JP2013534572A - 複合糸を製造する方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、2本の合成糸から1本の複合糸を製造する方法及び装置に関する。糸は、ポリマー溶融物から成る別個の2つのセットのフィラメントの溶融紡糸により形成される。合成糸の内の1本は、この糸に割り当てられたフィラメントの冷却及び収束のあとで引き出されて延伸されて、部分延伸糸(POY)が形成され、第2の糸は、この糸に割り当てられたフィラメントの冷却及び収束のあとで引き出されて延伸されて、完全延伸糸(FDY)が形成される。両方の糸は、巻き取られるまえにまとめて案内されて、複合糸が形成される。できるだけ僅かな機械的な手間で複合糸を製作するために、本発明によれば、部分延伸糸は、押出及び冷却のあとで、完全延伸糸の延伸速度と同一の引出速度で引き出される。したがって完全延伸糸を延伸するための、延伸ゾーンの、延伸ゴデットの内の最も下流側の延伸ゴデットは、部分延伸糸を引き出すための隣の紡糸装置の紡糸口金の内の1つに直接に対応して配置することができ、その際、延伸ゴデットは、両方の糸をまとめて案内するための段付けされていないゴデットジャケット面を備える。

Description

本発明は、請求項1の前提部に記載された、2本の合成糸から1本の複合糸を製造する方法並びに請求項6の前提部に記載された、この方法を実施する装置に関する。
溶融紡糸プロセスで合成糸を製造する際に、一般的に、紡糸速度及び延伸速度に応じて、ポリマー材料、例えばポリエステルから成るフィラメントが種々異なる物理特性を有することが知られている。したがって速度の調節に基づいて、部分延伸糸又は完全延伸糸を製造することができる。業界では「pre oriented yarn(POY)予備配向糸」としても知られている部分延伸糸は、完全延伸糸と比べて僅かな結晶化度を有し、ひいては比較的高い延伸度を有する。「full drawn yarn(FDY)」としても知られている完全延伸糸は、分子鎖のほぼ完全な配向を有し、これに応じて僅かな延伸値を示している。織物への利用を目的として特定のヤーン効果を有する複合糸を製造するために、溶融紡糸された糸の種々異なる物理特性は近年その利用が増えている。この場合、構造効果、例えば膨らみを複合糸に得るために、特に、種々異なる物理特性に基づく糸の種々異なる収縮特性が利用される。このような複合糸は、いわゆる「異収縮糸(BSY)」としても知られている。このために、溶融紡糸プロセスで、2本の糸が相互に組み合わせられ、その際、これらの糸は全く異なる収縮特性を有する。両方の糸の集中的な交絡により形成される複合糸は、熱処理の際に、高い収縮を有する収縮性のフィラメントストランドに対して弧及びループによる糸構造に基づいて僅かな収縮性のフィラメントストランドを生じさせ、その結果、テクスチャード加工の場合と同様の構造効果が生じる。
合成糸を製造する際に収縮特性のできるだけ大きな差異を得るために、例えば米国特許5858290号明細書において、冒頭で述べたような複合糸を製造する方法並びに冒頭で述べたような複合糸を製造する装置が公知である。この公知の方法及び公知の装置では、2本の糸が相並んで紡糸され、それぞれ独立して、糸に対応して配置されたゴデットシステムにより引き出されて延伸される。両方の糸の延伸後に、これらの糸はまとめて案内されて、複合糸が形成される。並行して運転されるゴデットシステムは、部分延伸糸及び完全延伸糸が形成され、これらの糸が延伸後に組み合わされて複合糸が形成されるように、構成されている。しかし、この場合、別個に運転されるゴデットシステムは、大きな機械技術的な手間を要求する。
さらにまた、原則として、背景技術において、例えば国際公開第2006/094538号パンフレットに記載されたような、別の方法も公知である。そこでは、両方の繊維は、高速紡糸のあとで共通の引出しゴデットにより引き出される。この方法及び装置では、糸の物理特性の主な差異は、それぞれ異なる冷却システムにより実現される。しかし、この公知の方法及び公知の装置は、完全延伸糸(FDY)を製造するには適していない。この点において、分子配向に起因する糸の物理的な差異は、限定的にしか利用可能でない。
本発明の課題は、冒頭で述べた形の、2本の合成糸から1本の複合糸を製造する方法及び装置を改良して、できるだけ僅かな機械技術的な手間で完全延伸糸及び部分延伸糸が製造可能であるものを提供することである。
本発明の別の課題は、択一的に、部分延伸糸及び完全延伸糸から成る複合糸又は完全延伸糸から成る単糸が製造可能である、複合糸を製造する方法及び装置を提供することである。
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴部に記載の構成を有する方法及び請求項6の特徴部に記載の構成を有する装置により解決される。
本発明の好適な改良形は、各従属請求項の特徴及び特徴の組合せにより定義されている。
本発明は、完全延伸糸を製造するために、分子鎖の配向が主に速度差により特定されていることを根底としている。この点において、種々異なる速度レベルにおいて同じ速度差で完全延伸糸を製造することもできる。したがって本発明によれば、完全延伸糸の延伸速度を部分延伸糸の引出速度に適合させることができる。
部分延伸糸の引出速度と完全延伸糸の延伸速度とが同一の場合、特に好適には、両方の糸がまとめて延伸ゴデットの周に案内される。したがってPOY糸を製造するための紡糸位置は、FDY糸を製造するための隣の紡糸位置の延伸ゾーンに直接に対応して配置することができる。POY糸を紡糸位置に案内するために、別個のゴデット及び変向ローラは全く不要である。したがってこのような方法の態様は、択一的に複合糸又は単糸を製造するために特に適している。
部分延伸糸のフィラメントと完全延伸糸のフィラメントとの間の集中的で解離不能な結合を得るために、好適には、次のような方法の態様が用いられ、その態様では、部分延伸糸が、冷却及び引出のあとで直接に完全延伸糸との交絡により結合されて、複合糸が形成される。これにより、解離不能な複合糸を形成する機械的な交絡部が形成される。この点において、複合糸は、溶融紡糸の後に直接に後続加工又は後続処理するために適している。
特に複合糸を製造する際に低減された、完全延伸糸を製造するための紡糸速度は、延伸ゴデットに1重の巻掛けを有する糸ガイドを許容する。この点において、次のような方法の態様が特に好適であり、その態様では、完全延伸糸は、1重に巻き掛けられる複数のゴデットにより引き出すかつ/又は延伸するために、S字状又はZ字状の糸走行方向に案内される。したがって、機械的な手間は、コンパクトで短いゴデットにより、複数の糸を相並んで並行して案内する場合でも低減することができる。
1重に巻き掛けられるゴデットに基づいて低減された接触長さにもかかわらず、糸の延伸のための集中的な熱処理を実現するために、完全延伸糸は、好適には乾燥状態又は10%より小さな水分含有量を有する湿潤状態で引き出される。したがって、いわゆる準備処理液の煮詰まりによる熱損失を回避することができる。ゴデットジャケット面により提供される熱エネルギは、直接に、フィラメントのポリマー材料を加熱するために利用することができる。
前記課題を解決する本発明による装置によれば、延伸ゾーンにおける最も下流側の延伸ゴデットは、部分延伸糸を引き出すための隣の紡糸装置の紡糸口金の内の1つに直接に対応して配置されており、延伸ゴデットは、両方の糸をまとめて案内するための段付けされていないゴデットジャケット面を備える。したがって、複合糸を製造するために1つの延伸ゾーンしか必要とされない。この延伸ゾーンは、主に完全延伸糸の延伸を行う。部分延伸糸は、直接に、延伸ゾーンの延伸ゴデットを介して引き出される。
本発明による装置の好適な改良形によれば、糸に対応して配置された延伸ゴデットの直ぐ下流側に糸走行路上で結合手段が配置されており、この糸結合手段は、交絡装置として構成されている。この点において、糸は、交絡結束部により相互に結合することができ、交絡結束部は、フィラメントストランドの結束を収縮の発生後でも保証する。
合成糸の溶融紡糸の際に合成糸は通常グループを成して製造されるので、同時に並行して複数の複合糸を巻き取って、パッケージを形成する必要があり、それゆえ、複合糸は、好適には1つの変向ゴデットを介して案内され、この変向ゴデットの軸線は、巻取装置のボビンスピンドルに対してほぼ横向きに方向付けされている。これにより、巻取装置の個々の巻取部への、複合糸のほぼ水平に方向付けされた分配が実現されている。この点において、延伸ゾーンは、巻取装置の直ぐ上に配置することができる。
この場合、延伸ゾーンの延伸ゴデットは、好適にはS字状又はZ字状の糸走行経路が形成されるように配置されており、その際、糸走行路上で、隣り合う延伸ゴデットは、相互に逆向きに駆動可能に構成されている。これにより、ゴデットを極めてコンパクトに配置しつつ簡単な糸ガイドが実現されている。
完全延伸糸がほぼ乾燥状態で延伸ゾーンに供給される場合には、次のような装置の態様が好適に用いられ、この態様では、繰出し領域において延伸ゾーンに対応して、完全延伸糸を準備処理するための準備処理装置が配置されている。これにより、後続処理のために必要な糸の湿し剤は、複合糸をまとめて案内するまえに被着することができる。
以下に、図面に関する幾つかの態様に基づいて、複合糸を製造するための本発明による方法並びに本発明による装置を詳説する。
本発明による方法を実施するための、本発明による装置の第1の態様を概略的に示す図である。 本発明による方法を実施するための、本発明による装置の別の態様を概略的に示す図である。 本発明による方法を実施するための、本発明による装置の更に別の態様を概略的に示す図である。
図1には、本発明による方法を実施するための、本発明による装置の第1の態様を概略的に示している。この態様は、2つの紡糸装置1.1,1.2を備え、紡糸装置1.1,1.2は、相並んで配置されている。紡糸装置1.1,1.2は、本態様では、同一に構成されている。縦長の紡糸ビーム3.1,3.2に、列状に配置された複数の紡糸口金4.1,4.2が保持されている。紡糸ビーム3.1,3.2は、図平面に対して直交して延在しているので、図1には、両方の紡糸装置1.1,1.2の隣り合う紡糸口金4.1,4.2を備えるそれぞれ1つの紡糸部だけが図示されている。紡糸ビーム3.1,3.2の上側に、それぞれ1つの紡糸ポンプ2.1,2.2が配置されており、これらの紡糸ポンプ2.1,2.2は、まとめて、1つの溶融物流入路29を介して、図示していない1つのエクストルーダ又は別の1つの溶融源に接続されている。紡糸ポンプ2.1,2.2は、それぞれ多重ポンプとして構成されていて、紡糸ビーム3.1,3.2に配置されたそれぞれ1つの分配システムを介して紡糸口金4.1,4.2に接続されている。紡糸ポンプ2.1,2.2は、相互に独立して駆動されていて、したがってそれぞれ異なる速度で運転することができる。
紡糸ビーム3.1,3.2の下側に、別個の2つの冷却装置6.1,6.2が設けられており、これらの冷却装置6.1,6.2により、紡糸口金4.1,4.2から押出成形されたフィラメントセット5.1,5.2は、相互に独立して冷却される。冷却装置6.1,6.2は、本態様では、紡糸口金4.1,4.2ごとに、それぞれ1つの冷却筒7.1,7.2を備え、冷却筒7.1,7.2は、ブローチャンバ8.1,8.2内に保持されている。ブローチャンバ8.1,8.2には、それぞれ調整空気が導入され、調整空気は、冷却筒7.1,7.2の通気性の壁を通って、フィラメントセット5.1,5.2の、新たに押出成形されたフィラメントに導かれる。
ここで明確に言及しておくと、図示の冷却装置6.1,6.2は、単に例示したものに過ぎない。原則として、フィラメントを冷却するために、分割された複数のブローチャンバ又は1つの直列型横流ブロー装置を備える構造形態を用いてよい。さらに、冷却装置6.1,6.2は、それぞれ異なるように構成してもよい。
冷却装置6.1,6.2の出口側に、それぞれ1つの冷却シャフト9.1,9.2が形成されている。冷却シャフト9.1,9.2には、それぞれ1つの収集糸ガイド28.1,28.2が配置されており、収集糸ガイド28.1,28.2は、押出成形されたフィラメント5.1もしくは5.2のための収束点を形成する。
冷却装置6.1,6.2の下側に、複数の糸の内の1本を引き出して延伸するためのゴデットシステムを備える延伸ゾーン10が配置されている。延伸ゾーン10は、本態様では、紡糸装置1.1に対応して配置されており、この場合、第1の引出しゴデット12は、直接に紡糸口金4.1に対応して配置されており、これにより、フィラメントセット5.1は、紡糸口金4.1から引き出される。引出しゴデット12の下流側に複数の延伸ゴデットが配置されており、この場合、本態様では、全部で5つの引出しゴデット11.1〜11.5が示されている。延伸ゴデット11.1,11.2並びに延伸ゴデット11.3,11.4は、好適には、相互に反対向きに駆動されるゴデットを備えるゴデット対偶として運転され、これにより、フィラメントセットは、延伸ゴデット11.2と延伸ゴデット11.3との間において1つのステップで完全に延伸される。延伸ゴデット11.1,11.2は、対偶を成して相互に逆向きに駆動されており、延伸ゴデット11.1,11.2に糸がS字状に巻き掛けられる。この点において、延伸ゴデット11.1,11.2は、ほぼ同一の周速で駆動される。これに応じて、延伸ゴデット11.3,11.4は、同様に相互に逆向きに駆動され、これにより、S字状の糸走行が実現される。
延伸ゾーン10の最後の延伸ゴデット11.5は、延伸ゴデット11.5が隣の紡糸口金、ここでは紡糸口金4.2の中心の垂線に接するように、延伸ゴデット11.1〜11.4に対して側方にずらして配置されている。したがって延伸ゴデット11.5により、追加的に、フィラメントセット5.2を紡糸口金4.2から引出すことができる。まとめて延伸ゴデットを通って案内される糸15,16は、次いで、まとめて交絡装置17を通って案内される。交絡装置17では、両方のマルチフィラメント糸15,16は、圧縮空気により交絡され、規則的な間隔で交絡結節部が形成される。交絡装置17は、このために、延伸ゴデット11.5と後続の変向ゴデット13との間に配置されている。変向ゴデット13は、巻取装置19の端面側に配置されている。変向ゴデット13の軸線は、巻取装置19に配置されたボビンスピンドル21.1,21.2に対してほぼ横向きに配置されているので、複合糸は、水平方向の分配部分を介して巻取部に案内される。
図1に示された態様では、紡糸装置1.1,1.2は、相並んで配置された全部で5つの紡糸口金を備え、これにより、同時に5本の複合糸が製造される。この点において、巻取装置19は、5つの巻取部20.1〜20.5を備え、これらの巻取部20.1〜20.5において、複合糸18がそれぞれ巻き取られて、パッケージ23が形成される。巻取部20.1〜20.5は、同一に構成されていて、それぞれ変向ローラ24と綾振りユニット25とを備える。この場合、複数のパッケージ23が同時にボビンスピンドル21.1又は21.2に巻き取られる。ボビンスピンドル21.1,21.2は、ボビンリボルバ22に片持ち式に保持されていて、交互に運転領域及び交換領域に案内される。各パッケージ(ボビン)23に複合糸を収容するために、圧着ローラ26が設けられており、圧着ローラ26は、パッケージ23の周面に当接する。ボビンリボルバ22並びに圧着ローラ26は、機械スタンド27に可動に保持されている。
押出成形されたフィラメントセット5.1,5.2をまとめて案内して1本の糸を形成するために、別個の2つの準備処理装置14.1,14.2が設けられている。準備処理装置14.1は、糸走行路上で延伸ゴデット11.5と延伸ゴデット11.4との間に配置されている。これに対して準備処理装置14.2は、直接に冷却シャフト9.2の出口に対応して配置されている。
図1に示された態様では、紡糸装置1.1及び後続の延伸ゾーン10を介して、完全延伸ヤーン(FDY)16が形成される。このために、ポリマー溶融物、例えばポリエステルから、フィラメントセット5.1が、紡糸口金4.1を通って押出成形される。この場合、紡糸速度もしくは引出しゴデット12の引出し速度は、500〜1000m/min.の範囲にあってよい。後続の経過において、フィラメントセット5.1は、延伸ゴデット11.1〜11.5を介して案内され、延伸ゴデット11.1〜11.5は、それぞれ加熱されたゴデットジャケット面を備える。この場合、延伸ゴデットの間で速度差が調節されるので、最後の延伸ゴデット11.5は、3000〜4000m/min.の範囲であってよい周速で運転される。最も下流側の延伸ゴデット11.5に走行するまえに、フィラメントセット5.1はまとめて案内されて、完全延伸糸16が形成される。延伸ゴデット11.5は、段付けされていないゴデットジャケット面を備えるので、ゴデットジャケット面のあらゆる周領域で同一の周速が生じる。この点において、フィラメントセット5.2は、紡糸口金4.2において3000〜4000m/min.の範囲の引出し速度で引き出される。延伸ゴデット11.5に走行するまえに、フィラメントセットは、準備処理装置14.2によりまとめて案内され、部分延伸糸15が形成される。延伸ゴデット11.5から繰り出されたあとで、完全延伸糸16及び部分延伸糸15は、まとめて交絡装置17の交絡通路を通って案内され、圧縮空気により相互に結合され、1本の複合糸18が形成される。複合糸18は、次いで巻き取られ、パッケージ23が形成される。
複合糸を製造するために、図示していない溶融物源を介して、ポリマー溶融物、例えばポリエステル又はポリアミドが準備され、ポリマー溶融物は、紡糸ポンプ2.1,2.2により、紡糸口金4.1,4.2に案内される。この場合、紡糸ポンプ2.1,2.2は、その圧送出力で、その都度選択される紡糸速度もしくは引出し速度に対して調整される。したがってFDY糸を製造するための紡糸部及びPOY糸の紡糸部は、それぞれ紡糸ポンプにおいて圧送出力の個別の調節を有して構成することができる。
さらに、フィラメントセット5.1,5.2のフィラメントの数及び横断面積は、紡糸口金4.1,4.2の口金板の構成により個別に選択することができる。したがって、部分延伸糸と完全延伸糸との間の特定の質量比を実現することもできる。
本発明による装置の、図1に示された態様は、特に延伸ゾーンにおいて特に僅かな機械構成部品数で実現することができる。したがって1重の巻掛けを有する糸案内により、極めて短いゴデットジャケット面を形成することができる。たとえ同時に大量の糸が製造される場合でも、片持ち式に長く張出しているゴデットジャケット面を回避することができる。
図1による態様における本発明による装置の別の主な利点は、この態様が、専ら紡糸装置1.1だけが作動するように運転できることにある。この場合、完全延伸糸が製造され巻き取られて、パッケージが形成される。紡糸装置1.2は、更に構造変更することなく、遮断することができる。
図2には、本発明による方法を実施するための本発明による装置の別の態様を概略的に示している。図2による態様は、図1による態様とほぼ同一であるので、ここでは、その相違点について説明するにとどめ、その他の点については前述の説明が適用されるものとする。
図2による態様では、冷却装置6.1,6.2が別の形で形成されており、これにより、フィラメントセット5.1,5.2において分子構造を形成するためのそれぞれ異なる冷却効果が得られる。したがって冷却装置6.2は、出口側に冷却管30を備え、冷却管30は、冷却筒7.2の下側に直接に接続している。冷却管30は、入口側で、冷却流れを加速するために、最も狭い横断面を有してホッパ状に形成されている。このような形の冷却は、部分延伸糸を形成するためにフィラメントセットのできるだけストレスの掛からない冷却を得るために特に適切である。このような効果は、特に4000m/min.を上回るより高い引出し速度を許容する。このような高い引出し速度は、他の構成では、部分延伸糸15を形成するためには許容されないものである。したがって、部分延伸糸15は、例えば4500m/min.の範囲の速度で引き出すことができる。
FDY糸を製造するための隣の紡糸装置1.1は、前述の態様と同一に構成されており、ここでは、準備処理装置14.1は、延伸ゾーン10の上流側に配置されている。延伸ゾーン10は、本態様では、糸16の多重の巻き掛けを実現するために2つのゴデット対偶を形成する複数の延伸ゴデット11.1〜11.5により形成される。さらに延伸ゾーン10の出口側で、両方の糸15,16は、延伸ゴデット11.5を介してまとめて案内されて、交絡装置17に導入される。
したがって、図2に示された態様は、完全延伸糸16を延伸する際により高い速度を得るために適切である。
ここで明確に言及しておくと、図1及び図2に示された態様は、各紡糸装置1.1,1.2が相互に独立してそれぞれ1つの別個の溶融物源に接続されているように、運転してもよい。これにより、部分延伸糸及び完全延伸糸を製造するために、種々異なるポリマー又はポリマー組成物を使用してもよい。
図3には、本発明による方法を実施するための本発明による装置の別の態様を示している。図3による態様は、図1による態様とほぼ同一であるので、ここではその相違点につてのみ説明するにとどめ、その他の点については前述の説明が適用されるものとする。
図3による態様では、紡糸装置1.1の下側に配置された延伸ゾーン10は、両方の糸15,16を相並んで配置された紡糸装置1.1,1.2から引き出すために用いられる。
このために、延伸ゴデット対11.3,11.4は、上流側に配置された延伸ゴデット対11.1,11.2に対してずらして配置されているので、延伸ゴデット11.3は、同時に紡糸装置1.2から引き出された糸15を受け取り、糸16と並行して、下流側に配置されたゴデット11.4並びにゴデット11.5及びゴデット13を介して案内する。これにより、特に部分延伸糸15でも延伸ゴデット11.3,11.4において熱処理を行うことができる。
糸16は、ゴデット13,11.1,11.2を介して引き出され、次いでゴデット11.2とゴデット11.3との間で延伸される。
延伸のあとで、両方の糸15,16は、並行して、延伸ゴデット11.4とゴデット11.5との間で、準備処理装置14.1により液体で湿潤され、次いで、1つの糸部分において、ゴデット11.5とゴデット13との間で結合され、1本の複合糸18が形成される。このために糸15,16は、交絡装置17にまとめて案内される。
図3に示された態様では、準備処理装置14.1は、冷却シャフト9.1又は冷却シャフト9.2の直ぐ下側に配置できる複数の処理ステーションを有してもよい。
さらに延伸ゾーン10の上流側に別の交絡装置を配置してもよく、これにより、糸15,16に前交絡が行われる。
1.1,1.2 紡糸装置
2.1,2.2 紡糸ポンプ
3.1,3.2 紡糸ビーム
4.1,4.2 紡糸口金
5.1,5.2 フィラメントセット
6.1,6.2 冷却装置
7.1,7.2 冷却筒
8.1,8.2 ブローチャンバ
9.1,9.2 冷却シャフト
10 延伸ゾーン
11.1,11.2,11.3,11.4,11.5 延伸ゴデット
12 引出しゴデット
13 変向ゴデット
14.1,14.2 準備処理装置
15 部分延伸糸(POY)
16 完全延伸糸(FDY)
17 交絡装置
18 複合糸
19 巻取装置
20.1,20.2,20.3,20.4,20.5 巻取部
21.1,21.2 紡糸スピンドル
22 ボビンリボルバ
23 パッケージ
24 変向ローラ
25 綾振りユニット
26 圧着ローラ
27 機械スタンド
28.1,28.2 収集糸ガイド
29 溶融物流入路
30 冷却管

Claims (10)

  1. 2本の合成糸から1本の複合糸を製造する方法であって、前記合成糸を、ポリマー溶融物から成る別個の2つのセットのフィラメントの溶融紡糸により形成し、前記合成糸の内の一方の糸を該糸に割り当てられたフィラメントの冷却及び収束のあとで引き出して延伸して部分延伸糸(POY)を形成し、他方の糸を該糸に割り当てられたフィラメントの冷却及び収束のあとで引き出して延伸して完全延伸糸(FDY)を形成し、部分延伸糸及び完全延伸糸を巻取まえにまとめて案内して複合糸を形成する、複合糸を形成する方法において、
    部分延伸糸を、押出及び冷却のあとで、完全延伸糸の延伸速度と同一の引出速度で引き出すことを特徴とする、複合糸を製造する方法。
  2. 部分延伸糸を冷却のあとで、かつ完全延伸糸を延伸のあとで、まとめて1つの延伸ゴデットの周面に案内する、請求項1記載の方法。
  3. 部分延伸糸を冷却及び引出のあとで直接に交絡により完全延伸糸と結合して、複合糸を形成する、請求項1又は2記載の方法。
  4. 完全延伸糸を、1重に巻き掛けられる複数のゴデットにより引き出すかつ/又は延伸するために、S字状又はZ字状の糸走行路上に案内する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. 完全延伸糸を、乾燥状態又は10%を下回る水含有量を有する湿潤状態で引き出す、請求項4記載の方法。
  6. 請求項1から5までのいずれか1項記載の2本の合成糸から1本の複合糸を製造する方法を実施する装置であって、
    別個の少なくとも2つの紡糸口金(4.1,4.2)を有する、相並んで配置された2つの紡糸装置(1.1,1.2)と、前記紡糸装置(1.1,1.2)にそれぞれ対応して配置された2つの冷却装置(6.1,6.2)と、前記合成糸の内の一方の糸(16)を延伸するための少なくとも1つの延伸ゾーン(10)を形成する、前記冷却装置(6.1,6.2)の下側に配置された複数のゴデット(11.1〜11.5)と、結合手段(17)と、巻取装置(19)とを備える、複合糸を製造する方法を実施する装置において、
    前記延伸ゾーン(10)の最も下流側の延伸ゴデット(11.5)は、前記紡糸口金(4.1,4.2)の内の、隣の糸(15)を引き出すための隣の紡糸装置(1.2)の紡糸口金(4.2)に直接に対応して配置されており、前記延伸ゴデット(11.5)は、前記両方の糸をまとめて案内するための段付けされていないゴデットジャケット面を備えることを特徴とする、複合糸を製造する方法を実施する装置。
  7. 糸走行路上で前記延伸ゴデット(11.5)の下流側に結合手段(17)が配置されており、前記結合手段は、交絡手段(17)によって形成される、請求項6記載の装置。
  8. 前記巻取装置(19)と前記交絡手段(17)との間に変向ゴデット(13)が配置されており、前記変向ゴデット(13)の軸線は、前記巻取装置(19)の巻取スピンドル(21.1,21.2)に対してほぼ横向きに方向付けされている、請求項7記載の装置。
  9. 前記延伸ゾーン(10)の前記延伸ゴデット(11.1〜11.5)は、S字状又はZ字状の糸走行路を形成するように配置されており、糸走行路上で隣り合う延伸ゴデット(11.1,〜11.4)は、相互に逆向きに駆動可能に形成されている、請求項6から8までのいずれか1項記載の装置。
  10. 前記延伸ゾーン(10)に対応して、繰出し領域で、完全延伸糸(16)を準備処理するための準備処理装置(14.1)が配置されている、請求項6から9までのいずれか1項記載の装置。
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