JP2022153868A - 含水チョコレート - Google Patents

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朋美 仲
Tomomi Naka
安寿子 佐藤
Yasuko Sato
朋子 藤田
Tomoko Fujita
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Abstract

【課題】工業的に広く活用するために裁断適性及び成形適性を向上させたシート状の含水チョコレート類を提供すること。【解決手段】25℃における溶解度70g以下の糖及び/又はセルロース類を用いて、含水チョコレート類を調整する。【選択図】なし

Description

本発明は、生チョコレートらしい食感を有した作業適性が良好な含水チョコレート類、及び含水チョコレート類の製造方法に関する。
チョコレート類に水性成分を加え製造される含水チョコレート類は、洋菓子や冷菓、デザート用途に広く利用されている。クリームを含むものは訴求力が高く、その中でも生クリームを10重量%以上、チョコレート規格のチョコレート類を60重量%以上かつ水分を全重量の10重量%以上と規格される含水チョコレート類は、生チョコレートという表示が可能であり製品としてさらに訴求性が高い。
生チョコレートはその訴求力の高さ故、種々の嗜好品と組み合わせられることが多く、工業的に製菓材料として使用するために、あらかじめ一定の形状に加工されており成形加工が平易な素材や、既に一定サイズに成形されており組み合わせに用いやすい素材が求められる。それらを冷凍温度域の商品と組み合わせたいという要望も強い。
生チョコレートなどの含水チョコレート類はスイートチョコレートやミルクチョコレートといったカカオマスやココアを多く配合したものが市場に多く流通されるが、ホワイトチョコレートやストロベリーチョコレート、キャラメルチョコレートなど種々の風味にも人気が高まってきており、それらの風味の含水チョコレート類を製菓材料として広く活用したいという要望は高い。
しかしながら、ホワイトチョコレートやキャラメルチョコレートなどのカカオマスやココアを多く含まないチョコレート類を用いた含水チョコレート類は、スイートチョコレートなどのカカオマスやココアを多く含むチョコレート類を用いた含水チョコレート類と比較すると軟らかくなったり、成形作業時にべたついたりと大量生産に適さない物性になる。
そのため、シート状に加工することやシート状のものを連続して裁断することは困難であった。
軟らかくなってしまうことを解決するためには、チョコレート類やココアバターなどの油脂を多く配合することや融点の高い油脂を配合するという方法が知られる。しかし、油脂を多く配合するとチョコレート風味が弱くなったり、特に冷凍域では口溶けが悪化したりと含水チョコレート類に求められるなめらかな食感や濃厚なチョコレート風味という品質に適さない。
特許文献1には微結晶セルロースを用いた含水チョコレートの発明が記載されている。これは、包餡機でセンター部分を露出させることなく被覆できるというものである。
特許文献2にはチョコレート生地50~85重量%、水分10~40重量%で、品温50℃での粘度が400~1600ポイズであり、ジェランガム、カラギーナン、ファーセレラン、寒天から選ばれてなる1種又は2種以上の安定剤を含むチョコレート風味が良好で展延性に優れたロールイン用の含水チョコレートの発明の記載がある。
特許文献3にはゼラチンを用いたフィルム剥離性、折れ耐性が良好な生チョコレートの製造技術の発明が記載されている。
特許文献4では、ゲル化剤と単糖を用いて冷凍域でグミ様の食感を実現した発明が記載されている。
国際公開第2013/021898号 特開2003-250449号公報 国際公開第2016/186181号 特開2016-289713号公報
特許文献1は包餡機でセンター部分を露出させることなく被覆できるものであって、シート状の含水チョコレート類は記載されていない。
特許文献2は、シート状で展延性に優れているが、裁断適性についての言及はない。
特許文献3は、可塑性があり、スライスチーズ様ののどごしが良い食感の生チョコレートが実現され、折れ耐性が良好であるため、破断しにくいものである。これは、裁断適性が高いものとは逆行する発明である。
特許文献4は、特異な食感であり、生チョコレートらしいものでなく、弾力性に富むのであるから裁断適性があるものとは言いがたい。
本発明は、上記課題を解決し、カカオマスやココアに含まれる無脂カカオ固形分が少ない含水チョコレート類を製菓材料として工業的に広く活用するために裁断適性及び成形適性を向上させたシート状の含水チョコレート類を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、25℃における溶解度70g以下の糖及び/又はセルロース類を用いて、含水チョコレート類を調整することによって、無脂カカオ固形分が少なくても上記課題を解決しうるという知見を見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は(1)無脂カカオ固形分が5重量%以下であって、下記(A)及び/又は(B)を満たす、含水チョコレート類。
(A)25℃における溶解度70g以下の糖の含有量が8重量%以上
(B)セルロース類の含有量が0.6重量%以上
(2)海藻類由来の水溶性食物繊維を含む請求項1の含水チョコレート類。
(3)25℃における溶解度70g以下の糖及びセルロース類を含有する、請求項1または2に記載の含水チョコレート類。
(4)油分が25~45重量%である、請求項1~3いずれか1項に記載の含水チョコレート類。
(5)シート状である、請求項1~4いずれか1項に記載の含水チョコレート類。
(6)裁断適性及び成形適性が良好である、請求項1~5いずれか1項に記載の含水チョコレート類。
(7)無脂カカオ固形分が5重量%以下であって、25℃における溶解度70g以下の糖及び/又はセルロース類を配合する、裁断適性が良好なシート状含水チョコレート類の製造方法。
(8)請求項1~5のいずれか1項に記載の含水チョコレート類を含む複合菓子。
(9)請求項5に記載のシート状含水チョコレート類を裁断し、生地に組みあわせる複合菓子の製造方法。
(10)以下の要件を満たす、含水チョコレート類における裁断適性及び成形適性の改善方法。
1 無脂カカオ固形分が5重量%以下。
2 下記(A)及び/又は(B)を満たす。
(A)25℃における溶解度70g以下の糖の含有量が8重量%以上。
(B)セルロース類の含有量が0.6重量%以上。
である。
本発明によれば、無脂カカオ固形分の少ない含水チョコレート類でも特有の生チョコレートらしい食感を感じられる、裁断適性及び成形適性に優れたシート状含水チョコレート類が得られる。
本発明の一態様として、シート状含水チョコレート類を求めるサイズに裁断し、冷菓や洋菓子に練り込んだりトッピングしたりすることで生チョコレートらしい食感を有した含水チョコレート類を組みあわせた冷凍温度域の複合菓子である冷菓や冷蔵温度域の複合菓子である洋菓子が得られる。
以下、本発明を具体的に説明する。
(チョコレート類、含水チョコレート類)
本発明において言うところの「チョコレート類」とは全国チョコレート業公正取引協議会が規定するところの、「純チョコレート」「チョコレート」「準チョコレート」から、ココアバター以外の油脂とカカオ固形分以外の可食物よりなる「チョコレート様食品」、その他、例えばカレー風味やチーズ風味といった、油脂をベースとして可食物を分散させた食品を総称するものであってもよい。また、本発明において言うところの「含水チョコレート類」とは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約とその解説」で言うところの「生チョコレート」は勿論、以上に述べたチョコレート類と水性成分を混練したものすべてを総称し、その「含水チョコレート類」の原料として用いた「チョコレート類」を「原料チョコレート類」もしくは「含水状で使用する用途の原料チョコレート類」と称する。含水チョコレート類は一般的にはO/W型あるいはW/O型、そのそれぞれを組み合わせた二重乳化や一部が転相したものなどがあり本発明では特に限定されないが、本発明の含水チョコレート類は、チョコレート類にクリーム、液糖、洋酒、牛乳、豆乳、果汁、水などの水性成分を混合して得られる、O/WまたはO/Wの一部転相系といった水相が連続相である水中油型乳化物であることが好ましい。
(シート状含水チョコレート類)
「シート状含水チョコレート類」とは、チョコレート類と水性成分を混合して得られた乳化物である含水チョコレート類を、シート状にし、冷却固化させたものを言う。シート状の厚さは特に限定しないが、0.5cm~3cm程度に延ばされた状態のものを意味する。
(無脂カカオ固形分)
無脂カカオ固形分とは、カカオ豆由来の固形分のうちカカオバターと水分を除いた部分を指す。本発明においてその配合量は5重量%以下であり、いわゆるビターチョコレート、スイートチョコレートとは異なり、ホワイトチョコレートやキャラメルチョコレート、イチゴチョコレートなどの無脂カカオ固形分を配合しない、もしくは少量配合するチョコレート類を対象とする。
本発明のシート状含水チョコレート類は25℃における溶解度70g以下の糖及び/又はセルロース類を含有する。より好ましい態様として、海藻類由来の水溶性食物繊維を含有する。
(溶解度)
本発明における溶解度は、25℃における溶媒(水)100gに対する溶質の最大質量で示す。本発明のシート状含水チョコレート類に用いられる糖の溶解度は70g以下の低いものが望ましく、より望ましくは60g以下、さらに望ましくは50g以下である。
溶解度が低い糖を用いると裁断適性が向上するが、低温での水相への溶解度が低いため、結晶が析出して口溶けが悪化することがある。一方、溶解度が高い糖を用いると、裁断適性が悪く、べたつきが生じやすい成形適性のない物性になる。
(糖)
本発明における糖とは、単糖類、オリゴ糖類、糖アルコール類、デキストリン、水飴等が例示できる。その中でも25℃における溶解度70g以下の糖は、具体的には、ラクトース、イソマルツロース、トレハロース、還元イソマルツロースなどがあげられる。中でも、風味や製造適性の点で、ラクトース、イソマルツロースが好ましい。用いられる糖の含有量は下限値が好ましくは8重量%以上、より好ましくは9重量%以上であり、上限値は好ましくは20重量%以下、より好ましくは18重量%以下である。これらの糖は、糖として配合するものだけでなく、乳製品に含まれる糖も同様の効果を示すため、総量に含む。例えば全脂粉乳には約39重量%ラクトースが含まれる。適当な糖の含有量が少ないと裁断適性や成形適性のない物性になる。一方、含有量が多すぎると低温での水相への溶解度が低いため、結晶が析出して口溶けが悪化することがある。
適当な糖を適当な量含有させる事で裁断適性や成形適性が良好な含水チョコレート類を得ることができる。
(セルロース類)
本発明のシート状含水チョコレート類にはセルロース類を含む。「セルロース類」とは、一般に不溶性食物繊維ともいわれ水に溶けない難水溶性食物繊維の中でも特にセルロース、ヘミセルロース等を総称する。本発明において、セルロース類は特に限定されないが、カカオ繊維、パルプ繊維を起源とする。特に粉末セルロースや、セルロースを加工した微結晶セルロースを使用することが好ましい。含水チョコレート類に対して、含まれる繊維質の総和が、下限値が好ましくは0.6重量%以上、より好ましくは0.7重量%以上、さらに好ましくは0.8重量%以上であり、上限値が好ましくは10重量%以下、より好ましくは9重量%以下、さらに好ましくは7重量%以下である。含水チョコレート類中のセルロース類の含有量は、含水チョコレート類に配合するセルロース類とカカオ固形分の中に一部含まれるセルロース類の総和で算出する。カカオマスのセルロース類はセルロース、ヘミセルロースが含まれ、総量は約7.6重量%である。含水チョコレート類に配合するセルロース類が多いと裁断適性は向上するが、ざらつき、粉っぽさが感じやすくなり、含水チョコレート類に求められる口溶けが得られない。また、少ないと裁断適性が悪くなり、べたつきやすい成形適性のない品質になる。
適当なセルロース類を適当な量含有させる事で裁断適性や成形適性が良好な含水チョコレート類を得ることができる。
(水溶性食物繊維)
本発明に用いられる海藻類由来の水溶性食物繊維は、寒天、カラギーナンが挙げられる。これらを配合することでより裁断適性が向上した食感の良いシート状含水チョコレート類の提供が可能になる。これらは1種類だけ配合しても良いし、併用しても良い。含水チョコレート類に含まれる海藻類由来の水溶性食物繊維の総量は、好ましくは0.1重量%~2.0重量%、より好ましくは0.1重量%~1.5重量%、さらに好ましくは0.15重量%~1.2重量%である。配合することで含水チョコレート類の裁断適性や成形適性が良好になるが、多すぎると含水チョコレート類らしい食感とは異なるものになる。
(油脂)
本発明の含水チョコレート類として使用する油脂は、カカオマスやココアなどのカカオ原料由来の脂肪分(ココアバター)や乳原料由来の乳脂肪分、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米ぬか油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア油、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油等の植物性油脂、牛脂、ラード、魚油、鯨油等の動物性油脂、これらの硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂などがあり、その合計量である油分は、油分が25~45重量%、好ましくは27~42重量%とする。これより少ないと含水チョコレート類が軟らかいものになり、シート状にならない。また、これより多いと乳化が不安定となり、含水チョコレート類らしい風味や食感が得られない。
(水分)
本発明の含水チョコレート類に含まれる水分の含有量は、乳化が容易な点と良好な食感が得られる点で好ましくは10重量%~50重量%である。より好ましくは10重量%~40重量%、さらに好ましくは10重量%~30重量%である。水分の由来は特に限定しない。クリームや水あめなどの糖液以外に、水を直接配合することもできる。水分量が10重量%未満では水中油型として乳化させることが困難となる場合があり、水分量が50重量%を超えると水っぽくなり風味が劣る場合がある。
(原料チョコレート類)
原料チョコレート類に用いられる原材料としては、25℃における溶解度70g以下の糖、セルロース類を含む以外に特に限定はなく公知の組成が適用できる。一例としては添加物、乳成分、糖類、油脂類、野菜類や果実類の加工品、その他可食物を適宜組み合わせる事が出来る。添加物としては、乳化剤・酸化防止剤・香料・酸味料等が挙げられるが、どれも種類・量ともに限定はされず、添加しなくてもかまわない。
(含水チョコレート類)
本発明においては、生クリームを含有する水相部と原料チョコレート類を混合して製造することが好ましい。より好ましくは、生クリームの配合量が10重量%以上40重量%以下、および原料チョコレート類の配合量が40重量%以上90重量%以下である。生クリームと、原料チョコレート類以外の成分を配合しても良く、例えば、生クリーム以外に、水分含有量の調整のために水を配合しても良い。
(含水チョコレート類の製造方法)
本発明の含水チョコレート類の製造方法としては、以下が例示される。まず、糖質、糖類、全粉乳、カカオマス、ココアバター、植物油、レシチンなどを常法に従いロール掛け、コンチングし、原料チョコレート類を製造する。別途、生クリーム、水、寒天、乳化剤などの水性成分を混合、加温し、ここに先の原料チョコレート類を加え混合、撹拌、殺菌、冷却して含水チョコレート類が得られる。ここでの冷却は20℃以下で特に限定されることはないが、保存性を考慮すると冷蔵あるいは冷凍温度域で行うことが好ましい。
(シート成形方法)
含水チョコレート類をシート状に成形する方法としては、特に限定されないが以下が例示される。加温し、混合攪拌した液状の含水チョコレート類を一定速度で運行するベルトコンベアに均一な厚さに延ばし、冷却し、運行方向に等間隔で配置されたスリット又は丸刃カッターで縦切りにされた後、ベルトコンベアと直角に配置された刃物を上下に動かすことで横切りにできる装置を用いて適当なサイズに裁断して得られる。あるいは、加温し、混合攪拌した液状のチョコレート類を一定サイズの袋に求める厚さになる程度の重量を充填し、平面に静置してから冷却することで得られる。
(裁断方法)
シート状含水チョコレート類を裁断する手段としては、種々の方法があるが工業的に用いられるものとして、先に述べたベルトコンベア装置を用いた裁断方法の裁断間隔を狭くすることでダイス状、棒状に裁断できる。あるいはフードカッター、フードスライサーでシート状含水チョコレート類を裁断する方法、等間隔にワイヤーが張られたギターカッターと呼ばれる裁断器具を用いてする方法が候補としてあげられる。工業的に大量生産するためにはベルトコンベアで連続的に裁断することが望ましいが、ベルトコンベアを用いた方法は含水チョコレート類の調製から裁断まで一連の流れで行うことが多く、大規模な設備を用いて含水チョコレート類の調製から裁断まで一貫して製造する必要がある。
大規模な設備を用いることなく連続的に裁断する方法としてはフードカッターやギターカッターで裁断する方法がある。フードカッターはさまざまな装置が開発されており、サイズなども自由に調整しながら連続的な裁断が可能である。
少量を裁断することは、従来知られた含水チョコレート類の組成でも可能であるが、大量の含水チョコレート類を連続的に裁断すると裁断刃の部分に含水チョコレート類の一部が付着し、それらが蓄積することによって、連続生産できなくなる。
本明細書において、上記で述べたような裁断設備、裁断機器などを用いて、連続的に裁断をおこなっても設備や機器の汚れや付着物が軽微であることを裁断適性が良好である、といい、裁断後の成形された含水チョコレート類の形状が良好であることを成形適性が良好である、という。裁断適性および成形適性は、該当設備や機器を用いて評価することが望ましいが、少量を評価する際は家庭用料理包丁などで連続的に裁断作業して包丁の刃の付着物および裁断後の形状でも同様の評価が可能である。
本発明の含水チョコレート類は、裁断適性が良好でありながら、なめらかな食感を有することを特徴とするが、そのなめらかさは冷凍温度域でも感じられ、冷菓に代表される冷凍温度域で喫食する食品とともに食したときに、含水チョコレート類だけがいつまでも口の中に残る事なく、良好な組み合わせ菓子として喫食できるものである。
本明細書において、冷凍温度域とは、0℃以下であり、好ましくは-5℃以下、より好ましくは-5℃~-30℃のことを言い、これらの温度帯でもなめらかな食感が得られることを特徴とする。当該温度帯でもなめらかな食感が得られるために、本発明の含水チョコレート類は冷凍温度域の菓子である冷菓に使用することができる。
本明細書において、冷蔵温度域とは10℃以下であり、好ましくは0℃~10℃、より好ましくは3℃~7℃のことを言い、これらの温度帯でもべたつかずに取り扱えることを特徴とする。当該温度帯でも作業性が良好であるため、本発明の含水チョコレート類は冷蔵温度域の菓子である洋菓子のトッピング等に使用することができる。
以下、本発明について実施例を示し、より詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%および部はいずれも重量基準を意味する。
(実施例1、2、3、比較例1、2)
表1記載に従い配合し、常法により原料チョコレート類を作製した。次いで、表2記載に従い配合し、コンビミックス(プライミクス株式会社製)を用いて、加温しながら攪拌を行うことで水中油型乳化物である含水チョコレート類を調合した。次いでこれをポリ袋に充填し、厚さ約1cmの状態に静置して放熱後に-18℃で冷却し、シート状の含水チョコレート類を得た。
表2には作成したシート状含水チョコレート類の組成及び食感、裁断適性等の評価結果を記載した。
ラクトースは食品製造業で一般的に使用される溶解度約21g/100gの含水結晶を使用した。
口どけやざらつきはパネラー5人の官能評価にて以下の基準で行った。
◎:非常に良好、〇:良好、△:品質許容レベルだが、〇よりは劣る、×:不適
裁断適性の評価は、実験室での試作のため、家庭用包丁を用いて六面体に裁断する裁断を行った結果を以下基準で示す。
◎:連続して裁断しても、刃に付着がない、〇:連続して裁断しても、刃にほぼ付着がない、△:〇よりは付着が付くが少量であり、許容レベル、×:付着が多く、不適。
成形適性の評価は、裁断後に形が崩れず、維持できているかを確認し、以下基準で示す。
◎:非常に良好、○:良好、△:やや六面体の角が崩れるが許容レベル、×:形状維持できず、不適。
以降の評価も同様にしておこなった。
Figure 2022153868000001
ラクトースはLEPRINO FOODS社製、ココアバターは不二製油株式会社製ココアバター201、植物油脂1は不二製油株式会社製メラノNEW.SS-5を使用した。
Figure 2022153868000002
生クリームは明治乳業株式会社製明治十勝フレッシュクリーム47を使用した。
比較例1、2で、糖として溶解度の低いラクトースを配合しないものは裁断適性が悪かった。ラクトースを含有させると裁断適性が良好になった。
実施例1はややざらつくが、生チョコレートらしい食感を有しており、裁断適性も良好であった。実施例3の成形適性は、やや軟らかいものの製品としては許容できるレベルの品質であった。
(実施例4、5、比較例3)
表3記載に従い配合し、常法により原料チョコレート類を作成した。次いで実施例1等と同様に表4記載に従い含水チョコレート類を得た。表4には作成したシート状含水チョコレート類の組成及び食感、裁断適性等の評価結果を記載した。
Figure 2022153868000003
粉末セルロースは日本製紙株式会社製KCフロックW-100Gを使用した。
Figure 2022153868000004
セルロース類を配合した実施例4は裁断適性及び成形適性が改善し、良好な品質が得られた。
(実施例6、7、8、比較例4)
表5記載に従い配合し、常法により原料チョコレート類を作成した。次いで実施例1等と同様に表6記載に従い含水チョコレート類を得た。表6には作成したシート状含水チョコレート類の組成及び食感、裁断適性等の評価結果を記載した。
Figure 2022153868000005
キャラメル粉末は筑波乳業株式会社製キャラメルパウダーを、カカオマスは不二製油株式会社製フジカカオマス100を使用した。
Figure 2022153868000006
キャラメルソースは筑波乳業社製キャラメルミルク、寒天は伊那食品工業株式会社製ウルトラ寒天UX30を使用した。
カカオマスに含まれるセルロース類は、7.6重量%として算出した。
寒天を併用することで裁断適性及び成形適性を良好にすることができた。口溶けにおいても良好な品質のものが実現した。
(実施例9、比較例5)
表7記載に従い配合し、常法により原料チョコレート類を作成した。次いで実施例1等と同様に表8記載に従い含水チョコレート類を得た。表8には作成したシート状含水チョコレート類の組成及び食感、裁断適性等の評価結果を記載した。
Figure 2022153868000007
植物油脂2は不二製油株式会社製メラノピュア600を使用した。
Figure 2022153868000008
寒天を配合しても、比較例5のように溶解度70g以下の糖を配合せず、セルロース類が少量では、裁断適性及び成形適性が悪いものになった。
(実施例10、11、12、比較例5)
表9記載に従い配合し、常法により原料チョコレート類を作成した。次いで実施例1等と同様に表10記載に従い含水チョコレート類を得た。表10には作成したシート状含水チョコレート類の組成及び食感、裁断適性等の評価結果を記載した。なお比較例5は表8と同一のものである。
また、連続裁断が可能であるかを評価する指標として、シート状含水チョコレート類の付着量を測定した。
(付着量の測定)
冷凍保管した厚さ10mmのシート状含水チョコレート類を用いる。
先端が60°で幅28mmのくさび型プランジャを1mm/sec.で差し込み、引き抜いたときに、プランジャに付着した重量を測定した。
測定には株式会社山電社製クリープメーターRE2-33005Bを用いた。
表中の付着量はn=3の平均重量を示す。
Figure 2022153868000009
Figure 2022153868000010
溶解度70g以下の糖と寒天、セルロース類と寒天を組みあわせることで口溶けと裁断適性を両立した品質ができた。
付着量に対して、裁断適性や成形適性の評価が相関していることが示された。
(実施例13、14、15)
表11のように、チョコレート類にセルロース類を多く配合したもの、寒天のかわりにカラギーナンを配合したもの、低溶解度の糖としてイソマルツロースを配合したものを調製し、実施例1等と同様に表12記載に従い含水チョコレート類を得た。表12には作成したシート状含水チョコレート類の組成及び食感、裁断適性等の評価結果を記載した。
イソマルツロースは三井製糖株式会社社製「粉末パラチノースPST-NP」、溶解度は約47g/100gのものを用いた。
Figure 2022153868000011
Figure 2022153868000012
セルロース類を多く配合すると、ややざらつきを感じるが、製品として合格レベルであった。また、寒天の代わりにカラギーナンを、低溶解度の糖としてイソマルツロースを配合したものも裁断適性及び成形適性のあるものになった。
(組み合わせ食品)
実施例11として試作したシート状含水チョコレート類を縦横高さ各10mmの六面体形状に裁断した。実験室での試作のため、家庭用包丁を用いて裁断をおこなったところ、裁断を連続して行っても、刃に含水チョコレート類が付着することなく、良好な形状を維持していた。
常温で軟化させたバニラアイス(株式会社明治製ファミリア)に、1:9の重量比率で、裁断したダイス状含水チョコレート類を混合した。混合には卓上ミキサー(ホバート・ジャパン株式会社)を用いた。
カップに混合したものを充填し、-20℃の冷凍庫で1日保管後の風味、食感を確認した。バニラアイスとともに口の中で溶ける生チョコレートらしい食感と濃厚なキャラメルチョコレート風味が感じられた。
本発明により、無脂カカオ固形分の少ない含水チョコレート類でも特有の生チョコレートらしい食感を感じられる、裁断適性及び成形適性に優れたシート状含水チョコレート類が得られる。

Claims (10)

  1. 無脂カカオ固形分が5重量%以下であって、下記(A)及び/又は(B)を満たす、含水チョコレート類。
    (A)25℃における溶解度70g以下の糖の含有量が8重量%以上。
    (B)セルロース類の含有量が0.6重量%以上。
  2. 海藻類由来の水溶性食物繊維を含む請求項1の含水チョコレート類。
  3. 25℃における溶解度70g以下の糖及びセルロース類を含有する、請求項1または2に記載の含水チョコレート類。
  4. 油分が25~45重量%である、請求項1~3いずれか1項に記載の含水チョコレート類。
  5. シート状である、請求項1~4いずれか1項に記載の含水チョコレート類。
  6. 裁断適性及び成形適性が良好である、請求項1~5いずれか1項に記載の含水チョコレート類。
  7. 無脂カカオ固形分が5重量%以下であって、25℃における溶解度70g以下の糖及び/又はセルロース類を配合する、裁断適性が良好なシート状含水チョコレート類の製造方法。
  8. 請求項1~5のいずれか1項に記載の含水チョコレート類を含む複合菓子。
  9. 請求項5に記載のシート状含水チョコレート類を裁断し、生地に組みあわせる複合菓子の製造方法。
  10. 以下の要件を満たす、含水チョコレート類における裁断適性及び成形適性の改善方法。
    1 無脂カカオ固形分が5重量%以下。
    2 下記(A)及び/又は(B)を満たす。
    (A)25℃における溶解度70g以下の糖の含有量が8重量%以上。
    (B)セルロース類の含有量が0.6重量%以上。
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