JP2014002286A - 偏光解消素子及びその素子を用いた光学機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械的な方法を用いなくてもスペックルを解消できる偏光解消素子を提供する。
【解決手段】使用する光の波長に対して光透過性をもつ基材3の光入射面3a及び光出射面3bの表面に、光透過面3a,3bが領域分割された領域A1〜A8に対して領域ごとで異なった膜厚をもつ光位相差発生膜5a,5bが形成されている。図1(A)に示されるように、使用する光の波長について、光入射面3a側の光の位相差は揃っている。その光は、偏光解消素子1を透過する際、光位相差発生膜5a、基材3及び光位相差発生膜5bからなる誘電体多層膜で光の位相差が変化させられる。図1(C)に示されるように、偏光解消素子1を透過した光出射面3b側の光の位相差は領域A1〜A8で互いに異なっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学機器に用いられる偏光解消素子とその素子を用いた光学機器に関するものである。
偏光解消素子は、レーザプリンタなどで問題となる偏光を解消させるための光学部品として用いられたり、光学露光装置や光学測定機などの光学機器の光学系のスペックルの発生を低減させるスペックル低減素子として用いられたりしている。
レーザからの光をマイクロレンズアレイやフライアイレンズを通すことによってひとつの光束を複数の光束に分割する際、分割された光は偏光方向が同一方向に揃っており、光学系の中で特定の条件が整うと、分割された光がそれぞれ迷光の原因となって光学系の途中で光が強めあう点(スペックル)が生じる場合がある。スペックルは、いろいろな光学系で発生することが知られており、これを解消する方法が種々提案されているが、有効な解決策は確立されていない。
スペックルを解消する方法のひとつとしては、レーザ光の可干渉距離よりも光の光路長変化量が大きい状態になっていることが望ましい。光路長が不揃いであると、光の干渉が起こりにくいからである。
スペックルを解消する手法として、例えば非特許文献1に8つの方法が開示されている。
特開平7−230159号公報 特表平8−504515号公報 WO2004/008196号 特開2007−263593号公報 特開2005−279761号公報 特開2004−341453号公報
黒田和男、山本和久、栗村直 編,「解説 レーザーディスプレイ−基礎から応用まで−」,株式会社オプトロニクス社,2010年2月8日,p.184
非特許文献1に開示されている8つのスペックル解消方法は、レーザの干渉を低減するための機械的な方法である。機械的な方法は、装置寸法やコストが大きくなる。
本発明の第1の目的は、機械的な方法を用いなくてもスペックルを解消できる偏光解消素子を提供することである。
本発明の第2の目的は、そのような偏光解消素子を光学系に備えることによりスペックルを解消した光学機器を提供することである。
上記課題を達成するために、本発明は、光透過面及び光反射面の少なくとも一方の表面に、光透過面又は光反射面が領域分割された領域に対して領域ごとで異なった膜厚をもつ光位相差発生膜を形成し、光位相差発生膜を透過する光について領域ごとに光路長差をもたせるようにしたものである。
すなわち、本発明の偏光解消素子の第1の形態は、使用する光の波長に対して光透過性をもつ基材の光透過面である光入射面及び光出射面の一方又は両方の表面に、上記光透過面が領域分割された領域に対して領域ごとで異なった膜厚をもつ光位相差発生膜が形成されていることを特徴とする。
本発明の偏光解消素子の第2の形態は、使用する光の波長に対して光反射性をもつ光反射面の表面に、上記光反射面が領域分割された領域に対して領域ごとで異なった膜厚をもつ光位相差発生膜が形成されていることを特徴とする。
本発明の偏光解消素子の第2の形態において、複数の上記光反射面を備え、それらの光反射面のうちの1つ又は複数に上記光位相差発生膜が形成されている例を挙げることができる。複数の光反射面を備えた構造として、例えば2つの光反射面をもつペンタミラーや、3つの光反射面をもつコーナーキューブミラーなどが挙げられる。ただし、複数の光反射面を備えた構造はこれらに限定されない。
本発明の偏光解消素子の第3の形態は、光入射面、光反射面及び光出射面をもち、使用する光の波長に対して光透過性をもつ基材を備え、上記光反射面の表面に、上記光反射面が領域分割された領域に対して領域ごとで異なった膜厚をもつ光位相差発生膜と、上記光位相差発生膜を透過した光を反射するために上記光位相差発生膜の表面に形成された光反射膜とが形成されていることを特徴とする。
本発明の偏光解消素子の第3の形態において、上記基材は複数の光反射面を備えたプリズムであって、それらの光反射面のうちの1つ又は複数に上記光位相差発生膜及び上記光反射膜が形成されている例を挙げることができる。複数の光反射面を備えたプリズムとして、例えば2つの光反射面をもつペンタプリズムや、3つの光反射面をもつペンタダハプリズム及びコーナーキューブプリズムなどが挙げられる。ただし、複数の光反射面を備えたプリズムはこれらに限定されない。
さらに、光透過面である上記光入射面及び上記光出射面の一方又は両方の表面に、上記光透過面内の領域ごとで異なった膜厚をもつ光位相差発生膜が形成されているようにしてもよい。
また、本発明の偏光解消素子は、上記光入射面及び上記光出射面を備えている第1の形態及び第3の形態において、上記光入射面及び上記光出射面の一方の表面に、光量を均一化するための光量均一化用光学素子が形成されているものも含んでいる。そのような光量均一化用光学素子としては、例えばマイクロレンズアレイ、インテグレータ及びフライアイレンズアレイなどが挙げられる。
このように、偏光解消素子と光量均一化用光学素子とを一体化したものを、レーザ露光装置やレーザ加工装置などの光学系に適用することにより、これらの素子の透過光の位相を不揃いにするとともに、光量を均一化することができる。
また、光位相差発生膜は、例えば、誘電体の単層もしくは多層の薄膜材料、合成石英もしくは光学ガラス材料からなる構造材料、光学結晶材料又はプラスチック材料からなる光透過性材料で構成することができる。
そのような誘電体材料としては、TiO2、Nb25、In25、SnO2、Al23、CrO2、ZrO2、MgF2、MgO2、CeO2、Ta25、SiO2、ITO、ハイコム(メルク社の商品名:ZrO2+TiO2)、OM−10(メルク社の商品名:Ta25+TiOn(nは酸素数であり、この化合物はTiが欠損状態にあるものを表わす。))、OM−4(メルク社の商品名)、H−4(メルク社の商品名)、M−4(メルク社の商品名)などを用いることができる。
光学ガラス材料としては、テンパックス(商標)やネオセラム(商標)などを用いることができる。
また、本発明は、レーザ光源から発生するレーザ光を対象物に照射する光学系を備えた光学機器も対象としている。そのような光学機器としてはレーザプリンタ、露光装置、レーザ光源を用いる分光器、及びレーザ計測装置などを挙げることができる。そのような光学機器において、本発明は、それらの光学機器の光源からのレーザ光の位相を不揃いにするために、本発明の偏光解消素子をそれらの光学機器の光学系の光路上に配置したものである。
上記の光学機器においては、偏光解消素子を上記光路上において光線方向の軸を中心として回転させたり、又は光路上において光線方向に対して平行又は垂直な方向に振動させたりする駆動機構を備えるようにしてもよい。そのような駆動機構を備えるようにすれば、偏光解消素子による偏光解消機能に時間分解能を追加、すなわち時間軸に対しても偏光解消の機能を付加することができる。
本発明の偏光解消素子は、光透過面及び光反射面の表面の少なくとも一方に、光透過面又は光反射面が領域分割された領域に対して領域ごとで異なった膜厚をもつ光位相差発生膜を備え、偏光解消素子を透過した光について、使用する光の可干渉距離よりも大きい光路長差を発生させるようにした。これにより、本発明の偏光解消素子は、偏光解消素子を透過した光について位相を不揃いにし、光の干渉を低減できるので、機械的な方法を用いなくてもスペックルを解消できる。このように、本発明の偏光解消素子は、安価かつ省スペースでスペックルの解消を実現できる。
この偏光解消素子をそれぞれの光学系に配置した露光装置、レーザプリンタその他の光学機器では光学系でのスペックルの発生を低減させることができる。
偏光解消素子の第1の形態の一実施例を説明するための概念図である。 偏光解消素子の第2の形態の一実施例を説明するための概念図である。 偏光解消素子の第3の形態の一実施例を説明するための模式図である。 偏光解消素子の第3の形態の他の実施例を説明するための模式図である。 偏光解消素子の第2の形態の他の実施例を説明するための模式図である。 2つの光位相差発生膜について、膜厚分布を同一にし、膜厚分布の方向を互いに90度異ならせたときの光の合成位相差量のイメージを示す模式図である。 偏光解消素子の第1の形態の他の実施例を説明するための模式図である。 偏光解消素子を使用した一実施例としてのレーザプリンタの光学系を示す概略斜視図である。 偏光解消素子を使用した他の実施例としてのレーザプリンタの光学系を示す概略斜視図である。 偏光解消素子を使用したさらに他の実施例としての露光装置の光学系を示す概略構成図である。 偏光解消素子を使用したさらに他の実施例としての光ファイバ増幅器の光学系を示す概略構成図である。
本発明の偏光解消素子は、光透過面及び光反射面の表面の少なくとも一方に、光透過面又は光反射面が領域分割された領域に対して領域ごとで異なった膜厚をもつ光位相差発生膜を備えたものである。
偏光解消素子の第1の形態の一実施例として、透明なガラス基板上への光位相差発生膜の形成例を説明する。
図1は、偏光解消素子の第1の形態の一実施例を説明するための概念図である。図1(A)は、光入射面及び光出射面が領域分割された領域と、光入射面側の光の位相差とを表わすイメージ図である。図1(B)は偏光解消素子の概略的な側面図である。図1(C)は、光入射面及び光出射面が領域分割された領域と、光出射面側の光の位相差とを表わすイメージ図である。
図1(B)に示されるように、偏光解消素子1は、使用する光の波長に対して光透過性をもつ透明なガラス基板からなる基材3を備えている。基材3は光透過面である光入射面3a及び光出射面3bを備えている。
光入射面3aの表面に光位相差発生膜5aが形成されている。光位相差発生膜5aの表面には反射防止コートが施されている(図示は省略)。また、基材3の光透過面である光出射面3bの表面に光位相差発生膜5bが形成されている。光位相差発生膜5a,5bは例えば誘電体の単層膜又は多層膜で形成されている。
図1(A)及び図1(C)に示されるように、基材3の光透過面3a,3bは8つの領域A1〜A8に領域分割されている。
光位相差発生膜5a,5bは、領域A1〜A8に対して、領域A1〜A8ごとで異なった膜厚をもっている。この実施例では、光位相差発生膜5a,5bは、領域A1側から領域A8側へ向かうほど膜厚が厚くなっている。光位相差発生膜5a,5bは、偏光解消素子1を透過した光について、光透過面3a,3bにおける隣り合う2つの領域間で、使用する光の可干渉距離よりも光の光路長差が大きくなるように光路長差を発生させる膜厚差で形成されている。
光位相差発生膜5a,5bの形成は、例えば、基材3上に真空蒸着法、スパッタリング法、CVD(化学気相成長)法、アシストデポジッション法(AD法)、溶射法などの成膜法によって誘電体材料を堆積する方法によって行なわれる。
光位相差発生膜5a,5bを形成するための誘電体材料が光入射面3a又は光出射面3bに堆積される際、光入射面3a又は光出射面3bの面内で膜厚が制御できるように成膜処理が実施される。
誘電体材料として、成膜技術(AD法、溶射法、真空蒸着、スパッタリング、CVD法など)を使用して酸化物層を形成する。酸化物は、例えばAl23、SiO2、ZrO2、TiO2、SnO2、Ta25などの膜を選択することができる。
堆積される誘電体材料の膜厚制御は、成膜物質が通り抜ける部分のみに開口が形成された膜厚制御用の制御板を基材3に対して移動させながら成膜を実施することによって行なわれる。制御板と基材3は、互いに相対的に(X,Y,θ:回転方向に)移動する機構を有す装置に配置される。制御板と基材3とが予め設計されたプログラムにしたがって相対的に移動されながら、誘電体材料が成膜される。制御板と基材3との相対的な移動速度は、各領域で同じでもよいし、異なってもよい。
光位相差発生膜が形成される面と、飛翔する成膜物質の相対的な関係は、垂直の場合と、斜入射の場合とがある。成膜物質を斜入射させることにより、結晶性を有する誘電体薄膜を形成できる。
光透過面又は光反射面に形成される光位相差発生膜は、その表面に、各領域に微細構造を有し、位相差を生じさせる構造であってもよい。このような微細構造は、例えば特許文献6に開示されており、サブ波長構造体(SWS:Subwavelength Structure)と呼ばれる。
光位相差発生膜に特性の異なるサブ波長構造体領域をいくつも設けることで、基板を光が通過する際に各周期構造体に応じた偏光を持たせることができる。サブ波長構造体領域とは使用する光の波長よりも短い周期で繰り返して配列された溝をもつ周期構造体のことである。使用する光の波長よりも微小な周期の周期構造を有する格子構造は構造性複屈折作用をもつ。
さらに、サブ波長構造体の溝の配列方向である光学軸方向を各領域で異ならせることにより、偏光状態を多様化させて、偏光解消素子機能が発揮されるようにしてもよい。
また、光位相差発生膜の成膜時に、成膜視ながらレーザ光やプラズマを照射して、より高密度な誘電体薄膜からなる光位相差発生膜を形成してもよい。
光入射面3aの表面に光位相差発生膜5aを形成する方法の一例を述べる。
(1)誘電体材料の成膜の初期は、光入射面3aの全面に誘電体材料が成膜されるように上記制御板の開口が位置合せされる。所定時間だけ誘電体材料の成膜を行なう。
(2)上記制御板を光入射面3aの幅寸法の1/8だけ光入射面3aの幅方向に移動させて、領域A1上を上記制御板で覆い、領域A2〜A8上に上記制御板の開口を配置する。所定時間だけ誘電体材料の成膜を行なう。
(3)さらに、上記工程(2)と同様に、上記制御板を光入射面3aの幅寸法の1/8だけ光入射面3aの幅方向に移動させて、領域A1,A2上を制御板で覆い、領域A3〜A8上に上記制御板の開口を配置する。所定時間だけ誘電体材料の成膜を行なう。さらに、上記工程(2)と同様の上記制御板の移動及び成膜処理を5回繰り返す。
このように、上記工程(1)の後に、上記工程(2)と同様の上記制御板の移動及び成膜処理を7回繰り返すと、図1(B)に示されたように、光入射面3aが紙面縦方向に領域分割された領域A1〜A8で互いに膜厚が異なる誘電体膜をもつ光位相差発生膜5aを形成できる。
光出射面3bの表面に形成される光位相差発生膜5bについても、上記工程(1)〜(3)と同様にして、形成することができる。領域A1〜A8で互いに膜厚が異なる誘電体膜をもつ光位相差発生膜5bを形成できる。
偏光解消素子1全体で見ると、光位相差発生膜5a、基材3及び光位相差発生膜5bは誘電体積層膜を構成する。そして、誘電体積層膜は、膜厚分布を有し、領域A1〜A8で互いに膜厚が異なっている。
図1(A)に示されるように、使用する光の波長について、光入射面3a側の光の位相差は揃っている。その光は、偏光解消素子1を透過する際、光位相差発生膜5a、基材3及び光位相差発生膜5bからなる誘電体多層膜で光の位相差が変化させられる。
図1(C)に示されるように、偏光解消素子1を透過した光出射面3b側の光の位相差は領域A1〜A8で互いに異なっている。これにより、出射光においてスペックルが解消される。
この光位相差量は、成膜する誘電体多層膜の材質(材料種類)や物性(膜質や密度など)と膜厚によって制御できる。この実施例では、偏光解消素子1を透過した光について、光位相差発生膜5a,5bの膜厚が大きい領域ほど位相差量が大きくなるように設計されている。
偏光解消素子1において、出射光の位相差量は、光位相差発生膜5a,5bの膜厚分布や膜厚分布及びその配置方向などによって異なる。
偏光解消素子1において、光位相差発生膜は、光入射面3a又は光出射面3bのうち1面のみに形成されていてもよい。
本発明の偏光解消素子の第1の形態の基材は、例えば後述するペンタプリズムやペンタダハプリズムなど、光入射面、光反射面及び光出射面をもつ基材であってもよい。その基材において、光入射面及び光出射面3bのうち少なくとも1面に光位相差発生膜が形成される。
次に、偏光解消素子の第2の形態の一実施例として、光反射面を有する基板への光位相差発生膜の形成例を説明する。
図2は、偏光解消素子の第2の形態の一実施例を説明するための概念図である。図2(A)は、光反射面が領域分割された領域と、入射光の位相差とを表わすイメージ図である。図2(B)は偏光解消素子の概略的な側面図である。図2(C)は、光反射面が領域分割された領域と、反射光の位相差とを表わすイメージ図である。
図2(B)に示されるように、偏光解消素子7において、基材9の一表面に、使用する光の波長に対して光反射性をもつ光反射膜11が形成されている。基材9の材料は例えばガラスや樹脂等である。光反射膜11は、アルミニウムや銀などの金属膜、又は誘電体多層膜によって形成されている。
光反射膜11の光反射面11aの表面に光位相差発生膜13が形成されている。光位相差発生膜13は誘電体の単層膜又は多層膜で形成されている。光位相差発生膜13の表面には反射防止コートが施されている(図示は省略)。
光反射面11aで反射された光で生じる位相差量は、基本的には、光反射面11aに対する入射光の入射角度も考慮に入れて、入射光に対して180°になるように設計されている。目的に応じて、反射位相差量を150°や120°に設計することも可能である。この実施例では180°で説明する。
図2(A)及び図2(C)に示されるように、光反射面11aは8つの領域A1〜A8に領域分割されている。
光位相差発生膜13は、領域A1〜A8に対して、領域A1〜A8ごとで異なった膜厚をもっている。この実施例では、光位相差発生膜13は、領域A1側から領域A8側へ向かうほど膜厚が厚くなっている。光位相差発生膜13は、偏光解消素子7で反射された光について、光反射面11aにおける隣り合う2つの領域間で、使用する光の可干渉距離よりも光の光路長差が大きくなるように光路長差を発生させる膜厚差で形成されている。
光反射膜11及び光位相差発生膜13を形成する方法の一例を説明する。
(1)基材9の一表面に光反射膜11を形成する。光反射膜11は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法などで成膜される。なお、光反射膜11の成膜方法は、他の方法でもかまわない。
(2)光反射膜11の光反射面11aの表面に光位相差発生膜13を形成する。光位相差発生膜13の形成工程は、上記で説明された光位相差発生膜5aの形成工程(1)〜(3)と同様である。光位相差発生膜13を形成するための誘電体材料が光反射面11aに堆積される際、光反射面11aの面内で膜厚が制御できるように成膜処理が実施される。
図2(A)に示されるように、使用する光の波長について、入射光の位相差は揃っている。その光は、偏光解消素子7で反射される際、光位相差発生膜13で光の位相差が変化させられる。
本実施例では、偏光解消素子7に入射し、光位相差発生膜13を透過した光は光反射面11aで反射され、逆の行路を通過して光位相差発生膜13から出射する。このとき、光は、光位相差発生膜13を2度透過するので、位相差変化量は光位相差発生膜13を1度透過する場合に比べて2倍となる。
したがって、光位相差発生膜13は、図1(B)に記載された光位相差発生膜5a,5bの合計の膜厚に比べて半分(1/2)の膜厚で、光位相差発生膜5a,5bと同様の機能が得られる。もちろん、入射光の入射角度によって位相差量や反射方向も変化するが、本実施例では、入射角度は例えば85〜88°とされている。この入射角度では、反射光は光位相差発生膜13において入射光とほぼ同様の光路を通過する。なお、図2(B)では、便宜上、当該角度よりも大きな入射角度が記載されている。
図2(C)に示されるように、偏光解消素子7で反射された光の位相差は領域A1〜A8で互いに異なっている。これにより、出射光においてスペックルが解消される。
この光位相差量は、成膜する誘電体多層膜の材質(材料種類)や物性(膜質や密度など)と膜厚によって制御できる。この実施例では、偏光解消素子7で反射された光について、光位相差発生膜13の膜厚が大きい領域ほど位相差量が大きくなるように設計されている。
偏光解消素子7において、出射光の位相差量は、光位相差発生膜13の膜厚分布や膜厚分布及びその配置方向などによって異なる。
本発明の偏光解消素子の第2の形態は、例えば後述するペンタプリズムミラーなど、複数の光反射面を備えていてもよい。複数の光反射面のうち少なくとも1面に光位相差発生膜が形成される。
次に、偏光解消素子の第3の形態の一実施例として、光反射面を有するプリズムへの光位相差発生膜の形成例を説明する。
図3は、偏光解消素子の第3の形態の一実施例を説明するための模式図である。
偏光解消素子15の基材はペンタプリズムで形成されている。ペンタプリズム(光反射面:2面、入射面:1面、出射面:1面)は、使用する光の波長に対して光透過性をもつ基材、例えば光学ガラスを多面体に加工したものである。偏光解消素子15は、光入射面15−1、光反射面15−2,15−3及び光出射面15−4を備えている。
光入射面15−1及び光出射面15−4の表面に光位相差発生膜が形成されている(図示は省略)。これらの光位相差発生膜の成膜方法は、図1を参照して上記で説明された光位相差発生膜5aの形成工程(1)〜(3)と同様である。光入射面15−1に形成された光位相差発生膜の表面には反射防止コートが施されている(図示は省略)。
光反射面15−2及び15−3の表面に、下層側から順に光位相差発生膜と光反射膜が形成されている(図示は省略)。これらの光位相差発生膜及び光反射膜の成膜方法の一例を説明する。
ペンタプリズムの光反射面の表面に、図1を参照して上記で説明された光位相差発生膜5aの形成工程(1)〜(3)と同様にして、光位相差発生膜を形成する。その光位相差発生膜の表面に光反射膜を形成する。この光反射膜は、使用する光の波長に対して光反射性をもつ膜、例えばアルミニウムや銀などの金属膜、又は誘電体多層膜によって形成されている。この光反射膜は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法などで成膜される。なお、光反射面11aの成膜方法は、他の方法でもかまわない。
つまり、図2を参照して上記で説明された光反射膜11a及び光位相差発生膜13の形成工程(1),(2)とは逆の順序で、ペンタプリズムの光反射面の表面に光位相差発生膜及び光反射膜が形成される。
なお、光反射膜で生じる位相差量は、基本的には180°になるように設計されている。目的に応じて、反射位相差量を150°や120°に設計することも可能である。この実施例では、180°で説明する。
偏光解消素子15に対して、使用される光は光入射面15−1からペンタプリズム基材に導入される。このとき、光は光入射面15−1に形成された光位相差発生膜を透過する。
光入射面15−1から入射された光は光反射面15−2で反射される。このとき、光は「プリズム基材」、「光位相差発生膜」、「光反射膜」、「光位相差発生膜」、「プリズム基材」の順に各部材を通過する。つまり、光は光位相差発生膜を2度透過するので、光の位相差変化量は当該光位相差発生膜を1度透過する場合に比べて2倍となる。
光反射面15−2で反射された光は光反射面15−3で反射される。このとき、光は、光反射面15−3に形成された光位相差発生膜を2度透過する。
光反射面15−3で反射された光は光出射面15−4から出射される。このとき、光は光出射面15−4に形成された光位相差発生膜を透過する。
光反射面15−2,15−3に形成された光位相差発生膜について、光は光位相差発生膜を2度透過するので、当該光位相差発生膜は、光入射面15−1又は光出射面15−4に形成された光位相差発生膜に比べて半分(1/2)の膜厚で、それらの光位相差発生膜と同様の機能が得られる。もちろん、入射角度によって位相差量や反射方向も変化するが、本実施例では、入射角度は60〜55°とされている。この角度では、入射光と反射光は別々の光路を通過する。
偏光解消素子15について、出射光の位相差量は、使用するプリズムの形状や、光位相差発生膜の膜厚分布及びその配置方向などによって異なる。
偏光解消素子15において、光位相差発生膜は、光入射面15−1、光反射面15−2,15−3及び光出射面15−4のうち1面のみ、2面又は3面に形成されていてもよい。
図4は、偏光解消素子の第3の形態の他の実施例を説明するための模式図である。
偏光解消素子17の基材はペンタダハプリズムで形成されている。ペンタダハプリズム(光反射面:3面、入射面:1面、出射面:1面)は、使用する光の波長に対して光透過性をもつ基材、例えば光学ガラスを多面体に加工したものである。ペンタダハプリズムは、5角柱の側面の一つをダハ面(直角に交わる2面に分割したもの)とし、左右方向を反転させる機能も持っている。偏光解消素子17は、光入射面17−1、光反射面17−2,17−3,17−4及び光出射面17−5を備えている。
偏光解消素子17において、図3を参照して説明した偏光解消素子15の光入射面15−1及び光出射面15−4と同様に、光入射面17−1及び光出射面17−5の表面に光位相差発生膜が形成されている(図示は省略)。光入射面17−1に形成された光位相差発生膜の表面には反射防止コートが施されている(図示は省略)。
また、偏光解消素子17において、図3を参照して説明した偏光解消素子15の光反射面15−2,15−3と同様に、光反射面17−2,17−3,17−4の表面に光位相差発生膜が形成されている(図示は省略)。
偏光解消素子17に対して、使用される光は光入射面17−1からペンタダハプリズム基材に導入される。このとき、光は光入射面17−1に形成された光位相差発生膜を透過する。
光入射面17−1から入射された光は光反射面17−2,17−3,17−4で反射される。各光反射面で光が反射されるとき、光は「プリズム基材」、「光位相差発生膜」、「光反射膜」、「光位相差発生膜」、「プリズム基材」の順に各部材を通過する。つまり、光は光位相差発生膜を2度透過するので、光の位相差変化量は当該光位相差発生膜を1度透過する場合に比べて2倍となる。
光反射面17−4で反射された光は光出射面17−5から出射される。このとき、光は光出射面17−5に形成された光位相差発生膜を透過する。
光反射面17−2,17−3,17−4に形成された光位相差発生膜は、図3を参照して説明した偏光解消素子15の光反射面15−2,15−3と同様に、光入射面17−1又は光出射面17−5に形成された光位相差発生膜に比べて半分(1/2)の膜厚で、それらの光位相差発生膜と同様の機能が得られる。もちろん、入射角度によって位相差量や反射方向も変化するが、本実施例では、入射角度は60〜55°とされている。この角度では、入射光と反射光は別々の光路を通過する。
偏光解消素子17について、出射光の位相差量は、使用するプリズムの形状や、光位相差発生膜の膜厚分布及びその配置方向などによって異なる。
偏光解消素子17において、光位相差発生膜は、光入射面17−1、光反射面17−2,17−3,17−4及び光出射面17−5のうち1面のみ、2面、3面又は4面に形成されていてもよい。
本発明の偏光解消素子の第3の形態の基材は、例えばコーナーキューブプリズムなど、光入射面、光反射面及び光出射面をもち、使用する光の波長に対して光透過性をもつ基材であれば種類は問われない。複数の光反射面を備えている場合、複数の光反射面のうち少なくとも1面に光位相差発生膜が形成される。さらに、光入射面及び光反射面の一方又は両方に光位相差発生膜が形成されていてもよい。
図5は、偏光解消素子の第2の形態の他の実施例を説明するための模式図である。
偏光解消素子19はペンタミラーで形成されている。偏光解消素子19は、2つの光反射面19−1,19−2を備えている。
ペンタミラーは、ペンタプリズムと同様の形状を数枚のミラーを組み合わせて作ったものである。ペンタミラーは、ガラス等の基材の塊ではなく、ペンタミラーの内部は空洞なので、軽くできる。また、ペンタミラーは、ミラーの貼り合わせで構成されているので、安価に作成できる。ペンタミラーは精密金型に樹脂を流して中空の多面体として成型される。そのため、低コスト化と軽量化が可能である。
光反射面19−1,19−2は光反射膜によって構成される。その光反射膜の表面に光位相差発生膜が形成されている(図示は省略)。これらの光反射膜及び光位相差発生膜の成膜方法は、図2を参照して上記で説明された反射膜11及び光位相差発生膜13の形成工程(1),(2)と同様である。これらの光位相差発生膜の表面には反射防止コートが施されている(図示は省略)。
偏光解消素子19に入射された光は光反射面19−1,19−2で反射される。各光反射面で光が反射されるとき、光は「光位相差発生膜」、「光反射膜」、「光位相差発生膜」の順に通過する。つまり、光は光位相差発生膜を2度透過するので、光の位相差変化量は当該光位相差発生膜を1度透過する場合に比べて2倍となる。
偏光解消素子19について、出射光の位相差量は、光反射膜の配置や、光位相差発生膜の膜厚分布の配置方向などによって異なる。
偏光解消素子19において、光位相差発生膜は光反射面19−1,19−2のいずれか一方のみに形成されていてもよい。
複数の光反射面を備えた本発明の偏光解消素子の第2の形態は、他の形態、例えばコーナーキューブミラーであってもよい。複数の光反射面のうち少なくとも1面に光位相差発生膜が形成される。
図3、図4及び図5に示された偏光解消素子15,17,19において、各面に形成される光位相差発生膜の膜厚分布及び膜厚分布の方向は、各面において同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
ここで、「各面に形成される光位相差発生膜の膜厚分布及び膜厚分布の方向が同じである」とは、入射面に直交し、かつ入射位置で決定される各光路が各面の光位相差発生膜で同一の膜厚の光位相差発生膜の領域を通過するように、膜厚分布をもつ光位相差発生膜が各面に形成されていることを意味する。例えば、図1に示された偏光解消素子1の光位相差発生膜5aと5bは、同一の膜厚分布及び膜厚分布の方向をもっている。
複数の面にそれぞれ形成された光位相差発生膜について膜厚分布及び膜厚分布の方向を互いに異ならせる方法は、入射面に直交し、かつ入射位置で決定される各光路のうちの少なくとも一部の光路が各面の光位相差発生膜で互いに異なる膜厚の光位相差発生膜の領域を通過するような方法であれば、どのような方法であってもよい。当該方法は色々な方法が考えられる。
例えば、複数の面にそれぞれ形成された光位相差発生膜について、(1)膜厚分布を同一にし、膜厚分布の方向を互いに異ならせる(ある光位相差発生膜を他の光位相差発生膜に対して面内で回転させる)方法、(2)面内方向をX,Y方向としたときに、ある光位相差発生膜を他の光位相差発生膜に対して面内でX,Y方向の一方向又は両方向にずらして配置する方法、(3)膜厚分布を画定する領域(例えば図1に示された領域A1〜A8)は同じであるが、対応する領域で互いに膜厚を異ならせる方法、(4)膜厚分布を画定する領域の大きさ、個数もしくは配置又はそれらの組み合わせを互いに異ならせる方法、などが挙げられる。
例えば、2つの光位相差発生膜について、膜厚分布を同一にし、膜厚分布の方向を互いに90度異ならせると、それらの光位相差発生膜を通過する光の合成位相差量のイメージは、図6に示されるようになる。
また、複数の面にそれぞれ形成された光位相差発生膜は、互いに異なる光学軸方向をもったものであったり、互いに異なる材料によって形成されたものであったりしてもよい。
このように、同一の偏光解消素子に形成された複数の光位相差発生膜について、光路長差を発生させる特性が互いに異なる種々のものを組み合わせることにより、偏光解消素子の出射光について光路長差(位相差量)の分布を設計段階から計算することができる。例えば、偏光解消素子の出射光について、光路長差状態を非常に大きくする領域と非常に小さくする領域とを意図して作ることができる。また、偏光解消素子の出射光について、光路長差状態を一層ランダムに(位相をより不揃いに)することができる。
このように、複数の面に形成された光位相差発生膜について、各面にどのように光位相差発生膜の膜厚分布を形成するかによって、合成位相差量が異なってくる。合成位相差量は、各光位相差発生膜で生じる位相差量の足し算で求められる。つまり、複数の面に形成された光位相差発生膜について、「位相差量の差異が発生するように光位相差発生膜の膜厚分布及び膜厚分布の方向を変更する」ことにより、任意の合成位相差量が得られる。
次に、光入射面及び光出射面を備えている偏光解消素子の形態であって、光量を均一化するための光量均一化用光学素子を備えている偏光解消素子の実施例を説明する。
図7は、偏光解消素子の第1の形態の他の実施例を説明するための模式図である。図7(A)は、光出射面が領域分割された領域と、光入射面側の光の位相差とを表わすイメージ図である。図7(B)は偏光解消素子の概略的な側面図である。図7(C)は、光出射面が領域分割された領域と、光出射面側の光の位相差とを表わすイメージ図である。図1と同じ部分には同じ符号が付され、それらの部分の説明は省略される。
偏光解消素子23は、図1に示された偏光解消素子21と比較して、光出射面3bの表面に、光位相差発生膜5bに替えて、光量を均一化するための光量均一化用光学素子23を備えている。光量均一化用光学素子23として、マイクロレンズアレイ、インテグレータ又はフライアイレンズアレイなどが挙げられる。
そのような光量均一化用光学素子はよく知られたものであり、その製造方法もよく知られている。その製造方法の一例を示すと、光学基板の表面にフォトレジスト(感光性材料の代表例)の層を形成し、このフォトレジスト層に対して2次元的な透過率分布を有する露光用マスクを介して露光し、フォトレジストの現像によりフォトレジストの表面形状として凸面形状もしくは凹面形状を得、しかる後にフォトレジストと光学基板とに対して異方性エッチングを行ない、フォトレジストの表面形状を光学基板に彫り写して転写することにより、光学基板の表面に所望の3次元構造の屈折面や光反射面の形状を得る方法である(例えば特許文献1,2を参照。)。
この実施例は、図7(C)に示されるように、偏光解消素子21を透過した光出射面3b側の光の位相差を領域A1〜A8で異ならせることができる。なお、偏光解消素子21を透過した光出射面3b側の光について、図1に示された偏光解消素子1を透過した光出射面3b側の光と同等の位相差量を得る場合には、偏光解消素子21の光位相差発生膜5aは偏光解消素子1の光位相差発生膜5aに対して2倍の膜厚で形成される。
本発明の偏光解消素子の第1の形態において、入射面に光量均一化用光学素子が配置され、出射面に光位相差発生膜が形成されているようにしてもよい。
また、本発明の偏光解消素子の第3の形態において、入射面もしくは出射面又はそれらの両方の面に光量均一化用光学素子が配置されているようにしてもよい。
(偏光解消素子の適用例)
(レーザプリンタへの適用)
図8はレーザプリンタの光学系を示したものである。レーザダイオード・ユニット51内部には、光源としてのレーザダイオードと、レーザダイオードから射出されるレーザビームは平行光線にするコリメートレンズが設けられている。レーザダイオード・ユニット51から平行光線となって射出されるレーザビームは、ポリゴンミラー(回転多面鏡)52によって偏向走査され、F−θレンズ53等から構成される結像レンズ系によってドラム状の感光体ドラム55の帯電した表面に画像を結像する。
この実施例では、レーザダイオード・ユニット51から射出されるレーザビームを位相が不揃いなレーザビームとするために、レーザダイオード・ユニット51とポリゴンミラー52の間の光路上に偏光解消素子57が配置されている。
図9は、偏光解消素子57の機能を高めるために、偏光解消素子57をレーザビームの光軸方向に平行な軸を回転中心として回転させ、又は偏光解消素子57をレーザビームの光軸に平行に若しくは垂直に振動させる機能を備えた駆動機構57aを設けた例である。このような駆動機構57aを設けることにより、偏光解消素子57の偏光解消機能に時間分解能を追加することができる。すなわち、時間軸に対しても偏光解消機能を付加することができる。
偏光解消素子57を回転させる場合には、偏光解消素子57を中心に回転中心を有するように形成する。そして、偏光解消素子57の回転中心にモーターによって駆動される回転機構を装着して偏光解消素子57を回転させるようにしてもよいし、偏光解消素子57の中心を回転可能に保持しておいて偏光解消素子57の外周部に偏光解消素子57を回転させる機構を設けるようにしてもよい。偏光解消素子57の回転速度は、使用する光源や使用する表示デバイスの振動数によって異なるが、10rpm以上の回転速度があれば偏光解消機能を向上させる効果が十分に得られる。
偏光解消素子57を振動させる場合には、偏光解消素子57の外周を保持するセルを設け、そのセルをピエゾ素子によってレーザビームの光線方向に対して平行に又は垂直に振動させるようにする。偏光解消素子57の振動速度は、使用する光源や使用する表示デバイスの周波数によって異なるが、使用するデバイスの表示振動周波数(例えば、10msec)の10分の1以上の振動数があれば偏光解消機能を向上させる効果が十分に得られる。
(露光装置への適用)
図10は露光装置の光学系を概略的に示したものである。KrFエキシマレーザ又はArFエキシマレーザからなる光源60からの紫外線のレーザ光は、光束整形光学系61により所定の光束形状に変換され、照明光学系63,64により原版であるマスク66に照射される。マスク66のパターンはマスク66を透過した紫外線が投影光学系67によりウエハ68に照射されることにより投影露光される。ウエハ68はウエハステージ69に保持され、ウエハステージ69によってウエハ68が投影光学系67の光軸と直交する平面に沿って2次元的に移動することにより投影露光が繰り返されていく。
光源60がレーザであることから、発生するレーザ光は直線偏光である。そこで、この実施例では、光源60から射出されるレーザ光を位相が不揃いなレーザ光とするために、光束整形光学系61と照明光学系63の間の光路上に偏光解消素子62が配置されている。
なお、この露光装置の例においても、偏光解消素子62を回転させたり振動させたりするための駆動機構を設けて、偏光解消素子62の偏光解消機能を高めるようにしてもよい。そのような駆動機構は上記のレーザプリンタの例と同じであり、ここでの説明は省略する。
(光ファイバ増幅器への適用)
図11は偏光解消素子を光ファイバ増幅器に適用した例を示したものである。
ファイバ増幅器は、希土類元素添加光ファイバ74に光源70からの励起光71を入射して光ファイバ74中の希土類元素を活性化しておき、そこに入射光72を入射させることにより、その入射光72を増幅して出射させるものである。励起光71と入射光72をともに光ファイバ74に入射させるために、励起光71と入射光72とを結合する光カプラ73が設けられている。
光ファイバ74に添加される希土類元素は増幅すべき入射光の波長に応じて選択される。例えば、入射光の波長が1550nm波長帯域である場合にはエルビウム(Er)を初めとするランタノイド希土類元素、入射光の波長が1060nm波長帯域又は1300nm波長帯域の場合はネオジム(Nd)、入射光の波長が1300nm波長帯域の場合はプラセオジウム(Pr)、入射光の波長が1450nm波長帯域の場合はツリウム(Tm)などが用いられる。
希土類元素添加光ファイバ74は、増幅特性について偏光依存性をもっているので、この実施例では光ファイバ74に入射する光を無偏光状態にするために、光カプラ73と光ファイバ74の間の光路上に本発明の偏光解消素子76が配置されている。
なお、この光ファイバ増幅器の例においても、偏光解消素子76を回転させたり振動させたりするための駆動機構を設けて、偏光解消素子76の偏光解消機能を高めるようにしてもよい。そのような駆動機構は上記のレーザプリンタの例と同じであり、ここでの説明は省略する。
図8から図11において、偏光解消素子57,62,76の入射光の光路と出射光の光路は一直線上に図示されているが、これらの偏光解消素子の入射光の光路と出射光の光路は一直線上になくてもよい。例えば、これらの偏光解消素子の入射光の光路と出射光の光路は、図2から図5に示されたような位置関係であってもよい。
本発明の偏光解消素子は、上記に例示したレーザプリンタ、露光装置及び光ファイバ増幅器のほかにも、偏光に起因してスペックルが生じる光学系に適用することができる。そのような光学系として、レーザ光源を用いる分光器、レーザ計測装置、光ピックアップ装置、プロジェクタ、特許文献3に記載されているような偏光解析装置、偏波モード分散補償(PMDC)システム、CCD及びCMOSセンサー、特許文献4に記載されているような位相差測定装置、並びに特許文献5に記載されているようなレーザ加工装置等を挙げることができる。
本発明の偏光解消素子において、光位相差発生膜の膜厚分布は、上記実施例のように段階的に変化していてもよいし、又は連続的に変化していてもよい。すなわち、光位相差発生膜は、光透過面又は光反射面が領域分割された各領域内で、膜厚が変化していてもよい。
また、本発明の偏光解消素子において、光位相差発生膜の膜厚分布は、上記実施例のように一方向に変化していてもよいし、又はランダムに変化していてもよい。
また、本発明の偏光解消素子において、光透過面又は光反射面が領域分割された領域の形状はどのような形状であってもよい。例えば、光透過面又は光反射面は碁盤の目状に領域分割されてもよい。
また、本発明の偏光解消素子において、光透過面又は光反射面が領域分割された領域として、光位相差発生膜の膜厚がゼロの領域、すなわち光位相差発生膜が形成されていない領域が含まれていてもよい。
以上、本発明の実施例が説明されたが本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
1,7,15,17,19,21,57,62,76 偏光解消素子
3 基材
3a,15−1,17−1 光入射面(光透過面)
3b,15−4,17−5 光出射面(光透過面)
5a,5b,13 光位相差発生膜
11a,15−2,15−3,17−2,17−3,17−4 光反射面
19−1,19−2 光反射面
23 光量均一化用光学素子
A1〜A8 面が領域分割された領域

Claims (12)

  1. 使用する光の波長に対して光透過性をもつ基材の光透過面である光入射面及び光出射面の一方又は両方の表面に、前記光透過面が領域分割された領域に対して領域ごとで異なった膜厚をもつ光位相差発生膜が形成されていることを特徴とする偏光解消素子。
  2. 使用する光の波長に対して光反射性をもつ光反射面の表面に、前記光反射面内の領域ごとで異なった膜厚をもつ光位相差発生膜が形成されていることを特徴とする偏光解消素子。
  3. 該偏光解消素子は複数の前記光反射面を備え、それらの光反射面のうちの1つ又は複数に前記光位相差発生膜が形成されている請求項2に記載の偏光解消素子。
  4. 光入射面、光反射面及び光出射面をもち、使用する光の波長に対して光透過性をもつ基材を備え、前記光反射面の表面に、前記光反射面が領域分割された領域に対して領域ごとで異なった膜厚をもつ光位相差発生膜と、前記光位相差発生膜を透過した光を反射するために前記光位相差発生膜の表面に形成された光反射膜とが形成されていることを特徴とする偏光解消素子。
  5. 前記基材は複数の光反射面を備えたプリズムであって、それらの光反射面のうちの1つ又は複数に前記光位相差発生膜及び前記光反射膜が形成されている請求項4に記載の偏光解消素子。
  6. 光透過面である前記光入射面及び前記光出射面の一方又は両方の表面に、前記光透過面が領域分割された領域に対して領域ごとで異なった膜厚をもつ光位相差発生膜が形成されている請求項4又は5に記載の偏光解消素子。
  7. 前記光入射面及び前記光出射面の一方の表面に、光量を均一化するための光量均一化用光学素子が形成されている請求項1及び4から6のいずれか一項に記載の偏光解消素子。
  8. 前記光量均一化用光学素子はマイクロレンズアレイ、インテグレータ又はフライアイレンズアレイである請求項7に記載の偏光解消素子。
  9. 前記光位相差発生膜は、誘電体の薄膜材料、合成石英もしくは光学ガラス材料からなる構造材料、光学結晶材料又はプラスチック材料からなる光透過性材料で構成されている請求項1から8のいずれか一項に記載の偏光解消素子。
  10. レーザ光源から発生するレーザ光を対象物に照射する光学系を備えた光学機器において、
    前記レーザ光の位相を不揃いにするために請求項1から9のいずれか一項に記載の偏光解消素子を前記光学系の光路上に配置したことを特徴とする光学機器。
  11. 前記偏光解消素子を前記光路上において光線方向に平行な軸を中心として回転させる駆動機構を備えた請求項10に記載の光学機器。
  12. 前記偏光解消素子を前記光路上において光線方向に対して平行又は垂直の方向に振動させる駆動機構を備えた請求項10に記載の光学機器。
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