下記の定義は、本発明を理解するのに役立つものである。
[NUC−1031]
化合物ゲムシタビン−[フェニル−ベンンゾイル−L−アラニニル]ホスフェート(NUC−1031とも略記され、または、商標名「Accelerin」としても呼称される)は、化学療法剤ゲムシタビンのプロチド(ProTide)誘導体である。ゲムシタビン−[フェニル−ベンンゾイル−L−アラニニル]ホスフェートは、ゲムシタビンの使用効果を制限する、固有且つ後天的抵抗機序の多くを排除すると考えられている(参照:WO2005/012327;[Application of ProTide Technology to Gemcitabine: A Successful Approach to Overcome the Key Cancer Resistance Mechanisms Leads to a New Agent (NUC-1031) in Clinical Development; Slusarczyk et all; J. Med. Chem.; 2014, 57, 1531-1542)。概念的には、化合物ゲムシタビン−[フェニル−ベンンゾイル−L−アラニニル]ホスフェートは、ゲムシタビンモノホスフェートのプロドラッグであるが、必ずしもがん幹細胞に対するその作用機序を反映していない。
NUC−1031は、2つのジアステレオマーで存在する。即ち、1つは、中央ホスフェートでエピ異性体であるゲムシタビン−[フェニル−ベンンゾキシ−L−アラニニル]−(S)−ホスフェート 1、及びゲムシタビン−[フェニル−ベンンゾキシ−L−アラニニル]−(R)−ホスフェート 2である。従って、本発明で使用されるNUC−1031は、ジアステレオマー的に純粋又は実質的ジアステレオマー的に純粋なゲムシタビン−[フェニル−ベンンゾキシ−L−アラニニル]−(S)−ホスフェートでよく、ジアステレオマー的に純粋又は実質的にジアステレオマー的に純粋ゲムシタビン−[フェニル−ベンンゾキシ−L−アラニニル]−(R)−ホスフェートでもよく、或いはそれら2つの異性体の混合物でもよい。
「実質的にジアステレオマー的に純粋」とは、本発明の目的のために、ジアステレオマー純度が約90%以上であるとの意である。これは、ジアステレオマー純度が約95%以上、約98%以上、約99%以上、又は約99.5%以上であることを意味する。ジアステレオマーは、クロマトグラフィー(例:任意にキラルカラムを使用するHPLC)又は結晶化によって分離される。NUC−1031ジアステレオマー混合物の保護形を形成し、NUC−1031ジアステレオマーの保護形を分離し(例:クロマトグラフィー又は結晶化を使用して)、次いで保護基を除去して、実質的にジアステレオマー的に純粋なNUC−1031を形成する。別法としては、当業界で周知の方法を使用して、実質的にジアステレオマー的に純粋な形で合成する。これは、化学及び酵素工程の両方を含んでいる。
NUC−1031は、遊離塩基の形か、又は薬剤的に許容される塩の形でよい。薬剤的に許容される適切な塩は、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、硼酸、スルファミド酸、および臭化水素酸に例示される薬剤的に許容される無機酸の塩、又は酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、オキシマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、ムチン酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸、および吉草酸に例示される薬剤的に許容される有機酸の塩が例示されるが、これらに限定されない。適切な塩基の塩は、非毒性の塩を生成する塩基から製造される。これらの例としては、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオラミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、および亜鉛塩が例示される。酸及び塩基のヘミ塩、例えば、ヘミ硫酸塩及びヘミカルシウム塩も生成される。
NUC−1031は、単結晶の形で存在するか、又は結晶の混合物の形で存在するか、もしく無定形として存在する。従って、医薬品としての本発明の化合物は、結晶又は無定形生成物として投与することができる。これらは、沈殿、結晶化、凍結乾燥又は噴霧乾燥、或いは蒸発乾燥のような方法によって、例えば、固体プラグ、粉末、又はフィルムとして得ることができる。この目的のためには、マイクロウェーブ又は高周波乾燥を使用することもできる。
[NUC−1031]の製剤
NUC−1031又は薬剤的に許容されるその塩は、単独で使用することができるが、通常医薬組成物の形で投与される。薬剤的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体と一緒に投与される。適切な医薬製剤を選択及び調製する従来の方法は、例えば、[Pharmaceuticals-The Science of Dosage Form Designs]M.E. Aulton, Churchill Livingstone, 1988:に記載されている。
NUC−1031、又は薬剤的に許容されるその塩を投与するモードによって、NUC−1031を投与するために使用する医薬組成物又は薬剤的に許容されるその塩は、0.05〜99%w(質量%)のNUC−1031、又は薬剤的に許容されるその塩を含むことが好ましく、0.10〜80%w(質量%)のNUC−1031、又は薬剤的に許容されるその塩を含むのがより好ましく、0.10〜70%w(質量%)のNUC−1031、又は薬剤的に許容されるその塩を含むことが更に好ましく、0.10〜50%w(質量%)のNUC−1031、又は薬剤的に許容されるその塩を含んでいると、一層好ましい。総ての質量%は、総組成物基準である。
NUC−1031、又は薬剤的に許容されるその塩は、経口投与することができる。経
口投与するために、NUC−1031は、アジュバント又は担体、例えば、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール;スターチ、例えばポテトスターチ、コーンスターチ、又はアミロペクチン;セルロース、例えば、セルロース誘導体;バインダー、例えばゼラチン又はポリビニルピロリドン;及び/又は滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、ワックス、パラフィン等と混合し、次いで圧縮してタブレットにする。被覆タブレットが必用な場合は、上述したようにして製造したコアを、例えばアラビヤゴム、ゼラチン、タルカム又は2酸化チタンを含んでいる濃縮砂糖溶液で被覆することができる。別の方法としては、タブレットを、容易に揮発する有機溶媒に溶解された適切なポリマーで被覆することができる。
然しながら、NUC−1031は、非経口投与、特に静脈内投与するのが好ましい。非経口投与、(例、静脈内投与)のために、NUC−1031、又は薬剤的に許容されるその塩は、滅菌水溶液又は油性溶液として投与される。NUC−1031は、非常に親油性である。従って、静脈内投与のための水性製剤、特にNUC−1031の遊離塩基の水性製剤は、一般的に、薬剤的に許容される極性溶媒、例えば、ジメチルアセトアミド、及び一種以上の可溶化剤又はその他の添加剤を含有している。
[がん幹細胞]
がん幹細胞は、時には「腫瘍開始細胞」と呼称されており、当業界に周知である。本明細書等において、用語「がん幹細胞」(本発明では、CSCと略記することもある)の広く受け入れられている意味は、非対称分裂によって自己再生能力を有しており、腫瘍の形成を開始し、かつ成熟した分化による非幹細胞がんを発生させる能力を有している細胞を意味している。
CSCsは、がんの発生、進行、再発及増殖に主要な役を担っている。従って、NUC−1031が、CSCsを標的にすることができるということ、したがって、それらの数を減少させることができるという発見は、がんの発生、進行、再発及増殖の活動を予防又は治療する可能性を提供するものである。
明細書において、さらに詳細に説明するように、CSCsは、前がん症状において発見される。CSCsの存在は、前がん症状の成長に関与するものと考えられる。従って、CSCsを標的にするために、NUC−1031を使用する本発明の治療方法及び医療的使用は、骨髄異形成症候群又は明細書の他の箇所で考えられる他の症状のような)前がん症状におけるCSC数を減少させるのに使用することができる。
前述したように、CSCsの非対称細胞分裂は、分化した非幹がん細胞を発生させる。このような非幹がん細胞の蓄積は、がんの進行の主要な要因である。NUC−1031でCSCsを標的にすると、CSCs数を減少させ、順次非幹がん細胞の子孫を減少させる。従って、本発明によるNUC−1031の医療的使用及び治療方法は、がんの進行を予防することによるがん治療に効果的である。この態様については、明細書の他の箇所で、より詳細に説明する。
CSCsは、寛解後のがんの再発の原因になり得るがん細胞の病原巣としても作用する。患者のがん細胞の大部分が除去(例えば、外科放射線治療、または化学療法の単独または組み合わせによって)されてしまったとしても、がんが残存している観察できる兆候がなくても、CSCsが存在し続けていると、時間と共にがん再発の核となる。NUC−1031によってCSCsを標的とすると、CSC数を減少させ、CSCsを殺す新しいモードが提供される。従って、新しいモードに関しては、明細書の他の箇所でより詳細に説明するように、適切な態様において、本発明は、NUC−1031ががんの再発を予防又は遅延させる方法及び医療的使用を提供するものである。
更に、CSCsは、体内において、がんの部位から他の位置へ移動すると、例えば転移を起こさせることによって、がんの増殖に関与する。その結果、NUC−1031がCSCsを標的とする能力が、がんの増殖を予防又は治療する新しい治療法及び医療的使用を提供する。
CSCsの生物学的活性に加えて、CSCsは、ある種の特徴的な細胞表面マーカも発現によって確認することができる。血液学的悪性疾患において確認されたがん幹細胞は、CD34
+である。一方、固形腫瘍では、CD44
+、CD133
+及びCD90
+が、がん幹細胞として確認されている。下記の表は、既知のCSC表面表現型をまとめたものである。CSCのこれらの形が、それぞれ、本発明に従ってNUC−1031を使用して標的とされることが期待され、NUC−1031を使用する方法又はその使用が、これら一連のマーカのいずれかを発現するCSCsと関連してがんの予防又は治療に使用される。
実施例に示したデータは、NUC−1031は、白血病幹細胞株のCSCs、特に急性骨髄性白血病細胞株に存在するCSCsを標的にすることができることを実証している。この細胞株は、NUC−1031によって標的となる明確な免疫表現型(Lin−/CD34+/CD38−/CD123+)をもったマイナーな幹細胞様コンパ−トメントを実証している。従って、本発明による、NUC−1031による治療法又はその医療的使用は、これらの特徴的なマーカを発現するCSCsと関連している白血病、又はその他のがんの予防又は治療に使用することができる。
更に、本発明は、患者のがん又は前がん症状を代表する生物学的サンプルの中のCSCsの存在の確認に基づいて、本発明に従って、NUC−1031を使用してがんの予防又は治療をすることを選択した患者に対する方法又は医療的使用を提供するものである。上述したマーカは、本発明の態様に従ってCSCsの存在確認に使用することができる適切な例を提供する。これらのマーカを表現する適切な技術は、生物学的サンプル中で臨床試験される。これに関しては、本明細書の他の箇所で説明する。
[がん幹細胞の標的]
本発明は、NUC−1031がCSCsを標的にするのに使用することができることの最初の適用を提供する。NUC−1031がCSCsを標的にする能力は、明細書の実施例に記載した[臨床試験]に説明してある。
[臨床試験1]の結果から、NUC−1031を、CSCsを含有するがん細胞個体群に適用すると、存在しているCSCsを標的とし、結果として、CSCsの表現型マーカを示す全がん細胞の割合を減少させることを理解することができる。
仮説に拘束されることを望まないが、本発明者等は、がん細胞個体群の中のCSCsが標的とされて殺された結果として、CSC数の減少数が上昇するものと考える。即ち、NUC−1031は、非幹細胞を殺すことに比べて、好ましくはCSCを殺すものと考えられ、結果として、CSCsを殺し、全がん細胞個体群の中のCSCsの割合を小さくさせる。
本発明者等は、NUC−1031が、非幹がん細胞に比べて、好ましくは、CSCsを殺すが、他の機序もNUC−1031が、これらの細胞を標的にすることによって、CSCsの割合を小さくするのに寄与しているものと考える。
実施例によれば、NUC−1031による治療は、CSC分化の増加を引き起こし、それによって、CSC数及びCSCsで代表される全がん細胞の割合をも小さくさせることができる。或いは、NUC−1031は、たとえば、CSCsの自己再生能力を失活させ、CSCsに、幹細胞表現型を失わせ、それによって、CSC数を減少させる。
従って、明細書等において、「CSCsの標的」は、そのように理解されるべきである。明細書等において、CSCsの「標的」は、イン・ビトロ又はイン・ビボにおいて、NUC−1031が、細胞個体群に存在するCSCsの割合を減少させるメカニズムを包含する。特に、CSCsの標的は、他の細胞タイプ、特に非幹がん細胞に比較して、CSCsを優先的に殺すことを包含している。
[がんの治療又は予防」
本発明は、NUC−1031を、がんの予防又は治療のために使用する医療的方法又は治療方法を提供するものである。本発明において、がんの[予防]は、がんの成長を阻止する目的で、がんの成長の前に使用されるNUC−1031の予防的適用に関するものと考えられる。一方、がんの[治療]は、がん細胞の増殖及び腫瘍成長を遅延又は阻止することによって、がんを軽減することを視野に入れた、がんが発生した後のNUC−1031の使用と考えられる。有利なことに、がんの治療は、がん細胞の数及び腫瘍のサイズの部分的又は全体的な減少をもたらす。がんの効果的な治療は、RECIST(固形腫瘍における奏効の判定基準)ルールに従って、疾患を「安定」にするか、又は「奏効」をもたらす。
以下に詳述するように、本発明によってがんを予防することは、がんを発症する可能性を増加させる前がん症状をもった患者に特定の利益をもたらす。
[がんの予防]
本発明によるがんの予防は、本発明による多種多様な態様又は態様によるNUC−1031を使用するがんの前駆症状の治療によってもたらされる。
特に、本発明のコンテキストによるがんの予防は、NUC−1031を前がん症状の患者に適用する本発明の方法又は医療使用によって達成される。本発明の態様による治療方法又は医療的使用は、治療した前がん症状の成長を防止し、それによってがんを効果的に予防する。
本発明によるがんの予防は、他のNUC−1031の予防的応用を包含しうるものである。たとば、CSCsを標的とするNUC−1031の能力、及びそれによるがんの発育の予防、及び/又はがんの進行、及び/又はがんの再発の予防、及び/又はがんの増殖の予防である。
[前がん症状]
がんは、しばしば、前がん症状状の進行が先行する。前がん症状自体はがん性ではないが、がんのリスクを伴っている。遺伝性又は後天的な変化が蓄積すると、予め、正常細胞をCSC表現型に成長させる。従って、CSCsは、そのような前がん状及びがん性状態に存在し得る。
前がん症状内のCSCsの存在は、これらの状態をがんへ成長させる。本発明の方法及び医療的使用は、前がん症状内に存在するCSCsを標的にするのに採用され、それによって前がん症状を治療する。NUC−1031がCSCsを標的にするという新規で予期せざる発見は、前がん症状のNUC−1031による治療が、がんに進行する前がん症状を予防するのに使用することができる。これは、後述するように、NUC−1031ががんの予防に医学的に使用することができる方法を表している。
本発明によって治療することができる前がん症状の例は、光線性角化症、バレット食道、萎縮性胃炎、先天性角化不全症、鉄欠乏嚥下障害、扁平苔癬、口腔粘膜下繊維症、日光弾力繊維症、子宮頚部異形成、白板症、紅板症、意義不明のモノクロナール免疫グロブリン血症(MGUS),モノクロナールB細胞リンパ球増加症(MBL)、骨髄異形性症候群、及び委縮性胃炎、胃潰瘍、悪性貧血、胃断端、胃ポリープ、及びメネトリエー病から成る群から選択されるが、これらに限定されない。前記例示した胃の前がん症状の中でも、委縮性胃炎、悪性貧血、胃断端、及びある種の胃ポリマーは、特に、がんに進行するリスクが高い。
前がん症状は、しばしば、異形成又は過形成細胞を含む異常な組織領域の形をとることがある。従って、代替として、又はCSCsの発現したマーカ又は表現型特徴をもった細胞の存在に加えて、異形成又は過形成細胞の存在は、前がん症状の確認に使用される。
異形成の過酷さは、様々な前がん症状の間で変化し、或いは時間と共に、単一の前がん症状に進行することである。一般に、前がん症状を伴う一層進行した異形成は、がんに進行する可能性がある。異形成は、主として、軽度、中度又は重症と区別される。重症の異形成は、治療せずに放置しておくと、通常、がんに進行する。従って、NUC−1031を採用する前がん症状の治療又は医療的使用は、重症の異形成を伴う前がん症状の患者の治療に使用される。
本発明の適切な態様において、NUC−1031を使用して、重症の子宮頚部異形成に罹患している患者を治療する。重症の子宮頚部異形成は、塗抹検査で診断可能である。本発明の別の態様において、NUC−1031を使用して、重症の食道異形成[バレット(Barrett)食道])を治療する。重症の食道異形成は、組織生検によって診断される。
最近、前悪性腫瘍は、がんに罹患していることが不明である個体の体細胞突然変異を検出することによって確認されることが報告されている。特に、加齢に伴うクローン性造血は、普通の前悪性腫瘍状態で、全死亡及び心血管代謝疾患の拡大するリスクを伴っている。血液細胞中に検出される突然変異の大多数は、DNMT3A,TET2及びASXL1の三つの遺伝子で発生したものである。従って、NUC−1031を使用してCSCsを標的とすることから効果を得、それによって前がん症状を治療する患者は、血液細胞を含むサンプルを分析検査することによって、DNMT3A及び/又はTET2及び/又はASXL1の少なくとも一つにおける前がん症状を示す遺伝的突然変異の存在を確認することができる。
本発明によって、NUC−1031を使用してCSCsを標的とする治療から効果を得る前がん症状は、明細書のどこかで説明するが、CSCs、CSC表現型のマーカ特性の発現に基づく技術のいずれかを参照して、CSCsの存在を決定することにより確認される。
[がんの治療]
当業者は、がんの「治療」を評価するためには、多くの測定値があることを理解すると思う。単なる一例として、がんの発育、がんの進行、がんの再生、又はがんの増殖の低減または予防は、がんの効果的な治療を示すと考えられている。
或る複数の態様において、NUC−1031を使用して、がん細胞の個体群の中のCSCsの割合を小さくすること;及び/又は腫瘍の成長を抑制すること;及び/又は腫瘍形成性を低減させること;及び/又は原発性がんを予防または治療すること;及び/又は再発がんを予防または治療すること;及び/または転移がんまたは二次がんを予防または治療すること;及び/または転移または再発を予防又は抑制すること;及び/又は難治性がんを治療又は予防することができる。
NUC−1031を使用して、腫瘍のサイズを縮小してがんを治療する能力、及び治療を行っている間/治療後、腫瘍のサイズを縮小するのを維持する能力は、効果的ながん治療を表す特定の指標を表している。実施例で説明したように、本発明の治療法及び医療的使用は、従来、他の治療法に対して抵抗していた再発がん又は難治性がんの治療においてさえ、効果があることが実証されている。
実施例に示したデータは、NUC−1031による治療は、がん細胞の個体群におけるCSCsの割合を小さくする。CSCsを確認するための特異的な生物活性又は細胞表面マーカは、明細書に記載されている。適切な態様において、本発明によるがんの治療は、患者のがんの中に存在するCSCsの割合を、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%又は少なくとも40%小さくする。適切な態様において、本発明によるがんの治療は、患者のがんの中に存在するCSCsの割合を、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%又は少なくとも80%小さくする。本発明によるがんの治療は、患者のがんの中に存在するCSCsの割合を、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%小さくする。実際、本発明によるがんの治療は、患者のがんの中に存在するCSCsの割合を、CSCsが実質的に残存していない程の、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%までにも小さくする。
CSCsの非対称分裂は、腫瘍の成長に寄与する。本発明によるNUC−1031によるがんの治療は、本発明によるがんの治療は、腫瘍の成長を、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、又は少なくとも40%抑制する。本発明による適切ながんの治療は、腫瘍の成長を、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%抑制する。本発明によるがんの治療は、治療を受けている患者の腫瘍の成長を、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%抑制する。実際、本発明によるがんの治療は、治療を受けている患者の腫瘍の成長を、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%までさえも抑制する。
腫瘍の成長は、腫瘍のサイズの経時的変化を評価する適切な方法によって評価される。好ましくは、がん治療の前に腫瘍のサイズを、がん治療の間又はがん治療の後で、同じ腫瘍のサイズを比較する。腫瘍のサイズを評価する多くの方法が知られている。例えば、腫瘍のサイズは、患者の内部のその部位の腫瘍を想像することによって評価される。イメージング技術のような適切な技術によって、腫瘍の容積を決定することができ、かつ腫瘍の容積の変化を評価することができる。
明細書の実施例に記載した結果に示したように、本発明のNUC−1031による治療方法及び医療的使用は、腫瘍の成長を止めるだけではなく、再発または難治性がんを含むがんに罹患している患者の腫瘍の容積を縮小する。本発明による適切ながんの治療は、腫瘍の容積を、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、又は少なくとも40%縮小する。適切な態様によれば、本発明によるがんの治療は、腫瘍の容積を、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%縮小する。本発明によるがんの治療は、腫瘍の容積を、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%縮小する。実際、本発明によるがんの治療は、腫瘍の容積を、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%までさえ縮小する。
上述した腫瘍の容積の縮小は、適当な対照実験を参照して計算することができる。例えば、適当な動物モデルでイン・ビトロ又はイン・ビボで実施した実験において、腫瘍容積の縮小は、NUC−1031で治療された腫瘍の容積と、(治療されていないか、又はNUC−1031以外の治療を受けていてもよい)対照腫瘍の容積とを直接比較することによって決定される。このように、腫瘍の治療を受けていないモデルは、患者の臨床試験又は治療管理の精神からは道徳的に容認できないことは理解されると思う。この場合、腫瘍の容積の縮小は、治療した腫瘍の容積と、治療を受ける前の同じ腫瘍の容積、又は治療を受けていない腫瘍が得たであろうと予測される容積とを比較することによって評価される。
実施例に記載した結果は、本発明のNUC−1031による治療方法及び医療的使用は、がんのバイオマーカ指標の減少をもたらすることができることを実証している。このようなバイオマーカ指標の減少は、更なる評価を提供し、それによってがんの効果的な治療が実証される。このようなバイオマーカの適切な例は、治療するべきがんのタイプに基づいて選択される。婦人科がんCA125の場合、バイオマーカの適当な例を表す。一方、膵臓又は胆嚢がんCA19.9の場合、バイオマーカの適当な例を表す。結腸がんCEAの場合、適当なバイオマーカである。
本発明によるがんの適切な治療は、がんのバイオマーカを、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、又は少なくとも40%小さくする。好ましい態様において、本発明によるがんの適切な治療は、がんのバイオマーカを、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%小さくする。本発明によるがんの治療は、がんのバイオマーカを、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%小さくする。実際、本発明によるがんの治療は、がんのバイオマーカを、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%さえも小さくする。
本発明によるがんの治療で観察される、CSCsの割合の減少、腫瘍の成長の低減、又は腫瘍の容積又はがんバイオマーカのような有益効果は、少なくとも1カ月間維持される。このような有益効果は、少なくとも2カ月間、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月間、少なくとも5カ月、又は少なくとも6カ月間維持される。実際、このような有益効果は、少なくとも12カ月間、少なくとも18カ月、又は少なくとも24ケ月間維持される。このような有益効果は、少なくとも3年間、少なくとも4年間、少なくとも5年間、少なくとも6年間、少なくとも7年間、少なくとも8年間、少なくとも9年間、又は10年間維持される。
本発明の適切な態様において、NUC−1031は、がん幹細胞を標的とすることによって、がん又は前がん状態の予防方法又は治療に使用される。本発明は、1個以上のがん幹細胞の腫瘍形成性を減退させる、がん又は前がん状態の予防又は治療する方法において、NUC−1031の使用を提供するものである。このような方法により、がんの進行又は腫瘍の成長を防止することができる。
本発明の方法又は医療的使用において、NUC−1031を使用して、がんの進行を予防又は治療する場合、このような予防又は治療は、がんの進行を遅くしたり、延ばしたり、完全に停止させることができる。
がんの進行は、主として、ステージをがんへ分類することによって決定される。がんステージング(病期分類)は、通常、IからIVの数をがんに割り当てることで実施される。Iは、分離がん及びIVは評価測定が限界まで広がってしまったがんである。ステージングの詳細あるいは細目は、がんによって変わるが、一般に、腫瘍のサイズ、腫瘍が隣接する組織を侵しているか否か、腫瘍がどの程度の数の局部(近傍)リンパ節に拡がっているか(もしあれば)、および腫瘍がより離れた位置に現れているか否か(転移)を考慮する。
一般に、ステージIは、肉体の一部に局在しており、(十分に小さい固形腫瘍で)外科切除で治療される。ステージIIは、局部的に進行しており、化学療法、放射線療法、外科、又はそれらの組み合わせで治療される。ステージIIIも、局部的に進行しており、通常、後期の局部的進行と見なされているが、ステージII又はステージIIIに指定するか否かは、がんの特異的タイプによる。ステージIVのがんは、第2の組織基に転移している。本発明の方法又は医療的適用において、NUC−1031を使用するがんの治療は、CSCsを標的とすることによって、ステージI、II、III、またはIVのがんを治療するのに適用される。NUC−1031による治療を使用して、がんが、或るステージから次のステージに進行するのを防止する。或る態様において、NUC−1031による治療を使用して、ステージIからステージIIへ進行するのを防止する。別の態様において、NUC−1031による治療を使用して、ステージIIからステージIIIへ進行するのを防止する。さらに別の態様において、NUC−1031による治療を使用して、ステージIIIからステージIVへ進行するのを防止する。
がんの予防又は抑制は、特に、がんの拡散、例えば、ステージIから、がんが局部的に拡がるステージIIへの進行、又はステージIIIから、がんが他の組織へ転移するステージIVへの進行を防止するのに重要である。CSCsは、腫瘍原性であり、局部性又は転移性の両方のがんの拡散にとって重要な役を担っていると考えられている。従って、NUC−1031を使用する本発明の治療法又は医療的使用により、腫瘍原性CSCsを標的とし、その数を減少させることによって、がんの拡散を防止することができる。
[がん]
CSCsは、広範ながんの生物学的活性を担っている。従って、広範ながんが、本発明によって予防又は治療される。
本明細書で説明するように、CSCsは、(貧血性白血病及びリンパ腫のような血液腫瘍を含む)液体腫瘍及び固形腫瘍(乳房、肺、結腸、前立腺、卵巣、皮膚、膀胱、胆嚢、および膵臓腫瘍)をはじめとする多様なタイプの腫瘍に存在することが知られている。従って、CSCsを標的とするNUC−1031を使用する本発明の治療法又は医療的使用は、上述したがんの予防又は治療に有用なことが期待される。
NUC−1031は、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、肺がん、肝臓がん、乳がん、頭頚部がん、神経芽細胞腫、甲状腺がん、(メラノーマを含む)皮膚がん、口腔扁平上皮がん、膀胱がん、タシジッヒ細胞腫瘍、胆管がん又は胆汁管がんのような胆嚢がん、膵臓がん、結腸がん、大腸がん、及び卵巣がん、子宮内膜がん、ファロピアン管がん、子宮がん、および子宮頸部がん、上皮子宮頸がんを含む婦人科がんから成る群から選択されるがんの予防又は治療に使用される。好ましい態様において、がんは白血病で、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病(急性骨髄球性又は急性非リンパ性白血病とも言われている)、急性前骨髄球白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病(慢性骨髄白血病,慢性骨髄球白血病又は慢性顆粒性白血病としても知られている)、慢性リンパ性白血病、単芽白血病および有毛細胞白血病から成る群から選択されたがんの予防又は治療に使用される。さらに好ましい態様においては、がんは、急性リンパ芽球性白血病である。適切な態様において、がんはリンパ腫で、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキット(Burkitt)リンパ腫、および小リンパ球リンパ腫から成る群から選択される。
上述したようながんのCSCsを適切に標的にすることにより、がんの発症を予防又は治療すること、がんの進行を予防又は治療すること、がんの再発を予防又は治療すること、がんの増殖を予防又は治療することによって、がんの効果的な治療を達成することができる。
本発明の適切な態様においては、転移性がんの予防又は治療において、CSCsを標的とするためのCSCsの使用が提供される。
本発明の適切な態様においては、再発又は難治性がんの治療において、CSCsを標的とするためのNUC−1031の使用が提供される。
本発明の適切な態様においては、原発がんの治療において、CSCsを標的とするためのNUC−1031の使用を提供する。好ましくは、治療される原発がんは、二次原発がんである。
本発明は、二次がんの治療において、CSCsを標的とするためのNUC−1031の使用を提供するものである。適切な態様においては、二次がんは、転移性がんである。
適切な態様において、本発明は、CSCsを標的とするためのNUC−1031の使用を提供するものである。CSCsを標的とすると、(i)がんの再発、(ii)二次原発がんの発生、又は(iii)がんの転移が予防又は抑制される。
NUC−1031がCSCsを標的とする能力に基づいて、NUC−1031を使用する治療方法又は医療的使用は、再発がん又は難治性がんの治療に使用することがきる。このような態様における再発がん又は難治性がんに関する考えは、特段の但し書きが無い限り、第8〜第10の態様に関連した再発がん又は難治性がんの治療に対しても同じことが言える。
[再発がん又は難治性がん]
上述したように、本発明の或る態様は、特に、再発がん又は難治性がんの治療におけるNUC−1031の使用に関している。
本発明の目的のために、難治性がんは、NUC−1031を使用する治療以外に、抗がん治療に抵抗を示すがんとして扱う。例えば、NUC−1031は、放射線治療に対して抵抗を示す難治性がんの治療に使用される。或いは、又は付加的に、NUC−1031は、がんの治療に使用される生物学的製剤に対して抵抗を示す難治性がんの治療に使用される。適切な態様においては、NUC−1031は、NUC−1031以外の化学療法剤による治療に対して抵抗を示す難治性がんの治療に使用される。
特に、NUC−1031を使用する本発明の医療的使用による治療方法から効果を得る難治性がんは、ゲミシタビンに対して抵抗を示す難治性がんを含んでいる。
再発がん(又は再発性がん)は、がんを検出することができない寛解の後で再帰するがんである。がんの再発は、原発がんの箇所(局所がん再発)、原発がんの箇所に近い箇所(領域がん再発)、又は原発がんの箇所から離れた箇所(遠位がん再発)で発生する。CSCsは、がんの再発における役を担って、再発がんが発生する細胞源を提供するものと考えられる。従って、CSCsを標的とすることができる本発明による治療方法、及びNUC−1031の医療的使用は、再発がんの治療に多大の利点をもたらす。NUC−1031がCSCsを標的とすることができる能力を使用して、再発を起こし得る細胞個体群を除去することができ、再発がんの発生を予防する。NUC−1031の抗CSC活性も、再発がんに存在するCSCsを標的とするのに使用することができ、また非幹がん細胞に対して細胞毒素効果を及ぼすことができ、従って、再発がんの治療が提供される。
上述した説明から、NUC−1031は、再発がんの予防又は治療のために、本発明の方法又は医療的使用において使用されることが理解しうると思う。NUC−1031は、再発がんの予防又は治療のために、本発明の方法又は医療的使用において使用されることは理解しうると思う。NUC−1031は、局所、領域又は遠位がんの予防又は治療のために、本発明の方法又は医療的使用において使用される。
NUC−1031は、本発明の方法又は医療的使用において使用して、少なくとも2カ月、少なくとも6カ月、少なくとも12カ月、少なくとも18カ月、少なくとも24カ月、又は少なくとも30カ月の寛解を与えることによって、がんの再発を予防することができる。実際、NUC−1031を使用して、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも6年、少なくとも7年、少なくとも8年、少なくとも9年、又は少なくとも10年間の寛解を与えることによって、がんの再発を予防することができる。
NUC−1031は、本発明の方法又は医療的使用において使用して、少なくとも2カ月、少なくとも6カ月、少なくとも12カ月、少なくとも18カ月、少なくとも24カ月、又は少なくとも30カ月の寛解を経過した後で、再発した再発がん治療すすることができる。実際、NUC−1031を使用して、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも6年、少なくとも7年、少なくとも8年、少なくとも9年、又は少なくとも10年間の寛解の後で、再発した再発がんを治療することができる。
NUC−1031がCSCsを標的とする能力は、NUC−1031が、本発明の第1の態様〜第10の態様の医療的使用及び治療方法によるがんの治療を予防する能力を発生させる。然しながら、NUC−1031も、非幹がん細胞に直接細胞毒素効果を与え、腫瘍の塊を形成するということに留意するべきである。CSCsの活性は、根底には、再発がん又は難治性がんの治療を非常に難しくする多くの抵抗があるが、非幹がん細胞も、再発がん又は難治性がんの主要な構成成分である。
NUC−1031は、ゲムシタタビンよりも、非幹がん細胞に対して大きな細胞毒素を与えNUC−1031から化学療法分子を導出する。従って、再発がん又は難治性がんの治療、例えば、本発明の第8、第9、又は第10の態様において、NUC−1031が活動するメカニズムは、単に、NUC−1031の抗CSCs活性に制限されず、非幹がん細胞に対するNUC−1031の作用を使用する。このような使用において、NUC−1031による治療は、CSCs及び非幹がん細胞の両方の総数を減少させるが、好ましくは、治療後残存している治療的に有効なNUC−1031の投与量の割合を小さくする。
[治療的に有効なNUC−1031の投与量]
治療的に有効なNUC−1031の量は、CSCsの死を誘発するのに十分な量でよい。或る態様において、特に、再発がん又は難治性がんの治療に関する態様において、治療的に有効なNUC−1031の量は、CSCsの死を誘発するのに、及び非幹がん細胞の死を誘発するのに十分な量でよい。
患者に投与されるべきNUC−1031のような治療的に有効な化合物の量を計算し、表記するには、異なる様々な方法がある。特に、がんの予防又は治療のための薬剤の投与量に関すると考えられる方法の一つは、患者の体表面積の単位当たりに投与される薬剤の量である。このような投与量は、主として、表面積(平方メータ(m2))当たりの(質量によって投与される)薬剤の量で表される。
がんの予防又は治療のために使用されるNUC−1031は、週投与量で、250mg/m2と1000mg/m2の間である。このような治療では、たとえば、週投与量で、375mg/m2と900mg/m2の間でもよい。更に、実施例で説明するように、本発明者等は、患者が、500mg/m2と825mg/m2の間の範囲で週投与量を受けると、NUC−1031が、再発がん又は難治性がんの効果的治療を達成することを発見した。
如何なる仮説にも拘束されるものではないが、本発明者等は、NUC−1031がCSCsを標的にする能力は、NUC−1031を低投与量使用することによって、低投与量以外の使用の場合に比べて、治療的効果が達成されると考えている。単なる一例として、NUC−1031の周投与量は、825mg/m2、750mg/m2、600mg/m2、又は500mg/m2という低投与量で、本発明の使用及び方法において治療的効果を証明する。
NUC−1031の選択された週投与は、1週間に、1回投与、又は複数回投与で適用される。例えば、NUC−1031の週投与は、2回投与、3回投与、又はそれ以上で適用される。従って、週投与量が750mg/m2の場合、これは、250mg/m2を、週に亘って、3回投与することで達成され、又は1週間で375mg/m2を2回投与することで達成される。同じように、週投与量が600mg/m2の場合、これは、200mg/m2を、週に亘って、3回投与することで達成され、又は1週間で300mg/m2を2回投与することにより達成される。
1週間にわたってNUC−1031の必要量を投与するために、1回の治療で投与されるべきNUC−1031の適量は、約100mg/m2と300mg/m2の間でよい。
適用されるNUC−1031の週投与量は、治療している間に少なくなる。例えば、本発明者等は、治療は、約1000mg/m2、900mg/m2、825mg/m2、750mg/m2、又は725mg/m2の週投与量で始められることを発見した。治療の間、必要投与量は、約750mg/m2(初期投与量がこの量以上の場合)、約650mg/m2、約625mg/m2、または約500mg/m2でさえ、又は約375mg/m2に減少される。
無論、NUC−1031のような薬剤の投与は、他の方法でも適用される。最も共通した事項は、体重単位当たり供給されるべき活性剤の量である。平均的なヒト患者に対して、投与量1mg/m2は、ほぼ0.025mg/kg体重に等しいと計算される。従って、データは、NUC−1031は、約6.25mg/kg〜約25mg/kgの範囲の投与量で、再発又は難治性がんの治療に有効であることを示している。適切な投与量は、例えば、約9.5mg/kgと22.5mg/kgの間である。適切な態様において、患者が、約12.5mg/kg及び20.5mg/kgの間の範囲の週投与量を受けた場合、NUC−1031は、再発がん又は難治性がんの効果的治療を達成する。
本発明の予防または治療方法及び医療的使用に適したNUC−1031の製剤に関する考察は、明細書等に記載されている。NUC−1031が注射製剤の場合、静脈内投与される。静脈内投与は、適当な時間枠内、例えば、10分間注射等で達成される。
[投与計画]
本発明の第11の態様は、がんの治療におけるNUC−1031の使用を提供するが、この場合、治療の開始時において、少なくとも治療の1サイクルにおいて、NUC−1031を、比較的高い投与量(約625mg/m2/週と1000mg/m2/週の間)で使用し、その後少なくとも更なる治療の1サイクルにおいて低週投与量に変える。このような投与計画は、CSCsを標的とすることによってがんの予防又は治療、或いは再発又は難治性がんの治療に使用される。
適当な態様において、NUC−1031は、5分間、10分間、又は30分間に亘ってボーラス静脈注射として投与される。
好ましくは、NUC−1031は、4週サイクルから6週サイクルまで、1、8、15日投与される。或いは、NUC−1031は、4週サイクルから6週サイクルまで、1、5、8、12、15、19日投与される。
NUC−1031を、週2回投与する投与計画及びサイクルは、特に、再発又は難治性がんのようながんの治療に、特に効果的である。
[治療のタイプ]
適当な態様において、本発明は、請求項1による、がんの一次治療としてCSCsを標的とするNUC−1031の使用に関する。
然しながら、NUC−1031がCSCsを標的にすることができ、そのことによって、がん又は難治性がんを治療することができるという発見は、NUC−1031が、がんの効果的治療を提供することができるということを説明している。そのことは、他の治療では効果がないことを証明している。従って、適当な態様において、本発明は、がんの二次治療として、CSCsを標的とするためのNUC−1031を提供する。実際、適当な態様において、本発明は、がんの第三次治療、或いは更なる段階の治療として、CSCsを標的とするためのNUC−1031を提供するものである。
適当な態様において、本発明は、がんの治療におけるネオアジュバント(術前補助療法)としてのNUC−1031の使用を提供するものである。ネオアジュバントは、がんの外科的除去のように「主要」抗がん治療の前に、腫瘍のサイズを小さくするために患者に適用される薬剤である。NUC−1031は、ネオアジュバント治療として患者に使用され、次いで患者は、がんの外科治療及び/又は放射線治療を受ける。
或いは又は付加的に、本発明は、がんの治療におけるアジュバントとしてのNUC−1031の使用を提供する。アジュバントは、がんの外科的除去のように「主要」抗がん治療の後に、主治療の後のがんの再発を予防するために患者に適用される薬剤である。NUC−1031は、がんの外科治療及び/又は放射線治療を受けた患者のためのアジュバントとして使用することができる。
NUC−1031は、本発明の方法又は使用において、単剤治療に使用され、NUC−1031は、予防又は治療に使用される実質的にすべての治療活動を提供するものである。
或いは、本発明の方法又は使用では、併用療法としてNUC−1031を使用する。このような態様において、NUC−1031は、少なくとも一つの別のがん治療と協同して使用される。この更なるがん治療は、外科及び/又は放射線治療を含んでいる。付加的に、或いは、この更なるがん治療は、少なくとも一つの更なる治療剤の使用を含んでおり、達成されるべきがんの予防又は治療に貢献する。好ましくは、このような薬剤は、がんの予防又は治療に使用される化学治療剤又は生物学的薬剤である。
併用療法の適当な態様において、NUC−1031及び更なる治療剤は、同時に患者に適用される。適切な例において、NUC−1031及び更なる治療剤は、同じ薬剤組成物の一部として調剤される。又は、NUC−1031及び更なる治療剤は、別々に調剤されて、実質的に同じ時間に患者に適用される。
併用療法の他の適当な態様において、NUC−1031及び更なる治療剤は、異なる時間に患者に適用される。NUC−1031及び更なる治療剤は、患者に、逐次的に適用される。例えば、NUC−1031は、更なる治療剤が適用する前に、患者に適用される。又は、NUC−1031は、更なる治療剤が適用された後に、患者に適用される。
[更なるの治療剤]
NUC−1031は、がんを予防又は治療するための広範な更なる治療剤と組み合わせて使用することができる。これら更なる治療剤には、生物学的薬剤、免疫治療剤、および化学治療剤があって、がんの予防または治療に使用される。
適当な更なる薬剤の特定例を、下記の段落に記載するが、これらは、NUC−1031との組み合わせに適した更なる薬剤の範囲を限定するものではない。実際、NUC−1031がCSCsを標的とする能力は、このような更なる薬剤が、CSCs、非幹がん細胞、又は他の細胞、或いはがんの成長、維持又は増殖に包含される構成成分を標的にするか否かに拘わらず、NUC−1031が、がんの予防又は治療に使用される更なる薬剤と組み合わせて、効果的に使用されることを示している。
NUC−1031と組み合わせて使用される更なる治療薬剤の例
(a)血管新生阻害剤−任意選択的に、血管新生阻害剤は、(i)VEGF(血管内皮細胞増殖因子)経路抑制剤、任意選択的に、ベバシズマブ(血管内皮細胞増殖因子に対するモノクロナール抗体);(ii)チロシンキナーゼ抑制剤、任意選択的に、ソラフェニブ、スニチニブ、又はパゾパニブ;又は(iii)TOR抑制剤、任意選択的に、エベロリマム;
(b)アルキル化剤;
(c)抗代謝物;
(d)抗腫瘍抗生物質;
(e)トポイソメラーゼ;
(f)糸分裂抑制剤;
(g)モノクロナ−ル抗生物質;
(h)金属性剤、又は
(i)能動又は受動免疫療法
明細書に特段の但し書きが無い限り、上記リストで挙げた更なる治療剤は、すべて、上記考察したように、NUC−1031との併用療法の如何なる態様においても使用に適していると考えるべきである。
[患者の選択]
本発明者等による、「NUC−1031はCSCsを標的にすることができる」という発見によって、特定の患者が、再発又は難治性がんのようながんの予防又は治療において、NUC−1031から効果を受ける可能性が高いか否かを決定することができる多数の方法を可能にしている。
従って、本発明は、がん又は前がん症状の患者が、NUC−1031によるがんの予防又は治療から効果を得るか否かを決定する方法を提供するものであり、この方法は、患者のがん又は前がん症状を代表する生物学的サンプルを分析してCSCsの存在を確認することを含んでおり、生物学的サンプル中にCSCsが存在すると、患者がNUC−1031による治療から効果を得るであろうことを示している。
更に、本発明は、がん又は前がん症状の患者に対して適当な治療計画を決定する方法を提供するものであり、この方法は、患者のがん又は前がん症状を代表する生物学的サンプルを分析してCSCsの存在を確認することを含んでおり、生物学的サンプル中にCSCsが存在すると、適当な治療計画は、NUC−1031による患者の治療を含んでいることを示している。
更に、本発明は、患者のがん又は前がん症状を代表する生物学的サンプルを分析して、CSCsの存在を確認することを含んでおり、生物学的サンプル中にCSCsが存在すると、その患者は、NUC−1031による治療に適していることを示していると判断する方法によって、がんの治療のために選択された患者のがんの予防又は治療において使用するためのNUC−1031を提供するものである。
適当な態様においては、生物学的サンプルの中のCSCsは、明細書ですでに説明したマーカの特徴的なパターンの発現によって確認される。
当業者は、前述したような本発明の態様において使用される生物学的サンプルには、多数の適当な例があることを理解すると思う。好ましくは、このようなサンプルは、がん又は前がん症状からの細胞を含んでいる。適当な生物学的サンプルは、組織学的に使用するための組織サンプルである。このようなサンプル中の細胞を直接評価して、前述したようなCSCマーカの発現を確認することができる。
代替的に、或いは追加的に、適当な生物学的サンプルは、がん又は前がん症状の細胞による遺伝子発現を代表する標的分子を含んでいる。このような標的分子の例は、遺伝子発現によって符号化されたプロテイン、又は遺伝子発現を代表するmRNAのような核酸である。
CSCマーカの発現を評価する技術の適当な例は、サンプルのタイプを参照して選択される。発現されたマーカを調査・臨床試験するための技術は、しばしば、(診断又は予後目的のような)臨床評価で使用されており、それらの使用は、それらを本発明に応用する必要がある人達は熟知していると思われる。単なる一例して、プロテインを含むサンプルにおいて、CSCマーカの存在は、問題のCSCマーカと反応する抗生物資を使用する適切な技術で評価される。プロテインCSCマーカを含むサンプルの例は、組織学的サンプル(前記マーカの存在は、適当な免疫細胞学的技術によって視認される)、又は循環から導出されるサンプルがある。(転移によるがんの増殖の一因になると考えられている)循環CSCsの存在は、フロー・サイトメトリー(流動細胞分析法)のような技術を使用して評価される。
CSCマーカの発現を代表する核酸を含有するサンプルにおいて、そのような発現は、適当なプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応増幅によるような適当な分子生物学技術によって評価される。
本発明を、以下の実施例を参照して詳述する。
[実施例]
1.NUC−1031は優先的にCSCsを標的にする
下記の臨床試験は、NUC−1031が、試験管内で、優先的にCSCsを標的にし、がん細胞の個体群に存在するCSCsの割合を減少させることを示している。
1.1 原発性急性骨髄性白血病芽球細胞におけるNUC−1031及びゲムシタビンのLD50値の比較
NUC−1031の、原発性急性骨髄性白血病(AML)芽球細胞に対する細胞毒性を評価した。NUC−1031及びゲムシタビンに関して、LD50値(培地の腫瘍細胞の50%を死滅させるに必要な濃度)を計算した。
[原発性急性骨髄性白血病細胞における試験管内毒性検定]
前に治療を受けていないで、原発性急性骨髄性白血病(AML)と診断された患者から採取した骨髄サンプルをエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)内に採集した。AML芽球細胞を、Histopaque(Sigma,Poole,UK)を使用する密度勾配遠心で濃縮し、次いでウシ胎児血清(FBS)10%で補充したRoswell Park Memorial Institute 培地(RPMI)に維持した。前記細胞を、濃度0.25μMと10μMの間の濃度のゲムシタビン又はNUC−1031で処理し、48時間培養した。すべての培養物を、5%CO2の湿潤させた雰囲気、37℃で維持した。
[原発性AML細胞における試験管内アポトーシスの測定]
前記細胞を採集し、CD34−フルオロセンイソチオシアネート(FITC)(BD Biosciences,Buckingham,UK)で標識し、次いで、アロコフィシアニン(APC)(Bioscience Ltd,Hatfield,UK)で標識したアネキシンVを4μL含む結合バッファー200μL中で再懸濁した。Accuri C6フローサイトメーター(Becton Dickinson,CA,USA)を使用して、CD34+AML細胞内でアポトーシスを定量化した。少なくとも10,000エベントを得た。次いで、FlowJo ソフトウェア(Tree Star Inc., Ashland,OR,USA)を使用して、データを解析した。すべてのLD50値(細胞50%を死滅させるのに要する薬剤濃度)を、用量−反応曲線から導出した。
[原発性AML細胞におけるCD34+/CD123+部分個体群の同定及び定量化]
CD34及びCD123の二重発現により、推定白血病幹細胞を同定した。これらの細胞のゲムシタビン及びNUC−1031の効果に対する相対感受性を、ゲムシタビン及びNUC−1031のモル比に対する、露出された後に生存可能として残存している原発性AML細胞の百分率関数として評価した。
この臨床試験の結果を図2に示した。図2において、パネルAは、ゲムシタビン及びNUC−1031に関して計算されたオーバーレイ用量反応を示している。パネルBは、ゲムシタビン(3.1×10−6M)と比較したNUC−1031(1.6×10−6M)に関して得た、はるかに低い平均LD50値を示す棒グラフである。
ゲムシタビンと比較した場合、NUC−1031が示したポテンシー(薬効)が上昇しているのに加えて、マイクロモル濃度のAML芽球培養物中において、CSCsが激減する能力が増加していることを示している(図3及び4)。この分析で測定したNUC−1031の細胞毒性は、ゲムシタビンと比較した場合、CSCs及び非幹がん細胞両者のポテンシーが上昇していることを示している。
1.2 NUC−1031によるCSCsに対する優先的標的
NUC−1031及びゲムシタビンが、それぞれ、CSCsを標的にする能力を、AML及びKG1aにおいて検討した。この検討のために、特に、KG1a株を選択した。その理由は、細胞個体群の中のCSCsは、Lin−/CD34+/CD38−/CD123+免疫表現型を示し、それが、細胞個体群の中でCSCsを、非幹がん細胞(「バルクがん細胞」とも言われている)と容易に区別させるからである。
1.3 KG1a細胞培養条件
急性骨髄性白血病(AML)KG1a細胞株を、ペニシリン100単位/mL、ストレプトマイシン100μg/mL,及び20%のウシ胎児血清で補充したRPMI培地(Invitrogen, Paisley, UK)に維持した。次いで、96個の培養皿に、細胞を小分け(105細胞/100μL)し、それぞれ実験的に決定された濃度のNUC−1031又はゲムシタビンの存在下、湿潤させた5%二酸化炭素雰囲気において37℃で72時間培養した。更に、薬剤を添加していない対照培地で実行した。次いで、遠心分離によって細胞を採集し、アネキシンV検定を使用するフロー・サイトメトリーで分析した。
1.4 試験管内アポトーシスの測定
遠心分離により、培養した細胞を採集し、次いでカルシウム−富化バッファー195μL中で再懸濁した。次いで、5μLのアネキシンV(Caltag Medsystem,Botolph Claydon,UL)を、前記細胞懸濁液に添加し、暗所にて10分間培養して、洗浄した。細胞を、ヨウ化プロピジューム10μLを添加したカルシウム−富化バッファー190μL中で、最終的に再懸濁した。前述した二色免疫蛍光フロー・サイトメトリーで、アポトーシスを評価した。次いで、ヌクレオシドアナログ及びプロタイドそれぞれに対するLD50値(培養液中の細胞50%を死滅させるに要する投与量)を計算した。
1.5 白血病幹細胞コンパートメントの免疫表現の同定
それぞれ広範な濃度のヌクレオシドアナログ及びそれらのプロタイドの存在下にKG1a細胞を、72時間培養した。次いで、細胞を採集し、抗系統抗生物質(PE−cy7)、抗CD34(FITC),抗CD38(PE)、および抗CD123(PERCPcy5)から成るカクテールで標識した。次いで、白血病幹細胞(LSC)表現型を示すサブ個体群を確認し、培養物中に残っている全ての生存可能な細胞の百分率として表した。次いで、残存している幹細胞の百分率を、投与量−反応グラフにプロットし、プロタイドの効果を、親のヌクレオシドと比較した。
分析されるそれぞれの化合物の広範な濃度の存在下に、KG1a細胞を72時間培養した。次いで、細胞を採集し、抗系統抗生物質(PE−cy7)、抗CD34(FITC),抗CD38(PE)、および抗CD123(PERCPcy5)から成るカクテールで標識した。次いで、CSCs表現型を示すサブ個体群を確認し、培養物中に残っている全ての生存可能な細胞の百分率として表した。次いで、残存しているCSCsの百分率を、投与量−反応グラフにプロットし、NUC−1031(及びその精製アイソマー)の効果をゲヌシタビンと比較した。
1.6 統計的分析
一元配置分散分析を使用して、これらの実験で得たデータを評価した。オムニバスK2テストを使用して、全てのデータを、ガウス分布又はガウス近似として確認した、LD50値を、非線形回帰及びS字状用量−反応カーブの最良適合分析の線から計算した。Graphpad Prism 6.0ソフトウェア(Graphpad Software Inc.,San Diego,CA)を使用してすべての統計的分析を実行した。
KG1a細胞において、NUC−1031(及びその精製アイソマー)は、ゲムシタビンと比較した場合、増加した試験管内ポテンシー(薬効)を示した(図5)。然しながら、非分離混合物とNUC−1031の精製アイソマーの間で、顕著な相違は無い。更に、NUC−1031は、ゲムシタビンと比較した場合、CSCsを優先的に標的とすることを示した。これは、μM以下の濃度のプロタイドにおいて、常に、観察された(図6)。更に、本発明者等による実験システムでは、2つのNUC−1031の精製アイソマーは、それらがCSCsを標的とする能力に顕著な相違を示さなかった。
2. NUC−1031は、ヒト患者の再発又は難治性がんを治療することができる。 以下のデータは、現在までに使用されてきたあらゆる従来の治療法をもってしても難治性であるか又は再発をした進行性がんに罹患しているヒト患者におけるNUC−1031の臨床試験で得たものである。その結果は、NUC−1031が、難治性がんを上手く治療できることを示している。
本臨床試験の投与量の漸増の第1目的は、推奨フェーズII投与(RP2D)及び安全性プロファイルを決定することであるが、第2目的は、PKプロファイルを決定することである。然しながら、広がった難治性がんに罹患している患者の効果的治療も本臨床試験の一部として観察された。
総数68人の患者が、この投与量の漸増臨床試験を受けた。そのうち、49人は、臨床奏功が評価可能で、NUC−1031投与を少なくとも2サイクル受け、したがって、RECIST1.1判定に対して評価可能であった。
表1:ProGem1臨床試験における最良総合奏功率
NUC−1031は、5〜30分静脈内スロー大量注射で投与した。
●スケジュールA:NUC−1031は、1日、8日、15日を4週サイクルで投与した。
●スケジュールB:NUC−1031は、1日、5日、8日、12日、15日、19日を4週サイクルで投与した。
判定可能な患者[n=49]
判定可能な患者は、NUC−1031を2サイクル以上受けた患者で、サイクル2の最後でRECIST1.1判定に対して評価可能であった。月単位で計算した病状奏功期間が“+”で表されている場合、これは直近の検査基準日の進行中の病状管理を示している。
患者004 乳がん:安定疾患
女性(67歳)
2002年、悪性度2と診断された湿潤性乳管がん(ER+ve,HER2−ve)。
第1次選択治療で、彼女は外科手術を受け、アジュバントとしてエピルビシン+ドセタキセルの投与、放射線治療及びタモキシフェンによるホルモン療法の継続投与、次いで2010年までアナストロゾールの投与を受けた。
症状進行は、2012年に記録された。彼女は、第3次選択治療として、4ケ月カペシタビン及びナベルビンの化学療法を受けた。進行した症状の治療を受けたが、新たに肝臓及び肺に転移した。彼女は、2012年9月、P13Kインヒビター(フェーズ1試験)投与を開始し、2サイクル(2カ月)受けた。然しながら、症状は進行し、治療を受けていたが、肝臓の転移部のサイズ大きくなっていた。
2012年12月3日、毎週500mg/m2のNUC−1031の投与を開始した。6サイクル終了し、許容治療は上手くいった。臨床試験の終わりには症状は安定し、特例として、NUC−1031の第7回サイクルの継続を要求した。次いで、サイクル7の後で「休薬日」が選択された。更に5ケ月間安定が続いて、症状が進行するまで治療は必要なかった。
RECIST判定基準:安定疾患(12ケ月)
患者005 卵巣がん:安定疾患
女性(58歳)
2009年、ステージ3の両側漿液性卵巣がんと診断された。2009年6月23日、この患者は、全腹部摘出術及び卵管卵巣摘出術を受けたが、切除不能大網沈着物はその箇所に残されたままであった。2009年10月、第1次選択化学治療で、カルボプラチン+パクリタキセルを6サイクル投与された。然しながら、最終治療サイクルで、カルボプラチンに対するアレルギー反応を起こした。
最初の再発は8カ月後に発生した。2010年10月、患者は、CAELYX(登録商標)インヒビター及びVEGFR−2インヒビター(フェーズII臨床臨床試験)の6サイクル投与を開始したが、VEGFR−2の単独治療が維持された。第2の再発は9ケ月後に起こった、腫瘍マーカ125及びCT検査の結果、計測3.2cmの左側骨盤内腫瘤が確認された。第3次選択化学治療が開始され、週1回のパクリタキセルの投与を6サイクル受けた。CA125が低下する初期中度奏効を得、腫瘍の容積はある程度小さくなった。5ケ月後、CA125レベルが上がっていることで、症状が進行していることが確認され、腫瘍のサイズが大きくなっていた。
2013年1月7日、週500mg/m2のNUC−1031の投与を受けた。臨床試験プロトコールの6サイクルが完了して、安定疾患を得、次いでさらに6カ月NUC−1031の投与を受け、結果として12カ月治療を受けた。患者は、治療によく耐えた。CA125レベルは、臨床試験の開始時点の208から、サイクル6の終了時には140に降下していた。12カ月後、患者は治療の停止を選択し、治療停止後3カ月で再発した。
RECIST判定基準:安定疾患(15カ月)。
患者006 胆管がん:安定疾患
男性(43歳)
2009年、原発性胆管がんと診断された。ウイップル法を適用した。患者にはアジュバントとしてゲムシタビンを6サイクル投与した。2012年2月に再発した。患者には、2012年7月まで、CapeOx療法を行った。2012年の後で、CTスキャンが骨転移を示していた。これらの転移に対して、腰部まで一連の放射線治療で治療した。
2013年1月31日、週2回375mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、2サイクル完了した。スケジュールAに変更して、375mg/m2を投与し、更に1投与を受けた。わずか2回のNUC−1031の投与の後、CA19.9マーカが、125.002から59.285へ降下した。CTスキャンは、転移性肺病変及びリンパ節の縮小を示した。
RECIST判定基準:安定疾患(3カ月)。
患者007 大腸がん:安定疾患
男性(73歳)
2008年、大腸がんと診断された。2009年4月、FOLFOXの6サイクルに続いて、原発性腫瘍は除去された。右肝臓切除及び回腸瘻造設手術を行った2009年8月、更に外科手術を行った。2010年7月には、ピッコロ試験(パニツムマブ+イリノテカン)を行った。6カ月後、更なる合併症のために、高周波アブレーション(RFA)及び胆管ステンディング(stending)を受けた。2011年12月、患者は、(セツキシマブ+イリノテカン+5−FU)の7サイクル投与を受けた。然しながら、その後症状は進行した。
2013年2月11日、NUC−1031の375mg/m2の週2回投与を受け、サイクルの半分は完了した。
治療の遅れに続いて、および患者の便宜上の要望によって、500mg/m2の週間スケジュールに変更し、2サイクルは完了した。この治療期間中、患者は、血小板減少症(G3)(基準線で見られる脾腫大になる恐れがある)発症した。2013年2月25日、超音波スキャンは、脾腫大の結果としての血栓症を伴う恐れがある門脈の圧迫を示した。CEAが361から286へ、XA19.9が3.15から2.957へ小さくなった。
RECIST判定基準:安定疾患(3カ月)。
患者008 未知の原発性がん:安定疾患
女性(37歳)
2012年未知の原発性後腹膜腫瘤及び転生性疾患と診断された。2012年8月から、ゲムシタビン+シスプラチンの4サイクル治療の後で、腫瘍は急速に進行した。
2013年2月12日、NUC−1031の375mg/m2の週2回投与を受け、2サイクルが完了した。1サイクルの間、患者は治療により症状が緩和し、かつ気分や幸福感が改善された。一過性(G3)の高トランスアミナーゼ血症(ALT及びAST)が発症した。基準線に存在すると考えられているリンパ浮腫は、サイクル2の間進行していた。
又、胸水が発生したが、臨床試験薬剤には関係ないと評価された。
RECIST判定基準:安定疾患(3カ月)。
患者010 子宮内膜がん:安定疾患
女性(60歳)
2012年子宮内膜がん(ステージIV、悪性度3)と診断された。2012年2月、患者は、骨盤腔内腫瘤に放射線治療及びカルボプラチン+パクリタキセルの6サイクル投与を受けた。2012年症状が進行すると、パクリタキセルの3サイクル投与を受けた。2013年1月、メゲースのサイクルの間症状は急速に進行した。
2013年3月19日、NUC−1031の750mg/m2の1サイクルが完了した。サイクル1の間、好中球減少症(G3)が発症したが、GCSFによる介入後、数日で消散した。サイクル2では投与量は500mg/m2に減少し、この投与量で5サイクルは完了した。患者には、一過性(G3)の高トランスアミナーゼ血症が発症した。Ca125は、727から488に低下していた。臨床試験中、患者は症状が安定しており、この状態を、NUC−1031の投与を停止した後、更に3ケ月維持した。
RECIST判定基準:安定疾患(9カ月)。
患者011 子宮がん肉腫:安定疾患
女性(67歳)
子宮がん肉腫(子宮の再発MMMT)及び肝臓、肺、及び傍大動脈リンパ節転移と診断された。2011年6月、広範性子宮全摘手術及び両側卵管卵巣摘出手術を受けた。2011年6月から2012年11月、患者は、アジュバントとしてシスプティン及びドキソルビシンンの6サイクル投与を完了した(殆ど完全に寛解傾向をもって治療は良好な奏功を示した)。
2012年6月、更に、前方臓器摘出術、直腸解剖、及び端端吻合術による回腸管修復及び形成術受けた。更に、2012年6月、患者は、彼女の回腸管への尿管の内移植を伴う開腹手術及び直腸漏のためのHartman法を受けた。2013年3月、週1回のパクリタキセル投与の6サイクルが完了したが、治療期間を通して腫瘍は進行していた。
2013年4月15日、週2回NUC−1031の375mg/m2の投与を受け、2.6 サイクルが終了した。患者は、RECIST判定基準で安定疾患を示し、腫瘍容積が26%減少した。治療の間、一過性の好中球減少症(G3)及び低ヘモグロビン(G2)を発症した。患者の要望により、週間スケジュールを、625mg/m2、サイクル4に変更し、更に1サイクル完了した。2013年に、サイクル4の終了(4カ月)におけるCTスキャンは、症状の進行を示していた。これらの新しい病巣は、肺において2、1レトロ静脈リンパ節を示した。肝臓における原病巣のサイズは小さくなり続け、肺の他の標的病巣は安定を維持していた。患者は、臨床試験から脱落した。
RECIST判定基準:安定疾患(4カ月)
患者012 胆管がん:安定疾患
女性(48歳)
2013年、右側の腹痛の診断に続いて、ステージIV、悪性度3の胆管がんと診断された。CTスキャンは、肝臓、肺、および腹膜転移を示していた。2013年1月〜4月、患者は、シスプラチン+ゲムシタビンの3サイクル投与を受けたが、症状は急速に進展した。
2013年5月16日、週2回375mg/m2のNUC−1031の投与を受け、3サイクルが終了した。患者の要望で、週スケジュールを625mg/m2のサイクル4に変更し、更に3サイクルを終了した。患者は治療によく耐えた。臨床試験の終了時点で、患者は、安定疾患を得、更に2サイクル治療し、総計8サイクルの治療を受けた。
RECIST判定基準:安定疾患(8カ月)。
患者013 子宮頸部がん:部分寛解
女性(51歳)
2011年9月、手術不能の低分化扁平上皮子宮頚がん(ステージ2b、G2/3)と診断された。彼女は、シスプラチン(4サイクル)及び放射線治療を受け、担当臨床医から、「良好な奏効状態」であると言われた。
2012年7月、患者の症状は進行し、2012年7月と同11月の間に、カルボプラチン+パクリタキセル+セジラニブ(CIRCCA トレイル(trail))の6投与を受け、安定疾患を得た。2013年4月、スキャンは、症状が進行していて、腸骨リンパ節の増大を併発していることを示した。
2013年5月28日、週1回750mg/m2のNUC−1031の投与を受け、2サイクルが終了した。投与量は625mg/m2に減少し、更に4サイクルを終了した。治療前から、下方骨盤痛があったが、治療によってこの痛みは除去され、オピオイドの使用はかなり減少した。
患者は、NUC−1031の使用開始前及び治療中も、両側の金属製尿管ステントのため、反復性尿路感染症の問題を抱えていた。
患者は、ProGem1の終了した点において、部分寛解を示した。次いで、週1回、500mg/m2に減らした投与を受け、更に3サイクルを終了し、合計9サイクルのNUC−1031の投与を受けた。患者の腫瘍は、更なる腫瘍減量手術のための再評価をする程度にまで縮小した。
RECIST判定基準:部分寛解(9カ月、PFS 11カ月)
患者014 中皮腫:進行性疾患
女性(51歳)
2012年、右半胸廓に再発性上皮様中皮腫があると診断された。ペルメトレキセド+カルボプラチンの4サイクル療法を受けた。2012年12月に進行すると、臨床試験に入り、ダサチニブを投与したが、非奏効で、症状は進行した。
2013年6月20日、週1回750mg/m2のNUC−1031の投与を受け、1サイクルが終了した。投与量は625mg/m2に減少し、更に1サイクルを終了した。臨床試験を断念した。
進行性疾患
患者015 がん(未知、原発性):部分奏功
男性(54歳)
腹痛症状を診療していたが、2012年9月未知の原発性がんと診断された。
その時点で、彼は、肝臓及び肺臓へ転移していることを告知された。肝臓生検の結果、病巣性腺分化を伴った低分化がんを示した。2012年10月から2013年4月まで、“CUP”(原発不明がん)臨床試験の範囲で、エピルビシン+シスプラチン+カペシタビンの8サイクル投与を受けたが、総量20kgの浮腫、胸水及び腹水を伴った進行性疾患になっていた。患者は、この計画で、極度の悪心、嘔吐及び疲労を経験した。
2013年6月20日に、週1回750mg/m2のNUC−1031の投与を、2回受けた。投与量を625mg/m2に減少し、サイクル1が終了し、更に、低投与量で、更に5サイクルを受けた。この臨床試験において、参加した患者は、下肢の浮腫及び腹水(約20kg)を記録した。サイクル1に続いて、下肢の浮腫及び腹水は消滅し、患者は、前よりも気分がよくなったと報告された。サイク1の間、8日目で、血小板減少症(G3),リンパ球減少症(G3)及び好中球減少症(G2)が進行し、その結果、治療が2週間遅延した。サイクル2の終了時点で、スキャンは、全ての標的病変の減少を示し、RECIST判定基準で安定疾患であった。サイクル4の終了時点で、スキャンは、全ての標的病変の更なる減少を示し、RECIST判定基準で、部分寛解であった。この状態は、臨床試験の終了まで維持された。コンパッショネート(救済使用、人道的使用)の継続が要望され、この投与量で、更に3サイクルが終了した。各サイクルの8日目に続いて、血球数は、一貫して低下し始めた。サイクル10から、投与量を更に500mg/m2に減少したが、望ましい効果を得、更に10サイクル(総計19)を終了した。
2015年1月9日、最近のスキャンは、持続した部分寛解(腫瘍サイズが約58%縮小)及び標的とした腸間膜リンパ節が、もはや、視認できないことを示した。サイクル10の間、両脚に液体が増加したが、スピロノラクトンに良く反応して、完全に消滅した。そのまま19カ月後に、2014年12月12日、ヒックマン・ラインを入れかえたが、悪影響はなかった。患者は、臨床的によい状態を維持していた。CIとの相談の後、患者は、幸せなことに、治療を停止し、腫瘍学者に差し戻され、オプションを話し合うことになるであろう。
RECIST判定基準:部分寛解(20+月;PFS24+月)現在継続中
患者017 肺がん:部分寛解
女性(60歳)
2011年9月、肺、肝臓及び副腎転移を伴った肺腺がんと診断された。更に、患者は、2011年12月に行われた胸膜癒着術を受け、次いでシスプラチン+ペメトレキセドの3サイクル投与を受け、2012年3月に終了し、部分寛解を達した。2012年3月から9月まで、ドセタキセルの6サイクルを受け、部分寛解を得た。2013年4月、彼女は、症状が悪化し、ドセタキセルに再挑戦したが、ドセタキセルの2サイクルの間に進行した。
2013年7月、週1回750mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、1投与受けた。投与量を625mg/m2に減少し、2投与を受け、サイクル1が終了し、更に、5サイクルを終了した。肺へ感染及び低血小板症のため、治療は4週間遅れた。リンパ節疾患、特に首に顕著な反応があった。
標的とした病変は縮小を続けた。このことは、サイクル2及びサイクル4の後でCTスキャンにより証明された。この段階で、RECIST判定基準で安定疾患であった。
サイクル6の終了時点で、CTスキャンは、標的とした病変が更に縮小していることを示し、臨床試験の終了時点で、RECIST判定基準は、全ての標的病変において部分寛解に変更された。コンパッショネート(救済使用、人道的使用)に基づく継続が要望され、更に3サイクルが終了した。患者は、NUC−1031によく耐えたが、声がしわがれ声になり、嚥下障害を起こした。サイクル9が終了した2014年4月17日、スキャンは、標的病変の成長及び新たな肝臓病を伴った進行性疾患を示した。
臨床試験から辞退。
RECIST判定基準:部分寛解(3カ月;PFS 10カ月)
患者018 肺がん:安定疾患
女性(65歳)
2011年5月、扁平上皮細胞肺がんと診断された。2011年6月から10月まで、SQUIRE試験範囲で、ゲムシタビン+シスプラチンの6サイクル投与を受けた。2012年4月、疾患が再発した。右肺門に1回の緩和放射線治療を受け、2012年5月から9月まで、ドキセタキセルの6サイクル投与を受けた。
2012年10月進行性疾患。2012年12月から3カ月エルロチニブ投与を開始したが、2013年3月右肺門に進行性疾患が発見された。2013年7月25日、週1回625mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、4サイクルが終了した。RECIST判定基準:安定疾患(4カ月)。大動脈閉塞症による症状悪化のため、患者は臨床試験から辞退した。前記大動脈閉塞症を消散させるため、低線量の放射線治療を受け、コンパッショネート(救済使用、人道的使用)アクセスプログラムに基づくNUC−1031を推奨された。更に1回のNUC−1031投与の後で、患者を、コンパッショネート(救済使用、人道的使用)アクセスプログラムから辞退させることが同意された。患者の疾患の大きさは、辞退した時点で安定であった。
RECIST判定基準:安定疾患(4カ月)
患者021 卵管がん:部分寛解
女性(61歳)
2008年、再発したステージ2a、悪性度2の卵巣の類内膜腺がんと診断。彼女は、カルボプラチン+パシリタキセルの6サイクル投与を受け、2008年10月終了した。2011年6月、再発し、胸膜、皮膜下肝臓、大網及び腸間膜腫瘍結節と告知され、ICON6臨床試験を勧奨され、カルボプラチン+パシリタキセル+/−セヂラニブの6サイクル投与を受けた。彼女は、治療への部分寛解に達した。CA125が上昇したこと及び進行性腹膜疾患のために治療を中断した2012年3月まで、セジラニブ投与を維持した。
2012年3月〜7月、彼女は、週1回のパシリタキセル投与を6サイクル受け、最初は、腹膜疾患に対して良好な放射線照射効果を得た。2013年2月、彼女には、新たな体内浸出液の発生及び腹膜疾患の悪化が発見された。彼女は、毎日、カルボプラチン+パシリタキセル、及びAKTRES臨床試験に基づいてAKTインヒビターの投与を開始したが、3サイクル後の2013年5月症状は進行した。
2013年8月28日、週1回625mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、6サイクルが終了した。腹部の腹水貯留は著しく減少した。臨床試験に先立って、2週間ごとに、ドレナージの要望があったが、NUC−1031の投与を開始して以来、更なるドレナージは要求されなかった。患者は、NUC−1031に、良く耐えた。臨床試験の終了時点で、RECIST判定基準は安定疾患。
コンパッショネートユース(救済使用、人道的使用)による継続が要望され、更なるサイクルが終了した。サイクル7の終了時点の2014年2月26日、スキャンは、腫瘍の大きさが更に縮小していることを示した。このことにより、RECIST判定基準で、部分寛解を確認した。有意なCA125奏効:サイクル6(35)の終了時点で、基値(372)から91%減少。
RECISTによる現在までの最良総合効果は、部分寛解(3カ月)又はGCIG判定基準で部分寛解(9月)。
部分寛解。
患者024 未知原発性がん:進行疾患
女性(51歳)
2012年4月、未知の原発性がんと診断。2012年4月から10月まで、CAPOX8サイクルを受けた。2012年10月、イリノテカンの投与を受け、更に2012年11月ベバシズマブの添加を受けたが、奏功はなかった。
2013年9月26日、週1回675mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、2サイクルが終了した。サイクル2の終了時点で、CTスキャンは、進行性疾患であることを示した。
進行性疾患。
患者025 中皮腫:安定疾患
男性(54歳)
2013年3月、右肺のT4N3M0類上皮型中皮腫と診断された。2013年5月〜8月まで、ペメトレキシド+シスプラチンの4サイクル投与を受けた。
2013年10月23日、週1回725mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、4サイクルが終了した。サイクル4の終了時点で、CTスキャンは、進行性疾患であることを示した。臨床試験から撤退。
RECIST判定基準:安定疾患(4カ月)
患者026 大腸がん:安定疾患
女性(63歳)
2007年2月、肺及び膀胱転移を併発したT4N2大腸がんと断された。2007年11月、アジュバントとしてFOLFOXの12サイクルの投与を受けた。2009年骨盤内再発に進行し、カペシタビン投与を受けた。
2012年再発した。2012年9月にFOLFIRIの投与を受け、2013年1月迄、カペシタビン+イリノテカンの投与を受けた。2013年7月、CTスキャンは、進行性疾患、仙骨及び肺結節の破壊の原因になる仙骨前腫瘍の再発を示した。
2013年10月17日、週1回725mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、4サイクルが終了した。苦痛は顕著に改善され、オピオイド鎮痛薬の使用量は劇的に減少した。サイクル4の終了時点で、CTスキャンは、進行性疾患であることを示した。
RECIST判定基準:安定疾患(4カ月)
患者027 卵巣がん:安定疾患
女性(46歳)
2009年12月、両方の卵巣が漿液性腺がんと診断された。両側卵管卵巣全摘出術及び大網切除術の後で、カブロプラチン+パシリタキセルの6サイクル投与を受け、2010年5月、完全奏効を達した。2011年6月、患者は再発し、カブロプラチン+パシリタキセルの6サイクル投与(ICON6臨床試験)を受けた。2012年12月、患者は、更に、ゲムシタビン+カブロプラチンの3サイクル投与を受けたが、カブロプラチンにアレルギー反応を起こし、薬剤をシスプラチンに変更した。彼女は、総計で6サイクルを終了し、2013年4月、部分寛解を達成した。続いて、6カ月のタモキシフェン投与を受けたが、2013年7月、CTスキャンは、新たな縦隔リンパ節転移及びCA124レベルの増加を示した。2013年10月のCTスキャンは、腹膜沈着のサイズが大きくなっていることを示した。
2013年10月30日、週1回725mg/m2のNUC−1031の投与を開始した。サイクル1の第1日の後で、ALT(G3)が上がり、このグループのDLTが、基値において96から256に上がった。数日後に、ALTはG2に戻り、患者は、サイクル1の8日目に、減量した投与量675mg/m2を受けた。減量した投与量におけるサイクル1が終了し、更に3サイクルを受けた。患者は、RECIST判定基準で安定疾患を達成し、腫瘍の大きさが23%縮小していた。サイクル6の終了時点で、CA125は、基値において188から99に減少していた。軽度の好中球減少症のため、サイクル5では、投与量は、更に、625mg/m2に減少された。この投与量で、更なる問題は発生しなかった。コンパッショネート(救済使用、人道的使用)による継続が要望され、更なるサイクルを受けた。
RECIST判定基準:安定疾患(8カ月)
患者029 乳がん:安定疾患
女性(53歳)
2002年、多発性骨転移及び肝臓転移を伴った転移乳がん(ER及びPGR陽性)と診断。FEC投与、アジュバント放射線治療及びタモキシフェン及びゴセレリンンの投与の6サイクルを受けた。2010年、新たな骨転移が検出され、ゾラデックス、レトロゾール、およびパミドロナートで治療した。2011年、ゾラデックス及びエキセメスタンに変更し、11月にファスロデックスを増加した。2012年、症状は更に進行し、カペシタビン+ゾメタ投与に続いて、パクリタキセルの3サイクルだけを受けた。2013年5月、ルカパリブによる治療を受けた。2013年7月、肝疾患が進行し、ゲマシタビン+カルボプラチンの3サイクル投与を受けた。
2013年11月14日、週1回725mg/m2のNUC−1031の投与を開始した。3サイクルが終了した。本臨床試験に関係ないことであるが、不幸なことに、在宅中致命的な心臓停止を起こした。
RECIST判定基準:安定疾患(4カ月)
患者030 卵巣がん:安定疾患
女性(62歳)
2012年、漿液性卵巣腺がんと診断。2012年7月、アジュバントとしてカルボプラチン+パクリタキセルの6サイクル投与を受け、完全奏功を達成した。2013年8月、進行性疾患、カルボプラチン+Caelyx(ドキソルビシン)開始、3サイクル後に進行した。
2013年11月21日、週1回725mg/m2のNUC−1031の投与を開始した。3サイクルが終了し、患者は臨床試験用薬剤によく耐えた。2サイクルの終了時点で、CTスキャンは、RECIST判定基準で安定疾患を示した。不安定な食事問題のため脱水症状と栄養失調を発生し、治療期間を長引かせた。臨床試験を断念した。
RECIST判定基準で安定疾患を示した(3カ月)。
患者031 胆管がん:進行性疾患
女性(76歳)
2013年7月、胆管がんと診断された。7月27日、彼女は、改良ウイプル手術を受けた。外科手術のとき、彼女は、複数の肝臓転移があると告知された。2013年8月、彼女は、ゲマシタビン+オキザリプラティン投与を、2週間ごとに6サイクル開始した。
2013年12月9日、週1回750mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、2サイクルを終了した。サイクル2の終了時点で、スキャンは、進行性疾患を示した。
臨床試験を断念。
患者032 食道がん:安定疾患
男性(56歳)
2013年6月、食道の扁平上皮がんと診断された。2013年9月からシスプラチン+カペシタビンの3サイクル投与を受けた。腹膜及び肝臓転移を伴った進行性疾患。2013年10月、食道ステントを挿入して、嚥下困難症を管理した。
2013年12月16日、週1回750mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、2サイクルを終了した。サイクル2の終了時点で、CTスキャンは、RECIST判定基準で安定疾患を示した。患者は、肺/気瘻に困難を抱えていた。臨床的進行のために、臨床試験を断念した。
RECIST判定基準で安定疾患(2カ月)を示した。
患者033 胆管がん:安定疾患
女性(37歳)
2013年6月、肝臓、腹膜、および大動脈傍リンパ節点転移並びに肺小結節を伴った進行性胆管がんと診断された。6月、彼女は、肝生検を受けた。その結果、低分化胆管がんの恐れがあることを示し、幾つかの特徴は肝臓原発を示唆した。2013年7月、彼女は、ゲムシタビン及びシスプラチンの化学療法を開始し、6サイクルを受けたが、好中球減少症のため入院したので、サイクル5の幾つかは割愛した。
彼女のインターバルスキャンは、部分寛解を示した。然しながら、不幸なことに、2013年11月28日の彼女の治療後CTスキャンは、安定した肝臓病変を伴った進行性疾患を示した。然し、肺転移のサイズは大きくなっていて、新たに幾つかの腹膜沈着があった。更に、彼女は、溶菌胸骨病変があることを告知された。
2014年1月3日、週1回750mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、4サイクルを終了した。サイクル2の終了時点で、CTスキャンは、RECIST判定基準で安定疾患を示した。サイクル4の終了時点で、CTスキャンは、進行性疾患を示した。患者は、臨床試験を断念した。
RECIST判定基準で安定疾患(3カ月)。
患者036 腎臓がん:安定疾患
男性(20歳)
2012年12月、髄質細胞腎臓がんと診断された。2013年1月から7月まで、ゲムシタビン+パクリタキセル+カルボプラチンの投与5サイクルを受け、治療の間安定疾患を示した。G−CSFの介入を必要とする血小板減少症及び好中球減少症のため、患者の治療は遅れた。再発に続いて、2013年7月ゲムシタビン+ドキソルビシンの投与を開始したが、2サイクルの間、2013年9月進行した。
2014年1月28日、週1回、825mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、4サイクルを終了した。サイクル1の間、患者は疲れと疲労感を経験した。ロラゼパムを中断したところ、患者は、より一層意識清明になった。彼は、NUC−1031は、以前の治療計画(レジメン)に比べて、はるかに我慢できたと報告した。サイクル4の終了時点で、スキャンは、持続安定疾患を示し、腫瘍容積は7%縮小した。続いて、サイクル5の第1日、血小板減少症(G3)を発症したので、投与を750mg/m2に減らした。続いて、サイクル5の8日目、疲労増大、食欲不振を示し、更なる治療を提供しなかった。病状悪化のため、臨床試験を断念した。
RECIST判定基準で安定疾患(5カ月)。
患者037 膵臓がん:部分寛解
女性(70歳)
2013年3月、膵臓腺がんと診断された。2013年3月26日、ウイプル(Whipple)術を計画したが、広範囲の癒着のため、がんは切除できず、生検を行った。肝臓の楔状切除により、転移性疾患であることを確認した。組織学は、中分化がんであることを示した。2013年5月から10月まで、ゲムシタビンの6サイクル投与を受けた。2013年11月のCTスキャンは、患者は、膵臓腫瘍の部分寛解を示したが、肝臓の横左葉に新たな転移があることを示した。
2014年2月14日、週1回、1000mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、この投与量で1サイクルを受けた。この時点で、DSMC(効果安全性評価委員会)は、一人の患者(患者番号039)にDLT(用量制限毒性)が発生したのでこの個体群の全ての患者の投与量を900mg/m2に減らすことを決定した。患者は、新たな投与量で更に1サイクル受けた。サイクル2の終了時点で、CTスキャンは、腫瘍容積が18.4%縮小し、RECIST判定基準で安定疾患を示した。
腹部及び背中の痛みが、著しく緩和された。患者は、1日2回(bd)、オキシコンチン80mgの投与を受け、今やモルフィネの投与は完全に停止した。また、腫瘍マーカは、きわめて顕著に降下した。CA19.9は、基値において15,000から4,000に低下し、CEAは、基値において536から42に低下した。各サイクルの後の疲労が大きな問題になった。2014年4月29日におけるCTスキャンは、腫瘍が更に30%縮小していることを示していて、RECIST判定基準で部分寛解を達成した。患者は、食欲不振、極度の疲労に陥り、臨床試験を断念した。
RECIST判定基準で部分寛解(1カ月;PFS4カ月)。
患者038 卵巣がん:進行性疾患
女性(65歳)
2000年、再発ステージ3c、悪性度3の卵巣の漿液性腺がんと診断された。2000年11月、微小残存病変をのこしたまま、彼女は、複式子宮全摘術及び減量手術と一緒に両側卵管卵巣摘出術を受けた。2001年3月まで、カルボプラチン+パクリタキセルの週に3回の投与を6サイクル受けた。2002年再発に続いて、2003年3月の完全寛解まで、カルボプラチン+エトポシド投与を6サイクル受けた。2005年更に再発し、一層の減量手術を受けた後、カルボプラチン+ゲムシタビン×6サイクル投与を受け、2006年7月完全寛解を得た。2009年の再発に続いて、更に、脾臓摘出術を含む減量手術が必要になった。この後、カルボプラチン+ドキソルビシンの6サイクル投与を受け、完全寛解を得た。2010年に、手術不可能と考えられる右側外骨内血管の近傍の右骨盤内再発が発見された。患者は、カルボプラチン+パクリタキセルの6サイクル投与を受け、彼女は2011年4月に完了し、部分寛解を得た。2011年10月、彼女は、進行のエビデンスを示し、2012年3月迄、トポテカン6サイクル投与を受けた。この時点で、彼女は、水腎症のため右尿管ステントの挿入を行った。2012年6月、新たな両側肺転移を伴って、更に症状が進行した後、2013年3月まで、彼女は、カルボプラチン+パクリタキソル+ベバシズマブの週1回投与を受け、2013年9月まで、ベバシズマブ+レトロゾールを維持した。この後に、シクロホスファミド+ベバシズマブの3サイクル投与を受けたが、インターバルスキャンは、進行性疾患を示し、2013年11月11日、彼女の治療は中断した。
2014年1月右尿管ステントを変更した。
2014年3月4日、週1回、900mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、2サイクルを完了した。主要毒性は遅発性疲労で、これは3〜4日間発症した。サイクル2の終了時点で、スキャンは、腫瘍容積の25%縮小を伴った進行性疾患を示した。臨床試験を断念した。
進行性疾患。
患者040 胆管がん:安定疾患
女性(69歳)
2013年5月、総胆管の障害となり、横断を引き起こす11cmの肝臓腫瘤を伴った肝内悪性度2の胆管がんと診断された。胆管ステントを挿入した。8月から12月まで、ゲムシタビン+シスプラチンの7サイクル投与を受けた。
2014年2月20日、週1回、1000mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、1投与を受けた。サイクル1の8日目−2月27日に、発熱、麻痺及びビルビリンの上昇を示した。感染源(G3)は、腫瘍で遮断されたステント及び胆管嚢胞であると認められた。2個の新しいステントは、うまく機能した。この個体群内のDLTのため、900mg/m2でサイクル1を終了した。3サイクルを開始した。5月23日、サイクル2の終了時点で、CTスキャンは、RECIST判定基準で安定疾患を示し、腫瘍容積は、ベースライン(治療前)において85から82.1に僅かに縮小した。6月4日、CA19.9は、ベースライン(治療前)において664から155へ降下した。2014年6月、譫妄が認められ、尿路感染症と診断された。更に、診断の結果、肝臓に進行性疾患があることが明らかになった。臨床試験を断念した。
RECIST判定基準で安定疾患(4カ月)。
患者041 乳がん:安定疾患
女性(54歳)
両側性わき窩リンパ節、肺及び肝臓転移を伴った転移性湿潤性乳管乳がん(ER及びPR+ve)と診断された。FEC×3サイクル、パクリタキセル×9サイクル、カペシタビン×8サイクル、エリブリン×3サイクル、およびゲムシタビン+カルボプラチン×1投与(dose)を受けた。化学療法における彼女の最後の投与は、2013年12月19日であった。登録前の最後のCTスキャンは、進行性疾患を示した。
2014年3月18日、週1回、900mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、3サイクルを完了した。好中球減少症のために、サイクル1の8日目及び15日目に続いて、2日の治療の遅延を来した。この好中球減少症は1週間以内に自発的に治癒した。サイクル2の終了時点で、CTスキャンは、RECIST判定基準で安定疾患を示した。2014年5月19日、CA15.3腫瘍マーカは、ベース845において726、C2において824であった。(この腫瘍マーカは、従来から、常に、信頼性のおける奏効指標である)。患者は、サイクル3の間、疲労(G3)を経験したが、管理してオピオイドを著しく減少させた。サイクル4で、NUC−1031の投与量を825mg/m2に減らした。サイクル4の終了時点で、スキャンは、進行性疾患を示し、標的部位において及び新たな骨病変において上昇を示した。臨床試験を断念した。
RECIST判定基準で安定疾患(4カ月)。
患者042 胆管がん:進行性疾患
男性(48歳)
2013年1月、転移性胆管がんと診断された。2013年2月、部分肝切除。BILCAP 試験観察アーム(胆道がん手術後の観察に伴うカペシタビンと比較)を開始し、ゲマシタビン及びシスプラチン×6サイクル投与を開始した。2013年11月、更に、彼はカペシタビン投与を開始した。然しながら、これは、2カ月彼が扁桃炎を発症したので停止した。更なる進行中、彼は、5FU×6週間投与を開始したが、肺、肝臓及び骨への転移を伴った進行性疾患を発症した。
最後の治療は、2014年1月であった。2014年1月20日、右肩骨への転移痛のため疼痛一時緩和放射線治療を受けた。
2014年3月18日、週1回、900mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、2サイクルを終了した。薬剤臨床試験の後3〜5日で、遅延した初期疲労を経験した。サイクル2の終了時点で、CTスキャンは、一次標的病変の腫瘍の容積が9%縮小したのを示したが、新たな肺及び骨病変を示した。臨床試験を断念した。進行性疾患。
患者043 卵巣がん:安定疾患
女性(54歳)
ステージ4、悪性度3の乳頭状漿液性がんと診断された。2007年9月、両側卵管卵巣摘出術及び大網切除術を伴った総腹部摘出術を受けた。2001年3月まで、カルボプラチン+パクリタキセル×4サイクル受け、末梢神経障害のため、引き続いてカルボプラチン単独のサイクル投与を受け、2008年コースを終了した。2011年4月、再発した骨盤腔内腫瘤のため第2次減量手術を受けた。患者は、アジュバントとして化学療法又は放射線治療を希望しなかった。2012年7月更に再発し、水腎症のためステントを挿入した。2012年8月、カルボプラチン+ゲンタマイシンの投与を開始した。2013年3月CTスキャンは、症状の進行を示した。2013年10月、患者は、カエリックスの6サイクルを終了した。2014年初期、胸水を伴った進行性疾患で、極めて規則正しいドレナージを必要とした。
2014年3月20日、週1回、900mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、6サイクルを完了した。2014年4月7日、PETスキャンを受けたところ、安定疾患を示し、幾つかの標的腫瘍におけるSUVは低下していた。サイクル2の始めにおけるCA125は、ベースライン(治療前)において、1.099から783へ減少していた。胸水からの水の量も減少していた(週当たり300mLの排水であったが、今や週当たり150mLの排水になった)。4及び5日間遅発性疲労(G2)が始まった、後はずっと続いた。サイクル6の終了時点で、CTスキャンは、RECIST判定基準で安定疾患を示し、腫瘍容積はベースライン(治療前)から概ね10%縮小していた。7月15日において、CA125は、ベースライン(治療前)において、1.099から910に降下した。臨床試験を終了したが、コンパッショネート(救済使用、人道的使用)の継続が要望された。投与量をサイクル7で750mg/m2に減少し、更に1サイクルを受けた。脚の浮腫がG3に進行した。症状の進行は無かったが、新しいオプション治療を求めていたので臨床試験を断念した。
RECIST判定基準で安定疾患(13カ月)。
患者044 肺がん:安定疾患
女性(64歳)
2010年2月、7カ月に亘る未解決の咳の後で、肺(左下葉)の肺腺がんと診断された。2011年1月と2012年4月の間で、患者は、ゲフィチニブ250m投与を受けたが、進行性疾患と診断された。2012年4月から2012年11月までアファチニブ投与を受けた(然し、皮膚毒性のため投与量は減少)が、再度進行性疾患と診断された。咳がひどくなり、原発性病変が進行した後で、2012年11月から2013年6月まで、エルロチニブ投与を受けた。2013年6月、左眼に視覚異常と黒い影が観察され、脈絡膜転移があることが分かったので、彼女は、両眼に放射線治療を受けた。彼女の視力は改善した。2013年6月、ペメトレキシド+カルボプラチンの6サイクル投与を開始し、2014年2月6日までペメトレキシドを続行し、進行性疾患と診断された。
2014年3月27日、週1回900mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、2サイクルを終了した。4月19日、G3肺感染症に罹ったが、抗生物質によく反応した。投与量を825mg/m2に減少してサイクル2を開始し、更に、2サイクルを終了した。サイクル2の終了時点で、スキャンは、RECIST判定基準で安定疾患を示し、腫瘍容積は10%縮小した。腹水のドレナージのため治療が2日遅れ、血小板減少症のためさらに2日以上遅れた。サイクル4の終了時点で、スキャンは、肺の進行性疾患と新たな肝臓転移を示した。臨床試験を断念した。
RECIST判定基準:部分寛解(5カ月)
患者046 副腎がん:安定疾患
男性(36歳)
2011年8月、大きな(20×19×9cm)の副腎がんと診断された。Ki6735−40%核分裂指数25/50hpf、Weiss score 6で、外縁部が0.3mmに拡がった腫瘍であるが、腎臓障害は起こしていない。2012年1月まで、アジュバントとしてミトタンの投与を受けたが、吐気と下痢のため、停止した。2013年6月再発し、新たに肝臓に転移し、エトポシド+カルボプラチンの投与を開始した。
2013年9月、ステ−ジングCTスキャンは、特異的反応ではあるが、相対的に安定疾患を示した。彼は、更に3サイクルを受け、2013年11月の終了時点で安定を維持した。2014年1月、肝臓における進行性疾患を示した。
2014年4月16日、週1回1000mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、1サイクルを終了した。サイクル1の間、患者は、遅発性疲労、吐気及び嘔吐(いずれもG3)を経験した。投与量を900mg/m2×サイクル2に減少させ、この投与量で更に5サイクルを受け、臨床試験を終了した。サイクル6の終了時点で、CTスキャンは、腫瘍容積がベースライン(治療前)から12.6%縮小していることを示した。コンパッショネート(救済使用、人道的使用)の継続が要望され、更に3サイクルが終了した。サイクル8D1の後で疲労(G3)及び好中球減少症(G2)を発症し、投与量を750mg/m2×サイクル8に減少させ、更に2サイクルを受けた。G1に改善したが、疲労は続行し、吐気と嘔吐を発症し、更に投与量を、C11のために625mg/m2に減少させた。更に、2回投与を受けた。臨床試験を断念した。
RECIST判定基準で安定疾患(11カ月)。
患者048 卵巣がん:安定疾患
女性(63歳)
2000年、ステージ1aの卵巣の顆粒膜細胞腫瘍と診断され、両側卵管卵巣摘出術+大網切除術を伴う総腹部摘出術を受けた。2004年2月再発したので、BEP(ブレオマイシン+エトポシド+シスプラチン)の3サイクル投与を開始したが、症状進行。2004年7月二次減量術。
2006年6月、部分肝切除、脾臓摘出術及び胃及び腹膜からの沈着物の切除術を受けた。この後、肝臓沈着物に高周波焼灼術を行った。2008年9月、4回目の更なる転移性沈着物除去のため、開腹術及び切除を行った。2009年3月、カルボプラチン+パクリタキセルの3週単位投与を開始し、混合反応を得た。2009年5月12日、カルボプラチン+低投与量のパクリタキセルの週単位投与に変更した。2009年10月終了したが、PR及びCA−125は陰性(ネガティブ)であった。更に、2011年10月、ITUに長時間留まらなければならない、複雑な減量術を受けた。2014年4月のCTスキャンは、肝臓のセグメント8の病変のサイズが大きくなっていること、胃肝間隔膜靭帯への新しい小さな転移、および小腸腸間膜の幾つかの新しい小容積のリンパ節腫脹、並びに直腸S状結腸接合部周辺の骨盤内の更に小さな腹腔沈着物を示した。
2014年4月29日、週1回、1000mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、1投与を受けた。サイクル1の第1日に、ALT、(G3,aDLT)、AST及び好中球減少症(G2)、ALP(G1)を発症した。投与量を少なくして、900mg/m2×サイクル1(8日)とした。8日目及び15日目の後で、ALTはG3に戻った。サイクル2の投与量を825mg/m2に減らした。サイクル1の終了時のPETスキャンの結果は安定疾患及び標的部位におけるSUVの低下を示した。2014年1月、インヒビンBは430で、臨床試験登録前1,038に上昇した。2014年7月、インヒビンBは1,106に安定し、8月には1148に、9月には1053に安定した。G−CSFの介入にも係わらず、好中球減少症のために投与量を、サイクル4(15日)として750mg/m2に減らした。11月11日、サイクル6の終了時のCTスキャンで、RECIST判定基準で安定疾患を確認した。コンパッショネート(救済使用、人道的使用)の継続が要望された。各投与の後に下痢をしたので、投与量を625mg/m2に減らしてサイクル7を開始した。ヒックマン線(Hickman line)の近傍で塞栓症を起こした。この塞栓症はクレキサンによって改善されたにも拘わらず、患者は臨床試験を辞退した。
RECIST判定基準で安定疾患(8カ月)。
患者050(202) 食道がん:進行性疾患
女性(41歳)
2013年11月、ステージ4の肝臓転移を伴った食道の扁平上皮がんと診断された。2013年12月から2014年4月迄、シスプラチン+カペシタビンの6サイクル投与を受けた。彼女の治療後のスキャンは、進行性疾患及び新しい肝臓沈着を示した。
2014年5月21日、週1回900mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、3サイクルを受けた。サイクル1の第1日目の後で、ALT(G3)及び疲労(G3)を発症、サイクル1の第8日目投与量を減らした。サイクル2の終了時点で、スキャンは、不確実であるが、幾つかベースライン(治療前)を超えた病変を示したようであるが、疾患進行を示したようであった。
患者は、嚥下障害の改善を伴った臨床上の利点を得たので、更に1サイクル実行すること決定した。サイクル3の終了時点で、スキャンは、疾患進行を確認し、患者は臨床試験を辞退した。
進行性疾患。
患者051(203) 肛門がん:進行性疾患
女性(51歳)
2013年10月、肛門の転移性扁平上皮細胞がんと診断された。2013年10月から2014年3月迄、シスプラチン+5FUの6サイクル投与の後進行した。
2014年6月3日、週1回900mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、2サイクルを受けた。サイクル2の間に、輸血が必要になったが、治療によく耐えた。サイクル2の終了時、CTスキャンは、進行性疾患であることを示した。
進行性疾患。
患者052(204) 食道がん:進行性疾患
男性(66歳)
2012年12月、ステージ4の食道がんと診断された。2013年1月から2013年7月迄、FOXを受け、部分寛解を得た。2014年4月進行性疾患を示した。食道ステントを挿入した。
2014年6月10日、週1回900mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、1サイクルを終了した。疲労のため、投与量を2サイクルとして825mg/m2に減らし、よい降下を得た。この投与量で、更に2サイクルを終了した。サイクル2の終了時のCTスキャンは、RECIST判定基準で安定疾患を示した。継続し、骨痛を発症した。スキャンは、この骨痛は、関連する疾患ではないことを示していた。嚥下障害が悪化した。11月10日、サイクル4の終了時点で、スキャンは疾患進行を示した。
RECIST判定基準で安定疾患(5カ月)。
患者053(205) 結腸がん:進行性疾患
女性(31歳)
2008年、結腸のT3N1M0腺がんと診断された。切除及びFOLFOXの12サイクル投与を受けた。投与は、2009年に終了した。2011年症状進行、FOLFOXの13サイクル(6個のサイクルは、アバスチンを含む)投与を受けた。2012年更に症状進行、FOLFOXの12サイクル(6個のサイクルは、アバスチンを含む)投与を受けた。2014年1月、肺及び椎骨への転移を伴った進行性疾患。脊椎への放射線治療を受けた。
2014年6月12日、週1回900mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、1サイクルを終了した。一連の感染症を発症し、腸管安静を目的とした回腸人口肛門造設術を要望した。幾つかの治療の遅れの後で、サイクル2(15日/サイクル)を受けた。サイクル2の終了時のCTスキャンは、肺及び肝臓に新たな病変を伴った進行性疾患を示した。
進行性疾患。
患者055(207) 卵巣がん:安定疾患
女性(42歳)
2002年1月、ステージ2c、悪性度1の卵巣の乳頭状漿液性腺がんと診断された。2002年6月、両側卵管卵巣摘出術及び大網切除術を伴う総腹部摘出術を受け、アジュバントとしてカルボプラチン+パシリタキセルの6サイクル投与を受け、2002年6月に治療終了。
2012年1月、新たな悪性度3ステージ3cの直腸S状結腸移行部を含む原発性腹膜がんに進行した。盲腸切除、直腸及びS字結腸及び大網切除術、および腹膜除去を含む後方臓器摘出を受けた。
2013年1月再発。2013年5月まで、パクリタキセルの週1投与6サイクルを受けた。2013年10月、更に症状が進行したので、[パクリタキセル+カルボプラチン+(AKTRES治験範囲でのAKTインヒビター毎日投与)]の3週間投与を開始した。2014年5月のCTスキャンは、新たな病変及び進行性疾患を示した。
2014年1月2日、週1回、900mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、1サイクルを受けた。疲労のため、サイクル2では投与量を少なくして、2サイクルで825mg/m2とし、更に4サイクルを終了した。化学療法の後、吐気と嘔吐を経験したので、投与量を少なくして、6サイクルで625mg/m2とし、更に1サイクルを終了した。サイクル6の終了時、2014年12月16日のスキャンは、腫瘍容積が、ベースライン(治療前)から18%縮小し、RECIST判定基準で、継続した安定疾患を示した。患者CA125は、ベースライン(治療前)で36であったが、2015年1月では24であった。治験は終了し、コンパッショネート(救済使用、人道的使用)の継続が要望された。コンパッショネート・アクセス・プログラムの下で、更に2サイクルを受けたが、更なる問題は発生しなかった。患者は、長距離の旅行をしていて、休暇を要求するので、治験の辞退を選択した。
RECIST判定基準で安定疾患(10+カ月)。
患者057(209)卵巣がん:安定疾患
女性(58歳)
2011年、ステージ3c、悪性度3の卵巣の漿液性がんと診断された。ネオアジュバントとしてカルボプラチン+タキソールの3サイクル投与を受けたが、サイクル3でタソールのアレルギーが発症した。2011年12月21日、後骨盤内容除去術、卵巣減量、初期吻合を伴う前方切除、および大網切除を受けた。2012年3月、カルボプラチン+タドセタキソールの3サイクル投与が終了した。2013年6月再発したので、2013年11月迄、カルボプラチン+カエリクスの6サイクル投与を受けた。2014年2月、CTスキャンは、再発性疾患を示したので、2014年3月迄、カルボプラチン+ゲムシタビンの3サイクル投与を受けた。
2014年7月9日、週1回、900mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、2投与を受けた。投与量を少なくして、サイクル2で825mg/m2とし、更に2サイクルを受けた。サイクル4の終了時CTスキャンは、腫瘍容積が、ベースライン(治療前)から10%縮小し、RECIST判定基準で、継続した安定疾患を示した。
患者は、リンパ管網状組織ドレインを行い、隔週毎に、約1、000mlsの多量の血の混じった体液を排出した。疲労のため、サイクル4の1日目から投与量を750mg/m2に減らし、更に1サイクル受けた。腹水が増加した。臨床進行のため、臨床試験を断念した。
RECIST判定基準で安定疾患(5カ月)
患者058(210) 肺がん:安定疾患
男性(54歳)
2014年1月リンパ節及び骨転移を伴った非小細胞肺腺がんと診断された。
シスプラチン+ペメトレキセドの3サイクル投与を受け、奏効して安定疾患を得た。2014年3月、ペメトレキシドの維持療法を開始し、2014年4月迄、4サイクルを受けた。2014年5月、両側肺転移を伴った進行性疾患を示したので、ペメトレキシドの更なる1投与受けた。
2014年7月14日、週1回825mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、1サイクルを受けた。G3高トランサミナーゼ血症(ALT)及びDLTのために、サイクル1の15日目の治療が1週間遅れ、投与量を750mg/m2に減少した。然しながら、肝臓酵素の上昇の多くは、先天性肝臓疾患が原因であった。750mg/m2で、更に1サイクル投与を受けた。サイクル4の終了時点で、CTスキャンは、RECIST判定基準で安定疾患(4カ月)を示した。
患者059(211) 子宮頸がん:安定疾患
女性(52歳)
2012年12月、ステージ4の子宮頸管の扁平上皮細胞がんと診断された。カルボプラチン+タキソールの化学療法を開始したが、2013年2月、毒性、特にタキソール(発疹及び痒み)からの毒性のために停止した。2013年3月から2013年7月迄、シスプラチン+トポテカンの6サイクル投与を開始し、安定疾患を達成した。2013年のCTスキャンは、疾患進行を示した。彼女は、総照射線量30グレイを10分割で照射して骨盤の放射線治療を受け、2013年11月に終了した。2013年12月ゲムシタビン+カルボプラチン投与を開始し、3サイクルを得た。然しながら、2014年2月のインターバルCTスキャンは、疾患進行を示した。
2014年7月24日、週1回825mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、1サイクルを終了した。血小板減少症(G3)のため、サイクル1の15日目は1週間遅れた。投与量をサイクル2で、750mg/m2に減少し、更に2サイクル終了した。サイクル4の終了時点で、CTスキャンは、RECIST判定基準で継続した安定疾患を示した。サイクル3の間に経験した疲労(G3)のため、投与量をサイクル4で625mg/m2に減少し、良い効果を得た。この投与量で、更に2サイクルを終了した。尿ステントは、患者を不快にさせたので、2015年1月、抜去した。サイクル6の間、患者は、非常に疲れたと報告し、臨床試験の辞退を選択した。
RECIST判定基準で安定疾患(7カ月)。
患者060(212)膵臓がん:進行性疾患
男性(83歳)
2014年1月、多発性肝臓転移を伴った肝臓がん(中分化型腺がん)と診断された。2014年1から6月迄、マエストロの臨床試験により一時緩和性化学療法(1日、8日及び15日にゲムシタビン及び+低酸素化TH302投与)を選択したが、進行性疾患を得た。
2014年8月5日、週1回、825mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、1サイクルを終了した。9月1日、ALP(G3)、AST(G3)、ALT(G3)を示した。新しいステントの要望あり。治療が遅れた後で、9月1日サイクル2を終了した。CTスキャンは、進行性疾患を示したが、新たな肝臓病変があった。
進行性疾患。
患者061(213) 大腸がん:安定疾患
女性(53歳)
2012年、結腸がんと診断された。外科手術、両側卵管卵巣摘出術、大網切除術、および回腸造瘻術を含む外科手術を受けた。2013年1月から7月迄、FOLFOXの12サイクルを開始した。2014年4月、発症再発に続いて、2014年4月から7月まで、FOLFIRI及びセツキシマブの8サイクル投与を受けた。全ての化学療法に対して激しい吐気と嘔吐をもよおした。
2014年8月11日、週1回825mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、4サイクルが終了した。治療の間、吐気と嘔吐は無かった。サイクル2の終了時点で、CTスキャンは、RECIST判定基準で安定疾患を示し、腫瘍容積は2%縮小した。サイクル4の終了時点で、CTスキャンは、進行性疾患を示し、脾臓及び肝臓に新たな病変が発生した。
RECIST判定基準で安定疾患(3カ月)。
患者063(215) 卵巣がん:安定疾患
女性(78歳)
2011年5月、外陰部メラノーマ(クラークレベル4)及び同時に発症したステージ3bの卵巣がんと診断された。2011年8月から9月まで、カルボプラチン+パクリタキセル×3サイクルを開始し、その後、総腹式子宮切除術、両側卵管卵巣切除術、及び大網切開術を含む間隔減量術を受けた。次いで、彼女は、更に、カルボプラチン+パクリタキセルの3サイクルを受け、この治療は2011年11月に終了した。疾患が進行したので、2013年9から2014年2月まで、ゲムシタビン+カルボプラチン+アバスタチンの6サイクルを開始した。次いで、2014年4月から6月まで、カエリックスの2サイクル投与を受けた。
2014年8月27日、週1回、825mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、1サイクルを受けた。貧血及び好中球減少症のため、2サイクルの15日目で投与量を750mg/m2に減量し、更に2サイクル受けた。2サイクルの終了時点で、CTスキャンは、RECIST判定基準で安定疾患を示した。サイクル3で経験した疲労(G3)のために、サイクル4の1日目の投与量を625mg/m2に減量した。息切れが続いた。臨床試験から撤退した。
RECIST判定基準で安定疾患(3カ月)。
患者064(216) 絨毛がん:進行性疾患
女性(38歳)
2011年6月、再発したステージ3の混合胎盤部及び類上皮トロボブラスト腫瘍(PSTT/ETT)と診断された。広範性子宮全摘手術及びリンパ節サンプリングに続いて、2011年6月から10月迄、パクリタキセル+シスプラチン(最終的にはパクリタキセル+エトポシド)によるアジュバント化学療法を受け、続いて、2012年11月、リンパ漏れの外科手術及び、2012年2月、両側尿管挿入術を受けた。
2013年2月、再発疾患の左卵巣摘出術及び膀胱漿膜切除術を受け、2013年3月から7月迄、高投与量のアジュバント化学療法を受けた。次いで、自家幹細胞移植を受けた。2014年1月、膣上部切除術、直腸及び膀胱、左卵巣、膣全部、腸間膜結節及び右尿管を含む後骨盤内容除去術を受けた。2014年2月から5月迄、ペメトレキシド+カルボプラチンの5サイクル投与を受けた。HCGレベルが上昇したので、これは、ゲムシタビン+カルボプラチンに変更した。2サイクルを受けたが、インターバルCTスキャンは、手術不可能と思われる左下葉肺病変を示した。
2014年9月3日、週1回、825mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、2サイクルを受けた。サイクル2の終了時点で、CTスキャンは、RECIST判定基準で進行性疾患を示し、肺及び腹膜のある病変の増殖が確認された。
進行性疾患。
患者066(218)大腸がん:安定疾患
男性(65歳)
2011年5月、S状結腸のpT4b pNO中分化腺がんとの最初の診断を受けた。2011年11月、前方切除術を受け、2012年1月、FOLEOX化学療法を開始した。3サイクルの後で、抹消神経障害を発症した。5FUの単剤治療に変更した。下痢と倦怠感のため、治療の遅延というトラブルが発生した。5FUの3カ月の投与後、安定したマーカ奏効を示したが、2012年7月のCTスキャンでは、混合奏効を示した。2013年5月迄、治療をしないでも安定を維持したが、CTスキャンは、進行を示して、腫瘍マーカーレベルが2倍になっていた。再度、5FU+アバスチンを投与した。これは、2013年10月に終了した。治療は複雑で、数多くの入院を繰り返し、胸部感染及び胸部痛を伴った。2014年3月から7月まで、セツキシマブの8サイクルを受けた。CTスキャンは、疾患進行を示したので、5FU+アバスチンに変更した。2014年6月、腹腔内転移性沈着物の癒着のため、開腹術及び癒着剥離術を受けた。更に、アバスチンのサイクルを受けたが、CEA腫瘍マーカが上がったので、中断した。多くの併存疾患、慢性閉塞性肺疾患、虚血性心疾患、うっ血性心不全を発症した。
2014年9月16日、週1回、825mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、2サイクルを受けた。疲労のため、投与量を750mg/m2のサイクル3に減量し更に1サイクル投与を受けた。サイクル2の終了時点で、CTスキャンは、RECIST判定基準で安定疾患を示した。
ヘルニヤが複雑になり2回入院したので、治療の遅れが生じた。12月30日、予定になかったCTスキャンは、継続した安定疾患を示し、腫瘍容積が、ベースライン(治療前)から16%縮小した。疲労のために、更に、投与量を、サイクル4で625mg/m2に減量した。この投与量で更に1サイクル受けたが、問題は発生しなかった。サイクル5の間、急性腰痛、指摘された古い骨折(本臨床試験に関係が無い)を認めた。外科的評価の下に継続した。治療の遅れのために、臨床試験から撤退した。
RECIST判定基準で安定疾患(8+カ月)。
患者067(219)骨肉腫:安定疾患
男性(38歳)
2012年2月24日、近位右脛骨の骨肉腫との診断を受けた。2012年2月から11月迄、シスプラチン+ドキソルビン+メソトレキサンの6サイクルを受けた。2012年11月、近位脛骨交換を行って、ポスト化学療法を6カ月間受けた。2014年8月のCTスキャンは、新たな肺内及び心膜病変、下大静脈及び右心房に隣接する病変を伴った転移性再発を示した。
2014年9月30日、週1回、825mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、5サイクルを受けた。サイクル4の終了時点で、CTスキャンは、RECIST判定基準で安定疾患を示した。各サイクルの終了に向かって好中球減少症G2の発症を示す傾向があったが、カウントは直ぐに跳ね返った。2015年3月3日、臨床試験は終了した。患者は、臨床試験用薬剤によく耐えた。EOS CTスキャンは、RECIST判定基準で安定疾患を示し、ベースライン(治療前)から1%上昇した。更に、CTスキャンは、腫瘍の石灰化をも示した。患者は、治験用薬剤のコンパッショネート(救済使用、人道的使用)の継続を要望し、2015年4月2日、減量した投与量750mg/m2でC7を終了した。胸部外科医が診断し、2015年4月26日、左肺を手術し、下葉の標的病変を除去した。胸部外科医は、2015年4月26日、左肺を手術し、下葉にある石灰化した標的病変を除去した。当該病変は、完全に除去され、正常な周辺組織の切除断端はきれいであった。患者は、手術後順調に回復した。
RECIST判定基準で安定疾患(7+カ月)。
患者068(220)肺がん
男性(60歳)
2011年5月、T3N3M1b右肺の非小細胞癌腫(腺がん)と診断され、2013年2月EGFR野生型と判定。2013年2月から12月迄、ペメトレキシド及びシスプラチンの10サイクルを受けた。その後、胸部一時緩和の放射線治療を受けた。2014年1月から5月迄、ドキセタキセルアームのPOPLAR試験の臨床試験に登録された。
2014年10月3日、週1回、825mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、2サイクルを受けた。サイクル2の終了時点で、RECIST判定基準で進行性疾患を示した。臨床試験から撤退した。
RECIST判定基準で進行性疾患。
患者069(221)大腸がん
女性(45歳)
2011年5月、大腸がんと診断された。2011年8月、ネオアジュバントカペシタビン及び放射線治療を受け、次いで、2011年12月、一時減量術を受けた。2012年1月から7月迄、アジュバント治療を受けた。2013年4月、単一の肺再発を発症したので、切除した。2013年7月、幾つかの真皮及び皮下がん沈着物と共に、右頭頂後頭再発が発見され、除去した。2013年9月から、FOLFIRIを伴ったセツキシマブを開始し、2014年9月迄、セツキシマブを維持した。2014年9月、脳転移治療のためがんマナイフ治療を受けた。無症候性神経性症状である。
2014年10月9日、週1回、825mg/m2のNUC−1031の投与を開始し、3サイクルを受けた。30/10のPETスキャンは、部分寛解を示した。プレC2検査は、皮膚性及び皮下転移が非常に減少していること、又は殆ど消えており、かつ新たな転移が表われていないことを示していた。C2時点で、スキャンは、RECIST判定基準で安定疾患を示し、腫瘍容積がベースライン(治療前)から11%縮小していた。サイクル3の間、好中球減少症(G4)及び白血球減少症(G3)を発症したので、投与量を、サイクル4で750mg/m2に減量した。C4の終了時点で、CTスキャンは、RECIST判定基準で安定疾患を示し、腫瘍容積がベースライン(治療前)から26%縮小していた。サイクル4D1に続いて、好中球減少症(G3)及び白血球減少症(G3)を発症したので、投与量を、サイクル4D8のために675mg/m2に減量した。サイクルC5D8では、好中球減少症及び白血球減少症のために、投与量を625mg/m2に減量した。視覚障害を経験し、CTスキャンは、脳の病変が増加していることを示した。これは、サイバーナイフで除去した。2015年5月29日、彼女は、減量した投与量500mg/m2で、C7D1において、臨床試験用薬剤を再び開始すると思われる。
RECIST判定基準で安定疾患(7+カ月)。