JP2012128085A - 光走査装置及びそれを有する画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光学系全体の小型化及び光路の自由度を向上させることができる光走査装置を得る。
【解決手段】光束を出射する光源手段1と、該光源手段から出射した光束を偏向走査する偏向手段5と、該偏向手段によって偏向された光束を被走査面上8Bに結像させる結像光学系SBを有し、該結像光学系SBは結像レンズ61、62Bと、内面反射素子7Bを有する光走査装置であって、該内面反射素子7Bは副走査断面において対称軸を有し、該内面反射素子の入射面と第一内面反射面の成す角度θa、第一内面反射面と第二内面反射面の成す角度θb、第二内面反射面と出射面の成す角度θc、前記被走査面8Bの走査中心を走査する光束の主光線の、該内面反射素子の入射方向ベクトルに対して該内面反射素子の出射方向ベクトルの成す角度φ(−180°<φ≦180°)を各々適切に設定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、光走査装置及びそれを有する画像形成装置に関し、特に、電子写真プロセスを有するレーザービームプリンタやデジタル複写機やマルチファンクションプリンタ、等の画像形成装置に好適なものである。
従来よりレーザービームプリンタ(LBP)やデジタル複写機やマルチファンクションプリンタ等には光走査装置が用いられている。この光走査装置においては画像信号に応じて光源手段から光変調され出射した光束(光ビーム)を、例えば回転多面鏡(ポリゴンミラー)よりなる光偏向器により周期的に偏向させている。そして偏向された光束をfθ特性を有する結像光学系(走査光学系)によって感光性の記録媒体(感光ドラム)面上にスポット状に集束させ、その面上を光走査して画像記録を行っている。
近年、光走査装置では、走査光学系の小型化や組み立ての容易化が求められている。その中で、走査光学系で用いる反射面の配置の自由度を増し、全系の小型化を図った光走査装置が提案されている(特許文献1)。
特許文献1は内面反射素子を用いている。そして被走査面の走査中心を走査する光束、すなわち軸上光束の主光線において、内面反射素子の入射面への入射方向ベクトルに対して内面反射素子の出射面からの出射方向ベクトルの成す角度φがφ=180°となるように構成している。このことにより、内面反射素子の前後の光路及びそれに付随する光学素子を並列に配置することができるようにして、光学系の小型化を図っている。以後、上記の特徴を持つような内面反射素子を、特許文献1で開示されている内面反射素子に限定せず、「180°内面反射素子」と定義する。
特開2001−51221号公報
内面反射素子を用いた光走査装置では、内面反射面の近傍だけでなく、光学系全体が小型でしかも各部材の組み立てが容易であることが強く要望されている。更に光路が自由に変更できること等が要望されている。そうすると内面反射素子への光束の入出射前後の光路を正対方向に限定される180°内面反射素子の使用が必ずしも十分でない場合が生じてくる。このため光走査装置においては、前述の角度φがφ≠180°となる内面反射素子が必要となってくる。
しかしながら、φ≠180°となる内面反射素子の形状及び配置は様々存在し、場合によって問題が生じることがある。例えば、内面反射素子の形状を、副走査断面において非対称とした場合、成形時の冷却過程に非対称性が生じ、その非対称性により、副走査方向の反りが発生し、走査線湾曲が悪化してくる。また、内面反射素子の形状及び配置を、光束が入射した際、副走査断面において入射面又は出射面又はその両方で屈折が生じるようにした場合、屈折後の光束は副走査断面内でコマ収差が変化する。
内面反射素子の通過前後において、副走査断面内で光束のコマ収差が変化すると、像面においてLSFスポット径が増大し、光学性能が悪化してくることがある。これらのことから、φ≠180°となる内面反射素子を用いる場合には、光学性能の悪化を極力避けた形状及び配置をとることが重要になってくる。
本発明は、光走査装置の一部にφ≠180°の内面反射素子を適切な形状及び配置とすることにより光学性能の悪化を軽減しつつ、光学系全体の小型化及び光路の自由度を向上させることができる光走査装置及びそれを有する画像形成装置の提供を目的とする。
本発明の光走査装置は、光束を出射する光源手段と、該光源手段から出射した光束を偏向走査する偏向手段と、該偏向手段によって偏向された光束を被走査面上に結像させる結像光学系を有し、
該結像光学系は結像レンズと、入射面から入射した光束を第一、第二内面反射面で反射させた後、出射面から出射させる内面反射素子を有する光走査装置であって、
該内面反射素子は副走査断面において対称軸を有し、
該内面反射素子の入射面と第一内面反射面の成す角度をθa、第一内面反射面と第二内面反射面の成す角度をθb、第二内面反射面と出射面の成す角度をθc、
前記被走査面の走査中心を走査する光束の主光線の、該内面反射素子の入射方向ベクトルに対して該内面反射素子の出射方向ベクトルの成す角度をφ(−180°<φ≦180°)とするとき、
154°≦|φ|≦177°
|θa−θb+θc|≦8°
を満たすことを特徴としている。
本発明によれば、光走査装置の一部に適切な形状及び配置のφ≠180°の内面反射素子を用いることにより光学性能の悪化を軽減しつつ、光学系全体の小型化及び光路の自由度を向上させることができる光走査装置が得られる。
本発明の光走査装置の副走査断面図 図1のステーションS2に係る光束RBの主走査断面図(展開図) 図1の内面反射素子7B近傍の副走査光路図 図3の内面反射素子7Bの副走査展開光路図 Δ変化時の軸上光束の副走査断面内のコマ収差 内面反射素子の光路変化の具体例模式図 本発明のカラー画像形成装置の要部概略図
以下に本発明の好ましい実施の形態について、添付の図面に基づいて詳細に説明する。本発明の光走査装置は、光束を出射する光源手段と、光源手段から出射した光束を偏向走査する偏向手段(回転多面鏡)と、偏向手段によって偏向された光束を被走査面上に結像させるfθ特性を有する結像光学系を有する。結像光学系は結像レンズと、平面よりなる入射面から入射した光束をいずれも平面よりなる第一、第二内面反射面で鏡面反射又は全反射させた後、平面よりなる出射面から出射させる樹脂よりなる内面反射素子を有する。
[実施例1]
図1は本発明の光走査装置の実施例1の副走査方向の要部断面図(副走査断面図)である。図1はタンデ型のカラー画像形成装置に用いる光走査装置を示している。尚、以下の説明において、結像光学系の光軸または軸上と表現した場合は、被走査面の
中心(走査中心)で被走査面に垂直方向の軸のことである。副走査方向(Z方向)とは、偏向手段の回転軸と平行な方向である。主走査断面とは、副走査方向(偏向手段の回転軸と平行な方向)を法線とする断面である。主走査方向(Y方向)とは、偏向手段で偏向走査される光束を主走査断面に投射した方向である。副走査断面とは、主走査方向を法線とする断面である。
本実施例の走査光学装置は偏向手段5を挟み走査ユニットSR,SLを2つ備え、1つの偏向手段5により4本の光束RA、RB、RA´、RB´を偏向走査する。そして対応する被走査面としての感光ドラム8A(ブラック),8B(シアン),8D(イエロー),8C(マゼンタ)の面を走査する。
ここで走査ユニットSRにおいて、偏向手段である光偏向器(4面回転多面鏡)5の偏向面5aで偏向反射した偏向光束RAは、結像レンズ61、62を通過後、反射プリズム7Aにより反射され、被走査面である感光ドラム8Aに導かれる(ステーションS1)。また、光偏向器5の偏向面5aで偏向反射した偏向光束RBは、結像レンズ61、62を通過後、内面反射素子7B、反射ミラー10Bで反射されて被走査面である感光ドラム8Bに導かれる(ステーションS2)。
一方、走査ユニットSLにおいて、光偏向器5の偏向面5´aで偏向反射した偏向光束RA´は結像レンズ61´、62´を通過後、反射プリズム7Dにより反射され、被走査面である感光ドラム8Dに導かれる(ステーションS4)。また、光偏向器5の偏向面5´aで偏向反射した偏向光束RB´は結像レンズ61´、62´を通過後、内面反射素子7B´、反射ミラー10Cで反射されて被走査面である感光ドラム8Cに導かれる(ステーションS3)。
このように本実施例では、光偏向器5の回転軸に対向した2つの偏向面に、それぞれ複数の光源手段から出射した複数の光束が入射している。そして、1つの偏向面で、同じ方向に偏向反射された複数の光束を用いて、光偏向器5の回転軸を挟んで対向配置した複数の被走査面を走査している。
本発明の光走査装置の実施例1のステーションS2の構成を説明する。図2は図1のステーションS2の感光ドラム8Bへ向かう光束RBに関する主走査断面内の展開図である。図2において、1は光源手段であり、例えば半導体レーザー等より成っている。光源手段1は光束の発振波長λがλ=790nmの赤外光源である。2は開口絞りであり、通過光束を制限して光束形状を整形している。
3はアナモフィックレンズであり、光源手段1から出射された発散光束を主走査断面内において平行光若しくは略平行光に変換し、副走査断面内において後述する光偏向器5の偏向面5aに主走査方向を長手の線像として結像させる屈折力を有している。尚、アナモフィックレンズ3を主走査断面内及び副走査断面内において平行光若しくは略平行光に変換するコリメータレンズと副走査方向のみにパワーを有するシリンドリカルレンズの2つのレンズで構成しても良い。また、開口絞り2、アナモフィックレンズ3の各要素は、入射光学系(集光光学系)LBの一部を構成している。
5は偏向手段としての光偏向器であり、外接円直径20mmの4面より成るポリゴンミラーより成っている。この光偏向器5は、駆動手段(不図示)により図中矢印A方向に一定速度で回転している。SBは結像光学系であり、fθ特性を有し、2つの結像レンズ(樹脂レンズ)61、62Bと、光路を折り曲げる内面反射素子7Bと折り返しミラー10Bとを有している。結像光学系SBは、光偏向器5によって偏向走査された画像情報に基づく光束を主走査断面内において被走査面としての感光ドラム8Bの面上にスポット状に結像させている。
また、結像光学系SBは、副走査断面内において、光偏向器5の偏向面5aと感光ドラム面8Bとの間を光学的に共役関係にすることにより、光偏向器5の偏向面5aの面倒れ補正を行っている。通常、複数の偏向面が存在する光偏向器の場合、偏向面毎に副走査方向への偏向面の倒れ角が異なるため、面倒れ補正光学系を採用することが良い。4は同期検出用の同期検知レンズであり、同期検出用センサー(同期検出素子)9の近傍に設けたスリット9aの面上に同期検出用光束を結像させている。
本実施例では、同期検出用センサー9からの出力信号を検知して得られた同期信号を用いて感光ドラム面8B上への画像記録の走査開始位置のタイミングを調整している。尚、同期検出用レンズ4、そして、同期検出用センサー9の各要素は、同期位置検出光学系の一要素を構成している。同期位置検出光学系は、4つの感光ドラム8A〜8Dに対応する4つの光束ごとに設けても良い。または本実施例のように感光ドラム8Bに向かう光束RBのみに設け、残りの光束の走査開始位置を制御するようにしても良い。
本実施例において画像情報に応じて半導体レーザー1から出射された光束は、主走査断面内において結像光学系SBの光軸SBaに対し直交方向から偏向面5aに入射している。また、副走査断面内においては、偏向面5aに対し副走査方向に所定の角度(x軸に対して、x軸からz軸に向けて回転する方向を正として3°)を持って斜入射している。そして、光偏向器5の偏向面(ポリゴンミラー面5aで偏向走査された光束は結像レンズ61、62Bを通過し、内面反射素子7Bとミラー10Bにより、光路が折り曲げられ、感光ドラム8Bに到達している。
このとき、結像レンズ61、62Bを通過した光束は、感光ドラム面8B上にスポット状に結像されており、光偏向器5を矢印A方向に回転させることによって、該感光ドラム8Bの面上を矢印B方向(主走査方向)に等速度で光走査している。これにより記録媒体としての感光ドラム面8B上に画像記録を行っている。このとき、感光ドラム8Bの面における像高Yと光偏向器5の偏向反射角θとの比例係数κ(Y=κθ)はκ=119(rad/mm)である。
ここで、本実施例では、ステーションS2の結像光学系SBとステーションS1の結像光学系SAで結像レンズ61を共用している。結像レンズ62に関しては、結像光学系SBと結像光学系SAにおいて、異なる形状(結像レンズ62B、結像レンズ62A)としており、面頂点を異ならせた2つのトーリックレンズを重ねた多段トーリックレンズより構成している。
図3は本実施例の内面反射素子7B近傍における、光束RBの被走査面8Bの走査中心を走査する軸上光束主光線RBaの副走査断面光路図である。
本実施例の内面反射素子7Bは副走査断面において副走査対称軸を有している。内面反射素子7Bの入射面としての第一透過面7BT1と第一内面反射面7BR1の成す角度をθaとする。第一内面反射面7BR1と第二内面反射面7BR2の成す角度をθbとする。第二内面反射面7BR2と出射面としての第二透過面7BT2の成す角度をθcとする。被走査面の走査中心を走査する軸上光束の主光線の、内面反射素子7Bの入射方向ベクトルに対して内面反射素子7Bの出射方向ベクトルの成す角度をφ(−180°<φ≦180°)とする。
このとき、
154°≦|φ|≦177° ・・・(1)
|θa−θb+θc|≦8° ・・・(2)
を満たす。
本実施例では軸上光束主光線において、内面反射素子7Bへの入射方向ベクトルに対して内面反射素子7Bからの出射方向ベクトルの成す角度φがφ≠180°となる内面反射素子を用いている。
次にφ=180°の内面反射素子とφ≠180°の内面反射素子の比較について具体的な例を挙げて、説明する。図6(a)は、特許文献1の図3(B)の内面反射素子33近傍の光学素子を模式的に示している。図中の記号の定義は、特許文献1と同じであり、34はシリンドリカルレンズ、33は内面反射素子、35はシリンドリカルミラー、40は被走査面である。
この光学系においては、内面反射素子33を用いることで、内面反射素子33反射面後部の各部材のレイアウト制約を緩和している。しかしながら、シリンドリカルレンズ34と内面反射素子33の間隔dが狭く、組み立てが容易でない。そこで、組み立てが容易となるように光学系に変形すると、図6(b)のようになる。
図6(b)では、内面反射素子33の第二反射面を変化させ(内面反射素子33’)、シリンドリカルミラー35を下方に移動させることで、光路長を保ったまま間隔dを間隔d’へ広げている。間隔dを広げることにより、シリンドリカルレンズ34と内面反射素子33’の接触を気にする必要がなくなり、組み立て容易性が向上する。このように、組み立て容易化や光学系全体の小型化を考えたときに、φ=180°の内面反射素子(180°内面反射素子)よりもφ≠180°の内面反射素子を使用した方が適している場合がある。また光路の自由度が向上する。
しかし、角度φ≠180°となる内面反射素子の角度φをある値に決定しても、取りうる内面反射素子の形状や配置は様々存在する。例えば、図6(b)に示すような光学系では、内面反射素子33の第二反射面の形状を変化させて、φ=−155°を達成した内面反射素子33’を挙げている。しかし、このような形状では前述したように、走査線湾曲や副走査断面内のコマ収差が多く発生して光学性能が悪化してくる。そこで本実施例では、内面反射素子を条件式(1)、(2)を満足するように構成している。
図3に示すように、軸上光束主光線RBaは、内面反射素子7Bの第一透過面である入射面7BT1を透過した後、第一内面反射面7BR1と第二内面反射面7BR2とで反射し光路を折り曲げられ、第二透過面である出射面7BT2を透過し、射出する。
ここで、内面反射素子7Bは、屈折率n=1.52397の樹脂材料により成形されている。また、第一内面反射面7BR1及び第二内面反射面7BR2での反射として、樹脂材料の全反射を利用している。本実施例のように樹脂の全反射を利用する構成は、アルミ膜等の反射膜コーティングによる鏡面反射を利用する構成と比較して、製造が容易になる。尚、鏡面反射を利用しても良い。
軸上光束主光線RBaは、x軸からz軸方向への回転を正として、x軸に対して、副走査方向に1°の角度を持って、内面反射素子7Bの入射面7BT1に入射している。図1に示したようなタンデム型のカラー画像形成装置に用いる光走査装置において各色の光路を分離するために、走査光束の副走査方向の角度を各色毎に変化させている。このとき、内面反射素子7Bの入射面7BT1に対する軸上光束主光線RBaの入射角度θinT1=2.5°となるように内面反射素子7Bを構成している。
軸上光束主光線RBaは内面反射素子7B出射後、x方向に対して、−174°の角度を持ってミラー10Bに入射している。このとき、軸上光束主光線RBaの、内面反射素子7Bへの入射方向ベクトルに対して内面反射素子7Bからの出射方向ベクトルの成す角度φは、x軸からz軸に向けて回転する方向を正として、
φ=−174°−1°=−175°
となる。このとき、
−177°≦φ=−175°≦−154°
となり、条件式(1)を満足する。
ここで、内面反射素子7Bは、全ての面が主走査方向に一様な平面で構成されている。入射面7BT1と、第一反射面7BR1とが成す副走査方向の角度θa=43.75°である。第一反射面7BR1と第二反射面7BR2とが成す副走査方向の角度θb=87.5°である。第二反射面7BR2と出射面7BT2が成す副走査方向の角度θc=43.75°である。
また、図3に示すように、入射面7BT1、第一反射面7BR1、第二反射面7BR2、出射面7BT2の各面の成す交点をA、B、Cとする。このとき、頂点A,Cの中点とAC頂点Bとをつないだ線を副走査対称軸として、副走査断面形状に対称な形状となっている。つまり、副走査断面において、対称軸を持っている。ここで、内面反射素子7Bが三角形でなく六角形になった理由は、鋭角形状では、成形の冷却過程において温度の非対称分布が生じやすく、その起因で副走査方向に反りが発生してしまう可能性があるからである。
図4は、図3の内面反射素子7Bの副走査断面内の展開光路図である。ここで、入射面7BT1と、出射面7BT2面を展開した展開出射面7BT2’との関係について説明する。図4に示すように、頂点Aと頂点Cを展開した頂点C’を直線で結び、角度θ1、θ2、θ3を定義する。これらを用いて、錯角を考えると、入射面7BT1の法線方向ベクトルNinと光線に対して、展開出射面7BT2’の法線方向ベクトルNoutが成す角度Δは
Δ=θa+θa+θ2+θ3+θc+θc−180°
となる。但し、図4に示したNin、Nout、Δの説明図は、わかりやすさのためデフォルメしており、本実施例の実際の値と対応していない。
ここで、
θ2+θ3=180°−θ1
θ1=θa+θb+θc
∴θ2+θ3=180°−(θa+θb+θc)
より、
Δ=θa+θa+θ2+θ3+θc+θc−180°
=θa+θa+180°−(θa+θb+θc)+θc+θc−180°
=θa−θb+θc
となる。
本実施系では、θa=43.75°、θb=87.5°、θc=43.75°より、
Δ=θa−θb+θc
=43.75°−87.5°+43.75°
=0°
このことから、入射面7BT1と展開出射面7BT2’が平行であることがわかる。つまり、条件式(2)を達成している。
本実施例において、内面反射を使用している効果について説明する。本実施例では、内面反射素子7Bを用いることで、外面反射を用いるミラーと比較して、反射素子の持つ反射面後部の厚みが存在しないので、反射面の近傍の配置において制約が少なくなるという効果を得ている。具体的には、図1から明らかのように、内面反射面7BR1を光路RAの近傍まで近づけることが出来る。この結果、光路の取り回しが容易となり、光学系の小型化が容易になる。
以下、本発明に係る内面反射素子の形状、及び配置について説明する。まず条件式(1)をとることの効果を説明する。本実施例では、軸上光束主光線は、内面反射素子7Bの入射面7BT1への入射方向ベクトルに対して、出射面7BT2からの出射方向ベクトルの成す角度φ=−175°となる構成を取っている。このことにより、結像レンズ61と折り返しミラー10Bを極力近づけて配置することができ、光学箱11の高さを低くすることができるという、光走査装置の光学系全体を考慮したときの小型化効果を得ている。
光走査装置の小型化を図るには、180°内面反射素子は適さない。自由度の高い光路の取り回しが必要な場合には、本実施例のように角度φを適した値となるような内面反射素子の形状、及び配置を設定するのが良い。条件式(1)を満たすことで、180°内面反射素子では達成できない、光学系全体の小型化が容易になる。
本実施例の内面反射素子は、副走査断面において、対称軸を有することの効果を説明する。副走査断面において、対称軸が存在しない場合、成形時の冷却過程で非対称性が生じ、副走査方向の反りが発生しやすくなってしまう。副走査方向の反りが発生した場合、走査線湾曲の悪化を生じる。これに対して本実施例のように対称軸を持つように構成することで、副走査方向の反りを低減し、走査線湾曲の悪化を軽減することができる。
次に条件式(2)をとることの効果を説明する。条件式(2)は、内面反射素子7Bを通過する光束の光路を内面反射面7BR1、7BR2を軸に対称に展開したとき、入射面である第一透過面7BT1と展開出射面である第二透過面7BT2’が平行又は略平行となっているということを意味する。
つまり、平行平板と同じ構成となる。このような構成では、軸上光束主光線RBaの、入射面7BT1への入射角度と、出射面7BT2からの出射角度が略等しくなるため、入射面7BT1で発生した副走査コマ収差は、出射面7BT2で発生したコマ収差により略キャンセルされる。そのため、本構成とすることで、副走査コマ収差が発生するのを防止でき、光学性能の悪化を防ぐことができる。
以上のように本実施例によれば、反射面近傍の各部材の配置の自由度が増し、且つ、走査線湾曲や副走査コマ収差という光学性能の悪化を招くことなく、角度φ=−175°という自由度の高い光路で光学系の小型化を図ることができる。
ここで、各条件式(1)、(2)の有効範囲について説明する。まず、条件式(1)について説明する。条件式(1)に示した有効範囲の上限は、180°内面反射素子の持つ光路が並列となる利点と、角度φ≠180°の内面反射素子の持つ、小型化や組み立てが容易になるとの兼ね合いによって決定される。
前述したように、角度φ=180°内面反射素子を使用した場合、光路が並列になるため、光学素子を並列に配置できるという利点がある。この並列となる利点より、全系が小型化で組み立てが容易となる利点が大きい場合に、自由度の高い、角度φ≠180°となる光路を選択する。場合により異なるが、通常、角度φ=180°から少なくとも3°は変化させないと、小型化や組み立てが容易となる利点が並列とする利点を上回ることは無い。
そのため、
|φ|≦177°
が有効な範囲の上限となる。この範囲を上回ると、180°内面反射素子の方が光学系に適したものとなり、角度φ≠180°の内面反射素子を用いる意味がなくなってしまう。また、条件式(1)に示した有効範囲の下限は、角度φ≠180°の内面反射素子の持つ、配置誤差が生じるという欠点と、全系が小型で組み立てが容易になるという利点との兼ね合いによって決定される。
内面反射素子を配置する場合、その配置誤差を考える必要がある。この配置誤差が生じるという欠点より、全系の小型化や組み立てが容易となる利点が大きい場合に、自由度の高い、角度φ≠180°となる光路を選択する。例えば、図6(b)の光学系において、内面反射素子33´にZ方向にΔdだけ配置誤差が生じた場合を考える。このとき、像面40の位置は変更できないため、シリンドリカルミラー35位置をY方向に調整し、像面での照射位置調整を行う。その調整距離を、Mdとする。調整後の光学系を図6(c)に示す。
このとき、
Md≒Δd×|tan(φ)|
となる。製造タクトの観点から、調整距離は極力短い方が良い。配置誤差Δdに対する調整距離Mdの変化割合である配置誤差敏感度(=Md/Δd)は、通常、0.5以下となることが望ましいとされる。そのため、
Md/Δd≒|tan(φ)|≦0.5
∴154°≦|φ|≦180°
これが、条件式(1)の有効な範囲の下限となる。この範囲を下回ると、調整タクトが長くなってしまい、製造に支障が出てしまう。これらのことをまとめて、本発明の有効な範囲は
154°≦|φ|≦177°
となる。
次に、条件式(2)について説明する。本実施例では、内面反射素子7Bの入射面7BT1の法線方向ベクトルNinに対して内面反射素子7Bの出射面7BT2の法線方向ベクトルNoutの成す角度Δ=0°である。角度Δは、面平行からの角度ずれを示す。この角度Δの値が変化したときの副走査断面内のコマ収差の変化量の値が許容範囲外となる時点までを、本発明においては有効な範囲と定める。
そこで、副走査展開光路において、角度Δが0°〜10°変化したときの軸上主光線の副走査断面内のコマ収差の変化量を考える。ここで、内面反射素子7Bの入射面7BT1への入射角度θinT1は2.5°のまま変化させていない。このとき生じる、軸上光束主光線の副走査断面内のコマ収差の変化量を図5に示す。図5より、角度Δが変化するにつれ、副走査断面内のコマ収差が変化していることがわかる。副走査断面内のコマ収差の変化は、感光ドラムでの副走査LSFスポット径の肥大を招くため、極力小さく抑えることが望ましい。
一般に、副走査断面内のコマ収差の値が0.01λ以上変化すると、副走査断面内のコマ収差による副走査LSFスポット径の肥大が無視できない量となる。図5より、
│Δ│≦8°
が本発明において有効な範囲である。この範囲外であれば、軸上光束のコマ収差の変化量が許容量を超えてしまうため、LSFスポット径の肥大という光学性能の悪化を招いてしまう。
本実施例では、副走査方向において、軸上光束主光線の内面反射素子7Bの入射面7BT1への入射角度θinT1=2.5°≧2°という構成としている。この構成とすることで、内面反射素子7Bの入射面7BT1での反射光が結像レンズ62へと戻るのを防ぎ、走査光に対してゴースト光が発生するのを軽減している。
本実施例では、内面反射素子7Bの内面反射として全反射を利用している。この構成とすることで、反射膜コーティングによって反射をさせる場合と比較して、構成を簡素化している。本実施例では、内面反射素子7Bを樹脂より構成している。この構成とすることで、ガラスで成形した場合と比較して、成形手法が容易になる。本実施例では、内面反射素子7Bの第一内面反射面7BR1と第二内面反射面7BR2が平面で構成されている。この構成とすることで、曲面の場合と比較して、容易に内面反射面の成形が行えるようにしている。
本実施例では、内面反射素子7Bの第一透過面7BT1及び第二透過面7BT2が平面で構成されている。この構成とすることで、曲面の場合と比較して容易に内面反射素子の透過面の成形が行えるようにしている。φ≠180°という光路の自由度を確保しつつ、走査線湾曲や副走査断面内のコマ収差光学性能の悪化を極力抑えた内面反射素子の形状及び配置している。これにより、反射面近傍のレイアウト制約を緩和し、且つ、光学性能の悪化を招くことなく、光学系の小型化や組み立てを容易にしている。
次に本実施例における入射光学系LB、結像光学系SBに関する設計データを表1に示す。表1に示したレンズ配置の座標の原点は、図1に示した符番R0としている。R0は画像中心を走査する光束の主光線の偏向反射点(基準点)である。光偏向器5の偏向面に対して垂直で且つ基準点R0を通過する面をPR0としたとき、面PR0に対し、光束RA、RBはそれぞれ−3°、+3°の傾きを持って偏向走査させている。即ち、光偏向器5に入射する入射光学系LA、LBは面P0に対してそれぞれ+3°、−3°副走査方向に傾いて配置させている。
この斜入射角が大きすぎると、波面収差の捩れによりスポットの崩れを補正する事が困難となり、小さすぎると光束の分離がし難くなる。望ましくは2°〜5°の範囲で設定するのがよい。
本実施例のアナモフィックレンズ3の入射面は平面上に回折格子が形成された回折面、出射面は主走査方向と副走査方向で曲率半径の異なるアナモフィックな屈折面としている。アナモフィックレンズ3はプラスチック材料を用いた射出成形で成形されており、環境変動による屈折パワーの変化を半導体レーザーの波長変化による回折パワーの変化で補償する温度補償光学系としている。回折面は以下に表した位相関数により定義される。
φ=2πm/λ(C+C
ここで、φは位相関数、mは回折次数であり、本実施例は、1次回折光(m=1)を用いている。λは設計波長であり、本実施例ではλ=790nmである。また、本実施例の結像レンズ61、62の入射面、出射面の母線形状は、10次までの関数として表せる非球面形状により構成している。結像レンズ61、62のそれぞれのレンズ面は表1に示した光学配置を原点として表現された以下に述べる非球面式から定義される。例えば、結像レンズ61のレンズ入射面においては、(X、Y、Z)=(15.853、−0.144、0.000)を非球面式の原点としている。そして、各レンズ面の面形状は、各レンズ面の原点を通り、光軸方向をX軸、主走査断面内において光軸と直交する軸をY軸としたとき、主走査方向と対応する母線方向が、
(但し、Rは母線曲率半径,K,B,B,B,B10,は非球面係数)
なる式で表されるものである。また、副走査方向と対応する子線方向が、
なる式で表されるものである。Sは母線方向の各々の位置における母線の法線を含み主走査断面と垂直な面内に定義される子線形状である。ここで、主走査方向に光軸からY離れた位置における副走査方向の曲率半径(子線曲率半径)r´は、
(但し、rは光軸上の子線曲率半径,E,E,E,E,E10,E12は子線変化係数)
なる式で表される。また、Mj_kは子線方向の非球面を表す係数である。例えば、Mj_1はZの1次項であり、副走査方向の面の傾き(子線チルト)を表している。また、Mj_4はZの4次項であり、副走査方向の非球面を表している。本実施例では、主走査方向に0,2,4,6,8,10次の係数を使って子線チルト量を変化させ、主走査方向に0,2,4,6次の係数を使って子線の非球面量を変化させている。
また、表1Aに示した各係数には添え字u及びlが付いている。それぞれUpper側、Lower側の意味であり、結像光学系の各レンズ面頂点に対し、光源手段1がある側をLower側、光源手段1がある側と反対側をUpper側と定義する。添え字U及びlが付いていない係数については、Upper側、Lower側に共通の係数である。なお、これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
[カラー画像形成装置]
図7は、本発明の光走査装置を用いたカラー画像形成装置の実施例を示す副走査方向の要部断面図である。図において、符号100はカラー画像形成装置を示す。このカラー画像形成装置100には、パーソナルコンピュータ等の外部機器102から色信号としてのコードデータDcが入力する。このコードデータDcは、装置内のプリントコントローラ101によって、Yi(イエロー)、Mi(マゼンタ)、Ci(シアン)、Bki(ブラック)の各色画像データに変換される。そして実施例に示した構成を有する光走査装置11に入力される。そして、この光走査装置11からは、画像データYi、Mi、Ci、Bkiに応じて変調された光ビームが出射され、この光ビームによって感光体ドラム21〜24の感光面を主走査方向に走査される。
静電潜像担持体(感光体)たる感光体ドラム21〜24は、モータ(不図示)によって時計廻り(R方向)に回転させられる。そして、この回転に伴って、感光ドラム21〜24の感光面が光ビームに対して、主走査方向と直交する副走査方向に移動する。感光体ドラム21〜24の上方には、感光体ドラム21〜24の表面を一様に帯電せしめる帯電ローラ(不図示)が表面に当接するように設けられている。そして、帯電ローラによって帯電された感光体ドラム21〜24の表面に、前記走査光学装置11によって走査される光ビームが照射されるようになっている。
先に説明したように、光ビームは、画像データYi、Mi、Ci、Bkiに基づいて変調されており、この光ビームを照射することによって感光体ドラム21〜24の表面に静電潜像を形成せしめる。この静電潜像は、上記光ビームの照射位置よりもさらに感光ドラム21〜24の回転方向の下流側で感光体ドラム21〜24に当接するように配設された現像器71〜74によってトナー像として現像される。
現像器71〜74によって現像されたトナー像は、感光ドラム21〜24の上方で、感光体ドラム21〜24に対向するように配設された中間転写ベルト103上で、一旦4色のトナー像が転写されカラー画像として形成される。そして、中間転写ベルト103上に形成されたカラートナー画像は転写ローラ(転写器)104によって被転写材たる用紙108上に転写される。用紙108は用紙カセット107内に収納されている。
未定着トナー像を転写された用紙108はさらに定着器へと搬送される。定着器は内部に定着ヒータ(図示せず)を有する定着ローラ105とこの定着ローラ105に圧接するように配設された加圧ローラ106とで構成されている。そして、転写部から搬送されてきた用紙108を定着ローラ105と加圧ローラ106の圧接部にて加圧しながら加熱することにより用紙108上の未定着トナー像を定着せしめる。そして、定着された用紙108は画像形成装置の外に排出させられる。
109はレジストレーションセンサであり、中間転写ベルト103上に形成された、Y、M、C、Bkのレジストレーションマークを読取る事で、各色の色ずれ量を検知する。その検出結果を走査光学装置11にフィードバックすることで、色ずれのない高品位なカラー画像を形成することを可能にしている。
図7においては図示していないが、プリントコントローラ101は、先に説明したデータの変換だけでなく、画像形成装置内の各部や、走査光学装置内のポリゴンモータなどの制御も行う。
1…光源手段 3…アナモフィックレンズ 5…光偏向器 5a…偏向面
61…結像レンズ 62…結像レンズ 7B…φ=−155°内面反射素子
8B…感光ドラム 10B…折り返しミラー LB…入射光学系
SB…結像光学系 RB…光束

Claims (8)

  1. 光束を出射する光源手段と、該光源手段から出射した光束を偏向走査する偏向手段と、該偏向手段によって偏向された光束を被走査面上に結像させる結像光学系を有し、
    該結像光学系は結像レンズと、入射面から入射した光束を第一、第二内面反射面で反射させた後、出射面から出射させる内面反射素子を有する光走査装置であって、
    該内面反射素子は副走査断面において対称軸を有し、
    該内面反射素子の入射面と第一内面反射面の成す角度をθa、第一内面反射面と第二内面反射面の成す角度をθb、第二内面反射面と出射面の成す角度をθc、
    前記被走査面の走査中心を走査する光束の主光線の、該内面反射素子の入射方向ベクトルに対して該内面反射素子の出射方向ベクトルの成す角度をφ(−180°<φ≦180°)とするとき、
    154°≦|φ|≦177°
    |θa−θb+θc|≦8°
    を満たすことを特徴とする光走査装置。
  2. 前記被走査面の走査中心を走査する光束の主光線の、前記内面反射素子の入射面への入射角度をθinT1とするとき、
    2°≦θinT1
    であることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
  3. 前記内面反射素子の第一、第二内面反射面のうち少なくとも1つの面は全反射を利用していることを特徴とする請求項1又は2に記載の光走査装置。
  4. 前記内面反射素子は樹脂よりなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光走査装置。
  5. 前記内面反射素子の第一、第二内面反射面は平面であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光走査装置。
  6. 前記内面反射素子の入射面及び出射面は平面であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光走査装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光走査装置と、前記被走査面に配置された感光体と、前記光走査装置で走査された光束によって前記感光体の上に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像器と、前記現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器を有することを特徴とする画像形成装置。
  8. 外部機器から入力した色信号を異なった色の画像データに変換するプリントコントローラを備えたことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
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