JP2013523689A - 第ix凝固因子などのビタミンk依存性タンパク質の精製方法 - Google Patents

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Abstract

クロマトグラフィーを用いる一連の精製においてプリオンを含まないビタミンK依存性タンパク質を製造する方法であって、少なくとも1つのクロマトグラフィー工程がマルチモーダル樹脂を用いて行われ、ビタミンK依存性タンパク質を水性溶液に含む画分を提供すること、前記ビタミンK依存性タンパク質を含む前記画分を6〜9のpHでマルチモーダル樹脂と接触させること、前記ビタミンK依存性タンパク質を溶出する前に夾雑物を洗い流し、かつ、前記ビタミンK依存性タンパク質を保持するために、所望により、前記ビタミンK依存性タンパク質を吸着させた前記マルチモーダル樹脂を水性洗浄緩衝液で洗浄すること、前記ビタミンK依存性タンパク質がアルギニンを含む緩衝液において6から9のpHでマルチモーダル樹脂より溶出していること、ならびに、所望により、精製された、または、濃縮された状態のビタミンK依存性タンパク質含有画分を所望により回収すること、を特徴とする方法。

Description

本発明は第IX凝固因子(FIXと略記される)などのビタミンK依存性タンパク質、および、本発明の方法により得られうるFIXなどのビタミンK依存性タンパク質を含む画分を精製する方法に関する。
血友病は、凝血、または、凝固を制御する身体能力が欠損する遺伝性遺伝子疾患の1グループである。その形態の1つである血友病Bでは、第IX凝固因子(FIX)が欠損しており、血友病Bは25,000人の男児出生のうち約1人の割合で起きる。第IX因子(または、クリスマス因子)は、凝固システムのセリンプロテアーゼの1つである。ビタミンK依存性血漿タンパク質こそ、Ca2+イオン、リン脂質、および、第VIIIa因子の存在下、第X因子をその活性化型に変換することで血液凝固の内因性経路に関与する。FIXタンパク質は多機能特性を有する血液凝固における必須因子である。
第IX因子(FIX)は461アミノ酸を含む一本鎖糖タンパク質である。それは主に肝臓で合成され、血漿中に分泌される。第IX因子分子はいくつかに分かれた機能ドメインから構成され、シグナルペプチド、プロペプチド、Glaドメイン、2つの上皮成長因子様(EGF)ドメイン、活性化ペプチド、および、触媒性トリプシン様ドメイン(セリンプロテアーゼドメイン)(前記プロペプチドは分泌前に切断され、415アミノ酸の成熟型FIX分子が生じる。)を含む。そのタンパク質はさらにプロセッシングを受けて活性型であるジスルフィド結合で連結された軽鎖および重鎖からなるヘテロ二量体を生じる。
FIXの欠損は、血漿由来のFIX濃縮物、または、組換え技術により製造されたFIXで治療されることができる。FIX濃縮物での治療は血友病の患者に通常の生活をもたらしてきた。歴史的に、血友病Bはヒト血漿起源のFIXで治療されてきた。通常の条件下では、FIX分子は血漿中においてその本来の形態で循環しているが、凝固酵素の血液カスケードにおいて始まる複雑な過程を通してFIX分子は活性化される。
使用する精製方法に応じて様々な純度の血漿由来FIX製品が市場に存在する。FIXを精製するために用いられる方法は通常、精製のためのクロマトグラフィー工程(主に、イオン交換工程、および、親和性工程)と製品の濃縮/脱塩のための限外濾過工程の組合せであった。
Harrisonら(S.ハリソンら著、血液学セミナー誌(Sem Hematol)第35巻(増刊第2号):p4−10(1998年)(S. Harrison et al. Sem Hematol 35 (Suppl 2): 4-10 (1998))によりCHO細胞で生産される組換えFIX(ベネフィックス(登録商標))の製造法が説明される。細胞は精密濾過により回収され、引き続いて限外濾過/透析濾過工程で濃縮され、その工程で緩衝液がトリス緩衝液に交換されて最初のクロマトグラフィーカラムへの負荷に適した緩衝液がもたらされる。4工程の独立したクロマトグラフィー工程がrFIXの精製のために用いられ、第1工程は陰イオン交換工程(QセファロースFF)であり、その工程は擬似親和性モードで行われる。pH8.0で10mM塩化カルシウムによりそのカラムを溶出する。塩化カルシウムはFIX分子の立体構造変化を誘導し、その立体構造変化は、FIX分子のカラムからの解離を引き起こす。
Qセファロース工程は、ヘパリン結合ドメインを有するタンパク質の親和性精製に用いられるヘパリン類似体であるマトレックス・セルファイン(Matrex Cellufine)硫酸カラムでの精製に引き継がれる。それはまた、負に荷電した硫酸基のため、陽イオン交換樹脂としても挙動する。セルファイン精製工程は低レベルのHCPを除去する。
セルファイン溶出液は、リン酸カルシウムの合成物であるセラミックハイドロキシアパタイトのカラムに負荷される。それは、様々な電荷を持つタンパク質を分離するために使用され、そして、それにより特異的活性が比較的低いrFIXを除去することができる。リン酸濃度を0.5Mの最終濃度にまで上昇させる段階溶出により、このカラムを溶出する。
ベネフィックス(登録商標)の製造方法の最終精製工程はキレート−EMD−銅(II)の工程である。樹脂により保持される固定化金属とタンパク質が相互作用する。結合したrFIXを置換剤であるイミダゾールにより溶出し、微量の夾雑物はこの精製工程で除去され、ウィルス濾過工程(ビレソルブ(Viresolve)−70)が引き続いて行われ、最終的に限外濾過/透析濾過工程が行われてrFIXが濃縮され、そして、緩衝液が製剤用緩衝液に交換される。
上述のrFIX製造法は一貫していて、65処理単位が分析されてきて、特異活性は276±23IU/mgであることがわかった。Gla含有量は1モルのrFIX当たり11.4±0.1モルのGlaであり、RP−HPLCおよびHCP−ELISAで判定すると不純物の総計は、それぞれ、0.01±0.01%および0.03±0.01%であった。
Lindsayら(クロマトグラフィーA誌(J Chrom A)第1026巻:p149−157(2004年)(J Chrom A 1026: 149-157 (2004)))により形質導入ブタの乳からrFIXを精製する方法が説明される。ヘパリンセファロースFFは精製スキームの第1工程として用いられ、引き続いて陰イオン交換工程が用いられる。
第IX因子のヘパリン結合ドメインはその分子のC末端に位置する。この領域はPTMを欠き、したがって、ヘパリンクロマトグラフィー工程によりrFIXの全集団が単離されることが可能になる。溶出液の特異的活性は30−35IU/mgであった。このことは、大きな画分は不活性であることを示す。rFIXの活性がある亜集団は陰イオン交換カラムの濃度勾配溶出の間に活性の無い亜集団と分離された。
Kaufmanら(生化学誌(JBC)第261巻:p9622−9628(1986年)(JBC 261:9622-9628 (1986)))によりCHO細胞におけるrFIXの発現とそのタンパク質の精製が説明される。rFIXを含む細胞培養液は、立体構造特異的抗体(抗FIX:カルシウム(II)抗体)を用いる免疫親和性カラムへのアプライの前に、限外濾過により濃縮され、そして、3mM塩化カルシウム、0.05Mトリス塩酸、および、0.5M塩化ナトリウムを含む緩衝液に対して透析された。その後、そのカラムは10mM EDTA、0.05Mトリス塩酸、および、0.15M塩化ナトリウムで溶出された。
前記カラムへのアプライ前の出発物質中の3mM塩化カルシウムの存在により、FIXの活性型と非活性型の間で分離が行われた。非活性型はそのカラムに結合できず、活性型FIXをEDTAでそのカラムから溶出することができた。
国際公開第WO−A−2009/007451号(WO−A−2009/007451)号は混合モード樹脂、または、マルチモーダル樹脂を用いる第VIII因子(FVIII)の精製方法を開示する。その精製方法は、疎水性部分と負荷電部分を含むリガンドを包含するマルチモーダル樹脂、または、混合モード樹脂と、FVIIIタンパク質と、を接触させること、および、前記FVIIIタンパク質を少なくとも1.5Mの塩と少なくとも40%(重量/体積)のエチレングリコール、プロピレングリコール、または、その混合物、および、カルシウムイオンを含む溶出緩衝液で溶出することに基づく。
欧州特許出願公開第1 707 634号(EP−A−1 707 634)は、免疫親和性クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー(affinity chromatography)、タンパク質沈殿、緩衝液交換、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、混合モード疎水性/イオン交換クロマトグラフィー媒体、キレートクロマトグラフィー、炭水化物親和性様レクチン親和性クロマトグラフィー、もしくは、ヘパリン親和性クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、電気泳動、透析、ポリエチレングリコール、硫酸アンモニウム、エタノールなどの様々な沈殿剤、ハイドロキシアパタイト吸着、濾過膜吸着、磁性粒子に結合したリガンド等などの様々な方法により、中でも組換え技術により生産されたタンパク質を単離する方法を開示する。しかしながら、それは特定のクロマトグラフィー精製工程を特定するものではない。
国際公開第2005−082483号(WO−A−2005−082483)は液体中の1つ以上の不純物から分けて抗体を精製する方法を開示する。その方法は、抗体を樹脂に吸着するために、マルチモーダルリガンドが固定化された支持体からなる第1クロマトグラフィー樹脂に前記の液体を接触させることを含み、各マルチモーダルリガンドは少なくとも1つの陽イオン交換基と少なくとも1つの芳香環系、または、ヘテロ芳香環系を含む。前記抗体を前記樹脂から解離するために溶離液が加えられ、その溶出液は第2クロマトグラフィー樹脂と接触させられる。
国際公開第2005/121163号(WO−A−2005/121163)はタンパク質溶液から1つ以上のタンパク質を単離する方法を開示する。その方法は、1つ以上の特定のタンパク質を含み、前もって調整されたpHと前もって調整されたイオン強度、もしくは、電気伝導率を有するタンパク質溶液を提供し、少なくとも高密度で非多孔質の核が多孔質の素材で覆われた粒子を含む吸着カラムにそのタンパク質溶液をアプライする工程を含む。その吸着材は少なくとも1.5g/mlの粒子密度と大きくとも150μmの平均体積粒径を含む。前記吸着材から前記タンパク質を溶出する前にそのカラムは所望により洗浄されてよい。
国際公開第2009/156430号(WO−A−2009/156430A1)は混合モード樹脂、または、マルチモーダル樹脂を用いるFVIIIの精製方法を開示する。その精製方法は、疎水性部分と負荷電部分を含むリガンドを包含するマルチモーダル樹脂、または、混合モード樹脂に高イオン強度を有する溶液中のFVIIIタンパク質を接触させること、および、pH6〜8で正に荷電する少なくとも1つのアミノ酸を含む溶出緩衝液で前記のFVIIIタンパク質を溶出することに基づく。
FIX含有製品を改善するために、高純度のFIXになるまで夾雑物を効果的に除去するFIX分子に対する特異的な親和性クロマトグラフィーが用いられた。よく用いられる免疫親和性クロマトグラフィーに関する欠点は、それは比較的に高価であり、動物起源のモノクローナル抗体が親和性リガンドとして使用されることであった。80年代中期には血漿由来FIX製品に関連するウィルスの伝播もあった。たとえ、この問題が特定のウィルス低減工程により解決されたとしても、このことが組換えFIX製品(rFIX)開発の出発点であった。90年代に最初のrFIX製品が市場に出され、それは現在まで唯一の製品である。
本発明は、先行技術におけるビタミンK依存性タンパク質、特にFIXの精製方法の欠点を避けることができる方法を提供することを1つの目的とする。タンパク質の樹脂への結合が比較的低い塩濃度(電気伝導率)とpHの範囲で、典型的には0.01〜0.15Mの塩(塩化ナトリウムなど)の濃度の範囲で行われることができるだけあるということが伝統的なイオン交換クロマトグラフィー樹脂(例えば、SP−、CM−、Q−、または、DEAEセファロースFFイオン交換クロマトグラフィー樹脂)の1つの欠点であると先行技術から知られている。最適なpHの範囲は陽イオン交換体が用いられるか、または、陰イオン交換体が用いられるかということ、そして、その樹脂に結合する目的産物の等電点に依存する。一般的に、イオン交換樹脂に目的タンパク質が結合するpHの範囲は、その目的産物の等電点から約1pH単位上、または、下であるのが典型的である。
ある用途では、あるイオン交換クロマトグラフィー工程により前記タンパク質に対して用いられる比較的穏やかな精製条件を従来のイオン交換クロマトグラフィーには用いることができないやや強いイオン強度と通常の範囲から外れたpHで直接的に(さらに希釈することなく)クロマトグラフィー樹脂に対してもまた用いることができるようにする必要があるであろう。
マルチモーダル(または、混合モード)クロマトグラフィーはタンパク質を精製するための手段である。例えば、GEヘルスケアの製造業者データシート(11−0035−45AA)カプト・アドヒア、GEヘルスケアの製造業者データシート(28−9078−88AA)カプトMMC、および、国際公開第2009/024620号(WO−A−2009/024620)「プリオンプロテインを含まない目的タンパク質の単離と精製の方法」に記載される。例えば、中性より下の、もしくは、上のpHなどの比較的厳しい条件が単独で、または、例えばエチレングリコールなどの、そして、例えば、国際公開第2009/007451号(WO−A−2009/007451)に記載されるようなその他の溶出パラメータと組み合わせてその溶出にしばしば含まれることが欠点である。
タンパク質溶液、特に、目的タンパク質に悪影響を与えることができる潜在的なプロテアーゼが溶液中に存在する組換えタンパク質の回収物や血漿由来産物などの粗タンパク質調製物において、強いイオン強度は前記タンパク質の安定性にとってかなり有利である可能性がある。
プロテアーゼはしばしば生理的条件で(ほとんどの細胞系の場合と同様に)、すなわち、約pH7と約0.15Mの塩濃度で最もよく機能するので、プロテアーゼの作用を最小化するためにこれらの条件を変えることは有利である可能性がある。そなどの変化は、典型的には、塩を加える、および/または、pHを変化させることにより実行されることができる。これらのパラメータの両方が従来のイオン交換クロマトグラフィー工程の実行に重要であり、したがって、しばしば達成することが不可能である。したがって、本発明は、この問題が解決された方法であり、そして、前記目的タンパク質を分解することが可能であろうプロテアーゼなどの潜在的タンパク質分解性因子を含む粗タンパク質試料に塩を加えること、および/または、pHを変えることを可能するその方法を提供することをもう1つの目的とした。その方法により、その他のできるだけ少ない手段でそのタンパク質溶液を加工し、前記目的タンパク質をクロマトグラフィー樹脂に結合させることがさらにできるはずである。これにより、粗試料からの前記目的タンパク質の濃縮と精製の、または、例えば、親和性クロマトグラフィーなどのその他のクロマトグラフィー工程を用いるさらなる下流精製の最適な工程が提供されるであろう。
精製中の前記目的タンパク質の分解が防がれる、または、少なくとも低減されるので、この要求は特に重要である。
これにより、粗回収物に存在する可能性があるプロテアーゼとその他の夾雑物を前記目的タンパク質の溶出の前に除去することが可能になる。
本発明は、特に組換えFIXの細胞培養回収物から開始してFIXなどのビタミンK依存性タンパク質を精製する方法を提供することをもう1つ別の目的とする。
本発明によれば、前記目的は、クロマトグラフィーを用いる一連の精製(purification sequence)でFIXなどのビタミンK依存性タンパク質を精製する方法で達せられ、ここで、
少なくとも1つのクロマトグラフィーがマルチモーダル樹脂を用いて行われ、
FIXなどのビタミンK依存性タンパク質は前記マルチモーダル樹脂に結合し、そして、
FIXなどのビタミンK依存性タンパク質は、アルギニンを含む緩衝液中、6〜9のpHで、前記マルチモーダル樹脂から溶出する。
7種の血漿糖タンパク質はその生合成についてビタミンK依存的であることが知られている。それらは、プロトロンビン(第II因子)、第VII因子、第IX因子、第X因子、プロテインC、プロテインS、および、プロテインZである。Glaドメインはこれら全てのビタミンK依存性タンパク質における共通の構造上の特徴であり、Glaドメインの直後に前記タンパク質の各々(プロトロンビンを除く)は1つ以上のEGF様ドメインを有する。前記ビタミンK依存性タンパク質はその生理学的機能を発現するためにカルシウムイオンを必要とし、そして、カルシウム結合部位は少なくともGlaドメインとEGF様ドメインに関係する。カルシウムの結合により、これらのタンパク質はリン脂質/細胞膜に結合し、したがって、それらの完全な生物学的活性を発現することができる。
捕捉精製工程としてマルチモーダル樹脂を用いる本発明は、前記マルチモーダルクロマトグラフィー工程に前記目的タンパク質を結合させる間に前記タンパク質溶液中の活性型プロテアーゼの危険性を最小化させる値に塩濃度とpHを調節する可能性を提供する。
本発明の方法の利点は、例えば、組換え方法で捕捉工程として用いられるマルチモーダル樹脂への前記目的タンパク質の結合の後、前記目的タンパク質の溶出の前に洗浄工程をさらに用いる可能性があることである。これは、前記目的タンパク質を溶出する前に前記マルチモーダル樹脂に付着するプロテアーゼとその他の夾雑物(contaminants)を除去するために適切な洗浄緩衝液を選択することで前記樹脂を洗浄するマルチモーダル樹脂洗浄工程を用いて達成される。適切な洗浄緩衝液は、好ましくは、洗浄除去工程の間にプロテアーゼ活性をさらに抑えるために適切なpHで塩、または、アミノ酸、または、緩衝液成分、または、それらの混合物を含む。
本発明の方法は、明瞭な溶出特性を有する穏やかな溶出環境で(すなわち、できるだけ小さい体積に)前記マルチモーダル樹脂に結合した前記目的タンパク質を溶出することを可能にする。これは、pHを上昇させること、または、塩濃度を上昇させること、または、アミノ酸の添加、または、それらの組合せにより達成された。本発明の方法は、凝集物の抑制、本来の分子構造を保存すること、および、さらなる下流処理のために小容量をもたらすことなどの利点を提供する。
本発明はまた、ヒト、または、動物由来の安定化添加剤を加えることがない精製方法、および、それ(モノクローナル抗体ベースの免疫親和性樹脂)を含まない方法全体の使用を促進する。前記マルチモーダル樹脂の使用、特に捕捉工程としての使用はまた従来のイオン交換体と比較して高い結合能を促進し、それはカラムからのより高濃度の産物溶出液をもたらすことになり、産物の安定性にとって有利である可能性がある。
図1はFIXを親和性樹脂で精製した後のSDSポリアクリルアミドゲル(Page)の純度パターンを示す図である。第1レーンは市販の分子量マーカーである。第2レーンは市販の高純度血漿由来FIX製品である。第3レーンは市販の高純度組換えFIX製品である。第4および第5レーンは実施例7Dと7Eに記載される本発明のFIXの親和性精製後の試料である。第6および第7レーンは実施例7Fに記載されるFIXの親和性精製と限外濾過濃縮/脱塩後の試料である。第4〜7レーンで見ることができるように、本発明に従って作製された産物の純度は、第2、または、第3レーンと比較して、FIXより小さい分子量の、または、大きい分子量の不純物を示さない。
本発明のある実施形態によれば、前記マルチモーダルクロマトグラフィーはクロマトグラフィーカラムで行われることができる。これは第1捕捉工程としてみなされることができる。本発明の方法はまたバッチモードでも実行されることができる。
本発明のある実施形態において、マルチモーダル樹脂に基づく前記クロマトグラフィーは、酵母由来の親和性リガンドを有する樹脂に基づくクロマトグラフィーと併用され、FIXタンパク質などの前記ビタミンK依存性タンパク質の溶出の後に90%超の純度を得る。
本発明のさらなる別の実施形態において、前記マルチモーダル樹脂工程と前記酵母由来親和性リガンドクロマトグラフィー工程は、FIXタンパク質などのビタミンK依存性タンパク質の最終産物において99%より高い純度を得るために、その他のクロマトグラフィー精製工程と併用される。
それ故、また、(アルブミン、または、モノクローナル抗体ベースの免疫親和性リガンドなどのヒト、または、動物由来の添加剤を添加しない、または、使用しない)本発明による方法で得られるFIXなどの精製されたビタミンK依存性タンパク質を含む組成物は本発明の対象である。
本発明の別の実施形態において、前記マルチモーダル樹脂はマトリックスに結合する部分を含み、その部分はイオン性相互作用、ならびに、水素結合、疎水性相互作用、および、イオウ親和性相互作用などのその他のタイプの相互作用により混合物中でFIXなどのビタミンK依存性タンパク質と相互作用することができる。
本発明のさらなる実施形態において、前記親和性リガンドはFIXなどのビタミンK依存性タンパク質に対する酵母由来Fab断片である。
本発明のさらなる実施形態において、前記マルチモーダル樹脂工程は、粗タンパク質溶液からFIXなどの前記ビタミンK依存性タンパク質を捕捉するために行われ、その結果得られるマルチモーダルクロマトグラフィー樹脂溶出液の酵母由来親和性リガンドクロマトグラフィー工程での処理の後に、そして、FIXなどのビタミンK依存性タンパク質の前記親和性クロマトグラフィー工程からの溶出の後にタンパク質とDNAに関して90%より高い純度が得られる。
本発明のさらに別の実施形態において、前記マルチモーダル樹脂工程がFIXなどの前記ビタミンK依存性タンパク質を粗タンパク質溶液から捕捉するために行われ、処理後にその結果生じるマルチモーダルクロマトグラフィー樹脂溶出液がサイズ排除クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および、固定化金属親和性クロマトグラフィーから選択されるその他のクロマトグラフィー工程、ならびに、酵母由来親和性リガンドでさらに処理されるとき、最終産物の純度が99%より高いということを特徴とする。
本発明のさらに別の実施形態において、FIXなどのビタミンK依存性タンパク質を含む混合物は溶液中に存在する。
本発明のさらに別の実施形態において、FIXなどの前記ビタミンK依存性タンパク質は前記産物を分解できるプロテアーゼを含む可能性のある粗タンパク質溶液中に存在する。
夾雑物(プロテアーゼ、DNA等)を洗い流し、そして、FIXなどの前記ビタミンK依存性タンパク質を保持するために、それをマルチモーダル樹脂から解離する前に前記洗浄緩衝液を前記マルチモーダル樹脂にアプライすることは有利である可能性がある。
本発明の別の実施形態において、FIXなどの前記ビタミンK依存性タンパク質を溶出する前に前記マルチモーダル樹脂はpH6〜9の洗浄緩衝液で洗浄される。
本発明のさらなる実施形態において、前記溶出剤としてアルギニンを用いて溶出が行われる。本発明によれば、前記溶出剤は、ホフマイスターシリーズから選択される塩の濃度の上昇と組み合わされることができる。本発明によれば、その溶出はアルギニン単独、もしくは、塩濃度の上昇との組合せ、または、塩濃度の上昇のみのどちらかで行われることができ、これらはすべて、pH6〜9の範囲内、好ましくは、pH7.0である。
本発明によれば、ホフマイスターシリーズに含まれる塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、酢酸塩、リン酸塩、および、硫酸塩に関しては塩化ナトリウムと塩化カリウムが好ましい。
本発明によれば、アルギニンの濃度は、特に、約0.1Mから約2Mまでの範囲であり、ホフマイスターシリーズによる塩については0.1Mから4Mまでであり、特に、アルギニンについては約0.4Mから約1.5Mまでの範囲であり、ホフマイスターシリーズによる塩については0.6Mから2Mであり、または、アルギニンについては約0.3Mから約0.7Mまでの範囲であり、ホフマイスターシリーズによる塩については0.8Mから1.2Mである。
本発明の別の実施形態によれば、FIXなどの前記ビタミンK依存性タンパク質は、6〜9の間のpHで、好ましくは、pH7.0で前記マルチモーダル樹脂に結合する。
本発明のさらなる実施形態において、クエン酸ナトリウム、ヒスチジン、2−(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル)−エタンスルホン酸(HEPES)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、トリス塩基、および、酢酸ナトリウムからなる群より選択される物質のうちの少なくとも1つを特に約pH6から約pH9の範囲で好ましく含む緩衝物質が使用される。
本発明の方法において、非イオン性界面活性剤(detergent)は使用される前記緩衝液のいずれの中にも存在することができ、その非イオン性界面活性剤は、特に、ポリソルベート類(ポリソルベート20、40、60、80)およびプルロニックF68からなる群より選択される。
pH6〜9の、好ましくはpH7.0の前記溶出緩衝液において、アルギニンの量は、典型的には、0.1から2Mの範囲、特に0.5Mである。
pH6〜9の、好ましくはpH7.0の前記溶出緩衝液において、塩化ナトリウムは0.1〜4Mの範囲で、特に0.05から0.3Mまでの範囲で含まれる。
pH6〜9の、好ましくはpH7.0の前記溶出緩衝液において、アルギニンと塩化ナトリウムは0.1〜0.5Mの範囲で、特に0.3から0.7Mまでの範囲で含まれる。
pH6〜9の、好ましくはpH7.0の前記洗浄緩衝液において、塩化ナトリウムは0.01〜0.3Mの範囲で、特に0.05から0.15Mまでの範囲で含まれる。
非イオン性界面活性剤の量は典型的には、0.001から1%の範囲、特にマルチモーダルクロマトグラフィーのための前記緩衝液では0.02%である。
本発明に従って使用されることができる前記マルチモーダルクロマトグラフィー樹脂は次の部分のうちの少なくとも1つを含むことができる:
a.正に荷電したN−ベンジル−N−メチルエタノールアミンリガンド、
b.負に荷電した2−(ベンゾイルアミノ)ブタン酸リガンド、
c.フェニルプロピルリガンド、
d.N−ヘキシルリガンド、
e.4−メルカプト−エチル−ピリジンリガンド、
f.3−((3−メチル−5−((テトラヒドロフラン−2−イルメチル)−アミノ)−フェニル)−アミノ)−安息香酸リガンド、または、それらの組合せ。
特に、本発明に従って使用されるマルチモーダルクロマトグラフィー樹脂は次の市販の樹脂であるHEPハイパーセル(商標)、PPAハイパーセル(商標)、カプト・アドヒア(商標)、カプトMMC(商標)、MEPハイパーセル(商標)から選択される。
本発明の方法の別の実施形態において、前記マルチモーダルクロマトグラフィー工程はFIXなどのビタミンK依存性タンパク質の親和性クロマトグラフィー工程と組み合わされ、そしてその親和性は、例えば、酵母で発現される抗体断片などのタンパク質性リガンドによってもたらされる。
本発明の別の実施形態において、前記の一連の精製は、病原体除去/不活化工程をさらに含むことができる。病原体除去/不活化工程は、化学作用に基づく不活化工程、サイズに基づく除去工程、クロマトグラフィー工程、または、それらの組合せを含み、除去される前記病原体に向けられた様々な生理的特性に基づく。文献によく記載される病原体不活化工程の一例は化学作用に基づく溶媒界面活性剤法であり、例えば、脂質膜で覆われるあらゆるウィルスを破壊するトリ−n−ブチルリン酸とトライトンX−100に基づく欧州特許第EP−A−131 740号に開示される方法である。サイズに基づく病原体除去工程の一例は、例えば、プラノバ20フィルターなどの約20nmの平均孔径を有するナノフィルターである。病原体除去の別の一例はクロマトグラフィーに基づく。例えば、親和性クロマトグラフィーは一般に病原体除去特性を発揮することが知られており、例えばFIXなどのビタミンK依存性タンパク質の酵母由来親和性リガンドのクロマトグラフィー樹脂はそうである。
本発明の方法の特定の実施形態において、前記の一連の精製はさらに次の工程を含む:
1.カプトMMCなどの陽イオンマルチモーダル樹脂、
2.脂質で覆われたウィルスの化学作用に基づく不活化工程、特に欧州特許EP−A−131 740にて開示されるトリ−n−ブチルリン酸とトライトンX−100を用いる溶媒/界面活性剤−不活化工程、
3.酵母で発現されるリガンドに基づく親和性樹脂、
4.SPセファロース、または、リソースSなどの陽イオン交換体、
5.プラノバ20Nなどのサイズが約20nmの平均的な孔での病原体濾過除去工程、
6.約10kDaの分子量カットオフの特性を有する限外濾過などの緩衝液交換工程、および/または、濃縮工程、
7.スーパーデックス200などのサイズ排除クロマトグラフィー樹脂。
特定の実施形態において、本発明の方法は次の工程を含むことができた。
−カプトMMC(商標)マルチモーダル樹脂はカラムに充填され、pH7.0で20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80を含む緩衝液で平衡化された。
−上述の平衡化緩衝液(equilibration buffer)とほぼ同じ条件のFIXなどのビタミンK依存性タンパク質を含む粗試料がアプライされ、目的タンパク質とその他の不純物タンパク質がカラムに結合した。
−平衡化緩衝液を用いる洗浄工程が、本発明に従い、タンパク質分解性活性を抑制し、プロテアーゼ、DNA、および、その他の夾雑物を除去するために前記カラムに適用されたが、FIXなどのビタミンK依存性タンパク質はそれでもそのカラムに結合した。
−本発明に従い、0.5Mアルギニンが加えられpH7.0に調整された平衡化緩衝液を用いてFIXなどのビタミンK依存性タンパク質を溶出し、安定した凝集していないFIXなどのビタミンK依存性タンパク質の画分を少ない体積で得た。
マルチモーダル(または、混合モード)クロマトグラフィーはタンパク質を精製するための手段である。例えば、GEヘルスケアの製造業者データシート(11−0035−45AA)カプト・アドヒア、GEヘルスケアの製造業者データシート(28−9078−88AA)カプトMMC、および、特許出願国際公開第2009/024620号(WO−A−2009/024620)「プリオンタンパク質を含まない目的タンパク質の単離と精製の方法」に記載される。
FIX分子などのビタミンK依存性タンパク質の活性を保持し、そして、例えば、欧州特許第EP−A−1 707 634号に記載される塩濃度上昇の安定化作用との併用でマルチモーダルクロマトグラフィーの使用を容易にするほぼ中性のpHの範囲にある穏やかな溶出条件によりマルチモーダルクロマトグラフィーの前述の欠点が避けられる。
本発明のある実施形態によれば、前記マルチモーダルクロマトグラフィーはクロマトグラフィーカラムで実行されることができる。これは第1捕捉工程としてみなされることができる。本発明の方法はまた、バッチモードで実行されることができる。本発明はまた、ヒト、または、動物由来の安定化添加剤を加えない精製工程、および、それ(モノクローナル抗体ベースの免疫親和性樹脂)を含まない全工程の使用を容易にする。前記マルチモーダル樹脂の使用、特に捕捉工程としての使用はまた従来のイオン交換体と比較して高い結合能を促進し、それはその工程からのより高濃度の産物溶出液をもたらすことになり、産物の安定性にとって有利である。
本発明の方法は、典型的には、FIXなどの組換えビタミンK依存性タンパク質(rFIX)の精製に関する。
別の実施形態において、本発明の方法である前記マルチモーダルクロマトグラフィー工程はFIXなどのビタミンK依存性タンパク質の親和性クロマトグラフィー工程と組み合わされ、そしてその親和性は、例えば、酵母で発現される抗体断片などのタンパク質性リガンドによってもたらされる。
それ故、また、本発明による(アルブミン、または、モノクローナル抗体ベースの免疫親和性リガンドなどのヒト、または、動物由来の添加剤を添加することがない、または、使用することがない)方法で得られうるFIXタンパク質などの精製された組換えビタミンK依存性タンパク質を含む組成物は本発明の対象である。
本発明は次の非限定的な実施例によってさらに説明される。
分析方法の説明
<生物学的活性の分析―第IX因子>(1段階凝血アッセイ)
第IX因子の生物学的活性が1段階凝血アッセイで測定され、第IX因子の単位が現行の世界保健機関(WHO)第IX因子濃縮物基準により定められる国際単位(IU)で表された。
前記1段階凝血アッセイはヨーロッパ薬局方で規定される方法である。そのアッセイの原理は、リン脂質、接触活性化因子(contact activator)、カルシウムイオンの存在下、第IX因子欠損血漿の凝固時間を補正する第IX因子含有試料の能力に基づく。フィブリン凝塊が出現する時間が一工程で測定される。第IX因子の前記活性は凝固時間に反比例する。本方法はシーメンスBCS XP計器で実行された。
<SDS Page>(分子量分布)
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)はサイズに基づくタンパク質の分離に関係する。この方法は還元的条件で行われるタンパク質のSDS−PAGEについて説明する。変性条件、および、還元条件で前記試料を加熱することでタンパク質は高次構造が解け、および、陰イオン性界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)で覆われ、ポリペプチド鎖の長さに正比例する高純負電荷を帯びる。ポリアクリルアミドゲルマトリックスに負荷され、電場に置かれると、前記の負に荷電したタンパク質分子は陽極へと移動し、分子ふるい作用によって、すなわち、その分子量によって分離される。ポリアクリルアミドゲルはより大きな分子がより小さい分子と同じ速度で移動することを妨げる。電荷対質量の比はSDSで変性されたポリペプチドの間でほぼ同じであるので、タンパク質の最終的な分離はほぼ全くポリペプチドの相対的な分子量の差に依存する。均一な密度のゲルでは、タンパク質の相対移動距離(Rf)はその質量の対数に対して負に比例する。質量既知のタンパク質が質量未知のタンパク質と同時に泳動されるとき、Rfと質量の間の関係がグラフにプロットされることができ、未知のタンパク質の質量が推定される。電気泳動により分離されたタンパク質のバンドは銀染色により可視化される。出現した標準物質、基準物質(対照試料)、および、分析試料を判断して質量の評価が視覚的に行われる。
<血漿由来第IX因子>
これらの実験で用いられる物質は市販の製品であるナノティブ(登録商標)に起源を持ち、ナノティブは溶媒/界面活性剤法で処理され、ナノフィルターで濾過された高純度の第IX因子濃縮物である。
<組換え第IX因子>
FIX含有細胞懸濁液の製造
細胞
使用された細胞株は無血清成長に順化したヒト胚性腎臓細胞293(HEK293)株由来物である。この宿主であるHEK293FはヒトFIXとヒトのフーリン(PACE)のcDNAコーディング配列を持つ発現カセットで安定的に形質移入された。同じ強力なプロモーターが両方のカセットに用いられた。一般的な方法はまた、欧州特許出願公開公報第1 739 179号(EP−A−1 739 179)(Schroederら)に記載される。
培養方法
前記細胞は無血清培地中で一般設備を用い、当該技術分野で周知の一般的な方法に従って培養された。例えば、T型フラスコ、振盪用フラスコ、および、バイオリアクター(使い捨てのシステムおよび従来の撹拌タンク)内での振盪培養、または、撹拌培養で回分培養、半回分培養、灌流培養、または、連続ケモスタット培養として実行される(フレシュニー,RI(Freshney,RI)著(2000年)動物細胞の培養:基礎技術の手引き 第4版、ワイリー‐リス社(Freshney, R I (2000), Culture of animal cells: a manual of basic technique, 4th ed, Wiley- Liss);シュパイアー,RE(Spier,RE)編(2000年)細胞工学百科事典、ワイリー社、ニューヨーク(Spier, R E ed (2000), Encyclopedia of cell technology, Wiley, New York);エンフォース,S−O(Enfors,S−O)およびヘッグストレーム,L(Haggstrom,L)著(2000年)バイオプロセス技術:原理と応用、大学出版会(Hogskoletryckeriet),王立工科大学,ストックホルム(Enfors, S-O and Haggstrom, L (2000), Bioprocess technology: fundamentals and applications, Hogskoletryckeriet, Royal Institute of Technology, Stockholm);ビンチ,VA(Vinci,VA)およびパレク,SR(Parekh,SR)(2003年),工業細胞培養ハンドブック:哺乳類細胞、微生物細胞、および、植物細胞、ヒューマナプレス社、米国(Vinci, V A and Parekh, S R (2003), Handbook of industrial cell culture: mammalian, microbial, and plant cells, Humana Press, USA))。典型的には、標準的な回分培養の水準を超えて細胞数と産物の力価(titer)を増加させるために培地の灌流が用いられた。産物収量と宿主細胞タンパク質の量は培養モードに応じて異なる:
・産物の力価は典型的には細胞数と共に増加するであろう。
・総タンパク質量と総DNA量は典型的には細胞数と共に増加するであろう。
・総タンパク質量と総DNA量はまた培養物の持続時間と共に増加することができる。
・回分培養はタンパク質とDNAを蓄積する。何も外部から加えられないし、何も取り除かれない。
・灌流方法では代謝物、タンパク質、DNA、および、その他の不純物から細胞培養物が洗い落される。フィルターと細胞遠心分離機が細胞の保持のために典型的に使用された。
前記組換え産物は前記細胞から放出され、前記細胞の懸濁液、または、その細胞懸濁液の上清が回収される。回収物の特性(上述の産物の力価と不純物)は使用される培養モードに応じて異なる。
前記細胞懸濁液は以下に記述されるFIXの実施例のいくつかで使用されてきた。
<カプトMMC樹脂を捕捉工程として用いるFIXの精製>
実施例1
出発物質
血漿由来FIX(pdFIX、ナノティブ(登録商標))が使用された。カプトMMCカラムに負荷される前に、凍結乾燥されたナノティブが平衡化緩衝液に溶解され、希釈された。
クロマトグラフィー樹脂及びカラム
GEヘルスケアの混合モード樹脂であるカプトMMC(カタログ番号17−5317)がFIX分子の捕捉工程として用いられた。カプトMMCは疎水性相互作用、および、イオウ親和性相互作用、ならびに、水素結合を有する弱陽イオン性樹脂である。トリコーン5/150カラムに15.7cmのベッド高までカプトMMC樹脂が充填された。カラム容積(CV)は3.1mlであった。
緩衝液
平衡化緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
低塩濃度洗浄緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.2M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH6.5
高塩濃度洗浄緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.7M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH6.5
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.2M塩化ナトリウム、0.5Mアルギニン塩酸塩(arginine monohydrochloride)、0.02%ポリソルベート80、pH6.5
実験構成
カラムを平衡化緩衝液で平衡化し、引き続いて1ml/分の流速で出発物質の負荷が行われた。これらの緩衝液条件の間にpdFIXはカプトMMC樹脂に結合した。表1に示されるように、通過画分(flow through)にpdFIXは検出されなかった。その後、前記樹脂は表1に記載される様々な洗浄条件で洗浄され、試験された洗浄緩衝液のいずれにもpdFIXは検出されなかった。前記緩衝液に0.5Mのアルギニンを添加することによりFIXが樹脂より溶出され、85%の収率が得られた。
結論
血漿由来FIX(pdFIX、ナノティブ)はpH7でカプトMMCに結合し、および、少なくとも0.7Mの塩化ナトリウムで前記樹脂から溶出されることなく洗浄されることができる。
前記緩衝液に0.5Mのアルギニン塩酸塩を添加することでpdFIXが前記カラムから溶出する。
実施例2
出発物質
組換えヒトFIX(rhFIX)はHEK293細胞で産生した。細胞が取り除かれ、その無細胞上清が出発物質としてカプトMMCカラムに負荷された。
クロマトグラフィー樹脂及びカラム
GEヘルスケアの混合モード樹脂であるカプトMMC(カタログ番号17−5317)がFIX分子の捕捉工程として用いられた。カプトMMCは疎水性相互作用、および、イオウ親和性相互作用、ならびに、水素結合を有する弱陽イオン性樹脂である。XK26カラムに15cmのベッド高までカプトMMC樹脂が充填された。カラム容積(CV)は80mlであった。
緩衝液
平衡化緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
高塩濃度洗浄緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.7M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH6.5
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.2M塩化ナトリウム、0.5Mアルギニン塩酸塩、0.02%ポリソルベート80、pH6.5
実験構成
カラムを平衡化緩衝液で平衡化し、引き続いて26ml/分の流速で出発物質の負荷が行われた。これらの緩衝液条件の間にrhFIXはカプトMMC樹脂に結合した。表2に示されるように、通過画分にrhFIXは検出されなかった。高塩濃度洗浄液ではrhFIXは前記カラムから溶出しなかった。緩衝液に0.5Mのアルギニンを添加することによりrhFIXが前記樹脂より溶出され、92%の収率が得られた。
結論
組換えFIX(rhFIX)はpH7でカプトMMCに結合し、および、少なくとも0.7Mの塩化ナトリウムで前記樹脂から溶出されることなく洗浄されることができる。
前記緩衝液に0.5Mのアルギニン塩酸塩を添加することでrhFIXが前記カラムから溶出する。
使用された緩衝液は0.02%ポリソルベート80(非イオン性界面活性剤)を含み、それは悪影響も生じなかった。おそらく、前記緩衝液にポリソルベート80を使用したことは利点があった。使用された緩衝液にポリソルベート80が加えられなかった以下の実験(実施例3)で得られた結果と比較すること。
実施例3
出発物質
組換えヒトFIX(rhFIX)はHEK293細胞で生産された。細胞が取り除かれ、その無細胞上清が出発物質としてカプトMMCカラムに負荷された。
クロマトグラフィー樹脂及びカラム
GEヘルスケアの混合モード樹脂であるカプトMMC(カタログ番号17−5317)がFIX分子の捕捉工程として用いられた。カプトMMCは疎水性相互作用、および、イオウ親和性相互作用、ならびに、水素結合を有する弱陽イオン性樹脂である。XK26カラムに15cmのベッド高までカプトMMC樹脂が充填された。カラム容積(CV)は80mlであった。
緩衝液
平衡化緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、pH7.0
高塩濃度洗浄緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.7M塩化ナトリウム、pH6.5
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.2M塩化ナトリウム、0.8Mアルギニン塩酸塩、pH6.5
実験構成と結果
カラムを平衡化緩衝液で平衡化し、引き続いて26ml/分の流速で出発物質の負荷が行われた。これらの緩衝液条件の間にrhFIXはカプトMMC樹脂に結合した。表3に示されるように、カラムに負荷されたrhFIXのうちの低量が通過画分に検出された。その後、前記樹脂はかなり高い濃度である0.7Mの塩化ナトリウムを含む緩衝液で洗浄された。表3に記載されるように、この洗浄では1%未満のrhFIXが検出された。前記緩衝液に0.8Mのアルギニンを添加することによりrhFIXが前記樹脂より溶出され、84%の収率が得られた。この実験で使用された緩衝液は、実験2および実験5と比較して、少しもポリソルベート80を含まなかった。
結論
組換えFIX(rhFIX)はpH7でカプトMMCに結合し、および、少なくとも0.7Mの塩化ナトリウムで前記樹脂から溶出することなく洗浄されることができる。
前記緩衝液に0.8Mのアルギニン塩酸塩を添加することでrhFIXが前記カラムから溶出する。
界面活性剤は前記緩衝液に添加されなかった。そのことで、前記溶出画分でのrhFIXの回収率がやや少ないことが示されている可能性がある。
実施例4(実施例4A及び実施例4B)
出発物質
血漿由来FIX(pdFIX、ナノティブ(登録商標))が使用された。カプトMMCカラムに負荷される前に、凍結乾燥されたナノティブが平衡化緩衝液に溶解され、希釈された。
クロマトグラフィー樹脂及びカラム
GEヘルスケアの混合モード樹脂であるカプトMMC(カタログ番号17−5317)がFIX分子の捕捉工程として用いられた。カプトMMCは疎水性相互作用、および、イオウ親和性相互作用、ならびに、水素結合を有する弱陽イオン性樹脂である。トリコーン5/150カラムに15cmのベッド高までカプトMMC樹脂が充填された。カラム容積(CV)は3mlであった。
緩衝液
実施例4Aの実験には、
平衡化緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、pH7.0
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.5Mアルギニン塩酸塩、pH7.0
実施例4Bの実験には、
平衡化緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.5Mアルギニン塩酸塩、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
実験構成
pH7.0でポリソルベート80を含む緩衝液、または、含まない緩衝液を用いるカプトMMCでのpdFIXの精製の比較。カラムを平衡化緩衝液で平衡化し、引き続いて1ml/分の流速で出発物質の負荷が行われた。これらの緩衝液条件の間にpdFIXはカプトMMC樹脂に結合した。表4に示されるように、通過画分と平衡化洗浄画分にpdFIXは検出されなかった。
結論
緩衝液中にポリソルベート80が無いときと比べて、ポリソルベート80が緩衝液に含まれるとき、血漿由来のFIXが5%増加して溶出した。その差異は小さいが、その結果はポリソルベート80を緩衝液に用いることの利点を示す。pdFIXの収率は両方の実験で高かった。このことはまた、使用された緩衝液の7.0のpHによってpdFIXの結合とカプトMMC樹脂からのpdFIXの溶出の両方に関して良いデータが得られたことを示す。
実施例5(実施例5A及び実施例5B)
出発物質
血漿由来FIX(ナノティブ)が使用された。カプトMMCカラムに負荷される前に、凍結乾燥されたナノティブが平衡化緩衝液に溶解され、希釈された。
クロマトグラフィー樹脂及びカラム
GEヘルスケアの混合モード樹脂であるカプトMMC(カタログ番号17−5317)がFIX分子の捕捉工程として用いられた。カプトMMCは疎水性相互作用、および、イオウ親和性相互作用、ならびに、水素結合を有する弱陽イオン性樹脂である。トリコーン5/150カラムに15cmのベッド高までカプトMMC樹脂が充填された。カラム容積(CV)は3mlであった。
緩衝液
実施例5Aの実験には、
平衡化緩衝液:20mM HEPES、0.1M塩化ナトリウム、pH8.0
溶出緩衝液:20mM HEPES、0.1M塩化ナトリウム、0.5Mアルギニン塩酸塩、pH8.0
実施例5Bの実験のためには、
平衡化緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、pH6.0
溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、0.1M塩化ナトリウム、0.5Mアルギニン塩酸塩、pH6.0
実験構成
結合緩衝液及び溶出緩衝液の両方で、2つの異なるpHであるpH8.0とpH6.0の緩衝液を用いるカプトMMCカラムでのpdFIXの精製の比較。カラムを平衡化緩衝液で平衡化し、引き続いて1ml/分の流速で出発物質の負荷が行われた。これらの緩衝液条件の間にpdFIXは前記カプトMMC樹脂に結合した。表5に示されるように、通過画分にpdFIXは検出されなかった。pdFIXの収率は試験された両方のpHの溶出画分で等しく高かった。
結論
血漿由来のFIXはpH8.0とpH6.0の緩衝液中でカプトMMC樹脂に結合すること、および、これらの両方のpHはまた溶出緩衝液でも用いられ得ることがこれらの実験により示される。
実施例6(実施例6A〜6K)
目的
これらの実験は3つの異なるpHであるpH6.0、pH7.0、および、pH8.0における組換えヒトFIX(rhFIX)のカプトMMC樹脂での捕捉と溶出を検討することを目的とした。また、rhFIXの結合と溶出で使用されたこれらの緩衝液の中に存在する0.02%ポリソルベート80の利点も検討された。
出発物質
組換えヒトFIXはHEK293細胞で生産された。細胞が取り除かれ、その無細胞上清が出発物質としてカプトMMCカラムに負荷された。
クロマトグラフィー樹脂及びカラム
GEヘルスケアの混合モード樹脂であるカプトMMC(カタログ番号17−5317)がFIX分子の捕捉工程として用いられた。カプトMMCは疎水性相互作用、および、イオウ親和性相互作用、ならびに、水素結合を有する弱陽イオン性樹脂である。XK16カラムに13.5cmのベッド高までカプトMMC樹脂が充填された。カラム容積(CV)は27mlであった。
緩衝液
実施例6A
平衡化緩衝液 0.1M塩化ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、pH7.0
洗浄緩衝液 0.1M塩化ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、pH7.0
溶出緩衝液 0.1M塩化ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン塩酸塩、pH7.0
CIP 1%トライトンX−100/0.5M塩化ナトリウム、1M水酸化ナトリウム、WFI、20%エタノール
保存緩衝液 20%エタノール
*WFI:注射用水
実施例6B
平衡化緩衝液 0.1M塩化ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、pH6.0
洗浄緩衝液 0.1M塩化ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、pH6.0
溶出緩衝液 0.1M塩化ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン塩酸塩、pH6.0
CIP 1%トライトンX−100/0.5M塩化ナトリウム、1M水酸化ナトリウム、WFI、20%エタノール
保存緩衝液 20%エタノール
実施例6C
平衡化緩衝液 0.1M塩化ナトリウム、20mM HEPES、pH8.0
洗浄緩衝液 0.1M塩化ナトリウム、20mM HEPES、pH8.0
溶出緩衝液 0.1M塩化ナトリウム、20mM HEPES、0.5Mアルギニン塩酸塩、pH8.0
CIP 1%トライトンX−100/0.5Mナトリウム、1M水酸化ナトリウム、WFI、20%エタノール
保存緩衝液 20%エタノール
実施例6D
平衡化緩衝液 0.1M塩化ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
洗浄緩衝液 0.1M塩化ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
溶出緩衝液 0.1M塩化ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン塩酸塩、0.02%ポリソルベート80、pH7.0
CIP 1%トライトンX−100/0.5M塩化ナトリウム、1M水酸化ナトリウム、WFI、20%エタノール
保存緩衝液 20%エタノール
実施例6E
平衡化緩衝液 0.1M塩化ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH6.0
洗浄緩衝液 0.1M塩化ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、0.02%ポリソルベート80、pH6.0
溶出緩衝液 0.1M塩化ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン塩酸塩、0.02%ポリソルベート80、pH6.0
CIP 1%トライトンX−100/0.5M塩化ナトリウム、1M水酸化ナトリウム、WFI、20%エタノール
保存緩衝液 20%エタノール
実施例6F
平衡化緩衝液 0.1M塩化ナトリウム、20mM HEPES、pH8.0
洗浄緩衝液 0.1M塩化ナトリウム、20mM HEPES、pH8.0
溶出緩衝液 0.1M塩化ナトリウム、20mM HEPES、0.5Mアルギニン塩酸塩、pH8.0
CIP 1%トライトンX−100/0.5M塩化ナトリウム、1M水酸化ナトリウム、WFI、20%エタノール
保存緩衝液 20%エタノール
実験構成及び結果
カラムを平衡化緩衝液で平衡化し、引き続いて9ml/分の流速で前記出発物質の負荷が行われた。カラムは、それから、平衡化緩衝液で洗浄され、引き続いて前記カプトMMCカラムから結合したrhFIXが溶出された。結果は表6に示される。
rhFIXはpH6、pH7、および、pH8でカプトMMCに結合することが表6に示されるデータより明らかにされる。通過画分にrhFIXは検出されなかった。結合したrhFIXはまたこれらのpHでカプトMMC樹脂から75%超の回収率で溶出することができる。pH7の溶出緩衝液で最も良い回収率が得られた。前記平衡化緩衝液と溶出緩衝液の中へのポリソルベート80の添加により、pH7またはpH6が用いられたとき、回収率が少なくとも5%増加することになった。pH8の緩衝液が用いられたとき、ポリソルベート80について利点は得られなかった。
これらのデータと実験5で得られたデータから、カプトMMC樹脂でのrhFIXとpdFIXの回収についてポリソルベート80の好作用が示される。
結論
組換えヒトFIXは少なくとも6〜8の範囲のpHでカプトMMCに結合することができる。試験に用いられた3つのpHのいずれであるかに関係なく、0.5Mのアルギニン塩酸塩を加えることにより、rhFIX分子は前記カプトMMC樹脂から溶出する。
しかし、得られた結果は、rhFIXの収率がpH7でより大きくなることを示す。
pH7またはpH6が用いられるとき、界面活性剤であるポリソルベート80の添加によりrhFIXの回収率の上昇することが示される。
実施例7
目的
この研究は培地から純粋な産物にまで組換えヒトFIXを精製することを目的とした。これには捕捉工程、親和性工程、ならびに、濃縮および緩衝液交換工程の3つの工程が含まれた。カプトMMC樹脂が捕捉工程で用いられ、非動物由来FIX親和性リガンドの工程が主要な精製工程として用いられた。最終工程として、10kDaの分子量カットオフの限外濾過システムが用いられ、まず、分子が濃縮され、それから、緩衝液が生理的緩衝環境へと交換された。
捕捉工程のための出発物質
組換えヒトFIXはHEK293細胞で生産された。細胞が取り除かれ、その無細胞上清が出発物質としてカプトMMCカラムに負荷された。
捕捉工程(実施例7A〜C)
GEヘルスケアの混合モード樹脂であるカプトMMC(カタログ番号17−5317)がFIX分子の捕捉工程として用いられた。カプトMMCは疎水性相互作用、および、イオウ親和性相互作用、ならびに、水素結合を有する弱陽イオン性樹脂である。XK50カラムに16.5cmのベッド高までカプトMMC樹脂が充填された。カラム容積(CV)は324mlであった。
平衡化緩衝液 0.1M塩化ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、pH7.0
洗浄緩衝液 0.1M塩化ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、pH7.0
溶出緩衝液 0.1M塩化ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、0.5Mアルギニン塩酸塩、pH7.0
CIP 1%トライトンX−100/0.5M塩化ナトリウム、1M水酸化ナトリウム、WFI、20%エタノール
保存緩衝液 20%エタノール
実験構成及び結果
カラムを平衡化緩衝液で平衡化し、引き続いて75ml/分の流速で前記出発物質の負荷が行われた。そして、カラムを平衡化緩衝液で洗浄し、引き続いて前記カプトMMCカラムから結合したrhFIXが溶出された。結果は表7に示される。rhFIXの精製は同じ実験構成と同じタイプの緩衝液を用いて3回別々に実行された。これらの捕捉精製はpH7.0で実行された。
表7に示されるデータにより、rhFIXはカプトMMCにpH7で結合するか、または通過画分にrhFIXは全く、または、ほとんど検出されなかったことが示される。アルギニン塩酸を0.5Mの最終濃度まで加えることで、結合したrhFIXを、pH7.0で前記カプトMMC樹脂から溶出することができた。rhFIXのこれら3回の捕捉での平均回収率は92%であった。
FIX親和性工程(実施例7D〜E)
親和性工程として、(BAC BV、バイオアフィニティー社(BAC BV, The Bioaffinity Company)との共同作業で開発された)酵母で生産された非動物由来FIX親和性リガンド(Fab断片)が使用された。標準的なカップリング技術に従いこのリガンドをカプトMP樹脂(GEヘルスケア)に結合した。この樹脂は「FIX親和性樹脂」と称される。
XK26カラムに7.5cmのベッド高まで前記FIX親和性樹脂が充填された。カラム容量(CV)は40mlであった。
平衡化緩衝液 0.15M塩化ナトリウム、10mMクエン酸ナトリウム、pH7.0
洗浄緩衝液 0.15M塩化ナトリウム、10mMクエン酸ナトリウム、pH7.0
溶出緩衝液 2M塩化マグネシウム、20mMトリス塩基、pH7.4
CIP 0.1M酢酸、2M塩化ナトリウム、および、20%エタノール
保存緩衝液 20%エタノール
実験構成及び結果
前記の3つの捕捉工程からの溶出液が混合され、親和性カラムでの出発物質として用いられた。カラムを平衡化緩衝液で平衡化し、引き続いて10ml/分の流速で前記出発物質の負荷が行われた。そして、カラムを平衡化緩衝液で洗浄し、引き続いて親和性カラムから結合したrhFIXが溶出された。結果は表8に示される。rhFIXの精製は同じ実験構成と同じタイプの緩衝液を用いて2回別々に実行された。
表8に示されるデータにより、rhFIXはpH7でFIX親和性樹脂に結合することが示される。得られた通過画分は使用された量の樹脂の結合能の結果である。両方の実験で用いられた約100%のrhFIXが検出可能である。2M塩化マグネシウムを含む緩衝液を用いてFIX親和性樹脂から結合したrhFIXを溶出することができた。
濃縮および緩衝液交換工程(実施例7F)
限外濾過システムを用いることで、前記親和性カラムからの溶出液中のrhFIXが濃縮され、それから、同じ限外濾過フィルターを用いる透析濾過により前記緩衝液が交換された。
限外濾過フィルター
ペリコン2システムに設置された10kDaの分子量カットオフの特性を有するペリコン3フィルターが用いられた。
透析濾過緩衝液 0.15M塩化ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、pH7.0、25℃での電気伝導率 18.4mS/cm
実験構成及び結果
ポンプで前記試料を接線流の方向(tangenital flow)に注入し、試料の体積の小部分が連続的にペリコン3フィルターを通り抜けることができるようにすることで、体積が減少した。前記フィルターに使用される孔径のため、rhFIX分子は再循環画分に含まれる。rhFIXの分子量は約55kDaであり、10kDaの孔径のフィルターが使用されると保持される。
310mlの体積の親和性溶出液が約60mlにまで濃縮された。この体積の溶出液は、ペリコン3フィルターを通して濾過されるのと同じ速度で透析濾過緩衝液を連続的に加えることにより透析濾過された。この60mlの濃縮物中の緩衝液は約18回交換された。この濃縮物の電気伝導率は25℃で123mS/cmから18.6mS/cmまでに変化した。
この濃縮および緩衝液交換工程によるrhFIXの回収率は86%であった。透析緩衝液での限外濾過フィルターの洗浄工程はできるだけ多くのrhFIXを回収するために行われた。

Claims (16)

  1. クロマトグラフィーを用いる一連の精製においてプリオンを含まないビタミンK依存性タンパク質を製造する方法であって、
    少なくとも1つのクロマトグラフィー工程がマルチモーダル樹脂を用いて行われ、
    ビタミンK依存性タンパク質を水性溶液に含む画分を提供すること、
    前記ビタミンK依存性タンパク質を含む前記画分を6〜9のpHでマルチモーダル樹脂と接触させること、
    前記ビタミンK依存性タンパク質を溶出する前に夾雑物を洗い流し、かつ、前記ビタミンK依存性タンパク質を保持するために、所望により、前記ビタミンK依存性タンパク質を吸着させた前記マルチモーダル樹脂を水性洗浄緩衝液で洗浄すること、
    前記ビタミンK依存性タンパク質が、アルギニンを含む緩衝液において6から9のpHで前記マルチモーダル樹脂から溶出していること、ならびに、
    所望により、精製された、または、濃縮された状態のビタミンK依存性タンパク質含有画分を回収すること、
    を特徴とする、方法。
  2. 前記ビタミンK依存性タンパク質が血漿由来FIXまたは組換え技術で製造されたFIXである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記マルチモーダル樹脂がマトリックスに結合した部分を含み、前記部分がイオン性相互作用、ならびに、水素結合、疎水性相互作用、および、イオウ親和性相互作用などのその他のタイプの相互作用によって水性環境中で前記ビタミンK依存性タンパク質と相互作用可能である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記水溶液が25℃で約5から約200mS/cmまでの電気伝導率に相当する塩溶液、および/または、25℃で約5から約200mS/cmまでの電気伝導率に相当する前記溶出緩衝液に前記ビタミンK依存性タンパク質を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 0.1〜0.3M、および、0.7〜1M、特に、0.3〜0.7Mの濃度でアルギニンが存在することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 約6から約9のpH、特にpH約6から約8、または、pH7の緩衝液で前記ビタミンK依存性タンパク質を溶出することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. アルコールなどの少なくとも1つのヒドロキシル基を含む有機化合物、アミノ酸などの少なくとも1つのアミノ基を含む有機化合物、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム、硫酸カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウムからなる群より選択される無機塩などの前記緩衝液のイオン強度を調整する少なくとも1つの化合物、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤、前記pHを約6から約9までに、特にほぼ中性の値に調整する少なくとも1つの緩衝物質、または、その組合せからなる群より選択される物質を前記溶出緩衝液がさらに含むことを特徴とする、請求項1〜6のうちの少なくとも1項に記載の方法。
  8. 前記アルコールはメタノール、プロパノール、エチレングリコール、および、プロピレングリコールからなる群より選択され、前記無機塩は塩化カリウムと塩化ナトリウムからなる群より選択され、前記非イオン性界面活性剤はツイーン20、ツイーン80、および、プルロニックF68からなる群より選択され、前記緩衝物質は6〜9のpHではクエン酸ナトリウム、ヒスチジン、HEPES、MES、トリス塩基、および、酢酸ナトリウム、pH6〜7.5の調整にはクエン酸ナトリウム、および、pH7.5〜9の調整にはトリス塩基からなる群より選択されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 前記ビタミンK依存性タンパク質を塩化ナトリウム/エチレングリコールの組合せ、アルギニン/塩化ナトリウムの組合せ、または、アルギニン/エチレングリコールの組合せで溶出する、請求項1〜8の少なくとも1項に記載の方法。
  10. 前記「マルチモーダル」クロマトグラフィー樹脂が、下記の部分、
    a. 正に荷電するN−ベンジル−N−メチルエタノールアミンリガンド、
    b. 負に荷電する2−(ベンゾイルアミノ)ブタン酸リガンド、
    c. フェニルプロピルリガンド、
    d. N−ヘキシルリガンド、
    e. 4−メルカプト−エチル−ピリジンリガンド、
    f. 3−((3−メチル−5−((テトラヒドロフラン−2−イルメチル)−アミノ)−フェニル)−アミノ)−安息香酸リガンド、
    のうちの少なくとも1つ、または、これらの組合せを含むことを特徴とする、請求項1〜9のうちの少なくとも1項に記載の方法。
  11. 前記「マルチモーダル」クロマトグラフィー樹脂が、市販の樹脂であるHEPハイパーセル(商標)、PPAハイパーセル(商標)、カプト・アドヒア(商標)、カプトMMC(商標)、MEPハイパーセル(商標)から選択されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記マルチモーダルクロマトグラフィー工程が、ビタミンK依存性タンパク質親和性クロマトグラフィー工程と組み合わされ、前記親和性は酵母で発現されるタンパク質に基づくリガンドによってもたらされ、かつ、得られた溶出液の純度は90%より高いことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記の一連の精製がさらに、化学作用に基づく不活化工程、限外濾過、クロマトグラフィー工程、または、それらの組合せを含み、除去される病原体に関する様々な生理的特性に基づく病原体除去/不活化工程を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記の一連の精製がさらに、下記の工程、
    i. カプトMMCなどの陽イオンマルチモーダル樹脂、
    ii. 脂質膜で覆われたウィルスを化学作用に基づき不活化する工程、特にトリ−n−ブチルリン酸とトライトンX−100を用いる溶媒/界面活性剤−不活化工程、
    iii. 酵母で発現されるビタミンK依存性タンパク質の抗体断片からなるリガンドなどのタンパク質性リガンドに基づく親和性樹脂、
    iv. プラノバ20Nなどの約20nmの平均孔径のフィルターでの病原体濾過除去工程
    v. QセファロースFFまたはカプトQなどの陰イオン交換体樹脂、
    vi. 10kDaの分子量カットオフの特性を有するペリコン3などの限外濾過工程
    を含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記マルチモーダルクロマトグラフィー工程が親和性クロマトグラフィー工程と組み合わされ、前記親和性は酵母で発現されるタンパク質に基づくリガンドによってもたらされ、そして、その結果得られる前記親和性クロマトグラフィー樹脂からの産物の純度は95%より高いことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
  16. サイズ排除クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および、固定化金属親和性クロマトグラフィーから選択される追加のクロマトグラフィー工程が実行されること、および、最終産物の純度が99%よりも高いことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
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