JP2020158507A6 - 放射線、酸化セリウムナノ粒子、及び化学療法剤の併用によるがんの治療 - Google Patents

放射線、酸化セリウムナノ粒子、及び化学療法剤の併用によるがんの治療 Download PDF

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Abstract

【課題】患者のがんの治療のための医薬の提供。
【解決手段】治療を必要とする患者におけるがんを治療実効線量の放射線及び治療的有効量の化学療法剤を組合せて治療するための医薬であって、有効量の酸化セリウムナノ粒子(CONP)を含み、がんが、膵臓がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、頭頸部がん、及び/又は大腸がんである、医薬。
【選択図】図1

Description

関連出願
本出願は、参照により全体が本明細書に援用される2015年7月17日出願の米国仮特許出願第62/025861号の利益を主張する。
発明の分野
本発明は、患者のがんの治療方法に関する。より詳細には、本発明は、放射線、酸化セリウムナノ粒子、及び化学療法剤の併用によるがんの治療方法に関する。
放射線は、患者のがん細胞を死滅させがん腫瘍を縮小させるための周知の治療法である。放射線は、DNAと反応するフリーラジカルを形成するイオン化反応と、がん細胞内のプログラム細胞死(アポトーシス)を引き起こすRNAとを生成するために使用される。また、放射線からのフリーラジカル生成は、正常細胞及び患者のがん腫瘍を治療する放射線療法の経路にある器官の生理機能に損傷を与える。
がん患者における放射線療法の最も目に見える副作用の一つは、がん患者の腫瘍の放射線治療中の放射線経路における放射線誘導性皮膚炎(皮膚の炎症)である。皮膚損傷の重症度は、放射線治療の線量及び頻度に正比例する。
放射線腫瘍学の分野は、電離放射線の影響から傷つきやすい構造を守るため、過去10年間にわたり放射線照射技術の改善に鋭意取り組んできた。このような技術は、従来のより基本的な照射法と比較して、機能的転帰の改善をもたらしている。しかし、十分な腫瘍範囲を得る必要性と、頭頸部の特定の正常な構造の高い放射線感受性は、これらの技術で保持できる機能及び生活の質の程度に対する本質的な制限である。最良の状況下でさえも、がん腫瘍を治療する放射線療法後の多くのがん患者は、放射線治療から有意な毒性を経験する。
化学療法は、患者のがん腫瘍を治療するために使用される別のアプローチである。化学療法は、抗がん剤を患者に投与することにより、腫瘍中のがん細胞の生存能を妨げる治療である。特定の化学療法薬は、治療中のがんの種類に応じて特定の順序で投与され得る。化学療法は、特定のがんの治療には非常に効果的であり得るが、化学療法薬はがん細胞だけでなく身体のすべての部分に到達し得る。この分布のため、全身化学療法の治療中に広範な副作用があり得る。複数の化学療法の併用は、しばしば患者のがん治療を改善するために試されるが、併用化学療法は必ずしも療法の毒性を軽減するとは限らない。
がん細胞は、通常の細胞機構及び挙動が存在しない点で正常な組織細胞とは異なり、治療法の選択及び結果として生じる効力の予測が困難である。生細胞は、多数の複雑な平行及び連続的な細胞シグナル伝達経路並びに遺伝子経路を有する。一つの難点は、がん細胞が著しく機能不全で、制御されにくく、遺伝的変異性を有するために、がんを栄えさせる主要な遺伝子突然変異を同定するのが困難なことである。がん腫瘍の広がり、攻撃性、形成、及び生存能に最も重大な影響を及ぼす、がん細胞における主要な変化を標的とするがん薬物の発見と検査が積極的に進められている。がん生物学が非常に単純化できれば、理論的には、選択的な化学療法の組み合わせが、がん腫瘍を死滅させるのに非常に有効であろう。しかしながら、腫瘍中のがん細胞は、異なる遺伝子型及びおそらく異なる表現型を有するがん細胞の各亜集団を有する異なる突然変異クローンで構成される。薬剤耐性が問題であり、いくつかのがん細胞はがん薬物に対して比較的耐性であるため、化学療法で生存する可能性がある。がんの薬物耐性は、がん細胞によるがん薬物代謝の増加又はがん薬物膜輸送体によるがん細胞からのがん薬物輸送の速度の上昇によるものであり得、その結果、細胞内のがん薬物濃度はがん細胞に亜毒性のままである。
さらに、組織機構は、治療の有効性及びその後の再発に影響を及ぼし得る。がん細胞は、多細胞増殖を制御する正常な細胞接触阻害なしで増殖し、一般に既存の血液供給を超えて増殖する。腫瘍は、ある程度まで低酸素状態にあり、正常細胞に比べてより解糖に代謝的に依存する。がん細胞は通常、正常細胞よりも好気的代謝に依存しない。低酸素の増殖抑制効果を補うために、がん腫瘍は、必要に応じてさらなる血管床を成長させるための手段を遺伝的に進化させてきている。このさらなる血液循環は、明らかに異常な血管分布を有することから血管過多血行路(hyper-vascular circulation)と呼ばれ、造影剤血流イメージングを用いて進化するがん腫瘍を検出するための有用なマーカーである。血管過多の血管壁の組織学的検査では、壁が正常な血管内皮細胞と機能不全のがん細胞との混合物を含むように見える。機能に関しては、血管過多血行路が非常に漏れやすくて、ギブス・ドナン制御(Gibbs-Donnan regulation) が働かない。成長する腫瘍の一部は低酸素のままである。このことが、腫瘍内の細胞の亜群がより低酸素耐性になるような選択圧力を生む。がん腫瘍の血液供給は、決して十分ではなかろう。
放射線療法及び/又は化学療法治療は、予測不可能な有効性を有する非常に積極的な抗がん細胞療法であることが知られている。放射線及び化学療法は、がん細胞に対して、それらが攻撃を受けているとの警告を発することができる。すると、がん腫瘍内の新血管の血管内皮に組み込まれているそのようながん細胞は、がん腫瘍から移動するために腫瘍から流出し、血液循環中へ脱出することがある。そのような脱出したがん細胞は、新しい腫瘍(これも上昇した低酸素耐性を有する)及びがん薬物を播種する可能性がある。
さらに、放射線及び化学療法は、最も頑強ながん細胞亜集団が生き残ることを可能にし得る。がんの最初の難関を切り抜けたように見えた患者も、がんが非常に激しく再発したときに結局急速に死に至るということをよく耳にする。これは、患者にとって致死的な腫瘍負荷量にまで成長する時間を必要とする悪性のがん亜集団の生存に起因すると考えられている。
本発明が関係するのは、がんの治療におけるこのような難点及び複雑さの背景に反している。
一般に、本発明は、放射線、酸化セリウムナノ粒子(CONP)、及び化学療法剤の組み合わせを投与することによってがんを治療するための方法に関する。
第一の態様では、本発明は、治療を必要とする患者のがんを治療する方法であって、
有効量の酸化セリウムナノ粒子を患者に投与すること;
治療実効線量の放射線を患者に投与すること;及び
治療的有効量の化学療法剤を患者に投与すること、それによりがんを治療することを含む、方法である。
一実施態様では、放射線の治療実効線量は、がん細胞を死滅させる線量である。
一実施態様では、化学療法剤の治療的有効量は、がん細胞を死滅させる用量である。
一実施態様では、酸化セリウムナノ粒子の有効量は、ナノ粒子の非存在下での放射線及び/又は化学療法剤の治療的有効量と比較して、放射線及び/又は化学療法剤の治療的有効量を低下させる用量である。
様々な実施態様において、放射線及び/又は化学療法剤の用量は、(i)CONPの非存在下で現行の標準治療において用いられる用量又は(ii)CONPの非存在下で腫瘍を治療するための有効量のいずれかの約1%から90%の間、又は約1%から80%の間、又は約1%から70%の間、又は約1%から60%の間、又は約1%から50%の間、又は約1%から40%の間、又は約1%から30%の間、又は約1%から20%の間、又は約1%から10%の間である。
一実施態様において、放射線は、酸化セリウムナノ粒子の投与後に投与される。
別の実施態様において、放射線は、酸化セリウムナノ粒子の投与前に投与される。
一実施態様において、化学療法剤は、酸化セリウムナノ粒子及び/又は放射線の前に投与される。
別の実施態様において、化学療法剤は、酸化セリウムナノ粒子及び/又は放射線と同時に投与される。
別の実施態様において、化学療法剤は、酸化セリウムナノ粒子及び/又は放射線の後に投与される。
別の実施態様において、酸化セリウムナノ粒子は、約1ナノメートルから約20ナノメートルの間の粒径を有する。
別の実施態様において、酸化セリウムナノ粒子は、約3ナノメートルから約15ナノメートルの間の粒径を有する。
別の実施態様において、酸化セリウムナノ粒子は、約3ナノメートルから約10ナノメートルの間の粒径を有する。
別の実施態様において、酸化セリウムナノ粒子は、約3ナノメートルから約5ナノメートルの間の粒径を有する。
別の実施態様において、酸化セリウムナノ粒子の有効量は、患者体重1キログラム当たり約1ナノグラムから患者体重1キログラム当たり約50ミリグラムの間、又は患者体重1キログラム当たり約1ナノグラムから患者体重1キログラム当たり約5ミリグラムの間、又は患者体重1キログラム当たり約1ナノグラムから患者体重1キログラム当たり約0.5ミリグラムの間、又は患者体重1キログラム当たり約10ナノグラムから患者体重1キログラム当たり約0.5ミリグラムの間、又は患者体重1キログラム当たり約20ナノグラムから患者体重1キログラム当たり約100マイクログラムの間、又は患者体重1キログラム当たり約10ナノグラムから患者体重1キログラム当たり約10マイクログラムの間である。
一実施態様では、酸化セリウムナノ粒子は、酸化セリウムナノ粒子と薬学的担体とを含む組成物の形態で提供される。酸化セリウムナノ粒子組成物は、例えば局所、経口、非経口(例えば静脈内)、頬側、舌下、経鼻、直腸、パッチ、ポンプ又は経皮投与によって投与され得る。
例示的な実施態様では、酸化セリウムナノ粒子組成物は、局所組成物である。一実施態様において、局所組成物は、CONP、界面活性剤、油と水とを含む。例示的な実施態様では、酸化セリウムナノ粒子組成物は、マイクロエマルジョンである。例示的な実施態様では、酸化セリウムナノ粒子組成物は、患者の皮膚領域に適用することによって投与される。
別の実施態様では、投与後の患者の血漿中の酸化セリウムナノ粒子の全濃度は、約5ナノモルから約200マイクロモルの間、又は約10ナノモルから約100マイクロモルの間、又は約20ナノモルから約10マイクロモルの間である。
患者は、膵臓がん、肺がん、乳がん、結腸がん、肝臓がん、皮膚がん、脳がん、骨がん、腎臓がん、卵巣がん、子宮がん、前立腺がん又は頭頚部がんと診断される。
一実施態様では、化学療法剤は、ソラフェニブ(sorafenb) 、レゴラフェニブ、イマチニブ、エリブリン、ゲムシタビン、カペシタビン、パゾパニブ(pazopani) 、ラパチニブ、ダブラフェニブ、リンゴ酸スニチニブ(sutinib malate) 、クリゾチニブ、エベロリムス、トリシロリムス(torisirolimus) 、シロリムス、アキシチニブ、ゲフィチニブ、アナストロゾール(anastrole) 、ビカルタミド、フルベストラント、ラルチトレキセド(ralitrexed)、 ペメトレキセド、酢酸ゴセレリン(goserilin acetate)、エルロチニブ(erlotininb) 、ベムラフェニブ、ビスモデギブ(visiodegib) 、クエン酸タモキシフェン、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、オキサリプラチン、ziv−アフリベルセプト、ベバシズマブ、トラスツズマブ、ペルツズマブ、パニツムマブ(pantiumumab) 、タキサン、ブレオマイシン、メルファラン(melphalen) 、プルンバギン、カンプトサール、マイトマイシン−C、ミトキサントロン、SMANCS、ドキソルビシン、ペグ化ドキソルビシン、フォルフィリ(Folfori) 、5−フルオロウラシル、テモゾロミド、パシレオチド、テガフール、ギメラシル、オテラシル(oteraci) 、イトラコナゾール、ボルテゾミブ、レナリドミド、イリノテカン(irintotecan) 、エピルビシン、及びロミデプシンからなる群より選択される。好ましい化学療法剤は、カルボプラチン、フルオロウラシル、ビンブラスチン、ゲムシタビン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、メトトレキセート、パクリタキセル、トポテカン、エトポシド、メトトレキセート、ソラフェニブ、イリノテカン、タルセバ又はそれらの組み合わせである。
一実施態様では、任意の化学療法剤、又は化学療法剤の活性若しくは有効性を向上させるであろう追加の薬剤は、本明細書で提供される方法において有用である。
一実施態様では、本発明の実施方法は、低酸素活性化プロドラッグであるエボホスファミド、TH−302、AQN4、バノキサントロン(banoxatrone) 、ナイトロジェンマスタードプロドラッグであるPR−104、アパジコン EO−9、CB1954、5−(アジリジン−1−イル)−4−ヒドロキシルアミノ−2−ニトロベンズアミド、カンホスファミド(canofosfamide )、TLK286、TER286、JS−K、及びBoc−KAc−Puroからなる群から選択されるプロドラッグ化学療法剤を患者に投与することを伴う。
一実施態様では、本発明の実施方法は、GSH又はGHT−πのペプチド模倣阻害剤、例えばγ−グルタミル−S−(ベンジル)システイニル−R−フェニルグリシンジエチルエーテル、TLK199、テリントラ、及びNOV−002からなる群から選択されるペプチド模倣阻害剤を患者に投与することを伴う。GSH又はGHT−πのペプチド模倣阻害剤は、GSH(グルタチオン)のがん細胞レベル又はGHT−π(グルタチオン−S−トランスフェラーゼ−π)の活性を低下させ、その代謝を防止することによって、投与された抗がん薬物の毒性を高めることができる。また、多剤流出液輸送体であることが知られている多剤耐性関連タンパク質の阻害剤でもあるTLK−199でのがん患者の治療は、化学療法剤のがん細胞レベルを増加させるために使用され得る。
一実施態様では、がん化学療法剤は、GSHによって活性化されるプロドラッグである。一実施態様では、本発明の実施方法は、シス−6−(2−アセチルビニルチオ)プリン(シス−AVTP)及びトランス−6−(2−アセチルビニルチオ)グアニン(トランス−AVTP)からなる群より選択されるGSH活性化プロドラッグを患者に投与することを伴う。この本発明の実施方法は、γ−グルタミル−α−アミノ−β(2−エチル−N,N,N’,N’−テトラキス(2−クロロエチル)ホスホジアミデート)−スルホニル)−プロピオニル−(R)−フェニルグリシン(TLK286)及びO−[2,4−ジニトロ−5−(N−メチル−N−4−カルボキシフェニルアミノ)フェニル]1−N,N−ジメチルアミノ)ジアゼン−1−イウム−1,2−ジオレート(PABA/NO)からなる群より選択されるGST活性化プロドラッグでのがん患者の治療を伴い得る。
別の態様では、本発明は、がん治療を受けている患者に投与される放射線及び/又は少なくとも一の化学療法剤の毒性を低減する方法であって、
(i) 有効量のCONPを患者に投与すること、
(ii) ある線量の放射線及び/又はある用量の少なくとも一の化学療法剤を投与することを含み、
有効量のCONPを投与することが患者に投与される放射線及び/又は少なくとも一の化学療法剤の毒性を低下させる方法を提供する。
さらなる態様では、本発明は、がんを効果的に治療するのに必要とされる、患者に投与される放射線の線量及び/又は少なくとも一の化学療法剤の用量を低減させる方法であって
(i) 有効量のCONPを患者に投与すること、
(ii) ある線量の放射線及び/又はある用量の少なくとも一の化学療法剤を投与することを含み、
有効量のCONPを投与することががんを効果的に治療するのに必要とされる放射線の線量及び/又は少なくとも一の化学療法剤の用量を低減させる方法を提供する。
化学療法剤は、その特異性と、患者のがん細胞が影響されやすい細胞経路標的を阻害するその能力とに基づいて選択され得る。本発明の実施において、化学療法剤は、mTORC、RAFキナーゼ、MEKキナーゼ、ホスホイノシトールキナーゼ3、線維芽細胞増殖因子受容体、多重チロシンキナーゼ、ヒト上皮増殖因子受容体、血管内皮増殖因子、他の血管新生、熱ショックタンパク質;Smo(smooth)受容体、FMS様チロシンキナーゼ3受容体、アポトーシスタンパク質阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ、デアセチラーゼ、ALKチロシンキナーゼ受容体、セリン/スレオニンプロテインキナーゼPim−1、ポーキュパインアシルトランスフェラーゼ、ヘッジホッグ経路、プロテインキナーゼC、mDM2、グリピカン(Glypciin) 3、ChK1、肝細胞増殖因子MET受容体、上皮増殖因子ドメイン様7、Notch経路、Srcファミリーキナーゼ、DNAメチルトランスフェラーゼ、DNAインターカレーター、チミジンシンターゼ、微小管機能攪乱物質、DNA架橋剤、DNA鎖切断剤、DNAアルキル化剤、JNK依存性p53 Ser15リン酸化誘導剤、DNAトポイソメラーゼ阻害剤、Bcl−2、及びフリーラジカル発生剤からなる群より選択される細胞経路標的を阻害する能力によって選択され得る。
例示的な実施態様では、この方法は、がん部位で外科手技を実施することをさらに含む。
一実施態様では、外科手技は、放射線の投与前にがん部位で実施される。
一実施態様では、外科手技は、放射線の投与後にがん部位で実施される。
一実施態様では、外科手技は、化学療法剤の投与前にがん部位で実施される。
一実施態様では、外科手技は、化学療法剤の投与後にがん部位で実施される。
L3.6plヒト膵臓がん細胞に対する酸化セリウムナノ粒子の効果を決定するための24時間のMTTアッセイの結果を表すグラフである。 L3.6plヒト膵臓がん細胞に対する酸化セリウムナノ粒子の効果を決定するための48時間のMTTアッセイの結果を表すグラフである。 放射線損傷48時間後の正常なhTERT HPNE細胞株のグラフである(h−TERT HPNEは、ヒト膵管細胞のヒトテロメラーゼ逆転写酵素不死化細胞株を指す)。 放射線損傷48時間後の膵臓L3.6pl細胞株のグラフである。 Panc−1ヒト膵臓がん細胞に対する酸化セリウムナノの効果を決定するための24時間のMTTアッセイの結果を表すグラフである。 Panc−1ヒト膵臓がん細胞に対する酸化セリウムナノの効果を決定するための48時間のMTTアッセイの結果を表すグラフである。 L3.6plヒト膵臓がん細胞についての48時間の細胞計数検査の結果を表すグラフである。 ヒト膵臓がん細胞が増殖している放射線照射ヌードマウスについての6週間の腫瘍重量検査の結果を表すグラフである。 ヒト膵臓がん細胞が増殖している放射線照射ヌードマウスについての腫瘍体積検査の結果を表すグラフである。 放射線単独での膵臓腫瘍組織の組織学的スライドである。 放射線+CONPによる膵臓腫瘍組織の組織学的スライドである。 非腫瘍ヌードマウスの生存率に対するCONP注射の効果を表すグラフである。 HIF 1aを指標として用いる、L3.6pl膵臓がん細胞に対する低酸素の効果を表すグラフである。 指標としてのHIF 2aに対する低酸素の効果のグラフである。図13はまた、タンパク質レベルのウェスタンブロットアッセイからのゲルの写真を含む。 放射線照射24時間後のL3.6plヒト膵臓がん細胞によるVEGF産生に対する酸化セリウムの効果を表すグラフである。 放射線照射48時間後のL3.6plヒト膵臓がん細胞によるVEGF産生に対する酸化セリウムの効果を表すグラフである。 非照射A549ヒト肺がん細胞についての48時間の細胞計数検査の結果を表すグラフである。 照射A549ヒト肺がん細胞についての48時間の細胞計数検査の結果を表すグラフである。 照射A549ヒト肺がん細胞についての48時間のLDH検査の結果を表すグラフである。 Nu/Nuマウスにおける腫瘍小結節の数をプロットした同所性肺がんモデルで得られた結果である。 全肺重量における腫瘍小結節の数をプロットした同所性肺がんモデルで得られた結果である。 正常な肺線維芽細胞に対する酸化セリウムナノ粒子の放射線防護効果を示し、細胞生存率対放射線量のプロットを含む。 正常肺線維芽細胞に対する酸化セリウムナノ粒子の放射線防護効果を示し、20Gy放射線下で酸化セリウムナノ粒子あり及びなしでの細胞生存率のプロットを含む。 正常肺線維芽細胞に対する酸化セリウムナノ粒子の放射線防護効果を示し、20Gy放射線下で酸化セリウムナノ粒子あり及びなしでの細胞生存率対細胞アポトーシスのプロットを含む。 異なる放射線レベル、すなわち0Gy(図22A)、12Gy(図22B)、15Gy(図22C)、及び18Gy(図22D)でのマウスにおける、放射線誘発肺炎、酸化セリウムナノ粒子に対する耐容性、並びに放射線、酸化セリウムナノ粒子、アミホスチンあり及びなしの様々な条件下での生存率(図22E)を示す。 放射線、酸化セリウムナノ粒子、アミホスチンあり及びなしの様々な条件下での組織切片を示す。 ナノセリア(ナノメートルサイズのCeO粒子、CONP)及びマイクロセリア(マイクロンサイズのCeO粒子)におけるCe+3及びCe+4のX線光電子スペクトルをプロットし、ナノセリア粒子の高分解能透過型電子顕微鏡画像を挿入したもの。 図25A及び25Bは、膵臓がん細胞においてRT誘導ROSを選択的に増加させる酸化セリウムナノ粒子(CONP)を示し、ここで図25Aは、CONPとプレインキュベートしたL3.6pl及びhTERT−HPNE細胞を示し、図25Bは、放射線照射後に加えられたCONPを示し、また図25Cから25Dは、ROSレベルの変化を示す。 CONPがインビトロで膵臓がん細胞の放射線に対する感受性を選択的に増大させることを示し、ここで図26Aは、10μMのCONPを用いたL3.6pl細胞の前処理を示し、図26Bは、10μMのCONPを用いた正常膵臓細胞(HPNE)の前処理を示し、また図26Dは、コロニー形成の変化を示す。 CONPがインビボで放射線誘発アポトーシスを促すことを示す。 合成されたナノ粒子の物理化学的性質を示し、ここで図28Aは、ナノ粒子の挿入された高倍率画像において3〜5nmのナノ粒子サイズ範囲を示すナノセリアのHRTEM画像を示し、図28Bは、A、B、C、及びDがそれぞれ異なる格子模様111、200、220、及び311に対応する蛍石型結晶構造のSEAOパターンを示し、図28Cは、約3ナノメートルから約20ナノメートル(CONP粒径分布モードは約10ナノメートル)のサイズ範囲のナノ粒子の流体力学的半径を示す(CONP粒径分布モードは約10ナノメートルである)。 酸化セリウムナノ粒子の非存在下及び存在下での唾液生成に対する放射線の効果を示し、ここで図29Aは、頭頚部領域への1回放射線照射(12.5Gy、15Gy、17.5Gy又は20Gy)後6週の唾液腺機能の刺激唾液測定分析を示し、図29Bは、放射線曝露後の唾液流出防止に対するナノセリアの効果を示し、図29Cは、米国国立がん研究所(NCI)の有害事象共通用語基準(CTCAE v.3.0)を用いた放射線曝露後の皮膚色素沈着に対するナノセリアの効果を示す。 頭頸部領域に6分割照射で30Gyに曝露された無胸腺マウスの放射線誘発皮膚炎の巨視的評価を示す。 頭頸部領域への照射後の唾液腺実質細胞のアポトーシス指数に対するCONPの効果を示し、ここで図31Aは、唾液腺実質細胞の放射線誘発アポトーシスを示し、また図31Bの、すべての主要な唾液腺への放射線を併用したCONPの効果についての相補的な分析では、図31Aに示したものと同様の応答を得た。 唾液腺実質細胞構造に対する放射線誘発損傷についてのヘマトキシリン及びエオシン(H&E)分析を示す。 放射線及びパクリタキセルと併用したCONPの肺がん細胞生存率に対する効果を96時間にわたって示すグラフである。凡例:黒棒−コントロール(無治療)、斜線棒−放射線、灰色棒−パクリタキセル、点線棒−CONP+放射線+パクリタキセル。 放射線治療後2週に収集されたマウス肝病変を示す一連の顕微鏡写真を提供する。説明:1)未治療の肝臓、2)CONP、3)CONP+放射線、4)30Gy放射線、5)CONP+パクリタキセル、6)CONP+パクリタキセル+放射線、7)パクリタキセル、8)放射線+パクリタキセル。 膵臓がん細胞生存率に対するゲムシタビン及び放射線と併用したCONPの効果を示すグラフを提供する。凡例:黒棒−放射線;灰色棒−ゲムシタビン;白棒−放射線及びゲムシタビン。
本発明は、放射線、酸化セリウムナノ粒子(CONP)、及び少なくとも一の化学療法剤の組み合わせを用いる、治療を必要とする患者におけるがんの治療に関する。本発明は、治療を必要とする患者のがんを治療する方法であって、有効量の酸化セリウムナノ粒子を患者に投与すること;治療実効線量の放射線を患者に投与すること、及び治療的有効量の化学療法剤を患者に投与すること、それによりがんを治療することを含む。CONPの投与は、放射線及び/又は化学療法治療の有効性を増加させ、放射線の治療実効線量を低減させ、かつ/又は患者のがんを治療するために必要な一又は複数の化学療法剤の治療的有効量を低減させる。CONPが送達されるとき、CONPなしで通常使用されるよりも少ない放射線及び化学療法で最適な治療結果が達成される。したがって、CONPの投与は、CONPなしで投与される場合に最も頻繁に使用される比較的高線量の放射線及び高用量の化学療法に伴う毒性を間接的又は直接的に低下させるであろう。
I.定義
用語が単数形で示される場合、本発明者らは、その用語の複数形によって説明される本発明の態様も意図している。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他を指さない限り複数形を含み、例えば「チップ(a tip)」は複数のチップ(tips)を含む。したがって、例えば「方法(a method)」への言及は、本明細書に記載した様式の方法及び/若しくは工程の一又は複数並びに/あるいは本開示を読めば当業者に明らかになるであろう方法及び/若しくは工程を含む。
用語「投与する」、「投与すること」又は「投与される」は、生理系(例えば対象又はインビボ、インビトロ若しくはエクスビボの細胞、組織、及び器官)に薬剤又は治療的処置を与える行為を意味する。
用語「診断された」、「診断(の)」又は「診断される」は、病態の存在又は性質を識別することを意味する。診断方法は、その感度及び特異性が異なる。診断アッセイの「感度」は、陽性(「真の陽性」の割合)を試験する罹患個体の割合である。そのアッセイによって検出されない罹患個体は「偽陰性」である。罹患しておらず、アッセイにおいて陰性である対象を「真陰性」と称する。診断アッセイの「特異性」は、1から偽陽性率を差し引いたものであり、「偽陽性」率は、検査で陽性の疾患のない者の割合として定義される。特定の診断方法は、状態の決定的な診断を提供しないかもしれないが、その方法が診断を助ける確実な兆候を提供すれば十分である。
本明細書で使用される場合、用語「治療する」、「治療」、及び「治療すること」は、一又は複数の療法(例えば一又は複数の予防剤及び/又は治療剤)の施与に起因する、がん、特に固形腫瘍、若しくは一又は複数のその症状の進行、重症度、及び/又は持続時間の減少若しくは改善を指す。例示的な実施態様では、固形腫瘍の治療は、(i)がん細胞の数を減少させること;(ii)腫瘍細胞のアポトーシスを増加させること;(iii)腫瘍サイズを縮小させること;(iv)腫瘍体積を縮小させること;(v)末梢器官へのがん細胞の浸潤をある程度阻害、遅延、減速させること、好ましくは停止させること;(vi)腫瘍転移を阻害すること(例えばある程度減速させ、好ましくは停止させること);(vii)腫瘍増殖を阻害すること;(viii)腫瘍の発生及び/又は再発を予防又は遅延させること;(ix)がんの存在に関連するがんマーカーを低下させること;並びに/あるいは(ix)がんに関連する一又は複数の症状をある程度緩和することの一又は複数を含む。「治療」はまた、治療を受けない場合に予想される生存と比較して、生存期間を長くすることも意味し得る。いくつかの実施態様では、本発明の方法は、CONPの非存在下での対応する腫瘍サイズ、がん細胞数又は腫瘍増殖速度と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%腫瘍サイズを縮小させるか、がん細胞数を減少させるか又は腫瘍増殖速度を低下させるのに十分である。例えば精製された酵素を用いるインビトロアッセイ、細胞ベースのアッセイ、動物モデル又はヒト試験等の標準的な方法を用いてこの効果の大きさを測定することができる。例えば、本発明が患者に実施される場合、患者のがん腫瘍の免疫組織化学的分析は、腫瘍細胞アポトーシスの有意な増加を示し得る。CONP及び放射線ががん患者に投与されると、患者のがん腫瘍の化学分析は、がん細胞活性酸素種(cancer
cell reactive oxygen species)レベルの有意な増加を示し得る。
本明細書で使用される「有効量」という用語は、臨床結果を含む有益な又は所望の結果をもたらすのに十分な療法(例えば予防剤又は治療剤)の量を指す。有効量は、一又は複数の投与で投与され得る。酸化セリウムナノ粒子又はその組成物に関連して使用される場合、「有効量」は、患者に投与される放射線及び/若しくは化学療法剤の治療的有効量の削減を可能にするのに必要な量、並びに/又は所望の治療的効果を有する(例えば放射線損傷を治療する)のに必要な酸化セリウムナノ粒子若しくはその組成物の量に関連する量を指す。
本明細書で使用される場合、用語「治療的有効量」は、原発性、局所性若しくは転移性がん組織を破壊、改変、制御又は除去するか、がんの一若しくは複数の症状を改善するか、又はがんの進行を妨げて、がんの退行を引き起こすか、又は別の療法(例えば予防剤若しくは治療剤)の治療効果を増強若しくは改善するのに十分な療法の量を指す。治療的有効量は、一又は複数の投与で投与され得る。
本明細書で使用される「対象」若しくは「患者」という用語又はその同義語は、動物界のすべてのメンバー、特にヒトを含む哺乳動物を含む。対象又は患者は、好適にはヒトである。
「薬学的に許容される担体」という用語は、特定の投与様式に適していることが当業者に知られている、任意のそのような担体を指す。例えば、「薬学的に許容される担体」という用語は、薬学的に許容される物質のための媒体として使用され得る一切の溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤、並びに吸収遅延剤等を含む。さらに、活性物質を、所望の作用を損なわない他の活性物質と、又は所望の作用を補うか若しくは別の作用を有する物質と混合することもできる。
本明細書で使用される場合、用語「がん」、「腫瘍」、及び「新生物」は、互換的に、かつ単数形又は複数形のいずれでも使用され、悪性形質転換を起こして宿主生物にとって病的となるような細胞を指す。原発性がん細胞(すなわち悪性形質転換の部位付近から得られる細胞)は、十分に確立された技術、特に組織学的検査によって非がん性細胞と容易に区別することができる。本明細書で使用される場合、がん細胞の定義は、原発性がん細胞だけでなく、がん細胞祖先に由来する任意の細胞も含む。これは、転移がん細胞、並びにがん細胞に由来するインビトロ培養物及び細胞株を含む。固形腫瘍として通常現れる種類のがんに言及する場合、「臨床的に検出可能な」腫瘍は、例えばCATスキャン、MR画像法、X線、超音波又は触診等の手順によって、腫瘍塊に基づいて検出可能なものであり、かつ/又は患者から入手可能な試料中の一又は複数のがん特異的抗原の発現ゆえに検出可能なものである。
本明細書で使用される場合、用語「転移」、「転移性(の)」、及び本明細書で使用される他の文法上の等価物は、原発部位(例えば原発腫瘍)から身体の他の領域に伝播又は転移し、新しい場所での同様のがん性病変の発生を伴うがん細胞を指す。「転移性(「metastatic」又は「metastasizing」)」細胞は、隣接細胞との接着接触を失い、疾患の原発部位から血流又はリンパを介して隣接する身体構造に移動するものである。これらの用語は、原発腫瘍からのがん細胞の脱離、血行路への腫瘍細胞の血管内異物侵入、腫瘍細胞の生存及び遠隔部位への移動、血行路から新部位への付着及び溢出、遠隔部位でのミクロコロニー形成、並びに遠隔部位での腫瘍増殖及び発生を含むがこれらに限定されない転移プロセスも指す。
II.酸化セリウムナノ粒子
酸化セリウムナノ粒子(CONP)は、酸化セリウムのナノメートルサイズの結晶であり、最長寸法が典型的には約1ナノメートルから約20ナノメートルの範囲である。酸化セリウム結晶は蛍石型の結晶格子を有し、セリウム原子は+3又は+4の価電子状態で存在する。+3又は+4の価電子状態の相対的な出現率は、酸化還元条件及び他の多くの要因に依存し得る。本発明において、CONPは、放射線誘発及び化学療法誘発がん細胞死を増強するために使用される。CONPは、がん細胞中のフリーラジカルレベルを増加させ、放射線単独によって引き起こされるレベルを超えてがん細胞中のフリーラジカルレベルを増加させる。さらに、酸化セリウムナノ粒子と放射線との組み合わせは、動物がん患者の研究において転移指数を制御及び/又は最小限に抑えることも見出されている。転移指数は、患者におけるがんの重篤度の指標であり、その評価は転移巣の同定に基づく転移の数及び大きさを含む。化学療法を併用することで、治療の有効性が増す。
患者に投与することができるCONPの用量は、患者血漿試料を使用して血漿薬物動態パラメーターを測定することによって試験することができる。測定することができるのは、患者の血漿におけるピークCONP濃度(Cmax)、CONP濃度(Cmin)からCmaxまでの時間(Tmax)、T1/2CONP濃度下降、平均CONP濃度(CONPの複数のT1/2にわたるか又は1週間の治療にわたるCONPレベルの積分に基づく平均)といった、患者血漿CONP濃度変数である。
例えば、本発明の実施において、患者において有効な抗がん血漿濃度のCONPを提供するために患者に投与され得るCONPの用量は、約1ナノモルから約500マイクロモルの間、又は約5ナノモルから約250マイクロモルの間、又は約10ナノモルから約100マイクロモルの間、又は約10ナノモルから約50マイクロモルの間、又は約10ナノモルから約10マイクロモルの間、又は約10ナノモルから約1マイクロモルの間、又は約10ナノモルから約500ナノモルの間、又は約10ナノモルから約100ナノモルの間であり得る。
患者の体重1キログラム当たりナノグラム(ng)のCONPに基づいて患者に投与されるCONPの用量(CONP ng/kg)に関して、患者に投与され得るCONPの用量は、約1ナノグラム/kgから約50ミリグラム/kg、又は約1ナノグラム/kgから約10ミリグラム/kg、又は約1ng/kgから約1mg/kg、又は約1ng/kgから約500マイクログラム/kg、又は約1ng/kgから約100マイクログラム/kg、又は約1ng/kgから約10マイクログラム/kg、又は約10ng/kgから約10マイクログラム/kg、又は約10ng/kgから約1マイクログラム/kg、又は約25ng/kgから約500ng/kg、又は約25ng/kgから約250ng/kg、又は約0.01ng/kgから約1マイクログラム/kg、又は約0.1ng/kgから約500ng/kg、又は約25ng/kgから約150ng/kgの間の範囲であり得る。
一態様では、この方法は、(i)CONPの非存在下での現行の標準治療、又は(ii)CONPの非存在下で腫瘍を治療するための有効量のいずれかよりも少ない線量の放射線又は少ない用量の化学療法を可能にする。様々な実施態様において、放射線の線量又は化学療法剤の用量は、(i)CONPの非存在下での現行の標準治療で用いられる用量又は(ii)CONPの非存在下で腫瘍を治療するための有効量のいずれかの約1%から90%の間、又は約1%から80%の間、又は約1%から70%の間、又は約1%から60%の間、又は約1%から50%の間、又は約1%から40%の間、又は約1%から30%の間、又は約1%から20%の間、又は約1%から10%の間である。他の実施態様では、放射線の線量又は化学療法の用量は、約10%から90%の間、又は約20%から80%の間、又は約30%から70%の間、又は約40%から60%の間、又は約10%から50%の間、又は約10%から30%の間、又は約50%から90%の間、又は約70%から90%の間である。
約1ナノメートルから約3ナノメートル、又は約1ナノメートルから約10ナノメートル、又は約3ナノメートルから約10ナノメートル、又は約3ナノメートルから約7ナノメートル、又は約3ナノメートルから約5ナノメートル、又は約3ナノメートルから約20ナノメートル、又は約0.1ナノメートルから約100ナノメートル、又は約0.1ナノメートルから約5ナノメートル、又は約3ナノメートルから約50ナノメートルの間のサイズ寸法を有するCONPが好ましくは使用される。CONPサイズは、既知の方法によって決定することができ、様々な顕微鏡法、光散乱法又はX線回折法に基づくサイズ測定を含み得る。
酸化セリウムナノ粒子(CONP)を製造するための任意の既知の方法を使用することができ、又はそれらは様々な業者から購入することができる。CONPの純度及び結晶化度は、当該分野で既知の方法によって調整することができる。CONPは、例えば金、銀、チタン、カルシウム、マグネシウム、セシウム、鉄、マンガン、銅、亜鉛、ストロンチウム、ランタン、炭素、セレン、クロム、アルミニウム、カリウム、ナトリウム、鉛、有機アミンの陽イオン、並びに例えば窒素、硫黄、フッ素、塩化物、臭素、ヨウ素、炭素原子の陰イオン及び有機酸陰イオンといった様々なイオンでドープすることができる。CONPは、ポリマー、炭水化物、タンパク質、受動的ポリマーで、又は共有結合、イオン結合、極性共有結合、配位錯体、水素結合、ファンデルワールス力、静電的、磁気的又はそれらの任意の組み合わせを含む化学的結合によってコーティングすることができる。
さらに、CONPは、異なるpH条件下で化学的に生成して、CONP結晶中のCe 及びCe+4の相対量を変えてもよい。結晶化されているか又はサブナノメートルからマルチミクロンの寸法の結晶として存在するCONPの場合、還元剤の存在下でCONP Ce+3対Ce+4比率が増加することが考えられる。同様に、このCe+3対Ce+4比率は、アルカリ性pHからpH6.5で増加することが考えられる。逆に、CONPが結晶化されているか又はサブナノメートルからマルチミクロンの寸法の結晶として存在する場合、還元剤の存在下でCONP Ce+3対Ce+4比率が低下することが考えられる。同様に、このCe+3対Ce+4比率は、酸性pHからpH6.5で低下することが考えられる。
CONPは、フリーラジカルを除去して放射線誘発皮膚炎から皮膚を保護し、放射線誘発がん細胞死を増強すると同時に、正常組織を放射線から防護することができる。CONPは、放射線照射された正常組織を炎症から保護し、反応性酸素種(ROS)から細胞を保護する。さらに、CONPは、がん細胞中のフリーラジカルレベルを増加させることによってがん細胞を殺すことができる。
本発明の教示は、正常な非がん組織への損傷を最小限に抑えながら、化学療法及び放射線療法と併用でCONPを用いてがんを治療するための新規の方法を提供する。このように、化学療法/放射線治療と組み合わせたCONPの使用は、CONPの非存在下で使用されるよりも低減された線量の放射線/用量の化学療法を用いて、より効果的又は等しく効果的な治療を提供する。CONPは、フリーラジカルの生成を促進する化学的、生物学的、及び放射線損傷から保護するためのフリーラジカル消去剤として働くその能力について試験されている。特定の機構に拘束されるものではないが、原子価及び酸素欠陥に関してCONPは、その抗酸化特性により細胞の寿命を延ばし、毒性損傷を減少させ、反応性酸素種(ROS)の蓄積を防ぎ、それによりアポトーシス応答及び細胞死の活性化を防止する。
放射線防護を与えるCONPの安全性及び能力は、マウスモデルにおいて試験されている。CONPは、無胸腺ヌードマウスにおいて良好な耐容性を示し、肺炎の発生率を低下させるようである。酸化セリウムナノ粒子の例は、米国特許第8048523号及び米国特許第8703200号に記載されており、これらは参照によりその全体が本明細書に援用される。
酸化セリウムナノ粒子は、以下のセクションIVに記載されているように、酸化セリウムナノ粒子と薬学的に許容される担体とを含む組成物として投与することができる。
III放射線照射
放射線でがんを治療する方法は、当業者に既知である。放射線療法は、一般に悪性細胞を制御又は殺すためのがん治療の一部としての電離放射線の医学的使用である。放射線療法は、身体の一つの領域に限局している場合には、多くの種類のがんにおいて治癒的であり得る。原発悪性腫瘍(例えば早期乳がん)を除去する手術後の腫瘍の再発を防ぐために、アジュバント療法の一環として使用することもできる。放射線療法は、化学療法と相乗的であり、感受性の強いがんの化学療法の前、最中、及び後に使用されている。
光子放射線療法で使用される放射線の線量は、グレイ(Gy)単位で測定され、治療されているがんの種類及びステージに応じて変化する。治癒的な症例の場合、固形上皮腫瘍に対する典型的な線量は、60から80Gyの範囲であり、リンパ腫は20から40Gyで治療される。
本方法では、CONPの使用は、比較的低線量の放射線で効果的な治療を提供する。別の実施態様では、CONPの使用は、CONPの非存在下で現在使用されている放射線と同じ線量レベルで治効の上昇をもたらす。一実施態様では、CONPの使用は、治療中の正常な非がん細胞に対する放射線防護を提供し、放射線/化学療法治療の副作用を低減する。
放射線の総線量は、いくつかの重要な理由のために、しばしば分割される(時間的に分散される)。分割照射により正常細胞は回復時間を得るが、一方、腫瘍細胞は分割照射間の修復効率が一般に低い。分割照射はまた、1治療中に細胞周期の比較的放射線耐性期にあった腫瘍細胞を、次の分割照射が与えられる前に細胞周期の感受性期に回帰することを可能にする。同様に、慢性的又は急性的に低酸素(したがってより放射線耐性)であった腫瘍細胞は、分割照射間で再酸素化して、腫瘍細胞の死滅を改善し得る。
分割放射線療法レジメンは、異なる放射線療法センター間、さらには個々の医師間で個別に扱われる。北米、オーストラリア、及びヨーロッパにおいて、成人のための典型的な分割放射線療法のスケジュールは、1日当たり1.8から2Gy、週5日である。いくつかのがんの種類では、分割放射線療法のスケジュールの長時間の延長は腫瘍に再増殖の開始を許し、また頭頸部及び子宮頸部扁平上皮がんを含む腫瘍型に対しては、放射線治療は、好ましくはある程度の時間内で完了する。より小さい分割サイズは、正常組織における発症後期副作用の発生率及び重症度の低下と関連するため、小児の場合の典型的な分割サイズは、1日当たり1.5から1.8Gyであってもよい。
場合によっては、1日2回の分割照射が、1コースの治療の終盤近くで用いられる。このスケジュールは、同時追加照射レジメン又は超分割として知られており、腫瘍が小さくなるとより速く再生する腫瘍で使用される。特に、頭頸部の腫瘍は、この挙動を示す。
次第に使用されつつあり、研究が続けられている分割放射線療法のスケジュールの一つは、少分割照射法である。これは、放射線の総線量を大線量に分割する放射線治療である。典型的な線量は、2.2Gy/分割照射から20Gy/分割照射まで、がんの種類によって大きく異なる。少分割照射法の背後にある論理は、細胞に再生するのに十分な時間を与えないことにより、また一部の腫瘍の独特の生物学的放射線感受性を利用することにより、がんが再発する可能性を低減することである。そのような治療のための非常に良いエビデンスが存在する、一般的に治療される部位の一つは、乳がんにおいてである。例えば15分割照射で40Gy又は16分割照射で42.5Gyなどの3〜4週間の短期少分割照射法は、がんの制御及び美容術(患者の外見の復元)の両方に関して、より長期間の5〜6週間の治療と同等に有効であることが示されている。当業者は、治療スケジュール、並びに本方法との併用で線量及び治療スケジュールをどのように変化させるかを理解するであろう。
予防(アジュバント)線量(がんの初回治療後に適用される療法を意味する)は、概して1.8から2Gy分割照射で約45から60Gyである(乳がん、頭頸部がんの場合)。患者が化学療法を受けているかどうか、患者の共存症、手術の前後に放射線療法が施されているかどうか、また手術の成功度など、線量の選択時には放射線腫瘍医により多くの別の因子が考慮される。
処方線量の送達パラメーターは、治療計画作成中に決定される(線量測定の一環)。一般に治療計画作成は、特殊な治療計画作成ソフトウェアを使用して専用コンピュータ上で行われる。放射線送達方法に応じて複数の角度又は線源を使用し、必要な線量の合計を計算することができる。熟練した施術者は、均一な処方線量を腫瘍に送達し、周囲の健康な組織への線量及び副作用を最小にするような計画を設計する。
IV.がん化学療法剤
本発明のいくつかの実施態様では、抗がん療法を最適化し、化学療法剤による治療されているがん患者に対する副作用を最小限に抑えるために、化学療法薬物送達を制御することができると考えられる。がん腫瘍の治療は、がん細胞集団の殺傷を最適化する必要があり、又はより多くの害を引き起こして、がん細胞増殖を刺激することもできる。薬物投与変数は、(a)化学療法投与のタイミング;(b)薬物投薬量;(c)投与されるがん薬物の種類;及び(d)薬物療法の期間
酸化セリウムナノ粒子(CONP)単独の用量の投与であるか、又はある用量の第二の化学療法剤との併用投与であるか、又は患者の放射線治療をさらに含む、患者におけるがん治療を使用して、がんの治療又はがんのリスクに対する治療をすることは、本発明の重要な実施態様である。
本発明は、患者における有効な抗がん治療として、CONP、放射線抗がん療法、及びがん化学療法剤を組み合わせることを意図している。さらに、がんを有する可能性があるか又は予防目的であるか又はがんと診断された患者の抗がん治療は、本発明に従って、放射線療法と組み合わせてCONPを化学療法剤と共に投与することを含み得る。これらの薬剤の投薬は、別々の投薬スケジュールに従ってもよい。各抗がん剤の投薬の用量及び頻度は、患者の体重、がんの種類、薬剤により阻害される細胞標的に基づいて、又は抗がん剤による患者の効果的な抗がん治療に必要とされると思われる抗がん剤の選択した血漿血中レベルを達成するために調整することができる。そのような用量は、化学療法剤の用量を計算するための公表されているガイドラインを用いて決定することができる(Gurney, H., Br J Cancer. Apr 22, 2002; 86(8): 1297-1302参照)。
がん薬物及びがん化学療法薬剤は、がん薬、がん化学療法薬物、がん薬剤、がん化学療法、化学療法薬、化学療法剤、化学療法、化学療法薬物、がん化合物療法、化学療法化合物、及びがん薬物療法という用語などの意味を持つ一般的用語である。そのような化学療法は、がん細胞の経路を阻害する可能性のある化学物質、インビトロでがん細胞を死滅させるために使用され得る化学物質;がん腫瘍のようにインビボでがん細胞を死滅させるために使用され得る化学物質;及びある場合には、がん患者の正常細胞の生存能力を保護又はがん患者のがん細胞の生存能力を攻撃してがんと診断された人を治療するために使用され得る化学物質も意味する。
本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の実施をより具体的に指示するための単なる例示として、以下の化学療法剤の例および用途がある。また、がん化学療法薬物によって標的とされ得る複数の細胞経路も記載される。一般に、がん化学療法薬物は、薬学的組成物の形態で、薬学的用途のために、又は患者の治療方法において使用される。
がん化学療法薬物/薬剤/化合物の例
本発明において使用され得るFDA承認がん薬物の例は(一般名で)、限定されないが、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、イマチニブ、エリブリン、ゲムシタビン、カペシタビン、パゾパニブ、ラパチニブ、ダブラフェニブ、リンゴ酸スニチニブ、クリゾチニブ、エベロリムス、トリシロリムス、シロリムス、アキシチニブ、ゲフィチニブ、アナストロゾール、ビカルタミド、フルベストラント、ラルチトレキセド、ペメトレキセド、酢酸ゴセレリン)、エルロチニブ、ベムラフェニブ、ビスモデギブ、クエン酸タモキシフェン、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、オキサリプラチン、ziv−アフリベルセプト、ベバシズマブ、トラスツズマブ、ペルツズマブ、パニツムマブ、タキサン、ブレオマイシン、メルファラン)、プルンバギン、カンプトサール、マイトマイシン−C、ドキソルビシン、ペグ化ドキソルビシン、フォルフィリ、5−フルオロウラシル、テモゾロミド、パシレオチド、テガフール、ギメラシル、オテラシル、イトラコナゾール、ボルテゾミブ、レナリドミド、及びロミデプシンである。
がん患者に通常使用されているがん化学療法薬物の一般名は、限定されないが、ドキソルビシン、エピルビシン、5−フルオロウラシル、パクリタキセル、ドセタキセル、シスプラチン、ブレオマイシン、メルファラン、プランバギン、イリノテカン、マイトマイシン−C、及びミトキサントロンである。使用することができ、臨床治験の段階にある他のいくつかのがん化学療法薬物は、例えば、レスミノスタット、タスキニモド、レファメチニブ、ラパチニブ、タイバーブ、Arenegyr、パシレオチド、Signifor、チシリムマブ、トレメリムマブ、ランソプラゾール、PrevOnco、ABT−869、リニファニブ、チバンチニブ、タルセバ、エルロチニブ、スチバーガ、レゴラフェニブ、フルオロ−ソラフェニブ、ブリバニブ、リポソーマルドキソルビシン、レンバチニブ、ラムシルマブ、ペレチノイン、Ruchiko、ムパルホスタット(muparfostat)、テイスノ、テガフール、ギメラシル、オテラシル、及びオランチニブを含む。
化学療法薬物/薬剤/化合物の細胞標的
化学療法剤は、患者のがんを死滅させるためにがん患者が罹患しているがんの種類に基づいて選択することができる。特定の細胞経路標的又は複数の標的を阻害するがん化学療法薬物を選択することができる。本発明のためのがん薬物は、小さな有機分子、塩、イオン、気体、液体、ペプチド、さらには抗体などの大きなタンパク質である分子を含む。
がん薬物が効果を有し得る細胞標的の例がここに列挙されるが、限定的ではない。がん薬物の細胞標的の例は、次の同定された標的を含む:mTORC、RAFキナーゼ、MEKキナーゼ、ホスホイノシトールキナーゼ3、線維芽細胞増殖因子受容体、多重チロシンキナーゼ、ヒト上皮増殖因子受容体、血管内皮増殖因子、他の血管新生因子、熱ショックタンパク質;Smo(smooth)受容体、FMS様チロシンキナーゼ3受容体、アポトーシスタンパク質阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ、デアセチラーゼ、ALKチロシンキナーゼ受容体、セリン/スレオニンプロテインキナーゼ Pim−1、ポーキュパインアシルトランスフェラーゼ、ヘッジホッグ経路、プロテインキナーゼC、mDM2、グリピカン3、ChK1、肝細胞増殖因子MET受容体、上皮増殖因子ドメイン様7、Notch経路、Srcファミリーキナーゼ、DNAメチルトランスフェラーゼ、DNAインターカレーター、チミジンシンターゼ、微小管機能攪乱物質、DNA架橋剤、DNA鎖切断剤、DNAアルキル化剤、JNK依存性p53 Ser15リン酸化誘導剤、DNAトポイソメラーゼ阻害剤、Bcl−2、及びフリーラジカル発生剤。
1.mTOR阻害剤、PI3K阻害剤、マルチキナーゼ阻害剤を用いた化学療法
がんを治療するためのmTOR阻害剤が存在する。ラパマイシン複合体(mTOR)阻害剤の哺乳動物標的はmTOR、mTORC1、及び/又はmTORC2を阻害し得る。いくつかのmTOR阻害剤は、例えばPI3K(ホスホイノシトール(phosphoinositiol) 3−キナーゼ)のような他の細胞酵素も阻害する。mTOR複合体1(mTORC1)は、mTOR; mTORの調節関連タンパク質(Raptor);哺乳類致死性SEC13タンパク質8(mammalian lethal with SEC13 protein 8)(MLST8);PRAS40;及びDEPTORから構成される。二の分子複合体mTORC1及びmTORC2の触媒サブユニットは、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ関連キナーゼタンパク質ファミリーに属するmTORである。mTORC1は、栄養素/エネルギー/レドックスセンサーであり、タンパク質合成を制御する。細胞レベルの十分なエネルギー、栄養素、酸素、及び細胞増殖因子が存在する場合、mTORC1が活性化される。mTORC1活性化は、タンパク質合成を活性化する。いくつかの種類のがん細胞は、異常に機能するmTOR、mTORC1又はmTORC2タンパク質を有する。
mTORC阻害剤の例は、AP23573(デフォロリムス、リダフォロリムス)、AZD2014、AZD8055、CCL−779(テムシロリムス、NSC−683864)、CH5132799、GDC−0941)、GDC−0349、GSK2126458(GSK458)、GSK2126458(GSK458)、GSK1059615、INK128、Ku−0063794、NVP−BEZ235、NVP−BGT226、OSI−027(ASP4786)、Palomid 529(P529)、PI−103、PP121、PP242、PK1587、PF04691502、PF−05212384(PKI−587)、ラパマイシン(シロリムス)、RAD001(エベロリムス)、RG7422(GDC0980)、RG7321(ピクチリシブ、SAR245409、XL−765)、RG7440、SF1126、SF1101、トリン1、トリン2、WAY−600、WYE−125132(WYE−132)、WYE−354、及びWYE−687を含む。ラパマイシン(シロリムス)(Rapaimmune、Wyeth−Ayerst)は、その細胞内受容体FKBP12と結合することによってmTORC1を阻害する。FKBP12−ラパマイシン複合体は、mTORのFKBP12−ラパマイシン結合(FRB)ドメインに直接結合し、その活性を阻害する。
第二世代のmTORC阻害剤は、mTORコアタンパク質のキナーゼドメイン上のATP結合モチーフに結合することができ、この結合は、mTORC1及びmTORC2の両方の活性をブロックする。mTOR及びPI3Kタンパク質はホスファチジルイノシトール3−キナーゼ関連キナーゼ(PIKK)と関連しているため、いくつかの第二世代mTORC阻害剤は、mTOR、mTORC1又はmTORC2のその阻害においてより直接的である。これらの化合物のいくつかは、mTORC1の「上流」に作用するPI3K(ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ)も阻害する。
エベロリムス(Afinotor、ノバルティス)は、mTORC1/2阻害剤である。CCL−779(テムシロリムス、NSC−683864)(トーリセル、Wyeth−Ayerst/ファイザー)は、mTORC1/2阻害剤である。Ap23573(デフォロリムス、リダフォロリムス、MK−8669)(Ariad/メルク)は、mTORC1/2阻害剤である。PI−103は、mTORC1、mTORC2、及びPI3K/Akt阻害剤である。PP121は、PDGFR、Hck、mTOR、VEGFR2、Src、Abl、及びDNA−PKの多標的阻害剤である。BEZ235は、PI3K/mTOR阻害剤である。GSK2126458(GSK458)は、PI3K/mTOR阻害剤である。GSK2126458(GSK458)は、mTORC1及びmTORC2阻害剤である。Ku−0063794は、mTORC1及びmTORC2阻害剤である。SAR245409(XL−765)は、PI3K/mTOR阻害剤である。SF1126(SFはSemafore Pharmaceuticalsを表す)は、RGD含有テトラペプチドSF1174にコンジュゲートしている全PI3K/mTOR阻害剤LY294002/SF1101を含有するプロドラッグである。全PI3K/mTOR阻害剤SF1126の標的化ペプチドSF1174部分は、細胞表面インテグリンに選択的に結合し、細胞侵入時に薬剤が活性薬物SF1101に加水分解される。SF−1101(LY294002)は、PI3K/mTOR阻害剤である。PP242は、mTORC1及びmTORC2の両方に対するATP競合阻害剤である。INT−128(MLN−0128)(INはIntellikineを表す)は、ラプター−mTOR(TOR複合体1又はTORC1)及びリクタ−−mTORの阻害剤、mTORC1/2阻害剤であり、プロテインキナーゼCアルファ(PKCアルファ)及びアクチン細胞骨格のリン酸化を調節する(mTORは、新規のタンパク質リクター(ラパマイシン非感受性の、mTORの一方)により定義される異なる複合体の一部でもあることに留意されたし)。AZD−8055(AZはAstra−Zenecaを表す)は、mTORの阻害剤である。NVP−BGT226は、新規の二重PI3K/mTOR阻害剤である。RG7666(GDC−0084)は、PI3K/Akt/mTOR経路のPI3キナーゼ阻害剤である。RG7422(GNE 390;GDC−0980)は、PI3K/mTOR二重阻害剤である。PF−05212384(PKI−587)は、PI3K/mTOR阻害剤である。PF04691502は、mTOR及びPI3K阻害剤である。RG7321(ピクチリシブ、GDC−0941)は、P13K/mTOR阻害剤である。GDC−0349は、mTOR阻害剤である。トリン1は、mTORC1及びmTORC2阻害剤である。トリン2は、mTOR阻害剤及びATM/ATR/DNA−PK阻害剤である。AZD2014は、二重mTORC1及びmTORC2阻害剤であり、CH5132799は、mTOR及びPI3K阻害剤である。WAY−600は、mTORC阻害剤である。WYE−125132(WYE−132)は、mTORC阻害剤である。WYE−687は、mTORC阻害剤である。Palomid 529 (P529)は、VEGF−A及びbFGFに対するPI3K/Akt/mTOR阻害剤である。GSK1059615は、PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kδ、PI3Kγ、及びmTORの新規二重阻害剤である。WYE−354は、mTORの阻害剤である。
2.RAS−RAF−MEK−ERK(MAPK/ERK)経路のRAFキナーゼ阻害剤を用いる化学療法
RAS−RAF−MEK−ERK(MAPK/ERK)経路は、細胞表面受容体活性を伝達し、細胞核内でDNA活性を誘導してタンパク質を作り、細胞分裂などの細胞変化を促進する相互作用するタンパク質の連鎖である。MAPK(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ)は、以前はERK(細胞外シグナル制御キナーゼ)と呼ばれていた。MAPKは、経路RAS−RAF−MEKタンパク質をリン酸化する。また、この変化は本経路を「オン」又は「オフ」に切り替えることができる。Ras−Raf−MEK−ERK経路のタンパク質は、突然変異し、機能的に「オン」又は「オフ」のいずれかで付着している可能性がある。そのような機能不全は、観察されるがん細胞の前兆である。RASは、5つのGTPアーゼのファミリーである。ヒトがんの約20%(特定のがんにおいては90%)が、RAFタンパク質をリン酸化する一定のRasプロテインキナーゼ活性化を引き起こす発がん遺伝子に関連するRasタンパク質突然変異を有する(https://en.wikipedia.org/wiki/Ras_subfamily)。RAFは、三つのセリン−スレオニン特異的プロテインキナーゼA、B、及びCのファミリーを含み、これらはそれぞれ、ARAF、BRAF、CRAFとして知られている。突然変異体BRAFの一つは、V600Eとして知られている。RAFキナーゼ阻害剤の具体例は、ソラフェニブ、RAF265、LGX818、SB590885、PLX4720、XL−281、及びベムラフェニブを含む。ソラフェニブ(ネクサバール、バイエル)は、複数のチロシンタンパク質キナーゼ(VEGFR及びPDGFR)並びにRafキナーゼC−Raf及びB−Rafキナーゼの阻害剤である。RAF265は、B−Raf及びVEGFR2キナーゼの阻害剤である。LGX818、SB590885、PLX4720、XL281、及びベムラフェニブ(PLX−4032、ゼルボラフ)は、B−RAF阻害剤である。
3.[RAS−RAF−MEK−ERK(MAPK/ERK)]経路のMEKキナーゼ阻害剤を用いる化学療法
活性化されたRAFキナーゼは、MEKキナーゼ、MEK1及びMEK2をリン酸化及び活性化する。MEKは、MAPKKとしても知られている。MEKは、いったん活性化されるとマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)をリン酸化及び活性化することができるチロシン/スレオニンキナーゼである。MAPKは、セリン/トレオニン選択的プロテインキナーゼである。MEK阻害剤の具体例は、CI−1040、MEK162、PD035901、セルメチニブ、レファメチニブ、BAY−86−9766、RDEA119、トラメチニブ(GSK1120212)、及びXL518、RG7167、RG7420を含む。
4.PI3K(ホスホイノシトール3−キナーゼ)阻害剤を用いる化学療法
PI3K経路は、増殖制御、代謝、及び翻訳開始等の多くの細胞機能のための重要なシグナル伝達経路である。PI3K阻害剤はしばしば、腫瘍抑制をもたらす。PI3Kには、複数の異なるクラスとアイソフォームがある。クラス1 PI3Kは、四つのタイプ(アイソフォーム)、すなわちp110アルファ、p110ベータ、p110ガンマ、及びp110デルタを有するp110として知られている触媒サブユニットを有する。種々のがんの治療のために研究されている阻害剤は、クラスI PI3Kの一又は複数のアイソフォームを阻害する。PI3K(ホスホイノシトール3−キナーゼ)の具体例は、BEZ235、BYL719、ブパリシブ、BKM120、INC280、RG7440、RG7604、RG7666(GDC−0084)、RG7321、RG7422、PF−05212384(PKI−587)、及びPF−04449913を含む。
5.FGFR阻害剤(線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR))を用いる化学療法
線維芽細胞成長因子(FGF)は、血管新生、創傷治癒、及び胚発生に関与する増殖因子のファミリーである。FGFはヘパリン結合タンパク質であり、細胞表面結合ヘパラン硫酸プロテオグリカンとの相互作用は、FGFシグナル伝達に必須であることが示されている。FGFは、多種多様な細胞及び組織の増殖及び分化の過程において重要な役割を果たす。細胞表面の線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)は、細胞中のタンパク質のMAPK/ERK経路を介して、細胞の核内のDNAにシグナル伝達することができる。FGFRファミリーは、四つのメンバー、すなわちFGFR1、FGFR2、FGFR3、及びFGFR4を有する。FGFRは、三つの細胞外免疫グロブリン型ドメイン(D1−D3)、すなわち単スパン膜貫通ドメイン、および細胞内開裂チロシンキナーゼドメインからなる。FGRF阻害剤の例は、BGJ398及びドビチニブである。
6.複数のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を用いる化学療法
チロシンキナーゼは、シグナル伝達カスケードによる多くのタンパク質の活性化に関与する酵素である。タンパク質は、タンパク質にリン酸基を付加することによって活性化される(リン酸化)。チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)は、抗がん薬として一般的に使用される。TKIは四つの異なる機構により作用するが、すなわちTKIは、アデノシン三リン酸(ATP)、リン酸化物質、基質若しくはその両方と競合することができ、又はアロステリック様式で作用することができ、すなわち立体構造変化により活性部位外の部位に結合することができる。TKIは、チロシンリン酸化の低分子量阻害剤であり、セリン又はスレオニン残基をリン酸化するプロテインキナーゼを阻害せず、EGFRのキナーゼドメインとインスリン受容体のキナーゼドメインとを区別することができる。さらに、チロシンキナーゼドメインの保存にもかかわらず、EGFR及びその近くの相対的なHER2のような密接に関連するタンパク質チロシンキナーゼ間を区別するTKIを設計及び合成することが可能であることが示された。
チロシンキナーゼ阻害剤の具体例は、ネクサバール、スティバルガ、スーテント、イレレッサ、及びインライタ、スニチニブリンゴ酸塩を含む。
7.HER(ヒト上皮増殖因子受容体)阻害剤を用いる化学療法
HER2により活性化されるシグナル伝達経路は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)、ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K/Akt)、ホスホリパーゼCγ、プロテインキナーゼC(PKC)、及びシグナル伝達性転写因子(STAT)を含む。ErbBファミリーの受容体を介したシグナル伝達は、細胞増殖を促進し、アポトーシスに対抗する。したがって、無制御細胞増殖が起こるのを防ぐために厳密に制御されなければならない。ERBB2遺伝子の増幅又は過剰発現は、疾患再発の増加及び予後不良と強く関連している。過剰発現はまた、乳がん、卵巣がん、胃がん、及び攻撃的な形態の子宮がん、例えば子宮漿液性子宮内膜がんにおいても起こることが知られている。HER2は共局在しており、ほとんどの場合、乳房、精巣生殖細胞、胃、及び食道の腫瘍に関連するがん原遺伝子である遺伝子GRB7と共増幅される。HER2タンパク質は、腫瘍形成に関与する可能性のある細胞膜中にクラスターを形成することが示されている。HER(ヒト上皮増殖因子受容体)阻害剤の具体例は、RG7116、RG1273(ペルツズマブ、パージェタ(登録商標))、RG3502(トラスツズマブエムタンシン(emantasine) 、T−DMI)、RG597(トラスツズマブ、ハーセプチン)、RGA201(RG7160)、エルロチニブ(タルセバ(登録商標))、ダコミチニブ(PF−00299804)、PF−05280014(ファイザーのRG597のバイオミラーmAB)を含む。
8.VEGF(血管内皮増殖因子)阻害剤を用いる化学療法
腫瘍は、より大きく成長するために、VEGFなどの血管新生促進剤によってつくられる自前の血管を必要とする。腫瘍血管新生過程を妨げる薬物(血管新生阻害剤)は、がんの治療において有望である。一つの血管新生促進剤がブロックされると、がんは、結局は別の血管新生促進剤を用いて血管を成長させる。腫瘍は、急速に分裂し増殖するがん細胞の集団である。突然変異はその集団内で急速に生じる。このような突然変異は、がん細胞、又は腫瘍内のがん細胞の亜集団が薬剤耐性を発達させ、かつ/又は療法を免れることを可能にする機能的変異を提供する。固形がんが小さい場合、付近の血管からの拡散によって栄養物が供給される。腫瘍は、酸素を運び込み、栄養物を運び込み、急速に分裂するがん細胞により分泌される生物学的最終生成物を取り除くための老廃物経路として働く血管新生なしでは、2mmより大きく成長することもできない。血管新生は、腫瘍の伝播又は転移にも必要である。単一のがん細胞は、確立された固形腫瘍から離脱し、血管に入り、遠隔部位に運ばれ、そしてそこで続発性腫瘍を確立し、増殖を開始することができる。所与の固形腫瘍における血管は内皮細胞及び腫瘍細胞から構成されるモザイク血管であり得るというエビデンスがある。モザイク血管は、腫瘍細胞を脈管構造に流し、放射線によって引き起こされる炎症又は虚血を回避することができる。
VEGF(血管内皮増殖因子)阻害剤の具体例は、スティバルガ(レゴラフェニブ)、ベバシズマブ(アバスチン)、インライタ、イトラコナゾール、及びXL184(カボザンチニブ)を含む。レゴラフェニブは、その二重標的VEGFR2−TIE2チロシンキナーゼ阻害に起因して抗血管形成活性を示す。インライタ(アキシチニブ)は、EGFチロシンキナーゼ阻害剤である。天然及び合成血管新生阻害剤は、アンジオスタチン、エンドスタチン、及びタムスタチンを含む。ベバシズマブ及びイトラコナゾールの抗血管新生機構は、VEGFへの直接結合である。イトラコナゾールはまた、VEGFRリン酸化、グリコシル化、mTORシグナル伝達、内皮細胞増殖、細胞遊走、管腔形成、及び腫瘍関連血管新生も阻害する。XL184(カボザンチニブ)は、チロシンキナーゼMet及びVEGFR2の阻害剤であり、腫瘍増殖、転移及び血管新生を阻止することが示されている。
9.他の血管新生阻害剤を用いる化学療法
いくつかの形態の血管新生を阻害し得る他の化合物及びVEGF阻害剤がある。抗血管新生化合物は、カルボキシアミドトリアゾール、TNP−470、CM101、IFN−α、IL−12、血小板第4因子、抗血管新生ステロイド+ハーセプチン、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、アンジオスタチン、エンドスタチン、2−メトキシエストラジオール、テコガラン、テトラチオモリブデート、サリドマイド、トロンボスポンジン、プロラクチン、αVβ3阻害剤、及びリノミドを含む。カルボキシアミドトリアゾールは、内皮細胞の細胞増殖及び細胞遊走を阻害する。TNP−470及びCM101は、免疫系を活性化する。IFN−αは、血管新生刺激因子をダウンレギュレートし、内皮細胞の細胞遊走を阻害する。IL−12(インターロイキン−12)は、血管新生阻害剤の形成を刺激する。血小板第4因子は、血管新生刺激因子の結合を阻害する。抗血管新生ステロイド+ヘパリン、及びマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤は、基底膜の分解を阻害する。アンジオスタチンは、細胞増殖を阻害し、内皮細胞のアポトーシスを誘導する。エンドスタチンは、内皮細胞の細胞遊走、細胞増殖、及び生存を阻害する。ステロイド2−メトキシエストラジオールは、内皮細胞の細胞増殖及び細胞遊走を阻害し、アポトーシスを誘導する。テコガランは、内皮細胞の細胞増殖を阻害する。テトラチオモリブデートは、銅のキレート化を引き起こし、血管の成長を阻害する。サリドマイドは、内皮細胞の細胞増殖を阻害する。トロンボスポンジンは、内皮細胞の細胞遊走、細胞増殖、細胞接着、及び生存を阻害する。プロラクチンは、bFGF及びVEGFを阻害する。αVβ3阻害剤は、内皮細胞のアポトーシスを誘導する。リノミドは、内皮細胞の細胞遊走を阻害する。
10.HSP(熱ショックタンパク質)阻害剤を用いる化学療法
熱ショックタンパク質90(HspP90)は、多くのタンパク質の折りたたみ及び分解を調節する分子シャペロンである。HSP(熱ショックタンパク質)阻害剤の具体例は、AUY922を含む。
11.Smo(smooth)受容体阻害剤を用いる化学療法
スムーズンド受容体(SMO)は、ヘッジホッグシグナル伝達経路の一部である。SMO阻害は、転写因子GLI1及びGLI2を不活性のままにさせ、ヘッジホッグ経路内の腫瘍媒介遺伝子の発現を妨げる。ソニックヘッジホッグは、ヘッジホッグと呼ばれる哺乳類のシグナル伝達経路ファミリーの三つのタンパク質の1つであり、他はデザートヘッジホッグ(DHH)及びインディアンヘッジホッグ(IHH)である。SHHは、一番研究されているヘッジホッグシグナル伝達経路のリガンドである。それは、四肢の指の成長や脳の組織化など、脊椎動物の器官形成の調節において重要な役割を果たす。ソニックヘッジホッグは、拡散して濃度勾配を形成し、その濃度に応じて発達中の胚の細胞に異なる効果を有する分子であるモルフォゲンである。SHHは、成人においても重要であることに変わりはない。それは、成体幹細胞の細胞分裂を制御し、いくつかのがんの発生に関与している。
Smo(smooth)受容体阻害剤の具体例は、エリベッジ(ビスモデギブ)、エリスモデブ(LDE225)、及びLEQ506を含む。エリベッジは、基底細胞がん用にFDAが承認したSmo受容体阻害剤であって、転移性結腸直腸がん、小細胞肺がん、進行生胃がん、膵臓がん、髄芽細胞腫、及び軟骨肉腫の臨床試験も受けている。エリベッジは、ヘッジホッグシグナル伝達経路の一部であるスムーズンド受容体(SMO)のシクロパミン競合的アンタゴニストとして作用する。SMO阻害は、転写因子GLI1及びGLI2を不活性のままにさせ、ヘッジホッグ経路内の腫瘍媒介遺伝子の発現を妨げる。
12.CD135(FMS様チロシンキナーゼ3受容体)阻害剤を用いる化学療法
CD135は、III型受容体チロシンキナーゼである。Fms様チロシンキナーゼ3(FLT−3)、受容体型チロシンプロテインキナーゼFLT3又は胎児肝臓キナーゼ−2(Flk2)としても知られている分化抗原135(CD135)のクラスターは、ヒトにおいてはFLT3遺伝子によってコードされるタンパク質である。Flt3は、受容体チロシンキナーゼクラスIIIに属するサイトカイン受容体である。CD135は、サイトカインFlt3リガンド(Flt3L)の受容体である。CD135は、多くの造血前駆細胞の表面に発現される。Flt3のシグナル伝達は、造血幹細胞及び前駆細胞の正常な発生にとって重要である。この受容体がFlt3Lに結合すると、それはそれ自身と共にその固有のチロシンキナーゼ活性を活性化する二量体(ホモ二量体)を形成し、これは次に細胞内のシグナルを伝播するシグナル伝達分子をリン酸化して活性化する。CD135を介するシグナル伝達は、細胞生存、増殖、及び分化に関与する。CD135は、リンパ球(B細胞及びT細胞)の発達にとって重要である。FLT−3(チロシンキナーゼ受容体3)阻害剤の具体例は、INC280(INCB028060)及びミドスタウリン(PKC412)を含む。INC280 (INCB028060)は、c−Met(肝細胞増殖因子受容体[HGFR])依存性PI3K及びRASシグナル伝達を阻害する。
ミドスタウリン(PKC412)は、変異型CD135(FMS様チロシンキナーゼ3受容体)を阻害するために使用される。
13.アポトーシスタンパク阻害剤を用いる化学療法
アポトーシス阻害剤(IAP)は、プログラム細胞死(アポトーシス)の内因性阻害剤として働く、機能的及び構造的に関連するタンパク質のファミリーである。すべてのIAPに共通する特徴は、1から3コピーのBIR(バキュロウイルスIAPリピート、およそ70アミノ酸ドメイン)の存在である。ヒトIAPファミリーは、8メンバーからなり、多くの生物においてIAPホモログが同定されている。同定されたIAPの最初のメンバーは、宿主におけるその効率的な感染及び複製サイクルに寄与する機構としてカスパーゼに結合し、それを阻害するバキュロウイルスIAP、Cp−IAP、及びOp−IAP由来であった。さらに5つのヒトIAPは、XIAP、c−IAP1、C−IAP2、NAIP、及びサバイビンである。XIAPは、カスパーゼ−9、カスパーゼ−3、及びカスパーゼ7に結合し、それによりそれらの活性化を阻害し、アポトーシスを防止する。注:cIAP1及びcIAP2はカスパーゼに結合するが、IAPがどのように分子レベルで機構的にアポトーシスを阻害するかは不明である。アポトーシスタンパク質阻害剤の例は、LCL161である。
14.CDK4/6(サイクリン依存性キナーゼ4及び6)阻害剤を用いる化学療法
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、転写、mRNAプロセシング、及び分化の調節に関与するプロテインキナーゼのファミリーである。すべての既知の真核生物に存在するCDKは、サイクリンと呼ばれる制御タンパク質に結合する小さなプロテインキナーゼである。サイクリン−CDK複合体は、セリン及びスレオニン上のそれらの基質をリン酸化する活性セリン−スレオニンキナーゼである。細胞分裂プロテインキナーゼ4としても知られるサイクリン依存性キナーゼ4は、ヒトにおいてはCDK4遺伝子によってコードされる酵素である。この遺伝子並びにD型サイクリン、p16(INK4a)、及びRbを含むその関連タンパク質における突然変異は、すべて種々のがんの腫瘍発生に関連することが判明している。13のCDKが知られており、そのl制御サイクリンタンパク質を括弧書きにしてここに列挙する:CDK1(サイクリンA、サイクリンB); CDK2(サイクリンA、サイクリンE);CDK3(サイクリンC);CDK4(サイクリンD1、サイクリンD2、サイクリンD3);CDK5(CDK5R1、CDK5R2);CDK6(サイクリンD1、サイクリンD2、サイクリンD3);CDK7(サイクリンH);CDK8(サイクリンC);CDK9(サイクリンT1、サイクリンT2a、サイクリンT2b、サイクリンK);CDK10;CDC2L2としても知られるCDK11(サイクリンL):CRKRSとしても知られるCDK12(サイクリンL);及びCDC2L5としても知られるCDK13(サイクリンL)。CDK4/6(サイクリン依存性キナーゼ4及び6)阻害剤の具体例は、LEE011、PD−0332991(パルボシクリブ)、PD−0332991−0054、PD−332991、及びPF−00080665−73を含む。その他のCDK阻害剤は、フラボピリドール(アルボシジブ)[CDK1、2、4、6、7、9を阻害];オロモウシン[CDK1、2、5を阻害];ロスコビチン[CDK1、2、5を阻害];パーバラノール[CDK1、2、5を阻害];パウロン[CDK1、2、5を阻害];ブチロラクトン[CDK1、2、5を阻害]:チオ/オキソフラボピリドール[CDK1を阻害];オキシインドール[CDK2を阻害];アミノチアゾール[CDK4を阻害];ベンゾカルバゾール[CDK4を阻害];ピリミジン[CDK4を阻害];及びセリシクリブを含む。
15.DAC(デアセチラーゼ)阻害剤を用いる化学療法
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAC阻害剤、HDI)は、ヒストンデアセチラーゼの機能を妨害する化合物のクラスである。ヒストンデアセチラーゼ阻害剤は、細胞周期停止、分化、及び/又はアポトーシスを誘導することによって、培地及びインビボで腫瘍細胞の増殖を阻害する細胞分裂停止剤の新しいクラスである。遺伝子発現を行うためには、細胞は、ヒストン周囲のDNAの巻きつき及び巻き戻しを制御しなければならない。この制御は、コアヒストンのリシン残基をアセチル化し、比較的緩くて転写的に活性の比較的高いクロマチンに導くヒストンアセチラーゼ(HAT)により達成され、逆にヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の作用は、アセチル基をリジン残基から除去し、凝縮して転写的にサイレンシングされた形態のクロマチンに導く。コアヒストンの末端テイルの可逆的修飾は、高次のクロマチン構造を改造し、遺伝子発現を制御するための主要なエピジェネティック機構を構成する。HDAC阻害剤(HDI)はこの作用をブロックし、ヒストンの高アセチル化をもたらし、それにより遺伝子発現に影響を与えることが可能である。
レスミノスタット(4SC−201)は、経口全−HDACiである。具体的なDAC(デアセチラーゼ)阻害剤は、パノビノスタット(LBH589)、ボリノスタット、ロミデプシン(イストダックス)、バルプロ酸(バルプロ酸マグネシウムとして)、ベリノスタット(PXD101)、モセチノスタット(MGCD0103)、アベキシノスタット(PCI−24781)、エンチノスタット(MS−275)、SB939、レスミノスタット(4SC−201、経口全HDACi[肝細胞がんにおける使用について試験済み]、ギビノスタット(ITF2357)、キシノスタット(JNJ−26481585)、CUDC−101(EGFR及びHER2も阻害する)、AR−42、CHR−2845、CHR−3996、4SC−202、固形腫瘍に対してCG200745、ボルテゾミブ(ベルケイド)及びレナリドミド(レブリミド)との併用でHDAC6に対して選択的なACY−1215、難治性腫瘍に対してME−344、スルフォラファン、並びにHDAC2に対して選択的なケベトリン(Kevetrin)を含む。
16.ALK阻害剤を用いる化学療法
ALKチロシンキナーゼ受容体又はCD246(分化クラスター246)としても知られている未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)は、ヒトにおいてはALK遺伝子によってコードされる酵素である。ALK遺伝子は、3つの方法、すなわち複数の他の任意の遺伝子との融合遺伝子を形成することによって、追加の遺伝子コピーを得ることによって、又は遺伝子そのものの本物のDNAコードの突然変異によってがん化し得る。EML4−ALK融合遺伝子は、約3〜5%の非小細胞肺がん(NSCLC)の原因である。大多数の症例は腺癌である。腎細胞癌は、そのような遺伝子再構成及び過剰発現の結果である。ALK(未分化リンパ腫)阻害剤の具体例は、LDK378、RG7853、クリゾチニブ(ザーコリ)、及びPF−03446962 mABを含む。
17.PIM阻害剤を用いる化学療法
がん原遺伝子セリン/スレオニン−プロテインキナーゼPim−1は、ヒトにおいてはPIM1遺伝子によってコードされる酵素である。がん原遺伝子セリン/スレオニン−プロテインキナーゼPim−1は、ヒトにおいては、PIMセリン/スレオニンキナーゼのPIM1遺伝子によってコードされる酵素である。発がん遺伝子は、多数のヒトのがんに関与しており、ヒト腫瘍から単離された細胞培養物中に高度に発現される。Pim−1は、細胞周期の進行、アポトーシス、及び転写活性化並びに比較的一般的なシグナル伝達経路に主に関与し、多くのシグナル伝達経路に関与してきている。Pim−1翻訳はSTAT3及びSTAT5によって開始されるため、その生成は、STAT経路又はSTAT因子を調節するサイトカインによって調節される。このようなサイトカインは、とりわけインターロイキン(IL−2、IL−3、IL−5、IL−6、IL−7、IL12、IL−15)、プロラクチン、TNFα、EGF及びIFNγを含む。PIM(がん原遺伝子セリン/トレオニン−プロテインキナーゼ)阻害剤の具体例は、LGH447を含む。
18.ポーキュパインアシルトランスフェラーゼ阻害剤を用いる化学療法
ポーキュパインは、パルミトイル基をWntタンパク質、Wntタンパク質分泌及びWntシグナル伝達能力に加える膜結合型O−アシルトランスフェラーゼ(MBOAT)ファミリーのメンバーである。乳房の腫瘍も、上皮間葉転換(EMT)へのWntの関与に起因して転移することが分かっている。EMT過程は、上皮細胞が間葉細胞に形質転換し、ラミニンではもはや保持されないようにするものである。それは、細胞がラミニンから離れ、移動することができるようにカドヘリンのダウンレギュレーションを伴う。Wnt/βカテニンシグナル伝達の抑制は、転移を阻害し得るEMTを防ぐことができる。Wntシグナル伝達はまた、乳がん以外の種類のがんの発生にも関与している。β−カテニンをコードする遺伝子であるCTNNB1発現の変化は、乳がんだけでなく、結腸直腸がん、メラノーマ、前立腺がん、肺がん、及びその他複数のがん種においても測定することができる。ポーキュパイン阻害剤の具体例は、LGK974、XAV939、IWR−1、及びIXP−2を含む。BHQ880は、ファージ由来のDKK1中和ヒト免疫グロブリンG1(IgG1)抗体及びWnt経路のアンタゴニストである。
19.ヘッジホッグ経路阻害剤を用いる化学療法
ヘッジホッグ経路の最も一般的な標的は、SMO(スムーズンドと呼ばれる7回膜貫通受容体)を調節する。SMOのアンタゴニスト及びアゴニストは、下流の経路調節に影響を及ぼす。最も臨床的に進んでいるSMO標的剤は、シクロパミン競合的である。イトラコナゾール(スポラノックス)はまた、シクロパミン及びビスモードジブとは異なる機構を介してSMOを標的とすることが示されている。イトラコナゾールは、ビスモデギブ並びにIPI−926及びノバルティスのLDE−225のような他のシクロパミン競合的アンタゴニストに対する耐性を与える突然変異の存在下でSMOを阻害する。PTCH及びGli3(5E1)抗体も、この経路を調節する。ダウンストリームエフェクター及び強力な転写活性化因子siRNA Gli1は、細胞増殖を阻害し、アポトーシスを促進するために使用されている。三酸化ヒ素(トリセノックス)はまた、Gli機能及び転写を妨害することによってヘッジホッグシグナル伝達を阻害することが示されている。
転移は、ヘッジホッグ経路の活性化によって活性化される。なぜなら、このヘッジホッグ経路の活性化がSnailタンパク質発現の増加並びにE−カドヘリン及び密着結合の減少をもたらすためである。ヘッジホッグシグナル伝達は、血管新生、ひいては転移の重要な制御因子である。腫瘍調節は、血管新生因子(アンジオポエチン−1及びアンジオポエチン−2)の増加、サイクリン(サイクリンD1及びB1)の増加、抗アポトーシス遺伝子の増加、及びアポトーシス遺伝子(Fas)の減少をもたらすヘッジホッグ経路の活性化により影響される。ヘッジホッグ経路阻害剤の具体例は、エリベッジ(RG3616)、IPI−926、スポラノックス(Sporonox) (イトラコナゾール)、トリセノックス(三酸化ヒ素)、LDE−225、PTCH、及びGli3(5E1)抗体、並びにPF−04449913を含む。
20.PKC(プロテインキナーゼC)阻害剤を用いる化学療法
腫瘍プロモーターホルボールエステルによって活性化されるプロテインキナーゼCは、強力な転写活性化因子をリン酸化することができ、それにより発がん遺伝子の発現の増加をもたらし、がんの進行を促進する。プロテインキナーゼCイオタ型は、ヒトにおいてはPRKCI遺伝子によってコードされる酵素である。この遺伝子は、セリン/スレオニンプロテインキナーゼのプロテインキナーゼC(PKC)ファミリーのメンバーをコードする。PKCファミリーは、少なくとも8つのメンバーを含み、それらは差次的に発現され、初期の分泌経路における微小管動態などの多種多様な細胞プロセスに関与する。このキナーゼは、薬物誘発アポトーシスに対するBCL−ABL媒介耐性に必要であることが見出されている。
プロテインキナーゼC阻害剤の具体例は、AEB071、ルボキシスタウリン、及びインゲノールメブテートを含む。
21.MDM2阻害剤を用いる化学療法
E3ユビキチンタンパク質リガーゼMdm2としても知られるマウス二重微小染色体2のホモログ(MDM2)は、ヒトにおいてはMDM2遺伝子によってコードされるタンパク質である。Mdm2は、p53腫瘍抑制因子の重要な負の制御因子である。Mdm2タンパク質は、p53腫瘍抑制因子のN末端トランス活性化ドメイン(TAD)を認識するE3ユビキチンリガーゼとp53転写活性化の阻害因子の両方として機能する。MDM2阻害剤の具体例は、RG7112及びRG7388を含む。MDM2−p53相互作用の阻害剤は、シス−イミダゾリンの類似化合物、nutlinを含む。
22.グリピカン−3阻害剤を用いる化学療法
グリピカン−3は、ヒトにおいてはGPC3遺伝子によりコードされるタンパク質である。この遺伝子によってコードされるタンパク質は、グリピカンファミリーのメンバーである。細胞表面ヘパリン硫酸プロテオグリカンは、可変数のヘパリン硫酸鎖で置換された膜結合タンパク質コアで構成される。グリピカンに関連した膜内在性プロテオグリカンファミリー(GRIPS)のメンバーは、グリコシルホスファチジルイノシトール結合を介して細胞質膜に固定されたコアタンパク質を含有する。これらのタンパク質は、細胞分裂及び成長調節の制御に関与し得る。グリピカン3免疫染色は、硬変肝における肝細胞癌(HCC)と異形成変化を区別するための有用性を有する。それは、異形成変化及び/又は硬化性変化を伴う肝臓は染色されないが、HCCはグリピカン3で染色されるためである。グリピカン阻害剤の具体例は、RG7687を含む。
23.ChK1阻害剤を用いる化学療法
ヒトチェックポイントキナーゼ1(Chk1)は、ゲノムの安定性を維持するのに必要な必須キナーゼである。Chk1は、DNA複製の異常に増加した開始を避けるために通常のS期の間に必要とされ、それによってDNAを破損から保護する。Chk1の阻害又は枯渇は、DNA複製の開始、一本鎖DNAの大量誘導、及びDNA鎖切断の発生に関連する、S期細胞におけるATR標的の迅速かつ強力なリン酸化を引き起こす。ChK1阻害剤の具体例は、RG7602、RG7741、CEP−3891、及びUCN−01を含む。
24.HGF/MET阻害剤を用いる化学療法
c−Met阻害剤は、c−Metチロシンキナーゼの酵素活性を阻害し、様々な種類のがんの治療における治療用途を有する。Metチロシンキナーゼは、肝細胞増殖因子(HGF、別名分散因子、SF)の受容体である。HGFは、大部分が上皮細胞及び間葉細胞(例えば平滑筋細胞及び線維芽細胞)上に発現される。HGFは通常、創傷治癒、肝臓再生、胚及び正常哺乳動物発達、並びに臓器形態形成において活性である。c−Met異常調節は、RTKの過剰発現、遺伝子増幅、突然変異、リガンド依存性自己分泌若しくは傍分泌ループ又は早すぎる活性化によるものであり得る。これらの因子はすべて、細胞の生存、その増殖及び運動性に影響を及ぼす。それらは、がんももたらし、またそれを治療することを目指す療法対する耐性ももたらす。異常なc−Met活性を有する患者は、予後不良、侵襲性jの疾患、転移の増加、及び生存期間の短縮を通常有する。HGF/MET阻害剤の具体例は、RG3638(オナルツズマブ、METMAB)、カボザンチニブ、AM7、SU11274、BMS−777607、PF−02341066、AMG−458、GSK 1363089(XL880、フォレチニブ)、MK−2461、PF−04217903、及びJNJ−38877605を含む。
25.EGFL7(上皮増殖因子ドメイン様7)阻害剤を用いる化学療法
EGF様ドメイン含有タンパク質7は、ヒトにおいてはEGFL7遺伝子によりコードされるタンパク質である。血管内皮−スタチン(VE−スタチン)としても知られる上皮増殖因子様ドメイン7(Egfl7)は、内皮細胞内で大部分発現する遺伝子をコードする。成長中の腫瘍などの血管リモデリング組織(during vascular remodeling tissues)中の内皮細胞において、egfl7のアップレギュレーションが観察される。egfl7の発現は、生理的条件では内皮細胞特異的であるが、ヒトがんにおいては腫瘍細胞により異常に発現される。結腸直腸がんでは、高レベルのegfl7は、病態ステージが比較的高い腫瘍及びリンパ節転移の存在に対応する。Egfl7もまた、ヒト肝細胞癌の腫瘍細胞によって過剰発現され、過剰発現は、多数の小結節を有し、被膜がなく、かつ静脈浸潤を伴う腫瘍において有意に高い。したがって、egfl7のレベルは、転移マーカー及び予後不良と相関する。egfl7発現の抑制は、EGFR/FAK経路を介する肝細胞癌細胞の遊走を阻害する。インビボで、肝細胞癌細胞におけるノックダウン発現は、肝臓内及び肺転移の数を減少させることが報告されている。マウスでは、肝細胞癌細胞におけるegfl7の阻害は、腫瘍増殖及び微小血管密度を減少させる。マウスに移植された腫瘍細胞におけるEgfl7の過剰発現は、腫瘍増殖及び転移を増加させることが報告されている。腫瘍内で、Egfl7は、微小血管密度、低酸素、壊死、及び血管透過性を増加させる。Egfl7は、腫瘍血管内皮細胞の白血球接着分子を抑制することにより、免疫からの腫瘍逃避を促進する。その結果、Egfl7を過剰発現する腫瘍は、免疫細胞によってはるかに少なく浸潤される。EGFL7(上皮増殖因子ドメイン様7)阻害剤の具体例は、ペルツズマブ(parsatuzumab) (MEGF0444A、RG7414)モノクローナル抗体である。
26.Notch経路阻害剤を用いる化学療法
内皮細胞は、血管新生において生じる血管発芽中の細胞挙動を調整するためにNotchシグナル伝達経路を使用する。Notchの活性化は、主に内皮先端細胞で発現するNotchリガンド、デルタ様リガンド4(Dll4)との直接的な相互作用を介して開存状態が安定している血管を結ぶ細胞および「コネクター」細胞(「connector」cell)で起こる。内皮細胞の遊走及び増殖の重要な因子であるVEGFシグナル伝達は、Notfシグナル伝達を活性化した細胞において、Vegf受容体転写物のレベルを低下させることによってダウンレギュレーションさせることができる。Notch経路阻害剤の具体例は、PF−03084014(Notch受容体のタンパク質分解活性化のガンマセクレターゼ阻害剤)である。経口で生体利用可能で、潜在的な抗腫瘍活性を有する小分子ガンマセクレターゼ(GS)阻害剤は、Notch受容体の活性化をブロックするRO4929097である。
27.Srcファミリーキナーゼ阻害剤を用いる化学療法
原がん遺伝子c−Src又は単にc−Srcとしても知られる原がん遺伝子チロシンタンパク質キナーゼSrcは、ヒトにおいてSRC遺伝子によってコードされる非受容体タンパク質チロシンキナーゼタンパク質である。このタンパク質は、他のタンパク質の特定のチロシン残基をリン酸化する。c−Srcチロシンキナーゼの活性の上昇レベルは、他のシグナルを促進することによってがんの進行に関連することが示唆されている。c−Srcは、接着受容体、受容体型チロシンキナーゼ、Gタンパク質共役受容体及びサイトカイン受容体を含む多くの膜貫通タンパク質によって活性化され得る。ほとんどの研究で受容体型チロシンキナーゼが検討されており、その例は、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)経路及び上皮増殖因子受容体(EGFR)である。srcが活性化されると、それは生存、血管新生、増殖、及び浸潤経路を促進する。c−Srcの活性は、結腸がんにおいて最もよく特徴付けられている。研究者らは、Srcの発現は正常な粘膜よりも前がん性ポリープにおいて5から8倍高いことを示している。[15][16][17]c−Srcレベル上昇はまた、腫瘍の進行段階、腫瘍の大きさ、及び腫瘍の転移能と相関性を有することが示されている。Srcファミリーキナーゼ阻害剤の具体例は、ボスチニブ(SKI−606)、バフェチニブ、AZD−530、XL1−999、KX01、ダサチニブ、及びXL228を含む。
28.DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤を用いる化学療法
がんは、エピジェネティックな変化によって引き起こされる。エピジェネティックな変化は、ヌクレオチド配列の変化を伴わない、ゲノムに対する機能的に関連する修飾を指す。そのような修飾の例は、DNAメチル化(高メチル化及び低メチル化)の変化である。DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)酵素は、メチル基のDNAへの転移を触媒する。DNAメチル化は、多様な生物学的機能を果たす。すべての既知のDNAメチルトランスフェラーゼは、S−アデノシルメチオニン(SAM)をメチル供与体として用いる。このような酵素は、宿主がその制限酵素を介してそれ自身のゲノムを消化するのを防ぐために、特定のDNA配列のメチル化の原因である。腫瘍サプレッサー遺伝子の過剰メチル化されたシトシンは、ヒトのがんの一貫した顕著な特徴である。これまでに検討されたすべての種類のがん細胞において、DNAメチル化のパターンの変化、増加(過剰メチル化)又は減少(低メチル化))のいずれもが確認されている。DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤の具体例は、Dacogen(登録商標)(デシタビン、2`−デオキシ−5−アザシチジン、5−アザ−2`−デオキシシチジン、NSC127716)、5−アザシチジン、ゼブラリン、(−)−エピガロカテキン−3−ガレート、プロカイン、プサマプリン、及びMG98を含む。
シスプラチン、カルボプラチン、テモゾロミド、及びエピルビシンでの治療に対するヒト腫瘍異種移植片の耐性が、デシタビンの非毒性用量を追加することによって低下することが報告されている。重要なことに、薬物投与のタイミングは、治療応答に関連するようである。効果を発揮するためには、細胞傷害性薬物の6〜12日前にデシタビンを投与しなければならなかった。デシタビンを細胞傷害性薬物投与と同時に又はその後に与えた場合、感作は失われた。この観察は、デシタビンが細胞傷害性薬物の効果を増強するアポトーシス促進遺伝子のエピジェネティックな再活性化によって腫瘍を感作させるという概念に対する強力なサポートを提供する。
29.DNAインターカレーターを用いる化学療法
分子(リガンドとしても知られる)は、DNAと相互作用することができる。リガンドは、共有的に結合すること、静電的に結合すること又はインターカレートすることによってDNAと相互作用し得る。インターカレーションは、適切なサイズ及び化学的性質のリガンドがDNAの塩基対の間に入るときに生じる。DNAインターカレーターは、急速に増殖するがん細胞におけるDNA複製を阻害するための化学療法処置において用いられる。このようなリガンドは、大部分が多環式芳香族で、平面的である。DNAインターカレーターの具体例は、ベルベリン、臭化エチジウム、プロフラビン、ダウノマイシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン、ドキシル)、及びサリドマイドを含む。
30.チミジンシンターゼ自殺阻害剤を用いる化学療法
チミジル酸シンターゼ阻害剤は、酵素チミジル酸シンターゼを阻害し、抗がん化学療法としての可能性を有する化学物質である。この阻害は、自殺阻害と呼ばれ、不可逆的である。この酵素は、基質類似体に結合し、「通常の」触媒反応の間に共有結合を介して不可逆的な複合体を形成する。チミジンシンターゼを阻害する自殺阻害薬物の具体例は、5−フルオロウラシル(5−FU、Efudex)、ラルチトレキセド、ペメトレキセド、ノラトレキセド、ZD9331、及びGS7904Lを含む。ラルチトレキセド及びフルオロウラシルは、結腸直腸がんを治療するために使用されてきた。
31.有糸分裂阻害剤(微小管機能攪乱物質)を用いる化学療法
有糸分裂阻害剤は、分裂するときに細胞を構造的に引き離す微小管を破壊することによって細胞分裂をブロックする。がん細胞は連続的な有糸分裂によって増殖し、最終的に体内に伝播(転移)することが可能で、かつ正常細胞よりも有糸分裂の阻害に感受性が高いため、有糸分裂阻害剤ががん治療に使用される。有糸分裂攪乱薬物の具体例は、タキソール(パクリタキセル)、タキソテール(ドセタキセル)、アブラキサン、ハラヴェン、ジェブタナ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、及びビノレルビンを含む。
32.DNA架橋剤を用いる化学療法
種々の外因性又は内因性薬剤が二つの異なる位置のDNAと反応すると、DNAに架橋が生じる。これは、同じ鎖(鎖内架橋)又はDNAの反対鎖(鎖間架橋)のいずれかに生じ得る。架橋は、DNAとタンパク質との間でも生じる。DNA複製は、架橋によってブロックされ、架橋が修復されなければ複製停止及び細胞死を引き起こす。化学療法で使用される1,3−ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソ尿素(BCNU、カルムスチン)及びナイトロジェンマスタードなどのアルキル化剤は、鎖間架橋を形成する反対鎖上のグアニンのN7位でDNAと架橋することができる。シスプラチン(シス−ジアミンジクロロ白金(II))及びその誘導体は、モノ付加体、鎖間架橋、鎖内架橋又はDNAタンパク質架橋としてDNA架橋を形成する(主に隣接N−7グアニンに1,2鎖内架橋を形成)。マイトマイシンCは、配列特異的グアニン塩基N−アルキル化による強力なDNA架橋剤である。DNA架橋剤の具体例は、パラプラチン及びエロキサチンも含む。
33.DNA鎖切断剤を用いる化学療法
化学療法や放射線療法などのがん治療法は、DNA損傷を修復する細胞の能力を圧倒し、細胞死をもたらす。最も急速に分裂している細胞、すなわちがん細胞は、優先的に影響を受ける。DNA修復過程は、DNA構造の損傷に応答するので、常に活性である。通常の修復過程が失敗し、細胞アポトーシスが起こらない場合、二本鎖切断及びDNA架橋(鎖間架橋すなわちICL)を含む修復不能なDNA損傷が起こり得る。細胞がDNA損傷を保持すると、遺伝子の転写を防ぐことができ、したがってタンパク質への翻訳もブロックされるであろう。複製もブロックされ、細胞が死滅することがあり得る。DNA鎖切断を誘発する薬物の具体例は、ブレオマイシンである。
34.DNAアルキル化剤を用いる化学療法
DNAのアルキル化は、化学療法においてがん細胞のDNAを損傷するために使用される。アルキル化DNAは、巻きついていないかすっかり巻戻っているかのいずれかであり、すなわち情報復元酵素(information-decoding enzyme)によって処理することができない。これは、細胞の増殖の阻害、プログラム細胞死又はアポトーシスの開始の効果を伴う細胞傷害性をもたらす。しかし、発がん性突然変異を含む突然変異も引き起こされ、曝露後のがんの発生率が比較的高いことの説明になる。DNAアルキル化剤の具体例は、メルファラン(アルケラン(Alteran) )である。
35.JNK依存性p53 Ser15リン酸化誘導物質を用いる化学療法
多くの酵素及び受容体は、リン酸化及び脱リン酸化によって「オン」又は「オフ」に切り替わる。p53腫瘍抑制タンパク質は、重度に調節され、18超の異なるリン酸化部位を含む。JNK依存性p53 Ser15リン酸化を経て、p53の活性化が細胞周期停止させるアポトーシス細胞死につながる可能性がある。この具体例は、多数のがん細胞株において細胞周期停止及びアポトーシスを誘導することが示されている薬物、プルンバギンである。
36.DNAトポイソメラーゼ阻害剤を用いる化学療法
イリノテカンは、トポイソメラーゼ1の阻害によってDNAが巻戻るのを防止する。イリノテカン(カンプトサ−ル、CPT−111)は、他の化学療法剤と併用し、特に結腸がんを治療するために使用される。これは、静注の5−フルオロウラシル、ロイコボリン、及びイリノテカンからなるFOLFIRI(フォルフィリ)療法を含む。
37.Bcl−2阻害剤を用いる化学療法
BCL2遺伝子によりコードされるBcl−2は、細胞死(アポトーシス)を調節する調節タンパク質であるBcl−2ファミリーの始祖メンバーである。Bcl−2遺伝子の損傷は、複数のがんの原因であり、がん治療に対する耐性の原因でもある。抗アポトーシス遺伝子の過剰発現及びアポトーシス促進遺伝子の低発現は、がんの特徴である細胞死の欠如をもたらし得る。BCl阻害剤の具体例は、RG760(ABT−199、GDC−0199)、オバトクラックス(GX15−070)、ABT−737、RG7601(ABT−199;ABT199;ABT 199;及びGDC−0199)を含む。
38.フリーラジカル発生剤を用いる化学療法
いくつかのがん化学療法剤は、フリーラジカルレベルを上昇させる。その例は、ソラフェニブ及びアドリアマイシンを含む。
39.化学療法プロドラッグ
一実施態様では、任意の化学療法剤又は化学療法剤の活性若しくは有効性を向上させるプロドラッグ剤は、本明細書で提供される方法において有用である。
一実施態様では、本発明の実施方法は、低酸素活性化プロドラッグであるエボホスファミド、TH−302、AQN4、バノキサントロン、ナイトロジェンマスタードプロドラッグであるPR−104、アパジコン EO−9、CB1954、5−(アジリジン−1−イル)−4−ヒドロキシルアミノ−2−ニトロベンズアミド、カンホスファミド、TLK286、TER286、JS−K、及びBoc−KAc−Puroからなる群から選択されるプロドラッグ化学療法剤を患者に投与することにを伴う。
一実施態様では、本発明の実施方法は、GSH又はGHT−πのペプチド模倣阻害剤、例えばγ−グルタミル−S−(ベンジル)システイニル−R−フェニルグリシンジエチルエーテル、TLK199、テリントラ、及びNOV−002からなる群から選択されるペプチド模倣阻害剤を患者に投与することを伴う。GSH又はGHT−πのペプチド模倣阻害剤は、GSH(グルタチオン)のがん細胞レベル又はGHT−π(グルタチオン−S−トランスフェラーゼ−π)の活性を低下させ、その代謝を防止することによって、投与された抗がん薬物の毒性を高めることができる。また、多剤流出液輸送体であることが知られている多剤耐性関連タンパク質の阻害剤でもあるTLK−199でのがん患者の治療は、化学療法剤のがん細胞レベルを増加させるために使用され得る。
一実施態様では、がん化学療法剤は、GSHによって活性化されるプロドラッグである。一実施態様では、本発明の実施方法は、シス−6−(2−アセチルビニルチオ)プリン(シス−AVTP)及びトランス−6−(2−アセチルビニルチオ)グアニン(トランス−AVTP)からなる群より選択されるGSH活性化プロドラッグを患者に投与することを伴う。この本発明の実施方法は、γ−グルタミル−α−アミノ−β(2−エチル−N,N,N’,N’−テトラキス(2−クロロエチル)ホスホジアミデート)−スルホニル)−プロピオニル−(R)−フェニルグリシン(TLK286)及びO−[2,4−ジニトロ−5−(N−メチル−N−4−カルボキシフェニルアミノ)フェニル]1−N,N−ジメチルアミノ)ジアゼン−1−イウム−1,2−ジオレート(PABA/NO)からなる群より選択されるGST活性化プロドラッグでのがん患者の治療を伴い得る。
V.治療の方法
いかなる特定の機構にも縛られるものではないが、CONPは、患者の正常な非がん性細胞にわずかな害を引き起こすため、抗がん治療に関して特に有用であると考えられる。放射線療法中、CONPは、照射された正常細胞を放射線から防護し、放射線/化学療法併用の有効性を改善することが見出されている。
第一の態様では、本発明は、
有効量の酸化セリウムナノ粒子を患者に投与すること;
治療実効線量の放射線を患者に投与すること;及び
ある用量の化学療法剤を患者に投与すること、それによりがんを治療することを含む、治療を必要とする患者のがんを治療する方法を含む。
一実施態様では、CONPは、放射線照射前に投与される。いかなる理論にも拘束されるものではないが、CONPは、がん細胞の放射線療法に対する感受性を増大させ、正常細胞への損傷を防ぐと考えられる。
一実施態様では、CONPは、放射線療法後に投与される。いかなる理論にも拘束されるものではないが、CONPは、放射線治療による急性損傷及び/又は慢性損傷を治療すると考えられる。この手法は、毒性防除剤(toxic protectant)が放射線療法の30分前に投与されるが、それは放射線治療後6ヶ月、12ヶ月に発生する慢性損傷に対しては防除しない現行の臨床標準よりも有利である。
一実施態様では、酸化セリウムナノ粒子の投与は、併用放射線/化学療法治療の治療の有効性を改善する。
一実施態様では、酸化セリウムナノ粒子の投与は、ナノ粒子の非存在下での治療的有効量と比較して、治療実効放射線線量を低減させ、かつ/又は治療的有効化学療法剤用量を低減させる。
一実施態様では、酸化セリウムナノ粒子の投与は、ナノ粒子の非存在下での有効量と比較して、治療実効放射線線量を低減させ、かつ治療的有効化学療法剤用量を低減させる。
一実施態様では、酸化セリウムナノ粒子の投与は、ナノ粒子及び/又は放射線の非存在下での有効量と比較して、治療実効放射線線量を低減させ、かつ治療的有効化学療法剤用量を低減させる。
一実施態様では、酸化セリウムナノ粒子の投与は、ナノ粒子及び/又は化学療法の非存在下での有効量と比較して、治療実効放射線線量を低減させ、かつ治療的有効化学療法剤用量を低減させる。
一実施態様において、放射線の線量又は化学療法の用量は、(i)CONPの非存在下での現行の標準治療で用いられる用量又は(i)CONPの非存在下での治療的有効量のいずれかの約1%から90%の間、又は約1%から80%の間、又は約1%から70%の間、又は約1%から60%の間、又は約1%から50%の間、又は約1%から40%の間、又は約1%から30%の間、又は約1%から20%の間、又は約1%から10%の間である。
一実施態様では、放射線の線量又は化学療法の用量は、約10%から90%の間、又は約20%から80%の間、又は約30%から70%の間、約40%から60%の間、約10%から50%の間、約10%から30%の間、約50%から90%の間、又は約70%から90%の間である。
一実施態様において、放射線は、酸化セリウムナノ粒子の投与後に投与されてもよい。
別の実施態様において、放射線は、酸化セリウムナノ粒子の投与前に投与されてもよい。
別の実施態様において、化学療法剤は、該ナノ粒子及び/又は放射線の前に投与される。
別の実施態様において、化学療法剤は、該ナノ粒子及び/又は放射線と同時に投与される。
別の実施態様において、化学療法剤は、該ナノ粒子及び/又は放射線の後に投与される。
別の実施態様において、本方法は、放射線が投与される前にがん(すなわち腫瘍)の外科的切除をさらに含む。
別の実施態様において、本方法は、放射線の投与後にがん(すなわち腫瘍)の外科的切除をさらに含む。
別の実施態様において、本方法は、化学療法剤が投与される前にがん(すなわち腫瘍)の外科的切除をさらに含む。
別の実施態様において、本方法は、化学療法剤の投与後にがん(すなわち腫瘍)の外科的切除をさらに含む。
例示的な実施態様において、患者が次のうちの一又は複数を示す場合、本開示の方法に従って患者はうまく「治療」される:(i)がん細胞の数の減少又は完全な欠如;(ii)腫瘍の大きさ又は体積の減少;(iii)腫瘍増殖の遅滞又は逆転、(iv)転移(例えばがんの軟組織及び骨への伝播を含む、末梢器官へのがん細胞の浸潤など)の阻害、例えば抑制、予防、妨害、縮小、遅延又は逆転;(v)腫瘍転移の阻害(例えば抑制、妨害、予防、縮小、逆転、遅延)又は非存在;(vi)腫瘍増殖の阻害(例えば抑制、遅延、予防、収縮、逆転、遅延)又は非存在;(viii)特定のがんに関連する一又は複数の症状の緩和;(ix)罹患率及び死亡率の低下;及び/又は(x)生活の質の向上。有益な又は所望の臨床結果は、限定されないが、症候の緩和、疾患の範囲の縮小、疾患の安定(すなわち悪化ではない)状態、疾患進行の遅延又は減速、病態の改善又は緩和及び(部分的又は完全な)寛解を含み、検出可能であるか否かを問わない。
別の態様は、患者のがんを治療する方法であって、
有効量の酸化セリウムナノ粒子を患者に投与すること;
患者に治療実効線量の放射線を投与すること;
治療的有効量の第一の化学療法剤を患者に投与すること;及び
治療的有効量の第二の化学療法剤を患者に投与すること
を含む、方法を提供する。
別の実施態様では、有効量の酸化セリウムナノ粒子の投与が、ナノ粒子の非存在下での有効量と比較して、放射線の治療実効線量を低減させ、かつ/又は化学療法剤(単数又は複数)の治療的有効量を低減させる。
別の態様では、本発明は、がん治療を受けている患者に投与される放射線及び/又は少なくとも一の化学療法剤の毒性を低減する方法であって、
(i) 有効量のCONPを患者に投与すること、
(ii) ある線量の放射線及び/又はある用量の少なくとも一の化学療法剤を投与することを含み、
有効量のCONPを投与することが患者に投与される放射線及び/又は少なくとも一の化学療法剤の毒性を低下させる方法を提供する。
別の態様では、本発明は、がんを効果的に治療するのに必要とされる、患者に投与される放射線の線量及び/又は少なくとも一の化学療法剤の用量を低減させる方法であって、
(i) 有効量のCONPを患者に投与すること、
(ii) ある線量の放射線及び/又はある用量の少なくとも一の化学療法剤を投与することを含み、
有効量のCONPを投与することががんを効果的に治療するのに必要とされる放射線の線量及び/又は少なくとも一の化学療法剤の用量を低減させる方法を提供する。
一実施態様では、この方法は、CONPの非存在下での現行の標準治療又は腫瘍を治療するための有効量よりも少ない線量の放射線又は少ない用量の化学療法を可能にする。様々な実施態様において、放射線の線量又は化学療法の用量は、(i)CONPの非存在下での現行の標準治療で用いられる用量又は(ii)CONPの非存在下で腫瘍を治療するための有効量のいずれかの約1%から90%の間、又は約1%から80%の間、又は約1%から70%の間、又は約1%から60%の間、又は約1%から50%の間、又は約1%から40%の間、又は約1%から30%の間、又は約1%から20%の間、又は約1%から10%の間である。
他の実施態様では、放射線の線量又は化学療法の用量は、約10%から90%の間、又は約20%から80%の間、又は約30%から70%の間、又は約40%から60%の間、又は約10%から50%の間、又は約10%から30%の間、又は約50%から90%の間、又は約70%から90%の間である。
一実施態様では、投与されたCONPを用いて、患者のがんの治療の抗がん効果によりがん患者のがんを治療するために、現行の標準治療よりも低い用量の第二のがん化学療法剤が投与される。
別の実施態様において、化学療法剤は、該ナノ粒子及び/又は放射線の前に投与される。
別の実施態様において、化学療法剤は、該ナノ粒子及び/又は放射線と同時に投与される。
別の実施態様において、化学療法剤は、該ナノ粒子及び/又は放射線の後に投与される。
別の実施態様において、CONPは、患者体重1キログラム当たり約1ナノグラムから患者体重1キログラム当たり約5ミリグラムの間、又は患者体重1キログラム当たり約1ナノグラムから患者体重1キログラム当たり約5ミリグラムの間、又は患者体重1キログラム当たり約1ナノグラムから患者体重1キログラム当たり約5ミリグラムの間、又は患者体重1キログラム当たり約10ナノグラムから患者体重1キログラム当たり約0.5ミリグラムの間、又は患者体重1キログラム当たり約20ナノグラムから患者体重1キログラム当たり約100マイクログラムの間、又は患者体重1キログラム当たり約10ナノグラムから患者体重1キログラム当たり約10マイクログラムの間の用量で患者に投与されてもよい。
CONP又はもう一つの化学療法剤又は他の物質の投与経路は、患者の細胞領域又は組織領域に到達するための任意のカテーテル又はカニューレ手段での、経口、静脈内、局所、皮下、筋肉内、腹腔内、尿道内、膀胱内を含む既知の任意の経路であってよい。他の投与経路は、注射、髄腔内、脳脊髄液内、気管支内、鼻腔内、硝子体液内、腫瘍内、リンパ系内、リンパ節内、腫瘍に栄養を送っている動脈内、神経鞘内、心臓内、肺、直腸、子宮内、膣内への、前述の投与経路のいずれかを使用する吸入器による、経皮パッチによる、又はポンプによる投与を含む。
例示的な実施態様において、CONPは、酸化セリウムナノ粒子及び薬学的に許容される担体、ビヒクル又は希釈剤を含む薬学的組成物として提供される。
例示的な実施態様では、CONP組成物は、患者の細胞領域又は組織領域に到達するための任意のカテーテル又はカニューレ手段での、経口、静脈内、局所、皮下、筋肉内、腹腔内、尿道内、膀胱内を含むがこれらに限定されない任意の送達経路に対して適切に製剤化される。最も効果的な投与様式及び投与レジメンは、治療されるがんの位置、範囲又は種類、対象の健康及び治療に対する応答、並びに治療する医師の判断に依存する。
一実施態様において、CONP組成物は、局所組成物である。局所投与に適した製剤は、眼、耳又は鼻への投与に適切なリニメント剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤又はペースト剤、エマルジョン、及び滴剤など、治療が必要な部位への皮膚を介した浸透に適した液体又は半液体調製物を含む。
局所組成物として製剤化される場合、CONPは、患者の皮膚領域への適用によって投与されてもよい。製剤は、好ましくは治療される領域又はその隣接領域で投与される。
一実施態様では、放射線で治療される乳がん患者の正常な皮膚及び組織の防護のためのCONPの好ましい投与経路は、CONPの局所投与である。
特定の実施態様において、局所組成物は、CONP、界面活性剤、油と水とを含む。
用語「界面活性剤」は、エマルジョンの形成を補助する物質を指し、乳化剤、洗剤、及び他の表面活性剤を含む。使用に適した界面活性剤は、限定されないが、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤を含む、薬学的製剤用に使用されている任意の種類の界面活性剤を含む。アニオン性界面活性剤の例は、限定されないが、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸ナトリウム、アルキルグリセリルエーテルスルホネート、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリンモノグリセリドナトリウムスルフェート、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ココイル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ココナッツアルキルトリエチレングリコールエーテルスルフェートのナトリウム及びアンモニウム塩;獣脂アルキルトリエチレングリコールエーテルスルフェート、獣脂アルキルヘキサオキシエチレンスルフェート、N−オクタデシルスルホコハク酸二ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸二ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸二アンモニウム、N−(1,2−ジカルボキシエチル)−N−オクタデシルスルホコハク酸四ナトリウム、スルホコハク酸ナトリウムのジアミルエステル、スルホコハク酸ナトリウムのジヘキシルエステル、スルホコハク酸ナトリウムのジオクチルエステル、ドクサートナトリウム、及びこれらの組み合わせを含む。
非イオン性界面活性剤の例は、限定されないが、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、オクタン酸セチル、コカミドDEA、コカミドMEA、コカミドプロピルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ脂肪酸モノエタノールアミド、ジグリセリルジイソステアレート、ジグリセリルモノイソステアレート、ジグルリセリルモノラウレート、ジグリセリルモノオレアート、エチレングリコールジステアレート、エチレングリコールモノステアレート、エトキシ化ひまし油、グリセリルモノイソステアレート、グリセリルモノラウレート、グリセリルモノミリステート、グリセリルモノオレアート、グリセリルモノステアレート、グリセリルトリカプリレート/カプリレート、グリセリルトリイソステアレート、グリセリルトリオレアート、グリコールジステアレート、グリコールモノステアレート、イソオクチルステアレート、ラウラミドDEA、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、ラウリン/ミリスチン酸ジエタノールアミド、ラウリルジメチルアミンオキシド、ラウリル/ミリスチルアミドDEA、ラウリル/ミリスチルジメチルアミンオキシド、メチルグルセス(gluceth)、メチルグルコースセスキステアレート、オレアミドDEA、PEGジステアレート、ポリオキシエチレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンラウリルエステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエステル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルエステル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレン獣脂アミン、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレアート、ソルビタントリオレアート、ステアラミドDEA、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ラウレス4、及びそれらの組み合わせを含む。
両性界面活性剤の例は、限定されないが、N−ドデシル−−アラニンナトリウム、N−ラウリル−−イミノジプロピオン酸ナトリウム、ミリストアンホアセテート、ラウリルベタイン、ラウリルスルホベタイン、3−ドデシル−アミノプロピオン酸ナトリウム、3−ドデシルアミノプロパンスルホン酸(sultanate) ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ココベタイン、ラウリルアミドプロピルベタイン、オレイルベタイン、ラウリルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルアルファカルボキシエチルベタイン、セチルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルビス−(2−ヒドロキシエチル)カルボキシメチルベタイン、ステアリルビス−(2−ヒドロキシプロピル)カルボキシメチルベタイン、オレイルジメチルガンマ−カルボキシプロピルベタイン、ラウリルビス−(2−ヒドロキシプロピル)アルファ−カルボキシエチルベタイン、オレアミドプロピルベタイン、コカジメチルスルホプロピルベタイン、ステアリルジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルジメチルスルホエチルベタイン、ラウリルビス−(2−ヒドロキシエチル)スルホプロピルベタイン、及びそれらの組み合わせを含む。
カチオン性界面活性剤の例は、限定されないが、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ビス(アシルオキシエチル)ヒドロキシエチルメチルアンモニウムメトサルフェート、セトリモニウムブロミド、セトリモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、コカミドプロピルアミンオキシド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジ獣脂ジモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ラウラルコニウムクロリド、ラウリルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリルポリオキシエチレンジメチルアミンオキシド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、ラウトリモニウムクロリド、メチル−1−オレイルアミドエチル−2−オレイルイミダゾリニウムメチルスルフェート、ピコリンベンジルアンモニウムクロリド、ポリクオタニウム、ステアラルコニウムクロリド、ステアリル(sterayl) ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、トリメチルグリシン、及びそれらの組み合わせを含む。
適切な油は、生理学的に許容され、限定されないが、単純脂質、誘導脂質、天然植物油と脂肪、動物油と脂肪、及び鉱油から誘導される複合脂質、又はこれらの混合物を含む。
他の適切な賦形剤には、例えば酸化防止剤、UV吸収剤、ラジカルスカベンジャー、キレート剤、ビタミン及びその誘導体、研磨剤、収斂剤、香料、構造化剤、乳化剤、可溶化剤、緩衝剤、増粘剤、pH調節剤、顔料又は着色剤、及び防腐剤などが含まれ得る。防腐剤は、真菌及び他の微生物の増殖を防ぐために使用され得る。適切な防腐剤は、限定されないが、安息香酸、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム(cetypyridinium) 、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、チメロサール、及びそれらの組み合わせを含む。例示的な実施態様において、局所組成物は、1回使用量で包装される。
一実施態様では、CONPの好ましい投与経路は、静脈内投与によるものである。
一実施態様では、放射線で治療される膵臓がん患者の正常組織の防護のためのCONPの好ましい投与経路は、CONPの静脈内投与である。
特定の実施態様では、CONPは、マイクロエマルジョンとして製剤化される。例示的な実施態様では、マイクロエマルジョンは、水中油型マイクロエマルジョンである。例示的な実施態様において、マイクロエマルジョンは、油中水型マイクロエマルジョンである。
該組成物中に含有されるべきCONPの量は特に限定されないが、組成物中にCONPは、例えば製剤全体の約0.0001から約10重量%、又は約0.001から1重量%、又は約0.01から0.5重量%含有される。
がん治療中又は投与後、患者の血漿中の酸化セリウムナノ粒子の全濃度は、約5ナノモルから約200マイクロモルの間、又は約10ナノモルから約100マイクロモルの間、又は約20ナノモルから約10マイクロモルの間であり得る。
一実施態様では、本発明により治療される患者は、膵臓がん、肺がん、乳がん、結腸がん、肝臓がん、皮膚がん、脳がん、骨がん、腎臓がん、卵巣がん、子宮がん、前立腺がん又は頭頚部がんと診断される。
例示的な実施態様では、本発明の方法により治療されるがんは、固形腫瘍である。適切な固形腫瘍の代表的、非限定的なものは、神経系腫瘍、網膜芽細胞腫、神経芽細胞腫、小児腫瘍、腎臓がん、腎細胞腺癌、食道・胃がん、肝細胞癌、膵胆管腫瘍、腺癌、 膵島腫瘍、結腸直腸がん、子宮頸がん、肛門がん、子宮がん、生殖器系がん、尿路がん、尿管がん、膀胱がん、胚細胞性腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣がん、卵巣上皮がん、未知の原発性の癌腫、ヒト免疫不全関連悪性腫瘍、カポジ肉腫、リンパ腫、白血病、悪性黒色腫、肉腫、内分泌腫瘍、甲状腺腫瘍、中皮腫又は他の肋膜の腫瘍、腹膜腫瘍、神経内分泌腫瘍又はカルチノイド腫瘍を含む。
患者の血漿中の酸化セリウムナノ粒子(CONP)の全濃度は、血漿タンパク質に結合したCONPと、CONPの遊離血漿濃度とを加えたものとして定義される。
1.治療スケジュール
放射線療法は、治療を必要とする領域に適切な線量の放射線を提供するために適切に分画された適切な用量で、従来の方法及び装置を用いて投与される。
患者は通常、数週間にわたり毎日の治療セッションで体外照射療法を受ける。治療セッションの回数は、与えられる総放射線量を含む多くの要因によって決まる。
リンパ節領域及び乳房のような領域への外部放射線の場合、患者は、1日1回、週5日、3から7週間治療を受ける。例えば、乳がんの治療における内部放射線は、通常1日2回、1週間与えられる。外部部分乳房放射線を使用する場合、1日2回、1週間与えられる。がんが広がっている領域に対する治療の場合、2から3週間、毎日の治療が一般的である。
化学療法剤は、任意の従来の投与経路、例えば本明細書に記載の経路によって投与され得る。熟練した施術者は、化学療法投与の用量及びスケジュールを決定する方法を認識している。
与えられる薬物に応じて、化学用量を決定する様々な方法がある。全用量は患者の体重(キログラム)に基づいてもよく、いくつかの化学用量は、体表面積(BSA)に基づいて決定され、医師は身長及び体重を用いて計算する。
化学療法は通常、定期的又は周期的に行われる。一つのサイクルは、ある用量の一又は複数の薬物、その後に正常細胞が薬物の副作用から回復するのを可能にするための、治療なしの数日又は数週間を伴ってよい。用量は、一定の日数連続してか又は数日間1日おきに与えられ、休息期間がその後に続いてもよい。いくつかの薬物は、一定の日数にわたって連続して与えられると最も効く。
化学療法の治療は、1週間に1回、10日に1回又は2若しくは3週間に1回である。
様々な実施態様において、化学療法のコースは、化学療法のX回のサイクルを表し、各サイクルは、約Y日ごとに与えられる。
その場合、Xは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は10を超えるサイクルから選択され、Yは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、14又は21日から選択される。
例として、限定することを意図するものではないが、化学療法及び放射線のための提案スケジュールは、以下の通りである。
スケジュール例:
化学療法剤#1 − 第1週、第5週の月曜日にIV投与
化学療法剤#2 − 第1週、第3週の火曜日〜金曜日に経口投与
放射線療法 − 第1週、第2週、第3週、第4週、第5週、第6週の月曜日〜金曜日に投与
実施例1:膵臓がん細胞を治療するための放射線療法と組み合わせた酸化セリウムナノ粒子の使用
本発明のいくつかの実施態様において、CONPは、非凝集3から5ナノメートルサイズの結晶であり、当該技術分野で既知のマイクロエマルジョン法により調製され得る。
図1及び図2は、放射線治療されたL3.6plヒト膵臓がん細胞上の酸化セリウムナノ粒子の存在の結果を示す。白棒は照射されなかった細胞を表し、灰色の棒は12Gyで照射された細胞を表す。放射線曝露後24時間(図1)及び48時間(図2)にMTTアッセイ(比色細胞生存能アッセイ(colorimetric cell viability assay))を実施して、CONPの放射線防護及び/又は細胞傷害性を決定した。濃度25から200μMのCONPは、細胞培養液中の膵臓がん細胞の放射線誘発死を増加させた。200μMのCONPの細胞傷害性は、放射線曝露後24時間(図1)よりも48時間(図2)がより顕著であった。
正常な膵臓細胞(hTERT HPNE細胞株)(図3)及び膵臓がん細胞株L3.6PL(図4)における放射線誘発細胞死の試験を、ホワイトウォール96ウェルプレート(20000/ウェル)に細胞を一晩プレーティングすることにより実施した。24時間後、いくつかの細胞を生理食塩水ビヒクルで処理し、一部は10nMのCONPを含有するナノ粒子溶液で処理して戻し、5%C0、37℃で24時間インキュベートした。インキュベーション後、プレートのいくつかを1回線量20Gyで照射し、プレートをインキュベーターに戻した。48時間後、細胞増殖をATP発光アッセイを用いて評価した。増加した細胞死が正常細胞の20Gy対照において観察され、放射線防護はCONPの存在下で示される。
図5及び6は、Panc−1ヒト膵臓がん細胞に対するCONPの放射線防護及び/又は細胞傷害性効果を示す。実施されたアッセイは、24時間(図5)及び48時間(図6)のMTTアッセイであった。放射線の存在下及び非存在下の両方において、CONPは、すべての濃度でPanc−1細胞に対して細胞傷害性であることが見出された。24時間で放射線誘発死の有意な増強はなかったが、48時間での放射線誘発死の増強はあった。したがって、ヒト膵臓がん細胞上のCONPは、放射線誘発死を防がなかった。
図7は、Ce0の細胞傷害性を決定するための、L3.6plヒト膵臓がん細胞についての48時間の細胞計数試験の結果を示すグラフである。15nMと150nMとの間の細胞傷害性の誘導に有意差がないことが見出された。同じ結果が、MCF−7ヒト乳がん細胞株で得られた。
別の実験では、ヒト膵臓がん細胞を注射された照射ヌードマウスに対するCONPの効果を試験した。15nM(0.00001mg/kg)のCeO100μlをマウスの静脈内に週2回注射し、5Gyの分割線量を週1回6週間照射した。図8は、この実験の結果のグラフであり、6週間の放射線治療(合計35Gy)後に放射線単独では膵腫瘍重量が減少しないことを示している。放射線の存在下では、CONP治療マウスは、放射線治療マウスと比較して腫瘍重量が37%減少した。
同様の実験(図9)では、ヒト膵臓がん細胞を注射された照射ヌードマウスに対するCONPの効果を腫瘍体積に関して試験した。ここでもまた、15nM(0.00001mg/kg)のCONP100μlをマウスの静脈内に週2回注射し、5Gyの分割線量を週1回6週間照射した。6週間の放射線治療(合計35Gy)後、放射線単独は膵腫瘍体積を減少させ、単剤としてのCONPも膵腫瘍体積を減少させることが見出された。放射線の存在下でのCONP治療マウスは、放射線治療マウスと比較して腫瘍体積が50%減少した。
表2は、電離放射線及び酸化セリウムナノ粒子(CONP)による、同所移植L3.6pl膵臓がん細胞の治療の結果に関するデータを含む。
L3.6plヒト膵臓がん細胞(1×10)をヌードマウスの膵臓に注射した。10日後、マウス群をビヒクル溶液、5Gy電離放射線週1回(30Gy)、15nM のCONP毎週2回i.p.、および5Gy電離放射線週1回(30Gy)、15nMの酸化セリウムNP週2回i.p. の組み合わせで治療した。すべてのマウスは、45日目に殺処分された。
陽性マウスの数/注射されたマウスの数
対照と比較してP<0.005
対照と比較してP<0.01
図10A及び10Bは、放射線のみ(図10A)及び放射線+CONP(図10B)での膵臓腫瘍組織の組織学的スライドの複製である。ここでは、CONPが腫瘍細胞の放射線治療に対する感受性を増大させ、同時に正常組織を防護することが示される。図10Aは、非機能性の膵臓組織に囲まれた放射線照射膵臓腫瘍を示す。図10Bは、機能正常膵臓組織に囲まれた放射線照射腫瘍を示す。図11は、腫瘍非保有ヌードマウスの生存率に対する酸化セリウム注射の効果を表すグラフである。上記のように、15nM(0.00001mg/kg)のCONP100μlをマウスの静脈内に週2回注射し、5Gyの分割線量を週1回7週間照射した。ここでは、CONPはマウスによる耐容性が良好であり、CONP治療群において有害作用は観察されないことが示されている。放射線のみを受けたマウス(曲線b)は放射線誘発死に陥ったことがわかるが、すべてのCONP治療マウス(曲線c及びd)は、放射線治療を生き残った。CONPが低酸素条件下で酸素緩衝として作用することが知られていることから、低酸素実験も行われた。腫瘍は本来低酸素状態である。そのため、スーパーオキシドラジカルの生成に酸素が必要であることから、腫瘍中の低酸素微小環境が腫瘍を放射線治療に耐性にさせる。この試験では、L3.6pl膵臓がん細胞を低酸素環境に5時間曝露し、低酸素の誘導から2時間後及び24時間後にmRNAを抽出した。HIF 1a(図12)及びHIF 2a(図13)についてのRT−PCTの結果は、CeO(CONP)で処理した細胞が低酸素曝露後24時間でそれらのベースラインmRNAレベルを保持していることを示した。図13では、同量のタンパク質がゲル上に負荷されたため、測定されたHIFの変化は、負荷ではなく、酸化セリウムナノ粒子(CONP)の効果を反映することを証明するウェスタンブロットアッセイの結果が示されている。CONPが腫瘍の微小環境を酸化し、腫瘍の放射線感受性を高めることができると仮定される。HIF 1a及びHIF 2aは、低酸素条件下では細胞内で過剰発現し、血管発生において重要な転写因子である。低酸素はまた、心筋及び脳虚血、がん、肺高血圧、先天性心疾患、並びに慢性閉塞性肺疾患を含む、主要なカテゴリーのヒト疾患の病態生理に大きく関与することも知られている。
図14及び図15は、放射線照射後24時間(図14)及び48時間(図15)のL3.6plヒト膵臓がん細胞によるVEGF生成に対する酸化セリウムの効果を表すグラフである。この試験では、細胞培養上清からVEGF濃度を決定し、CONPが非照射(対照)細胞と照射細胞の両方でVEGF濃度をわずかに増加させることが見出された。また、12Gy照射がビヒクル対照においてVEGF生成を増加させ、CONPが放射線損傷後のVEGF生成を抑制したことも見出された。
実施例2:肺がん細胞を治療するための放射線療法と組み合わせた酸化セリウムナノ粒子の使用
A549ヒト肺がん細胞へのCONPの効果を図16に示す。48時間の細胞計数アッセイが細胞傷害性を決定するために行われ、その結果CONPは、高濃度では、この細胞系に対して用量依存的に細胞傷害性である。図17もまた、放射線照射A549ヒト肺がん細胞についての48時間の細胞計数検査の結果を示す。ここでは、これらの細胞について、CONPの効果は15μMで最も有意であり、CONPは用量依存的に放射線誘発死を増加させることが示されている。また、図18は、放射線照射A549ヒト肺がん細胞に対するCONPの効果の結果をさらに示す。48時間の検査は、細胞死をモニターするLDHの存在についての細胞培養上清の試験を含んでいた。ここでもまた、図18に見られるように、15μMのCONPが放射線の存在下で最も有意な濃度であることが見出された。
同所性肺がんモデルを図2及び図3に示す。ここで、Nu/Nuマウスにおける腫瘍結節の数(図19)及び全肺重量(図20)を、放射線あり及びなし並びにCONPあり及びなしの条件についてプロットしている。酸化セリウムナノ粒子(CONP)の存在下で腫瘍小結節の数が有意に減少することが分かる。
肺がんに対する放射線治療の別の有害作用は、肺組織の炎症である肺炎である。肺組織の放射線防護におけるCONPの有効性を試験するために、インビトロ(正常肺線維芽細胞CCL135細胞使用)及びインビボ(無胸腺ヌードマウス肺組織使用)の両方で実験を行った。
インビトロ試験については、0.25%トリプシン及び0.02%EOTAへの短時間の曝露で細胞をトリプシン処理し、10%ウシ胎仔血清で補充したダルベッコのMinimal Essential Medium(OMEM)中の96ウェルプレートに20000細胞を供給した。試験の第1組では、0,5、10、15、20、25、30Gyの放射線に細胞を48時間曝露した。放射線は、Kimtron社(コネチカット州ウッドベリー)からの160kV細胞培養及び小型動物照射器(放射線装置)で行った。細胞生存率は、代謝的に活性な細胞の存在を知らせる、存在するATPの量を測定することにより決定した(図21A)。ATPは、Luminescent Cell Viability Assay(Promega、ウィスコンシン州マディソン)を用いて測定する。CellTiter−Gloアッセイで測定された発光と培養液中の細胞の数との間には直接的な関連がある。そのため、ATPの量は、存在する細胞の数に正比例する。発光(RLU)の検出は、照度計によって測定される。
実験次の組では、所定の最適濃度である10nMのCONPで細胞を処理し、1回線量の放射線(20Gy)に曝露した。48時間後、CellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega、ウィスコンシン州マディソン)を用いて、存在するATPの量を測定することにより、細胞生存率(図21B)を決定した。加えて、カスパーゼ3/7活性の量(図21C)をCaspase−Glo 3/7 Assay(Promega、ウィスコンシン州マディソン)により測定したが、発光量はカスパーゼ3/7活性に比例する。
インビボ試験については、無胸腺ヌードマウスは、通常マウス室2室、ヌードマウス室2室、及び隔離室1室を備え、動物のケアのための国家基準を超える、特定の病原体のいない(SPF)がん研究所動物施設に収容される。放射線は、その動物施設内にある小型動物照射システム(Kimtron社、米国コネチカット州ウッドベリー)及びIC160 X線細胞培養液を用いて投与した。放射線投与の9週間後、マウスを殺処分して肺を採取し、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色のために処理した。免疫組織化学法並びにヘマトキシリン及びエオジン染色法の場合、切片化のために、腫瘍組織の一部をホルマリン固定及びパラフィン包埋し、また別の部分をOCT化合物(Miles社、インディアナ州エルクハート)に包埋し、液体窒素中で急速凍結させる。フィルターホイール(Ludl Electronic Products、ニューヨーク州ホーソン)に取り付けられたナローバンドパス励起フィルターを備える落射蛍光顕微鏡で20倍対物レンズを用いて免疫蛍光顕微鏡法を実施する。
図21A〜21Cに示されている結果を得るために、正常肺線維芽(CCL 135)細胞を漸増線量(5、10、15、20、25、30Gy)の放射線に曝露した。細胞生存率は、代謝的に活性な細胞の存在を示す、存在するATPの定量により測定した。予想通り、結果は、正常細胞生存率における用量依存的減少を示す(図21A)。
実験の次の組では、正常細胞の放射線誘発細胞損傷に対するCONPの防護効果を測定した。所定の最適濃度である10nMのCONPで正常肺線維芽CCL 135細胞を処理し、1回線量の放射線(20Gy)に曝露した。結果は、放射線を単独療法として投与した場合、Cell Titer−Glo Luminescent Cell Viability Assayによって測定した培養液中の生存細胞の数(代謝的に活性な細胞の存在を示す)が有意に減少したことを示す。しかしながら、CONPを放射線照射の24時間前に投与すると、CONPは正常な肺線維芽細胞を放射線誘発細胞死から有意に保護した(図21B)。
その後の実験では、正常肺線維芽CCI 135細胞を10nMの濃度のCONPで処理し、1回線量(20Gy)に曝露した。
48時間後、カスパーゼ3/7活性(アポトーシスの存在を示す)を測定した(図21C)。放射線(20Gy)を単独療法として投与した場合、対照細胞(放射線なし)と比較してカスパーゼ3/7活性のレベルが有意に増加した。しかしながら、CONPの存在下では、放射線に曝露した正常細胞は有意に防護され、カスパーゼ3/7の活性は、対照細胞及びCONPのみ又は放射線のみに曝露された細胞と比較して有意に低下した(図21C)。
放射線肺炎及びその後の肺線維症は、放射線に曝露されたヒトの生活の質を著しく低下させる可能性がある。したがって、実験の別の組では、放射線誘発肺炎のマウスモデルが確立された。腫瘍非保有無胸腺ヌードマウスの胸部腹側に、1回線量(対照、図22A;12Gy、図23B;15Gy、図22C;及び18Gy、図22D)の放射線を投与した。放射線照射の9週後にマウスを殺処分して肺を採取し、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色のために処理した。結果は、放射線誘発肺炎のマウスモデルが成功裏に開発されたことを示し、組織学的分析は、15及び18Gyの放射線を受けたマウスの肺に確立された肺炎を示す(図22C及び22D)。
生動物にナノ粒子を投与し、CONPの放射線防護活性を評価する試みにおいて、腫瘍非保有無胸腺ヌードマウスの生存率を測定した。放射線照射30分前の、週2回のCe02の静脈内(i.v.)注射若しくはアミホスチン30の腹腔内(i.p.)注射の存在下又は非存在下で、腫瘍非保有無胸腺ヌードマウスを30Gyの分割線量の放射線(1週間に5Gyの投与)に曝露した。アミホスチンは、フリーラジカルスカベンジャーである。ヌードマウス(25g)は、次の群に無作為化された:(1)週1回生理食塩水i.v.注射(n=10、対照群);(2)週3回放射線5Gy投与(n=1O);(3)週2回15nM(0.00001mg/kg)のCONPi.v.注射(n=5);(4)週3回アミホスチン150mg/kgのi.p.注射(n=5);(5)週2回のCONP
i.v.注射を併用した放射線投与(n=10);及び(6)放射線照射30分前のアミホスチンi.p.注射を併用した放射線投与(n=10)。治療は、総線量30Gyの放射線の場合、2週間継続された。マウスが瀕死状態になったとき又は実験が終了したときにのみ、マウスを殺処分して剖検した。実験を通して、各マウスの体重及び死亡率を測定し、図22Eに示すように、中央値及び生存率を決定した。
この結果は、CONPは無胸腺ヌードマウスによる耐容性が良好であり、マウスを放射線関連死から保護することを示している。すべての対照マウスは、207日の終了日まで生存した。興味深いことに、CONP単独で治療されたマウスの80%は、207日の終了日に生存していた。放射線単独、アミホスチン単独、及び放射線とCONP又は放射線とアミホスチンの併用での治療後、生存期間中央値はそれぞれ、132、119、210、及び81日であった(対照vs放射線、P<0.019;対照vsCe02、P<0.66;対照vsアミホスチン、P<0.0370;放射線vs放射線及びCONP、P<0.0041;放射線vs放射線及びアミホスチン、P<0.0432)。
生存期間中央値の有意差により示されるように、アミホスチンは(対照マウスと比較して)マウスに対して高度に毒性であった。要約すると、これらの結果は、CONPナノ粒子はマウスによる耐容性が良好であり、アミホスチンよりも有意な利点を有することを示唆している。
放射線誘発肺炎の程度を決定するため、肺を採取し、組織学及びH&E染色(図23A〜23D)のために処理し、慢性肺疾患を示す線維症及びコラーゲン沈着の量をマッソンの3色染色法を用いて測定した(図23E〜23H)。条件は、対照(図23A、23E)、放射線単独(図23B、23F)、放射線+CONP(図23C、23G)、及び放射線+アミホスチン(図23D、23H)を含む。
対照群のマウスの肺(放射線単独、図238)は、広範なマクロファージの浸入を伴う目に見える肺炎を示したが、CONPを受けた放射線照射マウスの肺は、目に見える肺炎を示さず、正常に見えた(図23C)。
マッソンの3色染色法を用いた実験では、免疫組織化学的分析により、線維症及びコラーゲン沈着が、放射線単独(図23F)及びアミホスチンの前処理を受けたマウス(図23H)の放射線照射された肺において共通することが示された。さらに、免疫組織化学的分析は、コラーゲン沈着物が淡青色の染色であることから、ヒトの慢性肺疾患に見られるような比較的古く、より多く架橋されたコラーゲンの濃青色染色と比較して、相対的に新しいことを示した。対照的に、正常な肺(対照、図23E)又はCONPで治療されたマウスの放射線照射された肺(図23G)では有意な3色染色は観察されなかった。
ミクロンサイズと合成酸化セリウムナノ粒子(CONP)の比較Ce 3DX線光電子分光法(XPS)スペクトルを図24に示す。XPSは、ミクロンサイズの酸化セリウム粒子と比較して、CONPにおいて高濃度のCe+3を示す。882.1及び886eVでのピークは、Ce+4及びCe+3のピークに対応する。918eVでのピークは、Ce+4ピークの存在を示すサテライトピークに対応する。
図24の挿入図Bは、合成CONP(ナノセリア、CeOナノ粒子、酸化セリウムナノ粒子)の高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)画像であり、蛍石型格子構造を有する3〜5ナノメートルサイズの粒径を示す。
CONPは、正常肺線維芽(CCL 135)細胞において放射線誘発細胞損傷に対する保護を与えることが示されており、また、CONPが正常組織のための有効な放射線防護体であることを示唆している。さらに、CONPは、治療動物による耐容性が良好であるようであり、無胸腺ヌードマウスを放射線関連死から保護するようであり、放射線防護に対する新規のアプローチにつながる。
上記の結果において、CONPは、マウスによる耐容性が良好であり、正常マウスに対する毒性を引き起こさないことが分かる。CONPはまた、放射線誘発がん細胞死を増強し、正常組織を放射線から防護する。さらに、CONP+放射線は、転移指数を制御/最小化する。
本発明の一実施態様は、CONPの局所クリーム組成物である。CONPの「ナノ活性溶液」を使用する複数の組成物が考案されている。局所CONP組成物は、次のように製造される:2%w/v Daxad、メタクリル酸ナトリウム酸塩基界面活性剤を含む12%w/vセリア(CONP)のバッチからスラリーを形成する。このスラリーを表2に記載の成分と共に撹拌し、皮膚上に広げるために滑らかに伸びるゲルを作る。このような組成物中、Carbopolは軽度に架橋されたアクリル酸であり、Tween80はポリソルベート80であり、またヤシ油は中鎖飽和脂肪酸のみが残るように長鎖脂肪酸が除去された全油留分である。1380Gで15分間遠心分離を行った。
表3の試料番号9の組成物は、ヒトの皮膚に均一に広がったときに観察されるように、高い粘度と良好な「肌触り」を有する。本組成物はまた、良好な安定性及び中程度のpHを有する。本組成物は、水相と油相のエマルジョンである。油相は、ベニバナ油及び分留ヤシ油(両者は室温で液相である)並びにカカオ脂及び乳化ろう(両者は室温で固体である)を含む。油相成分を加熱して溶かした。セリアナノ活性溶液及びグリセリンの水相も35℃に加熱した。油相を水相に加え、スパチュラで混合した。溶液の撹拌を約5分間続けてエマルジョンを作り、冷却が行われている間に相が分離しないことを確認した。放射線で治療された乳がん患者の正常な皮膚及び組織の保護のためのCONPの好ましい投与経路は、CONPの局所投与である。この場合のCONPの局所製剤は、上記のような水−油エマルジョンであってもよい。
予備試験は、このようなナノ粒子が放射線誘発細胞損傷の原因となる反応性酸素種(ROS)を除去するであろう治療的再生材料であり得ることを示唆している。生物系が長期宇宙探査や船外活動などの高エネルギー曝露下にあるとき、宇宙飛行士は、放射線、船外活動中の高酸素曝露、身体的及び心理的ストレスを含む多くの酸化ストレスの源に曝される。ROSが高レベルで生成されるとき、細胞成分が損傷する可能性がある。このようなROSは、生物系によって微生物に対する防御機構として使用され得、発達、ストレス応答、及びプログラム細胞死におけるシグナル伝達及び転写因子として作用し得る。酸化ストレスは、過剰なROS又はフリーラジカルの強力な細胞酸化能に起因する。さらに、酸化損傷のレベルの上昇は、白内障、心血管疾患、及びがんのリスクの増加と関連している。したがって、提示した放射線防護研究の潜在的利益は、複数のレベルで非常に重要であり、その一つは、人間の生命への潜在的な影響である。本発明は、例えば粒子線に曝されるNASAの宇宙飛行士、戦闘、テロ又は職業上の曝露で放射線に曝される可能性のある軍隊及び民間人、並びにがんの放射線治療を受けている患者など(但しこれらに限定されない)、放射線環境に曝される世界中のヒトの健康と生活の質に関連する。
実施例3:膵臓がん細胞の放射線感受性を高めるための酸化セリウムナノ粒子の使用
さらに、フリーラジカルを除去する酸化セリウムナノ粒子(CONP)が、最適な生物学的用量で、膵臓がん細胞の放射線に対する感受性を増大させるかどうかを決定した。放射線誘発H生成は、10μM以下のCONPの存在下では有意に増加したが、20μM(0.013mg/kg)超のCONPの存在下では有意に減少した。放射線誘導ROS生成は、CONPで前処理されたL3.6plがん細胞で増加し、放射線単独と比較して、細胞生存率及びコロニー形成能の有意な減少と相関した。逆に、ROSは、正常なhTERT−HPNE細胞では、細胞生存率に影響を与えずに減少した。併用療法で治療したマウスでは、放射線単独と比較して、膵臓腫瘍の体積は48%減少した。免疫組織化学分析は、併用療法が腫瘍細胞アポトーシスの有意な増加をもたらすことを示した。まとめると、本発明者らの結果は、CONPががん細胞の放射線に対する感受性を増大させ、ヒト膵臓がんの治療のための新規の放射線増感剤を提供し得ることを示す。
図25A及び258に示すように、CONPは、膵臓がん細胞においてRT誘発ROSを選択的に増加させる。Aに関して、CONPとプレインキュベートしたL3.6pl及びhTERT-HPNE細胞において、CONPは、正常膵臓細胞(HPNE)中のROS生成を一時的に減少させる一方で、膵臓がん細胞(L3.6pl)中のROS生成を24時間まで持続的に増加させた。8に示すように、放射線照射後に添加されたCONPは、13.6pl細胞におけるROS生成には影響を与えなかったが、HPNE細胞においてROS生成を一時的に減少させた。さらに、図25C及び図25Dは、図25A及び25Bの結果を図解し、定量化し、グラフ化してROSレベルの変化を説明している。
図26Aから26Dは、CONPがインビトロで膵臓がん細胞の放射線に対する感受性を選択的に増大させることを説明している。A.10μM(0.0067mg/kg)のCONPでのL3.6pl細胞の前処理は、細胞生存率の放射線に誘発された低下を1.7倍増加させた。B.10μM(0.0067mg/kg)のCONPでの正常膵臓細胞(HPNE)の前処理は、細胞生存率の放射線に誘発された低下に有意な影響を及ぼさなかった。C.10μM(0.0067mg/kg)のCONPでのL3.6pl細胞の前処理は、放射線誘発のコロニー形成を2.4倍減少させた。D.図26Cの結果を定量化し、グラフ化し、コロニー形成の変化を図解した。
図27は、CONPがインビボで放射線誘発アポトーシスを促すことを示す。マウスから採取した組織切片のH&E及びTUNEL染色はCONPを示し、併用(CONP及びRT)治療は、終了時に存在する正常組織の量及びの放射線誘発アポトーシスの量をさらにより劇的に増加させた。
詳細な剖検は、すべてのマウスが膵臓に腫瘍を有することを明らかにした。表4に要約したデータは、放射線単独と比較して、放射線とCONPの組み合わせが腫瘍重量の最大減少を生じさせたことを示す(それぞれ0.97g及び1.31g、P<0.005)。体重は、対照マウスと比較して、全治療群で変化しなかった。いずれの治療群においても、目に見える肝転移は存在しなかった(解剖顕微鏡を用いて数えた)。
上記のように、本発明の教示は、酸化セリウム(CeO)ナノ粒子を用いることによる放射線誘発損傷に対する正常組織の保護のための新規のアプローチを提示している。フリーラジカルの生成を促進する化学的、生物学的、及び放射線学的損傷に対する保護を与えるフリーラジカルスカベンジャーとして働く能力について、CeOナノ粒子(CONP)を試験している。試験では、原子価及び酸素欠陥に関して、Ce0ナノ粒子の独特な構造は、その抗酸化特性により細胞の寿命を延ばし、毒性損傷を減少させ、反応性酸素種(ROS)の蓄積を防ぎ、それによりアポトーシス応答及び細胞死の活性化を防止することが示された。
実施例4:放射線誘発損傷からの唾液腺及び皮膚組織の保護のための酸化セリウムナノ粒子の使用
先行研究で、マウスモデルにおいて放射線防護を与えるCONPの安全性及び能力を試験している。CONPは、無胸腺ヌードマウスにおいて良好な耐容性を示し、肺炎の発生率を低下させるようである。本開示において、CONPは、放射線誘発損傷からの唾液腺及び皮膚組織の保護に対する新規のアプローチであると仮定され、頭頸部への放射線療法を受けている無胸腺ヌードマウスに対する新しい放射線防護化合物としてのその有効性を試験する。
CONPの合成及び特徴づけ:
酸化セリウムナノ粒子は、前述のマイクロエマルジョン法を用いて合成した。合成酸化セリウムを高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)で調べ、個々の粒子及び凝集体の大きさを決定した。該合成ナノ粒子の物理化学的特性を図28A〜28Cに示す。図28Aは、ナノ粒子の挿入された高倍率画像において、3〜5nmのCeOナノ粒子サイズ範囲を示すナノセリア(CONP)のHRTEM画像を示す。図28Bは、A、B、C、及びDがそれぞれ異なる格子パターン111、200、220、及び311に対応する蛍石型結晶構造のSEADパターンを示す。図28A及び28Cはともに、サイズ範囲5ナノメートルから約20ナノメートルまでの半径のCONPを示す。
動物:メスの無胸腺ヌードマウス(NCI−nu)は、国立がん研究所フレデリックがん研究開発センター(Research and Development Center)のAnimal Production Area(メリーランド州フレデリック)から購入した。無胸腺ヌードマウスは、通常マウス室2室、ヌードマウス室2室、及び隔離室1室を備え、動物のケアのための国家基準を超える、米国実験動物管理認定協会(American Association for Accreditation of Laboratory Animal Care)(AAALAC)認定の動物施設(がん研究所所属)に収容され、維持された。本試験のための動物の使用は、IACUCプロトコール番号09.06.01の下でMDアンダーソンがんセンターオーランド施設動物管理及び使用委員会(MD Anderson Cancer Center Orlando Institutional Animal Care and Use Committee)(IACUC)によって承認され、承認された。施設ガイドラインに従って、マウスは、8〜12週齢のときに使用した。
無胸腺ヌードマウスの頭頸部領域の放射線及びCONP治療:
IC160 X線照射システム(米国コネチカット州ウッドベリーのKimtron Inc.)を用いて、マウスの頭頸部領域に放射線照射した。動物を麻酔し、照射焦点下に仰臥位に置いた。2.74Gy/秒の速度で18.5mAで動作する160kV X線発生装置を用いて室温で照射を行った。既報のとおり、CeO2ナノ粒子を100μLの生理食塩水中で腹腔内(i.p.)注射により送達した。頭頸部への放射線曝露の唾液流量に対する効果を特徴づけるための予備実験が行われた。無胸腺マウスを5群(N=1O/群)に無作為化した。1)放射線照射なし(対照群);2)1回線量12.5Gyの放射線照射;3)1回線量15Gyの放射線照射;4)1回線量17.5Gyの放射線照射;5)1回線量20Gyの放射線照射。放射線照射完了から6週後、唾液測定分析を実施した。
その後の実験では、無胸腺ヌードマウスのコホートを2x3無作為化した。マウスを最初に二つのコホート(N=30/コホート)に無作為化した:A)放射線照射なし(マウスを麻酔し、照射器に置いたが放射線照射しなかった);B)30Gyの放射線を6回の分割照射(5Gy/1回線量)で1日おきに2週間にわたり投与。次いで、各コホートを次の三つの群(N=10/群)に無作為化した:1)放射線治療前2週間及び放射線治療中に、生理食塩水の隔週腹腔内(i.p.)注射(対照群);2)放射線治療前2週間及び放射線治療中に、15nM(0.00001mg/kg)のCeOナノ粒子の隔週i.p.注射;3)放射線療法開始前の2週間及び放射線療法中に、15μM(0.01mg/kg)のCeOナノ粒子隔週i.p.注射。合計8回のCeOナノ粒子の注射、すなわち放射線照射前の2週間の間に4回、及び放射線照射中の2週間の間に4回の注射(つまり週2回の注射)が行われた。
放射線誘発損傷 − 評価基準:
二人の独立した二重盲検研究者が、国立がん研究所(NCI)の共通毒性基準(Common
Toxicities Criteria)(CTC v.3.0 表3)に従い、放射線療法の1、4、及び12週間後に放射線誘発皮膚炎及び色素沈着過剰症を評価した。
麻酔:
放射線皮膚炎の評価及び唾液採取の間、ケタミン(100mg/ml)及びキシラジン(20mg/ml)カクテル(1μl/g体重)のi.p. 注射でマウスを麻酔した。
唾液測定分析(Sialometry Analysis):
マウスがナノ粒子の投与なしに漸増線量(12.5、15、17.5、及び20Gy)の1回照射放射線を受けた最初の組の実験では、マウスは、放射線照射完了から6週後に殺処分された。ナノ粒子あり及びなしで30Gyの分割照射(5Gy/1回線量)をマウスに与えた次の組の実験では、マウスは、放射線照射完了から90日後に処分された。麻酔をかけた後、マウスを体重測定し、体重1kg当たり2mgのピロカルピン溶液(50mg/ml)の皮下注射を用いて唾液腺機能を刺激した。唾液採取は、ピロカルピン投与の10分後に開始された。動物を仰向けの頭位に置き、予め計量していた75mmヘパリン処理済マイクロヘマトクリット毛細管(ペンシルバニア州ブルームオールのDrummond)を口腔内に入れた。全唾液を10分間採取し、採取した唾液の量を重量測定で測定した。
剖検手順及び組織学的研究:
放射線誘発皮膚炎及び刺激された唾液流量の分析が完了した後、すべてのマウスをCOチャンバーを用いて殺処分した。動物の体重を殺処分後に記録した。30Gyの分割照射(すなわち15nM(0.00001mg/kg)及び15μM(0.01mg/kg)のCeOナノ粒子あり及びなし)を受けたマウスで、組織剖検、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)、並びにTUNEL分析すべてを実施した。 口腔及び頚部から採取した標本は、舌及び隣接する軟組織、耳下腺、舌下腺、顎下腺並びに所属リンパ節を含んでいた。H&E染色のために、これらの組織をホルマリンに固定し、パラフィンに包埋し、200μmで連続的に切片にした。
パラフィン包埋組織をTUNEL染色に使用した。TUNEL陽性細胞は、DeadEnd Colorimetric TUNEL System(ウィスコンシン州マディソンのPromega)を用いて検出した。
免疫組織顕微鏡検査は、Nikon E400顕微鏡(ニューヨーク州メルビルのNikon Instruments)で40倍対物レンズを用いて行った。一般的手順を用いて画像をキャプチャし、Adobe Photoshopで処理した。組織学的分析は、オーランドのMDアンダーソンの病理学チームと共同で実施した。40X対物レンズを用いて個々の10枚のスライドで、TUNEL発現のための免疫陽性細胞を動物当たりで計数し、平均値を計算した。
統計解析
放射線誘導皮膚炎及び唾液測定実験は、 3重で実施され、データは平均±SEMとして表示された。統計解析は、スチューデントt検定を用いて等分散を仮定して行い、P値は両側検定に基づいて算出した。<0.05のp値は、統計的に有意であると考えられた。
結果は、以下を含む:
放射線誘発口腔乾燥症モデルの検証:
無胸腺ヌードマウスを異なる線量の1回照射放射線(12.5Gy、15Gy、17.5Gy又は20Gy)に曝露し、唾液測定を実施した(図29A〜29C)。結果は、頭頸部への放射線療法を受けているヒト患者について報告された臨床観察と一致する唾液機能の線量依存的低下を示す。
図29A〜29Cは、唾液生成に対するCONPの非存在及び存在下での放射線照射効果を示す。(図29A) 頭頸部への1回放射線照射後(12.5Gy、15Gy、17.5Gy又は20Gy)6週の唾液腺機能の刺激唾液測定分析。この結果は、唾液機能の線量依存的低下を示し、最大の減少は15〜17.5Gyの1回放射線照射後の刺激唾液流量である。(図298)放射線曝露後の唾液流出保護に対するCONPの効果。この結果は、30Gy/6分割照射を受けた対照群と、30Gy/6分割照射に加えて同時にCONPで治療されたマウスとの間で、唾液流量に統計的に有意な差があることを示している。(図29C) NCI有害事象共通用語規準(CTCAE v.3.0)を用いた放射線曝露後の色素沈着過剰症に対するCONPの効果。15nM(0.00001mg/kg)のCONPで治療したマウスは、皮膚炎のグレードIIの発生率が低く(33.33%)、グレードIの発生率が高かった(66.67%)。対照的に、15μM(0.01mg/kg)のCONPで治療したマウスは、色素沈着過剰症のグレードI及びIIの発生率が等しかった(それぞれ50%)。
刺激唾液流量の最大減少は、15〜17.5Gyの1回放射線照射後に観察された。より臨床的に関連するシナリオをシミュレートするために、この1回照射レジメンと生物学的に同等な分割照射スケジュールが考案された。一連の生物学的実効線量(BED)算出[25] によって、次の実験では、30Gyを5Gyずつ6分割照射で用いた。このレジメンは、急性効果については45.0Gy10のBED、晩発効果については80Gy3のBEDを有し、これは15〜17.5Gyの1回照射放射線レジメンのBEDと遜色がない。
さらに、6分割照射で30Gyは、十分な軟組織効果及び唾液腺機能不全をもたらし、CeOナノ粒子の放射線防護特性の適切な試験及び評価を可能にする。
放射線の非存在下での唾液機能へのセリウム酸化物ナノ粒子の効果:
予め15nM (0.00001mg/kg)及び15μM (0.01mg/kg)のCONPをi.p. 注射された非照射無胸腺ヌードマウスの唾液測定分析の結果、対照のナノ粒子なし(生理食塩水)と比較した場合、10分間で採取した平均唾液量に全く統計的差異はなかった[生理食塩水群vs.15nM (0.00001mg/kg)群
− p値:0.1007;生理食塩水群vs.15μM(0.01mg/kg)群− p値:0.9856;15nM (0.00001mg/kg)群vs.15μM (0.01mg/kg)群− p値:0.1159]。生理食塩水対照群は313μL/10分の平均量を有したが、15nM(0.00001mg/kg)及び15μM(0.01mg/kg)のCeO2ナノ粒子に曝露された群は、それぞれ286μL/10分及び312μL/10分の平均量を有した。
頭頸部領域に放射線照射された無胸腺ヌードマウスへの酸化セリウムナノ粒子の効果:低濃度(15nM; 0.00001mg/kg)のCONP又は高濃度(15μM; 0.01mg/kg)のCONPを受けた照射群は、「ナノ粒子なし」照射群と比較した場合、放射線曝露から12週後の唾液流量が増加した。唾液測定分析では、30Gy/6分割照射の放射線を受けた対照群と、30Gy/6分割照射の放射線とCONPの併用治療で治療したマウスとの間で、唾液流量が統計的に有意な差を示した。
CONP15nM(0.00001mg/kg)及び15μM(0.01mg/kg)の照射群をそれぞれ「ナノ粒子なし」照射対照群と比較した場合、刺激唾流量に統計的に有意な差があり、15μM(0.01mg/kg)Ce0群が有利であった(P値:0.0003、95%Cl:−128.0から−52.90)。
放射線単独で治療したマウスにおいて観察された皮膚色素沈着過剰症のすべては、グレードIIとして記録された。比較すると、15nMのCONPで治療したマウスは、色素沈着過剰症のグレードIIの発生率が低く(33.33%)、グレードIの発生率が高かった(66.67%)。15μM(0.01mg/kg)のCe02ナノ粒子で治療したマウスは、色素沈着過剰症のグレードI及びIIの発生率が等しかった(それぞれ50%)。
グレード3放射線誘発皮膚炎の発生率と与えたCeOナノ粒子の濃度との間に逆相関が観察された(図30)。放射線照射後1週のグレード3皮膚炎の発生率は、CONPなし対照群と比較して、15μM(0.01mg/kg)のCONP群で減少した(グレード3皮膚炎の発生率がそれぞれ10%vs100%)。この効果は、15nMのCONP群では認められなかった。さらに、放射線に曝露され、かつ15nM(0.00001mg/kg)又は15μM(0.01mg/kg)の濃度のCONPのいずれかを受けた動物は、対照の「ナノ粒子なし」照射群と比較して、放射線皮膚炎の回復がより速かった。例えば、照射後12週で、照射前に15μM(0.01mg/kg)のCONPで事前治療された動物の60%において完全な治癒が観察されたのに対し、照射対照群ではそれが10%であった(図30参照)。
頭頸部領域への放射線照射後の唾液腺実質細胞のアポトーシス指数に対する酸化セリウムナノ粒子(CONP)の効果:
耳下、舌下、及び顎下腺を独立して分析し、腺房細胞アポトーシス指標をTUNEL分析を用いて決定した。その結果は、放射線照射後の個々の腺についてのアポトーシス指数の線量依存的な減少を示し、ナノ粒子の放射線防護の性質を示唆する(図31A及び31B参照)。
図31A及び31Bは、頭頸部領域への放射線照射後の唾液腺実質細胞のアポトーシス指数に対する酸化セリウムナノ粒子の効果を示す。(図31A)唾液腺(耳下、舌下、及び顎下)実質細胞の放射線誘発アポトーシス。CONP治療なしで放射線を与えたマウスの耳下腺は、放射線治療なしマウスの耳下腺(2.2%)、及び15nM(0.00001mg/kg)又は15μM(0.01mg/kg)のCONP+放射線を与えたマウスの腺(それぞれ5.32%及び4.25%)と比較して、アポトーシス指数の上昇(22%)を示した。非照射舌下腺は、1.87%のベースラインアポトーシス指数を有し、それが放射線照射後に26%に上昇した。15nM(0.00001mg/kg)又は15μM(0.01mg/kg)のCONPでの事前治療の結果、アポトーシス指数上昇の大きさは、放射線照射後にそれぞれ11.8%と7.2%に減少した。非照射顎下腺は、0.2%のベースラインアポトーシス指数を有した。CONP(15nM(0.00001mg/kg)又は15μM(0.01mg/kg))で事前治療することにより、放射線照射が前記インデックスを12.2%に上昇させたが、上昇の大きさはそれぞれ7.4%及び2.6%に減少した。(図31B)すべての主要な唾液腺への、放射線と併用でのCONPの効果についての相補的分析では、図31Aに示したものと同様の応答を得た。
すべての主要な唾液腺への、放射線と併用でのCONPの効果についての相補的分析では、同様の応答を得た。非照射群の腺房細胞全体のアポトーシス指数ベースラインは1.43%であったが、放射線誘発損傷がアポトーシス率を19.91%に増加させた。一方、放射線治療後、両CONP治療群(15nM及び15μM;0.00001mg/kg及び0.01mg/kg)は、それぞれ8.17%及び4.67%のアポトーシス指数を示した。統計学的分析では、「ナノ粒子なし」治療群と15μM(0.01mg/kg)CeO2治療群との間の有意差が実証された。(p値:0.0270、95%CI:2.77から27.03)。最後に、未処理の唾液組織と比較したアポトーシス死からの放射線防護の程度を定量するために、ナノ粒子と放射線と組み合わせを受けた群と対照群(すなわち「ナノ粒子なし」「非照射」対照)との間の比較を行った。放射線照射を受けた15μM(0.01mg/kg)のCONP群と「非照射」「ナノ粒子なし」対照群とのアポトーシス指数の比較は、統計学的差異を示さなかった(p値:0.1155、95%Cl:−8.534から1.378)。
一方、放射線照射を受けなかった15μM(0.01mg/kg)のCONP治療群及び非照射「ナノ粒子なし」対照群のアポトーシス指数は、それらの間に統計的差異を示さなかった。これらの結果は、CeOナノ粒子への曝露が腺房細胞に有害作用をもたらさないことを示唆している。
唾液腺細胞構造に対する放射線誘発損傷のH&E評価:
唾液腺、舌、頸部の所属リンパ節及び軟組織への放射線誘発損傷の程度を決定するために、これらの組織を採取し、H&E染色のために処理した。照射あり対照群(放射線単独)のマウスの前記腺は、広範囲のマクロファージ及びリンパ球浸潤を有し、その形態学的構造に目に見える損傷を示した。対照的に、15nM(0.00001mg/kg)(データは示していない)又は15μM(0.01mg/kg)のCONPを投与された照射マウスからの首標本は、腺房細胞の空胞化を示したが、腺房組織の全体的形態及び腺房細胞核の数は保持されているように見える(図32参照)。図32は、唾液腺実質細胞構造に対する放射線誘発損傷のH&E分析を示す。示したのは、採取した非照射唾液腺標本(A、D、G)[倍率40倍];30Gyを6分割照射した腺標本(B、E)[倍率40倍];及び15μM(0.01mg/kg)のCONPで事前治療し、続いて放射線照射した標本(C、F、I)[倍率40倍].のヘマトキシリン及びエオシン染色を用いた組織学的評価である。耳下腺の形態学的分析(パネルA:治療なし、非照射群[黄色丸])は、漿液性腺房における破壊(黄色矢印)及び肥大を示す放射線照射のみの標本(パネルB、黄色丸)とは対照的に、15μM(0.01mg/kg)のCONP照射群(パネルC、黄色丸)における漿液性腺房構造の保持を示した。舌下腺分析は、放射線照射のみの群(パネルE、黄色丸)で見られる線維性変化である照射後の損傷と比較して、治療なし非照射群と15μM(0.01mg/kg)のCONP照射群(パネルD&F、黄色丸)の粘液性腺房構造には何の変化も示さない。顎下標本において、漿液性腺房構造は保持されたが、放射線のみの群では炎症細胞(黄色の円)の発生率が高かった。一方、小葉内管の数は、治療なし非照射対照群及び15μM(0.01mg/kg)のCeO照射群(パネルG&I、黄色の矢印)と比較して、放射線照射単独群(パネルH、黄色の矢印)において大幅に減少した。
放射線誘発性の口腔乾燥症、皮膚炎、線維症、及び粘膜炎は、頭頚部がんの放射線療法の一般的かつ多くの場合重篤な合併症である。現在、アミホスチンは、臨床使用における唯一の薬剤である。残念ながら、その短い半減期、必要な1日量、及び費用が、頭頸部がんの放射線療法中にアミホスチンが広く使用されることの障壁となっている。その結果、耐容性が良好で、入手が容易で、長く持続し、費用効果の高い放射線防護剤が臨床的に未だ必要とされており、放射線防護の「万能薬」はまだ見つかっていない。
先行研究は、正常乳房(CRL−8798)細胞に放射線防護を提供するCeOナノ粒子の能力を証明したが、ヒト乳がん(MCF−7)細胞には50nMを超える濃度では放射線防護を提供しなかった。本研究の延長で、CeO2ナノ粒子が放射線誘発損傷から胃腸上皮を保護することが実証された。
本研究はまた、CONPがフリーラジカルスカベンジャーとして作用し、スーパーオキシドジスムターゼ2の生成を増加させることによって放射線防護を付与することも示唆している。動物試験では、CONPは生きた動物における耐容性が良好であることが実証されている。さらに、全肺照射後に採取した肺組織は、「ナノ粒子なし」対照と比較して、15nMのCONPで治療した無胸腺マウスにおいて肺炎及び線維症の組織学的エビデンスを示さなかった。これらの結果は、おそらく濃度依存性である放射線誘発損傷に対する頭頸部の組織の保護にCONPが重要な役割を果たし得ることを示している。
本研究において、刺激唾液測定の評価は、「ナノ粒子なし」照射治療群と比較して、すべてのCONP治療群において唾液生成の改善を強く示した。
???上セルと統合(後で削除)15μM(0.00001mg/kg)のCONP治療群において、照射後の平均唾液流量は、非照射対照の65%であったが、一方、15nM(0.00001mg/kg)CONP治療群においては、非照射対照の約50%であった。したがって、CONPは、放射線照射後に刺激による唾液分泌機能のある程度の保存を与えるようである。
1回照射実験(図29A参照)で治療したマウスのコホートにおける唾液流速が分割照射実験(図298参照)における唾液流速よりも(15〜20Gyの1回照射後でさえ)高かったことは、特筆に価する。唾液分泌減少が放射線照射後6週と比較して3ヶ月で大きくなるという議論がなされ得る。しかしながら、これは、臨床文献で示唆されるものではない。
臨床研究では、口腔乾燥症は放射線照射直後が比較的激しく、数ヶ月後に改善し始めることが示唆されている。
ヒトの臨床データとのこの不一致に対する説明は、不明である。第一の実験のマウスは、1回照射の放射線を受けたのであり、第二の実験での分割照射コースとは異なる生物学的有意性を有し得る。よって、この二つの群の間での唾液測定結果を比較するのは難しい。
15μM(0.01mg/kg)のCONPで治療したマウスでは、15nM(0.00001mg/kg)のCONP群では見られなかった、放射線皮膚炎の発症率の低下があった。しかし、急性放射線皮膚炎からの回復は、CONPで事前治療されたすべての群において比較的迅速であるようだった。
TUNEL分析は、CONP濃度に反比例する細胞死の減少を示した。最後に、唾液組織の構造は、最高濃度(15μM;0.01mg/kg)のナノ粒子を受けたマウスにおいて、放射線照射後も保存されたようである。
実施例5:放射線+パクリタキセルと併用での酸化セリウムナノ粒子の肺がんCRL5803細胞への効果
放射線及び化学療法剤パクリタキセルと酸化セリウムナノ粒子との併用療法を、肺がん細胞株でアッセイした。
実験計画
肺がんCRL5803細胞を96ウェルプレートに24時間播いた。(密度〜2000細胞/ウェル)。時間=0で、培養培地を交換し、細胞を以下の処理条件に晒した。
対照
放射線照射 5Gy
パクリタキセル 100μg
放射線及びパクリタキセルと併用の10nMの酸化セリウムナノ粒子
治療の24時間、48時間、72時間、及び96時間後に、Cell−Titer Glo Luminescent Cell Viability Assayを用いて細胞生存率を測定し、Optimaマイクロプレートリーダーを用いてプレートを読み取った。
図33に示す結果は、Optimaでの相対発光量(RLU)によって測定される、肺がん細胞生存率に対する併用療法の有効性を示す。
実施例6:マウス肝炎モデルにおける放射線及び化学療法と併用の酸化セリウムナノ粒子についての予備実験
併用療法(CONP、放射線、化学療法)の効果を肝炎のマウスモデルで試験した。
マウスを以下の治療群に割り当てた。
ナノ粒子は、放射線治療の2週前、放射線治療の間、及び放射線治療の2週後に投与された。酸化セリウムナノ粒子(1日目及び3日目に15μMの溶液を100μL、i.p.)治療週の2日目に放射線(30Gy)を1回照射した。パクリタキセル(100μg
溶液100μL、i.p.)を2回、2日目と4日目に投与した。
放射線治療の2週後、肝臓を剖検し、組織学的変化を分析し、分析のために撮影した。
結果:
図34に写真で示すように、以下の組織学的結果が各治療で観察された。
実施例7:放射腺+ゲムシタビンと併用での酸化セリウムナノ粒子の膵臓がんL3.6PL細胞への効果
放射線及び化学療法剤ゲムシタビンと酸化セリウムナノ粒子との併用療法を、膵臓がん細胞株でアッセイした。
実験計画
膵臓がんL3.6PL細胞を96ウェルプレートに24時間播いた。(密度〜2000細胞/ウェル)。時間=0で、培養培地を交換し、細胞を以下の処理条件に晒した。
− 対照
− 放射線照射 5Gy
− 50ng/ml ゲムシタビン
− 様々な濃度の酸化セリウムナノ粒子(0、10nM、100nM、1μM、及び100μM)を、放射線及びゲムシタビンとの併用でアッセイした。
治療の96時間後に、Cell−Titer Glo Luminescent Cell Viability Assayを用いて細胞生存率を測定し、Optimaマイクロプレートリーダーを用いてプレートを読み取った。
図35に示す結果は、Optimaでの相対発光量(吸光度562nm)によって測定される、膵臓がん細胞生存率に対する併用療法の有効性を示す。黒棒は、放射線とナノ粒子を表す。灰色棒は、ゲムシタビンとナノ粒子を表す。白棒は、放射線+ゲムシタビンとナノ粒子との併用を表す。
実施例8:放射腺+ゲムシタビンと併用での酸化セリウムナノ粒子の乳がんMDA−231細胞への効果
放射線及び化学療法剤パクリタキセルと酸化セリウムナノ粒子との併用療法を、乳がん細胞株MDA−231でアッセイする。他の細胞株MDA−431、MDA−435、A431も使用することができる。これらの細胞株は、ヒト起源であり、化学療法及び放射線あり及びなしで、酸化セリウムナノ粒子の有効性を決定するための細胞ベースの試験に使用される。
実験計画
乳がんMDA−231細胞を96ウェルプレートに24時間播く。(密度〜2000細胞/ウェル)。時間=0で、培養培地を交換し、細胞を以下の処理条件に晒す。
− 対照
− 放射線照射 5Gy
− パクリタキセル 100μg
− 様々な濃度の酸化セリウムナノ粒子(0、10nM、100nM、1μM、及び100μM)を、放射線及びパクリタキセルとの併用でアッセイする。
治療の96時間後に、Cell−Titer Glo Luminescent Cell Viability Assayを用いて細胞生存率を測定し、Optimaマイクロプレートリーダーを用いてプレートを読み取る。
ヒト細胞の移植又は注射を耐容する無胸腺ヌードマウスなどの同所動物モデルを用いて、細胞培養結果を確認する。細胞系をマウスのヒト由来の器官(すなわち乳房の乳房脂肪体又は肺組織)に注入したら、次にマウスを同様に治療する。腫瘍増殖/腫瘍体積/腫瘍重量(腫瘍の増殖に対する薬剤の有効性を決定するため)、体重(毒性を決定するため)、及び生存率(耐容性を決定するため)を測定する。確立された方法を用い、細胞死、細胞増殖、皮膚の熱傷による外部組織の保護、肺組織の線維症の変化、タンパク質の変化、及び細胞死又は生存率の変化を決定するために、同所性がん組織及び周囲の正常組織で組織学的及び病理学的検査を行う。
実施例9:放射腺+ゲムシタビンと併用での酸化セリウムナノ粒子の肺がんH226細胞への効果
放射線及び化学療法剤パクリタキセルと酸化セリウムナノ粒子との併用療法を、肺がん細胞株H226でアッセイする。他の細胞株PC14/PE6、A549又はH441も使用することができる。これらの細胞株は、ヒト起源であり、化学療法及び放射線あり及びなしで、酸化セリウムナノ粒子の有効性を決定するための細胞ベースの試験に使用される。
実験計画
肺がんH226細胞を96ウェルプレートに24時間播く。(密度〜2000細胞/ウェル)。時間=0で、培養培地を交換し、細胞を以下の処理条件に晒す。
− 対照
− 放射線照射 5Gy
− パクリタキセル 100μg
− 様々な濃度の酸化セリウムナノ粒子(0、10nM、100nM、1μM、及び100μM)を、放射線及びゲムシタビンとの併用でアッセイする。
治療の96時間後に、Cell−Titer Glo Luminescent Cell Viability Assayを用いて細胞生存率を測定し、Optimaマイクロプレートリーダーを用いてプレートを読み取る。
ヒト細胞の移植又は注射を耐容する無胸腺ヌードマウスなどの同所動物モデルを用いて、細胞培養結果を確認する。細胞系をマウスのヒト由来の器官(すなわち乳房の乳房脂肪体又は肺組織)に注入したら、次にマウスを同様に治療する。腫瘍増殖/腫瘍体積/腫瘍重量(腫瘍の増殖に対する薬剤の有効性を決定するため)、体重(毒性を決定するため)、及び生存率(耐容性を決定するため)を測定する。確立された方法を用い、細胞死、細胞増殖、皮膚の熱傷による外部組織の保護、肺組織の線維症の変化、タンパク質の変化、及び細胞死又は生存率の変化を決定するために、同所性がん組織及び周囲の正常組織で組織学的及び病理学的検査を行う。
実施例10:放射線+ゲムシタビンと併用での酸化セリウムナノ粒子の結腸がんCOLO
320細胞への効果
放射線及び化学療法剤パクリタキセルと酸化セリウムナノ粒子との併用療法を、結腸がん細胞株COLO 320でアッセイする。Caco−2、DLD−1、HCT−15、HCT−116、HT−29、SW620、WiDr、並びにLS174T及びTC71などの他の細胞株も使用することができる。これらの細胞株は、ヒト起源であり、化学療法及び放射線あり及びなしで、酸化セリウムナノ粒子の有効性を決定するための細胞ベースの試験に使用される。
実験計画
結腸がんCOLO 320細胞を96ウェルプレートに24時間播く。(密度〜2000細胞/ウェル)。時間=0で、培養培地を交換し、細胞を以下の処理条件に晒す。
− 対照
− 放射線照射 5Gy
− 100μM イリノテカン
− 様々な濃度の酸化セリウムナノ粒子(0、10nM、100nM、1μM、及び100μM)を、放射線及びゲムシタビンとの併用でアッセイする。
治療の96時間後に、Cell−Titer Glo Luminescent Cell Viability Assayを用いて細胞生存率を測定し、Optimaマイクロプレートリーダーを用いてプレートを読み取る。
ヒト細胞の移植又は注射を耐容する無胸腺ヌードマウスなどの同所動物モデルを用いて、細胞培養結果を確認する。細胞系をマウスのヒト由来の器官(すなわち乳房の乳房脂肪体又は肺組織)に注入したら、次にマウスを同様に治療する。腫瘍増殖/腫瘍体積/腫瘍重量(腫瘍の増殖に対する薬剤の有効性を決定するため)、体重(毒性を決定するため)、及び生存率(耐容性を決定するため)を測定する。確立された方法を用い、細胞死、細胞増殖、皮膚の熱傷による外部組織の保護、肺組織の線維症の変化、タンパク質の変化、及び細胞死又は生存率の変化を決定するために、同所性がん組織及び周囲の正常組織で組織学的及び病理学的検査を行う。
特に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似又は同等の任意の方法及び材料を本発明の実施又は試験に使用することができるが、好ましい方法、コンストラクト及び材料をここに記載する。本明細書で言及されるすべての刊行物は、その全体が参照により本明細書に援用される。参照により援用される参考文献に使用される用語及び定義に相違がある場合、本出願で使用される用語は、本明細書で付与された定義を有するものとする。
当業者には、本発明の広い概念から逸脱することなく、上述の実施態様に変更を加え得ることが理解されよう。したがって、本発明は、開示された特定の実施態様に限定されず、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の精神及び範囲の内にある変更を包含することが意図されている。

Claims (33)

  1. 治療を必要とする患者のがんを治療する方法であって、
    有効量の酸化セリウムナノ粒子を患者に投与すること;
    治療実効線量の放射線を患者に投与すること;及び
    治療的有効量の化学療法剤を患者に投与すること、それによりがんを治療することを含む、方法。
  2. 放射線の治療実効線量ががん細胞を死滅させる線量である、請求項1に記載の方法。
  3. 化学療法剤の治療的有効量ががん細胞を死滅させる用量である、請求項1に記載の方法。
  4. 酸化セリウムナノ粒子の有効量が、該ナノ粒子の非存在下での放射線及び/又は化学療法剤の治療的有効量 と比較して、放射線及び/又は化学療法剤の治療的有効量を低下させる用量である、請求項1に記載の方法。
  5. 放射線及び/又は化学療法剤の用量が、i)CONPの非存在下で現行の標準治療において用いられる用量又は(ii)CONPの非存在下で腫瘍を治療するための有効量のいずれかの約1%から90%の間、又は約1%から80%の間、又は約1%から70%の間、又は約1%から60%の間、又は約1%から50%の間、又は約1%から40%の間、又は約1%から30%の間、又は約1%から20%の間、又は約1%から10%の間である、請求項1に記載の方法。
  6. 放射線が酸化セリウムナノ粒子の投与後に投与される、請求項1に記載の方法。
  7. 放射線が酸化セリウムナノ粒子の投与前に投与される、請求項1に記載の方法。
  8. 化学療法剤が酸化セリウムナノ粒子及び/又は放射線の前に投与される、請求項1に記載の方法。
  9. 化学療法剤が酸化セリウムナノ粒子及び/又は放射線と同時に投与される、請求項1に記載の方法。
  10. 化学療法剤が酸化セリウムナノ粒子及び/又は放射線の後に投与される、請求項1に記載の方法。
  11. 酸化セリウムナノ粒子が約1ナノメートルから約20ナノメートルの間の粒径を有する、請求項1に記載の方法。
  12. 酸化セリウムナノ粒子が約1ナノメートルから約15ナノメートルの間の粒径を有する、請求項1に記載の方法。
  13. 酸化セリウムナノ粒子が約3ナノメートルから約10ナノメートルの間の粒径を有する、請求項1に記載の方法。
  14. 酸化セリウムナノ粒子が約3ナノメートルから約5ナノメートルの間の粒径を有する、請求項1に記載の方法。
  15. 酸化セリウムナノ粒子の有効量が患者体重1キログラム当たり約1ナノグラムから患者体重1キログラム当たり約50ミリグラムの間、又は患者体重1キログラム当たり約1ナノグラムから患者体重1キログラム当たり約5ミリグラムの間、又は患者体重1キログラム当たり約1ナノグラムから患者体重1キログラム当たり約0.5ミリグラムの間、又は患者体重1キログラム当たり約10ナノグラムから患者体重1キログラム当たり約0.5ミリグラムの間、又は患者体重1キログラム当たり約20ナノグラムから患者体重1キログラム当たり約100マイクログラムの間、又は患者体重1キログラム当たり約10ナノグラムから患者体重1キログラム当たり約10マイクログラムの間である、請求項1に記載の方法。
  16. 酸化セリウムナノ粒子が酸化セリウムナノ粒子と薬学的担体とを含む組成物の形態で提供される、請求項1に記載の方法。前記酸化セリウムナノ粒子組成物は、適切に製剤化されており、例えば局所、経口、非経口(例えば静脈内)、頬側、舌下、経鼻、直腸、パッチ、ポンプ又は経皮投与によって投与され得る。
  17. 酸化セリウムナノ粒子組成物が局所組成物である、請求項1に記載の方法。
  18. 局所組成物がCONP、界面活性剤、油及び水を含む、請求項17に記載の方法。
  19. 酸化セリウムナノ粒子組成物がマイクロエマルジョンである、請求項1に記載の方法。
  20. 投与後の患者の血漿中の酸化セリウムナノ粒子の全濃度が約5ナノモルから約200マイクロモルの間、又は約10ナノモルから約100マイクロモルの間、又は約20ナノモルから約10マイクロモルの間である、請求項1に記載の方法。
  21. 患者が膵臓がん、肺がん、乳がん、結腸がん、肝臓がん、皮膚がん、脳がん、骨がん、腎臓がん、卵巣がん、子宮がん、前立腺がん又は頭頚部がんと診断される、請求項1に記載の方法。
  22. 化学療法剤がソラフェニブ、レゴラフェニブ、イマチニブ、エリブリン、ゲムシタビン、カペシタビン、パゾパニブ、ラパチニブ、ダブラフェニブ、リンゴ酸スニチニブ、クリゾチニブ、エベロリムス、トリシロリムス、シロリムス、アキシチニブ、ゲフィチニブ、アナストロゾール、ビカルタミド、フルベストラント、ラルチトレキセド、ペメトレキセド、酢酸ゴセレリン、エルロチニブ、ベムラフェニブ、ビスモデギブ、クエン酸タモキシフェン、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、オキサリプラチン、ziv−アフリベルセプト、ベバシズマブ、トラスツズマブ、ペルツズマブ、パニツムマブ、タキサン、ブレオマイシン、メルファラン、プルンバギン、カンプトサール、マイトマイシン−C、ミトキサントロン、SMANCS、ドキソルビシン、ペグ化ドキソルビシン、フォルフィリ、5−フルオロウラシル、テモゾロミド、パシレオチド、テガフール、ギメラシル、オテラシル、イトラコナゾール、ボルテゾミブ、レナリドミド、イリノテカン、エピルビシン、及びロミデプシンからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。好ましい化学療法剤は、カルボプラチン、フルオロウラシル、ビンブラスチン、ゲムシタビン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、メトトレキセート、パクリタキセル、トポテカン、エトポシド、メトトレキセート、ソラフェニブ、イリノテカン、タルセバ又はそれらの組み合わせである。
  23. 化学療法剤が低酸素活性化プロドラッグであるエボホスファミド、TH−302、AQN4、バノキサントロン、ナイトロジェンマスタードプロドラッグであるPR−104、アパジコン EO−9、CB1954、5−(アジリジン−1−イル)−4−ヒドロキシルアミノ−2−ニトロベンズアミド、カンホスファミド、TLK286、TER286、JS−K、及びBoc−KAc−Puroからなる群から選択されるプロドラッグ化学療法剤である、請求項1に記載の方法。
  24. 化学療法剤がGSH又はGHT−πのペプチド模倣阻害剤、例えばγ−グルタミル−S−(ベンジル)システイニル−R−フェニルグリシンジエチルエーテル、TLK199、テリントラ、及びNOV−002から選択されるペプチド模倣阻害剤である、請求項1に記載の方法。GSH又はGHT−πのペプチド模倣阻害剤は、GSH(グルタチオン)のがん細胞レベル又はGHT−π(グルタチオン−S−トランスフェラーゼ−π)の活性を低下させ、その代謝を防止することによって、投与された抗がん薬物の毒性を高めることができる。また、多剤流出液輸送体であることが知られている多剤耐性関連タンパク質の阻害剤でもあるTLK−199でのがん患者の治療は、化学療法剤のがん細胞レベルを増加させるために使用され得る。
  25. がん化学療法剤がGSHによって活性化されるプロドラッグである、請求項1に記載の方法。一実施態様では、本発明の実施方法は、シス−6−(2−アセチルビニルチオ)プリン(シス−AVTP)及びトランス−6−(2−アセチルビニルチオ)グアニン(トランス−AVTP)からなる群より選択されるGSH活性化プロドラッグを患者に投与することを伴う。この本発明の実施方法は、γ−グルタミル−α−アミノ−β(2−エチル−N,N,N’,N’−テトラキス(2−クロロエチル)ホスホジアミデート)−スルホニル)−プロピオニル−(R)−フェニルグリシン(TLK286)及びO−[2,4−ジニトロ−5−(N−メチル−N−4−カルボキシフェニルアミノ)フェニル]1−N,N−ジメチルアミノ)ジアゼン−1−イウム−1,2−ジオレート(PABA/NO)からなる群より選択されるGST活性化プロドラッグでのがん患者の治療を伴い得る。
  26. がん治療を受けている患者に投与される放射線及び/又は少なくとも一の化学療法剤の毒性を低減する方法であって、
    (i) 有効量のCONPを患者に投与すること、
    (ii) ある線量の放射線及び/又はある用量の少なくとも一の化学療法剤を投与することを含み、
    有効量のCONPを投与することが患者に投与される放射線及び/又は少なくとも一の化学療法剤の毒性を低下させる、方法。
  27. がんを効果的に治療するのに必要とされる、患者に投与される放射線の線量及び/又は少なくとも一の化学療法剤の用量を低減させる方法であって、
    (i) 有効量のCONPを患者に投与すること、
    (ii) ある線量の放射線及び/又はある用量の少なくとも一の化学療法剤を投与することを含み、
    有効量のCONPを投与することががんを効果的に治療するのに必要とされる放射線の線量及び/又は少なくとも一の化学療法剤の用量を低減させる、方法。
  28. 化学療法剤がその特異性及び細胞経路標的の阻害能力に基づいて選択され、前記細胞経路標的は患者のがん細胞が影響されやすく、mTORC、RAFキナーゼ、MEKキナーゼ、ホスホイノシトールキナーゼ3、線維芽細胞増殖因子受容体、多重チロシンキナーゼ、ヒト上皮増殖因子受容体、血管内皮増殖因子、他の血管新生、熱ショックタンパク質;Smo(smooth)受容体、FMS様チロシンキナーゼ3受容体、アポトーシスタンパク質阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ、デアセチラーゼ、ALKチロシンキナーゼ受容体、セリン/スレオニンプロテインキナーゼ Pim−1、ポーキュパインアシルトランスフェラーゼ、ヘッジホッグ経路、プロテインキナーゼC、mDM2、グリピカン3、ChK1、肝細胞増殖因子MET受容体、上皮増殖因子ドメイン様7、Notch経路、Srcファミリーキナーゼ、DNAメチルトランスフェラーゼ、DNAインターカレーター、チミジンシンターゼ、微小管機能攪乱物質、DNA架橋剤、DNA鎖切断剤、DNAアルキル化剤、JNK依存性p53 Ser15リン酸化誘導剤、DNAトポイソメラーゼ阻害剤、Bcl−2、及びフリーラジカル発生剤からなる群より選択される、請求項1、26又は27のいずれか一項に記載の方法。
  29. がん部位で外科手技を実施することをさらに含む、請求項1、26又は27のいずれか一項に記載の方法。
  30. 外科手技が放射線の投与前にがん部位で実施される、請求項29に記載の方法。
  31. 外科手技が放射線の投与後にがん部位で実施される、請求項29に記載の方法。
  32. 外科手技が化学療法剤の投与前にがん部位で実施される、請求項29に記載の方法。
  33. 外科手技が化学療法剤の投与後にがん部位で実施される、請求項29に記載の方法。
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