JP2013545258A - ファウリング防止(anti−fouling)点火プラグおよび製作方法 - Google Patents

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Abstract

本明細書で開示されるのは、中心軸方向ボアおよび外面を有する絶縁スリーブならびに絶縁スリーブの中心軸方向ボアを貫通して延びる中心電極を備える点火プラグである。絶縁スリーブは、内燃機関への取付台および接合部として使用される金属シェル内に位置決めされ、金属シェルに固定される。金属スリーブは、火花ギャップを発生するように中心電極に関して離間した関係で位置決めされる接地電極も支持する。絶縁スリーブは、金属シェルの陥凹末端部分内に入れられる整形された先端部分を備える。コーティングは、絶縁スリーブの外面上に配設される。コーティングは、適宜充填剤と組み合わせて、シリコーン樹脂を含む。
【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれている、2010年12月6日に出願した米国仮特許出願第61/420,127号の利益を主張するものである。
[0001]一般に、点火プラグは、中心電極が貫通して延びる中心軸方向ボア(central axial bore)を有する絶縁スリーブを備える。絶縁スリーブは、内燃機関への取付台および接合部として使用される金属シェル内に位置決めされ、金属シェルに固定される。金属スリーブは、火花ギャップを発生するように中心電極に関して特定の離間した関係で位置決めされる接地電極も支持する。絶縁スリーブは、金属シェルの陥凹末端部分内に入れられる整形先端部分を備える。整形先端部分は、エンジンの熱および燃焼生成物から電極を保護するように構成される。点火プラグは、典型的には、エンジンのシリンダーヘッドに装着され、関連するエンジンのシリンダー内の燃料/空気の混合気を点火するように選択的に作動される。
[0002]時間がたつうちに、燃焼生成物または燃焼堆積物が中心電極および特に整形先端部分の周りに蓄積する。燃焼生成物のこのような蓄積は、火花ギャップ間の火花の形成を阻害する。燃焼生成物の著しい蓄積で、点火プラグを汚し、その結果、点火失敗が生じる可能性がある、つまり、燃焼生成物が、中心電極と接地電極との間に火花が形成されるのを完全に阻害する。燃焼堆積物の蓄積は、特に、常温始動時に問題となる。常温始動時に、空気/燃料の混合気の完全燃焼は滅多に達成されず、その結果、導電性燃焼堆積物の生成が増大する。常温始動を連続して行う結果、導電性燃焼堆積物が蓄積し、その結果、中心電極と点火プラグの電気的接地部分との間にショートが発生する。
[0003]燃焼堆積物の蓄積問題に対処しようとする以前の試みでは、シリコーン油コーティングおよび微粒子状酸化バナジウム堆積物を絶縁スリーブに施していた。これらのコーティングでは、この問題に十分対処することができなかった、つまり、高温での不適切な性能、不適切な耐久性、または燃料堆積物の蓄積の不十分な削減が問題であった。
[0004]そこで、絶縁スリーブにおける導電性燃焼堆積物の蓄積に対する脆弱性を軽減する点火プラグが必要である。
[0005]本明細書で開示されるのは、中心軸方向ボアおよび外面を有する絶縁スリーブならびに絶縁スリーブの中心軸方向ボアを貫通して延びる中心電極を備える点火プラグである。絶縁スリーブは、内燃機関への取付台および接合部として使用される金属シェル内に位置決めされ、金属シェルに固定される。金属スリーブは、火花ギャップを発生するように中心電極に関して離間した関係で位置決めされる接地電極も支持する。絶縁スリーブは、金属シェルの陥凹末端部分内に入れられる整形された先端部分を備える。コーティングは、絶縁スリーブの外面上に配設される。コーティングは、適宜充填剤と組み合わせて、シリコーン樹脂を含む。
[0006]本明細書でさらに開示されているのは、コーティングされた絶縁スリーブを作製する方法およびコーティングされた絶縁スリーブを備える点火プラグである。
[0007]部分的に断面を示している、点火プラグの側面図である。 [0008]小型エンジンの点火プラグの試験結果を示すグラフである。
[0009]本明細書で説明されているようなシリコーン樹脂を含むコーティングは、実質的に連続的なコーティングである。本明細書で定義されているような、実質的に連続的なコーティングは、肉眼で見える途切れもしくは間隙のない、絶縁スリーブの外面を覆うコーティングを意味する。コーティングの厚さは、1から20マイクロメートルであるか、またはより明確には1から15マイクロメートルであるものとしてよい。
[0010]シリコーン樹脂は、架橋され高度に分岐した三次元フレームワーク高分子である。これらは、ランダムに順序付けられた、主に三官能性の単位を含むことができる。シリコーン樹脂は、比較的低分子量の反応性樹脂から非常に多様な構造を有する高分子量の材料までいろいろなものがある。シリコーン樹脂は、シリコーン流体が典型的にはジメチルシロキサン単位を含む線状非架橋高分子であるという点でシリコーン流体(油)と異なる。
[0011]シリコーン樹脂は、500℃以上、またはより具体的には、510℃以上、またはより具体的には、525℃以上の熱分解温度を有することができる。
[0012]シリコーン樹脂は、架橋(硬化)されるか、または硬化性を有するものとしてよい。シリコーン樹脂が硬化性を有する場合、これは、環境湿度を使用して、またはオクタン酸亜鉛もしくはスズ、アミノ基修飾シランエステル、またはこれらの混合物を含むような硬化触媒を使用して、硬化させることができる。
[0013]例示的なシリコーン樹脂として、Momentive Performance Materialsから入手可能なSR355、SR141、Baysilone M 120 XB、およびSilblock WAならびにDow Corningから入手可能なDow Corning(登録商標)233、Dow Corning(登録商標)840、およびDow Corning(登録商標)805を含む。
[0014]上で述べたように、コーティングは、適宜、無機充填剤を含むことができる。充填剤は、500℃以上、またはより具体的には、510℃以上、またはより具体的には、525℃以上の熱分解温度を有するように選択することができる。充填剤は、13マイクロメートル以下の平均粒径(最長線寸法によって決定される)を有するように選択することもできる。この範囲内で、平均粒径は5ナノメートルから10マイクロメートルまでとすることができる。充填剤は、1より大きい、またはより具体的には、2以上、またはより具体的には、3以上の長さ対幅の比(縦横比)を有するように選択することもできる。
[0015]例示的な充填剤として、シリカ、フュームドシリカ、親水性フュームドシリカ、雲母状酸化鉄、珪灰石、有機粘土、自然粘土、アルミナ、および前記の組み合わせが挙げられる。
[0016]コーティングは、最初にシリコーン樹脂またはシリコーン樹脂と充填剤の分散液または溶液を形成することによって形成される。分散液の有用な担体として、水が挙げられる。溶液の有用な溶媒として、トルエン、ベンゼン、キシレン、および同様のものなどの非極性芳香族溶媒が挙げられる。分散液または溶液は、分散液または溶液の総重量に基づき、最大10重量パーセントまでのシリコーン樹脂を含むことができる。この範囲内で、分散液または溶液中のシリコーン樹脂の量は、0.5から10重量パーセント、またはより具体的には、1から5重量パーセントとすることができる。分散液または溶液は、分散液または溶液の総重量に基づき、最大10重量パーセントまでの無機充填剤を含むことができる。この範囲内で、分散液または溶液中の無機充填剤の量は、0.5から10重量パーセント、またはより具体的には、1から5重量パーセントとすることができる。シリコーン樹脂の量および無機充填剤の量は、重量パーセントベースでは、同じであるものとしてよい。例えば、分散液または溶液は、スラリーまたは溶液の総重量に基づき、2.5重量パーセントのシリコーン樹脂および2.5重量パーセントの無機充填剤を含むことができる。
[0017]分散液または溶液を点火プラグサブアセンブリの絶縁スリーブに塗布することができる。点火プラグサブアセンブリは、絶縁スリーブ、中心電極、抵抗器、および端子スタッド端部を備える。分散液または溶液は、塗装、浸漬コーティング、スプレーコーティング、および同様のものなどの任意の適切な方法によって塗布することができる。中心電極に施されたコーティングは、適切な方法で除去することができる。
[0018]室温の空気流の下で、少なくとも15分間、またはより具体的には1から4時間の間、塗布された分散液または溶液を空気乾燥させる。空気乾燥は、使用されたときに揮発性溶媒を少なくとも部分的に蒸発させ、架橋に重要な場合には水分を導入することができる。空気乾燥後、サブアセンブリを、100から150℃などの高温で、30分から60時間、またはより具体的には、1から4時間かけて処理する。高温での時間の長さは、エッジ効果、スキニング(skinning)、またはひびの形成なしにコーティングを形成するのに十分であるように選択されるべきである。高温での処理に続いて、シリコーン樹脂を硬化させるステップを、300から450℃の温度で、30から90分かけて完了させる。
[0019]例示的な点火プラグが、図1に示されている。点火プラグ1は、金属シェル2、接地電極3、中心電極5、絶縁スリーブ6、絶縁スリーブの整形先端部分61、および絶縁スリーブ上の配設されるコーティング7を有する。
[0020]本発明は、さらに、以下の非限定的な例によりさらに例示される。
[0021]試験材料/コーティングの薄膜をアルミナまたはガラス基材ストリップ上に調製し、15分間、標的温度に加熱する。シリコーン樹脂の量に関する充填剤の量を表1、表1Aにまとめた。例えば、0.2Xの量は、充填剤の質量はシリコーン樹脂の質量の0.2倍であったことを意味する。したがって、「1X」は、充填剤の質量およびシリコーン樹脂の質量が同じであったことを意味する。次いで、マッフル炉からこれらのストリップを取り出して、室温まで冷ました。水滴をコーティング領域上に垂らし、疎水性を目視で推定した。次いで、スライドを表に示されている2番目に高い温度に加熱した(増分値は50℃)。最高温度、一般的には600℃まで、プロトコルを繰り返した。結果を以下の表に示した。
Figure 2013545258
Figure 2013545258
[0022]無機充填剤(フュームドシリカ)を含めると、結果として、コーティングは、無機充填剤なしで同じシリコーン樹脂により形成されたコーティングとは対照的に大きな水接触角を有した。接触角は、コーティングの疎水性を示す。水接触角が高いと、疎水性は大きいということである。疎水性が高いほど、このプロセスで水分が果たす役割により導電性燃焼生成物の形成を阻害すると信じられている。
[無機充填剤を含まないシリコーン樹脂]
[0023]SR141シリコーン樹脂コーティングを固形物40〜60重量%のトルエン溶液として用意した。原液をトルエンで希釈し、溶液の総重量に基づき、2.5重量%の固形物を含む作業コーティング溶液を作った。
[0024]燃焼室に露出される点火プラグサブアセンブリの先端部を、以下のようにシリコーン樹脂溶液で浸漬コーティングした。
1.シリコーン樹脂処理を必要とする絶縁体の部分を希釈されたシリコーン樹脂溶液中に沈めた。
2.先端部が溶液で完全に濡れた後、これを中程度の速度(約1秒)で溶液から引き上げた。
3.次いで、濡れた先端部を、1から4時間かけて、室温の空気流[前面風速約30.48m(100フィート)/分(FPM)]の下で乾燥させた。
4.次いで、空気乾燥した先端部を、1から4時間かけて、120℃の対流式オーブン内で加熱した。
5.次いで、コーティングした先端部を、1時間の間に、350℃の温度まで炉内で加熱した。
6.次いで、コーティングしたサブアセンブリを使用して、完全な点火プラグを製作した。
[無機充填剤を含むシリコーン樹脂]
[0025]何種類かの無機充填剤を使用すると、コーティングの耐熱性が増し(より高い温度に曝すことが可能になる)、またシリコーン樹脂の固有の疎水性が強化されることが判明した。
[0026]SR141シリコーン樹脂コーティングを固形物40〜60重量%のトルエン溶液として用意した。原液をトルエンで希釈し、溶液の総重量に基づき、2.5重量%の固形物を含む作業コーティング溶液を作った。
[0027]Sigma Chemical社から、平均粒径7ナノメートル、表面積390±40m/gの、非常にふわふわした粉体物質である、乾燥形態のフュームドシリカを入手した。前段で説明した溶液中の重さでシリコーン樹脂の量に等しい量のフュームドシリカを溶液に加え、少なくとも16時間の間、室温で混合し、フュームドシリカを完全に湿潤し、分散させた。当量の架橋/分散添加剤(Momentive社のアミノプロピルトリメトキシシラン)も加えた。
[0028]燃焼室に露出される点火プラグサブアセンブリの先端部を、以下のようにシリコーン樹脂溶液で浸漬コーティングした。
1.シリコーン樹脂処理を必要とする絶縁体の部分を無機充填剤を含む希釈されたシリコーン樹脂溶液中に沈めた。
2.先端部が混合液で完全に濡れた後、これを中程度の速度(約1秒)で混合液から引き上げた。
3.次いで、濡れた先端部を、1から4時間かけて、室温の空気流[前面風速約100FPM]の下で乾燥させた。
4.次いで、空気乾燥した先端部を、1から4時間かけて、120℃の対流式オーブン内で加熱した。
5.次いで、コーティングした先端部を、1時間の間に、350℃の温度まで炉内で加熱した。
6.次いで、コーティングしたサブアセンブリを使用して、完全な点火プラグを製作した。
[0029]シリコーン樹脂および、シリコーン樹脂と充填剤との組み合わせでコーティングされた点火プラグを小型エンジン(Tecumseh木材破砕機の5馬力エンジン)における性能に関して試験した。試験は、屋外環境(−3.9〜32.2℃(25〜90+°F)、湿度無制御)を使用して外気試験領域において実施した。もっぱら多燃料でエンジンを運転した。エンジンは1〜5分間運転され、運転と運転との間の冷却期間はおおむね15分程度であった。運転サイクル毎にシャント抵抗を測定した。結果は、図2に示されている。
[0030]本発明は、好ましい一実施形態に関して説明されているが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を加え、これらの要素の代わりに同等物を使用できることを理解するであろう。それに加えて、本発明の本質的範囲から逸脱することなく、さまざまな修正を行って、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させることができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために考えられた最良の様式として開示されている特定の実施形態に限定されないことが意図されているが、本発明は、付属の請求項の範囲内にあるすべての実施形態を含むことが意図されている。
[0031]本明細書で開示されているすべての範囲は、終点を包含し、またそれらの終点は、互いに組み合わせ可能である。
[0032]引用されているすべての特許、特許出願、特許、および他の文献は全体が参照により本明細書に組み込まれている。
[0033]本発明を説明する英語原文の文脈において「a」および「an」および「the」および類似の指示対象の用語を使用している場合(特に、請求項の文脈において)、本明細書において特に断りのない限り、または文脈上明確に矛盾していない限り、単数形と複数形の両方を含むものと解釈されるべきである。さらに、本明細書の「第1」、「第2」、および同様の語は、順序、数量、または重要度を表さず、むしろ、要素を互いに区別するために使用されていることに留意されたい。

Claims (11)

  1. 中心軸方向ボアおよび外面を有する絶縁スリーブであって、コーティングが前記外面上に配設され、前記コーティングはシリコーン樹脂を含む、絶縁スリーブと、
    前記絶縁スリーブの前記中心軸方向ボアを貫通して延びる中心電極と、
    金属スリーブであって、前記絶縁スリーブが前記金属シェル中に位置決めされ、前記金属シェルに固定される、金属スリーブと、
    前記金属シェルによって支持され、火花ギャップを発生するように前記中心電極に関して離間した関係で位置決めされる接地電極と
    を備える点火プラグ。
  2. 請求項1に記載の点火プラグにおいて、前記コーティングは、1から20マイクロメートルの厚さを有する点火プラグ。
  3. 請求項1または2に記載の点火プラグにおいて、前記コーティングは、無機充填剤をさらに含む点火プラグ。
  4. 請求項3に記載の点火プラグにおいて、前記無機充填剤は、フュームドシリカを含む点火プラグ。
  5. 請求項3に記載の点火プラグにおいて、前記無機充填剤は、1より大きい長さ対幅の比を有する点火プラグ。
  6. コーティングされた絶縁スリーブを製作する方法であって、
    シリコーン樹脂を含む溶液をサブアセンブリの絶縁スリーブに塗布して溶液被覆されたスリーブを形成するステップと、
    前記溶液被覆されたスリーブを空気流の下で乾燥させて空気乾燥されたスリーブを形成するステップと、
    前記空気乾燥されたスリーブを100から150℃の温度に加熱して加熱されたスリーブを形成するステップと、
    前記加熱されたスリーブを300から450℃の温度で硬化させて前記コーティングされた絶縁スリーブを形成するステップと
    を含む方法。
  7. 請求項6に記載の方法において、前記溶液は、0.5から10重量パーセントのシリコーン樹脂を含む方法。
  8. 請求項6または7に記載の方法において、前記溶液は、0.5から10重量パーセントの無機充填剤を含む方法。
  9. 請求項8に記載の方法において、前記溶液は、重量による当量のシリコーン樹脂および無機充填剤を含む方法。
  10. 請求項6から9のいずれか一項に記載の方法において、前記溶液は、架橋剤、分散助剤、またはこれらの組み合わせをさらに含む方法。
  11. 請求項10記載の方法において、前記溶液は、オクタン酸亜鉛もしくはオクタン酸スズ、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、またはこれらの組み合わせを含む方法。
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