JP2013545278A - 安定的熱電デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】エレクトロマイグレーションの欠点を克服する。
【解決手段】本発明は、第1層106、第1電気接続部102、第2電気接続部104及び第1層106と異なる第2層108を備える熱電デバイス100Aに関するものであり、第1層は、化学量論的組成式ZnSb(アンチモン亜鉛)を有する材料を含み、第2層はZn(亜鉛)を含む。第1層106は第1電気接続部102と第2電気接続部104との間に設けられており、第2層108は第1層106と第1電気接続部102との間に位置する。Znを含む第2層108を有することにより、箔からZnが拡散して、第1層のZn空乏領域を補充するので、Znのエレクトロマイグレーションの欠点が克服される。特定の実施形態において、第2層は箔である。他の実施形態において、第1層は、マグネシウムのような元素でドープされている。
【選択図】図1A

Description

本発明は、熱電デバイスに関するものであり、特に、本発明は、安定的熱電デバイス、安定的熱電デバイスの使用、及び安定的熱電デバイスの製造方法に関するものである。
ZnSbは、数年前に、技術的に重要な中間温度領域(200−400℃)における熱電アプリケーションにおいて非常に見込みがあるp型材料であると報告されてきた。
ZnSbの劣化を防ぐことを目的とした方策を用いることにより、ZnSbの材料そのものの温度を安定的に400℃まで引き上げるいくつかの試みが成功している。ZnSbの劣化は、複数のプロセスに分解される。
1)ZnSb → 3ZnSb+Zn
2)ZnSb → 4Zn+3Sb
3)4Zn+2O → 4ZnO
上述のプロセスの範囲は、Znの添加、ゾーン精製法、及び酸化によるZnの損失を避けるために材料を外気から密閉することにより、著しく低下させることができる。
国際公開第2006/128467号には、化学量論的組成式ZnSbを有するp型の熱電材料が開示されており、Zn原子の一部は、Zn原子に対して20モル%以下の総量の、Sn、Mg、Pb及び遷移金属からなる群より選ばれた1以上の元素に置換されてもよく、所望の組成を有する「化学量論的」な材料と、所望の組成から乖離した組成を有する「非化学量論的」な材料との間の中間相を有する配置のゾーンメルティング法を含むプロセスによって供給されることが記載されている。得られる熱電材料は、素晴らしい性能指数を示す。
国際公開第2006/128467号
しかし、上述の方策がとられることにより、利点が大きいデータが得られるとしても、ZnSb材料には、依然として最適な特性よりも劣る結果につながる安定性の欠如が残る。
したがって、改善された熱電デバイスには優位性があり、特に、より安定的、効率的、及び/又は高信頼性の熱電デバイスであれば、優位性がある。
特に、本発明の目的は、より安定的、効率的、及び/又は高信頼性にすることで、上述の問題を解決する熱電デバイスを供給することである。さらに、従来技術の代替物を供給することも目的である。
このように、上記の目的と他の目的は、本発明の第1の態様に係る熱電デバイスを供給することによって達成することができ、上記の熱電デバイスは、化学量論的組成式ZnSbを有する材料を含む第1層と、第1電気接続部と、第2電気接続部とを有する層構造を備え、第2層は第1層と異なり亜鉛を含み、第1層は第1電気接続部と第2の電気接続部との間に設けられており、第2層は、第1層と第1電気接続部との間に設けられており、第2層はプレス工程において第1層に接合されている。
本発明は、特に、しかし限定されることなく、より安定的、効率的、及び/又は高信頼性にすることで、上述の問題を解決する熱電デバイスを得られるという優位性がある。さらに、本発明に係る熱電デバイスは、構造的により安定であり、及び/又は、使用中に構造的に安定な状態を維持し、及び/又は、使用中に構造的な安定性を向上させる。他の利点は、本発明に係る熱電デバイスは、ZnSbの材料コストが、他の熱電気的に活性なデバイスに比べて低いので、低コストで製造できるといったように、比較的安価であることである。他の利点は、本発明に係る熱電デバイスは、改善された一定の電気抵抗と電気伝導性とを有することである。
本発明は、前処理中の安定性、使用中の長期的な安定性のような安定性が、ZnSb材料内のZnイオン、Zn+イオンのような亜鉛(Zn)のエレクトロマイグレーションによって、徐々に弱められるという洞察に基づいている。本発明は、このエレクトロマイグレーションの弊害に対する方策を供給することができる。安定性とは、ゼーベック係数、電気伝導性のような第1のパラメータが、温度や時間のような第2のパラメータに対して、例えば実質的に一定である場合のように、一定に維持されることであると理解される。第1のパラメータは、厳密に一定である必要はなく、0.1%以内、1%以内、10%以内、測定誤差内のような、比較的小さな範囲内で変動するとしても、実質的に一定であるとすれば、安定であると解されることが理解される。
本発明の基礎を形成するさらなる洞察は、熱電気的に活性な材料に対して電気的にアクセス可能にするという問題に関する。使用可能な熱電デバイスを得るために、熱電気的に活性な材料は、電気的に接触されなければならず、電気的な接続をする処理の間に、熱電気的に活性な材料は、熱的又は構造的に有害な影響により劣化するかもしれず、そのような処理は、熱電材料が構造的又は熱電気的に劣った特性を有することになるリスクを生じさせる。これは、例えば、接続をさせるために、半田づけやブレージングのような高温処理が必要な場合のことである。さらに、そのような処理は、労働力、機械、時間、エネルギー及び/又はコストに関する相当な資源を必要とする。本発明は、プレス工程の手段によって、電気接続部に電気的に接続された熱電気的に活性な材料を含む熱電デバイスを供給することによって、これらの1以上の問題を解決することができる。
第1層及び第2層が、コヒーレント構造、すなわち、第1層と第2層とが物理的に接合している構造であることが理解される。特定の実施形態において、第2層は、第2層を第1層に接合させる処理の間、そのバルク全体が溶解するようには溶解していない。他の特定の実施形態において、第1層は、焼結する工程において第2層に接合されている。
ここで、本出願明細書と添付された請求項において、「材料が化学量論的組成式ZnSbを有する」とは、材料が、伝統的、慣習的にZnSbと記述され、ZnSbの結晶構造を有する化学量論性を有することである。しかし、最近、ZnSbの結晶構造を有するこれらの材料が、化学量論的なZn3.846Sbと等価な、正確に化学量論的なZn12.82Sb10を形成する格子状のZn原子を含むことが発見された。(G.J.スナイダー、M.クリステンセン、E.ニシボリ、P.ラビレー、T.カイラット、B.B.イバーセン、「フォノン・グラス・エレクトロン・クリスタルを含むZnSbの熱電気的特性における無秩序な亜鉛」、ネイチャー・マテリアルズ誌、2004年、3号、第458−463頁、及び、F.カグリオニ、20E.ニシボリ、P.ラビレー、L.ベルティニ、M.クリステンセン、G.J.スナイダー、C.ガッティ、B.B.イバーセン、Eur.J.チェム、「格子状のZn原子が熱電性アンチモン亜鉛ZnSbに与える性向‐X線電子密度複合最大エントロピー法と電子構造学の第1歩」、2004年、10号、第3861−3870頁)。
本明細書及び添付される請求項において、Zn原子に対する総量が20モル%以下のSn、Mg、Pb、遷移金属からなる群より選ばれた1以上の元素の任意の置換は、正確に化学量論的なZnSbのZn原子の量に基づいている。したがって、金属Xの最大の置換度合を有する材料の化学量論性は、Zn3.20.8Sbである。
以下、「ZnSb」は、「化学量論的組成式ZnSbを有する材料」と等価なものとして用いられる。
ZnSbは、温度変化に関して安定になることができるが、熱電アプリケーションにおいては、ZnSb内の亜鉛のエレクトロマイグレーションに対しても安定的でなければならない。ZnSbの内部で熱電デバイスにおいて欠かすことができない電流が流れる場合に、Znイオンはカソードへと移動する。エレクトロマイグレーションは、均衡性を阻害し、背景技術の項で述べた1)及び2)のプロセスへと導く。熱電材料ZnSbの内部のZnイオンのエレクトロマイグレーションは、Znが少ない領域とZnが多い領域とを生み出す。エレクトロマイグレーションの欠点には、このように、熱電気的に活性な材料であるZnSbの劣化が含まれる。エレクトロマイグレーションの欠点は、Znの添加、ゾーン精製法又は外気に対する材料の密封によっても回避されないかもしれず、対策がとられなければ、製造中や例えば長期間の使用中において、エレクトロマイグレーションは依然として問題である。
熱電デバイスは、デバイスのそれぞれの面の間に温度差がある場合に電圧を発生することができるデバイスであると理解される。実用的な熱電デバイスにおいて、典型的には、それぞれタイプが異なる少なくとも2本の熱電端子が挿入される。
熱電端子は、熱電気的に活性な材料であると理解される。熱電デバイスにおいて使用するために、熱電端子は電気的にアクセス可能な状態にされなければならない。熱電気的に活性な材料は、温度勾配が存在するときに、ゼーベック効果による電圧が発生する材料であると理解される。
熱電対は、本技術分野において知られており、電気回路を構成するために電気的に接続されたp型熱電端子とn型熱電端子とを有する熱電デバイスを意味する。この回路に温度勾配を与えることにより、回路内を電流が流れ、熱電対を電力源にする。代わりに、電流が回路に与えられると、熱電対の片側が熱せられて、熱電対の他の側が冷やされる。その結果、そのような構成において、当該回路は電力を供給することにより温度勾配を生じさせることができるデバイスとして機能する。
上記のこのような現象に含まれる物理原理は、それぞれゼーベック効果及びペルチエ効果である。
本発明の一実施形態によれば、上記の熱電デバイスは、第1層と異なり、Znを含む第3層を有しており、第3層は、第1層と第2電気接続部との間に設けられている。本実施形態の有利な点は、層構造が、電流に対して特定の方向に向いている必要がない点である。特に、第1層を介して、第1電気接続部から第2電気接続部に、又は反対の向きに、電流が流れることである。上記の2つの場合のいずれにおいても、Znイオン、Zn2+イオンのようなZnを含む混合物は、エレクトロマイグレーションによって、第2層又は第3層から第1層へと移動する。
本発明の一実施形態によれば、第1電気接続部と第2電気接続部との間に電圧が印加された場合にそれぞれの層を電流が流れる方向における第2層又は第3層の厚みは、0.001mm−0.01mm、0.01mm‐0.1mm、0.1mm‐1mm、1−10mmのような0.001mm‐10mmの範囲内である。
以下、「Zn含有混合物」のように言及される混合物の群は、Zn2+イオンのようなZnイオンを含むものとして理解される。
本発明の一実施形態によれば、第2層から第1層へのZn含有混合物のエレクトロマイグレーションを許容するべく第2層及び第1層が配置された熱電デバイスが提供される。考えられる利点として、前処理中及び使用中に、第2層からのZn含有混合物が、エレクトロマイグレーションによって、第1層に移動することがあげられる。
「エレクトロマイグレーションを許容する」は、第2層から第1層の方向に勾配した電気的ポテンシャルが印加された結果として、Zn含有混合物が、第2層から第1層に空間的に移動することを許容することであると理解される。特定の実施形態においては、これは、1以上のZn含有混合物がエレクトロマイグレーションする他の材料の中間電気伝導体によって、第1層と第2層とが接続されていることにより実現される。他の特定の実施形態において、これは、第1層と第2層とが互いに接触している場合のように、直接物理的に又は電気的に接触している第1層と第2層とを備えることにより実現される。
本発明の他の一実施形態によれば、第1層内でエレクトロマイグレーションしたZn含有混合物を置換するための、第1層にエレクトロマイグレーションするZn含有混合物を許容するために、第2層及び第1層が設けられた熱電デバイスを供給する。考えられる利点は、第1層内でエレクトロマイグレーションしたZn含有混合物は、Zn空乏領域を残し、Zn空乏領域は、元々は第2層に設けられていたZn含有混合物を受け取れることである。
「第1層内でエレクトロマイグレーションしたZn含有混合物を置換するための、第1層にエレクトロマイグレーションするZn含有混合物を許容する」は、第1層及び第2層が、(上述のとおり)「第2層から第1層に向けてのZn含有混合物のエレクトロマイグレーションを許容するように」設けられており、さらに、元々第1層にあったZn含有混合物が置換されるようにエレクトロマイグレーションすることができることであると理解される。特定の実施形態において、これは、1以上のZn含有混合物がエレクトロマイグレーションして通過する他の材料の中間電気伝導体によって、第1層と第2層とが接続されていることによって実現され、Zn含有混合物は、第1層のバルク領域、第1層の片側から第1層の他の側までのような第1層内で、エレクトロマイグレーションすることができる。
本発明の他の一実施形態によれば、第1層及び第2層が、第1層と第2層との間の界面を介してのZn含有混合物の流束の総量が、第1層に向かう方向において、少なくとも、同じ方向における第1層内の仮想的な表面を介してのZn含有混合物の流束の総量と同じ大きさである熱電デバイスが提供される。この利点として、第1層内の所定領域におけるZnの量が、前処理中及び使用中に減らないことがあげられる。言い換えると、考えられる利点は、第1層内でエレクトロマイグレーションする第1層内のZn含有混合物の数が、第2層から第1層へのZn含有混合物のエレクトロマイグレーションによって第1層に継続的に供給されるZn含有混合物の数よりも少ないので、第1層内のZn含有混合物の濃度は、時間が経過しても低くならないという点である。したがって、第1層の元々の位置から抜け出したZn含有混合物に起因する「ホール」は、効果的に第2層からのZn含有混合物によって補充され、第1層のZnの量は、電圧が印加されている間、減少しない。
「流束」は、本技術分野において知られており、単位時間内に表面を横切るエンティティの量のような、仮想的な表面を横切るエンティティの量に対応する。
「混合物の流束」は、仮想的な表面を横切る混合物の量であると理解される。
「混合物」は、特定の実施形態において、Zn含有混合物であると理解される。
「混合物の量」は、Zn含有混合物の数のような、混合物の量であると理解される。
「仮想的な表面を介するZn含有混合物の流束の総量」は、例えば単位時間あたりに表面を通過するZn含有混合物の定量的な数字であると理解され、両方向の流束があり、「流束の総量」が、両方向の流束の間の差分であることが考慮される。
特定の実施形態において、「第1層及び第2層が、第1層と第2層との間の界面を介してのZn含有混合物の流束の総量が、第1層の方向において、少なくとも、同じ方向における第1層内の仮想的な表面を介してのZn含有混合物の流束の総量と同じ大きさである」ことは、第2層におけるZnの濃度とエレクトロマイグレーションの速度(エレクトロマイグレーションの速度は、「単位時間内に、Zn含有混合物がどれくらい遠くまでエレクトロマイグレーションするか」に対応するものと理解される)が、第1層へと向かう方向における、第2層を介するZn含有混合物の流束が、対応する、同じ方向における第1層内の(仮想的な)表面を介するZn含有混合物の流束の総量と少なくとも同じ大きさであることを可能にする。特定の実施形態において、所定の電圧勾配において、(エレクトロマイグレーションすることが疑わしい)Zn含有混合物の濃度と第2素子におけるエレクトロマイグレーションの速度との積が、(エレクトロマイグレーションすることが疑わしい)Zn含有混合物の濃度と第2素子におけるエレクトロマイグレーションの速度との積よりも少なくとも大きく、より大きいか、少なくとも2倍大きいか、少なくとも10倍大きいという第1素子と第2素子とが提供される。
本発明の一実施形態によれば、第1電気接続部及び第2電気接続部の少なくとも1つが、銅、銀、ウォルフラム、モリブデン、亜鉛からなる群より選択された伝導体を含む。一般に、低抵抗であれば、どのような伝導体であっても使用可能である。好適には、第1電気接続部及び第2電気接続部は、200−400℃といった中間温度領域における温度に耐えることができる。好適には、第1電気接続部及び第2電気接続部は、中間温度領域における温度サイクリングにも耐えることができる。好適には、第1電気接続部及び第2電気接続部は、前処理中又は使用中に、第1層に溶解しない。第1電気接続部及び第2電気接続部が第1層に溶解する場合、第1電気接続部と第2電気接続部のそれぞれと第1層との間に、第1電気接続部及び第2電気接続部が銅を含む場合のNiバリアのような拡散障壁が設けられてもよい。ウォルフラムは、タングステンという名称でも知られている。
本発明の他の一実施形態によれば、第1電気接続部が亜鉛を含み、第2層と第1電気接続部とが一体化された素子である熱電デバイスが提供される。他の実施形態において、第1電気接続部及び第2電気接続部が亜鉛を含み、第2層及び第1電気接続部が一体化された素子であり、第3層及び第2電気接続部が一体化された素子である。第2層又は第3層と、それぞれ第1電気接続部及び第2電気接続部とが一体化される利点として考えられることは、製造を簡易化し、より早く、より低コストの製造を可能にするとともに、当業者であればすぐに理解できる他の素子の一体化の効果がある。「一体化された」素子は、物理的に1つのユニットである素子であると理解される。特定の実施形態において、一体化された素子は、例えば、電気接続部を使用するのに適した素子を含むモノリシックな亜鉛のような、又は、電気接続部を使用するのに適した一様な亜鉛のような、電気接続部を使用するのに適したコヒーレントな亜鉛を含む素子によって、実現される。電気接続部の使用に適したとは、第1素子の電気抵抗よりも低い電気抵抗を有する素子であると解される。
本発明の他の実施形態によれば、Zn原子の一部が、ZnSbのZn原子に対する総量が20モル%以下の、Mg、Sn、Pb、遷移金属及びニクトゲンからなる群より選ばれた1以上の元素によって置換されたZnSbを第1層が備えた熱電デバイスが提供される。他の実施形態においては、ZnSbのZn原子に対する総量が20モル%以下の、Mg、Sn、Pb、遷移金属及びニクトゲンからなる群より選ばれた1以上の元素によって置換されるZn原子は、10モル%未満、5モル%未満、4モル%未満、3モル%未満、2モル%未満、1モル%未満、0.1モル%未満のように、15モル%未満であってもよい。ニクトゲンは、本技術分野において知られており、窒素(N)、ホウ素(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)及びビスマス(Bi)を含む周期表の第15族元素を含むと理解される。
本明細書及び添付の請求項における「遷移金属」と称される素子は、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg及びAcの素子を含む群として理解される。
本出願において、本発明に係る熱電材料が、Zn原子の一部が、Mg、Sn、Pb、遷移金属からなる群より選ばれた1以上の元素によって置換される化学量論的組成式ZnSbを有し、置換の総量は、19%以下、例えば18%以下、例えば17%以下、16%以下、15%以下、例えば14%以下、例えば13%以下、12%以下、11%以下、例えば10%以下、例えば9%以下、8%以下、7%以下、例えば6%以下、例えば5%以下、4%以下、3%以下、例えば2%以下、例えば1%以下、又は0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%以下のように20%以下であり、全ての%はモル%である。
本発明の他の一実施形態によれば、第1層が圧縮された粉末を含む熱電デバイスが提供される。この利点は、インゴットは、溶解プロセス及び結晶化プロセスにより相が形成される間に縮み、クラックを含むことである。焼結された粉末を用いることは、この問題を克服することができるという優位性がある。一実施形態において、粉末は、手動で粉砕された粉末である。
本発明の他の一実施形態によれば、第1電気接続部及び第2電気接続部のそれぞれと第2層とが、第1層の形状に一致するように形成された熱電デバイスが提供される。この利点は、層構造が必要以上のスペースを取らないことである。これは、貯蔵、搬送、又は使用中のように、複数の層構造物を一緒に梱包する場合に優位性がある。他の実施形態においては、第1電気接続部及び第2電気接続部のそれぞれは、突出した第1層の表面を少なくとも覆うべく形成されている。この利点は、第1層を介する電流が、実質的に一様になることである。他の代わりの実施形態においては、第2層が、突出した第1層の表面を少なくとも覆うべく形成されている。この利点は、エレクトロマイグレーションによって、第2層から第1層へと移動するZn含有混合物の流束が、第1層と第2層との間の界面を介して、実質的に一様であるように、一様になることである。
他の一実施形態によれば、第2層がZnを含む箔である熱電デバイスが提供される。箔は、1方向の寸法が他の2方向の寸法よりも小さいコヒーレント層であると解される。箔は、柔軟性を有してもよい。箔を使用する利点は、比較的薄い材料の層は、製造の前処理の間に、高速でありかつ複雑でない方法で、正しい位置に位置することができることである。他に考えられる利点は、箔を使用すると、第2層が、良好に定められた材料組成、純度及び厚みを得られることである。他に考えられる実施形態において、第2層は固体素子である。他に考えられる実施形態において、第2層は前処理中に圧縮される粉末である。
本発明の一実施形態によれば、第2層が、99.9重量%のZnのように、少なくとも99.0重量%のZnを含む熱電デバイスが提供される。他の実施形態において、第2層は、少なくとも99.0重量%のZnを含む。他の実施形態において、第2層は、少なくとも5重量%のZn、少なくとも10重量%のZn、少なくとも25重量%のZn、少なくとも50重量%のZn、少なくとも75重量%のZn、少なくとも80重量%のZn、少なくとも85重量%のZn、少なくとも90重量%のZn、少なくとも95重量%のZn、少なくとも98重量%のZn、少なくとも99.99重量%のZn、少なくとも99.999重量%のZn、少なくとも99.9999重量%のZnのように、少なくとも1重量%のZnを含む。一般的な純度及び/又は組成は、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDX)又はポテンシャル−ゼーベックマイクロプローブ(PSM)のような公知の解析法により試験される。
特定の実施形態において、第1層はペレットの形状をしている。ペレットの寸法は、直径が4mmから18mmである。一実施形態においては、第1層の厚み、すなわち、第1電気接続部から第2電気接続部への方向における、第1層の片方の端から第1層の他方の端までの距離は、0.1mm、0.5mm、1mm、1.5mm、2mm、5mm、10mm、1mmから5mmの間のように、0.1mmから10mmまでの範囲である。しかし、他の直径も考えられる。層構造を、1mm×1mm、1mm×1mm×1mmのような、多数の小さな脚部に切断することも可能である。複数の適当な大きさにされた熱電脚部を供給することは、熱電デバイスに実装するのに優位性がある。
本発明の他の一実施形態によれば、熱電デバイスは、複数の層構造を含む。この利点は、複数の層構造を含む熱電デバイスは、より多くの熱エネルギーを電気エネルギーに変換したり、電力が印加された場合に、より効率的に温度差を発生させたりすることができるので、使用する際に、より便利だということである。
本発明の他の実施形態によれば、請求項1−13のいずれか1つに記載された層構造は、熱電対におけるp型熱電脚部として用いられる。これらのp型熱電脚部を適したサイズに分割し、配置し、適当なサイズにされた熱電脚部をn型熱電脚部とともに接続することにより、公知の方法により熱結合が得られる。例えば、フランク・ベルナード、「検温技術」、スプリンガー・ベルリン、2003年、ISBN3540626727を参照のこと。本発明に係る特別な実施形態によれば、1以上の熱電対は、熱電デバイスを得るために、公知の方法により配置される。例えば、フランク・ベルナード、「検温技術」、スプリンガー・ベルリン、2003年、ISBN3540626727を参照のこと。
本発明の第2の態様によれば、本発明は、さらに、上位請求項のいずれかに係る熱電デバイスの製造方法に関連する。当該方法は、第1層を供給する工程と、第1電気接続部及び第2電気接続部を供給する工程と、第2層を供給する工程と、第1層を第1電気接続部と第2電気接続部との間に設ける工程と、を備え、第2層は、第1層と第1電気接続部との間に設けられており、第2層が第1層に接合されるプレス工程をさらに備える。
上記の工程は、必ずしもここに記載された順序で実行される必要はないと理解され、例えば、プレス工程は、第1電気接続部及び第2電気接続部を供給する工程に先立って行われてもよい。
プレス工程は、当業者によって、接合されるそれぞれの部分上の領域に力が加えられ、その力は、力又は圧力(領域ごとの力に対応する)が除去された後に部品が接着された状態になるのに十分な大きさであるということが理解される。特定の実施形態においては、第1層と第2層との間の界面を加熱するため、並びに、第1層及び/又は第2層のバルク部分を溶解するために十分なエネルギーが加えられない。特定の実施形態においては、第1層と第2層との間の界面を加熱するためにエネルギーが加えられる。
他の実施形態によれば、熱電デバイスの製造方法が提供される。当該方法は、さらに、第3層を供給する工程と、第3層を第1層と第2電気接続部との間に設ける工程と、を備える。
他の実施形態によれば、プレス工程において、第1電気接続部が第2層に接合される、熱電デバイスの製造方法が提供される。
他の実施形態によれば、プレス工程において、第2電気接続部が第3層に接合される、熱電デバイスの製造方法が提供される。
他の実施形態によれば、プレス工程において、第2電気接続部が第1層に接合される、熱電デバイスの製造方法が提供される。これは、例えば、第1層と第2電気接続部との間に第3層がないということを意図しているか否かに関係する。
複数のプレス工程が供給されてもよいことが理解される。例えば、第2層が第1層に接合される第1のプレス工程が供給され、続いて、第2のプレス工程において、第2層と第1電気接続部とが接合される。また、上記のプレスは、同一のプレス工程において、第1電気接続部が第2層に接合され、第1層が第2層に接合される、単一の工程が実行されてもよいと理解される。すなわち、第1電気接続部、第2層及び第1層をこの順番に含むサンドイッチ構造が、単一のプレス工程で接合される。当業者には、プレス工程の異なる順番が、第1層、第2層、第3層、第1電気接続部、第2電気接続部を、図1A及び図1B(第3層がある場合とない場合)に示す熱電デバイスに接合するのに用いられてもよいことが明らかであろう。
他の実施形態によれば、第1電気接続部、第2層、第1層、第3層及び第2電気接続部を含むサンドイッチ構造が、プレス工程で接合される、熱電デバイスの製造方法が提供される。特定の優位性ある実施形態においては、第1電気接続部、第2層、第1層、第3層及び第2電気接続部が、図1Bに示されている状態に対応するこの順番に現れることが理解される。他の実施形態によれば、サンドイッチ構造が、プレス工程において接合された第1電気接続部、第2層、第1層及び第2電気接続部を含む熱電デバイスの製造方法が提供される。特定の優位性ある実施形態においては、第1電気接続部、第2層、第1層及び第2電気接続部が、図1Aに示す状態に対応するこの順序で現れる。
他の実施形態によれば、プレス工程は、10から250MPaの範囲内、20から150MPaの範囲内、10から50MPaの範囲内、15から35MPaの範囲内、25MPa、25から100MPaの範囲内、30から90MPaの範囲内、35から80MPaの範囲内、40から70MPaの範囲内、45から60MPaの範囲内、50MPaのように、1から500MPaの範囲内の圧力を加える工程を有する、熱電デバイスの製造方法が提供される。
他の実施形態によれば、プレス工程が、第1電気接続部及び/又は第2電気接続部を、100から600℃の範囲内、200から500℃の範囲内、300から450℃の範囲内、350から400℃の範囲内、350℃、385℃のように、50から700℃の範囲内の温度にさらす、熱電デバイスの製造方法が提供される。
他の実施形態によれば、プレス工程において、一軸ホットプレス、ドラック・シンター・プレス、又はホット均衡プレスのいずれかが用いられる、熱電デバイスの製造方法が提供される。
他の実施形態によれば、プレス工程は、1−1800分の範囲内、1−900分の範囲内、1−600分の範囲内、1−300分の範囲内、1−180分の範囲内、1−120分の範囲内、1−60分の範囲内、1−50分の範囲内、1−40分の範囲内、1−30分の範囲内、1−20分の範囲内、1−10分の範囲内、1−6分の範囲内、6分の範囲内、10−180分の範囲内、15−180分の範囲内、20−180分の範囲内、25−180分の範囲内、25−60分の範囲内、25−45分の範囲内、25−35分の範囲内、30分のように、1−3600分の範囲内の長さを有する、熱電デバイスの製造方法が提供される。
他の実施形態によれば、プレス工程が、焼結する工程である、熱電デバイスの製造方法が提供される。
「焼結する工程」は、第1層及び第2層のような2つの部分が、互いの粒子が接着するまで、2つの部分の両方の融点よりも低い温度まで加熱することによって接合される工程であると理解される。
他の実施形態によれば、プレス工程の前に第1層が粉末を含み、第1層が、プレス工程の後に、固形化したコヒーレントな素子になっているという熱電デバイスの製造方法が提供される。これは、例えば、第1層が、プレス工程の前において、すりつぶされたり挽かれたりした粉末のような粉末であり、粉末を圧縮してペレットにするといったプレス工程において、固形化したコヒーレントな素子に圧縮される場合であってもよい。考えられる利点は、粉末から、第1層に対応するペレットを形成するプロセスと、第1層、第2層、第3層、第1電気接続部及び/又は第2電気接続部の1以上を結合するプロセスとを、単一のプレス工程といった単一のプロセスに一体化することができるかもしれないという点である。
溶解プロセス及び結晶化プロセスによって、材料が相形成中に縮み、クラックを含むかもしれないので、急冷又はゾーン精製法によって得られたZnSbのインゴットは、熱電脚部としては、直接的に適していないかもしれない。したがって、すりつぶされたり挽かれたりして粉末にして、一軸ホットプレス(HUP)、スパーク・プラズマ・シンタリング(SPS)又はドラック・シンター・プレス(DSP)(「シンタリングプレス(焼結プレス)」)を用いて、例えばバルク状のペレットにするべくプレスすることに優位性があるかもしれない。使用可能な熱電デバイスを得るために、材料は電気的に接触されなければならない。これは、ZnSbのペレットに、ZnSb材の全体の直径に対応する大きさの銅の棒で接触することにより行われてもよい。プレス工程の間、Zn箔が、銅接点とZnSb材との間に設けられる。このZn箔は、Zn貯留層として機能し、ZnSb内で失われる可能性があるZnが補充される。
一実施形態において、第1層は、製造中に圧縮されるZnSb粉末を含む。圧縮中の圧力は、例えば25MPaから100MPaのように変化してもよい。温度は、350℃から400℃までのように変化してもよい。圧縮時間は、3分から1時間まで変化してもよい。特定の実施形態において、圧縮は、100MPaの圧力、400℃の温度、1時間の条件によって行われる。他の特定の実施形態において、HUPと称される一軸ホットプレスが用いられ、印加される圧力は100MPaであり、温度は385℃であり、プレス時間は30分である。他の特定の実施形態においてはDSPが使用され、印加される圧力は25MPaであり、温度は350℃であり、プレス時間は6分である。一般的に、使用される特定の機械に応じて変化があることが理解される。
一実施形態においては、第1層を供給する工程が、
1)Zn原子に対する総量が20モル%以下のSn、Mg、Pb及び遷移金属からなる群より選ばれた1以上の元素と、一部の亜鉛原子がオプション的に置換される化学量論的組成式ZnSbを有する第1層の組成を作る素子を混合する工程と、生成される混合物を筐体内に設ける工程と、
2)前記筐体を取り除いて廃棄することでアンプルにする工程と、
3)加熱炉の内側で、前記アンプルを加熱する工程と、
4)最後に、前記アンプルに水を触れさせることにより、前記アンプルの内容物を冷却する工程と、
5)その後に続くすりつぶす工程と、
を備える、第1の態様の熱電デバイスの製造方法が提供される。
本発明の本実施形態によれば、第1層内に含まれる材料は、「冷却方法」(Caillat et al., J. Phys. Chem. Solids, Vol. 58, No 7, pp. 1119−1125, 1997)を参照できる方法と同等の単純な熱冷却プロセスによって得てもよい。上述の方法の工程は、国際公開第2006/128467号にも記載されており、その全体が参照により組み込まれる。
さらなる実施形態において、第1の態様に係る熱電デバイスの製造方法は、Zn原子に対する総量が20モル%以下のMg、Sn、Mg、Pb及び遷移金属からなる群より選ばれた1以上の元素と、一部の亜鉛原子がオプション的に置換される化学量論的組成式ZnSbを有する第1層の組成を作る素子を混合する工程と、生成される混合物を筐体内に設ける工程とを含む。
さらに他に考えられる実施形態においては、第1層を供給する工程がゾーン精製法を含む、熱電デバイスの製造方法が提供される。上記の内容のゾーン精製法は、国際公開第2006/128467号に記載されており、その全体が参照により組み込まれる。
ゾーン精製法と第2層の導入のように、これらの方法を組み合わせることは、エレクトロマイグレーションや酸化のそれぞれのメカニズムのような、複数の劣化メカニズムを妨げることができる点で優位性があるかもしれない。
本発明のこの態様は、特に、しかし限定されることなく、本発明に係る方法を、公知の方法の工程と合体させることによって優位性があるが、違いがある1以上の工程が、熱電デバイスの特性を改善に導くかもしれない。
本発明の第3の態様によれば、本発明は、熱エネルギーと電気エネルギーとの間の変換のための、本発明の第1の態様に係る熱電デバイスの使用に関するものである。熱電デバイスは、技術的に重要な中間温度範囲(200℃−400℃)において、そのような変換に適用することができるが、0℃−200℃、400℃以上を含む他の温度においても適用できる。熱エネルギーと電気エネルギーとの変換には、熱(Heat)のような熱エネルギーの電気エネルギーへの変換を含む。これは、比較的多量のエネルギーが熱の形で廃棄される燃焼エンジンのような数多くの装置において優位性がある。この廃熱を電気エネルギーに変換することは、エネルギー効率、費用及び環境関連に関して優位性がある。
他の実施形態において、本発明は、さらに、第1の位置において物体を加熱し、第2の位置において物体を冷却するために電気エネルギーを使用するための、本発明の第1の態様に係る熱電デバイスの使用に関する。この効果は、本技術分野においてペルチエ効果として知られており、この目的で使用されるデバイスは、本技術分野においてペルチエ素子として知られている。ペルチエ効果は、中間温度範囲である200℃−400℃のような、上昇された温度においても可能である。ペルチエデバイスの使用は、温度が効率的に制御されなければならない場合、又は、他の冷却デバイスの副産物である構造的又は音響的なノイズを発生させることなく、温度差が必要になる場合のアプリケーションにおいて都合がよい。
本発明の第1、第2及び第3の態様は、それぞれ他の態様と組み合わせられてもよい。本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下の実施形態を参照して明らかであり、詳細に説明される。
本発明の熱電デバイスは、図面を用いて、より詳細に説明される。図面は、本発明を実施する一方法を示すものであり、添付の請求項群の範囲に含まれる他の可能な実施形態に限定するものと解されるものではない。
本発明の実施形態に係る熱電デバイスの切断図を示す。 本発明の実施形態に係る熱電デバイスの切断図を示す。 電圧が印加されている間の熱電デバイスの模式図を示す。 電圧が印加された後の熱電デバイスの模式図を示す。 電圧が印加されている間の、本発明の一実施形態に係る熱電デバイスの模式図を示す。 電圧が印加された後の、本発明の一実施形態に係る熱電デバイスの模式図を示す。 前処理後の異なるサンプルのゼーベック係数の空間的分布を示す。 前処理後の異なるサンプルのゼーベック係数の空間的分布を示す。 前処理後の、ドープされた異なるサンプルのゼーベック係数の空間的分布を示す。 前処理後の、ドープされた異なるサンプルのゼーベック係数の空間的分布を示す。 長期間の試験のための実験構成図を示す。 長期間の試験のための実験構成図を示す。 200℃における長期間の試験中のゼーベック係数の空間的分布を示す。 285℃における長期間の試験中のゼーベック係数の空間的分布を示す。 亜鉛を含む第1及び第2の箔がある場合とない場合のZnSbのサンプルにおける電流に対する電圧−電流特性を示す。 亜鉛を含む第1及び第2の箔がある場合とない場合のZnSbのサンプルにおける電流に対する電気伝導性を示す。 亜鉛を含む第1及び第2の箔がある場合とない場合の、マグネシウムがドープされたZnSbのサンプルにおける電流に対する電圧−電流特性を示す。 亜鉛を含む第1及び第2の箔がある場合とない場合の、マグネシウムがドープされたZnSbのサンプルにおける電流に対する電気伝導性を示す。
図1Aは、本発明の一実施形態に係る熱電デバイス100Aの切断図を示す。熱電デバイス100Aは、第1電気接続部102、第2電気接続部パッド104、ZnSbペレットの形状の第1層106、及び、亜鉛を含む第2層108を有する。示されている実施形態において、第2層108は、亜鉛を含む箔によって、形成されている。
図1Bは、亜鉛を含む他の箔によって形成されている第3層110が、第2電気接続部104と、ZnSbペレットによって形成されている第1層106との間に設けられている点を除いて、図1Aに示されている熱電デバイスと同様の他の熱電デバイス100Bの切断図を示す。
図2及び図3は、基本的な原理に関する推論を解説する模式図を示す。
図2Aは、電圧が印加されている間の熱電デバイス200の模式図を示す。この図は、第1電気接続部202、第2電気接続部204、及びZnSbの層により形成された第1層206を示す。さらに、三角形210として描かれているZn2+イオンが示されている。示されている状態において、第1層206及びアノードとして動作する第1電気接続部202に、ゼロでない電圧が印加されており、第2電気接続部204は、カソードとして動作する。本明細書において、アノードは、本技術分野で一般的に知られているものであり、酸化が発生する電気接続部であると定義される。同様に、カソードは本技術分野で一般的に知られているものであり、還元が発生する電気接続部であると定義される。Zn2+イオン210は、エレクトロマイグレーションによってアノードからカソードへと移動しているように示されている。
図2Bは、所定期間にわたって第1層206A−Bに電圧が印加された後の状態の図2Aに示した熱電デバイス200と同じものを示す。Zn2+イオンのエレクトロマイグレーションによって、第1層は、亜鉛が多い領域206Aと、亜鉛が少ない領域206Bの両方を有している。亜鉛が少ない領域は、空乏領域と称される。
図3Aは、電圧が印加されている間の、本発明の一実施形態に係る熱電デバイス300の模式図を示す。この図は、第1電気接続部302、第2電気接続部304、亜鉛を含む第2層308、及びZnSb素子である第1層306を有する。さらに、三角形310で描かれているZn2+イオンが示されている。示されている状態において、ZnSb素子306及びアノードとして動作する第1電気接続部302に、ゼロでない電圧が印加されており、第2電気接続部404は、カソードとして動作する。Zn2+イオン210は、エレクトロマイグレーションによってアノードからカソードへと移動しているように示されている。さらに、第2層308から拡散し、エレクトロマイグレーションによってアノードからカソードへと移動もするZn2+イオン312も示されている。
図3Bは、所定期間にわたってZnSb素子に電圧が印加された後の状態の図3Aに示した熱電デバイス300と同じものを示す。Zn2+イオンのエレクトロマイグレーションにより、元々は第1層306に設けられていたZn2+イオンの位置が変化した。しかし、Zn2+イオンが、ゼロでない電圧が印加されている期間に第2層308から拡散することにより、Zn成分が実質的になくなった空乏領域は実質的に存在しない。
図4−図5、及び図7−図8は、異なる状態における異なる熱電脚部に対するゼーベック係数の空間分布を示す。それぞれのスキャン画像において、3つの層が見えている。2つの黒い層は、銅電極がある(図6Bも参照)第1電気接続部及び第2電気接続部に対応し、中央にZnSbを含む第1層がある。いくつかのスキャン画像においては、第1電気接続部と第2電気接続部との間に、それぞれ、Zn箔のようなZnを含む第2層及び/又は第3層が存在し、設けられているが、これはスキャン画像には見えない。
図4−図5、及び図7−図10において、第1層は、1モル%のマグネシウムのドーピングを含むか、含まないかのいずれかのZnSb熱電材料を含む。この材料を前処理する手順は、従来の急冷法と同等の熱的急冷を含み、これは国際公開第2006/128467号にも記載されており、その全体が参照により組み込まれる。特に、国際公開第2006/128467号の例1及び例2が参照される。
図4は、前処理後の異なる熱電脚部のゼーベック係数の空間的分布を示す。疑似カラーの図において見られるのは、ZnSbペレットの形状の第1層の中心の切断面であり、そこには、第1電気接続部及び第2電気接続部が銅の棒の形状で、それぞれ第1層の上面及び底面に沿って設けられている。図4A及び図4Bにおいて、アノードとして機能する電気接続部が、それぞれ底面側401A及び401Bに沿って設けられており、カソードとして機能する電気接続部が、それぞれ上面側403A及び403Bに沿って設けられている。界面の表面は、ゼーベック係数を得るためのスキャンを実行する前に研磨された。ペレットの前処理には、プレス金型の中で銅板間に第1層を設け、焼結してプレスする処理を実行することが含まれる。すなわち、言い換えれば、ペレットの前処理には、プレス金型の中で銅板間に第1層を設け、焼結してプレスする処理を実行することが含まれる。温度350℃、圧力25MPa又は50MPa、プレス時間6分という特定の条件が与えられてもよい。前処理の間、1kAオーダーの電流が、1枚の銅板から他の銅板へと第1層を介して流れる。
均一度又は相純度の大きさを示す、サンプルのゼーベック係数の空間的解像度を測定するために、ゼーベック・マイクロプローブが用いられる。ゼーベック・マイクロスコープは、本技術分野において知られており、D.プラチェク、G.カルピンスキ、C.スチウェ、P.ジオルコウスキ、C.ドラザール及びE.ミュラー、「ポテンシャル−ゼーベック−マイクロプローブ PSM:ゼーベック係数の空間解像度と電気ポテンシャルの測定」、第24回熱電気学国際会議ICT、クレムソン(米国)、2005年、第13頁に記載されており、ここに全体が参照により組み込まれる。ポテンシャル−ゼーベック−マイクロプローブ(PSM)は、ゼーベック・マイクロプローブとも称される。
図4Aは、プレス中に350℃において1kAの電流を流した後における、アノードとして機能する銅板とZnSbペレットとの間にZnを含む第2層がない熱電デバイスにおけるZnSbの劣化を示す。ゼーベック係数は、ZnSbにおいて典型的な100μV/K(ケルビン)から、ZnSbにおいて典型的な300μV/Kまでの範囲で変化する。矢印によって示されている比較的高いゼーベック係数を有する領域は、既に前処理中に劣化の兆候が見られるかもしれない。図4A及び図4Bが示している範囲は、0−200μV/Kである。
図4Bは、図4Aに示された熱電デバイスと同じ条件下で処理された、アノードとして機能する銅板とZnSbペレットとの間にZnを含む第2層がある場合のゼーベック係数の空間的分布を示す。ZnSbにおいて典型的な値周辺のゼーベック係数、すなわち100μV/Kの範囲のみが観測される。
図5は、ZnSbのZn原子に対する総量が1モル%のマグネシウム(Mg)がドープされたZnSb、すなわち、Mg0.04Zn3.96Sbに対応するという点を除いて、図4と同様に、前処理をした後の異なる熱電デバイスのゼーベック係数の空間的分布を示す。図5は、アノードとZnSbペレットとの間に第2層が挿入されていない熱電デバイスにおいて、既に前処理中に劣化があることを示しており、例えば、太い矢印505が指しているように、ペレットの上半分は比較的高いゼーベック係数の値が観察される。熱電デバイスが、アノードとして機能する銅板により形成された第1電気接続部とZnSbペレットの形状の第1層との間にZnを含む第2層を有する図5Bにおいては、劣化が観察されない。図5A及び図5Bにおいて、アノードとして機能する電気接続部は、それぞれ底面501A及び底面501Bに沿って設けられており、カソードとして機能する電気接続部は、それぞれ上面503A及び上面503Bに沿って設けられている。図5A及び図5Bが示している範囲は、0−300μV/Kである。図4B及び図5Bの例において、第2層は99.9重量%のZnを含む箔によって形成されている。本例においては、箔が100μmの厚みを有していた。第1層の厚みがもっと小さい場合、例えば、100μm程度の場合、箔を例えば10μm程度に保つことが好ましい。
図6Aは、長期間の試験のための実験構成図を示し、実験構成には、ヒーター及びコンタクトブロック620Aと、サンプル622Aと、コンタクトブロック624Aと、熱的及び電気的な絶縁体626Aとが含まれる。ヒーター及びコンタクトブロック620Aと、コンタクトブロック624Aとは、両方が、電圧−電流(U/I)特性を測定するための測定プローブ628及び電流源630を介して電気的に接続されている。長期間の試験中、電流源628は10Aの直流電流を供給する。長期間の試験は、外気中で行われ、サンプルは密封されていない。本構成において、ヒーター及びコンタクトブロック620Aにつながる「+」線、コンタクトブロック624Aにつながる「−」線とともに、カソード側はコンタクトブロック624Aの側と同じ側であり、アノード側はヒーター及びコンタクトブロック620Aの側と同じ側である。長期間試験の結果は、図7及び図8に示されている。
図6Bは、第1層606BがZnSbペレットである層構造を有する熱電デバイス600Bの写真を示しており、第1電気接続部602B及び第2電気接続部604Bは、銅電極により形成されている。
図7は、200℃での長期間試験中の、ZnSbのZn原子に対する総量が1モル%のマグネシウム(Mg)がドープされたZnSb、すなわち、Mg0.04Zn3.96Sbのサンプルのゼーベック係数の空間的分布を示す。サンプルが、サンプル内を流れる10Aの電流にさらされ、外気環境、すなわち外気に露出した状態で200℃に維持されて、それぞれ0、500、800、1000及び1500分後にスキャン画像が測定された。実質的な劣化が発生していないことが観察される。図7において、アノードとして機能する電気接続部が右手側に設けられ、カソードとして機能する電気接続部が左手側に設けられている。左手側と右手側とは長い辺である。図7は、0−200μV/Kの範囲を示している。
図8は、285℃での長期間試験中の、ZnSbのZn原子に対する総量が1モル%のマグネシウム(Mg)がドープされたZnSb、すなわち、Mg0.04、Zn3.96、Sb3のサンプルのゼーベック係数の空間的分布を示す。サンプルが、サンプル内を流れる10Aの電流にさらされた状態で、外気環境、すなわち外気にさらされた状態で285℃に維持されて、それぞれ0、200、500分後に、左から右へとスキャン画像が測定された。実質的な劣化が発生していないことが観察される。500分後に、矢印が指しているように、比較的高いゼーベック係数を示している小さな領域が見られる。これは、劣化の開始であると解される。図7と同様に、アノードとして機能する電気接続部が右手側に設けられ、カソードとして機能する電気接続部が左手側に設けられている。左手側と右手側とは長い辺である。図8は、0−200μV/Kの範囲を示している。図7の画素には、特に1000分から1500分に対応するスキャン画像において、少しノイズが多い。これは、誤った測定点の原因となる実験上のノイズであると解され、ノイズの値は、ゼーベック係数が高いか低いかということとは無関係である。
図7及び図8においては、第2層及び第3層の両方があり、第2層及び第3層が99.9重量%のZn箔により形成されている。このように、Znを含む箔が、両方の電気接続部、すなわちアノード及びカソードと、圧縮されたZnSbの粉末のペレットである第1層との間に設けられている。第1電気接続部及び第2電気接続部は、銅の棒により形成されている。代わりの実施形態においては、第1接続部及び第2接続部は、圧縮された材料により形成されてもよく、圧縮された材料は、高い電気伝導性を有し、前処理及び使用中の温度に耐えることができる。
特定の実施形態において、第1電気接続部及び/又は第2電気接続部は、銅粉のような圧縮された粉末により作られてもよい。他の特定の実施形態においては、第1接続部及び第2接続部は、銅粉のような粉末を有することで実現され、第1層、第2層又は第3層に隣接して設けられ、粉末を固体素子へと圧縮するために焼結工程のようなプレス工程を実行し、第1接続部及び/第2接続部にして、第1接続部及び/第2接続部を第1層、第2層及び/又は第3層に隣接させる。
平均故障間隔(MTBT)の見積もりは、電流時間(Ah)を計算し、これを関連する電流に関連付けることにより与えられる。所与の場合、10Aにおいて0.06Ωに対応する0.6Vの電圧を観察することにより、内部抵抗が測定された。ゼーベック係数の平均値は、約150μV/Kである。200ケルビンの温度差は、このように30mVに対応する。熱電デバイスとして使用する場合、熱電脚部の内部抵抗と同じ大きさの負荷抵抗が、熱電脚部と直列に接続される。そうすると、実際に使用する間に脚部を流れる電流は、30mV/K/(2×0.06Ω)=0.25Aになる。その結果、MTBFは、テスト中と使用中の条件でのアンペア時間(Ah)を等しいとみなして見積もることで、
MTBT=1500分×10A/0.25A=60000分=1000時間
と得ることができる。
図9A及び図9Bは、第2層又は第3層がない場合940、第1層とアノードとして機能する第1電気接続部との間に第2層が設けられている場合942、第1層とカソードとして機能する第1電気接続部との間に第2層が設けられている場合944、第2層及び第3層の両方が亜鉛を含む場合946における、それぞれ、電流の関数としての、電圧−電流特性(U[V]対I[A])、及び電気伝導性(σ[1/Ω・m]対I[A])を示す。
図10A及び図10Bは、図9と同様のデータ群であるが、図10は、ZnSbのZn原子に対する総量が1モル%のマグネシウム(Mg)がドープされたZnSb、すなわち、Mg0.04、Zn3.96、Sb3のZnSbペレットにおいて測定されたデータ群である。このように、図10A及び図10Bは、図9と同様の方法で示されており、第2層又は第3層がない場合1040、第1層とアノードとして機能する第1電気接続部との間に第2層が設けられている場合1042、及び第2層及び第3層の両方が亜鉛を含む場合1046における、それぞれ、マグネシウムがドープされたZnSbペレットの電流の関数としての、電圧−電流特性(U[V]対I[A])、及び電気伝導性(σ[1/Ω・m]対I[A])を示す。図10A及び図10Bにおける曲線1042及び1046の参照符号により示されている2Aの電流に対応する測定点は、誤りであると考えられる。
図9及び図10において、第2層及び第3層のそれぞれは、99.9重量%のZnにより形成されている。図9及び図10から、Zn箔がないサンプルに比べて、電気伝導性が著しく増加していることがわかる。さらに、Zn箔のような第2層がないサンプルに比べて、第1電気接続部及び第2電気接続部を含む完全な熱電脚部の構造的安定性が、著しく増加している。Znを含む箔のような第2層を含む熱電脚部の構造的安定性が増加したことから、第2層がない熱電脚部に比べて砕けにくい傾向にあることが明らかである。構造的安定性が増加しなければ、熱電脚部は、単なる操作中に砕けてしまうかもしれないが、構造的安定性が増加すると、移動や手による操作中のような単なる操作中にサンプルが耐えることを確実にする。
実施例において、化学両論的組成式ZnSbを有する材料を含む第1層(106)と、
−第1電気接続部(102)と、
−第2電気接続部(104)と、
−第1層(106)と異なる第2層(108)と、
を含み、第2層はZnを含み、第1層は第1電気接続部と第2電気接続部との間に設けられており、第2層は第1層と第1電気接続部との間に設けられている層構造を備える熱電デバイス(100A)が提供される。
他の実施例においては、上記の請求項に係る熱電デバイスを製造する方法であって、
−第1層を供給する工程と、
−第1電気接続部及び第2電気接続部を供給する工程と、
−第2層を供給する工程と、
−第1層を第1電気接続部と第2電気接続部との間に設ける工程と、
を備え、第2層が、第1層と第1電気接続部との間に設けられている製造方法が提供される。
総括すると、本発明は、第1層、第1電気接続部、第2電気接続部、及び第1層と異なる第2層を含む層構造を備える熱電デバイスに関するものであり、第1層は化学両論的組成式ZnSb(アンチモン亜鉛)の材料を含み、第2層は亜鉛を含む。第1層は、第1電気接続部と第2電気接続部との間に設けられており、第2層は、第1層と第1電気接続部との間に設けられている。Znは、箔から拡散して第1層のZn空乏領域に補充されるので、Znを含む第2層を備えることにより、Znのエレクトロマイグレーションの欠点が克服されるかもしれない。特定の実施形態において、第2層は箔である。他の特定の実施形態において、第1層は、マグネシウムのような元素がドープされている。
本発明は、特定の実施形態に関連付けて記載されたが、提示した例に限定されると解されるべきではない。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲により定められるものである。特許請求の範囲における「備え」又は「備える」は、他の要素又は工程の可能性を排除するものではない。また、「一の」のような参考的記載は、複数を排除すると解されるべきではない。特許請求の範囲における、図に示されている参照符号の使用もまた、本発明の技術的範囲を限定するものと解されるべきではない。さらに、異なる請求項において述べられる個々の特徴は、優位性があるように組み合わせることが可能であり、異なる請求項においてこれらの特徴を述べていることは、特徴を組み合わせることが可能であり、利点があることを排除するものではない。



特定の実施形態において、「第1層及び第2層が、第1層と第2層との間の界面を介してのZn含有混合物の流束の総量が、第1層の方向において、少なくとも、同じ方向における第1層内の仮想的な表面を介してのZn含有混合物の流束の総量と同じ大きさである」ことは、第2層におけるZnの濃度とエレクトロマイグレーションの速度(エレクトロマイグレーションの速度は、「単位時間内に、Zn含有混合物がどれくらい遠くまでエレクトロマイグレーションするか」に対応するものと理解される)が、第1層へと向かう方向における、第2層を介するZn含有混合物の流束が、対応する、同じ方向における第1層内の(仮想的な)表面を介するZn含有混合物の流束の総量と少なくとも同じ大きさであることを可能にする。特定の実施形態において、所定の電圧勾配において、(エレクトロマイグレーションすることが疑わしい)Zn含有混合物の濃度と第2素子におけるエレクトロマイグレーションの速度との積が、(エレクトロマイグレーションすることが疑わしい)Zn含有混合物の濃度と第素子におけるエレクトロマイグレーションの速度との積よりも少なくとも大きく、より大きいか、少なくとも2倍大きいか、少なくとも10倍大きいという第1素子と第2素子とが提供される。

Claims (26)

  1. 層構造を含む熱電デバイス(100A)であって、
    化学量論的組成式ZnSbを有する材料を含む第1層(106)と、
    第1電気接続部(102)と、
    第2電気接続部(104)と、
    前記第1層と異なり、Znを含む第2層(108)と、
    を備え、
    前記第1層は、前記第1電気接続部と前記第2電気接続部との間に設けられており、前記第2層は、前記第1層と前記第1電気接続部との間に設けられており、前記第2層は、プレス工程において前記第1層と接合されている、
    熱電デバイス。
  2. 前記第1層(106)と異なり、Znを含む第3層(110)をさらに備え、
    前記第3層は、前記第1層と前記第2電気接続部との間に設けられている、
    請求項1に記載の熱電デバイス(100A)。
  3. 前記第2層(108)と前記第1層(106)とは、前記第2層から前記第1層へのZn含有混合物のエレクトロマイグレーションを許容する、
    請求項1に記載の熱電デバイス(100A)。
  4. 前記第2層(108)及び前記第1層(106)は、前記第1層へのZn含有混合物のエレクトロマイグレーションを許容し、前記第1層内においてエレクトロマイグレーションをしたZnを含む混合物を置換する、
    請求項1に記載の熱電デバイス(100A)。
  5. 前記第2層(108)及び前記第1層(106)において、前記第1層と前記第2層との間の界面を通る、前記第1層に向かう方向におけるZn含有混合物の流束の合計が、同じ方向における、前記第1層内の仮想的表面を通る、Zn含有混合物の流束と少なくとも同じ大きさである、
    請求項1に記載の熱電デバイス(100A)。
  6. 前記第1電気接続部(102)及び前記第2電気接続部(104)の少なくとも1つは、銅、銀、ウォルフラム、モリブデン、亜鉛からなる群より選択された伝導体を含む、
    上記のいずれかの請求項に記載の熱電デバイス(100A)。
  7. 前記第1電気接続部(102)が亜鉛を含み、前記第2層(108)及び前記第1電気接続部は、一体化された素子である、
    上記のいずれかの請求項に記載の熱電デバイス(100A)。
  8. 前記第1層(106)が、Zn原子の一部が、ZnSbのZn原子に対する総量が20モル%以下のMg、Sn、Pb、遷移金属及びニクトゲンからなる群より選ばれた1以上の元素のZnSbを含む、
    上記のいずれかの請求項に記載の熱電デバイス(100A)。
  9. 前記第1層(106)が、圧縮された粉末を含む、
    上記のいずれかの請求項に記載の熱電デバイス(100A)。
  10. 前記第1電気接続部(102)及び前記第2電気接続部(104)のそれぞれと、前記第2層(108)とは、前記第1層(106)の形状に一致するように形成されている、
    上記のいずれかの請求項に記載の熱電デバイス(100A)。
  11. 前記第2層(108)が、Znを含む箔である、
    上記のいずれかの請求項に記載の熱電デバイス(100A)。
  12. 前記第2層(108)が、少なくとも99.0重量%のZnを含んでいる、
    上記のいずれかの請求項に記載の熱電デバイス(100A)。
  13. 上記の請求項のいずれかによって定義される層構造を複数有する、
    上記のいずれかの請求項に記載の熱電デバイス(100A)。
  14. 第1層を供給する工程と、
    第1電気接続部及び第2電気接続部を供給する工程と、
    第2層を供給する工程と、
    前記第1層を、前記第1電気接続部と前記第2電気接続部との間に設けるとともに、前記第2層を、前記第1層と前記第1電気接続部との間に設ける工程と、
    前記第2層が前記第1層に接合されるプレス工程と、
    を備える、
    上記のいずれかの請求項に係る熱電デバイスの製造方法。
  15. 第3層を供給する工程と、
    前記第1層と前記第2電気接続部との間に前記第3層を設ける工程と、
    前記第3層が前記第1層に接合されるプレス工程と、
    をさらに備える、
    請求項14に記載の熱電デバイスの製造方法。
  16. 前記プレス工程において、前記第1電気接続部が前記第2層に接合される、
    請求項14に記載の熱電デバイスの製造方法。
  17. 前記プレス工程において、前記第2電気接続部が前記第3層に接合される、
    請求項15に記載の熱電デバイスの製造方法。
  18. 前記プレス工程において、前記第1電気接続部、前記第2層、前記第1層、前記第3層及び前記第2電気接続部を含むサンドイッチ構造が一緒に接合される、
    請求項15に記載の熱電デバイスの製造方法。
  19. 前記プレス工程において、1MPaから500MPaの範囲の圧力が印加される、
    請求項14から18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記プレス工程において、前記第1電気接続部及び/又は前記第2電気接続部を50℃から700℃の範囲の温度にさらす工程を有する、
    請求項14から19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記プレス工程が、一軸ホットプレス、ドラック・シンター・プレス、又はホット均衡プレスのいずれか1つを用いる工程を有する、
    請求項14から20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記プレス工程が、1−1800分の範囲内のような、1−3600分の範囲内の長さである、
    請求項14から21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記プレス工程が、焼結する工程である、
    請求項14から22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記第1層が、前記プレス工程の前に粉末を含み、前記第1層は、前記プレス工程の後に、固形化したコヒーレントな素子である、
    請求項14から23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 熱エネルギーと電気エネルギーとの間のエネルギーの変換のための、請求項1から13のいずれかに記載の熱電デバイスの使用。
  26. 請求項14から24のいずれかの製造方法により製造される、熱電素子。



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