JP2016156188A - 抗土圧構造物及び抗土圧構造物の構築方法 - Google Patents

抗土圧構造物及び抗土圧構造物の構築方法 Download PDF

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裕久 武藤
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Abstract

【課題】施工性のよい抗土圧構造物及び抗土圧構造物の構築方法を提供する。
【解決手段】抗土圧構造物11は、壁面13fを構成する複数の板部材13と、固化材を含む改良土14により構成された躯体部14Bと、板部材13に連結された状態で躯体部14B内に埋設された補強材15と、を備え、躯体部14Bが土圧に抵抗可能な重量を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、土を支えて土砂の崩壊を抑制する抗土圧構造物及び該抗土圧構造物の構築方法に関する。
従来、土を支えて土砂の崩壊を抑制する構造物(以下、これを抗土圧構造物という。)の一例として、重力式の擁壁がある。こうした重力式の擁壁は、コンクリートを現場打ちすることで構築されるのが一般的であり、その自重で土圧に抗している(例えば、特許文献1)。
特開平7−292691号公報
ところで、コンクリートは土砂等に比べて比重が大きいため、コンクリート製の重力式擁壁は基礎地盤が良好な場所にしか設置できない、という制約がある。また、現場でコンクリートを打設する場合には、型枠の組み立て及び解体の作業をしたり、コンクリート打設のための足場を設置したりといった仮設備を設置する必要があり、重力式擁壁が大きくなるほどこれら仮設備が大掛かりとなるという点で、施工性に課題がある。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、施工性のよい抗土圧構造物及び抗土圧構造物の構築方法を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する抗土圧構造物は、壁面を構成する複数の板部材と、固化材を含む改良土により構成された躯体部と、前記板部材に連結された状態で前記躯体部内に埋設された補強材と、を備え、前記躯体部が土圧に抵抗可能な重量を有する。
この構成によれば、固化材を含む改良土が土圧に抗する躯体部を構成するため、コンクリート製の躯体部よりも比重が小さく、基礎地盤がそれほど良好でない場所にも設置することができる。また、複数の板部材により壁面を構成するので、現場でコンクリートを打設する必要がない。そして、改良土は、固化材の作用で固化した後は土圧を受けても崩壊しないので、その自重により背面の土圧に抗することができる。また、改良土が固化するまでの間には、板部材に連結された補強材に対して改良土中で生じる抵抗力により、板部材の変位を抑制することができる。そして、壁面は複数の板部材により構成されることから、改良土及び補強材の配置を板部材の敷設に併せて段階的に行うことができるので、施工性がよい。
上記抗土圧構造物において、前記壁面は、水平方向に並ぶ複数の前記板部材からなる板部材群を鉛直方向に複数段重ねることで構成され、前記水平方向に並ぶ複数の板部材は、鉛直方向における上端位置が交互に異なるように配置されることが好ましい。
この構成によれば、水平方向に並ぶ複数の板部材からなる板部材群を鉛直方向に重ねることにより、段階的に壁面を構成することができる。また、板部材群を構成する複数の板部材を、鉛直方向における上端位置が交互に異なるように配置することにより、板部材の上端位置を目安にして改良土を盛っていくことができるので、施工性がよい。
上記抗土圧構造物において、前記躯体部は、転圧された前記改良土からなる改良土層を複数有し、鉛直方向において、前記板部材の長さは前記改良土層の層厚の2倍以上であることが好ましい。
この構成によれば、鉛直方向において板部材の長さは改良土層の層厚の2倍以上であるので、板部材の背面に一の改良土層を形成した後、その上に別の改良土層を積層する、というサイクルで作業を進めることができる。そして、改良土は固化した後は自立するので、板部材の背面に改良土層を段階的に積層していくことで、板部材の背面側の全部に一度に改良土を盛土する場合よりも、改良土が固化するまでの間に板部材にかかる土圧を小さくすることができる。
上記抗土圧構造物において、前記躯体部は、転圧された前記改良土からなる改良土層を複数有し、前記補強材は、鉛直方向に重なる2つの前記改良土層の間に埋設されることが好ましい。
この構成によれば、一の改良土層を形成した後、その上に補強材を配置して、さらにその上に別の改良土層を積層すれば、補強材を鉛直方向に積層される改良土層の間に埋設することができる。すなわち、改良土層の形成と補強材の配置とを交互に繰り返すことにより、段階的に躯体の高さを増していくことができるので、施工性がよい。
上記抗土圧構造物において、前記補強材は、鉛直方向に並ぶ複数の前記板部材ごとに設けられた棒状部材であり、前記補強材の長さは、鉛直方向における下側から上側に向けて段階的に短くなることが好ましい。
この構成によれば、補強材を板部材に連結される棒状部材とすることで、水平方向に複数の板部材を配置する場合に、板部材ごとに補強材を順次設置していくことができるので、施工性がよい。また、躯体部内に埋設する補強材を鉛直方向における下側から上側に向けて段階的に短くし、これとあわせて改良土の敷設面積も上側ほど小さくすれば、躯体部の安定性を高くすることができる。
上記課題を解決する抗土圧構造物の構築方法は、壁面を構成する板部材を配置する板部材配置工程と、固化材を含む改良土を前記板部材の背面に配置する改良土配置工程と、前記板部材に連結された補強材を前記改良土中に埋設する埋設工程と、を備え、前記板部材の背面に配置された前記改良土が土圧に抵抗可能な重量を有する。
この構成によれば、上記抗土圧構造物と同様の作用効果を得ることができる。
本発明によれば、施工性のよい抗土圧構造物及び抗土圧構造物の構築方法を提供することができる。
抗土圧構造物の一実施形態を示す断面図。 図1の抗土圧構造物の正面図。 図1の抗土圧構造物の補強材及び板部材を背面側から見た斜視図。 抗土圧構造物の変更例を示す断面図。
以下、土を支えて土砂の崩壊を抑制する抗土圧構造物及び該抗土圧構造物の構築方法の一例として、盛土により造成される造成地の側面において土壌の崩壊を防止する擁壁の一実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明においては、擁壁の幅方向X及び奥行き方向Yが水平方向に沿うとともに、幅方向X及び奥行き方向Yは鉛直方向(重力方向Z)と交差(好ましくは、直交)するものとする。
図1に示すように、抗土圧構造物11は、壁面13fを構成する複数の板部材13と、固化材を含む改良土14により構成された躯体部14Bと、板部材13に連結された状態で躯体部14B内に埋設された複数の補強材15と、を備える。そして、抗土圧構造物11は、板部材13の背面に配置された改良土14からなる躯体部14Bが、盛土された土壌12の土圧(横圧)に抵抗可能な重量を有する。
板部材13は、例えばプレキャストコンクリート板とすることが好ましい。板部材13のうち、一番下に位置する板部材13Bは、自立するための支持部13sを設けて、側面視L字状をなすようにしてもよい。なお、図1以降の図においては、支持部13sの図示は省略している。
改良土14は、現場で発生した現地発生土や建設発生土に石灰やセメント等の固化材を混ぜることによって強度を増すように性状を改良した土で、転圧により鉛直方向に積層される複数の改良土層La(La1,La2,La3,La4)を形成する。すなわち、躯体部14Bは、転圧された改良土14からなる改良土層Laを複数有する。そして、改良土14からなる躯体部14Bは、改良土14に混合された固化材が固化することにより、土壌12の横圧に抵抗する強度を備える。
抗土圧構造物11の躯体部14Bを構成する複数の改良土層Laは、その自重により土壌12の横圧に抵抗するのに十分な大きさ及び形状になるように、幅方向X及び奥行き方向Yにおける長さ並びに重力方向Zにおける高さや、各改良土層Laの敷設面積が設定される。本実施形態の抗土圧構造物11は、その安定性を高めるために、改良土層Laは下側ほど敷設面積が広くなっている。なお、本実施形態において壁面13fは垂直をなすが、斜面または湾曲面になっていてもよい。
補強材15は、鉛直方向及び水平方向に並ぶ複数の板部材13ごとに設けられ、基端部が板部材13に連結されるとともに先端が改良土14中に配置される棒状部材である。補強材15は、改良土14に混合された固化材が固化して強度が発現するまで、改良土14に対して発生する摩擦力や支圧力などの抵抗力により、改良土層Laを形成する際の転圧等によって板部材13が倒れないように支える。
なお、固化材が固化して改良土14の強度が増した後は、改良土層Laが自立した状態になって土壌12の横圧を受けるので、板部材13に横圧はほとんどかからない。そのため、補強材15の長さは、それを挟む改良土層Laの長さよりも短くてよい。本実施形態の抗土圧構造物11は、板部材13は壁面13fが垂直をなすように配置されるとともに、改良土層Laは上側ほど敷設面積が小さくなっているので、補強材15の長さは、鉛直方向における下側から上側に向けて段階的に短くなっている。なお、図1では、抗土圧構造物11の構造を簡素化して図示しているため、補強材15の長さが上側ほど短くなっているが、改良土層Laの長さや現場の状況等に応じて、鉛直方向に並ぶ複数本ずつで長さを変えたり、途中に短い補強材15が入っていたりしてもよい。
鉛直方向において、板部材13の長さは、改良土層Laの層厚の2倍以上(本実施形態では4倍)であり、補強材15は、鉛直方向に重なる2つの改良土層Laの間に配置されるのが好ましい。なお、本実施形態では、1つの板部材13の鉛直方向における長さは、4つの改良土層La(La1〜La4)の層厚に相当し、補強材15の基端部は、鉛直方向及び水平方向において板部材13の中央付近に連結される。そして、補強材15は、4つの改良土層La1〜La4のうち、鉛直方向に重なる2つの改良土層La2,La3の間に埋設される。
図2に示すように、壁面13fは、水平方向に並ぶ複数の板部材13からなる板部材群Lb(図2に網掛けで示す)を鉛直方向に複数段重ねることで構成される。なお、水平方向に並ぶ複数の板部材13は、鉛直方向における上端位置が交互に異なるとともに、鉛直方向に並ぶ板部材13の側端位置が揃うように、千鳥状に配置されることが好ましい。
なお、板部材群Lbのうち、鉛直方向の最下部及び最上部の板部材群Lbでは、鉛直方向における上端位置を交互にずらすために、鉛直方向における長さが約半分の板部材13Hを1つおきに配置することが好ましい。例えば、標準の板部材13の鉛直方向における長さが120cmの場合、板部材13Hの鉛直方向における長さは60cmとする。
図2では、鉛直方向に並ぶ板部材13のグループのうち、板部材13Hを含まないものを第1列V1として示し、鉛直方向に並ぶ板部材13のグループのうち、その最上部と最下部に板部材13Hが配置されるものを第2列V2として示す。
図3に示すように、鉛直方向に並ぶ2つの板部材13は、例えば、板部材13の上下の端面に差し込まれる縦ジベル筋16によって連結することができる。また、水平方向に並ぶ板部材13は、例えば、その側端部に背面から固定される連結金物17によって連結することができる。
また、棒状をなす補強材15の基端部は、板部材13において幅方向X及び重力方向Zの中央付近に設けられた取付部18に連結される。なお、補強材15と取付部18は、その両者に螺合部を設けて螺合により連結させてもよいし、互いに重なるように両者に設けた孔にボルト等を挿通して固定してもよいし、少なくとも一方に鈎状部を設けて係止により連結してもよい。すなわち、補強材15は主に板部材13が前側に倒れないように支えるためのものなので、板部材13に対して完全に固定する必要はなく、現場で容易に取り付け作業を行うことができるものが好ましい。
次に、抗土圧構造物11の構築方法について説明する。
まず、抗土圧構造物11を構築する地盤Gr上に、壁面13fを構成する板部材13B(13,13H)を並べて、連結金物17によって連結することで、1段目の板部材群Lbを配置する(板部材配置工程)。
次に、板部材13の背面に固化材を含む改良土14を配置する(改良土配置工程)。具体的には、1段目の板部材群Lbの背面側に改良土14を盛土した後に転圧して、改良土層La1を形成する。
なお、板部材13の鉛直方向における長さが120cmの場合、改良土層La(La1,La2,La3,La4)の厚さは30cmとすることが好ましい。この場合、改良土層La1を形成するときに、板部材13Hの中心に位置する取付部18を目安に改良土14を盛土することができるので、作業効率がよい。すなわち、改良土層La1を形成すると、板部材13Hの下半分まで改良土14が盛られる。
続いて、板部材13Hの背面側において、改良土層La1の上に補強材15を載置する。そして、補強材15の基端部を板部材13Hの取付部18に連結する(連結工程)。その後、改良土層La1及び補強材15の上に改良土14を盛土して転圧し、改良土層La2を形成する。これにより、板部材13Hに連結された補強材15が改良土14中に埋設される(埋設工程)。
なお、改良土層La2を形成するときには、第1列V1の板部材13の取付部18及び第2列V2の板部材13Hの上端を目安に改良土14を盛土することができる。そして、改良土層La2を形成すると、板部材13Hの背面には、その上端まで改良土14が配置される。
次に、第2列V2において、1段目の板部材13Hの上に、2段目の板部材群Lbを構成する板部材13を配置する(板部材配置工程)。このとき、鉛直方向に並ぶ板部材13は、縦ジベル筋16によって連結する。なお、板部材13Hの上に配置された板部材13が転圧の圧力によって倒れないように、板部材13を支える仮設の支持部材を設けてもよい。
また、第1列V1において1段目の板部材13の背面に形成された改良土層La2の上に補強材15を載置して、その基端部を板部材13の取付部18に連結する(連結工程)。その後、改良土層La2及び補強材15の上に改良土14を盛土して転圧し、改良土層La3を形成する。これにより、板部材13に連結された補強材15が改良土14中に埋設される(埋設工程)。
さらに、改良土層La3の上に改良土14を盛土して転圧し、改良土層La4を形成する。なお、改良土層La4を形成するときには、第1列V1の板部材13の上端及び第2列V2の板部材13の取付部18を目安に改良土14を盛土すると、作業効率がよい。
このように、板部材13の配置と、改良土層Laの形成と、補強材15の配置と、を適宜繰り返して、抗土圧構造物11の高さを増していく。そして、抗土圧構造物11の上端においては、第2列V2に板部材13Hを配置した後に、その背面を埋める2層の改良土層Laを形成して、躯体部14Bを完成させる。
次に、本実施形態にかかる抗土圧構造物11及び抗土圧構造物11の構築方法の作用について説明する。
抗土圧構造物11は、固化により自立する改良土14の自重によって背面の土圧に抗することから、コンクリートからなる擁壁よりも比重が小さく、地盤反力が小さい場所にも設置することができる。また、壁面13fを複数の板部材13により構成するので、現場でコンクリートを打設する必要がない。そのため、コンクリートを打設するための型枠工や足場工が不要となって工種が減る上、上述のような工程を繰り返すシンプルなサイクル作業で構築することができるので、施工性がよい。
なお、本実施形態では、固化材によって素材となる土質材料を改良した改良土14を抗土圧構造物11の躯体とするので、盛土材や裏込材に適さない土質の建設発生土などを有効利用できるとともに、混合する固化材の種類や量を調整することにより、自然土よりも安定した品質を確保できる。
そして、改良土14は固化した後は背面の土圧に抗して自立するので、補強材15は、改良土14が固化するまでの間、板部材13の姿勢を維持できるだけの引き抜き抵抗力があればよい。また、完成させる擁壁の高さにかかわらず、上述のようなサイクル作業により段階的に擁壁の高さを増していくので、構築時に板部材13に作用する側圧は、高さによらずほぼ同一となる。
これに対して、現場打ちコンクリートからなる重力式擁壁を構築する際には、壁高が高くなるほど型枠に作用するコンクリートの側圧が大きくなるので、それに抵抗するための強度を確保する必要がある。また、盛土補強土壁工法等においては、板部材に連結した補強材を盛土のすべり面より奧まで延びるように設置して、その引き抜き抵抗力を恒久的に作用させるため、本実施形態の補強材15よりも、その設置密度を高くしたり、長さを長くしたりする必要がある。そして、盛土補強土壁工法のように補強材の引き抜き抵抗力を恒久的に作用させるためには、改良土14のように固化した土壌では柔軟性が不足するため、改良土14を用いることはできない。
また、こうした改良土14の強度は、締固めを確実に行うことで確保されるが、所定の厚さの改良土層Laとして段階的に改良土14を盛っていくことにより、転圧しやすくなるので、よく締固められる。また、このように締め固めた改良土層Laの上に補強材15を置いて板部材13に取り付けるので、補強材15の敷設作業を容易に行うことができる。また、補強材15はその全体が躯体部14Bの内部に含まれ、土壌12の方に突出しないので、抗土圧構造物11の構築と土壌12の盛土とを別々に行うことができる。
そして、本実施形態の抗土圧構造物11では、補強材15により壁面13fを構成する板部材13と改良土14からなる躯体部14Bを一体化することにより、壁面13fの安定性を飛躍的に向上させることができる。また、板部材13の比重が改良土14より大きい場合にも、両者を補強材15で一体化することにより、壁面13fの下端部分への応力集中が少なくなるので、基礎の構造を簡略化することができる。これにより、抗土圧構造物11は、コンクリート製の重力式擁壁の設置が難しい地盤反力の小さい場所にも、設置しやすい。
加えて、抗土圧構造物11においては、固化した改良土14の自立性が高いので、地震時に壁面13fを構成する板部材13に作用する地震時土圧が小さくなる。さらに、地震時に平常時よりも大きな土圧が作用した場合にも、互いに連結された複数の板部材13をその数に応じた補強材15で多層的に支えるため、断面力の発生を抑制することができる。
以上詳述した実施形態によれば次のような効果が発揮される。
(1)固化材を含む改良土14が土圧に抗する躯体部14Bを構成するため、コンクリート製の躯体部よりも比重が小さく、基礎地盤がそれほど良好でない場所にも設置することができる。また、複数の板部材13により壁面13fを構成するので、現場でコンクリートを打設する必要がない。そして、改良土14は、固化材の作用で固化した後は土圧を受けても崩壊しないので、その自重により背面の土圧に抗することができる。また、改良土14が固化するまでの間には、板部材13に連結された補強材15に対して改良土14中で生じる抵抗力により、板部材13の変位を抑制することができる。そして、壁面13fは複数の板部材13により構成されることから、改良土14及び補強材15の配置を板部材13の敷設に併せて段階的に行うことができるので、施工性がよい。
(2)水平方向に並ぶ複数の板部材13からなる板部材群Lbを鉛直方向に重ねることにより、段階的に壁面13fを構成することができる。また、板部材群Lbを構成する複数の板部材13を、鉛直方向における上端位置が交互に異なるように配置することにより、板部材13の上端位置を目安にして改良土14を盛っていくことができるので、施工性がよい。
(3)鉛直方向において板部材13の長さは改良土層Laの層厚の2倍以上であるので、板部材13の背面に一の改良土層Laを形成した後、その上に別の改良土層Laを積層する、というサイクルで作業を進めることができる。そして、改良土14は固化した後は自立するので、板部材13の背面に改良土層Laを段階的に積層していくことで、板部材13の背面側の全部に一度に改良土14を盛土する場合よりも、改良土14が固化するまでの間に板部材13にかかる土圧を小さくすることができる。
(4)一の改良土層Laを形成した後、その上に補強材15を配置して、さらにその上に別の改良土層Laを積層すれば、補強材15を鉛直方向に積層される改良土層Laの間に埋設することができる。すなわち、改良土層Laの形成と補強材15の配置とを交互に繰り返すことにより段階的に躯体部14Bの高さを増していくことができるので、施工性がよい。
(5)鉛直方向において板部材13の長さは改良土層Laの層厚の2倍以上であるので、板部材13の背面に一の改良土層Laを形成した後、その上に補強材15を配置して、さらにその上に別の改良土層Laを積層すれば、補強材15を鉛直方向に積層される改良土層Laの間に埋設することができる。すなわち、板部材13を配置した後、改良土層Laの形成と補強材15の配置とを交互に繰り返すことにより、段階的に擁壁の高さを増していくことができるので、最初から壁面13fを完成時の高さにしておくよりも、施工性がよい。
(6)補強材15を板部材13に連結される棒状部材とすることで、水平方向及び鉛直方向に複数の板部材13を配置する場合に、板部材13ごとに補強材15を順次設置していくことができるので、施工性がよい。また、躯体部14B内に埋設する補強材15を鉛直方向における下側から上側に向けて段階的に短くし、これとあわせて改良土14の敷設面積も上側ほど小さくすれば、躯体部14Bの安定性を高くすることができる。
(変更例)
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。また、上記実施形態及び以下の各変更例は、任意に組み合わせることができる。
・図4の変更例に示すように、積層される改良土層Laの底面積が上側ほど広くなるようにしてもよい。この場合には、補強材15の長さは、鉛直方向における下側から上側に向けて段階的に長くすることが好ましい。そして、この場合の躯体部14Bは土壌12側の部分が地山(土壌12)の上に位置するので、抗土圧構造物11をもたれ式擁壁やバランス工法擁壁として設計してもよい。
ただし、上記実施形態のように、積層される改良土層Laの底面積が下側ほど広くなるようにした方が、抗土圧構造物11の自立安定性が高くなるので、好ましい。
・積層される複数の改良土層Laの底面積が同じであってもよく、このような場合には、改良土層Laに対応して設けられる複数の補強材15の長さが同じであってもよい。
・積層される複数の改良土層Laの底面積の大小にかかわらず、改良土層Laに対応して設けられる複数の補強材15の長さが同じであってもよい。
・補強材15の改良土14中に埋設される先端部分を杭等でその下側の改良土層Laに係止させてもよい。この場合には、その上に改良土14を転圧する際の圧力で板部材13が転倒するのを効果的に抑制することができる。
・補強材15は、円柱状の長棒とする他、平板状にしたり、断面積が長さ方向に変化する変則的な形状にしたりするなど、任意に形状を変更することができる。
・補強材15は、板部材13の中央付近に連結するのに加えて、あるいはそれに代えて、上下または左右に隣接して並ぶ板部材13の間に配置することもできる。特に、補強材15が平板状の場合には、隣接する2つの板部材13の端部に取り付けた板状の固定部材によって挟持することで補強材15を連結することができるので、施工性がよい。
11…抗土圧構造物、13,13B,13H…板部材、13f…壁面、14…改良土、15…補強材、La,La1,La2,La3,La4…改良土層、Lb…板部材群。

Claims (6)

  1. 壁面を構成する複数の板部材と、
    固化材を含む改良土により構成された躯体部と、
    前記板部材に連結された状態で前記躯体部内に埋設された補強材と、
    を備え、
    前記躯体部が土圧に抵抗可能な重量を有することを特徴とする抗土圧構造物。
  2. 前記壁面は、水平方向に並ぶ複数の前記板部材からなる板部材群を鉛直方向に複数段重ねることで構成され、
    前記水平方向に並ぶ複数の板部材は、鉛直方向における上端位置が交互に異なるように配置される
    ことを特徴とする請求項1に記載の抗土圧構造物。
  3. 前記躯体部は、転圧された前記改良土からなる改良土層を複数有し、
    鉛直方向において、前記板部材の長さは前記改良土層の層厚の2倍以上である
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の抗土圧構造物。
  4. 前記躯体部は、転圧された前記改良土からなる改良土層を複数有し、
    前記補強材は、鉛直方向に重なる2つの前記改良土層の間に埋設される
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の抗土圧構造物。
  5. 前記補強材は、鉛直方向に並ぶ複数の前記板部材ごとに設けられた棒状部材であり、
    前記補強材の長さは、鉛直方向における下側から上側に向けて段階的に短くなる
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の抗土圧構造物。
  6. 壁面を構成する板部材を配置する板部材配置工程と、
    固化材を含む改良土を前記板部材の背面に配置する改良土配置工程と、
    前記板部材に連結された補強材を前記改良土中に埋設する埋設工程と、
    を備え、
    前記板部材の背面に配置された前記改良土が土圧に抵抗可能な重量を有することを特徴とする抗土圧構造物の構築方法。
JP2015034409A 2015-02-24 2015-02-24 抗土圧構造物の構築方法 Active JP6557024B2 (ja)

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