JP2014005633A - 補強土壁工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】長さ調整機能と連結機能を併有する長さ調整装置30を介して壁面パネル10の背面へ補強材20を接続し、壁面パネル10の背面から離隔して形成した盛土層40の中に補強材20の水平方向の変位と上下方向の撓み変形を拘束した状態で補強材20を埋設し、壁面パネル10の背面側に長さ調整装置30を露出して位置させ、盛土層40に反力を得て長さ調整装置30の長さを調整する。
【選択図】図1
Description
壁面パネルの背面に直接接続した帯状を呈する補強材を盛土に埋設することで得られる補強材の引抜抵抗で以て壁面パネルに作用する土圧に対抗するとともに、盛土内に埋設した補強材による補強効果により補強土構造体の強度を高めている。
そのため、壁面パネルの目地部が前後方向に位置ずれを生じたときはクレーン等の建設機械と作業員の人力を併用して壁面パネルの設置位置を微調整し、また壁面パネルが前後方向に傾倒しているときは目地部に楔体を差し込んで壁面パネルの傾倒を微調整している。
<1>壁面パネルは大重量を有していて、人力で移動することは非常に困難である。そのため、壁面パネルの微調整作業に多くの時間と労力を要する。
<2>微調整対象の壁面パネルは、既設の壁面パネルの上に不安定な状態で仮置きした壁面パネルであり、しかも微調整作業は補強材を盛土に埋設して反力を得る前に行わなければならない。
<3>盛土を転圧する際に、壁面パネルに接続した補強材が引っ張られて、壁面パネルが位置ずれや傾倒を生じ易い。
壁面パネルの背面に接続した補強材が盛土層の引き抜き抵抗の影響を受けることから、壁面パネルを移動することが非常に困難となる。
そのため、盛土の転圧後に壁面パネルが位置ずれや傾倒を起こすと、壁面パネルの微調整作業に時間と労力を要し、施工性が悪くなる。
さらに本発明の目的は、施工性を改善できる補強土壁工法を提供することにある。
前記長さ調整装置は壁面パネルの背面に突設した連結金具と、補強材の一端部に設けた端末金具と、前記両金具に螺着して両金具間を連結する調整ボルトとを具備し、前記調整ボルトを回転することで前記連結金具と端末金具との間隔を調整可能に構成してある。
前記調整ボルトはボルト軸の何れか一方に逆ねじを形成しておくとよい。
<1>作業員の人力に依らずに、盛土層に反力を得て長さ調整装置の長さを調整するだけの簡易な作業で以て、壁面パネルの位置と角度を微調整することができる。
したがって、擁壁を構成する壁面パネルの仕上げ精度が向上する。
<2>補強材に盛土した後に壁面パネルの微調整作業を行うため、盛土の転圧作業に起因して壁面パネルがずれ動いたとしても壁面パネルの変位を容易に修正することができる。
したがって、従来工法と比較して施工性が大幅によくなる。
<3>壁面パネルの背面に補強材を接続し、補強材に盛土した後に壁面パネルの微調整作業を行うので、安全に作業をすることができる。
図1に一部を破断した補強土壁の全体図を示す。
補強土壁は、擁壁を構成する複数の壁面パネル10と、各壁面パネル10の背面に接続した補強材20と、壁面パネル10の背面と補強材20の端部との間に介装した長さ調整装置30と、前記補強材30を埋設しながら壁面パネル10の背面側に階層的に形成した複数の盛土層40と、壁面パネル10の背面と複数の盛土層40との間に形成した排水層50とを有する。
補強土構造体の前面側は排水層50を介して複数の壁面パネル10で構成する擁壁で覆われていて、各壁面パネル10はその背面に接続した補強材20と盛土層40間の引き抜き抵抗を反力源として支持されている。
以下に主要な資材について詳しく説明する。
壁面パネル10はプレキャスト製のパネルで、素材は特に制約がないが、耐久性や加工性等の観点からコンクリート製が好適である。
また図示を省略するが、壁面パネル10の周面(上下面)に段差面を形成し、互いに段差面を嵌合して隣接する壁面パネル10相互間の位置決めをし易くしてもよい。
補強材20は、盛土層40を補強するとともに、盛土層40の支圧抵抗力に壁面パネル10に作用する土圧を支持する公知の部材で、例えば帯状の鋼材等を適用できる。
図2,3に示すように、長さ調整装置30は壁面パネル10の背面と補強材20の端部との間に介装して使用し、長さ調整機能と連結機能を併有する装置で、壁面パネル10の背面に突設した連結金具15と、補強材20の一端部に設けた端末金具21と、両金具15,21間を連結する調整ボルト31とを具備する。
連結金具15は帯板を折曲して略コ字形に形成したパネル側の接続素子で、調整ボルト31と螺着可能な固定ナッ16を有する。
連結金具15の両端部は壁面パネル10に埋設する等して固定してある。
壁面パネル10の背面から離隔した連結金具15の中央部には、調整ボルト31と螺着可能な固定ナット12が回転不能に付設してある。
固定ナット12を壁面パネル10の背面から離隔させたのは、調整ボルト31の螺出入を許容するための調整代を確保するためである。
尚、固定ナット16に代えて連結金具15の中央部の板面に直接ねじ穴を形成してもよい。
端末金具21は帯板を二つ折りして形成した補強材側の接続素子で、調整ボルト31と螺着可能な固定ナット24を有する。
端末金具21はその中央部を略三角形に形成した拡幅部22と、拡幅部22より狭く形成した狭幅部23とよりなり、拡幅部22の中央部に固定ナット24が回転不能に付設してある。
拡幅部22に固定ナット24を設けたのは、調整ボルト31の螺出入を許容するための調整代を確保するためである。
尚、固定ナット24に代えて挟幅部22の中央部の板面に直接ねじ穴を形成してもよい。
本例では、狭幅部23の間に補強材20の一端部を差し込み、これらの重合部をボルト25とナット26で以て固定する場合について示すが、公知の固定手段を適用できる。
壁面パネル10の連結金具15と補強材20の端末金具21との間を連結する調整ボルト31は、ボルト軸の両側にそれぞれ正ねじ(右ねじ)と逆ねじ(左ねじ)を形成したネジ部31,31と、ボルト軸の中央に一体に形成したナット部32とを有する。
調整ボルト31はそのネジ部31,31が連結金具15の固定ボルト16と端末金具21の固定ボルト24とにそれぞれ螺着可能であり、ナット部32を正逆方向に回転操作することで、連結金具15と端末金具21との間隔Lを任意に調整できる(図4参照)。
本例では、壁面パネル10の背面の上下左右の四箇所に連結金具15を設けた場合について説明するが、連結金具15の設置数や段数は、補強材20の接続枚数等を考慮して適宜選択する。
壁面パネル10に対する補強材20の接続枚数は一枚、または二枚以上であってもよく、壁面パネル10のサイズ等を考慮して選択する。
本例では、補強材20と同数の長さ調整装置30を使用して壁面パネル10の背面に補強材20を接続する形態を示すが、補強材20が幅広の場合には一枚の補強材20に対して複数組の長さ調整装置30を使用して接続してもよい。
つぎに図5〜9を参照しながら補強土壁の施工方法について説明する。
壁面パネル10の組み立て予定位置に砕石43を敷設し、その上に基礎コンクリート41を構築する。
基礎コンクリート41上に、一段目の壁面パネル10を互いに隣接させて横一列に立設する。
図5〜7を参照して壁面パネル10の背面側の下半の盛土工について説明する。
盛土材を撒き出し転圧して、補強材20の埋設高さに達する任意の層厚を有する一層目の盛土層401を形成する。
一層目の盛土層401の前面は壁面パネル10の背面から離隔していて、その間に空間44を形成している。
一般に盛土層40の層厚は200mm〜300mm程度であるが、補強材20の埋設高さがこの層厚を超えるときは盛土作業を繰り返して行う。
また硬質粒に代えて空間44内に盛土層40を構成する盛土材を充填することも可能である。
盛土層401の上面に補強材20を水平に敷設するとともに、補強材20の左端を、長さ調整装置30を介して壁面パネル10の背面に突設した下位の接続金具15に接続する。
一層目の盛土層401の上面に補強材20が隠れるまで撒き出した盛土材を転圧して、二層目の盛土層402を形成する。
二層目の盛土層402は所定の層厚に形成しなくともよい。要は、補強材20の水平方向の変位と上下方向の撓み変形を拘束し得るように補強材20の上に盛土がなされていて、かつ調整ボルト31の回転操作をし得るように長さ調整装置30が空間44内に露出していればよい。
一層目と二層目の盛土層401,402に挟持された補強材20は水平方向の変位が拘束されて前後に移動しないため、壁面パネル10の設置位置が前後にずれていたり、傾倒したりしているときは、空間44内に露出する長さ調整装置30の長さを手動調整して壁面パネル10の位置や角度の微調整をする。
図4を参照して壁面パネル10の微調整操作について詳しく説明する。
例えば、壁面パネル10が正規位置より前方(前面側)へずれているときは、連結金具15と端末金具21の間隔Lが小さくなる方向へ向けて調整ボルト31を回転することで、補強材20と盛土層401,402の間の摩擦抵抗が反力源となって、壁面パネル10を背面側へ引き寄せることができる。
殊に、補強材20の上下面が盛土層401,402に押さえられて補強材20の水平方向の変位と上下方向の撓み変形が阻止されているので、盛土層401,402から反力を得て壁面パネル10を確実に押出すことができる。
壁面パネル10が正規の起立角度に対して前後に傾倒しているときも、傾倒を修正できるように、調整ボルト31を回転操作することで、壁面パネル10の傾倒の微調整を行うことができる。
図8,9を参照して壁面パネル10の背面側の上半の盛土工について説明するが、上半の盛土工は既述した壁面パネル10の背面側の下半の盛土工と同様である。
図1に示すように、一段目の壁面パネル10の上に壁面パネル10を順次積み上げながら、各段の壁面パネル10の背面側に既述した工程を繰り返し行い所定の高さまで施工する。
施工中に壁面パネル10がずれたときは、長さ調整装置30を用いて壁面パネル10を微調整する。
しかも、壁面パネル10の微調整作業は、壁面パネル10の背面に補強材20を接続し、補強材20に盛土した後に行うので、安全に作業をすることができる。
15・・・・・連結金具
16・・・・・固定ナット
20・・・・・補強材
21・・・・・端末金具
24・・・・・固定ナット
30・・・・・長さ調整装置
31・・・・・調整ボルト
40・・・・・盛土層
50・・・・・排水層
Claims (3)
- 擁壁を構成する複数の壁面パネルの組み立て工と、壁面パネルの背面への補強材の接続工と、壁面パネルの背面側へ階層的に盛土層を形成する盛土工とを繰返しながら、盛土層に埋設した補強材を介して補強土構造体と擁壁とを一体化した補強土壁工法であって、
長さ調整機能と連結機能を併有する長さ調整装置を介して壁面パネルの背面へ補強材を接続し、
壁面パネルの背面から離隔して形成した盛土層の中に前記補強材の水平方向の変位と上下方向の撓み変形を拘束した状態で補強材を埋設し、
壁面パネルの背面側に前記長さ調整装置を露出して位置させ、
前記盛土層に反力を得て前記長さ調整装置の長さを調整することを特徴とする、
補強土壁工法。 - 前記長さ調整装置が壁面パネルの背面に突設した連結金具と、補強材の一端部に設けた端末金具と、前記両金具に螺着して両金具間を連結する調整ボルトとを具備し、前記調整ボルトを回転することで前記連結金具と端末金具との間隔を調整可能に構成したことを特徴とする、請求項1に記載の補強土壁工法。
- 前記調整ボルトの何れか一方に逆ねじが形成してあることを特徴とする、請求項2に記載の補強土壁工法。
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