しかしながら、上記の(2)式は、スイッチングレギュレータの電力効率ξが1である場合にのみ成り立つ理想式であり、実際の入力電流Iinは、次の(2)式で示したように、理想状態の1/ξ(ただし0<ξ<1)となる。そのため、入力電流Iinは、電力効率ξが下がるほど増加してしまう。
電力効率ξを決定する一つの要素としては、スイッチングレギュレータの内部消費電流Iccが挙げられる。以下では、Icc=300μAである場合を例に挙げながら、内部消費電流Iccが電力効率ξに与える影響について考察する。
第1ケースとして、Vin=12V、Vout=6V、Iout=2Aという負荷状態(重負荷状態)を仮定した場合、入力電流Iinは次の(3)式で算出される。
一方、第2ケースとして、Vin=12V、Vout=6V、Iout=300μAという負荷状態(軽負荷状態)を仮定した場合には、入力電流Iinが次の(4)式で算出される。
第1ケースのように、出力電流Ioutが内部消費電流Iccと比べて十分に大きい負荷状態(重負荷状態)であれば、入力電流Iinに対する内部消費電流Iccの影響を殆ど無視することができる。これに対して、第2ケースのように、出力電流Ioutが内部消費電流Iccと同程度まで小さくなった負荷状態(軽負荷状態)では、入力電流Iinに対する内部消費電流Iccの影響を無視することができなくなり、電力効率ξの低下が顕在化してしまう。低消費電力型のスイッチングレギュレータには、第2ケースのような負荷状態(軽負荷状態)での低消費電力化が求められているので、軽負荷時の内部消費電流Iccをいかに抑えるかが重要な課題の一つであった。
また、電源装置の入力電流Iinを削減して低消費電力化を実現するための別のアプローチとしては、出力電圧Voutを用いて電源装置の制御回路を駆動させる構成が考えられる。このような構成を採用すれば、出力側から制御回路に電荷を供給することができるようになるので、入力側から制御回路への電荷供給(すなわち入力電流Iin)を削減することが可能となる。
しかしながら、制御回路に対して出力電圧Voutを単純に帰還供給させるだけでは、(1)電源投入時には出力電圧Voutが0Vであり、制御回路が起動しないので、出力電圧Voutを立ち上げることができない、(2)異常保護動作時に出力電圧Voutの生成動作を強制的に停止すると、出力電圧Voutが低下して制御回路が動作不能(自殺回路)となる、(3)出力電圧Voutに意図しない変動(低下)が生じた場合にも、制御回路が動作不能となる、といった不具合があり、実用化に向けてはさらなる検討が必要であった。
本発明は、上記の問題点に鑑み、低消費電力化を実現することのできる電源装置、並びに、これを用いた車載機器及び車両を提供することを目的とする。
<第1の技術的特徴>
本明細書中に開示されている種々の電源装置のうち、第1の技術的特徴を備えた電源装置は、オン時間とオン回数が一定のオン時間固定パルスを生成して出力トランジスタをオン/オフさせることによりコイルに電荷を供給する動作期間と、前記オン時間固定パルスの生成を停止する静止期間とを交互に繰り返すことにより、入力電圧から出力電圧を生成する制御回路を有する構成(第1−1の構成)とされている。
なお、第1−1の構成から成る電源装置において、前記制御回路は、前記コイルに供給された電荷が負荷への出力電流として全て消費される毎に前記オン時間固定パルスを生成するオン時間固定パルス生成部を含む構成(第1−2の構成)にするとよい。
また、第1−2の構成から成る電源装置において、前記制御回路は、前記オン時間固定パルスのオン時間とオン回数の少なくとも一方を調整するオン時間固定パルス調整部を含む構成(第1−3の構成)にするとよい。
また、第1−3の構成から成る電源装置において、前記オン時間固定パルス調整部は、外部端子に入力される外部制御信号に応じてオン時間調整信号とオン回数調整信号を生成する構成(第1−4の構成)にするとよい。
また、第1−2〜第1−4いずれかの構成から成る電源装置において、前記制御回路は出力帰還制御に応じてPWMパルスを生成するPWMパルス生成部と、前記負荷の重さに応じて前記オン時間固定パルスと前記PWMパルスの一方を選択するセレクタと、前記セレクタの出力に応じて前記出力トランジスタをオン/オフさせるドライバと、を含む構成(第1−5の構成)にするとよい。
また、第1−5の構成から成る電源装置において、前記制御回路は、前記出力電圧に応じた帰還電圧を生成する帰還電圧生成部と、所定の基準電圧と前記帰還電圧との差分に応じた誤差電圧を生成するエラーアンプと、所定のスロープ電圧と前記誤差電圧との比較結果に応じた比較信号を生成して前記PWMパルス生成部に出力するコンパレータと、をさらに含む構成(第1−6の構成)にするとよい。
また、第1−6の構成から成る電源装置において、前記オン時間固定パルス生成部は、前記比較信号のパルスエッジが検出されたときに前記オン時間固定パルスを生成した後、次に前記比較信号のパルスエッジが検出されるまで前記オン時間固定パルスの生成を停止する構成(第1−7の構成)にするとよい。
また、第1−5〜第1−7いずれかの構成から成る電源装置において、前記制御回路は前記入力電圧が所定の閾値電圧よりも高いときには前記負荷の重さに依ることなく前記PWMパルスを選択するように前記セレクタを制御するオン時間固定パルス無効部を含む構成(第1−8の構成)にするとよい。
また、第1−8の構成から成る電源装置において、前記オン時間固定パルス無効部は、前記入力電圧が前記閾値電圧より低いときには前記PWMパルスと前記オン時間固定パルスのいずれかを選択するように前記セレクタを制御する構成(第1−9の構成)にするとよい。
また、本明細書中に開示されている車載機器は、第1−1〜第1−9いずれかの構成から成る電源装置を有する構成(第1−10の構成)とされている。
また、本明細書中に開示されている車両は、第1−10の構成から成る車載機器と、前記車載機器に電力を供給するバッテリを有する構成(第1−11の構成)とされている。
<第2の技術的特徴>
また、本明細書中に開示されている種々の電源装置のうち、第2の技術的特徴を備えた電源装置は、出力トランジスタをオン/オフさせて入力電圧から出力電圧を生成する制御回路と、外部電源電圧から内部電源電圧を生成する内部電源電圧生成回路と、前記制御回路の駆動電圧として前記内部電源電圧と前記出力電圧のいずれを供給するかを切り替える電源切替回路と、を有する構成(第2−1の構成)とされている。
なお、第2−1の構成から成る電源装置において、前記制御回路は、前記電源装置が起動してから緩やかに上昇を開始するソフトスタート電圧を生成するソフトスタート電圧生成部を含み、前記電源切替回路は、前記ソフトスタート電圧が所定の閾値電圧を上回っているか否かに応じて電源切替制御を行う構成(第2−2の構成)にするとよい。
また、第2−1または第2−2の構成から成る電源装置において、前記電源切替回路は前記出力電圧またはこれに応じた帰還電圧が正常範囲内に収まっているか否かに応じて電源切替制御を行う構成(第2−3の構成)にするとよい。
また、第2−1〜第2−3いずれかの構成から成る電源装置において、前記電源切替回路は、前記電源装置の強制停止状態が解除されているか否かに応じて電源切替制御を行う構成(第2−4の構成)にするとよい。
また、第2−2の構成から成る電源装置において、前記ソフトスタート電圧生成部は、電流源とこれに直列接続されたトランジスタとを用いて、前記電流源と前記トランジスタとの接続ノードに接続されるコンデンサの充放電制御を行うことにより、前記ソフトスタート電圧を制御する構成(第2−5の構成)にするとよい。
また、第2−5の構成から成る電源装置において、前記ソフトスタート電圧生成部は、前記電源装置の強制停止信号が入力されたときに前記トランジスタをオンさせて前記ソフトスタート電圧を放電し、前記電源切替回路は、前記強制停止信号が入力されたときに前記制御回路の駆動電圧として前記内部電源電圧を供給するように電源切替を行う構成(第2−6の構成)にするとよい。
また、第2−6の構成から成る電源装置において、前記制御回路は、ソフトスタート完了信号と強制停止信号と異常検出信号が入力される論理演算回路を含み、前記電源切替回路は、前記論理演算回路の出力に基づいて、ソフトスタートが完了し、かつ、強制停止が解除され、かつ、異常が検出されていないときに、前記制御回路の駆動電圧として前記出力電圧を供給するように電源切替を行う構成(第2−7の構成)にするとよい。
また、第2−2の構成から成る電源装置において、前記電源切替回路は、前記電源装置の起動時において、前記ソフトスタート電圧が前記閾値電圧に上昇するまでの間、前記制御回路の駆動電圧として前記内部電源電圧を供給するように電源切替を行う構成(第2−8の構成)にするとよい。
また、第2−1〜第2−8いずれかの構成から成る電源装置において、前記内部電源電圧生成回路は、前記外部電源電圧から内部電圧を生成するプリレギュレータ回路と、前記プリレギュレータ回路で生成される前記内部電圧を受けて前記内部電源電圧の生成に用いられる一定の基準電圧を生成する基準電圧生成部と、を含む構成(第2−9の構成)にするとよい。
また、本明細書中に開示されている車載機器は、第2−1〜第2−9いずれかの構成から成る電源装置を有する構成(第2−10の構成)とされている。
また、本明細書中に開示されている車両は、第2−10の構成から成る車載機器と、前記車載機器に電力を供給するバッテリを有する構成(第2−11の構成)とされている。
<第3の技術的特徴>
また、本明細書中に開示されている種々の電源装置のうち、第3の技術的特徴を備えた電源装置は、入力電圧から出力電圧を生成するためにオン/オフされる出力トランジスタと、前記出力電圧に応じた帰還電圧を生成する帰還電圧生成部と、起動時緩やかに上昇するソフトスタート電圧を生成するソフトスタート電圧生成部と、所定の基準電圧及び前記ソフトスタート電圧のいずれか低い方と前記帰還電圧との差分に応じた誤差電圧を生成するエラーアンプと、所定周波数のクロック信号を生成するオシレータと、前記クロック信号に同期してスロープ電圧を生成するスロープ電圧生成部と、前記誤差電圧と前記スロープ電圧とを比較して比較信号を生成するコンパレータと、前記クロック信号と前記比較信号に基づいてPWMパルスを生成するPWMパルス生成部と、前記比較信号をトリガとしてオン時間とオン回数が一定のオン時間固定パルスを生成するオン時間固定パルス生成部と、前記ソフトスタート電圧が所定の閾値電圧を上回った時点で一度だけオン時間とオン回数が一定のワンショットパルスを生成するワンショットパルス生成部と、前記PWMパルス、前記オン時間固定パルス、及び、前記ワンショットパルスのいずれか一つを選択するセレクタと、前記セレクタの出力に応じて前記出力トランジスタをオン/オフさせるドライバと、を有する構成(第3−1の構成)とされている。
なお、第3−1の構成から成る電源装置は、負荷の重さに応じて前記PWMパルスと前記オン時間固定パルスの一方を選択するようにセレクタ制御信号を生成するセレクタ制御部をさらに有する構成(第3−2の構成)にするとよい。
また、第3−2の構成から成る電源装置において、前記セレクタは、前記ソフトスタート電圧が前記閾値電圧を上回った時点で前記セレクタ制御信号に依ることなく前記ワンショットパルスを選択する構成(第3−3の構成)にするとよい。
また、第3−3の構成から成る電源装置において、前記セレクタ制御部は、前記比較信号が同一の論理レベルに維持されている期間を監視して、前記負荷の重さを判定する構成(第3−4の構成)にするとよい。
また、第3−2の構成から成る電源装置において、前記セレクタで前記PWMパルスが選択されているPWMモードで負荷が軽くなり、前記出力トランジスタの一端に現れるスイッチ電圧が連続モードから不連続モードに移行したとき、前記PWMパルスのオン時間は、最小オン時間となる構成(第3−5の構成)にするとよい。
また、第3−5の構成から成る電源装置において、前記PWMモードでさらに負荷が軽くなり、前記スイッチ電圧が前記不連続モードから間欠発振モードに移行して、前記比較信号が所定のマスク期間に亘って同一の論理レベルに維持されたとき、前記セレクタ制御部は、前記セレクタで前記オン時間固定パルスが選択されるオン時間固定モードへの移行を行うように、前記セレクタ制御信号を生成する構成(第3−6の構成)にするとよい。
また、第3−6の構成から成る電源装置は、外部端子に入力される外部制御信号に応じて前記マスク期間を調整するためのマスク期間調整信号を生成し、これを前記セレクタ制御部に送出するカウンタ調整部をさらに有する構成(第3−7の構成)にするとよい。
また、第3−1の構成から成る電源装置において、前記ソフトスタート電圧生成部は、前記ソフトスタートが前記閾値電圧を上回ったことを検出してソフトスタート完了信号を生成し、前記ワンショットパルス生成部は、前記ソフトスタート完了信号のエッジをトリガとして前記ワンショットパルスを生成する構成(第3−8の構成)にするとよい。
また、本明細書中に開示されている車載機器は、第3−1〜第3−8いずれかの構成から成る電源装置を有する構成(第3−9の構成)とされている。
また、本明細書中に開示されている車両は、第3−9の構成から成る車載機器と、前記車載機器に電力を供給するバッテリとを有する構成(第3−10の構成)とされている。
<第4の技術的特徴>
また、本明細書中に開示されている種々の電源装置のうち、第4の技術的特徴を備えた電源装置は、入力電圧から出力電圧を生成するためにオン/オフされる出力トランジスタと、前記出力電圧に応じた帰還電圧を生成する帰還電圧生成部と、所定の基準電圧と前記帰還電圧との差分に応じた誤差電圧を生成するエラーアンプと、所定周波数のクロック信号を生成するオシレータと、前記クロック信号に同期してスロープ電圧を生成するスロープ電圧生成部と、前記誤差電圧と前記スロープ電圧とを比較して比較信号を生成するコンパレータと、前記クロック信号と前記比較信号に基づいてPWMパルスを生成するPWMパルス生成部と、前記比較信号をトリガとしてオン時間とオン回数が一定のオン時間固定パルスを生成するオン時間固定パルス生成部と、前記PWMパルスと前記オン時間固定パルスの一方を選択するセレクタと、前記セレクタの出力に応じて前記出力トランジスタをオン/オフさせるドライバと、前記比較信号が所定のマスク期間に亘って同一の論理レベルに維持されたか否かに応じて前記PWMパルスと前記オン時間固定パルスの一方を選択するように前記セレクタの制御信号を生成するセレクタ制御部と、を有する構成(第4−1の構成)とされている。
なお、第4−1の構成から成る電源装置において、前記比較信号は、前記誤差電圧が前記スロープ電圧よりも高いときにローレベルとなり前記誤差電圧が前記スロープ電圧よりも低いときにハイレベルとなる2値信号であり、前記セレクタ制御部は、前記比較信号のローレベル期間を計時するカウンタを含む構成(第4−2の構成)にするとよい。
また、第4−2の構成から成る電源装置において、前記セレクタ制御部は、前記ローレベル期間が前記マスク期間よりも短ければ前記PWMパルスを選択するように前記制御信号を生成し、前記ローレベル期間が前記マスク期間よりも長ければ前記オン時間固定パルスを選択するように前記制御信号を生成する構成(第4−3の構成)にするとよい。
また、第4−3の構成から成る電源装置において、前記マスク期間は、前記クロック信号のパルス周期よりも長い構成(第4−4の構成)にするとよい。
また、第4−4の構成から成る電源装置は、前記マスク期間を調整するカウンタ調整部をさらに有する構成(第4−5の構成)にするとよい。
また、第4−3の構成から成る電源装置において、前記PWMパルスが選択されるPWMモードから、前記オン時間固定パルスが選択されるオン時間固定モードに切り替わる際の第1閾値電流は、前記PWMモードにおいて前記出力トランジスタが1回オンする毎に負荷に供給される電荷と、軽負荷時における前記PWMモードのスイッチング周期とによって決定される構成(第4−6の構成)にするとよい。
また、第4−3の構成から成る電源装置において、前記オン時間固定パルスが選択されるオン時間固定モードから、前記PWMパルスが選択されるPWMモードに切り替わる際の第2閾値電流は、前記オン時間固定モードにおいて前記出力トランジスタがN回オンする毎に負荷に供給される電荷と、前記オン時間固定パルスの1パルス毎のオン時間とによって決定される構成(第4−7の構成)にするとよい。
また、第4−7の構成から成る電源装置において、前記第2閾値電流は、N×Q/Tmask(ただし、Nは前記オン時間固定パルスのオン回数、Qは前記出力トランジスタが1回オンする毎に前記負荷に供給される電荷、及びTmaskは前記マスク期間)で表される構成(第4−8の構成)にするとよい。
また、第4−5の構成から成る電源装置において、前記カウンタ調整部は、外部端子から入力される外部制御信号に応じて前記マスク期間を調整するマスク期間調整信号を生成し、これを前記セレクタ制御部に送出する構成(第4−9の構成)にするとよい。
また、本明細書中に開示されている車載機器は、第4−1〜第4−9いずれかの構成から成る電源装置を有する構成(第4−10の構成)とされている。
また、本明細書中に開示されている車両は、第4−10の構成から成る車載機器と、前記車載機器に電力を供給するバッテリを有する構成(第4−11の構成)とされている。
本発明によれば、低消費電力化を実現することのできる電源装置、並びに、これを用いた車載機器及び車両を提供することが可能となる。
<全体構成>
図1は、電源装置の全体構成を示すブロック図である。本構成例の電源装置1は、半導体装置10と、これに外部接続される種々のディスクリート部品(コイルL1、ダイオードD1、抵抗R1及びR2、並びに、キャパシタC1〜C6)と、を有する降圧型のスイッチングレギュレータである。
半導体装置10は、スイッチング制御回路100と、内部電源電圧生成回路200と、電源切替回路300と、を集積化したモノリシック半導体集積回路装置(例えば、車載用の電源IC)である。また、半導体装置10は、外部端子T1〜T10を有する。
半導体装置10の外部において、外部端子T1は、キャパシタC4を介して接地端に接続されている。外部端子T2は、出力電圧Voの印加端に接続されている。出力電圧Voの印加端と接地端との間には、キャパシタC2が接続されている。外部端子T3には、入力電圧Viの印加端(例えば車載バッテリの正極)に接続されている。入力電圧Viの印加端と接地端との間には、キャパシタC1が接続されている。外部端子T4は、コイルL1の第1端とダイオードD1のカソードに接続されている。コイルL1の第2端は、出力電圧Voの印加端に接続されている。ダイオードD1のアノードは、接地端に接続されている。なお、ダイオードD1は、同期整流トランジスタと置換することも可能である。外部端子T5は、キャパシタC3を介して入力電圧Viの印加端に接続されている。外部端子T6は、後述するパワーグッド信号S8の出力端子である。外部端子T7は、外部電源電圧Vcc(入力電圧Viから生成される定電圧)の入力端子である。なお、外部電源電圧Vccとして入力電圧Viの直接供給を受ける場合には、外部端子T7を省略することができる。外部端子T8は、キャパシタC5を介して接地端に接続されている。外部端子T9は、直列接続された抵抗R1及びキャパシタC6を介して接地端に接続されている。外部端子T10は、抵抗R2を介して接地端に接続されている。
スイッチング制御回路100は、出力トランジスタ101をオン/オフさせて入力電圧Viから出力電圧Voを生成する回路ブロックであり、出力トランジスタ101と、ドライバ102と、ローレベル電圧生成部103と、帰還電圧生成部104と、ソフトスタート電圧生成部105と、エラーアンプ106と、オシレータ107と、スロープ電圧生成部108と、コンパレータ109と、PWM[pulse width modulation]パルス生成部110と、オン時間固定パルス生成部111と、ワンショットパルス生成部112と、セレクタ制御部113と、セレクタ114と、コンパレータ115及び116と、ORゲート117と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ118と、を含む。
出力トランジスタ101は、外部端子T3と外部端子T4との間に接続されており、入力電圧Viから出力電圧Voを生成するためにオン/オフされる。なお、本構成例では、出力トランジスタ101としてPチャネル型MOS[metal oxide semiconductor]電界効果トランジスタを用いているが、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタを用いてもよいし、或いは、pnp型やnpn型のバイポーラトランジスタに置き換えてもよい。
ドライバ102は、セレクタ114から出力されるパルス信号S2に応じて出力トランジスタ101のゲート信号G1を生成し、出力トランジスタ101をオン/オフさせる。ドライバ102の上側電源端は、外部端子T3(入力電圧Viの印加端)に接続されている。ドライバ102の下側電源端は、ローレベル電圧生成部103の出力端(ローレベル電圧VLの印加端)に接続されている。従って、ゲート信号G1は、入力電圧Viとローレベル電圧VLとの間でパルス駆動される。なお、本構成例では、ドライバ102としてインバータが用いられている。従って、ゲート信号G1は、パルス信号S2がハイレベルであるときにローレベルとなり、パルス信号S2がローレベルであるときにハイレベルとなる。すなわち、出力トランジスタ101は、パルス信号S2がハイレベルであるときにオンとなり、パルス信号S2がローレベルであるときにオフとなる。
ローレベル電圧生成部103は、ドライバ102の下側電源端と外部端子T5との間に接続されており、入力電圧Viを所定値だけ低下させたローレベル電圧VLを生成する。ローレベル電圧生成部103を設けることにより、入力電圧Viが変動してもドライバ102の上側電源端と下側電源端との間に印加される駆動電圧(=Vi−VL)を適正範囲内に収めることができるので、ドライバ102の耐圧を不要に高めずに済む。
帰還電圧生成部104は、部端子T2と接地端との間に直列接続された抵抗Ra及びRbを含み、抵抗Ra及びRbの接続ノードから出力電圧Voに応じた帰還電圧Vfb(=出力電圧Voの分圧電圧)を出力する。
ソフトスタート電圧生成部105は、外部端子T8に接続されたキャパシタC5を充電することにより、電源装置1の起動時において緩やかに上昇するソフトスタート電圧Vssを生成する。また、ソフトスタート電圧生成部105は、ソフトスタート完了信号S3を生成する機能も備えている。
エラーアンプ106は、第1及び第2非反転入力端(+)に各々印加される所定の基準電圧Vref及びソフトスタート電圧Vssのいずれか低い方と、反転入力端(−)に印加される帰還電圧Vfbとの差分に応じた誤差電圧ERRを生成する。エラーアンプ106の出力端は、外部端子T9を介して位相補償用の抵抗R1及びC6に接続されている。
オシレータ107は、所定周波数のクロック信号CLKを生成する。クロック信号CLKの周波数は、外部端子T10に接続された抵抗R2を用いて調整することができる。
スロープ電圧生成部108は、クロック信号CLKに同期して鋸波形、三角波形、或いは、これに準じた波形のスロープ電圧SLPを生成する。
コンパレータ109は、反転入力端(−)に印加される誤差電圧ERRと、非反転入力端(+)に印加されるスロープ電圧SLPとを比較して比較信号S0を生成する。比較信号S0は、誤差電圧ERRがスロープ電圧SLPよりも高いときにローレベルとなり、誤差電圧ERRがスロープ電圧SLPよりも低いときにハイレベルとなる2値信号である。
PWMパルス生成部110は、クロック信号CLKと比較信号S0に基づいてPWMパルスS1aを生成する。より具体的に述べると、PWMパルス生成部110は、クロック信号CLKの立上りエッジをトリガとしてPWMパルスS1aをハイレベルにセットする一方、比較信号S0の立上りエッジをトリガとしてPWMパルスS1aをローレベルにリセットする。
オン時間固定パルス生成部111は、比較信号S0の立下りエッジをトリガとしてオン時間tonとオン回数Nが一定のオン時間固定パルスS1bを生成する。オン時間固定パルスS1bの生成動作は、クロック信号CLKに同期して行われる。
ワンショットパルス生成部112は、ソフトスタート完了信号S3を監視しており、ソフトスタート電圧Vssが所定の閾値電圧Vth4を上回った時点で一度だけオン時間tfixとオン回数Mが一定のワンショットパルスS1cを生成する。ワンショットパルスS1cの生成動作は、クロック信号CLKに同期して行われる。なお、図1では、オン時間固定パルス生成部111とワンショットパルス生成部112が独立ブロックとして描写されているが、ワンショットパルス生成部112は、オン時間固定パルス生成部111と回路の一部ないしは全部を共用することにより、回路規模を縮小することが可能である。
セレクタ制御部113は、負荷の重さ(出力電流Ioの大きさ)に応じてPWMパルスS1aとオン時間固定パルスS1bの一方を選択するようにセレクタ制御信号S4を生成する。より具体的に述べると、セレクタ制御部113は、比較信号S0のローレベル期間を計時するカウンタを含んでおり、比較信号S0が所定のマスク期間Tmaskに亘ってローレベルに維持されたか否かに応じてPWMパルスS1aとオン時間固定パルスS1bの一方を選択するようにセレクタ制御信号S4を生成する。すなわち、セレクタ制御部113は、比較信号S0がローレベルに維持されている期間を監視して負荷の重さ(出力電流Ioの大きさ)を判定する構成であると言える。
セレクタ114は、ソフトスタート完了信号S3とセレクタ制御信号S4に基づいて、PWMパルスS1a、オン時間固定パルスS1b、及び、ワンショットパルスS1cのいずれか一つを出力信号S2として選択する。
コンパレータ115は、反転入力端(−)に印加される帰還電圧Vfbと、非反転入力端(+)に印加される閾値電圧Vth1(<Vref)とを比較してショート保護信号S5を生成する。ショート保護信号S5は、帰還電圧Vfbが閾値電圧Vth1よりも高いときにローレベル(正常時の論理レベル)となり、帰還電圧Vfbが閾値電圧Vth1よりも低いときにハイレベル(異常時(例えば地絡発生時)の論理レベル)となる。
コンパレータ116は、非反転入力端(+)に印加される帰還電圧Vfbと、反転入力端(−)に印加される閾値電圧Vth2(>Vref)とを比較して過電圧保護信号S6を生成する。過電圧保護信号S6は、帰還電圧Vfbが閾値電圧Vth2よりも低いときにローレベル(正常時の論理レベル)となり、帰還電圧Vfbが閾値電圧Vth2よりも高いときにハイレベル(異常時(過電圧発生時)の論理レベル)となる。
ORゲート117は、第1入力端に印加されるショート保護信号S5と第2入力端に印加される過電圧保護信号S6との論理和演算を行うことにより、異常検出信号S7を生成する。異常検出信号S7は、ショート保護信号S5と過電圧保護信号S6の両方がローレベル(正常時の論理レベル)であるときにローレベルとなり、ショート保護信号S5と過電圧保護信号S6の少なくとも一方がハイレベル(異常時の論理レベル)であるときにハイレベルとなる。
Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ118は、外部端子T6からマイコンなどにパワーグッド信号S8を出力するためのオープンドレイン出力段を形成する。トランジスタ118のドレインは、外部端子T6に接続されている。なお、外部端子T6は、不図示の外部抵抗によりプルアップされている。トランジスタ118のソースは、接地端に接続されている。トランジスタ118のゲートは、ORゲート117の出力端に接続されている。トランジスタ118は、異常検出信号S7がローレベルであるときにオフとなり、異常検出信号S7がハイレベルであるときにオンとなる。従って、パワーグッド信号S8は異常検出信号S7がローレベルであるときにハイレベル(正常時の論理レベル)となり、異常検出信号S7がハイレベルであるときにローレベル(異常時の論理レベル)となる。
内部電源電圧生成回路200は、外部端子T7に印加される外部電源電圧Vcc(例えば入力電圧Vi)から内部電源電圧Vregを生成する回路ブロックであり、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ201と、オペアンプ202と、プリレギュレータ部203と、基準電圧生成部204と、抵抗205及び206(抵抗値:R205、R206)と、を含む。
トランジスタ201のドレインは、外部端子T7に接続されている。トランジスタ201のソースは、外部端子T7に接続される一方、直列接続された抵抗205及び206を介して接地端にも接続されている。トランジスタ201のゲートは、オペアンプ202の出力端に接続されている。オペアンプ202の非反転入力端(+)は、基準電圧生成部204の出力端に接続されている。オペアンプ202の反転入力端(−)は、抵抗205と抵抗206との接続ノード(分圧電圧Vreg’の印加端)に接続されている。プリレギュレータ部203は、外部電源電圧Vccから内部電圧(基準電圧生成部204の駆動電圧)を生成する。基準電圧生成部204は、プリレギュレータ部203から供給される内部電圧を受けて動作し、一定の基準電圧VREF(例えば温度特性がフラットなバンドギャップ電圧)を生成する。
上記構成から成る内部電源電圧生成回路200において、オペアンプ202は、非反転入力端(+)に印加される基準電圧VREFと、反転入力端(−)に印加される分圧電圧Vreg’とが一致するようにトランジスタ201の導通度を制御する。従って、内部電源電圧生成回路200で生成される内部電源電圧Vregは、次の(5)式で表される。
電源切替回路300は、スイッチング制御回路100の駆動電圧Vsupとして内部電源電圧Vregと出力電圧Voのいずれを供給するかを切り替える回路ブロックであり、スイッチ301及び302を含む。
スイッチ301は、内部電源電圧Vregの印加端と駆動電圧Vsupの印加端との間を導通/遮断するスイッチ素子である。スイッチ301としては、例えば、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタを用いることができる。
スイッチ302は、出力電圧Voの印加端と駆動電圧Vsupの印加端との間を導通/遮断するスイッチ素子である。スイッチ302としては、例えば、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタを用いることができる。
上記構成から成る電源装置1では、出力トランジスタ101のオン/オフが繰り返されることにより、コイルL1における磁気エネルギーの蓄積と放出が繰り返されて、入力電圧Viを降圧した出力電圧Voが生成される。なお、外部端子T4に現れるスイッチ電圧Vswは、出力トランジスタ101のオン時にハイレベル(ほぼ入力電圧Vi)となり、出力トランジスタ101のオフ時にローレベル(ほぼ接地電圧GND)となるパルス電圧であり、出力電圧Voはスイッチ電圧Vswを平滑した電圧に相当する。
なお、図1では明示されていないが、半導体装置10には、上記回路ブロックのほか、各種の保護回路(サーマルシャットダウン回路、過電流保護回路、減電圧保護回路など)も集積化されている。
<PWMモード(重負荷モード)>
図2は、PWMモードの一動作例を示すタイミングチャートであり、上から順番、クロック信号CLK、スロープ電圧SLP、誤差電圧ERR、PWMパルスS1a(出力信号S2)、スイッチ電圧Vsw、及び、コイル電流ILが描写されている。
負荷が重い(出力電流Ioが大きい)場合、電源装置1はPWMモードとなる。PWMモードでは、セレクタ114の出力信号S2としてPWMパルスS1aが選択され、ドライバ102はこのパルス信号S2に応じて出力トランジスタ101をオン/オフさせる。出力トランジスタ101のオン期間には、スイッチ電圧Vswがハイレベル(ほぼ入力電圧Vi)となってコイル電流ILが増大する。一方、出力トランジスタ101のオフ期間には、スイッチ電圧Vswがローレベル(ほぼ接地電圧GND)となってコイル電流ILが減少する。
PWMパルスS1aは、先に述べたように、クロック信号CLKの立上りエッジをトリガとしてハイレベルとなり、比較信号S0の立上りエッジをトリガとしてローレベルとなる。クロック信号CLKは、一定のスイッチング周期TPWMでハイレベルとなり、比較信号S0は、誤差電圧ERRがスロープ電圧SLPよりも低くなった時点でハイレベルとなる。従って、出力トランジスタ101のオンデューティ(スイッチング周期TPWMに占めるPWMパルスS1aのハイレベル期間の割合)は、誤差電圧ERRが低いほど短くなり、誤差電圧ERRが高いほど長くなる。
上記のようにPWMパルスS1aに応じて出力トランジスタ101のオン/オフ制御を行うPWMモードでは、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefと一致するように出力帰還制御が掛かり、出力電圧Voが所望の目標値に維持される。
<オン時間固定モード(軽負荷モード)>
図3は、オン時間固定モードの一動作例を示すタイミングチャートであり、上から順にクロック信号CLK、スロープ電圧SLP、誤差電圧ERR、オン時間固定パルスS1b(出力信号S2)、スイッチ電圧Vsw、及び、コイル電流ILが描写されている。
負荷が軽い(出力電流Ioが小さい)場合、電源装置1は、軽負荷時における内部消費電流Iccを抑えるために、PWMモードからオン時間固定モードに切り替わる。オン時間固定モードでは、セレクタ114の出力信号S2としてオン時間固定パルスS1bが選択され、ドライバ102はこのパルス信号S2に応じて出力トランジスタ101をオン/オフさせる。
オン時間固定パルス生成部111は、比較信号S0のパルスエッジ(例えば立下りエッジ)が検出されると、オン時間tonとオン回数Nが一定のオン時間固定パルスS1bを生成した後、次に比較信号S0のパルスエッジが検出されるまで、オン時間固定パルスS1bの生成を停止する。すなわち、オン時間固定パルス生成部111は、コイルL1に供給された電荷Qが負荷への出力電流Ioとして全て消費される毎に、オン時間固定パルスS1bを生成する。
このように、オン時間固定モードにおいて、スイッチング制御回路100は、オン時間固定パルスS1bを生成して出力トランジスタ101をオン/オフさせることによりコイルL1に電荷を供給する動作期間Tonと、オン時間固定パルスS1bの生成を停止する静止期間Toffとを交互に繰り返すことによって、入力電圧Viから出力電圧Voを生成する。
なお、動作期間Tonにおける内部消費電流Iccの電流値をIonとし、静止期間Toffにおける内部消費電流Iccの電流値をIoff(<Ion)とした場合、オン時間固定パルスS1bの周期T(=Ton+Toff)における内部消費電流Iccの平均値は、次の(6)式で算出することができる。
上記の(6)式において、Ion、Ioff、Tonが固定である場合、周期Tに占める動作期間Tonの割合が小さいほど内部消費電流Iccは小さくなり、逆に、周期Tに占める動作期間Tonの割合が大きいほど内部消費電流Iccは大きくなる。
このオン時間固定モードでは、トランジスタ101が1回オンする毎に電荷Qが負荷に供給されるので、トランジスタ101がN回オンされた場合、負荷に供給される電荷の総量は(N×Q)となる。
また、コイルL1のインダクタンスをLとし、オン時間固定パルスS1bのオン時間をtonとし、オフ時間をtoffとした場合、コイル電流ILのピーク値ILpは、次の(7a)式で表すことができる。従って、トランジスタ101が1回オンする毎に負荷に供給される電荷Qは、次の(7b)式で算出することができる。
上記の(7b)式から分かるように、電荷Qはオン時間tonの2乗に比例するので、オン時間tonを固定すれば、負荷に供給される電荷Qが決定し、周期Tが決定する。以上をまとめると、周期Tと電荷Qとの間には、次の(8)式が成立する。
上記の(8)式から、オン時間固定パルスS1bの周期Tは、オン時間ton或いはオン回数Nを大きく設定するほど長くなる。従って、オン時間ton或いはオン回数Nを適切に設定することにより、周期Tに占める動作期間Tonの割合を小さく抑えて、内部消費電流Iccを低減することが可能となる。
ところで、出力電圧Voのリップル成分ΔVppとオン時間固定パルスS1bの周期Tとの間には、次の(9)式が成立する。
上記(9)式から分かるように、リップル成分ΔVppは周期Tの関数となっているので、内部消費電流Iccを削減しようとして周期Tを長く設定すると、リップル成分ΔVppが大きくなる。特に、入力電圧Viが高いときにはその関係が顕著に表れる。
このように、内部消費電流Iccの削減とリップル成分ΔVppの抑制は、トレードオフの関係にあるが、いずれを優先すべきかについては、電源装置1の用途に応じて異なるので、一概に決めることはできない。
そこで、本構成例のスイッチング制御回路100には、オン時間固定パルスS1bの調整手段ないしは無効手段が設けられている。図4は、オン時間固定パルス調整部とオン時間固定パルス無効部の一構成例を示すブロック図である。
オン時間固定パルス調整部119は、オン時間固定パルスS1bのオン時間tonとオン回数Nを調整するための手段としてスイッチング制御回路100に設けられたロジック回路である。より具体的に述べると、オン時間固定パルス調整部119は、半導体装置10に設けられた外部端子T11及びT12に各々入力される外部制御信号S9及びS10に応じて、オン時間調整信号S11及びオン回数調整信号S12を各々生成し、これをオン時間固定パルス生成部111に送出する。
例えば、オン時間固定パルス調整部119は、外部制御信号S9がハイレベルであるときにはオン時間tonを第1オン時間ton1とする一方、外部制御信号S9がローレベルであるときにはオン時間tonを第2オン時間ton2とするように、オン時間調整信号S11を生成する。また、オン時間固定パルス調整部119は、外部制御信号S10がハイレベルであるときにはオン回数Nを第1オン回数N1とする一方、外部制御信号S10がローレベルであるときにはオン回数Nを第2オン回数N2とするように、オン回数調整信号S12を生成する。
本構成例の電源装置1であれば、半導体装置10の外部端子T11及びT12を用いることにより、オン時間固定パルスS1bのオン時間ton及びオン回数Nを任意に変更することができるので、電源装置1の用途に応じて最適な設定を行うことが可能となる。
オン時間固定パルス無効部120は、非反転入力端(+)に印加される分圧電圧Vi2(入力電圧Viの分圧電圧)と、反転入力端(−)に印加される閾値電圧Vth3とを比較してオン時間固定パルス無効信号S13を生成し、これをセレクタ114に送出するコンパレータである。分圧電圧Vi2は、入力電圧Viの印加端と接地端との間に直列接続された抵抗R3及びR4から成る分圧回路によって生成され、半導体装置10に設けられた外部端子T13を介してオン時間固定パルス無効部120に印加されている。
オン時間固定パルス無効信号S13は、分圧電圧Vi2が閾値電圧Vth3よりも低いときにローレベルとなり、分圧電圧Vi2が閾値電圧Vth3よりも高いときにハイレベルとなる。
オン時間固定パルス無効信号S13がローレベルであるときには、セレクタ制御信号S4に応じてPWMパルスS1aとオン時間固定パルスS1bのいずれかを選択するようにセレクタ114が制御される。一方、オン時間固定パルス無効信号S13がハイレベルであるときには、セレクタ制御信号S4に依ることなく、PWMパルスS1aを選択するようにセレクタ114が制御される。すなわち、分圧電圧Vi2(延いては入力電圧Vi)が閾値電圧Vth3よりも高いときには、負荷の重さに依ることなくPWMパルスS1aを選択するようにセレクタ114が制御される。
本構成例の電源装置1であれば、例えば、軽負荷時において入力電圧Viが所定値よりも低いときには、内部消費電流Iccの削減を優先する一方、軽負荷時において入力電圧Viが所定値よりも高いときにはリップル成分ΔVppの抑制を優先させるといった使い方を実現することができる。
なお、オン時間固定パルスS1bの有効/無効が切り替わる入力電圧レベルについては抵抗R3及びR4によって任意に調整することが可能である。
<電源切替回路>
図5は、電源切替回路300の一構成例を示すブロック図である。本構成例の電源切替回路300は、先述のスイッチ301及び302のほかに、インバータ303を含む。スイッチング制御回路100から電源切替回路300に入力される切替制御信号S14は、スイッチ301に制御端に直接入力される一方、インバータ303を介してスイッチ302の制御端に反転入力されている。切替制御信号S14がローレベルであるときには、スイッチ301がオンとなり、スイッチ302がオフとなる。従って、電源切替回路300は、スイッチング制御回路100の駆動電圧Vsupとして内部電源電圧Vregを選択する状態となる。一方、切替制御信号S14がハイレベルであるときには、スイッチ301がオフとなり、スイッチ302がオンとなる。従って、電源切替回路300は、スイッチング制御回路100の駆動電圧Vsupとして出力電圧Voを選択する状態となる。
スイッチング制御回路100は、切替制御信号S14を生成する手段として、NORゲート121を含む。NORゲート121は、ソフトスタート完了信号S3と、論理和信号(異常検出信号)S7と、電源装置1の強制停止信号SDN(サーマルシャットダウン信号など)の否定論理和演算を行うことにより、切替制御信号S14を生成する。従って、切替制御信号S14は、入力される3信号の少なくとも一つがハイレベルであればローレベルとなり、入力される3信号全てがハイレベルであるときにのみローレベルとなる。
ソフトスタート完了信号S3は、ソフトスタート電圧生成回路105で生成される。ソフトスタート電圧生成回路105は、電流源105aと、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ105bと、コンパレータ105cと、を含む。電流源105aは、電源端と外部端子T8との間に接続されており、外部端子T8に外付けされたキャパシタC5の充電電流を生成する。トランジスタ105bは、外部端子T8と接地端との間に接続されており、強制停止信号SDNがハイレベル(強制停止時の論理レベル)となったときにオンしてソフトスタート電圧Vss(キャパシタC5の充電電圧)を放電する。コンパレータ105cは、反転入力端(−)に印加されるソフトスタート電圧Vssと、非反転入力端(+)に印加される閾値電圧Vth4とを比較してソフトスタート完了信号S3を生成する。ソフトスタート完了信号S3は、ソフトスタート電圧Vssが閾値電圧Vth4よりも低いとき(ソフトスタート動作が完了していないとき)にハイレベルとなり、ソフトスタート電圧Vssが閾値電圧Vth4よりも高いとき(ソフトスタート動作が完了しているとき)にローレベルとなる。
異常検出信号S7は、ショート保護信号S5と過電圧保護信号S6との論理和演算により生成される。従って、異常検出信号S7は、入力される2信号の少なくとも一方がハイレベル(異常時の論理レベル)であればハイレベルとなり、入力される2信号の両方がローレベル(正常時の論理レベル)であるときにのみローレベルとなる。
強制停止信号SDNは、電源装置1を強制停止状態とするときにハイレベルとなり、電源装置1の強制停止状態を解除するときにローレベルとなる。
従って、切替制御信号S14は、ソフトスタート動作が完了しており(S3=L)、半導体装置10の異常が検出されておらず(S7=L)、かつ、電源装置1の強制停止状態が解除されているとき(SDN=L)にのみハイレベルとなり、その余の場合にはローレベルとなる。
すなわち、電源切替回路300では、ソフトスタート電圧Vssが所定の閾値電圧Vth4を上回っているか否か、帰還電圧Vfb(延いては出力電圧Vo)が正常範囲内(Vth1<Vfb<Vth2)に収まっているか否か、及び、電源装置1の強制停止状態が解除されているか否かの監視結果に基づいて電源切替制御が行われる。
具体的に述べると、電源切替回路300は、ソフトスタート動作が完了しており(S3=L)、半導体装置10の異常が検出されておらず(S7=L)、かつ、電源装置1の強制停止状態が解除されているとき(SDN=L)にのみ、スイッチング制御回路100の駆動電圧Vsupとして出力電圧Voを選択し、その余の場合にはスイッチング制御回路100の駆動電圧Vsupとして内部電源電圧Vregを選択する。
図6は、電源切替動作の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、基準電圧Vref、ソフトスタート電圧Vss、出力電圧Vo、ソフトスタート完了信号S3、異常検出信号S7、強制停止信号SDN、切替制御信号S14、及び、駆動電圧Vsupが描写されている。なお、図6の横軸に示した時間は、時刻t1〜t11の順に進んでいくものとする。
図6で示した通り、電源装置1の起動時には、ソフトスタート電圧Vssが閾値電圧Vth4に上昇するまでの間、スイッチング制御回路100の駆動電圧Vsupとして内部電源電圧Vregが供給される(時刻t1〜t4を参照)。このような電源切替制御を行うことにより、電源装置1の起動時に出力電圧Voを問題なく立ち上げることができる。
その後、ソフトスタート電圧Vssが閾値電圧Vth4を上回ると、スイッチング制御回路100の駆動電圧Vsupとして出力電圧Voが供給される(時刻t4〜t5、及び時刻t6〜t7を参照)。このような電源切替制御を行うことにより、出力側からスイッチング制御回路100に電荷を供給することができるようになるので、入力側からスイッチング制御回路100への電荷供給(すなわち入力電流)を削減することが可能となる。
ただし、ソフトスタート動作の完了後であっても、出力電圧Voが正常範囲から外れた場合(時刻t5〜t6を参照)や、電源装置1が強制停止状態に移行された場合(時刻t7〜t8を参照)には、電源装置1の起動時と同様、スイッチング制御回路100の駆動電圧Vsupとして内部電源電圧Vregが供給される。このような電源切替制御を行うことにより、出力電圧Voの変動時や電源装置1の強制停止時において、スイッチング制御回路100が動作不能状態に陥らないように、スイッチング制御回路100の駆動電圧Vsupを確保することが可能となる。
上記で説明したように、本構成例の電源装置1において、スイッチング制御回路100に出力側から電荷が供給されるのは、出力電圧Voが安定しているときのみである。例えば、車載用の電源装置1には、通常動作時における低消費電力化が求められているので、上記の電源切替シーケンスによって要求を満たすことが可能となる。
また、切替制御信号S14は、電源装置1に既存の内部信号(ソフトスタート完了信号S3、異常検出信号S7、及び、強制停止信号SDN)から生成されるので、回路規模を不要に増大することもない。
なお、出力電圧Voの帰還供給に関する上記の技術思想については、スイッチングレギュレータに限らず、いかなる方式の電源装置にも適用することが可能である。
<モード切替動作>
図7は、負荷に応じてスイッチ電圧Vswの挙動が変化する様子を示す図であり、左から右へ向かうほど負荷が小さくなるものとする。
電源装置1がPWMモードで駆動している状態(電源装置1の起動時、または、重負荷状態)において、負荷を軽くしていくとスイッチ電圧Vswの挙動は、一般に、まず連続モード(A)から不連続モード(B)へと切り替わる。ただし、連続モード(A)におけるスイッチング周期Taと、不連続モード(B)における周期Tbは、いずれも半導体装置10の内部で決定されるスイッチング周期TPWM(=クロック信号CLKの周期)に維持されている。
さらに負荷を軽くしていくと、PWMパルスS1aのパルス抜けが生じてスイッチング周期TPWMを維持することができなくなり、スイッチ電圧Vswの挙動は、間欠発振モード(C)に移行する(Tc>TPWM)。このとき、電源装置1の動作モードは、後述する負荷判定動作に従い、PWMモードからオン時間固定モード(D)に切り替わる。
先にも述べたように、オン時間固定モードのスイッチング周期Td(図3の周期Tに相当)は、軽負荷時においてPWMモードのスイッチング周期TPWMよりも十分大きくなるように設計されているので、オン時間固定パルスS1bは、N発のパルスが生成された後、少なくともスイッチング周期TPWMの一周期分に亘ってその生成動作がオフとされる。このように、オン時間固定モードの大きな特徴は、オン時間固定パルスS1bを生成する動作期間Tonと、オン時間固定パルスS1bの生成を停止する静止期間Toffとを交互に繰り返すことにより、一周期当たりの内部消費電流Icc(平均値)を低減して軽負荷時の電力効率ξを改善する点にある。
なお、PWMモードにおいてトランジスタ101が1回オンする毎に負荷に供給される電荷をQ1とし、PWMパルスS1aの最小オン時間(最小パルス幅)をtminとした場合、PWMモードからオン時間固定モードに切り替わる際の閾値電流Ith1は、一般に、次の(10)式から求めることができる。
また、オン時間固定モードからPWMモードへの切り替わりについても、上記と同様に理解することができる。なお、オン時間固定モードにおいてトランジスタ101がN回オンする毎に負荷に供給される電荷をQ2とし、オン時間固定パルスS1bの1パルス毎のオン期間をtonとした場合、オン時間固定モードからPWMモードに切り替わる際の閾値電流Ith2は、一般に、次の(11)式から求めることができる。
上記の切替負荷ポイント(Ith1、Ith2)は極めて重要である。オン時間固定モードは、オン時間tonとオン回数Nが固定であるので、閾値電流Ith2を設計しやすく、また、超軽負荷での電力効率ξを調整しやすい。
しかし、軽負荷状態での電力効率ξを高めるために、オン時間tonやオン回数Nを大きく設定すると、軽負荷から重負荷に切り替わる閾値電流Ith2が大きくなり、本来ならばPWMモードで動作させたい領域までオン時間固定モードで動作させてしまうという問題が生じる。以下では、このような問題が生じる原理について、より詳細に説明する。
先出の図3で示したように、オン時間固定モードでは、オン時間tonが固定されたオン時間固定パルスS1bを用いて出力トランジスタ101をオン/オフさせることにより負荷に電荷を供給する。なお、先出の(7)式でも示したように、オン時間固定モードにおいて、トランジスタ101が1回オンする毎に負荷に供給される電荷Qは、入力電圧Vi、出力電圧Vo、及び、オン時間tonの関数となる。
このオン時間固定パルスS1bをN発だけ生成した場合、負荷に供給される総電荷量は(N×Q)となり、この電荷が周期Tに亘って負荷に流れる出力電流Ioとして消費される。この事実を鑑みると、オン時間固定モードにおけるスイッチング周期Tは、次の(12)式で算出することができる。
ここで、仮に、オン時間固定モードのスイッチング周期TがPWMモードのスイッチング周期TPWMと一致するまで短くならない限り、オン時間固定モードからPWMモードへの切替を行わない構成とした場合、オン時間固定モードからPWMモードに切り替わる際の閾値電流Ith2は、次の(13)式で求められる。
例えば、Vi=12V、Vo=5V、ton=600ns、N=4、L=10μH、及び、f=500kHz(TPWM=2μs)である場合、連続モード(A)と不連続モード(B)との境目となる出力電流Ioが約210mAであるのに対して、閾値電流Ith2が約600mAとなる。すなわち、PWMモードでの動作が十分に可能な負荷領域であるにも関わらず、オン時間固定モードでの動作が継続されてしまう。
そこで、本構成例の電源装置1は、オン時間固定モードのスイッチング周期Tが所定のマスク期間Tmask(>TPWM)と一致したときに、オン時間固定モードからPWMモードへの切替を行う構成とされている。
より具体的述べると、上記のモード切替動作を実現するために、セレクタ制御部113は、比較信号S0のローレベル期間がマスク期間Tmaskよりも短ければPWMパルスS1aを選択するようにセレクタ制御信号S4を生成し、比較信号S0のローレベル期間がマスク期間Tmaskよりも長ければオン時間固定パルスS1bを選択するようにセレクタ制御信号S4を生成する構成とされている。
このような構成を採用した場合、オン時間固定モードからPWMモードに切り替わる際の閾値電流Ith2は、次の(14)式で求められる。
例えば、Vi=12V、Vo=5V、ton=600ns、N=4、L=10μH、及び、Tmask=32μsである場合、閾値電流Ith2は約37mAとなる。このように、本構成例の電源装置1であれば、軽負荷状態での電力効率ξを高めるために、オン時間tonやオン回数Nを大きく設定した場合であっても、閾値電流Ith2を軽負荷側にシフトさせることができるので、オン時間固定モードからPWMモードへの切替を遅滞なく適切に実行することが可能となる。
また、本構成例の電源装置1であれば、比較信号S0のローレベル期間がマスク期間Tmaskに亘って継続しない限り、PWMモードからオン時間固定モードへの切替が行われないので、負荷変動時やノイズ重畳時における動作モードの意図しない切り替わりを防止することも可能となる。
<カウンタ調整部>
ところで、負荷変動時間やノイズ重畳時間は、電源装置1の用途や負荷によって異なるので、マスク期間Tmaskを一概に決めることはできない。そこで、本構成例のスイッチング制御回路100には、カウンタ調整部が設けられている。図8は、カウンタ調整部の一構成例を示すブロック図である。
カウンタ調整部122は、マスク期間Tmaskを調整するための手段としてスイッチング制御回路100に設けられたロジック回路である。具体的に述べると、カウンタ調整部122は、半導体装置10に設けられた外部端子T14に入力される外部制御信号S15に応じてマスク期間調整信号S16を生成しこれをセレクタ制御部113に送出する。
例えば、カウンタ調整部122は、外部制御信号S15がハイレベルであるときにはマスク期間Tmaskを第1マスク期間Tmask1とする一方、外部制御信号S15がローレベルであるときにはマスク期間Tmaskを第2マスク期間Tmask2とするように、マスク期間調整信号S16を生成する。
本構成例の電源装置1であれば、半導体装置10の外部端子T14を用いることによりマスク期間Tmaskを任意に変更することができるので、電源装置1の用途や負荷に応じてマスク期間Tmaskの最適な設定を行うことが可能となる。また、マスク期間Tmaskの調整機能を流用すれば、PWMモードとオン時間固定モードとの切り替わりポイントとなる閾値電流Ith1及びIth2を任意に調整することも可能となる。
<ワンショットモード>
先出の図7で示したように、電源装置1がPWMモードで動作している状態(電源装置1の起動時、または、重負荷状態)において、負荷を軽くしていくと、スイッチ電圧Vswの挙動は、連続モード(A)から不連続モード(B)に移行する。このとき、PWMパルスS1aのオン時間(パルス幅)は、半導体装置10の内部で定まる最小オン時間(最小パルス幅)tminとなる。
さらに、負荷が軽くなると、スイッチ電圧Vswの挙動は、間欠発振モード(C)に移行し、比較信号S0のハイレベル期間が所定のマスク期間Tmaskに亘って維持された時点でオン時間固定モード(D)に移行する。
つまり、PWMモードからオン時間固定モードに切り替わる際の閾値電流Ith1は、PWMパルスS1aの最小オン時間tminとマスク期間Tmaskに応じて、次の(15)式から求めることができる。
上記の(15)式から分かるように、PWMパルスS1aの最小オン時間tminを小さく設定するほど、トランジスタ101が1回オンする毎に負荷に供給される電荷Qも小さくなり、延いては、閾値電流Ith1がより軽負荷側にシフトするので、PWMモードからオン時間固定モードへの切替タイミングが遅れて、軽負荷時の電力効率ξを高めることができなくなる。特に、本構成例の電源装置1では、セレクタ制御部113において、PWMパルスS1aのスイッチング周波数TPWMよりも長いマスク期間Tmaskが設定されているので、閾値電流Ith1はより大きく軽負荷側にシフトする。
しかしながら、電源装置1の起動時において、ソフトスタート動作を有効に機能させるためには、PWMパルスS1aの最小オン時間tminを十分に小さく設定しておく必要があり、これを大きく設定し過ぎるとオーバーシュートなどの原因となってしまう。
そこで、本構成例の電源装置1は、ソフトスタート電圧Vssが所定の閾値電圧Vth4を上回った時点で一度だけオン時間tfix(>tmin)とオン回数Mが一定のワンショットパルスS1cを生成するワンショットパルス生成部112と、ソフトスタート電圧Vssが閾値電圧Vth4を上回った時点でセレクタ制御信号S4に依ることなくワンショットパルス1cを選択するセレクタ114と、を有する構成とされている。
図9は、ワンショットパルス生成動作の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、基準電圧Vref、ソフトスタート電圧Vss、出力電圧Vo、ソフトスタート完了信号S3、及び、ワンショットパルスS1c(出力信号S2)が描写されている。
図9で示すように、電源装置1が起動すると、ソフトスタート電圧Vssが緩やかに上昇を開始し、これに追従するように出力電圧Voが上昇していく。このとき、電源装置1はPWMモードで動作するが、PWMパルスS1a(図9では不図示)の最小オン時間tminを十分に小さく設定しておくことにより、ソフトスタート動作を有効に機能させてオーバーシュートなどを抑制することが可能となる。
その後、ソフトスタート電圧Vssが閾値電圧Vth4を上回ると、ソフトスタート完了信号S3がローレベルに立ち下がる。ソフトスタート完了信号S3は、電源装置1の起動時に種々の内部信号をマスク(無効化)するための既存信号である。
ワンショットパルス生成部112は、上記のソフトスタート完了信号S3を監視しており、ソフトスタート完了信号S3の立下りエッジをトリガとして、オン時間tfixとオン回数Mが一定のワンショットパルスS1cを生成する。なお、ワンショットパルスS1cのオン時間tfix及びオン回数Mは、オン時間固定パルスS1bのオン時間ton及びオン回数Nと同じ設定値であってもよいし、異なる設定値であってもよい。
また、セレクタ114も、上記のソフトスタート完了信号S3を監視しており、ソフトスタート電圧Vssが閾値電圧Vth4を上回った時点で、セレクタ制御信号S4に依ることなくワンショットパルスS1cを選択する。
その結果、電源装置1の起動時には、ソフトスタート動作が完了してから一度だけワンショットパルスS1cによる出力トランジスタ101のオン/オフ制御が行われる。このとき、PWMモードからオン時間固定モードに切り替わる際の閾値電流Ith1’は、ワンショットパルスS1cのオン時間tfix及びオン回数Mとマスク期間Tmaskに応じて、次の(16)式から求めることができる。
上記の(16)式から分かるように、ワンショットモードでは、ワンショットパルスS1cのオン時間tfixとオン回数Mを適切に設定することにより、ソフトスタート動作中のPWMモードに比べて、負荷に供給される電荷Q’を増加させることができるので、PWMモードからオン時間固定モードに切り替わる際の閾値電流Ith1’を重負荷側にシフトさせることが可能となる。
例えば、Vi=12V、Vo=5V、L=10μH、tmin=150ns、及び、Tmask=50μsである場合、閾値電流Ith1は約330μAとなる。一方、上記と同条件下でtfix=400ns、及び、M=2であるワンショットパルスS1cを生成すると、閾値電流Ith1’は約5mAとなる。このように、本構成例の電源装置1であれば、PWMモードからオン時間固定モードへの切替タイミングを早めて、軽負荷時の電力効率ξを高めることが可能となる。
<車両>
図10は、車載機器を搭載した車両の一構成例を示す外観図である。本構成例の車両Xは、車載機器X11〜X17と、これらの車載機器X11〜X17に電力を供給するバッテリ(不図示)と、を搭載している。
車載機器X11は、エンジンに関連する制御(インジェクション制御、電子スロットル制御、アイドリング制御、酸素センサヒータ制御、及び、オートクルーズ制御など)を行うエンジンコントロールユニットである。
車載機器X12は、HID[high intensity discharged lamp]やDRL[daytime running lamp]などの点消灯制御を行うランプコントロールユニットである。
車載機器X13は、トランスミッションに関連する制御を行うトランスミッションコントロールユニットである。
車載機器X14は、車両Xの運動に関連する制御(ABS[anti-lock brake system]制御、EPS[electric power Steering]制御、電子サスペンション制御など)を行うボディコントロールユニットである。
車載機器X15は、ドアロックや防犯アラームなどの駆動制御を行うセキュリティコントロールユニットである。
車載機器X16は、ワイパー、電動ドアミラー、パワーウィンドウ、電動サンルーフ、電動シート、及び、エアコンなど、標準装備品やメーカーオプション品として、工場出荷段階で車両Xに組み込まれている電子機器である。
車載機器X17は、車載A/V[audio/visual]機器、カーナビゲーションシステム、及び、ETC[Electronic Toll Collection System]など、ユーザの任意で車両Xに装着される電子機器である。
なお、先に説明した電源装置1は、車載機器X11〜X17のいずれにも組み込むことが可能である。
<その他の変形例>
なお、上記の実施形態では、車載用の電源装置に本発明を適用した構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、他の用途に供される電源装置にも広く適用することが可能である。
また、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。例えば、バイポーラトランジスタとMOS電界効果トランジスタとの相互置換や、各種信号の論理レベル反転は任意である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。