JP2013530195A - 二酸化炭素と水素との反応によるギ酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

二酸化炭素(1)と水素(2)とを水素化反応器(I)中で、周期律表の第8族、第9族又は第10族の元素を含む触媒と、1分子当たり少なくとも12個の炭素原子を含む第三級アミンと、メタノール、エタノール、プロパノール及びブタノールから選択される1種以上のモノアルコールを含む極性溶剤の存在下に反応させて、ギ酸/アミンの付加物を中間生成物として形成させて、それを引き続き熱分解することによってギ酸を製造する方法であって、その際、水素化反応器(I)からの排出物(3)の後処理を水を添加しながら実施し、そしてその際に、上相(4)と下相との間での触媒の分配係数が高められる前記方法が提案される。

Description

本発明は、二酸化炭素と水素とを、水素化反応器において、周期表の第8族、第9族又は第10族からの元素を含む触媒と、第三級アミンと、極性溶剤との存在下に反応させて、中間生成物としてギ酸/アミンの付加物を形成させ、それを引き続き熱分解させることによってギ酸を製造する方法に関する。
ギ酸と第三級アミンとの付加物は、熱分解されて、遊離のギ酸及び第三級アミンとすることができるため、前記付加物は、ギ酸の製造における中間生成物として用いられる。
ギ酸は、重要かつ多岐に亘り使用可能な生成物である。ギ酸は、例えば飼料の製造における酸性化のために、保存剤として、殺菌剤として、テキスタイル産業及び皮革産業における助剤として、その塩との混合物として飛行機及び滑走路の除霜のために、並びに化学産業における合成構成要素として使用される。
上述のギ酸及び第三級アミンとからの付加物は、種々の様式及び方法で製造でき、例えば(i)第三級アミンとギ酸とを直接的に反応させ、(ii)ギ酸メチルを第三級アミンの存在下に加水分解してギ酸とするか、又は(iii)第三級アミンの存在下での一酸化炭素の接触水和又は二酸化炭素の水素化によりギ酸を得ることによって製造することができる。最後に挙げた二酸化炭素の接触水素化の方法は、特に二酸化炭素が大量に入手でき、かつその起源に関して柔軟性があるという利点を有する。
大工業的に有望であると思われるのは、その際、とりわけ、アミンの存在下での二酸化炭素の接触水素化である(W. Leitner, Angewandte Chemie 1995, 107、第2391頁〜第2405頁;P. G. Jessop, T. Ikariya, R. Noyori, Chemical Reviews 1995, 95、第259頁〜第272頁)。その際に形成されるギ酸とアミンからの付加物は、熱分解されて、ギ酸と、水素化に返送可能な使用されるアミンとすることができる。
該反応に必要な触媒は、周期表の第8族、第9族又は第10族からの1もしくは複数の元素、従ってFe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir及び/又はPtを含む。好ましくは、該触媒は、Ru、Rh、Pd、Os、Ir及び/又はPt、特に好ましくはRu、Rh及び/又はPd、殊に好ましくはRuを含む。
経済的な方法を可能にするために、使用される触媒は、2つの理由からできる限り完全に生成物流から分離され、反応に返送されねばならない:
(1)高価な触媒の多量の損失は、かなりの追加費用をもたらし、該方法の経済的な実施のためには禁止される。
(2)ギ酸/アミン付加物の熱分解に際して、できる限り僅かな触媒しか存在しないことが望ましい。それというのも、該触媒は、CO2圧力及び/又はH2圧力の不在下に逆反応も触媒し、それにより形成されるギ酸の損失を導くからである。
Figure 2013530195
CO2水素化によるギ酸の形成(x=0.4〜3)
Figure 2013530195
触媒の存在下でのギ酸/アミン付加物の分解(x=0.4〜3)
ギ酸の遷移金属触媒による分解は、とりわけこのところ詳細に記載されている:C. Fellay, N. Yan, P.J. Dyson, G. Laurenczy Chem. Eur. J. 2009, 15, 3752-3760; C. Fellay, P.J. Dyson, G. Laurenczy Angew. Chem. 2008, 120, 4030-4032; B. Loges, A. Boddien, H. Junge, M. Beller Angew. Chem. 2008, 120, 4026-4029; F. Joo ChemSusChem 2008, 1, 805-808; S. Enthaler ChemSusChem 2008, 1, 801-804; S. Fukuzumi, T. Kobayashi, T. Suenobu ChemSusChem 2008, 1, 827-834;A. Boddien, B. Loges, H. Junge, M. Beller ChemSusChem 2008, 1, 751-758。
この場合に使用される触媒は、基本的に、CO2の水素化によりギ酸を得るために適している(P.G. Jessop, T. Ikariya, R. Noyori Chem. Rev. 1995, 95, 259-272; P.G. Jessop, F. Joo, C.C. Tai Coord. Chem. Rev. 2004, 248, 2425-2442; P.G. Jessop, Homogeneous Hydrogenation of Carbon Dioxide, in: The Handbook of Homogeneous Hydrogenation, Hrsg.: J.G. de Vries, C.J. Eisevier, Volume 1, 2007, Wiley-VCH, S. 489-511)。従って、水素化触媒は、不所望なギ酸分解を抑えるために、熱分解前に分離せねばならない。
WO2008/116799は、二酸化炭素を、溶液中に懸濁されたか又は均一に溶解された、第VIII副族(第8族、第9族、第10)の遷移金属を含む触媒と、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する第三級アミンと、極性溶剤との存在下に水素化して、ギ酸と第三級アミンとからの付加物とする方法を開示している。前記の第三級アミン中のヒドロキシル基によって、以前から通常使用されたトリエチルアミンに対して高められた二酸化炭素溶解性が達成される。好ましい均一系触媒としては、単座のリンをベースとする配位子Lを有するRuH24及び二座のリンをベースとする配位子LLを有するRuH2(LL)2が挙げられ、特に好ましいものとして、RuH2[P(C6534が挙げられる。極性溶剤としては、常圧での沸点が、ギ酸よりも少なくとも5℃上回るアルコール、エーテル、スルホラン、ジメチルスルホキシド及びアミドが挙げられる。また、好ましく使用されるべき第三級アミンは、ギ酸よりも高い沸点を有する。相分離が起こらないので、反応排出物全体の、蒸留による後処理は、場合により触媒の事前の分離の後に行われ、その際、形成されたギ酸と第三級アミンとからの付加物は熱分解され、かつ遊離されたギ酸は塔頂製品として得られる。第三級アミンと、極性溶剤と、場合により触媒とを含む塔底製品は、水素化段階へと返送される。
この方法での欠点は、液状の反応排出物全体を、熱分解及び蒸留のための装置中に、場合により、例えば抽出段階、吸着段階又は限外濾過などの個別の方法工程による均一系触媒の前接続された特定の分離の後に供給することである。その結果として、熱分解及び蒸留のための装置は、より高い液体負荷量の点でも特定の分離特性の点でもより大きくかつ複雑に設計されるべきである。このことは、とりわけ投資費用においても表れる(例えばエンジニアの能力、材料、所要面積を介して)。加えて、より高い液体負荷量は、またより高い所要エネルギーを引き起こす。
しかしながら、二酸化炭素のギ酸への接触水素化のための基礎的な作業は、既に1970年代と1980年代に行われている。その結果として、EP0095321A、EP0151510A及びEP0181078Aで特許出願されたBP Chemicals Ltdの方法も十分に理解できる。3つの文献の全ては、二酸化炭素を、第VIII副族(第8族、第9族、第10族)の遷移金属を含む均一系触媒と、第三級アミンと、極性溶剤との存在下に水素化して、ギ酸と第三級アミンとからの付加物を得ることを記載している。好ましい均一系触媒としては、EP0095321及びEP0181078Aにおいて、それぞれルテニウムをベースとするカルボニルを、ハロゲン化物を及び/又はトリフェニルホスフィンを含む錯体触媒が挙げられ、EP0151510Aにおいて、ロジウム/ホスフィン錯体が挙げられる。好ましい第三級アミンは、C1〜C10−トリアルキルアミン、特に短鎖のC1〜C4−トリアルキルアミン並びに環状及び/又は橋かけされたアミン、例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピリジン又はピコリンである。水素化は、6MPa(60バール)までの二酸化炭素分圧、25MPa(250バール)までの水素分圧並びにほぼ室温から200℃までの温度で行われる。
EP0095321A及びEP0151510Aは、極性溶剤としてのアルコールの使用を教示している。しかしながら、第一級アルコールは、ギ酸エステル(有機ホルミエート)を形成する傾向があるので、第二級アルコール、特にイソプロパノールが好ましい。更に、水の存在が好ましいと記載されている。EP0095321Aからの実施例によれば、反応排出物の後処理は、直接的に後に続いている二段階の蒸留によって行われ、その際、第一段階に低沸点物のアルコール、水、第三級アミンが分離され、第二段階で真空条件下でギ酸及び第三級アミンからの付加物が塔頂を介して分離される。EP0151510Aは、同様に蒸留による後処理を教示しているが、EP0126524Aへの参照のもとに、遊離のギ酸の生成のための後続の熱分解を容易にし、あるいはまずは可能にするために、蒸留により分離された付加物中の第三級アミンは、その熱分解の前に、より揮発性の低いより弱い窒素塩基によって置き換えられる。
EP0181078Aは、同時に満たさねばならない3つの本質的な基準をもとにした極性溶剤の狙い通りの選択を教示している:
(i)均一系触媒は、極性溶剤中に可溶性でなければならない。
(ii)極性溶剤は、水素化に悪影響を及ぼしてはならない。
(iii)形成されるギ酸と第三級アミンとからの付加物は、極性溶剤から容易に分離できるべきである。
特に好適な極性溶剤としては、種々のグリコール及びフェニルプロパノールが挙げられる。
EP0181078Aの教示による反応排出物の後処理は、まず、蒸発器において気体状の成分(とりわけ未反応の出発物質である水素及び二酸化炭素)を塔頂を介して、かつ極性溶剤中に溶解された均一系触媒を塔底を介して分離し、水素化段階に返送するように行われる。ギ酸と第三級アミンとからの付加物と、遊離の第三級アミンと、場合により水とを含む残留している液相から、次いで、引き続いて、ギ酸と第三級アミンとからの付加物が分離され、そして遊離の第三級アミンと、場合により水とを含む液相の残りの部分が水素化段階へと返送される。その分離は、二相系の蒸留又は相分離(デカンテーション)によって行うことができる。
EP0181078Aからの更なる本質的な教示は、遊離のギ酸の生成のための後続の熱分解を容易にし、あるいはまずは可能にするために、分離された付加物中の第三級アミンを、その熱分解の前に、より揮発性の低いより弱い窒素塩基によって引き続き強制的に置き換えることである。特に好適なより弱い窒素塩基としては、イミダゾール誘導体、例えば1−n−ブチルイミダゾールなどの誘導体が挙げられる。
EP0181078Aの方法の欠点は、非常に高価な四段階の反応排出物の後処理であり、その後処理は、
(i)気体状の成分並びに均一系触媒と極性溶剤を蒸発器中で分離し、水素化段階へと返送することと、
(ii)ギ酸と第三級アミンとからの付加物を蒸留塔又は相分離器において分離し、残りの液体流れを水素化段階に返送することと、
(iii)ギ酸と第三級アミンとからの付加物中の第三級アミンを、蒸留塔が載せられた反応槽において、より揮発性の低い、より弱い窒素塩基によって交換し、遊離された第三級アミンを水素化段階に返送することと、
(iv)ギ酸とより弱い窒素塩基とからの付加物を熱分解し、遊離されたより弱い窒素塩基を塩基交換段階へと返送することと、
により行われる。
EP0181078Aの方法の並びにまたEP0095321A及びEP0151510Aの方法の更なる本質的な欠点は、ギ酸と第三級アミンとからの付加物を、均一系触媒の存在下で、蒸発器中での後処理に際して、部分的に再び二酸化炭素と水素とに分解し戻すという事実である。従って、課題解決手段として、均一系触媒を可逆的に阻害する分解阻害剤の添加が提案される。好ましい分解阻害剤としては、一酸化炭素と酸化剤が挙げられる。しかしながら、その欠点は、全方法において更なる物質を供給することと、阻害された均一系触媒をその新たな装入前に再び活性化させる必要性とである。
EP0357243Aは、また、EP0181078Aの方法におけるギ酸と第三級アミンとからの付加物の部分的な逆分解の欠点を、蒸発器中での反応排出物の一緒の後処理によって取り組んでいる。EP0357243Aで提案される方法は、二酸化炭素の接触水素化によりギ酸と第三級アミンとからの付加物とする際に、第VIII副族(第8族、第9族、第10族)の遷移金属を含む均一系触媒と、第三級アミンと、2種の異なる溶剤、つまり一方は非極性で、かつ一方は極性の、それぞれ不活性な溶剤であって、2つの混和不可能な液相を形成する溶剤とを使用することを教示している。非極性溶剤としては、脂肪族の及び芳香族の炭化水素が挙げられるが、脂肪族の及び/又は芳香族の炭化水素基を有するホスフィンも挙げられる。極性溶剤としては、水、グリセリン、アルコール、ポリオール、スルホラン又はそれらの混合物が挙げられ、その際、水が好ましい。非極性溶剤中では、均一系触媒が溶解され、極性溶剤中では、ギ酸と第三級アミンとからなる付加物が溶解される。反応の完了後に、2つの液相を、例えばデカンテーションによって分離し、そして均一系触媒と非極性溶剤を含む非極性相を水素化段階に返送する。ギ酸と第三級アミンとからなる付加物と極性溶剤を含む極性相を、次いで、遊離のギ酸の生成のための後続の熱分解を容易にし、あるいはまずは可能にするために、付加物中の第三級アミンの、その熱分解の前での、より揮発性の低いより弱い窒素塩基による強制的な置き換えに供する。EP0181078Aと同様に、ここでも1−n−ブチルイミダゾールなどのイミダゾール誘導体が、特に好適なより弱い窒素塩基として挙げられる。
EP0357243Aの方法の欠点は、非常に高価な三段階の反応排出物の後処理であり、その後処理は、
(i)2つの液相を分離し、均一系触媒と非極性溶剤を含有する相を水素化段階へと返送することと、
(ii)別の相のギ酸と第三級アミンとからの付加物中の第三級アミンを、蒸留塔が載せられた反応槽において、より揮発性の低い、より弱い窒素塩基によって交換し、遊離された第三級アミンを水素化段階に返送することと、
(iii)ギ酸とより弱い窒素塩基とからの付加物を熱分解し、遊離されたより弱い窒素塩基を塩基交換段階へと返送することと、
により行われる。
EP0357243Aの方法の更なる欠点は、2種の溶剤の使用であり、従って方法全体における更なる物質の導入である。
選択的に、EP0357243Aは、1種だけの溶剤を使用する可能性も開示している。この場合には、極性溶剤の添加は省かれるが、さもなくば前記溶剤中にギ酸と第三級アミンとからの付加物が溶解される。この場合に使用される唯一の溶剤は、均一系触媒を溶かす非極性溶剤である。この選択肢の場合も、しかしながら、上記のような非常に高価な三段階の後処理が欠点である。
DE4431233Aは、同様に、二酸化炭素を、第VIII副族(第8族、第9族、第10族)の遷移金属を含む触媒と、第三級アミンと、極性溶剤と、水との存在下で水素化することで、ギ酸と第三級アミンとからの付加物を得ることを記載しているが、その場合には、該触媒は不均一系で存在し、かつ活性成分は不活性担体上に施与されている。好ましい第三級アミンは、C1〜C8−トリアルキルアミン、2〜5個のアミノ基を有するポリアミン、芳香族の窒素複素環、例えばピリジンもしくはN−メチルイミダゾール並びに環状及び/又は橋かけされたアミン、例えばN−メチルピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン又は1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである。好適な極性溶剤としては、低沸点のC1〜C4−モノアルコールが挙げられ、その際、EP0095321Aと同様に、第二級アルコールが好ましい。水素化は、4〜20MPa(40〜200バール)の全圧及び50〜200℃の温度で行われる。形成された、ギ酸と第三級アミンとからの付加物の後処理のために、DE4431233Aは、EP0357243Aに開示される後処理への明示的な参照をした公知法の使用を、ギ酸と第三級アミンとからの付加物中の第三級アミンとより弱いより揮発性の低い窒素塩基との置き換えをして教示している。EP0357243Aによる方法と同様に、DE4431233Aによる方法でも、非常に高価な三段階の反応排出物の後処理が欠点である。
本発明の課題は、二酸化炭素の水素化によるギ酸の製造方法であって、先行技術の上述の欠点を有さないか又は明らかに低減された規模でしか有さず、かつ富化されたギ酸に高収率でかつ高純度で導く方法を提供することであった。更に、前記方法は、簡単な方法実施を、又は先行技術に記載されるよりも、少なくとも簡単な方法の実施を可能にすべきであり、特に水素化反応器からの排出物の後処理のためのより容易な方法思想を、より容易な方法工程を、より少ない数の方法工程を、又はより単純な装置を実現できるべきである。更に、該方法は、できる限り低い所要エネルギーでも実施できるべきである。特に、今まで不十分にしか解決されていなかった触媒の返送について、効果的な解決策が、同時に水素化触媒の高い活性を保証しつつ提供されるべきである。
水素化反応器からの排出物の後処理は、特にもっぱら、該方法で既に存在する物質を用いて、付加的な助剤を用いずに行われるべきであり、かつこれらは、該方法で完全に又は十分に完全に再循環されるべきである。
前記課題は、二酸化炭素と水素とを水素化反応器中で、
− 周期表の第8族、第9族又は第10族からの元素を含む触媒と、
− 1分子当たりに少なくとも12個の炭素原子を含む第三級アミンと、
− メタノール、エタノール、プロパノール及びブタノールから選択される1もしくは複数のモノアルコールを含有する極性溶剤と、
の存在下で反応させることで、中間生成物としてギ酸/アミンの付加物を形成させ、それを引き続き熱分解させることによって、ギ酸を製造する方法であって、ギ酸よりも少なくとも5℃だけ沸点が高い第三級アミンが使用され、かつ水素化反応器中での反応に際して、前記極性溶剤と、前記ギ酸/アミンの付加物と、前記第三級アミンと、前記触媒とを含有する反応混合物が形成され、該混合物が反応器から排出される前記方法において、
水素化反応器(I)からの排出物の後処理は、以下の方法工程に従って行われる:
1)水素化反応器からの排出物に水を添加し、その際、2つの液相が得られ、
2)2つの液相を相分離容器中で分離し、相分離容器からの上相を水素化反応器に返送し、そして相分離容器からの下相を抽出装置に更に送り、その際、
3)触媒の残分は、水素化で使用したその第三級アミンで抽出され、触媒で負荷された第三級アミンを水素化反応器に再循環し、そしてギ酸/アミンの付加物で負荷された極性溶剤の触媒を含まない流れを蒸留ユニットに更に送り、その際、
4)分別蒸留を行って、極性溶剤を主に含有する第一のフラクションと、水を主に含有する第二のフラクションと、もう一つのフラクションとが得られ、前記の第一のフラクションは水素化反応器に再循環され、前記の第二のフラクションは水素化反応器からの排出物中に再循環されるか、もしくは廃棄され、前記もう一つのフラクションは、
5)相分離容器中で、第三級アミンを主に含む上相と、ギ酸/アミンの付加物を主に含む下相とに分離され、ここで
6)その相分離容器からの下相は、熱分解ユニットに供給され、そこで第三級アミンを含む流れと、純粋なギ酸とに分けられ、前記第三級アミンを含む流れは、相分離容器中に返送され、その際、その相分離容器からの第三級アミンを含む流れは、抽出装置中に触媒用の選択溶媒として導かれることを特徴とするギ酸の製造方法によって解決される。
一実施形態においては、方法工程(6)で、相分離容器からの第三級アミンを含有する流れの一部の流れだけが抽出装置中に触媒用の選択溶媒として導かれ、そして第三級アミンを含有する流れの残りの部分は、直接的に水素化反応器中に導かれる。
本発明による方法で二酸化炭素の水素化に際して使用される触媒は、好ましくは均一系触媒である。前記触媒は、周期表の第8族、第9族又は第10族からの元素、従ってFe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir及び/又はPtを含む。好ましくは、該触媒は、Ru、Rh、Pd、Os、Ir及び/又はPt、特に好ましくはRu、Rh及び/又はPd、殊に好ましくはRuを含む。
前記の元素は、錯体様の化合物の形で反応混合物中に均一に溶解されて存在する。均一系触媒は、その際、これが第三級アミンと一緒に同じ液相(B)中で富化されるように選択されるべきである。"富化されて"とは、この場合、均一系触媒の分配係数
P=[液相(B)中の均一系触媒の濃度]/[液相(A)中の均一系触媒の濃度]
が1超であることを表す。均一系触媒の選択は、一般に、所望の均一系触媒の分配係数が、予定された方法条件下で実験的に決定される簡単な試験によって行われる。
液相(A)は、この場合に、方法工程1)における相分離容器からの下相である。
第三級アミン中でのその良好な溶解性のゆえ、本発明による方法では、均一系触媒としては、好ましくは、周期表の第8族、第9族又は第10族からの元素と、少なくとも1つの非分枝鎖状のもしくは分枝鎖状の、非環式のもしくは環式の、1〜12個の炭素原子を有する脂肪族基を有する少なくとも1種のホスフィン基とを含む有機金属錯体化合物であって、個々の炭素原子が>P−によって置換されていてよい化合物が使用される。分枝鎖状の環式の脂肪族の基の意味においては、それにより、例えば−CH2−C611などの基も含められている。好適な基としては、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、1−(2−メチル)プロピル、2−(2−メチル)プロピル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−ヘプチル、1−オクチル、1−ノニル、1−デシル、1−ウンデシル、1−ドデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチル、メチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、1−(2−メチル)ペンチル 1−(2−エチル)ヘキシル、1−(2−プロピル)ヘプチル及びノルボルニルが挙げられる。好ましくは、非分枝鎖状のもしくは分枝鎖状の、非環式のもしくは環式の、脂肪族基は、少なくとも1個でかつ好ましくは最大で10個の炭素原子を含む。上述の意味においてもっぱら環式の基の場合に、炭素原子の数は、3〜12であり、好ましくは少なくとも4であり、有利には最大で8個の炭素原子である。好ましい基は、エチル、1−ブチル、s−ブチル、1−オクチル及びシクロヘキシルである。
ホスフィン基は、上述の非分枝鎖状のもしくは分枝鎖状の、非環式のもしくは環式の脂肪族の基を、1つ、2つ又は3つ含んでよい。これらは、同一又は異なってよい。好ましくは、ホスフィン基は、上述の非分枝鎖状のもしくは分枝鎖状の、非環式のもしくは環式の脂肪族の基を、3つ含んでよく、その際、特に好ましくは全ての3つの基は同一である。好ましいホスフィンは、P(n−Cn2n+13であり、その際、nは1〜10であり、特に好ましくはトリ−n−ブチルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン及び1,2−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタンである。
既に更に上述のように、上述の非分枝鎖状のもしくは分枝鎖状の、非環式のもしくは環式の脂肪族の基において、個々の炭素原子は、>P−によって置換されていてもよい。従って、多座の、例えば2座又は3座のホスフィン配位子もともに含まれている。これらは、好ましくは、
Figure 2013530195
を含む。
ホスフィン基がなおも、上述の非分枝鎖状のもしくは分枝鎖状の非環式のもしくは環式の脂肪族基とは別の基を含む場合に、前記基は、一般に、さもなくば通常は有機金属錯体触媒用のホスフィン配位子の場合に使用されるものに相当する。例としては、フェニル、トリル及びキシリルが挙げられる。
有機金属錯体化合物は、上述の、少なくとも1つの非分枝鎖状のもしくは分枝鎖状の非環式のもしくは環式の脂肪族基を有するホスフィン基を、1もしくは複数有してよく、例えば2、3又は4つ有してよい。有機金属錯体の残りの配位子は、異なる性質であってよい。例としては、ヒドリド、フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージド、ホルミエート、アセテート、プロピオネート、カルボキシレート、アセチルアセトネート、カルボニル、DMSO、ヒドロキシド、トリアルキルアミン、アルコキシドが挙げられる。
均一系触媒は、直接的にその活性形でも、[M(p−シメン)Cl22、[M(ベンゼン)Cl2n、[M(COD)(アリル)]、[MCl3×H2O]、[M(アセチルアセトネート)3]、[M(DMSO)4Cl2](式中、Mは、周期表の第8族、第9族又は第10族からの元素である)などの通常の標準的な錯体から出発して、1種以上の相応のホスフィン配位子の添加下に、反応条件下ではじめて生成させることもできる。
本発明による方法で好ましい均一系触媒は、[Ru(PnBu34(H)2]、[Ru(Pnオクチル34(H)2]、[Ru(PnBu32(1,2−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン)(H)2]、[Ru(Pnオクチル32(1,2−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン)(H)2]、[Ru(PEt34(H)2]である。前記触媒を用いて、二酸化炭素の水素化において、1000h-1を上回るTOF値(ターンオーバー回数)を達成できる。
均一系触媒を使用する場合に、有機金属錯体中の上述の金属成分の使用される量は、それぞれ水素化反応器中の液状反応混合物全体に対して、一般に0.1〜5000質量ppm、好ましくは1〜800質量ppm、特に好ましくは5〜800質量ppmである。
アミン相中と、ギ酸/アミンの付加物を含む生成物相中の、ルテニウムの量に対する均一系触媒の分配係数は、水素化の後には、0.5を上回るPの範囲、より好ましくは1.0を上回るPの範囲、特に好ましくは4を上回るPの範囲にある。
本発明による方法で二酸化炭素の水素化に際して使用すべき第三級アミンは、ギ酸よりも少なくとも5℃だけ高い沸点を有する。その際、通常のように、化合物の沸点の相対位置の表記に際して、互いにそれぞれ同じ圧力に合わされるべきである。第三級アミンは、その際、第三級アミンが水素化反応器中の上相で富化されて存在するように選択され、極性溶剤と合わされる。"富化されて"とは、この場合に、上相中の、遊離の、つまりギ酸/アミンの付加物の形で結合されていない第三級アミンの質量割合が、2つの液相中の遊離の第三級アミンの全量に対して50%超であることを表す。好ましくは、その質量割合は、90%超である。第三級アミンの選択は、一般に、所望の第三級アミンの2つの液相中での溶解性が、予定された方法条件下で実験的に決定される簡単な試験によって行われる。更になおも、極性溶剤の一部と、非極性の不活性溶剤の一部を含んでよい。
好ましくは、使用されるべき第三級アミンは、ギ酸よりも、少なくとも10℃だけ、特に好ましくは少なくとも50℃だけ、殊に好ましくは少なくとも100℃だけ高い沸点を有する。沸点についての上限値に関する制限は必要ない。それというのも、本発明による方法については、第三級アミンのできる限り低い蒸気圧が基本的に好ましいからである。一般には、第三級アミンの沸点は、場合により公知法により真空から1013hPa(絶対)に外挿された圧力において、500℃未満である。
本発明による方法で有利に使用される第三級アミンは、1分子当たり少なくとも12個の炭素原子を含む、一般式(Ia)
NR123 (Ia)
[式中、基R1ないしR3は、同一又は異なっており、かつ互いに独立して、非分枝鎖状のもしくは分枝鎖状の、非環式のもしくは環式の、脂肪族の、芳香脂肪族の又は芳香族の、それぞれ1〜16個の炭素原子を有する、好ましくは1〜12個の炭素原子を有する基を表し、その際、個々の炭素原子は、互いに独立して、基−O−及び>N−から選択されるヘテロ原子によって置換されていてもよく、かつ2つの又は全ての3つの基は、少なくともそれぞれ4つの原子を含む鎖を形成して互いに結合されていてもよい]で示されるアミンである。
好適なアミンとしては、例えば以下のものが挙げられる:
・ トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ウンデシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン、トリ−n−トリデシルアミン、トリ−n−テトラデシルアミン、トリ−n−ペンタデシルアミン、トリ−n−ヘキサデシルアミン、トリ(2−エチルヘキシル)アミン
・ ジメチル−デシルアミン、ジメチル−ドデシルアミン、ジメチル−テトラデシルアミン、エチル−ジ(2−プロピル)アミン(沸点1013hPa=127℃)、ジオクチル−メチルアミン、ジヘキシル−メチルアミン
・ トリシクロペンチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリシクロヘプチルアミン、トリシクロオクチルアミン及び、1もしくは複数のメチル基で、エチル基で、1−プロピル基で、2−プロピル基で、1−ブチル基で、2−ブチル基でもしくは2−メチル−2−プロピル基で置換された前記のものの誘導体
・ ジメチル−シクロヘキシルアミン、メチル−ジシクロヘキシルアミン、ジエチル−シクロヘキシルアミン、エチル−ジシクロヘキシルアミン、ジメチル−シクロペンチルアミン、メチル−ジシクロペンチルアミン
・ トリフェニルアミン、メチル−ジフェニルアミン、エチル−ジフェニルアミン、プロピル−ジフェニルアミン、ブチル−ジフェニルアミン、2−エチル−ヘキシル−ジフェニルアミン、ジメチル−フェニルアミン、ジエチル−フェニルアミン、ジプロピル−フェニルアミン、ジブチル−フェニルアミン、ビス(2−エチル−ヘキシル)フェニルアミン、トリベンジルアミン、メチル−ジベンジルアミン、エチル−ジベンジルアミン及び、1もしくは複数のメチル基で、エチル基で、1−プロピル基で、2−プロピル基で、1−ブチル基で、2−ブチル基でもしくは2−メチル−2−プロピル基で置換された前記のものの誘導体
・ N−C1〜C12−アルキル−ピペリジン、N,N−ジ−C1〜C12−アルキル−ピペラジン、N−C1〜C12−アルキル−ピロリジン、N−C1〜C12−アルキル−イミダゾール及び、1もしくは複数のメチル基で、エチル基で、1−プロピル基で、2−プロピル基で、1−ブチル基で、2−ブチル基でもしくは2−メチル−2−プロピル基で置換された前記のものの誘導体
・ 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン("DBU")、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン("DABCO")、N−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン("Tropan")、N−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン("Granatan")、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン("Chinuclidin")
本発明による方法では、もちろん、任意の数の種々の第三級アミンの混合物も使用できる。
特に好ましくは、本発明による方法では、第三級アミンとして、一般式(Ia)で示され、その式中、基R1ないしR3が互いに独立して、C1〜C12−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、ベンジル及びフェニルの群から選択されるアミンが使用される。
特に好ましくは、本発明による方法では、第三級アミンとして、一般式(Ia)で示される飽和アミンが、すなわち単結合しか含まないアミンが使用される。
殊に好ましくは、本発明による方法においては、第三級アミンとして、一般式(Ia)で示され、その式中、基R1ないしR3が、互いに独立して、C5〜C8−アルキル、特にトリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、ジオクチルメチルアミン及びジメチルデシルアミンの群から選択されるアミンが使用される。
特に、第三級アミンとしては、一般式(Ia)で示され、その式中、基R1ないしR3が、互いに独立して、C5〜C6−アルキルから選択されるアミンが使用される。
好ましくは、第三級アミンは、本発明による方法では、全ての方法工程において液状で存在する。しかしながら、必ずそうである必要はない。また、第三級アミンが少なくとも好適な溶剤に溶解されていることでも十分である。好適な溶剤は、原則的に、二酸化炭素の水素化と付加物の熱分解に関して化学的に不活性な溶剤であって、第三級アミンと、均一系触媒が使用される場合には、その触媒もよく溶かすが、反対に極性溶剤とギ酸/アミンの付加物をあまり溶かさない溶剤である。従って、原則的に化学的に不活性な非極性溶剤、例えば脂肪族の、芳香族の又は芳香脂肪族の炭化水素、例えばオクタン及びより高級なアルカン、トルエン、キシレンが該当する。
本発明による方法では二酸化炭素の水素化に際して使用されるべき極性溶剤は、ギ酸/アミンの付加物の分解のために同じ圧力で必要とされる温度よりも少なくとも5℃だけ低い沸点を有する。極性溶剤は、その際、その極性溶剤が下相において富化されて存在するように選択し、あるいは第三級アミンと合わされるべきである。"富化されて"とは、この場合に、下相中の、極性溶剤の質量割合が、2つの液相中の極性溶剤の全量に対して50%超であることを表す。好ましくは、その質量割合は、70%超である。極性溶剤の選択は、一般に、所望の極性溶剤の2つの液相中での溶解性が、予定された方法条件下で実験的に決定される簡単な試験によって行われる。
極性溶剤は、該溶剤に課される上述の沸点及び相挙動に関する条件に該当する限りは、純粋な極性溶剤であっても、種々の極性溶剤の混合物であってもよい。
好ましくは、使用されるべき極性溶剤は、ギ酸/アミンの付加物の分解のために同じ圧力で必要とされる温度よりも少なくとも10℃だけ低い、特に好ましくは少なくとも50℃だけ低い沸点を有する。溶剤混合物の場合に、使用される溶剤混合物もしくは共沸混合物又は異相共沸混合物の沸点は、ギ酸/アミンの付加物の分解のために同じ圧力で必要とされる温度よりも少なくとも10℃だけ、特に好ましくは少なくとも50℃だけ低い。
極性溶剤として適した物質クラスとしては、好ましくはアルコール並びにそのギ酸エステル及び水が該当する。該アルコールは、アルコールのギ酸とのエステル化をできるだけ僅かに保つために、ギ酸/アミンの付加物の分解のために同じ圧力で必要とされる温度よりも、少なくとも10℃だけ、特に好ましくは少なくとも50℃だけ低い沸点を有する。
好適なアルコールとしては、水との混合物においてトリアルキルアンモニウムホルミエートを好ましくは溶かし、かつこの生成物相が遊離のトリアルキルアミンとの溶解度ギャップを有するアルコールが挙げられる。好適なアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノールが挙げられる。アルコールの水に対する比率は、トリアルキルアンモニウムホルミエート及びトリアルキルアミンと一緒になって2相混合物が形成され、そこでは、大部分のトリアルキルアンモニウムホルミエートと、水と、極性溶剤とが下相中に存在するように選択されるべきである。これは、一般に、所望の極性溶剤混合物の2つの液相中での溶解性が、予定された方法条件下で実験的に決定される簡単な試験によって測定される。
本発明による方法で使用されるべき極性溶剤又は溶剤混合物の、使用される第三級アミンに対するモル比は、一般に、0.5〜30、好ましくは1〜20である。
本発明によれば、水素化反応器からの排出物の後処理は、第一の方法工程において水素化反応器からの排出物に水が添加されるように実施される。
水素化を行った後の水の添加は、触媒の分配係数が、アミン相中での触媒の富化のための水の添加によって改善され、それによって触媒の効率的な返送が、その水素化活性の低下を伴うことなく可能となるという作用を有する。水素化排出物は、使用される極性溶剤とギ酸とアミンの付加物の濃度に応じて2相であってよく、その際、次いで水の添加によってそのギ酸とアミンの付加物は生成物相(下相)に集まる。1相の水素化排出物の場合に本発明による極性溶剤を使用すると、水の添加によって生成物相(下相)とアミン相(上相)が形成されつつ相分解が引き起こされる。好ましくは、相分離容器IIからの下相の全質量に対して0.1〜50質量%の生成物相中の含水率に至るまで、特に好ましくは相分離容器IIからの下相の全質量に対して2〜30質量%の生成物相中の含水率に至るまで、水が添加される。供給されるべき水は、蒸留ユニットIVに由来してよく、そこでは、極性溶剤の大部分と水が生成物流れ(7)から分離され、かつ/又は前記の水は、プロセスに新たに供給される水であってもよい。その水は、水素化反応器からの排出物の常圧への放圧後にも、その放圧前にも添加することができる。
二酸化炭素の水素化に際して使用されるべき二酸化炭素は、固体、液体又は気体の形態で使用することができる。大工業的に利用可能な二酸化炭素を含むガス混合物は、該混合物が十分に一酸化炭素不含(1%未満のCOの体積割合)である場合に使用することも可能である。二酸化炭素の水素化に際して使用されるべき水素は、一般に気体の形態である。二酸化炭素及び水素は、例えば窒素又は希ガスなどの不活性ガスを含有してもよい。しかしながら、好ましくは、その含有率は、水素化反応器中の二酸化炭素及び水素の全量に対して10モル%未満である。より多くの量は、確かに場合により同様になおも許容できるが、一般に、反応器中でのより高圧を使用することを制限し、それにより更なる圧縮エネルギーが必要となり、装置費用が高まる。
二酸化炭素の水素化は、液相中で、好ましくは20〜200℃の温度で、かつ0.2〜30MPa(絶対)の全圧で行われる。好ましくは、その温度は、少なくとも30℃、特に好ましくは少なくとも40℃であり、かつ好ましくは高くても150℃、特に好ましくは高くても120℃、殊に好ましくは高くても80℃である。全圧は、好ましくは少なくとも1MPa(絶対)、特に好ましくは少なくとも5MPa(絶対)であり、かつ好ましくは高くても15MPa(絶対)である。
二酸化炭素の分圧は、その際、一般に少なくとも0.5MPa、好ましくは少なくとも2MPaであり、かつ一般に高くても8MPaである。水素の分圧は、一般に少なくとも0.5MPa、好ましくは少なくとも1MPaであり、かつ一般に高くても25MPa、好ましくは高くても10MPaである。
水素化反応器の供給物における、水素の、二酸化炭素に対するモル比は、好ましくは0.1〜10、特に好ましくは1〜3である。
水素化反応器の供給物における、二酸化炭素の、第三級アミンに対するモル比は、一般に、0.1〜10、好ましくは0.5〜3である。
水素化反応器としては、原則的には、所定の温度と所定の圧力下での気/液型の反応のために基本的に適しているあらゆる反応器を使用することができる。液−液形の反応系のために適した標準的な反応器は、例えばK.D. Henkel, "Reactor Types and Their Industrial Applications", in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 2005, Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA, DOI: 10.1002/14356007.b04_087, Kapitel 3.3 "Reactors for gas-liquid reactions"に示されている。例としては、撹拌槽反応器、管形反応器又は気泡塔反応器が挙げられる。
二酸化炭素の水素化は、本発明による方法では、断続的に又は連続的に実施することができる。断続的な実施様式では、該反応器は、所望の液状の、場合により固体の使用物質及び補助物質で装填され、引き続き二酸化炭素及び水素が、所望の圧力で所望の温度で圧入される。反応の完了後に、該反応器は、通常は放圧され、2つの形成された液相が互いに分離される。連続的な実施様式では、二酸化炭素及び水素を含む使用物質及び補助物質が連続的に添加される。相応して、液相を連続的に反応器から排出し、こうして液体状態は反応器中で平均して同じに保たれる。二酸化炭素の連続的な水素化が好ましい。
水素化反応器中での平均滞留時間は、一般に、10分〜5時間である。
二酸化炭素を、使用される触媒と、極性溶剤と、第三級アミンとの存在下で水素化した場合に形成されるギ酸/アミンの付加物は、一般に、一般式(IIa)
NR123・xiHCOOH (IIa)
[式中、基R1ないしR3は、第三級アミン(Ia)に記載される基に相当し、かつxiは、0.4〜5、好ましくは0.7〜1.6である]を有する。その都度の方法工程での生成物相中のアミン−ギ酸の比率のその都度の平均組成は、すなわち係数xiは、例えばフェノールフタレインに対するKOHアルコール溶液での滴定によるギ酸含有率の測定と、ガスクロマトグラフィーによるアミン含有率の測定とによって測定することができる。ギ酸/アミンの付加物の組成、すなわち係数xiは、種々の方法工程の間に変化することがある。ここで、例えば一般に、極性溶剤の除去後に、x2>x1でx2が1〜4であるより高いギ酸含有率を有する付加物が形成し、その際、過剰の遊離のアミンは第二相を形成しうる。
本発明による二酸化炭素の水素化に際して、2つの液相が形成される。下相は、ギ酸/アミンの付加物と極性の溶剤とで富化されている。ギ酸/アミンの付加物に関して、"富化されて"とは、ギ酸/アミンの付加物の分配係数
P=[液相(A)中でのギ酸/アミンの付加物(II)の濃度]/[液相(B)中でのギ酸/アミンの付加物(II)の濃度]
が1超であることを表す。好ましくは、該分配係数は、2以上であり、特に好ましくは5以上である。上相は、第三級アミンで富化されている。均一系触媒が使用される場合に、この触媒は、同様に上相中に富化されて存在する。
その際、液相(A)及び(B)は、既に上記定義の意味を有する。
形成される2つの液相は、本発明による方法では互いに分離され、そして上相は、水素化反応器へと返送される。場合により、2つの液相の上に存在する未反応の二酸化炭素を含む更なる液相と、未反応の二酸化炭素及び/又は未反応の水素を含む気相とを水素化反応器へと返送することも好ましい。場合により、それは、例えば、不所望な副生成物又は不純物を排出するために望ましく、上相の一部及び/又は二酸化炭素又は二酸化炭素と水素を含む液状のあるいは気体状の相の一部を該方法から排出するために望ましい。
2つの液相の分離は、一般に、重量法的相分離によって行われる。相分離容器としては、例えば標準的装置及び標準的な方法が適しており、それらは、例えばE. Mueller et al., "Liquid-Liquid Extraction", in Ullmann's Encylcopedia of Industrial Chemistry, 2005, Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA, DOI:10.1002/14356007.b03_06, Kapitel 3 "Apparatus"に見つけることができる。一般に、ギ酸/アミンの付加物並びに極性溶剤で富化されている液相はより重たく、下相を形成する。
相分離は、例えば放圧し、例えばほぼ大気圧又は大気圧近くに放圧して、かつ液状の反応混合物を、例えばほぼ周囲温度又は周囲温度近くに冷却した後に行うことができる。しかし、その場合に、より高い反応圧で液相中に溶かされるガス、特に二酸化炭素の少なくとも一部が放圧に際してガス抜きされ、ガス流として個別に圧縮して、水素化反応器に返送すべきことに配慮すべきである。同様に、下相を、水素化反応器への返送の前に個別に反応圧にすべきである。その際に、返送されるべき気相及び液相のために、それぞれ1つの好適な、克服すべき圧力差に相応して設計された、作業中にさらに追加のエネルギーを使い、かつより高い装置費用も伴う圧縮器もしくはポンプが設けられるべきである。
本発明の範囲において、存在する系、つまりギ酸/アミンの付加物並びに極性溶剤で富化された下相と、第三級アミン及び均一系触媒が使用される場合にはその触媒でも富化された上相の場合に、2つの液相は、明らかに高められた圧力でも非常に良好に互いに分離できることが判明した。従って、本発明による方法では、溶剤は、ギ酸/アミンの付加物と極性溶剤とで富化された一方の下相と、第三級アミンで富化されたもう一方の下相との分離並びにその上相の水素化反応器への返送を、1〜30MPa(絶対)の圧力で実施できるように選択されるべきである。水素化反応器中の全圧によれば、その圧力は、好ましくは高くても15MPa(絶対)である。ここで、それどころか、先行する放圧を行わずに、2つの液相を互いに分離でき、かつ上相は、それほど圧力を高めずに水素化反応器へと返送できる。この場合に、また僅かにすぎない放圧の場合にも、場合により生ずる気相の返送を完全に省くことができる。この省略がその都度の具体的な系について可能であるかどうかは、疑いなく、予め簡単な実験例によって突き止めることができる。
従って、本発明による方法は、一実施形態においては、水素化反応器及び相分離容器中の圧力と温度が同じ又はほぼ同じであるように行うことができ、その際、ここでほぼ同じであるとは、±5バールまでの圧力差か、あるいは±5℃までの温度差を表す。
一実施形態においては、相分離は、反応圧力の、少なくとも50%の、殊に好ましくは少なくとも90%の、特に少なくとも95%の圧力で行われる。相分離に際しての圧力は、反応圧力の、特に好ましくは高くても105%、殊に好ましくは高くても100%である。
驚くべきことに、ここでの系において、2つの液相は、反応温度に相当する高められた温度でも非常に良好に互いに分離しうることも見出された。その限りでは、相分離のためには、返送されるべき上相の冷却も後続の加熱も必要なく、これは、同様にエネルギーを削減する。
分離された下相の大部分の極性溶剤は、蒸留ユニットにおいて熱的に、ギ酸/アミンの付加物から分離され、その際、蒸留により除去された極性溶剤は、水素化反応器へと返送される。蒸留ユニットの底部において、純粋なギ酸/アミンの付加物と遊離のアミンが生ずる。それというのも、極性溶剤の除去に際して、より低いアミン含量を有するギ酸/アミンの付加物が形成され、それにより、アミン相及びギ酸/アミンの付加物相からなる2相の底部混合物が形成されるからである。
上記参照の極性溶剤又は極性溶剤混合物の熱的分離は、好ましくは、所定の圧力で遊離のギ酸がより高い(×1)アミン含量もしくはより低い(×2)アミン含量を有するギ酸/アミンの付加物から形成されない底部温度で行われる。一般に、熱的な分離ユニットの底部温度は、少なくとも20℃、好ましくは少なくとも50℃、特に好ましくは少なくとも70℃であり、かつ一般に高くても210℃、好ましくは高くても190℃である。その圧力は、その際、一般に少なくとも1hPa(絶対)、好ましくは少なくとも50hPa(絶対)、特に好ましくは少なくとも100hPa(絶対)であり、かつ一般に高くても1MPa(絶対)、好ましくは0.1MPa(絶対)である。
極性溶剤又は極性溶剤混合物の熱的分離は、蒸発器において、又は蒸発器と、充填物、充填体及び/又はトレイで充填されたカラムとからなる蒸留ユニットのいずれにおいても行われる。溶剤は、熱的分離の後に凝縮させることができ、その際、再び、その際に出て行く縮合エンタルピーを利用して、例えば抽出に由来する溶剤をアミン/ギ酸の付加物混合物と一緒に蒸発分離温度に予熱することができる。
その代わりに、溶剤混合物の一部だけを分離してもよい。それは、特に、後のギ酸蒸留において側流を介して分離できる溶剤成分についても言える(見出語、水性ギ酸)。
極性溶剤もしくは極性溶剤混合物又は溶剤の一部の熱的分離後に生ずるギ酸/アミンの付加物は、次いで、蒸留ユニットにおいて熱的に、遊離のギ酸と遊離の第三級アミンとに分離され、その際、形成された遊離のギ酸は蒸留により除去され、そして蒸留ユニットの底部に含まれる遊離の第三級アミンが水素化反応器へと返送される。その際、極性溶剤の熱的分離に際して第二相として生ずる遊離のアミンを、事前に相分離容器において分離してよく、共通の相分離容器においてギ酸分離のための熱分解ユニットの塔底製品と一緒に又は2相混合物として直接的に該分解ユニットに供給してよい(一般的な実施形態を参照)。遊離されたギ酸を取り出すのは、その際、例えば(i)頂部を介して、(ii)頂部と側方抜出部を介して、又は(iii)側方抜出物としてのみで行うことができる。ギ酸を頂部から取り出す場合には、その際、99.99質量%までのギ酸純度が可能である。側方抜出物として取り出す場合には、水性のギ酸が得られ、この場合、約85質量%のギ酸を有する混合物が実際には特に重要である。蒸留ユニットへの供給物の含水量に応じて、ギ酸は、大部分が、塔頂製品又は側方製品として取り出される。必要であればそれどころか、ギ酸を側方製品としてのみ取り出すことが可能であり、次いで場合により必要な水量をそのうえ更にしっかりと添加することができる。ギ酸/アミンの付加物の熱分解は、一般に、先行技術で知られる、圧力、温度並びに装置構成に関するプロセスパラメータに従って行われる。ここで、例えばEP0181078A又はWO2006/021411の記載が参照される。使用されるべき蒸留ユニットは、一般に蒸留塔を含み、前記塔は、一般に充填体、充填物及び/又はトレイを含む。
一般に、蒸留塔中の底部温度は、少なくとも130℃、好ましくは少なくとも140℃、特に好ましくは少なくとも150℃であり、かつ一般に高くても210℃、好ましくは高くても190℃、特に好ましくは高くても185℃である。その圧力は、一般に少なくとも1hPa(絶対)、好ましくは少なくとも50hPa(絶対)、特に好ましくは少なくとも100hPa(絶対)であり、かつ一般に高くても500hPa(絶対)、好ましくは高くても300hPa(絶対)、特に好ましくは高くても250hPa(絶対)である。
場合により、側流生成物として、さらにギ酸の含水の流れが取り出される。水の添加に際して、例えば水素化又は触媒抽出を促すための水の添加に際して、それは、それどころか特に好ましい。
第三級アミンとギ酸とからの付加物の溶液は、相応の相分離容器に由来する遊離の第三級アミンの流れにより抽出され、水素化反応器へと返送される。そのことは、水素化触媒の残留量の生成物流からの分離をもたらす。この抽出をしないと、水素化触媒は、第三級アミンとギ酸とからの付加物の熱分解のための装置に至り、ギ酸の分解を触媒し、こうしてギ酸収率を低減させることがある。水素と二酸化炭素からの残量は、排ガスとして排気される。
抽出は、30〜100℃の温度及び1〜80バールの圧力で行われる。その抽出は、水素圧下でも実施できる。
水素化触媒の抽出は、当業者に公知の好適なあらゆる装置において、好ましくは向流抽出カラム、カスケード型ミキサ・セトラ又はミキサ・セトラとカラムとの組み合わせにおいて実施することができる。
抽出装置からの生成物流であって、ギ酸/アミンの付加物のその都度の溶剤又は溶剤混合物中の溶液からなる流れが、熱分解ユニットに導かれて、極性溶剤又は極性溶剤混合物とギ酸/アミンの付加物とが分離される。抽出装置からの第三級アミン及び水素化触媒を含有する相は、水素化段階に返送される。
事情によっては、触媒の他に、抽出されるべき液相からの極性溶剤の個々の成分の割合が、抽出剤、つまりアミン流に溶解される。それは、方法のためには、欠点ではない。それというのも、既に抽出された量の溶剤を、溶剤分離に供給する必要がなく、従って事情によっては蒸発エネルギー及び装置費用が節約されるからである。
抽出装置と熱的分離装置との間に、微量の水素化触媒の吸着のための装置が組み込まれることが好ましいことがある。数多くの吸着剤は、吸着に適している。そのための例は、ポリアクリル酸及びその塩、スルホン化ポリスチレン及びその塩、活性炭、モンモリロナイト、ベントナイト、シリカゲル並びにゼオライトである。
相分離容器Bの生成物流中の水素化触媒の量が1ppm未満、特に0.1ppm未満である場合に、水素化触媒の分離及びその返送のために吸着装置で十分である。その際、抽出段階を省くことができ、第三級アミンを有機溶剤と一緒に水素化段階に返送してよい。
本発明による方法は、EP181.078B1及びEP357.243B1で既に記載された一体型の方法に対して、一連の利点を有する:水素化においてギ酸を捕捉し、ギ酸/アミンの付加物の熱分解をするために、同じ第三級アミンが使用される。熱分解に際して遊離して生ずるこのアミンは、次いで微量の触媒をアミンと一緒に反応容器に返送するために、生成物相中の触媒残分の抽出のために使用される。それは、先に記載したN−アルキルイミダゾールよりも高い安定性を有する。貴金属の損失は実質的に生じない。触媒が熱分解ユニット中に達し、そこでギ酸の分解を触媒することが防止される。前記触媒が活性形で分離でき、返送できることは大きな利点である。高いギ酸収率と高い生成物純度が達成される。2つの蒸留の箇所で、抽出と相分離が生ずる。これによって、エネルギーと設備投資が削減される。
本発明による方法は、二酸化炭素の水素化によって濃縮されたギ酸を高収率でかつ高純度で取得することを可能にする。前記方法は、先行技術に対して簡単な方法思想、より単純な方法工程、より少ない数の方法工程並びにより単純な装置を有する特に簡単な方法実施の点で優れている。ここで、例えば、第三級アミン及び均一系触媒が使用される場合には極性溶剤を好適に選択することによって、これはギ酸/アミンの付加物の相分離によって分離され、そして更なる後処理工程なくして水素化反応器へと返送される。相分離は、その際に加圧下で行うこともできる。触媒と形成されたギ酸/アミンの付加物との円滑な分離に基づき、二酸化炭素と水素への分解を伴う逆反応が抑制される。さらに、触媒の保持もしくは分離によって、2つの液相の形成に基づき、触媒の損失と、それに伴う貴金属の損失は最小限となる。さらに、生成物流れに留まる触媒は、遊離のアミンによる抽出によって熱分解ユニットからほぼ完全に水素化反応器へと返送できる。これは、貴金属の損失をさらに少なくし、そして経済的なプロセスにとっては非常に大きな利点である。さらに、熱分解ユニットにおけるギ酸の分解は、触媒を失活させる必要なく十分に抑制される。さらに、本発明による方法によれば、手間のかかる個別の塩基交換は必要ないので、水素化反応器中で形成されたギ酸/アミンの付加物は、熱分解へと直接的に使用できる。低沸点の極性溶剤の使用は、ギ酸の熱分解の前方にある工程で穏やかな条件下でその熱的分離を可能にし、それによって使用されるアルコールのエステル化及びギ酸の分解は低減され、僅かなエネルギー要求量しか必要とされず、かつより高い純度のギ酸を達成できる。より単純な方法思想の結果として、本発明による方法の実施のために必要とされる生産設備は、所要スペースが僅かなこととより少ない装置が使用されることで従来技術に対してよりコンパクトである。その設備は、より低い設備費用とより低いエネルギー要求を有する。
本発明を、以下に実施例と図面をもとにさらに詳細に説明する。
図1は、本発明による方法の好ましい一実施形態のブロック図を示している。 図2Aは、極性溶剤と水の分別分離のための好ましい変法を示している。 図2Bは、極性溶剤と水の分別分離のための好ましい変法を示している。 図2Cは、極性溶剤と水の分別分離のための好ましい変法を示している。 図3は、本発明による方法の更なる好ましい一実施形態のブロック図を示している。
例A−1〜A−16(本発明による)
(水素化及び相分離、反応後の水の添加)
磁気撹拌棒を備えたHastelloy C製の250mLオートクレーブに、不活性条件下で、第三級アミンと、極性溶剤と、均一系触媒とを充填した。引き続き、オートクレーブを閉じ、室温でCO2を圧入した。後に、H2を圧入し、反応器を撹拌(700回転/分)をしつつ加熱した。所望の反応時間の後に、オートクレーブを冷やし、反応混合物を放圧した。特に述べられない限り、水の添加の後に、2相の生成物混合物が得られ、その際、上相は、なおも遊離の第三級アミン及び均一系触媒で富化され、かつ下相は、極性溶剤、水及び形成されたギ酸/アミンの付加物で富化されていた。ギ酸/アミンの付加物中のギ酸の全含有率は、"Mettler Toledo DL50"滴定装置を用いてMeOH中0.1NのKOHでの電位差滴定によって測定した。そこから、ターンオーバー回数(=TOF;TOFの定義については:J.F. Hartwig, Organotransition Metal Chemistry, 第1版, 2010, Universtiy Science Books, Sausalito/California 第545頁を参照のこと)と反応速度を計算した。ルテニウム含量は、原子吸光分析法により測定した。両方の相の組成は、ガスクロマトグラフィー並びにプロトン−NMR分光法によって測定した。個々の試験のパラメータ及び結果を、第1.1表〜第1.5表に示す。
実験A−1〜A−16における実施形態において、反応後に不利なRu分配係数kRuが存在する。生成物相である流れ3に、従って引き続き水を加えた。その際、2相の混合物が形成され、上相は、主にアミン及びアルコールから成っており、かつ下相は、ギ酸とアミンの付加物、アルコール及び水から成っており、その際、水の添加によって前記の両方の相の間で改善されたRu分配係数が生じた。A3、A7及びA15についての比較実験における実施形態(第1.6表中の実験A−17〜A−19)において、水の全体量は、反応に際して既に添加された。ここで、使用された溶剤及び触媒において、水素化における前記の水量の添加は、反応後により悪いルテニウム分配係数をもたらし、かつ/又はより低い反応速度をもたらすことが明らかに確認できる。
Figure 2013530195
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Figure 2013530195
Figure 2013530195
例B1〜例B4(触媒の抽出);
ブレード撹拌機を備えたHastelloy C製の100mLオートクレーブに、不活性条件下で、トリアルキルアミンと、極性溶剤と、触媒とを充填した。引き続き、オートクレーブを閉じ、室温でCO2を圧入した。後に、H2を圧入し、反応器を撹拌(1000回転/分)をしつつ加熱した。反応時間の後に、オートクレーブを冷やし、反応混合物を放圧した。反応後に、反応排出物に水を添加し、そして室温で10分間にわたり撹拌した。2相の生成物混合物が得られ、その際、上相は、なおも遊離の第三級アミン及び均一系触媒で富化され、かつ下相は、極性溶剤及び形成されたギ酸/アミンの付加物で富化される。下相を分離し、不活性条件下で同量の(アミンの量は、下相の量に相当する)新たなトリアルキルアミン(室温で10分撹拌し、引き続き相分離する)を3回加えた。ギ酸/アミンの付加物中のギ酸の全含有率は、"Mettler Toledo DL50"滴定装置を用いてMeOH中0.1NのKOHでの電位差滴定によって測定した。ルテニウム含量は、AASによって測定した。個々の試験のパラメータ及び結果を、第1.7表に示す。
例B−1からB−4は、触媒と、ギ酸の形成に際しての添加された水量とのバリエーションによって、生成物相中のルテニウムは、1ppm未満までのルテニウムの値にまで低減できることを示している。
Figure 2013530195
例C1〜例C9(触媒の再使用と触媒抽出);
ブレード撹拌機を備えたHastelloy C製の100mLオートクレーブに、不活性条件下で、トリアルキルアミンと、極性溶剤と、触媒とを充填した。引き続き、オートクレーブを閉じ、室温でCO2を圧入した。後に、H2を圧入し、反応器を撹拌(1000回転/分)をしつつ加熱した。反応時間の後に、オートクレーブを冷やし、反応混合物を放圧した。反応後に、反応排出物に水を添加し、そして室温で10分間にわたり撹拌した。2相の生成物混合物が得られ、その際、上相は、なおも遊離の第三級アミン及び均一系触媒で富化され、かつ下相は、極性溶剤及び形成されたギ酸/アミンの付加物で富化される。引き続き相を分離し、下相のギ酸含有率と両方の相のルテニウム含有率を以下に記載される方法により測定した。ルテニウム触媒を含有する上相を、次いで新たなアミンにより37.5gにまで補い、そして前記と同じ溶剤を用いて前記と同じ反応条件下で再びCO2水素化のために使用した。反応が完全に完了し、水が添加された後に、下相を分離し、不活性条件下で同量の(アミンの量は、下相の量に相当する)新たなトリアルキルアミン(室温で10分撹拌し、引き続き相分離する)を触媒抽出のために3回加えた。ギ酸/アミンの付加物中のギ酸の全含有率は、"Mettler Toledo DL50"滴定装置を用いてMeOH中0.1NのKOHでの電位差滴定によって測定した。ルテニウム含量は、AASによって測定した。個々の試験のパラメータ及び結果を、第1.8表〜第1.13表に示す。
例C−1〜例C−9は、触媒、添加される水量(反応の前にも後にも)及び反応条件のバリエーションによって、活性触媒は、再びCO2水素化のために使用でき、かつ生成物相中のルテニウムは、一回の抽出によって、2ppmにまで低減できることを示している。
Figure 2013530195
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Figure 2013530195
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Figure 2013530195
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例D1〜例D4(抽出後に生成物相として存在するトリアルキルアミン−溶媒−ギ酸混合物からの極性溶剤の熱的分離);
アルコール及び水を、生成物相(ギ酸/アミンの付加物を含有する)から、減圧下で回転蒸発器によって留去する。底部には2相の混合物(トリアルキルアミン相とギ酸/アミンの付加物相)が生じ、それらの2相が分離され、下相のギ酸含量は、"Mettler Toledo DL50"滴定装置を用いてMeOH中0.1NのKOHでの電位差滴定によって測定した。アミンとアルコールの含有率は、ガスクロマトグラフィーによって測定する。個々の試験のパラメータ及び結果を、第1.14表に示す。
例D−1〜例D−4は、本発明による方法では種々の極性溶剤が穏やかな条件下で生成物相から分離でき、その際、よりギ酸リッチな下相と、主に第三級アミンからなる上相が生ずることを示している。
Figure 2013530195
例E1及び例E2(トリアルキルアミン−溶媒−ギ酸混合物からの極性溶剤の熱的分離及びギ酸とアミンの付加物の分解)
アルコール及び水を、生成物相(ギ酸/アミンの付加物を含有する)から、減圧下で回転蒸発器によって留去する。底部には、2相の混合物(トリアルキルアミン相とギ酸/アミンの付加物相)が生じ、両方の相は分離される。留出物(大部分のメタノールと水を含む)の組成、上相(遊離のトリアルキルアミンを含む)の組成、下相(ギ酸とアミンの付加物を含む)の組成は、ガスクロマトグラフィーと、"Mettler Toledo DL50"滴定装置を用いたMeOH中0.1NのKOHに対するギ酸の電位差滴定により測定した。ギ酸を、次いで、第一工程からの下相から真空蒸留装置において10cmのVigreuxカラムを介してトリアルキルアミンから熱的に分離する。その際、ギ酸の完全な分離後に、純粋なトリアルキルアミンからなる1相の缶出物が得られ、それは触媒の抽出及び水素化への返送のために使用できる。留出物中には、ギ酸と残留水が存在する。缶出物の組成と留出物の組成は、ガスクロマトグラフィーと、"Mettler Toledo DL50"滴定装置を用いてMeOH中0.1NのKOHでのギ酸の電位差滴定によって測定した。個々の試験のパラメータ及び結果を、第1.15表に示す。
例E−1及び例E−2は、本発明による方法では種々の極性溶剤が穏やかな条件下で生成物相から分離でき、その際、よりギ酸リッチな下相と、主に第三級アミンからなる上相が生ずることを示している。前記のギ酸リッチな下相から、次いでギ酸をより高い温度でトリアルキルアミンから分離し、その際、遊離のトリアルキルアミンが生ずる。こうして得られたギ酸は、さらに幾らかの水を含有するが、それはより高い分離性能を有するカラムによってギ酸から分離することができる。溶剤の分離に際しても、熱分解に際しても生ずるトリアルキルアミンは、触媒を生成物流から減少させるために使用できる。
Figure 2013530195
図面を詳細に示す:
図1は、本発明による方法の好ましい一実施形態のブロック図を示している。
図2A、図2B及び図2Cは、それぞれ、極性溶剤と水の分別分離のための種々の好ましい変法を示している。
図3は、本発明による方法の更なる好ましい一実施形態のブロック図を示している。
図1による実施形態において、二酸化炭素である流れ1と水素である流れ2は、水素化反応器Iへと送られる。そこで、これらの流れは、周期律表の第8族、第9族又は第10族の元素を含む触媒と、第三級アミンと、極性溶剤の存在下で反応されて、ギ酸とアミンの付加物となる。
水素化反応器Iからの排出物(流れ3)は1相又は2相であってよいが、それに、蒸留容器IVからの水を主に含有する流れ16を加える。
また、水を主に含有する流れ16を相分離容器II中に直接添加してもよい。相分離容器IIにおいては、ギ酸とアミンの付加物と極性溶剤で富化されている下相と、第三級アミンと、均一系触媒が使用される場合にはその触媒によっても富化されている上相が存在する。上相4は、水素化反応器1に返送される。下相5は、抽出装置IIIに供給され、そこで、触媒残分は、相分離容器Vからの第三級アミン(流れ13)によって抽出される。抽出ユニットIIIからの触媒残分を有する第三級アミン(流れ6)は、水素化反応器Iへと返送される。抽出ユニットIIIからの生成物相7は、極性溶剤及び水をギ酸とアミンの付加物から熱的に分離するために、熱的分離ユニットIVへと供給される。その際、流れ7は、なおも前もって、この流れから最後に残った微量の触媒を除去するために吸着剤床に導通される。蒸留ユニットIV中で熱的に分離された極性溶剤は、水素化反応器I中に流れ8として返送され、水は、流れ16として水素化反応器からの排出物(流れ3)へと返送され、そして蒸留ユニットIVからの、ギ酸とアミンの付加物及び第三級アミンを含有する2相の底部混合物は、相分離容器Vへと供給される。ギ酸とアミンの付加物は、相分離容器V中で分離され、そして蒸留ユニットIVへと流れ10として供給され、そこで、この流れは、遊離のギ酸と第三級アミンへと熱分解される。遊離のギ酸は、塔頂製品である流れ12として抜き出され、そして蒸留ユニットVIからの第三級アミン及び分解されていないギ酸/アミンの付加物を含有する2相の缶出物である流れ11は、再び相分離容器Vに供給される。相分離容器Vで分離された第三級アミンは、触媒残分の抽出のために流れ13として抽出ユニットIIIへと供給され、あるいは流れ13の一部は、特にいかなるトリアルキルアミンも抽出のために必要とされない場合に水素化反応器I中に直接返送してよい。
図2A、図2B及び図2Cは、水及び極性溶剤の熱的分離のためのそれぞれ異なる変法を図示している。
この場合、図2Aは、2つの流れ、すなわち極性溶剤を主に含有する流れ8と、水を主に含有する流れ16を、側方抜出部を有する1つの塔又は分離壁塔であってもよい単独の蒸留塔において分離することを示している。
図2Bは、2つの塔(塔IVa及びIVb)についての一実施態様を図示している。その際、第一の塔IVaにおいては、より低沸点の成分が、一般には極性溶剤が、かつ極性溶剤が少ない出発物流7aが供給される第二の塔IVbにおいては、中沸点の成分が、一般に水が、流れ16として分離される。
図2Cは、水と極性溶剤の分離のための更なる一実施形態を示している。その際、第一の蒸留塔IVcにおいては、まずギ酸/アミンの付加物と第三級アミンを含有する相9が分離され、引き続き第二の蒸留塔IVdにおいては流れ7bが分離されて、極性溶剤を主に含有する流れ8と、水を主に含有する流れ16が得られる。
図3は、本発明による方法の更なる好ましい一実施形態のブロック図を示している。その際、図1に示される実施形態とは異なって、水を主に含有するフラクションである流れ16が蒸留ユニットIVから排出され、そして水素化反応器Iからの排出物である流れ3中に新たな水である流れ17が供給される。
さらに、図3に図示される実施形態は、図1に示される変法に対して、更なる相分離容器VIIが設けられていて、そこに蒸留ユニットIVからの、ギ酸/アミンの付加物及び第三級アミンを含有する生成物流9が供給され、そして第三級アミンが流れ15として分離され、そして抽出ユニットIIIにおいて流れ15として再循環され、もしくは流れ15の一部は、抽出のためにあらゆるトリアルキルアミンが必要とならない場合には水素化反応器Iに直接的に返送されるという相違点を有する。
引き続き、ギ酸/アミンの付加物を含有する流れ14は、蒸留ユニットVIへと供給され、そこで、前記の流れは遊離のギ酸である流れ12に分解される。蒸留ユニットVIからの、第三級アミン及び分解されていないギ酸/アミンの付加物を含有する2相の缶出物は、相分離容器Vへと供給され、そこで、触媒残分の抽出のために蒸留ユニットIIIへと再循環される第三級アミンを含有する流れ13が分離される。分解されていないギ酸/アミンの付加物である流れ10は、蒸留ユニットVIに再循環される。
1 二酸化炭素、 2 水素、 3 排出物、 4 上相、 5 下相、 6 第三級アミン、 7 生成物流れ、 7a 出発物流、 7b 流れ、 8 極性溶剤を主に含有する流れ、 9 ギ酸/アミンの付加物と第三級アミンを含有する相、 10 分解されていないギ酸/アミンの付加物である流れ、 11 第三級アミン及び分解されていないギ酸/アミンの付加物を含有する2相の缶出物、 12 塔頂製品、 13 第三級アミン、 14 ギ酸/アミンの付加物を含有する流れ、 15 第三級アミン、 16 水を主に含有する流れ、 17 新たな水である流れ、 I 水素化反応器、 II 相分離容器、 III 抽出装置、 IV 蒸留容器、 IVa 第一の塔、 IVb 第二の塔、 IVc 第一の蒸留塔、 IVd 第二の蒸留塔、 V 相分離容器、 VI 蒸留ユニット、 VII 相分離容器

Claims (13)

  1. 二酸化炭素(1)と水素(2)とを水素化反応器(I)中で、
    − 周期表の第8族、第9族又は第10族からの元素を含む触媒と、
    − 1分子当たりに少なくとも12個の炭素原子を含む第三級アミンと、
    − メタノール、エタノール、プロパノール及びブタノールから選択される1もしくは複数のモノアルコールを含有する極性溶剤と、
    の存在下で反応させることで、中間生成物としてギ酸/アミンの付加物を形成させ、それを引き続き熱分解させることによって、ギ酸を製造する方法であって、ギ酸よりも少なくとも5℃だけ高い沸点を有する第三級アミンが使用され、かつ水素化反応器(I)中での反応に際して、前記極性溶剤と、前記ギ酸/アミンの付加物と、前記第三級アミンと、前記触媒とを含有する反応混合物が形成され、該混合物が反応器から排出される前記方法において、
    水素化反応器(I)からの排出物(3)の後処理は、以下の方法工程に従って行われる:
    1)水素化反応器からの排出物(3)に水を添加し、その際、2つの液相が得られ、
    2)2つの液相を相分離容器(II)中で分離し、相分離容器(II)から上相(4)を水素化反応器(I)に返送し、そして相分離容器(II)から下相(5)を抽出装置(III)に更に送り、その際、
    3)触媒の残分は、水素化で使用した同じ第三級アミンで抽出され、触媒で負荷された第三級アミン(6)を水素化反応器(I)に再循環し、そしてギ酸/アミンの付加物で負荷された極性溶剤の、触媒を含まない流れ(7)を蒸留ユニット(IV)に更に送り、その際、
    4)分別蒸留を行って、極性溶剤を主に含有する第一のフラクション(8)と、水を主に含有する第二のフラクション(16)と、もう一つのフラクション(9)とが得られ、前記の第一のフラクション(8)は水素化反応器(I)に再循環され、前記の第二のフラクションは水素化反応器(I)からの排出物(3)中に再循環されるか、もしくは廃棄され、前記もう一つのフラクションは、
    5)相分離容器(V)中で、第三級アミンを主に含む上相と、ギ酸/アミンの付加物を主に含む下相とに分離され、ここで
    6)その相分離容器(V)からの下相は、熱分解ユニット(VI)に供給され、そこで第三級アミンを含む流れ(11)と、純粋なギ酸(12)とに分けられ、前記第三級アミンを含む流れ(11)は、相分離容器(V)中に返送され、その際、その相分離容器(V)からの第三級アミンを含む流れ(13)は、抽出装置(III)中に触媒用の選択溶媒として導かれることを特徴とするギ酸の製造方法。
  2. 方法工程(6)で、相分離容器(V)からの第三級アミンを含む流れ(13)の一部の流れだけが抽出装置(III)中に触媒用の選択溶媒として導かれ、そして第三級アミンを含む流れ(13)の残りの部分は、水素化反応器(I)中に導かれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 第三級アミンとして、一般式(Ia)
    NR123 (Ia)
    [式中、基R1ないしR3は、同一又は異なっており、かつ互いに独立して、非分枝鎖状のもしくは分枝鎖状の、非環式のもしくは環式の、脂肪族の、芳香脂肪族の又は芳香族の、それぞれ1〜6個の炭素原子を有する基を表し、その際、個々の炭素原子は、互いに独立して、基−O−及び>N−から選択されるヘテロ原子によって置換されていてもよく、かつ2つの又は全ての3つの基は、少なくともそれぞれ4つの原子を含む鎖を形成して互いに結合されていてもよい]で示されるアミンが使用されるが、但し、前記第三級アミンは、少なくとも12個の炭素原子を1分子当たりに含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 第三級アミンとして、一般式(Ia)で示され、その式中、基R1ないしR3が、互いに独立して、C1〜C12−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、ベンジル及びフェニルの群から選択されるアミンが使用されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. 第三級アミンとして、一般式(Ia)で示される飽和アミンが使用されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  6. 第三級アミンとしては、一般式(Ia)で示され、その式中、基R1ないしR3が、互いに独立して、C5〜C6−アルキルから選択されるアミンが使用されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  7. 極性溶剤として、メタノール及び/又はエタノールが使用されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
  8. 方法工程1)において添加される水量は、分離容器(II)からの下相(5)中の含水率が、相分離容器(II)からの下相(5)の全質量に対して、0.1〜50質量%、好ましくは2〜30質量%であるように見積もられることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
  9. 触媒が、均一系触媒であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
  10. 均一系触媒が、周期表の第8族、第9族又は第10族からの元素と、少なくとも1つの非分枝鎖状のもしくは分枝鎖状の、非環式のもしくは環式の、1〜12個の炭素原子を有する脂肪族基を有する少なくとも1種のホスフィン基とを含む有機金属錯体化合物であって、個々の炭素原子が>P−によって置換されていてよい化合物であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11. 該反応を、水素化反応器(I)中で20〜200℃の範囲の温度で、かつ0.2〜30MPa(絶対)の範囲の圧力で実施することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
  12. 水素化反応器(I)中の圧力と相分離容器(II)中の圧力とが、同一又はほぼ同一であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  13. 水素化反応器(I)中の温度と相分離容器(II)中の温度とが、同一又はほぼ同一であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
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