JP2013528287A - 質量スペクトルを分析するための方法、コンピュータ・プログラム、およびシステム - Google Patents

質量スペクトルを分析するための方法、コンピュータ・プログラム、およびシステム Download PDF

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Abstract

【課題】 特定の濃度cの溶液について誤差を持って測定された質量スペクトルのセット内のすべてのピークの質量および強度座標を分析することにより、複数物質を含む溶液中で異なる物理イオンによって生成されたピークを識別するための方法、コンピュータ・プログラム、およびを提供する。
【解決手段】 質量値の近接性を上回る特定の弁別基準により十分に「近い」場合、異なる質量スペクトルのピークは同じイオンに関連付けられる。
2段階プロセスが適用され、それぞれの段階は質量スペクトルのピークを識別するための方法を適用することにある。段階1では、それぞれの濃度に関する質量スペクトルのそれぞれのセットについてピークを識別する方法が適用される。それぞれのスペクトルにおいて1つずつのピークである複数ピークからなる結果のシーケンスは異なるイオンに関連付けられる。段階1のこの出力は、仮想ピークとして、それぞれのシーケンスについて計算された平均ピーク座標値を有する仮想質量スペクトルのセットに変換される。ピークを識別するための方法は仮想質量スペクトルについて1回適用され、その結果の識別テーブルは溶液のそれぞれの濃度ごとに1つのイオンに関連するピーク座標値を参照する。
【選択図】 図3

Description

本発明は一般に質量スペクトル分析に関し、詳細には、本発明は化学溶液の質量スペクトルを分析するための方法を提供する。
質量分析法の原理は、質量電荷比が測定される荷電分子または分子の断片を生成するために化学元素をイオン化することにある。たとえば、溶液中のイオンの質量スペクトルは、質量電荷比によるイオンの分布を提供する。質量スペクトル・グラフのx軸は1つのイオンを識別する質量電荷比を示し、y軸はこれらのイオンによって提供される信号強度を示す。1つのイオンに関する質量スペクトル・グラフは、ピークで読み取られたイオンに関する(質量電荷、強度)情報を示す。異なるイオンを含有する化学溶液の場合、質量スペクトル・グラフのそれぞれのピークは、溶液中に対応するイオンが存在することを示すであろう。
しかし、質量スペクトル・グラフにおいて、複数ピークの高密度で連続する場合、ならびにそれぞれのピークについて、計器で測定した質量および強度がいずれも誤差の影響を受けやすい場合、化学溶液の質量スペクトルでイオンを識別することは常に容易であるわけではない。たとえば、回帰モデルを構築することにより溶液中の可溶性の物質の濃度を予測する必要がある場合があり、溶液中の一部のイオンの濃度は物質濃度の未知ではあるが明確な関数である。線形ケースでは、異なるイオンについてそれぞれ異なる係数により、イオン濃度は物質濃度と相関している。回帰モデルを構築するために、まず、溶液中の物質の濃度が異なる場合に異なる質量スペクトルで同じイオンに対応するピーク強度を識別できなければならない。物質が無機分子に対応する場合、イオンは質量スペクトルで容易に識別される。しかし、有機分子が水で希釈される場合、その結果の溶液の質量スペクトルは、水中における大きい分子の解離のために、数百個のイオンを含む可能性がある。
溶液中の物質の異なる濃度に対応する異なる質量スペクトルで同じイオンに対応する情報を識別するための従来技術の解決策の1つは、周知のデータ・ビニング(data binning)技法を使用することである。データ・ビニング技法により軽微な測定誤差の影響を低減することができ、質量スペクトルでは均一サイズ(通常、1質量単位)の非オーバラップ間隔(ビン)によって質量範囲をカバーしなければならず、それぞれのピークの強度は対応するビンに蓄積される。しかし、mは回帰モデルを構築するために分析すべきすべての溶液にわたるイオン質量測定に関連する誤差であるとすると、その誤差mに関連する2つの影響はビニング手法を徐々に害する可能性があり、すなわち、以下の通りである。
− mに匹敵する(またはそれより小さい)ビン・サイズの場合、異なるスペクトルの所与のイオンのピークは異なるビンに蓄積されるであろう。
− mより大きいビン・サイズの場合、一般に、同様の質量を有する2つ以上のイオンのピークはたまたま同じビンに蓄積される。しかし、これらのイオンは物質濃度に対してまったく異なる線形依存性を有する可能性があり、上記の影響により、同じビンは、異なるスペクトルの全域で異なるイオンからの貢献分を蓄積することができる。
したがって、物質の異なる既知の濃度で調製された溶液すべてにわたって同じ物理イオンに対応するピークを質量スペクトル・グラフにおいて識別するための方法を有する必要がある。
本発明の一目的は、異なる質量スペクトルで同じイオンに対応するピークを確実に識別するための方法を定義することにある。
この目的は、請求項1により、質量スペクトル・データ・ファイルのセットから発生し、誤差を持って測定されたすべてのピークの質量および強度座標を分析することにより、特定の濃度の少なくとも1つの物質を含む溶液中で異なる物理イオンによって生成されたピークを識別するためにコンピュータ上で実行される方法であって、前記方法が、
− 質量スペクトル・データ・ファイルのセット内の第1の質量スペクトル・データ・ファイルからピークの座標を読み取ることと、
− 2つのピーク間の近接性を認定する距離関数(distance function)を計算することにより、第1の質量スペクトル・データ・ファイル以外の前記質量スペクトル・データ・ファイルのそれぞれから、第1の質量スペクトルから読み取られたピーク座標に近いピーク座標を選択することと、
− シーケンス内のすべてのピークが同じタイプの物理イオンによって生成された可能性を認定するスコア関数(score
function)を計算することにより、第1の質量スペクトルから読み取られたピークと、それぞれの他の質量スペクトルから選択された1つのピークとを含む、複数ピークの最高スコアのシーケンスを決定することと、
− 最高スコア/2番目に高いスコアのシーケンスの比率がリミット比を上回る場合にのみ、最高スコアのシーケンスを保管することと、
− 前記第1の質量スペクトル・データ・ファイルから1つの他のピークの座標を読み取り、前記質量スペクトルからのすべてのピークが読み取られるまで先行する選択ステップ、決定ステップ、および保管ステップを実行し、その結果のシーケンスのそれぞれが、同じ物理イオンによって生成されるものとして識別されたピークを、それぞれの質量スペクトルについて1つずつ含むこと
を含む、方法によって達せられる。
また、この目的は、請求項2により、
− 保管されたシーケンスのうち、同じ質量スペクトルの同じピークを含むことが判明したシーケンスの任意のサブセットを抑制すること
をさらに含む、請求項1記載の方法によって達せられる。
また、この目的は、請求項3により、2つのピーク間の距離関数およびスコア関数(scoring function)が2つのピークの質量および強度に依存する、請求項1または2記載の方法によって達せられる。
また、この目的は、請求項4により、2つのピーク間の距離関数がピークの質量に依存し、スコア関数がピークの質量とピーク濃度強度相関(peak concentration-intensity correlation)の組み合わせに依存する、請求項1または2記載の方法によって達せられる。
また、この目的は、請求項5により、
イオンに対応する結果のピーク・シーケンスを識別するための方法1のステップが、どちらもピークの質量および強度に依存する第1の距離関数および第1のスコア関数を使用して、所与のc濃度に関する質量スペクトルの第1のセットについて実行され、
前記方法が、
− 質量スペクトルの追加のセットについて先行ステップを繰り返すことであって、前記第1および追加のセットの質量スペクトルが異なる濃度に対応することと、
− それぞれの溶液濃度について先行ステップを実行した結果得られるそれぞれのシーケンスについて平均質量強度ピーク座標を計算し、それぞれの濃度について一連の仮想ピークを求めることと、
− 請求項1記載の方法のステップを仮想質量スペクトルのセットに適用することであって、それぞれの仮想質量スペクトルが1つの濃度に対応し、それぞれの仮想質量スペクトルが計算された一連の仮想ピークを含み、ピークの質量に依存する2つのピーク間の第2の距離関数と、ピークの質量とピーク濃度強度相関の組み合わせに依存する第2のスコア関数を使用し、結果のシーケンスが異なる「仮想質量スペクトル」で1つのイオンに対応するピークであり、それぞれの「仮想質量スペクトル」が1つの溶液濃度に対応すること
をさらに含む、請求項1または2記載の方法によって達せられる。
また、この目的は、請求項6により、座標xおよびyを有するピークpと座標xおよびyを有するピークpという2つの質量スペクトル・ピーク間の第1の距離d関数が
Figure 2013528287


であり、Rがy座標およびx座標に関連する相対誤差間の比率である、請求項5記載の方法によって達せられる。
また、この目的は、請求項7により、シーケンスの第1のスコアが
1/max d(p,p
であり、ここでp、pがシーケンス内の任意の2つのピークであり、d(p,p)がそれらの間の距離である、請求項5および6のいずれか1項記載の方法によって達せられる。
また、この目的は、請求項8により、座標xおよびyを有するピークpと座標xおよびyを有するピークpという2つの質量スペクトル・ピーク間の第2の距離d関数が
d(p,p)=絶対値(x−x
である、請求項5ないし7のいずれか1項記載の方法によって達せられる。
また、この目的は、請求項9により、シーケンスの第2のスコアが
Figure 2013528287


であり、ここでp、pがシーケンス内の任意の2つのピークであり、d(p,p)がそれらの間の距離である、請求項5ないし8のいずれか1項記載の方法によって達せられる。
また、この目的は、請求項10により、請求項1ないし9のいずれか1項記載の方法のステップを実行するように適合された手段を含むシステムによって達せられる。
また、この目的は、請求項11により、コンピュータ・プログラムがコンピュータ上で実行されるときに、請求項1ないし9のいずれか1項記載の方法のステップを実行するための命令を含むコンピュータ・プログラムによって達せられる。
提案された2段階フィルタリング・プロセスの第1の段階を質量分析計から得られたデータに適用することによっていくつかの利点が得られる。
1つの利点は、この方法が、フィルタリングされたスペクトルに保持されているすべてのピークについて、質量値の測定に関連する誤差の量および強度値の測定に関連する誤差を示す指示を提供することである。
もう1つの利点は、大量の廃棄されたピークが、測定時の品質問題、すなわち、測定条件の非完全標準化に関連する問題(たとえば、サンプルが異なる温度で測定されるかまたは平衡の定常状態からほど遠いことによるか、あるいはサンプルのいくつかに汚染物質が管理されずに存在することによる)を示す早期指示を提供すると思われることである。
さらに他の利点は、質量が非常に似ているかまたは同一であるが構造が異なる複数イオンによって生成されたピークがフィルタリングされたスペクトルから除去され、したがって、所与の溶液の組成を測定されたスペクトルに関連付けるモデルを構築する作業を単純化すると思われることである。
本発明の第2の態様により、提案された2段階フィルタリング・プロセスの第2の段階を第1の段階を通過したデータに適用することによっていくつかの利点が得られる。
1つの利点は、溶液中のその濃度が異なる濃度でサンプルが測定された物質の濃度の線形関数からほど遠い複数イオンによって生成されたピークがフィルタリングされたスペクトルから除去されることである。これは、所与の溶液の組成を測定されたスペクトルに関連付ける線形モデルを構築する作業を単純化するものである。
もう1つの利点は、大量の廃棄されたピークが、データ内の品質問題(たとえば、サンプルが異なる温度で測定されるかまたは平衡の定常状態からほど遠いことによる)を示す早期指示を提供すると思われるか、あるいはそれらが「識別されたイオン」の濃度と異なる濃度でサンプルが測定された物質の濃度との複雑な(非線形)関係を示すことができることである。第1のケースでは、より制御されたプロセスによってより良いデータを得ることができ、不正確なデータを活用するリスクが回避される。第2のケースでは、データの非線形モデルを構築することが必要である可能性があり、データの活用時に間違った想定を行うリスクを回避することができる。
化学溶液の1つのサンプルについて測定された第1の質量スペクトルの詳細と、同じ溶液からの異なるサンプルについて得られた5つの質量スペクトル(A、B、C、D、E)の視覚表現を示している。 好ましい実施形態の方法が実現される環境を示す図である。 好ましい実施形態により異なる識別基準で使用可能なイオン識別方法の流れ図である。 好ましい実施形態により、図3の方法を適用して、物質の異なる既知の濃度に対応する質量スペクトルで同じイオンを識別するための方法の概要流れ図である。 好ましい実施形態により、図4の概要流れ図の段階1への入力のデータ構造と、段階1の出力のデータ構造を示す図である。 好ましい実施形態により、図4の概要流れ図の段階2への入力のデータ構造と、段階2の出力のデータ構造を示す図である。
図1は、化学溶液の1つのサンプルについて測定された第1の質量スペクトルの詳細と、同じ溶液からの異なるサンプルについて得られた5つの質量スペクトル(A、B、C、D、E)の視覚表現を示している。第1のグラフ(100)は、質量分析計の出力に使用される単位で質量257.1および強度500000超のピーク周辺で5百万分率(ppm)の化学物質を含有する水溶液中のイオンの質量スペクトルの部分図である。スペクトル全体では約1500個のピークを含む。第2の質量スペクトル(110)は同じ計器で同じサンプルについて測定を繰り返すことによって得られ、同じピークに関連する値は質量値で0.1%および強度値で約10%だけ変動する。第2の3D図(110)では、質量誤差は絶えずゼロになるように人為的に強制された。このケースでは、ピーク(115)は、同じイオンを表すものとして容易に識別することができる。問題は、質量(x値)および強度(y値)のいずれも測定誤差の影響を受ける場合に同じイオンに対応する異なるサンプルにおいてピークを識別する方法である。2つのイオンの質量測定に影響を及ぼす誤差がそれぞれの「真の」質量間の差を超えると、異なるスペクトルの2つのピークが同じイオンに属すことを明確にすることは不可能である。誤差が比較的小さいものであっても、コンピュータ・プログラムでロバストな「識別」プロセスを実現するには、質量値の近接性を超える特定の弁別基準が必要である。
図2は、好ましい実施形態の方法が実現される環境を示している。図2は本発明のコンテキストを示している。変動する既知の濃度の所与の化学物質を有する溶液は、データ・ファイル(スペクトル210)を生成する質量分析計(200)によって分析される。1つのスペクトルは複数ピークのシーケンスを含み、1つのピークは質量分析計によって測定されたその質量電荷比および信号強度の値(グラフィック表現におけるピーク座標)によって記述される。
また、この方法が1つの物質のみを含有する溶液に適用される場合、この方法はその物質の異なる濃度の溶液のピーク値を決定するのを支援し、特定の濃度で溶液中の物質の存在を判断するのを支援する線形モデルの決定を支援することは注目に値する。
質量スペクトル・データ・ファイルは、好ましい実施形態では、コンピュータ(220)上で動作するプログラムによって処理される。さらに、好ましい実施形態では、イオン識別方法は、2段階プロセス・プログラム(230)で適用される識別プロセス・エンジン(240)を含む。イオン識別エンジンは、それぞれの段階で異なる弁別基準を適用する。第1の段階では、イオン識別エンジンは、図4の説明に関連して本明細書で後述するように質量強度ベースの近接性基準(mass-intensity based proximity criterion)を適用する。第1の段階は、質量分析計によって生成された質量スペクトル・ファイル(210)を入力として取り、1つの行が1つのイオンに対応する異なるスペクトルのピークを表すイオン・テーブル(T1)を生成する。段階1で処理された質量スペクトルは特定の濃度の化学物質を含有する溶液について行われた測定サンプルのセットに対応するものであり、1つのサンプル・セットに適用される出力は1つのイオン・テーブル(T1)である。化学物質のN通りの濃度に対応する質量スペクトルのN個のセットについて動作が繰り返される。段階1の出力の結果、それぞれが溶液の1つの濃度に対応し、サンプルのセットあたり1つずつ、N個のイオン・テーブル(T1 250)が得られる。
第2の段階では、イオン識別エンジンが1回実行される。ピーク識別の場合、イオン識別エンジンは、図4の説明に関連して本明細書で後述するように結合された質量近接性および濃度強度の相関関係基準である弁別基準を適用する。第2の段階は、段階1中に作成されたイオン・テーブルを入力として取り、そのテーブルが「仮想質量スペクトル」に変換され、1つの識別されたイオン・テーブル(T2 260)を出力として提供する。出力イオン・テーブルT2は、溶液中で識別されたイオンごとに、それぞれの濃度に関する一連のピーク座標への参照を各行で提供する。
好ましい実施形態では、本発明は、コンピュータまたは任意の命令実行システムによりあるいはそれに関連して使用するためのプログラム・コードを提供するコンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体からアクセス可能なコンピュータ・プログラム(computer program product)として実現される。本発明は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態、またはハードウェア要素とソフトウェア要素の両方を含む実施形態の形を取ることができることは注目に値する。好ましい実施形態では、本発明は、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含むがこれらに限定されないソフトウェアで実現される。
図3は、好ましい実施形態により異なる識別基準で使用可能なイオン識別方法の流れ図である。この流れ図は、ある物質が異なる濃度で存在する溶液から得られる異なるスペクトルで発生するときに同じイオン・タイプに対応するピークを識別することができるイオン識別方法を記述している。
イオン識別方法を例示するために、入力として質量スペクトルを使用する。これは、図2の説明に述べられているように、段階2で入力が質量スペクトルそのものではなく、「仮想質量スペクトル」に変換されたイオン識別テーブルT1である場合でも、この方法の諸ステップの理解を単純化するものである。実際のところ、出力T1テーブルは各行で、入力として使用された異なる質量スペクトルの同じイオンに対応するピークを参照し、「仮想質量スペクトル」を求めるためにそれぞれのT1テーブルの各行についてピーク座標の平均が計算される。
第1のステップ(300)では、質量スペクトルがすべてアクセスされる。すでに述べたように、質量スペクトルは、それぞれのx座標が質量電荷比(本明細書の残りの部分では質量と呼ぶ)であり、y座標が信号の強度(本明細書の残りの部分では強度と呼ぶ)であるピークを示す。すべての質量スペクトルは溶液中に溶けやすい特定の濃度の化学物質を有する同じ溶液の測定サンプルに対応し、この物質は分析する必要があった。M個のスペクトルには1〜Mの番号が付けられる。
質量スペクトル・アクセスは、ピークの座標を含む質量スペクトル・データ・ファイルがコンピュータによって読み取られ、好ましくはデータ構造としてメモリに保管される。イオン識別エンジンによって使用されるこのようなデータ構造の一例については、図5の説明に関連して本明細書で後述する。質量スペクトルあたり1つのテーブルが構築される。それぞれのテーブル行は、質量スペクトルの1つのピークの座標を保管することができる。
ステップ305では、M個のスペクトルのうちの1つで1つのピークが読み取られる。1つのピークが読み取られる1つのスペクトルは、1〜N1のインデックスが付けられたN1個のピークを含み、これらすべてのピークに関する繰り返しが初期設定される(流れ図のテスト360以降を参照)。読み取られたピークは、残りのスペクトルからの対応するピークの連続識別のための基礎として取られる。以下のプロセスにより、この第1のスペクトルの潜在的なイオンを表すピークが分析される。残りのスペクトルに関する内部繰り返しが初期設定される(流れ図のテスト330以降を参照)。
現在のスペクトルにおいて、ステップ305で現在選択された1つのピークに最も近い特定の数のピークを見つけるために、2つのピーク間の適切な「距離」関数が使用される。その距離を事前定義された距離max dに制限することにより、少なくとも1つのピークと限られた数のピークが選択される(320)。事前定義された距離内にサーチを制限する場合、いかなるピークも見つからない可能性がある。「距離」関数の選択が段階1では質量強度ベースの近接性基準に基づき、段階2では質量近接性基準に基づくことは注目に値する。距離関数については、図4の説明に関連して本明細書でより詳細に後述する。
すべてのスペクトルを読み取る(テスト330に対する応答がNoのときにループを実行する)ことにより、第1のスペクトルからの現在のピークとスペクトル2〜Mで見つかった候補ピークとを使用して、M個の選択されたピークのすべての可能な候補シーケンスが作成される。このようなシーケンスの総数はn×n×...×nの積に等しく、ここでnはインデックス「i」が付いたスペクトル上で見つかった候補ピークの数であり、Mはそれぞれのシーケンス内のピークの数である。ステップ335では、スコア値を計算するためにそれぞれのシーケンスに適切なスコア関数が適用される。この関数は、ピークがいずれも同じタイプのイオンの表れであるシーケンスについてのみ高いスコア値が得られるように選択しなければならない。スコア関数の選択は、選択されたイオン識別基準に依存し、スコア関数については、図4の説明に関連して本明細書でより詳細に後述する。
次のステップ(340)では、先行ステップで作成されたシーケンスはステップ335で計算された対応するスコア値でソートされ、最高スコアはソート後のシーケンス・リストで最初の位置に対応する。
次のステップ(345)では、それぞれのシーケンスにおける第1のスコアと第2のスコアとの比率として「比率」変数が計算される。ステップ335で使用されるスコア関数は、そのコンテストから単一シーケンスの勝者(winner)が出現したことを示すために、1を大幅に上回る比率変数の値を発生する。計算された比率の値はステップ350で事前定義されたしきい値(リミット比)と比較される。しきい値未満の値は明確なシーケンスの勝者がないことを示し、現在のイオンについていかなる識別も不可能であることを意味する。最高スコア値を有するシーケンスであって、それに関する比率変数がリミット比に等しいかそれを超えるシーケンスは、ステップ305で読み取られたこのピークについて保持される。
有効な勝者シーケンス(ある場合)のそれぞれのシーケンス・メンバの(X質量,Y強度)値のトレースが保持され(357)、そのシーケンスのそれぞれのメンバはそれぞれのスペクトルにおける1つのピークであり、すべてのピークは同じイオンに対応する。この情報は、図5または図6の説明に関連して本明細書で後述するように、イオン識別テーブル(T1、T2)に保持することができる。
読み取られたピークおよびイオン識別候補について有効な勝者シーケンスがまったくない場合(テスト350に対する応答がNo)にも、以下のステップ(360)が実行される。すべてのピークが1つのスペクトルで読み取られるわけではない場合(テスト360に対する応答がNo)、それぞれのスペクトルでイオンを識別する最高スコアのシーケンスを識別するために、ステップ315〜360の同じループが実行される。
このアルゴリズムに使用された1つのスペクトルについてすべてのピークが読み取られた場合(テスト360に対する応答がYes)、それについて勝者シーケンスが生成された1つのスペクトルにおけるすべてのピークは、同じ物理イオンから生成されたものと試験的に見なすことができる。複数ピークからなる結果のシーケンスを調べることにより、グローバルな一貫性チェック(365)が実行される。それぞれのシーケンスにおける複数ピークからなる結果のシーケンスは、それぞれのピークがそれぞれのシーケンスで1回現れる場合にのみ、特定のイオン・タイプの表れになる。したがって、共通する1つまたは複数のピークを有するシーケンスは廃棄される。残りのシーケンスは、元のデータについて、より高レベルの自信を持って使用することができる。実際に、それぞれのシーケンスは(未知だが)特定のイオン・タイプの存在に対する計器の応答を特徴付けるものである。流れ図の実行の終わりに、最終的なイオン識別テーブルは、グローバルな一貫性チェックによって確認されたピークのシーケンスへの参照のみを含む。しかし、先行ステップによって選択されたすべてのシーケンスによって正しい結果が得られる可能性があるので、グローバルな一貫性ステップは任意選択である。
図4は、好ましい実施形態により、図3の方法を適用して、物質の異なる既知の濃度に対応する質量スペクトルで同じイオンを識別するための方法の概要流れ図である。この流れ図では、図3のイオン識別プロセスの2つの相補的実現例が2段階パイプラインで接続されている。パイプラインの第1の段階は、異なる濃度を有する溶液を測定する質量分析計によって生成されたスペクトルのセットを入力シリーズとして使用する。パイプラインの第2の段階は、第1の段階によって出力されたデータを入力として取り入れ、それぞれのイオンについて、それぞれの濃度に関するピーク座標への参照である最終出力を生成する。
段階1(400)では、その濃度の(N個の)異なるレベルで同じ物質を含有する溶液から得られた複数のスペクトルにイオン識別プロセスが適用される。同じサンプルについてM回測定を繰り返すかまたはM個の同等のサンプルから測定を行うことにより、その濃度のそれぞれのレベルについて計器によって複数(M個)のスペクトルが得られる。これは、図3の流れ図によって記載されている方法が1つの溶液濃度について測定されたサンプル質量スペクトルのそれぞれのセットについて処理される(405)。同じ(既知または未知の)濃度の1つまたは複数の物質を有する溶液のスペクトルの全域でイオンを識別するために質量強度ベースの近接性基準が使用される。この方法により、2つのピークのx座標およびy座標に依存し、それぞれ質量(x)およびイオン濃度(y)の測定値に影響を及ぼす相対誤差の異なるサイズに依存する適切な距離関数に基づいて「互いに最も近い」場合に、対応するスペクトルからのM個のピークは、「同じイオンによって生成される」ものであると言われる。段階1からの出力は、それぞれの識別されたイオンおよび濃度のそれぞれのレベルについてM個のピークのシーケンスを含む。図3のイオン識別方法の結果として得られる情報を保持するための方法の一例であるT1イオン識別テーブルについては、図5の説明に関連して本明細書で後述する。
段階1で実行される識別プロセスのステップ315およびステップ335でそれぞれ使用される距離関数およびスコア関数は、質量強度ベースの近接性基準により選択される。2つの「ポイント」(ピーク)間の「距離」関数d(p,p)は、i=jの場合にd(p,p)が消滅し、そうではない場合に必ず正になるようなものでなければならない。それぞれのピークに関連して、イオン質量(x)および信号強度(y)を表す2つの座標(xおよびy)があり、したがって、原則的に、2つのピークのx座標およびy座標に基づいて、距離関数のために2次元空間内の標準的なユークリッド距離を取ることは可能である。しかし、あるポイント(ピーク)のx座標およびy座標に関連する異なるスケールおよび精度について補償しないので、これは訂正なしでは適切ではない。通常の計器からの質量スペクトルの検査によると、質量(x座標)値は約0.1%の相対誤差で決定され、強度(y座標)は約10%の相対誤差で決定され、このため、2桁分高くなることが示されている。y座標およびx座標に関連する相対誤差間の比率としてRを定義すると、提案された距離関数は以下のようになり、x、yはピークpの座標であり、x、yはピークpの座標である。
Figure 2013528287

イオン識別プロセスのステップ335におけるスコア値の計算は複数ピークの各「候補シーケンス」について実行される。したがって、スコア関数は、候補シーケンス内のピークのセットの関数である。段階1では、この関数は、互いに最も遠くに離れている、シーケンス内の2つのピークに関する距離関数(ブロック315で使用されるもの)の逆数に過ぎない。このスコア関数は、
1/max d(p,p
であり、ここでpおよびpはシーケンス内の任意の2つのピークである。
したがって、「互いに最も近いもの」はシーケンス内のピークであり、より高い方はシーケンスに割り当てられたスコア値である。上記の距離関数とスコア関数の組み合わせは、段階1で実行されるイオン識別プロセスについて妥当なものであることが判明しており、この場合、すべてのスペクトルは同じ濃度の所与の物質を有するサンプルから取られる。
図4の流れ図のプロセスは段階2(410)を続け、それに関する入力は段階1で作成されたイオン識別テーブル(T1など)である。
イオン識別テーブルに含まれるデータはすでに述べた質量スペクトル・データと同等のものである。段階1で「識別された」イオンに対応するピークの各シーケンスは、そのシーケンスについて平均することにより、その質量および強度が得られる「仮想ピーク」で効果的に置き換えられる。段階2では、図3の例示的な流れ図によって記載されているように、イオン識別方法のプロセスはこれらの仮想ピークに適用される(415)。その目的は、異なるレベルの物質濃度を有するサンプルから測定されたスペクトルの全域で同じイオンによって生成された仮想ピークを「識別する」ことである。結合された質量近接性および濃度強度の相関関係基準は、ある所与の物質のL個の異なる既知の濃度で溶液のスペクトルの全域でイオンを識別するために使用される。この方法により、質量に関する「接近」とピーク全域で濃度Cおよび強度Yの値同士の「線形相関の強さ」との積に重みを付ける「最適性尺度」を最大化する場合、L個のピークのシーケンスは「同じイオンに属す」と言われる。距離関数およびスコア関数は、段階2用のイオン識別基準を考慮に入れて定義される。このような距離関数およびスコア関数の使用は、物質濃度と強度値との間に強い線形相関を示さないピークのシーケンスをフィルタリングで除去するためである。段階2からの出力は同じイオンに関する「仮想ピーク」のシーケンスを提供し、それぞれの「仮想ピーク」は異なるレベルの濃度に対応する。この形で質量分析計から導出された情報は、本発明の一部ではなく、質量スペクトルのモデルの構築を目指すアプリケーションによって活用することができ、いくつかの選択されたピーク(チャネル)上で観察された強度は1つまたは複数の物質の濃度の線形関数である。図3のイオン識別方法の結果として得られる情報を保持するための方法の一例であるT2イオン識別テーブルについては、図6の説明に関連して本明細書で後述する。
段階2で実行される識別プロセスのステップ315およびステップ335でそれぞれ使用される距離関数およびスコア関数は、結合された質量近接性および濃度強度の相関関係基準により選択される。段階2では、後者はその物質の異なる濃度で取られるので、同じイオンによって生成されたピークがスペクトルの全域で強度について同様の値を示すことは期待できない。このため、段階2で使用される距離関数は以下のようにピークのx座標(イオン質量)にのみ依存する。
d(p,p)=abs(x−x
ここでabs()は絶対値関数である。
イオン識別プロセスのブロック335におけるスコア値の計算は複数ピークの各「候補シーケンス」について実行される。したがって、スコア関数は、候補シーケンス内のピークのセットの関数である。段階2では、原則的に、距離関数のために統計的相関係数を取ることは可能である。その考え方は、同じ物理イオンに対応するピークから高い相関係数(1に近いもの)のみが得られる(そして、物質濃度により線形の応答を示す)と思われることである。しかし、実際のデータで行われた実験は、この場合、最高スコア・シーケンスに関するスコア値(相関係数に等しい)は1に非常に近くなることが多く、明確な「勝者」を決定することが不可能になることを示していた。また、より適切なスコア関数は、シーケンス内のすべてのピークについて質量値の近接性を考慮に入れなければならない。したがって、提案されたスコア関数は、2つの項の積として取られる。1つの項は1つのシーケンスの複数ピークについて計算された相関係数であり、物質濃度は独立変数であり、ピーク強度は従属変数である。第2の項は、互いに最も遠くに離れている、シーケンス内の2つのピークに関する距離関数(ブロック315で使用されるもの)の逆数である。
このスコア関数は、
Figure 2013528287


であり、ここでp、pはシーケンス内の任意の2つのピークであり、d(p,p)はそれらの間の距離である。
上記の距離関数とスコア関数の組み合わせは、段階2で実行されるイオン識別プロセスについて妥当なものであることが判明しており、この場合、スペクトルは異なる濃度の所与の物質を有するサンプルから取られる。
図5は、好ましい実施形態により、図4の概要流れ図の段階1への入力のデータ構造と、段階1の出力のデータ構造を示している。特に、図5に記載されているような出力テーブルは、質量強度ベースの近接性基準により距離関数およびスコア関数を使用してイオン識別方法を適用する段階1の結果を表すための方法の1つである。
入力(500)は、溶液サンプル中の物質の所与の濃度について、測定をM回繰り返すことによりまたはM個の同一サンプルに測定を適用することにより得られたM個のスペクトルから発生するものである。コンピュータによってデータ・ファイルから読み取られたそれぞれのスペクトル・データは、2列(XおよびY)を有するテーブルとしてメモリに保管することができ、それぞれの行には、イオン質量測定がX列に、対応する測定強度はY列に保管される。
出力(600)は、それぞれの測定されたスペクトルについて1つずつであるM個の列と、段階1の終わりに識別されたイオンと同数の行からなるテーブル(T1)によって表すことができる。それぞれの行は、M個の入力スペクトルのそれぞれで同じ物理イオンによって生成されたと想定されるピークへのポインタ(515)を含む。それぞれの行は、受け入れられるスコア比率で最高スコアを入手した、同じ勝者および有効なシーケンスに対応するポインタを含む。
たとえば、出力テーブル内でグレーの背景でマークされた行番号27(27はテーブル内の1つの行インデックス値である)は503、506、502、504、504という数字を含み、これらは識別されたイオンの入力スペクトルにおける位置を示している。これは、
・ 第1の入力スペクトルの行503のピーク
・ 第2の入力スペクトルの行506のピーク
・ など
が段階1のプロセスによって「識別」されていることを意味するものであり、したがって、これらのピークが同じ物理イオンによって生成されたことを間違いなく想定することができる。
出力テーブルの所与の行に対応する質量(X)および強度(Y)のM個の値の平均および広がりを取ることにより、これらの数量の測定に影響を及ぼす誤差のサイズを推定する。
上記の出力テーブル内の所与の行に関連する情報は、その質量および強度値がM個の「識別された」ピークについて対応する値の平均である「仮想ピーク」を定義することによって削減することができる。代わって、それぞれの行について質量および強度の最小値および最大値を考慮することができ、その結果、質量に関する間隔[xmin,xmax]および強度に関する間隔[ymin,ymax]によって「仮想ピーク」を定義することができる。
図4に記載されているように適用されたイオン識別方法の具体的な使用により、所与の溶液の組成を測定されたスペクトルに関連付ける線形モデルを構築するためにその結果を使用することができる。この場合、段階1の入力は、異なる既知の濃度で単一の物質のみを含む1つの溶液について測定された質量スペクトルである。このようにして、イオン識別テーブル(T1 510)は、所与の濃度についてそれぞれの質量スペクトルでそれぞれの基準X,Yピーク値で識別されたイオンを含む。
このようなイオン識別テーブル(T1 500)は、それに関する質量スペクトルのセットが得られたそれぞれの溶液濃度について構築される。
図6は、好ましい実施形態により、図4の概要流れ図の段階2への入力のデータ構造と、段階2の出力のデータ構造を示している。前述の通り、図4の流れ図によって説明した方法では、使用される段階2の入力は質量スペクトルではなく、段階1の出力として得られた出力T1イオン識別テーブルから導出された質量スペクトル同等データである。段階2の入力は、同じ物質の異なる(既知の)濃度に適用された段階1のプロセスの出力について1つずつ、N個のテーブル(600)で構成される。入力テーブル内のそれぞれの行は、推定された質量、強度、および誤差を有する「仮想」ピークに関連付けることができる。これらの入力は、図1のテーブルの入力質量スペクトルである同等の入力データ(500)としてイオン識別方法によって段階2で処理することができる。
出力は、物質のそれぞれの濃度に1つずつのN個の列と、段階2の終わりに識別されたイオンと同数の行を有するテーブル(610)で構成することができる。それぞれの行はポインタを含み、所与の濃度に関連する列内で検出されるポインタ(615)はその濃度に関する入力テーブル内の行を指している。したがって、段階2の終わりに生成された出力テーブルにより、これらの「仮想」ピークがいずれも同じ物理イオンに関連するものであると言うことができる。

Claims (11)

  1. 質量スペクトル・データ・ファイルのセットに含まれる、誤差を持って測定されたすべてのピークの質量および強度座標を分析することにより、特定の濃度の少なくとも1つの物質を含む溶液中で異なる物理イオンによって生成されたピークを識別するためにコンピュータ上で実行される方法であって、前記方法が、
    − 質量スペクトル・データ・ファイルの前記セット内の第1の質量スペクトル・データ・ファイルから一つのピークの座標を読み取ることと、
    − 2つのピーク間の近接性を与える距離関数を計算することにより、前記第1の質量スペクトル・データ・ファイル以外の前記質量スペクトル・データ・ファイルのそれぞれから、前記第1の質量スペクトルから前記読み取られたピーク座標に近いピーク座標を選択することと、
    − 前記シーケンス内のすべてのピークが同じタイプの物理イオンによって生成された可能性を与えるスコア関数を計算することにより、前記第1の質量スペクトルから前記読み取られたピークと、それぞれの他の質量スペクトルから選択された1つのピークとを含む、複数ピークの最高スコアのシーケンスを決定することと、
    − 最高スコア/2番目に高いスコアのシーケンスの比率がリミット比を上回る場合にのみ、前記最高スコアのシーケンスを保管することと、
    − 前記第1の質量スペクトル・データ・ファイルから1つの他のピークの座標を読み取り、前記質量スペクトルからのすべての前記ピークが読み取られるまで前記先行する選択ステップ、決定ステップ、および保管ステップを実行し、その結果のシーケンスのそれぞれが、同じ物理イオンによって生成されるものとして識別されたピークを、それぞれの質量スペクトルについて1つずつ含むこと
    を含む、方法。
  2. − 前記保管されたシーケンスのうち、同じ質量スペクトルの同じピークを含むことが判明したシーケンスの任意のサブセットを抑制すること
    をさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 2つのピーク間の前記距離関数および前記スコア関数が前記2つのピークの前記質量および強度に依存する、請求項1または2記載の方法。
  4. 2つのピーク間の前記距離関数が前記ピークの前記質量に依存し、前記スコア関数が前記ピークの前記質量と前記ピーク濃度強度相関の組み合わせに依存する、請求項1または2記載の方法。
  5. イオンに対応する前記結果のピーク・シーケンスを識別するための方法1の前記ステップが、どちらも前記ピークの前記質量および強度に依存する第1の距離関数および第1のスコア関数を使用して、所与のc濃度に関する質量スペクトルの第1のセットについて実行され、
    前記方法が、
    − 質量スペクトルの追加のセットについて前記先行ステップを繰り返すことであって、前記第1および追加のセットの質量スペクトルが異なる濃度に対応することと、
    − それぞれの溶液濃度について前記先行ステップを実行した結果得られるそれぞれのシーケンスについて平均質量強度ピーク座標を計算し、それぞれの濃度について一連の仮想ピークを求めることと、
    − 請求項1記載の方法の前記ステップを仮想質量スペクトルの前記セットに適用することであって、それぞれの仮想質量スペクトルが1つの濃度に対応し、それぞれの仮想質量スペクトルが前記計算された一連の仮想ピークを含み、前記ピークの前記質量に依存する2つのピーク間の第2の距離関数と、前記ピークの前記質量と前記ピーク濃度強度相関の組み合わせに依存する第2のスコア関数を使用し、前記結果のシーケンスが異なる「仮想質量スペクトル」で1つのイオンに対応する前記ピークであり、それぞれの「仮想質量スペクトル」が1つの溶液濃度に対応すること
    をさらに含む、請求項1または2記載の方法。
  6. 座標xおよびyを有するピークpと座標xおよびyを有するピークpという2つの質量スペクトル・ピーク間の前記第1の距離d関数が
    Figure 2013528287


    であり、Rが前記y座標およびx座標に関連する相対誤差間の比率である、請求項5記載の方法。
  7. シーケンスの前記第1のスコアが
    1/max d(p,p
    であり、ここでp、pが前記シーケンス内の任意の2つのピークであり、d(p,p)がそれらの間の距離である、請求項5および6のいずれか1項記載の方法。
  8. 座標xおよびyを有するピークpと座標xおよびyを有するピークpという2つの質量スペクトル・ピーク間の前記第2の距離d関数が
    d(p,p)=絶対値(x−x
    である、請求項5ないし7のいずれか1項記載の方法。
  9. シーケンスの前記第2のスコアが
    Figure 2013528287


    であり、ここでp、pが前記シーケンス内の任意の2つのピークであり、d(p,p)がそれらの間の距離である、請求項5ないし8のいずれか1項記載の方法。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項記載の方法の前記ステップを実行するように適合された手段を含むシステム。
  11. コンピュータ・プログラムがコンピュータ上で実行されるときに、請求項1ないし9のいずれか1項記載の方法の前記ステップを実行するための命令を含むコンピュータ・プログラム。
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