JP2013505713A - エキソソームに結合した目的のポリペプチドの分泌を可能にする新規キメラポリヌクレオチド及びポリペプチド、並びにその使用 - Google Patents

エキソソームに結合した目的のポリペプチドの分泌を可能にする新規キメラポリヌクレオチド及びポリペプチド、並びにその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、膜小胞、特にエキソソームに結合して分泌され得る複数のポリペプチドドメインを含んでなるキメラポリペプチドを提供する。本発明はまた、本発明のポリペプチドならびにエキソソームまたはDNAに基づく免疫原性組成物の産生のための、あるいはタンパク質相互作用をスクリーニングするためのこれらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの使用に関する。本発明はまた、免疫学において、本発明のポリペプチドを含んでなるエキソソームおよび本発明の免疫原性組成物の特性を利用することに関する。本発明はまた、診断手段として本発明のポリペプチドを含んでなるエキソソームの使用に関する。本発明はまた、機能的な欠損による疾患の予防および/または処置のために、特にタンパク質もしくは核酸を輸送するために、特に酵素の欠損を補うかもしくは埋め合わせるために、または特に標的細胞または臓器における転写もしくは翻訳修飾を誘発するために、本発明の膜小胞およびタンパク質組成物の特性を利用することに関する。

Description

本発明は、エキソソームに結合した目的のポリペプチドの分泌を可能にするキメラポリペプチド及びポリヌクレオチドに関し、並びに、キメラポリペプチド、DNAまたはエキソソームに基づく免疫原性組成物の産生のための、タンパク質相互作用をスクリーニングするための、あるいはタンパク質または核酸の輸送のためのこれらの使用に関する。
本発明は、適当な真核細胞において発現されるときに、エキソソームに結合して分泌されることができるキメラポリペプチドであって、複数のポリペプチドドメインを含んでなるキメラポリペプチド、を提供する。
本発明はまた、本発明のポリペプチドを含んでなる膜小胞、特にエキソソーム、このようなエキソソームに基づく免疫原性組成物、並びにこうしたエキソソームを産生するための方法に関する。
本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよびこれを含んでなる免疫原性組成物、特にこれを含んでなるDNAワクチンを提供する。
本発明はまた、(ヒトまたはヒトでない)宿主においてインビボで、病原性物質、病原体、腫瘍抗原または細胞質抗原による感染の予防および/または処置のために、特にウイルス、細菌、寄生虫または腫瘍に対する体液性および/または細胞性応答を誘発または促進するために、本発明の膜小胞および免疫原性組成物の特性を利用することに関する。
本発明はまた、診断手段としての本発明のポリペプチドを含んでなるエキソソームの使用に関する。
本発明はまた、機能的または代謝的な欠損による疾患の予防および/または処置のために、特にタンパク質もしくは核酸を輸送する、特に酵素の欠損を補うかもしくは埋め合わせるために、または特に適当な標的細胞または臓器における転写もしくは翻訳修飾を誘発するために、あるいはまたは細胞代謝を修飾するために、本発明の膜小胞およびタンパク質組成物の特性を利用することに関する。
本発明はまた、目的のペプチドまたはポリペプチドに対する抗体を産生するための本発明の膜小胞の使用を想定する。
エキソソームは、脂質二重層によって囲まれた小球の形態で存在する。これらの膜小胞は、様々なタイプの細胞によって、特に上皮細胞、腫瘍細胞および免疫システムの特定の細胞(マスト細胞、TおよびBリンパ球、樹状細胞、特にランゲルハンス細胞)によって自然に分泌される。エキソソームは、特に小さな寸法(直径50〜100nm)によって、並びにこれらの膜タンパク質組成物(とりわけ、接着、輸送、シグナル伝達分子および主要組織適合遺伝子複合体の分子)によって、当該細胞によって分泌される他の膜小胞と区別される。
特に、エキソソームは、これらのエンドソームの原形質膜との融合の間に、細胞から分泌される多胞体エンドソーム(特に後期エンドソーム)の内部小胞としての役割を果たし得る;多胞体エンドソームは通常リソソーム区画(タンパク質分解経路)内の分子の輸送に関与するが、特定の細胞、例えば網状赤血球および特定の抗原提示細胞では、エキソソームを細胞外媒体内に遊離させるためにこれらが融合する原形質膜へ向けられ得る。
以前の研究から、エキソソームは体液性および/または細胞性免疫応答を誘発することができることが実証されている(Delcayre et al, 2002)。エキソソームは、抗原特異的様式でインビトロにおいてTリンパ球を直接刺激することができる抗原のためのベクターであると考えられている。樹状細胞によって分泌されるエキソソームは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスIおよびIIの分子を発現する。エキソソームによって運搬される機能性ペプチド/MHC複合体は、ある樹状細胞から、MHC分子と結合するペプチドが由来する抗原に遭遇したことのない他の細胞へ輸送される。未感作の樹状細胞を段階的に刺激することによって、抗原性ペプチドを表面に有する分泌されたエキソソームが特定のT CD4 およびT CD8応答の増幅に寄与する(Delcayre and Le Pecq, 2006)。一例として、エキソソームに腫瘍ペプチドを保持させてそしてマウスへ注射する場合、これらのエキソソームは、強い免疫応答を促進し、そして予め樹立された固形腫瘍を消失させることができる(Zitvogel et al, 1998)。
エキソソームは、天然のタンパク質全体の形でまたはMHCIおよびII分子と結合したペプチドの形で外来性抗原を提示することができる(Colino and Snapper 2006)。エキソソームの表面での抗原提示は、細胞またはエンベロープを有するウイルスの膜での提示と類似している。しかしながら、エキソソームは、生きておらず感染性もないので、これらはウイルスとは対照的に、注意しなければならない制限はなく、通常の物質のように操作することができる利点を有する。したがって、エキソソームは、免疫付与の目的のために抗原性ペプチドまたはポリペプチドを提示するのに使用することができる。「エキソソームディスプレー」と呼ばれるこの技術は、MHCによる抗原の直接提示を必ずしも必要としない(Chaput et al, 2004)。しかしながら、この革新的なワクチン接種技術の発達で、効果的な分子的「手段」がエキソソームを用いて抗原性タンパク質を標的化するために利用できることが想定される。しかしながら、今日まで、このような「手段」は記載されていない。
レトロウイルス、より詳細にはヒト免疫不全ウイルス(HIV)の研究で、これらは原形質膜に出芽するために多胞体エンドソームの生合成の細胞機構を流用する能力を有することが示されている(Pornillos et al, 2002)。これらのウイルスはまた、エンドソームの膜、すなわち通常の機能部位上でこの機構を使用することができる(Raposo et al, 2002)。よって、「トロイ(Trojan)のエキソソーム」(Gould et al, 2003)仮説によると、こうしたウイルスはウイルス粒子の形成のために、予め存在するエキソソーム生合成経路を使用する。
レトロウイルスのエンベロープは、外側のエンベロープタンパク質(SU)、ならびにウイルス膜および細胞膜の融合に関与する膜貫通型糖タンパク質(TM)によって構成される。
これらのエンベロープ糖タンパク質は、ENVと呼ばれる成熟前駆物質タンパク質の切断に由来する。env遺伝子の発現によってレトロウイルスのエンベロープ糖タンパク質がゴルジ体を貫通するタンパク質前駆物質の形態で合成され、そしてウイルス粒子の出芽中にウイルスのエンベロープとして機能するだろう膜(エンドソーム膜または原形質膜)の部分に到達する。途中、このオリゴマーの前駆物質はグリコシル化され、そして表面(SU)および膜貫通型(TM)糖タンパク質に切断される。SUおよびTMタンパク質は、結合したままで、そしてTMタンパク質の疎水性膜貫通型ヘリックスを介して細胞膜に固定される。
レトロウイルスのTM糖タンパク質は、その外側、膜貫通型および細胞質内(CDTM)ドメインの結合に起因する多くの小面を有し、これによりウイルスおよび感染した細胞の膜の両側でのやりとりを可能にしているレトロウイルスのタンパク質のみが形成される(Cann et al, 1992; Delamarre et al, 1996)。特に、TMタンパク質は、ウイルスの標的細胞への貫通現象に関与し、そしてウイルスおよび細胞の膜の融合を誘発する。さらに、この細胞内の輸送中、TMタンパク質は、細胞骨格並びにユビキチン化および出芽機構との相互作用によって、ウイルス粒子の局在化、転帰、ターゲティングおよび出芽に対して影響しやすい(Cann et al, 1992; Delamarre et al, 1996; Straub and Levy, 1999)。
以前の研究から示された二つのレトロウイルス、ウシ白血病ウイルス(BLV)およびヒト免疫不全ウイルスのTMタンパク質の細胞質ドメインは、エキソソームにおける組換え型タンパク質の差し向け(addressage)、および分泌を誘発することができる(De Gassart et al, 2004; 2009)。恒常的な態様でエキソソームを分泌するK562株由来の細胞(ヒト由来の赤白血病株細胞)は、真核細胞システムで以下の二つのタイプのキメラタンパク質を発現することができるレトロウイルスベクターで核酸を導入された:(i)マウスのCD8タンパク質の細胞外ドメイン並びにBLVのTM糖タンパク質の膜貫通型および細胞質ドメイン(TM−BLV/CD8キメラ;De Gassart et al, 2004; 2009)を含んでなるキメラ、および(ii)マウスタンパク質CD8の細胞外および膜貫通型ドメイン並びにHIVのTMタンパク質の細胞質ドメインを含んでなるキメラ(TM−HIV/CD8キメラ;De Gassart et al, 2004)。この二つのキメラは、核酸が導入されたK562細胞およびこれらの細胞によって分泌されるエキソソーム中に両方とも発現される。特に、K562株の細胞中のキメラTM−BLV/CD8タンパク質の発現は、トランスゴルジネットワークおよび後期のエンドソーム区画を経由して輸送された後、急速に消滅し、これらの細胞によって分泌されるエキソソームとなる。BLVのTMタンパク質の細胞質ドメインを含んでなるキメラは、HIVのTMタンパク質の細胞質ドメインを含んでなるキメラよりもエキソソームへより強く向かうように思われる。
しかしながら、本出願の実施例部分で提供する結果が示すように、De Gassartらによって記載されるキメラコンストラクトTM−BLV/CD8を運ぶエキソソームは、K562株の細胞で有効に産生されるだけであり、そして他のタイプの細胞、例えばHEK293株の細胞等ではごくわずかに産生されるのみであるかまたは効率よく産生されない。
本発明は、エキソソーム中に差し向け特性を有する新規キメラポリペプチドに関する。本発明のキメラポリペプチドは、細胞質ドメインおよび/または核ドメインのみを含んでなり、かつ、小胞または細胞膜の脂質二重層に挿入されず、それらはその脂質二重層を貫通することもなく、膜小胞、特にエキソソームの膜の中に固定される。本願はまた、膜小胞、特にエキソソームの膜の中に固定されることができる他のキメラポリペプチドも記載する。これらの追加のキメラポリペプチドは、1もしくは2以上の膜ドメイン、特に少なくとも1つの膜貫通型ドメインを含んでなる。これらの追加のキメラポリペプチドの小胞または細胞膜の中での固定機能は、それらの1または2以上の膜ドメインによって提供され、そして小胞または細胞膜の脂質二重層の中にそれらが挿入される、そして必要であれば一部がそれを貫通することを可能にする。
本発明の特定の態様によると、これらの追加のキメラポリペプチドは、本発明のキメラポリペプチドと一緒に使用される。
本願に記載のキメラポリペプチド、特に本発明のキメラポリペプチドは、従来技術に記載のポリペプチド、特に、De Gassartらにより記載されるポリペプチドと区別される特定のポリペプチドであって、より一層効果的に目的のペプチドまたはポリペプチドを、HEK293株の細胞によって産生されるエキソソームへ差し向けることができ、従って目的の当該ペプチドまたはポリペプチドを含んでなるエキソソームの産生を非常に大きく増幅することができる(10〜100倍)。さらに、De Gassartらにより記載される、K562株の細胞でのみ有効に使用することができるコンストラクトとは対照的に、これらのポリペプチドはエキソソーム膜へ差し向けられ、そして異なる細胞タイプ、特にHEK293細胞またはTまたはBリンパ球によって、並びに例外的でなくK562株の細胞によって産生される膜小胞、特にエキソソームと結合して分泌されることができる。本発明は特に、大量の膜小胞、特にエキソソームを産生するために使用することができ、これらは研究手段として、ならびに診断において、医療適用においておよび特に免疫付与、特にワクチン接種のために使用することができる。
このような膜小胞(特にエキソソーム)はまた、例えば免疫付与、特にワクチン接種のために、ヒトまたはヒトでない宿主(特にヒトまたはヒトでない哺乳類あるいはトリ)へ、組成物を、特にその活性成分が本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである免疫原性組成物を、特にDNAに基づく免疫原性組成物を、より具体的にはDNAワクチンを、またはその活性成分が本発明のポリペプチドを含んでなる膜小胞(特にエキソソーム)から成る免疫原性組成物を投与することによって、当該宿主によりインビボで産生することができる。
試験した様々なタイプのCD8―CDTMのコンストラクトを表わす。コンストラクトX2(配列番号79および配列番号80):CD8の外部ドメイン(ED)は、BLVのTMタンパク質の膜貫通型(tmD)および細胞質(CD)ドメインと融合されている。このコンストラクトは、BLVのTMタンパク質の2つのパルミトイル化部位Cys1およびCys2並びにパルミトイル化できないシステイン残基レギュレーター(Cys3)を保存している。コンストラクトX3(配列番号81および配列番号82):CD8のEDおよびtmDの一部分が、BLVのtmDの一部分およびCDTMBLVの全体と融合されている。したがって、BLVのtmDの最初の15残基が含まれない。このコンストラクトは、BLVのTMタンパク質の2つのパルミトイル化部位(153および158位のシステイン残基)、並びにパルミトイル化できないシステイン残基レギュレーター(C末端位のシステイン残基;Cys3)を保存している。コンストラクトX4(配列番号83〜配列番号86):CDTMBLVの主要部分を保存している。このコンストラクトでは、マウスCD8アルファの膜貫通型ドメインは、リンカーを介在して配列「RSR」と共にBLVのTMタンパク質のCDドメインへ結合されている。このコンストラクトは、BLVのTMタンパク質のパルミトイル化できないシステイン残基レギュレーター(Cys3)のみ含む。 マウスCD8アルファタンパク質およびBLVのTMタンパク質から得られるキメラタンパク質の配列の概要を表わす。下線を付した残基は、CD8アルファおよびTMタンパク質の膜貫通のヘリックスの残基に相当する。変異(アラニン残基による置換)がなされた、BLVのTMタンパク質の3つのシステイン残基は、C1、C2およびC3によって示される。作成されたキメラタンパク質は、コンストラクトX2(配列番号79および配列番号80)、X3(配列番号81および配列番号82)並びにX4(配列番号83〜配列番号86)に相当する。 STET方法によるDNAの調製を表わす。数字1〜7は、STET生成物のサンプル番号に相当する。「M」は、サイズマーカーを表わす。超らせんプラスミドDNAに相当するバンドは、枠で囲まれている。 カラム精製産物中のDNAの存在の測定を表わす。超らせんプラスミドDNAに相当するバンドは、囲まれている。A:STET方法によって得られカラムに堆積したDNA。EおよびE’:カラム上に保持され溶出された画分。FT:保持されなかった画分。M:サイズマーカー。 酵素消化後のアリコートの分光測定アッセイおよびDNA濃度の調整を表わす。二重矢印は、濃度を再調整したことを示す。 酵素消化後のDNA同一性の確認を表わす。CD8―CDTM突然変異体の相違。A:pX2 AACおよびpX2 CCA突然変異体の相違。B:X2突然変異体の互いの相違。 様々なCD8―CDTMキメラの発現のウエスタンブロット分析を表わす。キメラCD8―CDTMは、矢印で示される。 免疫沈降後の様々なCD8―CDTMキメラの発現のウエスタンブロット分析を表わす。キメラCD8―CDTMは、矢印によって示される。 超遠心分離によって単離されたエキソソーム中のCD8―CDTMの発現のウエスタンブロット分析を表わす。55kDaのシグナルは、CD8―CDTMの存在に相当する。 突然変異体pX4−CおよびpX4−Aに関する、ショ糖密度勾配上で沈降後に単離された小胞のCD8―CDTM内容物のウエスタンブロット分析を示す。 小胞輸送阻害剤の存在または非存在を示す、細胞溶解後のCD8―CDTMの発現のウエスタンブロット分析を表わす。キメラCD8―CDTMは、矢印によって示される。 小胞輸送阻害剤の存在または非存在に依存する、エキソソーム中のCD8−CDTMの発現のウエスタンブロット分析を表わす。CD8―CDTMキメラは、矢印によって示される。 一般的表現型−表現型A−pX2 CACで形質導入したHEK293細胞の共焦点免疫蛍光法イメージによる分析を表わす。この表現型は、Cys3を保存しているpX2突然変異体:pX2 CCC、pX2 ACC、pX2 CACおよびpX2 AACで確認される(参照、結果部分:「免疫蛍光法による局在性確認」)。 一般的表現型−表現型B−pX2 CAAで形質導入した細胞の共焦点免疫蛍光法イメージによる分析を表わす。この表現型は、Cys3を保存していないpX2突然変異体:pX2 CCA、pX2 ACA、pX2 CAAおよびpX2 AAAで確認される(参照、結果部分:「免疫蛍光法による局在性確認」)。 一般的表現型−表現型C−pX3 CCCで形質導入した細胞の共焦点免疫蛍光法イメージによる分析を表わす。この表現型は、試験した2つのpX3突然変異体:pX3 CCCおよびpX3 ACCで確認される(参照、結果部分:「免疫蛍光法による局在性確認」)。 一般的表現型−表現型D−pX4−Cで形質導入した細胞の共焦点免疫蛍光法イメージによる分析を表わす。この表現型は、試験した2つのpX4突然変異体:pX4−CおよびpX4−Aで確認される(参照、結果部分:「免疫蛍光法による局在性確認」)。 一般的表現型−表現型E−pX4 stpで形質導入した細胞の共焦点免疫蛍光法イメージによる分析を表わす。この表現型は、pX4 stpだけで確認される(参照、結果部分:「免疫蛍光法による局在性確認」)。 強いFITCシグナルを示している核周囲の共焦点免疫蛍光法イメージによる分析を表わす。pX3 CCCで形質導入した細胞。 パネルCDTM突然変異体を表わす。 様々なPCR生成物をクローン化するために使用したTOPO(登録商標)(PCR-Blunt II-TOPO)プラスミドのマップ。TOPO−bluntクローニングキット(Invitrogen)中に供給したTOPOベクターは直線化され、3’リン酸末端各々にワクシニアウイルスのトポイソメラーゼIを有し、これによりPCR生成物の配列の直線化したTOPOベクターとの連結が可能であることを意味した。 pBluescrip II KS(+)発現ベクターを表わす。 プラスミドpKSII―CD8αのマップを表わす。 キメラ遺伝子の発現のために使用したレトロウイルスのプラスミドpLPCXのマップを表わす。これらの遺伝子は、マルチクローニングサイトへ導入される。 レトロウイルスのpLPCX発現ベクター中にクローン化した最終キメラコンストラクトのマップを表わす。 キメラタンパク質の発現およびエキソソームターゲティングの視覚化を表わす。突然変異体および野生型CD8α−CDTMタンパク質(サイズ31kDa〜27kDa)並びにネガティブコントロール(CD8αのみを有するpLPCX発現ベクター)の一連の細胞およびエキソソーム可溶化物に関する抗CDTMおよび抗CD8αウエスタンブロットを表わす。抗CDTMおよび抗CD8αウサギ血清を1/200まで希釈した。ペルオキシダーゼと結合させた抗ウサギIgG二次抗体を1/5000まで希釈した。 エキソソームと結合したCD8αを検出するためのフローサイト蛍光測定法およびウエスタンブロットによる実験結果の比較を表わす。表は、様々なキメラタンパク質の発現およびエキソソームへのターゲティングの分析結果を示している。星で示された突然変異体は、エキソソームターゲティングに関して顕著である。CD8αタンパク質の立体構造エピトープの特定の蛍光のマウスモノクローナル抗体を使用したフローサイト蛍光測定法によって、エキソソーム上でのCD8αの存在が示された(Pharmingen製の抗体53−6.7)。 エキソソームの表面におけるCD8の発現を表わす。エキソソームの表面における各キメラタンパク質の曝露測定の平均値を表わしているヒストグラムを示す。これらの測定は、フローサイト蛍光測定法によって実施した。各キメラタンパク質の曝露は、野生型CD8a−CDTMのキメラタンパク質曝露に関するパーセンテージとして発現されている(ヒストグラム上のコンストラクトn°9=100%)。標準偏差を表示する。分析したキメラタンパク質:1:ネガティブコントロール(CD8αのみを含有するpLPCX発現ベクター);2:KS5;3:KS6;4:KS8;5:KS9;6:KS10;7:KS12;8:KS14;9:野生型配列;10:コンストラクトなし;11:KM4;12:KM5;13:S;14:KTMY;15:KM8;16:E;17:KM9;18:KM11/1;19:KM11/3;20:Dおよび21:KM13。観察される結果から、図25および26に表わされた結果が確認される。 単一または複数の膜貫通型ドメインを有するタンパク質をコードするキメラ遺伝子のクローニング後に得られた様々なpLPCX発現プラスミドを表わす。 A.形質導入していない(N−T)HEK293T細胞または3つのキメラタンパク質をコードする3つのコンストラクトを含有するpLPCX発現ベクターで形質導入したものに由来する細胞タンパク質抽出物で実施した、ウエスタンブロット抗CDTM−BLV分析を表わす。抗ウサギCDTM―BLV一次抗体を、1/200まで希釈し、使用した。ペルオキシダーゼに結合させた抗ウサギIgG二次抗体を1/2000に希釈して使用した。B.観察されたバンドのサイズは期待されるサイズに一致し、右側に記載する。 A.形質導入していない(N−T)HEK293T細胞または3つのキメラタンパク質をコードする3つのコンストラクトを含有するpLPCX発現ベクターで形質導入されたものによって生成されたエキソソームタンパク質抽出物上で実施したウエスタンブロット抗CDTM―BLV分析を表わす。抗ウサギCDTM−BLV一次抗体を1/200まで希釈し、使用した。ペルオキシダーゼと結合させた抗ウサギIgG二次抗体を1/2000に希釈して使用した。B.観察されたバンドのサイズは期待されるサイズ一致し、右側に記載する。 様々な細胞(A)およびエキソソーム(B)抽出物のタンパク質フィンガープリントのクマシーブルー染色を表わす。 この遺伝子によってコードされた3つの融合DNA断片およびSSCタンパク質の配列に接している制限部位に注釈を付したSrc−SNAP−DCTM遺伝子の配列(配列番号121および122)。 この遺伝子によってコードされた3つの融合DNA断片およびSSCタンパク質の配列に接している制限部位に注釈を付したSrc−SNAP−DCTM遺伝子の配列(配列番号121および122)。 この遺伝子によってコードされた3つの融合DNA断片およびDSCタンパク質の配列に接している制限部位に注釈を付したD−SNAP−DCTM遺伝子の配列(配列番号123および124)。 SSCおよびDSCタンパク質のエキソソーム内への標的化の実証。HEK293細胞(5x105個の細胞)を、キメラ遺伝子Src−SNAP−CDTM(トラック3と6)、またはD−SNAP−CDTM(トラック2と5)、あるいはこれらの遺伝子を欠いたもの(トラック1と4)を含む真核細胞DNA発現ベクター(pCDNA3.1)1μgで、2μLのJetPrime(PolyPlusトランスフェクション)の存在下でトランスフェクトした。培地と細胞内に分泌されたエキソソーム(A)のタンパク質をゲル電気泳動(PAGE−SDS)によって分離し、そしてイモビロン膜(Millipore)上に移し取った。ウエスタンブロット法では、ウサギ抗CDTM血清とペルオキシダーゼによってタグを付与された抗ウサギIgG二次抗体を使用することで明らかにされた:A)2μgのエキソソームの分析、B)20μgの細胞抽出物の分析。
第一の態様では、本発明は、以下のドメイン:
- (i)目的のペプチドまたはポリペプチド;
- (ii)膜内標的ドメイン;および
- (iii)膜タンパク質の細胞質ドメイン(CD)であって、真核細胞中で、膜小胞へ、特にエキソソーム形成小胞へ、および/または膜小胞の形成に関与する1または2以上の細胞区画へ、特に前記エキソソーム形成小胞へ、キメラポリペプチドを差し向けることができる前記ドメイン、あるいは、前記CDドメインの変異誘導体であって、基準CDドメインの配列中の置換、欠失および/または挿入で規定され、CDドメインの差し向け能力を保存している前記変異誘導体、ここで前記CDドメインまたはその変異誘導体は、モチーフYxxLおよびモチーフPxxP(配列中、xは任意の残基を示す)を少なくとも1つ含んでなる;
を含んでなるまたはそれから成るキメラポリペプチドであって;
ここで、前記キメラポリペプチド内に存在するドメイン、特にドメイン(i)、(ii)、および(iii)は、細胞質または核ドメインであり(例えば、ドメイン(i)および(iii)は細胞質ドメインであり)、そして前記キメラポリペプチドは、小胞体中への取り込みのためのシグナルペプチドを欠損しているものと理解される、ことを特徴とする前記キメラポリペプチドを提供する。本願で使用する用語「残基」は、アミノ酸残基を意味する。これらの残基は、省略された一文字コード(例えば、チロシン残基のY、ロイシン残基のL、プロリン残基のPおよび任意の残基のx)を使用して表示される。
CDドメインまたはその変異誘導体のモチーフPxxPは、好ましくはモチーフPSAP(配列番号88)またはモチーフPTAP(配列番号89)である。
本発明のキメラポリペプチドは、適当な真核細胞中で発現されるときに、膜小胞、特にエキソソームに結合して特に分泌され得る。本発明のポリペプチドを含んでなるエキソソームが分泌されるときには、目的のペプチドまたはポリペプチドはこれらのエキソソームの細胞質画分中に(完全に)含まれている。このことは、本発明のキメラポリペプチドに、小胞体中への取り込みを可能にするシグナルペプチドがないことを特に示している。
特定の実施形態よると、ドメイン(i)〜(iii)は、本発明のキメラポリペプチドにおいてN末端からC末端へ次の順で、連続して配置される:膜内標的ドメイン(ii)−目的のペプチドまたはポリペプチド(i)−CDドメインまたはその変異誘導体(iii)。
あるいは、ドメイン(i)〜(iii)は次の順で位置付けられる、例えば:膜内標的ドメイン(ii)−CDドメインまたはこの変異誘導体(iii)−目的のペプチドまたはポリペプチド(i)。ドメイン(ii)もしくは(iii)の一方もしくは他方、または2つのドメイン(ii)および(iii)はまた、2つの同一のまたは異なったタイプ(i)ドメイン間に配置されてもよい;それらはまた、例えば(i)のN末端−(ii)[または(iii)]−(iii)[または(ii)]−(i)の残りのC末端断片の順で、1つのドメイン(i)の中に挿入されることもできる。
用語「キメラ」はここでは、機能および/または細胞局在性で異なる少なくとも2つのタイプ由来の複数のドメインであって、当該ドメインの少なくとも2つが異なる分子に、特に同種または異なる種からの異なるタンパク質、あるいは異なる種からの同じタンパク質に由来する、複数のドメインを結合させるポリペプチドを意味する。
本願で規定される「キメラポリペプチド」は、遺伝子組換えポリヌクレオチドの発現産物であり得、宿主細胞の中で遺伝子組換え経路によって発現され得る。よって、当該キメラポリペプチドは、例えば融合ポリペプチドである。
用語タンパク質またはポリペプチドの「ドメイン」は、当該タンパク質または当該ポリペプチドに対して機能特性および/または細胞局在化特性を有する領域を意味する。
用語「膜内標的ドメイン」、「膜差し向け領域」または「膜動員ドメイン」(または細胞もしくは小胞膜に関連して)は、本願において、細胞と、特に真核細胞(例えば、エキソソーム産生細胞)の中で細胞膜および/または小胞膜に、単数もしくは複数の当該膜の中に挿入されることなく固定できるドメインを意味し、そして単数もしくは複数の膜への固定は、1もしくは2以上の固定分子(当該ドメインは単数もしくは複数の当該固定分子と結合することができる)によって、および/または当該膜内標的ドメインと、単数もしくは複数の当該膜との相互作用(特に静電的相互作用)によって達成される。特定の実施形態では、当該ドメインは、細胞、特に真核細胞(例えば、エキソソーム産生細胞)において、1もしくは2以上の固定分子を介しておよび/または相互作用(特に静電的相互作用)によって、原形質膜および/または膜小胞の内表面(すなわち、細胞質面)に結合するかまたは相互作用することができる。
用語「膜内ターゲティング」、「膜差し向け」または「膜動員」は、それが本発明のキメラポリペプチド内に存在するドメイン(ii)に適用されるときには、(1もしくは2以上の固定分子を介して、および/または相互作用、特に静電的相互作用により)細胞膜(特に原形質膜)および/または小胞膜と相互作用する能力を含意する。必要であれば(必ずではなく)、この用語はまた、当該ドメイン(ii)を移動させるような細胞荷電の能動的取り込みと、結果としての当該ドメイン(ii)を含んでなるキメラポリペプチドが細胞膜(特に原形質膜)または小胞膜に、当該膜との相互作用が可能になるように近づくことをも含意する。
膜内標的ドメインは、(1もしくは2以上の固定分子を介した相互作用による)細胞膜または小胞膜の脂質二重層への本発明のキメラポリペプチドの固定を可能にするのに十分である。よって、本発明のキメラポリペプチドの中のその存在により、膜内標的ドメインは、細胞、特に真核細胞で発現された本発明のキメラポリペプチドが細胞または小胞膜に固定されることを、当該ポリペプチドが当該膜の中に挿入されることなしに、可能にする(時折「固定される」と言われる)。本発明の好ましい実施形態では、膜内標的ドメインは、(1もしくは2以上の固定分子を介して、および/または相互作用、特に静電的相互作用により)小胞および細胞膜、特に細胞質膜および膜小胞の内表面に結合する特性を本発明のキメラポリペプチドに提供する。
本発明の特定の実施形態によると、膜内標的ドメインは、5〜40残基、好ましくは8〜25または12〜25残基、そしてより好ましくは14〜25または16〜23残基、例えば8、9、10、11、12、13、14、15、17、18、19、20、21、22、23、24、または25残基を含んでなる。
本願で使用される用語「固定分子」は、細胞膜または小胞膜の脂質二重層(特に脂質二重層の少なくとも1枚のシート)、特に脂質または脂質分子(すなわち、1もしくは2以上の脂質を含んでなる分子)に挿入できる任意の分子も意味する;よって、膜内標的ドメインや本発明のキメラポリペプチドは「脂質に固定される」と言われる。
本発明の特定の実施形態によると、本発明との関連において固定分子は、1もしくは2以上の脂質を含んでなるか、またはそれから成り、そして単数もしくは複数の当該脂質は細胞膜または小胞膜の脂質二重層にそれ自体を埋め込むことができる疎水性炭素鎖を含んでなる。
本発明の特定の実施形態によると、固定分子で存在する単数もしくは複数の脂質は、脂肪酸、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、およびイソプレノイド、特にゲラニル−ゲラニルおよびファルネシルから選択される。
本発明の特定の実施形態によると、単数もしくは複数の固定分子は、共有結合を介して本発明のキメラポリペプチド内に存在する膜内標的ドメインに連結される。
本発明の特定の実施形態によると、「膜内標的ドメイン」は、1もしくは2以上の脂肪酸、特にミリスチン酸、パルミチン酸、およびゲラニル−ゲラニルから選択される1もしくは2以上の脂肪酸を介して、および/または脂質二重層内に存在する1もしくは2以上の脂質または脂質モチーフ、特にリン脂質と相互作用することができるペプチドまたはペプチド構造物を介して、本発明のキメラポリペプチドが脂質二重層に固定されるのを可能にする。よって、本発明のキメラポリペプチドは、細胞膜および小胞膜に、当該膜の中に挿入されることなく固定される。
好ましい実施形態では、このドメインは、脂肪酸、特にミリスチン酸、パルミチン酸またはゲラニル−ゲラニルに結合するのに十分である。当該結合は、膜内標的ドメインのG(例えば、ミリスチン酸の場合)、CまたはS残基に対して特に起こり得る。特に、それはアミドまたはチオエステル結合であり得る。脂肪酸、特にミリスチン酸は、共有結合を介して膜内標的ドメインに結合し得る。
本発明の特定の実施形態によると、膜内標的ドメインは、脂質二重層内に存在する1もしくは2以上の脂質(特に1もしくは2以上の脂肪酸)または1もしくは2以上の脂質モチーフ(特に1もしくは2以上の脂肪酸を含んでなるもしくはこれらから成る1もしくは2以上の脂質モチーフ)、特にリン脂質と相互作用することができるペプチドまたはペプチド構造物(すなわち、1もしくは2以上のアミノ酸残基、そして好ましくは少なくとも2つの連続したアミノ酸残基の1もしくは2以上の連結を含んでなる構造物)を含んでなるか、またはこれらから成る。
本発明のキメラポリペプチドの膜内標的ドメインと目的のペプチドまたはポリペプチドは、同一物、特に同じタンパク質由来であっても由来でなくてもよい。
好ましい実施形態では、膜内標的ドメインは、表在性膜タンパク質のものであるか、または表在性膜タンパク質の膜内標的ドメインの変異誘導体である。
好ましい実施形態では、「膜内標的ドメイン」は、例えば、脂肪酸、特にミリスチン酸、パルミチン酸またはゲラニル−ゲラニルのアシル化またはプレニル化によって、付加が可能になるコンセンサス配列を含んでなるか、またはこれらから成る。
当該コンセンサス配列は、以下の配列を含んでなるか、またはこれらから成ることができる:特にそれがミリスチン酸の付加を可能にする場合、M−G−X1−X2−X3−S/C(配列中、X1、X2、およびX3は独立して任意の残基を示す)。脂肪酸がこのコンセンサス配列に結合するとき、それはG残基、例えば2位に一般に存在する。
特定の実施形態によると、
−X1がC、SおよびLから選択され;および/または
−X2がS、I、V、MおよびLから選択され;および/または
−X3が、K、Q、H、F、CおよびSから選択される。
当該コンセンサス配列がミリスチン酸の付加を可能にするとき、それは膜内標的ドメイン内のN末端(例えば2位)、よって本発明のポリペプチド内に好ましくは局所化される。
好ましい実施形態では、「膜内標的ドメイン」は、複数の塩基性アミノ酸残基、特にK、R、およびHから選択される複数の残基を含んでなる。本明細書中で使用される場合、用語「複数の」は、少なくとも2つ、そして好ましくは少なくとも3つ、例えば2、3、4、5または5以上を意味する。
これらのアミノ酸は、細胞膜または小胞膜の脂質、特にコリン(例えば、ホスファチジルコリン)との相互作用に関与し得るので、よってこれらの膜の膜内ターゲティング親和性を高めることができる。
膜内標的ドメインの塩基性アミノ酸は、先に記載のコンセンサス配列、および/またはこのコンセンサス配列の外側に局所化し得る。
よって本発明の特定の実施形態によると、本発明の膜内標的ドメインは:
−以下の配列から選択される配列を含んでなるか、またはそれらから成り:M−G−x−x−K−S/C−K−x−KおよびM−G−x−x−K−S/C−K−x−K−x−x−x−x−R−R−R(配列中、xは任意の残基を示す);例えば、そのような配列は、(例えば、2位における)ミリスチン酸の付加を可能にし得る;または
−この配列の変異誘導体から成り、当該変異誘導体が細胞膜の脂質二重層に固定されるようになるこのドメインの能力を保存している。
膜内標的ドメインは、Srcタンパク質ファミリーのタンパク質、特にタンパク質Src、Yes、Lyn、Fyn、Lck、Blk、Fgr、HckおよびYrkから選択されるタンパク質(Resh, 1994)、より具体的にはこれらのタンパク質のN末端部分に特に由来し得る。一例として、このドメインは、タンパク質c−Srcまたはv−Src(好ましくはc−Src)に由来し得る。このドメインは、例えば、これらのタンパク質の1つ、特にタンパク質Srcの15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25個のN末端アミノ酸を含んでなるか、またはこれらから成ることができる。
あるいは、膜内標的ドメインは、他のアシル化タンパク質、例えば、ウイルスカプシドからの特定のタンパク質、例えばヒト免疫不全ウィルス(HIV)のMAタンパク質、またはフィロウイルス・タンパク質に由来することができる。
よって、膜内標的ドメインは、Srcタンパク質に由来することができ、特に以下の配列を含んでなるか、またはこれらから成ることができる:M−G−S−S−K−S−K−P−K−D−P−S−Q−R−R−R(配列番号104)またはM−G−S−S−K−S−K−P−K−D−P−S−Q−R−R−R−K−S−R−G−P−G−G、(配列番号105)、あるいは配列M−G−S−S−K−S−K−P−K−D−P−S−Q−R−R−RまたはM−G−S−S−K−S−K−P−K−D−P−S−Q−R−R−R−K−S−R−G−P−G−Gを有するドメインの変異誘導体から成る。
本願で使用される用語「特定のタンパク質由来」は、関連のあるペプチドまたはポリペプチドがアミノ酸の置換または欠失によって特定のタンパク質、当該特定のタンパク質の断片、または当該タンパク質もしくは断片の変異誘導体を含んでなるか、またはこれらから成ることを示す。
細胞膜または小胞膜の内表面を標的化するのに使用できる1もしくは2以上の脂質または特定の脂質モチーフと相互作用することができるその他のペプチドまたはペプチド構造物の中で、次のものが引用できる:FYVEドメイン(Hurley, JH; 2006)。よって、本発明の特定の実施形態によると、膜内標的ドメインは、1もしくは2以上のFYVEドメインを含んでなるか、またはこれらから成る。
本願で使用する表現「膜小胞」は、真核細胞によって産生されるような細胞質画分を含んでなる脂質二重層からなる任意の小胞を意味する。この表現は、特に細胞外間隙に分泌される小胞、すなわちエキソソームを含む。
本願で使用される用語「エキソソーム」は、前記の細胞膜のナノ小胞を意味する。これらのエキソソームは、分画遠心法、限外濾過または担体上への吸着、あるいは実施例で見られる任意の他の方法によって、細胞の培養上清から精製することができる。
本願で使用される表現「膜小胞、特にエキソソームに結合して分泌される」は、本発明のキメラポリペプチドおよび/または少なくともこの分解産物の1つが可溶形態ではなく、膜小胞、特にエキソソームの膜の内面に固定される形態で細胞外間隙中に分泌される、ことを意味する。
本発明のキメラポリペプチドは、小胞体内への取り込みのためのシグナルペプチドを含まないので、細胞質または核の持続的な常住物(細胞質または核内に局在したまま)なので、そのため膜内にも、エキソソーム産生細胞に分泌された膜小胞、特にエキソソームの表面にも結合しないが、その膜小胞の内側(すなわち、管腔内)には結合するであろう。加えて、そのポリペプチドは、膜に向けられ、そして脂質二重層の内層に存在する1もしくは2以上の脂質または脂質モチーフ、特にリン脂質と相互作用することができるペプチドを介して、あるいは望ましくは、膜内標的ドメインと相互作用する1もしくは2以上の脂肪酸(特にミリスチン酸、パルミチン酸、およびゲラニル−ゲラニルから選択される1もしくは2以上の脂肪酸)を介して膜小胞、特にエキソソームの膜に固定される。
細胞の細胞質内で産生されたキメラポリペプチドが細胞膜または小胞膜の中に翻訳後にそれ自体が固定されことを可能にするように、1または2以上のこれらの脂肪酸が同時翻訳様式で結合され得る。
特定の実施形態によれば、本発明のキメラポリペプチドは、エキソソームが細胞から離れる前にこれらによって産生され、そしてエキソソーム内に取り込まれる。
膜小胞(特にエキソソーム)に結合する、ペプチドまたはポリペプチドの分泌は、特に(1)膜小胞特にエキソソームの形成のために当該ペプチドまたはポリペプチドをその位置(単数もしくは複数)へ差し向けること、および(2)当該ペプチドまたはポリペプチドが固定される膜からの小胞の出芽、が必要である。
本願で使用される用語「差し向け(addressing)」は、「ソーティング(sorting)」、「ニードリング(needling)」または「細胞内ルーティング(routing)」とも呼ばれ、細胞質中で合成が開始されるポリペプチドを、膜小胞、特にエキソソーム形成小胞の出芽に関与する区画へ到達させる過程、および/または膜小胞、特にエキソソーム形成小胞へ到達させる過程を意味する。
本発明の文脈で用語「分泌」は、「エキソソーム」とも呼ばれる膜小胞が分泌される、すなわち1または2以上の細胞から細胞外間隙中に放出される過程を意味する。この過程は、特に多胞体エンドソームが細胞の原形質膜に融合するときに生じる可能性があり、この結果これらに含まれる膜小胞を細胞から放出する。
以下の実施例に示すように、本発明のキメラポリペプチドの差し向けおよび分泌の特性を示すための試験は、当該キメラポリペプチドおよび/またはこの分解産物が、当該ポリペプチドが適当な真核細胞で発現されるときに、実際に膜小胞(特にエキソソーム)と結合することを確認することからなる。
「適当な」真核細胞は、好ましくは分泌のための内部小胞を含んでなる真核細胞であり、この小胞は、培養することができ、開口分泌が可能であり、遺伝子的に変更可能であり、そして好ましくは、外部刺激の影響下で内部小胞を分泌することができるものである。特に、これは哺乳類細胞であり、そしてより具体的にはヒト由来の細胞または由来に人間以外の哺乳類を有する細胞である。これはまた、初代培養または不死化株に関する。このような「適当な」真核細胞には、特にもともとエキソソームを産生することができる真核細胞、特にマスト細胞、TおよびBリンパ球並びに樹状細胞(例えば、ランゲルハンス細胞)あるいはこれらの細胞のタイプ由来の細胞、並びにエキソソームを分泌することができるように遺伝子操作によって組み換えられた真核細胞または真核細胞株由来の細胞が含まれる。
用語「脂質二重層」は、原形質膜の基本構造および任意の生体膜、すなわち細胞または小胞をその環境から分離している、および細胞または小胞の細胞質を区切っている、あるいは細胞質内で細胞小器官を区切っている二重シート(または二重層)中の両親媒性の脂質の任意の集合の基本構造を意味する。従って、この用語は、細胞の任意の膜、つまり原形質膜および様々な細胞内区画の膜の両方、特に小胞体のもの、ゴルジのもの、または膜小胞のもの、例えばエキソソームまたはエンドソームのものを包含する。
本願で使用される用語「細胞質ドメイン」(CD)は、特定の細胞質ドメインを意味し、これは膜小胞へ、特にエキソソーム形成小胞へ、または膜小胞の形成に関与する1または2以上の細胞区画、および特に真核細胞中のエキソソーム形成小胞へ向けることができる;従って、このドメインは適当な真核細胞で発現されるときには、エキソソームに結合する細胞外間隙中へ分泌することができる。それ故に、目的のペプチドまたはポリペプチドを含んでなるキメラポリペプチドの中に取り込まれる場合、このドメインにより当該キメラポリペプチドを膜小胞および/またはこれらが形成される1または2以上の位置へ送ることが可能となり、そして特に当該キメラポリペプチドを膜小胞の膜へ送ることが可能となり、特に適当な真核細胞の、膜小胞(特にエキソソーム)に結合する細胞によって、当該ポリペプチドは分泌されることができるようになる。
本願との関連において、ドメインの「変異誘導体」は、この変異誘導体がこのドメインに通常関連している機能を保存することを条件に、元のまたは基準ドメインに関して修飾された任意のポリペプチドまたはペプチドを指す:この機能とは、例えば、基準CDドメインに通常備わっている小胞膜(そして特にエキソソーム)に向かわせる能力、膜内標的ドメインに通常備わっている脂質二重層に固定する機能、そして追加のキメラペプチドに関して、膜ドメインに通常かかわっている脂質二重層への挿入と固定の機能、そして特に膜貫通型ドメインが通常かかわっているそれ全体として脂質二重層を貫通し、固定される能力である。従って、このような変異誘導体は、例えば、当該膜または細胞質ドメインの隣接する残基から構成される断片(この誘導体は、特に欠失および場合により1または2以上の残基の元の配列中への置換によって得られる)、または対照的に、元の膜または細胞質ドメインより大きなサイズを有するポリペプチド、特に元の膜または細胞質ドメインを含んでなるポリペプチド(特に、1または2以上の残基の元の配列への挿入によって得られるこの誘導体)に相当する。
特定の実施形態によれば、本願との関連において「変異誘導体」は、元のドメインの配列において、連続または非連続であってよい、少なくとも1つの残基、好ましくは1、2、3、4、5または5以上の残基の置換によってドメインの元の配列と異なり、当該置換は場合により、保存的、半保存的、あるいは非保存的であり、並びに/あるいは少なくとも1つの残基、好ましくは1、2、3、4、5または5以上の残基の欠失および/または挿入によるもので、これらは元のドメインの配列において、連続または非連続であってよい。
膜ドメインのこの「変異誘導体」の配列は、元のドメインの完全な配列に関して、これが由来するドメインと、少なくとも60%または70%、特に少なくとも80%、90%または95%の類似性または同一性を有してよい。本願で使用される用語「パーセンテージ同一性」は、実験されたペプチドまたはポリペプチドの残基の総数に対する同一残基の数を意味する。用語「パーセンテージ類似性」は、実験されているペプチドまたはポリペプチドの残基の総数に対する、同一のまたは化学的に類似した残基の数を規定する。パーセンテージ同一性または類似性は、比較するために二つの配列をそろえ、そして二つの配列間で全体の配列比較が可能なニードルマンおよびワンチのアルゴニズムを使用することによって決定される。そしてパーセンテージ類似性または同一性は、これら2つの配列の全長に基づいて算出される。
特定の実施形態によれば、CDドメインまたはその変異誘導体は、2または3つのモチーフYxxLを含んでなり、配列中、xは任意の残基を表わす。当該YxxLモチーフまたはCDドメインのYxxLモチーフの1つは、例えばモチーフYINL(配列番号91)またはYSHL(配列番号97)であってよい。
特定の実施形態によれば、CDドメインまたはその変異誘導体は、モチーフDYxxLを含んでなり、xは任意の残基を表わす。言及する実験セクションで説明する実施例および引用され得る実施例は、モチーフDYINL(配列番号93)である。
別の態様あるいは相補的な態様では、CDドメインはモチーフYxxLと同等である少なくとも1つのモチーフ、例えばモチーフYxxFまたはモチーフDYxxLを含んでなり、配列中、xは任意の残基を表わす。例えば、細胞タンパク質であるトランスフェリン受容体は、ドメインYxxFを含んでなる。
一般にYxxLドメインに関してなされるまたは特定の配列で示されるような本願の説明はまた、ドメインDYxxLまたはDYxxFに適用することができ、これらは一般的な用語で規定されるかまたは記載したモチーフの例に由来する特定の配列を有している。
好適な実施形態によれば、当該CDドメインまたはその変異誘導体は、さらに2、3または4つのモチーフPxxPを含んでなり(配列中、xは任意の残基を表わす)、これらのモチーフPxxPのうちの少なくとも1つは、モチーフPSAP(配列番号88)またはPTAP(配列番号89)である。本発明の特定の実施形態では、CDドメインまたはその変異誘導体のモチーフPxxPはPSAPまたはPTAP(より好ましくはPSAP)であり、そしてモチーフYxxLは、YINLまたはYSHLである。
特定の実施形態では、CDドメインのモチーフYxxL(例えばモチーフYINLまたはYSHL)、またはこれらのモチーフの1つは、モチーフPxxP(例えばモチーフPSAP)に対してC末端位に位置するYxxLである。
特定の実施形態では、CDドメインのモチーフYxxL(例えば、モチーフYINLまたはYSHL)は、モチーフPxxP(例えばモチーフPSAP)に対してN末端位に位置する。
少なくとも1つのモチーフYxxLを含んでなるCDドメインを有するタンパク質は、特に細胞タンパク質およびウイルスタンパク質を含む。これらのウイルスタンパク質は、特にエンベロープを有するウイルスのタンパク質、特にエンベロープを有するウイルス、特にレトロウイルスのTM糖タンパク質である。
特定の実施形態によれば、CDドメインは、ウシ白血病ウイルス(BLV)のTMタンパク質のものである。オンコウイルス亜科(Oncovirinae)(オンコウイルス(Oncovirus))の一部を形成するこのレトロウイルスは、ウシにおいて白血病を生じうるB細胞の増殖を誘発する。
58残基から構成されるBLVのTMタンパク質のCDドメインは、配列番号6の配列を有する。そして、本発明のキメラポリペプチドのCDドメインまたはその変異誘導体は、配列番号6のドメインか、または、配列番号6のドメインの変異誘導体に相当する。
本発明の特定の実施形態において、CDドメインの変異誘導体は、本質的にモチーフPSAP(またはPTAP)から、特定の実施形態ではC末端部分でこれに続くモチーフYxxL(例えばYINLまたはYSHL)へ伸びるアミノ酸配列によって構成される天然のCDドメインの断片である。必要ならば、これらの2つのモチーフの間の、CDドメインに必然的に存在する1または2以上のアミノ酸残基は、置換または欠失される。
特定の実施形態によれば、本発明のキメラポリペプチドのCDドメインまたはその変異誘導体、特にCDドメインの変異誘導体は、配列KCLTSRLLKLLRQが欠損している。従って、CDドメインの変異誘導体は、この配列は配列KCLTSRLLKLLRQが欠損している、という点で、元のCDドメインとは異なってよい。
さらに、または代わりに、CDドメインの変異誘導体の配列は、連鎖(concatenation)KCLTSRLLKLLRQを欠損している元のCDドメインの配列と、少なくとも60%または70%、特に少なくとも80%、90%または95%の類似性または同一性を有してよい。
また、CDドメインまたはその変異誘導体、特にその変異誘導体は、配列PCおよび/または配列CPを欠損していることが好適である。特定の実施形態によれば、当該CDドメインまたはその変異誘導、特にその変異誘導体は、特に配列PCPを欠損している。従って、元のCDドメインが配列PCPを含む場合、この変異誘導体は、特に元のCDドメインの配列中の当該配列PCPのシステイン残基を欠失することによって、または、これを他の残基、好ましくはパルミトイル化可能でない残基、例えばアラニン残基と置換することによって得ることができる。
特定の実施形態によれば、CDドメインまたはこの誘導体は、配列PCPおよび連鎖KCLTSRLLKLLRQどちらも欠損している。
例えば、BLVのTMタンパク質のCDドメインの変異誘導体は、13個のN末端残基が欠失されている配列番号6に相当する、配列番号8を含んでなるまたはこれから成ってよい。
また例えば、配列番号8に相当する当該ドメインの配列中の、連続するまたはしない、少なくとも1つの残基、好ましくは1、2、3、4、5または5以上の残基の置換によって、並びに/あるいは連続するまたはしない、少なくとも1つの残基、好ましくは1、2、3、4、5または5以上の残基の欠失および/または挿入によって、BLVのTMタンパク質の変異誘導体の配列は、BLVのTMタンパク質のCDドメインの配列と異なる。
また例えば、BLVのTMタンパク質のCDドメイン(配列番号6のCDドメイン)の変異誘導体の配列は、配列番号8と少なくとも60%または70%、特に少なくとも80%、90%または95%の類似性または同一性を有してよい。好ましくは、当該変異誘導体の配列は特に、配列番号8のモチーフYINL、YSHL(または、適当な場合、DYINL)およびモチーフPSAPを保存する。
配列番号6のCDドメインの当該変異誘導体の配列は、好ましくはモチーフPC(プロリン−システイン)およびCP(システイン−プロリン)を欠損しており、より好ましくはモチーフPCP(プロリン−システイン−プロリン)を欠損している。例えば、配列番号10または配列番号12を含んでなるまたはこれから成ってよい。
特定の実施形態によれば、CDドメインまたはこの変異誘導体、特に配列番号6のCDドメインの変異誘導体は、次の配列:
PxxPxxxxPxxPxSxYxxLxPxxPExYxxLxPxxPDYxxL;
PxxPxnPxxPxnSxYxxLxnPxxPExnYxxLxnPxxPDYxxL;
PxxPxxxxPxxPxSxYxxLxPxxPExYxxLxPxxPDYxxLxxxx;および
PxxPxnPxxPxnSxYxxLxnPxxPExnYxxLxnPxxPDYxxLxxxx;
から選択される配列を含んでなるまたはこれから成り、配列中、xおよびxnは各々任意の残基および任意の1または2以上の残基を表わし、かつ、配列中、モチーフPxxPのうちの少なくとも1つがモチーフPSAPまたはPTAPである。
特定の実施形態によれば、CDドメインまたはこの変異誘導体、特に配列番号6のCDドメインの変異誘導体は、次の配列:
PxxPxxxxxxxxxxxxYxxL;
PxxPxxxxxxxxxxxDYxxL;
PxxPxxYxxxxxxxxxYxxL;
PxxPxxYxxxxxxxxDYxxL;
PxxPExYxxLxPxxPDYxxL;
PxxPxnYxxL;
PxxPxnDYxxL;
PxxPxnYxnYxxL;
PxxPxnYxnDYxxL;
PxxPExnYxxLxnPxxPDYxxL;
PxxPxxxxPxxPxxxYxxLxPxxPExYxxLxPxxPDYxxL;
PxxPxnPxxPxnYxxLxnPxxPEXnYxxLxnPxxPDYxxL;
PxxPxxxxPxxPxxxYxxLxPxxPExYxxLxPxxPDYxxLxxxx;および
PxxPxnPxxPxnYxxLxnPxxPEXnYxxLxnPxxPDYxxLxxxx、
から選択される配列を含んでなるまたはこれから成り、配列中、xおよびxnは各々任意の残基および任意の1または2以上の残基を表わし、かつ、配列中、モチーフPxxPのうちの少なくとも1つがモチーフPSAPまたはPTAPである。
特に、nは1以上50未満である。nは、特に1〜20の間の任意の値であってよい。
例えば、特定の実施形態では、前述の配列中のN末端位にある、モチーフPxxPは、モチーフPSAPまたはPTAPであってよい。
あるいはまたは相補的な態様では、特定の実施形態では前述の配列のC末端位にある、モチーフYxxLは、例えばモチーフYINLまたはYSHLであってよい。
本発明の特定の実施形態では、CDドメインまたはこの変異誘導体が前記配列の1つを含んでなる場合には、この配列の上流または下流に付加される連続したアミノ酸残基は、モチーフPxxPあるいはモチーフYxxL、YxxF、DYxxLまたはDYxxFを形成しない。
特定の実施形態によれば、配列番号6のCDドメインの当該変異誘導体は、6〜100の残基、特に20〜80、30〜70または40〜60、例えば40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50残基を含んでなる。
例えば、CDドメインの変異誘導体の配列は、配列番号30、配列番号42、配列番号44または配列番号95含んでなるか、またはこれから成ってよく、あるいは完全な配列番号30、配列番号42、配列番号44または配列番号95各々を基準にして、配列番号30、配列番号42、配列番号44または配列番号95と、少なくとも60%または70%、特に少なくとも80%、90%または95%の類似性または同一性を有してよい。
本願で使用される用語「目的のペプチドまたはポリペプチド」は、ペプチドまたはポリペプチドの構造を形成している、複数の(少なくとも2つの)連続的な残基の完全な配列を意味する。「ペプチド」は、2〜20の連続的な残基(特に2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20残基)の鎖、特に5〜10、10〜15または15〜20の連続的な残基の鎖を意味する。タンパク質またはタンパク質の断片も意味する「ポリペプチド」は、20以上(少なくとも21)の連続的な残基の配列、特に21〜1000の連続的な残基、好ましくは21〜500、21〜250または21〜150の連続的な残基、例えば21〜50、50〜100、または100〜150の連続的な残基の鎖である。目的の当該ペプチドまたはポリペプチドは、特に可溶性タンパク質、膜タンパク質、膜貫通型タンパク質および/または多量体のタンパク質の1または2以上のドメイン含んでなるか、またはこれらから成ってよい。
特定の実施形態によれば、「目的の当該ペプチドまたはポリペプチド」、特に本発明のキメラポリペプチド内に存在する目的のペプチドまたはポリペプチドは、細胞質タンパク質のまたは核タンパク質の1または2以上のドメイン、あるいはこの(これらの)ドメインの1または2以上の断片含んでなるか、またはこれらから成る。
本願で使用される用語ドメインの「断片」は、少なくとも6つの隣接する当該ドメインの残基からなる部分、特に当該ドメインの完全な配列と、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、70%、80%または少なくとも90%、または実に100%の同一性を有する部分を意味する。どのようなものであれ、断片は大きさが、断片の由来であるタンパク質よりも小さい。
特定の実施形態によれば、目的の当該ペプチドまたはポリペプチドは、抗原性があり、すなわち、目的の当該ペプチドまたはポリペプチドに対する免疫応答を引き起こすことができる。目的の当該ペプチドまたはポリペプチドは、特にタンパク質の1または2以上のエピトープ含んでなるか、またはこれらから成ってよい。
特定の実施形態によれば、目的の当該ペプチドまたはポリペプチドは、病原体、例えばウイルス、細菌または寄生虫、あるいは病原性物質、例えば腫瘍細胞、毒等に由来する。これが構造タンパク質であるなしにかかわらず、このような生物または病原性物質の任意の細胞質または核ペプチド成分を使用してよい。これは特に、病原体の抗原、特にウイルスまたは細菌性の抗原あるいは寄生虫由来の抗原であってよい。
目的の当該ペプチドまたはポリペプチドはまた、細胞質抗原、特に抗腫瘍細胞質抗原、または膜貫通タンパク質の細胞質部分に由来し得る。あるいは、それは、酵素、酵素一部、酵素の変異誘導体、毒素タンパク質、毒素タンパク質の一部、または細胞に対して特異的にの作用するその能力のために選択された化合物であってもよい(当該化合物は標的細胞に対して有害な影響または対照的に、有益な効果を有しているかもしれない)。それはまた、核酸、例えばMS2ファージのカプシドタンパク質を特異的に固定できるタンパク質(例えば、Gタンパク質)またはタンパク質断片であってもよい。それはまた、特定の核酸に結合することができるペプチドまたはポリペプチドであってもよい。
目的のペプチドまたはポリペプチドの選択されるタイプに応じて、本発明は、インビボで、特に医療適用のために、特に免疫付与のために、特にワクチン接種に使用してよい。
一例として、実施例に記載されている本発明の2つのキメラポリペプチドにおいて、目的のポリペプチドは、タンパク質hAGTの変異誘導体である。当該変異誘導体はSNAPタンパク質(Covalys, NEB)であって、そのタンパク質は市販されている。
特定の実施形態によれば、本願で規定されるキメラポリペプチドはさらに少なくとも1つの結合分子(またはリンカー)を含んでなる。用語「リンカー」は、二つの連続的なドメインを連結できる任意のエレメントを意味する。これは、可変な長さおよび性質である。
特定の実施形態によれば、本発明のポリペプチドの少なくとも2つの連続的なドメインは、共有結合的に、例えばペプチド結合を介して結合する。従って、特定の実施形態によれば、当該リンカーは、ポリペプチドまたはペプチドである。このポリペプチドリンカーは、2〜50残基、好ましくは2〜30残基、例えば2〜5、5〜10、10〜20または20〜30の連続的な残基の配列で構成されてよい。
特定の実施形態によれば、当該リンカーをコードするヌクレオチド配列は、制限酵素部位を含んでなるか、またはこれから成る。用語「制限酵素部位」は、II型制限酵素によって切断部位として認識される、DNA分子中の特定のヌクレオチド配列を意味する。従って、このリンカーは、それぞれ制限酵素部位XbaI、NheI、およびSbfI−AscIを含んでなるヌクレオチド配列TCTAGAもしくはGCTAGC、またはCCTGCAGGAAGCGGCGCGCCC(配列番号107)によってそれぞれコードされた配列SRもしくはAS、またはPAGSGAP(配列番号106)を有するリンカーであり得る。
好適な実施形態によれば、目的の当該ペプチドまたはポリペプチドは、本願に記載のキメラポリペプチド、特に本発明のキメラポリペプチド中のこの天然の立体構造に存在する。
特定の実施形態によれば、本願で規定されるキメラポリペプチドは、多量体であり、特に二量体または三量体の形態である。これは特に、目的のペプチドまたはポリペプチドが、この天然の形態で、二量体または三量体形成するタンパク質に由来する場合である。
特定の実施形態に従って、本願で規定されるキメラポリペプチドはさらにキメラポリペプチドを精製することができるタグ配列を含んでなる。例えば当該配列タグが、多数の連続的に結合されたヒスチジン残基、特に6つの連続したヒスチジン残基の配列含んでなるか、またはこれから成ってよい。
特定の実施形態によれば、本願で規定されるキメラポリペプチドは、タグまたはレポーター・タンパク質を含んでなって、例えば、それは酵素であってもよく、そして例えば、フルオロフォアもしくは、その他のタグまたはタグに結合し得る基質(例えば、ビオチン)とそれを結合させることによるポリペプチドの標識を意図する。例えば、そのようなタンパク質は、SNAPタンパク質またはSNAPタンパク質の変異誘導体であり得、通常、それはSNAPタンパク質に取り付けられたタグ付与特性を保存している。
特定の実施形態によれば、本願で規定されるキメラポリペプチドは、タンパク質hAGT(GenBank受入番号M29971.1を持つ)、またはプラスミドpSNAPm(NEB, USA)に含まれたタンパク質hAGT誘導体もしくは突然変異体(Kepplerら、2002)を含んでなる。
特定の実施形態によれば、キメラポリペプチドはさらに、ELISAまたはウエスタンブロットによってキメラポリペプチドを検出するためのタグを含んでなる。好ましくは、当該タグは、特定のモノクローナル抗体によって認識されるエピトープ、例えばmycエピトープである。
本発明の特定の実施形態では、本願に記載のキメラポリペプチド、特に本発明のキメラポリペプチドにおいて、目的のペプチドまたはポリペプチドはエキソソームと結合する場合には、好適に天然の立体構造を有する(特にこれはマルチマーの形態、例えば二量体または三量体の形態である)。
本発明はまた、本願で規定する本発明のポリペプチドの使用、(インビボまたはインビトロで)目的のペプチドまたはポリペプチドを、膜小胞、特にエキソソーム形成小胞へ、および/あるいは膜小胞、特にエキソソーム形成小胞の形成に関与する1もしくは2以上の細胞区画へ送ること、およびこの結果、適当な真核細胞によって、当該膜小胞に結合する目的のペプチドまたはポリペプチドの分泌が可能となること、に関する。
本発明の特定の態様では、以下で「追加のキメラポリペプチド」と呼ばれるキメラポリペプチドと併せて本発明のキメラポリペプチドを使用してもよい。
本発明の特定の実施形態によれば、追加のキメラポリペプチドは、以下のドメインを含んでなるか、またはこれらから成る:
−ペプチドまたは目的のポリペプチド;
−膜貫通型ドメイン;および
−細胞質ドメイン(CD)または当該CDドメインの変異誘導体、当該CDドメインおよびその変異誘導体は本願で規定されるとおりのものである;これらのドメインN末端部からC末端部に向かって以下の順で連続して配置される:目的のペプチドまたはポリペプチド−膜貫通型ドメイン−CDドメインまたはその変異誘導体;またはCDドメインまたはその変異誘導体−膜貫通型ドメイン−目的のペプチドまたはポリペプチド。
追加のキメラポリペプチドは、必ず少なくとも1つの膜ドメイン(膜貫通型ドメイン)を含んでなるが、複数のそれらを含んでいてもよい;目的のペプチドまたはポリペプチドは、1もしくは2以上の膜ドメイン、特に膜貫通を1つも含むことができないので(以下を参照のこと)、追加のキメラポリペプチドが1もしくは2以上の膜ドメイン(特に1または2以上の膜貫通)を含んでなる。当該キメラポリペプチドが、たった1つの膜ドメイン(膜貫通型ドメイン)を含んでなるとき、それを同一物、特に当該ポリペプチドの目的のペプチドまたはポリペプチドと同じタンパク質から得ても、そうでなくてもよい。
追加のキメラポリペプチドのCDドメインまたは変異誘導体は、本発明のキメラポリペプチドのCDドメインまたはCDドメインの変異誘導体と同一であっても、異なっていてもよい。
本願では、「膜ドメイン」は、脂質二重層で、特に小胞膜もしくは細胞膜およびエキソソームの膜で、脂質二重層と相互作用することができる、特に固定できる−従ってそれを含んでなるポリペプチドを固定することができる、任意のドメインを意味する。特定の実施形態では、この膜ドメインは、一方で第一のドメイン(例えば、目的のペプチドまたはポリペプチド)、そしてもう一方で第二のドメイン(例えば、細胞質ドメイン)へもまた結合することができる。例えば、10〜50残基、好ましくは15〜40残基、より好ましくは20〜30残基を含んでよい。
特定の実施形態によると、当該膜ドメインは、膜貫通型ドメイン、すなわち小胞膜または細胞膜の脂質二重層を介して完全に通過する膜ドメインである。膜貫通型ドメインは、一般的には疎水性のαヘリックスに配列される;複数回貫通の膜貫通型タンパク質は、複数、特に2、3、4、5,6、7,8、9、または10、または実に20または20以上の、疎水性αヘリックスを含んでよい。βシートに配列されてもよい。1または2以上の膜貫通型ドメインはまた、βバレル膜貫通構造、通常は8〜22のβ鎖からなる構造を採用する。
用語「膜タンパク質」は、1または2以上の上に規定した膜ドメインを含んでなる任意のポリペプチド鎖を意味する。
本発明のキメラポリペプチドのように、追加のキメラポリペプチドは、それが適当な真核細胞の中で発現されるとき、膜小胞、特にエキソソームに結合して分泌されることができる。
その膜ドメインのため、特に膜貫通型ドメインのため、追加のキメラポリペプチドまたは当該ポリペプチドの分解産物が膜小胞(特にエキソソーム)の膜の中に、この膜の脂質二重層にそれ自体を挿入することによって、それ自体が固定される。当該キメラポリペプチドの当該分解産物はまた、当該キメラポリペプチドの分解産物が結合されるMHC分子(クラスIまたはII)の膜(特に膜貫通)ドメインを介して膜小胞の膜の中に固定されることもできる。
それにより膜小胞(特にエキソソーム)の膜の中に固定される追加のキメラポリペプチドにおいて、目的のペプチドまたはポリペプチドは、当該膜小胞の外部に(完全または一部)晒される、および/または当該膜小胞の膜に(完全または一部)含まれている(これは当該目的のペプチドまたはポリペプチドが1もしくは2以上の膜ドメインを含んでなる場合である)、および/または当該膜小胞の細胞質部分に(完全または一部)含まれることができる。
本発明の特定の実施形態によれば、当該追加のキメラポリペプチドのCDドメインと膜貫通型ドメインが同じタンパク質に由来するとき、少なくともCDドメイン、変異誘導体またはCDドメインと同じタンパク質に由来する膜貫通型ドメインは、元のドメインの配列の1もしくは2以上の残基の置換および/または欠失によって変異させた誘導体である。
膜貫通型ドメインは、1もしくは2以上の膜貫通タンパク質に由来し、それは、細胞膜を数回、特に2、3、4、5、6、7、8、9または10回、あるいは実に20回またはそれ以上通過する。
当該膜または膜貫通型タンパク質は、特に:ヒトタンパク質、ヒトでない動物のタンパク質、病原体または病原性物質のタンパク質、特にウイルスのタンパク質、細菌のタンパク質あるいは寄生虫または腫瘍細胞によって発現されるタンパク質から選択されてよい。
追加のキメラポリペプチドのこの膜ドメインまたは少なくとも1つの膜貫通型ドメインは、特に同一の膜貫通型タンパク質のもの、または膜タンパク質の膜貫通型ドメインの変異誘導体のものであってよい。当該変異誘導体は、例えば、他の膜貫通型タンパク質の膜貫通型ドメインに由来する配列のそばの対照ドメインの配列の一部を取替えることによって得ることができる。
本発明の特定の実施形態によれば、追加のキメラポリペプチドのCDドメインまたはその変異誘導体が、配列番号6のBLVのTMタンパク質のCDドメイン含んでなるか、または当該ドメインからなる場合には、追加の当該キメラポリペプチドの膜貫通型ドメイン(単数もしくは複数)は、配列番号4を有するBLVのTMタンパク質の膜ドメインを欠損している。対照的に、追加のキメラポリペプチドの膜貫通型ドメインは配列番号4のドメインの変異誘導体に相当してよく、当該変異誘導体は、配列番号4を含まない。実施例で説明するように、このような変異誘導体は、配列番号4における1または2以上の残基の欠失、場合により置換によって得られてよい。
特定の実施形態によると、1つの膜貫通型ドメインとCDドメインが同じタンパク質に由来するとき、特にそれらがBLVのTMタンパク質に由来するとき、配列PCP(例えば、配列PCPの残基Cが残基Aによって置き換えられる)が欠損した、および/または配列KCLTSRLLKLLRQが欠損したCDドメインの変異誘導体が、ドメイン(iii)として使用される。
特定の実施形態によれば、追加のキメラポリペプチドの膜ドメインの1つが、配列番号4のBLVのTMタンパク質の膜貫通型ドメイン含んでなるか、またはこれから成る場合には、CDドメインまたはこの変異誘導体は、配列番号6のBLVのTMタンパク質のCDドメインを欠損している。しかしながら、CDドメインまたはこの変異誘導体は、配列番号6のドメインの変異誘導体に相当するまたは含んでよい。実施例で説明するように、このような変異誘導体は、例えば、配列番号6のN末端部分に位置する残基を欠失することによって、特に連鎖KCLTSRLLKLLRQを欠失することによっておよび/または配列番号6中の配列PCPを欠失することによって、あるいは、例えば、配列PCPのシステイン残基を他の残基、好ましくはパルミトイル化可能でない残基、例えばアラニン残基と置換することによって得られることができる。
この追加のキメラポリペプチド内に存在する目的のペプチドまたはポリペプチドは、本発明のキメラポリペプチドについて本願で規定されるとおりのものであり得る。あるいは、または累積的に、追加のキメラポリペプチドの当該目的のペプチドまたはポリペプチドはまた、細胞外タンパク質または表面タンパク質の1もしくは2以上のドメイン、または1もしくは2以上のこれらのドメインの1もしくは2以上の断片を含んでなるか、またはこれらから成ることもできる。
特定の実施形態によれば、この追加のキメラポリペプチド内に存在する目的のペプチドまたはポリペプチドは、細胞外または表面タンパク質の1もしくは2以上のドメイン、または1もしくは2以上のこれらのドメインの1もしくは2以上の断片、そして適切であれば、以下の:
−膜タンパク質、特に膜貫通タンパク質の1もしくは2以上の膜ドメイン、または1もしくは2以上のこれらのドメインの断片、および/または
−膜タンパク質、特に膜貫通タンパク質の1もしくは2以上の細胞質ドメイン、または1もしくは2以上のこれらのドメインの断片、
を含んでなるか、またはこれらから成る。
本発明の特定の実施形態によれば、追加のキメラポリペプチドの目的のペプチドまたはポリペプチドは、受容体、例えば、複数の膜ドメインを持つ受容体、特にCXCR4またはGPR受容体、あるいは標的細胞または特定のタイプの標的細胞(例えば、腫瘍細胞または代謝もしくは機能障害を有する細胞)を標的化するのに使用できるその他のペプチドまたはポリペプチドである。
本発明の特定の実施形態によれば、この追加のキメラポリペプチドの目的のペプチドまたはポリペプチドは、特に膜タンパク質、特に膜貫通タンパク質の1もしくは2以上のエクトドメイン、1もしくは2以上の膜ドメイン、および/または1もしくは2以上の細胞質ドメイン、あるいは1もしくは2以上のこれらのドメインの1もしくは2以上の断片を含んでなるか、またはこれらから成る。
本発明の特定の実施形態によれば、この追加のキメラポリペプチドの当該目的のペプチドまたはポリペプチドは、病原菌、例えば、ウイルス、細菌または寄生虫に、または病原物質、例えば、腫瘍細胞、毒素などに、あるいは抗腫瘍抗原、細胞質抗原、リガンド受容体、特に複数の膜ドメインを有する受容体、例えば7回膜貫通型ドメインを持つ受容体、サイトカイン受容体またはリガンド受容体に、特にサイトカインに、あるいはその断片に由来する。生物体または病原物質に由来する任意のペプチド成分もまた、それが構造タンパク質であるか否かに関係なく使用できる。特に、それは、病原性抗原、特にウイルスもしくは細菌性抗原、または寄生虫起源の抗原であり得る。
この追加のキメラポリペプチドの目的の当該ペプチドまたはポリペプチドはまた、腫瘍抗原、細胞質抗原、膜貫通型タンパク質に、特にインテグリンにまたは共受容体にまたは相互作用に関与するタンパク質(特にタンパク質ICAM、CD4、CD8)に、リガンド受容体、特に単一の膜ドメインを有する受容体、例えばサイトカイン受容体(特にEGFに応答するHERファミリーの受容体、例えば受容体EGF−R1)、特に複数の膜ドメインを有する受容体、例えば7回膜貫通型ドメインを有する受容体(特にHIVの受容体CXCR4またはガンマアミノ酪酸(GABA)の受容体)に、あるいは受容体リガンド、特にサイトカインの受容体リガンドにあるいはこれらの断片に由来する。
この追加のキメラポリペプチド内に存在する目的のペプチドまたはポリペプチドのタイプに応じて、本発明は、インビトロで、例えば、目的の当該ペプチドまたはポリペプチドと相互作用する分子をスクリーニングするために使用できる。
特定の実施形態によれば、目的の当該ペプチドまたはポリペプチドは、ウイルスの表面に存在するタンパク質、例えば標的細胞に位置する受容体へのウイルス粒子の結合に関与するタンパク質、および/もしくは標的細胞の原形質膜とウイルスのエンベロープまたは感染した細胞の原形質膜との融合に関与するタンパク質、あるいはこのようなタンパク質の断片に由来する。
例えば、ドメイン(i)として、エンベロープを有するウイルスのエンベロープタンパク質またはこのタンパク質の断片を使用することができる。このエンベロープを有するウイルスは、特に次のファミリーから選択してよい:
−ポックスウイルス科(Poxviridae)、そして特にオルトポックス・ウイルス(Orthopoxvirus)属のものであって、特に天然痘ウイルス(smallpox virus)およびワクシニアウイルス(vaccinia virus)が含まれる;
−ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)、特にヘルペスウイルス属のものであって、特にヘルペスウイルス1および2型、水疱瘡ウイルス(chicken pox virus)、エプスタイン・バーウイルス(Epstein-Barr virus)、サイトメガロ・ウイルス(Cytomegalovirus)、およびヘルペスウイルス6、7、8型が含まれる;
−ヘパドナ・ウイルス科(Hepadnaviridae)、特にB型肝炎(hepatitis B)ウイルスが含まれる;
−オルトミクソ・ウイルス科(Orthomyxoviridae)、特にインフルエンザA、BまたはC型ウイルス属のものであって、特にH5N1トリFluウイルスが含まれる;
−パラミクソウイルス科(paramyxoviridae)、特にパラミクソウイルス属のものであって、特にパラインフルエンザ(parainfluenzae)ウイルスおよびムンプスウイルス(mumps virus)が含まれ、また麻疹ウイルス(Morbillivirus)属のものであって、特に麻疹ウイルス(measles virus)が含まれ、並びに肺炎ウイルス属(Pneumovirus)のものであって、特に合胞体(syncytial)呼吸器系ウイルスが含まれる;
−ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)、特にリッサ・ウイルス属(Lyssavirus)のものであって、特に狂犬病ウイルス(rabies virus)が含まれる;
−フィロウイルス科(Filoviridae)、特にマールブルグウイルス(Marburg virus)およびエボラウイルス(Ebola virus)が含まれる;
−トガウイルス科(Togaviridae)、特にフラビ・ウイルス属(Flavivirus)のものであって、特に黄熱病ウイルス(yellow fever virus)およびC型肝炎ウイルス(hepatitis C virus)(HCV)が含まれ、アルファ・ウイルス属(Alphavirus)のものおよびルビ・ウイルス属(Rubivirus)のものであって、特に風疹ウイルス(Rubella virus)が含まれる;
−コロナウイルス科(Coronaviridae)、特にコロナウイルス(Coronavirus)属のものであって、特に呼吸器系および消化器系感染症、例えば重症急性呼吸器症候群(SARS)に関与するウイルスが含まれる;
−アレナ・ウイルス科(Arenaviridae)、特にアレナ・ウイルス(Arenavirus)属のものであって、特にラッサ熱ウイルス(Lassa virus)が含まれる;
−ブニヤウイルス科(Bunyaviridae)、特にブンヤ・ウイルス属(Bunyavirus)、ハンタ・ウイルス属(Hantavirus)、フレボウイルス属(Phlebovirus)のもの;並びに
−レトロウイルス科(Retroviridae)、特にレンチウイルス(Lentivirus)属のものであって、特にヒト免疫不全ウイルス(HIV)が含まれる。
また例えば、目的のペプチドまたはポリペプチドは、インフルエンザウイルスのエンベロープのタンパク質、特にインフルエンザウイルスの赤血球凝集素(HA)、そしてより具体的にはH5N1鳥インフルエンザウイルスのHAタンパク質由来であってよい。これは、このタンパク質の外部ドメインまたはこの外部ドメインの断片、あるいはこの外部ドメインの1または2以上のエピトープ含んでなるか、またはこれらから成る断片であってよい。
これらのウイルスの他の抗原性のポリペプチド、例えばHIVのGAGポリタンパク質のGAGタンパク質または断片、ポリオウイルス(poliovirus)または乳糖腫ウイルス(papillomavirus)のカプシドのタンパク質または断片が、当然ながら使用されてもよい。
また例えば、目的のペプチドまたはポリペプチドは、これらのウイルスの1つの外側のエンベロープのタンパク質由来であってよい。これは、コロナウイルス(coronavirus)のエンベロープタンパク質、特にコロナウイルス(coronavirus)のスパイク(S)タンパク質、そしてより具体的には重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(coronavirus)(SARS−CoV)のスパイクタンパク質に由来する。目的のこのペプチドまたはポリペプチドは、特に、このタンパク質の外部ドメイン、あるいはこの外部ドメインの1または2以上のエピトープ含んでなるか、またはこれらから成る断片含んでなるか、またはこれから成ってよい。
特定の実施形態では、追加のキメラポリペプチドの目的のペプチドまたはポリペプチドは、標的細胞、例えば、樹状細胞、リンパ球、腫瘍細胞などの表面に存在するタンパク質を認識する能力を有する。
膜小胞の形成位置、特にエキソソームの形成位置への追加のキメラポリペプチドの差し向けは、(膜の中の固定機能が膜貫通型ドメインによって確保されて)当該追加のキメラポリペプチドが小胞膜または細胞膜の中に挿入されるように、当該追加のキメラポリペプチドが小胞体の中に取り込むためのシグナルペプチドを含むべきであることを特に必要とする。よって、特定の実施形態によれば、本発明のキメラポリペプチドとは対照的に、追加のキメラポリペプチドは、小胞体の中への取り込みのための1つ(または2以上)のシグナルペプチドを含み得る。
用語「小胞体の中に取り込むためのシグナルペプチド」は、約5〜約60残基、特に15〜60残基、より具体的には15〜30残基の小さな連続的なポリペプチド配列を意味し、これにより、これを含んでなるタンパク質は場合により完全または一部であるが、小胞体の膜、タンパク質通路を通過することができる;タンパク質通路の停止は、他のさらなるシグナル(またはその他のシグナル)の存在次第である。所定の行き先のシグナルペプチドは、1つのタンパク質から他へ互換性があるので、そこでタンパク質を小胞体へ送らせることができる任意のシグナルペプチドを、本発明の状況で使用してよい。
例えば、小胞体の中へ取り込むために使用するシグナルペプチドは、配列番号2の27残基ペプチドを使用することができる。また例えば、膜タンパク質のシグナルペプチド、例えばタンパク質CD4、CD8および赤血球凝集素(HA)等、サイトカイン受容体のシグナルペプチド、例えばIL1R1、EGFR1(HER1)、HER2、HER3またはHER4等、あるいは分泌されたタンパク質のシグナルペプチド、例えば、サイトカインのもの、を使用することもまた可能である。従って、以下から選択されるシグナルペプチドを使用することが可能である:ヒトCD4タンパク質(配列番号49のペプチド)またはマウスCD4(配列番号50のペプチド)のもの、タンパク質であるマウスCD8アルファ(配列番号51のペプチド)、ウシCD8アルファ(配列番号52のペプチド)、ヒトCD8アルファ(配列番号53のペプチド)、またはラットCD8アルファ(配列番号54のペプチド)のもの、ヒトIL1R1受容体(配列番号55のペプチド)、ヒトEGFR1(HER1)(配列番号56のペプチド)、ヒトHER2(配列番号57のペプチド)、ヒトHER3(配列番号58のペプチド)またはヒトHER4(配列番号59のペプチド)のもの、またはサイトカインであるマウスIL−2(配列番号60のペプチド)、マウスIL−6(配列番号61のペプチド)、ヒトIL−7(配列番号62のペプチド)、マウスIL−10(配列番号63のペプチド)、またはヒトMIP−1−アルファケモカイン(配列番号64のペプチド)のもの、B型インフルエンザウイルス(配列番号65のペプチド)の赤血球凝集素のもの、ウイルスであるH1N1型インフルエンザA(配列番号66のペプチド)、H2N2型インフルエンザA(配列番号67のペプチド)、A H3N2インフルエンザ(配列番号68のペプチド)、H4N6インフルエンザA(配列番号69のペプチド)、H5N1インフルエンザA(配列番号70のペプチド)、H6N5インフルエンザA(配列番号71のペプチド)、H7N7インフルエンザA(配列番号72のペプチド)、H8N4インフルエンザA(配列番号73のペプチド)、H9N2インフルエンザA(配列番号74のペプチド)、H10N7インフルエンザA(配列番号75のペプチド)、H11N6インフルエンザA(配列番号76のペプチド)、H12N5インフルエンザA(配列番号77のペプチド)、またはH13N6インフルエンザA(配列番号78のペプチド)の赤血球凝集素のもの。
他の特定の実施形態によれば、小胞体の中に取り込むための当該シグナルペプチドは、追加のキメラポリペプチドの目的のペプチドまたはポリペプチドの一部を形成してよい。例えばこれは、目的の当該ペプチドまたはポリペプチドが膜タンパク質またはサイトカインの場合である。
単独でまたは前記実施形態と組合せて、小胞体の中へ取り込むための当該シグナルペプチドは、追加のキメラポリペプチドの膜ドメイン(特に膜貫通型ドメイン)の一部分を形成してよい。例えばこれは、当該ポリペプチドの膜貫通型ドメインまたは膜ドメインの1つが7回膜貫通型ドメインを有する受容体由来の場合である。
あるいは、他の実施形態によれば、取り込みのための当該シグナルペプチドは、3つの主要なドメイン(すなわち、ドメイン:目的のペプチドまたはポリペプチド;膜貫通型ドメイン;CDドメインまたはその変異誘導体)のいずれかの部分を形成することなく、そして結果として、これらの3つのドメインに加えて追加のキメラポリペプチドの中に加えられる。そして、これを当該ポリペプチドの直鎖状配列の異なる位置に置いてもよいが、通常当該ポリペプチドの一端であり、そして好ましくは当該ポリペプチドのN末端位である。
小胞体の中に取り込むための第二のシグナルペプチドを、追加のキメラポリペプチド中に加える場合、適当であれば膜ターゲティングを増強するために使用できる。
成熟形態では、特に膜小胞、例えばエキソソームの膜に固定される場合、追加のキメラポリペプチドは一般的に小胞体の中に取り込むためのNまたはC末端シグナルペプチドを全くまたはそれ以上有しない;この機能が満たされた後は、NまたはC末端のシグナルペプチドは、例えば小胞体またはゴルジで、タンパク質切断によってポリペプチドから分離されてもよい。
本発明はまた、本発明のキメラポリペプチド、および/あるいは1または2以上の本発明の当該キメラポリペプチドの分解産物を含んでなる、膜小胞、より正確にはエキソソームに関し、適当な場合にこの(これらの)1または2以上の分解産物は、I型および/またはII型の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子と結合される。
本発明のキメラポリペプチド並びに/あるいはその1または2以上の分解産物は、これらの膜内標的ドメインまたはこれらの1つを介して、あるいはこれ(これら)が結合する(I型またはII型の)MHC分子の膜ドメインを介して、当該膜小胞の膜に固定される。特定の実施形態によれば、当該分解産物は、目的のペプチドまたはポリペプチドの断片、特に当該目的のペプチドまたはポリペプチドの1または2以上のエピトープ含んでなるか、またはこれらから成る断片含んでなるか、またはこれから成る。特定の実施形態では、本発明の膜小胞、および、より正確には本発明のエキソソームは、本発明のキメラポリペプチド、および/または1または2以上の任意の分解産物に加えて、1もしくは2以上の本願に記載の追加のキメラポリペプチド、および/またはこの(これら)追加のキメラポリペプチドの1もしくは2以上の分解産物を含んでなり、適当な場合に追加のキメラポリペプチドの分解産物はI型および/またはII型の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合される。
あるいは、1もしくは2以上の追加のキメラポリペプチドを含んでなる本発明の小胞は、以下に「追加の膜小胞」(特に「追加のエキソソーム」)と呼ばれる膜小胞(特にエキソソーム)に結合して使用することもでき、そしてそれは1もしくは2以上の本発明のキメラポリペプチド、および/または本願に記載のこの(これらの)追加のキメラポリペプチドの1もしくは2以上の分解産物を含んでなり、必要であれば、この(これらの)分解産物はI型および/またはII型の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合される。
一例として、本発明の膜小胞、より正確には本発明のエキソソームは、以下のものを含み得る:
− 一方では、本発明のキメラポリペプチド(および/または1または2以上の任意の分解産物)、ここで、目的のペプチドまたはポリペプチドが細胞質タンパク質、例えば、抗原、Gタンパク質、酵素(例えば、1または2以上の標的細胞で欠損している細胞質酵素)、標的細胞に有害な効果、対照的に有益な効果を有し得る毒素またはその他の細胞質ペプチドまたはポリペプチド、あるいは特定の核酸に結合することができるペプチドまたはポリペプチドであり、そして本発明の当該キメラポリペプチドは、随意に、例えば一次フルオロフォアによってタグを付与される。
− もう一方では、追加のキメラポリペプチド(および/またはもしあれば1または2以上の分解産物)、ここで、目的のペプチドまたはポリペプチドは、例えば受容体(例えば、複数の膜ドメインを有する受容体、特にCXCR4またはGPR受容体)または標的細胞または特定のタイプの標的細胞(例えば、腫瘍細胞または代謝もしくは機能障害を有する細胞)を標的化する
のに使用できるその他のペプチドまたはポリペプチドであり、そして当該追加のキメラポリペプチドは、例えば、(一次フルオロフォアと異なる)二次フルオロフォアによって好ましくはタグを付与される。
本発明のそのような小胞は、多くの適用を有することができる;特に、標的細胞の内容物を修飾するのにそれを使用できる。それが細胞もしくは細胞集団、またはヒトもしくはヒト以外の宿主に投与されるとき、この小胞は、この小胞の追加のキメラポリペプチドの中に存在する目的のペプチドまたはポリペプチドを介して(または1または2以上の任意の分解産物を介して)標的化された特定の細胞(例えば、樹状細胞または腫瘍細胞)によって取り込まれる。当該小胞の取り込みによって、標的細胞はこの小胞内に存在する本発明のキメラポリペプチドの目的のペプチドまたはポリペプチドを取り込む;当該目的のペプチドまたはポリペプチドの性質によって、これは様々な適用を有することができる−特に、それは以下のことに使用できる
− (例えば、酵素を加えることによって)標的細胞を処理する;
− 対照的に、標的細胞(例えば、腫瘍細胞)を破壊する;または
− 例えば、本発明のキメラポリペプチドの目的のペプチドまたはポリペプチドへの核酸の結合を検出することによって、診断をおこなう;
− 例えば本発明のキメラポリペプチドに存在する細胞質抗原に向けて、免疫応答を引き起こす;
− タンパク質をスクリーニングする、および/または(例えば、使用した2つのフルオロフォア間の任意のエネルギー移動を検出することにより)タンパク質間の任意の相互作用を分析する。
本発明の膜小胞はまた、それが追加のキメラポリペプチドを含んでなるか否かに関係なく、当該目的のペプチドまたはポリペプチドあるいはこれらの断片に対する、ワクチン接種のためにまたはワクチン接種以外のために、インビボまたはインビトロで、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を産生するために特に使用してよい。このような抗体は、特に診断で、またはタンパク質相互作用を研究するため、特に、目的のペプチドまたはポリペプチドあるいはこれらの断片との相互作用が可能な分子、例えば薬剤またはサイトカイン等の高処理スクリーニングを実施するために使用してよい。
さらに、本発明の膜小胞は、それが追加のキメラポリペプチドを含んでなるか否かに関係なく、宿主(ヒトまたはヒトでない)において、目的のペプチドまたはポリペプチドの由来である腫瘍に対する、あるいはウイルス、細菌または寄生虫に対する体液および/または細胞応答を誘発または促進するために、インビボで、免疫付与に使用してよい。本発明の膜小胞によって、特に本発明のエキソソームによって誘発または促進される免疫応答は、エキソソームに結合するポリペプチドの性質に応じて、免疫寛容誘発応答または防御応答であってよい。例えば、免疫寛容誘発応答は、宿主のぜんそくとの闘病または移植片の受容を可能にする。
追加のキメラポリペプチド(および/またはもしあれば1または2以上の分解産物)を含んでなる膜小胞では、当該追加のキメラポリペプチドの中に起こる目的のペプチドもしくはポリペプチド、または当該目的のペプチドまたはポリペプチドの断片は、膜小胞の外部の表面で、一部または全体が露出される。結果として、追加のキメラポリペプチドを含んでなる本発明の小胞は特に、インビボまたはインビトロで、当該目的のペプチドまたはポリペプチドあるいはこれらの断片と直接または間接的に相互作用している原核細胞または真核細胞あるいはウイルス(例えばファージ)あるいはリボソームを産生または選択するために使用されてよい。好ましい実施形態では、追加のキメラポリペプチドの当該目的のペプチドまたはポリペプチドあるいは当該目的のペプチドまたはポリペプチドの断片は、膜小胞の表面でこの天然の立体構造に(部分的にまたは完全に)露出される。
特定の実施形態によれば、追加のキメラポリペプチドの目的のペプチドまたはポリペプチドあるいは当該目的のペプチドまたはポリペプチドの断片は、本発明の膜小胞の膜に部分的にまたは完全に含まれる、および/あるいは当該膜小胞の細胞質の画分に部分的にまたは完全に含まれる。
活性成分が本発明の1または2以上のキメラポリペプチド、あるいは1または2以上の本発明の膜小胞、特に本発明の1または2以上のエキソソームを含んでなる、組成物、特に治療組成物(例えば、医薬組成物)または免疫原性組成物もまた、本発明の一部を形成する。
特定の実施形態によれば、当該組成物はさらに以下のものを含んでなる:
− 1もしくは2以上の追加のキメラポリペプチド;または
− 1もしくは2以上の追加の膜小胞(特に1もしくは2以上の相加エキソソーム)。
あるいは、当該組成物は、別の組成物、特に別の治療または免疫原性組成物と共に使用でき(特に、ヒトまたはヒト以外の宿主に投与でき)、そしてそれは、1もしくは2以上の追加のキメラポリペプチドおよび1もしくは2以上の相加膜小胞を含んでなる。
特定の実施形態によれば、当該組成物は、1または2以上のビヒクル、希釈剤、および/またはアジュバントあるいはこれらの組合せの1つをさらに含んでなる。注射可能な投与の場合に、水溶液、非水溶液または等張液中の形成を選択してよい。
本願では、用語「ビヒクル」は、本発明の活性物質の生物活性の有効性を変更しない任意の担体(すなわち、少なくとも1つの活性成分を輸送することができる任意のもの)を意味する。当技術分野で多くのビヒクルが知られる。例えば、使用されるビヒクルは、水、食塩水、血清アルブミン、リンガー溶液、ポリエチレングリコール、水混和性溶媒、糖、結合剤、賦形剤、顔料、植物油または鉱油、水溶性高分子、界面活性剤、増粘剤またはゲル化剤、化粧品用物質、可溶化剤、安定剤、防腐剤、アルカリ性化剤または酸性化剤、あるいはこれらの組合せの一つであってよい。
本願では、用語「希釈剤」は、希釈用物質を意味し、そして溶解性希釈剤および不溶性希釈剤が含まれる。一般的に、活性成分が溶解性の場合には不溶性希釈剤が使用され、そして活性成分が不溶性の場合には溶解性希釈剤が使用される。「不溶性」活性成分は、水媒体中では完全に不溶性であってよく、または水媒体で制限的な溶解度(すなわち、1.0〜7.5のpHで、水250mL中に10mg/mL未満の溶解度)を有してよい。不溶性希釈剤の例としては、微結晶性セルロース、シリコン含有微結晶性セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、第二リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム等が含まれる。溶解性希釈剤の例としては、マンニトール、グルコース、ソルビトール、マルトース、デキストレート、デキストリン、ブドウ糖等が含まれる。
本願で使用される用語「アジュバント」は、免疫原性組成物の内容物、特にワクチンに添加する物であって、当該組成物が投与される(ヒトまたはヒトでない)宿主で誘発される免疫反応の強度を増加する生成物を意味する。アジュバントは、当該組成物の投与後に当該哺乳類が産生可能な特定の抗体の量を特に増加することができ、したがって免疫付与の有効性を増加する。アジュバントは、使用した抗原単独では誘発される免疫反応が弱過ぎて、良好な防御を提供し、宿主に投与する抗原の量を減少させ、あるいは例えば粘膜への投与の場合に当該組成物の投与の特定の方法を促進することができない場合に特に有効である。特に、本発明の文脈で使用することができるアジュバントは、サポニン、リン酸アルミニウム(alum)、ペプチドグリカン、炭水化物、ペプチド、例えばムラミルジペプチド(N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン、MDP)、油型/水型エマルション、多糖、サイトカイン、ホルモン、リンペットヘモシアニン、非メチル化CpGジヌクレオチドのファミリー由来のアジュバント、ポリICファミリー由来のアジュバント、モノホスホリルリピッドAファミリー由来のアジュバントおよび核酸、特に細菌のDNA、ならびにアジュバント効果を有するタンパク質、例えば成長因子またはサイトカイン、より具体的にはGM−CSFまたはIL4をコードするDNAが含まれる。
好適な実施形態では、1また2以上の、ビヒクル、希釈剤および/またはアジュバント、あるいはこれらの組合せは、薬学的に許容される物質または薬学的に許容される物質の組合せであり、すなわち処置または予防目的で宿主(例えばヒト、人間以外の哺乳類または鳥)へ投与するのに適当である。したがって、このような物質または物質の組合せは、好ましくは投与される宿主に対して無毒である。
本発明はまた、普遍的遺伝暗号に従って、並びにこのコードの縮重を考慮した、キメラポリペプチドをコードすることを特徴とするポリヌクレオチドに関する。用語「ポリヌクレオチド」は、任意のDNAまたはRNA分子(一本鎖または二本鎖)を包含する。このポリヌクレオチドは、むき出し(naked)である、あるいは、クローニングまたは発現ベクター、好ましくは真核細胞での発現に適当であるベクターに挿入されてよい。このベクターは好ましくはプラスミドである。当該ポリヌクレオチドは特に、PCRによって集合されてよい。これは好ましくは2000〜50000ヌクレオチドを含んでなる。
用語「コード」は、当該ポリヌクレオチドがコード部分のみを有することを必ずしも意味するものではない。実際、当該ポリヌクレオチドは、さらに発現の制御のための配列を含んでよく、特にプロモーター、例えば真核生物プロモーターを含んでよい。
例えば、本発明のキメラポリペプチドのCDドメインまたは当該CDドメインの変異誘導体をコードする配列として、当該ポリヌクレオチドは、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号47および配列番号94から選択される配列含んでなるか、またはこれから成る配列を含んでなる。
特定の実施形態によれば、本発明のポリヌクレオチドは、本願で規定される追加のキメラポリペプチドをさらにコードする。あるいは、以下に「追加のポリヌクレオチド」と呼ばれる、本発明のポリヌクレオチドは、異なったポリヌクレオチドと併せて使用でき、それは本願で規定される追加のキメラポリペプチドをコードする。
特定の実施形態によれば、追加のキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、小胞体の中に取り込むためのシグナルをコードする配列を含んでなる。例えば、この配列は、配列番号1、または配列番号49から配列番号78のペプチドをコードする配列であってよい。前述のように、この配列によってエンコードされるシグナルペプチドは、当該ポリペプチドによってコードされるポリペプチドのN−またはC−末端位に存在する場合、キメラポリペプチドの成熟のためのステップの間に切断されてよく、これは一般的に小胞体またはゴルジ体で生じる。
追加のポリヌクレオチドのように、本発明のポリヌクレオチドは、制御、クローニングまたは発現エレメントの支配下に置かれてよい。
従って、特定の実施形態によれば、当該ポリヌクレオチドは、クローニングまたは発現ベクター、好ましくは発現ベクター、より好ましくは真核細胞での発現に適当なベクターの中に挿入される。当該ベクターは、好ましくはプラスミドである。本発明のキメラポリヌクレオチドと追加のキメラポリヌクレオチドは、同じベクター内に挿入されても、2つの異なったベクター内に挿入されてもよい。
当該ポリヌクレオチドは、通常真核生物プロモーター、好ましくは強力な真核生物プロモーター、例えばウイルスのプロモーター、例えば:SV40ウイルス、ラウス肉腫ウイルス(Rous sarcoma virus)、マウス白血病ウイルス(MuLV)、成人ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV−I)、ウシ白血病ウイルス(BLV)、サイトメガロウイルス(cytomegalovirus)、これらのウイルスプロモーター由来のハイブリッドプロモーターまたは組み換え配列を含むウイルスプロモーター、から選択されるウイルスのプロモーターの支配下に置かれる。
当該ポリヌクレオチドは、さらにコザック配列、特に、配列中の配列ATGがコード配列の開始コドンに相当するヌクレオチド配列ACCATGGまたは誘導体配列ACCATGを含んでよい。
さらに、当該ポリヌクレオチドは、1つのイントロンを含んでよい。
特定の実施形態によれば、当該ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの、上に規定したポリペプチドリンカーをコードするヌクレオチドリンカーを含んでなる。このヌクレオチドリンカーは、特に制限酵素部位含んでなるか、またはこれから成ってよい。用語「制限酵素部位」は、ポリヌクレオチド中の切断部位としてII型制限酵素によって認識される特定のヌクレオチド配列を意味する。例えば、このヌクレオチドリンカーは、それぞれ制限酵素XbaI、NheI、およびSbfI−AscIを含んでなる、ヌクレオチド配列TCTAGAもしくはGCTAGC、またはCCTGCAGGAAGCGGCGCGCCCから構成されてよい。
特定の実施形態によれば、本発明の当該ポリヌクレオチドの配列および/または追加のポリヌクレオチドの配列は、宿主(例えば真核生物宿主)、特にヒト、ヒト以外の哺乳類および/または鳥で使用するために最適化される。
本発明はまた、クローニングまたは発現ベクター、好ましくはプラスミドであって、制御、クローニングまたは発現要素の調節下において、本発明のポリヌクレオチドによって構成されたポリヌクレオチド挿入物を含んでなることを特徴とするものを提供する。
このクローニングまたは発現ベクターは、調節、クローニングまたは発現要素の調節下において、追加のポリヌクレオチドによって構成されたポリヌクレオチド挿入物をさらに含み得る。あるいは、このクローニングまたは発現ベクターは、調節、クローニングまたは発現要素の調節下において、追加のポリヌクレオチドによって構成されたポリヌクレオチド挿入物を含んでなる(以下に追加のクローニングまたは発現ベクターと呼ばれる)別のクローニングベクターと併せて使用できる。
本発明はまた、細菌細胞培養、真核動物細胞および株細胞の初代細胞培養、本発明のポリヌクレオチドを含む当該細胞培養、本発明のクローニングまたは発現ベクター、あるいは本発明のキメラポリペプチドを含んでなる群から選択される細胞培養に関する。適当であれば、当該細胞培養は、追加のポリヌクレオチド、追加のクローニングまたは発現ベクター、または追加のキメラポリペプチドをさらに含んでなることもできる。本発明はまた、核酸、特にDNAを含んでなる組成物、特に治療または免疫原性組成物であって、本発明のポリヌクレオチド、および薬学的に許容される担体、希釈剤またはビヒクル含んでなるか、またはこれらから成ることを特徴とする免疫原性組成物に関する。
本発明の当該組成物は、追加のキメラポリヌクレオチドを含んでなるか、またはそれらから成る核酸をさらに含んでなることもできる。あるいは、本発明の当該組成物は、追加のポリヌクレオチド、薬学的に許容され得る支持体、希釈剤またはビヒクルを含んでなるか、またはこれらから成る、核酸を含んでなる組成物(追加と呼ばれる)と併せて(特に、ヒトまたはヒト以外の宿主に投与するのに)使用し得る。
特定の実施形態によれば、当該免疫原性組成物はさらに、本願で規定するアジュバントを含んでなる。
特定の実施形態によれば、当該核酸はDNAである。DNAに基づく免疫原性組成物は、インビボで免疫が与えられる宿主の細胞、特に樹状細胞(特にランゲルハンス細胞)をターゲットにし、これらの細胞はワクチン化したエキソソームの優れた産生者である。従って、当該免疫原性組成物は、目的のペプチドまたはポリペプチドあるいはこれらの断片を輸送するエキソソームの当該免疫原性組成物によって免疫を有する宿主自身の細胞により、当該産生を誘発することが可能かもしれない。
特定の実施形態によれば、1または2以上の当該免疫原性組成物はワクチン、特にDNAワクチンである。
本発明はまた、遺伝子組換えのエキソソーム産生細胞、特に免疫システムの細胞、より具体的にはマスト細胞、リンパ球、特にBおよびTリンパ球、並びに樹状細胞、特にランゲルハンス細胞から選択される免疫システムの細胞に関するもので、当該細胞は本発明の1または2以上のポリヌクレオチド、本発明のクローニングまたは発現ベクター、必要であれば、1もしくは2以上の追加のポリヌクレオチド、または追加クローニングもしくは発現ベクターと再結合すること、あるいは本発明の膜小胞および/または追加の膜小胞を吸収することを特徴とする。さらに本発明はまた、薬剤としての使用のための、本発明のキメラポリペプチド、本発明の1または2以上の膜小胞(特に本発明の1または2以上のエキソソーム)、本発明のポリヌクレオチド、ならびに本発明の組成物に関する。
前記要素は、特に、細菌、ウイルスまたは寄生虫感染、または腫瘍、あるいは機能的もしくは代謝的欠損(特に酵素の欠損)の予防および/または処置での使用され得る。これらは、特に、(ヒトまたはヒトでない)宿主において、インビボで、目的のペプチドまたはポリペプチドが由来する腫瘍、ウイルス、細菌または寄生虫に対する体液性および/または細胞性応答を誘発または促進するために(すなわち、増幅するために)、特に、免疫付与での使用を目的とする。これらは特に、目的のペプチドまたはポリペプチドに対する特定のT CD4および/またはT CD8応答を誘発または増幅するために、並びに/あるいは目的のペプチドまたはポリペプチドに対するポリクローナルおよび/またはモノクローナル抗体、特に1または2以上の立体構造エピトープ含んでなるか、またはこれらから成るペプチドまたはポリペプチドに対する抗体を産生するために、インビボで使用されてよい。
特定の実施形態では、これらの要素は、インビボにおいて予定された細胞を標的化するのに使用される。
前記要素は、(例えば、酵素を加えることによって)ヒトまたはヒト以外の宿主の標的細胞を処置する、および/またはヒトまたはヒト以外の宿主の標的細胞を破壊する、および/または例えば、ヒトまたはヒト以外の宿主(例えば、腫瘍細胞)の本発明のキメラポリペプチド内に存在する細胞質抗原に対して、免疫応答を引き起こす、および/または(例えば、本発明のキメラポリペプチドの目的のペプチドまたはポリペプチド結合する核酸を検出することによって)診断を実施するために特に使用できる。
さらに、前記要素は、(例えば、利用した2つのフルオロフォアの間の任意のエネルギー移動を検出することによる)タンパク質をスクリーニングするためおよび/またはタンパク質間の任意の相互作用を分析するためにインビトロで使用できる。
本発明はまた、機能的もしくは代謝的な欠損、特に酵素の欠損、あるいは腫瘍または病原体もしくは病原性物質による感染症、特に細菌、ウイルスまたは寄生虫感染症の予防および/または処置を目的とした薬剤の製造のための、これらの要素のうちの1つの使用にも関する。活性成分が本発明のポリヌクレオチド(および必要であれば、追加のポリヌクレオチド)あるいは本発明の1または2以上の膜小胞(および必要であれば、1もしくは2以上の追加の膜小胞)である、本発明の組成物の(ヒトまたはヒトでない)宿主への投与の後に、この宿主のエキソソーム産生細胞、特に樹状細胞は、本発明のキメラポリペプチドおよび/あるいはこれらの後者の分解産物を含んでなるエキソソームを産生するであろう。なぜならば、この分解産物は本来主要組織適合遺伝子複合体の分子と結合しやすいからである。これらの膜小胞は、目的のペプチドまたはポリペプチドに対する免疫応答を誘発または促進できるであろう。
本願の文脈で、「宿主」は、ヒトまたはヒトでない哺乳類を意味する。
本願で使用される用語「ヒトでない動物」には、任意の人間以外の哺乳類、特にげっ歯類(特にマウス、ラット、ハムスターまたはウサギ)、サル、ラクダ、ネコ、イヌ、ウマ、ラバ、ウシ、ヒツジ、ブタが含まれ、またトリ、特にニワトリが含まれる。
本願で使用される表現「感染」は、(ヒトまたはヒトでない)宿主が病原体または病原性物質へ、特に本願で規定するエンベロープを有するウイルスへ曝露されていることを意味する。特に、このような感染は、誘発されたまたは当該感染症を併発している疾患の臨床徴候を生じるように進行し得る。したがって、用語「感染」はまた、病原体または病原性物質への曝露に続く、(ヒトまたはヒトでない)宿主に現れている任意の臨床徴候、症状または疾患を包含する。例えば、本願の文脈では「ウイルス感染」または「細菌感染」には、ウイルス、細菌または寄生虫の混入の最初期段階、中間段階、および混入の最終段階、並びにウイルス、細菌または寄生虫による宿主への混入の結果である様々な疾患が含まれ;これにはまた病原体のゲノムの全部または一部の存在も含まれる。
用語「予防」は、感染または腫瘍、あるいはまたはその他の病理、特に機能的もしくは代謝的な欠損(例えば、酵素の欠損)の臨床徴候または症状が出現する間の遅延の任意の程度、並びに感染のまたは腫瘍における臨床徴候または症状の重症度における抑制の任意の程度を意味し、感染またはガンの完全な予防を含むがこれに限定されない。これは、本願に記載のキメラポリペプチド(特に本発明のキメラポリペプチド)、本願に記載のポリヌクレオチド(特に本発明のポリヌクレオチド)、本願に記載の膜小胞(特に本発明の膜小胞)または本願に記載の組成物(特に本発明の組成物)が、疾患の任意の臨床徴候または症状が出現する前に、病原体または病原性物質へ曝露されやすい並びに/あるいは腫瘍またはその他の病状、特に機能的もしくは代謝的な欠損が発症しやすい宿主へ投与されることが必要である。当該宿主が感染に関与する生物または病原性物質へ曝露される前に、または曝露の瞬間に予防的投与を行ってよい。このような予防的投与は、任意の続発性感染症の重症化を予防および/または減少することに役立つ。本願の文脈において予防はまた、感染症またはガン、あるいはその他の病理の総合的な予防を包含する。
用語「処置」は、本願に記載のキメラポリペプチド(特に本発明のキメラポリペプチド)、本願に記載のポリヌクレオチド(特に本発明のポリヌクレオチド)、本願に記載の膜小胞(特に本発明の膜小胞)または本願に記載の組成物(特に本発明の組成物)の1つが、病原性生物または物質への曝露の瞬間に、曝露後にまたは感染の臨床徴候または症状の出現後にあるいは腫瘍の出現後に宿主へ投与された場合に、これらによって宿主に産生される治療効果を意味する。ウイルスによる混入後に本発明の活性物質が宿主へ投与される場合、これらは一次感染段階の間に、無症候期の間にまたは疾患の臨床徴候または症状の出現後に投与されてよい。
用語「処置」には、本発明の活性物質によって得られる任意の治療効果、および(ヒトまたはヒトでない)宿主で観察される臨床徴候または症状における改善、並びに宿主の健康状態における改善が含まれる。したがって、用語「処置」は、特に、ウイルス、細菌もしくは寄生虫の感染、または腫瘍もしくはその他の疾患および/あるいは感染の有害な影響の増殖、あるいは腫瘍もしくはその他の病理の出現の遅延、減少、遮断並びに停止を包含する;処置は必ずしも、感染または腫瘍の全臨床徴候および/または疾患の全症状の完全な解消も、ウイルス、細菌、寄生虫または腫瘍細胞、あるいは機能的に欠損した細胞の完全な除去も必要でない。
したがって、本発明の活性物質は、病原性生物または物質への曝露および感染または腫瘍の発達のリスクを呈する宿主へ投与することができ(予防)、あるいは宿主の病原体または病原因子への曝露後に、特に疾患の初期臨床徴候または症状の出現後に、例えばウイルス、細菌、寄生虫または腫瘍の特定のタンパク質あるいは抗体が、宿主の血中に検出された後に投与することができる(処置)。
本発明はまた、ウイルス、細菌または寄生虫感染あるいは腫瘍またはその他の病理を予防および/または処置する方法に関し、当該方法は、インビボでの、キメラポリペプチド、本発明の1または2以上の膜小胞(特に本発明の1または2以上のエキソソーム)、本発明のポリヌクレオチドまたは本発明の免疫原性組成物の、これを必要とする宿主への投与のための少なくとも1つのステップを含んでなる。当該処置方法は、特に、当該宿主において、インビボで、目的のペプチドまたはポリペプチドの由来である腫瘍、ウイルス、細菌または寄生虫に対する体液性および/または細胞性応答に適当であり、また当該応答を誘発または促進することを意図する。
本願で使用する用語「投与」および「投与する」には、選択された投与経路にかかわらず、任意の投与が含まれる。
投与経路および薬量は、様々なパラメータに基づいて、例えば処置を受ける宿主の状態、感染のタイプおよび感染の重症度または腫瘍のサイズに依存する。
本発明の1または2以上の膜小胞(特に本発明の1または2以上のエキソソーム)のようなキメラポリペプチド、本発明のポリヌクレオチドあるいは本発明の組成物は、乾燥、固体形態で(特に錠剤、粉末、カプセル、丸剤、顆粒、坐薬、高分子カプセルまたは圧縮錠剤、より具体的には即放出性錠剤、胃耐性錠剤または遅放出性錠剤として)、ゲル形態または溶液形態であるいは液体懸濁液として(特にシロップ、注射可能な溶液、輸液または携帯用溶液、ネブライザー、微小胞、あるいはリポソームとして)、あるいはパッチの形態で、ヒトまたはヒトでない宿主へ投与することができる。これらの化合物はまた、使用時に適当な希釈剤を使用して再構成するための乾燥用量(粉末、凍結乾燥体等)の形態でよい。さらに、これらは、単回投与(単回用量)または複数回投与(複数回用量)の形態で投与用に包装してよい。
本発明の活性物質は、経腸、非経口(静脈内、筋肉内または皮下)、経皮(transcutaneous)(または、経真皮(transdermal)もしくは経皮吸収(percutaneous))、皮膚、経口、粘膜、特に頬側−粘膜、経鼻、眼科的、耳鼻科的(耳内)、経腟、直腸、または胃内、心臓内、腹腔内、肺内もしくは気管内への投与のために処方できる。
本発明の組成物(特に本発明の免疫原性組成物)の有利な効果を増強するために、特定の時間間隔の後に、1回または複数回繰り返される、複数の連続的な投与形態で、投与を実行することを可能にし得る。さらにこれらは、もう一つの治療薬剤、特に抗ウイルス剤、抗細菌剤、抗寄生虫剤または抗腫瘍剤と共に投与される。
ワクチン接種での使用との関連において中では、最初に本発明のポリヌクレオチドに基づく免疫原性組成物、特に本発明のDNAワクチンで、その後本発明の膜小胞、小胞に基づく免疫原性組成物または免疫原性組成物で宿主に免疫を与えることもまた好適かもしれず、この活性成分は、本発明のキメラポリペプチドまたはこれらの1または2以上の断片である(当該キメラポリペプチドまたは1もしくは2以上のこの断片は、精製または化学合成によって得ることができる)。
また、最初に本発明の膜小胞またはこの小胞に基づく免疫原性組成物で、その後本発明のポリヌクレオチドに基づく免疫原性組成物、特に本発明のDNAワクチンで宿主に免疫を与えることも好適かもしれない。
本発明のポリヌクレオチドに基づく免疫原性組成物、および特に本発明のDNAワクチンは、好ましくは針およびシリンジまたは無針注射器、特にDNAが積まれた金、タングステンまたは白金のマイクロビーズを宿主の細胞内に推進することができる圧縮空気銃(「微粒子銃」または遺伝子銃)、例えば供給業者BioRad製の「ヘリオス遺伝子銃システム(Helios(登録商標) Gene Gun System)」を使用して、筋肉内にまたは皮下に宿主へ投与される。
ヒトまたはヒトでない宿主へ投与される活性成分の量は、治療上有効な量、すなわち薬量上活性のある、十分な量、並びに得られる顕著な効果に必要である時間のため、および特に本願で規定する予防または処置を目的とした投与の状況の中で、宿主へ顕著な利益を供するための量である。治療上有効な量はまた、1もしくは2以上の活性成分に起因する任意の有毒または有害な作用を、有利な効果が上回る量である。このような量は、ウイルス複製、細菌増殖または腫瘍の顕著な様式で成長を抑制する、あるいは病原因子または病原体によって誘発される任意の存在する感染を消滅、縮小または改善するのに十分な量に相当する。治療上有効な量は、宿主の感染の状態、年齢、性別または体重等の要因の関数に従って変化する。薬量学的投与計画(posological regimes)は、最適な治療効果を得るために調整してよい。本発明はまた、インビボで膜小胞、特にエキソソームを得るための方法に関し、当該方法は、(ヒトまたはヒトでない)宿主への、本発明のキメラポリペプチド(適当であれば、追加のキメラポリペプチド)の投与、本発明の1または2以上の膜小胞、特に本発明の1または2以上のエキソソーム(適当であれば、1または2以上の追加の膜小胞)、本発明のポリヌクレオチド(適当であれば、追加のポリヌクレオチド)または本発明の組成物(適当であれば、追加の組成物)の投与のためのステップを含んでなることを特徴とする。この方法は、特に腫瘍あるいは病原体または病原性物質による感染、特に細菌、ウイルスまたは寄生虫の感染の予防および/または処置のための方法の中で実施されてよい。
本発明はさらに、インビトロでの膜小胞および特に目的のペプチドまたはポリペプチド並びに/あるいはこの目的のペプチドまたはポリペプチドの分解産物を含んでなるエキソソームの産生のための方法に関し、この分解産物は適当であれば場合により、主要組織適合遺伝子複合体分子と結合する。当該方法は、次のステップを含んでなる:
a)目的のペプチドもしくはポリペプチドを含んでなるポリペプチドをコードする、本発明の1または2以上のポリヌクレオチドを、エキソソーム産生細胞の中へ導入すること、あるいは、目的の当該ペプチドもしくはポリペプチドを含んでなるポリペプチド、および/またはこのポリペプチドの分解産物を含む本発明の1または2以上の膜小胞と、あるいは当該小胞に基づく組成物とエキソソーム産生細胞を接触させること;
b)当該エキソソーム産生細胞を培養すること;
c)前記エキソソーム産生細胞によって産生される膜小胞、特にエキソソームを回収すること。
特定の実施形態によれば、エキソソーム産生細胞は、HEK293株の細胞、または誘導体株、あるいは免疫システムの細胞である。特に、免疫システムの細胞は、マスト細胞、リンパ球、特にTおよびBリンパ球、並びに樹状細胞から選択されてよい。免疫システムの細胞は、好ましくは樹状細胞、例えばランゲルハンス細胞である。
特定の実施形態によれば、ステップa)は、本発明の1または2以上の膜小胞、特に本発明の1または2以上のエキソソームを樹状細胞と接触させることからなる。
特定の実施形態によれば、当該方法はさらにステップa)およびb)の間に中間ステップを含んでなり、この間にエキソソームの分泌を誘発および/または増加するためにあるいは規定した量を有するエキソソームを得るために、特に特定の細胞タンパク質、例えばタンパク質ICAMに関してエキソソームの組成物における特異性を誘発するために、細胞が選択および/または刺激される。
特定の実施形態によれば、ステップa)における本発明の1または2以上のポリヌクレオチドのエキソソーム産生細胞中への導入は、核酸の導入または形質導入によって実行される。
特定の実施形態によれば、ステップc)は、分画遠心、限外濾過、担体への吸着、あるいは任意の他の方法によって、エキソソームを精製することにより実行され、膜小胞、特にエキソソーム産生細胞の培養上清から開始される。
この方法によって得られる膜小胞、特にエキソソームはまた、本発明の一部を形成する。
本発明はまた、目的のペプチドまたはポリペプチドに対する抗体を産生するための、本発明の膜小胞(適当であれば、1または2以上の追加の膜小胞)、本発明の1または2以上の膜小胞に基づく組成物(適当であれば、1または2以上の追加の組成物)の使用に関し、そしてこの抗体は診断または研究での使用が意図される。
本発明はまた、膜小胞、特にエキソソームの表面に発現される目的の1または2以上の抗原性ペプチドまたはポリペプチドに対するポリクローナル血清を調製するための方法に関し、当該方法は次のステップを含んでなる:
a)アジュバントと結合させてまたは結合させずに、本発明の膜小胞、本発明の免疫原性組成物または本発明のポリヌクレオチドをヒトでない動物へ適当であれば繰り返し投与すること;並びに
b)1もしくは2以上の、目的の抗原性ペプチドまたはポリペプチドを認識することができる、形成された抗体を回収すること。
特定の実施形態によれば、ステップa)は、ヒトでない動物の屠殺のためのステップが続く。
本発明はまた、膜小胞、特にエキソソームの表面上に発現される1または2以上の抗原性ペプチドまたはポリペプチドに対するモノクローナル抗体を調製するための2つの方法に関する。第一の方法は次のステップを含んでなる:
a)本発明の膜小胞、本発明の免疫原性組成物または本発明のポリヌクレオチドが、適当であればアジュバントと結合して投与された、そして適当であれば繰り返しの投与により投与された、(ヒトまたはヒトでない)宿主、例えばBalb/cマウスから得られた骨髄腫細胞、脾臓細胞に融合すること;
b)抗体の産生が可能な条件下で雑種細胞を培養および選択すること;
c)1もしくは2以上の、目的の抗原性ペプチドまたはポリペプチドに対するモノクローナル抗体を回収すること。
モノクローナル抗体を調製するための第二の方法は、次のステップを含んでなる:
a)適当な場合にアジュバントと結合して、そして適当であれば繰り返される投与によって、本発明の膜小胞、本発明の免疫原性組成物または本発明のポリヌクレオチドを投与した(ヒトまたはヒトでない)宿主、例えばBalb/cマウスから得られた、造血細胞由来の、より具体的には血液細胞由来の抗体産生細胞、例えばリンパ球またはリンパ芽球を不死化すること;
b)抗体の産生が可能な条件下で不死化細胞を培養および選択すること;
c)1もしくは2以上の、目的の抗原性ペプチドまたはポリペプチドに対するモノクローナル抗体を回収すること。
特に、本発明は、細胞質抗体を製造するために使用できる。
ステップa)における抗体産生細胞の不死化は、特にこれらの細胞を不死化ウイルスに感染させることによって実行されてよい。この不死化ウイルスは、ヘルペスウイルス、例えばエプスタイン・バール(Epstein-Barr)ウイルスであってよい。この不死化はまた、不死化要素を有する抗体産生細胞のゲノムの改変により実行されてよい。この不死化成分は、ウイルス成分、例えばヘルペスウイルスからの成分、あるいは細胞遺伝子、例えばテロメラーゼのための遺伝子であってよい。
ポリクローナル血清を調製するための方法またはモノクローナル抗体を調製するための方法の中で、本発明の膜小胞、免疫原性組成物またはポリヌクレオチドが投与されるヒトでない動物は、特にげっ歯類(特にマウス、例えばBalb/cマウス、ラット、ハムスターまたはウサギ)、鳥、特にニワトリ、またはラバであってよい。
本発明のモノクローナル抗体の調製のための2つの方法の特定の実施形態によれば、ステップa)の脾臓細胞または抗体産生細胞は、ヒトでない宿主から得られており、そして当該ヒトでない動物の屠殺のステップが続く。
必要であれば、本発明の抗体の調製のための方法によって生産されるモノクローナルまたはポリクローナル抗体は、「ヒト化」されてもよく、すなわち最大数の原種の定常断片Fcをヒト断片で置換するように、遺伝子操作によって調整されてよい。
本発明はまた、当該目的のペプチドまたはポリペプチド、あるいは当該目的のペプチドまたはポリペプチドの断片と相互作用することができる、(特にインビトロでの)特定のパートナーの検出のための、本発明のキメラポリペプチド(適当であれば、追加のキメラポリペプチド)、本発明の1または2以上の膜小胞(適当であれば、1または2以上の追加の膜小胞)あるいは本発明の組成物(適当であれば、追加の組成物)の使用に関する。本願はまた、インビトロで、目的のペプチドまたはポリペプチドあるいは当該目的のペプチドまたはポリペプチド断片と相互作用している分子のスクリーニングのための方法、あるいは当該分子を産生している細胞を選択するための方法に関し、当該方法には:
a)本発明の膜小胞を、追加のキメラポリペプチド内に存在する当該目的のペプチドまたはポリペプチドと相互作用しやすい1または2以上の分子と接触させること;
b)当該目的のペプチドまたはポリペプチド、あるいは当該目的のペプチドまたはポリペプチドの断片および、1または2以上の当該分子との間の任意の相互作用を検出すること、が含まれる。
当該目的のペプチドまたはポリペプチドおよび任意のパートナーの間、特にタンパク質およびこのリガンドの間の相互作用は、タンパク質相互作用の証拠となり得る任意の技術を使用することによって、例えば免疫共沈降実験を使用することによって、例えばELISA、例えばフロー細胞蛍光定量法(フローサイト蛍光測定法)、例えばPAGE−SDS電気泳動を使用することによって、あるいはウエスタン型のトランスファー(ウエスタンブロット)によって、並びにタンパク質、特にタンパク質およびこのリガンド間の相互作用を任意の高処理スクリーニング技術、例えばイノシトールリン酸、cAMP、またはカルシウムの変化を測定する技術によって、あるいは分子間または分子の2つのドメイン間のエネルギー移動(例えばFRETまたはBRET技術)によって、インビトロで説明し得る。
特定の実施形態によれば、本発明のスクリーニング方法のステップa)で使用される膜小胞は、少なくとも1つの目的のペプチドまたはポリペプチド、あるいは少なくとも1つのこれらの断片が、部分的にまたは完全に、当該膜小胞の外側に露呈されているものである。目的のペプチドまたはポリペプチドは特に、複数の膜貫通型ドメインを有する受容体、例えば受容体CXCR4、または単回の膜貫通型ドメインを含んでなる受容体、例えばCD4またはEGF−R1であってよい。
最後に、本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを含んでなるキットおよび使用説明書に関する。
本発明の他の特徴および有利な点は、下記の実施例および図から明らかになるであろう。
実施例1
方法および装置
I.プラスミドDNAの調製:
A.細菌の形質転換:
コンピテントDH5α細菌(200μL)を、BLVウイルスの野生型または突然変異体CDTMをコードする試験した13個のDNAの各々の12.5ngを用いて、ヒートショックによって、並びにネガティブコントロールとして機能している挿入断片(pLPCX)の欠損しているプラスミドによって形質転換した。
その後、この細菌を50μg/mLのアンピシリンを含有するLB/アガー培地上に、37℃で16時間散布した。そしてこれらを4℃で保存した。
B.細菌の前培養および培養:
次に、細菌の各タイプのコロニー1つを、アンピシリン100μg/mLを含有する3mLのLB培地中で、攪拌しながら37℃で約8時間前培養した。
各前培養物を、各々250mLのLB/Amp(100μg/mL)を含有する2つのフラスコで、1/200に希釈して植菌に提供した。培養は、37℃で攪拌と伴に12〜16時間実施した。
C.STETマキシ調製:
得られた培養物を、速度3600rpm並びに温度4℃で20分間遠心分離した(GR 412, Jouan)。ペレットを25mLのSTET緩衝液(スクロース8%、トリトンX100 5%、トリス塩酸pH8、50mM、EDTA 50mM)に溶解し、500μLのリゾチーム(10mg/mL;Sigma)および250μLのRNA分解酵素(2mg/mL;Sigma)を添加した。そしてチューブを100℃で10分間インキュベートし、そして16000rpmで30分間遠心分離した。1mg/mLのタンパク質分解酵素K(Amresco)の存在下で、得られた上清を65℃で45分間インキュベートした。上清を除去し、そしてDNAを0.15ボリュームの酢酸ナトリウム(AcNa)3M、pH6および0.6ボリュームのイソプロパノ−ルで沈殿させた。この溶液を4℃、次いで15000rpmで15分間遠心分離した(Aventi 30, Beckman)。得られたペレットを、同様のパラメータを使用して再度遠心分離する前に、10mLのエタノールで洗浄した。得られた核酸を乾燥し、2mLのTE 1Xに溶解し、そして4℃で保存した。
超らせんのDNAの存在が、0.8%のアガロ−スゲル電気泳動による0.2μLおよび1μLの生成物の電気泳動によって、各マキシ調製生成物で確認された。
D.カラム精製:
STETマキシ調製は、大量のプラスミドを生成するために使用することができるが、純度を改善することが必要である。この目的のために、我々は2つのパスによってAX100カラムで14個の各プラスミドを精製した(Kit Nucleobond PC 100, Macherey Nagel)。イソプロパノ−ルでの沈殿の後、得られた精製されたプラスミドを500μLのTE1X中に溶解し、4℃で保存した。
カラム上で得られた各溶出液および保持されなかった画分(FT=流水式)に関して、超らせんDNAの存在がアガロ−スゲル電気泳動(0.8%)によって確認された。
得られた溶液のDNA濃度を、波長260nmの分光光度法で調べた。
E.アリコートの取り出しおよびエタノールでの沈殿:
各DNAタイプをアリコート50または100μgでチューブ内に置き、そしてプラスミドを滅菌するために層流式フードで、エタノール(EtOH)およびNaClを使用して沈殿を実施した。得られたペレットを100μgのプラスミドあたり200μLのTE1Xの量、すなわち濃度500ng/μLの量で溶解した。アリコート中のDNAの存在が、0.8%のアガロ−スゲル電気泳動によって確認された。
F.得られたアリコートの分光光度アッセイ:
アリコートを、260nmの波長の分光光度法でアッセイした。サンプルを1/50まで希釈し、そして最終容積500μLでアッセイした。
G.酵素による消化:
制限酵素(New England Biolabs):HindIII/NotI pair、XbaI、AatII、PacI、SfoIでのこれら各々の20ngの消化によって、各プラスミドの同一性を確認した。各消化生成物のアガロ−スゲル電気泳動(0.8%)の後に、得られるバンドの数およびこれらの分子量に従ってプラスミドを識別した。
II.キメラ発現の分析
A.細胞培養:
HEK293細胞(ヒト胎児腎臓細胞)を、10%のウシ胎仔血清(FCS)および20μg/mLのゲンタマイシンを追加したDMEM培地(ダルベッコ変法イーグル培地)で、5%CO2の下で37℃で培養した。
B.形質導入:
形質導入するために、5×105細胞を9.6cm2ウェルごとに2mLの培地上に蒔いた(6ウェルプレート)。5%CO2の下、37℃でオーバーナイトで培養後、培地を抗生物質非含有の完全DMEMで交換した。
その後、NaCl(0.15M)緩衝液、6μLのJet PEI(Qbiogen)および3μgの試験すべき各核酸中で、錯化剤によって形成されたポリプレックスによって細胞に形質導入した;LacZを発現しているプラスミドは、遺伝子導入のポジティブコントロールとして機能した。24時間の培養後、5%CO2の下、37℃で、培地を除去し20μg/mLのゲンタマイシンを有する完全DMEMと交換した。プラスミドの最適な発現が、形質導入を開始して48時間後に得られた。
特定の場合には、CDTMの分解およびターゲティングにおける小胞輸送の重要性を分析するために、我々は、小胞輸送阻害剤、すなわちバフィロマイシンおよびLy294002を使用した。遺伝子導入の32時間後、濃度0.5μMのバフィロマイシン、および10μMのLy294002の各阻害剤を培地へ添加した。
C.タンパク質抽出:
遺伝子導入の48時間後、細胞を0.5%のTNE−NP40緩衝液で溶解し、0.1mMのPMSFを添加した。遠心分離(14000rpm、15分、4℃;Eppendorf 5417R)による清澄後、可溶化物をブラッドフォード法を使用して分光光度法(595nmで)でアッセイした。
各サンプルに関して、200μgのタンパク質を除去し、最終容積30μLのために溶解緩衝液を追加し、10μLのサンプル緩衝液4X(CB 4X:NaOH 200mM,EDTA 20mM,SDS 2%,ブロモクレゾールグリーン 0.05%,グリセロール 10%)を添加した。
D.エキソソームの調製:
細胞を溶解する前に培地を回収し、そして温度4℃で20分間10000rpmでプレ遠心分離した(Aventi 30, Beckman)。次に得られた上清を温度4℃で2時間100000gで超遠心分離した(Optima LE-80K, Ti 50 rotor, Beckman)。得られたペレットを100μLのCB 1X中に溶解した。
我々はまた、エキソソームをショ糖密度勾配沈降により分析した。培地を超遠心分離した後に得られたペレットを、100μLの0.25Mショ糖溶液中に溶解した。
次に小胞を、異なる密度(モル濃度):0.5/0.75/1/1.25/1.5/1.75/2/2.5の(1.2mLの)8層で調製したショ糖密度勾配上で堆積させた。次にチューブを、温度4℃で16時間、39000rpmで遠心分離した(Optima LE-80K, SW 41 rotor, Beckman)。
遠心分離の後、勾配を700μLの画分中に回収した。次いで、同容積の30%TCAを添加することによって、タンパク質を沈殿させた。チューブを4℃で2時間保存し、次に温度4℃で20分間13000rpmで遠心分離した(Eppendorf, 5417R)。ペレットを500μLのアセトンに溶解し、そして前述のように再度遠心分離した。
従って、得られたペレットを80μLのCB1Xに溶解し、そしてアクリルアミド−SDSゲル泳動およびウエスタンブロットによって分析した。
E.ウエスタンブロットおよび免疫沈降:
得られたタンパク質サンプルを、ウエスタンブロットによって分析した:アクリルアミドゲル(12.5%)上で泳動および分離後、タンパク質を疎水性のPVDF膜(Immobillon-P, Millipore)上に移動した。
次の抗体を用いて免疫タグ付与することにより、TMタンパク質の突然変異体の存在が明らかとなった:
・一次抗体:BLV抗ウサギCDTM抗血清(希釈1/200)
・二次抗体:ペルオキシダーゼでタグ付与した抗ウサギIgG(希釈1/5000;Jackson Immuno Research, JIR)
次の抗体を使用した免疫タグ付与することにより、トランスフェリン受容体の存在が明らかとなった:
・一次抗体:抗ヒトTFrマウスIgG(希釈1/200;Zymed)
・二次抗体:抗マウスIgG(希釈1/5000;JIR)
実験しているタンパク質濃度を選択的に増加させるために、ゲル泳動に先立って我々はまた免疫沈降をタンパク質可溶化物上で実施した。タンパク質量を標準化後、非特異的な反応を除去するために、可溶化物吸着をセファロース6B上で実施し、そして2.5μgの次の抗体の存在下でタンパク質セファロース6Aで免疫沈降を実施した:
・一次抗体:
抗マウスCD8マウスIgG(19/178)(JIR)
抗マウスCD8ラットIgG(53/672)(JIR)
・二次抗体:
抗マウスIgG(JIR)
抗ラットIgG(JIR)
次に、得られたペレットを70μLのCB 1.5X中に溶解した。
III.免疫蛍光法による局在性
A.スライドの調製
層流式フード中で、カバースリップ型スライドをエタノール溶液中で滅菌し、次に1.9cm2ウェル(24ウェルプレート)中に置いた後に37℃で1時間ポリ−L−リジン(25μg/mL、Sigma)でコーティングした。PBSで洗浄後、スライドを1mLのPBS中で4℃で保存した。
B.細胞培養および形質導入
「キメラ発現の分析」のセクションに記述の方法を使用して、HEK293細胞を培養し、そして形質導入した。形質導入の24時間後、細胞を35mLの完全DMEM中に溶解し、続いて滅菌し1ウェルあたり1mLの細胞希釈の量でコーティングしたスライドを含有する、1.9cm2のウェル(24ウェルプレート)中に分配した。従って、培養下にあった細胞を、37℃で5%CO2の下で24時間、インキュベートした。
C.固定および透過処理
次に、細胞をホルムアルデヒド溶液(4%)で30分間固定し、そしてトリトンX―100(最終0.2%)で透過処理した。PBSでの3×10分のすすぎの後、スライドを1mLのPBSを使用して4℃で保存した。
D.免疫蛍光法に関するタグ
我々は様々な抗体を自由に使用でき、このことから免疫蛍光法による局在確認に複数のタグをテストすることができることが示された:
CD8タグ:
N°1:マウスIgG/抗マウスCD8(19/178)(JIR)+抗マウスIgG FITC(JIR)
N°2:マウスAscites/抗マウスCD8(19/178)(JIR)+抗マウスIgG FITC(JIR)
N°3:ラットIgG/抗マウスCD8(53/672)(JIR)+抗ラットIgG FITC(JIR)
N°4:ラットIgG(53/6.7)/抗マウスCD8 FITC(Pharmingen)
細胞内区画のタグ:
N°5:マウスIgG/抗ヒトCD63(Lamp3)(Zymed)+抗マウスIgG Cy3(Sigma)
N°6:マウスIgG/抗ヒトLamp1+抗マウスIgG Cy3(Sigma)
N°7:マウスIgG/抗ヒトTf2(Zymed)+抗マウスIgG Cy3(Sigma)
N°8:ウサギIgG/抗カベオリン(BD)+抗ウサギIgG TRITC(JIR)
結果
エキソソームの形成プロセスの知識は不十分である。同様に、Envの細胞質ドメインに付随した機能は、特徴があまりない。本研究は、ウシ白血病ウイルス(BLV)モデルがエキソソーム形成およびウイルス粒子形成の現象の研究において良好なツールであり、そしてBLVのTMタンパク質(CDTM)の細胞質ドメインは「エキソソームディスプレー」によるワクチン接種の発達のために潜在的に重要なツールである、という仮説に基づく。
この潜在力を評価し、そしてBLVのTMタンパク質のターゲティングに関与する機能、より具体的にはパルミトイル化されたまたは非パルミトイル化のシステイン残基の役割を特徴付けるために、我々は、真核細胞で、マウスCD8タンパク質の外部ドメインおよびCDTMドメイン(CD8−CDTMキメラタンパク質)を含んでなるキメラ膜貫通型タンパク質の発現を可能にする複数のベクターを開発した。野生型CD8―CDTMキメラ並びに変異されたCD8―CDTMキメラが、発現された。
ヒト細胞では、マウスCD8外部ドメインは、細胞受容体を阻害しない中立の要素である。したがって、使用したキメラでは、タンパク質の外部ドメインおよび細胞構造の間の相互作用のないことが保証される。
結果として、これらのキメラを、TMタンパク質の外部ドメインおよび関連するSUタンパク質によって生じる現象を回避しながら明らかにTMタンパク質の細胞質および膜貫通型のドメインを特に実験するために使用できる、ということが示される。
3つのタイプのコンストラクトを使用した(図1および2を参照のこと)。これらのコンストラクトから、我々は、システイン残基1、2および3(CCCと略す)において野生型または変異型CD8―CDTMを発現することが可能な異なるpLPCX発現ベクターを開発した。次に、システイン残基をパルミトイル化することができないアラニン残基と置換するか、または置換しなかった。
試験した野生型または変異型CD8―CDTMタンパク質は:
・1:pX2 CCC(野生型表現型)
・2:pX2 ACC
・3:pX2 CAC
・4:pX2 AAC
・5:pX2 CCA
・6:pX2 ACA
・7:pX2 CAA
・8:pX2 AAA
・9:pX3 CCC(野生型表現型)
・10:pX3 CAC
・11:pX4−C(野生型表現型)
・12:pX4−A
・13:pX4 stp(pX4 stpは単にED、tmDおよびCD8のCDTMのごく一部から構成される)、であった。
これらのコンストラクトによりTMタンパク質のターゲティングのレベルで:システイン残基の変異の結果、TMタンパク質の膜貫通型ドメインの完全性の重要性、およびTMタンパク質(CDTM)の細胞質ドメインの重要性を分析することができた。
I.プラスミドDNAの調製:
最初に、我々は13個の各DNAおよびネガティブコントロールとして機能する挿入断片を有しないベクター(pLPCX)を大量に産生した。我々の様々なプラスミドにより形質転換した細菌を培養後、続いて得られたDNAを連続してカラム上でSTET方法により精製した。そして得られたプラスミドの同一性は酵素消化によって確認した。
A.STET方法によるDNA調製:
プラスミドDNAの完全性およびSTET調製の収率を確認するために、これらの各1μLおよび0.20μLの泳動をアガロ−スゲル(0.8%;図3を参照のこと)上で実施した。DNAの非分解が、均一のサイズの超らせんDNAの異なるバンドの存在により実証された。
B.カラム精製の生成物におけるDNAの存在の確認:
STET方法により得られたDNAをカラム上で精製した;精製され得られたDNAの完全性を確認するために、保持され溶出された画分および保持されなかった画分をゲル電気泳動により分析した。図4に示されたゲルにより、超らせんDNAがカラム(EおよびE’)から溶出された純粋画分中には実際に存在し、しかしながら非保持画分(FT)では検出できないことが示された。
C.酵素消化後のアリコートの分光測定アッセイおよびDNA濃度の調整:
次に、精製されたDNAを分光光度法を使用してアッセイした。従って得られた濃度はアリコートに応じて、149μg/mL〜584μg/mLの間で変動した。エタノールでの沈殿後、当該アリコートのDNAをTE1X中に取り出し、そして同濃度に調製した。
DNAの濃度を確認するために、酵素消化によりプラスミドをHind III/NotIペアにより直線化し、次にこれらをゲル電気泳動を使用して分析した(図5、最上部のプロファイルを参照のこと)。得られたバンドの強度は依然として可変であることが明らかとなった。従って、分光測定アッセイおよび消化後得られたバンドの強度(図5−下層のプロファイルを参照のこと)に応じて濃度を再調整した。プラスミドの同一性を確認する場合に、バンドを細胞に導入する前に正確なDNA濃度が示されることに加えて、等価の強度のバンドの獲得によって、酵素消化に続く電気泳動測定の容易な読み出しを達成することができるであろう。
D.酵素消化後のDNAの同一性の確認
1)一般的原理:
調製した14個のDNAの同一性を確認するために、これらを制限酵素HindIIIおよびNotI、XbaI、AatII、PacI並びにSfoIを使用した消化により全て確認したが、これらは各DNAのゲルプロファイルの異なる組合せとなる。消化生成物のアガロ−スゲル泳動(0.8%)により、得られたバンドの数およびサイズに応じて、表1に示すようにDNAを識別することができる(NB:サイズが100塩基対以下のバンドは、我々のゲル電気泳動像上では観察することができなかった):
実験のコンストラクトの消化を、各プラスミドの同一性を確認するために使用した。大きなCD8―CDTMコンストラクト型は、酵素HindIII/NotIおよびXbaIでの消化後に得られたバンドの数およびサイズ分析によって識別された。様々なシステイン残基突然変異体は、酵素AatII、PacIおよびSfoIでの消化後に識別された。従って、得られたバンドの数は、HindIII/NotIおよびXbaIでの消化によるもの以上であり、識別は特定のバンド(太字)の存在または不存在に基づいて主に実施した。
Figure 2013505713
Figure 2013505713
2)実施例:
突然変異体pX2 AACおよびpX2 CCAの識別に関して、得られたゲルを図6Aに示す。
解釈:
・HindIII/NotIでの消化:2つのサンプル各々において、約7206bpで得られた単一バンドは、コンストラクトX2またはX4の存在と一致する。
・XbaIでの消化:2つのサンプル各々において、約6822(または6812)および367bpで得られている2つのバンドは、コンストラクトX2またはX3の存在と一致する。
これらの2つの結果により、我々は実際にX2型の2つのコンストラクトの存在下にあったことが照合されそして裏付けられる。
次に、これらの中のX2突然変異体を識別しようとした(図6Bを参照のこと):
解釈:
・AatIIでの消化:
− サンプル4:得られている約3423bp(赤)の1つの特定のバンドは、次のX2プラスミドの1つの存在と一致する:pX2 CAC、pX2 AAC、pX2 CAAまたはpX2 AAA。
− サンプル5:得られている約4285bp(青)の1つの特定のバンドは、次のX2プラスミドの1つの存在と一致する:pX2 CCC、pX2 ACC、pX2 CCAまたはpX2 ACA。
・SfoIでの消化:
− サンプル4:約2538bp(赤)の得られている1つの特定のバンドは、次のX2プラスミドの1つの存在と一致する:pX2 CCC、pX2 ACC、pX2 CAC、pX2 AAC。この結果は、AatIIによる消化のものと照合され、そして我々は次のプラスミドの1つの存在下にあったことを推測することができた:pX2 AACまたはpX2 CAC。
− サンプル5:約1839bp(黒)および699bp(緑)の得られている2つの特定のバンドは、次のX2プラスミドの1つの存在と一致する:pX2 CCA、pX2 ACA、pX2 CAA、pX2 AAA。この結果は、AatIIによる消化のものと照合され、次のプラスミドの1つの存在下にあったことを推測することができた:pX2 CCAまたはpX2 ACA。
・PacIでの消化:
各サンプルに関して、非超らせんDNApに一致する低い強度のバンドおよび超らせんDNAp(青)に一致する高い強度のバンドを得たが、これからPacIによる消化がこれらのサンプルにないことが示される。
サンプル4および5は、各々突然変異体pX2 AACおよびpX2 CCAに一致する。
このプロセスは、プラスミドの全ての識別に適用した。
3)結論:
DNAの調製のためのこのステップの間に、14個の精製プラスミドが各々数ミリグラムずつ得られ、酵素消化およびゲル分析による確認の後にこれらの同一性は全て確認された。さらに、全DNAを同濃度に調整した。
II.キメラの発現の分析:
DNA発現を調べるために、各プラスミドの同量をHEK293細胞内に導入した。これにより発現されたタンパク質をゲル泳動により分析し、続いてPVDF膜上へ輸送した。そして当該膜は、抗ウサギCDTM血清およびペルオキシダーゼでタグ付与した二次抗ウサギ抗体を使用して明らかにした。
A.細胞可溶化物中のCD8―CDTMの存在の分析:
1)未精製の可溶化物の分析:
形質導入の48時間後、細胞を溶解し、得られた抽出物をブラッドフォード法を使用してアッセイした。これらの可溶化物由来の未精製タンパク質ブルート(brutes)の200μgを、ゲル泳動およびウエスタンブロットによって分析し、抗CDTM抗体で明らかにした(図7を参照のこと)。
サンプル中で様々な特定のシグナルを観察することができた:
・CD8−CDTMの存在に一致する50kDaの二重バンド(青)。2つのバンドは、CD8のグリコシル化の2つのレベルに一致する。
・未確定のオリジンの約20kDaのシグナル(赤)。
サンプルpX2 CCC、pX2 ACC、pX2 CAC、pX2 AAC、pX4 stpおよびpLPCXは、これらのバンドを有しなかった。
2)抗CD8抗体による免疫沈降の後の可溶化物の分析:
細胞可溶化物中のCD8−CDTMの検出閾値を低下させるために、大量の抽出物を使用し、CD8の外部ドメインの立体構造エピトープの特定のモノクローナル抗体での免疫沈降によってキメラを濃縮した。
形質導入48時間後、細胞を溶解し得られた抽出物をブラッドフォード法を使用してアッセイした。タンパク質濃度の標準化の後、抗CD8抗体およびタンパク質Aセファロースの存在下で抽出物を免疫沈降させた。得られた生成物をゲル泳動およびウエスタンブロットにより分析し、抗CDTM抗体(図8を参照のこと)で明らかにした。そしてサンプル中で様々なシグナルを観察することができた:
・CD8−CDTMの存在と一致する55kDaの二重バンド(青);
・約66kDaで各サンプルで確認される、不明のシグナル;
・おそらく多量体が形成されたCD8−CDTMタンパク質の存在と一致する、66kDa以上の分子量を有する1または2以上のシグナル。
この場合、pX2 AACサンプルは、免疫沈降なく実施した分析と対照的に、50kDaで検出可能なシグナルを有した。その一方で、サンプルpX2 CCC、pX2 ACC、pX2 CAC、pX4 stpおよびpLPCXに関して検出可能なシグナルはなかった。
3)細胞可溶化物中のCD8−CDTMの発現の分析の概要:
各キメラの特徴(tmD BLVの完全性、第三のシステイン残基の存在およびシステイン残基の数)を有する細胞可溶化物上でウエスタンブロットによって得られたデータの相互の関係を比較することによって、以下の表2を作成することができた。
BLVのCDTMに加え、2つのファクターがCD8−CDTMキメラの存在に作用している、ように見える。これらのファクターは:tmd BLVの存在または非存在、並びに第三のシステイン残基(Cys213)の存在または非存在である。
B.CD8−CDTMとエキソソームとの関係の分析:
使用した様々なDNAは2、3のヌクレオチドが相違するだけであった。従って、おそらく合成されたCD8−CDTMの量は同量であった。しかしながら、細胞可溶化物中のCDTMの発現の分析の間、形質導入48時間後に特定のキメラは検出不可能であったことが確認された。このシグナルの見られないことは、キメラタンパク質の一部の消失を反映するかもしれない。この消失は、これらのキメラの急速な分解、またはエキソソームの形態でのこれらの分泌のいずれかが原因であったのかもしれない。
従って、エキソソーム内のCD8−CDTMの存在を検出しようとした。
Figure 2013505713
1)遠心分離によって単離された小胞中のCD8−CDTM内容物:
形質導入の48時間後、培地を回収しエキソソームを分離するために遠心分離した。次に得られたペレットをゲル泳動およびウエスタンブロットで分析し、そして抗CDTM抗体で明らかにした(図9を参照のこと)。
サンプルにより、CD8−CDTMの存在に一致する55kDaでシグナルを示した。このシグナルは、サンプルpX2 CCC、pX2 ACC、pX2 CAC、pX2 AAC、pX4 stpおよびpLPCXに関しては検出不可能であった。
2)ショ糖密度勾配上での小胞の沈降後のCD8−CDTM内容物:
培地の超遠心分離後に得られたシグナルは実際にエキソソーム中のキメラの存在に起因するものであり、CD8−CDTMを含有する細胞残屑の存在に起因するものではないということを確認するために、上述の方法に従ってショ糖密度勾配上での沈降によって得られたエキソソームのペレットを分析した。使用した細胞および小胞の組成に応じて1.13g/mL〜1.20g/mLの密度でエキソソームが浮遊した。超遠心分離での沈降後、700μLの画分中で勾配を除去した。TCAを使用してタンパク質を沈殿させ、ゲル泳動、続いてウエスタンブロットで分析し、そして細胞小胞(エンドソームまたはエキソソーム)の存在を検出するために抗CDTM抗体および抗トランスフェリン受容体(RTf)抗体で明らかにした。この分析は突然変異体pX4−CおよびpX4−Aに関して実施した(図10を参照のこと)。
pX4−CおよびpX4−Aにおいて、CD8−CDTMと一致するシグナルを1.13g/mL〜1.25g/mLの密度を有する画分中で検出した。これらの同密度に関して、RTfと一致するシグナルを検出することもまたできる。これらの結果は、エキソソームを含有する画分中のCD8−CDTMの存在を明らかにする。
3)エキソソームとCD8−CDTMとの関係の分析の概要:
Cys213を有するpX2を除いた、CDTMを含有する全突然変異体で、CD8−CDTMとエキソソームとの結合を検出した。pX4−CおよびpX4−A突然変異体は、エキソソーム中で非常に効率的にターゲティングされたと思われる。Cys213を有しないpX3およびpX2突然変異体もまたエキソソーム中で確認されたが、pX4−CおよびpX4−A突然変異体よりも少ない割合であった。
従って、ウイルスのCDTMの存在に加え、エキソソームでのCD8−CDTMキメラのターゲティングに2つのファクターが作用するものと思われる。
これらのファクターは:
・BLVの膜貫通型ドメインの存在または非存在。
・Cys3の存在または非存在、である。
C.CD8−CDTMキメラの発現への小胞輸送阻害の影響:
キメラpX2 CCC、pX2 ACC、pX2 CACおよびpX2 AACの検出がないことはエキソソームの分泌の増加に起因しないので、これがMVBタンパク質のリソソームへの局在化による分解に起因するか否かを調べた。
この目的のために、小胞輸送阻害剤、主にバフィロマイシンおよびLy294002を使用した。これらの阻害剤は、リソソームの分解経路をブロックすることができ、これによりエキソソームによるタンパク質の分泌を促進する。形質導入の32時間後に阻害剤を培地に添加し;16時間後に細胞を溶解し培地を回収し、次にエキソソームを分離するために遠心分離した。得られたサンプルをゲル泳動で分析し、抗CDTM抗体によりウエスタンブロットで明らかにした。このようにして、キメラpX2 CCC、pX2 CCA、pX3 CCC、pX4−C、pX4−AおよびpX4 stpの発現を分析した(図11および12を参照のこと)。
これらの突然変異体に関して、得られたタンパク質に対する阻害剤の存在下でのウエスタンブロットプロファイルは、細胞可溶化物およびエキソソームどちらに関しても阻害剤なしの分析の間と同様であった、ように思われる。
従って、キメラpX2 CCC、pX2 ACC、pX2 CACおよびpX2 AACの不存在は、明らかに加速されたエキソソーム放出、またはリソソームでの分解のどちらにも起因しない。おそらく、これは小胞体(RE)およびTGN中でのフォールディングの制御に関するシステムのレベルでの非常に早期の分解での結果である。
III.免疫蛍光法による局在確認:
細胞区画においてCD8−CDTMの膜ターゲティングおよびこの局在性を評価するために、共焦点免疫蛍光顕微鏡を使用して観察を実施した。形質導入48時間後、細胞を固定し、様々な抗体を使用してタグ付与した。
A.抗体の選択:
最初に、タグの各タイプ(方法および装置を参照のこと)を、pX4−CまたはpLPCXを発現している固定細胞上で可変の抗体希釈を使用してテストした。通常の免疫蛍光顕微鏡(ZEISS Axiovert 200 M)上で観察の後、様々な入手可能な抗体(「方法および装置」部分を参照のこと)をテストし、そしてこれらの有効性およびこれらの最適な希釈を測定した。複数の抗細胞内区画抗体が、ゼロまたは1つの特定のシグナルを有することが観察された。
従って、共焦点イメージ観察に関して、2つのタイプのタグを使用することができた:
・CD8−CDTMタグラベル:
ラットIgG(53/6.7)抗マウスCD8 FITC(Pharmingen、希釈1/50)
・Lamp3ラベル:
抗ヒトCD63(Lamp3)マウスIgG(Zymed、希釈1/50)+抗マウスIgG Cy3(Sigma、希釈1/500)
B.CD8−CDTMの分布の観察:
細胞の固定および我々の様々な抗体を使用したタグ付与の後、共焦点顕微鏡(ZEISS LSM 510)を使用してCD8−CDTMに由来するタグの分布およびLamp3との共局在を観察した。
pLPCX(ネガティブコントロール)を発現している細胞はFITCシグナルを示さなかった。従って、このコントロールから、他の突然変異体に関して視覚化されたFITC蛍光は実際にはCD8−CDTMの存在に由来することを確認することができた。
驚いたことに、ウエスタンブロットによって検出されないにもかかわらず、Cys3を含んでなるpX2コンストラクトは弱いものの免疫蛍光法で観察された。
一般的な表現型の分析:
HEK293細胞に48時間形質導入し、固定した。ZEISS LSM 510共焦点顕微鏡(X63 immersion objective)を使用して、観察を実施した。
CD8:FITCタグ(緑)からCD8を含んでなるキメラの存在が明らかとなった。
Lamp3:Cy3タグ(赤)から後期エンドソームを特徴とするLamp3タンパク質の存在が明らかとなった。
CD8−CDTM/Lamp3:FITCおよびCy3画像を重ね合わせた。得られた黄色の色調から、CD8−CDTMとLamp3の共局在が証明される。
この観察から、FITCタグの(小胞、膜または核周囲の)出現および強度に基づき5つの一般的表現型を識別することができる(図13〜17を参照のこと)。小胞の出現に関するFITCタグのLamp3との共局在は、あらゆる突然変異体中に存在するので、これらの表現型の判定のために使用することができない。さらに、この共局在は常に部分的であった。
強度のFITCシグナルを有している核周囲の分析:
pX4 stpを除く全サンプルに関して、大きく均一なCD8の核周囲のシグナルはほぼ常に核の周囲で発見された。細胞に存在するFITC蛍光の主要部を視覚化するために必要である強度パラメータは、この区域の飽和を生じた。このような飽和シグナルは、それほど有用でなく、特にLamp3との共局在の妥当性を測定するために、これらの区域の分析に焦点を合わせることによって強度の弱いパラメータを捕捉した。
CD8−CDTM/Lamp3[a]:CD8−CDTM(緑)のLamp3(赤)との共局在。弱いものの捕捉のための強度パラメータは、核周囲シグナルの飽和およびこのレベルでの黄色の色調の出現を生じ、これによりこれらの2つのタグの間の部分的な共局在が示された。このシグナル飽和のため、生じている共局在が本当のものかまたは人工によるものなのか述べることは不可能であった。
CD8−CDTM[d]:CD8−CDTMに由来するFITCシグナル。強度パラメータは、任意のシグナル飽和現象を除去するために大幅に減少させた。FITCシグナルは散在し、均一であり非断続的に現れた。
CD8−CDTM/Lamp3[d]:CD8−CDTM(緑)のLamp3(赤)との共局在。強度パラメータを、任意のシグナル飽和現象を除去するために大幅に減少させた。これにより黄色の色調はなくなり、FITCおよびLamp3の間の共局在がないことが示された。
このデータによると、Lamp3に由来するタグ付与は、この核周囲の中に位置するように見えるが、FITCタグと決して共局在しなかった(図18を参照のこと)。
さらに、これらの核周囲のCD8−CDTMに由来するタグ付与は散在し、均一であり非断続的に見え、そして細胞組織内のCD8−CDTMの存在を示しているように思われた。このタグ付与の局在性および出現、並びにLamp3との本当の共局在の無いことから、ゴルジ体でのCD8−CDTMの存在が示唆される。
この表現型は、pX4 stpを除いた全突然変異体で多かれ少なかれ確認される。これが常に存在する突然変異体pX2およびpX3と対照的に、pX4−CおよびpX4−Aの突然変異体では、この表現型は少数の細胞で確認することができるだけである。
Figure 2013505713
従って、FITCによって強固にタグ付与された核周囲の特定の観察によって、TGN中のCD8−CDTMの存在の可能性を示すことができた。
我々は以下の表(表3を参照のこと)を作成するために、得られたデータを使用した。
これらの観察から、ウイルスCDTMに加えて、2つのファクターがキメラの安定およびターゲティングに関与することが確認される。
これらのファクターは:
・tmd BLVの存在または非存在;
・BLVのCDTMのN末端残基の存在または非存在;
・Cys3の存在または非存在、
である。
結果:
分析中に、キメラpX4 stpは、単に外部ドメインおよびCD8のtmdから構成され、効率よく原形質膜へターゲティングされることによりHEK293細胞中に蓄積することが示された。
同様の態様で、キメラpX4−CおよびpX4−Aは蓄積し、そしてpX4 stpよりも大きな割合で原形質膜で確認される。これらのキメラはエキソソーム内で非常に効率的に分泌される。
pX3キメラは、pX4キメラと対照的に、ゴルジ体中に確実に存在する。原形質膜およびエキソソームでのこれらのターゲティングは、pX4 キメラほど効率的でないようだが、多量には違いない。
pX2キメラは、あまり安定的に見えず、原形質膜ではなくTGNで確認される。Cys3を含んでなるpX2コンストラクトは、細胞内でそれほど安定でなく、そしてエキソソームで検出されない。コンストラクトのこのタイプにおける末端Cysの置換は、キメラタンパク質の安定性の増加に寄与するようである。実際、Cys3のないpX2コンストラクトは、細胞およびエキソソームで検出可能である。
免疫蛍光法において、実験のキメラは全て後期エンドソームのマーカーと部分的に共局在化した小胞タグを有する。
この実験から、CD8−CDTMキメラの安定性およびターゲティングにおける、Cys3の存在または非存在の重要性が示された。このシステイン残基のないことは、実験のキメラの安定性および膜ターゲティング並びにエキソソーム中でのこれらの存在に有利と思われる。これらの現象は、Cys3のないことに関係する超パルミトイル化と無関係とすることができる。実際、パルミトイル化されていないコンストラクトpX2 AACは、Cys3並びにCys1および/またはCys2を有する3つのpX2突然変異体より安定であり、パルミトイル化することができる。しかしながら、キメラの安定性およびターゲティングにおいて、パルミトイル化の他の意味は排除することができる。
この実験から、BLV tmDの根本的な重要性が示された。tmD BLVの全てのあるいは部分的な欠失は、原形質膜でのキメラの安定性およびターゲティングを大幅に増加するものと思われる。従って、驚くことに、tmD BLVの存在は、キメラの早期の分解に寄与し得る。リソソームの分解経路が原因ではないので、この分解は、細胞区画、すなわちREおよびTGNでのフォールディングを調整しているシステムを妨害し得る。小胞輸送阻害剤が無いことは、CD8−CDTMキメラの安定性およびエキソソームのターゲティング、並びに後期エンドソームとのこれらの非常に部分的な共局在に影響する、という仮設は最も安定でないキメラを考慮しても支持される。
我々の実験の本質的な魅力は、「エキソソームディスプレー」のコンセプトに基づくワクチン接種モードの開発のための潜在的に有効なツールの発見に属する。実際、pX4−C、特にpX4−Aキメラは、ペプチド抗原(ここではCD8)のエキソソームへの非常に有効なターゲティングを可能にする分子「モーター」を有するようだ。従って、この「モーター」は、BLVのTMタンパク質の細胞質ドメインに位置するであろう。
実施例2:CDTMペプチドのエキソソームターゲティングに関与するアミノ酸の同定
最初の免疫付与トライアルを始める前に、BLV TMタンパク質の細胞質ドメインに位置する「モーター」の正確な特質を特定するために、BLV TMタンパク質の細胞質ドメインでの変異の18タイプの影響を実験した(図19を参照のこと):
− 13個のN末端残基の欠失および第一のPxxPモチーフの2つのプロリン残基の置換(配列番号13および配列番号14;変異KM4);
− 13個の末端残基の欠失および第二のモチーフPxxPの2つのプロリン残基の置換(配列番号15および配列番号16;変異KM5);
− 13個のN末端残基の欠失および第三のPxxPモチーフの2つのプロリン残基の置換(配列番号17および配列番号18;変異KM8);
− 13個のN末端残基の欠失および第四のPxxPモチーフの一番目のプロリン残基の置換(配列番号19および配列番号20;変異KM11/1);
− 第四のPxxPモチーフの2つのプロリン残基の置換(配列番号21および配列番号22;変異KM11/3);
− 13個のN末端残基の欠失および第一のYxxLモチーフのチロシン残基の置換(配列番号23および配列番号24;変異KTMY);
− 13個のN末端残基の欠失および第二のYxxLモチーフのチロシン残基の置換(配列番号25および配列番号26;変異KM9);
− 13個のN末端残基の欠失および第三のYxxLモチーフのチロシン残基の置換(配列番号27および配列番号28;変異KM13);
− 13個のN末端残基の欠失および第一のYxxLモチーフの前のセリン残基の置換(配列番号29および配列番号30;変異S);
− 13個のN末端残基の欠失および第二のYxxLモチーフ前に位置するグルタミン酸残基の置換(配列番号31および配列番号32;変異E);
− 13個のN末端残基の欠失および第三のYxxLモチーフの前に位置するアスパラギン酸残基の置換(配列番号33および配列番号34;変異D);
− 6つの残基まで切断された配列−13個のN末端残基および39個のC末端残基の欠失(配列番号35および配列番号36;変異KS5);
− 15個の残基まで切断された配列−13個のN末端残基および30個のC末端残基の欠失(配列番号37および配列番号38;変異KS6);
− 21個の残基まで切断された配列−13個のN末端残基および24個のC末端残基の欠失(配列番号39および配列番号40;変異KS8);
− 26個の残基まで切断された配列−13個のN末端残基および19個のC末端残基の欠失(配列番号41および配列番号42;変異KS9);
− 31個の残基まで切断された配列−13個のN末端残基および14個のC末端残基の欠失(配列番号43および配列番号44;変異KS10);
− 37個の残基まで切断された配列−13個のN末端残基および8個のC末端残基の欠失(配列番号45および配列番号46;変異KS12);
− 41個の残基まで切断された配列−13個のN末端残基および4個のC末端残基の欠失(配列番号47および配列番号48;変異KS14)。
置換および欠失突然変異体は、定方向突然変異誘発によって得られる;置換された残基は、アラニン残基で置換された。欠失突然変異体の翻訳は終止コドン(TGA、TAGまたはTAAコドン)の添加によって停止された。
18個の突然変異体をコードするDNA配列、並びに13個のN末端残基のみが欠失された野生型DNA CDTM配列(配列番号7;ここで「野生型配列」と呼ばれる配列)は、マウスのCD8αの外部ドメインをコードする配列の下流でサブクローン化した。次に得られた19個のキメラ遺伝子をウイルス発現ベクターの中にクローン化した。従って、生じたキメラタンパク質のエキソソームへのターゲティングを分析するために、得られた遺伝子組換えベクターを真核細胞(HEK細胞)の中に導入した。48時間後、細胞でのタンパク質の発現をウエスタンブロットで調べた。同時に、キメラタンパク質のエキソソーム中の局在化をFACSおよびウエスタンブロットで評価するために、エキソソームを超遠心分離により精製した。
以下に示す結果は、文字通り個々に認識された2つのペプチドモチーフの、ESCRT機構および膜間のトランスファー機構と関係するタンパク質(特にAP3を含むアダプチン)とのこれらの相互作用のための、必要性を示す。今回初めて、これらの2つのペプチドモチーフがエキソソームターゲティングで相乗効果の決定的機能を有するという実験上の証拠が得られた。
これらの結果は、エキソソームを使用した細胞間のシグナル伝達に関して新規で重要な情報を提供する。従って、我々はエキソソームでのタンパク質のターゲティングのための明確に規定したツールを有する。産業上の観点から、例えばこれらは新世代ワクチンの産生を促進し、そして処置用の分子または抗体をスクリーニングするための特有のツールを提供するであろう。
1−分子のコンストラクトの獲得
A−PCRによる挿入断片の調製:
3つの置換突然変異体S(Ser→Ala)、D(Ac.Asp→Ala)およびE(Ac.Glut→Ala)を、以下の変異プライマーを利用の二重PCRを使用した定方向突然変異誘発によって得た:
−AへのプライマーS,順方向:
5’CCCTAAACCCGATGCTGATTATCAGGCGTTGCTACCATCC 3’
−AへのプライマーS,逆方向:
5’CGCGGATGGTAGCAACGCCTGATAATCAGCATCGGGTTTA 3’
−AへのプライマーD,順方向:
5’CCACCAAGCCGGCATACATCAACCT 3’
−AへのプライマーD,逆方向:
5’TCGAAGGTTGATGTATGCCGGCTTGGT 3’
−AへのプライマーE,順方向:
5’GCTACCATCCGCGCCAGCGATCTAC 3’
−AへのプライマーE,逆方向:
5’GTAGATCGCTGGCGCGGATGGTA 3’。
ポリメリゼーションの間のエラーを制限し、そして平滑末端を有する断片を得るために、(3’−5’−エクソヌクレアーゼの)校正活性を有する熱安定のTaq DNAポリメラーゼおよび熱安定のTgoポリメラーゼを含有する酵素混合物を含むExpand High Fidelity PCRシステムキット(Roche(登録商標))を使用してPCRを実施した。試薬の2つの混合物を4℃で調製した:
A(25μL):増幅のためのDNAの10ng、10mMのdNTPの1μL(最終各々200μM)、10μMでの2つの順方向および逆方向プライマーの各々1.5μL(最終300nM)、滅菌水(qsp 25μL);および
B(25μL):5μLの「エキスパンドハイフィディリティ」緩衝液、15mMのMgCl2を有する10X(最終1.5mM)、0.75μLの「ハイフィディリティ」酵素混合物(最終2.6U)、滅菌水(qsp 25μL)。
AおよびBを4℃で混合し、次の増幅サイクルを実施した:
− 二重鎖DNAを2分間94℃で変性させること;
− 変性(94℃、10秒)、ハイブリダイゼーション(50℃、15秒)および伸長(72℃、20秒)を4サイクル;
− 25サイクル:94℃で10秒、64℃で15秒、そして72℃で20秒;
− 72℃で7分間の最終伸長。
得られたPCR生成物を4℃で保存した。
18個の突然変異体および野生型DNA配列をコードするDNA配列をPCRで組み換え(定方向突然変異誘発)、これらを特定の制限酵素部位によって取り囲んだ;制限酵素部位XbaIおよびNotIを有する2つのプライマーを使用して、前述のプロトコルを実施した。
B−TOPO−bluntIIでのPCR生成物およびコントロ−ルのクローニング
19個の各DNAを、ケモコンピテント(chemocompetent)細菌中への導入のためのTOPO−bluntクローニングキット(Invitrogen)のTOPOクローニングベクター中に連結させた(図20を参照のこと)。形質転換したクローンが選択され、DNA配列の全てがシークエンシングで確認された。
a)プラスミド中への連結およびTop10での形質転換
様々なPCR生成物の各々は、既に開口され平滑末端を有しカナマイシン耐性遺伝子を輸送するTOPO−BluntIIプラスミド中に取り込まれた。ケモコンピテントTop10細菌はこれらのプラスミドによって形質転換され、そしてLB/アガーディッシュ(100μg/mLのカナマイシン)上で培養した。ネガティブコントロールおよび他のコントロールとして機能する挿入断片のないTOPO−BluntIIプラスミド(1ngのPUC19プラスミド)を形質転換用のポジティブコントロールとして使用した。培養後、挿入断片を含むプラスミドまたはPUC19(ポジティブコントロール)によって形質転換された細菌のみが、選択的薬剤(抗生物質)の存在下で成長した。
b)良好なクローンのスクリーニングおよびシークエンシング:
クローニング結果から、プラスミドDNAの抽出を実施するために2〜10個のコロニーを増幅させた。各コンストラクトおよび各クローンにつき、約150ng/μLで100μLのプラスミドDNA量を得た。各精製に関して260nmでの吸収/280nmでの吸収の比率は1.8〜2の範囲に値を有し、これは調製物が純粋であることを証明している(1.8未満の値は、タンパク質混入を証明する)。
プラスミドでの挿入断片の存在を確認するために、DNAを目的の配列を取り囲むEcoRI制限酵素によって消化した。(約300pbの)断片の存在が遺伝子組換えのDNAの証拠を構成する2%のアガロ−スゲル上で、これらの消化を視覚化した。
一旦良好なクローンが確認されると、目的およびオープンリーディングフレームの各配列の完全性を確認するために、各突然変異体由来の2μg〜4μgのプラスミドDNAを配列決定した。変異および添加した制限酵素部位を同時に確認した。
C−pKSIIクローニングベクター中のキメラ遺伝子の獲得
19個のコンストラクトを提供するために、19個の配列(1つの野生型および18個の変異型)各々を、マウスCD8α外部ドメインをコードする配列の下流に置いた。
a)pKSII−CD8クローニングベクターの調製
pKSII−CD8αベクター(図22を参照のこと)を連続して制限酵素XbaIおよびNotIで消化し、挿入断片を取り入れることができた。一度消化が実施されると、プラスミドは脱リン酸化され、エタノールで沈殿し0.8%のアガロ−スゲル上で精製される。
b)挿入断片の調製
XbaI−NotI制限酵素部位によって囲まれた様々な挿入断片をプラスミドと同様に同じ制限酵素で消化し、これらを取り込むことができた。
c)クローニングによるキメラプラスミドの獲得
直線化したpKSII−CD8αプラスミドにDNAを挿入した:
消化した挿入断片を2.5%アガロ−スゲル上で精製した。ゲル連結法を使用してpKSII−CD8αベクター中のこれらの再挿入を実施した。未処理のゲルの断片は、ネガティブ連結コントロールとして機能した。
ベクターおよび挿入断片用に同一の制限酵素を使用したので、従ってこれらは凝集性のある、相補的なXbaIおよびNotIサイトを有した:プラスミドおよび挿入断片はこれらの間にバンドを確立することができるであろう。1つの酵素、リガーゼは、2つの核酸の3’−OH末端および5’−リン酸末端の間のリン酸ジエステル結合の形成を触媒する。
一度連結ステップが完結すると、DH5α細菌は、アンピシリン耐性遺伝子を輸送しているこれらのプラスミドによって形質転換された。37℃でLB/アガー(50μg/mLのアンピシリン)上での形質転換された様々な細菌の培養およびネガティブコントロールとの比較後、コロニーの成長がCDTM挿入断片の存在下で連結生成物によって形質転換された細胞上でのみ観察された。このことから、得られたコロニーがXbaIおよびNotIサイトの間の挿入断片を含むベクターによって実際に形質転換されたことが示唆される。
d)スクリーニング:
キメラプラスミドが得られたことを確認するために、プラスミドDNAを2つの酵素、XhoI/NotIで消化し消化生成物の0.8%アガロ−スゲル上での泳動後、各突然変異体の様々なクローンをスクリーニングした。この二重の消化は、作成されたあらゆるキメラ遺伝子、すなわちCDTMと一致するCD8αを有するものを切除する。
各クローンおよび各コンストラクト(変異型または野生型pKSII−CD8α−CDTM)に関しては、直線化したpKSIIプラスミドのサイズに一致する2.9kbpで第一のバンドが観察された。第二のバンドは約950bpで見られる;これは変異型または非変異型のCD8α−CDTMキメラをコードする遺伝子に一致する。
D−レトロウイルスの発現ベクターpLPCXにおけるキメラ遺伝子の獲得:
発現ベクターpKSIIはこのサイズおよび制限酵素部位のため操作することは容易である一方で、真核細胞でのタンパク質発現はできない。それ故、pLPCX(Clontech Laboratories Inc.、図23を参照のこと)を選択したが、これはレトロウイルスのベクターを使用した形質移入および形質導入どちらによっても遺伝子を導入することができることを意味するものである。
精製のために、ヌクレオスピンエクストラ(Nucleospin Extract)II(登録商標)キット(Macherey-Nagel)を使用した2%アガロ−スゲル上での抽出によって、XhoI−NotIサイトの間のpKSIIプラスミドから各キメラ遺伝子を切除した。
また発現ベクターpLPCXをXhoI−NotI酵素ペアで消化し、脱リン酸化し、続いてイソプロパノールで沈殿させた(このステップは、XhoIおよびNotIの間に位置する、消化の間に遊離したDNAの短い断片(100pb未満)の除去のためであった)。
T4DNAリガーゼ(Biolabs)を使用してキメラ遺伝子のpLPCXとの連結を実施した(約3分子/1分子の挿入断片/ベクターの割合)。これらの連結生成物によってケモコンピテントStbl2細菌(マックスエフィシエンシー(MAX Efficiency)(登録商標)Stbl2TMコンピテント細胞,Invitrogen)を形質転換した。同時に、ポジティブコントロール(1ngのpUC19プラスミド)およびネガティブコントロール(挿入断片なしに「連結させた」pLPCX)を調製した。50μg/mLのアンピシリンを含有するゲロース培地上で30℃での細菌培養後、ポジティブコントロールまたは挿入断片を有する連結生成物によって形質転換した細菌のみが成長した。
続けてスクリーニングし真核細胞での形質導入に必要な十分量のDNAプラスミドを有することができるようにするため、ミディ調製(Midipreparation)を実施した。XhoI、その後NotIでの消化後、プラスミド中の挿入断片の存在が2%アガロ−スゲル上で確認された。各コンストラクト(変異型および野生型pLPCX−CD8α−CDTM;図24を参照のこと)に関して、直線化されたpLPCXに一致する6.3kpbのバンドおよび切除されたキメラ遺伝子に一致する950pbのバンドが観察された。
2−エキソソームへのターゲティングの発現および分析:
A−HEH293T細胞での形質移入:
HEK293T真核細胞の形質移入を確認し変換された細胞のパーセンテージを測定するために、細胞にLacz遺伝子を含有するプラスミドを導入しX−Gal溶液中でインキュベートした。
最初に目測で、次に光学顕微鏡での観察(倍率×40)によって、細胞の50%以上が青く染色されたことを観察し、これからLacZプラスミドによって大多数が変換されたことが分かった。キメラ遺伝子の導入に関して同じ条件を適用し、従ってキメラ遺伝子によって細胞の50%以上が変換されたであろう。
同時に、20個の遺伝子導入をHEK293T細胞で同時に実施した。これらは、各プラスミドおよびネガティブコントロール(CDTMのないpLPCX−CD8)と一致した。
B−細胞でのキメラタンパク質の発現およびエキソソームへのターゲティング
a)ウエスタンブロット分析:
形質導入に由来する細胞およびエキソソーム可溶化物を、10%のSDS−PAGEゲル泳動、続いてPVDF膜(ポリフッ化ビニリデンジフロライド、イモビロンP、Millipore)上へのトランスファーにより分析した。次にこれらの膜を、一次抗ウサギCDTM血清、続いてペルオキシダーゼと結合した二次抗ウサギIgG抗体を使用して明らかにした。明らかにした後、これらの抗体を除去し同一の方法でしかしながら抗ウサギCD8α血清を使用してトランスファー膜を明らかにした。
結果を図25および26に表わす。
・細胞およびエキソソームでのキメラの発現レベルの比較:
細胞可溶化物では、キメラタンパク質の弱い発現のみ示したことが認められた。一方で、エキソソーム中では特定のキメラタンパク質が時折非常に大きく存在した。
この発現レベルに加え、細胞タンパク質およびエキソソームタンパク質で見られる大きな違いは、細胞に関しては2または3つのバンドおよびエキソソームに関してはたった1つのバンドの存在であった。これは、細胞がグリコシル化されていない形態および多かれ少なかれグリコシル化された形態を含有するだからである。エキソソームでは、正確にグリコシル化された形態だけが発見される。
・ポジティブ(CD8α−CDTM)およびネガティブ(CD8α単独)コントロールのエキソソームのターゲティングのウエスタンブロット分析:
抗CDTM血清での、31kDaへ移動しているバンドは野生型CD8α−CDTMコントロールのエキソソーム可溶化物中に存在し、一方これはネガティブコントロールによって遺伝子導入された細胞由来の可溶化物中には存在しなかった。このバンドは期待されるキメラタンパク質の特徴を示す。
抗CD8α血清では、ネガティブCD8αコントロール単独は、27kDa付近にCDTMが欠損したCD8αの発現およびエキソソームのターゲティングに一致するバンドを有した。上述と同様に、31kDaへ移動しているバンドは野生型CD8α−CDTMコントロ−ルのエキソソーム可溶化物中に存在する。31kDaおよび27kDaのバンド間の強度の相違から、CDTMと融合させる場合、CD8αはエキソソーム上で一層ターゲティングされることが示唆される。
・変異されたCD8α−CDTMのターゲティングにおけるウエスタンブロット分散分析:
抗CD8α血清で得られた結果のみ相互に同程度であった。抗CDTM血清で得られた結果を前述の結果を確認するためにのみ使用した。CDTMをコードする配列の変異に応じて、これらの結果はキメラタンパク質の発現およびエキソソームへのターゲティングにおける分散を示す。これは、タンパク質のエキソソームへのターゲティングを強固に阻害する変異に関して特に明らかである。当該突然変異体は、突然変異体KM8、KM13、DおよびKS8に関してであった。
これらの見解から、(KM8突然変異体の)モチーフPSAPおよび((突然変異体KM13およびDの)最後のモチーフYxxLにおける)モチーフDYは、エキソソームのターゲティングに重要であると結論付けることができる。
b)エキソソーム上のキメラタンパク質のFACSによる定量化:
キメラタンパク質の存在はまた、蛍光モノクローナル抗CD8抗体を使用して細胞蛍光測定法分析(FACscan)によって調べた。
ラテックスビーズ(IDC(Interfacial Dynamics Corporation)超清浄アルデヒド/硫酸ラテックスビーズ)上でエキソソームを固定した後、、エキソソームの表面上に存在するキメラタンパク質をフルオレセイン(Pharmingen製の53−6.7抗体)と結合したモノクローナルマウス抗CD8α抗体でタグ付与し、細胞蛍光測定法で分析した(FACScan)。
得られた結果は突然変異体KM8、KM13およびDに関して特に明らかであり、エキソソーム上でのキメラタンパク質のターゲティングにおいて変異されたアミノ酸が重要であることは明らかである(図26および27を参照のこと)。これらの結果から、ウエスタンブロットの結果によって既に明らかである、タンパク質をエキソソームへターゲティングすることにおけるモチーフPSAP、(モチーフDYxxL中の)DおよびYの影響が追認される。
結果:
本実験において、変異型またはマウスCD8αと結合した野生型CDTMの試験ペプチドを発現するためにキメラ遺伝子を構築した。アミノ酸または注目のCDTMのモチーフのこれらの変異はエキソソームへのターゲティングで重要であるアミノ酸およびコンセンサスモチーフを特定することを目的としたものであった。
様々なキメラ遺伝子のキメラタンパク質の発現を得るために、HEK293T真核細胞に形質導入するために、レトロウイルスの発現ベクターの中にこれらの遺伝子を取り込ませた。ウエスタンブロットで観察されたバンドから、天然のCD8αタンパク質のように、これらのタンパク質はゴルジ体を介するこれらの経路中で別々にグリコシル化されることが示唆される。正確にグリコシル化されたタンパク質のみがエキソソームで発見された。これらのタンパク質は、適当な翻訳後の修飾、ワクチン免疫の後の産生または処置用分子のスクリーニングに不可欠な立体構造エピトープの発現に必須の条件を受ける。しかしながら、多かれ少なかれ存在するこれらのグリコシル化は、比較タンパク質の定量化の間に妨害となった複数の散在するバンドを生じる。この課題を克服するために、ゲル上でシグナルバンドを観察するために可溶化物をエンドグリコシラーゼで処理しなければならなかった。
この結果によると、モチーフPSAPおよび(最後のYxxL由来の)DYは、キメラタンパク質の発現およびエキソソームへのターゲティングに必須である。これらの結果は、根本的な面および産業上の利用の面両方において新規でありそして興味深いものである。
PSAPモチーフはESCRT複合体のTsg101タンパク質との相互作用に関与するかもしれない。モチーフDYxxLに関しては、ESCRT複合体のALIXタンパク質との相互作用に関係するかもしれない。従って、初めて、実験データから、ESCRT複合体がエキソソームの形成に関与することが示唆される。
実施例3:膜貫通型ドメインを有する受容体のエキソソームへのターゲティング
膜受容体は、処置用分子の開発のための主な対象である。一般的に、薬剤の高処理スクリーニングは、特に培養下で細胞上に発現された複数の膜ドメインを有する受容体で実施される。細胞表面上での受容体の強い発現を得ることが困難であることに加え、この技術はロボットによるオートメーションに困難をもたらす。しかしながら、精製される遺伝子組換え受容体の使用は現在技術上想定できないので、現在これは唯一の解決策である。
この文脈中で、受容体、特に複数のドメインを有する受容体を運搬するエキソソームは、安定性および操作の容易性のため使用が簡単でスクリーニングに適当であるツールを構成するかもしれない。
本実験は、1つのまたは複数の膜貫通型ドメインを有する受容体、特に受容体CxCR4(ケモカインSDS−1(CXCL−12)およびHIVに関する受容体)並びにCD4受容体(HIV受容体)を輸送するエキソソームを産生することを目的とした。
3つのキメラ遺伝子を合成した。これらは、3’末端で、配列番号8のCDTM−BLVペプチドを、そして5’末端で、CxCR4ヒト受容体、307のアミノ酸(CxCR4(307))を含んでなるC末端部で切断されたCxCR4受容体のバージョン、あるいは403アミノ酸(CD4(403))を含んでなるC末端部で切断されたCD4受容体バージョンをコードするDNAを含む。
CD4およびCxCR4受容体は、それぞれ1回および7回膜貫通型ドメインを含んでなる。
3つのキメラ遺伝子をレトロウイルスの発現ベクターpLPCX中にクローン化した。これらの細胞での様々なキメラタンパク質の発現並びにエキソソームへのこれらの局在化を観察するために、これらの様々なプラスミドをHEK293Tヒト真核細胞に導入した。
使用したクローニングおよびサブクローニングストラテジーは、実施例2に記載のものと同様であった:
受容体CxCR4、CxCR4(307)およびCD4(403)をコードするDNA並びに試験ペプチドCDTMをコードするものを、増幅させた断片の各末端で取り込まれる制限酵素部位のための配列を含んでなるプライマーを使用してPCRにより増幅させた(断片CxCR4、CxCR4(307)およびCD4(403)は、EcoRIサイト付近の5’末端およびXbaIサイト付近の3’末端に隣接され、そしてCDTM/BLVは、XbaIサイト付近の5’末端およびNotI付近の3’末端で隣接されるであろう)。
生成された挿入断片は、TOPO増幅ベクターの中にクローン化した(図20を参照のこと)。次に得られたプラスミドを制限酵素によって消化し1.5%のアガロ−スゲル上で分析し、次にこれらの配列の完全性を確認するために配列決定した。
続いて、CDTM/BLV挿入断片をXbaI/NotIカップルを使用して酵素消化によりTOPOベクターから切除し、pKS2増幅ベクターの中にサブクローン化した(図21を参照のこと)。そして、断片CxCR4、CxCR4(307)およびCD4(403)を増幅ベクターpKS2の中にサブクローン化できるように、遺伝子組換えpKS2ベクター並びに挿入断片CxCR4、CxCR4(307)およびCD4(403)を含む遺伝子組換えTOPOベクターを制限酵素EcoRIおよびXbaIで消化したが、当該断片はCDTMペプチドをコードする配列の5’末端に置かれていた。
従って、得られる様々なコンストラクトを、EcoRI/NotI酵素ペアを使用した消化により遺伝子組換えpKS2プラスミドから切除し、次にレトロウイルスの発現ベクターpLPCXの中にサブクローン化した(図22を参照のこと)。得られたベクター(図28を参照のこと)がEcoRI/XbaI酵素ペアを使用した酵素消化によって確認された。
キメラタンパク質CxCR4/CDTM、CxCR4(307)/CDTMおよびCD4(403)/CDTMを発現するために、様々なpLPCXプラスミドをHEK293Tヒト真核細胞の中に導入した。
総細胞タンパク質(100μg)および形質導入した細胞の各バッチによって生成されたエキソソームの懸濁タンパク質の抽出物にβ−メルカプトエタノールの存在または非存在下でSDS−PAGE(10%)泳動を実施した。抗ウサギCDTM一次血清およびペルオキシダーゼと結合させた抗ウサギIgG二次抗体を使用してウエスタンブロットにより、目的のタンパク質を明らかにした。抗体をECL溶液を使用して暗室で明らかにした。最終的に、各サンプルのタンパク質フィンガープリントをクマシーブルーでの染色により明らかにした。
結果を図29〜31に表わす。
キメラCxCR4/CDTM、CxCR4(307)/CDTMおよびCD4(403)/CDTMが細胞タンパク質抽出物中で発現されたことは注目すべきである(図29を参照のこと)。
複数のバンド:36、42、62および87kDaはキメラCxCR4/CDTMを特徴付ける。野生型CxCR4受容体の発現は、特にHEK293T細胞で、複数のアイソフォームによって特徴付けられる;34、40、47、62、73および80kDaのバンドを認識することができる(Sloane JA, et al.)。HEK293T中のCxCR4/CDTMキメラの大きなサイズのバンドは、CxCR4/CDTMキメラ中の試験ペプチド(CDTMドメイン)の存在に起因する。同様に、30、42、60および83kDaバンドは、CxCR4(307)/CDTMキメラの存在を明らかにした。このキメラの様々なアイソフォームを表わしているバンドのサイズにおけるバリエーションは、CxCR4受容体が切断されるという事実によって説明される。CD4(403)/CDTMキメラは明確に視覚化される53kDaバンドによって特徴付けられる。
さらに、これらのキメラは全てエキソソームへ局在化され、(CxCR4/CDTMに関して)36、42、62および87kDaバンド;(CxCR4(307)/CDTMに関して)30、38、48および83kDaバンド並びに(CD4(403)/CDTMに関して)53kDaバンドの存在(図30を参照のこと)によって示される。
様々なタンパク質フィンガープリントをクマシーブルーで明らかにすることにより、これらの実験の間に使用したエキソソーム由来のタンパク質の総量(図31B)が、細胞由来のタンパク質の総量(図31A)よりはるかに少量であることが示され、一方ウエスタンブロットシグナルは等価である。コントロール細胞可溶化物中に存在する全タンパク質はエキソソームへ局在化されないと見なすことができる。CxCR4/CDTMおよびCD4(403)/CDTMキメラは、エキソソームへ非常に強く向けられる。一方で、CD4(403)/CDTMキメラは、ほぼ完全にエキソソームへ局在化される。
結果
HEK293T細胞の様々なpLPCXプラスミドでの形質導入は、キメラCxCR4/CDTMBLV、CxCR4(403)/CDTMBLVおよびCD4(403)/CDTMBLVを発現するために使用されてきた。ウエスタンブロット分析により、細胞可溶化物中のこれらの存在が示されてきた。
予想通りに、プラスミドpLPCX CxCR4/CDTMBLVおよびpLPCX CxCR4(307)/CDTMBLVで形質導入したHEK293T細胞で、キメラCxCR4/CDTMBLVおよびCxCR4(307)/CDTMBLVの複数のアイソフォームが発現される。キメラCxCR4/CDTMBLVおよびCxCR4(307)/CDTMBLVは、エキソソームへ効率的に局在化され、これらの融合タンパク質は細胞およびエキソソーム間で同等に分配されるようだ。
さらに、キメラCD4(403)/CDTMBLVの存在が、プラスミドpLPCX CD4(403)/CDTMBLVで形質導入されたHEK293T細胞において観察される。試験ペプチドCDTMBLVは、キメラCD4(403)/CDTMBLVのエキソソームへの主な局在化を助長するように見える。
上述の結果は、試験ペプチドCDTMBLVが単一のまたは複数の膜貫通型ドメインを有するタンパク質をエキソソームへ同等に局在化することができることを示す。
これらの受容体は原形質膜の中に取り込まれず、そして天然の構造を保持しないので、溶液中でこれらに作用することが非常に困難であることが分かっている。これらのタンパク質に実施した現在の実験は、目的の受容体を発現している安定的な細胞株を使用してしばしばなされる。しかしながら、不適な扱いをした場合に常に死滅するかもしれないこれらの株の入手、培養および維持の時間およびコストの観点からこれは制限される。この理由のため、エキソソームは生存しておらずこれらの研究に関してエキソソームが不都合なく細胞のあらゆる利点を有するので、複数の膜貫通型ドメインを有する受容体を輸送しているエキソソームの使用の事実は興味深い解決策を表わす。
エキソソームの膜の中に取り込まれる遺伝子組換えタンパク質、特に複数の膜貫通型ドメインを含んでなるタンパク質を有するエキソソームを、ワクチン上およびスクリーニングツールとして使用することができる。
実施例4
我々は、ペプチドの欠失とシステインのアラニンでの置換によって変異させたBLVのTMタンパク質のC末端部の断片がそれと融合した目的のペプチドまたはポリペプチドのエキソソームへの高いターゲティング特性を示すことを発見した。このエキソソームターゲティング特性にかかわるアミノ酸の分析で、このペプチドがESCRTの出芽機構のタンパク質と相互作用することを明らかにした。この機構が、膜貫通タンパク質(例えば、受容体)と相互作用し、さらに細胞質性を維持したままそれらが結合する膜と相互作用する細胞質タンパク質(Hrs、例えばウイルスカプシド)とも相互作用することが知られている。よって、我々は、2つの特性、1つが膜の内表面への結合、そしてもう1つがエキソソームターゲティング、が付加された細胞質性キメラまたは核タンパク質がエキソソームへと振り分けられるかどうか知りたかった。このために、我々は、この仮説(Covalys、NEB)を実証するために核酸代謝にかかわる細胞の内部タンパク質、すなわちSNAPタンパク質を使用した。
SNAPタンパク質は、酵素O6−アルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ(hAGT)の突然変異体に関してNEB(New England Biochemical, Ipswich, MA, USA)の商品名で使用されている。それは、(DNAの修復における)ヌクレオチド合成経路に関与する。我々は、SrcとCDTM断片の間に融合したDNA断片のPCR増幅のためのマトリックスDNAとしてNEB製のプラスミドpSNAPmからのDNAを使用した。SNAPタンパク質は、複数の基質と結合することができる(Keppler et al, 2002; Keppler et al, 2004)。
細胞膜との相互作用の特性は、多くの細胞タンパク質、特にシグナル伝達にかかわるタンパク質において共通である。これらのタンパク質は、それらが翻訳後に、さらに膜(例えば、コリン)の特定の脂肪酸の極性ヘッド(polar heads)と相互作用する塩基性アミノ酸の存在によっても入手する脂肪酸を介して膜と相互作用する。これらの脂肪酸は、通常ミリスチン酸、パルミチン酸またはゲラニル−ゲラニルである。
これらのタンパク質の試作品は、2位にミルスチル化可能なグリシンを持っていて、かつ、多くのN末端リジンおよびアルギニンを持つ癌遺伝子c−Srcである。それが細胞質タンパク質に融合されるとき、このN末端断片が細胞膜の内表面に結合する特性をそれに提供することが知られている。膜内に結合する他の多くのタンパク質断片(特に細胞またはウイルスタンパク質)が、これらの断片が細胞質タンパク質に融合された場合に、c−SrcのN末端断片のものと同様に作用できた。融合断片の局在性は、膜固定特性を保存しなければならない。加えて、膜内標的ペプチドにとって融合タンパク質のN末端部に局所化されるのが望まれ得る(しかし必ずしも義務的ではない)。例として、c−Srcのミリスチル化は、2位のグリシンに対してだけ起こる。他のアシル化について、例えばパルミチル化について、置換アミノ酸の位置は、一般にタンパク質配列のさらに内側に存在する。
本発明のキメラポリペプチドで使用されたエキソソームターゲティングのためのCDTM配列は、異なっていてもよいが(例えば、先の実施例のCDTM配列の多くの突然変異体を参照のこと)、それは完全に効果的であるように少なくとも配列PSAP(またはPTAP)およびYxxLを含まなければならない。本発明のキメラポリペプチド内のこのCDドメインの局在性は、エキソソームへのターゲティング特性に重要であるように思えない。しかしながら、本発明のキメラポリペプチド内の当該CDドメインの最適局在はC末端の位置である。
本発明のキメラポリペプチドでは、エキソソームターゲティングが得られるようにこれらの2つのペプチド(CDドメイン変異誘導体と膜内標的ドメイン)が付加される目的のペプチドまたはポリペプチドは、異なった性質を有していてもよい:
例えば、それは以下に記載したポリペプチドSNCとDSCのようにSNAPタンパク質であってもよい。この場合、フルオロフォアもしくはビオチンまたはその他の分子をエキソソームの特定の部位、例えばGタンパク質と呼ばれるタンパク質に導入するために、(例えば、Keppler et al, 2002およびKeppler et al, 2004によって記載されているように)このSNAPタンパク質の特性を使用することが可能である。
あるいは、本発明のキメラポリペプチドの目的のペプチドまたはポリペプチドはまた、特定の酵素であってもよい。よって、エキソソームは、細胞(特にヒトまたはヒト以外の宿主の細胞)に、またはこの酵素活性が失われた臓器にこの酵素(特に細胞質酵素)を提供するビヒクルとしても使用できる。これは、代謝的または機能的な欠損による障害を患っている患者を治療するのに特に使用できる。
あるいは、本発明のキメラポリペプチドの目的のペプチドまたはポリペプチドは、(病原性、腫瘍またはその他の)抗原であってもよい。よって、それを含むエキソソームは、この抗原に対して免疫反応をうながすことができ、エキソソームが免疫応答細胞(特に樹状細胞)によって捕捉されることが知られているので、特に有効であるだろう。
あるいは、本発明のキメラポリペプチドの目的のペプチドまたはポリペプチドは、核配列(例えばDNA)に特異的に結合するタンパク質であってもよい。次いで、本発明のエキソソームはPCRで容易に検出可能な核酸を結合することができ、そして例えば、診断が行われるのを可能にする。RNAへのタンパク質の特異的結合のための技術に関する例は、Bertrand et al.(1998)による文献の中に与えられている。Bertrandらによって説明された技術は、一本鎖RNA MS2ファージ(Fouts et al, 1997)およびがこのタンパク質で認識される19ヌクレオチド配列の多くのコピーを含有しているRNAのカプシドタンパク質の使用に基づいている。
I.キメラ遺伝子の合成
我々は、エキソソームへのターゲティングのための機構を有するBLV(ウシ白血病ウイルス)のTMタンパク質由来のペプチドCDTM15の相互作用についての我々の発見した特性と、c−Srcタンパク質のN末端断片の膜内ターゲティング特性を組み合わせたかった。よって、我々は、この機構のタンパク質とCDTMとの相互作用を我々が容易にするであろうと確信した。我々の試作品は、レポータータンパク質、SNAPタンパク質(CovalysおよびNEB)を組み込んだ。このタンパク質は、その他の目的のタンパク質で置き換えることができた。このために、我々はキメラタンパク質SSC(Src−SNAP−CDTMに関する;配列番号123;124)をコードするキメラ遺伝子Src−SNAP−CDTM(配列番号121;122)を作成した。
SSCタンパク質をコードするキメラ遺伝子の合成を、多くのステップで実行した。まず第一に、タンパク質c−SrcのN末端部をコードする合成75nt DNAを得た。次に、我々は3つのDNA断片の別々の増幅を行った:a)酵素部位EcoR1上流とNheI下流に接する合成DNA;b)部位NheI上流とSbfIおよびAscI下流に接するSNAPタンパク質をコードするDNA(NEB);c)部位SbfIおよびAscI上流とNot1下流に接するCDTM断片をコードするDNA。最終的に、増幅を、重なるその配列をマトリックスDNAとして3つの先のDNA断片を使用して同時におこない;この後者の増幅は、DNAがSrc−SNAP−CDTMの順で3つの断片が一緒に接続されて産生されるのを可能にした。
1)合成DNAの調製
以下の5オリゴヌクレオチドをMWGによって合成した:
S1(5’GCCACCATGGGCAGCAGCAAGAGCAAGCCCAAGGAC3’)(配列番号108)、
S2(5’P−CCCAGCCAGCGCCGCCGCAAGTCTAGAGGCCCGGGAGGC3’)(配列番号109)、
AS1(5’GCCTCCCGGGCCTCTAGACTTG3’)(配列番号110)、
AS2(5’P−CGGCGGCGCTGGCTGGGGTCCTTGGGCTTGCTCTT3’)(配列番号111)、
AS3(5’P−GCTGCTGCCCATGGTGGC3’)(配列番号112)。
DNA合成:20μLのそれぞれのオリゴを、等モル量で混合する(100μMのS1、S2、AS1、AS2、およびAS3)。PCR装置で1回の単一サイクルをおこなう:95℃、2分、続いてベンチの温度を25℃に下げる。11μLの10X連結反応バッファー(NEB)を加えた。9μLの10X連結反応バッファー、81μLのH2Oおよび1μLのT4 DNAリガーゼ(NEB)を、10μLの混合ハイブリダイズオリゴに加える。連結反応を22℃にて10分間おこなった。
その後、合成DNAを、酵素の供給業者によって設定された条件下、10ngのマトリックスDNA、プライマーS1およびAS1、4dNTP、1Xバッファー、および2.5UのPfu Turbo DNAポリメラーゼ(Stratagene)を含む混合物中でPCRによって増幅する。95℃にて2分の変性後に、25増幅サイクル(95℃30秒、67℃30秒、72℃5秒)をおこなった。
2)PCRによる増幅、個々のものは、それらの端部に制限エンドヌクレアーゼ部位を持つ共通配列をグラフトするために、Src−SNAP−CD(商標)遺伝子を構成する3つのDNA断片の各々から成る。(膜内標的ドメインまたはドメイン(ii)をコードする)Src断片のヌクレオチド配列は、配列番号120である。CDTM断片(CDドメインまたはドメイン(iii)をコードする)のヌクレオチド配列は、配列番号120である。
3つの増幅を、使用したPhusion DNA ポリメラーゼの供給業者であるFinnzymeの推薦する条件下で、それに従いおこなう。
a)Src断片の増幅と制限部位の付加を、上述のとおり得られた合成DNAと以下のプライマーを使用することでおこなう:
R1Src(GAATTCGCCACCATGGGCAGCAGCAAGAGCAAG)(配列番号113)とSrcNhe1(CATGCTAGCGCTGCCTCCCGGGCCTCTAGACTTTC)(配列番号114)。
b)SNAP断片の増幅と制限部位の付加を、プラスミドpSNAP(NEB)からのDNAと以下のプライマーを使用することでおこなう:
NheSNAP(GGAGGCAGCGCTAGCATGGACAAAGACTGCGAAATGA)(配列番号115)、および
SNAPSbfAsc(GCGCGCCGCTTCCTGCAGGACCCAGCCCAGGCTTG)(配列番号116)。
c)DCTM断片の増幅と制限部位の付加を、C末端のシステインがアラニンに変異したBLVのTMのC末端部をコードするDNAを使用することでおこなう:それを以下のプライマーを使用することでおこなう:
SbfAscDCTM15(CCTGCAGGAAGCGGCGCGCCCCACTTCCCTGAAATC)(配列番号117)、および
DCTM15Not(GCGGCCGCTTCGAACTCGGTGCTGGCAGCAAGA)(配列番号118)。
3)DNA Src−SNAP−DCTMを得るための増幅
先の3つのDNA断片をゲル上で精製する。マトリックスとしてのこれらの3つのDNAの混合物の増幅を、使用したPhusion DNA ポリメラーゼの供給業者であるFinnzymeの推薦する条件下で、それを使用して、プライマーR1SrcとDCTM15Not(前記を参照のこと)の存在下でおこなう。得られたDNAを、前述の3つのDNA一緒に融合する。
II.クローニング・ベクターPCR(登録商標)BLUNTII−TOPO(登録商標)内へのクローニング
1)クローニング・ベクターPCR(登録商標)BluntII−TOPO(登録商標)へのPCR産物の連結反応
連結反応を、その端部にトポイソメラーゼI酵素を持っている線状化プラスミドベクターを用いて実行し(図6を参照のこと)、それによりリガーゼの関与なしに統合される挿入を可能にする。加えて、このベクターはその端部のいずれかに平滑末端があるので、挿入物には、連結できるように平滑末端がなければならない。形質転換体を選択するために、プラスミドには、カナマイシンに対する抗生物質抵抗性遺伝子がある。
以下のものを氷中で混合する:0.3μLのPCR産物、0.25μLの塩類溶液、0.7μLの滅菌水、および0.25μLのTOPO Bluntクローニングキット(Invitrogen)からのTOPOベクター、すなわち、終濃度1.5μL。それを、周囲温度にて5〜30分間インキュベートする。
2)TOP10ケモコンピテント細菌
TOP10ケモコンピテント細菌(10μL)を、TOPO/挿入物連結混合物の全体によって形質転換する。陽性形質転換対照(1ngのPUC19:アンピシリン耐性遺伝子を持つプラスミド)と陰性対照(挿入物を含まないTOPOプラスミド)があった。氷中での30分間のインキュベーション後に、熱ショックを42℃にて30秒間、混合物に適用する。そしてすぐに、氷中にチューブを戻す。次に、250μLのSOC培地(バクトトリプトン2%、バクト酵母抽出物0.5%、NaCl 0.05%、およびグルコース0.2%)を加え、それと慎重に均質化し、そして表現型発現までの時間、水浴中で37℃にて1時間インキュベートする。最終的に、150μLの懸濁液を、50μg/mLのカナマイシンを加えたLB(Luria Broth)/アガーの入ったディッシュ内に播種し、そして37℃にて24時間インキュベートする。ディッシュ内で、カナマイシン耐性遺伝子を取得した、よって目的の遺伝子を含むとは限らないが、クローニング・ベクターを持つコロニーが出現した。クローンを再び広げ、37℃にて24時間インキュベートした2番目のゲロースディッシュ上でカウントし、そして再播種したクローンの10mL(LB+100μMのカナマイシン)の液体培養を振盪しながら37℃にて16時間生じさせた。
3)DNA プラスミドミニ調製
細菌培養物を、3500rpm、4℃にて15分間遠心分離する。ペレットを250μLのA1再懸濁バッファー中に溶かす(plasmid DNA Purification Nucleospinキット(Macherey-Nagel))。細菌を、250μLのA2溶解バッファーを用いて周囲温度にて5分間溶解する。次に、300μLのA3中和バッファーを加え、そして拡散ペレットの製造を予防するために、転倒撹拌によって十分に混合することが重要である。チューブを11000rpm、4℃にて10分間遠心分離する。上清を、収集チューブ上に置いたカラムに通す;それを11000rpmにて1分間遠心分離する。500μLのA4洗浄バッファーで洗浄した後に、カラムを11000rpmにて2分間乾燥させる。50μLの溶出バッファーを通し、そして溶出液をエッペンドルフチューブで回収する。得られたDNAを、260nmの分光測光によってアッセイする。
4)酵素分解(EcoRI)とシークエンシング
得られたプラスミドDNAが、実際は再結合されているかどうか確かめるために、そのプラスミドを特異的な制限酵素(Biolabs(登録商標))、EcoRIで消化する(EcoRIは挿入部位を囲んでいる)。約200ngのそれぞれのプラスミドを、4単位の酵素によって消化する。1μLのNEB1 10Xバッファーと滅菌水をこれに加え、10μLの終量を得た。消化を37℃にて1時間おこなう。2%のアガロースゲル上で良好なクローンを特定した後に、1.5μgのプラスミドDNAを、シークエンシングのためにEurofins MWG Operonに送る。これが、加えた制限部位が、突然変異と同様に実際に存在しているかどうかチェックすることによって、それぞれの配列の完全性の確認を可能にする。いくつかのクローンを得、それらのプラスミドDNAを分析し、そして配列決定した。2つのプラスミドを保有する:第1のSrc−SNAP−CDTMは、予想されたキメラ遺伝子を表し;第2のD−SNAP−CDTMは、最後のPCR中に生じなければならなかったSrc断片の一部に欠失がある配列に相当する。D−SNAP−CDTMDNAによってコードされたタンパク質もまた、ミルスチル化可能な位置にグリシンを含んでいるが、膜内固定特性を補強する塩基性アミノ酸の一部を消失している。
III.発現ベクターPCDNA3.1内へのクローニング
1)発現ベクターの調製
ベクターpCDNA3.1を、制限酵素EcoR1とNotIによって消化し、次に脱リン酸し、そしてフェノール/クロロホルムで抽出する。
イソプロパノールを用いた沈殿で、消化中に放出された、そしてプラスミドと再連結されるかもしれない、短鎖DNA断片(EcoR1とNotIの間に位置する100bp未満)を排除することを可能にした。0.15倍量の3M酢酸ナトリウムと0.6倍量の冷イソプロパノールを加える。それを4℃にて30分間インキュベートし、次に4℃、15000rpmにて15分間遠心分離する。ペレットを、500μLの70%エタノールで洗浄し、15000rpmで10分間、再び遠心分離する。ペレットを、15分間、真空乾燥し、50μLのTE中に溶かす。
2)挿入物の調製
連続したEcoR1−NotI消化:挿入物Src−SNAP−CDTMとD−SNAP−CDTMを含む2μgのpTopo DNAプラスミドを、挿入物を取り囲む2つの制限酵素、すなわちEcoR1とNotIで連続して消化する。65℃にて20分間の酵素の不活性化後に、DNAをエタノールで沈殿させ、そして20μLのTE中に再懸濁する。そして、それを−20℃にて保存した。
低融解アガロースゲル(EUROBIO(登録商標))内の挿入物の精製:
挿入物断片を、2%の低融解アガロースゲル上で抽出し、そしてNucleospinキットを使用してカラム精製した(Nucleospin Extract IIR Kit、MACHEREY-NAGEL)。終量は50μLである。
3)連結反応
35ngの脱リン酸ベクターを、チューブ内、約3/1(分子対分子)の挿入/ベクター比で挿入物と混ぜる。以下のものを加える:1μLの10Xリガーゼバッファー、滅菌水(qsp 10μL)、および1UのT4 DNAリガーゼ(Biolabs(登録商標))。陰性対照を、同量のTE1Xで挿入物の体積を置き換えることによって作り出した。混合物を、周囲温度にて一晩インキュベートする。
4)DH5α細菌の形質転換
この形質転換は熱ショックに基づく。200μLのDH5α細菌を連結反応生成物に加える;氷中で30分間;42℃にて2分間;氷中で5分間;800μLのLB培地の添加;振盪しながら37℃にて1時間のインキュベーション;LB/アガー/アンピシリン・ディッシュ(50μg/mL)上に100μLを播種、そしてオーブン内、37℃にて16時間インキュベーション。
5)挿入物の存在の検定とアガロースゲル上での目視
EcoR1−NotI消化によるMidipreparationsと検定を、トランスフェクションとタンパク質発現ステップのために、良好なクローンを選択し、そしてプラスミドDNAのストックを準備するためにおこなう。
IV.キメラタンパク質の発現とエキソソームへの標的化
1)細胞培養
HEK 293T真核細胞(ヒト胚腎臓)を、フラスコ内で10%の胎児子ウシ血清(FCS)と20μg/mLの濃度のゲンタマイシンを含むDMEM培地(ダルベッコ変法イーグル培地)中、5%のCO2、37℃にて培養する。
2)トランスフェクション
抗生物質を含まないDMEM+4mLの10%FCS中に1ウェルあたり0.5×106個のHEK 293T細胞を、6ウェルプレート内に播種する。5%のCO2中で37℃にて24時間の培養後に、細胞を90%コンフルエントにし、そして500μLの培地中、1μgの目的のプラスミドと2μLのJetPEI(PolyPlus(登録商標))の間に形成された複合体によって形質移入する;DNAはエンドサイトーシスによって取り込まれる。6時間のインキュベーション後に、培地を血清中に含まれるエキソソームを含んでいないFCSによる10%のDMEMによって置き換える(42000rpmにて18時間の超遠心分離によって取り除いた(Ti45ローター、Beckman))。形質移入の48時間後に、上清を取り出して生じたエキソソームを回収し、そして細胞タンパク質を得るために細胞を溶解する。
3)エキソソームの調製
細胞培地を回収すると、それを1400rpmにて10分間遠心分離して、培地から細胞を取り除く。細胞残屑を排除するために、上清を4℃にて10000rpmで10分間遠心分離する。上清を回収し、20%のショ糖を含むTNEのクッションをチューブの底に注ぎ入れ、そしてTi50ローターにより(Beckman)42000rpm、4℃にて2時間、超遠心分離した。そして、純粋なエキソソームのペレットを100μLのPBS中に溶かす。
4)タンパク質の抽出
細胞を4℃にてPBSで洗浄し、次にRIPAバッファー(TNE 1X、NP40 0.5%、アプロチニン 20μg/mL、ロイペプチン 20μm、無菌のH2O、フェニルメチルスルホニルフルオライド 0.2mM)で溶解する。溶解物を14,000rpm、4℃にて20分間遠心分離し、そして上清を回収する。
細胞抽出物およびエキソソームのタンパク質を、NanoDrop分光光度計およびBSA較正シリーズ(0−200μg/mL)を用いてブラッドフォードの方法を使用することで定量する。
5)SDS−PAGE電気泳動とウエスタンブロット法:
サンプル(細胞タンパク質抽出物20μgとエキソソーム溶解物2μg)を10%のポリアクリルアミドゲル上で60mAにて1時間半分離し、次に、メタノール浴で活性化し、水そしてTBST(Tris塩基 20mM pH7.4;NaCl 0.15M;Tween 0.5%)ですすいだPVDF膜(重合ビニリデンジフルオライド、Immobilon-P、Millipore)上に冷凍室内、50mAにて一晩、移し取った。そして、その膜をTBST中、5%の粉ミルクで1時間、飽和させる。次に、それを一次抗体:研究室で準備した抗ウサギCDTM血清、と一緒に4℃にて一晩インキュベートする。次に、TBSTでそれぞれ5分、3回洗浄し、次に二次抗体であるペルオキシダーゼ(Jackson ImmunoResearch)と結合させた抗ウサギIgGと一緒に膜を1時間インキュベートする。それをTBST中で再び洗浄し、次に、ECL(高化学発光、Amersham)の溶液中に浸漬したワットマン紙上に乗せる。Lumi-imager F1カメラ(Roche(登録商標))で像を明らかにする。
図34で分かるように、DSCタンパク質(トラック2と5)およびSSC CDTMタンパク質(トラック3と6)は、約30kDAを形成し、そして細胞で発現される(図34Bを参照のこと)。この2つのタンパク質、DSCとSSCは、エキソソームに標的化されている(図34Aを参照のこと)。エキソソームに分泌されたタンパク質/細胞内で産生されるタンパク質の間の比の検証は、エキソソームにおけるタンパク質SSCのターゲティングがタンパク質DSCのそれよりも効果的であることを示唆している。
引用文献
Figure 2013505713
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Claims (39)

  1. 適当な真核細胞中で発現されるときに、膜小胞、特にエキソソームに結合して分泌され得るキメラポリペプチドであって、以下のドメイン:
    (i)目的のペプチドまたはポリペプチド;
    (ii)膜内標的ドメインであって、前記膜内標的ドメインと細胞膜もしくは小胞膜との間の固定のための、および/または相互作用のための、1もしくは2以上の分子を介して、本発明のキメラポリペプチドが前記細胞膜もしくは小胞膜に固定されることを可能とする、前記膜内標的ドメイン;並びに
    (iii)真核細胞において前記キメラポリペプチドを膜小胞、特にエキソソーム形成小胞へ、および/または前記膜小胞の形成に関与する1または2以上の細胞区画へ差し向けることができる膜タンパク質の細胞質ドメイン(CD)、或いは、前記CDドメインの変異誘導体であって、基準CDドメインの配列の1または2以上の残基の置換、欠失および/または挿入によって規定され、そして前記CDドメインの前記差し向け能力を保存している前記変異誘導体、ここで前記CDドメインまたはその変異誘導体は、少なくとも1つのモチーフYxxLまたはDxxL、およびモチーフPxxPを含み、ここでxは任意の残基を表わし、そしてY、L、D、およびPはそれぞれチロシン、ロイシン、アスパラギン酸、およびプロリン残基を表わす;
    を含んでなるか、またはこれらから成ることを特徴とし;そして、
    前記キメラポリペプチド内に存在するドメイン、特にドメイン(i)、(ii)、および(iii)は細胞質ドメインまたは核ドメインであり、かつ、前記キメラポリペプチドは小胞体内への取り込まれるためのシグナルペプチドを欠損していると理解される、前記キメラポリペプチド。
  2. 前記膜内標的ドメインが、表在性膜タンパク質のものであるか、あるいは、前記膜内標的ドメインの変異誘導体であって、基準膜内標的ドメインの配列の中の1もしくは2以上の残基の置換、欠失、および/または挿入によって規定され、かつ、小胞膜または細胞膜の脂質二重層に固定されるこのドメインの能力が保存されている前記変異誘導体である、請求項1に記載のキメラポリペプチド。
  3. 前記ドメイン(i)〜(iii)が、ポリペプチドのN末端部からC末端部に向かって、以下の:(ii)−(i)−(iii)、または(ii)−(iii)−(i)、または(i)のN末端領域−(ii)もしくは(iii)−(iii)もしくは(ii)−(i)のC末端領域の順で連続して配置されている、請求項1または2に記載のキメラポリペプチド。
  4. 前記モチーフPXXPが、モチーフPSAP(配列番号88)またはPTAP(配列番号89)である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
  5. 前記CDドメインが、2つまたは3つのモチーフYxxL(xは任意の残基を表す)を含んでなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
  6. 前記CDドメインまたはCDドメインの変異誘導体が、以下の:
    ・YINL、YSHLおよびDYINLから選択されるモチーフYxxLまたはDYxxLの少なくとも1つ;および/または
    ・PSAPまたはPTAPから選択されるモチーフPxxPの少なくとも1つ、
    を含んでなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
  7. 前記膜内標的ドメインは、それとの相互作用によって脂質膜に固定されることを可能にする配列、特にコンセンサス、例えば配列FYVE、および/または、脂質、特に脂肪酸、より具体的にはミリスチン酸、パルミチン酸、ゲラニル−ゲラニルまたはファルネシルを介して脂質膜に固定されることを可能にする配列、特にコンセンサス、を含んでなるか、またはこれらから成る、請求項1〜6のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
  8. ミリスチン酸、パルミチン酸、またはゲラニル−ゲラニルが結合すること、特にミリスチン酸が結合することを可能にするコンセンサス配列が、以下の配列:M−G−X1−X2−X3−S/C(配列中、X1、X2、およびX3は独立して任意の残基を示し、そしてM、SおよびCはそれぞれメチオニン、セリンおよびシステインを示す)を含んでなるか、またはこれらから成る、請求項7に記載のキメラポリペプチド。
  9. 配列中:
    −X1がC、SおよびLから選択され;および/または
    −X2がS、I、V、MおよびLから選択され;および/または
    −X3がK、Q、H、F、CおよびSから選択される、
    請求項8に記載のキメラポリペプチド。
  10. 前記膜内標的ドメインが、複数の塩基性アミノ酸残基、特に残基K、RおよびHから選択される複数の残基、より好ましくは残基KおよびRから選択され、そしてより一層好ましくは残基Kを含んでなる、請求項1〜9のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
  11. 前記膜内標的ドメインが:
    ・Srcファミリーのタンパク質、特にタンパク質Src、Yes、Lyn、Fyn、Lck、Blk、Fgr、HckおよびYrkから選択されるタンパク質に由来するか;または
    ・Srcファミリーのタンパク質、特にタンパク質Src、Yes、Lyn、Fyn、Lck、Blk、Fgr、HckおよびYrkから選択されるタンパク質の膜内標的ドメインの変異誘導体であって、前記膜内標的ドメインの配列の中の1もしくは2以上の残基の置換、欠失、および/または挿入によって規定され、かつ、小胞膜または細胞膜の脂質二重層に固定されるこのドメインの能力が保存されている、前記変異誘導体
    である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
  12. 前記膜内標的ドメインが:
    ・以下の配列:M−G−x−x−K−S/C−K−x−KおよびM−G−x−x−K−S/C−K−x−K−x−x−x−x−R−R−R(配列中、xは任意の残基を示す)から選択される配列を含んでなるか、またはそれらから成るか;または
    ・この配列の変異誘導体であって、この配列の中の1もしくは2以上の残基の置換、欠失、および/または挿入によって規定され、かつ、小胞膜または細胞膜の脂質二重層に固定されるこのドメインの能力が保存されている前記変異誘導体から成るか;または
    ・以下の配列:M−G−S−S−K−S−K−P−K−D−P−S−Q−R−R−RまたはM−G−S−S−K−S−K−P−K−D−P−S−Q−R−R−R−K−S−R−G−P−G−Gを含んでなるか、またはそれらから成るか;または
    ・前記配列M−G−S−S−K−S−K−P−K−D−P−S−Q−R−R−RまたはM−G−S−S−K−S−K−P−K−D−P−S−Q−R−R−R−K−S−R−G−P−G−Gの変異誘導体であって、この配列の中の1もしくは2以上の残基の置換、欠失、および/または挿入によって規定され、かつ、小胞膜または細胞膜の脂質二重層に固定されるこのドメインの能力が保存されている前記変異誘導体から成る、請求項1〜11のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
  13. 2つの連続したドメインを連結する少なくとも1つのリンカーであって、例えば、ペプチドまたはポリペプチドである前記リンカーをさらに含んでなる、請求項1〜12のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
  14. 前記CDドメインまたはその変異誘導体が、配列KCLTSRLLKLLRQを欠損しているおよび/または配列PCPを欠損している、請求項1〜13のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
  15. 前記CDドメインの前記変異誘導体の配列が、連鎖KCLTSRLLKLLRQを欠損している元のCDドメインの配列と、少なくとも60または70%、特に少なくとも80%、90%、95%の類似性または同一性を有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
  16. 前記CDドメインまたはその変異誘導体の配列が、以下の配列:
    PxxPxxxxxxxxxxxxYxxL;
    PxxPxxxxxxxxxxxDYxxL;
    PxxPxxYxxxxxxxxxYxxL;
    PxxPxxYxxxxxxxxDYxxL;
    PxxPExYxxLxPxxPDYxxL;
    PxxPxnYxxL;
    PxxPxnDYxxL;
    PxxPxnYxnYxxL;
    PxxPxnYxnDYxxL;
    PxxPExnYxxLxnPxxPDYxxL;
    PxxPxxxxPxxPxxxYxxLxPxxPExYxxLxPxxPDYxxL;
    PxxPxnPxxPxnYxxLxnPxxPEXnYxxLxnPxxPDYxxL;
    PxxPxxxxPxxPxxxYxxLxPxxPExYxxLxPxxPDYxxLxxxx;および
    PxxPxnPxxPxnYxxLxnPxxPEXnYxxLxnPxxPDYxxLxxxx、
    (配列中、xおよびxnはそれぞれ任意の残基および任意の1または2以上の残基を表わし、そして配列中、モチーフPxxPのうちの少なくとも1つがモチーフPSAPまたはPTAPである)から選択される配列を含んでなるか、またはそれらから成る、請求項1〜15のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
  17. 前記ドメイン(iii)が、レトロウイルス、特にウシ白血病ウイルス(BLV)の膜貫通型タンパク質(TM)のCDドメイン、またはこのドメインの変異誘導体である、請求項1〜16のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
  18. 前記CDドメインが、BLVのTMタンパク質のCDドメインであって、配列番号6の配列を有する、請求項1〜17のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
  19. 前記目的のペプチドまたはポリペプチドが、以下の:
    ・細胞質タンパク質の1もしくは2以上のドメイン、またはこの(これら)ドメインの1もしくは2以上の断片;および/または
    ・核タンパク質の1もしくは2以上のドメイン、またはこの(これら)ドメインの1もしくは2以上の断片
    を含んでなるか、またはこれらから成る、請求項1〜18のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
  20. 前記目的のペプチドまたはポリペプチドが、病原体、病原性物質、抗腫瘍抗原、細胞質抗原、リガンド受容体、特に多数の膜ドメインを有する受容体、例えば、7回膜貫通型ドメインを持つ受容体、サイトカイン受容体またはその断片、毒素または毒素部分、特有の活性を有する化合物、例えば酵素、または例えば核酸に結合するポリペプチドに由来し、前記病原体が、例えば、ウイルス、細菌または寄生虫である、請求項1〜19のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
  21. 薬剤として使用される、特に細菌、ウイルス寄生虫の感染、あるいは腫瘍またはその他の病状、例えば、機能的または代謝的な欠陥の予防および/または処置のために薬剤として使用される、請求項1〜20のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
  22. 追加のキメラポリペプチドと組み合わせて使用されることを特徴とし、ここで前記追加のキメラポリペプチドは、適当な真核細胞中で発現されるときに、膜小胞、特にエキソソームと一緒になって分泌され得、かつ、前記追加のキメラポリペプチドが、以下のドメイン:
    ・目的のペプチドまたはポリペプチド;
    ・膜貫通型ドメイン;および
    ・膜タンパク質の細胞質ドメイン(CD)または前記CDドメインの変異誘導体、ここで前記CDドメインまたはその変異誘導体は、請求項1、4〜6、および14〜18のいずれか1項に記載のものである;
    を含んでなるか、またはこれらから成り、ここで前記追加のキメラポリペプチドのCDドメインまたは変異誘導体が、請求項1〜22のいずれか1項に記載のキメラポリペプチドのCDドメインまたはCDドメインの変異誘導体と同一であるか、または異なることを特徴とする、請求項21に記載のキメラポリペプチド。
  23. 追加のキメラポリペプチドにおいて、以下のドメインが、ポリペプチド内でN末端部からC末端部に向かって以下の順:目的のペプチドまたはポリペプチド−膜ドメイン−細胞質ドメイン(CD)または変異誘導体、で連続して配置されている、請求項21または22に記載のキメラポリペプチド。
  24. 免疫付与における使用のための、特にインビボで、宿主、特に哺乳動物のヒト、ヒト以外の哺乳動物または鳥類で、目的のペプチドまたはポリペプチドが由来する腫瘍、ウイルス、細菌または寄生虫に対する体液性応答および/または細胞応答を誘発または促進するためのキメラポリペプチドであって、適当であれば、請求項22または23に記載された追加のキメラポリペプチドと組み合わせて使用される、請求項1〜23のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
  25. 請求項1〜24のいずれか1項に記載のキメラポリペプチドおよび/またはこのポリペプチドの1もしくは2以上の分解産物、そして適当であれば、請求項22または23に記載の追加のキメラポリペプチドおよび/またはこの追加のキメラポリペプチドの1もしくは2以上の分解産物を含んでなる膜小胞であって、この(これらの)分解産物は、適当であれば、主要組織適合遺伝子複合体I型またはII型の分子と結合する、前記膜小胞。
  26. エキソソームであることを特徴とする、請求項25に記載の膜小胞。
  27. 追加のキメラポリペプチドの、目的のペプチドまたはポリペプチド、あるいはこの目的のペプチドまたはポリペプチドの少なくとも1つの断片が、前記膜小胞の外面に、部分的にまたは完全に曝露される、請求項25または26に記載の膜小胞。
  28. 活性成分が、請求項25〜27のいずれか1項に記載の1もしくは2以上の膜小胞、ならびに適当であれば、請求項22または23に記載の追加のキメラポリペプチドおよび/またはこの追加のキメラポリペプチドの1もしくは2以上の分解産物を含んでなる、1もしくは2以上の膜小胞、特に1もしくは2以上のエキソソームを含んでなる、治療用組成物。
  29. (例えば、酵素の追加によって)宿主の標的細胞の処理に使用される、および/または宿主(例えば、腫瘍細胞)中の標的細胞を破壊するために使用される、および/または(例えば、本発明のキメラポリペプチドの、目的のペプチドまたはポリペプチドに結合した核酸を検出することによって)宿主の診断を実施するために使用される、および/または、腫瘍に対する、またはウイルス、細菌、もしくは寄生虫感染に対する予防および/または処置のために使用される、特にインビボで、宿主中で、1または2以上の目的のペプチドまたはポリペプチドが由来する腫瘍、またはウイルス、細菌もしくは寄生虫に対する体液性応答および/または細胞性応答を誘発または促進するために使用される、請求項28に記載の治療用組成物。
  30. 請求項1〜23のいずれか1項に記載のキメラポリペプチドをコードすることを特徴とする、ならびに適当であれば、請求項22または23に記載の追加のキメラポリペプチドをコードすることを特徴とする、ポリヌクレオチド。
  31. 以下の:
    ・請求項30に記載のポリヌクレオチドを含んでなるまたはそれから成ることを特徴とする核酸、特にDNA;および
    ・薬学的に許容され得る支持体、希釈剤またはビヒクル;および
    ・適当であれば、請求項22または23に記載の追加のキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなるまたはそれから成ることを特徴とする核酸、特にDNA
    を含んでなる、治療用組成物。
  32. 薬剤としての使用のための、特に細菌、ウイルス、寄生虫の感染、または腫瘍の予防および/または処置に使用される、特にインビボで、宿主、特にヒトまたはヒト以外の哺乳動物、あるいは鳥類で、ドメイン(i)が由来する腫瘍、あるいはウイルス、細菌または寄生虫に対する体液性応答および/または細胞性応答を誘発または促進するために使用され、適当であれば、薬学的に許容され得る支持体、希釈剤もしくはビヒクルおよび請求項22または23に記載の追加のキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなるまたはそれから成る核酸、特にDNAを含んでなる免疫原性組成物と組み合わせて使用される、請求項31に記載の治療用組成物。
  33. 組換え型のエキソソーム産生細胞、特に免疫系の細胞、より具体的にはマスト細胞、リンパ球、特にTおよびBリンパ球、ならびに樹状細胞、特にランゲルハンス細胞から選択される免疫系の細胞であって:
    ・前記細胞が、請求項30に記載の1もしくは2以上のポリヌクレオチド、および適当であれば、請求項22または23に記載の追加のキメラポリペプチドをコードする1もしくは2以上のポリヌクレオチドと再結合されることを特徴とするか;あるいは
    ・前記細胞が、請求項25〜27のいずれか1項に記載の膜小胞、ならびに適当であれば、請求項22または23に記載の追加のキメラポリペプチドおよび/またはこの追加のキメラポリペプチドの1もしくは2以上の分解産物を含んでなる1もしくは2以上の膜小胞、特に1もしくは2以上のエキソソームを吸収することを特徴とする、前記細胞。
  34. 前記目的のペプチドもしくはポリペプチド、または前記ペプチドもしくはポリペプチドの断片、あるいは請求項22または23に記載の追加のキメラポリペプチド、および/またはこの追加のキメラポリペプチドの1もしくは2以上の分解産物と相互作用することができる特定のパートナーのインビトロでの検出のための、請求項27に記載の1もしくは2以上の膜小胞の使用。
  35. 目的のペプチドまたはポリペプチドおよび/またはこの目的のペプチドまたはポリペプチドの分解産物を含んでなる、膜小胞、特にエキソソームのインビトロでの産生方法であって、適当であれば、この分解産物は主要組織適合遺伝子複合体の分子に結合され、以下のステップ:
    a)請求項30に記載の1もしくは2以上のポリヌクレオチドであって、前記目的のペプチドまたはポリペプチドを含んでなるポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドを、エキソソーム産生細胞、特に293T細胞、または免疫系の細胞、より具体的にはマスト細胞、リンパ球、特にTおよびBリンパ球、ならびに樹状細胞、特にランゲルハンス細胞から選択される免疫系の細胞へ導入し、あるいは前記目的のペプチドまたはポリペプチドを含んでなるポリペプチドおよび/またはこのポリペプチドの分解産物を含んでなる、請求項25〜27のいずれか1項に記載の1もしくは2以上の膜小胞とエキソソーム産生細胞とを接触させ;
    b)前記エキソソーム産生細胞を培養し;
    c)前記エキソソーム産生細胞によって産生される膜小胞、特にエキソソームを回収すること
    を含んでなる、前記方法。
  36. ステップa)とb)の間に中間ステップをさらに含んでなり、この間にエキソソームの分泌を誘発および/または増加するために、あるいは特定の細胞タンパク質、例えば、タンパク質ICAMに関してエキソソーム組成物で特異性を誘発するために、細胞が選択および/または刺激されることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
  37. 膜小胞、特にエキソソームの表面で発現される目的の1もしくは2以上の抗原性ペプチドまたはポリペプチドを対象とするポリクローナル血清を調製するための方法であって、以下のステップ:
    a)請求項25〜27のいずれか1項に記載の膜小胞、請求項28、29または31のいずれか1項に記載の組成物、または請求項30に記載のポリヌクレオチドを、アジュバントと結合させてまたは結合させずに、ヒト以外の動物へ、適当であれば繰り返し投与し;そして
    b)1または2以上の目的の抗原性ペプチドまたはポリペプチドを認識することができる、形成された抗体を回収すること
    を含んでなる、前記方法。
  38. 膜小胞、特にエキソソーム内またはその表面に発現される1もしくは2以上の抗原性ペプチドまたはポリペプチドを対象とするモノクローナル抗体を調製するための方法であって、以下のステップ:
    a)請求項25〜27のいずれか1項に記載の膜小胞、請求項28、29または31のいずれか1項に記載の組成物、あるいは請求項30に記載のポリヌクレオチドを、適当であればアジュバントと組み合わせて投与された、および適当であれば繰り返し投与がなされた、(ヒトまたはヒト以外の)宿主、例えばBalb/cマウスから得られる脾臓細胞を、ミエローマ細胞と融合し;
    b)抗体の産生が可能な条件下でハイブリドーマを培養および選択し;
    c)1または2以上の目的の抗原性ペプチドまたはポリペプチドを対象とするモノクローナル抗体を回収すること
    を含んでなる、前記方法。
  39. 目的のペプチドまたはポリペプチド、あるいは前記目的のペプチドまたはポリペプチドの断片と相互作用する分子をスクリーニングするためのインビトロでの方法であって、以下のステップ:
    a)請求項27に記載の膜小胞を、前記目的のペプチドまたはポリペプチドと相互作用することができる1もしくは2以上の分子と接触させ;
    b)前記目的のペプチドまたはポリペプチド、あるいは前記目的のペプチドまたはポリペプチドの断片と、前記1または2以上の分子との間の任意の相互作用を検出すること
    を含んでなる、前記方法。
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