JP2013541524A - 置換糖化合物及び歯科用組成物 - Google Patents

置換糖化合物及び歯科用組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2013541524A
JP2013541524A JP2013529161A JP2013529161A JP2013541524A JP 2013541524 A JP2013541524 A JP 2013541524A JP 2013529161 A JP2013529161 A JP 2013529161A JP 2013529161 A JP2013529161 A JP 2013529161A JP 2013541524 A JP2013541524 A JP 2013541524A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
dental
substituted sugar
polymerizable
sugar
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013529161A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013541524A5 (ja
JP6272029B2 (ja
Inventor
ヤン ジー
ビー.ミトラ スミタ
ヘ イー
エー.シュクラ ブライアン
カリム ナイムル
ファルサフィ アフシン
ビー.ロス リチャード
アール.クレイバー ポール
ダブリュ.グリースグレイバー ジョージ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
3M Innovative Properties Co
Original Assignee
3M Innovative Properties Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 3M Innovative Properties Co filed Critical 3M Innovative Properties Co
Publication of JP2013541524A publication Critical patent/JP2013541524A/ja
Publication of JP2013541524A5 publication Critical patent/JP2013541524A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6272029B2 publication Critical patent/JP6272029B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K6/00Preparations for dentistry
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07HSUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
    • C07H13/00Compounds containing saccharide radicals esterified by carbonic acid or derivatives thereof, or by organic acids, e.g. phosphonic acids
    • C07H13/12Compounds containing saccharide radicals esterified by carbonic acid or derivatives thereof, or by organic acids, e.g. phosphonic acids by acids having the group -X-C(=X)-X-, or halides thereof, in which each X means nitrogen, oxygen, sulfur, selenium or tellurium, e.g. carbonic acid, carbamic acid
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61CDENTISTRY; APPARATUS OR METHODS FOR ORAL OR DENTAL HYGIENE
    • A61C5/00Filling or capping teeth
    • A61C5/70Tooth crowns; Making thereof
    • A61C5/77Methods or devices for making crowns
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K6/00Preparations for dentistry
    • A61K6/30Compositions for temporarily or permanently fixing teeth or palates, e.g. primers for dental adhesives
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K6/00Preparations for dentistry
    • A61K6/40Primers
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K6/00Preparations for dentistry
    • A61K6/80Preparations for artificial teeth, for filling teeth or for capping teeth
    • A61K6/884Preparations for artificial teeth, for filling teeth or for capping teeth comprising natural or synthetic resins
    • A61K6/887Compounds obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07HSUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
    • C07H13/00Compounds containing saccharide radicals esterified by carbonic acid or derivatives thereof, or by organic acids, e.g. phosphonic acids

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Plastic & Reconstructive Surgery (AREA)
  • Dentistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Dental Preparations (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Orthopedic Medicine & Surgery (AREA)

Abstract

置換糖化合物、置換糖化合物を含む歯科用組成物、及び歯科用組成物の使用方法を記載する。一実施形態では、置換糖アミド化合物は、疎水基と、少なくとも1つのフリーラジカル重合性基と、を含み、その疎水基がフリーラジカル重合性基のエチレン性不飽和炭素原子と結合していないことを条件とする。疎水基は、通常、糖アミン残基の窒素原子又は糖アミド残基のカルボニル部分と結合する。

Description

WO第2008/033911号は、有機ゲル化剤を含む歯科用組成物、製品及び方法を記述している。好適かつ好ましい有機ゲル化剤の部類は、直鎖アミノ糖及び環状アミノ糖を含むアミノ糖である。
EP第2108663号は、主に歯科用材料として使用されている、かつ複数の重合性基を有する、親水性の重合性モノマー、その重合性モノマーを含有する重合性組成物、並びにその組成物、例えば歯科プライマー、結合材、セメント及び複合樹脂などを使用する歯科用材料に、関する。
EP第2112177号は、少なくとも2つの重合性基と少なくとも2つのヒドロキシル基とを有する重合性モノマー及び水を含有する、歯科用組成物として好適な組成物に関する。
本願に記載されるのは、置換糖化合物、置換糖化合物を含む歯科用組成物、及び歯科用組成物の使用方法である。
一実施形態では、置換糖アミド化合物を記載する。置換糖アミド化合物は、疎水基と、少なくとも1つのフリーラジカル重合性基と、を含み、その疎水基がフリーラジカル重合性基のエチレン性不飽和炭素原子と結合していないことを条件とする。疎水基は、通常、糖アミン残基の窒素原子又は糖アミド残基のカルボニル部分と結合する。
他の実施形態に、歯科用組成物を記載する。好ましい一実施形態では、歯科用組成物は非常に酸性であり、(例えばセルフエッチング)接着剤、セメント、シーラント、又は流動性の複合修復材料としての用途に好適である。この歯科用組成物は、酸性官能基を有する35重量%〜75重量%のエチレン性不飽和化合物と、前述の糖アミド化合物のような、少なくとも1つのフリーラジカル重合性の置換糖化合物と、を含む。この歯科用組成物は、エッチング液又はプライマーで表面を前処理せずに(例えば硬質の)歯の組織の表面に適用することができる。
他の実施形態では、少なくとも1つのフリーラジカル重合性の置換糖化合物と、無機酸化物(例えばナノクラスター)充填剤と、を含む、修復に用いるのに好適な歯科用組成物を記載する。
本明細書で使用するとき、「歯科用組成物」は、所望により充填剤を含む、口腔表面に接着又は結合し得る材料を指す。硬化性の歯科用組成物を使用して、歯の表面に歯科用物品を結合すること、歯の表面にコーティング(例えばシーラント)を形成すること、又は予め形成された(例えば歯冠又はブリッジ)修復材料を製作することができる。硬化性の歯科用組成物としては、例えば、接着剤(例えば、歯科用及び/又は歯列矯正用接着剤)、セメント(例えば、樹脂で変性されたガラスアイオノマーセメント、及び/又は歯列矯正用セメント)、プライマー(例えば歯列矯正用プライマー)、ライナー(歯の感度を低減するために空洞基底部に適用する)、シーラントのようなコーティング(例えば、歯列矯正用シーラント)、及びワニスが挙げられる。硬化性の歯科用組成物は、歯科充填材のような複合材料(修復材とも呼ばれる)、並びに歯冠、ブリッジ及び歯科インプラント用物品のような歯科用物品であってもよい。充填剤を多く含む歯科用組成物は、歯冠のための被切削材料として使用可能なミルブランクにもまた使用される。複合材料は、歯牙構造の実質的な空隙を充填するために好適なように設計される、充填剤を多く含むペーストである。歯科用セメントは、複合材料と比べて比較的充填剤が少なく粘ちょう度の低い材料であり、通常、インレー及びオンレーなどのような追加的材料の結合剤として作用するか、又は、層に適用されて硬化される場合は、それ自体で充填材料として作用する。歯科用セメントは、歯冠、ブリッジ、又はインプラントのような歯科用修復材を永久に結合するためにも使用される。
本明細書で使用する時、「接着剤」又は「歯科用接着剤」とは、「歯科用材料」(例えば、「修復剤」)、歯科用物品(例えば歯冠)、歯列矯正器具(例えば、ブラケット)を歯牙構造体に接着させるために、歯構造体(例えば、歯)上で前処理として使用される組成物を指す。
幾つかの実施形態では、歯科用材料との接着力を高めるために、例えば、エッチング、下塗り、及び/又は接着剤の適用によって歯構造体表面を前処理してもよい。
本明細書で用いるとき、「エッチング剤」は、歯構造体表面を完全に又は部分的に可溶化する(即ち、エッチングする)ことができる酸性組成物を指す。エッチング効果は、肉眼で見ることができる及び/又は機器で(例えば、光学顕微鏡検査によって)検出可能である。典型的に、エッチング剤は、約10〜30秒間、歯構造体表面に適用される。
本明細書で使用するとき、「セルフエッチング」組成物とは、歯構造体表面をエッチング剤で前処理することなく歯構造体に表面に固着させる組成物を指す。好ましくは、セルフエッチング性組成物は、プライマーを使用しない自己プライマーとしても機能することができる。
本明細書で使用するとき、「硬組織表面」とは、歯構造体(例えば、エナメル質、象牙質、及びセメント質)及び骨の両方を指す。
本明細書で使用するとき、「歯科用物品」とは、歯牙構造体又は歯科用インプラントに接着(例えば結合)することが可能な物品をいう。歯科用物品としては、例えば、歯冠、ブリッジ、ベニヤ、インレー、オンレー、充填材、歯科矯正装具及び装置が挙げられる。
本明細書で使用するとき、「歯列矯正装具」は、歯列矯正用ブラケット、バッカルチューブ、舌固定装置、歯列矯正用バンド、開口器(bite openers)、ボタン、及びクリートが挙げられるが、これらに限定されない、歯牙構造に接着することが意図されるあらゆる装置を指す。装具は、接着剤を受け入れる基部を有し、それは金属、プラスチック、セラミック、又はそれらの組み合わせで作られるフランジであることができる。あるいは、基部は、1つ以上の硬化した接着剤層(即ち、単層若しくは多層接着剤)から形成される特注基部であることができる。
本明細書で使用するとき、「口腔表面」とは、口腔環境における軟質の又は硬質の表面をいう。硬質表面としては典型的に、例えば、天然の及び人口の歯の表面、骨等を含む歯牙構造が挙げられる。
本明細書で使用するとき、「硬化性」は、重合及び/若しくは架橋を誘発するために加熱し、重合及び/若しくは架橋を誘発するために化学線照射し、並びに/又は重合及び/若しくは架橋を誘発するために1つ以上の成分を混合することによって、硬化(例えば、重合又は架橋)させることができる材料又は組成物を記載する。「混合」は、例えば、2つ以上の部分を組み合わせ、混合して、均質な組成物を形成することにより実施できる。あるいは、2つ以上の成分を、接触面で(例えば、自然発生的に又は剪断応力の適用により)相互混合する、個別の層として提供し、重合を開始させることができる。
本明細書で使用するとき、「硬化済み」は、硬化(例えば、重合又は架橋)した物質又は組成物を指す。
本明細書で使用するとき、「固化剤」は、樹脂の固化を開始させるものを指す。固化剤としては、例えば、重合開始剤系、光反応開始剤系、熱反応開始剤系及び/又は酸化還元開始剤系を挙げることができる。
置換糖化合物を、(紫外線である)放射線への曝露によって硬化される歯科用組成物に利用するとき、その重合性基は(メタ)アクリレート基、アクリレート基、ビニル基、スチリル基のようなフリーラジカル重合性基である。用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレート又はこれらの組み合わせを指す省略形であり、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの組み合わせを指す省略形であり、「(メタ)アクリル」は、アクリル、メタクリル又はこれらの組み合わせを指す省略形である。
本明細書で使用するとき、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つの」及び「1つ以上」は交換可能に使用される。
また、本明細書における端点による数の範囲の記載には、その範囲に含まれるすべての数が含まれる(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5、などが含まれる)。
本明細書で使用するとき、「置換糖アミド化合物」は、糖化合物由来の全ての化合物を指す。
炭水化物は、一般式C(HO)を有する有機化合物である。炭水化物という用語は、生化学において一般に使用されている用語であり、糖(類)という用語と同義語である。炭水化物(糖(類))は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、及び多糖類という4つの化学分類に分類される。
単糖類は、加水分解してそれ以上小さい炭水化物にすることができないという意味において最も単純な炭水化物である。単糖類は、2つ以上のヒドロキシル基を有するアルデヒド又はケトンである。修飾されていない単糖類の一般化学式は(C・HO)である。n=3である最も小さい単糖類は、ジヒドロキシアセトン及びD−及びL−グリセルアルデヒドである。
単糖類は、カルボニル基の場所、炭素原子数、及び立体化学という3つの異なる特徴にしたがって分類される。カルボニル基がアルデヒドであれば、単糖類はアルドースであり、一方、カルボニル基がケトンであれば、単糖類はケトースである。単糖類は、炭素原子を3つ有するものはトリオースと呼ばれ、4つのものはテトロース、5つのものはペントース、6つのものはヘキソース、といったやり方で呼ばれる。これらの2つの分類の仕方はしばしば組み合わされる。例えば、グルコースはアルドヘキソース(炭素が6つのアルデヒド)、リボースはアルドペントース(炭素が5つのアルデヒド)、フルクトースはケトヘキソース(炭素が6つのケトン)である。それぞれの炭素原子は、最初と最後の炭素を除きヒドロキシル基(−OH)を持ち、非対称であり、それ故に、2つの可能な配列(R又はS)をそれぞれ有する立体中心である。非対称である故に、任意の所与の単糖類の式には多くのアイソマーが存在し得る。
2つの単糖類が結合したものが二糖類であり、最も単純な多糖類である。2つの単糖類単位がグリコシド結合として知られる共有結合によって、脱水反応を通じて形成され、ともに結合して、その結果、一方の単糖類から1つの水素原子が失われ、他方の単糖類からヒドロキシル基が失われる。置換されていない二糖類は、一般式C122211を有する。様々な種類の二糖類があるが、最も一般的な二糖類はスクロースである。スクロースは1つのD−グルコース分子と1つのD−フルクトース分子とで構成される。別の一般的な二糖類はラクトースであり、1つのD−ガラクトース分子と1つのD−グルコース分子とで構成される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される置換サッカライドアミド化合物は糖アルコール由来であり、したがって、糖アルコール残基を含む。糖アルコール(ポリオール、多価アルコール、又はポリアルコールとして知られる)は、水素添加された炭水化物の形態であり、そのカルボニル基(アルデヒド又はケトン)は1級又は2級アルコールに還元されている。故に、糖アルコールは糖化合物の残基である。
概して、単糖類、二糖類、及び糖アルコールは低分子量の炭水化物である。故に、それらに由来する置換糖化合物もまた、比較的低分子量である。その分子量は、典型的には、少なくとも250g又は300g/モルであり、1200g/モル以下である。いくつかの実施形態では、分子量は1000g又は800g/モル以下である。
本明細書に記載の置換糖アミド化合物は、疎水基と、少なくとも1つのフリーラジカル重合性基と、を含む。その疎水基は、そのフリーラジカル重合性基のエチレン性不飽和炭素原子と結合していない。故に、その疎水基は長鎖アルキル(メタ)アクリレートの残基ではなく、それに由来するものでもない。本明細書に記載の置換糖アミド化合物は、両親媒性物質のフリーラジカル重合性モノマーとして記述され得る。そのようなモノマーは、ヒドロキシル基及び/又は酸基を含む親水基と、疎水基と、を同一の分子内に含む。
両親媒性化合物は、様々な方法によって特性化できる。当該技術分野において周知の1つの一般的な特性化の方法は、親水親油バランス(「HLB」)である。化合物のHLBを決定する様々な方法が記述されてきたが、本明細書で使用するとき、HLBは、グリフィン法(Griffin WC:「Calculation of HLB Values of Non−Ionic Surfactants」、Journal of the Society of Cosmetic Chemists 5(1954):259を参照)によって得られる値を指す。この計算は、Norgwyn Montgomery Software,Inc.(North Wales,PA)のMolecular Modeling Pro Plusソフトウェアプログラムを使用して行った。
グリフィン法によると、
HLB=20Mh/Mであり、
式中、Mhは分子の親水性部分の分子量であり、Mは分子全体の分子量である。この計算は、0〜20の尺度での数値結果をもたらし、「0」は高親油性である。
下表は、本明細書に記載した様々な置換糖化合物のHLB数値とともに、疎水基を除いた同じ化合物のHLB数値を示す。
Figure 2013541524
上の表から明らかなように、置換糖化合物に疎水基が十分な親油性を与えることにより、置換糖アミド化合物のHLBは少なくとも2又は3減少する。いくつかの実施形態では、HLBは少なくとも4又は5減少する。更に別の実施形態では、HLBの減少は5を超える。例えば、HLBの減少は6、7、又は8であり得る。HLBのこのような減少は、そのような疎水基のない同じ化合物との比較におけるものである。
また、上の表から明らかなように、疎水基を含めることは、分子量を少なくとも50又は75g/モル増加させる。いくつかの実施形態では、分子量の増加は少なくとも100g/モル又は150g/モルである。疎水基の鎖の長さが増すにつれて、分子量は少なくとも200g/モル、250g/モル、又は300g/モル増加し得る。
いくつかの実施形態では、置換糖化合物のHLBは、少なくとも10、又は11、又は12、又は13、又は14である。いくつかの実施形態では、HLBは少なくとも15又は16である。更に、いくつかの実施形態では、HLBは少なくとも17、又は18、又は19である。しかし、(例えばアルキルの)疎水基の鎖の長さが増すにつれて、HLBは減少する。故に、鎖の長さが炭素原子26個に近づくにつれて、HLBは9、又は8、又は7、又は6、又は5へと減少し得る。
糖アミン化合物の疎水基は、通常、アルキル基である。特に断りがない限り、「アルキル」は、直鎖、分枝鎖及び環状アルキル基を包含し、未置換及び置換アルキル基の両方を包含する。アルキル基は、概して、少なくとも4つの炭素原子を含み、好ましくは少なくとも5つの炭素原子を含む。アルキル基に親水性の置換基がないならば、アルキル基の鎖の長さが増すにつれて疎水性は増す。いくつかの実施形態では、アルキル基は少なくとも6個、7個、又は8個の炭素原子を含む。アルキル基は、通常、26個以下の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、アルキル基は直鎖状アルキル基を有する。他の実施形態では、アルキル基は分岐鎖状アルキル基を有する。更に他の実施形態では、アルキル基は環状アルキル基を有する。アルキル基の非限定的な例としては、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロペニル、及びシクロオクチルが挙げられる。
所望により、アルキル基はその他の置換基を含んでもよい。いくつかの実施形態では、そのような置換基は疎水性の置換基であり得る。しかし、前述のように、置換されるアルキル基が十分に疎水性であることにより、糖アミド化合物のHLBが少なくとも2増加することを条件として、親水性の置換基も所望により存在できる。
記載の重合性の置換糖化合物は、糖基及び疎水基を同一分子に含む糖出発物質から生じることができる。本明細書に記載の重合性の糖化合物は、通常、糖アミン化合物又は糖アミド化合物から生じる。疎水基(例えばアルキル基)は、通常、糖アミンの残基の窒素原子か、又は糖アミドの残基のカルボニル部分と結合する。
いくつかの実施形態では、重合性糖化合物は、糖アミン残基の窒素原子と結合した疎水基を含む。
そのような糖化合物は下記の一般式:
Figure 2013541524
を有し得る。この一般式において、Rは疎水基である。Rはフリーラジカル重合性基である。Rは独立して水素又は酸性基である。いくつかの実施形態では、nは1〜4の整数である。
いくつかの実施形体では、それぞれのRは水素である。そのような糖化合物はヒドロキシル基を含むが、酸性基は含まない。他の実施形態では、R基は酸性基である。故に、この実施形態では、化合物は通常、ヒドロキシル基と酸性親水基の両方の組み合わせを含む。更に他の実施形態では、それぞれのRは酸性基である。この実施形態では、糖部分の全てのヒドロキシル基は酸性基で置換されている。
様々なアルキル糖アミンを使用して、糖アミド化合物を生成することができる。その重合性糖化合物は、N−メチル−N−オクタノイル−D−グルカミン、N−メチル−N−ノナノイル−D−グルカミン、N−メチル−N−デカノイル−D−グルカミン、N−オクチル−D−グルカミン、及びN−メチル−N−オクチル−D−グルカミンが例として挙げられるアルキルグルカミンに由来してよく、またしたがって、その残基を含んでもよい。アルキル糖アミンは、アクリロイルクロリドと反応して、アミン残基の窒素原子と結合する(メタ)アクリレート基を形成することができる。
例示的化合物を以下に図示する。
Figure 2013541524
他の実施形態では、糖アミド化合物は、糖アミド残基のカルボニル部分と結合した疎水基を含む。
そのような糖化合物は一般式:
Figure 2013541524
を有し得る。この一般式において、Rは疎水基である。Rは独立して水素、又は酸性基、又は−L−Rであり、式中、Lは連結基、Rはフリーラジカル重合性基であり、Rが−L−Rであることを条件とする。Rは水素又はC〜Cアルキル基である。いくつかの実施形態では、nは1〜4の範囲の整数である。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのR基は−L−Rである。
例示的化合物を以下に図示する。
Figure 2013541524
更に別の実施形態では、重合性の置換糖アミド化合物は環構造を有する。そのような置換糖アミドは、以下の一般式:
Figure 2013541524
を有し得る。この一般式において、R〜R10の少なくとも1つは
Figure 2013541524
であり、式中、Rは水素又はC〜Cアルキル基であり、Rは疎水基である。更に、R〜R10の少なくとも1つはO−L−Rであり、式中、Oは酸素、Lは連結基である。Rはフリーラジカル重合性基である。R〜R10の残りの置換基は、OH又は酸性基である。
いくつかの実施形態では、R〜R10置換基の少なくとも2つは、O−L−Rである。いくつかの実施形態では、R〜R10置換基はOHであり、したがって、置換糖化合物には酸性基がない。
例示的化合物を以下に図示する。
Figure 2013541524
糖アミド残基のカルボニル部分と結合した疎水基を含む置換糖アミド化合物は、アルキロイルサッカリドアミドと、イソシアネート官能基及び(メタ)アクリレート官能基の両方を有する例えば2−イソシアネートエチルメタクリレートのような化合物と、の反応によって誘導し得る。イソシアネート官能基は、糖残基の1つ以上のヒドロキシル基と反応して、ウレタン連結を介して糖の中核と結合している1つ以上の(メタ)アクリレート末端基を含む糖アミドをもたらす。
本明細書に記載した置換糖アミド式のそれぞれにおいて、疎水基は、通常、C〜C26アルキル基である。いくつかの実施形態では、アルキル基は少なくとも6個、7個、又は9個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では更に、アルキル基は20個以下、又は18個以下、又は16個以下、又は14個以下、又は12個以下の炭素原子を含む。前述のようにアルキル基は所望により置換基を含んでよい。
いくつかの実施形態では、置換糖(例えばアミド)化合物は、(例えばフリーラジカル)重合性基、糖残基、疎水基、及び1つ以上の酸性基を同一分子に含む。そのような化合物は、更に糖部分のヒドロキシル基の一部分又は全てを酸塩化物と反応させることによって合成し得る。ヒドロキシル基は、好ましくは、リン酸基、ホスホン酸基、硫酸基、又はカルボン酸基と置換される。いくつかの実施形態では、酸性基はリン酸基又はホスホン酸基である。
本明細書に記載の重合性歯科用組成物は、本明細書に記載したように、疎水基及び所望により酸性基を含む糖(例えばアミド)化合物のような、1つ以上のフリーラジカル重合性の置換糖化合物を含む。
重合性糖化合物は、歯科用組成物の1〜99.95重量%の濃度で、硬化性歯科用組成物中に存在できる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の重合性糖化合物は、口腔の(例えば硬質の)組織表面との、とりわけ象牙質との、改善された接着をもたらす。接着剤に望まれる改善に依存して、重合性糖化合物の濃度を変化させてもよい。いくつかの実施形態では、重合性糖(例えばアミド)化合物の濃度は、歯科用組成物の少なくとも2重量%又は3重量%又は4重量%である。コストを削減するために、所望の効果(例えば接着力の増加)を得るために必要に応じて低い濃度を採用してよい。しかし、重合性糖(例えばアミド)化合物をより高い濃度で使用してもよい。重合性糖(例えばアミド)濃度は、歯科用組成物の少なくとも6重量%又は7重量%又は8重量%であってよい。重合性糖(例えばアミド)化合物の濃度は、通常、歯科用組成物の40重量%以下又は50重量%以下である。いくつかの好ましい(例えばセルフエッチング)接着剤の実施形態では、(例えば多官能基の)糖(例えばアミド)化合物の濃度は、通常、歯科用組成物の約5重量%〜15重量%又は20重量%の範囲である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の、特にモノ(メタ)アクリレート種である酸性基を有する重合性糖化合物は、他のエチレン性不飽和(例えば(メタ)アクリレート)モノマーを更に含めることなくプライマーとして使用できる。他の実施形態では、歯科用接着剤組成物は、他のエチレン性不飽和(例えば(メタ)アクリレート)モノマーを更に含めることなく、酸性基を有する複数の(メタ)アクリレート化合物を含むことができる。これらの実施形態では、歯科用組成物は他のエチレン性不飽和化合物を含まない。本明細書で使用するとき、「他のエチレン性不飽和化合物」は、置換された重合性糖化合物ではない全てのエチレン性飽和化合物を指す。したがって、ソルビトールジメタクリレートは、重合性糖化合物ではあるが、そのような化合物には(例えば疎水性又は酸性の)置換基がないので、ソルビトールジメタクリレートは「他のエチレン性不飽和化合物」とみなされる。
改善された接着力の提供の代わりに、あるいはそれに加えて、重合性糖(例えばアミド)化合物は、硬化性歯科用組成物に一般に使用される従来の(メタ)アクリレートモノマーの代わりに使用してもよい。例えば、重合性糖(例えばアミド)化合物は、ヒドロキシル基及びエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリレート)基を単一分子に含む、例えば2−ヒドロキシルエチルメタクリレート(HEMA)及び2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタアクリロイルオキシ−プロポキシ)フェニル]プロパン(BisGMA)のような硬化性成分の代わりに使用されてもよい。更に別の例として、歯科用組成物は、酸性官能基を有する他のエチレン性不飽和モノマーの代わりに酸性基を有する1つ以上の重合性糖(例えばアミド)化合物を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、歯科用組成物は、HEMAのような、他のモノ(メタ)アクリレートモノマーの代わりに、単一のフリーラジカル重合性基を有する1つ以上のモノ(メタ)アクリレート糖(例えばアミド)化合物を含む。
更に他の実施形態では、歯科用組成物は、少なくとも2つのフリーラジカル重合性基を有する1つ以上の糖(例えばアミド)化合物を含んでもよい。そのような化合物の多官能基性のために、そのような糖化合物は、(BisGMA)のような歯科用組成物に通常存在する他の多官能基性の(メタ)アクリレートモノマー(の少なくとも実質的な部分)を置換することができる。
本明細書に記載の重合性糖化合物に加えて、重合性歯科用組成物の硬化性構成成分は、広範囲の他のエチレン性不飽和化合物(酸官能性有り又は無し)、エポキシ官能性(メタ)アクリレート樹脂、ビニルエーテル、ガラスアイオノマーセメント及びこれらに類するものを含むことができる。
(例えば、光重合性の)歯科用組成物は、1個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーを包含してもよいフリーラジカル反応性官能基を有する化合物を包含してもよい。有用なエチレン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ヒドロキシ官能性アクリル酸エステル、ヒドロキシ官能性メタクリル酸エステル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
いくつかの実施形態では、歯科用(例えば複合材料)組成物は、より多くの量の他のエチレン性不飽和化合物を含む。例えば、合計量の重合性の置換糖化合物と他のエチレン性不飽和化合物との重量比は約1:5〜約1:25の範囲であってよい。
他の実施形態では、歯科用(例えば複合材料)組成物は、重合性の置換糖化合物を同等量以上含む。例えば、合計量の重合性の置換糖化合物と他のエチレン性不飽和化合物との重量比は、約5:1〜約1:1の範囲であってよい。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の歯科用(例えば修復用)組成物は、酸官能基を有さないエチレン性不飽和化合物の形態である1つ以上の固化性構成成分を含む。
いくつかの実施形態では、歯科用組成物は、接着を促進する重合性の糖アミド化合物及び他の重合性有機成分を含む水性の歯科用接着剤であり、水及び共溶媒例えばエタノール又はイソプロピルアルコール中に分散されている。このような実施形態では、他の重合性有機成分は、水分散性ポリマーフィルム形成剤を含む。複数の(メタ)アクリレート化合物(例えば実施例1)のようないくつかの糖化合物は、フィルム形成特性を呈し、したがって、水性の歯科用(例えば接着剤)組成物中のフィルム形成成分の代わりに使用できる。
別の実施形態では、歯科用接着剤組成物は、1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満の水を含む、非水性である。この実施形態では、接着剤組成物の重合性成分は、水分散性である必要はない。
そのようなフリーラジカル重合性化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、アリルアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリゴールジメタクリレート(TEGDMA)、1,3−プロパンジオールジ(メタ)クリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(例えばTMPTMA)、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビス[1−(2−アクリルオキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[1−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート及びトリスヒドロキシエチル−イソシアヌレートトリメタクリレートなど、モノ又はポリ(メタ)アクリレート類(すなわちアクリレート及びメタアクリレート);(メタ)アクリルアミド、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド及びジアセトン(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類(すなわちアクリルアミド及びメタアクリルアミド);ウレタン(メタ)アクリレート(例えばUDMA);ポリエチレングリコールのビス−(メタ)アクリレート(分子量が200〜500のものが好ましい)、米国特許第4,652,274号(Boettcherら)に記載のようなアクリレートモノマーの共重合性混合物、米国特許第4,642,126号(Zadorら)に記載のようなアクリレートオリゴマーが挙げられる。他の好適なフリーラジカル重合性化合物としては、例えば、国際公開第00/38619号(Guggenbergerら)、国際公開第01/92271号(Weinmannら)、国際公開第01/07444号(Guggenbergerら)、国際公開第00/42092号(Guggenbergerら)に開示されているようなシロキサン官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。必要に応じて、2つ以上のフリーラジカル重合性化合物の混合物を使用することが可能である。また好適なエチレン性不飽和化合物は、Sigma−Aldrich,St.Louis,Mo.のような多種多様な商業的供給源から入手することもできる。
いくつかの実施形態では、重合性歯科用組成物は、2010年3月31日付で出願された米国特許仮出願第61/319,534号に記載のトリ−(メタ)アクリレートイソシアヌレートモノマーを含む。そのような(メタ)アクリレートモノマーは、次の一般構造式:
Figure 2013541524
を有することができる。
式中、R、R及びRは独立してアルキレン、アリーレン又はアルカリレンであり、所望によりヘテロ原子(例えば酸素、窒素又は硫黄)を含み、
は水素又はメチル、X、Y及びZは独立してアルキレン、アリーレン又はアルカリレン連結基であり、ヘテロ原子を含み、
は独立して水素、アルキル、アリール又はアルカリルであり、所望によりヘテロ原子を含み、
は水素又はメチルであり、
は、典型的には、アルキレンであり、所望によりヘテロ原子を含み、12個以下の炭素原子を有する。いくつかの好ましい実施形態では、Rは8個以下、6個以下、又は4個以下の炭素原子を有する。いくつかの好ましい実施形態では、R、R、Rはヒドロキシル部分を含む。
いくつかの実施形態では、Zは脂肪族又は芳香族のジエステル連鎖を含む。
いくつかの実施形態では、Zは1つ以上のエーテル部分を更に含む。したがって、連結基はエステル又はジエステル部分と1つ以上のエーテル部分との組み合わせを含むことができる。
は、一般に、開始物質(例えばヒドロキシル末端基の)イソシアヌレート前駆体から生じる。様々なイソシアヌレート前駆体材料は、TCI America,Portland,ORから市販されている。
この(例えばセルフエッチング接着剤である)重合性歯科用組成物は、好ましくは、単一の分子にヒドロキシル基とエチレン性不飽和基とを含む固化性成分を含む。このような物質の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMA)、及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリセロールモノ又はジ(メタ)アクリレート(例えば、GDMA);トリメチルプロパンモノ又はジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールモノ、ジ、及びトリ(メタ)アクリレート;ソルビトールモノ、ジ、トリ、テトラ、又はペンタ(メタ)アクリレート(例えばソルビトールDMA)、並びに2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシ−プロポキシ)フェニル]プロパン(BisGMA)が挙げられる。
本明細書に記載される重合性歯科用組成物は、好ましくは、酸及び/又は酸前駆体官能基を含むエチレン性不飽和化合物の形態である1つ以上の固化性成分を含む。酸前駆体官能基としては、例えば、無水物、酸ハロゲン化物、及びピロリン酸塩が挙げられる。酸性官能基としては、カルボン酸官能基、リン酸官能基、ホスホン酸官能基、スルホン酸官能基、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、アルファ、ベータ−不飽和酸性化合物、例えば、グリセロールホスフェートモノ(メタ)アクリレート、グリセロールホスフェートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートホスフェート(すなわちHEMAホスフェート)、ビス((メタ)アクリルオキシエチル)ホスフェート、((メタ)アクリルオキシプロピル)ホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシプロピル)ホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシ)プロピルオキシホスフェート、(メタ)アクリルオキシヘキシルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシヘキシル)ホスフェート(MHP)、(メタ)アクリルオキシオクチルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシオクチル)ホスフェート、(メタ)アクリルオキシデシルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシデシル)ホスフェート、カプロラクトンメタクリレートホスフェート、クエン酸ジ−又はトリ−メタクリレート、ポリ(メタ)アクリレート化オリゴマレイン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリマレイン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリカルボキシル−ポリホスホン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリクロロリン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリスルホネート、ポリ(メタ)アクリレート化ポリホウ酸等が挙げられ、これらは、固化性成分系の成分として使用してもよい。(メタ)アクリル酸、芳香族(メタ)アクリル化酸(例えば、メタクリレート化トリメリット酸)等の不飽和炭酸のモノマー、オリゴマー、及びポリマー、並びにこれらの無水物を使用することも可能である。酸官能基を含む他のエチレン性不飽和化合物は、既に引用された米国特許出願第2006/0204452号に記載されているように、当該技術分野において公知である。
歯科用組成物は、典型的には、歯科用組成物の総重量に基づいて、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物を少なくとも35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、39重量%又は40重量%、かつ75重量%以下を含む。いくつかの実施形態では、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物の濃度は少なくとも45重量%又は50重量%である。いくつかの実施形態では、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物の濃度は少なくとも55重量%又60重量%である。HEMAホスフェート、MHP及びそれらの組み合わせのような少なくとも1つのP−OH部分を有する酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物が通常は好ましい。
酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物を高濃度で含めることは、歯科用組成物を高度に酸性にする。この組成物のpHは、典型的には3又は2未満である。いくつかの好ましい実施形態では、pHは1未満である。
この酸性の歯科用組成物は、(例えばセルフエッチング)シーラント、接着剤、セメント又は流動性複合修復材料として有用である。
この酸性の歯科用組成物は、更に、酸官能基を有さない他のエチレン性不飽和化合物を少なくとも5重量%から最高約55重量%まで含んでもよい。いくつかの実施形態では、酸官能基を有さない他のエチレン性不飽和化合物の量は、25重量%以下である。
幾つかの実施形態では、接着剤組成物は、光硬化性アイオノマー、即ち、硬化反応することができるペンダントイオン基と、放射エネルギーに曝露されたとき、得られる混合物を重合、即ち硬化させることができるペンダントフリーラジカル重合性基と、を有するポリマーを更に含む。いくつかの実施形態では、(例えば接着剤)組成物は光硬化性アイオノマーを含まない。他の実施形態では、(例えば接着剤)組成物は、象牙質の接着力を増すことを目的として低濃度の光硬化性アイオノマーを含む。光硬化性アイオノマーの濃度は、典型的には、最低0.1重量%又は0.2重量%〜最高2重量%、3重量%、4重量%又は5重量%の範囲である。
例えば、米国特許第5,130,347号に記載されているように、光硬化性アイオノマーは、以下の一般式:
B(X)(Y)
を有する。式中、
Bは、有機骨格鎖を表し、
各Xは、独立して、イオン基であり、
各Yは、独立して、光硬化性基であり、
mは、2以上の平均値を有する数であり、
nは、1以上の平均値を有する数である。
好ましくは、骨格鎖Bは、任意で酸素、窒素、又は硫黄ヘテロ原子等の非干渉(non-interfering)置換基を含む炭素−炭素結合のオリゴマー又はポリマー骨格鎖である。用語「非干渉」とは、本明細書で使用するとき、光硬化性アイオノマーの光硬化反応のいずれにも過度に干渉しない置換基又は連結基を指す。
好ましいX基は、酸性基であり、カルボキシル基が特に好ましい。
好適なY基としては、重合性エチレン性不飽和基及び重合性エポキシ基が挙げられるが、これらに限定されない。エチレン性不飽和基、特に、フリーラジカル作用を用いて重合され得るが好ましく、その例は、置換及び非置換アクリレート、メタクリレート、アルケン、及びアクリルアミドである。
X及びY基は、骨格鎖Bに直接連結してもよく、又は置換及び非置換アルキル、アルコキシアルキル、アリール、アリールオキシアルキル、アルコキシアリール、アラルキル、又はアルカリール基等の任意の非干渉有機連結基を用いて連結してもよい。
好ましい光硬化性アイオノマーは、各Xがカルボキシル基であり、各Yが、フリーラジカル作用によって重合され得る(メタ)アクリレート基等のエチレン性不飽和基であるものである。好適なアイオノマーは、ポリアルケン酸(例えば、式B(X)m+n(式中、各Xは、カルボキシル基である)のポリマー)と、エチレン性不飽和基、及びNCO基等のカルボン酸基と反応することができる基の両方を含むカップリング化合物とを反応させることにより、都合よく調製される。得られる光硬化性アイオノマーは、好ましくは、アミド結合を用いて前記アイオノマーに連結するフリーラジカル重合性基(例えば、(メタ)アクリレート基))のうちの少なくとも1つを有する。得られる光硬化性アイオノマーの分子量は、典型的に、約1000〜約100,000g/モルである。
ある実施形態では、組成物は光重合可能である、すなわち、組成物は、化学線の照射によって組成物の重合(又は固化)を開始する、光開始剤(すなわち、光開始剤系)を含有する。前記光重合可能組成物は、フリーラジカル重合可能又はカチオン重合可能であってもよい。他の実施形態では、前記組成物は化学的に固化性である。即ち、前記組成物は、化学線による放射に依存することなく、前記組成物を重合、硬化、ないしは別の方法で固化性の化学的開始剤(即ち、開始剤系)を含有する。このような化学的に固化可能な組成物は、時に、「自己硬化(self-cure)」組成物と呼ばれることもあり、かつガラスアイオノマーセメント(例えば、従来型であり樹脂変性されたガラスアイオノマーセメント)、酸化還元硬化系、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。
フリーラジカル光重合性組成物を重合するのに好適な光開始剤(すなわち、1つ以上の化合物を含む光開始剤系)としては、二成分及び三成分系が挙げられる。典型的な三成分光開始剤は、米国特許第5,545,676号(Palazzottoら)に記載されたようなヨードニウム塩、光増感剤及び電子供与体化合物を含む。ヨードニウム塩としては、ジアリールヨードニウム塩、例えば、ジフェニルヨードニウムクロリド、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート及びジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート(tetrafluoroboarate)が挙げられる。一部の好ましい光開始剤としては、約300nm〜約800nm(好ましくは約400nm〜約500nm)の範囲内の一部の光を吸収するモノケトン及びジケトン(例えば、アルファジケトン)、例えば、カンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、フェナントラキノン及び他の環式アルファジケトンを挙げてもよい。これらのうち、カンファーキノンが典型的には好ましい。好ましい電子供与体化合物としては、置換アミン、例えば、エチル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエートが挙げられる。
フリーラジカル光重合性組成物を重合するために好適な他の光開始剤としては、典型的には約380nm〜約1200nmの範囲の有効波長を有するホスフィンオキシドの部類が挙げられる。約380nm〜約450nmの機能性波長範囲を有する好ましいホスフィンオキシドフリーラジカル開始剤は、アシル及びビスアシルホスフィンオキシドである。
約380〜約450nmの波長範囲で照射されるとフリーラジカル反応を開始することができる市販のホスフィンオキシド光開始剤としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE 819(Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,N.Y.)))、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド(CGI 403(Ciba Specialty Chemicals))、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンとの重量で25:75の混合物(IRGACURE 1700(Ciba Specialty Chemicals))、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンとの重量で1:1の混合物(DAROCUR 4265(Ciba Specialty Chemicals)、及びエチル−2,4,6−トリメチルベンジルフェニルホスフィネート(LUCIRIN LR8893X(BASF Corp.(Charlotte,N.C.))が挙げられる。
三級アミン還元剤を、アシルホスフィンオキシドと組み合わせて使用してもよい。代表的な三級アミンとしては、エチル−4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエート及びN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートが挙げられる。存在する場合、アミン還元剤は、光重合可能な組成物中に、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%〜約5.0重量%の量で存在する。幾つかの実施形態では、固化性歯科用組成物は、紫外線(UV)で照射されてもよい。この実施形態では、好適な光反応開始剤としては、Ciba Speciality Chemical Corp.,Tarrytown,N.Y.からIRGACURE及びDAROCURの商品名で入手可能なものが挙げられ、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE 184)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(IRGACURE 651)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE 819)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRGACURE 2959)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン(IRGACURE 369)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(IRGACURE 907)、及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(DAROCUR 1173)が挙げられる。
固化は、線源、好ましくは可視光源に組成物を曝露することによって起こる。石英ハロゲン電球、タングステンハロゲン電球、水銀アーク、炭素アーク、低、中、及び高圧水銀電球、プラズマアーク、発光ダイオード、並びにレーザ等の250nm〜800nmの化学線(特に、380nm〜520nmの波長の青色光)を発する光源を使用するのが便利である。通常、有用な光源は、0.200〜1000W/cmの範囲の強度を有する。このような組成物を硬化させるための様々な従来の光を使用することができる。
この曝露は、複数の方法で達成され得る。例えば、重合性組成物は、全硬化プロセス(例えば、約2秒〜約60秒)にわたって放射線に持続的に曝露されてもよい。また、組成物を、放射線の単回投与に曝露し、その後、放射線源を取り外し、それにより重合を生じさせておくこともまた可能である。一部の場合には、物質は、低強度から高強度へ徐々に増強する光源に曝すことができる。二重曝露が採用される場合、それぞれの投与の強度は、同一でもよく、又は異なっていてもよい。同様に、各曝露の全体のエネルギーは、同一でもよく、又は異なっていてもよい。
歯科用組成物が歯科修復剤(例えば歯科充填材又は歯冠)又は歯列矯正用接着剤として使用されるいくつかの実施形態では、歯科用組成物は、通常、相当の量の(例えばナノ粒子)充填剤を含む。このような組成物は、組成物の総重量に基づいて好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも45重量%、並びに最も好ましくは50重量%の充填剤を含む。一部の実施形態では、充填剤の総量は、最大で90重量%、好ましくは最大で80重量%、並びにより好ましくは最大で75重量%の充填剤である。
歯科用接着剤としての使用に好適な歯科用組成物はまた、組成物の総重量に基づいて、少なくとも1重量%、2重量%、3重量%、4重量%又は5重量%の量で充填剤を含むことができる。このような実施形態では、充填剤の総濃度は、組成物の総重量に基づいて、最大で40重量%、好ましくは最大で20重量%、並びに好ましくは最大で15重量%である。
充填剤は、例えば歯科修復剤組成物に現在使用されている充填剤等、歯科用途に使用されている組成物内への組み込みに適した多種多様な物質の1種以上から選択されてよい。
充填剤は、無機物質であり得る。また、充填剤は、重合性樹脂に不溶性である架橋済み有機材料であることもでき、それは場合により無機充填剤と一緒に充填される。充填剤は概して非毒性で、口内の使用に好適であるべきである。充填剤は、放射線不透過性、放射線透過性又は非放射線不透過性であり得る。歯科用途に使用される充填剤の性質は通常、セラミックである。
酸非反応性の無機充填剤粒子としては、石英(即ち、シリカ)、サブミクロンのシリカ、ジルコニア、サブミクロンのジルコニア、及び米国特許第4,503,169号(Randklev)に記載されている種類の非ガラス質微小粒子が挙げられる。
充填剤はまた、酸反応性充填剤であってもよい。好適な酸反応性充填剤としては、金属酸化物、ガラス、及び金属塩が挙げられる。典型的な金属酸化物としては、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、及び酸化亜鉛が挙げられる。典型的なガラスとしては、ホウ酸ガラス、リン酸ガラス、及びフルオロアルミノシリケート(「FAS」)ガラスが挙げられる。ガラスがハードニング性組成物の構成成分と混合される時、ハードニングされた歯科用組成物が形成されるように、FASガラスは、典型的に十分な溶出性カチオンを含有する。ガラスは更に、典型的には、十分な溶出性フッ化物イオンを含有し、これにより硬化した組成物が抗う蝕性を有する。このガラスは、フッ化物、アルミナ、及び他のガラス形成成分を含有する溶解物から、FASガラス製造技術における当業者に周知の技術を使用して作製することができる。FASガラスは、典型的には、十分に超微粒子状の粒子の形態であるので、他のセメント構成成分と都合よく混合することができ、得られた混合物が口内に使用される時に良好に機能する。
一般に、FASガラスの平均粒径(典型的には直径)は、例えば、沈殿分析器を使用して測定した場合、12マイクロメートル以下、典型的には10マイクロメートル以下、より典型的には5マイクロメートル以下である。好適なFASガラスは、当業者によく知られており、かつ多種多様な供給元から入手可能であり、多くは、商品名VITREMER、VITREBOND、RELY X LUTING CEMENT、RELY X LUTING PLUS CEMENT、PHOTAC−FIL QUICK、KETAC−MOLAR、及びKETAC−FIL PLUS(3M ESPE Dental Products,St.Paul,MN)、FUJI II LC及びFUJI IX(G−C Dental Industrial Corp.,Tokyo,Japan)、及びCHEMFIL Superior(Dentsply International,York,PA)として市販されているもの等現在利用可能なガラスアイオノマーセメント内に見出される。必要に応じて、充填剤の混合物を使用することが可能である。
他の好適な充填剤は、米国特許第6,387,981号(Zhangら)及び同第6,572,693号(Wuら)、並びにPCT国際公開特許第01/30305号(Zhangら)、同第01/30306号(Windischら)、同第01/30307号(Zhangら)、及び同第03/063804号(Wuら)に開示されている。これらの参考文献に記載された充填剤構成要素としては、ナノサイズのシリカ粒子、ナノサイズの金属酸化物粒子、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ナノ充填剤はまた、米国特許第7,090,721号(Craigら)、同第7,090,722号(Buddら)、同第7,156,911号(Kangasら)及び同第7,649,029号(Kolbら)に記載されている。
好適な有機充填剤粒子の例としては、充填又は非充填粉砕ポリカーボネート、ポリエポキシド、ポリ(メタ)アクリレート及びこれらに類するものが挙げられる。共通に採用される歯科用充填剤粒子は、石英、サブミクロンシリカ、及び米国特許第4,503,169号(Randklev)に記載されている種類の非ガラス質微小粒子である。
また、これらの充填剤、並びに有機及び無機材料から作製された組み合わせ充填剤を使用してもよい。
充填剤は、本質的に、粒子状又は繊維状のいずれかであり得る。粒子状充填剤は、一般に、20:1以下、より一般的には10:1以下である長さ対幅の比率、すなわち縦横比を有するものとして定義され得る。繊維は、20:1より大きい、より一般的には100:1より大きい縦横比を有するものとして定義され得る。球形から楕円形、又はフレーク若しくはディスクのようなより平面的なものの範囲で、粒子の形状は多様であり得る。巨視的特性は、充填剤粒子の形状、具体的には形状の均一性に大きく依存し得る。
ミクロンサイズ粒子は、硬化後の磨耗性を改善するために非常に有効である。対照的に、ナノスケール充填剤は、一般的に、粘度及びチキソトロピー変性剤として使用される。それらのサイズの小ささ、高い表面積及び関連する水素結合のために、これらの物質は、凝集したネットワーク構造を構築することが知られている。
いくつかの実施形態では、歯科用組成物は、好ましくは約0.100マイクロメートル(すなわち、ミクロン)未満、並びにより好ましくは0.075ミクロン未満の平均一次粒径を有するナノスケール粒子状充填剤(すなわち、ナノ粒子を含む充填剤)を含む。本明細書で使用するとき、用語「一次粒径」は、非会合型の単一粒子のサイズを指す。平均一次粒径は、硬化した歯科用組成物の細長い試料を切断し、300,000倍で透過電子顕微鏡を使用して約50〜100個の粒子の粒径を測定し、平均を計算することにより、決定することができる。充填剤は、単峰性又は複峰性(例えば、二峰性)の粒径分布を有することができる。ナノスケール粒子状物質は、典型的には、少なくとも約2ナノメートル(nm)、並びに好ましくは少なくとも約7nmの平均一次粒径を有する。好ましくは、ナノスケール粒子状物質は、約50nm以下、より好ましくは約20nm以下のサイズの平均一次粒径を有する。このような充填剤の平均表面積は、好ましくは約20平方メートル毎グラム(m/g)、より好ましくは少なくとも約50m/g、並びに最も好ましくは少なくとも約100m/gである。
いくつかの好ましい実施形態では、歯科用組成物は、シリカナノ粒子を含む。好ましいナノサイズのシリカはNalco Chemical Co.(Naperville,IL)から製品表記NALCO COLLOIDAL SILICASで市販されている。例えば、好ましいシリカ粒子は、NALCO製品1040、1042、1050、1060、2327、及び2329を使用することで得られる。
シリカ粒子は、好ましくは、シリカの水性コロイド分散系(すなわち、ゾル又はアクアゾル)から製造される。コロイドシリカは、典型的には、シリカゾル中に約1〜50重量パーセントの濃度で存在する。使用できるコロイドシリカゾルは、様々なコロイドサイズを有して市販されており、Surface & Colloid Science,Vol.6,ed.Matijevic,E.,Wiley Interscience,1973を参照されたい。充填剤の作製に使用するために好ましいシリカゾルは、水性媒質中の水性シリカ分散体として供給されており(例えば、Nalco Chemical Company製のNalcoコロイドシリカ)、ナトリウム濃度が低く、好適な酸と混合することにより酸性化することができる(例えば、E.I.Dupont de Nemours & Co.製のLudoxコロイドシリカ又はNalco Chemical Co.からのNalco 2326)。
好ましくは、ゾル中のシリカ粒子は、約5〜100nm、より好ましくは10〜50nm、並びに最も好ましくは12〜40nmの平均粒径を有する。特に好ましいシリカゾルは、NALCO 1041である。
いくつかの実施形態では、歯科用組成物は、ジルコニアナノ粒子を含む。
好適なナノサイズのジルコニアナノ粒子は、米国特許第7,241,437号(Davidsonら)に記載されているように水熱技術を使用して調製することができる。
一部の実施形態では、より低い屈折率の(例えば、シリカ)ナノ粒子は、重合性樹脂の屈折率に充填剤の屈折率を調和させる(0.02以内の屈折率)ために、より高い屈折率の(例えば、ジルコニア)ナノ粒子と組み合わせて採用される。
いくつかの好ましい実施形態では、ナノ粒子は、ナノクラスターであり、すなわち、固化性樹脂中に分散させた場合でも粒子を凝集させる比較的弱い分子間力により会合した2個以上の粒子の集団の形態である。
好ましいナノクラスターは、非重(例えば、シリカ)粒子とジルコニアなどの非晶質重金属酸化物(すなわち、原子番号が28よりも大きい)粒子の実質的に非晶質のクラスターを含むことができる。ナノクラスターの粒子は、好ましくは、約100nm未満の平均直径を有する。好適なナノクラスター充填剤は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,730,156号(Windischら)に記載されている。
いくつかの好ましい実施形態では、歯科用組成物は、充填剤と樹脂の間の結合を強化するために、有機金属カップリング剤で処理されたナノ粒子及び/又はナノクラスター表面を含む。有機金属カップリング剤は、アクリレート、メタクリレート、ビニル基及びこれらに類するものなどの反応性硬化基で官能化され得る。
好適な共重合性有機金属化合物は、次の一般式:CH=C(CHSi(OR)又はCH=C(CHC=OOASi(OR)を有し得、式中、mは0又は1であり、Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、Aは二価有機結合基であり、nは1〜3である。好ましいカップリング剤としては、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びこれらに類するものが挙げられる。
一部の実施形態では、表面改質剤の組み合わせが有用な可能性があり、剤の少なくとも1つは、固化性樹脂と共重合可能な官能基を有する。固化性樹脂と一般に反応しない他の表面改質剤が、分散性又はレオロジー特性を強化するために含まれ得る。この種類のシランの例としては、例えば、アリールポリエーテル、アルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアリール、又はアミノアルキル官能性シランが挙げられる。
表面変性は、モノマーとの混合に続いて又は混合後のいずれかで行うことができる。樹脂へ組み込む前に、オルガノシラン表面処理化合物をナノ粒子と組み合わせることが一般的に好ましい。表面変性剤の必要量は、粒子サイズ、粒子タイプ、変性剤の分子量、及び変性剤のタイプのようないくつかの要素に依存する。一般的には、ほぼ単層の変性剤を粒子の表面に付着させることが好ましい。
表面改質ナノ粒子は、実質的に完全に凝縮可能である。完全凝縮ナノ粒子(シリカを例外として)の結晶化度(単離金属酸化物粒子として測定した場合)は、典型的には55%を超え、好ましくは60%を超え、より好ましくは70%を超える。例えば、結晶化度は、約86%まで又はそれ以上の範囲にすることができる。結晶化度は、X線回折法によって割り出すことができる。凝縮結晶性(例えばジルコニア)のナノ粒子は屈折率が高いが、非晶質ナノ粒子は典型的には屈折率がより低い。
場合により、組成物は、溶媒(例えば、アルコール(例えば、プロパノール、エタノール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エステル(例えば、酢酸エチル)、他の非水性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリジノン))、及び水を含有してもよい。
所望により、組成物は、添加剤、例えば、インジケーター、(例えば光で色あせる性質の、又はサーモクロミックの)染料、顔料、阻害剤、促進剤、粘度調整剤、湿潤剤、緩衝剤、ラジカル及びカチオン性安定剤(例えば、BHT)、並びに、当業者には明白である他の類似成分を含有することができる。
更に、薬剤又は他の治療用物質を、所望により歯科用組成物に添加することができる。例としては、歯科用組成物に使用されることが多い種類の、フッ化物源、増白剤、抗う歯剤(例えば、キシリトール)、カルシウム源、リン源、無機成分補給剤(例えば、リン酸カルシウム化合物)、酵素、息清涼剤、麻酔剤、凝固剤、酸中和剤、化学療法剤、免疫反応変性剤、チキソトロピー剤、ポリオール、抗炎症剤、抗菌剤(抗菌性脂質成分に加えて)、抗真菌剤、口腔乾燥症治療剤、減感剤などが挙げられるが、これらに限定されない。上述の添加剤のうち任意のものの組み合わせもまた用いてよい。このような添加剤のどれか1つの選択及び量は、過度な実験なしで所望の結果を達成するために、当業者によって選択することができる。
当該技術上周知のように、固化性歯科用組成物は歯等の経口表面を取り扱う用途に使用できる。一部の実施形態において組成物は、歯科用組成物の適用後に硬化することによって固化できる。例えば、歯科用硬化性組成物が歯科用詰め物として修復のために使用される場合、この方法は一般的に、硬化性組成物を経口表面(例えば空洞)に適用する工程と、組成物を硬化する工程と、を含んで構成される。歯科用接着剤は、歯科用組成物を歯に適用した後で硬化することによっても固化できる。経口表面を取り扱う方法は、歯科用物品を提供する工程と、経口(例えば歯)表面に歯科用物品を接着する工程と、を含み得る。歯科用物品は、本明細書に記載の重合性の置換糖化合物を含む硬化された組成物を含むことができる。あるいは、歯科用物品は、重合性の置換糖化合物を含む接着剤で接着された従来の歯科用物品(重合性の置換糖化合物を有さない)であってもよい。更に、歯科用物品及び接着剤の両方が置換糖化合物を含んでもよい。
他の実施形態において組成物は、適用前に歯科用物品に固化(例えば、重合)し得る。例えば、歯冠等の歯科用物品は、本明細書に記載の固化性歯科用組成物から予備成形し得る。歯科用複合材(例えば、歯冠)物品は、成形型に接触させながら硬化性組成物を流延し、組成物を硬化させることにより、本明細書に記載の硬化性組成物から製造することができる。あるいは、歯科用複合材(例えば歯冠)物品は、まず組成物を硬化し、ミルブランクを形成した後、組成物を機械にかけて所望の物品に成型することによって製造できる。
歯面を取り扱う別の方法としては、硬化可能な(部分的に固化された)自己担持型の可鍛性構造の形態を備え第1の半仕上げ形状を有する、本明細書に記載の歯科用組成物を提供する工程と、固化性歯科用組成物を被検者の口の歯面に配置する工程と、固化性歯科用組成物の形状をカスタマイズする工程と、固化性歯科用の組成物を固化する工程と、を含む。本願明細書に参照により引用されている米国特許第7,674,850号(Karimら)に記載されているように、カスタマイゼーションは患者の口内、又は患者の口外のモデルで発生し得る。
本発明の方法は、ヒト及び動物組織を含む、硬組織の処理を提供する。硬組織としては、例えば、骨、歯、及び歯の構成要素(例えば、エナメル質、象牙質、及びセメント質)が挙げられる。
本発明の歯科用接着剤組成物が2つ以上の部分を含むとき、前記2つ以上の部分は、適用プロセスの直前、又は適用プロセス間に混合されることが好ましい。好適な混合装置としては、例えば、静的混合装置が挙げられる。
幾つかの実施形態では、接着剤組成物は、エナメル質及び象牙質の両方に対する接着を促進することができる。更に、組成物は、エナメル質及び象牙質の両方に対して、エッチング剤、プライマー、及び接着剤として機能するよう配合されてもよい。
一旦本発明の接着剤組成物が固化されると、組成物は、一般的に、容易には除去されない。歯構造体表面に歯科用材料を固着させる方法は、好ましくは、実施例に記載される切り欠け付縁部剪断接着力試験法に従って試験したとき、少なくとも10MPa、より好ましくは少なくとも15MPa、最も好ましくは少なくとも20MPaでエナメル質又は象牙質(又は好ましくは両方)に固着させる。せん断結合強さは、通常、60MPa以下である。
本明細書に記載の歯科用修復材は、通常、実施例に記載した試験方法に従って試験されたとき、少なくとも80MPa、90MPa又は100MPaの曲げ強度を呈する。その曲げ強度は通常、200MPa以下である。
目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に、本発明を不当に制限するものと解釈すべきではない。別段の指定がない限り、部及び百分率はすべて、質量基準である。
Figure 2013541524
試験方法:
1.正イオン及びリフレクターモードでBruker Ultraflex II MALDI−TOF/TOF計器を用いて質量分析測定を行った。イオン源(1)電圧は25kVであった。調べた質量範囲の合計はm/z 80〜6000ダルトンであった。MALDI−MS/MS実験をLIFTモードで実施した。Bruker FlexAnalysis 2.4ソフトウェアを用いてデータを処理した。
試料は分析の前にメタノール中に溶解した。MALDIマトリックス液は25mg/mLのTHF中の2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHB)であった。まず試料液の分量0.3μL、それに続いてマトリックス液の分量0.3μLを、MALDIプレートに適用した。バックグラウンドのスペクトル測定にメタノール0.3μL及びMALDIマトリックス0.3μLを適用した。
2.切り欠け付き縁部せん断接着力試験法(エナメル質及び象牙質の切片)
試験対象の歯の調製−現地の食肉解体場からウシの切縁歯を入手し、根元を切断し、パルプを取り除いた。軟組織の無い歯を、歯の唇側面が露出するように円形アクリルディスクに埋め込んだ。使用前、埋め込まれた歯は、脱イオン水に入れて冷却装置の中で保存した。
エナメル質又は象牙質の切片の試験では、埋め込まれた歯は、平坦なエナメル質又は象牙質の表面を露出させるために、宝石研磨ホイールに実装した120グリットのサンドペーパーを用いて研削した。宝石研磨ホイール上の320グリットのサンドペーパーを用いて、歯の表面を更に研削し研磨した。研削工程中は水を用いて歯を連続的にすすいだ。
歯科用アプリケーターブラシを用いて、露出された唇側の歯の表面に接着剤の試験試料を適用し、XL 3000歯科用硬化光(3M Company、ミネソタ州St.Paul)で10秒間、光硬化した。直径約2.38mmの円形の穴を有する厚さ2mmのテフロン成形型を、成形型の穴が接着調製された歯表面で得られる最も平坦な区域を露出させるように、埋め込まれた歯に固定した。穴から溢れないようにして穴を完全に充填するようにFILTEK Z250 Universal Restorative(3M Company)という複合材料で穴を埋め、製造業者の指示にしたがって光硬化して、歯に接着剤で付着された「ボタン」を形成した。
試験前に、仕上がった試料を37℃の脱イオン水中で約24時間保存した。
試料の試験−歯の表面を、押しているせん断力の方向に対して平行な向きにして、試料をInstron(商標)(Instron 4505、Instron Corp.Canton,Mass)の顎に締結されたホルダー内に装着した。半円の切り欠け付縁部を有する金属製取り付け具をインストロンに取り付け、切り欠け付縁部を、歯面と同一表面の、ボタン上に注意深く噛み合わせた。押し剪断力はクロスヘッド速度1mm/分で開始した。接着が破壊したときの力をキログラム(kg)で記録し、この数値を既知であるボタンの表面積を用いて、単位面積あたりの力(kg/cm、又はMPaの単位)に変換した。エナメル質に対する接着力又は象牙質に対する接着力についての各々の報告値は、5回の反復試験の平均を表わす。
3.曲げ強度(FS)試験−曲げ強度は以下の試験手順にしたがって測定した。予め加熱した成形型内の組成物の試料を65℃でプレスして、2mm×2mm×25mmの棒試料を形成した。棒を室温で24時間熟成し、互いに対向して配置された2つのVISILUX Model 2500青色光ガン(3M Co)に90秒間露出して、光硬化した。それから、棒をDentacolor XSユニット(Kulzer,Inc.、ドイツ)光ボックス内で180秒間硬化し、600グリットのサンドペーパーで軽くやすりがけをして、成形工程ではみ出た部分を取り除いた。37℃の蒸留水に24時間貯蔵した後、棒の曲げ強度及び曲げ弾性率を、ANSI/ADA(American National Standard/American Dental Association)の規格27号(1993)にしたがって、Instronテスター(Instron 4505、Instron Corp.,Canton,MA)で0.75mm/分のクロスヘッド速度で測定した。硬化された複合材料の棒を8本調製し、測定し、8つの測定値の平均として、結果をメガパスカル(MPa)単位で報告した。
実施例1−N−メチル−N−オクタノイルグルカミドジメタクリレート
Figure 2013541524
250mLの丸底フラスコに、N−メチル−N−オクタノイルグルカミド(5,000g、15.57mmol)、MEK(80mL)、MEHQ(5mg)を加え、全ての固体が溶解するまで、最高60℃に温めた。IEM(4.8257g、31.13mmol)を滴下して加え、ジラウリン酸ジブチル錫(1mL、MEK中1%の溶液)を加えた。8時間、反応温度を60℃に維持した。次いで、赤外線分析(IR)及び薄層クロマトグラフィーにより反応混合物を分析した。IRはイソシアネート符号を示さなかった(IEMは残らなかった)。TLC(15%メタノール/85%エチルアセテート)は、出発原料であるN−メチル−N−オクタノイルグルカミドが残されていないことを示した。溶剤MEKの真空蒸発によって得られた重合性樹脂の透明な液体(9.9g)を、それ以上精製せずに、以下の歯科用組成物に使用した。上述の構造が得られたことをNMRで確認した。
接着製剤及び試験結果
構成成分を混合し、均一になるまで攪拌して、歯科用接着製剤を調製した。全てのケースで、水は最後の構成成分として加えた。特に断りがない限り、全ての単位はグラムである。
実施例2−歯科用接着剤
Figure 2013541524
Figure 2013541524
実施例3〜4−歯科用接着剤
Figure 2013541524
Figure 2013541524
実施例5−N−オクチルアクリロイルグルカミドの合成
Figure 2013541524
500mL丸底フラスコにN−オクチルグルカミン(5.00g)、MEHQ(10mg)、メタノール(120mL)及びトリエチルアミン(3.80g)を加えた。磁気攪拌しながら窒素下で60℃まで加熱した。全ての固体が溶解した後、温度を50℃に下げた。THF(20mL)中のアクリロイルクロリド(3.08g)を滴下により加えた。50℃で5時間反応させた後、TLC(15%メタノール/85%エチルアセテート)は出発原料のN−オクチルグルカミンが残っていないことを示した。溶剤を真空蒸発させた後、固形物10gが得られた。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル60(EM Sciences、Gibbstown,NJから入手可能な40〜63ミクロン);15%メタノール/85%エチルアセテート)を用いて更に精製し、N−オクチルアクリロイルグルカミド(4.65gの白色固体、収率78.6%)を得た。上述の構造が得られたことをHNMRで確認した。
実施例6−歯科用接着剤
Figure 2013541524
Figure 2013541524
実施例7−N−オクチルアクリロイルグルカミドホスフェート
Figure 2013541524
250mLの三口丸底フラスコにTHF(無水、40ml)及びPOCl(2.2094g)を加え、その混合物を窒素下で磁気攪拌しながらIPAドライアイス槽内で−50℃に冷却した。滴下漏斗に、実施例5のN−オクチルアクリロイルグルカミド(1.0000g)、THF(無水、50ml)、及びトリエチルアミン(1.4581g)を加えた。IPAドライアイス槽の温度を−40℃に維持しながら、この溶液を250mLの丸底フラスコに1時間滴下した。添加後、更に2時間、IPAドライアイス槽の温度を−40℃〜−30℃に維持した。次いで、IPAドライアイス槽を冷やさずに0℃まで戻し、その反応混合物にトリエチルアミン(2.9161g)とともに脱イオン水(0.5187g)を加えた。次いで、このIPAドライアイス槽を取り除き、室温で12時間連続して反応させた。反応混合物のTLC(15%メタノール/85%エチルアセテート)分析は、出発原料のN−オクチルアクリロイルグルカミドが残っていないことを示した。反応混合物中に形成された白色結晶をろ過して取り除いた。得られた溶液を徐々に濃縮し(ロータリーエバポレーター、水吸引器)、形成された追加的な白色結晶をろ過した。最終的に透明の強粘液体(1.50g)を得た。質量分析は、上述の構造が得られたことを示した。
実施例8−歯科用接着剤
Figure 2013541524
Figure 2013541524
実施例9−ジ−メタクリレートの合成
Figure 2013541524
500mLの三口丸底フラスコに、下記の参照の手順[1]によって作製したグルコサミンラウロイルアミド(5.00g)、DMF(200mL)及びHEMQ(10mg)を加え、窒素下で70℃まで加熱した。全ての固形物が溶解した後、IEM(4.2936g)及びジブチル錫ジラウレート(1% MEK溶液2mL)を加え、7時間、反応温度を70℃に維持した。次いで、反応混合物をIR及びTLCで分析した。TLC(15%メタノール、85%エチルアセテート)は、グルコサミンラウロイルアミド出発原料が残っていないことを示した。IRは、NCO基が残っていないことを示した。質量分析は、上述の構造が得られたことを示した。溶剤を真空蒸発した後、得られた白色の固体生成物をそれ以上精製せずに使用した。
[1]Inouye et al.,JACS,1956,V78,pp.4722〜4724。
Figure 2013541524
Figure 2013541524
実施例11−歯科用複合材
Figure 2013541524
Figure 2013541524
実施例12−歯科用接着剤
Figure 2013541524
この組成物のpHを測定し、0と決定した。
Figure 2013541524
実施例13−歯科用接着剤
THPICTHSの調製
THPICTHSは、参考として本明細書に組み込まれる2010年3月31日付けで出願された米国特許仮出願第61/319,534号に記載されているように、トリグリシジルイソシアヌレート及びモノ−(2−メタクリルオキシエチル)コハク酸塩から調製した。
Figure 2013541524
Figure 2013541524
Figure 2013541524
この組成物のpHを測定し、1未満と決定した。
Figure 2013541524
実施例14−N−メチル−N−[(2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル]ドコサナミドのビス−2−(2−メタクリロイロキシ)−エチルアミノカルボニル付加物の合成
N−メチル−N−[(2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル]ドコサナミド中間体の合成−N−メチルグルカミン(1.95g、10.0mmol)を、1.00Nの水酸化ナトリウム液及び10mLのテトラヒドロフランに溶解した。次いで、その急速攪拌した溶液にドコサノイルクロリド(3.58g、10.0mmol)を加え、次いで、更に20mLのテトラヒドロフランを加えた。60分間攪拌した後、その粘性の反応混合物をロータリーエバポレーターに配置し、減圧下でテトラヒドロフランを除去した。得られた粘性のスラリーをろ過し、水で洗浄し、吸引により乾燥して、ろう状の白色固形物を得た。クロマトグラフィー(SiO、15%〜30% MeOH/CHCl)で、ろう状の固形物として以下の化合物1.52gを採取した。
Figure 2013541524
N−メチル−N−[(2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル]ドコサナミドのビス−2−(2−メタクリロイロキシ)−エチルアミノカルボニル付加物N−メチル−N−[(2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル]ドコサナミド(200mg、0.387mmol)を50℃で10mLのテトラヒドロフランに溶解した。2−イソシアントエチルメタクリレート(IEM、109mL、0.772mmol)を加え、次いで、ジブチル錫ジラウレートの触媒量を加えた。周囲温度で3日間攪拌後、反応混合物を減圧下で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO、2%〜10% MeOH/CHCl)により、以下の化合物を86mg採取した。
Figure 2013541524
実施例15−歯科用複合材
Figure 2013541524
Figure 2013541524

Claims (36)

  1. 疎水基と、少なくとも1つのフリーラジカル重合性基と、を含み、前記疎水基が前記フリーラジカル重合性基のエチレン性不飽和炭素原子と結合していないことを条件とする、置換糖アミド化合物。
  2. 前記疎水基が、糖アミン残基の窒素原子又は糖アミド残基のカルボニル部分と結合している、請求項1に記載の置換糖化合物。
  3. 前記置換糖アミド化合物がそれと同じ糖アミド化合物であって置換されていないものと比較して少なくとも2少ないHLBを有するように、疎水基が前記置換糖アミド化合物を十分に親油性にする、請求項1又は2のいずれかに記載の置換糖化合物。
  4. 前記置換糖アミド化合物が、置換糖アルコール部分又は置換された単糖類部分を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の置換糖化合物。
  5. 前記疎水基が糖アミン残基の窒素原子と結合している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の置換糖化合物。
  6. 前記糖化合物の残基が、一般式
    Figure 2013541524
    (式中Rは疎水基であり、
    はフリーラジカル重合性基であり、
    は独立して水素又は酸性基であり、
    nは、1〜4の整数である)を有する、請求項5に記載の置換糖化合物。
  7. それぞれのRが水素である、請求項6に記載の置換糖化合物。
  8. 前記R基の少なくとも1つは酸性基である、請求項6に記載の置換糖化合物。
  9. 前記疎水基が糖アミド残基のカルボニル部分と結合している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の置換糖化合物。
  10. 前記糖アミドの残基が、一般式
    Figure 2013541524
    (式中Rは疎水基であり、
    は独立して水素、又は酸性基、又は−L−Rであり、式中Lは連結基、Rはフリーラジカル重合性基であり、少なくとも1つのRが−L−Rであることを条件とし、
    は水素又はC〜Cのアルキル基であり、
    nは、1〜4の整数である)を有する、請求項9に記載の置換糖化合物。
  11. 基の少なくとも2つが−L−Rである、請求項10に記載の置換糖化合物。
  12. 前記糖アミド化合物が、一般式
    Figure 2013541524
    (式中、
    〜R10の1つが
    Figure 2013541524
    であり、Rが水素、又はC〜Cのアルキル基であり、Rは疎水基であり、
    〜R10の少なくとも1つがO−L−Rであり、Oは酸素、Lは連結基であり、Rはフリーラジカル重合性基であり、残りのR〜R10はOH又は酸性基である)を有する、請求項9に記載の置換糖化合物。
  13. 〜R10の少なくとも2つがO−L−Rである、請求項12に記載の置換糖化合物。
  14. 残りのR〜R10がOHである、請求項12又は13のいずれかに記載の置換糖化合物。
  15. 前記疎水基がC〜C26アルキル基である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の置換糖化合物。
  16. 前記フリーラジカル重合性基が(メタ)アクリレート基である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の糖化合物。
  17. 前記酸基が、リン酸基、ホスホン酸基、硫酸基、及びカルボン酸基から選択される、請求項1〜6、8〜13、15〜16のいずれか一項に記載の糖化合物。
  18. 糖基、少なくとも1つの疎水基、少なくとも1つのフリーラジカル重合性基、及び少なくとも1つの酸性基を含む置換糖化合物。
  19. 前記置換糖化合物が、請求項1〜6、8〜13、15〜16に記載の糖アミド化合物である、請求項18に記載の置換糖化合物。
  20. 請求項1〜19のいずれか一項による置換糖アミド化合物を含む、重合性歯科用組成物。
  21. 前記歯科用組成物が、少なくとも1つの他のエチレン性不飽和モノマーを更に含む、請求項20に記載の重合性歯科用組成物。
  22. 前記歯科用組成物が、ビスフェノールA由来のエチレン性不飽和モノマーを含まない、請求項20又は21のいずれかに記載の重合性歯科用組成物。
  23. 少なくとも1つのフリーラジカル重合性置換糖化合物と、
    35重量%〜75重量%の、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物と、を含む重合性樹脂組成物を含む、歯科用組成物。
  24. 前記重合性置換糖化合物が、少なくとも2つのフリーラジカル重合性基を含む、請求項23に記載の歯科用組成物。
  25. 前記重合性置換糖化合物が疎水基を含む、請求項23又は24のいずれかに記載の歯科用組成物。
  26. 酸官能基を有さない他のエチレン性不飽和モノマーを最高25重量%更に含む、請求項23〜25のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  27. その接着剤が請求項1〜19のいずれか一項に記載の置換糖化合物を含む、請求項23〜26のいずれか一項に記載の歯科用接着剤。
  28. 前記組成物が、シーラント、接着剤、セメント、又は流動性複合修復材としての使用に好適である、請求項23〜27のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  29. 歯科用組成物を適用する方法であって、
    請求項23〜28に記載の重合性歯科用組成物を提供する工程と、
    前記重合性歯科用組成物を歯科組織表面に適用する工程と、
    重合性歯科用組成物を固化する工程と、
    を含む、方法。
  30. 前記歯科組織が、エナメル質、象牙質、及びこれらの組み合わせから選択される硬質歯科組織である、請求項29に記載の方法。
  31. エッチング剤又はプライマーで表面を前処理することなく前記歯科用接着剤組成物を前記硬質組織表面に適用する、請求項29に記載の方法。
  32. 少なくとも1つのフリーラジカル重合性置換糖化合物と、
    最高25重量%の他のエチレン性不飽和モノマーと、
    少なくとも40重量%のナノクラスター充填剤と、
    を含む歯科用修復材。
  33. 前記重合性置換糖化合物が、少なくとも2つのフリーラジカル重合性基を含む、請求項32に記載の歯科用修復材。
  34. 前記重合性置換糖化合物が疎水基を含む、請求項32又は33のいずれかに記載の歯科用修復材。
  35. 前記歯科用修復材が、請求項1〜19のいずれか一項に記載の置換糖化合物を含む、請求項32〜34のいずれか一項に記載の歯科用修復材。
  36. 前記化合物が、
    Figure 2013541524
    である、請求項10に記載の置換糖化合物。
JP2013529161A 2010-09-15 2011-08-19 置換糖化合物及び歯科用組成物 Expired - Fee Related JP6272029B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US38308010P 2010-09-15 2010-09-15
US61/383,080 2010-09-15
PCT/US2011/048383 WO2012036838A2 (en) 2010-09-15 2011-08-19 Substituted saccharide compounds and dental compositions

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016252377A Division JP2017095478A (ja) 2010-09-15 2016-12-27 置換糖化合物及び歯科用組成物

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2013541524A true JP2013541524A (ja) 2013-11-14
JP2013541524A5 JP2013541524A5 (ja) 2014-09-18
JP6272029B2 JP6272029B2 (ja) 2018-01-31

Family

ID=44543859

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013529161A Expired - Fee Related JP6272029B2 (ja) 2010-09-15 2011-08-19 置換糖化合物及び歯科用組成物
JP2016252377A Pending JP2017095478A (ja) 2010-09-15 2016-12-27 置換糖化合物及び歯科用組成物

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016252377A Pending JP2017095478A (ja) 2010-09-15 2016-12-27 置換糖化合物及び歯科用組成物

Country Status (7)

Country Link
US (1) US8557893B2 (ja)
EP (1) EP2616476A2 (ja)
JP (2) JP6272029B2 (ja)
CN (1) CN103119050B (ja)
BR (1) BR112013005887B1 (ja)
RU (1) RU2605097C2 (ja)
WO (1) WO2012036838A2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016208472A1 (ja) * 2015-06-26 2016-12-29 日産化学工業株式会社 光硬化性樹脂組成物
JP2017095478A (ja) * 2010-09-15 2017-06-01 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 置換糖化合物及び歯科用組成物
JP2019518743A (ja) * 2016-05-20 2019-07-04 デンツプライ デトレイ ゲー.エム.ベー.ハー. 歯科用組成物

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2803691B1 (en) 2013-05-17 2016-04-20 3M Innovative Properties Company Fluoropolymer compositions containing a polyhydroxy surfactant
EP2868674B1 (en) 2013-10-30 2019-11-20 3M Innovative Properties Company Peroxide curable fluoropolymers obtainable by polymerization using non-fluorinated polyhydroxy emulsifiers
TWI515255B (zh) * 2014-12-31 2016-01-01 財團法人工業技術研究院 可固化樹脂及應用其之可固化組成物
CN109642140B (zh) * 2016-08-30 2021-08-31 日产化学株式会社 感光性粘接剂组合物

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59135272A (ja) * 1983-01-21 1984-08-03 Kuraray Co Ltd 接着剤
JPH04227612A (ja) * 1990-04-20 1992-08-17 Branko Kozulic 親水性および両性のモノマー、それらのポリマーおよびゲルならびにそれらのゲルを用いる分離方法
EP0650974A1 (en) * 1993-10-28 1995-05-03 Tanabe Seiyaku Co., Ltd. Acylaminosaccharide derivative and process for preparing the same
JPH08208847A (ja) * 1994-10-28 1996-08-13 Prolabo:Soc ラテックスまたは無機酸化物のグリコシル化粒子、その粒子の製造法、およびその生物学的検出またはアフィニティクロマトグラフィ用薬剤としての使用
WO1999064563A1 (en) * 1998-06-10 1999-12-16 Ústav Makromolekulární Chemie Akademie Věd České Republiky Polymer carrier for cultivation of keratinocytes
JP2008260751A (ja) * 2007-01-17 2008-10-30 Kuraray Medical Inc 歯科用ボンディング材及びコンポジットレジン並びにそれらに好適な組成物
JP2010503698A (ja) * 2006-09-13 2010-02-04 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 有機ゲル化剤を含む歯科用組成物、製品及び方法

Family Cites Families (57)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US2776951A (en) * 1954-12-08 1957-01-08 Rohm & Haas Amides of vinyl ethers containing hydroxyl groups and polymers thereof
US4503169A (en) 1984-04-19 1985-03-05 Minnesota Mining And Manufacturing Company Radiopaque, low visual opacity dental composites containing non-vitreous microparticles
US4642126A (en) 1985-02-11 1987-02-10 Norton Company Coated abrasives with rapidly curable adhesives and controllable curvature
DE3506020A1 (de) 1985-02-21 1986-08-21 Etablissement Dentaire Ivoclar, Schaan Verfahren zur herstellung von kuenstlichen zaehnen oder zahnteilen und dafuer geeigneter lagerfaehiger dentalwerkstoff
JPS61268192A (ja) 1985-05-24 1986-11-27 Meito Sangyo Kk 糖類脂肪酸エステル化合物の製造法
US4652274A (en) 1985-08-07 1987-03-24 Minnesota Mining And Manufacturing Company Coated abrasive product having radiation curable binder
CA1323949C (en) 1987-04-02 1993-11-02 Michael C. Palazzotto Ternary photoinitiator system for addition polymerization
AU618772B2 (en) 1987-12-30 1992-01-09 Minnesota Mining And Manufacturing Company Photocurable ionomer cement systems
DE3853630T2 (de) 1988-10-19 1996-01-18 Guest Elchrom Scient Ag Hydrophile Monomere, Polymere davon und ihre Verwendungen.
US5185466A (en) * 1989-01-05 1993-02-09 Branko Kozulic Hydrophilic and amphiphatic monomers, their polymers and gels and hydrophobic electrophoresis
US5278270A (en) 1990-04-20 1994-01-11 Branko Kozulic Hydrophilic and amphiphatic monomers, their polymers and gels and hydrophobic electrophoresis
DE3904246A1 (de) * 1989-02-13 1990-08-16 Suedzucker Ag Polymerisierbare n'-polyhydroxy-n'-alkylharnstoffderivate, verfahren zu ihrer herstellung, deren verwendung und daraus erhaeltliche homo- oder copolymeren
DE4011084A1 (de) * 1990-04-05 1991-10-10 Boehringer Mannheim Gmbh Saccharid-modifizierte, wasserloesliche proteine
JPH0565159A (ja) 1991-08-29 1993-03-19 Dainippon Printing Co Ltd 押しつぶし可能なギフト箱の製造方法
JPH06242532A (ja) 1993-02-15 1994-09-02 Konica Corp ハロゲン化銀写真感光材料
JPH07316098A (ja) 1994-05-23 1995-12-05 San Medical Kk アクリレート化合物および歯科用接着剤
GB2306473B (en) * 1995-10-26 1998-12-23 Nippon Paint Co Ltd Glucoxide derivatives for enzyme modification, lipid-coated enzymes, method of producing such enzymes and antifouling paint composition
JPH1072404A (ja) 1996-08-28 1998-03-17 Dainippon Ink & Chem Inc ソルビトールの(メタ)アクリル酸エステル及びその製法
AU9216998A (en) * 1997-09-03 1999-03-22 Regents Of The University Of California, The Novel biomimetic hydrogel materials
JP2962717B1 (ja) 1998-09-30 1999-10-12 大伸化学株式会社 N−アルキルキトサン誘導体の製造方法、n−アルキルキトサン誘導体、およびこれを用いた重合体
DE19859430B4 (de) 1998-12-22 2004-11-04 Robert Bosch Gmbh Meßwert-Anzeigevorrichtung und Verfahren zur Anzeige von Meßwerten
DE19860361A1 (de) 1998-12-24 2000-06-29 Espe Dental Ag Vernetzbare Monomere auf Cyclosiloxanbasis, deren Herstellung und deren Verwendung in polymerisierbaren Massen
DE19860364C2 (de) 1998-12-24 2001-12-13 3M Espe Ag Polymerisierbare Dentalmassen auf der Basis von zur Aushärtung befähigten Siloxanverbindungen, deren Verwendung und Herstellung
DE19934407A1 (de) 1999-07-22 2001-01-25 Espe Dental Ag Hydrolysierbare und polymerisierbare Silane mit geringer Viskosität und deren Verwendung
US6572693B1 (en) 1999-10-28 2003-06-03 3M Innovative Properties Company Aesthetic dental materials
US6730156B1 (en) 1999-10-28 2004-05-04 3M Innovative Properties Company Clustered particle dental fillers
US6387981B1 (en) 1999-10-28 2002-05-14 3M Innovative Properties Company Radiopaque dental materials with nano-sized particles
EP1227781B9 (en) 1999-10-28 2006-03-08 3M Innovative Properties Company Dental materials with nano-sized silica particles
DE10026432A1 (de) 2000-05-29 2002-02-14 3M Espe Ag Präpolymere (Meth)acrylate mit polycyclischen oder aromatischen Segmenten
WO2002036691A1 (fr) 2000-11-02 2002-05-10 Kuraray Co.,Ltd. Plombages et materiaux dentaires composites les contenant
EP1416902B1 (en) 2001-08-15 2014-09-24 3M Innovative Properties Company Hardenable self-supporting structures and methods
JP4748938B2 (ja) 2002-01-31 2011-08-17 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 歯科ペースト、歯科物品、および方法
DE10204234A1 (de) * 2002-02-02 2003-08-07 Wella Ag Unter Verwenung von Kohlenhydratmonomertensiden hergestellte Polymerlatices, Verfahren zu ihrer Herstellung und ihre Verwendung
US7452924B2 (en) 2003-08-12 2008-11-18 3M Espe Ag Self-etching emulsion dental compositions and methods
EP1570831A1 (de) * 2004-03-02 2005-09-07 Ernst Mühlbauer GmbH & Co.KG Gefülltes, polymerisierbares Dentalmaterial und Verfahren zu dessen Herstellung
US7090721B2 (en) 2004-05-17 2006-08-15 3M Innovative Properties Company Use of nanoparticles to adjust refractive index of dental compositions
US7649029B2 (en) 2004-05-17 2010-01-19 3M Innovative Properties Company Dental compositions containing nanozirconia fillers
US7090722B2 (en) 2004-05-17 2006-08-15 3M Innovative Properties Company Acid-reactive dental fillers, compositions, and methods
US7156911B2 (en) 2004-05-17 2007-01-02 3M Innovative Properties Company Dental compositions containing nanofillers and related methods
US7241437B2 (en) 2004-12-30 2007-07-10 3M Innovative Properties Company Zirconia particles
US20060147394A1 (en) 2004-12-30 2006-07-06 Ramachandra Shastry Tooth whitening composition containing cross-linked polymer-peroxides
US20060204452A1 (en) 2005-03-10 2006-09-14 Velamakanni Bhaskar V Antimicrobial film-forming dental compositions and methods
JP2006276238A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Fuji Photo Film Co Ltd 光重合性組成物及び平版印刷版原版
EP2012745B1 (en) 2006-05-01 2010-10-27 Colgate-Palmolive Company Oral care composition with silicone composite
US20070264509A1 (en) 2006-05-11 2007-11-15 Yu-Chin Lai Copolymer and Medical Device with the Copolymer
US20080004410A1 (en) 2006-06-30 2008-01-03 Yu-Chin Lai Hydrophilic macromonomers having alpha,beta-conjugated carboxylic terminal group and medical devices incorporating same
US20080003252A1 (en) 2006-06-30 2008-01-03 Yu-Chin Lai Functionalized hydrophilic macromonomers and medical devices incorporating same
WO2008047812A1 (en) 2006-10-20 2008-04-24 Kuraray Medical Inc. Method for producing hydrophilic monomer
CN101677957A (zh) 2007-02-05 2010-03-24 卡比兰生物外科公司 用于递送生物活性试剂的聚合物制剂
US20080197324A1 (en) 2007-02-20 2008-08-21 Fang Zhao Ophthalmic composition containing a polyol-acid copolymer
EP2133368B1 (en) 2007-03-20 2017-01-25 Kuraray Noritake Dental Inc. Polymerizable monomer, polymerizable composition and dental material
US8735463B2 (en) 2007-05-31 2014-05-27 Creighton University Self-healing dental composites and related methods
US8329674B2 (en) 2007-07-25 2012-12-11 3M Innovative Properties Company Film forming dental compositions and related methods
JP5628031B2 (ja) 2007-07-25 2014-11-19 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 治療用歯科用組成物及び関連する方法
JP5552812B2 (ja) 2007-10-25 2014-07-16 ライオン株式会社 モノフルオロリン酸化高分子化合物
US9237990B2 (en) 2010-03-31 2016-01-19 3M Innovative Properties Company Polymerizable isocyanurate monomers and dental compositions
US8557893B2 (en) * 2010-09-15 2013-10-15 3M Innovative Properties Company Substituted saccharide compounds and dental compositions

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59135272A (ja) * 1983-01-21 1984-08-03 Kuraray Co Ltd 接着剤
JPH04227612A (ja) * 1990-04-20 1992-08-17 Branko Kozulic 親水性および両性のモノマー、それらのポリマーおよびゲルならびにそれらのゲルを用いる分離方法
EP0650974A1 (en) * 1993-10-28 1995-05-03 Tanabe Seiyaku Co., Ltd. Acylaminosaccharide derivative and process for preparing the same
JPH08208847A (ja) * 1994-10-28 1996-08-13 Prolabo:Soc ラテックスまたは無機酸化物のグリコシル化粒子、その粒子の製造法、およびその生物学的検出またはアフィニティクロマトグラフィ用薬剤としての使用
WO1999064563A1 (en) * 1998-06-10 1999-12-16 Ústav Makromolekulární Chemie Akademie Věd České Republiky Polymer carrier for cultivation of keratinocytes
JP2010503698A (ja) * 2006-09-13 2010-02-04 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 有機ゲル化剤を含む歯科用組成物、製品及び方法
JP2008260751A (ja) * 2007-01-17 2008-10-30 Kuraray Medical Inc 歯科用ボンディング材及びコンポジットレジン並びにそれらに好適な組成物

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
CHANTAL LARPENT ET AL.: "Macrocyclic Sugar-Based Surfactants: Block Molecules Combining Self-Aggregation and Complexation Pro", ANGEWANDTE CHEMIE INTERNATIONAL EDITION, vol. Volume 43, Issue 24, JPN6015036189, 2004, pages 3163 - 3167, ISSN: 0003150851 *

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017095478A (ja) * 2010-09-15 2017-06-01 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 置換糖化合物及び歯科用組成物
WO2016208472A1 (ja) * 2015-06-26 2016-12-29 日産化学工業株式会社 光硬化性樹脂組成物
JPWO2016208472A1 (ja) * 2015-06-26 2018-04-12 日産化学工業株式会社 光硬化性樹脂組成物
US10866513B2 (en) 2015-06-26 2020-12-15 Nissan Chemical Industries, Ltd. Photocurable resin composition
JP2019518743A (ja) * 2016-05-20 2019-07-04 デンツプライ デトレイ ゲー.エム.ベー.ハー. 歯科用組成物

Also Published As

Publication number Publication date
CN103119050B (zh) 2016-08-24
EP2616476A2 (en) 2013-07-24
US20130164709A1 (en) 2013-06-27
BR112013005887A2 (pt) 2016-05-10
WO2012036838A2 (en) 2012-03-22
RU2605097C2 (ru) 2016-12-20
JP2017095478A (ja) 2017-06-01
US8557893B2 (en) 2013-10-15
CN103119050A (zh) 2013-05-22
BR112013005887B1 (pt) 2018-05-22
JP6272029B2 (ja) 2018-01-31
RU2013110557A (ru) 2014-10-20
WO2012036838A3 (en) 2012-06-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2017095478A (ja) 置換糖化合物及び歯科用組成物
EP2010127B2 (en) Filler containing composition and process for production and use thereof
JP6077463B2 (ja) エチレン性不飽和付加開裂剤を含む歯科用組成物
JP7204679B2 (ja) 歯科用接着剤組成物、その調製及び使用
EP2747737B1 (en) Dental compositions comprising addition-fragmentation agents
JP6351608B2 (ja) 付加開裂剤を含む歯科用組成物
JP5074402B2 (ja) ジチアンモノマーを含有する硬化性組成物
JP6306044B2 (ja) 付加開裂オリゴマー
JP2013151545A (ja) リン酸塩を含む歯科用充填剤および組成物
US8455565B2 (en) Disulfide monomers comprising ethylenically unsaturated groups suitable for dental compositions
JP2009522279A (ja) 水スカベンジャーを有する歯科用組成物
WO2014151363A1 (en) High refractive index addition-fragmentation agents
US8431626B2 (en) Disulfide monomers comprising ethylenically unsaturated norbornyl groups suitable for dental compositions
EP4360609A1 (en) Dental adhesive kit

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140804

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140804

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150908

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20151207

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160303

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20160830

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161227

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20170113

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20170317

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170921

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171228

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6272029

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees