JP2014006277A - 光走査装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内面反射を用いて光路分離を行うと共に、全ての被走査面上で良好な画像を形成できる光走査装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】偏向手段で偏向走査された2つの光源手段からの光束を2つの被走査面へ結像する光路を分離する内面反射素子は、光束が入射する入射面と、入射された光束を内面反射させる少なくとも1面以上の内面反射面と、内面反射された光束を出射する出射面とを有し、かつ、主走査断面内において、入射面と出射面は共に屈折力を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は光走査装置および画像形成装置に関し、例えば電子写真プロセスを有するレーザービームプリンタ(LBP)やデジタル複写機やマルチファンクションプリンタ(多機能プリンタ)等に好適なものである。
従来、装置の低コスト化、小型化などの目的で、同一の偏向手段からの複数の走査光に関し、所定の被走査面に向かう走査光のみ平面ミラーで反射させることで光路を分離し、異なる複数の被走査面へ導光させる方法が提案されている(特許文献1)。また、偏向手段後の走査光の光路を折り曲げる方法として、平面ミラーの代わりに台形状の折り返しプリズム(ハの字プリズム)を用いることが提案されている(特許文献2)。
特許文献2では、ミラーに埃が付着することによる問題を解決する策として、ミラーの代わりにハの字プリズムの内面反射を用いて、光路を折り曲げる構成が開示されている。ハの字プリズムの利点の1つは、複数の反射面が一体で構成されることで反射面同士の相対的な角度、位置精度を補償でき、走査光の照射位置精度を高められる点である。
もう1つの利点は、2枚のガラスミラーで構成するところを、一体の樹脂製プリズムで構成すれば、光学部品コストを低減できる点である。加えて、平面ミラーは剛性を得るために厚み(反射面と裏面の間隔)が必要であるため、複数枚のミラーを配置すると装置が大型化してしまう傾向があるのに対して、ハの字プリズムは一体的に構成できるので装置を小型化し易いという利点もある。
特開2004−21133号公報 特開2001−51221号公報
しかし、上述した従来の光走査装置においては、以下に示す課題を有する。即ち、特許文献2のハの字プリズムを光路分離に用いた場合、ハの字プリズムを経由する光路と、経由しない光路との間に光路長差が生じ、これにより像面湾曲量およびfθ特性が被走査面毎に異なってしまうという新たな課題が生じてしまう。そして、従来の光走査装置をカラー画像形成装置に用いた場合は、色ずれなどの画像の劣化を生じさせ、良好な画像が得られないという問題があった。
本発明の目的は、内面反射を用いて光路分離を行うと共に、被走査面上で良好な画像を形成できる光走査装置および画像形成装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る光走査装置の代表的な構成は、第1、第2の光源手段の各々から出射した2つの光束を同一の偏向面によって主走査断面内において偏向走査する偏向手段と、前記第1の光源手段から出射し、前記同一の偏向面で反射された光束を、第1の被走査面に導く第1の結像光学系と、前記第2の光源手段から出射し、前記同一の偏向面で反射された光束を、前記偏向手段からの距離が前記第1の被走査面よりも遠い前記第2の被走査面に導く第2の結像光学系と、を備える光走査装置であって、前記第1の結像光学系は、前記同一の偏向面で反射された光束を前記第1の被走査面に導く内面反射素子を有しており、前記第2の結像光学系は、前記同一の偏向面で反射された光束を前記内面反射素子を介さずに、前記第2の被走査面に導いており、前記内面反射素子は、光束が入射する入射面と、入射された光束を内面反射させる少なくとも1面以上の内面反射面と、内面反射された光束を出射する出射面とを有し、かつ、前記主走査断面内において、前記入射面と前記出射面は共に屈折力を有する、ことを特徴とする。
また、上記光走査装置を用いた画像形成装置も本発明の他の一側面を構成する。
本発明によれば、内面反射を用いて光路分離を行うと共に、被走査面上で良好な画像を形成できる光走査装置および画像形成装置を提供できる。
本発明の第1の実施形態の光路aの主走査方向の要部断面図(主走査断面図)である。 第1の実施形態の光路bの主走査方向の要部断面図(主走査断面図)である。 第1の実施形態の結像光学系L2の副走査方向の要部断面図(副走査断面図)である。 第1の実施形態の入射光学系L1a、L1bの副走査方向の要部断面図(副走査断面図)である。 第1の実施形態の結像レンズおよび内面反射素子の各光学面の原点および光軸の位置関係を表した、副走査方向の要部断面図(副走査断面図)の拡大図である。実 第1の実施形態の被走査面13b上での主走査方向の像面湾曲を表したグラフである。 第1の実施形態の被走査面13b上での副走査方向の像面湾曲を表したグラフである。 第1の実施形態の被走査面13b上でのfθ特性を表したグラフである。 第1の実施形態の被走査面13b上での走査線湾曲を表したグラフである。 第1の実施形態の被走査面13a上での主走査方向の像面湾曲を表したグラフである。 第1の実施形態の被走査面13a上での副走査方向の像面湾曲を表したグラフである。 第1の実施形態の被走査面13a上でのfθ特性を表したグラフである。 第1の実施形態の被走査面13a上での走査線湾曲を表したグラフである。 従来のハの字プリズムを用いた場合の、被走査面13a上での主走査方向の像面湾曲を表したグラフである。 従来のハの字プリズムを用いた場合の、被走査面13a上での副走査方向の像面湾曲を表したグラフである。 従来のハの字プリズムを用いた場合の、被走査面13a上でのfθ特性を表したグラフである。 従来のハの字プリズムを用いた場合の、被走査面13a上での走査線湾曲を表したグラフである。 本発明の第2の実施形態の光路aの主走査方向の要部断面図(主走査断面図)である。 第2の実施形態の光路bの主走査方向の要部断面図(主走査断面図)である。 第2の実施形態の結像光学系L2の副走査方向の要部断面図(副走査断面図)である。 従来のハの字プリズムの説明図である。 本実施形態の構成および効果を説明するための模式図である。 本発明の実施形態に係る光走査装置を用いたカラー画像形成装置の要部概略図である。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明において、主走査方向(Y方向)とは偏向手段の回転軸(または揺動軸)及び結像光学系の光軸に垂直な方向(回転多面鏡で光束が反射偏向(偏向走査)される方向)である。副走査方向(Z方向)とは偏向手段の回転軸(または揺動軸)と平行な方向である。また主走査断面とは主走査方向と結像光学系の光軸を含む平面である。また副走査断面(子線断面)とは主走方向に垂直な断面である。
《第1の実施形態》
(画像形成装置)
図23は本発明の実施形態のカラー画像形成装置の要部概略図である。本実施形態は、光走査装置により4ビームを走査して各々並行して像担持体である感光体上に画像情報を記録するタンデムタイプのカラー画像形成装置である。図23において、60はカラー画像形成装置、100は後述する光走査装置である。21、22、23、24は各々互いに異なった色の画像を形成する像担持体としての感光ドラム31、32、33、34は各々現像器、51は搬送ベルトである。
本カラー画像形成装置は、光走査装置で走査された光束によって感光ドラムに形成された静電潜像をトナー像として現像する現像器と、現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器とを有するものである。
図23において、カラー画像形成装置60には、パーソナルコンピュータ等の外部機器52からR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色信号がコードデータとして入力する。これらの色信号は、装置内のプリンタコントローラ53によって、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、B(ブラック)の各画像データ(ドットデータ)に変換される。これらの画像データは、光走査装置100に入力される。そして、光走査装置100からは、各画像データに応じて変調された光ビーム41、42、43、44が出射され、これらの光ビームによって感光ドラム21、22、23、24の感光面が主走査方向に走査される。
本実施形態におけるカラー画像形成装置は光走査装置100により4ビームを走査し、各々がY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)、B(ブラック)の各色に対応している。そして各々平行して感光ドラム21、22、23、24面上に画像信号(画像情報)を記録し、カラー画像を高速に印字している。
即ち、本実施形態におけるカラー画像形成装置は、上述の如く光走査装置100により各々の画像データに基づいた光ビームを用いて各色の潜像を各々対応する感光ドラム21、22、23、24面上に形成している。その後、記録材に多重転写して1枚のフルカラー画像を形成している。
前記外部機器52としては、例えばCCDセンサを備えたカラー画像読取装置が用いられても良い。この場合には、このカラー画像読取装置と、カラー画像形成装置60とで、カラーデジタル複写機が構成される。
(光走査装置)
図1、図2において、画像情報に応じて半導体レーザ1a、1bから光変調され出射した光束は、入射光学系L1a、L1bにより回転多面鏡5の偏向面6へ入射し、走査された光束は結像光学系L2により感光ドラム面13a、13bへ導光される。そして、回転多面鏡5を駆動手段(不図示)により矢印A方向に回転させることによって、感光ドラム面13a、13b上を矢印B方向(主走査方向)に光走査することで画像情報の記録を行う。
感光ドラム面13a、13bは各々複数の色光の画像を形成するための感光ドラム面で。本実施形態において、複数の色光とはイエロー(Y)、マゼンダ(M)、の2色のことである。本実施形態においては、もう一組の不図示の前記の光走査装置を設け、シアン(C)、ブラック(Bk)の2色を形成するための感光ドラムを用いることで、4色のカラー画像を形成できる。
図1に示す8は、図3に示すように被走査面13aに向かう光束のみを内面反射させる内面反射素子である。ここで、内面反射素子8で内面反射される光路を含む第1の光路を光路a、内面反射素子で内面反射される光路を含まない第2の光路を光路bとする。つまり、第2の光路(光路b)上には、少なくとも前述の内面反射素子は配置されておらず、より好ましくは前述の内面反射素子以外の内面反射素子も配置されていないことが望ましい。
(入射光学系)
図4は、入射光学系の副走査断面図である。1aは第1の光源、1bは第2の光源である。図4からわかるように、入射光学系は副走査方向に上下に2つ配置されており、副走査断面内において、1つの偏向面6に2つの入射光学系L1aとL1bからの光束がそれぞれ上方向斜め、下方向斜めに同一の偏向面に入射させている。即ち、1組の入射光学系L1aとL1bは、副走査断面内において、基準面Gに対して異なる角度(上向きと下向き)で回転多面鏡5の同一の偏向面6に光束を入射させている。以下、これを副走査方向斜め入射といい、基準面Gに対する角度を副走査方向斜め入射角度という。
入射光学系L1a、L1bからの2つの入射光束は、回転多面鏡5によって図3に示すような2つの偏向反射光束となる。この2つの偏向反射光束は、副走査断面内において、上下対称となるように設定されている。このように偏向面6に斜入射する2つの光束は、回転多面鏡5によってそれぞれ上方向、下方向にコニカルスキャンされる。
(光路a、光路bの構成および光学的作用)
1)光路bにおける構成および光学的作用
図4において、発光部(発光点)を有する半導体レーザ1bから出射した少なくとも1本の光束は、アパーチャー(開口絞り)2bにより、アナモフィックコリメータレンズ3bに入射する光束として所望の最適なビーム形状に形成される。アナモフィックコリメータレンズ3bは、光源手段1bから出射された光束を主走査方向に弱収束光束に、副走査方向に回転多面鏡5の偏向面6近傍で集光するように変換し、回転多面鏡5の偏向面6上で主走査方向に長手の線像として結像する。
なお、開口絞り2b、アナモフィックコリメータレンズ3bの各要素は、入射光学系L1bの一要素を構成しており、半導体レーザ1bから射出した光束を図中矢印A方向に一定の速度で回転する回転多面鏡5の偏向反射面6に導光する。アナモフィックコリメータレンズ3bをコリメータレンズと副走査方向にのみパワーを有するシリンダレンズにより構成しても良い。なお、本実施形態の回転多面鏡5の数は、1つである。
図2に示すL2は、集光機能とfθ特性とを有する結像光学系(第2の結像光学系)であり、主走査断面内に正のパワー(屈折力)を有し、副走査断面内に主走査断面内の正のパワーとは異なる正のパワーを有している。
光路bにおいて、結像光学系L2は結像光学素子としての第1、第2の結像レンズ71、72を備える。結像光学系L2は、回転多面鏡5によって偏向走査された画像情報に基づく光束を、主走査断面内において被走査面(第2の被走査面)としての感光ドラム面13b上にスポットとして結像させている。更に結像光学系L2は、副走査断面内において回転多面鏡5の偏向面6と感光ドラム面13bとの間を光学的に共役関係にすることにより、偏向面6の面倒れ補償を行っている。なお、10は結像レンズ72からの光束の光路を折り曲げるための平面ミラーであり、結像性能に影響を与えない。
2)光路aの構成および光学的作用
図4に示すように、光路aに対応する入射光学系L1aは、半導体レーザ1a、開口絞り2a、アナモフィックコリメータレンズ3aから構成されている。また、入射光学系L1aは、入射光学系L1bと副走査方向に上下対称に配置され、光学的作用も入射光学系L1bと同様である。
図3で、回転多面鏡5、結像光学系Lの一部であるL2(図2)は、光路aと光路bとで共用されており、入射光学系L1aからの入射光束は、回転多面鏡5の同一の偏向面6に入射される。そして、走査された光束は、後述する内面反射素子8を有する第1の結像光学系Lにより感光ドラム面13a(第1の被走査面)上にスポットとして結像される。更に結像光学系Lは、副走査断面内において回転多面鏡5の偏向面6と感光ドラム面13aとの間を光学的に共役関係にすることにより、偏向面6の面倒れ補償を行っている。
図3に示す8は、結像レンズ72からの光束の光路を内面反射によって折り曲げるための内面反射素子であり、9は内面反射素子8からの光束の光路を折り曲げるための平面ミラーである。内面反射素子8は、入射面に入射した光束を感光ドラム面13a(第1の被走査面)から遠ざかる方向に内面反射させる第1反射面、更に前記入射面に入射した光束の入射方向に対して戻す方向に内面反射させる第2反射面を備える。
そして、平面ミラー9(第1の反射部材)と感光ドラム面13a(第1の被走査面)とは、同一の偏向面で反射され内面反射素子8に至る光束の光路を挟んで互いに反対側に配置されている。即ち、平面ミラー9と感光ドラム面13aとは、主走査断面と垂直な副走査断面内において、同一の偏向面の中心を通り当該同一の偏向面と垂直な直線を挟んで反対側に配置されている。
ここで、本実施形態の光路aにおける諸元値を表1A、光路bにおける諸元値を表1Bに示す。また、本実施形態の光路aにおける各光学面の面形状を表2Aに、光路bにおける各光学面の面形状を表2Bに示す。表2A及び表2Bに示した各係数には、添え字u及びlが付いているが、それぞれUpper側、Lower側の意味である。結像光学系の各レンズ面頂点に対し、半導体レーザ1a、1bがある側をLower側、半導体レーザ1a、1bがある側と反対側をUpper側と定義する。添え字U及びlが付いていない係数については、Upper側、Lower側に共通の係数である。
表1A、表1Bに示したレンズ配置の座標の原点は、図1、図2に示した符番C0としている。C0は、画像中心を走査する光束の主光線の偏向反射点(基準点)である。
光偏向器5の偏向面6に対して垂直で且つ基準点C0を通過する面を基準面Gとしたとき、基準面Gに対し、偏向面6への入射光束は、それぞれ−3°、+3°の傾きを持って偏向走査させている。即ち、光偏向器に入射する入射光学系L1a、L1bは基準面Gに対してそれぞれ+3°、−3°副走査方向に傾いて配置させている。この斜入射角が大きすぎると、波面収差の捩れによりスポットの崩れを補正することが困難となり、小さすぎると光束の分離がし難くなる。望ましくは2°〜5°の範囲で設定するのが良い。
本実施形態では、光束の発振波長λがλ=790nmの赤外光源を光源手段1として用いている。また、像高Yと偏向反射角θとの比例係数κ(Y=κθ)は、κ=119(rad/mm)である。
本実施形態では、入射光学系のアナモフィックレンズ3a、3bの入射面は平面上に回折格子が形成された回折面、出射面は主走査方向と副走査方向で曲率半径の異なるアナモフィックな屈折面としている。アナモフィックレンズ3a、3bはプラスチック材料を用いた射出成形で成形されており、環境変動による屈折パワーの変化を半導体レーザーの波長変化による回折パワーの変化で補償する温度補償光学系としている。
回折面は以下に表した位相関数により定義される。
φ=2πm/λ(C+C
ここで、φは位相関数、mは回折次数であり、本実施形態は、1次回折光(m=1)を用いている。λは設計波長であり、本実施形態ではλ=790nmである。
また、本実施形態のアナモフィックレンズ3の出射面、結像レンズ71、72及び内面反射素子8の入射面、出射面の母線形状は、12次までの関数として表せる非球面形状により構成している。アナモフィックレンズ3a、3b、結像レンズ71、72、内面反射素子8のそれぞれの光学面は、表1A、表1Bに示した各原点および光軸X、副走査方向の基準軸Zと、表2A、表2Bに表現された以下に述べる非球面式から定義される。例えば、結像レンズ71のレンズ入射面においては、(X、Y、Z)=(14.664、−0.178、0.000)を非球面式の原点としている。
そして、各レンズ面の面形状は、表1A、表1Bに示した各光学面の原点を通る光軸Xと、主走査断面内において光軸と直交する軸をY軸としたとき、主走査方向と対応する母線方向が、以下の式で表される。
但し、Rは母線曲率半径,K,B,B,B,B,B10,B12は非球面係数である。
また、副走査方向と対応する子線方向は、表1A、表1Bに示した副走査方向の基準軸Zと定義すると、以下の表現式で定義される、
Sは、母線方向の各々の位置における母線の法線を含み主走査断面と垂直な面内に定義される子線形状である。Mj_kは、子線方向の非球面を表す係数で、例えば、Mj_1はZの1次項であり、副走査方向の面傾き(子線チルト)を表している。また、Mj_4はZの4次項であり、副走査方向の非球面を表している。本実施形態では、主走査方向に0,2,4,6,8,10,12,14,16次の係数を使って子線チルト量を変化させている。
ここで、主走査方向に光軸からY離れた位置における副走査方向の曲率半径(子線曲率半径)r´は、以下の式で表される。
但し、rは光軸上の子線曲率半径、D、D、D、D、D10、D12、D14、D16、は係数である。
ここで、図5に、本実施形態の結像レンズ71、72及び内面反射素子8の各光学面の原点および光軸の位置関係を表した、副走査方向の要部断面図(副走査断面図)の拡大図を示す。本実施形態では、表1A、表1Bと図5に示した通り、光路aと光路bとで結像レンズ71、72を共用している。
また、表1A、表1B、表2A、表2Bにあるように、結像レンズ72の入射面に関しては、同一の光学特性のレンズ面としての2つのトーリック面を上下方向に重ねたことを特徴とする多段トーリック面より成っている。即ち、入射面T3aの面頂点を(37.440、−0.178、1.505)、入射面T3bの面頂点を(37.440、−0.178、−1.505)とした2つのトーリック面を重ねて一体的に形成した多段トーリック面とする。結像レンズ72の出射面に関しても同様に多段トーリック面より構成している。なお、本実施形態では面形状を上記定義式により函数を定義したが、本発明の権利の範囲はこれを制限するものではない。
本実施形態では、光路aと光路bとで結像レンズ71、72を共用することで部品点数を削減し、光走査装置の低コスト化ができる。また、結像レンズ72を光路aと光路bに各々対応した上下2つのレンズ面を有する多段トーリックレンズで構成することで、一体成形可能とし、低コスト化している。以後、多段トーリック面を少なくとも1面有するトーリックレンズのことを多段トーリックレンズという。なお、本発明はこの構成に限らず、結像光学系を光路aと光路bとに対応するそれぞれ別個の結像レンズで構成しても、本発明の効果は得られる。
更に、図5、表1A、表1B、表2A、表2Bから分かるように、第二の結像レンズ72の上側入射面T3A面と下側入射面T3B面とは、基準面Gを挟んで面対称形状としている。結像レンズ72の上側出射面T4A面と下側出射面T4B面に関しても同様に、基準面Gを挟んで面対称形状の多段トーリック面より構成している。本実施形態では、このように上下対称形状の多段トーリックレンズより構成することで、射出成形時の副走査方向のレンズの反りを抑え、良好な成形安定性を得ている。
本実施形態においては、以上のような構成により、半導体レーザ1a、1bから第2の結像レンズ72の出射面T4まで、副走査方向に上下対称な光学系で構成している。このため、第2の結像レンズ72の出射面T4AあるいはT4Bから出射される光束は、副走査方向に上下対称で、かつ結像性能が互いに同一な走査光束となる。
(光路bの結像性能)
次に、本実施形態の各被走査面上での良好な結像性能について、先ず光路bに関して以下に述べる。図6乃至図9は、本実施形態の内面反射素子8にて内面反射させずに被走査面上に走査光を結像させる光路bにおける、被走査面13b上での各結像性能を表したグラフである。図6から分かるように、本実施形態の被走査面13b上での主走査方向の像面湾曲量は、peak−peakで1.4mmと十分小さく、良好に主走査像面が補正できていることが分かる。
また、図7から分かるように、本実施形態の被走査面13b上での副走査方向の像面湾曲量は、peak−peakで1.09mmと十分小さく、良好に副走査像面が補正できていることが分かる。また、図8から分かるように、本実施形態の被走査面13a上での理想像高に対する主走査方向照射位置のずれ量は、最大で0.15mmと十分小さく、良好にfθ特性が補正できていることが分かる。また、図9から分かるように、本実施形態の被走査面13b上での副走査方向の照射位置ずれは、peak−peakで9.6μmと十分小さく、良好に走査線湾曲が補正できていることが分かる。
(従来のハの字プリズムを光路分離に用いた光路aの結像性能)
次に、本実施形態の各被走査面上での良好な結像性能について、内面反射素子8で内面反射を介して被走査面13a上に走査光を結像させる光路aについて述べる。従来の内面反射素子は、内面反射素子に光線が入射する入射面と、光線が出射する出射面と、2つの内面反射面をハの字状に配置したプリズム(ハの字プリズム)で構成されていた。従来の内面反射素子であるハの字プリズムでは、この入射面及び出射面と反射面は全て平面形状であった。
本実施形態の光路aにおいて、従来のハの字プリズムを光路分離に用いた場合は、ハの字プリズムを介する光路と介さない光路の間で結像性能が異なってしまい、画像形成装置に用いた場合に良好な画像が得られないという問題があった。ここで、このような問題が発生する理由を説明する。図21は、かかる問題を説明するための説明図で、従来のハの字プリズムを通過した場合と、通過させなかった場合の光路を表した主走査断面図であり、現象を説明するための模式図である。図21においては、説明を分かりやすくするために反射面を展開した形で示している。図21から分かるように、従来のハの字プリズムの入射面及び出射面は平面形状である。
図21中の点線は、従来のハの字プリズムが無かった場合の軸上光線と軸外光線の光路を表している。内面反射素子を介さない場合(ハの字プリズムが無い場合)は、被走査面上でfθ特性を満たし、かつ全像高で像面湾曲の無い良好な結像性能を達成している。この点線は、本実施形態で言うところの、内面反射素子を介さない光路bを表した模式図である。これに対して、図21中の実線は、従来のハの字プリズムを介した場合の軸上光線と軸外光線の光路を表している。この実線は、内面反射素子を介する光路aに、従来のハの字プリズムを介した場合の光路と結像位置を表した模式図である。
ハの字プリズムは屈折率nを有しているため、ハの字プリズム中を通過した光線の光路長は、ハの字プリズムを介さない場合の光路長から変化してしまう。これにより光線の像面は、回転多面鏡から遠い方向にずれてしまう。そして、軸上光線と軸外光線とで、ハの字プリズムの内部を通過した距離が異なるために、軸上光線と軸外光線とで光路長の変化量が異なってしまう。その結果として、図21のように主走査方向の像面の湾曲が発生してしまう。このため、軸上光線の像面と被走査面とが一致するように配置したとしても、軸外像高で像面がずれてしまい、全像高で良好なスポットが得られないという課題が残る。
更に、軸外光線はハの字プリズムに入射角度を有して入射しているために光路が折り曲げられ、被走査面上での主走査方向の光線到達位置が、ハの字プリズムを介さない場合とずれてしまう。すなわち、ハの字プリズムを介さない場合と比べて、fθ係数が変わってしまう。
以上、主走査断面内におけるハの字プリズムの有無による結像性能のずれを説明してきたが、副走査方向においても同様の現象が起こる。その結果、ハの字プリズムの有無により副走査方向の像面湾曲や走査線の湾曲などの、副走査方向における結像性能にもずれが生じる。
以上、図21によって説明したように、ハの字プリズムを光路分離に用いた場合は、ハの字プリズムを介さない光路と、ハの字プリズムを介する光路との間で、結像性能が異なってしまう課題が発生する。そして、そのような光走査装置をカラー画像形成装置に用いた場合には、色ずれや色味の不均一性などの画像劣化が発生するという問題が発生してしまう。
ここで、比較のために従来のハの字プリズムを用いた場合の被走査面13a上での結像性能を図14乃至図17に示す。図14、図15より、主走査方向の像面湾曲量はpeak−peakで3.65mm、副走査方向の像面湾曲量はpeak−peakで1.87mm発生しており、主副ともに大きな像面湾曲が発生することがわかる。また、図16より、理想像高に対する主走査方向照射位置のずれ量は最大で1.14mmと大きいことが分かる。
また、図17より、副走査方向の照射位置ずれはpeak−peakで34.7μm発生しており、走査線湾曲が大きいことが分かる。以上述べたように、光路aに従来のハの字プリズムを用いた場合は、被走査面13a上で良好な結像性能が得られないことが分かる。一方、前述した通り、光路bは従来のハの字プリズムを介していないため、被走査面b上では良好な結像性能が得られている。
即ち、従来のハの字プリズムを光路分離に用いた場合は、従来のハの字プリズムを介さない系と従来のハの字プリズムを介する系との間で結像性能が異なってしまう課題が発生する。そして、そのような光走査装置をカラー画像形成装置に用いた場合には、色ずれや色味の不均一性などの画像劣化が発生するという問題が発生してしまう。
(内面反射素子の屈折力を備える入射面および出射面)
そこで、本実施形態では、上記の問題を解決するために、主走査断面内において、内面反射素子の入射面および出射面を各々屈折力を有する屈折面で構成している。ここで、主走査断面内における、本実施形態の内面反射素子の入射面および出射面の面形状について説明する。図22は、本実施形態の内面反射素子の入射面および出射面の面形状を説明するための説明図である。
図22は、本実施形態の内面反射素子8の内面反射を介する光路aと、内面反射を介さない光路b、及び内面反射素子の入射面及び出射面の面形状を表した主走査断面図であり、本実施形態の構成および効果を説明するための模式図である。図22においては、説明を分かりやすくするために、素子の面形状および光路の角度、結像位置のずれ量などを実施形態の実際の値よりも強調して描いる。また、図22においては、説明を分かり易くするために反射面を展開した形で示している。図22中の点鎖線は、比較のための従来例であり、ハの字プリズムを用いた場合の、軸上光線及び軸外光線の光路および結像位置を表している。
図22中の点線は、本実施形態の、内面反射素子8を介さない光路bにおける、軸上光線及び軸外光線の光路および結像位置を表している。図22中の実線は、本実施形態の、内面反射素子8を介する光路aにおける、軸上光線及び軸外光線の光路および結像位置を表している。
図22から分かるように、従来のハの字プリズムの場合には、ハの字プリズムを介さない光路とのfθ特性のずれと、像面湾曲という2つの性能が得られていない。仮に入射面あるいは出射面の内の1面のみに屈折力を与えて像面湾曲を補正したとしても、同時に軸外光線の光路が折り曲げられ、所望のfθ特性が得られない。同様に、入射面あるいは出射面の内の1面のみに屈折力を与えてfθ特性を補正したとしても、同時に像面湾曲が劣化してしまう。
そこで、本実施形態では、入射面および出射面を各々主走査方向に屈折力を有する面で構成することで、軸外光線の光路を折り曲げ、かつ、軸外光線の結像位置を偏向手段側にずらす効果を得ている。この効果により、本実施形態では、図22に示したように、内面反射素子を介さない光路とfθ特性を一致させるとともに、被走査面上での像面湾曲を補正している。このため、本実施形態では、内面反射素子を介する光路aおよび介さない光路bの結像性能は良好、かつ略同一にでき、本実施形態の光走査装置を画像形成装置に用いれば良好な画像を形成することができる。
更に、より好ましい形態としては、図22に示すように主走査断面内において、内面反射素子の入射面及び出射面の内、どちらか一方を正の屈折力を有する屈折面、他方を負の屈折力を有する屈折面と、屈折力の正負を逆に構成している。このように、負正の屈折力の組み合わせで構成することで、軸外光線を跳ね上げる効果と、像面を偏向手段側へずらす効果が効率的に得られるため、補正に必要な面の曲率を極力小さく抑えつつ、像面湾曲補正とfθ特性補正を両立させることができる。
更に、より好ましい形態としては、図22に示すように主走査断面内において、内面反射素子8の入射面を正の屈折力を有する屈折面で構成し、出射面を負の屈折力を有する屈折面で構成する。図22から分かるように、軸外光線においては、内面反射素子8の入射面を正の屈折面で構成することで偏向手段側に像面をシフトさせている。かつ、出射面を負の屈折面で構成することで、軸外光線を跳ね上げる効果を得ており、内面反射素子8を通過したことで跳ね下げられた効果と入射面である正の屈折面で跳ね下げられた効果を効率的に打ち消している。
その結果、内面反射素子を介する光路aにおいて、像面湾曲を補正すると共に、内面反射素子を介さない光路bとfθ特性を一致させる効果を得ている。更に、最も被走査面側の光学面である内面反射素子の出射面を負の屈折面とすることで、微小角度だけ光線を跳ね上げれば、被走査面での主走査方向到達位置を十分にずらす効果を得られる。この効果により、fθ特性の補正に必要な凹面の曲率を著しくきつくせずに済むので、内面反射素子8の成形あるいは加工を容易にできる。
また、内面反射素子の入射面を正の屈折面で構成することで、入射面での不要な反射光は光軸から離れる方向に反射されるため、被走査面に到達する不要な反射光の影響を小さく抑える効果を得ている。
ここで、ハの字プリズムの入射面あるいは出射面の一枚のみに屈折力を与えた場合は、上記2つを両立させる効果は得られない。例えば、ハの字プリズムを用いた場合において(図22中の点鎖線)、ハの字プリズムの出射面にのみ正の屈折力を付与すれば、像面湾曲は低減できるが、内面反射を介さない光路bからのfθ特性のずれが更に大きくなってしまう。
逆にハの字プリズムの出射面にのみ負の屈折力を付与すれば、fθ特性は内面反射を介さない光路bに近づくが、像面湾曲はより劣化してしまう。以上の理由から、本実施形態では、主走査断面内において、内面反射素子8の入射面及び出射面を互いに正負が逆の屈折力を有する面で構成している。
ここで、本実施形態における、内面反射素子8の入射面T5、出射面T6の具体的な面形状について述べる。図22から分かるように、本実施形態では、主走査断面内において、内面反射素子8の入射面を正の屈折力を有する屈折面すなわち凸面形状で構成し、出射面を負の屈折力を有する屈折面すなわち凹面形状で構成している。
また、表2Aから分かるように、主走査方向において、内面反射素子8の入射面T5は軸上の曲率半径がRm1=1.4634+E3(凸面)であり、正の屈折力を与えられている。また、内面反射素子8の出射面T6は、主走査方向において、軸上の曲率半径Rm2=1.1263+E3(凹面)であり、負の屈折力が与えられている。
入射面T5に正の屈折力を与えることで、軸外像高における主走査方向の像面を偏向手段に近づく方向にずらす効果を得ている。この効果により、図14で示した、軸上から軸外像高に行くに従って偏向手段から遠のく方向に湾曲している主走査方向の像面を、図10のように良好に補正している。
また、出射面T6に負の屈折力を与えることで、軸外像高に向かう走査光を光軸から遠ざかる方向に跳ね上げる効果を得ている。この効果により、図16で示した、軸上から軸外像高に行くに従って、走査光束が理想像高よりも軸上よりに到達してしまうfθ特性のずれを、図12に示すように良好に補正している。
以上のように、本実施形態では、主走査像面湾曲とfθ特性ずれを良好に補正している。そして、内面反射を介する光路aと、内面反射を介さない光路bとの光学性能が略同一になるように補正する効果を得ている。また本実施形態では、主走査方向において、入射面T5を正の屈折力、出射面T6を負の屈折力に設定したことで、以下の効果を得ている。
即ち、主走査方向において、入射面T5に正の屈折力を与える(凸面形状に設定する)ことで、入射面T5で入射光が反射して生じる不要なゴースト光を、光軸から離れる方向に反射させる効果を得ている。この効果により、偏向手段での再反射して被走査面へ到達するゴースト光や、偏向面を挟んで対向配置された走査系(不図示)の被走査面に到達するゴースト光の光量を問題ないレベルに低減することができる。
また、主走査方向において、負の屈折力を与える面を出射面T6に設定することで、出射面T6からの軸外光線の射出方向を微小角度だけ光軸から遠ざかる方向に跳ね上げるだけで、効率的に光線の到達像高を補正する効果を得ている。この効果により、出射面T6の凹面形状のサグ量を小さく抑えられ、内面反射素子8の形状の上下非対称性を低減し、成形時の素子の反り低減、成形安定性の確保を達成している。
(光路aの結像性能)
ここで、本実施形態の光路aによる被走査面13a上での各結像性能を、図10乃至図13に示す。図10から分かるように、本実施形態の被走査面13a上での主走査方向の像面湾曲量は、peak−peakで1.40mmと十分小さく、良好に主走査像面が補正できていることが分かる。また、図11から分かるように、本実施形態の被走査面13a上での副走査方向の像面湾曲量は、peak−peakで1.09mmと十分小さく、良好に副走査像面が補正できていることが分かる。
また、図12から分かるように、本実施形態の被走査面13a上での理想像高に対する主走査方向照射位置のずれ量は最大で0.15mmと十分小さく、良好にfθ特性が補正できていることが分かる。また、図13から分かるように、本実施形態の被走査面13b上での副走査方向の照射位置ずれは、peak−peakで9.6μmと十分小さく、良好に走査線湾曲が補正できていることが分かる。このように本実施形態では、内面反射素子の入射面および出射面に互いに正負が逆の屈折力を持たせることで良好な結像性能に補正している。
本実施形態では、光路aと光路bとは、表1A、表1Bで示したようにfθ係数は共に220mm/radと同一で、かつ、図8、図12で示したように、fθ係数からのfθ特性のずれはどちらも、問題ない程度に十分小さい。即ち、光路aと光路bとは、fθ特性が略同一となるように結像光学系及び内面反射素子によって補正できている。このため、本実施形態では、設計上、画像書き込み時の画像クロックなどを光路aと光路bとで共通化でき、電気回路を安価に構成できる。
更に、図5において、内面反射素子8の入射面T5と出射面T6は共に、主走査方向に非円弧形状であり、非円弧形状に設定することで円弧形状にした場合よりも、全像高において主走査方向の像面湾曲とfθ特性を、さらに良好に改善する効果を得ている。
また、本実施形態においては、内面反射を介する光路aと、内面反射を介さない光路bとの結像性能が略同一となるよう補正すると共に、内面反射素子の成形安定性を高める為に以下の条件式(1)を満たすよう、内面反射素子の屈折力を設定している。
|((fa+fb)/2)/fI|<0.5 (1)
以下に、上記条件式(1)の導出過程およびその物理的意味について説明する。先ず、本実施形態における、主走査方向における、入射面の曲率半径をRm1[mm]、出射面の曲率半径をRm2[mm]、内面反射素子の屈折率をn、内面反射素子8の入射面T5の屈折力を1/f1、出射面T6の屈折力を1/f2と定義する。このf1とf2は、入射面および出射面をそれぞれ屈折力を有する薄肉レンズと考えたときの各々の焦点距離に相当する。ここで、入射面を薄肉レンズとしたときの焦点距離f1[mm]と、出射面を薄肉レンズとしたときの焦点距離f2[mm]は、以下のように表せる。
f1=Rm1/(n−1)
f2=Rm2/(1−n)
また、内面反射を介する光路a上の軸上光線における、内面反射素子8の入射面から出射面までの光路長をd[mm]と定義する。このとき、主走査断面内における、内面反射素子8の入射面T5と出射面T6とをそれぞれ薄肉レンズと考えたときの合成焦点距離は、内面反射素子8の焦点距離に相当する。主走査断面内における内面反射素子8の焦点距離をfI[mm]と定義すると、fIは以下のように表せる。
fI=1/(1/f1+1/f2−d/(n×f1×f2))
また、内面反射を介さない光路aの結像光学系の焦点距離をfa[mm]、内面反射を介さない光路aの結像光学系の焦点距離をfb[mm]と定義する。このとき、光路aの結像光学系の焦点距離と光路bの結像光学系の焦点距離の平均値は、以下のように表せる。
(fa+fb)/2
ここで、本実施形態では、主走査断面内において、内面反射素子8の焦点距離fIに対する、光路aと光路bの結像光学系の焦点距離の平均値の比は、以下のように表せる。
((fa+fb) /2 ) /fI
本実施形態では、この主走査断面内において、光路aと光路bの結像光学系の焦点距離の平均値に対する、内面反射素子8の焦点距離fの比を、上述した条件式(1)を満たすように設定している。具体的な値は、主走査断面内において、入射面T5の軸上曲率半径はRm1=1.4634+E3、出射面T6の軸上の曲率半径Rm2=1.1263+E3、n=1.524、d=15.414である。また焦点距離については、以下の通りである。
f1=2793(=1.4634+E3/(1.524−1))、
f2=−2150(=1.1263+E3/(1−1.524))、
fa=165.6、fb=165.6、
fI=−9480(=1/(1/2793 ―1/2150 −15.414/(1.524×2793×2150)))
|((fa+fb)/2)/fI|=|―0.0175|<0.5であり、これは、条件式(1)を満たす。
上記の条件式(1)は、内面反射を介する光路aと、内面反射を介さない光路bとの光学性能を略同一となるよう補正し、かつ、内面反射素子の成形安定性を高める為の条件である。条件式(1)の範囲を超えると、結像光学系に対して、内面反射素子の屈折力が大きくなり過ぎ、内面反射素子を介したことによる光路長の変化、結像性能の変化が大きくなり過ぎてしまう。即ち、条件式(1)の範囲を超えると、内面反射を介する光路aと、内面反射を介さない光路bとの光学性能を略同一にするための補正量が大きくなり、内面反射素子8の入出射面のサグ量が大きくなる。
その結果、内面反射素子の上部と下部との肉厚差や上部と下部の段差の増大し、射出成形時の素子への応力の増加、副走査方向の素子の反りなどが発生し、成形安定性が著しく低下してしまう。上記の条件式(1)を満たせば本発明の効果は十分得られるが、より好ましくは、以下の条件式(2)を満足すれば、被走査面上での結像性能と内面反射素子の成形安定性を効果的に両立させることができる。
|((fa+fb)/2)/fI|<0.05 (2)
本実施形態においては、条件式(2)を満たすように結像光学系を構成しているため、被走査面上での結像性能と内面反射素子の成形安定性を効果的に両立させることができる。
また、上述した表2Aから分かるように、副走査方向において、内面反射素子8の出射面T6は、軸上の曲率半径がRm2=−3.1155E+4(凸面)で正の屈折力が与えられ、かつ、主走査方向に沿って副走査方向の曲率半径が変化する非球面で構成される。
出射面T6に主走査方向に沿って副走査方向の曲率半径が変化する非球面で構成することで、軸上像高よりも軸外像高での副走査向像面を偏向手段に近づく方向にずらす効果を得ている。この効果により、図15で示した、軸上から軸外像高に行くに従って偏向手段から遠のく方向に湾曲している副走査方向の像面を、図11のように良好に補正している。
また、内面反射素子8の入射面T5および出射面T6は、子線チルト量が主走査方向に沿って変化する非球面で構成されている。即ち、母線上における子線面法線の主走査断面に対する傾きを示す子線チルト角が軸上から軸外にかけて副走査方向に変化する面(以下、子線チルト変化面)で構成されている。入射面T5および出射面T6を共に子線チルト変化面で構成することで、各像高のごとに副走査方向の射出角度を変化させ、かつ、スポット回転などのスポット形状の劣化を抑えている。この効果により、図17で示した、走査線の湾曲を補正し、図17のように走査線湾曲の十分小さい、良好な結像性能を得ている。
また、本実施形態では、図1、図3から分かるように、内面反射素子8は、屈折率を有する光学素子の内で最も被走査面13aに近い位置に配置している。このように配置することで、図5から分かるように、内面反射素子8入射面T5近傍での光路aと光路bの光束の間隔を広くとれるため、公差により内面反射素子8への入射光の高さが振れても、素子端面で光束がけられること無く、光路分離できる。さらに、結像光学レンズ71、72を光路aと光路bとで共通化でき、装置のコストを下げる効果も得ている。
また、図5に示したように、本実施形態では、内面反射素子8の内面反射を介さない光路bは、内面反射素子8に入射せず、内面反射素子8下端から更に下の位置を通過するように構成している。このため、内面反射を介さない光路bは、内面反射素子8自体を一切介していないため、内面反射素子8の面形状誤差や複屈折率、取り付け位置のずれなどの影響を受けず、常に良好な結像性能が得られる。
本実施形態では、以上に述べたような効果が得られる最良の構成であるため、主走査方向において、内面反射素子8の入射面T5を正の屈折力、出射面T6を負の屈折力に設定した。ただし、内面反射素子8の入射面T5を負の屈折力、出射面T6を正の屈折力に設定しても得ることも可能である。なお、本実施形態では、各光源手段1の発光点は1つで構成しているが、複数の発光点を有するマルチビームレーザを光源手段に用いてもよい。その場合も、1つの被走査面に向かう複数の光源のみを内面反射させて光路を分離する内面反射素子の入射面および出射面に互いに正負が逆の屈折力を与えてやれば、本発明の効果は同様に得られる。
また、内面反射素子8の第1の反射面R1、第2の反射面R2には、アルミなどの金属物質を蒸着しても良いが、本実施形態のようにプラスチック材料の全反射面とすると、低コスト化の点で有利である。
ここで、本実施形態では、主走査断面内において、内面反射素子8の入射面と出射面にのみ屈折力を付与し、反射面は平面形状で構成している。この構成により、反射面において、公差による光線の振れや反射面の面形状誤差が生じた場合でも、全領域で全反射条件からはずれず、反射面を抜ける不要な透過光の発生を抑える効果を得ており、かつ、結像性能も満足させる効果を得ている。また、反射面を平面形状とすることで、結像性能に敏感な反射面を加工しやすくし、加工精度を高めることで、結像性能を安定させる効果も得ている。
なお、本実施形態の光源手段は、一つの発光点を有する半導体レーザで構成したが、複数の発光点を有するモノリシックマルチビームレーザで構成しても良い。また、複数の光源手段からの複数の光束を合成するビーム合成手段を入射光学系に配置してもよい。以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
《第2の実施形態》
図20は、本発明の第2の実施形態の結像光学系L2の副走査方向の要部断面図(副走査断面図)である。図中の8’は、結像光学レンズ72からの複数の射出光束の内、被走査面13aに向かう光束のみを内面反射させる内面反射素子である。ここで、内面反射素子8’で光束を内面反射させ、被走査面13aに走査光として結像させる光路を光路aとする。また、図中の内面反射素子8’で光束を内面反射させず、内面反射素子8’を透過して被走査面13bに走査光を結像させる光路を光路bとする。
本実施形態は、光路bが内面反射素子8’の透過部を透過する点のみが第1の実施形態と異なる。第1の実施形態では、図5に示したように、内面反射素子8の内面反射を介さない光路bは、内面反射素子8に入射せず、内面反射素子8下端から更に下の位置を通過するよう構成していた。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、内面反射を介する光路aと内面反射を介さない光路bとで光路長に差が生じるため、第1の実施形態と同様の課題が生じる。そこで、本実施形態において、主走査断面内において、図18に示すように光路aの入射面と出射面に正の屈折力、負の屈折力をそれぞれ持たせている。これにより、光路aと光路b間の光路長差に起因する被走査面13上での結像性能のずれを良好に補正している。
ここで、図19に示すように、主走査断面内において、光路bの入射面(光路aの入射面と出射面の間の透過面)と出射面(第1の内面反射面と第2の内面反射面の間の透過面)にも、互いに正負が逆の屈折力を備えている。本実施形態では、光路bの入射面が正の屈折力、光路bの出射面が負の屈折力を備えている。これにより、光路bの結像性能をより良好に補正する効果を得るとともに、光路bの入射面と出射面における不要な反射光を光軸から遠ざかる方向にとばし、不要な反射光による画像への影響を低減する効果を得ている。
また、第1の実施形態では内面反射素子の反射面を平面形状で構成したが、本実施形態では内面反射面に屈折力を与え、これにより光路aにおける結像性能をさらに良好に改善する効果を得ている。
(変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
(変形例1)
上述した実施形態では、内面反射素子の反射面は平面形状で構成しているが、屈折率を有する面形状にしてもよい。
(変形例2)
また本実施形態においては、主走査断面内において、上記の組において互いに正負が逆の屈折力を有するようにしたが、副走査断面においても同様に上記の組において互いに正負が逆の屈折力を有するようにしても良い。
(変形例3)
上述した実施形態では、結像光学素子として1枚以上のレンズ71、72を用いたが、1つのレンズで結像光学系を構成しても良い。
(変形例4)
上述した実施形態では、内面反射素子の内面反射面が複数(2面)であったが、3面以上でも1面でも良く、少なくとも1面以上の内面反射面を備えるものであれば良い。
1a、1b・・半導体レーザ、5・・偏向手段、8・・内面反射素子、71、72・・結像レンズ

Claims (17)

  1. 第1、第2の光源手段の各々から出射した2つの光束を同一の偏向面によって主走査断面内において偏向走査する偏向手段と、
    前記第1の光源手段から出射し、前記同一の偏向面で反射された光束を、第1の被走査面に導く第1の結像光学系と、
    前記第2の光源手段から出射し、前記同一の偏向面で反射された光束を、前記偏向手段からの距離が前記第1の被走査面よりも遠い前記第2の被走査面に導く第2の結像光学系と、
    を備える光走査装置であって、
    前記第1の結像光学系は、前記同一の偏向面で反射された光束を前記第1の被走査面に導く内面反射素子を有しており、
    前記第2の結像光学系は、前記同一の偏向面で反射された光束を前記内面反射素子を介さずに、前記第2の被走査面に導いており、
    前記内面反射素子は、光束が入射する入射面と、入射された光束を内面反射させる少なくとも1面以上の内面反射面と、内面反射された光束を出射する出射面とを有し、かつ、前記主走査断面内において、前記入射面と前記出射面は共に屈折力を有する、
    ことを特徴とする光走査装置。
  2. 前記内面反射素子が、前記同一の偏向面で反射された光束を前記第1の被走査面から遠ざかる方向に内面反射させており、
    前記第1の結像光学系が、前記内面反射素子から出射した光束を前記第1の被走査面に向って反射させる第1の反射部材を有しており、
    前記第1の反射部材と前記第1の被走査面とは、前記同一の偏向面で反射され前記内面反射素子に至る光束の光路を挟んで互いに反対側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
  3. 前記内面反射素子は、前記入射面に入射した光束を前記第1の被走査面から遠ざかる方向に内面反射させる第1の内面反射面、更に前記入射面に入射した光束の入射方向に対して戻す方向に内面反射させる第2の内面反射面を備えることを特徴とする請求項2に記載の光走査装置。
  4. 前記主走査断面内において、前記入射面と前記出射面のどちらか一方の面が正の屈折力を有し、もう一方の面は負の屈折力を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光走査装置。
  5. 前記主走査断面内において、前記入射面が正の屈折力を有し、前記出射面は負の屈折力を有することを特徴とする請求項4に記載の光走査装置。
  6. 以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光走査装置。
    |((fa+fb)/2)/fI|<0.5
    fI=1/(1/f1+1/f2−d/(n×f1×f2))
    f1=Rm1/(n−1)
    f2=Rm2/(1−n)
    ただし、主走査断面内において、内面反射を介す光路を光路aと定義し、光路aの結像光学系の焦点距離をfa[mm]、内面反射を介さない光路を光路bと定義し、光路bの結像光学系の焦点距離をfb[mm]と定義する。
    また、主走査断面内において、前記内面反射素子の屈折率をn、内面反射を介する光路aの軸上光線における、内面反射素子の入射面から出射面までの光路長をd[mm]、前記入射面の曲率半径をRm1[mm]、前記出射面の曲率半径をRm2[mm]、前記内面反射素子の前記入射面の焦点距離をf1[mm]、前記出射面の焦点距離をf2[mm]、前記内面反射素子の焦点距離をfI[mm]と定義する。
  7. 前記入射面と前記出射面のどちらか一方の面が、副走査方向に曲率を有し、かつ主走査方向の位置によってその曲率が変化するトーリック面であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光走査装置。
  8. 前記入射面と前記出射面のどちらか一方の面が、母線上における子線面法線の主走査断面に対する傾きが軸上から軸外にかけて副走査方向に変化する子線チルト変化面であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光走査装置。
  9. 前記2つの被走査面に対応した2つの光路で共に光束が通過する共通の結像レンズを有し、前記共通の結像レンズは、前記内面反射素子と前記偏向手段の間に配置されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光走査装置。
  10. 前記共通の結像レンズは、同一の光学特性のレンズ面を2つ以上、上下方向に重ねて一体的に形成した多段トーリック面を有することを特徴とする請求項9に記載の光走査装置。
  11. 異なる被走査面上を走査する走査光は、fθ係数が同一であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光走査装置。
  12. 内面反射を介す光路を光路aと定義し、内面反射を介さない光路を光路bと定義するとき、前記内面反射素子は、光路bの光線を透過させる透過部を有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の光走査装置。
  13. 前記内面反射素子の前記内面反射面は、曲率を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の光走査装置。
  14. 請求項1乃至13のいずれか1項に記載の光走査装置と、前記被走査面に配置された感光体と、前記光走査装置で走査された光束によって前記感光体に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像器と、現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器とを有することを特徴とする画像形成装置。
  15. 請求項1乃至13のいずれか1項に記載の光走査装置と、外部機器から入力したコードデータを画像信号に変換して前記光走査装置に入力せしめるプリンタコントローラとを有していることを特徴とする画像形成装置。
  16. 請求項1乃至13のいずれか1項に記載の光走査装置の被走査面に配置され、互いに異なった色の画像を形成する複数の像担持体とを有することを特徴とするカラー画像形成装置。
  17. 外部機器から入力した色信号を異なった色の画像データに変換して各々の光走査装置に入力せしめるプリンタコントローラを有していることを特徴とする請求項16に記載のカラー画像形成装置。
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JP2016038524A (ja) * 2014-08-08 2016-03-22 キヤノン株式会社 光走査装置及びそれを備える画像形成装置

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