末120の識別情報322と共に位置情報324を通信装置100に送信する。位置情報322は、例えば図6のようなフォーマットにより無線端末120に送信される。図5のフォーマットでは、階数、緯度、経度、棟番号の各フィールドが、それぞれ9ビット、21ビット、21ビット、8ビットで表現され、IMES規格によって受信したメッセージの該当フィールドを繋げた形とする。各フィールドの表現形式はIMES規格に準ずる。実際には、このフォーマットに加えて、通信方式によって規定されるヘッダやチェックサム情報が付加されて送信される。通信方式として、例えばIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格が用いられる。
加速度検出手段332は、当該無線端末120の加速度の変化を検出する。加速度の変化は、例えば当該無線端末120が移動を開始した時、該移動が停止した時、又は傾きを検出した時等に検出される。検出された加速度の変化は、上述した動作モードの設定とともに、あるいは該設定に代えて、当該無線端末120の位置情報の受信、識別情報と位置情報の送信、又は設定の問い合わせのタイミングを決定するために用いることができる。例えば、位置情報の受信は、動作モード1で指定されたタイミングで実行されるが、当該加速度検出手段332が加速度の変化を検出した場合には、動作モードの設定に関わらず実行されてもよい。なお、当該加速度検出手段332は任意の構成要素である。加速度検出手段332が存在しない場合には、当該無線端末120の位置情報の受信、又は識別情報と位置情報の送信のタイミングは、上述した動作モードの設定に従って行われる。
制御手段334は、位置情報受信手段238による位置情報の受信のタイミングと、識別情報送信手段330による識別情報322と位置情報324との送信のタイミングを制御する。送受信のタイミングは、加速度検出手段332による加速度の変化の検出に基づいて決定される。あるいは、当該無線端末120に予め設定された間隔あるいは時刻に基づいて決定されてもよい。また、送信と受信のタイミングは、それぞれ独立して決定されてもよい。さらに、制御手段334は、当該無線端末120が通信装置100及び管理装置140と共にZigBee(登録商標)によりPANを構成する場合には、当該無線端末120がエンドポイント機能を提供するよう制御する。
設定問い合わせ手段336は、通信装置100を介して、管理サーバ160へ、設定情報338に関する問い合わせを行う。該問い合わせは、設定情報338に含まれる動作モード3で指定されるタイミングで行われ得る。当該問い合わせに対応する、管理サーバ160から送信された設定情報は、通信手段326を通じて受信され、設定情報338として記憶される。
上記構成により、本発明の一実施形態における無線端末120は、通信装置から位置情報を効率的に受信し、該位置情報と共に識別情報通信装置へ効率的に送信することができる。また、最寄の通信装置と通信できるだけの電力で、管理サーバから動作に係る設定情報を取得することができる。
なお、無線端末120がスマートフォンやPCのような情報端末である場合には、ユーザからの入力を受け付ける入力手段や、ユーザに情報を提示する表示手段を備えてもよい。これにより、ユーザへの識別情報又は位置情報の提示や、ユーザからの識別情報又は位置情報の入力又は修正が可能となる。
図3Cは、本発明の一実施形態における管理装置140の機能ブロック図を表す。本発明の一実施形態における管理装置140は、通信手段340、変換手段346及び制御手段348を有する。
通信手段340は、受信手段342と送信手段344を有する。受信手段342は、ネットワーク180に属する通信装置又は無線端末から送信されたデータを受信する。送信手段344は、当該管理装置140で変換された前記データを、ネットワーク190に属する管理サーバ160へ送信する。ネットワーク180は、例えばIEEE802.15.4及びZigBee(登録商標)規格に基づくPANである。また、ネットワーク190は、例えばIEEE802.3規格に基づくLANである。
変換手段346は、受信手段342がネットワーク180から受信したデータを、ネットワーク190に適合する形式に変換する。変換されたデータは、送信手段344によって、ネットワーク190を介して管理サーバ160へ送信される。ここで、前記データに含まれる、無線端末120の識別情報が、IEEE802.15.4の短縮アドレスで表されている場合には、PAN構成時の情報に基づき、IEEE拡張アドレスに変換される。
制御手段348は、当該管理装置140の動作を制御する。当該管理装置140が通信装置100と無線端末120と共にZigBee(登録商標)規格によりPANを構成する場合には、当該管理装置140がコーディネータ機能を提供するよう制御する。
上記構成により、本発明の一実施形態における管理装置140は、通信装置100及び無線端末120が属するネットワーク180と、管理サーバが属するネットワーク190との間の通信をブリッジすることができる。
図3Dは、本発明の一実施形態における管理サーバ160の機能ブロック図を表す。本発明の一実施形態における管理サーバ160は、通信手段360、記憶手段366、入力手段370、表示手段372及び制御手段374を有する。
通信手段360は、受信手段362と送信手段364を有する。
受信手段362は、管理装置140を通じて無線端末から送信された識別情報と位置情報とを受信する。受信された識別情報と位置情報は、記憶手段366に記憶される。
送信手段364は、設定情報送信手段376を有し、外部サーバ等に対して位置情報の提供を求められた場合に、該位置情報を前記外部サーバ等に送信する。
設定情報送信手段376は、無線端末100からの設定の問い合わせに応じ、後述する設定情報378を、無線端末100へと送信する。設定情報が送信された日時は、後述する設定情報378の一項目として記録され得る。
記憶手段366は、位置管理情報368及び設定情報378を有する。
位置管理情報368は、無線端末120から受信した識別情報と位置情報に、受信時刻等の管理情報を付加した情報である。該情報を記憶するテーブルの例を図7Aに示す。図7Aは、識別情報、機器名、所有部署、緯度、経度、階数、棟、受信日時の項目を有する。識別情報は、当該識別情報を送信した無線端末120の、例えばIEEE拡張アドレスのような情報である。緯度、経度、階数、棟は、識別情報と共に受信された位置情報に対応する。受信日時は、管理サーバ160が当該情報を受信した日時である。機器名は、当該情報を送信した無線端末120が付される管理対象の名前又は無線端末120の機器名である。所有部署は、当該情報を送信した無線端末120を所有する部署名である。機器名及び所有部署の情報は、予め当該管理サーバ160によって、識別情報と関連付けられている。
設定情報378は、各無線端末の、位置情報の受信のタイミング、識別情報と位置情報の送信のタイミング、設定の問い合わせを行うタイミング、及び送信出力を規定する。該設定情報を記憶するテーブルの例を図7Bに示す。図7Bは、無線端末の識別情報、動作モード1、動作モード2、動作モード3、送信出力及び送信日時の項目を有する。動作モード1、動作モード2、動作モード3、送信出力の項目は、図6Bで示したものと同じである。送信日時は、各無線端末へ設定情報を送信した日時である。
入力手段370は、ユーザが位置情報を探索するために、ユーザからの入力を受け付ける。
表示手段372は、ユーザが位置情報を探索するための検索画面に係るGUIを画面上に表示する。検索画面の例を図9Aに示す。図9Aに示された「所在検索システム」では、記憶手段366に記憶された情報を元に、無線端末に係る所有部署と機器名を画面に一覧表示する。ユーザが、検索したい機器のチェックボックスを入力手段370を通じて選択すると、チェックマークが付される。検索したい機器に全てチェックマークを付けた後に「検索実行」ボタンを選択すると、検索が実行され、結果を表示する画面に切り替わる。図9Aの例では、ユーザが「営業1課」が所有する「UCS P3000」という機器を対象として検索を実行する例を示している。図9Bは、その検索結果の画面の例である。「検索実行」ボタンが選択されると、表示手段372は、記憶手段366に記憶されたデータを元に、「UCS P3000」が所在する「A棟4階」のフロア図と、その機器名及び受信日時を表示する。
制御手段374は、当該管理サーバの動作を制御する。
上記構成により、本発明の一実施形態における管理サーバ160は、無線端末の位置を管理し、その所在を検索することができる。特に、無線端末の位置そのものを表す情報そのものを直接受信して管理することができ、位置の探索にかかる計算量を低減することができる。また、各無線端末の動作に係る設定情報を保持し、問い合わせに応じて、各無線端末へ前記設定情報を送信することができる。
なお、管理サーバ160は、管理装置160の有する変換手段346、制御手段348及び受信手段342と同様の機能を有し、管理装置160と同様の機能を有してもよい。これにより、管理装置160を個別に設ける必要がなくなる。
また、管理サーバ160によって記憶される位置管理情報368は、図7Aに示された情報と共に、あるいは該情報に代えて、無線端末が情報を送信した日時、経由した通信装置又は管理装置の識別子、情報の到着までにかかった時間又は電界強度を含む情報を記憶してもよい。これにより、より詳細な条件で位置情報を管理することができる。
また、管理サーバ160は、無線端末の過去の位置情報を記録してもよい。これにより、無線端末の移動を追跡することができる。
(4.動作シーケンス)
図8は、図1の構成における本発明の一実施形態における位置情報管理システム1の動作シーケンスを表す図である。図8では、加速度の変化を検知すると位置情報を受信し、識別情報を送信する通信装置100と、該通信装置100の属する領域に位置情報を送信する無線端末120と、PAN(IEEE802.15.4及びZigBee(登録商標))とLAN(IEEE802.3)とをブリッジする管理装置140と、管理サーバ160とで構成される例について説明する。無線端末120の動作モードは、図6Bの例のように設定されているものとする。また、通信装置100と、無線端末120と、管理装置140との間のPANは既に確立されているものとする。
ステップS800において、通信装置100は、IMES等を用いて位置情報を連続的又は断続的に送信する。この間、無線端末120は、動作モードの設定により低消費電力状態であるため、前記位置情報を受信しない。
ステップS802において、無線端末120は、加速度の変化を検知する。無線端末120は、低消費電力状態から通常動作状態へと復帰する。
ステップS804において、無線端末120は、通信装置100から送信される位置情報を受信する。
ステップS806において、無線端末120は、受信された位置情報を記憶する。
ステップS808において、無線端末120は、識別情報と位置情報を通信装置100へ送信する。
ステップS809において、無線端末120は、図6Bの設定(動作モード3「SE」)に基づき、位置情報の受信(S804)の後に、設定情報の問い合わせを通信装置100に対して行う。当該ステップS809は、図8の例では、識別情報と位置情報の送信(S808)の後に実行されているが、これらは前後してもよい。
ステップS810において、通信装置100は、無線端末120から受信した識別情報と位置情報とを最小経路を通じて管理装置140へ送信する。
ステップS811において、通信装置100は、無線端末120から受信した設定情報の問い合わせを、管理装置140へ中継する。
ステップS812において、管理装置140は、通信装置100から受信した識別情報と位置情報を含む、ネットワーク180から送信されたデータを、ネットワーク190で適合する形式へと変換する。
ステップS813において、管理装置140は、ネットワーク190に適合する形式に変換された識別情報と位置情報を、管理サーバ160へ送信する。
ステップS814において、管理装置140は、通信装置100から受信した設定情報の問い合わせを含む、ネットワーク180から送信されたデータを、ネットワーク190で適合する形式へと変換する。
ステップS815において、管理装置140は、ネットワーク190に適合する形式に変換された設定情報の問い合わせを、管理サーバ160へ送信する。
ステップS816において、管理サーバ160は、管理装置から受信した識別情報と位置情報を、識別情報に対応する無線端末の情報と共に登録する。
ステップS818において、管理サーバ160は、無線端末120からの問い合わせに応じ、設定情報を管理装置140へ送信する。
ステップS820において、管理装置140は、送信した設定情報に係る送信日時を記録する。
ステップS822において、管理装置140は、管理サーバ160から受信した設定情報を含む、ネットワーク190から送信されたデータを、ネットワーク180で適合する形式へと変換する。
ステップS824において、管理装置140は、ネットワーク180に適合する形式に変換された設定情報を、通信装置100へ送信する。
ステップS826において、通信装置100は、管理装置140から受信した設定情報を無線端末120へ中継する。
ステップS828において、無線端末120は、通信装置100から受信した設定情報を記憶する。この後、無線端末120は、通常動作状態から低消費電力状態へと遷移する。
以上の手順により、本発明の一実施形態における位置情報管理システム1は、無線端末が最寄の通信装置に対して効率よく識別情報と位置情報とを送信することにより、無線端末の消費電力を抑えることができる。また、無線端末が最寄の通信装置を通じて設定情報の問い合わせを行うことにより、無線端末の動作設定時においても無線端末の消費電力を抑えることができる。
なお、既に述べたように、管理サーバ160が管理装置140の機能を統合して実行してもよい。この場合には、別個の管理装置140を設置する必要がなくなる。
また、無線端末が加速度検出手段332を備えていない場合には、ステップS802は実行されず、ステップS804における位置情報の受信は、所定の時刻又は所定の間隔で行われ得る。その後の処理は、ステップS806〜S828と同様である。
[変形例]
次に、変形例について説明する。上述したように、管理サーバ160の記憶手段366は、設定情報378を有する(例えば、図3D)。具体的に、設定情報378は、無線端末の識別情報、動作モード1、動作モード2、動作モード3、送信出力及び送信日時の項目を有する(例えば、図7B)。このうち、動作モード1は、通信装置100から送信される位置情報を受信するタイミングを規定する。動作モード2は、通信装置100へ識別情報及び位置情報を送信するタイミングを規定する。動作モード3は、管理サーバ160へ設定を問い合わせるタイミングを規定する。送信出力は、当該無線端末120の電波の送信出力を規定する。
管理サーバ160は、無線端末からの問い合わせに応じて、無線端末毎の設定情報378を通知する。無線端末は、管理サーバ160から設定情報378を受信すると、同設定情報378を記憶する(例えば、図6B)。そして、無線端末は、記憶した設定情報378に規定される内容に従って、自端末の動作を制御する。
このように、設定情報378は、無線端末の、位置情報の受信のタイミング、識別情報と位置情報の送信のタイミング、設定の問い合わせを行うタイミング、及び送信出力を規定するものである。
また一方、上述したように、無線端末120は、通常は低消費電力状態にあるが、設定情報378(例えば、位置情報を受信するタイミングを規定する動作モード1)の規定に従い、位置情報の受信に合わせて通常動作状態に復帰し、再度低消費電力状態に戻る。このように動作する理由としては、バッテリー残量の節約がある。無線端末120の消費電力は、低消費電力状態において通常動作状態よりも少なくて済む。よって、無線端末120は常に通常動作状態することはせずに、必要な時にのみ通常動作状態に遷移し、それ以外の不必要時には低消費電力状態に遷移することで、バッテリーの消費電力の低減を図る。
ここで、無線端末120は、頻繁に通常動作状態に遷移し、例えば、通信装置100から位置情報を受信したり、通信装置100へ識別情報及び位置情報を送信したり、また管理サーバ160へ設定を問い合わせたりするほど、消費電力は多くなる。逆に、低消費電力状態に遷移し待機する時間が長いほど、消費電力は少なくなり、結果、バッテリー残量の節約につながるということができる。
そこで、本変形例に係る管理サーバは、無線端末に通知する無線端末毎の設定情報378を用いて、無線端末の動作を省電力の観点から制御することにより、バッテリー残量の節約を図るようにする。
具体的に、例えば、無線端末の所在する位置がそれほど頻繁に変化しないような無線端末に対しては、それほど短い間隔で、通信装置100から位置情報を受信したり、通信装置100へ識別情報及び位置情報を送信したり、また管理サーバ160へ設定を問い合わせたりする必要はないといえる。よって、管理サーバ160は、このような無線端末120に対しては、設定情報378を用いて、通信装置100から位置情報を受信したり、通信装置100へ識別情報及び位置情報を送信したり、また管理サーバ160へ設定を問い合わせたりする間隔を長くするよう制御する。
これにより、無線端末は、低消費電力状態に遷移し待機する時間が長くなるため、消費電力は少なくなり、結果、バッテリーの消費電力を低減することが可能となる。以下、詳しく説明する。
(無線端末120−2の機能)
図10は、本変形例における無線端末120−2の機能ブロック図を表す。図3Bと比べ、無線端末120−2は、記憶手段320、通信手段326、加速度検出手段332、制御手段334、設定問い合わせ手段336に加え、バッテリー残量検知手段337を有する。また、記憶手段320は、識別情報322、位置情報324及び設定情報338に加え、バッテリー残量情報339を有する。
バッテリー残量検知手段337は、無線端末のバッテリー残量を検知する。検知した無線端末のバッテリー残量は、バッテリー残量情報339として、記憶手段320に記憶する。バッテリー残量情報339は、フルバッテリー状態を100%で表現すると、例えば、50%、10%などいったように、バッテリー残量を表現できる。勿論、%のような相対値のほか、バッテリー残量を表示する絶対値(数値)により、バッテリー残量を表現することもできる。
なお、本変形例において、識別情報送信手段330は、当該無線端末120の識別情報322及び位置情報324と共に、バッテリー残量情報339を通信装置100に送信するものとする。そして、管理装置を経由し、最終的に、これら情報は、管理サーバへ送信される。
(管理サーバ160−2の機能)
図11は、本変形例における管理サーバ160−2の機能ブロック図を表す。図3Dと比べ、管理サーバ160−2は、通信手段360、記憶手段366、入力手段370、表示手段372、制御手段374に加え、設定情報変更手段375を有する。また、記憶手段366は、位置管理情報368−2、設定情報378、位置管理情報履歴369を有する。
まず、通信手段360の受信手段362は、管理装置140を通じて無線端末から送信された識別情報と位置情報とに加え、バッテリー残量情報339を受信する。受信された識別情報と位置情報とバッテリー残量情報339は、記憶手段366に記憶される。
図12は、本変形例における位置管理情報368−2の一例を示す。図7Aと比べ、位置管理情報368−2は、位置管理情報368は、無線端末120から受信した識別情報と位置情報とバッテリー残量情報339とに、受信時刻等の管理情報を付加した情報である。つまり、新たに無線端末120のバッテリー残量情報339を含む。
図13は、本変形例における位置管理情報履歴369の一例を示す。図中、識別情報「002673abcdef01」及び「002673abcdef02」で特定される無線端末120それぞれの位置管理情報の過去履歴が示されている。位置管理情報履歴369は、要するに、無線端末120から受信した識別情報と位置情報とバッテリー残量情報339とを含む位置管理情報368−2の履歴である。
位置管理情報368−2は、無線端末120から識別情報と位置情報とバッテリー残量情報339とを受信するたびに、新しい位置管理情報に更新される。例えば、図12の位置管理情報368−2は、識別情報「002673abcdef01」及び「002673abcdef02」で特定される無線端末120の最新の位置情報及びバッテリー残量情報に更新されている。このため、更新の度に、古いレコードは上書きされるところ、別途、古いレコードは、位置管理情報履歴369として記憶(保存)しておく。
なお、位置管理情報履歴369もまた、無線端末120から識別情報と位置情報とバッテリー残量情報339とを受信するたびに更新される。そして、受信タイミングは、設定情報378で決定されるところ、図13において、識別情報「002673abcdef01」で特定される無線端末120は、動作モード1「RT1330」及び動作モード「SE」に従い、毎日13時30分に、位置情報の受信及び位置情報と識別情報とバッテリー残量情報との送信を実行し、管理サーバ160−2は、これら位置情報と識別情報とバッテリー残量情報を受信していることが分かる。また、識別情報「002673abcdef02」で特定される無線端末120は、動作モード1「PE300」及び動作モード2「SE」に従い、300秒(5分)おきに、位置情報の受信及び位置情報と識別情報とバッテリー残量情報との送信を実行し、管理サーバ160−2は、これら位置情報と識別情報とバッテリー残量情報を受信していることが分かる。
設定情報変更手段375は、位置管理情報履歴369に基づいて、例えば、位置情報の受信のタイミング(動作モード1)、識別情報と位置情報とバッテリー残量情報の送信のタイミング(動作モード2)、設定の問い合わせを行うタイミング(動作モード2)の妥当性を判定し、必要に応じて、より適正なタイミングへ、これらタイミングの変更を行う。この点、詳細は後述する。
(動作シーケンス)
図14は、本変形例における位置情報管理システム1の動作シーケンスを表す図である。
ステップS800において、通信装置100は、IMES等を用いて位置情報を連続的又は断続的に送信する。この間、無線端末120−2は、動作モードの設定により低消費電力状態であるため、前記位置情報を受信しない。
ステップS802において、無線端末120−2は、加速度の変化を検知する。またもしくは、位置情報受信タイミング(動作モード1に従う)に該当すると、無線端末120は、低消費電力状態から通常動作状態へと復帰する。
ステップS804において、無線端末120−2は、通信装置100から送信される位置情報を受信する。
ステップS806において、無線端末120−2は、受信された位置情報を記憶する。
ステップS807−1において、無線端末120−2(バッテリー残量検知手段337)は、バッテリー残量を検知する。
ステップS807−2において、無線端末120−2は、検知したバッテリー残量を、バッテリー残量情報337として記憶する。
ステップS808において、無線端末120−2は、識別情報と位置情報とバッテリー残量情報337とを通信装置100へ送信する。なお、送信タイミングは、動作モード2に従う。例えば、図6Bのように、無線端末120−2の保持する動作モード2が「SE」の場合、送信タイミングは、位置情報の受信の後となる。
ステップS809において、無線端末120−2は、図6Bの設定(動作モード3「SE」)に基づき、位置情報の受信(S804)の後に、設定情報の問い合わせを通信装置100に対して行う。当該ステップS809は、図14の例では、識別情報と位置情報の送信(S808)の後に実行されているが、これらは前後してもよい。
ステップS810において、通信装置100は、無線端末120−2から受信した識別情報と位置情報とバッテリー残量情報337とを最小経路を通じて管理装置140へ送信する。
ステップS811において、通信装置100は、無線端末120−2から受信した設定情報の問い合わせを、管理装置140へ中継する。
ステップS812において、管理装置140は、通信装置100から受信した識別情報と位置情報とバッテリー残量情報337とを含む、ネットワーク180から送信されたデータを、ネットワーク190で適合する形式へと変換する。
ステップS813において、管理装置140は、ネットワーク190に適合する形式に変換された識別情報と位置情報とバッテリー残量情報337とを、管理サーバ160へ送信する。
ステップS814において、管理装置140は、通信装置100から受信した設定情報の問い合わせを含む、ネットワーク180から送信されたデータを、ネットワーク190で適合する形式へと変換する。
ステップS815において、管理装置140は、ネットワーク190に適合する形式に変換された設定情報の問い合わせを、管理サーバ160へ送信する。
ステップS816において、管理サーバ160は、管理装置から受信した識別情報と位置情報とバッテリー残量情報337とを、識別情報に対応する無線端末の情報と共に位置管理情報368−2に登録する(例えば、図12)。また、併せて、位置管理情報履歴369を更新する(例えば、図13)。具体的には、位置管理情報368−2に登録した情報をそのまま位置管理情報履歴369として累積的に記憶すればよい。
ステップS817において、管理サーバ160(設定情報変更手段375)は、位置管理情報履歴369に基づいて、例えば、位置情報の受信タイミング(動作モード1)、識別情報と位置情報とバッテリー残量情報の送信のタイミング(動作モード2)、設定の問い合わせを行うタイミング(動作モード2)の妥当性を判定し、必要に応じて、より適正なタイミングへ、これらタイミングの変更を行う。この点、以下詳しく説明する。
まず、設定情報変更手段375は、受信した識別情報で特定される無線端末の設定情報を参照する。識別情報「002673abcdef02」で特定される無線端末の場合、図7Bの設定情報338のうち、動作モード1「PE300」、動作モード2「SE」、動作モード3「SE」を参照する。これより、識別情報「002673abcdef02」で特定される無線端末の場合、動作モード1「PE300」、動作モード2「SE」、動作モード3「SE」に従い、300秒(5分)おきに、位置情報の受信及び位置情報と識別情報とバッテリー残量情報との送信を実行、また、設定情報の問い合わせを実行するようになっていることが分かる。
次に、設定情報変更手段375は、同無線端末の現在(最新)のバッテリー残量情報を参照する。そして、バッテリー残量情報が所定の閾値よりも低い場合、位置管理情報履歴369に基づいて設定情報の変更を試みるべく、次へ進む。なお、閾値は、管理者等が予め規定する。ここでは、閾値が30%とすると、識別情報「002673abcdef02」で特定される無線端末の現在(最新)のバッテリー残量情報は29%であるため(例えば、図12)、バッテリー残量情報が所定の閾値30%よりも低くなっている。
一方、バッテリー残量情報が所定の閾値よりも高い場合、現時点では、バッテリー残量は、十分余裕があると判定し、設定情報の変更は行わずに、設定情報の通知を実行する(S818)。
次に、設定情報変更手段375は、同無線端末の現在(最新)のバッテリー残量情報が所定の閾値よりも低い場合、同無線端末の位置管理情報履歴369を参照する。例えば、識別情報「002673abcdef02」で特定される無線端末の場合、図13の位置管理情報履歴369を参照する。管理サーバ160−2は、識別情報「002673abcdef02」で特定される無線端末から、300秒(5分)おきに、位置情報の受信及び位置情報と識別情報とバッテリー残量情報とを受信していることが分かる。
次に、設定情報変更手段375は、位置管理情報履歴369の位置情報の変化(遷移)を確認する。例えば、図13の位置管理情報履歴369において、識別情報「002673abcdef02」で特定される無線端末の場合、300秒毎に位置情報が受信されているが、少なくとも、直近の6回の間(300×5=1500秒間)は、位置情報に変化はないことが分かる。これは、この無線端末は同一の位置に所在し、移動がなかったことを示している。、このような場合、設定情報変更手段375は、識別情報「002673abcdef02」で特定される無線端末の設定情報において、動作モード「PE300」を、例えば「PE1500」に変更する。
つまり、同無線端末の位置情報の受信タイミング(動作モード1)は、現在300秒であるところ、位置の移動が少なくとも1500秒間移動がないような無線端末に対して、300秒では、やや短いと考えられる(もう少し長くてよい)。よって、位置情報受信のタイミング(ひいては送信タイミング)の間隔を、現在の300秒よりも長くなるよう規定を変更する(例えば、図15参照)。
無線端末に対し変更後の設定情報が反映されると、無線端末は、変更後の設定情報に規定されたタイミングに従って、位置情報を受信し、識別情報と位置情報とバッテリー残量情報の送信し、また設定の問い合わせを行う。そして、変更前と比べ、変更後は、位置情報受信のタイミング(ひいては送信タイミング)の間隔は長くなるため、バッテリーの消費電力を低減できる。
なお、同無線端末は、位置管理情報履歴369に基づけば、頻繁には、より具体的には300秒程度の間隔毎では、その位置は変わらない可能性が高いという前提に立つものとする。従って、例えば、300秒よりも長い1500秒程度毎に、位置情報を受信し、識別情報と位置情報とバッテリー残量情報の送信し、また設定の問い合わせを行えば、管理サーバ160−2は、十分適正に、同無線端末の位置情報を把握、管理することが可能である。
また、設定情報の変更後、同無線端末は、再び位置管理情報履歴369から、1500秒程度毎でも、その位置は変わらない可能性が高いと判定される場合、さらに、位置情報受信のタイミング(ひいては送信タイミング)の間隔を、1500秒よりも長くなるよう規定を変更することができる。
一方、逆に、同無線端末は、再び位置管理情報履歴369から、1500秒程度毎に、毎回位置が変わっている場合、今度は、位置情報受信のタイミング(ひいては送信タイミング)の間隔を、1500秒よりも短くなるよう規定を変更することができる。これにより、無線端末は、頻繁に位置情報を受信し、識別情報と位置情報とバッテリー残量情報の送信し、また設定の問い合わせを行う無線端末であるという前提に立ち、管理サーバ160−2は、位置移動が頻繁な無線端末であっても、位置情報受信のタイミング(ひいては送信タイミング)の間隔を短くすることで、同無線端末の位置情報を適正に把握、管理することが可能である。但し、位置情報受信のタイミング(ひいては送信タイミング)の間隔を、1500秒よりも短くなるよう規定を変更する場合は、バッテリー残量が所定の閾値以上確保されている場合に限るとよい。バッテリー残量が残り少ない場合、位置情報の正確性は担保できるものの、反面、バッテリー消費を助長するためである。
因みに、位置管理情報履歴369に基づいて、具体的にどの程度、位置情報受信のタイミング(ひいては送信タイミング)の間隔を長く/短くするかは、管理者等により適切に決定されうる。例えば、位置情報の平均の変化時間を取って、その平均の変化時間間隔を採用しうる。また、上述のように、直近の位置情報の無変化時間間隔を取って、その無変化時間間隔を採用しうる。また、夜間など、特定の時間帯に限って、位置情報受信のタイミング(ひいては送信タイミング)の間隔を長く/短くすることもできる。
また、設定情報変更手段375は、特段、位置情報受信のタイミング(ひいては送信タイミング)の間隔を、変更する必要がないと判定する場合には、S817で、設定情報の変更は行わない。次いで、再び14へ戻る。
ステップS818において、管理サーバ160−2は、無線端末120−2からの問い合わせに応じ、設定情報を管理装置140へ送信する。
ステップS820において、管理装置140は、送信した設定情報に係る送信日時を記録する(例えば、図15参照)。
ステップS822において、管理装置140は、管理サーバ160−2から受信した設定情報を含む、ネットワーク190から送信されたデータを、ネットワーク180で適合する形式へと変換する。
ステップS824において、管理装置140は、ネットワーク180に適合する形式に変換された設定情報を、通信装置100へ送信する。
ステップS826において、通信装置100は、管理装置140から受信した設定情報を無線端末120−2へ中継する。
ステップS828において、無線端末120−2は、通信装置100から受信した設定情報を記憶する。この後、無線端末120−2は、通常動作状態から低消費電力状態へと遷移する。
なお、いうまでもなく、無線端末120−2は、以後、通信装置100から受信した設定情報に従って動作するようになる。上述の例でいえば、無線端末120−2は、300秒毎ではなく、1500秒毎に、通信装置100から位置情報を受信し、識別情報と位置情報とバッテリー残量情報の送信し、また設定の問い合わせを行う。
以上、本変形例によれば、管理サーバ160−2は、無線端末120の位置情報の変化(遷移)の状況に応じて、無線端末120の動作を制御する。そして、無線端末120の位置情報の変化が頻繁でない場合には、設定情報を用いて、無線端末120の位置情報受信のタイミング(ひいては送信タイミング)の間隔を長くとるよう制御することで、無線端末120のバッテリーの消費電力の低減を図ることができる。なお、管理サーバ160−2は、あくまで、無線端末120の位置情報の変化に即して、無線端末120の位置情報受信のタイミング(ひいては送信タイミング)の間隔を制御するため、位置情報管理システム1によれば、依然として同無線端末の位置情報を適正に把握、管理することが可能である。