本発明は、請求項1の上位概念に記載されているレーザ点火プラグに関する。
例えばWO 2005/066488 A1からは、点火レーザを備えている、内燃機関の点火用の装置が公知である。点火レーザは燃焼室側の端部に、点火レーザから放出されるレーザパルスに対して透過性である燃焼室窓を備えている。この燃焼室窓はそれと同時に、燃焼室内に発生している高い圧力及び温度に耐えられるものでなければならず、また、点火レーザの内部を燃焼室に対してシールするものでなければならない。特にこの場合、燃焼室に対向している燃焼室窓の表面には、高い表面温度及び圧力、並びに、例えばオイルの灰の堆積物、粒子等の形態の汚染物が発生する虞がある。
公知の装置においては、オイルの灰又は煤のような排ガスの特定の成分が燃焼室窓に堆積し、燃焼室窓の特性、例えばレーザビームに対する透過性のような特性が劣化することによって、燃焼室窓に悪影響が及ぼされることは不利とみなされる。
発明の概要
これに対し、本発明はレーザ点火プラグの動作をより信頼性の高いものにすることができるという利点を有している。特に、燃焼室窓における堆積物を低減するために本発明による措置が講じられる。このために本発明によれば、内燃機関のためのレーザ点火プラグが、レーザビームを案内、成形及び/又は形成するための少なくとも一つの手段と燃焼室窓とケーシングとを備えており、ケーシングは燃焼室窓の前述の手段が設けられている側とは反対側において、特にケーシングの燃焼室側の端部において、その手段によって案内、成形及び/又は形成されたレーザビームを燃焼室へと通過させる絞りを有している。絞りは燃焼室窓が晒されている条件に影響を及ぼし、それにより燃焼室窓における堆積物の形成が低減され、またレーザ点火プラグの信頼性が総じて改善されている。
レーザビームを案内、成形及び/又は形成するための手段として、固体レーザ、例えば受動型Qスイッチ固体レーザ、例えばモノリシックに形成されている受動型Qスイッチ固体レーザが考えられる。レーザ点火プラグが固体レーザ、特に半導体レーザを光学的に励起するための装置を含んでいても良い。択一的に、固体レーザを光学的に励起するための装置をレーザ点火プラグから距離を置いて配置することも可能である。その場合、レーザビームを案内、成形及び/又は形成するための手段として、固体レーザを光学的に励起させるために使用されるビームをレーザ点火プラグに入射させることができる光学窓又は光ファイバが考えられる。一つ又は複数の固体レーザ、特にQスイッチ固体レーザ又はモード結合型固体レーザをレーザ点火プラグから距離を置いて配置することも可能である。その場合、レーザ点火プラグの放射を例えば光ファイバに供給することができる。但し、レーザ点火プラグ自体はレーザ活性素子を含んでおらず、ビームを案内及び/又は成形する手段、特にレンズ及び/又はミラーしか含んでいない。
特に、ケーシングによって内燃機関にレーザ点火プラグを実装できることが保証されている。このために、ケーシングに含まれるネジ、及び/又は、別の緊締手段、例えば止め爪と相互的に作用することができる、ケーシングに含まれるシール面及び/又は接触面のようなそれ自体公知の固定手段を設けることもできる。ケーシングには更に、レーザビームを案内、成形及び/又は形成するための少なくとも一つの手段及び燃焼室窓を機械的に固定するタスクが課されている。
燃焼室窓は、永続的な熱耐性及びビーム耐性のある少なくとも一つの固体、例えばガラス又は水晶、例えばサファイアから形成されている透明な構成要素である。これは特に、ビーム方向において一番奥にある、レーザ点火プラグに含まれる前述の種類の構成要素であるので、燃焼室窓の燃焼室側の表面は燃焼室と連通している。
燃焼室内に発生している条件(高温、高圧、高流速)及び媒体(粒子、オイルの灰等)に起因する、燃焼室窓の燃焼室に曝されている側の汚染及び/又は損傷を十分に低減するために、本発明によれば、ケーシングが、燃焼室窓のレーザビームを案内、成形及び/又は形成するための手段が設けられている側とは反対側、即ち、特に燃焼室窓の燃焼室側に絞りを有している。従って、燃焼室窓は特に、レーザビームを案内、成形及び/又は形成するための手段と絞りとの間に配置されている。有利には、絞りはケーシングの燃焼室側の端部区間を形成している。特に、絞りをレーザ点火プラグのケーシングとワンピースで形成することができる、及び/又は、ケーシングの材料と同じ材料から形成することができる。択一的に、絞りは別個の構成部材として形成されており、また、ケーシングの別の部分に例えば溶接又はネジ止めによって固定されている。選択的に、絞りの燃焼室側には、レーザ点火プラグに含まれる別の構成素子群、例えば掃気式及び/又は非掃気式の副室を配置しても良い。
特に絞りは、通過部、とりわけ丁度一つの通過部を有する構造体である。燃焼室窓の燃焼室側は燃焼室及び/又はレーザ点火プラグの絞りの前方に配置されている副室と、特に絞りの一つの通過部のみを介して連通している。通過部はビーム方向に対する半径方向において絞りの内側輪郭によって境界付けられている。更に、通過部は前述の手段によって案内、成形及び/又は形成されたレーザビームを内燃機関の燃焼室、燃焼室の副室、及び/又は、レーザ点火プラグの絞りの前方に設けられている副室へと通過させるために設けられている。
本発明が基礎とする着想は、絞りを設けることによって、もしくはその種の絞りを適切に形成することによって、燃焼室窓の保護、特に燃焼室内に発生している条件、特に高温、高流速及びオイルの灰等の媒体からの燃焼室窓の保護を実現することである。
本発明に従い絞りを設けることによって、一方では、燃焼室窓に堆積する、粒子、オイルの灰等の形態の汚染物の量が低減される。他方では、例えば粒子が燃焼室窓の表面に衝突する衝撃が低減される。いずれの効果もそれぞれ、燃焼室窓における堆積物を著しく低減させることができ、また燃焼室窓に付着する堆積物の量を低減することができる。その結果、本発明によるレーザ点火装置の信頼性はより高いものとなる。絞りの更なる効果は、燃焼室窓の温度を低下させることである。低下された温度によって、堆積物の化学反応ないし燃焼室窓と堆積物の化学反応、言わば堆積物の焼付け、従って、燃焼室窓の永続的な損傷が回避される。これによって、燃焼室窓に堆積物が残存することがより少なくなり、清掃が容易になる。本発明による絞りによって、燃焼室窓に掛かる圧力、ないし燃焼室窓において生じる圧力変化も低減させることができ、これによって、やはり信頼性を高めることができる。
本発明によれば、絞りの長さを所期のように選定することができる。ここで、絞りの長さとは特にビーム方向における絞りの通過部の長さであると解される。択一的に、レーザ点火プラグの長手方向軸又は燃焼室窓の燃焼室側の面に垂直な方向も基礎とすることができる。更に、通過部の長さは絞りの燃焼室側の開口部(出口開口部とも称する)と燃焼室側とは反対側の開口部(入口開口部とも称する)との間で測定されている。不規則に成形されている開口部の絞りないし通過部では、その長さに関して、通過部と見なされる区間の横方向における遮蔽部が大部分に設けられているか否かが考慮されるべきである。特に、流れの偏向及び燃焼室窓の温度の低下による燃焼室窓における堆積物の回避は、その長さが4mm以上の絞りにおいて行なわれる。その最小長さが6mm、8mm、10mm又は12mmである絞りでもって一層良好な結果を達成することができる。絞りの長さに関する上限として25mm、20mm又は15mmが考えられる。それよりも長い絞りでは、長さ、従ってレーザ点火プラグの取り付けに必要とされる空間が過度に大きくなる虞がある。絞りの長さの本発明による選定、特に前述の最小長さ及び/又は上限の設定は、別個の記載が無い限りは、本発明の全ての実施の形態及び実施例にとって特に任意のものであると見なされる。
本発明の別の有利な実施の形態においては、絞りの長さの所期の選定に付加的又は択一的に、レーザビームを案内、成形及び/又は形成するための少なくとも一つの手段を備えており、更には燃焼室窓及びケーシングも備えており、このケーシングが燃焼室窓の前述の手段が設けられている側とは反対側において、特にケーシングの燃焼室側の端部において、前述の手段によって案内、成形及び/又は形成されたレーザビームを燃焼室へと通過させるための絞りを有している、内燃機関のためのレーザ点火プラグにおいて、絞り、特に絞りの材料が高い熱伝導率を有するように所期のように選定されている。
有利には絞りの材料は、例えば高合金鋼によって達成されるような高い摩耗耐性、特に熱耐性も有していることが望ましい。
この場合、絞り全体の材料をケーシング全体の材料と同一のものとすることができ、また高い熱伝導率を有することもできる。しかしながら、絞り全体だけを高い熱伝導率を有する材料から形成し、その一方でケーシングの別の構成部分が別の熱伝導率、特に比較的低い熱伝導率を有することも可能である。絞りの一部のみ、例えば、絞りの質量及び/又は体積に関して大部分を占める部分、及び/又は、絞りの内部にある、いわば「芯」として形成されている部分のみを高い熱伝導率を有する材料から形成し、その一方で絞りの別の部分が別の熱伝導率、特に比較的低い熱伝導率を有することも可能である。その種の配置構成でもって、有利には所望の熱伝導の調整と高い摩耗耐性を同時に達成することができる。
特に燃焼室窓の温度を低下させることによる燃焼室窓における堆積物の低減は、絞りが60W/(m*k)以上の熱伝導率の材料を有している場合、特にその種の材料によって完全又は部分的に形成されている場合に既に達成される。80W/(m*k)以上又は120W/(m*k)以上の熱伝導率の材料を有している絞りでもって、特にその種の材料から形成されている絞りでもって、一層良好な結果が達成される。特に、絞りの内部にある、いわば「芯」として形成されている部分の材料として真鍮、ニッケル及び銅、真鍮とニッケルの合金並びに銅合金が考えられるが、とりわけ銅が適している。
燃焼室窓の温度を低下させるための更なる措置は、レーザビームを案内、成形及び/又は形成するための少なくとも一つの手段を備えており、更には燃焼室窓及びケーシングも備えており、ケーシングが燃焼室窓の前述の手段が設けられている側とは反対側において、特にケーシングの燃焼室側の端部において、前述の手段によって案内、成形及び/又は形成されたレーザビームを燃焼室へと通過させるための絞りを有している、内燃機関のためのレーザ点火プラグにおいて、絞りの内部に少なくとも一つの冷却管を設けることである。冷却管は特に、冷却媒体、例えば冷却流体を貫流させるために設けられている。複数の冷却管及び/又は冷却管直径が1mm2以上及び/又は5mm2以下の冷却管を設けることも有利である。その種の冷却管は燃焼室窓の温度の低下に既に適したものである。高い熱伝導率の材料を有している絞りとの複合作用において、絞りからの熱を非常に良好に冷却管へと伝達させることができ、従って絞りから熱を排出することができる。
絞りの長さの所期の選定も、所期の材料選定及び/又は冷却管の設置もそれ自体で、しかしながら特に複合作用によって、燃焼室窓の温度を低下させることに適したものであり、特に、絞りの長さに関して説明した特徴と絞りの熱伝導に関して説明した特徴の組み合わせは、燃焼室窓の堆積の低減、従ってレーザ点火プラグの信頼性に関して有利である。燃焼室窓の領域に配置されているシール個所の温度の低下も、レーザ点火プラグの信頼性を改善する。
本発明の別の有利な実施の形態においては、絞りの長さの所期の選定に付加的又は択一的に、また、絞りの高い熱伝導率の設定に付加的又は択一的に、レーザビームを案内、成形及び/又は形成するための少なくとも一つの手段を備えており、更には燃焼室窓及びケーシングも備えており、このケーシングが燃焼室窓の前述の手段が設けられている側とは反対側において、特にケーシングの燃焼室側の端部において、前述の手段によって案内、成形及び/又は形成されたレーザビームを燃焼室へと通過させるための絞りを有している、内燃機関のためのレーザ点火プラグにおいて、燃焼室窓の燃焼室側の前方には絞りの内側と連通している隙間が設けられており、その隙間の高さは所期のように低く選定されている。
ここで隙間とは、軸方向の両側において、特に一方では燃焼室窓、他方では絞りによってそれぞれ境界付けられており、また半径方向外側は特にケーシングによって境界付けられており、且つ、その半径方向の内側面が絞りの内側と連通している空間領域と解される。従って特別な実施の形態では、隙間は絞りと燃焼室窓との間に形成されている。隙間の高さとは、特に軸方向において隙間の境界を成している面間の距離と解される。不規則な幾何学的配置では、隙間の軸方向の境界が大部分に設けられているか否かが考慮されるべきである。
本発明のこの実施の形態は、一方では、本発明に従い形成されている隙間に流入する熱いガスの温度、特に燃焼ガスの温度が大幅に低下するという認識を基礎としている。その結果、隙間の内部における燃焼ガスの消滅及び煤の発生を伴う、いわゆる急冷が生じる。本発明のこの実施の形態は、他方では、そのようにして発生した煤が燃焼室窓の燃焼室側においても堆積するが、しかしながら、燃焼室窓の領域において通常生じるような強度のレーザビームによって確実に除去することができるので、全体としては、隙間に発生した煤によっても燃焼室窓の透明性に及ぼされる悪影響は僅かなものでしかない。
驚くべきことに、燃焼室窓の燃焼室側における煤の連続的な堆積及び除去によって、別の物質、特に別の燃焼生成物、例えばオイルの灰による燃焼室窓の燃焼室側における汚染を回避できる、又は著しく低減できることが分かった。この事実は非常に重要である。何故ならば、その種の物質、特にオイルの灰は、燃焼室窓の領域において通常生じるような強度のレーザビームによっても除去できない、又は部分的にしか除去できない、もしくは著しい手間を掛けてしか確実に除去できないからである。
燃焼室窓における堆積物の全体としての低減は、隙間の高さが最大で1mm、最大で0.5mm、最大で0.3mm、又は、最大で0.1mmである場合に得られる。隙間の高さの下限として、0.05mm及び0.08mmが考えられる。隙間が過度に狭い場合、十分な煤を発生させることができない。更に有利には、燃焼室窓に隙間が直接的に接するように設けられている、及び/又は、隙間の底面が環状又は半月状に選定されている。
隙間の底面の面積(以下では隙間断面積と称する)は有利には十分大きく選定されているので、流入するガスの量も適正量の煤を発生させるには十分である。更に有利には、絞りの内側において隙間の燃焼室側の前方にある領域が絞りの入口断面積を有しており、且つ、隙間断面積が入口断面積の少なくとも10%、入口断面積の少なくとも30%又は入口断面積の少なくとも50%であるか、もしくは、入口断面積の少なくとも2倍又は入口断面積の少なくとも4倍の大きさである。隙間断面積の上限としては入口断面積の25倍、特に入口断面積の10倍の大きさが考えられる。それ以上では、レーザ点火プラグが過度に大きくなる虞がある。
絞りの長さの所期の選定、所期の材料選定及び/又は冷却管の設置も、上述のような隙間の本発明による設置も、それ自体で既に、燃焼室窓の前方にある体積内の温度を低下させることに適している。しかしながら特に、そのような体積内の効率的な冷却、従って急冷効果の使用及び煤の発生は、隙間によって形成される体積が比較的低い温度を有する燃焼室窓との相互作用によって特に効果的に冷却される長い絞り及び/又は熱伝導が良好な絞りと隙間との複合作用によって行なわれる。
特に、煤の発生、堆積及び除去の上述の効果は、添加物を含有するオイル、特に添加量の多いオイルが潤滑に使用される内燃機関にレーザ点火プラグが使用される場合に有利である。何故ならば、特にその種のオイルが燃焼する際にはオイルの灰が発生し、そのような灰は別のやり方では容易に除去することはできない。他方では、無添加のオイル、即ちアッシュフリーオイルが潤滑に用いられる内燃機関に使用するために、この場合には不要な煤の発生を完全に又は十分に省略することによってレーザ点火プラグを最適化することも考えられる。この意味において、レーザビームを案内、成形及び/又は形成するための少なくとも一つの手段を備えており、更には燃焼室窓及びケーシングも備えており、ケーシングが燃焼室窓の前述の手段が設けられている側とは反対側において、特にケーシングの燃焼室側の端部において、前述の手段によって案内、成形及び/又は形成されたレーザビームを燃焼室へと通過させるための絞りを有している、内燃機関のためのレーザ点火プラグにおいて、燃焼室窓の燃焼室側の前方に、絞りの内側と連通している隙間が設けられており、その隙間の高さは煤の発生が完全に、又は少なくとも十分に回避されるように選定されている。これに関して有利には、隙間の高さは0.3mmを下回らない高さ、特に1mmを下回らない高さに選定されている。隙間が更に高い場合、例えば少なくとも2mm又は少なくとも3mmの高さである場合には、煤の発生を特に確実に回避することができる。絞りの入口断面積に比べて小さい隙間断面積を設けることも好適であり、特に、隙間断面積が絞りの入口断面積の最大で100%、とりわけ最大で40%、有利には最大で20%であることは有利である。
本発明の別の有利な実施の形態においては、絞りの長さの所期の選定に付加的又は択一的に、また、絞りの高い熱伝導率の設定に付加的又は択一的に、また、燃焼室窓の燃焼室側の前方における、絞りの内側と連通しており、且つ、所期のような低い高さに選定されている隙間の設置に付加的又は択一的に、レーザビームを案内、成形及び/又は形成するための少なくとも一つの手段を備えており、更には燃焼室窓及びケーシングも備えており、このケーシングが燃焼室窓の前述の手段が設けられている側とは反対側において、特にケーシングの燃焼室側の端部において、前述の手段によって案内、成形及び/又は形成されたレーザビームを燃焼室へと通過させるための絞りを有している、内燃機関のためのレーザ点火プラグにおいて、絞りが燃焼室窓側とは反対側に小さい開口部断面積(「出口断面積」)を有している。
絞りの出口断面積は、特に絞りの通過部の燃焼室側の開かれた断面積である。不規則に成形されている出口開口部を有する通過部では、出口断面積に関して特に、通過部と見なされる区間の横方向の遮蔽部が大部分に設けられているか否かが考慮されるべきである。
絞りの出口断面積が小さいことから、燃焼室窓が燃焼室内に発生している条件から隔離される、特に高温、急激な圧力変動、高流速及び/又はオイルの灰の粒子、煤等から保護されるという有利な効果が得られる。従って、燃焼室窓における堆積を回避することができ、またレーザ点火プラグの信頼性を高めることができる。この効果は、出口断面積が78mm2を下回る場合、特に19mm2を下回る場合に生じる。7mm2を下回る、特に2mm2を下回る出口断面積でもってより一層良好な結果が達成される。加減として0.05mm2、0.4mm2及び1mm2が考えられる。出口直径がさらに小さくなると、レーザビームの絞りの通過を場合によってはもはや十分確実に保証できない可能性がある。
絞りの長さの所期の選定、所期の材料選定及び/又は冷却管の設置はそれぞれそれ自体で、又は相互に組み合わせることによって、燃焼室窓の温度を低下させることに既に適しているので、燃焼室窓における汚染物の「焼付け」が低減され、従ってレーザ点火プラグの信頼性も向上している。燃焼室窓の燃焼室側の前方に隙間を設けることによって上記と同様の効果を達成することができる。それらの措置を絞りの小さい出口断面積を設けることと組み合わせると、総じて、一方では僅かな粒子しか燃焼室窓に到達しないが、しかしながら他方では、燃焼室窓がそれらの残存粒子による汚染に対して耐性があるという効果が得られる。レーザ点火プラグの信頼性をこのようにして著しく高めることができる。
有利な実施の形態によれば、絞りの長さの所期の選定に付加的又は択一的に、また、絞りの高い熱伝導率の設定に付加的又は択一的に、また、燃焼室窓の燃焼室側における、絞りの内側と連通しており、且つ、高さが所期のように低く選定されている隙間の設置に付加的又は択一的に、また、絞りの小さい出口断面積の設置に付加的又は択一的に、内燃機関のためのレーザ点火プラグが、レーザビームを案内、成形及び/又は形成するための少なくとも一つの手段と燃焼室窓とケーシングとを備えており、このケーシングが燃焼室窓において前述の手段が設けられている側とは反対側において、特にケーシングの燃焼室側の端部において、前述の手段によって案内、成形及び/又は形成されたレーザビームを燃焼室へと通過させるための絞り、特に円筒状の絞りを有しており、絞りの長さはLであり、絞りの出口断面積はQBAであり、ここで1<L/(4QBA/π)1/2≦10である。
絞りの長さを絞りの開口部断面積ないし開口部直径に所期のように合わせることによって、内燃機関の燃焼室に生じている有害な条件の影響によって燃焼室窓に掛かる過負荷が回避されることが常に保証されている。ここでは、絞りの長さ及び絞りの開口部断面積の全体の効果が、条件1<L/(4QBA/π)1/2≦10の範囲内で考慮されることが重要である。このことは、比較的短い絞りも、この絞りの開口部断面積が所定の寸法内で小さいことを前提として、本発明による利点を有しているという認識を基礎としている。他方では、比較的大きい開口部断面積を有する絞りも、その絞りが比較的長い長さを有していることを前提として、依然として十分な遮蔽効果を有することができる。特に、2≦L/(4QBA/π)1/2及び/又はL/(4QBA/π)1/2≦7の場合、特にL/(4QBA/π)1/2≦6の場合に上述の技術的な効果が得られる。絞りの出口断面積が円形である特別な場合には、大きさ(4QBA/π)1/2が絞りの出口直径を表す。
本発明の有利な実施の形態においては、絞りの長さの所期の選定に付加的又は択一的に、また、絞りの高い熱伝導率の設定に付加的又は択一的に、また、燃焼室窓の燃焼室側の前方における、絞りの内側と連通しており、且つ、所期のような低い高さに選定されている隙間の設置に付加的又は択一的に、また、絞りの小さい出口断面積の設置に付加的又は択一的に、レーザビームを案内、成形及び/又は形成するための少なくとも一つの手段を備えており、更には燃焼室窓及びケーシングも備えており、このケーシングが燃焼室窓の前述の手段が設けられている側とは反対側において、特にケーシングの燃焼室側の端部において、前述の手段によって案内、成形及び/又は形成されたレーザビームを燃焼室へと通過させるための絞りを有している、内燃機関のためのレーザ点火プラグにおいて、絞りの内側輪郭が、絞りの燃焼室側の端部及び絞りの燃焼室側とは反対側の端部のから距離を置いている領域に少なくとも一つのエッジ、特に複数のエッジを有している。
ここで絞りの内側輪郭のエッジとは、絞りの内側輪郭の異なる面状の領域が0とは異なる角度で相互に付き合っている幾何学的な対象、特に輪郭と解される。絞りの燃焼室側の端部及び絞りの燃焼室側とは反対側の端部の両方から距離を置いている絞りの内側輪郭の領域とは、絞りの内側の輪郭の中央の領域、特に絞りの長手方向の延在に関して中央にある領域であると解される。ある領域が絞りの前方5分の1と後方5分の1との間、特に絞りの前方4分の1と後方4分の1との間に配置されているか、又は絞りの中央の3分の1に配置されている場合、その領域は絞りの長手方向に関して中央にある。領域内にエッジを有している内側輪郭とは、エッジの少なくとも一部がその領域内に配置されていることと解されるが、しかしながら付加的に、エッジがこの領域の外側に配置されていても良い。有利な特別な場合には、エッジが完全に領域内にあっても良い。
上述の方式でのエッジの技術的な効果は、そのエッジが、絞りへのガスの流入の妨害部の出発点又は絞り内の流れの妨害部の出発点を表すことである。特に、エッジに基づいて、絞りに流入するガスの渦流又は絞り内を流れるガスの渦流が生じる。妨害部、特に渦流発生部に起因して、絞りに流入するガスと絞りの内側輪郭との相互作用が高まっており、またそのようにして相互作用が高まった結果、ガスに含まれる粒子が絞りの内側、特にエッジに堆積し、燃焼室窓にまで侵入しない傾向も高まっている。このようにして、エッジはいわば粒子捕捉部の効果を奏する。従って、燃焼室窓における堆積物が低減し、レーザ点火プラグの信頼性も高まる。
上述のようにしてただ一つのエッジを設けることによって既に上述の効果が得られるにかかわらず、特に有利な実施の形態においてはその種のエッジが複数設けられている。複数のエッジの数は二つ以上、特に二つより多い。少なくともエッジの一部及び/又は燃焼室窓に沿って覆われずに燃焼室窓に一つ又は複数のエッジが対向している場合、即ち、絞りの一部がエッジの一部と燃焼室窓の一部との間に配置されていない場合に、そのような一つ又は複数のエッジの配置構成は非常に効果的である。この場合エッジは、主として燃焼室窓に配向されている、絞りに流入する流れの一部又は絞り内の流れの一部に、妨害部又は渦流発生部を嵌め込むことに適している。
一つのエッジないし複数のエッジの特に有利な配置構成によって、そのエッジの配置構成又は複数のエッジの配置構成が段を形成する、及び/又は、絞りの内側輪郭が少なくとも部分的に燃焼室に対向する端部の方向において段状に先細りされる。特に少なくとも二つ、特に少なくとも三つ、有利には少なくとも四つの段を設けることができる。付加的に少なくとも一つの別の段、特に複数の別の段を設けることができ、その段においては絞りが燃焼室側とは反対側の端部の方向に向かって先細りされている。内側輪郭の段とは内側輪郭の少なくとも三つの部分面の配置構成と解され、その際に、内側輪郭のそれらの三つの部分面の内の一つが他の二つの部分面の間に配置されており、且つ、一つの部分面の半径方向の傾斜が三つ全ての部分面の半径方向の傾斜に関して極値的なものである。部分面は特にリング状の形状を有することができるが、他の幾何学形状も原理的には可能である。
製造技術的に好適な変形の形態においては、段がほぼ直角(88°−92°)、特に直角に形成されている。つまり、特に、二つの部分面がレーザ点火プラグの長手方向軸に対して平行に延在しており、一つの部分面がレーザ点火プラグの長手方向軸に対して直角に配向されている。特にその種の複数の段、例えば三つより多くの段、又は七つより多くの段を設けることができる。しかしながら、常に又は部分的に鈍角を成すか、もしくは常に又は部分的に鋭角を成す面から形成されている段、しかしながら有利には25°よりも鋭くない角度で相互に付き合う面から形成されている段も考えられ、またそれぞれ異なる方式においても有利である。上記のやり方での複数の段の組み合わせも絞りにおいては原理的に可能である。
絞りの小さい出口断面積の設置も、絞りの燃焼室側の端部及び絞りの燃焼室側とは反対側の端部の両方から距離を置いている領域における少なくとも一つのエッジの設置も、それぞれそれ自体で、燃焼室窓に衝突する粒子の数を低減することができる。二つの措置を相互に組み合わせると、絞りの小さい出口断面積によって空間的に集中する絞りへの流れを適切なエッジによって非常に所期のように妨害させることができる、特に渦流を発生させることができるという相乗効果が得られる。この場合、出口断面積が特に78mm2以下、特に19mm2以下、有利には7mm2以下、特に有利には2mm2以下である場合は好適であり、この出口直径を絞りの段状の内側輪郭、特に複数の段、とりわけ直角の段、特に絞りの断面積がそれぞれ絞りの内側輪郭の燃焼室側の端部から絞りの内側断面積の燃焼室側とは反対側の端部への方向において少なくとも10%、特に少なくとも35%大きくなる段を有する絞りの段状の内側輪郭とその都度有利に組み合わせることができる。
絞りの長さの所期の選定、所期の材料選定及び/又は冷却管の設置はそれぞれそれ自体で、又は相互に組み合わせることによって、燃焼室窓の温度を低下させることに既に適しているので、燃焼室窓における汚染物の「焼付け」が低減され、堆積物も減少し、従ってレーザ点火プラグの信頼性も向上している。燃焼室窓の燃焼室側の前方に隙間を設けることによって同様の効果を達成することができる。それらの措置を、絞りの燃焼室側の端部及び絞りの燃焼室側とは反対側の端部の両方から距離を置いている領域に少なくとも一つのエッジを設けることと組み合わせると、総じて、一方では少量の粒子しか燃焼室窓に到達せず、他方では燃焼室窓がそのような少量の粒子による汚染に対しても耐性があるという効果が得られる。レーザ点火プラグの信頼性をこのようにして著しく高めることができる。
本発明の有利な実施の形態においては、絞りの長さの所期の選定に付加的又は択一的に、また、絞りの高い熱伝導率の設定に付加的又は択一的に、また、燃焼室窓の燃焼室側の前方における、絞りの内側と連通しており、且つ、所期のような低い高さに選定されている隙間の設置に付加的又は択一的に、また、絞りの小さい出口断面積の設置に付加的又は択一的に、また、上記のようなエッジの設置に付加的又は択一的に、レーザビームを案内、成形及び/又は形成するための少なくとも一つの手段を備えており、更には燃焼室窓及びケーシングも備えており、このケーシングが燃焼室窓の前述の手段が設けられている側とは反対側において、特にケーシングの燃焼室側の端部において、前述の手段によって案内、成形及び/又は形成されたレーザビームを燃焼室へと通過させるための絞りを有しており、その絞りが燃焼室側の端部と燃焼室側とは反対側の端部とを有している、内燃機関のためのレーザ点火プラグにおいて、絞りの内側輪郭が、絞りの燃焼室側の端部及び絞りの燃焼室側とは反対側の端部の両方から距離を置いている領域において極値的な断面積を有している。
特に、絞りの内側輪郭の極値的な断面積とは、その面積及びレーザ点火プラグの長手軸方向に関して局所的な最大値を表している断面積、即ち、特に、両方の長手軸方向において小さくなっている断面積、又は、局所的な最小値を表している断面積、即ち、両方の長手軸方向において大きくなっている断面積と解される。絞りの燃焼室側の端部及び絞りの燃焼室側とは反対側の端部の両方から距離を置いている領域における絞りの極値的な断面積は、特に、絞りの入口断面積よりも大きく、且つ、絞りの出口断面積よりも大きい絞りの断面積が存在すること、又は、絞りの入口断面積よりも小さく、且つ、絞りの出口断面積よりも小さい絞りの断面積が存在することを意味していると考えられる。極値的な断面積とは、特に、絞りの出口断面積が位置する平面に平行な平面に位置する断面積、及び/又は、絞りの入口断面積が位置する平面に平行な平面に位置する断面積、及び/又は、燃焼室窓の燃焼室側の表面が位置する平面に平行な断面積、及び/又は、レーザ点火プラグの長手方向軸に垂直な断面積である。
絞りの燃焼室側の端部及び絞りの燃焼室側とは反対側の端部の両方から距離を置いている領域における絞りの内側輪郭が極値的な断面積を備える措置の技術的な効果は、極値的な断面積の領域が、絞りへのガスの流入の妨害部の出発点、又は、絞り内の流れの妨害部を表すことである。特に、極値的な断面積の領域に起因して、絞りへと流入する排ガス又は絞り内の流れの渦流を生じさせることができる。妨害部、特に渦流発生部に起因して、絞りへと流入する排ガスと絞りの内側輪郭との相互作用が高まっており、またそのようにして相互作用が高まった結果、排ガスに含まれる粒子が絞りの内側に堆積し、燃焼室窓にまで侵入しない傾向も高まっている。そのようにして、極値的な断面積の領域はいわば粒子捕捉部の効果を奏する。
上述の効果は、絞りの燃焼室側の端部及び絞りの燃焼室側とは反対側の端部の両方から距離を置いている領域を設けることによって既に得られるが、複数の発展の形態においては、絞りが燃焼室側とは反対側の端部において入口断面積を有しており、燃焼室側の端部において出口断面積を有しており、極値的な断面積が入口断面積よりも少なくとも10%、特に少なくとも20%、有利には少なくとも30%小さく、且つ、出口断面積よりも少なくとも10%、特に少なくとも20%、有利には少なくとも30%小さいか、又は、極値的な断面積が入口断面積よりも少なくとも10%、特に少なくとも20%、有利には少なくとも30%大きく、且つ、出口断面積よりも少なくとも10%、特に少なくとも20%、有利には少なくとも30%大きい。絞りの内側輪郭の有利な形状では、絞りの内側輪郭が、それぞれ円錐台の形状、特にそれぞれ直円錐台の形状を有している二つの部分を備えており、それらの二つの部分が有利には直接的に隣り合っている。即ち、それぞれが比較的大きい端面又は比較的小さい端面によって相互に接しており、従って、いわば二重の円錐台を形成している。つまり、円錐台が相互に接している個所においては、絞りの内側輪郭の狭窄部又は膨張部に沿って延在しているエッジが生じる。
特に、狭窄部及び/又は膨張部のような環状の幾何学的な特徴部が設けられている、及び/又は、アンダーカットが設けられている絞りの回転対称的な内側輪郭の他に、レーザビームを案内、成形及び/又は形成するための少なくとも一つの手段を備えており、更には燃焼室窓及びケーシングも備えており、このケーシングが燃焼室窓の前述の手段が設けられている側とは反対側において、特にケーシングの燃焼室側の端部において、前述の手段によって案内、成形及び/又は形成されたレーザビームを燃焼室へと通過させるための絞りを有している、内燃機関のためのレーザ点火プラグにおいて、絞りの内側輪郭を回転対称的な形状とは異なる形状にすることも基本的には可能であり、また有利である。その種の非対称性は、絞りに流入する排ガスと絞りの内側輪郭との相互作用を高め、そのような高まった相互作用の結果、排ガスに含まれる粒子が絞りの内側に堆積し、燃焼室窓にまで侵入しない傾向も高まるという効果を有している。従って、燃焼室窓における堆積物は減少しており、レーザ点火プラグの信頼性は高まっている。非回転対称の形状を有する特別な内側輪郭は、絞りの燃焼室側の端部及び絞りの燃焼室側とは反対側の端部の両方から距離を置いている、少なくとも一つの切欠部、特に複数の切欠部を有している。絞りの燃焼室側の端部及び絞りの燃焼室側とは反対側の端部の両方から距離を置いている凸部、特に複数の凸部も有利である。何故ならば、切欠部及び/又は凸部は絞りへの排ガスの流入の妨害部の出発点を表すからである。特に、切欠部及び/又は凸部に起因して、絞りへと流入するガスの渦流を生じさせることができる。特に有利には、切欠部及び/又は凸部が絞りの燃焼室側の端部及び絞りの燃焼室側とは反対側の端部の両方から距離を置いている領域に設けられており、且つ、極値的な断面積を有している。絞りの他の形状の内側輪郭を設けること、特に、流れに関して最適化されており、例えば角張っておらずに、丸みを持つように形成されている、及び/又は、完全に又は部分的にラバル管として形成されている絞りを設けることも基本的には可能である。
絞りの燃焼室側の端部及び絞りの燃焼室側とは反対側の端部の両方から距離を置いている、絞りの内側輪郭の領域においては、上述のような一つ又は複数のエッジの設置も、極値的な断面積及び/又は切欠部又は凸部の設置も、それぞれが既にそれ自体で、絞りへのガスの流入の妨害部を表すことができ、また特に絞りへと流入するガスの渦流を生じさせることができる。この技術的な効果は、広範な範囲において、上述した特徴の複数を有する絞りにおいて生じる。
絞りの長さの所期の選定、所期の材料選定及び/又は冷却管の設置はそれぞれそれ自体で、又は相互に組み合わせることによって、燃焼室窓の温度を低下させることに既に適しているので、燃焼室窓における堆積物が低減され、従ってレーザ点火プラグの信頼性も向上している。燃焼室窓の燃焼室側の先方に上述のやり方で隙間を設けることによって、上述のようにそれ自体で、また特に相互の組み合わせによって、同様の効果を達成することができる。それらの措置を、絞りの燃焼室側の端部及び絞りの燃焼室側とは反対側の端部の両方から距離を置いている領域に極値的な断面積を設けることと組み合わせると、総じて、一方では少量の粒子しか燃焼室窓に到達せず、しかしながら他方では燃焼室窓が残りのそれらの粒子による汚染に対しても耐性があるという効果が得られる。レーザ点火プラグの寿命をそのようにして著しく延長することができる。
本発明の別の有利な実施の形態においては、絞りの長さの所期の選定に付加的又は択一的に、また、絞りの高い熱伝導率の設定に付加的又は択一的に、また、燃焼室窓の燃焼室側における、絞りの内側と連通しており、且つ、所期のような低い高さに選定されている隙間の設置に付加的又は択一的に、また、絞りの小さい出口断面積の設置に付加的又は択一的に、また、それぞれ上述のようなエッジ及び/又は極値的な断面積の設置に付加的又は択一的に、レーザビームを案内、成形及び/又は形成するための少なくとも一つの手段を備えており、更には燃焼室窓及びケーシングも備えており、このケーシングが燃焼室窓の前述の手段が設けられている側とは反対側において、特にケーシングの燃焼室側の端部において、前述の手段によって案内、成形及び/又は形成されたレーザビームを燃焼室へと通過させるための絞りを有している、内燃機関のためのレーザ点火プラグにおいて、このレーザ点火プラグが、絞りを通過したレーザビームのビーム形状を規定するための少なくとも一つの収束手段を備えており、絞りとレーザビームの距離は、少なくとも絞りの内側輪郭の主要部分に沿って、最大距離を上回らない。
少なくとも一つの収束手段として、収束光学系、例えば一つ又は複数のレンズ、及び/又は、一つ又は複数のミラー、特に湾曲した表面を備えている一つのミラー又はそれぞれが湾曲した表面を備えている複数のミラーが考えられる。燃焼室窓及び/又はレーザビームを案内、成形及び/又は形成するための手段を収束素子として形成することも付加的又は択一的に可能である。少なくとも一つの収束手段を設けることによって、絞りを通過したレーザビームのビーム形状は基本的に規定されている。絞りを通過したレーザビームのビーム形状がレーザ点火プラグの別の動作パラメータ、例えば電流又は温度に依存するレーザ点火プラグでは、その動作パラメータがレーザ点火プラグの動作のために設定されている値を取る場合には、レーザ点火プラグによって供給されるビーム形状を収束手段によって規定されたビーム形状とみなすことができる。レーザビームのビーム形状、特にビームの姿勢、ビームの寸法及びビームと絞りの距離は、DIN EN ISO 11145規格に準拠するもの、及び/又は、DIN EN ISO 11145規格を背景とするものと解される。
絞りとレーザビームの距離が少なくとも絞りの内側輪郭の主要部分に沿って最大距離を上回らないように設定することは、一方では、絞りの通過部が可能な限り狭く設計されている場合には、燃焼室窓を遮蔽する効果を達成し、絞りの内側輪郭の主要部分に沿って、特に絞りの内側輪郭全体に沿って燃焼室窓に堆積物が堆積することを回避するために有用である。他方では、この要求は、レーザビームを案内、成形及び/又は形成するための手段によって案内、成形及び/又は形成されたレーザビームの可能な限り大部分が絞りを通過するべきであるということに矛盾し、また特に製造技術的な公差も考慮する必要があるので、絞りは過度に狭くあるべきではない。
それら二つの要求の妥当な妥協点は、絞りの内側輪郭の主要部分に沿って、絞りとレーザビームとの間に距離が設けられているが、しかしながらこの距離が4mmの最大距離を上回らない場合には既に与えられている。更により妥当な妥協点では、絞りの内側輪郭の主要部分に沿った最大距離が2mm、特に1mm、有利には0.55mmである、及び/又は、有利には0.1mm、0.25mm又は0.45mmである、絞りの内側輪郭の主要部分に沿った最小距離を下回らない。絞りの内側輪郭の主要部分は、内側輪郭の面積の70%以上、内側輪郭の面積の90%以上、又は、それどころか内側輪郭全体を含むことができる。
前述の要求間の妥当な妥協点が発見されたということを、絞り及び/又はレーザビームに関する幾何学的な基準による代わりに、択一的には、絞りを通過したレーザビームの割合においても明らかにすることができる。つまり、この割合が50%から100%、特に70%から95%、有利には85%から93%であり、残りの割合は絞りによって特に吸収される、及び/又は、拡散されて散乱される場合には好適である。残りの割合はレーザビームの収束には特にもはや使用されない。
上述のようにして最小距離及び/又は最大距離の設定によっても、上記において説明した措置、特に絞りの小さい出口断面積の設置によっても、絞りの出口断面積と長さの上述の比率の設定によっても、及び/又は、絞りの内側輪郭のレーザビームへの適合によっても、それぞれがそれ自体で既に、燃焼室内に発生している条件からの燃焼室窓の良好な遮蔽を達成することができる。それらの措置の相互作用によって、遮蔽効果を更に顕著に高めることができる。総じて、燃焼室窓における堆積物を非常に効果的に回避することができ、またレーザ点火プラグの信頼性を顕著に高めることができる。
燃焼室窓温度を低下させる、及び/又は、燃焼室窓が粒子に曝されることを低減する、上記において説明した措置又は下記において更に説明する措置、特に上述のような絞りの長さの所期の選定、所期の材料選定、及び/又は、冷却管及び/又は隙間の設置によっても、上述のような最小距離及び/又は最大距離の設定は相互作用を高めるので、総じてレーザ点火プラグの信頼性が著しく高まる。
本発明の別の有利な実施の形態においては、絞りの長さの所期の選定に付加的又は択一的に、また、絞りの高い熱伝導率の設定に付加的又は択一的に、また、燃焼室窓の燃焼室側における、絞りの内側と連通しており、且つ、所期のような低い高さに選定されている隙間の設置に付加的又は択一的に、また、絞りの小さい出口断面積の設置に付加的又は択一的に、また、それぞれ上述のようなエッジ及び/又は極値的な断面積の設置に付加的又は択一的に、レーザビームを案内、成形及び/又は形成するための少なくとも一つの手段を備えており、更には燃焼室窓及びケーシングも備えており、このケーシングが燃焼室窓の前述の手段が設けられている側とは反対側において、特にケーシングの燃焼室側の端部において、前述の手段によって案内、成形及び/又は形成されたレーザビームを燃焼室へと通過させるための絞りを有している、内燃機関のためのレーザ点火プラグにおいて、絞りの内側輪郭が円錐台の曲面の形態を有しており、円錐台は開口角φを有しており、レーザビームを規定するための収束手段は、絞りを通過するレーザビームによって設定されているビーム広がり角ψを有しており、但し、0≦φ−ψ≦30°、特に0<φ−ψ<30°である。
レーザビームのビーム形状、特にビーム広がり角、ビームの姿勢、ビームの寸法及びビームと絞りの距離は、DIN EN ISO 11145規格に準拠するもの、及び/又は、DIN EN ISO 11145規格を背景とするものと解される。収束手段の実施の形態及び効果に関しては、上記において説明した事項が当てはまる。
しかしながら、0≦φ−ψ≦30°、特に0<φ−ψ<30°であることから、絞りの出口断面積が比較的狭く、その結果、極僅かな粒子しか絞りの内側に侵入できないという特徴によって、絞りは燃焼室窓側の部分において比較的大きく拡がっており、それによって絞りの内側輪郭の平面状の寸法が比較的大きくなっている。これに対して、燃焼室窓のレーザビームが通過する面は、比較的小さいビーム広がり角ψに起因して、比較的小さい。総じてこの面積比率によって、絞りへと侵入した最初から少量の粒子は絞りにしか堆積せず、燃焼室窓には堆積しない。従って、燃焼室窓における堆積物は減少しており、レーザ点火プラグの信頼性は高まっている。
この有利な効果は特に、絞りの内側輪郭が直円錐台の曲面の形態を有しており、この直円錐台が開口角φを有しており、但し、0≦φ−ψ≦30°、特に0<φ−ψ<30°である場合に得られる。更に有利には、開口角φが90°以下、特に70°以下、有利には60°以下の角度を有しており、及び/又は、開口角φが3°以上、特に10°以上の角度を有しており、及び/又は、5°≦φ−ψ、特に13°≦φ−ψ及び/又はφ−ψ≦20°、特にφ−ψ≦15°である。
上述のようなφ−ψの選定によっても、上記において説明した措置、特に絞りの小さい出口断面積の設置によっても、絞りの出口断面積と長さの上述の比率の設定によっても、及び/又は、絞りの内側輪郭のレーザビームへの適合によっても、それぞれがそれ自体で既に、燃焼室内に発生している条件からの燃焼室窓の良好な遮蔽を達成することができる。それらの措置の相互作用によって、遮蔽効果を更に顕著に高めることができ、それによって総じて、堆積物が著しく低減し、レーザ点火プラグの信頼性が顕著に高まる。
燃焼室窓の温度を低下させる、及び/又は、燃焼室窓が粒子に曝されることを低減する、上記において説明した措置又は下記において説明する別の措置、特に絞りの長さの所期の選定、所期の材料選定、及び/又は、上述のような冷却管及び/又は隙間の設置によっても、上述のφ−ψの適切な選定は相互作用を高めるので、総じて堆積物は著しく低減し、レーザ点火プラグの信頼性が著しく高まる。
本発明の別の有利な実施の形態、特に、上記において説明した実施の形態の発展の形態は、絞りの前方に存在する領域、及び/又は、絞りの領域、及び/又は、絞りの出口開口部の領域、及び/又は、絞りの内部における流れを制御するための措置に関する。それらの措置は、一方では、レーザ点火プラグに含まれており、特にケーシングの燃焼室側の端部に配置されている副室に関連付けることができ、ここでは特に、副室の内室と副室を包囲する燃焼室との間の流体的な連結を実現する少なくとも一つの送気ポートの所期のような配置構成に関連付けることができる。他方では、レーザ点火プラグに含まれない装置においても、例えば、燃焼室の形状又は燃焼室に属するピストンの形状又は内燃機関の他の構成要素の形状の設計によって、前述の領域における流れを制御するための措置を講じることができる。
特に有利には、上述の措置に付加的又は択一的に、レーザビームを案内、成形及び/又は形成するための少なくとも一つの手段を備えており、更には燃焼室窓及びケーシングも備えており、このケーシングが燃焼室窓お前述の手段が設けられている側とは反対側において、前述の手段によって案内、成形及び/又は形成されたレーザビームをケーシングの燃焼室側の端部に配置されている副室へと通過させるための絞りを有している、内燃機関のためのレーザ点火プラグにおいて、副室の内室と副室を包囲する燃焼室との間の流体的な連結を実現する少なくとも一つの送気ポートが設けられており、この少なくとも一つの送気ポートは、流体が送気ポートを通過して副室の内室へと流入する際に所望の流体の流れが生じるように配置及び形成されている。
このために、少なくとも一つの送気ポートが、絞りの出口断面積よりも大きくない、特にその出口断面積よりも小さい、及び/又は、絞りの最小横断面積よりも大きくない、特にその最小横断面積よりも小さい断面積を有している。付加的又は択一的に、少なくとも一つの送気ポートが、最大断面積よりも大きくない、特に最大断面積よりも小さい断面積QUEを有することができ、ここで最大断面積の値として10mm2、6mm2、4mm2、2mm2又は1mm2が考えられる。この比較的小さい断面積によって、副室へと流入する流体の方向を特に所期のように制御することができる。更には、副室へと流入する流体の所期のような制御に付加的又は択一的に、少なくとも一つの送気ポートの長さLUEが少なくとも一つの送気ポートの断面積QUEに比べて大きい、特に、LUE>(QUE/π)1/2>LUE(16*QUE/π)1/2又はLUE>(36*QUE/π)1/2の関係が成り立つ場合に有用である。副室へと流入する流体を特に以下において説明するやり方の内の一つによって所期のように制御することにより、燃焼室窓における堆積物が低減され、従ってレーザ点火プラグの信頼性が改善される。
絞りとは、特に副室と燃焼室窓との間に位置するレーザ点火プラグの円筒状の領域又は燃焼室の方向に向かって先細りされている領域と解することができ、その一方副室は、特に少なくとも部分的に絞り全体又は絞りの出口開口部に比べて拡大されている断面積を有している、特に絞りの燃焼室側に配置されているレーザ点火プラグの領域と解することができる。
特に有利には、レーザビームを案内、成形及び/又は形成するための少なくとも一つの手段を備えており、更には燃焼室窓及びケーシングも備えており、このケーシングが燃焼室窓の前述の手段が設けられている側とは反対側において、前述の手段によって案内、成形及び/又は形成されたレーザビームをケーシングの燃焼室側の端部に配置されている副室へと通過させるための絞りを有している、内燃機関のためのレーザ点火プラグにおいて、副室の内室と副室を包囲する燃焼室との間の流体的な連結を実現する少なくとも一つの送気ポートが設けられており、この少なくとも一つの送気ポートは、流体が送気ポートを通過して副室の内室へと流入する際に、特にレーザ点火プラグの長手方向軸に対して測定された有限の最小角度で絞りの内側に流入する流体の流れが生じるように配置及び形成されている。
流体が送気ポートを通過して副室の内室へと流入する際に、特にレーザ点火プラグの長手方向軸に対して測定された有限の最小角度εで絞りの内側に流入する流体の流れが生じることによって、一方では、流入する流体が絞りの内側輪郭へと偏向され、流体に含まれる粒子が絞りの内側輪郭に堆積するという効果が得られる。従って、燃焼室窓に到達する粒子の数を低減することができ、燃焼室窓における堆積物は低減されており、また、レーザ点火プラグの信頼性が高まっている。
上述の効果は、最小角度εが45°、更に好適には最小角度εが60°又は75°又は85°である場合に得られる。これらの各角度はそれぞれレーザ点火プラグの長手方向軸に対して測定されたものである。択一的に、最小角度の測定を、常に絞りの入口面に垂直な面について、及び/又は、燃焼室窓の燃焼室側の表面に垂直な面について行なうことも可能である。有利には、この流れを達成するために、少なくとも一つの送気ポートは、その長手方向軸が半径方向においてレーザ点火プラグの長手方向軸に対して約25°未満、有利には約10°未満の角度を成すように配置されている。択一的又は付加的に、複数の送気ポートを設けることができる。付加的又は択一的に、パージガスを副室へと吹き込ませることができる付加的な手段を設けることができ、この手段は、送気ポートを介して流入する流体と一緒に、流体の合成された総流を生じさせ、この総流は上述した最小角度で絞りの内側へと流入するか、又は絞りの出口開口部に少なくとも十分に平行であるように配置されており、またそのように動作することができる。常に有利には、副室内の流れがタンブル流として形成されている。
最小角度εを設定することの上述の効果は、所定の最小角度εにおいて、非常に長い絞り及び/又は非常に細い絞り、特に絞りの内側へと流れる流体が通過する小さい出口断面積QBAを有する絞りと相乗的に作用する。何故ならば、その種の発展の形態においては、流体の流れが絞りの内側輪郭の燃焼室側の端部の非常に近傍に衝突し、また粒子が有利には絞りの内側輪郭に堆積するからである。有利には、流体の流れが絞りの内側輪郭の燃焼室側の半分の部分に衝突する。更に好適には、流体の流れの衝突は燃焼室側の端部区間において行なわれ、その端部区間の長さは内側輪郭の長手方向において、絞りの内側輪郭の総長の1/n、但しn=3又はn=4又はn=5である。同様の状況は、最小角度ε、絞りの長さL、比n及び絞りの出口断面積QBAが以下の条件:
n*tan ε=L/(QA/π)1/2;n=2...5
を満たすことによっても明らかにすることができる。
燃焼室窓温度を低下させる、及び/又は、燃焼室窓が粒子に曝されることを低減する、上記において説明した措置又は下記において更に説明する措置、特に上述のような絞りの長さの所期の選定、所期の材料選定、及び/又は、冷却管及び/又は隙間の設置によっても、上述のやり方での最小角度の設定は相互作用を高めるので、総じて堆積物が著しく低下し、またレーザ点火プラグの信頼性が著しく高まる。
特に有利には、レーザビームを案内、成形及び/又は形成するための少なくとも一つの手段を備えており、更には燃焼室窓及びケーシングも備えており、このケーシングが燃焼室窓の前述の手段が設けられている側とは反対側において、特にケーシングの燃焼室側の端部において、前述の手段によって案内、成形及び/又は形成されたレーザビームをケーシングの燃焼室側の端部に配置されている副室へと通過させるための絞りを有している、内燃機関のためのレーザ点火プラグにおいて、副室の内室と副室を包囲する燃焼室との間の流体的な連結を実現する少なくとも一つの送気ポートが設けられており、この少なくとも一つの送気ポートは、流体が送気ポートを通過して副室の内室へと流入する際に、レーザ点火プラグの長手軸方向の成分を有している渦の軸を中心に回転する少なくとも一つの渦を絞りの領域内に有している流体の流れが生じるように配置及び形成されている。
絞りの領域とは、特に、この絞りの前方に設けられている領域及び/又は絞りの出口開口部の領域であると解される。領域とは特に、絞りの内側輪郭の構造長よりも僅かに短い、例えば絞りの内側輪郭の構造長の半分の長さ又は四分の一の長さである構造長を有している空間的な領域であると解される。構造長は特に、絞りの長さ、入口直径及び/又は出口直径によって設定することができる。
送気ポート又は流管のその種の配置及び構成によって、先ず、絞りの領域における流体の流れがレーザ点火プラグの長手方向軸LAに対して垂直な方向の成分を有することになる。更には、渦に起因して、局所的な流速に対して垂直な方向への流れの偏向が局所的に生じる。流れによって搬送される粒子は有限の慣性を有しているので、それらの粒子は条件付きでしかこの流れの偏向に従って傾かず、特に、流れの偏向が急である場合には、絞りの内側輪郭ないし副室の側壁へと衝突する。総じて、燃焼室窓に到達する粒子の量が低減されるので、燃焼室窓における堆積物が低減されており、またレーザ点火プラグの信頼性が高まっている。
上述の技術的な効果は、渦の軸がレーザ点火プラグの長手軸の方向の成分だけを有していれば既に得られるが、有利には、渦の軸はレーザ点火プラグの長手方向軸に対して最大で45°、特に最大で20°、有利には最大で10°の角度を成すか、又は、レーザ点火プラグの長手方向軸LAに平行である。渦の軸がレーザ点火プラグの長手方向軸に平行である場合には、同軸の配置の他に、レーザ点火プラグの長手方向軸LAと渦の軸とが距離を置いて配置されていることも好適であり、特に、渦の軸とレーザ点火プラグの長手方向軸LAとの距離が少なくとも2mm、特に少なくとも4mmである場合には好適である。最大距離として6mm及び10mmが考えられる。距離を置く配置構成の効果は、絞りの出口開口部に対して垂直な剪断流れが生じ、また粒子が絞りの内側輪郭に衝突することである。
特に、送気ポートの上述の配置構成によって、送気ポートの長手方向軸が接線方向において約10°を上回る、有利には約25°を上回る角度をレーザ点火プラグの長手方向軸に対して成すことになる。
付加的又は択一的に、パージガスを副室に吹き込ませることができる付加的な手段が設けられており、この付加的な手段は、送気ポートを通って流入する流体と共に、上述のような渦を形成する合成された総流を生じさせるように配置されており、また付加的な手段をそのように動作させることができる。常に有利には、副室内の流れが渦流として形成されている。
渦を形成することの上述の効果は、所定の渦において、非常に長い絞り及び/又は非常に細い幾何学的形状を有する絞り、特に絞りの内側に流入する流体が流れる小さい出口断面積QBAを有する絞りとの相乗的に作用する。何故ならば、その種の発展の形態では、接線方向へと遠心力により離れる粒子が絞りの内側輪郭、特に燃焼室側の端部の近傍に衝突するからである。有利には、接線方向へと遠心力により離れる粒子は絞りの内側輪郭において、この絞りの内側輪郭の燃焼室側の半分の部分に衝突する。更に好適には、接線方向へと遠心力により離れる粒子の衝突は燃焼室側の端部区間において生じ、その端部区間の長さは内側輪郭の長手方向において、絞りの内側輪郭の総長の1/n、但しn=3又はn=4又はn=5である。
同様の状況は、レーザ点火プラグの長手方向軸LAと渦の軸とが成す最大角度ν、絞りの長さL、比n及び絞りの出口断面積QBAが以下の条件:
n*tan ν=L/(QA/π)1/2;n=2...5
を満たすことによっても明らかにすることができる。
燃焼室窓温度を低下させる、及び/又は、燃焼室窓が粒子に曝されることを低減する、上記において説明した措置又は下記において更に説明する措置、特に上述のような絞りの長さの所期の選定、所期の材料選定、及び/又は、冷却管及び/又は隙間の設置によっても、上述のやり方での送気ポートの配置及び構成は相互作用を高めるので、総じて堆積物は著しく低減し、レーザ点火プラグの信頼性が著しく高まる。
特に有利には、レーザビームを案内、成形及び/又は形成するための少なくとも一つの手段を備えており、更には燃焼室窓及びケーシングも備えており、このケーシングが燃焼室窓の前述の手段が設けられている側とは反対側において、特にケーシングの燃焼室側の端部において、前述の手段によって案内、成形及び/又は形成されたレーザビームを燃焼室へと通過させるための絞りを有している、内燃機関のためのレーザ点火プラグにおいて、絞りが燃焼室側に少なくとも一つの外側エッジを有しており、その輪郭は角張った外側エッジと比較して内側に向かってずらされている。
「角張った」という語句に関しては、DIN ISO 13715:2000規格を参照されたい。特に、外側エッジが50μm以下の切除部又は移行部しか有していない場合には、そのような外側エッジは角張っているとみなされる。
絞りの外側エッジは特に絞りの内側輪郭の境界を成す。しかしながら他方では、絞りの外側エッジは特に、絞りの内側輪郭からも距離を置いていても良く、特に、燃焼室側の端部における絞り及び/又はケーシングの半径方向外側の境界部を表すこともできる。
外側エッジの輪郭を内側に向かってずらすことは、レーザ点火プラグが動作時に内燃機関の燃焼室側において、燃焼室の内部に生じている高温に晒されているという認識を基礎としている。他方では、レーザ点火プラグの燃焼室側とは反対側における熱的な結合によって熱が排出され、その結果、レーザ点火プラグの温度の上昇が制限される。特に、燃焼室側に配置されている鋭角な外側エッジに起因してレーザ点火プラグの領域では熱排出が劣化しており、その結果、その領域においては非常に高い温度が生じており、そのような高い温度によって燃焼室ではグロー点火が発生し、従って、内燃機関の動作が劣化する虞がある。外側エッジの輪郭が内側に向かってずらされていることによって、領域がそのような高い温度上昇に晒されることが回避され、その結果、燃焼室におけるグロー点火の発生を回避することができる。
上述の技術的な効果は、絞りが燃焼室側において少なくとも一つの外側エッジを備えており、その輪郭が鋭角の外側エッジと比較して内側に向かってずらされている場合に既に得られるが、有利には、外側エッジは鋭角な外側エッジから0.075mmより多く、特に0.1mmより多く、有利には0.15mmより多くを切除することによって生じる。過度に大きい切除部は絞りの機械的な安定性に影響を及ぼす可能性があるので、切除部の上限として5mm、2mm及び0.5mmが考えられる。
有利な実施の形態においては、絞りの外側エッジが丸み及び/又は面取り部を有している。更に有利には、丸みが設けられている場合には丸み半径が、また面取り部が設けられている場合にはベベルの深さ及び/又は幅が0.075mm以上、特に0.15mm以上である。付加的又は択一的に、丸みが設けられている場合には丸み半径が、また面取り部が設けられている場合にはベベルの深さ及び/又は幅が5mm以下、特に2mm以下、有利には0.5mm以下である。20°から70°の範囲、特に40°から50°の範囲のベベル角度が有利である。
非常に重要であることは、外側エッジの輪郭が内側に向かってずらされていること、特に比較的長い長さを有している絞りに丸み及び/又は面取り部が設けられていることである。何故ならば、それらの絞りは燃焼室に特に晒されており、従って、過度の温度上昇に特に晒されやすいからである。その種の過度の温度上昇は、絞りが少なくとも外側エッジの領域において高い熱伝導率を有する材料、特に真鍮、ニッケル及び/又は銅又はそれらの材料の内の少なくとも二つの合金から形成されている場合には非常に効果的に回避することができる。
本発明によるレーザ点火装置の有利な発展の形態においては、絞りが別個の構成部材として形成されており、レーザ点火プラグのケーシングの別の部分、特に段部に固定されている。絞りからの熱の良好な排出を保証することは有利である。そのような熱排出は、絞りとケーシングの別の部分との間の接合個所が良好な熱伝導性を有するように構成されていることによって、特に、大面積のはんだ(少なくとも10mm2、特に少なくとも20mm2)を用いて、及び/又は、溶接による結合を省略して、例えば押し付けによる結合によって構成されていることによって実施することができる。択一的又は付加的に、ネジを用いて絞りをケーシングの別の部分にネジ止めすることもでき、有利には、細目ネジ(ネジ山ピッチ≦0.5mm、特に≦0.3mm)を用いてネジ止めが行なわれる。
基本的に、レーザ点火プラグによって絞りの内側において点火火花を生じさせることができる。しかしながら、絞りの燃焼室側の前方にある領域、特に燃焼室又は副室において点火火花を生じさせることの方がむしろ有利である。何故ならば、点火時の急冷損失を回避することができるからである。有利には、点火火花は絞りの外側において少なくとも1mm、有利には少なくとも2mmに放れた位置において形成される。付加的又は択一的に、点火火花と絞りの出口面の距離の上限として30mm、10mm及び5mmが考えられる。何故ならば、それ以外の距離では、絞りの出口断面積を過度に大きく選定しなければならなくなる、もしくは、レーザビームの十分な収束が困難になる虞がある。点火火花の位置を、特に、レーザ点火プラグによって形成又は成形されたレーザビームの焦点の位置とみなすことができる。
基本的に本発明の範囲においては、燃焼室の特別なケースとして、レーザ点火プラグに固定された、又はレーザ点火プラグに固定可能な副室、特に、10cm3よりも小さい体積を有し、且つ、5mm2よりも小さい断面積の少なくとも一つの送気ポートを備えている副室も一緒に含まれる。
図1aにおいては内燃機関全体に参照番号10が付されている。この内燃機関10は、図示していない自動車を駆動するために使用される。内燃機関10は複数のシリンダを備えており、それら複数のシリンダの内の1つだけを図1において参照番号12で表している。シリンダ12の燃焼室14はピストン16によって区切られる。燃料又は事前に混合された燃料空気混合気はインジェクタ18を介して燃焼室14内に到達する。このインジェクタ18はレールとも称される燃料圧力蓄積器20に接続されている。燃焼室14内に噴射された燃料22又は事前に混合された燃料空気混合気は、レーザビーム24によって点火される。このレーザビーム24はレーザ点火プラグ100を備えている点火装置27によって燃焼室14に放射される。このためにレーザ点火プラグ100には導光装置28を介して光が供給される。光としては特に、光源30によって形成されるポンプ光が考えられる。点火に使用される光を光源30によって直接的に供給することも可能である。光源30は制御装置32によって制御され、この制御装置32はインジェクタ18も制御する。
図1bから分かるように、光源30は異なるレーザ点火プラグ100のための複数の導光装置28を備えている。それらのレーザ点火プラグ100には内燃機関10のシリンダ12がそれぞれ1つずつ対応付けられている。このために、光源30は複数の個別のレーザ光源340を備えており、それらの個別のレーザ光源340はパルス電流供給部36と接続されている。複数の個別のレーザ光源340が設けられていることによって、光、特にポンプ光の種々のレーザ点火プラグ100へのいわば「静的な」分配が実現されており、従って、光源30とレーザ点火プラグ100との間に光学的な分配器等は必要ない。択一的に、光源30がレーザ光源340を一つしか有していないことも可能である。特に、各レーザ点火プラグ100にはただ一つの光源30及び/又はただ一つのレーザ光源340が対応付けられている。
レーザ点火プラグ100は例えば、受動的Qスイッチ46を備えているレーザ活性固体44を含んでいる。受動的Qスイッチ46は入力結合ミラー42及び出力結合ミラー48と共に一つの光学的な共振器を形成する。選択的に、例えばレーザ点火プラグ100に供給されるビームを成形するため、又はビームを拡張するために別の光学的な構成要素、特にレンズを設けることもできる。
光源30によって形成された光、特にポンプ光が供給されると、レーザ点火プラグ100はそれ自体公知のやり方でレーザビーム24を形成する。レーザビーム24は集束光学系52を介して燃焼室14(図1aを参照されたい)内の点火点ZPへ収束される。レーザ点火プラグ100のケーシング38内に設けられている構成要素は、燃焼室窓58によって燃焼室14から隔離されている。
図2から図21aにおいては、レーザ点火プラグ100のケーシング38において燃焼室14と対向している側の端部381を表している図1bの詳細Xが、非常に大きく拡大された部分長手方向断面積図として示されている。この非常に大きく拡大された図からは、燃焼室窓58がケーシング38と気密に接続されていることがはっきりと見て取れる。ケーシング38と燃焼室窓58との間のシール部を、参照番号60が付されている領域において、素材結合又は力結合の形態で形成することができる。
それらの実施例のように、ケーシング38をツーピースで形成することができる。ケーシング38は内部スリーブ62及び外部スリーブ64を含む。外部スリーブ64は燃焼室14(図1aを参照されたい)に対向する端部に段部66を備えている。特に、力結合の場合には段部66が、燃焼室窓58を内部スリーブ62に押し付け、それによって接続部60の領域における気密性を高めるために使用される。シール手段、例えばシールリング、特に鋼シールリング、有利には銅コーティングされた鋼シールリングを、特に窓の材料と窓を包囲する材料との間の熱膨張の補償に関して使用することも好適であると考えられる。
この実施例においては、外部スリーブ64には、内部スリーブ62の相応の雄ネジと協働する雌ネジが設けられている。雌ネジ及び雄ネジから成るこのネジには全体で参照番号68が付されている。外部スリーブ64及び内部スリーブ62の緊締によって、段部66と燃焼室窓58との間に別のシール面72が形成される。
基本的に、この実施例に示されているシールの形態の他に、燃焼室窓58の他のシールの形態も考えられる。例えば、DE 102009000540 A1に記載されているような形態では、燃焼室窓とそれを包囲する材料との間に素材結合によるシール部が設けられている。
ケーシング38の内部には、燃焼室窓58の燃焼室14側とは反対側に集束光学系52(図1a及び図1bを参照されたい)が設けられており、この集束光学系52はレーザ点火プラグ100において形成された、又はレーザ点火プラグ100に供給されたレーザビーム24を、この実施例においては集束光学系52の焦点に対応する点火点ZPへと集束させる。ケーシング38の燃焼室側の端部381には、レーザビーム24を燃焼室14へと通過させるための絞り74が設けられている。
図2に示されているレーザ点火プラグ100はケーシング38を備えており、このケーシング38において燃焼室窓58の燃焼室側に配置されている部分はスリーブ状に形成されており、また本発明による絞り74を表している。絞り74の内側輪郭71は例えばシリンダの局面の形状を有しており、その高さは絞り74の長さLと一致している。長さLは、例えば燃焼室窓58を基点として、レーザ点火プラグ100の長手方向において測定されたものであり、この実施例においては13mmである。絞り74の長さLは、別の長さを明示的に記載しない限り、本発明の他の実施の形態及び実施例にも該当する。
更にこの実施例においては、絞り74が60W/(m*k)以上の熱伝導率、もしくは、それどころか80W/(m*k)以上の熱伝導率を有している材料、例えば、真鍮、ニッケル又は銅もしくはそれらの材料の内の少なくとも一つを含有する合金から形成されている。そのために、この実施例においてはケーシング38全体がその材料から製造されている。択一的に、ケーシング38の燃焼室側の端部381の領域にのみその材料を設けることも可能である。その材料よりも低い熱伝導率を有していても良い別の材料、例えば高合金鋼によって包囲されている、絞りの内側にのみその材料を設けることも可能である。その種の変形の形態は図3に示されており、そこでは絞り74の内側に挿入体80が設けられている。この挿入体80は例えば銅から形成されており、また絞り74の領域からケーシング38の燃焼室側14とは反対側の別の領域へと熱を急速に排出することができる。別の変形の形態においては、図4に示されているように、挿入体80の代わりに冷却管81が絞り74の内部に設けられている。この冷却管81を用いて、例えば水又は他の冷却媒体の循環によって、熱を絞り74の領域からケーシング38の燃焼室14側とは反対側の別の領域に排出することができる。
図5には、燃焼室窓58の燃焼室側の前方に隙間82が配置されている点で上述のものとは異なっているレーザ点火プラグの実施例が示されている。この実施例では、隙間82は軸方向において、燃焼室14に対向している側では絞り74によって境界付けられており、また、燃焼室14側とは反対側では燃焼室窓58によって境界付けられており、さらに外側に向かって絞り74によって境界付けられている。内側に向かって隙間82は絞り74の内側を介して、その絞り74の前方に位置する領域、例えば燃焼室14と連通している。隙間82はこの実施例において、15mmの外径DSA及び6mmの内径DSIのリングの基底面を有しているので、隙間の断面積QSの大きさは148mm2である。従って隙間の断面積QSは、絞り74の入口直径DBEが6mmである場合に28mm2となる入口断面積QBEの4倍である。隙間82の高さHSはこの実施例において0.15mmである。
特に、潤滑に添加量の少ないオイルが用いられるか、又は、潤滑に無添加のオイルが用いられる内燃機関に使用するためのレーザ点火プラグに関する別の実施例においては、隙間の高さは2mmであり、隙間の断面積QSは絞り74の入口断面積QBEの僅か20%、即ち0.56mm2である。
図6は、絞り74が非常に小さい出口断面積QBA、この実施例では出口直径DBAが2mmの場合に3mm2となる出口断面積QBAを有している点で上述のものとは異なっているレーザ点火プラグ100の別の実施例を示す。絞り74の長さLはこの実施例において12mmであるので、L/(4QBA/π)1/2の商について値6が得られる。
図7から図10にはそれぞれレーザ点火プラグの別の実施例が示されており、それらの実施例は、絞り74の内側輪郭がその絞り74の燃焼室側の端部及び絞り74の燃焼室側とは反対側の端部の両方から距離を置いている領域において少なくとも一つのエッジ83、特に複数のエッジ83を有している点で上述のものとは異なっている。図7に示されているレーザ点火プラグ100は、中央の領域において二つのエッジ83、即ち内側エッジ及び外側エッジを有しており、それらのエッジが一緒に直角形の段部84を形成している絞り74を備えている。図8には、複数のエッジ83と、それらのエッジによって形成された直角形の段部84とを有しているレーザ点火プラグ100が示されている。但し、実際に形成される段部84の代表的な個数として、例えば3段、7段又は8段が考えられ、それらの段は特に絞り74の中央の領域に配置されている。直角形でない段部84も可能である。絞り74が燃焼室14に対向している端部の方向において先細りされている上述の段部84の代わりに、絞り74が燃焼室14側とは反対側の端部の方向において先細りされている段部84も考えられる。図9においては、絞り74が燃焼室14に対向している端部の方向に向かって先細りされているその種の段部84が燃焼室の前方に配置されている実施例が示されている。
図10は、環状のエッジ83を備えた内側輪郭71を有している絞り74が設けられているレーザ点火プラグ100の別の実施例を示す。
図11から図15にはそれぞれレーザ点火プラグ100の別の実施例が示されており、それらのレーザ点火プラグ100は、絞り74の内側輪郭71がその絞り74の燃焼室14側の端部及び燃焼室14側とは反対側の端部の両方から距離を置いている領域において極値的な断面積QXを有しているという特徴を持つ絞り74を備えている。
図11に示されているレーザ点火プラグ100は、中央の領域において角張った狭窄部85を有する絞り74を備えている。狭窄部85の領域においては、直径DXが最小で有り、従って絞りの断面積QXが最小である。つまり、絞りの断面積QXは絞りの入口断面積QBE及び出口断面積QBAそれぞれのほぼ半分又は1/4の大きさである。この実施例では、絞り74の内側輪郭71は角張った狭窄部85の上側及び下側それぞれにおいて直円錐台の側面の形状を有している。択一的に、狭窄部85に丸みを付けることも可能である。その種の実施例は図12に示されている。
図13に示されているレーザ点火プラグ100は、中央の領域において角張った膨張部86を有する絞り74を備えている。膨張部86の領域においては、直径DXが最大で有り、従って絞りの断面積QXが最大である。つまり、絞りの断面積QXは絞りの入口断面積QBE及び出口断面積QBAそれぞれのほぼ2倍から4倍の大きさである。この実施例では、絞り74の内側輪郭71は角張った膨張部86の上側及び下側それぞれにおいて直円錐台の側面の形状を有している。択一的に、膨張部86に丸みを付けることも可能である。その種の実施例は図14に示されている。図15は、絞り74がアンダーカット87を有している別の変形の形態を示す。この実施例において、アンダーカットは内側アンダーカットとして直角に実施されており、また絞りの最大断面積QXを有している。この最大断面積QXは絞りの入口断面積QBE及び出口断面積QBAそれぞれのほぼ2倍から4倍の大きさである。
図16及び図17にはそれぞれ、絞り74が燃焼室14と対向する側において、角張った外側エッジ88と比較して内側に向かってずらされた外側エッジ88を少なくとも一つ有している絞り74を備えているレーザ点火プラグ100の別の実施例が示されている。図16に示されているレーザ点火プラグ100は、スリーブ状の基本形状を有する絞り74を備えており、燃焼室側において内側に位置しているスリーブのエッジ89は丸み91を有している。この実施例において、丸み半径は0.5mmである。択一的又は付加的に、燃焼室側において外側に位置しているスリーブのエッジ90も例えば0.5mmの丸み半径を有していても良い。それよりも小さい及び/又は大きい丸み半径も原理的には可能である。図17に示されているレーザ点火プラグ100は、スリーブ状の基本形状を有する絞り74を備えており、燃焼室側において内側に位置しているスリーブのエッジ89は面取り部92を有している。この実施例において、面取り部92(長さ及び幅)は0.5mmであり、面取り角は45°である。択一的又は付加的に、燃焼室側において外側に位置しているスリーブのエッジ90も例えば0.5mmの長さ及び幅の面取り部92を有していても良い。それよりも小さい及び/又は大きい面取り部92も原理的には可能である。勿論、図16及び図17に示されている外側エッジ88以外にも、角張った外側エッジと比較して内側に向かってずらされている輪郭を有する別の外側エッジ88、例えば、正確に又は近似的に楕円状、放物線状又は双曲線状の形状を有しているか、もしくは、不規則な形状を有している外側エッジ88を設けることも可能である。面取り部92と丸み91を組み合わせることも考えられる。
図18及び図19にはそれぞれ、絞り74を備えており、且つ、その絞り74を通過するレーザビーム24のビーム形状を規定するための収束手段53、特に集束光学系52を備えている(図1bを参照されたい)レーザ点火プラグ100の別の実施例が示されている。この実施例において提案されている点火プラグ100は、絞り74を通過するレーザビーム24の形状に関して絞り74の形状が有利に選定されているという特徴を有している。これらの図において、レーザビーム24の形状は円錐形を成す峰線99によって示唆されており、峰線99はほぼ点火点ZPにおいて交差している。レーザビーム24の形状に関する記述は、本発明の範囲において、DIN EN ISO 11145に準拠するか、又はそれを背景とするものであると解される。
図18に示されているレーザ点火プラグ100は、絞り74の内側輪郭71全体に沿って、その絞り74を通過するレーザビーム24に対して約0.5mmの距離Aを有している絞り74を備えている。更に、図示されているレーザ点火プラグ100は、燃焼室窓58を透過したレーザビーム24の88%を収束可能なレーザビーム24として絞り74を通過させるが、残りのレーザビーム24を絞り74の内側輪郭71に沿って偏向又は吸収させて焦点合わせに使用しないという特性を有している。
図19に示されているレーザ点火プラグ100は、内側輪郭71が直円錐台の形状を有しており、且つ、その開口角がφ45°である絞り74を備えている。この実施例において、絞りを通過したレーザビーム24はビーム広がり角ψ(放射量域の広がり)が30°であるように焦点合わせされている。
図20及び図21にはそれぞれ、レーザビーム24をケーシング38の燃焼室側の端部に配置されている副室110へと通過させる絞り74を備えているレーザ点火プラグ100の実施例が示されている。副室110の内室111と燃焼室との間の流体的な連結のために送気ポート120が設けられている。
図20に示されている実施例では、送気ポート120の長手方向軸KLAがレーザ点火プラグ100の長手方向軸LAについて偏心した位置にずらされて配置されている。この実施例において、送気ポート120の長手方向軸KLA及びレーザ点火プラグ100の長手方向軸LAは相互に平行であるが、択一的にそれらの軸を半径方向及び/又は接線方向において相互に角度を付けて配置することも可能である。流体Fが流入すると副室110内では、絞り74の出口開口部に沿った流体の流れがその絞り74の流出開口部に対して十分に平行に延びるように渦が生じる。その結果、それにもかかわらず絞り74の内側に流入する流体は、レーザ点火プラグの長手方向軸LAに対して測定されたほぼ90°の角度ε、特に常に少なくとも75°の角度εで絞り74へと流入する。絞り74の内側に生じる流体の流れは特にタンブル流を表している。この実施例において、絞りの長さLは5mmであり、絞りの出口直径DAEは6mmである。従ってこの実施例においては、流体Fが絞り74の内側に流入する角度εと絞り74の長さ及び出口直径DAEとの相互作用によって、流体Fの流れが直接的には燃焼室窓58に衝突せずに、絞り74の内側輪郭71において偏向された後に初めて燃焼室窓58に衝突する。
流体が送気ポート120を通過して副室110の内室111へと流入する際に、特にレーザ点火プラグの長手方向軸に対して測定された45°、60°又は75°の最小角度εで絞り74の内側へと向かう流体Fの流れが生じるように、送気ポート120が配置及び構成されている副室110を備えたレーザ点火プラグ100の別の実施例も可能であり、また特に、複数の送気ポート120が設けられている。付加的又は択一的に、パージガスを副室に吹き込むための付加的な手段(図示せず)を設けることも可能である。特に、パージガスを吹き込むこの手段と送気ポート120は、流体が送気ポート120を通過して副室110の内室111へと流入する際に、特にレーザ点火プラグの長手方向軸に対して測定された45°、60°又は75°の最小角度εで絞り74の内側へと向かう流体Fの流れを発生させて全体として一つの流体の流れが生じるように協働する。
図21はレーザ点火プラグ100の別の実施例を示しており、図21aにはレーザ点火プラグ100の長手方向軸LAに沿った長手方向部分断面積図が示されており、図21bには図21aに示した方向Bから見た平面図が示されており、また、図21cには図21bに示した線分CCに沿った断面積図が示されている。このレーザ点火プラグ100は副室110の内室111と燃焼室との間の流体的な連結のために五つの送気ポート120を備えており、それらの送気ポート120はそれぞれ相互に72°ずらされて対称的に配置されている。送気ポート120の長手方向軸KLAは半径方向においても接線方向においても傾斜しており、それによって、レーザ点火プラグを俯瞰的に見ると送気ポート120の長手方向軸KLAは規則的な五角形を形成している(図21bを参照されたい)。送気ポート120の配置及び配向に基づいて、流体Fが副室110に流入すると渦が生じ、その渦の軸WBは副室110の内部及び絞り74の領域においてレーザ点火プラグ100の長手方向軸LAと一致している。絞り74の領域における流れの比率に起因して、特に、渦の領域における流れから接線方向に向かって離れる重い粒子は絞り74の内側輪郭71に衝突するので、燃焼室窓58に向かっては進まない。
絞り74の内側に生じる流体の流れは特に渦流を表している。この実施例において、絞りの長さLは5mmであり、絞りの出口直径DBEは6mmである。従ってこの実施例においては、渦の軸WBがレーザ点火プラグの長手方向軸LAに対して傾斜されていることにより生じる角度ν(ここでは0°)と絞り74の長さL及び出口直径DAEとの相互作用によって、上述の粒子が接線方向に向かって流れから離れる場合、この粒子は燃焼室窓58には衝突しない。この効果はtan ν≦L/DBEの場合にも少なくとも部分的に当てはまり、特に、n*tan ν≦L/DBE;n=2,3,4の場合に当てはまる。
更には、パージガスを副室110へと吹き込むことができる付加的な手段(図示せず)を設けることも可能である。特に、パージガスを吹き込むためのこの手段は、流体が一つ又は複数の送気ポート120を通過して副室110の内室111へと流入する際に、レーザ点火プラグ100の長手方向軸LAの方向における成分、特にレーザ点火プラグ100の長手方向軸LAに対して平行又は同軸である成分を有している渦の軸WBを中心にして回転する渦を有する流体の流れを発生されて全体として一つの流体の流れが生じるように、一つ又は複数の送気ポート120と協働する。
図2から図21において示した絞り74に関しては、図示の通り、軸対称の形状が有利であるが、軸対称とは異なる形状が有利な場合もある。
本発明は、上述の実施の形態及び実施例、及び/又は、明示的に示した実施の形態及び実施例、及び/又は、図面に明示的に示した実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、当業者であれば、個々の実施の形態及び実施例について説明した複数の特徴を組み合わせることによって別の実施の形態及び実施例に想到することができる。それらの組み合わせの内、上記においてその有利な効果を既に明示的に強調したものが重要である。
特に、以下の複数の特徴グループの二つ以上から、上記において開示した特徴の内のそれぞれ一つ、又は(それらの特徴が相互に排除されない限りは)複数の特徴の相互作用を基礎とする実施の形態も有利であり、また当業者であればそのような実施の形態に想到できる:上記において有利なものとして挙げた絞り74の長さL、上記において有利なものとして挙げた絞り74の材料の選定、上記において有利なものとして挙げた、燃焼室窓58の燃焼室側の前方に配置されている隙間82の構成、上記において有利なものとして挙げた絞り74の断面積、上記において有利なものとして挙げた、絞り74の長さLと断面積Qの比、上記において有利なものとして挙げた絞り74の内側輪郭71の特徴、特に絞り74のエッジ83及び極値的な断面積、上記において有利なものとして挙げた、絞り74を通過するレーザビーム24の形状に関する絞り74の形状の有利な構成に関する特徴、上記において有利なものとして挙げた、絞り74の外側エッジ88の構成に関する特徴、上記において有利なものとして挙げた、副室110の構成、特に送気ポート120の構成に関する特徴。