JP2014000054A - 摂取後血糖値が上昇し難いうどん - Google Patents

摂取後血糖値が上昇し難いうどん Download PDF

Info

Publication number
JP2014000054A
JP2014000054A JP2012139218A JP2012139218A JP2014000054A JP 2014000054 A JP2014000054 A JP 2014000054A JP 2012139218 A JP2012139218 A JP 2012139218A JP 2012139218 A JP2012139218 A JP 2012139218A JP 2014000054 A JP2014000054 A JP 2014000054A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
noodle
udon
viscoelasticity
wheat flour
boiled
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012139218A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6124431B2 (ja
Inventor
Yuriko Udagawa
優理子 宇田川
Katsunori Ozaki
克典 尾崎
Yasuaki Komatsu
泰昭 小松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimadaya Corp
Original Assignee
Shimadaya Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimadaya Corp filed Critical Shimadaya Corp
Priority to JP2012139218A priority Critical patent/JP6124431B2/ja
Publication of JP2014000054A publication Critical patent/JP2014000054A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6124431B2 publication Critical patent/JP6124431B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Jellies, Jams, And Syrups (AREA)
  • Noodles (AREA)

Abstract

【課題】うどんの食感の特長である柔らかさや粘弾性を損なうことなく、摂食後の血糖値の急激な上昇を抑制しうる茹うどんを提供すること。
【解決手段】小麦粉とアルギン酸塩とを含む製麺原料を混練して得たうどん生地を製麺し、得られた麺線を茹で上げた後、カルシウム液に浸漬するアルギン酸カルシウムゲル形成処理を行い、その後、凍結処理又はフィルム充填後加熱殺菌処理を行う、粘弾性改善茹うどんであって、小麦粉と食塩のみを原料とし、同様に調製した対照茹うどんと比較して、摂食状態に茹で戻された麺線をレオメーターにより切断した際の破断応力を示す圧縮深度がより大きくなるように粘弾性が改善されており、かかる粘弾性の改善の手段が、(A)製麺原料として、小麦粉とアルギン酸塩に加えて、糊化粘度が小麦粉より高い澱粉の配合;及び/又は(B)麺線を大気圧より高圧下の100℃を超える温度で茹で上げる処理;である粘弾性改善茹うどんとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、従来のうどんに比べ摂食後の血糖値が上昇し難いうどん、すなわち摂食後の血糖値上昇を抑制しうる茹うどんであって、かつ、喫食時の粘弾性が改善された茹うどんに関する。
近年、我国の糖尿病や糖尿病が疑われる人は増加の一途をたどり、食事療法に至らない迄も、野菜を意識した食事など、血糖値の急激な上昇要因となるものを避けようと食品の選別を行う消費者は増えつつある。また、血糖値の急激な上昇はインスリンを過剰に分泌させて肥満の一因ともいわれ、飽食の時代にあって、ダイエットの観点から血糖値の急激な上昇を招く食品を避けたいとする消費者も少なくない。
食後の血糖値の急激な上昇を抑制する高分子の食品素材を含む飲食品は以前から知られており、かかる高分子の食品素材の一つとしてアルギン酸カルシウムのゲルを含む麺類等の食品が知られている。
例えば、アルギン酸ナトリウムを生地に混合して製麺しためん類を塩化カルシウム溶液中に浸漬する手段により、麺の伸び易さを改善する麺類の製造方法(例えば、特許文献1参照)や、一種又は数種の所要食品材料中に所要量のアルギン酸塩を配合して練り合せ、所望粘状となった材料を注出機に設けた所要形状のノズルより注出して、これをカルシウム含有反応液中に浸し、所要時間経過後に該反応液中より取り出すことにより、アルギン酸カルシウム被膜により美しい光沢を放ち、さらっとして弾力ある口当たりを有するうどん、そば、マカロニ等(例えば、特許文献2参照)や、澱粉質食品素材固形物の少なくとも表面にゲル化剤を含有又は付着させ、次いでこれを多価金属イオンを含む液に浸漬して該固形物の表面のみをゲル化することにより、調味液等に浸漬した状態で加熱処理、長期保存、流通が可能になるすいとん(例えば、特許文献3参照)や、穀粉を主原料とし、アルギン酸ナトリウムを含む麺帯を形成し、この麺帯の少なくとも一方の表面に、カルシウムイオンを含有する溶液又は粉末を塗布し、この塗布面が内側になるように前記麺帯を接合させた後、圧延し、切断する麺類の製造方法(例えば、特許文献4参照)の他、アルギン酸ナトリウムと牛骨カルシウムを共に添加して調製したうどん(例えば、特許文献5参照)が知られている。
しかし、うどん本来のやわらかい食感、粘弾性と程よいかたさを併せ持つ、摂食後血糖値が上昇し難い茹うどんは知られていない。
特開昭62−79749号公報 特開昭62−296849号公報 特開昭63−192353号公報 特開2004−8180号公報 特開平7−147935号公報
うどんは、喫食時の食感のやわらかさが好まれ、そのやわらかさ故に消化されやすく、血中グルコース濃度が上昇し易いという問題がある。本発明の課題は、うどんの食感の特長である柔らかさや粘弾性を損なうことなく、摂食後の血糖値の急激な上昇を抑制しうる茹うどんを提供することにある。
本発明者らは、少なくとも、小麦粉とアルギン酸塩を原料とし、混練して得たうどん生地を製麺し、茹で上げた麺線をカルシウム液に浸漬して、アルギン酸カルシウムゲルを形成した茹うどんについて、その食感を様々に調整するとともに、摂食者の血糖値の上昇の抑制効果との関係について鋭意研究した結果、アルギン酸カルシウムゲルによる食感のかたさがなく、茹うどん本来のやわらかさやもちもち感、適宜のかたさを有する粘弾性が改善された茹うどんとするには、同じ小麦粉と食塩のみを原料として、同等の生地状態に混練して得たうどん生地を、同等の方法により同等の形状に製麺し、大気圧下で茹で上げ同等の水分に調整し、同じ流通温度帯で保存された対照茹うどんと比較して、摂食状態に茹で戻された麺線をレオメーターにより切断した際の破断応力を示す圧縮深度がより大きくなるように粘弾性を改善すればよいことにたどりつき、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(1)小麦粉とアルギン酸塩とを含む製麺原料を混練して得たうどん生地を製麺し、得られた麺線を茹で上げた後、カルシウム液に浸漬するアルギン酸カルシウムゲル形成処理を行い、その後、凍結処理又はフィルム充填後加熱殺菌処理を行う、粘弾性改善茹うどんであって、前記小麦粉と食塩のみを原料とし、前記粘弾性改善茹うどんと同等の生地状態に混練して得たうどん生地を、同等の方法により同等の形状に製麺し、大気圧下で茹で上げ同等の水分に調整し、同じ流通温度帯で保存された対照茹うどんと比較して、摂食状態に茹で戻された麺線をレオメーターにより切断した際の破断応力を示す圧縮深度がより大きくなるように粘弾性が改善されており、かかる粘弾性の改善の手段が(A)製麺原料として、小麦粉とアルギン酸塩に加えて、糊化粘度が小麦粉より高い澱粉の配合;及び/又は(B)麺線を大気圧より高圧下の100℃を超える温度で茹で上げる処理;であることを特徴とする摂食後の血糖値上昇を抑制しうる粘弾性改善茹うどんに関する。
また本発明は、(2)製麺原料が、小麦粉と糊化粘度が小麦粉より高い澱粉の合計量に対して、1.5〜4質量%のアルギン酸塩を含むことを特徴とする上記(1)記載の摂食後の血糖値が上昇し難い茹うどんや、(3)製麺原料が、小麦粉と糊化粘度が小麦粉より高い澱粉の合計量に対して、25〜50質量%の糊化粘度が小麦粉より高い澱粉を含むことを特徴とする上記(1)記載の粘弾性改善茹うどんに関する。
本発明によると、うどんの特徴である食感のやわらかさやもちもち感を損なうことなく、食感の粘弾性を向上させながら、摂食者の消化が緩慢になり、空腹時の血糖値が100〜130mg/dl以上の比較的高血糖体質の人に対して茹うどん摂食後の血糖値の急激な上昇を抑制することができる茹うどんを提供することができる。
レオメーターによりうどん麺線を切断する際の圧縮深度と応力の関係曲線を示す図である。 アルギン酸カルシウムゲル形成処理の単一の影響を示す代表曲線の比較を示す図である。 本発明を説明する代表曲線の比較を示す図である。 表1の4区分のレオメーターの代表曲線の比較を示す図である。 表2の5区分のレオメーターの代表曲線の比較を示す図である。 実施例の血糖値の変化量の推移の比較を示す図である。
本発明の摂食後の血糖値上昇を抑制しうる粘弾性改善茹うどんとしては、小麦粉とアルギン酸塩とを含む製麺原料を混練して得たうどん生地を製麺し、得られた麺線を茹で上げた後、カルシウム液に浸漬するアルギン酸カルシウムゲル形成処理を行い、その後、凍結処理又はフィルム充填後加熱殺菌処理を行う、粘弾性改善茹うどんであって、この粘弾性改善茹うどんに用いた同じ小麦粉と食塩のみを原料とし、前記粘弾性改善茹うどんと同等の生地状態に混練して得たうどん生地を、同等の方法により同等の形状に製麺し、大気圧下で茹で上げ同等の水分に調整し、同じ流通温度帯で保存された対照の茹うどん(以下「対照茹うどん」ということがある)と比較して、摂食状態に茹で戻された麺線をレオメーターにより切断した際の破断応力を示す圧縮深度がより大きくなるように粘弾性が改善されており(以下「粘弾性改善効果を奏する」ということがある)、かかる粘弾性の改善の手段が、(A)製麺原料として、小麦粉とアルギン酸塩に加えて、糊化粘度が小麦粉より高い澱粉の配合;及び/又は(B)麺線を大気圧より高圧下の100℃を超える温度で茹で上げる処理;である粘弾性改善茹うどんであれば特に制限されず、上記のように、粘弾性改善手段(A)と(B)は併用することができる。
上記小麦粉としては、粘弾性改善効果を奏する限り特に制限されず、例えば、輸入小麦のASW(オーストラリア産スタンダードホワイト)、キタホナミ等の北海道小麦、九州小麦のチクゴイズミに代表される低アミロース系統の小麦等から得られる小麦粉を挙げることができる。
上記小麦粉とアルギン酸塩と糊化粘度が小麦粉より高い澱粉とを含む製麺原料を混練して得たうどん生地を製麺し、得られた麺線を茹で上げた後、カルシウム液に浸漬するアルギン酸カルシウムゲル形成処理を行い、その後、凍結処理又はフィルム充填後加熱殺菌処理を行う粘弾性改善茹うどん(以下「本件茹うどん[1]」ということがある)や、上記小麦粉とアルギン酸塩と糊化粘度が小麦粉より高い澱粉とを含む製麺原料を混練して得たうどん生地を製麺し、得られた麺線を大気圧より高圧下の100℃を超える温度で茹で上げた後、カルシウム液に浸漬するアルギン酸カルシウムゲル形成処理を行い、その後、凍結処理を行う粘弾性改善茹うどん(以下「本件茹うどん[3]」ということがある)の製造における小麦粉は、澱粉等の配合によりグルテンが不足する場合があり、そのため蛋白値の高いものでも使用できるが、中力粉も用いることができる。中力粉を用いる場合、活性グルテンを併用することが好ましい。
上記糊化粘度が小麦粉より高い澱粉としては、タピオカ澱粉、もちとうもろこし澱粉や、これらを含め、小麦澱粉、米澱粉等の穀類澱粉、いも類澱粉、豆類澱粉に、アセチル化、エーテル化等の糊化粘度を高める処理をした加工澱粉類を用いることができるが、タピオカ澱粉が好ましく、エーテル化タピオカ澱粉がより好ましい。また、かかる澱粉の配合量としては、粘弾性改善効果を奏する限り特に限定されないが、上記本件茹うどん[1]などの場合には、小麦粉と糊化粘度が小麦粉より高い澱粉の合計量に対して、25〜50質量%の範囲が好ましいが、上記小麦粉とアルギン酸塩とを含む製麺原料を混練して得たうどん生地を製麺し、得られた麺線を大気圧より高圧下の100℃を超える温度で茹で上げた後、カルシウム液に浸漬するアルギン酸カルシウムゲル形成処理を行い、その後、凍結処理を行う粘弾性改善茹うどん(以下「本件茹うどん[2]」ということがある)の場合は特に必要とせず、上記本件茹うどん[3]の場合は、小麦粉と糊化粘度が小麦粉より高い澱粉の合計量に対して25〜50質量%以下、例えば10〜40質量%の範囲であってもよい。
アルギン酸塩としては、アルギン酸ナトリウムやアルギン酸カリウムが使用できる。アルギン酸塩は練水に溶解し糊状の練水で混練してもよいが、微粒子に篩い分けされた製品の場合には原料の一部に粉体混合してもよい。
小麦粉と糊化粘度が小麦粉より高い澱粉の合計量(糊化粘度が小麦粉より高い澱粉を用いない場合は小麦粉量)に対して、アルギン酸塩の添加量は、粘弾性改善効果を奏する限り特に限定されないが、1〜5質量%が好ましく、1.5〜4質量%がより好ましい。アルギン酸塩量が1質量%未満の場合は、摂食後の血糖値上昇の抑制効果が不十分となるおそれがあり、5質量%を超える場合は、粘弾性改善効果を奏することが難しくなる可能性がある。
また、本件茹うどん[1]や本件茹うどん[2]や本件茹うどん[3]の製造に際しては、活性グルテンや油脂類、練水に添加する食塩や、卵白粉、全卵粉などの卵粉、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム等のうどんの食味性や製麺性を向上させるものであれば何でも原料として使用できる。
本発明におけるアルギン酸カルシウムゲル形成処理は、アルギン酸塩を糊状の練水や粉体の形態で原料に添加して常法により製麺し、茹で上げた麺線をカルシウム液に浸漬するもので、茹で上げ以後にカルシウム液に浸漬する処理である。また、流通時の保存性を高めるため有機酸浴処理を行う場合は、カルシウム液の浸漬の後に有機酸液に浸漬してもよいが、カルシウムと有機酸を共に添加した液に浸漬することもできる。
カルシウム液は、カルシウムイオンが0.01〜0.1モル、望ましくは0.03〜0.07モルの濃度であれば、1〜2分の浸漬時間で合理的にアルギン酸カルシウムゲル形成処理を終えることができる。カルシウム液はカルシウム塩を水に溶解することによって調製することができる。カルシウム塩は何でも使用できるが、連続処理に際し高濃度の滴下液として予め備える都合から、単一で溶解度の高い塩化カルシウムや乳酸カルシウムが最も適している。
凍結処理は、茹で上げ直後の食感を維持するため急速凍結が好ましく、茹上後30分以内に凍結が終了できればよい。また、フィルム充填後の加熱殺菌処理としては、10℃以下のチルドを含む常温流通に際して保存性を向上させるために、密封包装後に蒸気や熱水やマイクロウエーブ等による二次的な加熱処理を例示することができ、70〜100℃、望ましくは75〜90℃の雰囲気で加熱することが好ましい。
本件茹うどん[1]や[3]は、対照茹うどんの強固で硬い麺線と比べ、糊化粘度が小麦粉より高い澱粉を原料に加えたことにより、麺線を硬さのないやわらかな状態にしながらもアルギン酸カルシウムのゲル形成による組織結着力が保持されている。小麦粉とアルギン酸塩と食塩のみを原料として茹で上げた麺線を、アルギン酸カルシウムゲル形成処理を行うことによって得られる強固でかたい食感のうどんに、糊化粘度が小麦粉より高い澱粉を原料に加えていくと、始めは食感のかたさの緩和のみで対照茹うどんに粘弾性の点で及ばない状態(図3の領域L)から、対照茹うどんより粘弾性に優れる状態(図3の領域H)に移行する。
麺の食感の硬さと粘弾性の特徴は、例えばレオメーター(サン科学社製)により、麺線を感圧軸で切断する際に記録される圧縮深度と応力の関係曲線(図1参照)により示すことができる。一定速度で上昇する試料台のうどん麺線を感圧軸で垂直に圧縮する過程の応力を記録し、破断の瞬間の最大応力D(食感のかたさの指標)と、該最大応力を示す圧縮深度B(食感の粘弾性の指標)から、うどんの食感を客観的に評価できる。なお図1において、Aは感圧軸が麺線に接触した瞬間、Cは試料台に突き当たる瞬間を示し、AとCの間隔は麺線の厚みに相当し、破断座標は最大応力Dと最大応力を示す圧縮深度Bを同時に表している。
例えば、小麦粉とアルギン酸ナトリウムと食塩のみを原料として茹で上げた麺線を、アルギン酸カルシウムゲル形成処理を行うことによって得た冷凍うどんにおいて、アルギン酸ナトリウムの小麦粉に対する添加率1.5%質量%と3.0質量%のうどんと、該茹うどんの小麦粉と食塩のみを原料とし、同等の生地状態に混練して得たうどん生地を、同等の方法により製麺し、同等の形状で同等の水分に調製した対照となる冷凍茹うどんの関係は、アルギン酸ナトリウムの添加量が増えるに従い、破断の瞬間の最大応力(以下「破断応力」という場合がある)は高く、破断応力を示す圧縮深度(以下「破断深度」という場合がある)は小さくなる傾向を図2のグラフに示した。すなわち、アルギン酸カルシウムゲル形成処理それ自体は、うどんを固くして冷凍うどんの粘弾性を低下させるものである。
次に、小麦粉と、タピオカ澱粉と、アルギン酸ナトリウムと食塩を原料とする冷凍うどんにおいて、アルギン酸ナトリウムを小麦粉とタピオカ澱粉の合計量に対して1.5質量%を添加し、タピオカ澱粉の配合率を小麦粉とタピオカ澱粉の合計量に対して10質量%と25質量%とした場合の、対照茹うどんとの関係を図3に示した。対照茹うどんと比較して、タピオカ澱粉の配合率10質量%の破断深度は小さく、破断座標は領域Lにあって、タピオカ澱粉の配合率25質量%の破断深度は大きく、破断座標は領域Hにあった。すなわち、アルギン酸ナトリウムが1.5質量%添加によるアルギン酸カルシウムゲルの形成された冷凍うどんにおいて、タピオカ澱粉の配合率が10質量%程度では、アルギン酸カルシウム形成処理を行わない対照茹うどんより、食感の粘弾性に劣り、25質量%を超えると粘弾性が改善されることを示している。
本件茹うどん[2]や[3]は、大気中より高圧下の100℃を超える温度、望ましくは105〜130℃、好ましくは115〜120℃で茹上げた麺線を、アルギン酸カルシウムゲル形成処理を行い、その後急速凍結を行うことで、大気圧下の100℃以下の温度で茹る場合と比べ、茹で上げ時の小麦粉を含めた糊化粘度を高めることができる。また、本件茹うどん[1]に比べて、茹うどんの小麦粉の配合率を高めることが可能になり、食感の粘弾性を高めると共に小麦粉の風味や色調を損なうことなく摂食後の血糖値の急激な上昇を抑制することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。以下の実施例では茹うどんの流通温度帯がチルドである場合について説明する。
〔サンプルの調製〕
粉体原料は、ASW主体の小麦粉(日清製粉:金すずらん)と、糊化粘度が小麦粉より高粘度の澱粉としてのエーテル化タピオカ澱粉(松谷化学:ゆり)と、アルギン酸塩としての粒度150メッシュパスの粉末アルギン酸ナトリウムと、その他に粉末活性グルテンを[表1]記載の組成で均一混合した。練り水は、4%の食塩水を加水率39〜43%の範囲で加え混練し、減圧度は60キロパスカルで10分〜15分、概ね同じ状態のそぼろ状で温度28〜34℃のうどん生地に調製した。
これらを10mmの粗麺帯に成形し、同厚みで複合し、該麺帯を25℃60分乾かない条件でねかし、3段の平ロールで3.2mmに圧延すると共に、溝幅3.5mmの切歯で細断した。得られた麺線を、98℃の茹水中で10〜15分茹で上げ、水分68.6〜70.9%に調節した。その後15℃の水中で2回晒して粗熱を除き、5℃の酢酸とカルシウムの混合液を茹麺の1.5倍量で60秒間浸漬した。なお、酢酸は0.27質量%、カルシウムは塩化カルシウムを0.5質量%の濃度になるよう溶解した。
その後、速やかに付着液を除き1食200gをポリフィルムで密封後、90℃30分の蒸気殺菌を行い、速やかに10℃の冷蔵庫内で冷却保管してチルド茹うどん(参考例1及び実施例1)を調製した。また、同小麦粉のみを粉体原料とした対照茹うどん、同小麦粉と同アルギン酸ナトリウムを粉体原料とした比較茹うどん(比較例1)を合わせて調製した。
小麦粉とエーテル化タピオカ澱粉の合計量に対してアルギン酸ナトリウム1.5質量%添加の実施例1及び参考例1の茹うどん、比較例1の茹うどん、並びに対照茹うどんの原料組成、茹時間及び茹麺水分を[表1]にまとめた。
同様にして、小麦粉とエーテル化タピオカ澱粉の合計量に対してアルギン酸ナトリウム3.0質量%添加の実施例2、実施例3、及び参考例2の茹うどん、比較例2の茹うどん、並びに対照茹うどんを作製した。これら茹うどんの原料組成、茹で時間及び水分を[表2]にまとめた。
〔レオメーターによる切断試験〕
レオメーターによる切断試験のサンプルは、10℃で3日保管したサンプル1食を1.5Lの手鍋で3分間茹で戻した後、1分程度で麺線の温度が15℃になるように冷却し、ざるで水を切りその後1分経過した時点から6分経過する間に、10回切断し、その中からイレギュラーなデータを除いた6〜8回のデータの圧縮深度をそろえ、応力の平均値より描かれる応力変形曲線を代表曲線とした。なお、レオメーターの試料台の上昇速度は毎秒1mm、応力の記録は0.025秒間隔とした。
まず、表1のアルギン酸ナトリウム1.5質量%の4区分である対照茹うどん、実施例1(エーテル化タピオカ澱粉25質量%)、参考例1(エーテル化タピオカ澱粉10質量%)、比較例1(エーテル化タピオカ澱粉0質量%)の代表曲線を図4のグラフ上に示したところ、対照茹うどんと比べて、参考例1の破断深度は小さく、実施例1の破断深度は大きかった。
次に、表2のアルギン酸ナトリウム3.0質量%の5区分である対照茹うどん、参考例2(エーテル化タピオカ澱粉20質量%)、実施例2(エーテル化タピオカ澱粉30質量%)、実施例3(エーテル化タピオカ澱粉50質量%)、比較例2(エーテル化タピオカ澱粉0質量%)の代表曲線を図5のグラフ上に示したところ、対照茹うどんと比べて、参考例2の破断深度は小さく、実施例2の破断深度は大きく、実施例3の破断深度は更に大きかった。
すなわち、アルギン酸ナトリウム濃度が1.5質量%では、エーテル化タピオカ澱粉の配合率10質量%と25質量%の間で対照茹うどんの破断深度を超え、アルギン酸ナトリウム濃度が3.0質量%では、エーテル化タピオカ澱粉の配合率20質量%と30質量%の間で対照茹うどんの破断深度を超えることが示された。
〔血糖値上昇抑制効果確認試験〕
対照茹うどん、実施例1、実施例3、及び追加試験食としてアルギン酸ナトリウムを2.0質量%、アセチル化タピオカ澱粉を35質量%に替えた区分を加えた合計4点を用意し、血糖値の測定を臨床検査機関(CPCC株式会社)に委託した。被験者は日本国籍の20歳以上、空腹時血糖値が110mg/dL前後の12名を対象とし、条件に偏りがない手法により行われた。その血糖値を表3に示し、血糖値の変化量を表4に、同変化量の平均値の推移を図6のグラフに示した。
被験者12名の摂食前の血糖値の平均は104〜109mg/dL、血糖値の変化量より最大血糖値を示した摂食後60分において被験者12名の平均値が、追加試験食で38.3mg/dL、実施例3の試験食で35.2mg/dLを示し、これらは、対照茹うどんの42.2mg/dLより低かったが、t分布に従う確率は、追加試験食が47%、実施例3の試験食が5%で、対照茹うどんに対し有意性が高く認められたのは実施例3の試験食だった。このように、実施例3の試験食は、アルギン酸ナトリウム3.0質量%とエーテル化タピオカ澱粉50質量%で、破断応力は対照茹うどんに次いで低く、破断深度はサンプル区分の中でもっとも大きい。すなわち、やわらかく最も粘弾性の高い、うどんに最も適した食感でありながら、対照茹うどんに対し有意に血糖値の上昇を抑制していた。

Claims (3)

  1. 小麦粉とアルギン酸塩とを含む製麺原料を混練して得たうどん生地を製麺し、得られた麺線を茹で上げた後、カルシウム液に浸漬するアルギン酸カルシウムゲル形成処理を行い、その後、凍結処理又はフィルム充填後加熱殺菌処理を行う、粘弾性改善茹うどんであって、
    前記小麦粉と食塩のみを原料とし、前記粘弾性改善茹うどんと同等の生地状態に混練して得たうどん生地を、同等の方法により同等の形状に製麺し、大気圧下で茹で上げ同等の水分に調整し、同じ流通温度帯で保存された対照茹うどんと比較して、摂食状態に茹で戻された麺線をレオメーターにより切断した際の破断応力を示す圧縮深度がより大きくなるように粘弾性が改善されており、
    かかる粘弾性の改善の手段が以下の(A)及び/又は(B)であることを特徴とする摂食後の血糖値上昇を抑制しうる粘弾性改善茹うどん。
    (A)製麺原料として、小麦粉とアルギン酸塩に加えて、糊化粘度が小麦粉より高い澱粉の配合;
    (B)麺線を大気圧より高圧下の100℃を超える温度で茹で上げる処理;
  2. 製麺原料が、小麦粉と糊化粘度が小麦粉より高い澱粉の合計量に対して、1.5〜4質量%のアルギン酸塩を含むことを特徴とする請求項1記載の摂食後の血糖値が上昇し難い茹うどん。
  3. 製麺原料が、小麦粉と糊化粘度が小麦粉より高い澱粉の合計量に対して、25〜50質量%の糊化粘度が小麦粉より高い澱粉を含むことを特徴とする請求項1記載の粘弾性改善茹うどん。
JP2012139218A 2012-06-20 2012-06-20 摂取後血糖値が上昇し難いうどん Active JP6124431B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012139218A JP6124431B2 (ja) 2012-06-20 2012-06-20 摂取後血糖値が上昇し難いうどん

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012139218A JP6124431B2 (ja) 2012-06-20 2012-06-20 摂取後血糖値が上昇し難いうどん

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014000054A true JP2014000054A (ja) 2014-01-09
JP6124431B2 JP6124431B2 (ja) 2017-05-10

Family

ID=50033914

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012139218A Active JP6124431B2 (ja) 2012-06-20 2012-06-20 摂取後血糖値が上昇し難いうどん

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6124431B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019130634A1 (ja) * 2017-12-28 2019-07-04 シマダヤ株式会社 高食感健康ゆで麺

Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6279749A (ja) * 1985-10-03 1987-04-13 Taiyo Fishery Co Ltd めん類の製造方法
JPS62296849A (ja) * 1986-06-16 1987-12-24 Mimura Itsuo 各種食品製造法
JPS63192353A (ja) * 1987-02-05 1988-08-09 Otsuka Shokuhin Kogyo Kk 食品の製造法
JPH0423968A (ja) * 1990-05-17 1992-01-28 Meiji Seika Kaisha Ltd 食品用組成物
JPH07147935A (ja) * 1993-11-26 1995-06-13 Meiji Seika Kaisha Ltd ダイエット・糖尿病用食品
JPH09172A (ja) * 1995-06-22 1997-01-07 Hercules Inc コートした食物
JP2002281923A (ja) * 2001-03-23 2002-10-02 Kimica Corp 加熱調理された麺およびその製造方法
JP2002354998A (ja) * 2001-03-30 2002-12-10 Nisshin Flour Milling Inc 茹伸び耐性を有する麺類
JP2005534309A (ja) * 2002-07-30 2005-11-17 ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ 周囲安定性のパック詰めパスタの工業的製造方法
JP2006158342A (ja) * 2004-12-10 2006-06-22 Nissin Food Prod Co Ltd 加熱調理不要な冷麺類およびその製造方法
JP2008228712A (ja) * 2007-03-23 2008-10-02 Sanderitsuku Foods:Kk うどん

Patent Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6279749A (ja) * 1985-10-03 1987-04-13 Taiyo Fishery Co Ltd めん類の製造方法
JPS62296849A (ja) * 1986-06-16 1987-12-24 Mimura Itsuo 各種食品製造法
JPS63192353A (ja) * 1987-02-05 1988-08-09 Otsuka Shokuhin Kogyo Kk 食品の製造法
JPH0423968A (ja) * 1990-05-17 1992-01-28 Meiji Seika Kaisha Ltd 食品用組成物
JPH07147935A (ja) * 1993-11-26 1995-06-13 Meiji Seika Kaisha Ltd ダイエット・糖尿病用食品
JPH09172A (ja) * 1995-06-22 1997-01-07 Hercules Inc コートした食物
JP2002281923A (ja) * 2001-03-23 2002-10-02 Kimica Corp 加熱調理された麺およびその製造方法
JP2002354998A (ja) * 2001-03-30 2002-12-10 Nisshin Flour Milling Inc 茹伸び耐性を有する麺類
JP2005534309A (ja) * 2002-07-30 2005-11-17 ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ 周囲安定性のパック詰めパスタの工業的製造方法
JP2006158342A (ja) * 2004-12-10 2006-06-22 Nissin Food Prod Co Ltd 加熱調理不要な冷麺類およびその製造方法
JP2008228712A (ja) * 2007-03-23 2008-10-02 Sanderitsuku Foods:Kk うどん

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019130634A1 (ja) * 2017-12-28 2019-07-04 シマダヤ株式会社 高食感健康ゆで麺
JPWO2019130634A1 (ja) * 2017-12-28 2020-12-03 シマダヤ株式会社 高食感健康ゆで麺

Also Published As

Publication number Publication date
JP6124431B2 (ja) 2017-05-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2474122C2 (ru) Способ снижения скоростей ферментативного переваривания крахмальных зерен пищевого продукта и пищевые продукты, произведенные таким образом
JPWO2019163965A1 (ja) 飲食品利用に適した食物繊維高含有澱粉
JPWO2018143090A1 (ja) 麺生地及び麺類用穀粉組成物
JP2012152112A (ja) デンプン含有食品用品質改良剤及び品質改良されたデンプン含有食品
JP2017012114A (ja) 麺類の製造方法
JPH10215803A (ja) 新規麺類およびその製造方法
KR20140146492A (ko) 칼국수 제조방법
JP6934073B2 (ja) 高食感健康ゆで麺
JP6571559B2 (ja) 麺類の製造方法
JP6124431B2 (ja) 摂取後血糖値が上昇し難いうどん
JP2011087487A (ja) コンニャク加工食品およびその製造方法
JP2017158446A (ja) 糖質が低減された電子レンジ用冷凍麺類の製造方法
JP2006246773A (ja) 中華生麺の製造方法
JP2010104244A (ja) 和風スナック用ミックス粉及び和風スナック
KR20200017688A (ko) 쌀가루를 주재로 한 조리떡볶이떡 조성물 및 그의 제조방법
JP6506135B2 (ja) 冷蔵調理済み生パスタ類の製造方法
JPWO2017150389A1 (ja) 澱粉を含む食品組成物
JP6317912B2 (ja) 春さめの製造方法及びこれから得た春さめ
JPWO2016153033A1 (ja) 調理済み米粉麺類
JP5153754B2 (ja) 電子レンジ調理用即席中華麺類の製造方法
JP6215608B2 (ja) 卵スープの濁りを防止する方法、卵スープ用殺菌加工液全卵、当該殺菌加工液全卵を用いた卵スープ、及びその卵スープの製造方法。
JP3974770B2 (ja) 液状又はゲル状食品
JP2010081867A (ja) アルカリでゲル化させるコンニャク利用食品用の糊化物、それから得られたコンニャク利用食品およびその製造方法
JPH1175745A (ja) 餅様食品及びその製造方法
CN115969005B (zh) 一种常温长保质期方便即食饺子的制备方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20141215

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150519

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160328

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160411

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160602

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161024

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161207

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170330

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170403

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6124431

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250