本発明は、上記した懸案を鑑みてなされたものである。
本発明では、様々な歯科用インプラント・システム、及び、患者の顎内でかかるシステムを固定するための方法が述べられている。一実施例では、かかる方法は、患者の顎骨を露出させるのに十分なように、患者の歯茎の一部分を治療部位で除去する工程を含む。また、治療部位にて、患者の顎骨の一部分を除去して、陥凹を形成する。この陥凹は、その形状及びサイズが、その後に陥凹中に配置されることになる基礎部材と同様であることが好ましい。この基礎部材は、ほぼ平坦で外側周辺部によって画定される上部側と、テーパ状の中央開口部とを有する。基礎部材は、陥凹中に配置され、通常、上部側を顎骨の上部表面と同一平面とさせる。中央開口部を貫通させてドリル・ビットを配置し、顎骨中にドリルで孔を開ける。インプラントねじを中央開口部中に挿入する。このインプラントねじは、テーパ状の部分を備える頭部及びねじ山が切られた端部を有する。インプラントねじを回して、ねじが切られた端部を顎骨中の孔内に固定し、インプラントねじの頭部を基礎部材のテーパ状の開口部内に着座させる。
いくらかの場合、サイズを大きくしながらドリル・ビットを中央開口部中に挿入し、それにより、顎骨中の孔のサイズを次第に拡大することができる。1つの具体的な態様では、基礎部材は、顎骨中の陥凹のように、形状がほぼ長方形である。
基礎部材が固定されると、アバットメントを、基礎部材の上部表面上に配置する。基礎部材に対するアバットメントの回転を防止するために、基礎部材の上部側は、少なくとも1つの陥凹と、陥凹中に配置される位置決めピンとを含むことができる。位置決めピンは、アバットメントを基礎部材上に配置するとき、アバットメント上の対応する陥凹中に挿入される。
一態様では、インプラントねじは、ねじが切られた孔を含む。この方法では、捕捉ねじを、アバットメントの中央開口部を貫通して、ねじが切られた孔中に挿入して、基礎部材にアバットメントを固定することができる。さらに、インプラントねじは、トルク・レンチを使用して少なくとも約35Ncmの力で、顎骨中に着座させることができる。
アバットメントは、アバットメントの中央開口部から伸びる位置決めスリーブを含むことができる。位置決めスリーブは、基礎部材上にアバットメントを容易に配置するために、基礎部材の中央開口部中に配置することができる。
アバットメントを配置する前に、治療カバーを基礎部材上に配置することができ、患者の歯茎を治療カバーの上で縫合することができる。治療カバーは、一態様では、基礎部材の外側周辺部まで延在する。治療カバーは、部位が治癒した後にアクセスされ、基礎部材から除去される。次いで、インプラントねじ中に伸びるねじを使用して、組織輪郭形成キャップを基礎部材上に配置することができる。これは、外科的な部位の領域を形成し、それに歯冠を受け入れる準備をさせるのに役立つ。組織が適切に形成された後、治療カバーを除去して、アバットメントを貫通してインプラントねじ中に伸びる捕捉ねじを使用して、アバットメントを基礎に固定する。さらに、歯冠をアバットメントに取り付ける。
1つの具体的な態様では、基礎部材は、ほぼ平坦な底部側を有し、中央開口部は、上部表面から底部表面まで内側に、一定のテーパで先細りされている。また、基礎部材は、外側周辺部が、直線状のテーパで、上部表面から底部表面まで内側に先細りされており、したがって上部表面は、底部表面より表面積が広い。さらに、基礎部材の外側周辺部は、粗面化することができる。
さらに、本発明によって、治療部位にて、患者の顎骨内に埋め込まれるように適合される基礎部材を含む歯科用インプラント・システムが提供される。基礎部材は、外側周辺部を画定するほぼ平坦な上部側と、底部側と、中央開口部とを含む。少なくとも1つの陥凹が、位置合わせピンを受け入れるために上部側中に含まれる。システムは、頭部及びねじが切られた端部を含むインプラントねじをさらに含む。ねじが切られた端部は、基礎部材の中央開口部を貫通して患者の顎骨中に進むように適合される。また、頭部は、ねじが切られた端部が患者の顎骨中にねじ込まれた後、基礎部材の中央開口部内に着座するように適合される。インプラントねじは、頭部中にねじが切られた開口部をさらに含む。
システムは、基礎部材の上部側上に配置されるように構成されるアバットメントをさらに含み、それにより、歯冠をアバットメント上に配置することができる。アバットメントは、基礎部材の上部側に隣接して配置されるように構成される平坦な底部表面を含む。アバットメントの底部表面は、基礎部材の外側周辺部とほぼ一致する外側周辺部を有する。底部表面は、アバットメントが基礎部材上に配置されたとき、基礎部材中の陥凹と位置合わせされる少なくとも1つの陥凹を画定する。アバットメントは、歯冠を受け入れるように適合されて形作られる上部表面、及びアバットメントを長手方向に貫通して伸びる貫通孔をさらに含む。
いくらかの場合、位置決めスリーブは、アバットメントの貫通孔からインプラントねじの頭部中に延在することができる。また、位置合わせピンは、基礎部材の陥凹及びアバットメント内に配置することができる。さらに、捕捉ねじは、アバットメントの貫通孔を貫通し、位置決めスリーブを貫通し、そしてインプラントねじの頭部中のねじが切られた開口部中に挿入することができる。
一態様では、アバットメント及び基礎部材は、それぞれが第2のセットの陥凹を含む。これらの陥凹は、アバットメントが基礎部材上に配置されたとき、互いに位置合わせされる。別の位置合わせピンを第2のセットの陥凹内に配置する。さらなる態様では、スリーブは、形状が円筒形であり、捕捉ねじは、スリーブ内にうまくはめ込まれるように構成される滑らかな外側表面を備える上部端部を有する。
1つの具体的な態様では、中央開口部はテーパ状にされ、インプラントねじはテーパ状の中央開口部内に着座されるテーパ状の頭部部分を有する。また、基礎部材は、形状をほぼ長方形とすることができる。さらに、基礎部材の外側周辺部は、上部表面から底部表面まで内側にテーパ状にし、それにより、上部表面は、底部表面より表面積を広くすることができる。基礎部材の外側周辺部は、粗面化することができる。
またさらなる実施形態では、本発明によって、歯科用歯冠を患者の顎骨に固定するためのプラットフォームが提供される。プラットフォームは、治療部位にて患者の顎骨内に埋め込まれるように適合される基礎部材を含む。基礎部材は、ほぼ平坦な上部側と、ほぼ平坦な底部側と、外側周辺部と、一定のテーパで上部表面から底部表面まで内側にテーパ状であるとともにインプラントねじを受け入れるように構成される中央開口部と、を含む。上部側は、位置合わせピンを受け入れるように適合される一対の陥凹をさらに含み、その位置合わせピンは、基礎部材とアバットメントの非回転の位置合わせを確保するために、アバットメントの対応する陥凹内に受け入れられるように構成される。
1つの具体的な実施形態では、本発明によって、患者の顎骨に歯科用インプラント(又はインプラントねじ)を固定するための例示の方法が、さらに提供される。この方法によれば、患者の歯茎の一部分は、患者の顎骨を露出させるのに十分であるように除去される。これは、患者の歯又は他の歯科用セメント充填物を除去した後、実施することができる。また、患者の顎骨の一部分を除去する。骨除去の深さは、約1mm〜約4mmの範囲内とすることができる。基礎部材は、患者の骨が除去された顎骨内に埋め込まれるように、治療部位に配置される。基礎部材は、外側周辺部によって画定されるほぼ平坦な上部側と、テーパ状の中央開口部と、中央開口部と外側周辺部との間に配置される少なくとも1つのねじ孔とを有することができる。小さな固定ねじを、ねじ孔を貫通して配置し、それは、患者の顎骨中にねじ込まれるまで回転させ、そして固定ねじの頭部を、基礎部材の上部側と少なくとも同一平面にする。この方法では、基礎部材は、患者の顎骨内に埋め込まれ、それにしっかりと留められる。この基礎部材は、その後、義歯のための安定したプラットフォームとして働くことになる。インプラントねじは、基礎部材の中央開口部を貫通して配置される。インプラントねじは、テーパ状の部分を有する頭部と、ねじが切られた端部とを有する。インプラントねじは、回転させて、ねじが切られた端部を顎骨内に固定し、そして基礎部材のテーパ状の開口部内にインプラントねじの頭部を着座させる。一度インプラントねじが顎骨に固定されて、適切に治ると、歯冠などの義歯をインプラントねじに結合することができる。
一態様では、基礎部材は、外側周辺部と中央開口部との間に配置される2つのねじ孔を含む。一実施例として、基礎部材は、形状をほぼ長方形とすることができ、2つのねじ孔が、基礎部材の隅部中に配置される。これは、患者の顎骨に基礎部材をさらに固定するように働く。また、基礎部材が長方形であるとき、また、外科医は、顎骨の長方形部分を外科的に除去することができて、それにより、基礎部材は顎骨中のその結果得られたくぼみ内にうまくはめ込まれることになる。
別の態様では、基礎部材の上部側は、同上部側が患者の顎骨の上部表面とほぼ同一平面になるように、顎骨内に埋め込むことができる。さらなる態様では、上部側は、基礎部材との歯冠の非回転の位置合わせを確保するために、歯冠上の対応する外形と嵌合するように構成される少なくとも1つの嵌合可能な(matable)外形をさらに含むことができる。インプラントねじは、ねじが切られた孔をさらに含むことができ、歯冠はボルトを含むことができ、それにより、同ボルトをねじが切られた孔中にねじ込むことができる。
また別の態様では、基礎部材は、ほぼ平坦な底部側を有することができ、中央開口部は、上部表面から底部表面まで一定のテーパで内側に先細りにすることができる。さらに、基礎部材は、直線状のテーパで内側に上部表面から底部表面まで先細りにされており、したがって上部表面は、底部表面より表面積が広い外側周辺部を有することができる。
いくらかの場合、基礎部材の外側周辺部は、基礎部材の表面積を広くするために、粗面化することができる。次いで、これは、基礎部材までの骨の成長を増進させるように働く。
別の実施形態では、本発明によって、治療部位にて患者の顎骨内に埋め込まれるように適合される基礎部材を含む歯科用インプラント・システムが、提供される。基礎部材は、外側周辺部を画定するほぼ平坦な上部側と、底部側と、中央開口部と、中央開口部と外側周辺部との間に配置される少なくとも1つのねじ孔とを有する。また、システムは、頭部と、基礎部材の中央開口部を貫通して患者の顎骨中に進むように適合されるねじが切られた端部とを含むインプラントねじを含む。インプラントねじの頭部は、ねじが切られた端部が患者の顎骨中にねじ込まれた後、基礎部材の中央開口部内に着座するように適合される。システムは、サイズがインプラントねじより小さく、頭部及びねじが切られた端部を有する固定ねじをさらに含む。固定ねじのねじが切られた端部は、基礎部材のねじ孔を貫通して、患者の顎骨中に進む。この方法では、固定ねじは、基礎部材を患者の顎骨にさらに固定するのに役立てるために、使用することができる。次いで、これは、インプラントねじ及びインプラントねじに結合されることになる義歯を安定化するために役立つ。
一態様では、中央開口部はテーパ状にされ、面取りした縁部を有する。また、インプラントねじは、テーパ状の中央開口部内に着座されるテーパ状の頭部部分を有する。また、この具体的な構成は、基礎部材とインプラントねじとの間の微量な漏れを防止する上で有用である。
別の態様では、基礎部材は形状がほぼ長方形であり、固定孔は基礎部材の隅部中に配置される。1つの具体的で有用な構成では、基礎部材は、2つの固定ねじとともに使用するために、2つの固定孔を有する。固定孔は、基礎部材の対向する隅部中に配置される。また、固定孔はテーパ状の部分を有することができ、固定ねじの頭部はテーパ状の部分を有することができる。さらに、固定ねじは、それぞれが、先のとがった端部を有し、直径が約1.5mmである。
さらなる態様では、基礎部材は、外側周辺部上に位置付けられる複数の保持溝を含む。また、基礎部材の外側周辺部は、上部表面から底部表面まで内側にテーパ状にされ、それにより、上部表面は、底部表面より表面積を広くすることができる。この構成の場合、テーパは、保持溝の下から始まってもよい。さらに、基礎部材の外側周辺部は、骨の成長を容易にするために、粗面化される。
システムは、様々な義歯とともに使用することができる。たとえば、歯冠は、インプラントねじの頭部に搭載することができる。いくらかの場合、基礎部材の上部側は、少なくとも1つの嵌合可能な外形を含むことができ、また、歯冠は、歯冠を基礎部材に非回転に固定するために、基礎部材上の外形と嵌合する、対応する嵌合可能な外形を含むことができる。インプラントねじは、ねじが切られた孔を含むことができ、歯冠はボルトを含むことができ、それにより同ボルトをねじが切られた孔中にねじ込むことができる。
また別の実施形態では、本発明によって、歯科用歯冠を患者の顎骨に固定するためのプラットフォームが、提供される。プラットフォームは、患者の顎骨内に治療部位で埋め込まれるように適合される基礎部材を含む。基礎部材は、ほぼ平坦な上部側と、ほぼ平坦な底部側と、外側周辺部と、中央開口部と、中央開口部と外側周辺部との間に配置されるねじ孔とを有する。中央開口部は、内側に一定のテーパで上部表面から底部表面まで先細りにされており、インプラントねじを受け入れるように構成される。上部側は、歯冠の基礎部材との非回転の位置合わせを確保するために、歯冠上の対応する外形と嵌合するように構成される少なくとも1つの嵌合可能な外形をさらに含むことができる。
一態様では、外側周辺部は、複数の保持溝を含むことができ、外側周辺部は、直線状のテーパで内側に保持溝から底部表面まで先細りにされており、それにより、上部表面は、底部表面より表面積を広くすることができる。別の態様では、基礎部材は、形状をほぼ長方形とすることができ、固定孔は、基礎部材の隅部中に配置される。また、2つ以上の固定孔及び固定ねじを使用することができる。
以下は、本発明の具体的な実施形態の議論及び記述であり、それらは、図面を参照してなされ、同一の参照番号が、同一又は同様の要素及び/又は構造を示すために使用される。かかる議論及び記述は、本発明の範囲を不当に限定することを意味しないことに留意すべきである。
第1及び第2の臼歯及び小臼歯を失った後の歯のないスペースを回復することは、問題となる恐れがある。それは、これらの歯が、通常、その形状が正方形又は長方形であることに起因する。通常の歯科的処置では、丸い歯科用インプラントを使用して、このスペースが回復される。歯冠をインプラント上に配置すると、同歯冠と隣接する歯との間に過大な間隙が生じる。これらのスペースに食物が閉じ込められ、最終的には隣接する歯を虫歯にすることになるであろう。この問題は、一般的には、インプラントは丸い形状であるのに、ほぼ正方形又は長方形のスペースに入れようとするために生じる。
本発明の1つの重要な特徴は、正方形又は長方形の歯冠をインプラント上に配置したときに歯冠と隣接する歯との間のスペースを最小にするように、この歯がないスペースをほぼ満たすプラットフォームを提供するための方法である。本発明のプラットフォームはほぼ正方形又は長方形であり、歯冠を取り付ける際に都合のよい表面となるようにインプラントの周囲に配置される。いくらかの場合、プラットフォームを患者の顎骨内で皿穴に埋めることができるように、患者の顎骨の一部分が除去され得る。この方法では、歯冠がプラットフォーム上に配置されたとき、それは、隣接する歯とほぼ位置合わせされることになるのみならず、顎骨はプラットフォームの周囲にて成長して、歯冠を支持するための安定した表面をもたらすようになる。
大部分の市販で入手できるインプラントと関連して、広範なプラットフォームを使用することができる。典型的には、プラットフォームの外側周辺部はほぼ長方形又は正方形であり、それを貫通してインプラントを挿入することができる中央開口部を有するであろう。プラットフォームの上部表面は、典型的には平坦な形状である。しかしながら、それは、プラットフォームに対して歯冠が回転するのを防止するために、歯冠及び/又はアバットメント上の対応する外形と嵌合するための1つ又は複数の戻り止め又は他の外形を含むことができる。また、プラットフォームは、小さな外科用ねじがプラットフォームを貫通して顎骨中に挿入されるのを可能にする1つ又は複数の孔を含むことができ、それにより、同プラットフォームを患者の顎骨にさらに固定することができる。これらの孔は、外科用ねじが、プラットフォームの上部表面とほぼ同一平面になるように、皿穴とすることができる。プラットフォームの外側表面及び底部表面は、骨の治癒及びプラットフォームへの骨の成長を容易にするために、種々の溝又は粗面を有することができる。
一旦プラットフォームがしっかりと所定の位置に収容されると、同プラットフォームは基本的に歯冠の外側形状に一致するように、円形のインプラントを正方形又は長方形のインプラントに変形する。この方法により、そうでなければ、インプラント及び歯冠の留置により生じるかもしれない虫歯及び歯の脱落を防止するべく隣接する歯の間の間隙又はスペースを最小にできる。
図1は、顎16上に着座させるための基礎24を有する改良型の歯インプラント・アセンブリ20の側面図である。一実施形態では、歯インプラント・アセンブリ20は、基礎プレート24、基礎取り付け締め具28(又はインプラントねじ又は単にインプラントと称される)、歯冠取り付け締め具34、歯冠支持機構36(図2)及び歯の歯冠38を含む。
一般に、歯インプラント・アセンブリ20は、i)着座及び接続するべく構成された下側部分23を有する歯冠部分22と;ii)歯冠部分22を嵌合可能に受け入れるように適合される上部部分と、顎16の1つの骨14上に直接着座する(又は、その中に埋め込まれる)ように適合される下部部分と、を有する基礎24であって、同基礎24を貫通する直立の、又は中心の開口部26を有する、基礎24と;iii)直立の開口部26の上で、かつその周囲に着座するように適合される頭部29と、顎16中にねじ止め可能に受け入れられて、それによりその上に基礎24を固定する、ねじが切られた端部部分又はシャフト30と、を有する基礎取り付け締め具28と、を含む。インプラント20の基礎24は、顎16にかかる負荷をより良好に分配するために拡大され、それにより、前記歯冠部分22が、より直立する周側壁31を有することがさらに可能になり、それにより、歯冠部分の底部部分と隣接する歯10(図3〜7)との間の歯科空隙又は歯周部のギャップ12(図3〜7)が実質的に低減され、よってその中への食物の詰まり及び堆積が実質的に低減される。一実施形態では、基礎24はほぼ長方形であり、回転できない。
基礎取り付け締め具28は、基礎プレート24の中央開口部26中に挿入されて、それと係合するように適合される。一実施形態では、基礎取り付け締め具28は骨ねじである。
基礎取り付け締め具28の頭部29は、同締め具28の本体中に長手方向に形成された中央孔32を有する。一実施形態では、基礎取り付け締め具28の中央孔32は、ねじが切られたシャフト30中に伸びる。一実施形態では、基礎取り付け締め具28の頭部29は、皿穴にされた中央開口部26にうまくはめ込まれるように適合される皿頭である。
この明細書内では、「顎」16は、上部の顎又は下部の顎のいずれかを含むように意図され定義される。同様に、この明細書内では、「骨」14は、上顎骨又は下顎骨のいずれかを含むように意図され定義される。
基礎24が、除去された歯の底部部分(図示せず)とほぼ同様な大きさに形成された場合、移植された歯冠部分22の対向する側で歯周部のギャップ12は、拡大することがないであろう。基礎24は、インプラント20と隣接する歯10との間の歯周部のギャップ12を最低限にまで最小化するために、さらに拡大することができる。
本発明の一実施形態では、基礎24は、傾斜した周側壁25を有し、底部側の部分は、その面積が上部側の部分より小さい。基礎24の底部側の部分は、顎16の骨14内に埋め込むことができる。これは、基礎24を顎骨に付着する前に、患者の顎骨の一片を除去することによって、実施することができる。あるいは、骨14の強度が問題である場合、基礎24の底部側の部分は、顎16の骨14の垂直曲線にほぼ合わせることができる。
本発明の別の実施形態では、基礎24の周側壁25を、被覆する、又は粗面化して、歯茎8の周側壁25への付着を容易にする。一実施形態では、基礎取り付けねじ28の上部部分は、歯冠取り付けボルト34を受け入れるために、内部にねじが切られた孔又は中央孔32を含む。また、基礎24の上部部分及び歯冠22の底部側の部分は、基礎24上への歯冠部分22の適切かつ非回転の位置合わせを確保するように、嵌合可能に構成することが考えられる。
図2は、インプラント20の基礎プレート24及び歯冠支持機構36のより詳細な図である。歯の歯冠38は、歯冠支持機構36によって支持され、同歯冠支持機構36に取り付けられる。歯の歯冠38、歯冠支持機構36及び歯冠取り付けねじ34は、一緒になって歯冠22を具現化する。
基礎プレート24は、中央開口部26及び冠表面27を有する。用語「冠の(coronal)」及び「頂点の(apical)」は、この明細書では、それぞれ、歯の歯冠の頂点(根)にもっとも近接する構造の縁を述べるために使用される。
一実施形態では、基礎プレート24の中央開口部26は、皿穴にされる。中央開口部26は任意の角度で傾斜させることができ、凹状の角度にさえ傾斜させることができるか、又は、傾斜なしで直線状とすることができる。一実施形態では、冠表面27は平坦な表面である。一実施形態では、基礎プレート24の冠表面27は、複数の直立スタッド44などの係合するための歯手段44を含む。
歯冠支持機構36は、歯冠取り付け締め具34を支持する。歯冠支持機構36は、基礎プレート24の冠表面27上に配置される。一実施形態では、歯冠支持機構36は、冠表面27の戻り止め44(又は、直立スタッドと称する)と係合するための陥凹46を含む。もちろん、陥凹及び戻り止めは、2つの要素の間でそれぞれが対向する要素上にあるか、又は2つの要素の間で相互に混ざった状態とすることができることが理解されるはずである。
一実施形態では、歯冠支持機構36は、カラー40(又はアバットメント・カラーと称する)及び円筒形インサート42を含む。カラー40は、図2では一部分を切り取って示されている。カラー40は、冠縁部50及び頂点縁部52を備える長手方向開口部48を含む。カラー40は、基礎プレート24の冠表面27上に配置される。
円筒形インサート42はカラー40内に配置され、カラー40の冠縁部50によって支持される。円筒形インサート42は、その内部に形成され、かつ歯冠取り付け締め具34を保持するための長手方向チャネル58を有する。
歯冠取り付け締め具34は、基礎取り付け締め具28の中央孔32とねじ式に係合するように適合される。一実施形態では、歯冠取り付け締め具34は、中央孔32とねじ式に係合するように適合されるねじが切られたシャフト56を有する。
また、本技術分野で知られるように、種々の市販の義歯のいずれであっても、インプラント30に結合することができることは理解されるはずである。従って、本発明は、特定の歯冠取り付け締め具、カラー・アバットメント又は義歯に限定されない。むしろ、本発明の実施形態によって、骨に固定される変動しない基礎又はプラットフォームを使用して、インプラントねじ及び義歯を安定化するための方法が提供される。
一般に、歯インプラント又は義歯20を顎16中に移植する方法は、順序を追って進めることが必ずしも必要でない、次の工程を含む。本方法は、一般に上記に述べたもののような歯インプラント20を利用する。顎骨中にパイロット孔6をドリルで開け、その孔は、基礎取り付け締め具28の内径に適合する大きさに作られる。孔6は、歯(図示せず)を除去したことによって残された開いたスペース中において隣接する歯10の間で顎16中の横方向の中心に位置する。十分に歯茎8を除去することによって、基礎24が顎16の骨14上に直接着座するのを可能にする。選択的に、顎骨の一部分は、基礎24が顎骨内に位置し、かつ上部表面と同一平面になることができるように、除去することができる。一度治療部位が外科的に準備されると、基礎取り付け締め具28のねじが切られた端部部分30が、基礎24中の直立開口部26を貫通して配置され、ねじ28は、顎16の骨14中にねじ込まれ、それにより、基礎24が顎16に取り付けられる。以下に述べるように、基礎24は、最初に、基礎を貫通して顎骨中に伸びる1つ又は複数のより小さいねじを使用して、患者の顎骨に固定することができる。これらは、たとえば、基礎24の中央開口部とその外側周辺部との間に配置することができる。基礎24が固定され、ねじ28が所定の位置に置かれると、外科医は、顎16に既に取り付けられた基礎24のまわりの周辺部に、除去された歯茎8を位置付け、うまく合うように除去し、それを維持することができる。歯冠部分22は形作ることができ、基礎24上にうまくはめ込まれるような大きさに作られる底部部分、及び隣接する歯10の間の開いたスペースを満たすのに適切な大きさに作られる上部部分を有することができる。形作られる歯冠部分22は、顎16上に固定される基礎24に取り付けることができる。インプラント20の基礎24は、顎16上にかかる負荷をより良好に分配するように拡大され、それにより、歯冠部分22の底部部分と隣接する歯10との間の歯周部のギャップ12が低減され、その中への食物の詰まり及び堆積も最小になる。この最も一般的な方法は、歯インプラント20の最も一般的な記述の下で上記に特定した装置の限定とともに詳述することができる。
図3〜7に、骨15及び歯茎8を有する顎16内に歯インプラントを設置するための実施形態を示す。図3〜7に示す工程は特定の順序で提示されているが、ここに提示する技術は、この順序の任意の変更例でも実施することができる。さらに、図3〜7に示す工程の間に追加の工程を実施することができる。
図3及び4は、顎16に固定されている基礎プレート24の側面図である。図5は、図4に示す工程の平面図である。一実施形態では、基礎プレート24を顎16に固定する工程は、パイロット孔6をドリルで開ける工程と、顎16から歯茎8及び/又は骨14を除去する工程と、基礎取り付け締め具28のねじが切られたシャフト30を、中央開口部26を貫通して配置する工程と、を含む。通常、基礎プレート24の上部表面が骨14の上部と同一平面になるように、十分に骨を除去することができる。図示していないが、基礎プレート24は、1つ又は複数の貫通孔を含むことができ、それを貫通させる小さな外科用のねじを使用して、基礎プレート24を骨14に固定することができる。これは、取り付けねじ28を挿入する前に、又は挿入した後に、実施することができる。
パイロット孔6は、通常、基礎取り付けねじ28の内径に適合するような大きさに作られる。パイロット孔6は、顎16中で横方向の中心に位置する。また、顎16から十分に歯茎8を除去して、インプラント20の基礎プレート24が、顎16の骨14上に直接着座するのを可能にする(骨が全く除去されていない場合)。基礎取り付けねじ28のねじが切られたシャフト30は、インプラント20の基礎24中の中央開口部26を貫通して配置されている。ねじ28は、顎16の骨14中にねじ込まれ、それにより、基礎プレート24が顎16に取り付けられる。
図6は、基礎プレート24に取り付けられているカラー40を示す側面図である。長手方向の開口部48がカラー40中に設けられる。カラー40は、基礎プレート24の冠表面27上に配置される。歯冠取り付け締め具34が、カラー40を貫通して挿入される。円筒形インサート42がカラー40内に配置される。図7は、カラー40に取り付けられている歯の歯冠38を示す側面図である。
ここで図8及び9を参照して、基礎110の1つの例示の実施形態を述べる。基礎110は、研磨したチタニウム、セラミックス、ジルコニアなど、安定した材料から構築される。基礎110は、ほぼ平坦な上部表面112及び底部表面114を有する。基礎110はまた、4つの外側縁部又は側面116、118、120及び122を有する。基礎110の中心に形成されるのは、中央開口部124であり、それを貫通してインプラントが挿入される。中央開口部124は、同中央開口部124がインプラントの頭部の形状にほぼ一致するように、傾斜されているか、又はテーパ状にされている。このテーパ状の形状は、基礎110とインプラントとの間で微量な漏れをもたらすことを支援する。
基礎110は、ほぼ正方形又は長方形の形状であり、角の取れた隅部を有し得る。通常、側面116及び120の長さは、約7mm〜約12mmの範囲にあり、より典型的には約8mm〜約12mmの範囲にある。対向する側面118及び122の長さは、約5mm〜約10mmの範囲にあり、より具体的には約6mm〜約9mmの範囲内にすることができる。上部112及び底部114間の基礎110の厚みは、通常、約1mm〜約4mm、より典型的には約2mm〜約3mmである。また、側面116、118、120及び122は、上部112から底部114まで所定の角度を持たせることができる。そのように側面が斜めになっていることは、咀嚼力をプラットフォーム及び骨内に指向させ、同咀嚼力を中心のインプラントに移して負荷を均一に分散させるのに特に有用である。また、側面及び底部114は、骨の一体化を容易にするために、粗面化することができる。たとえば、酸化アルミニウムを圧力噴射するマイクロ・エッチング方法を使用することができる。他の方法は、酸エッチング又は側面及び底部の表面積を増加するための他の技術を含む。また、溝130は、基礎110の側面上に配置し、それにより、また表面積を増加し、そして骨の一体化を容易にすることができる。
また、一対のねじ孔132及び134が基礎110を貫通して伸びている。また、これらのねじ孔は、傾斜させるか、又はテーパ状にし、それにより、小さな外科用ねじが、これらの孔を貫通して挿入され、同外科用ねじが上部表面112と同一平面になるのを可能にする。これらの小さなねじは、患者の顎骨中に伸び、基礎110を患者の顎骨に固定するように働く。図示すように、基礎110は、同基礎110の対向する隅部に位置付けられる2つのねじ孔を含む。しかしながら、ねじ孔を異なる数で使用可能であることは理解されるであろう。たとえば、基礎110は、1個だけのねじ孔を用いて構築することができるはずである。あるいは、それには、2つのねじ孔が隣接する隅部中にあり、1つが対向する側面上にある、3つのねじ孔を使用することができるはずである。別の選択肢として、4つのねじ孔が隅部のそれぞれ中に位置付けられる、4つのねじ孔を用いることができるはずである。また、さらなる選択肢としては、基礎110は、患者の顎骨内に基礎110を固定するための骨の接着を信頼して、そのようなねじ孔をいずれも含まないことがある。
基礎110はまた、上部表面112中に2つの戻り止め又はくぼみ138及び140を含む。これらのくぼみは、一旦アバットメントがインプラントに固定されると、基礎110に対するアバットメントの回転移動を防止するために、アバットメント上の嵌合外形を受け入れるように設計される。くぼみを用いて示しているが、他のタイプの非回転外形を使用可能であるは理解されるであろう。たとえば、アバットメント上の戻り止め又はくぼみと嵌合するために、突起部又は尾根部を上部表面112中に含めることができるはずである。また、そのような非回転外形をいくつでも用いることができるはずである。
図10は、基礎110又はインプラントを配置する前の患者の顎骨の横断面図を示す。図10では、患者の顎骨は、符号142によって示され、患者の顎骨の上の組織又は歯茎のラインは、符号144によって示される。図示されるように、1つの歯が除去されて、スペース又は間隙が、隣接する歯146の間に残されている。インプラント又は基礎が配置される前に、適切な孔148がドリルで開けられ、ほぼ正方形又は長方形の陥凹150が、患者の顎骨中に切り込まれる。図11に示すように、基礎110は陥凹150内に固定されている。側面116、118、120及び122が、陥凹150の外側面又は壁とほぼ一致し、一方底部114が顎骨の除去された部分上に位置する。基礎110を所定の位置に固定するために、ねじ151は、ねじ孔132及び134(図8参照)を貫通して顎骨中に挿入されている。ねじ151は、通常、約5mm〜約11mmの範囲内、より典型的には約7mm〜約9mmの範囲内の長さを有することになる。この方法では、基礎110は患者の顎骨142に固定される。上部表面112は患者の顎骨の上部とほぼ同一平面であり、したがって、同上部表面112は、本質的に患者の顎骨の一部分として機能する。基礎110を患者の顎骨に固定するねじ151のより詳細な図を図12に示す。
一旦基礎110が所定の位置に固定されると、インプラント152は、インプラントの頭部が中央開口部124内に着座されるまで、開口部148内にねじ込まれる。この点で、ねじ又は治療キャップがインプラント152の上部端部内に挿入され、同ねじ又は治療キャップは、骨が適切に治癒して基礎110に接着するまで、数週間、所定の位置に留められる。次いで、治療キャップが除去され、アバットメント154(図11参照)が基礎110に固定される。たとえば、六角ボルト156をアバットメント154の中央開口部を貫通してインプラント152中にねじ込むことができる。また、インプラント154の下面上の突起部160が、基礎110上の戻り止め138及び140と嵌合して、基礎110に対するアバットメント154の回転移動を防止する。一旦アバットメント154が所定の位置に固定されると、歯冠などの義歯がアバットメント154に固定される。アバットメント154の外側形状は、ほぼ正方形又は長方形の形状であり、したがって、基礎110の外側形状と一致する。この方法では、アバットメント154上に配置される歯冠と隣接する歯146との間の空隙又はギャップが、最小にされる。典型的には、アバットメント154の外側縁部は、約1mm〜約4mmの側壁116、118,120及び122を備えることになる。これは、アバットメント154の上部上に配置されることになる、結果として生じる歯冠のために十分なスペースをもたらす。
図13は、前の実施形態で述べたようなインプラント及び基礎を配置するために必要な部位を外科的に形成するときに使用することができるテンプレート200の斜視図である。テンプレート200は、患者の歯にはめ込まれるように成形される。テンプレート200はまた、患者の顎骨を治療部位で除去する場合にガイドとして機能する2つの貫通孔202及び204を有する。2つの貫通孔を用いて示しているが、インプラント部位の数に応じて任意の数が使用できることが理解されるべきである。貫通孔202及び204は、具体的には、患者の除去された歯が以前に位置していたところと位置合わせされる。この方法では、ハンドヘルド・ルータなどの外科用装置が、貫通孔202及び204を貫通して誘導されたとき、患者の顎骨中に長方形の陥凹を生成する。
図14は、図13のテンプレート200を使用した場合に患者の顎骨内に形成される陥凹206及び208を示す。また、インプラントを受け入れるためにドリルで開けられた2つの孔210及び212を示す。孔210及び212の上には顎骨中の長方形の陥凹206及び208があり、同長方形の陥凹206及び208は、本明細書に記載される基礎又はプラットフォームを受け入れるような大きさである。
図15は、図11に関連して前に述べたインプラント152、基礎110及び外科用ねじ151を仮想線で示す。また、各基礎の上部上に配置されるのは、歯冠214及び216である。表示の都合のために仮想線で示していないのは、歯冠と基礎との間に位置するアバットメントである。図示されるように、各歯冠及び/又は隣接する歯の間のスペースは、基礎が長方形であることから最小にされる。この方法では、2つの隣接する歯及び/又は歯冠の間に潜在的に取り込まれる恐れがある食物又は他の物質の量は最小限となる。
図16〜19は、歯科用インプラント・システム300の別の実施形態を示す。システム300は、時にはまたプラットフォームと称される基礎部材302を含む。基礎部材302は、平坦な上部側304、底部側306及び外側周辺部308を含む。ここに述べる他の実施形態と同様に、外側周辺部308は、角がとれた隅部を有するほぼ長方形の形状である。外側周辺部は、基礎部材302上に配置される歯冠のサイズとほぼ一致するような大きさに作ることができる。たとえば、以下に示す実施例では、基礎部材302は、長さ(顎骨と位置合わせされる方向で)を約7mm〜約12mmの範囲に、より具体的には約9mmに、幅(顎骨の長さ方向にほぼ垂直である)を約5mm〜約10mmの範囲内に、より具体的には約7mmにすることができる。上部側304から底部側306まで測定される基礎部材302の深さは、約1mm〜約4mmの範囲内に、より具体的には約2.5mmにすることができる。他の形状及びサイズは、具体的には、それが置き換わることになる歯のサイズ及び形状に依存して、可能である。単に例として、基礎部材302は、円形、長円形、正方形、八角形、六角形、又は歯の形状に形作られるカスタム品とさえすることができる。基礎部材302の側面のすべて、又はその一部分だけをテーパ状にし、それにより、上部側304は、底部側306より表面積を広くすることができる。図示される実施例では、基礎部材302のほぼ上部3分の1が、上部側304と垂直な側面を有する。側壁の底部3分の2が、所定の角度で内向きにテーパ状となっている。側壁をテーパ状とする理由は、基礎部材302を患者の顎骨のくぼませた領域中に配置させるのを容易にするためである。側壁をテーパ状とすることによって、医師は、より容易に基礎部材302を陥凹中に配置することができ、比較的ぴったりと嵌合させることができる。
基礎部材302を構築するために使用することができる材料としては、チタニウム、セラミックス、ジルコニアなどを含む。本明細書で述べる他の実施形態のように、基礎部材302の壁及び底部側306は、骨の成長又は骨結合(osseointegration)を増進するために、粗面化する、被覆する、又は基礎部材の表面積を増加するための表面処理を用いて処理することができる。
基礎部材302は、同基礎部材302を完全に貫通して伸びる中央開口部312をさらに含む。中央開口部312は、上部側304から底部側306までテーパ状として、以下に述べるように、インプラントねじ314の間に冷間溶接部が形成されるのを可能にする。基礎部材302は、一対の陥凹316及び318をさらに含む。図19に最良に示すように、陥凹316及び318は、上部側304の対角線上に配置され、形状が円筒形である。陥凹316及び318は、それぞれが、位置合わせピン320を受け入れるように設計される。これらの位置合わせピンは、基礎部材302の上部側304上でアバットメント322を位置合わせするために使用される。ピン320はまた、基礎部材302に対してアバットメント322が回転するのを防止するために使用される。ピン320は、通常、人の指で加えられる力によって、陥凹316及び318中に圧入される。ピン320は円筒形の形状であり、基礎部材302に使用される材料と同様の材料から構築することができる。また、ピン320の底部端部322は、陥凹316及び318中への導入を容易にするために、面取りすることができる。他の実施形態と同様に、また、戻り止め又は他のかみ合い要素を含む、他の位置合わせ又は回転防止機構を使用することも可能である。
2つの陥凹及び位置合わせピンを用いて示しているが、1のピン、又は3つ以上のピンなどのような他の数を含むことができることが理解される。さらに、陥凹及びピンは、他のサイズ、形状、及び基礎部材302上の位置を有することができる。たとえば、ピンを正方形にし、基礎部材302の2つの対向する側面の間の中ほどに位置付けることができる。
インプラントねじ314は、ねじが切られた端部326、頭部328及びテーパ状の頭部部分330を含む。ねじが切られた開口部332が頭部328を貫通して伸びている(図18参照)。ねじが切られた端部326は、基礎部材302の中央開口部321を貫通した後、患者の顎骨中にねじ込まれるように構成される。通常、インプラントねじ314は、骨中に完全に埋め込まれるのに十分な、基礎部材302の下で伸びる長さを有することになる。インプラントねじ314は、チタニウム等の生体適合性のある材料から構築することができる。テーパ状の部分330は、中央開口部312の表面と直接接触する、滑らかな外側表面を有する。インプラントねじ314にトルクを加えたとき、冷間溶接部が、テーパ状の部分330と基礎部材302との間に形成されて、細菌が下側に侵入して顎骨中に入ることを回避する。
ねじが切られた開口部332は、アバットメント322を基礎部材302に固定する捕捉ねじ340を受け入れるように構成される。捕捉ねじ340は、頭部343を備える上側端部342と、ねじが切られた下側端部344とを有する。また、上側端部342は、滑らかな胴部346を含む。
アバットメント322は、底部表面350及び上部表面352を含む。貫通孔354が、アバットメント322を貫通して伸び、そして基礎部材302の上部側304に対してインプラント352を固定して着座させるために、捕捉ねじ340の頭部343と係合するように構成される肩部356(図18参照)を含む。また、陥凹323及び325は、位置合わせピン320を受け入れるために使用される。
貫通孔354の下側部分は、円筒形の位置決めスリーブ360を受け入れるように構成される。位置決めスリーブ360の内側表面は、胴部346のまわりに配置されるように構成される。位置決めスリーブ360は、上部端部362及び面取りされた底部端部364を含む。位置決めスリーブ360は、インプラントねじ314の頭部328中に、好ましくは圧入によって、配置されるように構成される。そうするために、頭部328は、ねじが切られた開口部332の上に位置付けられるスペース366を含む。位置決めスリーブ360は、アバットメント322と基礎部材302との位置合わせを容易にするように働くのみならず、これらの2つの要素を互いに機械的に固定するようにも働く。いくらかの場合、位置決めスリーブ360を省略することができ、この要素を任意選択とすることができる。スペース366はまた、インプラントねじ214を締めるとき、アレン・レンチなどのトルク工具を受け入れるために使用される。図19に最良に示すように、スペース366は、形状を六角形とすることができるが、他の形状を使用することもできる。位置決めスリーブ360は、基礎部材302上にアバットメント322を配置し、また、ねじが切られた開口部332中に捕捉ねじ340を配置するのを容易にするために使用される。使用の際、位置決めスリーブ360は、中央開口部312を貫通させて、インプラントねじ314のスペース366中に圧入させるが、底部端部364の面取りした面が、その収容を容易にしている。位置決めスリーブ360は、肩部370上に位置するまでスペース366中に挿入される。次いで、アバットメント322が基礎部材302上に配置され、位置決めスリーブ360が、好ましくは圧入によって貫通孔354中に伸びている。次いで、捕捉ねじ340が貫通孔354を貫通して挿入し、同捕捉ねじ340は位置決めスリーブ360を貫通して開口部332中に進むことができる。
また、捕捉ねじ340は、レンチが捕捉ねじ340にトルクを加えるのを可能にする六角形開口部380を頭部343中に含む。捕捉ねじ340を回してインプラントねじ314中にねじ込むことによって、インプラント322の底部表面350は、基礎部材302の上部側304に対し押し進められて、ぶつかる。上部側304及び底部表面350の両方は、ねじ340を締めたとき、それらの間に約20ミクロンを超えるスペースを生じさせないように十分に滑らかなに製造される。この方法では、アバットメント322と基礎部材302との間が密封される。
ここで図20〜28を参照して、図16〜19の歯科用インプラント・システムを配置するための1つの例示的な方法を述べる。図20は、歯が除去されて、歯402と歯404との間に開口部が残されている患者の顎骨400の横断面を示す。最初に組織406を切り裂き、蓋状の組織に切開することによって、外科的な部位408で骨400を露出させる。
図21では、骨400の一部分を除去して陥凹410を形成する。骨400は、ルータ、ドリルなどの使用によることを含む、様々な方法で除去することができる。陥凹410は、基礎部材を骨400に完全に固定するために必要になる骨の成長が、最小になるように、基礎部材のサイズ、形状及び深さと同じであるように形成することが好ましい。次いで、基礎部材302は、上部側304が、ちょうど歯茎ラインの下で骨400の上部とほぼ同一平面になるように、陥凹410内に配置される。この方法では、基礎部材302が骨400内に一体化されたとき、それは、手術前の骨と同じ全体形状となる。骨が適切に一体化すると、陥凹410内に基礎部材302を保持するために、追加の固定ねじを必要としなくてもよく、それにより、アバットメント322の上部側304と底部表面350との間に、より滑らかな表面が提供される。
図23に示すように、基礎部材302を所定の位置に配置させた後、基礎部材302の中央開口部312を貫通させるドリル・ビット420を使用して、骨400中に孔を開ける。骨400の開口部が、インプラントねじを受け入れるのに十分に大きくなるまで、大きな直径を有するより大きいドリル・ビットを順次使用することができる。たとえば、3つの次第に大きくなるドリル・ビットを使用して、骨400に孔を形成することができる。図24に示すように、次いで、インプラントねじ314は中央開口部312を貫通させて、骨400中の開口部中に挿入される。インプラントねじ314は、テーパ状の頭部部分330が、中央開口部312内に完全に着座されるまで締められる。トルク・レンチを用いて約35Ncmの力を加えて、インプラントねじ314を完全に取り付けて、液体又は細菌が中央開口部312を通ってしみ込むのを防止するように密封することができる。
図25に示すように、治療カバー430が、インプラントねじ314の開口部332中にねじ止めされる。治療カバー430は、上部側304の外側周辺部まで延在する、最大高さが約2mmの薄型のカバーである。組織406が、カバー430の上にわたって縫合され、約3ヵ月間、所定の位置に放置され、その間に外科的な部位が治癒する。治癒し終わったとき、骨の基礎部材302との一体化が生じており、組織406を除去してカバー430を露出させ、次いで、同カバー430は基礎部材302から除去する。
組織輪郭形成キャップ432(図26参照)をインプラントねじ314及び基礎部材302に固定して、外科的な部位がアバットメントをすぐに受け入れることができるように、同外科的な部位で組織を形成させる。組織輪郭形成キャップ432は約2週間所定の位置に放置し、その後除去される。
組織輪郭形成キャップ432の除去に続き、図27に示すように、アバットメント322が基礎部材302上に配置される。そうするために、位置決めスリーブ360をスペース366中に挿入して、所定の位置に押し込むことができる。また、位置合わせピンは基礎部材302の陥凹316及び318中に配置することができる。アバットメントは、上部側304に向けて移動され、位置決めスリーブ360が貫通孔354中に伸びており、ピン320が陥凹323及び325中に進んでいる。捕捉ねじ340は、貫通孔354を貫通してインプラントねじ314の開口部332中に挿入する。トルク・レンチを使用して通常約25Ncmの力で捕捉ねじ340を締め、それにより、アバットメント322と基礎部材302との間が密封される。
インプラント322が所定の位置になると、歯冠の印象が作られる。図28に示すように、歯冠450が、アバットメント322上にセメントで固定される。
上述の記載は、本発明を例示するのみであり、完全であること、又は開示された正確な形態に本発明を限定することを意図していない。当業者は、本発明から逸脱せずに、様々な代替え形態及び修正形態を考え出すことができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲に含まれる、かかる代替え形態、修正形態及び変更形態をすべて包含する。