JP2013514262A - ケラチン繊維を処理する方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ケラチン繊維を処理する方法であって、
ケラチン繊維上に、少なくとも1つのUV遮蔽剤を含む組成物を適用するステップと、
次いで、該ケラチン繊維を閉塞空間中に配置するステップと、
次いで、該ケラチン繊維を加熱するステップと
を含み、
該組成物が、還元剤も、式:
Figure 2013514262

(式中、
Xは、O-、OH、NH2、O-OH及びO-COO-からなる群から選択される基である)
の炭酸イオン源も含有しない、方法に関する。本発明は、更に、前述の方法に使用するための組成物自体及びキットに関する。

Description

本発明は、ケラチン繊維(毛髪等)を処理する方法、並びに、該方法に使用される組成物及びキットに関する。
ケラチン繊維(毛髪等)が日常的に受けなければならない多くの物理的なストレス(UV、シャンプー、ブラッシング等)及び化学的なストレス[着色、パーマ、リラクシング(relaxing)、汚染等]があることから、損傷したケラチン繊維の有効な修復についての研究が、ケラチン繊維の美容処理において重要になっている。
損傷したケラチン繊維の修復は、元の状態のケラチン繊維に戻ったという現実的な感覚が得られて価値がある。更に、そうした修復処理は、前述のような多様なストレスに対して有効であるべきである。
これまでに提案されている、損傷したケラチン繊維の処理として公知の技術(組成物及び/又は方法)は、そうした技術が多くの場合は一時的でありケラチン繊維の元の状態の正しい回復を達成しないという点に限って言えば、未だに不十分である。更に、ケラチン繊維のための効率的な保護系を見出すことに対する関心は依然として強い。
UV遮蔽剤は、スキンケア製品に広く用いられ、太陽によるストレス及び攻撃からの、紫外線に敏感な皮膚の保護に有効であることが知られている。例えば、US-A-2005-166336を参照されたい。
毛髪等のケラチン繊維もまた、紫外線に敏感である。したがって、紫外線による毛髪の損傷を予防するのに実際に役立つ組成物及び方法が必要である。
US-A-2005-166336 米国特許第5,624,663号 EP-669,323 米国特許第2,463,264号 米国特許第5,237,071号 米国特許第5,166,355号 GB-2,303,549 DE-197,26,184 EP-893,119 EP-0,832,642 EP-1,027,883 EP-1,300,137 DE-10162844 WO93/04665 DE-19855649 EP-0,967,200 DE-19746654 DE-19755649 EP-A-1,008,586 EP-1,133,980 EP-133,981 米国特許第6,225,467号 WO2004/085412 WO06/035000 WO06/034982 WO06/034991 WO06/035007 WO2006/034992 WO2006/034985
「Symmetrical Triazine Derivatives」、IP.COM Journal、IP.COM INC、WEST HENRIETTA、NY、US(2004年9月20日) Cosmetics & Toiletries、1990年2月、105巻、53〜64頁
UV遮蔽剤を用いた多くの組成物及び方法が、紫外線からのケラチン繊維の保護について提案されている。
それにもかかわらず、かかる組成物及び方法の保護能力に関して、依然としてこれらを更に改善する必要がある。
したがって、本発明の目的は、良好な美容効果、とりわけ、優れたUV保護効果並びに優れた修復効果又は回復効果をケラチン繊維にもたらし、長時間にわたり多様なストレスに対して有効であり得るUV遮蔽剤を、しかも比較的少量で使用した、ケラチン繊維(毛髪等)の新しい処理方法を提供することである。
前述の本発明の目的は、ケラチン繊維を処理する方法であって、
該ケラチン繊維上に、少なくとも1つのUV遮蔽剤を含む組成物を適用するステップと、
次いで、該ケラチン繊維を閉塞空間中に配置するステップと、
次いで、該ケラチン繊維を加熱するステップと
を含み、
該組成物が、還元剤も、式:
Figure 2013514262
(式中、
Xは、O-、OH、NH2、O-OH及びO-COO-からなる群から選択される基である)
の炭酸イオン源も含有しない、方法により達成できる。
前述の方法は、該組成物をケラチン繊維上に適用するステップの後及び/又はケラチン繊維を加熱するステップの後にケラチン繊維をすすぐステップを更に含んでもよい。
ケラチン繊維に機械的張力を与えてもよい。機械的張力は、カーラー、ローラー、プレート及びアイロンからなる群から選択される少なくとも1つの再成形手段(reshaping means)を用いることにより与えてもよい。
該閉塞空間は、少なくとも1つのコーティング手段により形成されてもよい。該コーティング手段は、硬質又は軟質であってもよい。該コーティング手段は、フィルム及びシートからなる群から選択される少なくとも1つの部材を含んでもよい。
前述の方法において、ケラチン繊維を加熱するステップの間、ケラチン繊維は45℃から250℃で加熱されてもよい。ケラチン繊維は、熱風、熱蒸気、高周波誘導加熱、マイクロ波加熱、赤外線照射、レーザー及びフラッシュランプ照射からなる群から選択される少なくとも1つを供給する少なくとも1つの加熱器により加熱されてもよい。該コーティング手段及び/又は該再成形手段は、該加熱器を備えていてもよい。
UV遮蔽剤は、有機UV遮蔽剤であってもよい。UV遮蔽剤は、アントラニラート;ジベンゾイルメタン誘導体;ケイ皮酸誘導体;サリチル酸誘導体;カンファー誘導体;ベンゾフェノン誘導体;β,β-ジフェニルアクリレート誘導体;トリアジン誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体;ベンザルマロナート誘導体;ベンズイミダゾール誘導体;イミダゾリン;ビス-ベンゾアゾリル誘導体;p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体;メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体;ベンゾオキサゾール誘導体;UV吸収ポリマー;α-アルキルスチレンに由来する二量体;4,4-ジアリールブタジエン;及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。具体的には、UV遮蔽剤は、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、ホモサラート、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾアート、4-メチルベンジリデンカンファー、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、エチルヘキシルトリアゾン、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(テルフェニル)-1,3,5-トリアジン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン-15、ジネオペンチル4'-メトキシベンザルマロナート、1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,-3,5-トリアジン、カンファーベンジルコニウムメトスルファート及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。
該組成物は、該UV遮蔽剤を、該組成物の総重量に対し、0.01重量%から40重量%の量で含んでもよい。該組成物のpHは、6から11の範囲とすることができる。
本発明の別の態様は、閉塞空間中で加熱されるケラチン繊維を処理するための組成物であって、少なくとも1つのUV遮蔽剤を含み、
還元剤も、式:
Figure 2013514262
(式中、
Xは、O-、OH、NH2、O-OH及びO-COO-からなる群から選択される基である)
の炭酸イオン源も含有しない、組成物である。
本発明は、更に、ケラチン繊維を処理するためのキットであって、
閉塞空間を形成するための少なくとも1つのコーティング手段、及び
該閉塞空間中でケラチン繊維を加熱するための少なくとも1つの加熱器を備える装置と、
少なくとも1つのUV遮蔽剤を含み、
還元剤も、式:
Figure 2013514262
(式中、
Xは、O-、OH、NH2、O-OH及びO-COO-からなる群から選択される基である)
の炭酸イオン源も含有しない、組成物と
を含む、キットに関する。
鋭意検討の結果、本発明者らは、ケラチン繊維のためのある特定の加熱方法と組み合わせてUV遮蔽剤を含む組成物を用いることにより、良好な美容効果をもたらすこと、特に、長期間様々なストレスに対して有効であり得る優れたUV保護効果並びに優れた修復効果又は優れた回復効果を毛髪等のケラチン繊維にもたらすことがUV遮蔽剤を用いて可能であるということを発見した。
前述の特定の加熱方法は、ケラチン繊維からの水又は水分の蒸発を制限し、ケラチン繊維を高温にて好ましくは湿った状態で維持する、閉鎖環境又は閉塞環境において実施される。それにより、ケラチン繊維を均等に加熱することができ、UV遮蔽剤は、ケラチン繊維の中に容易に浸透し又はその上に沈着することができることから、シャンプー等の何らかのストレスの後でも、UV遮蔽剤は、ケラチン繊維の中又は上に長時間にわたり残ることができる。
UV遮蔽剤は、ケラチン繊維上又はその中に容易に留まることができることから、本発明による方法は、UV遮蔽剤がケラチン繊維上又はその中に留まることが難しい従来の方法と比較して、比較的少量であってもUV遮蔽剤を用いることにより、良好な美容効果を呈することができる。
本発明において使用される組成物は、チオール化合物等の還元剤を含有しなくてもよい。したがって、還元剤に由来する悪臭を防止できる。更に、本発明において使用される組成物は、先に定義したように、炭酸イオン源を含有しなくてもよい。したがって、ケラチン繊維上又はその中へのUV遮蔽剤の沈着又は浸透を阻害しうる泡を形成する二酸化炭素を生じる可能性がないため、美容処理がより有効になり得る。
(組成物)
本発明に使用される組成物は、少なくとも1つのUV遮蔽剤を含む。
本明細書では、「UV」という用語は、UVB領域(波長260〜320nm)及びUVA領域(波長320〜400nm)を含む。したがって、UV遮蔽剤は、UVの波長、特にUVA及びUVB領域の波長における遮蔽効果を有する任意の材料を意味する。
UV遮蔽剤は、親水性及び/又は親油性及び/又は一般に用いられる化粧用溶媒に適度に不溶性である、UV-A及び/又はUV-B領域において活性な有機及び/又は無機UV遮蔽剤であってよい。UV遮蔽剤は、有機UV遮蔽剤であることが好ましい。
親水性、親油性又は不溶性有機UV遮蔽剤は、具体的には、アントラニラート;ジベンゾイルメタン誘導体;ケイ皮酸誘導体;サリチル酸誘導体;カンファー誘導体;ベンゾフェノン誘導体;β,β-ジフェニルアクリレート誘導体;トリアジン誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体;ベンザルマロナート誘導体、特に、米国特許第5,624,663号に引用されているもの;ベンズイミダゾール誘導体;イミダゾリン;EP-669,323及び米国特許第2,463,264号に記載されているもの等のビス-ベンゾアゾリル誘導体;p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体;メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体、米国特許第5,237,071号、米国特許第5,166,355号、GB-2,303,549、DE-197,26,184及びEP-893,119に記載されているもの等;EP-0,832,642、EP-1,027,883、EP-1,300,137及びDE-10162844に記載されているもの等のベンゾオキサゾール誘導体;特にWO93/04665に記載されているもの等の、遮断ポリマー及び遮断シリコーン;DE-19855649に記載されているもの等のα-アルキルスチレンに由来する二量体;EP-0,967,200、DE-19746654、DE-19755649、EP-A-1,008,586、EP-1,133,980及びEP-133,981に記載されているもの等の4,4-ジアリールブタジエン;及びそれらの混合物から選択することができる。
有機UV遮蔽剤の例として、以下のINCI名で下記に表されるものを挙げることができる。
パラアミノ安息香酸誘導体:PABA、PABAエチル、ジヒドロキシプロピルPABAエチル、ISPによって「Escalol 507」という商標で特に販売されているジメチルPABAエチルヘキシル、グリセリルPABA、及びBASFによって「Uvinul P25」という商標で販売されているPEG-25 PABA;
ジベンゾイルメタン誘導体:Hoffmann-LaRocheによって「Parsol 1789」という商標で特に販売されているブチルメトキシジベンゾイルメタン、及びイソプロピルジベンゾイルメタン;
サリチル酸誘導体:Rona/EM Industriesによって「Eusolex HMS」という商標で販売されているホモサラート、Haarmann and Reimerによって「Neo Heliopan OS」という商標で販売されているサリチル酸エチルヘキシル、Scherによって「Dipsal」という商標で販売されているサリチル酸ジプロピレングリコール及びHaarmann and Reimerによって「Neo Heliopan TS」という商標で販売されているサリチル酸TEA;
ケイ皮酸誘導体:Hoffmann-LaRocheによって「Parsol MCX」という商標で特に販売されているメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、Haarmann and Reimerによって「Neo Heliopan E 1000」という商標で販売されているメトキシケイ皮酸イソアミル、シノキサート、メトキシケイ皮酸DEA、メトキシケイ皮酸ジイソプロピル、及びジメトキシケイ皮酸エチルへキサン酸グリセリル;
β,β-ジフェニルアクリレート誘導体:BASFによって「Uvinul N539」という商標で特に販売されているオクトクリレン、及びBASFによって「Uvinul N35」という商標で特に販売されているエトクリレン;
ベンゾフェノン誘導体:BASFによって「Uvinul 400」という商標で販売されているベンゾフェノン-1、BASFによって「Uvinul D50」という商標で販売されているベンゾフェノン-2、BASFによって「Uvinul M40」という商標で販売されているベンゾフェノン-3又はオキシベンゾン、BASFによって「Uvinul MS40」という商標で販売されているベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、Norquayによって「Helisorb 11」という商標で販売されているベンゾフェノン-6、American Cyanamidによって「Spectra-Sorb UV-24」という商標で販売されているベンゾフェノン-8、BASFによって「Uvinul DS-49」という商標で販売されているベンゾフェノン-9、ベンゾフェノン-12、及びn-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾアート;
ベンジリデンカンファー誘導体:Chimexによって「Mexoryl SD」という商標で製造されている3-ベンジリデンカンファー、Merckによって「Eusolex 6300」という商標で販売されている4-メチルベンジリデンカンファー、Chimexによって「Mexoryl SL」という商標で製造されているベンジリデンカンファースルホン酸、Chimexによって「Mexoryl SO」という商標で製造されているカンファーベンザルコニウムメトスルファート、Chimexによって「Mexoryl SX」という商標で製造されているテレフタリリデンジカンファースルホン酸、及びChimexによって「Mexoryl SW」という商標で製造されているポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー;
フェニルベンズイミダゾール誘導体:Merckによって「Eusolex 232」という商標で特に販売されているフェニルベンズイミダゾールスルホン酸、及びHaarmann and Reimerによって「Neo Heliopan AP」という商標で販売されているフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム;
フェニールベンゾトリアゾール誘導体:Rhodia Chimieによって「Silatrizole」という商標で販売されているドロメトリゾールトリシロキサン、及びFairmount Chemicalによって「Mixxim BB/100」という商標で固体形態で販売されている又はCiba Specialty Chemicalsによって「Tinosorb M」という商標で水性分散液として微粉化した形態で販売されているメチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール;
トリアジン誘導体:Ciba-Geigyによって「Tinosorb S」という商標で販売されているビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、BASFによって「Uvinul T150」という商標で特に販売されているエチルヘキシルトリアゾン、Sigma 3Vによって「Uvasorb HEB」という商標で販売されているジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン、米国特許第6,225,467号、WO2004/085412(化合物6及び9を参照されたい)又は「Symmetrical Triazine Derivatives」、IP.COM Journal、IP.COM INC、WEST HENRIETTA、NY、US(2004年9月20日)に記載されているシンメトリカルトリアジン遮断剤、具体的には、WO06/035000、WO06/034982、WO06/034991、WO06/035007、WO2006/034992及びWO2006/034985においてやはり取り上げられている2,4,6-トリス(ビフェニル)-1,3,5-トリアジン(特に、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン)及び2,4,6-トリス(テルフェニル)-1,3,5-トリアジン;
アントラニル誘導体:Haarmann and Reimerによって「Neo Heliopan MA」という商標で販売されているアントラニル酸メンチル;
イミダゾリン誘導体:エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオナート;
ベンザルマロナート誘導体:ジネオペンチル4'-メトキシベンザルマロナート、及びHoffmann-La Rocheによって「Parsol SLX」という商標で販売されているポリシリコーン-15等のベンザルマロナート官能基を含むポリオルガノシロキサン;4,4-ジアリールブタジエン誘導体:1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン;及び
ベンゾオキサゾール誘導体:Sigma 3VによってUvasorb K2Aの商標で販売されている2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,-3,5-トリアジン、
及びそれらの混合物である。
好ましい有機UV遮断剤は、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、ホモサラート、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾアート、4-メチルベンジリデンカンファー、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、エチルヘキシルトリアゾン、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(テルフェニル)-1,3,5-トリアジン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン-15、ジネオペンチル4'-メトキシベンザルマロナート、1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン、カンファーベンジルコニウムメトスルファート及びそれらの混合物から選択される。
無機UV遮蔽剤は、コーティングされていてもコーティングされていなくてもよい金属酸化物から形成された顔料(1次粒子の平均サイズ:一般に、5nmから100nm、好ましくは、10nmから50nm)、例えば、(ルチル及び/又はアナターゼの形態の非晶質若しくは結晶の)酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム又は酸化セリウムから形成された顔料等から選択することができ、これらは全て周知のUV光保護剤である。
顔料は、コーティングされていてもコーティングされていなくてもよい。コーティングされた顔料は、アミノ酸、蜜蝋、脂肪酸、脂肪アルコール、陰イオン界面活性剤、レシチン、脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、鉄塩又はアルミニウム塩、金属アルコキシド(チタンアルコキシド又はアルミニウムアルコキシド)、ポリエチレン、シリコーン、タンパク質(コラーゲン、エラスチン)、アルカノールアミン、酸化ケイ素、金属酸化物又はヘキサメタリン酸ナトリウム等、例えば、Cosmetics & Toiletries、1990年2月、105巻、53〜64頁に記載されているもの等の化合物を用いて化学的、電気的、機械化学的及び/又は機械的な性質の1種若しくは複数の表面処理にかけられている顔料である。
公知の方式では、シリコーンは、適当な官能基シランの重合及び/又は重縮合によって得られ、ケイ素原子が酸素原子によって互いに結合(シロキサン結合)され、場合によっては置換された炭化水素基が、炭素原子によって前記ケイ素原子に直接結合されている、主要単位の反復から本質的に構成される、不定の分子量の直鎖又は環状及び分枝状又は架橋された構造を含む、有機ケイ素ポリマー又はオリゴマーである。
「シリコーン」という用語はまた、これらの調製に必要なシラン、特にアルキルシランを包含する。
本発明に適した顔料のコーティング用に使用されるシリコーンは、アルキルシラン、ポリジアルキルシロキサン及びポリアルキルヒドロシロキサンからなる群から好ましくは選択される。更により好ましくは、シリコーンは、オクチルトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサン及びポリメチルヒドロシロキサンからなる群から選択される。
当然ながら、金属酸化物から形成された顔料は、シリコーンでこれらを処理する前に、他の表面処理剤(surfacing agent)、具体的には、酸化セリウム、アルミナ、シリカ、アルミニウム化合物、ケイ素化合物又はそれらの混合物で処理されていてよい。
コーティングされた顔料は、より具体的には、
池田物産株式会社の「Sunveil」という製品等、シリカでコーティングされた酸化チタン;
池田物産株式会社の「Sunveil F」という製品等、シリカ及び酸化鉄でコーティングされた酸化チタン;
Taycaの「Microtitanium Dioxide MT 500 SA」及び「Microtitanium Dioxide MT 100 SA」、Tioxideの「Tioveil」及びRhodiaの「Mirasun TiW 60」という製品等、シリカ及びアルミナでコーティングされた酸化チタン;
石原産業株式会社の「Tipaque TTO-55 (B)」及び「Tipaque TTO-55 (A)」及びKemiraの「UVT 14/4」という製品等、アルミナでコーティングされた酸化チタン;
Taycaの「Microtitanium Dioxide MT 100 T、MT 100 TX、MT 100 Z又はMT-01」という製品、Uniqemaの「Solaveil CT-10 W」及び「Solaveil CT 100」及びMerckの「Eusolex T-AVO」という製品等、アルミナ及びステアリン酸アルミニウムでコーティングされた酸化チタン;
Taycaの「MT-100 AQ」という製品等、シリカ、アルミナ及びアルギン酸でコーティングされた酸化チタン;
Taycaの「Microtitanium Dioxide MT 100 S」という製品等、アルミナ及びラウリン酸アルミニウムでコーティングされた酸化チタン;
Taycaの「Microtitanium Dioxide MT 100 F」という製品等、酸化鉄及びステアリン酸鉄でコーティングされた酸化チタン;
Taycaの「BR351」という製品等、酸化亜鉛及びステアリン酸亜鉛でコーティングされた酸化チタン;
Taycaの「Microtitanium Dioxide MT 600 SAS」、「Microtitanium Dioxide MT 500 SAS」又は「Microtitanium Dioxide MT 100 SAS」という製品等、シリカ及びアルミナでコーティングされ、シリコーンで処理された酸化チタン;
チタン工業株式会社の「STT-30-DS」という製品等、シリカ、アルミナ及びステアリン酸アルミニウムでコーティングされ、シリコーンで処理された酸化チタン;
Kemiraの「UV-Titan X 195」という製品等、シリカでコーティングされ、シリコーンで処理された酸化チタン;
石原産業株式会社の「Tipaque TTO-55 (S)」又はKemiraの「UV Titan M 262」という製品等、アルミナでコーティングされ、シリコーンで処理された酸化チタン;
チタン工業株式会社の「STT-65-S」という製品等、トリエタノールアミンでコーティングされた酸化チタン;
石原産業株式会社の「Tipaque TTO-55 (C)」という製品等、ステアリン酸でコーティングされた酸化チタン;又は
Taycaの「Microtitanium Dioxide MT 150 W」という製品等、ヘキサメタリン酸ナトリウムでコーティングされた酸化チタンである。
シリコーンで処理された他の酸化チタン顔料は、好ましくは、Degussa Silicesによって「T 805」という商標で販売されているもの等、個別の粒子の平均サイズが25nmから40nmであるオクチルトリメチルシランで処理されたTiO2であり;Cardreによって「70250 Cardre UF TiO2SI3」という商標で販売されているもの等、個別の粒子の平均サイズが21nmであるポリジメチルシロキサンで処理されたTiO2;及びColor Techniquesによって「Microtitanium Dioxide USP Grade Hydrophobic」という商標で販売されているもの等、個別の粒子の平均サイズが25nmであるポリジメチルヒドロシロキサンで処理されたアナターゼ/ルチルTiO2である。
コーティングされていない酸化チタン顔料は、例えば、Taycaによって「Microtitanium Dioxide MT 500 B」又は「Microtitanium Dioxide MT600 B」という商標で、Degussaによって「P 25」という商標で、Wackerによって「Oxyde de titane transparent PW」という商標で、三好化成工業株式会社によって「UFTR」という商標で、株式会社トーメンエレクトロニクスによって「ITS」という商標で、及びTioxideによって「Tioveil AQ」という商標で販売されている。
コーティングされていない酸化亜鉛顔料は、例えば、
Sunsmartによって「Z-cote」という商標で販売されているもの;
Elementisによって「Nanox」という商標で販売されているもの;及び
Nanophase Technologiesによって「Nanogard WCD 2025」という商標で販売されているものである。
コーティングされた酸化亜鉛顔料は、例えば:
Toshibiによって「Oxide zinc CS-5」という商標で販売されているもの(ポリメチルヒドロシロキサンでコーティングされたZnO);
(Finsolv TN中の40%分散液、C12〜C15安息香酸アルキルとして)Nanophase Technologiesによって「Nanogard Zinc Oxide FN」という商標で販売されているもの;
大東によって「Daitopersion Zn-30」及び「Daitopersion Zn-50」という商標で販売されているもの(シリカ及びポリメチルヒドロシロキサンでコーティングされた亜鉛ナノ酸化物30%又は50%を含むオキシエチレン化ポリジメチルシロキサン/シクロポリメチルシロキサン中の分散液);
ダイキンによって「NFD Ultrafine ZnO」という商標で販売されているもの(シクロペンタシロキサン中の分散液としてのペルフルオロアルキルのホスファート及びペルフルオロアルキルエチルに基づいたコポリマーでコーティングされたZnO);
信越によって「SPD-Z1」という商標で販売されているもの(シクロジメチルシロキサンに分散したシリコーン-グラフトされたアクリルポリマーでコーティングされたZnO);
ISPによって「Escalol Z100」という商標で販売されているもの(メトキシケイ皮酸エチルヘキシル/PVP-ヘキサデセンコポリマー/メチコーン混合物に分散した、アルミナで処理されたZnO);
富士色素株式会社によって「Fuji ZnO-SMS-10」という商標で販売されているもの(シリカ及びポリメチルシルセスキオキサンでコーティングされたZnO);及びElementisによって「Nanox Gel TN」という商標で販売されているもの(ヒドロキシステアリン酸重縮合物と共にC12〜C15安息香酸アルキルに55%で分散したZnO)である。
コーティングされていない酸化セリウム顔料は、例えば、Rhone-Poulencによって「Colloidal Cerium Oxide」という商標で販売されている。
コーティングされていない酸化鉄顔料は、例えば、Arnaudによって「Nanogard WCD 2002 (FE 45B)」、「Nanogard Iron FE 45 BL AQ」、「Nanogard FE 45R AQ」又は「Nanogard WCD 2006 (FE 45R)」という商標で、又は三菱によって「TY-220」という商標で販売されている。
コーティングされた酸化鉄顔料は、例えば、Arnaudによって「Nanogard WCD 2008 (FE 45B FN)」、「Nanogard WCD 2009 (FE 45B 556)」、「Nanogard FE 45 BL 345」又は「Nanogard FE 45 BL」という商標で、又はBASFによって「Oxyde de fer transparent」という商標で販売されている。
金属酸化物の混合物、特に、池田物産株式会社によって「Sunveil A」という商標で販売されている、同量のシリカでコーティングされた二酸化チタンとシリカでコーティングされた二酸化セリウムの混合物を含めた、二酸化チタン及び二酸化セリウムの混合物、及び更に、Kemiraによって販売されている「M 261」という製品等のアルミナ、シリカ及びシリコーンでコーティングされた二酸化チタンと二酸化亜鉛の混合物、又は、Kemiraによって販売されている「M 211」という製品等、アルミナ、シリカ及びグリセロールでコーティングされた二酸化チタンと二酸化亜鉛の混合物をも挙げることができる。
UV遮蔽剤は、一般に、組成物の総重量に対して0.01重量%から40重量%の範囲の割合で、好ましくは、組成物の総重量に対して0.1重量%から10重量%の範囲の割合で本発明による組成物中に存在し得る。
本発明に使用される組成物は、還元剤も、式:
Figure 2013514262
(式中、
Xは、O-、OH、NH2、O-OH及びO-COO-からなる群から選択される基である)
の炭酸イオン源も含有しない。
該組成物のpHは、6から11の範囲、好ましくは6.0から9.0との間、より好ましくは6.0から8.0の間であってもよい。該組成物のpHは比較的高くも低くもないことから、該組成物によるケラチン繊維への損傷を減らすことができる。
pHを調節するために、本発明のイオン源以外の酸性又はアルカリ性化剤を、単独で、又は組み合わせて使用してもよい。酸性又はアルカリ性化剤の量は制限されないが、該組成物の総重量に対し0.1重量%から5重量%であってもよい。酸性化剤としては、化粧品中で一般に使用される任意の無機酸又は有機酸[クエン酸、乳酸、リン酸又は塩酸(HCl)等]を挙げることができる。HClが好ましい。アルカリ性化剤としては、化粧品中で一般に使用される、以下等の任意の無機塩基性又は有機塩基性化剤を挙げることができる:アンモニア;アルカノールアミン(alcanolamine)(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン、イソプロパノールアミン等);水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム;尿素、グアニジン及びその誘導体;塩基性のアミノ酸(リシン又はアルギニン等);並びに、以下の構造:
Figure 2013514262
(式中、Rは、ヒドロキシル又はC1〜C4アルキル基により場合により置換されているプロピレン等のアルキレンを表し、R1、R2、R3及びR4は、独立に、水素原子、アルキル基又はC1〜C4ヒドロキシアルキル基を表す)に記載されているもの等のジアミン(1,3-プロパンジアミン及びその誘導体を例に挙げることができる)。アルギニン及びモノエタノールアミンが好ましい。
本発明に使用される組成物は、1つ又は複数の追加的な化粧品用添加剤(cosmetic agent)を含むこともできる。追加的な化粧品用添加剤の量は制限されないが、該組成物の総重量に対し0.1重量%から10重量%であってもよい。化粧品用添加剤は、以下からなる群から選択してもよい:揮発性又は不揮発性、直鎖状又は環状の、アミン型又はそうではない、シリコーン、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性又は両性のポリマー、ペプチド及びその誘導体、タンパク質加水分解物、合成又は天然の蝋、及び特に脂肪アルコール、膨張剤及び浸透剤、並びに、以下等他の活性化合物:陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、両性又は双性イオン性の界面活性剤、抜け毛防止剤、抗フケ剤、会合型又はそうではない天然又は合成の増粘剤、懸濁化剤、金属イオン封鎖剤、不透明化剤(opacifying agent)、色素、充填剤、ビタミン又はプロビタミン、ミネラル、植物油又は合成油、並びに、香料、保存剤、安定化剤、並びにそれらの混合物。
本発明に使用される組成物のためのビヒクルは、好ましくは、水からなる水性媒体であり、有利には、化粧品として許容される1つ又はいくつかの有機溶媒を含有してもよく、そのような有機溶媒としては、とりわけ以下が挙げられる:アルコール(エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコール等)、又はポリオール若しくはポリオールエーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル及びエチレングリコールモノブチルエーテル等)、プロピレングリコール又はそのエーテル(プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、並びにジエチレングリコールアルキルエーテル(ジエチレングリコールモノエチルエーテル又はジエチレングリコールモノブチルエーテル等)。水は、該組成物の総重量に対し10重量%から90重量%の濃度で存在してもよい。したがって、有機溶媒は、該組成物の総重量に対し0.1重量%から20重量%、好ましくは1重量%から10重量%の濃度で存在してもよい。
本発明において使用される組成物は、ローション、濃厚若しくはそうではないゲル、又はクリーム等の任意の形態で存在してもよい。
(ケラチン繊維処理方法)
本発明によるケラチン繊維を処理する方法は、
前述のように、ケラチン繊維上に、少なくとも1つのUV遮蔽剤を含む組成物を適用するステップと、
次いで、該ケラチン繊維を閉塞空間中に配置するステップと、
次いで、該ケラチン繊維を加熱するステップと
により実施できる。
ケラチン繊維の処理方法に関する本発明によれば、ケラチン繊維(毛髪等)は、閉塞空間中で実施する特定の加熱方法に供される。
加熱方法は、自由に制御して該方法にとって望ましい温度を実現できる任意の加熱手段により、実施できる。
加熱方法は、好ましくは、閉塞空間を形成して、前述の組成物中で蒸発性成分(水等)がケラチン繊維から蒸発するのを制限し、該方法を通じて加熱装置中で既定の温度を保つことができる、特別な加熱装置を使用することにより、実施してもよい。
前述の組成物中の蒸発性成分(水等)がケラチン繊維から蒸発する場合、ケラチン繊維に加えられる熱エネルギーの大部分は蒸発により消費されることになると考えられ、したがって、ケラチン繊維の温度は、該組成物中の全ての蒸発性成分が蒸発するまでは、既定の温度まで上昇できない。
前述の加熱装置は、ケラチン繊維と接触しているか、又はケラチン繊維から離れている、そのいずれかの熱エネルギー源と、ケラチン繊維を取り巻く閉塞空間を形成するための少なくとも1つの手段とを含んでもよい。
熱エネルギー源は、ケラチン繊維を加熱するために使用される。熱エネルギー源は、熱風、熱蒸気、高周波誘導加熱、マイクロ波加熱、赤外線照射、レーザー及びフラッシュランプ照射からなる群から選択される少なくとも1つを供給する少なくとも1つの加熱器であってもよい。
閉塞空間は、少なくとも1つのコーティング手段により形成されてもよい。複数のコーティング手段を使用してもよい。コーティング手段は、硬質又は軟質であってもよい。
コーティング手段は、フィルム及びシートからなる群から選択される少なくとも1つの部材を含んでもよい。フィルム又はシートの材料は限定されない。例えば、フィルム又はシートは、熱可塑性又は熱硬化性の樹脂、紙、織物材料、覆い(bonnet)、金属箔(アルミニウム箔等)を含んでもよい。
例えば、フィルム又はシートは、ケラチン繊維により覆われた加熱用ロッド、加熱用バー又は加熱用プレート上にセットしてもよい。
本発明によれば、コーティング手段は、熱エネルギー源を含んでもよい。したがって、例えば、加熱器を含むフィルム又はシートは、ケラチン繊維により覆われたロッド、バー又はプレート上にセットしてもよい。
閉塞状態は、ケラチン繊維に適用された前述の組成物中での蒸発性成分(水等)の蒸発を制限でき、したがって、ケラチン繊維の温度は、開放状態におけるケラチン繊維の従来の加熱方法又は装置により得ることができる温度より高く上昇させることができる。更に、ケラチン繊維を有効に加熱でき、ケラチン繊維を均等に加熱できる。
本発明の一変形形態によれば、閉塞空間は開口部を含んでもよく、その表面積は、コーティング手段の合計表面積の5%未満、好ましくは3%未満、より特定すれば0.5%未満である。この変形形態によれば、コーティング手段の合計表面積は、コーティング手段のための開放手段(存在する場合)の表面積を含む。
開口部は、通路、穴又は孔であってもよく、それにより、特に、反応(閉塞空間の内側で蒸気を形成する等)が大きすぎる際は、閉塞空間とその外部との間の空気の交換が可能になると考えられる。逆に言えば、当業者であれば、閉塞空間中での熱の拡散が障害されないように開口部を形成できる。
ケラチン繊維は、45℃から250℃、好ましくは60℃から200℃、より好ましくは60℃から150℃、より好ましくは60℃から90℃で、該ケラチン繊維を加熱するステップの間、加熱できる。
加熱方法は、ケラチン繊維を処理するのに必要な適切な時間にわたり実施してもよい。加熱方法のための時間の長さは制限されないが、1分から2時間、好ましくは1分から1時間、より好ましくは1分から30分であってもよい。例えば、加熱のための時間は、5から20分、好ましくは10から15分であってもよい。
ケラチン繊維は、該組成物をケラチン繊維上に適用するステップの後及び/又は該ケラチン繊維を加熱するステップの後にすすいでもよい。
[ケラチン繊維のパーマネント変形(Permanent Deformation)方法]
ケラチン繊維の処理方法に関する本発明によれば、ケラチン繊維に、パーマネント変形に典型的に使用される機械的張力をかけてもよい。
ケラチン繊維のためのパーマネント変形方法は、ケラチン繊維に機械的張力を加える際は、次のように実施してもよい。
まず、ケラチン繊維に、変形のために機械的張力をかける。機械的張力は、意図した形状にケラチン繊維を変形するための任意の手段によりケラチン繊維に加えることができる。例えば、機械的張力は、カーラー、ローラー、クリップ、プレート及びアイロンからなる群から選択される少なくとも1つの再成形手段により与えてもよい。再成形手段は、前述のように、少なくとも1つの加熱器を含んでもよい。ケラチン繊維をカーラーに巻き付ける場合は、この巻上げは、ケラチン繊維の全長に対して、又は、例えば、ケラチン繊維の長さの半分に対して実施してもよい。例えば所望の髪型形状及びカールの量によっては、巻上げは、多少厚い束で実施してもよい。
次に、前述の組成物をケラチン繊維に適用する。該組成物の適用は、ブラシ及び櫛等の任意の手段により実施してもよい。機械的張力を加えておいたケラチン繊維を、該組成物で処理すべきである。ケラチン繊維は、必要に応じ、一定の長さの時間にわたり、そのままの状態で放置することが可能であると考えられる。
最後に、前述の加熱方法を実施する。熱エネルギーは、前述のように、閉塞条件下でケラチン繊維に加えられる。
ケラチン繊維のパーマネント変形のためのこの方法は、ケラチン繊維を酸化させるステップを一切用いずに実施できる。したがって、本発明による方法に要する時間は、酸化ステップを必要とする従来の方法に要する時間より短くすることができる。更に、酸化ステップによりケラチン繊維に与えられる損傷を回避できる。
該組成物をケラチン繊維上に適用するステップの後及び/又は該ケラチン繊維を加熱するステップの後に、ケラチン繊維をすすいでもよい。
本発明による毛髪処理方法の一実施形態は、ケラチン繊維、とりわけ毛髪を再成形又はパーマネント変形するための方法であって、
a)カールを形成するために少なくとも1つの再成形手段又は機械的張力付与手段(mechanically tensioning means)上に巻き上げることにより、ケラチン繊維を機械的張力下に置くステップ、
b)前述の組成物を該ケラチン繊維に適用するステップ、
c)該ケラチン繊維をすすぐ任意選択的なステップ、
d)少なくとも1つのコーティング手段を該再成形手段又は機械的張力付与手段上に(又はその逆に)配置して、1つ又は複数の閉塞空間を形成するステップ、並びに
e)該ケラチン繊維を45±2又は3℃から250±2又は3℃の間の温度で1分間から2時間加熱するステップ
を含む方法であってもよい。
この方法において、温度は1つ又は複数の加熱手段を使用することにより設定、調節及び調整でき、ケラチン繊維上にセットしたDigital Surface Sensor Module、参照番号MT-144[坂口電熱株式会社(日本)により販売されている]等の温度測定プローブを用いて測定してもよい。通常、プローブは、単一のケラチン繊維上にセットする。しかし、プローブを、閉塞空間と直接接触するケラチン繊維の一部の上にセットし、より好ましくは、プローブを、閉塞空間と直接接触しケラチン繊維のカールの末端を形成する(カーラーを使用する場合)ケラチン繊維の一部の上にセットすることは有利である。
好ましくは、温度は、気圧101325Paで測定する。
本発明によれば、ケラチン繊維の温度は、個体の頭部(ケラチン繊維が毛髪である場合)にわたり一定(変動は±2又は3℃)であってもよく、プローブは、任意の種類のケラチン繊維上にセットしてもよい。
ケラチン繊維が毛髪である場合、本発明によれば、一定の温度(変動は±2又は3℃)は、任意の種類の毛髪について得ることができ、毛髪の温度は、毛髪を特定の温度で加熱する間、一定±2又は3℃であるように制御できる。こうして、髪型は毛髪の全体にわたり均一かつ均質になり、より優れた髪型を最終的に得ることができる。
有利には、コーティング手段は1つ又は複数の断熱材を含んでもよく、より有利には、コーティング手段は、そうした材料からなっていてもよい。
用語「断熱材」は、熱伝導率が0から1W/m℃(PVC:0.17W/m℃)である任意の材料を意味する。
好ましくは、加熱手段は、ケラチン繊維上で測定される温度が50℃以上、より好ましくは55℃から150℃未満、更により好ましくは100℃未満であるように調節してもよい。加熱は、電気抵抗による加熱により実施することが好ましい。
有利には、コーティング手段は、ステップb)において使用される組成物に関しては不浸透性である。
前述の実施形態では、再成形手段又は機械的張力付与手段のうち少なくとも1つ、及び、カバー手段のうち少なくとも1つは、加熱器を含んでもよい。
前述の実施形態では、「閉塞空間」は、コーティング手段を再成形手段又は機械的張力付与手段上に(又はその逆に)配置した際、それらの手段が一緒になって閉鎖構造(その中では熱は拡散できるが、熱は該閉鎖構造の外へ拡散できないか、又は該構造の外へ拡散することが難しい)を形成することを意味する。コーティング手段及び再成形手段又は機械的張力付与手段は、頭部(ケラチン繊維が毛髪である場合)の上にセットした際に閉塞空間を形成できることが好ましい。
閉塞空間は、その中で、水、及び、ステップb)において使用される組成物中の成分がケラチン繊維から蒸発し、コーティング手段の壁面に付着し、ケラチン繊維上に落ちることができる凝結ケージ(condensation cage)を形成してもよい。このサイクルは、ケラチン繊維の加熱の間、繰り返されると考えられる。こうして、ケラチン繊維を湿った状態で常に保つことができ、ケラチン繊維の乾燥及び劣化が防止される。
閉塞空間中のケラチン繊維を湿った状態で保つことができ、ケラチン繊維の温度を一定にできるため、閉塞空間の形成は本発明の重要な特徴である。
好ましくは、本発明の方法は、弾力性のあるコード、伸展性のバンド又は伸縮性材料(stretch)により、個体の頭部(ケラチン繊維が毛髪である場合)上でコーティング手段を締め付ける追加的なステップを含んでもよい。
本発明の方法によれば、該組成物がケラチン繊維上で継続的に凝結できる閉塞空間があるために、該組成物中の化粧品成分の量は、先行技術における方法と比較して有利に減少する。化粧品成分の量は、該組成物の0.3重量%から3重量%であってもよい。
好ましい一実施形態では、コーティング手段は、再成形手段又は機械的張力付与手段としての各ヘアカーラー(ケラチン繊維が毛髪である場合)上に配置してもよい。言い換えれば、ヘアカーラーのそれぞれ(2つ以上のヘアカーラーを使用する場合)を、コーティング手段により個々に覆ってもよい。ステップb)においてケラチン繊維上に適用してある組成物の頭皮への漏出を防止できるため、各ヘアカーラーを覆うことは有利である。
別の好ましい実施形態では、コーティング手段は、全てのヘアカーラー(2つ以上のヘアカーラーを使用する場合)を覆ってもよい。言い換えれば、コーティング手段は、頭部(ケラチン繊維が毛髪である場合)の全体を覆ってもよい。
有利には、ステップd)において形成される閉塞空間は、ステップe)の間、維持されてもよい。言い換えれば、コーティング手段は、ステップe)の後、又は、ステップe)における加熱を中止した後にのみ取り外してもよい。
必要に応じ、本組成物は、機械的張力をケラチン繊維に加える前にケラチン繊維に適用してもよい。ケラチン繊維は、必要に応じ、機械的張力をケラチン繊維に加える前及び/又は後、前述の組成物をケラチン繊維に適用する前及び/又は後、並びに、ケラチン繊維を加熱する前及び/又は後に、特定の長さの時間にわたり、そのままの状態で放置することができると考えられる。
前述のステップe)の後、必要に応じ、ケラチン繊維は、コーティング手段から取り出した後で酸化により固定させてもよい。
(製品)
本発明は、更に、閉塞空間中で加熱されるケラチン繊維を処理するための組成物であって、少なくとも1つのUV遮蔽剤を含み、
還元剤も、式:
Figure 2013514262
(式中、
Xは、O-、OH、NH2、O-OH及びO-COO-からなる群から選択される基である)
の炭酸イオン源も含有しない、組成物に関する。
この組成物は、ケラチン繊維の従来のパーマネント変形において使用される酸化剤と組み合わせて使用する必要はないと考えられる。したがって、ケラチン繊維をパーマネント変形する場合には、該組成物は1ステップで使用してもよいが、ケラチン繊維の従来のパーマネント変形においては、2ステップ(還元ステップ及び酸化ステップ)が必要である。
この組成物は、前述の組成物と同じ技術的特徴を有してもよい。
本発明は、更に、ケラチン繊維を処理するためのキットであって、
ケラチン繊維に機械的張力を与えるための少なくとも1つの再成形手段、
閉塞空間を形成するための少なくとも1つのコーティング手段、及び
該閉塞空間中で該ケラチン繊維を加熱するための少なくとも1つの加熱器
を備える装置と、
少なくとも1つのUV遮蔽剤を含み、
還元剤も、式:
Figure 2013514262
(式中、
Xは、O-、OH、NH2、O-OH及びO-COO-からなる群から選択される基である)
の炭酸イオン源も含有しない、組成物と
を含む、キットに関する。
キット中のコーティング手段及び加熱器並びに組成物は、前述したものと同じであってもよい。
(実施例)
本発明を、実施例により、更に詳細に記載することとするが、この実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
組成物1
表1に示す以下の組成を有する毛髪処理用組成物(「組成物1」と呼ぶ)を調製した(活性成分の単位は重量%)。
Figure 2013514262
(実施例1)
組成物1を、1.7cmの加熱パーマローラー(perm-roller)に予め巻いておいた天然の日本人の毛髪束1gに適用した。次いで、パーマローラーを、プラスチックフィルムにより覆い、Digital Perm Machine (Oohiro、model ODIS-2)に差し込んだ。90℃で15分間の加熱方法の後、毛髪をすすぎ、パーマローラーから外して乾燥させた。
毛髪は、様々な外部の攻撃に対して耐性を有していた。
組成物2
表2に示す以下の組成を有する毛髪処理用組成物(「組成物2」と呼ぶ)を調製した(活性成分の単位は重量%)。
Figure 2013514262
(実施例2)
組成物2を、天然の日本人の毛髪束1gに適用した。次いで、毛髪を、プラスチックフィルムによって包み、軟質の加熱フィルム(FTH-050、株式会社東京技術研究所製)により覆った。毛髪を閉塞条件下で90℃で10分間加熱した。加熱ステップ後、毛髪をすすぎ、乾燥させた。
毛髪は、様々な外部の攻撃に対して耐性を有していた。

Claims (15)

  1. ケラチン繊維を処理する方法であって、
    前記ケラチン繊維上に、少なくとも1つのUV遮蔽剤を含む組成物を適用するステップと、
    次いで、前記ケラチン繊維を閉塞空間中に配置するステップと、
    次いで、前記ケラチン繊維を加熱するステップと
    を含み、
    前記組成物が、還元剤も、式:
    Figure 2013514262
    (式中、
    Xは、O-、OH、NH2、O-OH及びO-COO-からなる群から選択される基である)
    の炭酸イオン源も含有しない、方法。
  2. 前記組成物を前記ケラチン繊維上に適用する前記ステップの後及び/又は前記ケラチン繊維を加熱する前記ステップの後に前記ケラチン繊維をすすぐステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ケラチン繊維に機械的張力を与えるステップを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記閉塞空間が、少なくとも1つのコーティング手段により形成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記コーティング手段が、硬質又は軟質である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記コーティング手段が、フィルム及びシートからなる群から選択される少なくとも1つの部材を含む、請求項4又は5に記載の方法。
  7. 前記ケラチン繊維を加熱する前記ステップの間、前記ケラチン繊維が45℃から250℃で加熱される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記ケラチン繊維が、熱風、熱蒸気、高周波誘導加熱、マイクロ波加熱、赤外線照射、レーザー及びフラッシュランプ照射からなる群から選択される少なくとも1つを供給する少なくとも1つの加熱器により加熱される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記コーティング手段が前記加熱器を備える、請求項8に記載の方法。
  10. 前記UV遮蔽剤が有機UV遮蔽剤である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記UV遮蔽剤が、アントラニラート;ジベンゾイルメタン誘導体;ケイ皮酸誘導体;サリチル酸誘導体;カンファー誘導体;ベンゾフェノン誘導体;β,β-ジフェニルアクリレート誘導体;トリアジン誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体;ベンザルマロナート誘導体;ベンズイミダゾール誘導体;イミダゾリン;ビス-ベンゾアゾリル誘導体;p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体;メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体;ベンゾオキサゾール誘導体;遮断ポリマー及び遮断シリコーン;α-アルキルスチレンに由来する二量体;4,4-ジアリールブタジエン;並びにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記UV遮蔽剤が、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、ホモサラート、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾアート、4-メチルベンジリデンカンファー、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、エチルヘキシルトリアゾン、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(テルフェニル)-1,3,5-トリアジン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン-15、ジネオペンチル4'-メトキシベンザルマロナート、1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン、カンファーベンジルコニウムメトスルファート及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記組成物が、前記組成物の総重量に対して0.01重量%から40重量%の量で前記UV遮蔽剤を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 閉塞空間中で加熱されるケラチン繊維を処理するための組成物であって、少なくとも1つのUV遮蔽剤を含み、
    還元剤も、式:
    Figure 2013514262
    (式中、
    Xは、O-、OH、NH2、O-OH及びO-COO-からなる群から選択される基である)
    の炭酸イオン源も含有しない、組成物。
  15. ケラチン繊維を処理するためのキットであって、
    閉塞空間を形成するための少なくとも1つのコーティング手段、及び
    前記閉塞空間中で前記ケラチン繊維を加熱するための少なくとも1つの加熱器を備える装置と、
    少なくとも1つのUV遮蔽剤を含み、
    還元剤も、式:
    Figure 2013514262
    (式中、
    Xは、O-、OH、NH2、O-OH及びO-COO-からなる群から選択される基である)
    の炭酸イオン源も含有しない、組成物と
    を含む、キット。
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