JP2014003918A - 含気油脂食品 - Google Patents

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淳介 井上
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真人 下橋
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Abstract

【課題】チューブ容器等の可撓性容器に充填した含気油脂組成物について、口当たりの滑らかさと可撓性容器からの押し出し易さを向上させ、かつ可撓性容器から吐出させた含気油脂組成物に吐出形状の保形性を賦与する。
【解決手段】上昇融点50℃以上の高融点油脂、上昇融点20℃以下の低融点油脂、非油溶性粉体及び乳化剤を含む含気油脂組成物が可撓性容器に充填された含気油脂食品であって、
油脂、非油溶性粉体及び乳化剤の合計量に対する油脂の含有量が30〜70質量%、油脂、非油溶性粉体及び乳化剤の合計量に対する非油溶性粉体の含有量が25〜65質量%であり、含気油脂組成物が特定の固さを有し、含気油脂組成物の固体脂含量が関係する特定方法の測定値が温度範囲20、30、40℃で10〜40%であり、かつ20℃の測定値に対して40℃の測定値が高い。
【選択図】図1

Description

本発明は、含気油脂組成物が可撓性容器に充填された含気油脂食品に関する。
バターやマーガリンに代えてパンやクラッカー等に塗布するスプレッドとして、10℃のSFCが20%以下の油脂中に、固体又は液体の風味材を乳化剤と共に含有させてホイップした含気油脂組成物が提案されている。この含気油脂組成物は、スクイズ容器に充填して使用することができる(特許文献1)。
また、チューブ容器に油脂組成物と具材を乳化剤と共に充填した油脂食品であって、高融点油脂と低融点油脂と具材の配合量を特定の割合としたものが提案されている(特許文献2)。この油脂食品によれば、チューブ容器から油脂組成物を押し出す度にチューブ容器内の油脂組成物に繰り返し応力がかかるにもかかわらず液油分離が生じず、かつ常温の温度範囲での粘度変化が少なく、押し出しやすさが向上する(特許文献2)。
特開平10-276672号公報 特開2000-228949号公報
しかしながら、上述した従来の油脂組成物は、経時的に硬くなる傾向がある。また、油脂組成物をパンなどの食品に塗り広げることは容易であるが、油脂組成物で線画を描くように繊細な塗布パターンを形成しようとしても、塗布パターンが崩れやすい。そのため、油脂組成物の吐出物を所望の形状にデザインすることが困難となっている。
これに対し、本発明は、チューブ容器等の可撓性容器に充填した油脂組成物について、口当たりの滑らかさや可撓性容器からの押し出し易さを向上させつつ、可撓性容器から押し出した油脂組成物で線画のような繊細な塗布パターンの形成を可能としたり、可撓性容器の吐出口の開口形状に応じて油脂組成物の吐出物の形状を変えられるようにしたりすることで、可撓性容器から押し出した油脂組成物に所望のデザインを保持させ、食をより楽しめるようにすることを目的とし、さらに、そのように口当たりの滑らかさと、押し出し易さと、デザインの保持性とを兼ね備えた油脂組成物の性状が、可撓性容器内で油脂組成物に繰り返し応力がかかるにもかかわらず、経時的に維持されるようにすることを目的とする。
本発明者は、油脂として、高融点油脂と低融点油脂の2種を使用し、油脂と非油溶性粉体と乳化剤を撹拌しつつ含気させて含気油脂組成物とし、その含気油脂組成物をチューブ容器等の可撓性容器に充填した含気油脂食品について、油脂と非油溶性粉体を特定の割合で配合し、かつ含気油脂組成物の固さの測定値と固体脂含量に関係する測定値が特定の数値を有するように撹拌を強力に行うと、口当たりの滑らかさと、可撓性容器からの押し出しやすさと、可撓性容器から押し出した含気油脂組成物の保形性を同時に向上させられることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、上昇融点50℃以上の高融点油脂、上昇融点20℃以下の低融点油脂、非油溶性粉体及び乳化剤を含む含気油脂組成物が可撓性容器に充填された含気油脂食品であって、
油脂、非油溶性粉体及び乳化剤の合計量に対する油脂の含有量が30〜70質量%、
油脂、非油溶性粉体及び乳化剤の合計量に対する非油溶性粉体の含有量が25〜65質量%、
以下の方法1で得られる、含気油脂組成物の固さの測定値が0.3〜3.5kgであり、
以下の方法2で得られる、含気油脂組成物の固体脂含量が関係する測定値が、温度20、30、40℃の場合に10〜40%であり、かつ20℃の測定値に対して、40℃の測定値が高い含気油脂食品を提供する。
<方法1>
含気油脂組成物(24℃)を、底部に孔径7mmの穴を有する内径50mmの円筒状セルに50g充填し、セル内でプランジャーを移動速度1mm/sで底部側へ動かして該含気油脂組成物を穴から押し出す場合の荷重として測定される固さ
<方法2>
含気油脂組成物を内径10mmの円筒状サンプル管に底部から60mmまで充填し、20、30、40℃の温度でそれぞれ1時間以上保持し、パルス型核磁気共鳴装置でAOCS Official Method Cd 16b−93に準じて得られる測定値
本発明によれば、含気油脂組成物を可撓性容器から容易に押し出すことができ、その含気油脂組成物の口当たりは滑らかであり、含気油脂組成物の固さが経時的に変化し難く、また、吐出物の形状の保持性に優れている。したがって、可撓性容器から押し出した含気油脂組成物で線画のような繊細な塗布パターンを形成し、それを保持することが容易となる。よって、本発明によれば、含気油脂組成物の吐出物を所望の形状にデザインし、食をより楽しくすることが可能となる。
図1は、実施例及び比較例の方法2の測定値と温度との関係図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の含気油脂食品は、含気油脂組成物を可撓性容器に充填したもので、可撓性容器から含気油脂組成物を押し出して使用するものである。
この含気油脂組成物は、高融点油脂、低融点油脂、非油溶性粉体及び乳化剤を含有する混合物が含気されたものであり、特定の固さを有し、固体脂含量に関係する特定の方法による測定値と温度に特殊な関係を示す。
ここで、高融点油脂としては、上昇融点50℃以上、好ましくは55℃以上80℃以下の油脂を使用する。高融点油脂の具体例としては、キャンデリラワックス等の高融点油脂、パーム油、菜種油、大豆油などの植物油を水添して得られる硬化油、パーム油の高融点部分を集めたパームステアリンなどの分別油等をあげることができる。これらは単独で又は複数種を合わせて使用することができる。
低融点油脂としては、上昇融点20℃以下、好ましくは−30℃以上15℃以下の油脂を使用する。低融点油脂の具体例としては、例えば、菜種油、パーム油、コーン油、サフラワー油、綿実油、大豆油、オリーブ油、ピーナッツ油、ヒマワリ油、ゴマ油、米油、魚油等の天然油脂、これら天然油脂を微水添したもの、これらの油脂から高融点部分を除いたもの、これらの油脂の低融点部分を集めたもの等をあげることができる。これらは、単独で又は複数種を合わせて使用することができる。
油脂中の高融点油脂の含有量は、好ましくは2〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、さらに好ましくは4〜6質量%である。油脂中の高融点油脂の含有量が少なすぎると含気油脂組成物の製造時の粘度が低すぎて充分に含気させることができず、また、含気油脂組成物に油分離が生じやすい。反対に、油脂中の高融点油脂の含有量が多すぎると、含気油脂組成物の製造時の粘度が高すぎて充分に撹拌することができず、また、常温で含気油脂組成物が固すぎて可撓性容器から絞り出すことが困難となる。
なお、上昇融点が高融点油脂と低融点油脂の中間にある中融点油脂は極力少なくすることが好ましく、実質的に含有しないこと、即ち、不純物として微量が混入する以外は含有しないことがより好ましい。中融点油脂を極力少なくし、油脂中の高融点油脂を上述の含有量とすることにより、後述する方法2の測定値と温度との関係から推察される、高融点油脂の結晶による緩い網目構造が形成されやすくなる。
含気油脂組成物中の油脂、非油溶性粉体及び乳化剤の合計量に対する油脂全体の含有量は、30〜70質量%、好ましくは40〜60質量%である。油脂の含有量が多すぎると保存中の含気油脂組成物に油分離が生じやすくなり、反対に少なすぎると含気油脂組成物が固くなるので好ましくない。
一方、非油溶性粉体は、本発明の含気油脂組成物において上述の油脂に不溶性で粉体として分散しているものである。非油溶性粉体となる原料としては、砂糖、乳糖、粉糖、グラニュー糖、果糖、ブドウ糖、麦芽糖、デキストリン、還元デキストリン、サイクロデキストリン、ソルビトール、トレハロース、オリゴ糖、スクラロース、ステビア、アスパルテーム等の粉末状の糖類または甘味料、カカオパウダー、イチゴパウダー等の果実パウダー、乾燥卵黄、乾燥卵白、粉乳、ココア等の粉末状調味食材、パセリ、ほうれん草、ピーマン等の野菜の粉状物、バジル、オレガノ、ローズマリー等の香草の粉状物、食塩、グルタミン酸ナトリウム、核酸等の粉末調味料、ペッパー等の粉末香辛料、アスコルビン酸又はその塩等の粉末状酸化防止剤、結晶セルロース、アップルファイバー、難消化性デキストリン等の食物繊維粉末、親水性ミネラル類、その他非油溶性の粉末着色料、香料、保存料等などを適宜組み合わせて使用することができる。
なお、本発明において、粉末状に加工されている油脂組成物の油脂分は油脂として扱う。また、例えばピーナッツペーストのように、油脂成分と粉体成分が混合状態にあるものは、油脂成分を油脂として、粉体成分を非油溶性粉体として扱う。
非油溶性粉体の粒径は、口当たりを改善することができ、また粉体としての好ましい物性を得る点から、平均粒径10〜30μmとすることが好ましく、より好ましくは平均粒径15〜25μmである。
非油溶性粉体の含有量は、油脂、非油溶性粉体及び乳化剤の合計量に対して25〜65質量%、好ましくは40〜60質量%である。非油溶性粉体が多すぎると含気油脂組成物が固くなり、反対に少なすぎると保存中の含気油脂組成物に油分離が生じやすくので好ましくない。
乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等を使用することができる。含気油脂組成物における乳化剤の含有量は、0.001〜5質量%が好ましい。なお、本発明の含気油脂組成物では水分含量が低く、乳化剤は高融点油脂の結晶の緩い網目構造や含気状態を安定させるために使用されるので、水分と油分の乳化が必要とされる従来の含気油脂組成物に比して乳化剤の含有量が低い。
この他、本発明の含気油脂組成物には、必要に応じて、例えば、異性化液糖、水飴、蜂蜜、シロップ、液状糖アルコール等の液状の甘味料あるいは糖類、ピーナッツ、チョコレート等の塊状又はペースト状調味食材、油溶性ミネラル類、ビタミンE等の酸化防止剤、その他油溶性のフルーツフレーバー、バニラフレーバー等の液状香料、着色料等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択し配合することができる。
本発明の含気油脂組成物の水分含量は、保存中の風味の劣化や油分離等の物性の変化を抑制できる点から2.0質量%以下が好ましく、より好ましくは1.5質量%以下である。
本発明の含気油脂組成物の含気量は、10〜30体積%が好ましく、15〜25体積%がより好ましい。なお、この含気量は、単位体積当たりの含気油脂組成物の重量について、
(含気前重量−含気後重量)÷含気前重量×100
により算出される数値である。
含気させる気体は、窒素、アルゴンガス、炭酸ガス等の不活性ガスが挙げられ、特に窒素が好ましい。
一方、本発明の含気油脂組成物は、その固さが、以下の方法1で得られる測定値として0.3〜3.5kg、好ましくは1.0〜2.5kg、より好ましくは1.5〜2.5kgであるという特徴を有している。
<方法1>
含気油脂組成物(24℃)を、底部に直径7mmの穴を有する内径50mmの円筒状セルに50g充填し、セル内でプランジャーを移動速度1mm/sで底部側へ動かして該含気油脂組成物を穴から押し出す場合の荷重として測定される固さ
これにより、本発明の含気油脂組成物は、可撓性容器から容易に押し出せるようになり、保存安定性も良好となる。これに対し、上述の方法1による固さが0.3kg未満だと含気油脂組成物が柔らかすぎて保存中に油分離が生じやすい。反対に3.5kgを超えると固すぎて可撓性容器から絞り出すことが困難となる。
なお、上述の方法1による固さの測定は、より具体的には、Texture Analyzer TA.XT.plus (Stable Micro Systems社)を用いて、底部に直径7mmの穴のある内径50mmのプラスチック製の円筒(FORWARD EXTRUSION CELL 7mm, Stable Micro Systems社 )に50gの含気油脂組成物を充填し、FORWARD EXTRUSION CELLに付属のプランジャーで1mm/sの速度で押しつけ、底部の7mmの穴から含気油脂組成物を押し出したときの荷重として測定される。
また、本発明の含気油脂組成物は、以下の方法2で得られる、含気油脂組成物の固体脂含量に関係する測定値が、温度20、30、40℃の場合に10〜40%であり、かつ20℃の測定値に対して、40℃の測定値が高いという特徴を有している。
<方法2>
含気油脂組成物を内径10mmの円筒状サンプル管に底部から60mmまで充填し、20、30、40℃の温度でそれぞれ1時間以上保持し、パルス型核磁気共鳴装置でAOCS Official Method Cd 16b−93(Revised 1999)に準じて得られる測定値
ただし、AOCS Official Method Cd 16b−93(Revised 1999)に記載の方法に対し、本発明の方法2では測定対象が、油脂と非油溶性粉体とが含気混合された状態にある組成物であるため、テンパリング(100℃で溶解後、60℃5分のテンパリング)を省略する。そして、方法2をより具体的に説明すると、含気油脂組成物を注射筒(5mL)に吸引し、プラスチック製ストローを介して円筒状サンプル管(直径10mm、パルスNMR用)に底部から60mmまで充填し、恒温槽にて0〜50℃の所定の温度帯で1時間以上、通常1〜5時間保持し、パルス型核磁気共鳴装置で測定する。なお、同じサンプルを異なる温度で測定する場合の当該温度での保持時間は、30分とすることができる。この方法2において、恒温槽としては、アステック((株)製、SFC2000等を使用することができ、パルス核磁気共鳴装置としては、Oxford社のMQCパルス核磁気共鳴装置等を用いることができる。
方法2が準拠する、AOCS Official Method Cd 16b−93に記載の方法は、一般に、SFC(油脂中の固体脂含量(%))の測定に使用されている。本発明の含気油脂組成物では、高融点油脂の上昇融点が50℃以上であり、低融点油脂の上昇融点が20℃以下であるから、油脂中の高融点油脂の含有量が8質量%以下のものについて、仮にSFCを測定したとすると、20〜40℃の温度範囲では8%以下となることが考えられる。これに対し、方法2による測定値が10〜40%となるのは、液状の低融点油脂中に非油溶性粉体が分散すると共に高融点油脂の結晶が析出し、緩い網目構造が形成されているために、その緩い網目構造に液状の低融点油脂が束縛され、固体脂として挙動するためと推察される。また、本発明の含気油脂組成物において、20℃の測定値に対して40℃の測定値が高いのは、低融点油脂の束縛状況が温度によって変化するためと推察される。
なお、本発明の含気油脂組成物に現れる、方法2による測定値と温度との関係は、油溶性粉体を含有しない含気油脂組成物には現れず、20〜40℃の温度範囲の測定値は高融点油脂の配合量にみあった数値となる。また、油溶性粉体を含有しない含気油脂組成物を可撓性容器に充填して吐出させると、保存中の含気油脂組成物に油分離が生じやすくなる。したがって、高融点油脂による緩い網目構造の形成に、非油溶性粉体の分散が関与していると考えられる。
本発明の含気油脂組成物の上述の方法2の測定値と温度との関係は、本発明の含気油脂組成物の製造時に、高融点油脂、低融点油脂、これらの油脂に対して非油溶性の粉体となる原料及び乳化剤の混合物を加熱溶解し、一旦冷却した後、剪断力の強い高速剪断撹拌機を用いて強力な含気撹拌を行い、次いで静置することにより得られる。
また、この製法により上述の固さと保存安定性を得ることが容易になり、さらに、可撓性容器からの押し出しの度に応力を繰り返しかけても含気油脂組成物に油分離が生じにくくなり、固さの経時的安定性も得られる。例えば、可撓性容器として樹脂製のチューブ容器(内容積:150mL)を使用し、これに含気油脂組成物を100g充填し、そこから15g絞り出し、蓋を閉じ、1週間放置するという絞り出し操作を複数回繰り返す油分分離促進試験において、その繰り返し数を6回としても、含気油脂組成物の性状に変化はない。したがって、本発明の含気油脂組成物は、一般消費者がチューブ容器を開封した後、そこに充填されている含気油脂組成物を使い切るまでの通常の期間、十分に製品の品位を維持することができる。
このように、原料混合物を加熱溶解した後、一旦冷却し、強力に撹拌して含気させ、次いで静置することにより、本発明の含気油脂組成物に特徴的な、方法2の測定値と温度との関係を得ることができ、また含気油脂組成物に油分離が生じ難く、含気油脂組成物の固さが経時的に安定するのは、原料混合物を加熱溶解後、冷却すると高融点油脂のネットワークが形成されるが、次に強力な撹拌によって含気させることにより、ネットワークが部分的に破壊され、その後の静置中に比較的弱い結合によりネットワークが再構築されるためと考えられる。
これに対し、ワイヤー型アジテーターやビーター型アジテーターを用いたホバートミキサー(ホバート社)等の従前の油脂乳化物の製造に用いる撹拌機を用いて原料混合物を撹拌した場合には、含気油脂組成物が経時的に固くなる傾向が認められる。
一方、本発明に用いる可撓性容器としては、胴部の押圧により変形し、押圧の解除により元の形状に復元するスクイズタイプの樹脂製チューブ容器、容器を二つ折りにして内容物を押し出すディスペンパック(ディスペンパックジャパン社)等の分配包装体などが好ましい。また、吐出口の開口径は、線画を描きやすくする点から2〜8mmが好ましい。吐出口の開口形状は円形に限られず、星形、十字形などとしてもよい。本発明の含気油脂組成物によれば、吐出口の開口形状に応じた吐出物形状を形成することができるので、含気油脂組成物をパン、クラッカー等の食品に塗布して食するときの楽しさが向上する。
本発明の含気油脂組成物の製造方法としては、例えば、上述した高融点油脂、低融点油脂、非油溶性粉体、乳化剤及び任意成分を混合し、80〜90℃に加熱溶解させて10〜15分間保持し、−73kPa程度に脱気し、15〜20℃に冷却し、次いで高速剪断撹拌機を用いて含気させればよく、こうして得た含気油脂組成物を可撓性容器に充填することにより、本発明の含気油脂食品を得ることができる。
以下、実施例にもとづいて本発明を具体的に説明する。
なお、原料の配合組成に関し、「部」は質量部を表し、「%」は質量%を表す。
実施例1
表1に示す、高融点油脂、低融点油脂、非油溶性粉体の原料及び乳化剤を混合し、80℃まで加熱し、ニーダーによって撹拌しながら10分間保持し、脱気釜にて−73kPa以上で5分間脱気した。次いで、冷却装置を通して品温を20℃以下に冷却し、連続発泡式の高速剪断撹拌機にてクリーム流量4.0kg/min、回転数500rpmで含気撹拌させ、含気油脂組成物を得た。この含気油脂組成物を、スクイズタイプのチューブ容器(内容積:150mL)であって、吐出口の開口径が2mm、4mm、8mm、12mmのものにそれぞれ100g充填し、実施例の含気油脂食品を製造した。
実施例2〜6及び比較例1〜3
原料の配合組成を表1のように変え、実施例1と同様に含気油脂食品を製造した。
実施例4では、原料として、油脂と粉体成分が混合状態にあるピーナツペーストを使用し、ピーナツペースト中の油脂分を低融点油脂とし、非油脂分を非油溶性粉体とみなした。
比較例4、5
市販の含気油脂食品であるチョコレートスプレッド2種(A及びB)を用意した。
評価
実施例1〜6及び比較例1〜5の含気油脂食品について、(a)固体脂含量が関係する方法2の測定、(b)固さに関する方法1の測定、(c)含気量の測定を次のように行い、また、(d)油分離促進試験、(e)絞り出しやすさ及び線描きのしやすさ試験、(f)吐出物の形状保持性を次のように試験した。これらの結果を表1に示す。また、方法2の測定値と温度との関係を、実施例1、比較例3、4、5について、図1に示す。
(a)固体脂含量が関係する方法2の測定
チューブ容器から吐出させた含気油脂食品を、注射筒(5mL)に吸引し、プラスチック製ストローを介してサンプル管(直径10mm、パルスNMR用)に底部から60mmまで充填し、恒温槽(アステック(株)製、SFC2000)にて10℃、15℃、20℃、40℃のそれぞれの温度で30分以上保持し、パルス型核磁気共鳴装置(Oxford社、MQC)で測定した。
(b)固さに関する方法の測定
Texture Analyzer TA.XT.plus (Stable Micro Systems社)を用いて、底部に直径7mmの穴のある内径50mmのプラスチック製の円筒(FORWARD EXTRUSION CELL 7mm, Stable Micro Systems社)に50gの含気油脂組成物を充填し、FORWARD EXTRUSION CELLに付属のプランジャーで1mm/sの速度で押しつけ、底部の7mmの穴から含気油脂組成物を押し出したときの荷重として測定した。
(c)含気量
含気前後のクリームをカップ充填し、摺り切りにした際の重量を測定し以下の式で算出した。
(含気前重量−含気後重量)÷含気前重量×100
(d)油分離促進試験
チューブ容器から含気油脂組成物15gを絞り出し、蓋を閉じ、1週間放置するという操作を複数回繰り返し、最初に油分分離が出始める繰り返し数を求めた。
(e)絞り出しやすさ及び線描きのしやすさ試験
口径の異なる3種(2mm、4mm、8mm、12mm)のチューブ容器からそれぞれ含気油脂組成物を絞り出したときの絞り出しやすさ及び線描きのしやすさを次のように評価した。
<絞り出しやすさ>
A:絞り出し易い。
B:口径によって絞り出し易さは変わるが、問題なく絞り出せる。
C:絞り出しにくい。
<線描きのしやすさ>
A:繊細な線描きが容易に行える。
B:口径によって繊細な線描きの行い易さは変わるが、問題なく行える。
C:繊細な線描きが行い難い。
(f)吐出物の形状保持性
チューブ容器から紙の上に含気油脂組成物を線画を描くように吐出させ、吐出させてから5分後に吐出時の形状を保持しているかを目視観察した。また、油分離の有無についても目視評価した。なお、表中、「油にじみ」は吐出物の表面が油で光った状態を表し、「絞出し困難」は、保形性の評価以前に絞り出せないことを表している。
Figure 2014003918
表1から、高速剪断撹拌機を使用し、油脂と非油溶性粉体を強力な剪断力をかけつつ含気撹拌して得られた実施例1〜6の含気油脂組成物は、方法2の測定値が、温度20〜40℃で10〜40%であり、20℃の測定値に対して40℃の測定値が高く、また、方法1による固さが、0.3〜3.5kgの範囲にあり、チューブ容器からの絞り出しが容易で、かつ、繊細な線描きがしやすく、吐出物の形状保持性に優れた含気油脂組成物を得られることがわかる。これに対し、比較例1は固いために絞り出しが困難であり、比較例2は含気が不能なために絞り出しやすさの評価をすることができず、非油溶性粉体を含有しない比較例3は、油にじみが生じたり口径によって繊細な線描きがしにくいことがわかる。
さらに、図1に示されるように、実施例の含気油脂組成物が示す方法2の測定値と温度との関係は、市販の含気油脂食品に比して20℃の測定値より40℃の測定値が高い点で異なっており、実施例における高融点油脂のネットワークの特殊性を示している。

Claims (5)

  1. 上昇融点50℃以上の高融点油脂、上昇融点20℃以下の低融点油脂、非油溶性粉体及び乳化剤を含む含気油脂組成物が可撓性容器に充填された含気油脂食品であって、
    油脂、非油溶性粉体及び乳化剤の合計量に対する油脂の含有量が30〜70質量%、
    油脂、非油溶性粉体及び乳化剤の合計量に対する非油溶性粉体の含有量が25〜65質量%、
    以下の方法1で得られる、含気油脂組成物の固さの測定値が0.3〜3.5kgであり、
    以下の方法2で得られる、含気油脂組成物の固体脂含量が関係する測定値が、温度20、30、40℃の場合に10〜40%であり、かつ20℃の測定値に対して、40℃の測定値が高い含気油脂食品。
    <方法1>
    含気油脂組成物(24℃)を、底部に直径7mmの穴を有する内径50mmの円筒状セルに50g充填し、セル内でプランジャーを移動速度1mm/sで底部側へ動かして該含気油脂組成物を穴から押し出す場合の荷重として測定される固さ
    <方法2>
    含気油脂組成物を内径10mmの円筒状サンプル管に底部から60mmまで充填し、20、30、40℃の温度でそれぞれ1時間以上保持し、パルス型核磁気共鳴装置でAOCS Official Method Cd 16b−93に準じて得られる測定値
  2. 油脂中の高融点油脂の含有量が2〜10質量%である請求項1記載の含気油脂食品。
  3. 含気量が10〜30体積%である請求項1又は2に記載の含気油脂食品。
  4. 水分含有率が2質量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の含気油脂食品。
  5. 可撓性容器の吐出口の開口径が2〜12mmである請求項1〜4のいずれかに記載の含気油脂食品。
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