JP2013512188A - 回転成型プロセス - Google Patents

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Abstract

各種実施形態では、異なる密度の不純物が遠心力を用いて分離及び集積されるシリコンの精製方法が提供され、溶融シリコンの制御結晶化は、固体/液体界面での不純物の集積によって、さらなる精製をもたらす。

Description

本出願は回転成型プロセスを用いるシリコンの精製方法に関し、いくつかの実施形態では、異なる密度の不純物を、遠心力、シリコンの制御結晶化、又はこれらの組み合わせを用いて分離及び集積する。
(一般的には98〜99%の純度を有する)冶金グレードシリコンは、シリカをアルミニウム又は炭素系材料(例えば、石炭又はコークス)で還元し、不可避的に炭素、ホウ素、リン、金属、及び他の不純物を含有する生成物を得ることにより生成される。冶金グレードシリコンはいくつかの用途に(例えば、金属産業において合金材料として)適しているが、太陽電池、半導体、薄膜、液晶ディスプレー、又は高純度シリコン(すなわち、99.999%以上の純度を有するシリコン)を必要とする他の用途には十分に純粋ではない。
より高純度のシリコンに対する要求を満たすため、シリコン精製の各種方法、及び方法の組み合わせが用いられてきた。プロセスの一般的な組み合わせでは、冶金グレードシリコンはモノマーシランに化学的に変換される。シランは次により高純度のシリコンに(一般的にはシーメンス又は流動床プロセスにより)変換され、より高純度のシリコンは溶融され、結晶を成長させるのに用いられる。プロセスの代替の組み合わせでは、冶金グレードシリコンは、シリコン融液の1つ以上の方向性凝固を用いる最終精製前にいくつかの中間加熱炉又は取鍋処理ステップを通して精製することができる。
チョクラルスキー(CZ)法、熱交換法(HEM)、成形リボン法(EFG)、及び樹枝状ウェブ法(WEB)を含む、融液からシリコンの結晶を成長させるさまざまな方法がある。こうした方法では、結晶の方向性成長が起こるが、不純物は凝固シリコンの固体/液体界面に集積する傾向がある。HEMの部分的例外はあるが、これらの方向性凝固プロセスは複雑であり、高純度シリコン原料を必要とし、高い製造コストを有し、高スループット精製には一般的には適さない。
高純度シリコンから結晶を成長させるのにHEMプロセスを用いることができるが、これはシリコンのバルク精製にも用いられる。そのプロセスは恒温ホットゾーンに配置した正方形の固定るつぼにシリコンを充填するステップを含み、熱インゴットから外部への熱の方向性フローはるつぼを配置したガス冷却熱交換基板により想定される。結晶成長はるつぼの底から上部へ起こり、平面固体/液体界面に不純物が集積する傾向がある。凝固中、周囲条件は低酸素及び炭素濃度をもたらすように制御される。凝固が完了した後、インゴットをその状態でアニールし、残留応力を低減し、均一な特性をもたらす。このプロセスにより、200〜800kgインゴットの精製シリコンを50〜60時間のサイクル時間内で生成することができる。HEMプロセスの不利点としては、その長いサイクル時間、かなりのエネルギー必要量、及びシリコンの高スループット精製についての効率の悪さが挙げられる。
従って、当技術分野には、効率的、費用効果的で、高スループットなシリコンのバルク精製方法のニーズが残っている。
これらのニーズは、各種実施形態においてシリコンの精製方法を提供する本出願により満たされる。いくつかの実施形態では、シリコンの精製方法は、(I)縦軸、モールド内面及び該縦軸に沿って延在する中空穴により規定されるモールドキャビティ、並びに、モールド外面を含むモールドを用意するステップと;(II)前記モールドキャビティを予備加熱するステップと;(III)内面及び該モールド内面と接触した外面を有する溶融シリコンの中空本体であって該本体が該モールドの該縦軸に沿って延在するもの、を形成するのに十分な速度で、前記モールドを前記縦軸の周りで連続的に回転させながら、所定量の溶融シリコンを加熱された前記モールドキャビティに導入するステップと; (IV)前記モールドを連続的に回転させながら前記モールド外面を冷却し、前記溶融シリコンの本体の外面から、該本体の内面への方向性凝固をもたらすステップとを具える。
各種実施形態によると、異なる密度の不純物は、遠心力及び/又はシリコンの制御結晶化を用いて分離及び集積され、不純物の集積による精製をもたらす。各種実施形態では、適切な加熱装置を用い、揮発性不純物を除去及び/又はシリコンの結晶化の速度を制御することができる。各種実施形態によると、本明細書において記載する方法は、これらに限定されないが、化学グレード、冶金グレード、電子グレード、及びソーラーグレードシリコンを含む、いずれかのグレードのシリコン、並びにシリコン含有合金の精製に適している。
本発明は添付の図面に関連して考慮する場合以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解されるため、本発明及びその多くの実施形態のより完全な理解は容易に得られるであろう。
水平遠心成型装置を示す。 シリコン本体を含むモールドの断面であって、該モールドの縦軸に垂直な面にある断面を示す。 実施例1の薄片試料中のホウ素含有量を結晶化深さの関数として示し、こうしたデータを理論的予想と比較したものである。 実施例1の薄片試料中のリン含有量を結晶化深さの関数として示し、こうしたデータを理論的予想と比較したものである。 実施例2の薄片試料中のホウ素含有量を結晶化深さの関数として示し、こうしたデータを理論的予想と比較したものである。 実施例2の薄片試料中のリン含有量を結晶化深さの関数として示し、こうしたデータを理論的予想と比較したものである。 実施例5の薄片試料中のホウ素含有量を結晶化深さの関数として示し、こうしたデータを理論的予想と比較したものである。 実施例5の薄片試料中のリン含有量を結晶化深さの関数として示し、こうしたデータを理論的予想と比較したものである。 実施例6の薄片試料中のリン含有量を結晶化深さの関数として示し、こうしたデータを理論的予想と比較したものである。
これらの本発明の追加の特徴及び利点は、以下の詳細な説明において明らかとなるであろう。
ここで、本発明の具体的な実施形態について説明する。しかしながら、本発明は、異なる形態で具体化することができ、本明細書において記載する実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が徹底かつ完全となり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。
とくに定義しない限り、本明細書において用いるすべての技術及び科学用語は、当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書における記載に用いる用語は特定の実施形態を説明するのみのものであり、限定することを意図していない。本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、とくに文脈に明確な指示がない限り、複数形も含むことを意図している。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いる「実質的に垂直」の語は地表に対して垂直及び垂直から±0〜45°を意味することを意図し、「実質的に水平」の語は地表に対して水平及び水平から±0〜45°を意味することを意図している。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いる「縦軸」の語は、物体の中心を通って縦に(すなわち、第1端から第2端まで)走る非実在的な基準軸を指すことを意図している。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いる「レイニング(raining)」の語は、回転モールド内の溶融金属の回転速度が重力の影響を克服するのに十分な遠心力を発生させる要求を満たさない場合に、発生する効果について示すことが意図されている。この条件は溶融金属を回転モールドの仮想的な「頂部」から回転モールドの仮想的な「底部」に集積した溶融金属の本体へ落下させるであろう。レイニングは溶融金属の温度若しくは流動性を制御及び/又は所定のモールド直径についてモールドの回転速度を制御することにより促進することができる。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いる「滑り(slippage)」の語は、回転モールド内の溶融金属の回転速度がモールドそのものの回転速度より大きい又は小さい場合に発生する効果を示すことが意図されている。滑りはモールドの急速な加速及び/又は減速によって促進することができる。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いる「G」の単位は、回転本体(すなわち、成型物及び/又はモールド)の内径上に発生する等価重力加速度の倍数を指し、表すことを意図している。回転本体の質量及び内径はモールド/成型物寸法により決定され、これにより本体の(線又は角速度のいずれかとして表すことができる)回転速度は遠心力の作用について可変となる。従って、等価重力加速度(又は「G」)の使用は、可変質量及び直径のあり得る組み合わせの単純化を可能にし、回転速度を表し、比較する統一手段を可能にする。例えば、1Gの等価重量加速度を有する回転質量を指す場合、質量上に作用する遠心力は同じなので、こうした参照は154回転/分(RPM)で回転する3インチの直径を有する質量、及び110RPMで回転する6インチの直径を有する同じ質量を含む。他の非限定的な例は、Centrifugal Casting by Nathan Janco,American Foundry Society(1988)の図8−1への参照により確認することができる。
とくに指示のない限り、本明細書及び特許請求の範囲において用いる成分の量、分子量のような特性、反応条件、等を表すすべての数字は、すべての場合において「約」の語により修正されていると理解すべきである。さらに、本明細書及び特許請求の範囲におけるいずれかの範囲の開示は、範囲そのもの及びまたその中に含まれるもの、並びに端点を含むものと理解されるべきである。とくに指示のない限り、本明細書及び特許請求の範囲に記載する数値的特性は、本発明の実施形態において得ることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。本発明の幅広い範囲を示す数値範囲及びパラメーターは近似値であるが、具体的な実施例に記載する数値はできるだけ正確に報告する。いずれの数値も、しかしながら、それらのそれぞれの測定において見られる誤差に必然的に起因する特定の誤差を本質的に含有する。
本明細書では、各種実施形態において、シリコン及びシリコン合金(本明細書では集合的に「シリコン」と称する)の精製方法、並びにこうした方法により精製されたシリコンを提供する。各種実施形態によると、シリコンの精製方法はI)縦軸、モールド内面及び該縦軸に沿って延在する中空穴により規定されるモールドキャビティ、並びにモールド外面を含むモールドを用意するステップ;(II)該モールドを予備加熱するステップ;(III)所定量の溶融シリコンを、内面及び該モールド内面と接触した外面を含む溶融シリコンの中空本体を形成するのに十分な速度で該モールドを該縦軸の周りで連続的に回転させながら、加熱した該モールドキャビティに導入するステップにおいて、該本体が該モールドの該縦軸に沿って延在するステップ;並びに(IV)該モールドを連続的に回転させながら該モールド外面を冷却し、該溶融シリコンの該本体の該外面から該本体の該内面への方向性凝固をもたらすステップを含む。いくつかの実施形態では、シリコン内面を加熱し、本体の外面から本体の内面への方向性凝固の速度を制御することができる。
本明細書において提供する方法は、(I)縦軸、モールド内面及び該縦軸に沿って延在する中空穴により規定されるモールドキャビティ、並びに、モールド外面を含むモールドを用意するステップを含む。モールドキャビティ寸法及び導入される溶融シリコンの体積は、多様なサイズ、重量、直径、及び壁厚の成型物をもたらすように設定することができる。いくつかの実施形態では、モールドは多様な形状又は直径であってもよいが、ただし、モールドキャビティの直径は均一かつモールド外面の直径と同心である。いくつかの実施形態では、モールドは円柱及び先細から選択される形状を有する。いくつかの実施形態では、モールドは高温用途に適した材料製であってもよい。適切な材料の例としては、これらに限定されないが、鋼、鋳鉄、合金鋼、モリブデン、チタン、セラミック並びにプロセスの作動温度及び応力に適した他の材料が挙げられる。材料はモールド本体を形成する固体又は複合層であってもよい。いくつかの実施形態では、モールドは実質的に垂直又は実質的に水平である方位で維持することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の端部キャップはモールドとともに用い、溶融シリコンの漏れを防止することができる。良好な結果は、実質的に水平な方位で維持された円柱状鋼モールドで得られた。いくつかの実施形態では、適切なモールドは、その内面及びそのキャビティ内の溶融シリコン上で最大400Gの遠心加速度を発生させる回転速度を得、維持することができるものである。
各種実施形態によると、モールド内面は、モールドに導入されるシリコンの離型及び熱界面をもたらすのに適した高温・非反応性耐火材料を含む。適切な材料の例としては、これらに限定されないが、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナ、マグネシア、アルミナシリケート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、耐火材料は少なくとも1%(w/w)のシリカを含む。いくつかの実施形態では、耐火材料は約10〜約100%(w/w)のシリカを含む。例えば、耐火材料は約10〜15%、15〜20%、20〜25%、25〜30%、30〜35%、35〜40%、40〜45%、45〜50%、50〜55%、55〜60%、60〜65%、65〜70%、70〜75%、75〜80%、80〜85%、85〜90%、90〜95%、95〜100%(w/w)のシリカを含むことができる。良好な結果は、約30〜約98%(w/w)のシリカを含む耐火材料で得られた。耐火材料はモールドの内面に均一に塗布することができ、これらに限定されないが、スプレーコーティング又は手動装填を含むいずれかの適切な方法で回転モールド中に塗布することができる。
本明細書において提供される方法は、(II)所定の量の溶融シリコンを導入する前にモールドを加熱するステップを含む。いくつかの実施形態では、モールド外面を約25〜約700℃の温度まで加熱する。例えば、温度は25〜50℃、50〜100℃、100〜150℃、150〜200℃、200〜250℃、250〜300℃、300〜350℃、350〜400℃、400〜450℃、450〜500℃、500〜550℃、550〜600℃、600〜650℃、650〜700℃、又はこれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、モールド内面を約25〜約1600℃の温度まで加熱する。例えば、温度は25〜50℃、50〜100℃、100〜150℃、150〜200℃、200〜250℃、250〜300℃、300〜350℃、350〜400℃、400〜450℃、450〜500℃、500〜550℃、550〜600℃、600〜650℃、650〜700℃、700〜750℃、750〜800℃、800〜850℃、850〜900℃、900〜950℃、950〜1000℃、1000〜1050℃、1050〜1100℃、1100〜1150℃、1150〜1200℃、1200〜1250℃、1250〜1300℃、1300〜1350℃、1350〜1400℃、1400〜1450℃、1450〜1500℃、1500〜1550℃、1550〜1600℃、又はこれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、モールド内面をモールドに導入するシリコンの溶融温度より高い温度まで加熱する。いくつかの実施形態では、モールド外面及びモールド内面を加熱する。モールドはいずれかの適切な加熱装置により加熱することができ、モールド内面及び外面を加熱するために用いる装置は同じ又は異なってもよい。適切な加熱装置の例としては、これらに限定されないが、水素/酸素トーチ、オーブン、燃料ガスヒーター/バーナー、電気ヒーター、又はこれらの組み合わせが挙げられる。良好な結果は、モールド外面を約25℃〜約350℃の温度まで及びモールド内面を約1100℃〜約1550℃の温度まで加熱することで得られた。
本明細書において提供される方法は、(III)内面及び該モールド内面と接触した外面を有する溶融シリコンの中空本体であって該本体が該モールドの該縦軸に沿って延在するもの、を形成するのに十分な速度で、前記モールドを前記縦軸の周りで連続的に回転させながら、所定量の溶融シリコンを加熱された前記モールドキャビティに導入するステップを含む。モールドの回転速度及び溶融シリコンの流動性/温度が適当である場合、溶融シリコンは、モールドの長さを通してモールド内面に沿って均一に配される。いくつかの実施形態によると、約1〜約400Gの等価重力加速度を発生させるのに十分な速度でのモールドの縦軸の周りでの回転は、溶融シリコンの本体を形成するのに十分である。例えば、回転速度は、1〜15G、15〜30G、30〜45G、45〜60G、60〜75G、75〜90G、90〜105G、105〜120G、120〜135G、135〜150G、150〜165G、165〜180G、180〜195G、195〜210G、210〜225G、225〜240G、240〜255G、255〜270G、270〜285G、285〜300G、300〜315G、315〜330G、330〜345G、345〜360G、360〜375G、375〜390G、390〜400G、及びこれらの組み合わせを発生させるのに十分であってもよい。良好な結果は、約3〜約120Gを発生させるのに十分な回転速度で得られた。いくつかの実施形態では、回転速度は溶融シリコンの導入中により低くあり得、その後急速に加速する。代替実施形態では、溶融シリコンを静止モールドに導入した後、急速な加速を行い、均一に分配させることができる。適切な等価重力加速度(G)が、モールドサイズ、モールドキャビティサイズ、所望の成型物サイズ、導入されるシリコン原料の体積、所望の純度、及び他の用途特異的要因について異なることは当業者には明らかであるはずである。よって、当業者であれば、本発明が本明細書において記載する回転速度又は等価重力加速度に限定されないことを理解するであろう。
溶融シリコンをいずれかの適切な方法でモールドに導入することができるが、一般的には、モールド内面上に均一な分配をもたらすために、その初期速度をモールド回転の方向にすることを可能にする方法で導入される。適切な注入装置の例としては、これらに限定されないが、取鍋、アングルノズル口、ストレートノズル口、又は注入ブーツが挙げられる。いくつかの実施形態では、溶融シリコンは、モールドの一端から、モールドの両端から、モールドの内部から(ランス又は他の分配器の使用によって)、又はこれらの組み合わせから導入することができる。いくつかの実施形態では、溶融シリコンは、そのモールドへの導入前、又はそれと同時に不純物をろ過することができ、いずれかの適切なフィルターを用いることができる。適切なフィルターの例としては、これらに限定されないが、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化アルミニウム/黒鉛セラミックフィルターが挙げられる。良好な結果は、炭化ケイ素セラミックフォームフィルターに注ぐことにより溶融シリコンを予備ろ過することで得られた。いくつかの実施形態では、溶融シリコンは、真空又は不活性周囲条件下にある間、回転モールド内に導入及び維持することができる。
各種実施形態によると、溶融シリコンの導入後、本方法は、シリコン本体の外面への融液を通した粒子及びスラグ移動に十分な時間をもたらすのに十分な温度及び継続時間で加熱モールドの回転を継続するステップを含む。より高密度の「沈降」スラグ及び他の不純物は耐火物層に最も近いシリコン本体の外面上に集積し、より低密度の「浮遊」スラグ及び他の不純物はシリコン本体の内面に集積するであろう。合成スラグを用い、シリコン本体内の不純物の移動及び集積を補助、並びに/又は液体シリコン本体の内面からの熱損失を制御する手段としての熱バリアの提供を補助することもできる。こうしたスラグは、モールドへの注入プロセス中に溶融シリコンに導入することができる。いくつかの実施形態では、モールドキャビティ/中空シリコン本体は、約1100〜1600℃の温度を維持するため、このプロセス中に加熱することができる。例えば、温度は1100〜1150℃、1150〜1200℃、1200〜1250℃、1250〜1300℃、1300〜1350℃、1350〜1400℃、1400〜1450℃、1450〜1500℃、1500〜1550℃、1550〜1600℃、及びこれらの組み合わせで維持することができる。いくつかの実施形態では、モールド外面は、約25〜700℃の温度を維持するため、このプロセス中に加熱することができる。例えば、温度は25〜50℃、50〜100℃、100〜150℃、150〜200℃、200〜250℃、250〜300℃、300〜350℃、350〜400℃、400〜450℃、450〜500℃、500〜550℃、550〜600℃、600〜650℃、650〜700℃、及びこれらの組み合わせで維持することができる。
モールド及びシリコン本体温度は、いずれかの適切な装置により制御することができる。適切な装置の例としては、これらに限定されないが、水素/酸素トーチ、オーブン、燃料ガスヒーター/バーナー/トーチ、電気ヒーター、ウォーターボックス、ウォータースプレー、ウォータージェット、圧縮空気及び他のガス、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。良好な結果は、モールド外面を加熱するための外部燃料ガスバーナー、モールド外面を冷却するためのウォータースプレージェット、又はモールド内面/中空シリコン本体を加熱するためのプロパン/酸素トーチの使用で得られた。
いくつかの実施形態では、水素/酸素トーチを用い、シリコンを精製することもできる。トーチはモールドキャビティ/中空シリコン本体内で直接燃焼し、得られる燃焼ガスが水蒸気、及び/又は未反応水素若しくは酸素を溶融シリコンに導入し、混入不純物の酸化及び蒸発によってシリコンの精製を促進する。除去の対象となる不純物としては、これらに限定されないが、ナトリウム、カルシウム、カリウム、ホウ素、及びリンが挙げられる。溶融シリコンの水素/酸素トーチでの精製は、そうである必要はないが、混合を達成するため、溶融シリコンの滑り又はレイニングをもたらすような回転モールドの速度の制御と組み合わせて実施することもでき、トーチ燃焼ガスに露出する溶融シリコンの表面積を増加し、これにより揮発性不純物の除去を可能にする。
いくつかの実施形態では、モールドの速度が加熱モールドを溶融シリコン中の1つ以上のより高密度な不純物を本体の外面近くに集積させ、1つ以上のより低密度の不純物を本体の内面近くに集積させるのに十分な温度及び継続時間で回転した後、低下させる。例えば、シリコン本体が形成された後、少なくとも炭化ケイ素を本体の外面近くに集積させるのに十分な温度及び継続時間でモールドを回転させることができる。いくつかの実施形態では、その速度は約1〜約25Gの等価重力加速度を発生させるのに十分な速度まで低下させることができる。例えば、低減速度は、1〜5G、5〜10G、10〜15G、15〜20G、20〜25G、及びこれらの組み合わせを発生させるのに十分であり得る。良好な結果は、モールドの速度を約3〜約10Gを発生させるのに十分な速度まで低下させることにより得られた。
本明細書において提供する方法は、(IV)前記モールドを連続的に回転させながら前記モールド外面を冷却し、前記溶融シリコンの本体の外面から、該本体の内面への方向性凝固をもたらすステップを含む。モールド外面を冷却(及びシリコン本体の内面の温度を制御)することにより、(シリコン/耐火物界面からシリコン本体の内面への半径方向での)制御シリコン結晶成長を達成することができる。いくつかの実施形態では、こうした方向性凝固は約0.1〜約3ミリメートル/分の速度で起こる。いくつかの実施形態では、こうした方向性凝固は約0.5〜約1.5ミリメートル/分の速度で起こる。しかしながら、当業者であれば、凝固の他の速度も可能であり、本発明は本明細書において記載する凝固の速度に限定されないことを認識するであろう。当業者であれば、いずれかの適切な冷却装置を用いてモールドの外面を冷却することができ、これにより方向性凝固の速度を制御することも認識するであろう。適切な冷却装置の例としては、これらに限定されないが、ウォーターボックス、ウォータースプレー、圧縮空気及び他のガス、液化ガス、並びにウォータージェットが挙げられる。
方向性凝固中の分離速度の最大化を液体/固体界面での液体シリコンの混合によって達成することができることは、シリコン方向性凝固の当業者によく理解されている。本方法の実施形態によると、この混合効果は、(可変周波数駆動技術によって駆動モーター速度を制御することによる)回転モールドの制御された急速な加速及び減速;レイニング速度又はその付近でのモールドの回転;回転モールドキャビティ内で発生した再循環流;並びにこれらの組み合わせによる液体シリコンの滑りによって達成することができる。
各種実施形態によると、本方法は、モールドの速度を溶融シリコンの滑り又はレイニングをもたらし、液体/固体界面での液体シリコンの混合を達成するのに十分なものに変えるステップを含む。レイニングのステップは一般的には方向性凝固前に行われるが、方向性凝固の開始後に行うこともできる。各種実施形態によると、その方法は、溶融シリコンの滑りをもたらし、これにより液体/固体界面での液体シリコンの混合を達成するため、モールドの速度を急速に変えるステップを含む。いくつかの実施形態では、モールドの回転を約3G〜約25Gの等価重力加速度を発生させるのに十分な速度まで急速に低下させる。例えば、回転速度は、約3G〜5G、5G〜10G、10G〜15G、15G〜20G、20G〜25G、又はこれらの組み合わせの等価重力加速度を発生させるのに十分な速度まで低下させることができる。いくつかの実施形態では、モールドの回転速度は、約140G〜約300Gの等価重力加速度を発生させるのに十分な速度まで急速に上昇させることができる。例えば、回転速度は約140G〜160G、160G〜180G、180G〜200G、200G〜220G、220G〜240G、240G〜260G、260G〜280G、280G〜300G、又はこれらの組み合わせの等価重力加速度を発生させるのに十分な速度まで上昇させることができる。良好な結果は、モールドの回転速度を約3〜約10Gの等価重力加速度を発生させるのに十分な速度まで急速に低下させた後、モールドの回転速度を約150〜約200Gの等価重力加速度を発生させるのに十分な速度まで急速に上昇させることにより得られた。
各種実施形態によると、本方法は、液体/固体界面での液体シリコンの混合を達成するため、回転モールド内の再循環流の使用を含む。再循環流は溶融シリコン内で発生し、方向性凝固プロセス中に飽和不純物境界を分散させる。いくつかの実施形態では、モールド振動が回転質量の不均衡によって発生し、この効果を促進する。
各種実施形態によると、凝固シリコンの所望の収率を達成した後、モールドの回転速度を低下させ、モールドを持ち上げ、残りの液体シリコンをモールドの端部から注出することができ、これによりモールド内に中空凝固シリコン成型物が残る。
各種実施形態によると、凝固シリコンの所望の収率を達成した後、モールド回転を停止し、モールドの端部キャップを開け、残りの液体シリコンをモールドの端部から注出することができ、これによりモールド内に中空凝固シリコン成型物が残る。
中空シリコン成型物は、内面及びモールド内面と接触した外面を含む。注出された溶融シリコンは成型物中の残りの凝固シリコンと比較してより高濃度の不純物を有し、二次生成物として用いる、又は他の目的のために再利用することができる。いくつかの実施形態では、モールドの回転速度を低下させ、約10〜約90%(w/w)の溶融シリコンが凝固した場合の残りの溶融シリコンを除去することができる。例えば、凝固が10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%、80〜90%、及びこれらの組み合わせである場合、溶融シリコンを除去することができる。良好な結果は、約0〜約3Gの速度を低下させ、約50〜約80%(w/w)の溶融シリコンが凝固した場合の残りの溶融シリコンを除去することにより得られた。
各種実施形態によると、溶融シリコンを除去した後、加熱装置(例えば水素/酸素トーチ)を用い、中空成型物からシリコンの薄層を溶融し、結晶化シリコンの樹枝状構造内に捕捉された集積不純物を放出することができる。得られた溶融シリコンも除去される。良好な結果は、中空成型物からシリコンの1〜5mm層を溶融することにより得られた。しかしながら、当業者であれば、溶融の所望の深さは具体的な用途によって決まり、本発明は本明細書において記載する深さに限定されないことを理解するであろう。
各種実施形態によると、所望の割合の溶融シリコンが凝固し、残りの溶融シリコンを除去した後、本方法はモールド及び成型物を十分な温度(例えば、150〜250℃)まで冷却し、シリコン成型物をモールドから分離するステップを含む。成型物を装置搭載型油圧引出機構によって遠心モールドから引き出すことができる。いくつかの実施形態では、モールドキャビティは、耐火物界面からの成型物のより容易な取り出しを促進するため、(例えば、2〜5度)先細であってもよい。さらに、外部加熱装置からのみの補助熱をモールドの外面に加え、成型物外面に対してモールド外面の拡張を促進することもできる。
いくつかの実施形態では、シリコン成型物の外面に残ったより高密度の不純物及びシリコン成型物の内面に残ったより低密度の不純物を表面処理により除去することができる。追加の不純物を除去するための成型物の内面及び外面の処理は、いずれかの適切なプロセスにより達成することができる。例としては、これらに限定されないが、溶融、チッピング、切断、蒸発、粒子ブラスティング、又は望ましくない不純物が集積した表面を所定量除去する他の切除プロセスの使用が挙げられる。良好な結果は、チッピング及び石英グリットブラスティングにより成型物の外面及び内面上の不純物を除去することにより得られた。成型物を冷却し、モールドから取り出し、表面処理によりさらに精製した後、適切な材料取扱プロセスによって粉砕及び充填することができる。
本明細書において提供する方法は、効率的、費用効果的で、高スループットなシリコンのバルク精製方法を可能にする。例えば、提供される方法を用い、シリコン中のナトリウム、カルシウム、カリウム、ホウ素、リン、及び炭化ケイ素の1つ以上の濃度を低減することができる。本方法は、これらに限定されないが、化学グレード、冶金グレード、電子グレード、及びソーラーグレードシリコンを含む、いずれかのグレードのシリコン原料、並びにシリコン含有合金で用いることができる。本明細書において提供する方法に従って調製された精製シリコンは、さらなる精製の有無にかかわらず、さまざまな用途に用いることができる。しかしながら、当業者であれば、1回の成型で達成することができる精製度はとりわけシリコン原料のグレードによって決まることを認識するであろう。従って、本明細書において記載する方法は、所望の純度の精製シリコンを達成するため、1回以上繰り返す必要があり得る。
いくつかの実施形態では、モールドに導入される未精製溶融シリコンは約99〜約99.999%の全体的な純度を有する。いくつかの実施形態では、モールドに導入される溶融シリコンは約0.1〜約20ppmのホウ素を含む。いくつかの実施形態では、モールドに導入される溶融シリコンは約0.2〜約60ppmのリンを含む。いくつかの実施形態では、モールドに導入される溶融シリコンは約0.4〜約5ppmのホウ素及び約1〜約20ppmのリンを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書において提供する方法により調製された精製シリコンは約99.9〜約99.99999%の全体的な純度を有する。いくつかの実施形態では、精製シリコンは約0.08〜約18ppmのホウ素を含む。いくつかの実施形態では、精製シリコンは1.0ppm未満のホウ素を含む。いくつかの実施形態では、精製シリコンは0.3ppm未満のホウ素を含む。いくつかの実施形態では、精製シリコンは約0.2〜約30ppmのリンを含む。いくつかの実施形態では、精製シリコンは1.0ppm未満のリンを含む。いくつかの実施形態では、精製シリコンは0.5ppm未満のリンを含む。いくつかの実施形態では、精製シリコンは1.0ppm未満のホウ素及び1ppm未満のリンを含む。いくつかの実施形態では、精製シリコンは0.3ppm未満のホウ素及び0.5ppm未満のリンを含む。当業者であれば、シリコンの精製度はとりわけシリコン原料のグレード及び提供する方法の実施形態によって決まることを認識するであろう。
提供する方法の実施形態では、遠心成型装置が用いられる。図1〜2に示すように、こうした装置はモールド1を含み、溶融シリコン2をモールド1の内面3に対して均一に分配するのに十分な遠心力を発生させる速度で回転させる。いくつかの実施形態では、モールド1を耐火物(図示せず)でコーティングした。遠心力の使用によって、各種密度の不純物は凝固シリコン2の内面4及び外面5に集積させる。制御熱除去によって、溶融シリコン2を方向性凝固させ、不純物の集積によってさらに精製する。いくつかの実施形態では、水素/酸素トーチ(図示せず)を、溶融シリコン2から不純物を除去するため、モールドキャビティ/中空シリコン本体内で直接燃焼させる。
いくつかの実施形態では、モールドは成型装置から取り外し可能であってもよく、各種形状、直径、及び長さの成型物をもたらす他のモールドと取り替え可能であってもよい。一般的には、モールドを機械的駆動ローラー6、ローラートラック7、及び/又はキャリアローラー(図示せず)上で回転させ、回転速度の制御はモールド1に作動的に接続した可変速度駆動モーター8の使用により達成される。固定速度、加速及び減速度を、本方法の各種実施形態の要件を満たすため、可変速度駆動制御にプログラムすることもできる。成型装置は一般的には床設置型であり、主駆動機構及び耐火材料を塗布し、成型物引出を行うのに用いられる補助装置を支持する頑丈なキャリアフレームで構成される。他の要素及び要素の構成を用いることができ、本発明が本成型装置の開示要素及び/又は構成に限定されないことは当業者には明らかであるはずである。
提供する方法の実施形態では、溶融シリコンは一般的には成型搬送取鍋(図示せず)から成型装置に内蔵漏斗9及び分配ランス(図示せず)を通して注入される。溶融シリコン2はモールド1の回転する内面と接触すると、モールド1と同じ速度まで加速し、遠心力によってモールド内面3に対して均一に分配される。一般的には、取り外し可能なモールド端板10を用い、溶融シリコン2をモールドキャビティ11内に含有する。本プロセスの制御熱管理によって、モールド1内の溶融シリコン2を冷却し、モールド内面3から成型物の内面4へ方向性凝固させる。
記載する実施形態は、例示のために提供され、当業者であれば限定を意図しないことを認識するであろう以下の実施例への参照によって、より良く理解されるであろう。
実施例1
約121kgのシリコン金属を、Engineered Ceramicsの「Hycor」CP−2457型るつぼを備え、Vesuviusの「Cercast 3000」上部キャップ耐火物で封をしたInductoThermの1000lb「Box」誘導炉中で溶融した。溶融プロセス中、窒素ガスパージを誘導炉ヘッドスペースに導入し、SiOガス及び二酸化ケイ素の形成を低減した。
Cercast 3000耐火物を被覆した搬送取鍋中に注入する前に、シリコン融液を1524℃まで加熱した。搬送取鍋をプロパン/空気燃料トーチアセンブリを用いて800℃まで予備加熱した。注入後、搬送取鍋中のシリコン融液の温度は、遠心成型装置に注入する前に1520℃であると測定された。シリコンを加熱炉及び搬送取鍋の両方からサンプリングし、基準材料元素分析を構築した。
「Centrifugal Casting Machine Company」により製造されたM−24−22−12−WC型遠心成型装置に耐火物を被覆した、直径420mm×長さ635mmの鋼モールドを取り付けた。この実験において製造されたシリコン成型物は、直径372mm×長さ635mm×壁厚74mmであると測定された。AdvantageのW5010塗型剤を回転モールドの内面上に噴霧し、約1mm厚のベースコーティングを施した。鋼モールドを58rpmで回転させ、外部バーナーアセンブリを用いて175℃まで予備加熱した。モールドを次に735rpmまで加速し、十分な体積のCercast 3000耐火物を手動装填し、モールド内に19mm厚の耐火物層を遠心製造した。モールドを次に熱処理オーブンに移し、ここでモールドをさらに4時間175℃で維持した後、周囲温度までゆっくり冷却させた。
Vesuviusの「Surebond SDM 35」をモールドキャビティに手動装填し、モールドを735rpmで回転させ、耐火物の6mm厚の内殻を均一に生成した。回転の30分後、モールドアセンブリを停止し、12時間空気乾燥させた。
プロパン/酸素トーチを用い、モールド内耐火物面を1315℃まで予備加熱した。トーチノズルを端部キャップ中の100mm開口と同一平面上に配置し、モールド中に方向づけ、反対の端部キャップ中の後方100mm開口から排出させた。
「Challenger 2」3360型計量装置上で支持した搬送取鍋を用い、120kgのシリコンをモールドに量り入れた。シリコン金属を1520℃で搬送取鍋から735rpmで回転する耐火物被覆モールドに注入した。
モールド速度を735rpmで4分間維持し、不純物及びスラグを分離させた。次に、モールド速度を、材料が回転モールドの底部にたまっているのが見え、液滴がモールドの頂部から落下するのが見える点(レイニング点付近)までゆっくり低減した。モールド速度は140rpmであると測定され、周囲空気冷却のみで30分間維持した。モールド速度を次に735rpmまで上昇させ、方向性凝固を63分間維持した。アルミナセラミックロッドをモールドキャップ中の100mm開口を通して挿入し、成型物の中心がまだ液体であることを確認した。成型物が視覚的に固体であると見なされ、浸漬ロッドが成型物の内面を貫通できなくなった時に実験を終了した。
実験温度データをモールド外温度について、Flukeの65赤外線温度計測装置を用いて記録した。モールド内、及び取鍋温度を、OmegaのOS524装置を用いて測定した。モールドrpmをExtechのTACH+IR型装置を用いて測定した。液体シリコン融液温度をHelectroNiteのHeraeus型装置を用いて測定した。
100%凝固後、遠心成型装置から取り出す前に成型物をさらに45分間回転させ、モールドに空気冷却をもたらした。モールド及び成型物を次に取り出し、一晩ゆっくり冷却させた。
油圧プレスを用い、成型物を鋼モールド本体から引き出した。耐火物の殻を分離し、成型物をシリカグリットでブラストし、残りの微量の耐火物を除去した。
成型物を結晶粒成長の目視検査のため切断、研磨、及びエッチングした。成型物の中心を穿孔し、Buehlerの「Isomet 4000」試料薄切装置を用いて約6mm厚の試料に薄切りした。個別の試料薄片厚さを元の総穿孔中心長さとともに記録した。ソーカーフを元の穿孔中心長さに対する総薄片厚さの比較に基づいて計算した。薄片01は多孔質スラグ材料で目に見えて汚れ、薄片12は成型物から耐火物界面への目に見える耐火物汚染を含有していた。
溶融炉及び取鍋融液の試料についても分析を行った。各試料薄片を1:4の比で混合した35%HClと脱イオン水との溶液中で洗浄した。各試料薄片を20分間溶液中に浸した後、100%脱イオン水の容器中ですすいだ。水ですすいだ後、各薄片を次にアセトンに浸し、試料の空気乾燥を加速させた。
試料をFritschの「Pulverisette 0」型ミル中で粉砕し、ICP−OEM分析を用いて分析した。具体的なホウ素及びリンのデータを集計表に示し、耐火物(成型物外径)に最も近い薄片を第1データ点として示した。各薄片の体積%を累積薄片及びソーカーフ厚さ合計によって総成型物体積に対して計算した。各薄片は、集計表中、総成型物円柱体積の%として表した。
分析データを、表1並びに図3及び4において結晶化深さの関数として理論的予想と比較した。表1に含有するデータは、各試料薄片についてホウ素(図3において理論値に対してプロット)及びリン(図4において理論値に対してプロット)のICP−MS元素分析によって確認された機能的方向性凝固を示す。結果は、最大82%収率(+/−10%分析誤差)の最大理論値又はその付近を示す。薄片#12及び#1は集積不純物及び耐火物からの汚染のため除外した。
Figure 2013512188
実施例1は、本明細書において記載する方法のいくつかの実施形態を示す。とくに、遠心成型装置モールド内へのシリコン本体の注入及び遠心成型を行う能力、並びにトーチを用いてモールド本体の外面及び内面を加熱する能力を示す。さらに、3Gモールド速度での滑り及びレイニング、並びにモールド及びシリコンをレイニング点(3G)/その付近から最大速度(100G)まで急速に加速させる能力を示す。また、収率制御を示すためのモールドの端部キャップ開口からの溶融シリコンの注出、及び0.78mm/分での方向性凝固(表1)によるシリコン金属の精製を行う能力を示す。最後に、実施例は成型物引出及び表面処置を示す。
実施例2
約121kgのシリコン金属を、Engineered Ceramicsの「Hycor」CP−2457型るつぼを備え、Vesuviusの「Cercast 3000」上部キャップ耐火物で封をしたInductoThermの1000lb「Box」誘導炉中に溶融した。溶融プロセス中、窒素ガスパージを誘導炉ヘッドスペースに導入し、SiOガス及び二酸化ケイ素の形成を低減した。
Cercast 3000耐火物を被覆した搬送取鍋に注入する前に、シリコン融液を1532℃まで加熱した。搬送取鍋をプロパン/空気燃料トーチアセンブリを用いて995℃まで予備加熱した。注入後、搬送取鍋中のシリコン融液の温度は、遠心成型装置に注入する前に1520℃であると測定された。シリコンを加熱炉及び搬送取鍋の両方からサンプリングし、基準材料元素分析を構築した。
「Centrifugal Casting Machine Company」により製造されたM−24−22−12−WC型遠心成型装置に耐火物を被覆した直径406mm×長さ635mmの鋼モールドを取り付けた。この実験において製造されたシリコン成型物は直径359mm×長さ635mm×壁厚71mmであると測定された。
AdvantageのW5010塗型剤を回転モールドの内面上に噴霧し、約1mm厚のベースコーティングを施した。鋼モールドを58rpmで回転させ、外部バーナーアセンブリを用いて175℃まで予備加熱した。モールドを次に741rpmまで加速し、十分な体積のCercast 3000耐火物を手動装填し、モールド内に19mm厚の耐火物層を遠心製造した。モールドを次に熱処理オーブンに移し、ここでモールドをさらに4時間175℃で維持した後、周囲温度までゆっくり冷却させた。
Vesuviusの「Surebond SDM 35」をモールドキャビティに手動装填し、モールドを741rpmで回転させ、耐火物の6mm厚の内殻を均一に生成した。回転の30分後、モールドアセンブリを停止し、12時間空気乾燥させた。
プロパン/酸素トーチを用い、モールド内耐火物面を1228℃まで予備加熱した。トーチノズルを端部キャップ中の100mm開口と同一平面上に配置し、モールド中に方向づけ、反対の端部キャップ中の後方100mm開口から排出させた。
シリコン金属を、搬送取鍋から741rpmで回転する耐火物被覆モールドに注入した。搬送取鍋を「Challenger 2」3360型計量装置上で支持し、120kgのシリコンを回転モールドに注入した。モールドを741rpmで22分間維持し、不純物及びスラグを分離させ、方向性凝固を制御した。モールド速度を次にゼロまでゆっくり低減し、溶融シリコンをモールドキャビティの端部キャップ開口から注出した。注出ステップ後、モールドを741rpmまで急速に加速させ、20gpmのウォータースプレー冷却をモールドの外面に成型物が目に見えて暗黒色になるまで施した。
実験温度データをモールド外温度についてFlukeの65赤外線温度計測装置を用いて記録した。モールド内、及び取鍋温度を、OmegaのOS524装置を用いて測定した。モールドrpmをExtechのTACH+IR型装置を用いて測定した。液体シリコン融液温度を、HelectroNiteのHeraeus型装置を用いて測定した。
次に、モールド及び成型アセンブリを一晩ゆっくり冷却させた。油圧プレスを用い、成型物を鋼モールド体から引き出した。耐火物の殻を分離し、成型物をシリカグリットでブラストし、残りの微量の耐火物を除去した。
成型物を結晶粒成長の目視検査のため切断、研磨、及びエッチングした。成型物の中心を穿孔し、Buehlerの「Isomet 4000」試料薄切装置を用いて約6mm厚の試料に薄切りした。個別の試料薄片厚さを元の総穿孔中心長さとともに記録した。ソーカーフを元の穿孔中心長さに対する総薄片厚さの比較に基づいて計算した。
各試料薄片を1:4の比で混合した35%HClと脱イオン水との溶液中で洗浄した。各試料薄片を20分間溶液中に浸した後、100%脱イオン水の容器中ですすいだ。水ですすいだ後、各薄片を次にアセトンに浸し、試料の空気乾燥を加速させた。各試料を次にきれいなペーパータオル上に残し、研削ステップまで空気乾燥を継続した。
溶融炉、取鍋及び成型物の試料を、Fritschの「Pulverisette 0」型ミルにおいて粉砕し、ICP−OEM分析を用いて分析した。具体的なホウ素及びリンのデータを各薄片番号について集計表に示し、耐火物(成型物外径)に最も近い薄片を第1データ点として示した。各薄片の体積%を累積薄片及びソーカーフ厚さの合計によって総成型物体積に対して計算した。各薄片は集計表中、総成型物円柱体積の%として表した。
分析データを表2並びに図5及び6において結晶化深さの関数として理論的予想と比較した。表2に含有する分析データは、各試料薄片についてホウ素(図5において理論値に対してプロット)及びリン(図6において理論値に対してプロット)のICP−MS元素分析によって確認された機能的方向性凝固を示す。結果は最大82%収率(+/−10%分析誤差)の最大理論値又はその付近を示す。薄片#14及び#1は集積不純物及び耐火物からの汚染のため除外した。
Figure 2013512188
実施例2は本明細書において記載する方法のいくつかの実施形態をさらに示す。一定の高速(100G)で作動しながら本方法を実施する能力、及び液体混合を促進するための回転モールドキャビティ内で発生した再循環流の使用を示す。また、1.3mm/分での方向性凝固(表2)によるシリコン金属の精製を行う能力、並びに成型物の外径及び内径での不純物の集積を示す。
実施例3
約107kgのシリコン金属を、Engineered Ceramicsの「Hycor」CP−2457型るつぼを備え、Vesuviusの「Cercast 3000」上部キャップ耐火物で封をしたInductoThermの1000lb「Box」誘導炉中で溶融した。溶融プロセス中、窒素ガスパージを誘導炉ヘッドスペースに導入し、SiOガス及び二酸化ケイ素の形成を低減した。
Cercast 3000耐火物を被覆した搬送取鍋に注入する前に、シリコン融液を1520℃まで加熱した。搬送取鍋をプロパン/空気燃料トーチアセンブリを用いて800℃までに予備加熱した。注入後、搬送取鍋中のシリコン融液の温度は、遠心成型装置に注入する前に1454℃であると測定された。シリコンを加熱炉及び搬送取鍋の両方からサンプリングし、基準材料元素分析を構築した。
「Centrifugal Casting Machine Company」により製造されたM−24−22−12−WC型遠心成型装置に耐火物を被覆した直径381mm×長さ635mmの鋼モールドを取り付けた。この実験において製造されたシリコン成型物は直径330mm×長さ635mm×壁厚96mmであると測定された。
AdvantageのW5010塗型剤を、回転モールドの内面上に噴霧し、約1mm厚のベースコーティングを施した。鋼モールドを58rpmで回転させ、外部バーナーアセンブリを用いて175℃まで外部から予備加熱した。モールドを次に745rpmまで加速し、十分な体積のCercast 3000耐火物を手動装填し、モールド内に19mm厚の耐火物層を遠心製造した。モールドを次に熱処理オーブンに移し、ここでモールドをさらに4時間175℃で維持した後、周囲温度までゆっくり冷却させた。
Vesuviusの「Surebond SDM 35」をモールドキャビティ中に手動装填し、モールドを745rpmで回転させ、耐火物の6mm厚の内殻を均一に生成した。回転の30分後、モールドアセンブリを停止し、12時間空気乾燥させた。
プロパン/酸素トーチを用い、モールド内耐火物面を1360℃まで予備加熱した。トーチノズルを端部キャップ中の100mm開口と同一平面上に配置し、モールド中に方向づけ、反対の端部キャップ中の後方100mm開口から排出させた。
シリコン金属を次に搬送取鍋から耐火物被覆モールドに注入した。モールド速度は745rpmと記録した。搬送取鍋を「Challenger 2」3360型計量装置上に支持し、106kgのシリコンを回転モールドに注入した。
モールドを745rpmの定速で維持し、不純物及びスラグを分離させ、完全な成型物を方向性凝固させた。アルミナセラミックロッドをモールドキャップ中の100mm開口を通して挿入し、成型物の中心がまだ液体であることを確認した。108分後、成型物が視覚的に固体であると見なされ、浸漬ロッドが成型物の内面を貫通できなくなった時に実験を終了した。
100%凝固の点で、成型物をさらに45分間回転させ、遠心成型装置から取り出す前にモールドに空気冷却をもたらした。モールド及び成型物を次に取り出し、一晩ゆっくり冷却させた。
油圧プレスを用い、成型物を鋼モールド体から引き出した。耐火物の殻を分離し、成型物をシリカグリットでブラストし、残りの微量の耐火物を除去した。
実験温度データをモールド外温度について、Flukeの65赤外線温度計測装置を用いて記録した。モールド内、及び取鍋温度を、OmegaのOS524装置を用いて測定した。モールドrpmをExtechのTACH+IR型装置を用いて測定した。液体シリコン融液温度を、HelectroNiteのHeraeus型装置を用いて測定した。成型物の切断面を結晶粒成長の目視検査のため研磨、及びエッチングした。
実施例3は、本明細書において記載する方法のいくつかの実施形態をさらに示す。とくに、成型物の100%凝固、0.88mm/分での方向性凝固を行う能力、成型物の外径での2.5mm厚帯のアルミナシリケート鉱物(ムライト)不純物の集積、及び成型物の内径での12mmのスラグの集積を示す。
実施例4
約108kgのシリコン金属を、Engineered Ceramicsの「Hycor」CP−2457型るつぼを備え、Vesuviusの「Cercast 3000」上部キャップ耐火物で封をしたInductoThermの1000lb「Box」誘導炉中で溶融した。溶融プロセス中、窒素ガスパージを誘導炉ヘッドスペースに導入し、SiOガス及び二酸化ケイ素の形成を低減した。
Cercast 3000耐火物を被覆した搬送取鍋中に注入する前に、シリコン融液を1524℃まで加熱した。搬送取鍋をプロパン/空気燃料トーチアセンブリを用いて800℃まで予備加熱した。注入後、搬送取鍋中のシリコン融液の温度は、遠心成型装置に注入する前に1471℃であると測定された。シリコンを加熱炉及び搬送取鍋の両方からサンプリングし、基準材料元素分析を構築した。
「Centrifugal Casting Machine Company」により製造されたM−24−22−12−WC型遠心成型装置に耐火物を被覆した直径420mm×長さ635mmの鋼モールドを取り付けた。この実験において製造されたシリコン成型物は直径368mm×長さ635mm×壁厚56mmであると測定された。
AdvantageのW5010塗型剤を回転モールドの内面上に噴霧し、約1mm厚のベースコーティングを施した。鋼モールドを58rpmで回転させ、外部バーナーアセンブリを用いて175℃まで外部から予備加熱した。モールドを次に735rpmまで加速させ、十分な体積のCercast 3000耐火物を手動装填し、モールド内に19mm厚の耐火物層を遠心製造した。モールドを次に熱処理オーブンに装填し、ここでモールドをさらに4時間175℃で維持した後、周囲温度までゆっくり冷却させた。
Vesuviusの「Surebond SDM 35」をモールドキャビティに手動装填し、モールドを735rpmで回転させ、耐火物の6mm厚の内殻を均一に生成した。回転の30分後、モールドアセンブリを停止し、12時間空気乾燥させた。
プロパン/酸素トーチを用い、モールド内耐火物面を1110℃まで予備加熱した。トーチノズルを端部キャップ中の100mm開口と同一平面上に配置し、モールド中に方向づけ、反対の端部キャップ中の後方100mm開口から排出させた。
「Challenger 2」3360型計量装置上で支持した搬送取鍋を用い、106kgのシリコンを735rpmで回転するモールドに注入した。
モールドを10分間735rpmで維持し、不純物及びスラグを分離させた。モールド速度を次に、材料が回転モールドの底部にたまっているのが見え、液滴がモールドの頂部から落下するのが見える点(レイニング点付近)までゆっくり低減させた。この速度は220rpmと測定及び記録した。プロパン/酸素トーチを端部キャップ中の100mm開口と同一平面上に配置し、モールド中に方向づけ、反対の端部キャップ中の後方100mm開口から排出させた。30分後、トーチを除去し、モールド速度をゼロまで低減し、モールドキャビティの端部キャップ開口からの溶融シリコンの注出を示した。
実験温度データをモールド外温度について、Flukeの65赤外線温度計測装置を用いて記録した。モールド内、及び取鍋温度を、OmegaのOS524装置を用いて測定した。モールドrpmをExtechのTACH+IR型装置を用いて測定した。液体シリコン融液温度をHelectroNiteのHeraeus型装置を用いて測定した。
モールド及び成型アセンブリを次に一晩ゆっくり冷却させた。油圧プレスを用い、成型物を鋼モールド本体から引き出した。耐火物の殻を分離し、成型物をシリカグリットでブラストし、残りの微量の耐火物を除去した。この実験において製造された成型物は2.5〜7mmと厚みが変化した。いくつかの試料を結晶粒成長の目視検査のため切断、研磨、及びエッチングした。
実施例4は本明細書において記載する方法のいくつかの実施形態をさらに示す。とくに、方向性凝固の速度、レイニング(10G)及びその付近のモールド速度での滑り及びレイニング、並びに0.14mm/分での制御方向性凝固を制御する手段としての熱をもたらすための溶融シリコンの中空本体上でのプロパン/酸素トーチの使用を示す。
実施例5
合計119kgのシリコン金属を、Engineered Ceramicsの「Hycor」CP−2457型るつぼを備え、Vesuviusの「Cercast 3000」上部キャップ耐火物で封をしたInductoThermの1000lb「Box」誘導炉中で溶融した。溶融プロセス中、窒素ガスパージを誘導炉ヘッドスペースに導入し、SiOガス及び二酸化ケイ素の形成を低減した。
1000lb加熱炉中で溶融したシリコンを1527℃まで加熱し、Cercast 3000耐火物を被覆した搬送取鍋に注入した。搬送取鍋をプロパン/空気燃料トーチアセンブリを用いて約1000℃まで予備加熱した。搬送取鍋中のシリコン融液の温度は遠心成型装置に注入する前に1438℃であると測定された。溶融シリコンを加熱炉及び搬送取鍋の両方からサンプリングし、基準材料元素分析を構築した。
「Centrifugal Casting Machine Company」により製造されたM−24−22−12−WC型遠心成型装置に耐火物を被覆した直径400mm×長さ635mmの鋼モールド(内寸)を取り付けた。この実験において製造されたシリコン成型物は直径356mm×長さ635mm×壁厚78mmであると測定された。
AdvantageのW5010塗型剤を回転モールドの内面上に噴霧し、約0.5mm厚のベースコーティングを施した。鋼モールドを58rpmで回転させ、外部バーナーアセンブリを用いて175℃まで予備加熱した。モールドを次に790rpmまで加速させ、十分な体積のCercast 3000耐火物を手動装填し、モールド内に約19mm厚の耐火物層を遠心製造した。モールドを次に熱処理オーブンに移し、ここでモールドをさらに4時間175℃で維持した後、周囲温度までゆっくり冷却させた。
Vesuviusの「Triad FS」をモールドキャビティに手動装填し、モールドを790rpmで回転させ、耐火物の3mm厚の内殻を均一に生成した。回転の30分後、モールドアセンブリを停止し、12時間空気乾燥させた。
150rpmで回転させながら、プロパン/酸素トーチを用い、モールド内耐火物面を1305℃まで予備加熱した。トーチノズルを端部キャップ中の100mm開口と同一平面上に配置し、モールド中に方向づけ、反対の端部キャップ中の後方100mm開口から排出させた。
シリコン金属を搬送取鍋から790rpmで回転する耐火物被覆モールドに注入した。搬送取鍋を「Challenger 2」3360型計量装置上で支持し、119kgのシリコンを回転モールドに注入した。2つの#15「Victor」水素/酸素トーチをモールドキャビティと同一平面上に配置し、酸化炎をもたらすように均衡を保った。両方のトーチを84分間作動させた後、プロセスから除去した。モールドをさらに80分間790rpmで維持し、成型物の100%制御方向性凝固を可能にした。モールド速度を次にゼロまで低減した。
実験温度データをモールド外温度についてFlukeの65赤外線温度計測装置を用いて記録した。モールド内、及び取鍋温度を、OmegaのOS524装置を用いて測定した。モールドrpmをExtechのTACH+IR型装置を用いて測定した。液体シリコン融液温度をHelectroNiteのHeraeus型装置を用いて測定した。
モールド及び成型アセンブリを次に一晩ゆっくり冷却させた。モールド端部キャップの両方を次に除去し、耐火物を成型物端部から削り取った。油圧プレスを用い、シリコン成型物をモールドから押し出した。シリカ砂グリットを用い、いずれの残りの微量の耐火物もシリコン面から除去した。
成型物を結晶粒成長の目視検査のため切断、研磨、及びエッチングした。次に成型物の中心を穿孔し、直径30mmの円柱を形成し、これを次にBuehlerの「Isomet 4000」試料薄切装置を用いて約3〜7mm厚試料に薄切りした。個別の試料薄片厚さを元の総穿孔中心長さとともに記録した。ソーカーフを元の穿孔中心長さに対する総薄片厚さの比較に基づいて計算した。
各試料薄片を1:4の比で混合した35%HClと脱イオン水との溶液中で洗浄した。各試料薄片を20分間溶液中に浸した後、100%脱イオン水の容器中ですすいだ。水ですすいだ後、各薄片を次にアセトンに浸し、試料の空気乾燥を加速させた。各試料を次にきれいなペーパータオル上に残し、研削ステップまで空気乾燥を継続した。
溶融炉、取鍋及び成型物の試料をFritschの「Pulverisette 0」型ミル中で粉砕し、ICP−MS分析を用いて分析した。具体的なホウ素及びリンのデータを各薄片番号について集計表中に示し、耐火物(成型物外径)に最も近い薄片を第1データ点として示した。各薄片の体積%を累積薄片及びソーカーフ厚さの合計によって総成型物体積に対して計算した。各薄片は集計表中、総成型物円柱体積の%として表した。
分析データを、表3並びに図7及び8において結晶化深さの関数として理論的予想と比較した。表3に含有する分析データは、各試料薄片についてホウ素(図7において理論値に対してプロット)及びリン(図8において理論値に対してプロット)のICP−MS元素分析によって確認された機能的方向性凝固を示す。シャイルの式により予測される理論的最大値を超えるホウ素の除去を表3及び図7において水素/酸素トーチ精製の結果としてさらに示す。結果は最大84.5%収率(+/−10%分析誤差)の最大理論値以上を示す。薄片#1及び#19は遠心集積不純物及び耐火物からの汚染のため除外した。
Figure 2013512188
実施例5は、本明細書において記載する方法のいくつかの実施形態をさらに示す。とくに、本方法を直径356mmの成型物において一定の高速(100G)で作動しながら実施する能力、及び液体混合を促進するための回転モールドキャビティ内で発生した再循環流の使用を示す。実施例5は方向性凝固(表3)によるシリコン金属の精製を行う能力及びモールドキャビティ/中空シリコン本体内で直接燃焼する水素/酸素トーチを用いてさらなるホウ素除去を行う能力も示す。
実施例6
合計122kgのシリコン金属を、Engineered Ceramicsの「Hycor」るつぼを備え、Vesuviusの「Cercast 3000」上部キャップ耐火物で封をしたInductoThermの1000lb「Box」誘導炉中で溶融した。溶融プロセス中、窒素ガスパージを誘導炉ヘッドスペースに導入し、SiOガス及び二酸化ケイ素の形成を低減した。
1000lb加熱炉中で溶融したシリコンを1523℃まで加熱し、Cercast 3000耐火物を被覆した搬送取鍋に注入した。搬送取鍋をプロパン/空気燃料トーチアセンブリを用いて約1000℃まで予備加熱した。搬送取鍋中のシリコン融液の温度は遠心成型装置に注入する前に1433℃であると測定された。溶融シリコンを加熱炉及び搬送取鍋の両方からサンプリングし、基準材料元素分析を構築した。
「Centrifugal Casting Machine Company」により製造されたM−24−22−12−WC型遠心成型装置に耐火物を被覆した、直径420mm×長さ635mmの鋼モールド(内寸)を取り付けた。この実験において製造されたシリコン成型物は直径375mm×長さ635mm×壁厚45mmであると測定された。
AdvantageのW5010塗型剤を回転モールドの内面上に噴霧し、約0.5mm厚のベースコーティングを施した。鋼モールドを58rpmで回転させ、外部バーナーアセンブリを用いて175℃まで予備加熱した。モールドを次に753rpmまで加速させ、十分な体積のCercast 3000耐火物を手動装填し、モールド内に約19mm厚の耐火物層を遠心製造した。モールドを次に熱処理オーブンに移し、ここでモールドをさらに4時間175℃で維持した後、周囲温度までゆっくり冷却させた。
Vesuviusの「Triad FS」を、モールドキャビティに手動装填し、モールドを753rpmで回転させ、耐火物の3mm厚の内殻を均一に生成した。回転の30分後、モールドアセンブリを停止し、12時間空気乾燥させた。
150rpmで回転させながら、プロパン/酸素トーチを用い、モールド内耐火物面を1316℃まで予備加熱した。トーチノズルを端部キャップ中の100mm開口と同一平面上に配置し、モールド中に方向づけ、反対の端部キャップ中の後方100mm開口から排出させた。
シリコン金属を搬送取鍋から753rpmで回転する耐火物被覆モールドに注入した。搬送取鍋を「Challenger 2」3360型計量装置上で支持し、122kgのシリコンを回転モールドに注入した。モールドを、56分間753rpmで維持し、成型物の60〜70%制御方向性凝固を可能にした。方向性凝固ステップ後、2.3kgのケイ酸ナトリウムを回転モールドの中心に添加し、熱バリア及び合成スラグフラックス/注入剤として機能させた。2分後、モールド速度をゼロまで低減し、残りのシリコン液体及びケイ酸ナトリウムをモールドの端部から注出した。
実験温度データをモールド外温度についてFlukeの65赤外線温度計測装置を用いて記録した。モールド内、及び取鍋温度を、OmegaのOS524装置を用いて測定した。モールドrpmをExtechのTACH+IR型装置を用いて測定した。液体シリコン融液温度をHelectroNiteのHeraeus型装置を用いて測定した。
モールド及び成型アセンブリを、次に一晩ゆっくり冷却させた。次にモールド端部キャップの両方を除去し、耐火物を成型物端部から削り取った。油圧プレスを用い、シリコン成型物をモールドから押し出した。シリカ砂グリットを次に用い、いずれの残りの微量の耐火物もシリコン面から除去した。
成型物を、結晶粒成長の目視検査のため切断、研磨、及びエッチングした。次に成型物の中心を穿孔し、直径30mmの円柱を形成し、これを次にBuehlerの「Isomet 4000」試料薄切装置を用いて約2〜4mm厚試料に薄切りした。個別の試料薄片厚さを元の総穿孔中心長さとともに記録した。ソーカーフを元の穿孔中心長さに対する総薄片厚さの比較に基づいて計算した。
各試料薄片を1:4の比で混合した35%HClと脱イオン水との溶液中で洗浄した。各試料薄片を20分間溶液中に浸した後、100%脱イオン水の容器中ですすいだ。水ですすいだ後、各薄片を次にアセトン中に浸し、試料の空気乾燥を加速させた。各試料を次にきれいなペーパータオル上に残し、研削ステップまで空気乾燥を継続した。
溶融炉、取鍋及び成型物の試料をFritschの「Pulverisette 0」型ミル中で粉砕し、ICP−MS分析を用いて分析した。具体的なリンのデータを各薄片番号について集計表に示し、耐火物(成型物外径)に最も近い薄片を第1データ点として示した。各薄片の体積%を累積薄片及びソーカーフ厚さの合計によって総成型物体積に対して計算した。成型物円柱体積をモールドキャビティ寸法及びモールドへの初期注入重量に基づいて計算した。各薄片は集計表中、総成型物円柱体積の%として表した。
分析データを表4及び図9において結晶化深さの関数として理論的予想と比較した。表4に含有する分析データは、各試料薄片についてリン(図9において理論値に対してプロット)のICP−MS元素分析によって確認された機能的方向性凝固を示す。リン元素の分析結果は、シャイルの式(+/−10%分析誤差)と比較して同じ/近い不純物の理論的な分離を示す。薄片#1は遠心集積不純物及び耐火物からの汚染のため除外した。
Figure 2013512188
実施例6は、本明細書において記載する方法のいくつかの実施形態をさらに示す。とくに、本方法を直径375mmの成型物において一定の高速(100G)で作動しながら実施する能力、及び液体混合を促進するための回転モールドキャビティ内で発生した再循環流の使用を示す。実施例6は、総成型物の部分凝固(61%)、及び液体シリコンをモールドキャビティから注出する能力を示す。0.77mm/分での方向性凝固(表4)によるシリコン金属の精製、及び成型物の外面での不純物の集積を行う能力も示す。実施例6は、注入前の成型熱制御のための合成スラグの使用及び前記スラグのフラックス/注入助剤としての使用をさらに示す。
本発明は、本明細書において記載する具体例に限定されるとみなされるべきではなく、むしろ本発明のすべての態様を含むと理解されるべきである。本発明が適用可能であり得る各種変形及び同等のプロセス、並びに多数の構造及び装置は、当業者にとっては容易に明らかとなるであろう。当業者であれば、本明細書において記載するものに限定されるとみなされるべきでない本発明の範囲から逸脱することなく、各種変更を行うことができることを理解するであろう。

Claims (32)

  1. (I)縦軸、モールド内面及び該縦軸に沿って延在する中空穴により規定されるモールドキャビティ、並びに、モールド外面を含むモールドを用意するステップと;
    (II)前記モールドキャビティを予備加熱するステップと;
    (III)内面及び該モールド内面と接触した外面を有する溶融シリコンの中空本体であって該本体が該モールドの該縦軸に沿って延在するもの、を形成するのに十分な速度で、前記モールドを前記縦軸の周りで連続的に回転させながら、所定量の溶融シリコンを加熱された前記モールドキャビティに導入するステップと;
    (IV)前記モールドを連続的に回転させながら前記モールド外面を冷却し、前記溶融シリコンの本体の外面から、該本体の内面への方向性凝固をもたらすステップと
    を具える、シリコンの精製方法。
  2. 前記モールドが、円柱形状を有し、鋼、鋳鉄、合金鋼、モリブデン、チタン、及びセラミックから選択される構成材料を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記モールドが実質的に水平である方位を有する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記モールドが、実質的に垂直である方位を有する、請求項2に記載の方法。
  5. 前記モールド内面が、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナ、マグネシア、アルミナシリケート、及びこれらの組み合わせから選択される、高温・非反応性耐火材料を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記耐火材料が少なくとも1%(w/w)のシリカを含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記モールド外面が、約25〜約700℃の温度まで予備加熱される、請求項1に記載の方法。
  8. 前記モールドが、約1G〜約400Gの等価重力加速度を発生させるのに十分な速度で前記縦軸の周りを回転し、溶融シリコンの前記本体を形成する請求項1に記載の方法。
  9. 前記溶融シリコンの方向性凝固が約0.1〜約3ミリメートル/分の速度で起こる、請求項1に記載の方法。
  10. 水素/酸素トーチを溶融シリコンの前記中空本体内で燃焼することによりシリコンを精製するステップを含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記シリコン本体の形成後、前記加熱モールドを回転させるステップを具え、
    前記溶融シリコン中の1つ以上の高密度不純物を前記本体の前記外面付近に集積させ、1つ以上の低密度不純物を前記本体の前記内面付近に集積させるのに十分な温度及び継続時間で、回転が発生する、請求項1に記載の方法。
  12. 前記集積不純物の少なくとも1つが、アルミニウム、アルミナ、ナトリウム、カルシウム、酸化カルシウム、鉄、ホウ素、リン、及び炭化ケイ素から選択される、請求項11に記載の方法。
  13. 前記本体の前記外面付近に集積した前記高密度不純物の少なくとも1つが、炭化ケイ素である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記中空本体が、回転中25〜1600℃の温度を維持するように加熱される、請求項11に記載の方法。
  15. 前記モールドが一定の速度で回転する、請求項11に記載の方法。
  16. 前記モールドが複数の速度で回転する、請求項11に記載の方法。
  17. 前記シリコン本体の形成後、前記溶融シリコンの滑り又はレイニングをもたらすのに十分な速度で前記加熱モールドを回転させるステップを具える、請求項1に記載の方法。
  18. 前記回転速度が約3G〜約25Gの等価重力加速度を発生させるのに十分である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記モールドの前記速度を急速に上昇させ、こうした速度が約140G〜約300Gの等価重力加速度を発生させるのに十分であるステップを具える、請求項18に記載の方法。
  20. 前記モールドの前記速度を急速に低下させ、こうした速度が約3G〜約10Gの等価重力加速度を発生させるのに十分であるステップを具える、請求項18に記載の方法。
  21. 前記モールドの前記速度を約0〜約3Gまで低下させるステップ及び前記モールド外面の冷却後50〜80%(w/w)のシリコンが凝固した場合前記溶融シリコンを除去するステップを具える、請求項1に記載の方法。
  22. 100%(w/w)未満の前記溶融シリコンが凝固した場合前記溶融シリコンを前記モールドから除去するステップにおいて、中空シリコン成型物が前記モールド内に残り、該成型物が内面及び前記モールド内面と接触した外面を含むステップを具える、請求項21に記載の方法。
  23. 前記シリコン成型物を前記モールドから分離するステップ並びに高密度不純物を前記シリコン成型物の前記外面から及び低密度不純物を前記シリコン成型物の前記内面から表面処理により除去するステップを含む、請求項22に記載の方法。
  24. (I)縦軸、モールド内面及び該縦軸に沿って延在する中空穴により規定されるモールドキャビティ、並びに、モールド外面を含むモールドを用意するステップと;
    (II)該モールドキャビティを加熱するステップと;
    (III)内面及び前記モールド内面と接触した外面、を有する溶融シリコンの中空本体であって該本体が該モールドの該縦軸に沿って延在するもの、を形成するのに十分な速度で、前記モールドを前記縦軸の周りで連続的に回転させながら、所定量の溶融シリコンを加熱された前記モールドキャビティに導入するステップと;
    (IV)溶融シリコンの該中空本体内で、水素/酸素トーチを燃焼させることにより該シリコンを精製するステップと;
    (V)前記モールドを連続的に回転させながら前記モールド外面を冷却し、前記溶融シリコンの本体の外面から、該本体の内面への方向性凝固をもたらすステップと
    を含む、シリコンの精製方法。
  25. 前記モールド内面が、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナ、マグネシア、アルミナシリケート、及びこれらの組み合わせから選択される高温・非反応性耐火材料を含む、請求項24に記載の方法。
  26. 前記モールド外面が約25〜約700℃の温度まで予備加熱される、請求項24に記載の方法。
  27. 前記モールドが、約1G〜約400Gの等価重力加速度を発生させるのに十分な速度で前記縦軸の周りを回転し、溶融シリコンの前記本体を形成する請求項24に記載の方法。
  28. 前記シリコン本体の形成後、前記加熱モールドを回転させるステップを具え、
    前記溶融シリコン中の1つ以上の高密度不純物を前記本体の前記外面付近に集積させ、1つ以上の低密度不純物を前記本体の前記内面付近に集積させるのに十分な温度及び継続時間で、回転が発生する、請求項24に記載の方法。
  29. 前記集積不純物の少なくとも1つが、ナトリウム、カルシウム、カリウム、ホウ素、リン、及び炭化ケイ素から選択される、請求項28に記載の方法。
  30. 前記本体の前記外面付近に集積した前記高密度不純物の少なくとも1つが、炭化ケイ素である、請求項29に記載の方法。
  31. 前記中空本体が回転中25〜1600℃の温度を維持するように加熱される、請求項28に記載の方法。
  32. 前記シリコン本体の形成後、前記溶融シリコンの滑り又はレイニングをもたらすのに十分な速度で前記加熱モールドを回転させるステップを含む、請求項24に記載の方法。
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