JP2014000587A - プラズマアーク溶接方法およびプラズマアーク溶接システム - Google Patents

プラズマアーク溶接方法およびプラズマアーク溶接システム Download PDF

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    • B23K10/02Plasma welding

Abstract

【課題】2重構造のトーチを用いた場合であっても、高周波電圧の印加をなるべく回避できるプラズマアーク溶接方法およびプラズマアーク溶接システムを提供する。
【解決手段】非消耗電極121および第1母材W1の間に第1メインアーク電流を通電する工程と、前記第1メインアーク電流を通電する工程の間に、非消耗電極121の先端121aから第1母材W1に向かう第1方向X1に、内側ノズル122に対し非消耗電極121を相対移動させる第1移動工程と、前記第1移動工程を開始した後に、非消耗電極121および外側ノズル123の間に中間パイロットアーク電流の通電を開始する工程と、前記中間パイロットアーク電流の通電を開始する工程の後に、前記第1メインアーク電流の通電を停止する工程と、前記中間パイロットアーク電流が流れている間に、非消耗電極121および第2母材W2の間に第2メインアーク電流の通電を開始する工程と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、プラズマアーク溶接方法およびプラズマアーク溶接システムに関する。
従来から、プラズマアーク溶接方法が知られている。プラズマアーク溶接方法に用いるトーチは用途に合わせて種々の構造ものがある。プラズマアーク溶接方法に用いるトーチとして、1重構造のトーチと、2重構造のトーチとがある。
特許文献1には、1重構造のトーチを用いたプラズマアーク溶接方法が開示されている。同文献1に開示の1重構造のトーチ(プラズマトーチ)は、電極とノズルとを備える。ノズルは電極を囲んでいる。同文献1のプラズマアーク溶接方法では、電極とノズルとの間に、高周波電圧を印加する。これにより、電極とノズルとの間にパイロットアークが発生する。次に、電極とノズルとの間にパイロットアークが発生している状態で、電極と被熱物(被加工物)との間にメインアークを発生させる。メインアークが発生したら、パイロットアークを消弧する。そして、メインアークを消弧する直前に、電極とノズルとの間に電圧(高周波電圧ではない)を印加することにより、パイロットアークを再び発生させる。このような方法では、電極とノズルとの間に、高周波電圧を印加することなく、パイロットアークを再発生できる。
特許文献2には、2重構造のトーチを用いたプラズマアーク溶接方法が開示されている。同文献2に開示の2重構造のトーチ(プラズマアークトーチ)は、陰極棒と、第1のノズルと、第2のノズルと、を備える。第1のノズルは陰極棒を囲んでおり、第2のノズルは第1のノズルを囲んでいる。
特開昭63−5875号公報 特許3066933号公報
同文献2に開示の2重構造のトーチでは、第2のノズルと陰極棒との間に、第1のノズルが介在している。そのため、メインアークが発生している状態で、陰極棒と第2のノズルとの間に電圧(高周波電圧ではない)を印加したとしても、第1のノズルが、陰極棒と第2のノズルとの間に絶縁破壊が生じることを妨げる。よって、同文献2に開示の方法では、高周波電圧を用いることなく、メインアークを消弧する直前に陰極棒と第2のノズルとの間にパイロットアークを再発生させにくい。そうすると、パイロットアークを再発生させる度に、陰極棒と第1のノズルとの間に、高周波電圧を印加することとなる。このような電圧の印加を繰り返すと、プラズマアーク溶接を行う装置の故障や当該装置の周囲の設備の故障を招くおそれがある。
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、2重構造のトーチを用いた場合であっても、高周波電圧の印加をなるべく回避できるプラズマアーク溶接方法およびプラズマアーク溶接システムを提供することをその主たる課題とする。
本発明の第1の側面によると、非消耗電極と、前記非消耗電極を囲む内側ノズルと、前記内側ノズルを囲む外側ノズルと、を備えるトーチを用い、前記非消耗電極および第1母材の間に第1メインアーク電流を通電する工程と、前記第1メインアーク電流を通電する工程の間に、前記非消耗電極の先端から前記第1母材に向かう第1方向に、前記内側ノズルに対し前記非消耗電極を相対移動させる第1移動工程と、前記第1移動工程を開始した後に、前記非消耗電極および前記外側ノズルの間に中間パイロットアーク電流の通電を開始する工程と、前記中間パイロットアーク電流の通電を開始する工程の後に、前記第1メインアーク電流の通電を停止する工程と、前記中間パイロットアーク電流が流れている間に、前記非消耗電極および第2母材の間に第2メインアーク電流の通電を開始する工程と、を備える、プラズマアーク溶接方法が提供される。
好ましくは、前記第1方向とは反対の第2方向に、前記内側ノズルに対し前記非消耗電極を相対移動させる第2移動工程を更に備え、前記第2移動工程は、前記第2メインアーク電流の通電を開始する工程の後に行う。
好ましくは、前記第1メインアーク電流の通電を停止する工程は、前記第1移動工程の終了後に行う。
好ましくは、前記第1移動工程においては、第1領域から第2領域へと前記非消耗電極の先端が移動するように、前記非消耗電極を前記内側ノズルに対し相対移動させ、前記第2移動工程においては、前記第2領域から前記第1領域へと前記非消耗電極の先端が移動するように、前記非消耗電極を前記内側ノズルに対し相対移動させ、前記第1領域は、前記内側ノズルの開口に対して前記第2方向側に位置する領域であり、前記第2領域は、前記開口に対して前記第1方向側に位置する領域である。
好ましくは、前記第1移動工程の終了時から前記第2移動工程の開始時まで、常に、前記非消耗電極の先端を前記第2領域に位置させた状態を継続させる工程を更に備える。
好ましくは、前記第1移動工程においては、前記非消耗電極の先端を前記第1母材に接近させる。
好ましくは、前記非消耗電極および前記外側ノズルの間に、スタートパイロットアーク電流を通電する工程を更に備え、前記第1メインアーク電流を通電する工程は、前記スタートパイロットアーク電流を通電する工程の間に、開始する。
好ましくは、前記非消耗電極および前記内側ノズルの間に、初期パイロットアーク電流を通電する工程を更に備え、前記初期パイロットアーク電流を通電する工程は、前記非消耗電極および前記内側ノズルの間に高周波電圧を印加することにより、開始され、前記スタートパイロットアーク電流を通電する工程は、前記初期パイロットアーク電流を通電する工程から移行される。
好ましくは、前記第1方向とは反対の第2方向に、前記内側ノズルに対し前記非消耗電極を相対移動させる初期移動工程を更に備え、前記スタートパイロットアーク電流を通電する工程は、前記非消耗電極および前記外側ノズルの間に高周波電圧を印加することにより、開始され、前記初期移動工程は、前記第1メインアーク電流を通電する工程の開始後に行われる。
本発明の第2の側面によると、非消耗電極と、前記非消耗電極を囲む内側ノズルと、前記内側ノズルを囲む外側ノズルと、を備えるトーチを用いたプラズマアーク溶接方法を行うプラズマアーク溶接システムであって、前記非消耗電極および前記母材の間にメインアーク電流を通電するメインアーク電源回路と、前記メインアーク電源回路が前記メインアーク電流を流している間に、第1移動指示信号を生成する電極位置制御回路と、前記第1移動指示信号が生成された後に、前記非消耗電極および前記外側ノズルの間に中間パイロットアーク電流の通電を開始するパイロットアーク電源回路と、を備え、前記第1移動指示信号は、前記内側ノズルに対し前記非消耗電極を第1相対移動させるための信号であり、前記第1相対移動は、前記非消耗電極の先端から前記母材に向かう第1方向に、前記内側ノズルに対し前記非消耗電極が相対移動することである、プラズマアーク溶接システムが提供される。
好ましくは、前記メインアーク電流の通電を検出すると、メインアーク電流通電検出信号を生成するメインアーク電流通電検出回路を更に備え、前記電極位置制御回路は、前記メインアーク電流通電検出信号が生成された後に、第2移動指示信号を生成し、前記第2移動指示信号は、前記内側ノズルに対し前記非消耗電極を第2相対移動させるための信号であり、前記第2相対移動は、前記第1方向とは反対の第2方向に、前記内側ノズルに対し前記非消耗電極が相対移動することである。
好ましくは、前記メインアーク電源回路は、前記第1相対移動の終了後に、前記メインアーク電流の通電を停止する。
好ましくは、前記トーチと、前記非消耗電極の前記内側ノズルに対する位置を規定する位置規定機構と、を更に備え、前記位置規定機構は、前記電極位置制御回路から、前記第1移動指示信号を受けると、前記非消耗電極を前記第1相対移動させる。
好ましくは、前記位置規定機構は、前記第1相対移動においては、第2領域から第1領域へと前記非消耗電極の先端が移動するように、前記非消耗電極を前記内側ノズルに対し相対移動させ、前記第2相対移動においては、前記第1領域から前記第2領域へと前記非消耗電極の先端が移動するように、前記非消耗電極を前記内側ノズルに対し相対移動させ、前記第1領域は、前記内側ノズルの開口に対して前記第2方向側に位置する領域であり、前記第2領域は、前記開口に対して前記第1方向側に位置する領域である。
好ましくは、前記位置規定機構は、前記第1相対移動の終了時から前記第2相対移動の開始時まで、常に、前記非消耗電極の先端を前記第2領域に位置させた状態を継続させる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
本発明の第1実施形態にかかるプラズマアーク溶接システムの構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態にかかるプラズマアーク溶接システムにおけるトーチを主に示す拡大断面図である。 図1に示したプラズマアーク溶接システムにおけるパイロットアーク電源回路の内部構成を示すブロック図である。 図1のプラズマアーク溶接システムを用いたプラズマアーク溶接方法における各信号等のタイミングチャートである。 図4に示した工程に続く工程における各信号等のタイミングチャートである。 本発明の第2実施形態にかかるプラズマアーク溶接システムの構成を示すブロック図である。 図6に示したプラズマアーク溶接システムにおけるパイロットアーク電源回路の内部構成を示すブロック図である。 図6のプラズマアーク溶接システムを用いたプラズマアーク溶接方法における各信号等のタイミングチャートである。 図8に示した工程に続く工程における各信号等のタイミングチャートである。
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
<第1実施形態>
図1〜図5を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態にかかるプラズマアーク溶接システムの構成を示すブロック図である。
同図に示すプラズマアーク溶接システムA1は、溶接ロボット1と、動作制御回路2と、パイロットアーク用回路3と、メインアーク用回路4と、を備える。
溶接ロボット1は、母材Wに対してプラズマアーク溶接を自動で行うものである。本実施形態の母材Wは薄板であり、母材Wの厚さは、たとえば、0.1〜0.5mmである。溶接ロボット1は、マニピュレータ11と、トーチ12と、位置規定機構14と、を含む。
マニピュレータ11は、たとえば多関節ロボットである。トーチ12は、マニピュレータ11の駆動により、上下前後左右に自在に移動できる。図1、図2に示すように、トーチ12は、非消耗電極121と、内側ノズル122と、外側ノズル123と、シールドガスノズル124とを有する。本実施形態のトーチ12は、内側ノズル122および外側ノズル123とを有する2重構造のものである。トーチ12にシールドガスノズル124は必須の構成ではない。2重構造のトーチでは、非消耗電極121の消耗が小さく非消耗電極121の寿命を大幅に長くすることができる。
非消耗電極121は、たとえばタングステンからなる金属棒である。この金属棒は、たとえば、直径2.4〜3.2mm程度の円柱状である。図2に示すように、非消耗電極121の先端121aから母材Wに向かう方向を、第1方向X1とする。一方、第1方向X1とは反対方向を、第2方向X2とする。なお、第1方向X1および第2方向X2は、非消耗電極121を構成する金属棒の延びる方向に一致する。
内側ノズル122は筒状の部材である。内側ノズル122は非消耗電極121を囲んでいる。内側ノズル122内をセンターガスCGが流れる。センターガスCGを媒体として、内側ノズル122と非消耗電極121との間にパイロットアークPa1が発生する。内側ノズル122と非消耗電極121との間にパイロットアークPa1が発生している際、内側ノズル122と非消耗電極121との間には、パイロットアーク電流Ip1が流れる。内側ノズル122には開口122aが形成されている。内側ノズル122の開口122aは、第1方向X1に開放している。すなわち、図2では、内側ノズル122の開口122aは下方に開放している。開口122aは、たとえば直径が2.5〜4mmの円形状である。開口122aの形状は円形に限定されず、矩形等の他の形状であってもよい。内側ノズル122の開口122aに対して第2方向X2側に位置する領域を、第1領域191とする。一方、内側ノズル122の開口122aに対して第1方向X1側に位置する領域を、第2領域192とする。
外側ノズル123は筒状の部材である。外側ノズル123は内側ノズル122を囲んでいる。外側ノズル123と内側ノズル122との間をプラズマガスPGが流れる。プラズマガスPGを媒体として、外側ノズル123と非消耗電極121との間にパイロットアークPa2が発生する。外側ノズル123と非消耗電極121との間にパイロットアークPa2が発生している際、外側ノズル123と非消耗電極121との間には、パイロットアーク電流Ip2が流れる。外側ノズル123には開口123aが形成されている。外側ノズル123の開口123aは、第1方向X1に開放している。すなわち、図2では、外側ノズル123の開口123aは下方に開放している。開口123aは、たとえば直径が2.5〜3mmの円形状である。開口123aの形状は円形に限定されず、矩形等の他の形状であってもよい。
シールドガスノズル124は筒状の部材である。シールドガスノズル124は外側ノズル123を囲んでいる。シールドガスノズル124と外側ノズル123との間をシールドガスSGが流れる。非消耗電極121と母材Wとの間には、メインアークMaが発生する。メインアークMaが発生している際、非消耗電極121と母材Wとの間には、メインアーク電流Imが流れる。メインアーク電流Imは、母材Wの材質に応じて、直流もしくは交流いずれかが選択される。メインアーク電流Imは、直流のパルス電流である場合もあるし、交流のパルス電流である場合もある。
位置規定機構14は、内側ノズル122に対する非消耗電極121の第2方向X2における位置を規定する。位置規定機構14は、非消耗電極121の先端121aが第1領域191から第2領域192へと移動するように、非消耗電極121を内側ノズル122に対し移動させることができる。また、位置規定機構14は、非消耗電極121の先端121aが第2領域192から第1領域191へと移動するように、非消耗電極121を内側ノズル122に対し移動させることができる。位置規定機構14は、たとえば、ソレノイドやモータを駆動源とするとよい。
動作制御回路2は、マイクロコンピュータおよびメモリ(ともに図示略)を有している。このメモリには、溶接ロボット1の各種の動作が設定された作業プログラムが記憶されている。動作制御回路2はロボット移動速度Vrを制御する。ロボット移動速度Vrは、母材Wに沿った溶接進行方向Drにおける、母材Wに対する非消耗電極121の速度である。動作制御回路2は、上記作業プログラム、溶接ロボット1におけるエンコーダからの座標情報、およびロボット移動速度Vr等に基づき、溶接ロボット1に対して動作制御信号Msを送る。溶接ロボット1は動作制御信号Msを受け、マニピュレータ11を駆動させ、トーチ12が、母材Wにおける所定の溶接開始位置に移動したり、母材Wの面内方向に沿って移動したりする。動作制御回路2は、溶接開始信号Stと溶接終了信号Enとを送る。一方、動作制御回路2はパイロットアーク電流通電検出信号Dipを受ける。
パイロットアーク用回路3は、パイロットアーク電源回路31と、パイロットアーク電流検出回路33と、パイロットアーク電流通電検出回路35と、電極位置制御回路38と、を含む。
パイロットアーク電源回路31は、非消耗電極121および内側ノズル122の間に、パイロットアーク電流Ip1を流す。また、パイロットアーク電源回路31は、非消耗電極121および外側ノズル123の間に、パイロットアーク電流Ip2を流す。パイロットアーク電源回路31は、メインアーク電流通電検出回路45(後述)からメインアーク電流通電検出信号Dimを、受ける。
図3は、図1に示したプラズマアーク溶接システムA1におけるパイロットアーク電源回路31の内部構成を示すブロック図である。
図3(a)に示すように、パイロットアーク電源回路31は、電力発生部Pwと、高周波発生部HFと、パイロットアークスイッチSw1と、ノズルスイッチSw2と、高周波スイッチSw3と、を有する。
電力発生部Pwは、たとえば3相200V等の商用電源を入力として、インバータ制御、サイリスタ位相制御等の出力制御を行う。
高周波発生部HFは、高周波電圧を発生させるためのものである。高周波発生部HFによって発生される電圧の周波数は、たとえば、1〜10MHzである。また、高周波発生部HFによって発生される電圧の電圧値は、たとえば、1〜10kVであり、非常に大きい。
パイロットアークスイッチSw1を介して、電力発生部Pwと非消耗電極121とが接続している。パイロットアークスイッチSw1は、電力発生部Pwと非消耗電極121とが接続している状態と、電力発生部Pwと非消耗電極121とが接続していない状態とを、切り替える。パイロットアークスイッチSw1がオン状態である場合、電力発生部Pwと非消耗電極121とが接続している状態である。一方、パイロットアークスイッチSw1がオフ状態である場合、電力発生部Pwと非消耗電極121とが接続していない状態である。
ノズルスイッチSw2は、電力発生部Pwと内側ノズル122とが接続している状態、および、電力発生部Pwと外側ノズル123とが接続している状態を切り替える。ノズルスイッチSw2が端子311に接続している場合、電力発生部Pwと内側ノズル122とが接続している状態である。一方、ノズルスイッチSw2が端子312に接続している場合、電力発生部Pwと外側ノズル123とが接続している状態である。
高周波スイッチSw3は、高周波発生部HFと内側ノズル122とが接続している状態、および、高周波発生部HFと内側ノズル122とが接続していない状態と、を切り替える。高周波スイッチSw3が端子316に接続している場合、高周波発生部HFと内側ノズル122とが接続している状態である。一方、高周波スイッチSw3が端子317に接続している場合、高周波発生部HFと内側ノズル122とが接続していない状態である。
パイロットアーク電源回路31は、パイロットアークスイッチSw1と、ノズルスイッチSw2と、高周波スイッチSw3と、の切替態様により、以下の4つのモード(モードA、モードB、モードC、モードH)をとる。
図3(a)は、パイロットアーク電源回路31のモードが、モードAである場合を示している。パイロットアーク電源回路31のモードがモードAである場合、パイロットアークスイッチSw1がオン状態であり、ノズルスイッチSw2が端子311に接続しており、高周波スイッチSw3が端子317に接続している。この場合、非消耗電極121と内側ノズル122との間に、パイロットアーク電流Ip1が流れる。
図3(b)は、パイロットアーク電源回路31のモードが、モードBである場合を示している。パイロットアーク電源回路31のモードがモードBである場合、パイロットアークスイッチSw1がオン状態であり、ノズルスイッチSw2が端子312に接続している。この場合、非消耗電極121と外側ノズル123との間に、パイロットアーク電流Ip2が流れる。
図3(c)は、パイロットアーク電源回路31のモードが、モードCである場合を示している。パイロットアーク電源回路31のモードがモードCである場合、パイロットアークスイッチSw1がオフ状態であり、非消耗電極121と内側ノズル122との間、並びに、非消耗電極121と外側ノズル123との間のいずれにも、電流が流れない。
図3(d)は、パイロットアーク電源回路31のモードが、モードHである場合を示している。パイロットアーク電源回路31のモードがモードHである場合、パイロットアークスイッチSw1がオン状態であり、ノズルスイッチSw2が端子311に接続しており、高周波スイッチSw3が端子316に接続している。この場合、非消耗電極121と内側ノズル122との間に、パイロットアーク電流Ip1が流れる。また、高周波発生部HFによって、非消耗電極121と内側ノズル122との間に、高周波電圧が印加される。
図1に示すパイロットアーク電流検出回路33は、非消耗電極121と外側ノズル123との間に流れるパイロットアーク電流Ip2の電流値を検出するためのものである。パイロットアーク電流検出回路33は、パイロットアーク電流Ip2の電流値に対応するパイロットアーク電流検出信号Idpを送る。
パイロットアーク電流通電検出回路35は、パイロットアーク電流Ip2の通電の開始を検出するためのものである。パイロットアーク電流通電検出回路35は、パイロットアーク電流Ip2の通電を検出すると、パイロットアーク電流通電検出信号Dipを送る。パイロットアーク電流通電検出回路35は、パイロットアーク電流Ip2の通電の開始を、たとえば、パイロットアーク電流Ip2の電流値とあるしきい値とを比較することにより、検出する。
電極位置制御回路38は、内側ノズル122に対する非消耗電極121の第2方向X2における位置を制御するためのものである。電極位置制御回路38は、動作制御回路2から溶接終了信号Enを、メインアーク電流通電検出回路45からメインアーク電流通電検出信号Dimを受ける。電極位置制御回路38は、位置規定信号Spを生成する。そして、電極位置制御回路38は、生成した位置規定信号Spを位置規定機構14に送る。位置規定信号Spは、内側ノズル122に対する非消耗電極121の第2方向X2における位置に対応する。本実施形態においては、位置規定信号SpがHighレベルである場合、非消耗電極121の先端121aは、第1領域191に位置している。一方、位置規定信号SpがLowレベルである場合、非消耗電極121の先端121aは、第2領域192に位置している。
メインアーク用回路4は、メインアーク電源回路41と、メインアーク電流検出回路43と、メインアーク電流通電検出回路45と、を含む。
メインアーク電源回路41は、たとえば3相200V等の商用電源を入力として、インバータ制御、サイリスタ位相制御等の出力制御を行う。これにより、メインアーク電源回路41は、非消耗電極121および母材Wの間にメインアーク電流Imを流す。メインアーク電源回路41は、メインアーク電流Imの電流値を、設定された値となるように制御する。
メインアーク電源回路41は、動作制御回路2から溶接開始信号Stを、パイロットアーク電流通電検出回路35からパイロットアーク電流通電検出信号Dipを、受ける。メインアーク電源回路41は、溶接開始信号Stを受けると、メインアーク電流Imの通電を開始する。一方、メインアーク電源回路41は、パイロットアーク電流通電検出信号Dipを受けると、メインアーク電流Imの通電を停止する。
メインアーク電流検出回路43は、非消耗電極121と母材Wとの間に流れるメインアーク電流Imの電流値を検出するためのものである。メインアーク電流検出回路43は、メインアーク電流Imの電流値に対応するメインアーク電流検出信号Idmを送る。
メインアーク電流通電検出回路45はメインアーク電流検出信号Idmを受ける。メインアーク電流通電検出回路45は、メインアーク電流Imの通電の開始を検出するためのものである。メインアーク電流通電検出回路45は、メインアーク電流Imの通電の開始を検出すると、メインアーク電流通電検出信号Dimをパイロットアーク電源回路31と電極位置制御回路38とに送る。メインアーク電流通電検出回路45は、メインアーク電流Imの通電の開始を、たとえば、メインアーク電流Imの電流値とあるしきい値とを比較することにより、検出する。
次に、図4、図5を更に用いて、プラズマアーク溶接システムA1を用いたアーク溶接方法について説明する。
図4は、図1のプラズマアーク溶接システムA1を用いたプラズマアーク溶接方法における各信号等のタイミングチャートである。同図では、(a)はパイロットアーク電流Ip1の電流値、(b)はパイロットアーク電流Ip2の電流値、(c)は溶接開始信号St、(d)はメインアーク電流Im、(e)は位置規定信号Sp、(f)はメインアーク電流通電検出信号Dim、(g)は溶接終了信号En、(h)はパイロットアーク電流通電検出信号Dip、(i)はロボット移動速度Vr、(j)は高周波電圧の印加の有無、のそれぞれの変化状態を示す。同図の最下部に、パイロットアーク電源回路31のモードを記載している。
なお、時刻t1〜時刻t9の間(厳密には、時刻t5〜時刻t9の間)は、プラズマアーク溶接システムA1によって、母材Wとして第1母材W1に対し、溶接を行う。
<パイロットアーク電源回路31がモードHである期間(時刻t1〜時刻t3)>
時刻t1において、パイロットアーク電源回路31にパイロットアーク電流通電開始信号(図示略)が送られることにより、パイロットアーク電源回路31のモードが、モードHになる。図4(j)に示すように、パイロットアーク電源回路31のモードがモードHになると、パイロットアーク電源回路31は、非消耗電極121と内側ノズル122との間に、高周波電圧を印加する。これにより、時刻t2において、非消耗電極121と内側ノズル122との間にパイロットアークPa1が発生する。パイロットアークPa1が発生すると、同図(a)に示すように、パイロットアーク電流Ip1の通電が開始する。すなわち、パイロットアーク電流Ip1として、非消耗電極121および内側ノズル122の間に初期パイロットアーク電流ip1の通電が開始する。初期パイロットアーク電流ip1の電流値は、たとえば、たとえば3〜20Aである。
図4(e)に示すように、時刻t1から、電極位置制御回路38は、Highレベルの位置規定信号Spを位置規定機構14に送っている。すなわち、時刻t1から、電極位置制御回路38は、非消耗電極121の先端121aを第1領域191に位置させるための位置規定信号Spを、位置規定機構14に送っている。そのため、時刻t1から、非消耗電極121の先端121aは第1領域191に位置している。時刻t1〜時刻t3の長さは、たとえば、1〜3秒である。
<パイロットアーク電源回路31がモードAである期間(時刻t3〜時刻t4)>
時刻t3において、パイロットアーク電源回路31のモードが、モードAになる。図4(j)に示すように、パイロットアーク電源回路31のモードがモードAになると、パイロットアーク電源回路31は、高周波電圧の印加を停止する。同図(a)に示すように、時刻t3以降、パイロットアーク電源回路31は初期パイロットアーク電流ip1の通電を継続する。時刻t2〜時刻t4の長さは、たとえば、4〜5秒である。
<パイロットアーク電源回路31がモードBである期間(時刻t4〜時刻t6)>
時刻t4において、パイロットアーク電源回路31のモードが、モードBになる。パイロットアーク電源回路31のモードがモードBになると、非消耗電極121と内側ノズル122との間に発生しているパイロットアークPa1が、非消耗電極121と外側ノズル123との間のパイロットアークPa2へと移行する。これにより、図4(a)に示すように、非消耗電極121と内側ノズル122との間のパイロットアーク電流Ip1の通電が停止する。そして、同図(b)に示すように、非消耗電極121と外側ノズル123との間に、パイロットアーク電流Ip2の通電が開始する。すなわち、時刻t4において、パイロットアーク電流Ip2として、非消耗電極121および外側ノズル123の間にスタートパイロットアーク電流ip21の通電が開始する。スタートパイロットアーク電流ip21の電流値は、たとえば、たとえば3〜20Aである。
図4(c)に示すように、時刻t5において、動作制御回路2からメインアーク電源回路41に溶接開始信号Stが送られる。メインアーク電源回路41は、溶接開始信号Stを受けると、非消耗電極121と第1母材W1との間に電圧を印加する。非消耗電極121の先端121a近傍の空間には、パイロットアークPa2によってプラズマ雰囲気が形成されている。そのため、パイロットアークPa2に誘発されて、メインアークMaが非消耗電極121と第1母材W1との間に発生する。これにより、同図(d)に示すように、時刻t5において、メインアーク電流Imの通電が開始する。以下では、非消耗電極121と第1母材W1との間に流れるメインアーク電流Imを、第1メインアーク電流im1と呼ぶ。第1メインアーク電流im1の電流値は、たとえば、5〜7Aである。
図4(f)に示すように、時刻t5において、メインアーク電流通電検出回路45が、第1メインアーク電流im1の通電の開始を検出し、メインアーク電流通電検出信号Dimをパイロットアーク電源回路31に送る。これにより、パイロットアーク電源回路31は、第1メインアーク電流im1の通電が開始したと認識する。
図4(i)に示すように、時刻t5において、動作制御回路2は、ロボット移動速度Vrを予め定められた速度とするための動作制御信号Msを溶接ロボット1に送る。これにより、時刻t5において、溶接進行方向Drにおける、非消耗電極121の第1母材W1に対する移動が開始する。このように、時刻t5から、プラズマアーク溶接システムA1は、非消耗電極121および第1母材W1の間に第1メインアーク電流im1を通電させつつ、定常溶接を行う。なお、溶接進行方向Drにおける、非消耗電極121の第1母材W1に対する移動が開始するのは、第1メインアーク電流im1の通電の開始と同時である必要はない。たとえば、第1メインアーク電流im1の通電後(時刻t5後)、もしくは通電前(時刻t5前)に、溶接進行方向Drにおける、非消耗電極121の第1母材W1に対する移動を開始してもよい。時刻t4〜時刻t6の長さは、たとえば、1〜2秒である。
<パイロットアーク電源回路31がモードCである期間(時刻t6〜時刻t8)>
パイロットアーク電源回路31が、時刻t5において、メインアーク電流通電検出信号Dimを受けると、時刻t6において、パイロットアーク電源回路31のモードが、モードCになる。パイロットアーク電源回路31のモードがモードCになると、図4(b)に示すように、パイロットアーク電源回路31はスタートパイロットアーク電流ip21の通電を停止する。これにより、非消耗電極121と外側ノズル123との間のパイロットアークPa2が消弧する。時刻t6以降、プラズマアーク溶接システムA1は、第1母材W1の定常溶接を行う。時刻t6〜時刻t7の長さは、たとえば、数分〜数時間である。
図4(e)に示すように、非消耗電極121と外側ノズル123との間のパイロットアークPa2が消弧した時刻(時刻t6)以降、電極位置制御回路38は、非消耗電極121の先端121aを第1領域191に位置させるための位置規定信号Spを、位置規定機構14に送っている。そのため、時刻t6以降、非消耗電極121の先端121aは第1領域191に位置している。
図4(g)に示すように、時刻t7において、動作制御回路2は定常溶接を終了するための溶接終了信号Enを、電極位置制御回路38に送る。図4(e)に示すように、電極位置制御回路38は、溶接終了信号Enを受けると、第1移動指示信号sp1を生成し、生成した第1移動指示信号sp1を、位置規定機構14に送る。本実施形態では、電極位置制御回路38は、位置規定信号SpをHighレベルからLowレベルに変化させる。HighレベルからLowレベルに変化している位置規定信号Spが、第1移動指示信号sp1に相当する。第1移動指示信号sp1は、内側ノズル122に対し非消耗電極121を第1相対移動(後述)させるための信号である。
図2に示す位置規定機構14は、第1移動指示信号sp1を受けると、内側ノズル122に対し非消耗電極121を第1相対移動させる。内側ノズル122に対する非消耗電極121の第1相対移動とは、第1方向X1に、内側ノズル122に対し非消耗電極121が相対移動することである。位置規定機構14は、第1相対移動においては、第1領域191から第2領域192へと非消耗電極121の先端121aが移動するように、非消耗電極121を内側ノズル122に対し相対移動させる。本実施形態では、第1相対移動においては、内側ノズル122と外側ノズル123とが互いに固定されたまま、内側ノズル122に対し非消耗電極121が相対移動する。更に、本実施形態では、第1相対移動においては、非消耗電極121を第1母材W1に接近させる。第1相対移動によって、非消耗電極121の先端121aが、外側ノズル123の開口123a近傍まで移動することが、好ましい。以上のように、第1メインアーク電流im1を通電させつつ、定常溶接を行う工程の間に、第1方向X1に、内側ノズル122に対し非消耗電極121を相対移動させる工程(第1移動工程)を行う。図4(e)に示すように、時刻t8において、内側ノズル122に対する非消耗電極121の相対移動(第1相対移動)が終了する。
図5は、図4に示した工程に続く工程における各信号等のタイミングチャートである。
<パイロットアーク電源回路31がモードBである期間(時刻t8〜t11)>
図4、図5に示すように、時刻t8において、パイロットアーク電源回路31のモードが、モードBになる。パイロットアーク電源回路31のモードがモードBになると、非消耗電極121と外側ノズル123との間に電圧(高周波電圧ではない)を印加する。このとき印加する電圧の値は、たとえば、70〜80Vである。非消耗電極121の先端121a近傍は、メインアークMaによってプラズマ雰囲気が形成されている。そのため、メインアークMaに誘発されて、パイロットアークPa2が非消耗電極121と外側ノズル123との間に発生する。これにより、時刻t8において、非消耗電極121と外側ノズル123との間にパイロットアーク電流Ip2の通電が開始する。すなわち、時刻t8において、パイロットアーク電流Ip2として、非消耗電極121および外側ノズル123の間に中間パイロットアーク電流ip22の通電が開始する。このようにして、パイロットアーク電源回路31は、上述の第1移動工程を開始した後に、非消耗電極121および外側ノズル123の間に中間パイロットアーク電流ip22の通電を開始する。
非消耗電極121および外側ノズル123の間に中間パイロットアーク電流ip22の通電を開始するのは、時刻t8であることに限られない。たとえば、上述の第1移動工程を行なっている途中(時刻t7〜時刻t8)の間に、中間パイロットアーク電流ip22を流し始めてもよい。もしくは、時刻t8からある程度の期間の経過後、中間パイロットアーク電流ip22を流し始めてもよい。
図4(h)、図5(h)に示すように、時刻t8において、パイロットアーク電流通電検出回路35は、中間パイロットアーク電流ip22の通電の開始を検出し、パイロットアーク電流通電検出信号Dipを、動作制御回路2とメインアーク電源回路41とに送る。これにより、動作制御回路2とメインアーク電源回路41は、中間パイロットアーク電流ip22の通電が開始したと認識する。
メインアーク電源回路41は、時刻t8において、パイロットアーク電流通電検出信号Dipを受けると、時刻t9において、非消耗電極121と第1母材W1との間に流れる第1メインアーク電流im1の通電を停止する。これにより、非消耗電極121と第1母材W1との間のメインアークMaが消弧する。なお、第1メインアーク電流im1の通電を停止するのは、第1移動工程の終了後である。
動作制御回路2は、時刻t9において、パイロットアーク電流通電検出信号Dipを受けると、ロボット移動速度Vrを0とするための動作制御信号Msを溶接ロボット1に送る。これにより、時刻t8において、溶接進行方向Drにおける、非消耗電極121の第1母材W1に対する移動が停止する。なお、非消耗電極121の第1母材W1に対する移動が停止するのは、第1メインアーク電流im1の通電を停止するタイミングと同一である必要はない。たとえば、上述の第1移動工程を開始する時刻(時刻t7)において、非消耗電極121の第1母材W1への移動を停止してもよい。もしくは、第1メインアーク電流im1の通電を停止した時刻(時刻t9)の後に、非消耗電極121の第1母材W1への移動を停止してもよい。
時刻t9にてプラズマアーク溶接システムA1による第1母材W1の溶接を終了する。時刻t10からは、プラズマアーク溶接システムA1によって、母材Wとして第2母材W2への溶接を行う。時刻t9〜時刻t10の期間は、第2母材W2への溶接を行うための待機期間である。時刻t9〜時刻t10の長さは、たとえば、数分〜数十分である。
図5(c)に示すように、時刻t10において、動作制御回路2からメインアーク電源回路41に溶接開始信号Stが送られる。メインアーク電源回路41は、溶接開始信号Stを受けると、非消耗電極121と第2母材W2との間に電圧を印加する。非消耗電極121の先端121a近傍の空間には、パイロットアークPa2によってプラズマ雰囲気が形成されている。そのため、パイロットアークPa2に誘発されて、メインアークMaが非消耗電極121と第2母材W2との間に発生する。これにより、同図(d)に示すように、時刻t10において、メインアーク電流Imの通電が開始する。メインアーク電流Imの電流値は、たとえば、5〜7Aである。以下では、非消耗電極121と第2母材W2との間に流れるメインアーク電流Imを、第2メインアーク電流im2と呼ぶ。第2メインアーク電流im2の電流値は、たとえば、5〜7Aである。
図5(f)に示すように、時刻t10において、メインアーク電流通電検出回路45が、第2メインアーク電流im2の通電の開始を検出し、メインアーク電流通電検出信号Dimをパイロットアーク電源回路31に送る。これにより、パイロットアーク電源回路31は、第2メインアーク電流im2の通電が開始したと認識する。
図5(i)に示すように、時刻t10において、動作制御回路2は、ロボット移動速度Vrを予め定められた速度とするための動作制御信号Msを溶接ロボット1に送る。これにより、時刻t10において、溶接進行方向Drにおける、非消耗電極121の第2母材W2に対する移動が開始する。このように、時刻t10から、プラズマアーク溶接システムA1は、非消耗電極121および第2母材W2の間に第2メインアーク電流im2を通電させつつ、定常溶接を行う。なお、溶接進行方向Drにおける、非消耗電極121の第2母材W2に対する移動が開始するのは、第2メインアーク電流im2の通電の開始と同時である必要はない。たとえば、第2メインアーク電流im2の通電後(時刻t10後)に、溶接進行方向Drにおける、非消耗電極121の第2母材W2に対する移動を開始してもよい。
図5(e)に示すように、時刻t8〜時刻t11の間、常に、位置規定信号Spは、Lowレベルのままである。そのため、時刻t8〜時刻t11の間、位置規定機構14は、第2方向X2において、非消耗電極121を内側ノズル122に対し移動させない。このようにして、時刻t8〜時刻t11の間、位置規定機構14は、非消耗電極121の先端121aを第2領域192に位置させた状態を継続させる。位置規定機構14は、非消耗電極121の先端121aを第2領域192に位置させた状態を継続させるには、ある位置に非消耗電極121を固定しておく必要は必ずしもない。たとえば、位置規定機構14の駆動源にモータを用いている場合、非消耗電極121の先端121aが第2領域192に位置する範囲内で、非消耗電極121を内側ノズル122に対し移動させてもよい。
また、本実施形態とは異なり、時刻t8〜時刻t11の間、非消耗電極121の先端121aが第1領域191に位置するように、内側ノズル122に対し非消耗電極121を移動させてもよい。
<パイロットアーク電源回路31がモードCである期間(時刻t11〜t14)>
パイロットアーク電源回路31が、時刻t10において、メインアーク電流通電検出信号Dimを受けると、時刻t11において、パイロットアーク電源回路31のモードが、モードCになる。パイロットアーク電源回路31のモードがモードCになると、図5(b)に示すように、パイロットアーク電源回路31は、中間パイロットアーク電流ip22の通電を停止する。これにより、非消耗電極121と外側ノズル123との間のパイロットアークPa2が消弧する。
時刻t11において、電極位置制御回路38は、メインアーク電流通電検出信号Dimを受けると、第2移動指示信号sp2を生成する。電極位置制御回路38は、生成した第2移動指示信号sp2を、位置規定機構14に送る。本実施形態では、電極位置制御回路38は、位置規定信号SpをLowレベルからHighレベルに変化させる。そして、LowレベルからHighレベルに変化している位置規定信号Spが、第2移動指示信号sp2に相当する。第2移動指示信号sp2は、内側ノズル122に対し非消耗電極121を第2相対移動(後述)させるための信号である。
図2に示す位置規定機構14は、第2移動指示信号sp2を受けると、内側ノズル122に対し非消耗電極121を第2相対移動させる。内側ノズル122に対する非消耗電極121の第2相対移動とは、第2方向X2に、内側ノズル122に対し非消耗電極121が相対移動することである。位置規定機構14は、第2相対移動においては、第2領域192から第1領域191へと非消耗電極121の先端121aが移動するように、非消耗電極121を内側ノズル122に対し相対移動させる。本実施形態では、第2相対移動においては、内側ノズル122と外側ノズル123とが互いに固定されたまま、内側ノズル122に対し非消耗電極121が相対移動する。更に、本実施形態では、第2相対移動においては、非消耗電極121を第2母材W2から離間させる。以上のように、第2メインアーク電流im2の通電を開始した後に、第2方向X2に、内側ノズル122に対し非消耗電極121を相対移動させる工程(第2移動工程)を行う。図5(e)に示すように、時刻t12において、内側ノズル122に対する非消耗電極121の相対移動(第2相対移動)が終了する。
時刻t12以降は、時刻t6〜時刻t12の工程と同様の工程を、1または複数回行う。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態においては、第1メインアーク電流im1を通電する工程の間に、非消耗電極121の先端121aから第1母材W1に向かう第1方向X1に、内側ノズル122に対し非消耗電極121を相対移動させる第1移動工程を行う。第1移動工程を開始した後(時刻t7の後)に、非消耗電極121および外側ノズル123の間に中間パイロットアーク電流ip22の通電を開始する(図5(b)参照)。このような構成によると、第1メインアーク電流im1の通電している間に(メインアークMaの発生している間に)、非消耗電極121および内側ノズル122の間の絶縁破壊しやすい領域から、内側ノズル122を、退避させ始めることができる。これにより、高周波電圧の印加を回避しつつ、非消耗電極121および外側ノズル123の間にて絶縁破壊を、より確実に生じさせることが可能となる。その結果、より確実に、中間パイロットアーク電流ip22の通電を開始させることができる。すなわち、高周波電圧の印加を回避しつつ、より確実に、非消耗電極121と外側ノズル123との間に、パイロットアークPa2を発生させることができる。したがって、2重構造のトーチ12を用いた場合であっても、高周波電圧の印加をなるべく回避できる。
本実施形態においては、第1方向X1とは反対の第2方向X2に、内側ノズル122に対し非消耗電極121を相対移動させる第2移動工程を行う。第2移動工程は、第2メインアーク電流im2の通電を開始する工程の後に行う。このような構成によると、非消耗電極121の先端121aがより第1方向X1側に位置している時に、第2メインアーク電流im2の通電を開始することができる。そうすると、非消耗電極121および内側ノズル122の間の絶縁破壊しやすい領域から内側ノズル122がなるべく退避した状態にある時に、第2メインアーク電流im2の通電を開始することができる。これにより、第2メインアーク電流im2の通電開始前(すなわち、メインアークMaの発生前)にパイロットアークPa2が消弧してしまうことを、防止できる。
本実施形態においては、第1移動工程の終了時(時刻t8)から第2移動工程の開始時(時刻t11)まで、常に、非消耗電極121の先端121aを第2領域192に位置させた状態を継続させる。このような構成によると、第1移動工程の終了時(時刻t8)から第2移動工程の開始時(時刻t11)までの間にパイロットアークPa2が消弧することを、防止できる。
通常、非消耗電極121は軽量であり、移動させやすい。本実施形態では、第1移動工程においては、非消耗電極121の先端121aを第1母材W1に接近させる。このような構成は、実現しやすい。
<第2実施形態>
図6〜図9を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明では、上記と同一もしくは類似の構成については上記と同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
図6は、本発明の第2実施形態にかかるプラズマアーク溶接システムの構成を示すブロック図である。
同図に示すプラズマアーク溶接システムA2は、溶接ロボット1と、動作制御回路2と、パイロットアーク用回路3と、メインアーク用回路4と、を備える。
溶接ロボット1と、動作制御回路2と、メインアーク用回路4とは、プラズマアーク溶接システムA1におけるものと同様であるから、説明を省略する。
パイロットアーク用回路3は、パイロットアーク電源回路31と、パイロットアーク電流検出回路33と、パイロットアーク電流通電検出回路35と、電極位置制御回路38と、を含む。
パイロットアーク用回路3は、パイロットアーク電源回路31を除き、プラズマアーク溶接システムA1における構成と同様の構成である。よって、パイロットアーク電流検出回路33と、パイロットアーク電流通電検出回路35と、電極位置制御回路38についての説明は、省略する。
パイロットアーク電源回路31は、内側ノズル122に電流を流さず、外側ノズル123のみに電流を流す点において、プラズマアーク溶接システムA1におけるものと異なる。以下、具体的に説明する。
パイロットアーク電源回路31は、非消耗電極121および外側ノズル123の間に、パイロットアーク電流Ip2を流す。パイロットアーク電源回路31は、メインアーク電流通電検出回路45からメインアーク電流通電検出信号Dimを、受ける。
図7は、図6に示したプラズマアーク溶接システムA2におけるパイロットアーク電源回路31の内部構成を示すブロック図である。
図7(a)に示すように、パイロットアーク電源回路31は、電力発生部Pwと、高周波発生部HFと、パイロットアークスイッチSw1と、高周波スイッチSw4と、を有する。
電力発生部Pwと、高周波発生部HFと、パイロットアークスイッチSw1とは、プラズマアーク溶接システムA1におけるものと同様であるから、説明を省略する。
高周波スイッチSw4は、高周波発生部HFと外側ノズル123とが接続している状態と、高周波発生部HFと外側ノズル123とが接続していない状態と、を切り替える。高周波スイッチSw4が端子316に接続している場合、高周波発生部HFと外側ノズル123とが接続している状態である。一方、高周波スイッチSw4が端子317に接続している場合、高周波発生部HFと外側ノズル123とが接続していない状態である。
パイロットアーク電源回路31は、パイロットアークスイッチSw1と、高周波スイッチSw4と、の切替態様により、以下の3つのモード(モードB、モードC、モードH)をとる。
図7(a)は、パイロットアーク電源回路31のモードが、モードBである場合を示している。パイロットアーク電源回路31のモードがモードBである場合、パイロットアークスイッチSw1がオン状態であり、高周波スイッチSw4が端子317に接続している。この場合、非消耗電極121と外側ノズル123との間に、パイロットアーク電流Ip2が流れる。
図7(b)は、パイロットアーク電源回路31のモードが、モードCである場合を示している。パイロットアーク電源回路31のモードがモードCである場合、パイロットアークスイッチSw1がオフ状態であり、非消耗電極121と内側ノズル122との間、並びに、非消耗電極121と外側ノズル123との間のいずれにも、電流が流れない。
図7(c)は、パイロットアーク電源回路31のモードが、モードHである場合を示している。パイロットアーク電源回路31のモードがモードHである場合、パイロットアークスイッチSw1がオン状態であり、高周波スイッチSw4が端子316に接続している。この場合、非消耗電極121と外側ノズル123との間に、パイロットアーク電流Ip2が流れる。また、非消耗電極121と外側ノズル123との間に、高周波電圧が印加される。
次に、図8、図9を更に用いて、プラズマアーク溶接システムA2を用いたアーク溶接方法について説明する。
図8は、プラズマアーク溶接システムA2を用いたプラズマアーク溶接方法における各信号等のタイミングチャートである。図9は、図8に示した工程に続く工程における各信号等のタイミングチャートである。
図8(a)〜(j)は図4(a)〜(j)と、図9(a)〜(j)は図5(a)〜(j)とそれぞれ同様の信号等を示す。
本実施形態のアーク溶接方法は、時刻t21〜時刻t26における工程が、第1実施形態のアーク溶接方法と異なる。本実施形態の時刻t26以降の工程は、第1実施形態の時刻t6以降の工程と同様である。以下、説明する。
<パイロットアーク電源回路31がモードHである期間(時刻t21〜時刻t23)>
時刻t21において、パイロットアーク電源回路31にパイロットアーク電流通電開始信号(図示略)が送られることにより、パイロットアーク電源回路31のモードが、モードHになる。図8(j)に示すように、パイロットアーク電源回路31のモードがモードHになると、パイロットアーク電源回路31は、非消耗電極121と外側ノズル123との間に、高周波電圧を印加する。これにより、時刻t22において、非消耗電極121と外側ノズル123との間にパイロットアークPa2が発生する。パイロットアークPa2が発生すると、同図(b)に示すように、パイロットアーク電流Ip2の通電が開始する。すなわち、パイロットアーク電流Ip2として、非消耗電極121および外側ノズル123の間にスタートパイロットアーク電流ip21の通電が開始する。スタートパイロットアーク電流ip21の電流値は、たとえば、たとえば3〜20Aである。
本実施形態では、図8(e)に示すように、時刻t21から、電極位置制御回路38は、Lowレベルの位置規定信号Spを位置規定機構14に送っている。すなわち、時刻t21から、電極位置制御回路38は、非消耗電極121の先端121aを第2領域192に位置させるための位置規定信号Spを、位置規定機構14に送っている。そのため、時刻t21から、非消耗電極121の先端121aは第2領域192に位置している。
<パイロットアーク電源回路31がモードBである期間(時刻t23〜時刻t25)>
時刻t23において、パイロットアーク電源回路31のモードが、モードBになる。図8(j)に示すように、パイロットアーク電源回路31のモードがモードBになると、パイロットアーク電源回路31は、高周波電圧の印加を停止する。同図(b)に示すように、時刻t23以降、パイロットアーク電源回路31はスタートパイロットアーク電流ip21の通電を継続する。
図8(c)に示すように、時刻t24において、動作制御回路2からメインアーク電源回路41に溶接開始信号Stが送られる。メインアーク電源回路41は、溶接開始信号Stを受けると、非消耗電極121と第1母材W1との間に電圧を印加する。非消耗電極121の先端121a近傍の空間には、パイロットアークPa2によってプラズマ雰囲気が形成されている。そのため、パイロットアークPa2に誘発されて、メインアークMaが非消耗電極121と第1母材W1との間に発生する。これにより、同図(d)に示すように、時刻t24において、メインアーク電流Imの通電が開始する。非消耗電極121と第1母材W1との間に流れるメインアーク電流Imを、第1メインアーク電流im1と呼ぶ。第1メインアーク電流im1の電流値は、たとえば、5〜7Aである。
図8(f)に示すように、時刻t24において、メインアーク電流通電検出回路45が、第1メインアーク電流im1の通電の開始を検出し、メインアーク電流通電検出信号Dimをパイロットアーク電源回路31に送る。これにより、パイロットアーク電源回路31は、第1メインアーク電流im1の通電が開始したと認識する。
図8(i)に示すように、時刻t24において、動作制御回路2は、ロボット移動速度Vrを予め定められた速度とするための動作制御信号Msを溶接ロボット1に送る。これにより、時刻t24において、溶接進行方向Drにおける、非消耗電極121の第1母材W1に対する移動が開始する。このように、時刻t24から、プラズマアーク溶接システムA2は、非消耗電極121および第1母材W1の間に第1メインアーク電流im1を通電させつつ、定常溶接を行う。なお、溶接進行方向Drにおける、非消耗電極121の第1母材W1に対する移動が開始するのは、第1メインアーク電流im1の通電の開始と同時である必要はない。たとえば、第1メインアーク電流im1の通電後(時刻t24後)に、溶接進行方向Drにおける、非消耗電極121の第1母材W1に対する移動を開始してもよい。
<パイロットアーク電源回路31がモードCである期間(時刻t25以降)>
パイロットアーク電源回路31が、時刻t24において、メインアーク電流通電検出信号Dimを受けると、時刻t25において、パイロットアーク電源回路31のモードが、モードCになる。パイロットアーク電源回路31のモードがモードCになると、図8(b)に示すように、非消耗電極121と外側ノズル123との間に流れるスタートパイロットアーク電流ip21の通電を停止する。これにより、非消耗電極121と外側ノズル123との間のパイロットアークPa2が消弧する。
本実施形態では、図8(e)に示すように、時刻t24において、電極位置制御回路38は、メインアーク電流通電検出信号Dimを受けると、時刻t25において、初期移動指示信号sp3を生成する。電極位置制御回路38は、生成した初期移動指示信号sp3を、位置規定機構14に送る。本実施形態では、電極位置制御回路38は、位置規定信号SpをLowレベルからHighレベルに変化させる。そして、LowレベルからHighレベルに変化している位置規定信号Spが、初期移動指示信号sp3に相当する。初期移動指示信号sp3は、内側ノズル122に対し非消耗電極121を初期相対移動(後述)させるための信号である。
位置規定機構14は、初期移動指示信号sp3を受けると、内側ノズル122に対し非消耗電極121を初期相対移動させる。内側ノズル122に対する非消耗電極121の初期相対移動とは、第2方向X2に、内側ノズル122に対し非消耗電極121が相対移動することである。位置規定機構14は、初期相対移動においては、第2領域192から第1領域191へと非消耗電極121の先端121aが移動するように、非消耗電極121を内側ノズル122に対し相対移動させる。初期相対移動は、第1実施形態で述べた第2相対移動と同様であるから、説明を省略する。図8(e)に示すように、時刻t26において、内側ノズル122に対する非消耗電極121の相対移動を終了する。
図8、図9に示すように、時刻t26以降は、第1実施形態の時刻t6以降の工程と同様の工程を行うので、説明を省略する。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態によると、第1実施形態と同様の作用効果に加え、下記の作用効果を奏する。
本実施形態においては、第1方向X1とは反対の第2方向X2に、内側ノズル122に対し非消耗電極121を相対移動させる初期移動工程を行う。スタートパイロットアーク電流ip21を流す工程は、非消耗電極121および外側ノズル123の間に高周波電圧を印加することにより、開始される。初期移動工程は、第1メインアーク電流im1の通電を開始する工程の後に行われる。このような構成によれば、非消耗電極121と内側ノズル122との間にパイロットアークPa1を発生させずに、非消耗電極121と外側ノズル123との間にパイロットアークPa2を発生させることができる。よって、より早く、非消耗電極121と外側ノズル123との間に、スタートパイロットアーク電流ip21の通電を開始することができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
上述の説明では、第1相対移動、第2相対移動、および初期相対移動において、非消耗電極121を母材W(第1母材W1ないし第2母材W2)に対し移動させる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1相対移動、第2相対移動、および初期相対移動において、非消耗電極121と母材W(第1母材W1ないし第2母材W2)との距離を一定に保ちつつ、内側ノズル122に対し非消耗電極121を相対移動させてもよい。
上述の説明では、第1相対移動、第2相対移動、および初期相対移動において、内側ノズル122および外側ノズル123を互いに固定した状態で、非消耗電極121を移動させる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、非消耗電極121と外側ノズル123とを互いに固定した状態で、内側ノズル122に対し非消耗電極121を相対移動させてもよい。
1 溶接ロボット
11 マニピュレータ
12 トーチ
121 非消耗電極
121a 先端
122 内側ノズル
122a 開口
123 外側ノズル
123a 開口
124 シールドガスノズル
14 位置規定機構
191 第1領域
192 第2領域
2 動作制御回路
3 パイロットアーク用回路
31 パイロットアーク電源回路
311,312,316,317 端子
33 パイロットアーク電流検出回路
35 パイロットアーク電流通電検出回路
38 電極位置制御回路
4 メインアーク用回路
41 メインアーク電源回路
43 メインアーク電流検出回路
45 メインアーク電流通電検出回路
A モード
A1 プラズマアーク溶接システム
A2 プラズマアーク溶接システム
B モード
C モード
CG センターガス
Dim メインアーク電流通電検出信号
Dip パイロットアーク電流通電検出信号
Dr 溶接進行方向
En 溶接終了信号
H モード
HF 高周波発生部
Idm メインアーク電流検出信号
Idp パイロットアーク電流検出信号
Im メインアーク電流
im1 第1メインアーク電流
im2 第2メインアーク電流
Ip1 パイロットアーク電流
ip1 初期パイロットアーク電流
Ip2 パイロットアーク電流
ip21 スタートパイロットアーク電流
ip22 中間パイロットアーク電流
Ma メインアーク
Ms 動作制御信号
Pa1 パイロットアーク
Pa2 パイロットアーク
PG プラズマガス
Pw 電力発生部
SG シールドガス
Sp 位置規定信号
sp1 第1移動指示信号
sp2 第2移動指示信号
sp3 初期移動指示信号
St 溶接開始信号
Sw1 パイロットアークスイッチ
Sw2 ノズルスイッチ
Sw3,Sw4 高周波スイッチ
Vr ロボット移動速度
W 母材
W1 第1母材
W2 第2母材
X1 第1方向
X2 第2方向

Claims (15)

  1. 非消耗電極と、前記非消耗電極を囲む内側ノズルと、前記内側ノズルを囲む外側ノズルと、を備えるトーチを用い、
    前記非消耗電極および第1母材の間に第1メインアーク電流を通電する工程と、
    前記第1メインアーク電流を通電する工程の間に、前記非消耗電極の先端から前記第1母材に向かう第1方向に、前記内側ノズルに対し前記非消耗電極を相対移動させる第1移動工程と、
    前記第1移動工程を開始した後に、前記非消耗電極および前記外側ノズルの間に中間パイロットアーク電流の通電を開始する工程と、
    前記中間パイロットアーク電流の通電を開始する工程の後に、前記第1メインアーク電流の通電を停止する工程と、
    前記中間パイロットアーク電流が流れている間に、前記非消耗電極および第2母材の間に第2メインアーク電流の通電を開始する工程と、を備える、プラズマアーク溶接方法。
  2. 前記第1方向とは反対の第2方向に、前記内側ノズルに対し前記非消耗電極を相対移動させる第2移動工程を更に備え、
    前記第2移動工程は、前記第2メインアーク電流の通電を開始する工程の後に行う、請求項1に記載のプラズマアーク溶接方法。
  3. 前記第1メインアーク電流の通電を停止する工程は、前記第1移動工程の終了後に行う、請求項1または請求項2に記載のプラズマアーク溶接方法。
  4. 前記第1移動工程においては、第1領域から第2領域へと前記非消耗電極の先端が移動するように、前記非消耗電極を前記内側ノズルに対し相対移動させ、
    前記第2移動工程においては、前記第2領域から前記第1領域へと前記非消耗電極の先端が移動するように、前記非消耗電極を前記内側ノズルに対し相対移動させ、
    前記第1領域は、前記内側ノズルの開口に対して前記第2方向側に位置する領域であり、
    前記第2領域は、前記開口に対して前記第1方向側に位置する領域である、請求項2に記載のプラズマアーク溶接方法。
  5. 前記第1移動工程の終了時から前記第2移動工程の開始時まで、常に、前記非消耗電極の先端を前記第2領域に位置させた状態を継続させる工程を更に備える、請求項4に記載のプラズマアーク溶接方法。
  6. 前記第1移動工程においては、前記非消耗電極の先端を前記第1母材に接近させる、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のプラズマアーク溶接方法。
  7. 前記非消耗電極および前記外側ノズルの間に、スタートパイロットアーク電流を通電する工程を更に備え、
    前記第1メインアーク電流を通電する工程は、前記スタートパイロットアーク電流を通電する工程の間に、開始する、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のプラズマアーク溶接方法。
  8. 前記非消耗電極および前記内側ノズルの間に、初期パイロットアーク電流を通電する工程を更に備え、
    前記初期パイロットアーク電流を通電する工程は、前記非消耗電極および前記内側ノズルの間に高周波電圧を印加することにより、開始され、
    前記スタートパイロットアーク電流を通電する工程は、前記初期パイロットアーク電流を通電する工程から移行される、請求項7に記載のプラズマアーク溶接方法。
  9. 前記第1方向とは反対の第2方向に、前記内側ノズルに対し前記非消耗電極を相対移動させる初期移動工程を更に備え、
    前記スタートパイロットアーク電流を通電する工程は、前記非消耗電極および前記外側ノズルの間に高周波電圧を印加することにより、開始され、
    前記初期移動工程は、前記第1メインアーク電流を通電する工程の開始後に行われる、請求項7に記載のプラズマアーク溶接方法。
  10. 非消耗電極と、前記非消耗電極を囲む内側ノズルと、前記内側ノズルを囲む外側ノズルと、を備えるトーチを用いたプラズマアーク溶接方法を行うプラズマアーク溶接システムであって、
    前記非消耗電極および母材の間にメインアーク電流を通電するメインアーク電源回路と、
    前記メインアーク電源回路が前記メインアーク電流を流している間に、第1移動指示信号を生成する電極位置制御回路と、
    前記第1移動指示信号が生成された後に、前記非消耗電極および前記外側ノズルの間に中間パイロットアーク電流の通電を開始するパイロットアーク電源回路と、を備え、
    前記第1移動指示信号は、前記内側ノズルに対し前記非消耗電極を第1相対移動させるための信号であり、前記第1相対移動は、前記非消耗電極の先端から前記母材に向かう第1方向に、前記内側ノズルに対し前記非消耗電極が相対移動することである、プラズマアーク溶接システム。
  11. 前記メインアーク電流の通電を検出すると、メインアーク電流通電検出信号を生成するメインアーク電流通電検出回路を更に備え、
    前記電極位置制御回路は、前記メインアーク電流通電検出信号が生成された後に、第2移動指示信号を生成し、
    前記第2移動指示信号は、前記内側ノズルに対し前記非消耗電極を第2相対移動させるための信号であり、前記第2相対移動は、前記第1方向とは反対の第2方向に、前記内側ノズルに対し前記非消耗電極が相対移動することである、請求項10に記載のプラズマアーク溶接システム。
  12. 前記メインアーク電源回路は、前記第1相対移動の終了後に、前記メインアーク電流の通電を停止する、請求項10に記載のプラズマアーク溶接システム。
  13. 前記トーチと、
    前記非消耗電極の前記内側ノズルに対する位置を規定する位置規定機構と、を更に備え、
    前記位置規定機構は、前記電極位置制御回路から、前記第1移動指示信号を受けると、前記非消耗電極を前記第1相対移動させる、請求項10ないし請求項12のいずれかに記載のプラズマアーク溶接システム。
  14. 前記位置規定機構は、
    前記第1相対移動においては、第2領域から第1領域へと前記非消耗電極の先端が移動するように、前記非消耗電極を前記内側ノズルに対し相対移動させ、
    前記第2相対移動においては、前記第1領域から前記第2領域へと前記非消耗電極の先端が移動するように、前記非消耗電極を前記内側ノズルに対し相対移動させ、
    前記第1領域は、前記内側ノズルの開口に対して前記第2方向側に位置する領域であり、
    前記第2領域は、前記開口に対して前記第1方向側に位置する領域である、請求項13に記載のプラズマアーク溶接システム。
  15. 前記位置規定機構は、前記第1相対移動の終了時から前記第2相対移動の開始時まで、常に、前記非消耗電極の先端を前記第2領域に位置させた状態を継続させる、請求項14に記載のプラズマアーク溶接システム。
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