JP2013540816A6 - 神経内分泌腫瘍を治療する方法 - Google Patents

神経内分泌腫瘍を治療する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013540816A6
JP2013540816A6 JP2013536707A JP2013536707A JP2013540816A6 JP 2013540816 A6 JP2013540816 A6 JP 2013540816A6 JP 2013536707 A JP2013536707 A JP 2013536707A JP 2013536707 A JP2013536707 A JP 2013536707A JP 2013540816 A6 JP2013540816 A6 JP 2013540816A6
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
iii
ruthenate
indazole
tetrachlorobis
trans
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013536707A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6116481B2 (ja
JP2013540816A (ja
Inventor
フーシュマンド シェシュバラダラン
ウィリアム マッククロッチ
Original Assignee
ニッキ ファーマ インク.
ニーキ ファーマ インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ニッキ ファーマ インク., ニーキ ファーマ インコーポレイテッド filed Critical ニッキ ファーマ インク.
Priority claimed from PCT/US2011/057555 external-priority patent/WO2012061086A2/en
Publication of JP2013540816A publication Critical patent/JP2013540816A/ja
Publication of JP2013540816A6 publication Critical patent/JP2013540816A6/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6116481B2 publication Critical patent/JP6116481B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

神経内分泌腫瘍を治療するための方法および組成物を開示する。

Description

関連出願
本出願は、その全内容がどちらも参照により本明細書に組み入れられている、2010年10月25日に出願された米国仮出願第61/406,565号および2011年7月18日に出願された米国仮出願第61/508,699号の優先権を主張するものでる。
発明の分野
本発明は、概して、癌を治療するための薬学的組成物および方法、とくにルテニウム(III)錯体を有する薬学的組成物およびその使用方法に関する。
発明の背景
神経内分泌腫瘍(NET)は、内分泌系および神経系の細胞から生じる腫瘍である。多くの種類のNETがあるが、それらは共通の特徴を有している。例えば、これらの新生物の細胞はすべて、特有の分泌顆粒を有する。これらはまた、生体アミンまたはポリペプチドホルモンを分泌することが多い。NET有病率は、100,000人あたり35人と推定される。Oberg & Castellano, Cancer and Metastasis Reviews 30:3-7(2011)(非特許文献1)を参照されたい。オクトレオチドLAR等のソマトスタチン類似体がしばしば用いられる。しかしながら、それらは、ホルモン放出の遮断によって症状を軽減するのみである。シスプラチン、エトポシド、およびドキソルビシンを用いた化学療法が行われることが多いが、わずかな効果しかない。ゆえに、NETを治療するためのさらなる医薬および方法が依然として大いに求められている。
Oberg & Castellano, Cancer and Metastasis Reviews 30:3-7(2011)
本発明は、神経内分泌腫瘍を治療する方法を提供する。一局面において、本発明は、神経内分泌腫瘍を有する患者にトランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]の薬学的に許容される塩(例えば、ナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]またはカリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)])の治療的または予防的有効量を投与する工程を含む、神経内分泌腫瘍を治療する、予防する、またはその発症を遅延させる方法を提供する。
別の局面によれば、難治性神経内分泌腫瘍を有する患者にトランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]の薬学的に許容される塩(例えば、ナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]またはカリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)])の治療的または予防的有効量を投与する工程を含む、難治性神経内分泌腫瘍を治療する、予防する、またはその発症を遅延させる方法が提供される。
本発明の方法において使用するための医薬の製造のための、トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]の薬学的に許容される塩(例えば、ナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]またはカリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)])の使用も提供される。
本発明の上記および他の利点および特徴、ならびにそれらを達成する様式は、好ましくかつ例示的な態様を例証する実施例とともに、本発明の以下の詳細な説明を考慮すればより容易に明白になるであろう。
発明の詳細な説明
本発明は、ナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)] 化合物が神経内分泌腫瘍(NET)を治療するのにとくに有効であるという発見に少なくとも部分的に基づいている。したがって、本発明の第一の局面によれば、原発性および転移性の神経内分泌腫瘍を含む神経内分泌腫瘍を治療するための方法が提供される。該方法は、治療を必要としている1つまたは複数の神経内分泌腫瘍を有する患者を、治療的有効量のトランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]またはその薬学的に許容される塩を用いて治療する工程を含む。そのような塩の例には、トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]のインダゾリウム塩またはアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]またはカリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)])が含まれる。つまり、本発明は、神経内分泌腫瘍を有すると同定されたまたは診断された患者における神経内分泌腫瘍を治療するための医薬の製造のための、有効量のトランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]またはその薬学的に許容される塩(例えば、インダゾリウム塩またはアルカリ金属塩)の使用に向けられている。
神経内分泌腫瘍は、副腎髄質、下垂体、および副甲状腺等の内分泌腺に由来するか、または甲状腺もしくは膵臓内の内分泌島(endocrine islet)に由来するか、または気道および消化管における分散した内分泌細胞に由来する腫瘍である。それらは、典型的には、分泌顆粒の存在およびホルモンまたは生体アミンの産生能を特徴とする。種々の態様において、本発明において治療される神経内分泌腫瘍は、カルチノイド腫瘍(例えば、気管支カルチノイド、胃カルチノイド、小腸カルチノイド、虫垂(appendeceal)カルチノイド、および直腸カルチノイド)および膵臓の神経内分泌腫瘍(例えば、インスリノーマ、グルカゴノーマ、VIPオーマ、ソマトスタチノーマ、およびPPオーマなど)であってよい。いくつかの態様において、本発明の方法を用いてカルチノイド症候群を治療する。いくつかの態様において、本発明の方法を用いて消化管神経内分泌腫瘍を治療する。いくつかの態様において、本発明の方法を用いて十二指腸または膵臓のいずれかのガストリノーマを治療する。いくつかの特定の態様において、本発明の方法を用いてゾリンジャー・エリソン症候群を治療する。いくつかの態様において、本発明の方法を用いて甲状腺癌腫または皮膚のメルケル細胞癌腫を治療する。いくつかの態様において、本発明の方法を用いて、下垂体前葉の神経内分泌腫瘍、髄様癌腫、副甲状腺腫瘍、胸腺および縦隔のカルチノイド腫瘍、肺の神経内分泌腫瘍、胃腸膵管系神経内分泌腫瘍、副腎髄質腫瘍、褐色細胞腫、神経鞘腫、傍神経節腫、神経芽細胞腫、尿路のカルチノイド腫瘍および神経内分泌癌腫、多発性内分泌腺腫症1型(MEN1)、多発性内分泌腺腫症2型(MEN2)、フォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)病、神経線維腫症1型、結節性硬化症、またはカーニー複合を治療する。
本発明の本局面の種々の態様において、治療方法は任意で、神経内分泌腫瘍を有すると患者を診断するまたは同定する工程も含む。次いで、同定された患者を、治療的有効量のトランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]またはその薬学的に許容される塩、好ましくはアルカリ金属塩、例えばナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]を用いて治療するまたはそれを投与する。種々の神経内分泌腫瘍は、CTスキャン、内視鏡検査、生検などの当技術分野において公知である任意の従来型診断方法で診断され得る。
加えて、本発明の別の局面は、難治性神経内分泌腫瘍を有すると同定された患者を、治療的有効量のトランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]またはその薬学的に許容される塩、好ましくはそのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]またはカリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)])を用いて治療する工程を含む、難治性神経内分泌腫瘍を治療する方法を提供する。
本明細書において使用される「難治性神経内分泌腫瘍」という用語は、トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]またはその薬学的に許容される塩を含まない抗新生物治療に対して良好に反応しない神経内分泌腫瘍、あるいは、トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]またはその薬学的に許容される塩を含まない抗新生物治療に対して良好に反応した後に再発または再燃する神経内分泌腫瘍のいずれかを表す。したがって、本明細書において使用される「治療に対して難治性の神経内分泌腫瘍」とは、治療、例えば5-FU、カペシタビン、ストレプトゾシン、エトポシド、ドキソルビシン、シスプラチン、ソマトスタチン類似体(例えば、オクトレオチド)、キナーゼ阻害剤(例えば、スニチニブ、クリゾチニブ、エベロリムス)を含む1種または複数種の薬物を含む治療に対して良好に反応しないまたは抵抗性である神経内分泌腫瘍、あるいは、該治療に対して良好に反応した後に再発または再燃する神経内分泌腫瘍を意味する。
難治性神経内分泌腫瘍を検出するために、初回治療を受けている患者を、抵抗性、非反応性、または再発性神経内分泌腫瘍の徴候について注意深くモニタリングすることができる。これは、初回治療に対する患者の癌の反応をモニタリングすることによって達成され得る。初回治療に対する反応、反応の欠如、または癌の再燃は、当技術分野において実践される任意の適切な方法によって判定され得る。例えば、これは、腫瘍の大きさおよび数の評価によって達成され得る。腫瘍の大きさあるいは腫瘍の数の増大は、腫瘍が化学療法に反応していないこと、または再燃が生じていることを示す。判定は、Therasse et al, J. Natl. Cancer Inst. 92:205-216(2000)に詳細に記載されている「RECIST」基準に従って行うことができる。
本発明のさらに別の局面によれば、神経内分泌腫瘍を予防するもしくはその発症を遅延させる、または神経内分泌腫瘍の再発を予防するもしくは遅延させるための方法が提供され、該方法は、予防または遅延を必要としている患者を、予防的有効量のトランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]またはその薬学的に許容される塩、好ましくはトランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]またはカリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)])を用いて治療する工程を含む。
神経内分泌腫瘍の再発を予防するまたは遅延させる目的のために、治療中でありかつ寛解期にあるまたは安定状態もしくは無憎悪状態にある神経内分泌腫瘍を有する患者を、トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]またはカリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)])の予防的有効量を用いて治療して、神経内分泌腫瘍の再発または再燃を効果的に予防するかまたは遅延させることができる。
本明細書において使用される「・・・を用いて・・・を治療する」という語句またはその言い換えは、患者に化合物を投与することまたは患者の体内における化合物の形成を引き起こすことを意味する。
本発明の方法によれば、種々の態様において、単剤として単独で、あるいは、例えばソマトスタチン類似体(例えば、オクトレオチド)、白金剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、およびピコプラチン)、タキサン(例えば、ドセタキセル)、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン)、5-FUおよびそのプロドラッグ(例えば、カペシタビン、テガフール、およびS1)、ニトロソウレア化合物(例えば、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン、エチルニトロソウレア(ENU)、およびストレプトゾトシン)、ゲムシタビン、テモゾロミド、EGFR阻害剤(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ、セツキシマブ、パニツムマブ)、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、クリゾチニブ、エベロリムス、ならびにスニチニブより選択される1種または複数種の他の抗癌剤と組み合わせて、治療的有効量のトランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]またはその薬学的に許容される塩、好ましくはトランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]のアルカリ金属塩を用いて、神経内分泌腫瘍を治療してよい。
トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]のアルカリ金属塩は、当技術分野において公知の任意の方法で作製され得る。例えば、PCT公開公報WO/2008/154553には、ナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]の効率的な作製方法が開示されている。
ナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]等の薬学的化合物を、総体重に基づき患者の体重1kgあたり0.1mg〜1000mgの量で、静脈内注射または他の任意の適切な手段によって投与することができる。活性成分は1回で投与してもよく、または、いくつかのより少ない用量に分けて所定の時間間隔で、例えば1日1回もしくは2日に1回、投与してもよい。上記に示される投薬量の範囲は例示的なものにすぎず、本発明の範囲を限定することを意図するものではないと理解されるべきである。当業者にとって明白であるように、活性化合物の治療的有効量は、用いられる化合物の活性、患者の体内における活性化合物の安定性、軽減されるべき病状の重症度、治療される患者の総体重、投与の経路、身体による活性化合物の吸収、分布、および排出の容易さ、治療されるべき患者の年齢および感受性などを含むがこれらに限定されない要因によって、変動し得る。種々の要因が経時的に変化するとともに、投与量を調節することができる。
いくつかの態様において、薬学的に許容される塩(例えば、アルカリ金属塩、好ましくはナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)])を、投与ごとに、体表面積に基づき少なくとも300、400、500、550、600、650、700mg/m2またはそれを上回る量で患者に投与する。いくつかの態様において、薬学的に許容される塩(例えば、アルカリ金属塩、好ましくはナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)])を、投与ごとに、600mg、700mg、800mg、900mg、または1000mgを上回る量で患者に投与する。好ましい態様において、薬物を週1回、好ましくは各28日周期の1日目、8日目、および15日目に静脈内注射によって投与する。
本発明によれば、神経内分泌腫瘍を治療するのに有用な医薬の製造のための、トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]またはその薬学的に許容される塩、例えばトランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]またはカリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)])の使用が提供される。該医薬は、例えば静脈内、皮内、または筋肉内投与に適した、例えば注射可能な形態であってよい。注射可能な形態は、当技術分野において一般的に公知であり、例えば緩衝液または懸濁液の状態である。
本発明の別の局面によれば、容器内に単位投薬量形態のトランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]またはその薬学的に許容される塩、例えばトランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]またはカリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)])と、任意で、本発明に従った方法において、例えば神経内分泌腫瘍の治療、予防、もしくはその発症の遅延、または神経内分泌腫瘍の再発の予防もしくは遅延、または難治性神経内分泌腫瘍の治療においてキットを使用するための使用説明書とを含む、薬学的キットが提供される。当業者にとって明白であるように、単位投薬量形態の治療用化合物の量は、本発明の方法における患者に対して用いられるべき投薬量によって決定される。キットにおいて、トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]またはその薬学的に許容される塩、例えばトランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]またはカリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)])は、アンプル中で例えば25mg量の、凍結乾燥形態であってよい。臨床において、凍結乾燥形態を溶解し、本発明に従った治療を必要としている患者に投与することができる。
実施例1
ナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]の活性を試験するために、どちらも神経内分泌腫瘍(NET)細胞株であるヒト甲状腺癌腫細胞株MB1およびメルケル細胞癌腫細胞株MKL-1を用いて、ATCCのMTT Cell Proliferation Assay(登録商標)を行った。本調査のために、保存培養物を70〜80%コンフルエントまで成長させた。示された細胞株に対するナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]の抗増殖活性を、ATCCのMTT Cell Proliferation Assay(カタログ番号30-1010K)を用いてインビトロで評価した。細胞プレートに1ウェルあたり20E+03個の細胞を播種し、1,000μMまたはその4×希釈系列(250μM、62.5μMなど)のナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]で処理した。処理の72時間後に各ウェルから100μlの培地を除去し、各ウェルに10μlのMTT試薬を添加した。プレートを37℃で4時間インキュベーションし、次いで100μlの界面活性剤を添加した。プレートを室温で暗所にて一晩置き、SoftMax(登録商標)Pro(バージョン5.2、Molecular Devices)を用いてプレートリーダーで読み取った。
吸光度データを以下のように解析した:SoftMax(登録商標)Pro(バージョン5.2、Molecular Devices)を用いて、IC50算出のために、吸光度値を対照に対するパーセントに変換し、試験剤濃度に対してプロットした。対照に対するパーセントを算出する前に、すべてのウェルからプレートのブランクシグナル平均値を減算した。各試験ウェルの吸光度値を、薬物なし対照の平均値(11列の値;細胞+媒体対照)で除算し、かつ100を乗ずることによって、対照に対するパーセントを算出した。IC50値を得るための4パラメーター方程式およびS字形用量反応曲線を描く他のパラメーターを用いて、化合物濃度 対 対照に対するパーセントのプロットを解析した。
以下の4パラメーターのロジスティック方程式を用いてデータを曲線適合させることによって、試験剤のIC50値を推定した:
Figure 2013540816
式中、「最大値」は対照吸光度の最大%(100%)であり、「最小値」は該剤の最高濃度における対照吸光度の最小%(ゼロまで)であり、Yは対照吸光度に対するパーセントであり、Xは試験剤濃度であり、IC50は対照細胞と比較して細胞の成長を50%阻害する剤の濃度であり、nは曲線の傾きである。ヒト甲状腺癌腫細胞株MB1およびメルケル細胞癌腫細胞株MKL-1におけるナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]のIC50値は、それぞれ73.7μMおよび40.4μMであった。
実施例2
米国で実施されたヒト臨床試験において、ステージIVの小腸のカルチノイド腫瘍(神経外胚葉性腫瘍またはNET)を有する51歳の白人男性が選ばれて、ナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]の治療を受けた。彼は、以前に2回の外科手術を受けていた:2008年6月に試験開腹術(神経内分泌腫瘍の診断)および2008年10月に腫瘤の外科的部分切除。2回目の外科手術の後に、2008年10月および2008年11月に緩和治療のための残存腫瘍塊の化学塞栓術が行われた。カペシタビンを用いた全身化学療法が2009年の7月〜8月の間に行われた。2009年8月、療法をオクトレオチド(サンドスタチンLAR)に変更したが、これは2009年11月に中断された。2009年12月、患者にクリゾチニブが投与され、疾患の進行が理由で2010年3月に中断された。このような先行する化学療法レジメンに対する最良効果は、1〜3ヶ月の安定であった。
腫瘍が進行していたため、患者は、週1回、各28日周期の1日目、8日目、および15日目における、体表面積に基づき320mg/m2(1回の投与あたりの総用量630mg)のナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]の静脈内注射による療法を、2010年5月7日に開始した。当時、患者は原発腫瘍の小腸カルチノイドに由来する4箇所の転移部位を有した。4箇所の転移部位は、門脈大静脈リンパ節、左大動脈周囲リンパ節、胃/腸間膜リンパ節、および食道リンパ節にあった。腫瘍のCTスキャンを治療開始時(ベースライン)、およびその後2ヶ月おきに行った。スキャン結果を以下の表1に提示する。ナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]は、1箇所の病変において50%近くの腫瘍退縮をもたらし、残り3箇所の病変において腫瘍の成長を止めたことが分かる。2011年7月現在で、患者は14サイクルを受けており、未だナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]の制御下にある。重篤な有害事象は何も観察されていない。
(表1)カルチノイド癌患者におけるナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]の効果*
Figure 2013540816
*表示された時点におけるCTスキャンによって評価された腫瘍病変の大きさ
#ベースラインとは、ナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]を用いた治療の直前を意味する。LN=リンパ節。
上記と同じヒト臨床試験において、2006年12月に診断されたステージIVの胃のガストリノーマ(神経外胚葉性腫瘍またはNET)を有する70歳の白人男性が登録された。彼は、2006年10月、2007年1月、および2007年9月における肝動脈塞栓により疾患制御の達成を複数回試みた。2009年3月に肝臓の右葉に対する、2009年5月に左葉に対するイットリウム-90注入による局所放射線療法を試みた。それにもかかわらず、腫瘍は制御されなかった。疾患の進行時に、患者は、週1回、各28日周期の1日目、8日目、および15日目における、体表面積に基づき420mg/m2(合計で832mgを投与)のナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]を用いて静脈内投与による療法を、2010年9月に開始した。患者は6サイクルの薬物を投与され、最良効果は安定であった。
治療期間中に、化学発光法を用いて血清ガストリンレベルを測定した。結果を以下の表2に示す。
(表2)
Figure 2013540816
留意すべきは、上記患者の悪性度のマーカーである血清ガストリンレベルが療法の過程の間に8291から6120に低下したことであり、これは、該薬物が腫瘍成長の阻害および腫瘍マーカーレベルの低下に有効であったことを示している。
本明細書において言及されるすべての刊行物および特許出願は、本発明が関連する技術分野における当業者の水準の指標である。すべての刊行物および特許出願は、それぞれ個々の刊行物または特許出願が参照により組み入れられることを具体的かつ個々に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み入れられる。刊行物および特許出願についての単なる言及は、必ずしもそれらが本出願に対する先行技術であるという承認をなすものではない。
上記の発明は、理解の明確化のために例証および実施例によりいくらか詳細に記載されているが、特定の変更および修正が添付の特許請求の範囲の範囲内で実践され得ることは明白であろう。

Claims (12)

  1. 神経内分泌腫瘍を治療する、予防する、またはその発症を遅延させるための医薬の製造のための、トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]の薬学的に許容される塩の使用。
  2. 前記塩が、トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)])である、請求項1記載の使用。
  3. 前記神経内分泌腫瘍がカルチノイド腫瘍である、請求項1または2記載の使用。
  4. 前記神経内分泌腫瘍が小腸のカルチノイドである、請求項1〜3のいずれか一項記載の使用。
  5. 前記神経内分泌腫瘍が膵臓の神経内分泌腫瘍である、請求項1または2記載の使用。
  6. 前記神経内分泌腫瘍がガストリノーマである、請求項1または2記載の使用。
  7. 前記神経内分泌腫瘍が甲状腺癌腫またはメルケル細胞癌腫である、請求項1または2記載の使用。
  8. 前記神経内分泌腫瘍が、5-FU、カペシタビン、ストレプトゾシン、エトポシド、ドキソルビシン、シスプラチン、ソマトスタチン類似体(例えば、オクトレオチド)、キナーゼ阻害剤(例えば、スニチニブ、クリゾチニブ、エベロリムス)からなる群より選択される1種または複数種の薬物を含むレジメンを用いて以前に治療された難治性神経内分泌腫瘍である、請求項1〜7のいずれか一項記載の使用。
  9. トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]の前記薬学的に許容される塩が少なくとも400mg/m2またはそれを上回る量で投与される、請求項1〜8のいずれか一項記載の使用。
  10. トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]の前記薬学的に許容される塩が少なくとも600mgの量で投与される、請求項1〜8のいずれか一項記載の使用。
  11. トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]の前記薬学的に許容される塩が、週1回、各28日周期の1日目、8日目、および15日目に投与される、請求項1〜10のいずれか一項記載の使用。
  12. 神経内分泌腫瘍を有する患者を同定する工程;および
    該患者を、トランス-[テトラクロロビス(1H-インダゾール)ルテナート(III)]の薬学的に許容される塩の治療的有効量を用いて治療する工程
    を含む、神経内分泌腫瘍を治療する方法。
JP2013536707A 2010-10-25 2011-10-25 神経内分泌腫瘍を治療する方法 Active JP6116481B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US40656510P 2010-10-25 2010-10-25
US61/406,565 2010-10-25
US201161508699P 2011-07-18 2011-07-18
US61/508,699 2011-07-18
PCT/US2011/057555 WO2012061086A2 (en) 2010-10-25 2011-10-25 Method of treating neuroendocrine tumors

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2013540816A JP2013540816A (ja) 2013-11-07
JP2013540816A6 true JP2013540816A6 (ja) 2014-01-30
JP6116481B2 JP6116481B2 (ja) 2017-04-19

Family

ID=46025015

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013536707A Active JP6116481B2 (ja) 2010-10-25 2011-10-25 神経内分泌腫瘍を治療する方法

Country Status (6)

Country Link
US (1) US9089578B2 (ja)
EP (1) EP2632459B1 (ja)
JP (1) JP6116481B2 (ja)
KR (1) KR101639470B1 (ja)
AU (1) AU2011323832B2 (ja)
WO (1) WO2012061086A2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102939086B (zh) * 2010-04-19 2015-03-18 尼基制药公司 胃癌的治疗方法
CA2874897A1 (en) * 2012-06-21 2013-12-27 Angiogene Pharmaceuticals Ltd. Method and composition for alleviating tumor symptoms
JP6156933B2 (ja) * 2014-01-22 2017-07-05 国立大学法人 筑波大学 細胞培養用デバイス
KR101723784B1 (ko) * 2015-08-17 2017-04-07 가톨릭대학교 산학협력단 c-ΜΕΤ 억제제를 유효성분으로 포함하는 독소루비신 및 광역학 치료 항암 효과 증진용 약학 조성물
EP3423055A4 (en) * 2016-03-01 2019-10-16 Intezyne Technologies Inc. USE OF TRANS- [TETRACHLOROBIS (1H-INDAZOLE) RUTHENATE (III)] FOR THE TREATMENT OF CANCER

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AUPO864097A0 (en) * 1997-08-19 1997-09-11 Peplin Pty Ltd Anti-cancer compounds
DE10103565B4 (de) * 2001-01-26 2007-06-14 Faustus Forschungs Cie. Translational Cancer Research Gmbh Zusammensetzungen, enthaltend einen Ruthenium(III)-komplex und einen Heterocyclus
PT2152084E (pt) 2007-06-11 2014-01-23 Niiki Pharma Inc Método de fabrico de um complexo de ruténio
GB0815264D0 (en) * 2008-08-21 2008-09-24 Syntaxin Ltd Non-cytotoxic proteins
EP2350001A4 (en) * 2008-10-14 2011-11-16 Univ Singapore NEW BENZYLIDENE INDOLINOES AND THEIR MEDICAL AND DIAGNOSTIC USES
EP2418956A4 (en) * 2009-04-17 2013-04-03 Niiki Pharma Inc METHOD FOR THE TREATMENT OF HEPATOCELLULAR CARCINOMA
CN102939086B (zh) * 2010-04-19 2015-03-18 尼基制药公司 胃癌的治疗方法
WO2011133827A2 (en) * 2010-04-23 2011-10-27 Niiki Pharma Inc. Method of treating prostate cancer
WO2011139867A2 (en) * 2010-04-29 2011-11-10 Niiki Pharma Inc. Method of treating brain cancer
JP2013531064A (ja) * 2010-07-17 2013-08-01 ニッキ ファーマ インク. 難治性癌を治療する方法
WO2012012305A2 (en) * 2010-07-18 2012-01-26 Niiki Pharma Inc. Combination therapy using a ruthenium complex
JP2014500259A (ja) * 2010-11-17 2014-01-09 ニーキ ファーマ インコーポレイテッド 血液癌を処置する方法
US9054919B2 (en) * 2012-04-05 2015-06-09 Box, Inc. Device pinning capability for enterprise cloud service and storage accounts

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2020158507A (ja) 放射線、酸化セリウムナノ粒子、及び化学療法剤の併用によるがんの治療
JP6761852B2 (ja) がん治療
JP7445893B2 (ja) ヒトにおける固形腫瘍の処置のためのC.novyi
JP2020158507A6 (ja) 放射線、酸化セリウムナノ粒子、及び化学療法剤の併用によるがんの治療
JP6116481B2 (ja) 神経内分泌腫瘍を治療する方法
CN105147613A (zh) 增强药物递送和治疗剂有效性的方法
Bloemendal et al. Early recurrence in completely resected IIIB and IIIC melanoma warrants restaging prior to adjuvant therapy
JP6833816B2 (ja) 骨髄腫を治療するためのセルデュラチニブ(cerdulatinib)
Yang et al. Effectiveness and safety of dabrafenib in the treatment of 20 Chinese children with BRAFV600E-mutated Langerhans cell histiocytosis
JP2013540816A6 (ja) 神経内分泌腫瘍を治療する方法
JP2019521971A (ja) がんの処置
BR112020010435A2 (pt) uso de inibidor da parp no tratamento de câncer de ovário ou câncer de mama resistente à quimioterapia
KR20220008870A (ko) 노치-활성화 유방암을 치료하기 위한 비스플루오로알킬-1,4-벤조디아제피논 화합물
US11504365B2 (en) Use of tivozanib to treat subjects with refractory cancer
Mukai et al. Efficacy of 5-FU/LV plus CPT-11 as first-line adjuvant chemotherapy for stage IIIa colorectal cancer
US20210113692A1 (en) Dosing regimen
JP6810763B2 (ja) がん治療
Artzenroth et al. Combining Poly-(ARD-Ribose) Polymerase and Programmed Cell Death Protein 1 Inhibition in a Patient with Esophagogastric Adenocarcinoma
Ali et al. Anti-angiogenic cancer therapy updates
WO2024102650A1 (en) Intermittent dosing regimen for azenosertib in treating cancer
Yentz et al. Neuroendocrine Tumors
CN114126656A (zh) 治疗癌症的方法和用途
Benavent et al. New Anticancer Agents in Neuroendocrine Tumors
Scotti et al. Update chemotherapy schedule in the treatment of lung cancer