JP2013503284A5 - - Google Patents
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Description
【書類名】明細書
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、有利には触媒的に活性のある機能を提供する、順に貫通流モノリス(流通モノリス)が続く、有利には触媒的に活性のあるプラスチックフィルター(壁面流フィルター)を含む、排ガス後処理システムに関する。双方の構成要素は、内燃機関の排気ガスにおいて存在するガス状物質のための同一の貯蔵機能を有する。前記システムは、特に、双方の主に希薄式の内燃機関の及び主に化学量論的空気/燃料混合物で操作される内燃機関の排気ガスからの粒子並びに汚染物質の同時除去に適している。同様に、排気ガス後処理のためのシステムの製造方法及び使用を記載している。
【0002】
自動車両の排気ガス中に含まれる放出物を、3つの群に分けることができる。“一次放出物”の表現は、機関内の燃料の燃焼プロセスによって直接発生し、かついわゆるシリンダー外部での未処理の排気ガス中に存在する有毒ガスを言う。希薄燃焼機関の未処理の排気ガスは、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)及び酸化窒素(NOx)の通常の一次放出物に加えて、15体積%までの比較的高い酸素含有率を含む。それらは、スス残留物及び有機アグロメレートを含み、かつシリンダー中に部分的に不完全な燃料燃焼を生じる、粒子放出であってよい。“二次燃焼物”は、排気ガス精製システムにおける副産物として発生しうる有毒ガスを言う。第三の群は、例えば触媒コンバータ表面(DeNOx、SCR)を介する一定の一次ガス又は二次放出ガスとの反応を作用させるために排気ガスに積極的に添加される排気ガス構成要素を含む。
【0003】
主に化学量論的空気/燃料混合物で操作される内燃機関の排気ガスは、従来の方法で、三元触媒コンバータによって精製される。これらは、前記機関の3つの重大なガス状汚染物質、特に炭化水素、一酸化炭素及び酸化窒素を、無毒成分に同時に添加することができる。炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)及び一酸化窒素(NOx)のガス状汚染物質を除いて、ガソリン機関の排気ガスは、燃料の不完全燃焼を生じ、かつ実質的にススを含む、極めて細かい粒子(PM)も含む。
【0004】
呼吸できる極めて小さい粒子(“細塵”)と関連する潜在的な健康リスクのため、ガソリン機関のための許可された粒子放出の限界は、2009年からの欧州においてEU−5排気ガス基準の導入で既に適している。ディーゼル機関のための存在する粒子質量の限界値に加えて、ディーゼル機関のためのより臨界的な粒子計数限界値による限界値の拡張は既に同意されている。電気着火機関のために、前記限界値は、現在未だ審議中である。従って、欧州及びおそらく北米及び日本において適用可能な自動車のための法定の排気ガス制限値の遵守は、今後は、排気ガスから有毒ガス、特に一酸化窒素の除去(“脱窒素”)だけでなく、粒子の効果的な除去も要求する。
【0005】
一酸化炭素及び炭化水素の有毒ガスは、比較的容易に、適した酸化触媒コンバータでの酸化によって希薄燃焼ガスから無毒にさせることができる。さらなる触媒活性コーティングを有する及び有しない粒子フィルターは、粒子放出物を除去するために適した装置である。窒素を形成するための一酸化窒素の還元は、希薄混合気内燃機関の排気ガス中の高い酸素含有率のためにさらに難しい。公知の方法は、一酸化窒素貯蔵触媒コンバータ(NOx貯蔵触媒、NSC)の使用又は通常、還元剤としてアンモニアによって、SCR触媒コンバータと略される、適した触媒コンバータ上での選択触媒還元(SCR)のための方法に基づく。前記方法の組合せは、例えば、アンモニアが、豊富な操作条件下で上流の一酸化窒素貯蔵触媒コンバータ上で二次放出物として生じ、アンモニアが、下流に配置されたSCR触媒コンバータ中に最初に貯蔵されて、そして続く希薄操作相中で一酸化窒素貯蔵触媒コンバータを通って一酸化窒素を還元するために使用されることも公知である。DE 102007060623は、脱窒素装置を有する排気ガス精製システムの先行技術の多くの別形を記載している。
【0006】
自動車両の排気ガス後処理の分野において、有利にはディーゼル車両において、スス粒子を減少するための壁面流フィルターとして公知であるものを使用する。かかるフィルターは、被覆無しに、又は触媒被覆で使用されてよい。炭化水素及びCOを酸化させる、有利には一酸化窒素(NO)を酸化して、二酸化窒素(NO2)を形成することができる酸化触媒の形での触媒被覆は、通常である。
【0007】
将来の法律は、しかしながら、全ての生じる有害な放出物、例えば粒子、HC及びCO及びNOxを、可能な限り減少させることを必要とする。最適な可能な方法における後処理システムのためのこの目的のための車両において使用可能な設置スペースを使用することができるために、さらなる触媒機能を提供させるために使用される壁面流フィルターのための将来性を必要とする。従って、既に、主題が酸化触媒的に活性のある被覆及び/又はスス添加温度を減少する被覆を有する粒子フィルターに関する、多くの特許明細書がある(Catalytically Activated Diesel Particular Traps、Engler et al.、1985年、SAE850007)。しかしながら、他の触媒的に活性のある材料での粒子の被覆は、徐々に考えられてもいる(酸化触媒的に被覆されたフィルターに関してEP1309775;TWC材料で被覆されたフィルターに関してEP2042225、EP2042226、US2009093796;NOx貯蔵触媒で被覆されたフィルターに関してEP1837497又はEP1398069;SCR触媒で被覆されたフィルターに関してWO08106523及びEP1663458)。いくつかの適用、例えばUS 2006/0057046において、フィルター基材の排気ガスの背圧の問題も考慮に入れている。ここで、触媒被覆の特別な空間的配置によって、ほとんど均一な、フィルター壁を介した排気ガスの可能な流量が、構成要素の全体の長さを超えて生じる。
【0008】
EP1300193の特許は、双方の側面で触媒的に被覆され、かつ開孔構造を有する多孔質の支持体壁を通過する排気ガスで内燃機関の排気ガス中の汚染物質の触媒転化のための方法を記載している。ここで、支持体自体は触媒的に活性な材料からなってよい。前記方法の特別な実施態様は、化学量論的に操作した内燃機関の排気ガスの精製に適している。ここで、基材は、一酸化窒素、炭化水素及び一酸化炭素を同時に転化することができる三元触媒被覆(これ以上詳細に明記されていない)を提供する。
【0009】
WO 00/29726は、触媒的に活性のあるフィルターを提供する、ディーゼル排気ガスの精製のための装置を記載している。前記フィルターは、第一の白金群金属及び第一のセリウム化合物を含有する第一触媒コンバータを含む。前記装置は、第二のセリウム化合物を含有する第二触媒コンバータも有する。実施態様は、双方の触媒コンバータがフィルター基材上に配置されていることが記載されている。このシステムは、第二の触媒コンバータにおいて含まれるセリウム化合物によって、ディーゼル粒子物におけるスス粒子に付着する揮発性有機成分(“揮発性有機留分”VOF)の割合が、酸化によって取り除かれうることを特徴とする。したがって、特定の好ましい実施態様において、第二の触媒コンバータは、触媒的に活性のあるディーゼル粒子フィルターの上流に配置される。
【0010】
使用される触媒被覆において、従来の触媒的に活性のある貴金属を除いて、排気ガスから一定の成分を分離又は吸収することができる材料が、常に大きな役割を果たしている。該排気ガス成分は、例えば、炭化水素、一酸化窒素、アンモニア、硫黄化合物及び酸素であってよい。現在の希薄燃焼機関(例えばディーゼル機関)は、将来的に徐々に、SCR触媒コンバータ又はNOx貯蔵触媒コンバータを使用するNOx後処理システムを備える。SCR触媒コンバータは、通常アンモニアのための貯蔵機能を有し、かつNOx貯蔵触媒コンバータは、一酸化窒素の貯蔵機能を有する。いくつかの適用において、下流に配置された触媒コンバータの失活を妨げるために排気ガスから硫黄を分離又は吸収することができるいわゆる硫黄トラップも要求する。非常に厳しい排気ガス規制のために、いわゆる炭化水素アキュムレータを使用することを必要としてもよい。該アキュムレータは、例えば冷温開始中の低い排気ガス温度で、排気ガスから未燃焼の炭化水素を分離し、そして再度より高い温度で未燃焼の炭化水素を転化する。電気着火機関の排気ガスの排気ガス後処理のために、酸素に関する貯蔵機能を有する三元触媒コンバータを使用する。
【0011】
記載されている触媒的に被覆された粒子トラップに加えて、触媒的に活性のある粒子トラップ及びさらにそれらの下流に触媒コンバータを有するシステムも公知である。前記配置の利点は、多数の触媒的に活性のある機能性及び要求される粒子の移動を、2つの装置のみで省スペース法で適合することができる事実である。公知の装置の大半は、さらに粒子トラップを粒子フィルターの被覆と異なる触媒機能を有する装置に続かせる酸化粒子トラップ及び/又はスス着火被覆を提供する粒子トラップである。それらは、例えば、下流の窒素貯蔵触媒コンバータ(NSC)に続く触媒的に活性のあるディーゼル粒子フィルターに対する多くの文献において引用される(WO08121167、EP1606498、EP1559879等)。
【0012】
貯蔵システムの全ての適用において、貯蔵媒体をできるだけ完全に使用することができる方法で、排気システムにおいて適応されることが、それぞれの貯蔵機能に必要であり、結果として、費用の低減、排気システムの逆圧における低減及び触媒コンバータの改良された暖機を導く、触媒コンバータ量を小さく維持することができる。挙げた貯蔵材料は、従来の概念におけるような、実際の触媒活性機能に埋め込まれる。該貯蔵材料の操作の形式は、通常、第一の層において、内燃機関の排気ガスからの成分の貯蔵を、例えば酸素、一酸化窒素又は硫黄成分の貯蔵中に実施し、そして貯蔵容量に達した場合に、排気ガスの異なる組成物を加える(特にリッチ/リーン変換)ことである。貯蔵された成分は、結果放出され、そして触媒活性機能によってそれらの付近で無害な排気ガスに転化される。さらに、既に示したように、前記貯蔵は、触媒コンバータ中の一定の排気ガス成分を豊富にするために、及び該成分を、他の排気ガス成分と反応することを可能にするためにも使用され、例えばアンモニアが、一酸化窒素と反応することを可能にするために貯蔵される。いくつかの貯蔵は、一時的に排気ガスに戻る低温で貯蔵された成分を放出するために、下流に配置された触媒コンバータがそれらの作業温度に達するまで、単に排気ガス成分を維持するためも供給され、そして、さらに、該成分は、例えば炭化水素及び一酸化窒素の場合においてそうであるように、下流の触媒コンバータによって転化される。
【0013】
それぞれの機能性によって、ある貯蔵媒体(例えばNSC、一酸化窒素貯蔵触媒コンバータ)は、従って、さらに、時々それらの機能化が損なわれないために空にさせる必要がある。他の貯蔵媒体は、排気システムの触媒機能をうまく実施する(例えばNH3をSCR触媒コンバータ中に貯蔵する)ために充填される必要がある。この目的のために、貯蔵媒体が充填されているか又は空であるかを検出する、種々の調整システムを使用する。貯蔵媒体の充填レベルの検出は、適したセンサーによって、又はモデル計算によって行われてよい。最も正確な可能な調整を可能にするために、しかしながら、貯蔵されるべき媒体を介して貯蔵されるべき排気ガス成分の漏出が、その貯蔵が事実上満たされている場合に、理論的に最初に行われる。この方法において、貯蔵を介して貯蔵されるべき成分の漏出が検出される場合に、対応する要求された工程が、直ちに開始されうる。
【0014】
車両における排気システムの操作のための重要な判断基準は、連続的に例えば触媒コンバータの機能性に関する分野におけるシステムを監視する能力がある。立法者によって規定されたこの“On Board Diagnosis(オンボード診断)”(OBD)は、車両が自己モニタリングのための自己電子システムを有することを規定している。最近の調整は、モニタリングのモニタリングまで及ぶ。前記基準は、診断を規則正しく耐用年数にわたって実施することができない懸念がある。従って、通常診断を実施し、かつ一定のモニタリングの割り当てを事前に定義するかどうかを記録させる必要がある。
【0015】
触媒コンバータの効率的な診断のために、センサーは、貯蔵機能が、十分な有効性で実施されているかどうかを調査するために、触媒コンバータの排気セクションの下流に配置される。三元触媒コンバータを監視するために、例えば排気ガス中の酸素含有率を測定するいわゆるラムダセンサーを使用する。酸素貯蔵における三元触媒コンバータの効率の減少は、その減少が、機関制御装置において貯蔵された限界値の超過の場合には、運転表示における示度及びできる限り緊急操作モードの状態への機関の切り替わりを導くことができる、センサー及び機関制御装置によって検出されうる。今後は、触媒コンバータのきれいな診断のための能力が、OBD閾値が常に低く設定されるために、さらにより重要になる。良好なモニタリング能力のための装置特性は、触媒コンバータにおける対応する貯蔵が排気される場合に、触媒コンバータの下流を通り抜ける物質のシグナルを、きれいに、急速に上昇し、又は減少することである。壁面流フィルターに適用され、かつ酸素貯蔵材料を有する三元触媒の場合において、非常に診断能力を妨げる酸素の通過は、比較的速く、かつ非常に急な勾配でなく実施する。さらに、ラムダセンサーの測定の正確さは、かかるシステムにおいて、診断の診断(センサーの機能のモニタリング)を妨げる、車両の耐用年数を超えたドリフトを受ける。
【0016】
触媒的に活性のある被覆における一定の貯蔵機能を作用させる材料として、一次的に発生した又は二次的に発生した成分、一酸化窒素(NOx)、アンモニア(NH3)、硫黄成分(例えば硫化水素(H2S)及び酸化硫黄(SOx))、酸素(O2)及び炭化水素(HC)を貯蔵する能力がある材料が、特に興味深い。
【0017】
全体として、もはや、内燃機関のための最新の排気ガス精製システムにおけるかかる貯蔵材料の使用を省くことが考えられる。適宜、同一の反応がフィルター基材上で又は下流の触媒コンバータ上でも触媒作用を有し、かつ同一の貯蔵材料が双方の装置上で使用される、触媒コンバータに続くフィルターの燃焼におけるかかる材料の使用に関して、Toyota社からの2つの出願(EP1843016、EP1959120)を参照できる。前記出願は、それぞれの場合において、内燃機関の排気部分において配置されている1つの粒子フィルターを記載している。内燃機関の排気ガスは、粒子フィルターを介して伝わる。粒子フィルターは、一酸化窒素貯蔵機能及び一酸化窒素還元機能を備える。前記開示によって、この方法において製造されたフィルターは、さらに同様に一酸化窒素貯蔵機能及び一酸化窒素還元機能を備えた流通触媒コンバータに続く。前記の配置は、個々の触媒コンバータと共に燃焼のために要求されるものの再生のための燃料の割合を減少することができるために、明確に提案されている。しかしながら、貯蔵材料の効率的な使用に関する報告はない。
【0018】
従って、本発明の目的は、環境面及び/又は経済面から先行技術のシステムに対して優れている、内燃機関の排気ガスのための排気ガス後処理システムを規定することであった。特に、排気ガス中に存在する一定の化合物が、貯蔵能力の最適な使用で使用され、それによって、遅い時間で要求される転化のためにより十分な量で該化合物を提供するために、貯蔵材料において貯蔵されることが所望される。同時に、自動車における構造状態を考慮に入れるべきである。OBD能力及び調整可能性に関して、最も明確な可能なシグナル検出を所望する。
【0019】
前記目的及び先行技術から浮上するさらなる目的は、請求項1の特徴を有するシステムによって達せられる。好ましい実施態様は、請求項1の後ろに関連する従属請求項から明らかになる。請求項6及び請求項8は好ましい使用を目的としている。
【0020】
構成要素として壁面流フィルター(1)及び、それらの下流に、構成要素として流通モノリス(2)を有し、その際、双方の構成要素(1)及び(2)が、排気ガス中に存在する、SOx、NOx、NH3、O2、HC、H2Sを含有する群から選択される、同一の化合物のための少なくとも1つの貯蔵機能を有し、構成要素(2)における貯蔵容量が、構成要素(2)の下流の漏出シグナルが、排気ガス化合物を考慮してそれぞれの末端で診断基準をもたらす濃度曲線の最も高い勾配を有する一方で、できるだけ少ない貯蔵材料を使用するように設計されるべきである、内燃機関のための排気ガス後処理システムを提供することによって、まず、全体のシステムの構造サイズが、種々の機能(排気ガス中に存在する、挙げられた粒子のフィルタリング及び化合物の貯蔵)が、最適な方法で組み合わされるために、制限内に維持されることが可能である。第二に、使用される貯蔵材料の使用が、本発明によるシステムレイアウトの結果として最も良好な可能な方法で補助される。これは、公知の技術の背景に対して、当業者に明らかではない。
【0021】
貯蔵材料、例えば酸素貯蔵材料(OSC)を含有する被覆された壁面流が、被覆された流通モノリスとは異なる貯蔵挙動を有することが観察されている。動的貯蔵試験において、壁面流フィルター上の貯蔵材料は、完全に使用することができない。それというのも、貯蔵されるべきガスが、明らかに、非常に速く完全に吸収されずにフィルターを通過して貯蔵されるからである。
【0022】
これは、貯蔵されるべきガスの漏出が、同一の貯蔵材料で被覆された流通モノリスよりも速く生じることを意味し、その際貯蔵されるべき媒体の漏出は、最初に、貯蔵材料を実質的に充填する場合に生じる(図2)。貯蔵材料を含有する壁面流フィルターの最大の可能な貯蔵容量は、従って、しばしば、フィルターの設計(例えば、体積、形状、多孔率、壁厚、平均孔直径及び孔直径分布)及び貯蔵媒体の吸収力学に依存して、約30〜70%だけで使用される。貯蔵材料の同一の量が、被覆された流通モノリスに適用される場合に、最大の貯蔵容量70〜95%が、実際の適用において使用されうる。
【0023】
さらに、排気ガス後処理システムの調整は、貯蔵材料で被覆された壁面流フィルターの場合において、貯蔵材料で被覆された流通モノリスの場合におけるよりも、非常に異なる。被覆されたフィルターの場合において、貯蔵されるべき構成要素の漏出は、非常により急速に生じる。従って、貯蔵媒体の空/充填を要求する可能性は、非常に速い調整戦略によって開始されることが必要である。ある状態下で、これは、追加の燃料を要求し、かつ/又は他の汚染物質放出において増加させる。さらに、貯蔵材料を含有するフィルターの下流に貯蔵されるべき構成要素の漏出シグナルの分布は、フィルターの下流の吸収されるべき構成要素の濃度における上昇が、貯蔵材料を含有するモノリスの場合においてほとんど急速ではなく上昇することにおいて異なる。ゆっくりと上昇するシグナルは、しかしながら、辛うじてさらに前記タイプのシステムの調整を妨げるセンサーによって検出されることができる。
【0024】
壁面流フィルター上のそれぞれの貯蔵材料は、しかしながら、流通モノリスが、同様に吸収されるべき同一のガスのための貯蔵機能を有する、例えばハニカム体の流通モノリスが、フィルターの下流に連結される場合に、より完全に使用されることができる。下流のモノリスが、吸収されるべきガスの被覆されたフィルターを介して横取りする事実の結果として、吸収されるべきガスは、大気中への妨げられていない通過から防がれる。さらに、延長した吸収相の結果として、フィルターにおける貯蔵媒体が、さらに充填され、かつしたがって、最良の場合において、吸収されるべきガスの漏出が、下流の流通モノリスで生じるまで、100%まで使用される(図3)。
【0025】
適用に依存して、壁面流フィルターは、種々の材料からなってよく、かつ種々の体積、壁厚、多孔率及び孔の半径分布を有する。触媒的に活性のある材料の、及びさらにフィルター上で収容されることができる貯蔵構成要素の可能な量は、従って、適用から適用まで著しく変動する。フィルターを介する動的圧力が、触媒的に活性のある材料の割合を増加しながら上昇することができることから、通常、できるだけ低い排気システムの過度に高い動的圧力から得られる機関の電力損失を維持するために、フィルター上での比較的低い貯蔵材料の量を維持することが都合がよい。
【0026】
本発明に従って、流通モノリス(2)が、モノリスの下流の漏出シグナルが最も高い勾配を有する、対応する材料の形で、正確に貯蔵容量に対して適用されることが、対費用効率の高い溶液として提案される。すなわち、構成要素(2)の貯蔵容量は、構成要素(2)の下流の漏出シグナルが、それぞれの貯蔵材料を有する対応するモノリスで達せられうる最も高い勾配を有するように構成される。モノリス(2)に対する貯蔵容量のさらなる増加の場合には、漏出シグナルにおける比較的急勾配な上昇は、もはや得られない。この点について、“最も高い勾配”は、貯蔵材料の容量の全体の範囲を超えて平均化した漏出シグナルの勾配を意味すると解されるべきである。これは、絶対点の値として解されるべきではなく、むしろ5%まで、有利には3%まで、及び特に有利には2%までの最も高い達成可能な勾配の値(エラー耐性)だけ下方向において変動してよい。図4は、構成要素(2)の貯蔵容量が、構成要素(1)の全体の貯蔵を使用するために構成される必要があるかどうかを実施例として示している。ここで、構成要素(2)の下流の全体の漏出シグナル(実線)は、構成要素(1)(点線)の下流要理も急勾配であり、かつ構成要素(2)で得られ、かつ貯蔵材料を提供することができる最も高い勾配を有する。貯蔵容量におけるさらなる増加は、さらに右に、構成要素(2)の下流の示された漏出曲線に対しておよそ平行に漏出曲線をシフトするが、さらなる勾配の増加はない。
【0027】
有利には、構成要素(2)の貯蔵容量は、構成要素(1)の貯蔵容量の効果的な使用を確実にするために、及びシステムの調整のための最良な可能な検出シグナルを有し、並びに機関の全ての関連する操作点を越えたOBD目的のために、必要な寸法に形成されなければならない。それぞれ、証明のための関連する試験サイクル及び関連するOBDマッピングマトリックスにおける、機関の全ての操作点のために、構成要素(2)の貯蔵容量を設計することが特に好ましい。これは、構成要素(2)の貯蔵容量が、最悪の場合の機関操作点を最適化させる必要があることを意味し、その際、構成要素(1)の貯蔵の効率は最も低く、かつ構成要素(2)の下流の検出シグナルは、それぞれ、構成要素(1)の貯蔵容量の完全な使用及び機関の全ての関連する操作モード中のシステムの最良な調整を確実にするために、最も低い傾斜を示す。
【0028】
貯蔵されるべきガス状のNOx、SOx、NH3、HC、O2及びH2Sに関して、構成要素(2)における貯蔵容量は、濃度曲線の最も高い可能な勾配が、排気ガス成分を考慮して、それぞれ終了基準で生じるように設計されるべきである。酸素に関する終了基準は、例えば、リーンからリッチへの又はリッチからリーンへのラムダシグナルにおける変化、例えばラムダ=1である。NOx、NH3、SOx、H2S及びHCに関しては、構成要素(2)の下流の測定された濃度、又はそれぞれ関連する質量流量及び累積質量であってよい。センサーに依存して、関連した出力シグナルは、電圧又は電流であってよい。
【0029】
法律に依存して、NOx及びHSに関する終了基準は、ppm(百万分率)範囲でのガス濃度であってよく、又はそれぞれ100ppmまで調整する。NH3、SOx及びH2Sに関して、最終基準は、ガスが環境に放出される場合に、関連する匂いの許容閾値であってよい。
【0030】
比較的少量の貯蔵容量が、及び従って、適した構成要素(2)の貯蔵容量の場合に、前記設計に関して十分であっても、ここで考えられるガスの場合において、目標値(例えば排気ガス中の濃度)は、極めて少ない漏出後ですら超過されうる。前記時間までだけが、構成要素(2)の貯蔵容量に関して、前記ガスの漏出を妨げるために必要であり、かつ従って、壁面流フィルター(1)のみと対照的に、非常に急勾配の及び従って容易に検出可能なシグナルの存在を確実にする(図4)。前記場合において、本発明の焦点は、本発明の貯蔵材料の最適な使用に対してではなく、むしろ、急勾配のシグナルのためにシステムの改良された調節可能性に対してであり、考慮される制限値へのより信頼できる準拠に寄与する。構成要素(2)の貯蔵材料のかかる構成は、図4においてさらに構成要素(1)の下流の漏出シグナル(点線)の方向に示された構成要素(2)の貯蔵材料の漏出シグナル(実線)をシフトしてよい。目標値が例えば入口の濃度の20%に対応する濃度であった場合に、その時構成要素(2)の貯蔵容量は、構成要素(2)曲線の下流の最大の勾配が、構成要素(2)に対して非常に少量の貯蔵容量でさえ達せられてよい0.2のO2/O2in値で生じるように構成されてよい。0.2のO2/O2in値を超えて、漏出シグナルは、操作に従って再びほとんど急勾配でなくなる。それというのも、構成要素(1)の下流の漏出は、構成要素(2)を介した漏出によっても直接従い、構成要素(2)の貯蔵容量がすでに消費されているからである。
【0031】
例えば、完全にフィルターを介してゆっくりと上昇する漏出シグナルをできるだけモノリスの下流のシグナルを急勾配に上昇又は下降するように転化することを要求する、モノリスに対する貯蔵容量の量として表現される貯蔵容量は、予測することが困難である。フィルターのデザイン及びフィルター上の貯蔵材料に依存して、フィルターの下流の漏出シグナルは、非常に変動しうる。構成要素(1)の下流で吸収されるべき媒体の漏出シグナルは、より狭い勾配で操作することが、一般的にあげられる:
・フィルター上でより多い量の貯蔵材料
・貯蔵されるべき成分のより低い貯蔵動力学
・フィルター材料のより大きい多孔率、より小さい壁圧及びより広い孔の半径分布(側路形成の増加させた確率−さらに上記を参照)
・非対称の吸気ダクト及び吐出しダクトの場合に、吸気ダクト(Aout)と吐出しダクト(Ain)との間の断面積のより低い比率(Aout/Ain)。
【0032】
対応して、モノリス(2)における貯蔵容量は、量、ウォッシュコート中に含まれるタイプ、及び貯蔵材料のタイプを選択することによって適合される。
【0033】
好ましい一実施態様において、使用される貯蔵材料は、同一の化合物である。従って、構成要素(1)及び構成要素(2)は、同一の貯蔵材料を有する。この場合、貯蔵材料の量、又は対応する貯蔵容量に関する利点であり、構成要素(2)において対応する構成要素(1)の貯蔵材料の量よりも小さいことが証明されている。特に好ましいのは、構成要素(2)の貯蔵容量が、構成要素(1)の貯蔵容量の約20〜70%だけまでの量である配置である。30〜50%である構成要素(2)の貯蔵容量が極めて好ましい。本発明のシステムの前記形状は、特に、2つの構成要素(1)及び(2)の互いの間隔が、50cm未満である背景に対して好ましい。適宜、2つの構成要素(1)及び(2)は、互いに対して隣接してもよい。
【0034】
しかしながら、70cm以上、有利には60cm以上、もしくはより特に有利には50cm以上の比較的広い間隔が2つの構成要素(1)及び(2)の間に存在する場合に、又はさらに触媒コンバータが、2つの構成要素の間に取り付けられる場合に、それは、同一の化合物に関する構成要素(1)及び(2)貯蔵材料が、互いに異なる場合に有利であってもよい。例えば、適宜、構成要素(1)及び(2)における異なる温度要求のために、異なる熱安定性又は異なる温度依存貯蔵特性を有する貯蔵材料を使用することが好都合であってよい。
【0035】
2つの上記の条件のためのさらなる代替法として、当業者は、異なる支持材料、異なって提供されるウォッシュコート、貴金属の異なる量及び/又は比、構成要素(1)及び(2)の製造のための貯蔵材料の異なるタイプを含む群から選択される、異なる測定法を考慮に入れてよい。
【0036】
貯蔵機能性の最も適切な可能な利用のために、同一の貯蔵機能性が、構成要素(1)及び(2)に対して提供されることが必要である。それは、双方の構成要素(1)及び構成要素(2)が少なくとも2つの触媒的に活性のある機能を有する、本発明によるさらに好ましいシステムである。より好ましい一実施態様において、双方の構成要素が、同じ化学反応の触媒作用を有することが同様に求められる。同一の貯蔵材料及び同一の触媒的に活性のある材料が、構成要素(1)に及び構成要素(2)に提供される適用が特に興味深い。
【0037】
本発明のシステムは、当業者に公知の物品から及び当業者に公知の方法で製造されてよい。しかしながら、当業者は、構成要素(1)として壁面流フィルター及びそれらの下流に構成要素(2)として流通モノリスを有する、内燃機関のための本発明に従った排気ガス後処理システムを提供することに注意しなければならず、その際、構成要素(1)及び(2)は、排気ガス中に存在するSOx、NOx、NH3、O2、HC、H2Sを含有する群から選択される、構成要素(2)の下流の漏出シグナルが、このシステムの全ての前記の実用的な側面をもたらすために、できるだけ小さい貯蔵材料を使用する一方で、排気ガス化合物を考慮に入れたそれぞれの終了基準で生じる濃度曲線の最も高い勾配を有するように設計されるべき、構成要素(2)における貯蔵容量を有する、同一の化合物のための少なくとも1つの貯蔵機能を有する。システム部分に対して挙げられた好ましい実施態様が従ってプロセスのためにも適用することは言うまでもない。
【0038】
本発明の主題は、同様に、内燃機関の排気ガスを精製するための方法における前記タイプの排気ガス後処理システムの使用を含む。特に、
a)排気ガスが、構成要素(1)を通過し、かつ続いて構成要素(2)を通過して導入され、
b)排気ガス中に存在するSOx、NOx、NH3、O2、HC、H2Sを含有する群から選択される化合物の濃度の測定又はモデリングが、構成要素(2)の下流で実施され、かつ
c)測定が、貯蔵した目標値が達せられる場合に、ECU(車両における電子制御装置)によって開始される
形での本発明によるシステムの使用が有利である。
【0039】
貯蔵されるべき排気ガス成分の濃度は、排気部分における対応するセンサーによって測定される。モデリングは、通常、機関特性マップにおいて貯蔵され又は算出された排気ガス成分の質量流量による貯蔵材料の充填の測定によって実施され、その際、貯蔵材料の算出された充填レベルは、貯蔵材料特性マップにおいて貯蔵された理論的貯蔵と合わせられる。ここで、測定は、例えば、貯蔵が貯蔵されるべき成分の漏出が差し迫った範囲まで充填される場合に、開始される。これは、例えば、排気ガスのラムダ値が変化する場合に、又は排気質量流が動的操作条件下で変化する場合に起こってよい。さらに、法外な温度の上昇が、モデリングもすることができる貯蔵材料から貯蔵されたガス(例えばHC、NH3又はNOx)の放出を開始する。温度の正確な測定のために、構成要素(2)の上流又は下流に配置された熱電対が使用されうる。
【0040】
貯蔵された目標値は、濃度、質量流量、累積質量、空気/燃焼率及びラムダ値を含む群から選択された値である。
【0041】
すでに示したように、漏出シグナルを急激な上昇の達成は、本発明の重要な目的の1つである。漏出シグナルの急な上昇は、できるだけ大きい濃度増加の指示であり、又は時間の単位ごとの弱化である(図2の濃度曲線の勾配)。構成要素(2)の上流の、本発明のシステム特性の機能として決定され及び前記に示されているような目標値が登録又は算出(モデリング)される場合に、排気ガス流を変化するための確実な測定が、ECUによって開始される。前記測定は、自明に、排気ガスからの化合物が貯蔵されるべきであることに依存する。
【0042】
ECUによって開始される測定は、有利には、排気ガスの温度変動、質量流量変動及び/又は濃度変動を含む群から選択される1つ以上であってよい。
【0043】
例えば、HC貯蔵材料が使用される場合に、構成要素(2)の下流の増加したHC漏出の事象において、排気部分における温度増加が、機関に関連する測定、又は貯蔵された炭化水素が触媒コンバータによって放出及び添加されうるために外的に加熱することによって開始されうる。
【0044】
さらに、酸素貯蔵材料を有するシステムを使用する場合に、構成要素(2)の下流の排気ガス中の酸素濃度における増加の検出の事象において、少なくとも部分的に酸素貯蔵を空にすることをもたらす、排気ガス成分における変化を開始することができる。ここで、酸素濃度は、公知のラムダセンサー又は酸素センサーによって測定されてよい。ラムダセンサーを使用する測定の場合において、しかしながら、直接的に、むしろ空気/燃料比及び従って酸素当量を測定される排気ガスにおける酸素の割合ではなく、同様に前記の測定の開始を考慮に入れてよい。ラムダセンサーに依存して、シグナルは、mVでの、又はラムダ値としての出力である。本発明によって、ラムダ値(λ)は、空気及び燃料からなる混合組成物を記載する値として定義されることを考慮すべきである。その数から、燃焼プロフィール、温度、汚染物質の形成及び効率に関する結論を導くことができる。他の表現は、空気比率、空気比率数、空気数、空気超過及び空気超過数である。
【0045】
燃焼空気比は、完全な燃焼のために要求される化学量論的空気質量mL,stを要求する最小値に関する比における、燃焼のために使用可能な実際の空気質量mL,actである:
【数1】
【0046】
λ=1である場合に、その比は、mL,act=mL,stである、化学量論的空気質量である。これは、全ての燃料分子が、理論的に、完全に、酸素の欠如がなく、かつあらゆる残りの未燃焼の酸素がない、空気酸素と反応する場合である。
【0047】
内燃機関に関して:
λ<1(z.B.0.9)は“空気の欠如”を意味する:リッチ混合物
λ>1(z.B.1.1)は“空気の超過”を意味する:リーン混合物
ステートメント:λ=1.1は、10%より多くの空気が化学量論的反応に要求されるよりも、燃焼において関与することを意味する。これは、空気の超過と同一である。
【0048】
H2S貯蔵材料を使用するシステムの場合に、例えば、構成要素(2)の下流の増加したH2S濃度の検出の場合において、ラムダ<1操作は、貯蔵所からH2Sを放出するため、及び該H2Sを酸化させてSO2を形成することを可能にするために、ラムダ≧1で機関の操作モードを切り替えられる。この切り替えは、例えば、機関自体における燃焼の切り替えによって、又は排気部分中への空気の注入によって行われてよい。
【0049】
増加したアンモニア減少が、NH3貯蔵材料を含むモノリスの下流で検出された場合に、排気部分における温度還元が開始され、結果としてアンモニア減少を減少する。さらに、アンモニア投与量の減少が起こる。かかる方法を使用する対応する当業者に入手可能な数多くの操作であることが明らかである。
【0050】
ECUによる測定を開始する貯蔵した目標値は、濃度、得られた質量流量、又は貯蔵されるべき物質の累積する量であってよい。例えば、不快な匂いを引き起こす物質、例えばアンモニア又は硫化水素の場合において、濃度又は質量流量が、機関制御装置中に目標値として貯蔵されることが好都合である。それというのも、前記物質の匂いの閾値が、周囲空気中に前記物質の出現として達せられるからである。あらかじめ定義された目標値としての累積量が、特に、その狙いが、排気ガス調整に応じること、例えば炭化水素放出の場合である。
【0051】
本発明によって使用され、かつ前記のような貯蔵構成要素を含む粒子フィルターの実施態様として、当業者には通常である金属及び/又はセラミック材料からなるあらゆるフィルター体を使用することができる。それらは、例えば、金属繊維及びニット繊維体、焼結金属体、並びにセラミック材料からなる泡構造を含む。使用は、有利には、コーディエライト、炭化ケイ素又はチタン酸アルミニウムからなる多孔質の壁面流量フィルター基材である。該壁面流量フィルター基材は、流入及び流出ダクトを有し、その際、流入ダクトの流出側の末端及び流出ダクトの流入側の末端が閉じられる場合に、気密“プラグ”を有する、互いに関して相殺する。ここで、フィルター基材を介して流れる精製されるべき排気ガスは、優れた粒子フィルター作用をもたらす、流入及び流出ダクト間の多孔質壁を介して通過させる。粒子に関するフィルター特性は、多孔性、孔/半径分布及び壁の厚さによって構成されうる。貯蔵材料及び可能な触媒材料は、流入ダクト及び流出ダクト間の多孔質壁中に、及びその上で、被覆の形で存在してよい。対応する貯蔵及び/又は触媒コンバータ材料から、直接押し出されるフィルター又は結合剤を使用することもできる。すなわち、多孔質壁は、直接触媒コンバータからなり、例えばバナジウムを基礎とするSCR触媒コンバータの場合における場合であってよい。
【0052】
使用されるべき好ましいフィルター基材は、EP1309775、EP2042225、US2009093796又はEP1663458から集められてよい。
【0053】
流通モノリス(構成要素(2))は、当業者に公知の触媒コンバータ支持体であり、前記のフィルター材料の場合において、金属又はセラミック材料からなってよい。有利には、耐火性セラミック、例えばコーディエライトを使用する。セラミックからなる流通モノリスは、通常、連続ダクトからなるハニカム形状の構造を有し、流通モノリスが、ダクト流モノリスとも言われる理由である。排気ガスは、前記ダクトを介して流れることができ、触媒的に活性のある物質及び可能な貯蔵材料で被覆された、ダクト壁と接触する。面積ごとのダクトの数は、通常、平方インチ(cpsi)毎に300〜900セルである、セル密度によって特徴づけられる。セラミックに関して、ダクト壁の壁圧は、0.5〜0.05mmである。
【0054】
NOx貯蔵:
排気ガス中の一酸化窒素は、定義したように、一酸化窒素及び二酸化窒素からなり、その際、一酸化窒素は、機関の捜査状況に依存持してリーン燃焼機関の排気ガス中に、一酸化窒素として約50〜90%存在する。リーン燃焼機関の排気ガス中の高い酸素含有率のために、燃焼中に製造した一酸化窒素(NOx)は、化学量論的に操作した火花点火機関における場合のように、同時に炭化水素及び一酸化炭素の酸化で、三元触媒コンバータによって連続して還元して、窒素を形成する。該一酸化窒素の触媒還元は、リッチ排気ガス混合物に化学量論的にのみ実施することができる。リーン排気ガス中の一酸化窒素の連続した還元を可能にするために、特別な触媒コンバータ、例えばHC−DeNOx触媒コンバータ又はSCR触媒コンバータを使用する。リーン排気ガス中の一酸化窒素の還元のためのさらなる可能性は、一酸化窒素貯蔵触媒コンバータの使用である。
【0055】
リーンにおいて、すなわち酸素が豊富な大気において、HC及びCO成分に加えて、一酸化窒素が、NOx貯蔵触媒コンバータにおいて存在する貴金属の触媒作用下で酸化されて、硝酸塩、例えば硝酸バリウムを形成するために、触媒コンバータ中に吸収され、従って排気ガス流から除去される。NOx貯蔵触媒コンバータの保持能力が消費される場合に、その時リッチな、還元した排気ガス混合物は、機関電子装置によって簡単に設定される(約10秒までの通常のリッチ操作)。一定の短い“エンリッチメント”の結果として、反応は、反対方向に起こり、貯蔵された一酸化窒素が再度排気ガス中に排出され、かつ還元成分、例えばHC−不完全燃焼した炭化水素−又は豊富な大気中に存在するCOによって還元される結果として、有利には窒素(N2)を形成する。
【0056】
この操作段階中に、貯蔵触媒コンバータは、三元触媒コンバータとして作用する。この方法において、触媒コンバータは、次の貯蔵サイクルのために再生される。このプロセスによって、経済的なリーン燃焼機関の汚染物質の放出を最少にすることができ、法律的に規定された放出限界を守る。一酸化窒素貯蔵触媒コンバータの保持容量は、NOxセンサーによって監視されてよい。一酸化窒素貯蔵触媒コンバータの操作の方式は、SAE文献SAE 950809において詳述されている。対応するNOxセンサーは、文献、Autoabgaskatalysatoren,Grundlagen−Herstellung−Entwicklung−Recycling[Automobile exhaust−gas catalytic converters、principles−manufacturing−development−recycling]、OEkologie、2005、Expert Verlag、2nd editionから推測される。
【0057】
NOx貯蔵触媒コンバータは、リーン燃焼ガス条件下で排気ガス流から言酸化窒素を除去し、ラムダ=1又は豊富な排気ガス条件下で一酸化窒素を放出及び転化することができる材料からなる。
【0058】
使用される一酸化窒素貯蔵触媒コンバータは、従って、長く当業者に公知である[EP0982066、EP1317953、WO2005/092481]。一酸化窒素貯蔵触媒コンバータ(NSC)の設計及び組成に関して、EP1911506及びEP1101528及びそれらに挙げられている文献における記載を参照できる。対応する触媒コンバータ材料は、当業者に公知の方法を使用して、共に、及び互いから分かれて被覆の形で、セラミック(例えばコーディエライト)又は金属からなるモノリシック、不活性な正方晶又は六方晶のハニカム体に適用される。該ハニカム体は、該ハニカム体の横断面を越えて密集した格子で配置され、かつ該ハニカム体の縦軸に平行に置かれた送風ダクトを有する。触媒活性被覆は、ハニカム体のリットル体積ごとに50〜450グラム(g/l)、有利には200〜400g/l及び非常に特に有利には250〜350g/lの濃度で送風ダクトの範囲を定めた、仕切りの壁表面に付着される。触媒コンバータ材料は、一酸化窒素貯蔵材料及び触媒的に活性のある成分を含有する。同様に一酸化窒素貯蔵材料は、事実上、支持材料上に高い分散状態で付着される一酸化窒素貯蔵成分からなる。貯蔵構成要素として、主に、一酸化窒素と反応して対応する硝酸塩を形成する、アルカリ金属の基本的な酸化物、アルカリ土類金属の基本的な酸化物、特に酸化バリウム、及び希土類金属の基本的な酸化物、特に酸化セリウムを使用できる。好ましい貯蔵材料は、Mg、Ba、Sr、La、Ce、Mn及びKを含む化合物である。触媒的に活性のある化合物として、通常、支持材料上で一般的に共に貯蔵構成要素に付着する白金群(例えばPt、Pd、Rh)の貴金属が使用できる。支持材料として、主に、活性のある、高表面積の酸化アルミニウムを使用できる。
【0059】
NOx貯蔵材料で被覆された壁面流フィルターの場合において、貯蔵及び放出/転化機能の双方が、被覆されたモノリスと比較して不十分な製造範囲に使用される。この方法において、実際の運転操作において、燃料消費の増加をもたらし、かつ車両のドライバビリティを逆に作用することができる、リーン操作時間は、非常に短い。さらに、フィルターを横切るNOxの全体の転化を非常に減少する、リーン段階中のフィルターを介したNOxの増加した漏出が予期されうる。NOx貯蔵充填レベルのモデリング又は測定、及びリーン段階の生じる終了は、計算によって、又はフィルターの下流に連結されたNOxセンサーによって行う。NOx貯蔵材料の再生のために開始されたリッチ段階の終了は、フィルターの下流のラムダセンサーによって通常行う。リッチ及びリーン段階の双方が、NOx貯蔵材料で被覆されたフィルターの場合におけるセンサーによって調整されるために、不十分に著しい漏出シグナルが、ここで非常に減少したNOx転化率を導く。
【0060】
SOx貯蔵:
一酸化窒素貯蔵触媒コンバータは、通常、排気ガス中の硫黄化合物によって不活性化される。特に、機関の燃焼室において生じた硫黄化合物が一酸化窒素貯蔵触媒コンバータの表面上に衝突する場合に、リーン大気中で、最初に、二酸化硫黄(SO2)又は三酸化硫黄(SO3)に転化される。酸化硫黄の吸収は、一酸化窒素貯蔵構成要素上で、又は酸化作用を有する構成要素上で直接実施してよい。一酸化窒素貯蔵触媒コンバータにおいて形成する対応する硫黄化合物が熱的に非常に安定であり、かつ、対応する硝酸塩と対照的に、分解することが困難であるために一酸化窒素貯蔵触媒コンバータを不活性化する前に、排気ガス中のSOxを最少化することが求められる。これは、第一に使用される燃料中の硫黄化合物の割合を最少化することによって、第二に実際の一酸化窒素貯蔵触媒コンバータ(NSC)の上流に特別な硫黄トラップを連結することによって実施される。
【0061】
排気ガス後処理の分野において、排気ガスから硫化水素及び一酸化硫黄の双方を除去することができる硫黄トラップは公知である。挙げられたように、それらの硫黄トラップは、有利には流量方向においてNOx貯蔵触媒コンバータの上流に配置され、かつNOx貯蔵触媒コンバータ中に通過することが可能であり、かつNOx貯蔵中枢を化学的に不活性化することが可能であることから硫黄成分を妨げることを意図している。いわゆる硫黄トラップは、硫黄のための高い貯蔵容量を有し、かつ触媒コンバータの上流の不活性化を妨げるために、硫黄を実質的に量的に吸収することができる必要がある。
【0062】
例えば、EP1959120及びEP1843016は、対応するSOxトラップが、粒子フィルターの上流に位置し、その際一酸化窒素触媒コンバータ(NSC)を有する、排気ガス後処理システムを記載している(EP1904721を参照)。種々の方法は、記載されている硫黄貯蔵の教示に関連するその開示に関して、この適用において含まれるようにみなされる、EP1911506に従う。該文献は、使用される一酸化窒素貯蔵材料の塩基性度の、特に酸化セリウムの添加による減少を提案している。主に、硫黄貯蔵のための貯蔵材料は、しかしながら、一酸化窒素貯蔵触媒コンバータのものとして同様に設計されている。特定の硫黄貯蔵材料の概要は、次の文献:EP1843016、EP1959120、EP0945165から推測してよい。
【0063】
NH3貯蔵:
SCR触媒コンバータは、リーン排気ガス条件下で、アンモニアと反応して、窒素を形成する、一酸化窒素を生じることを可能にする。SCR触媒コンバータは、通常、アンモニアのための貯蔵機能を有し、かつ遷移金属、又はバナジウムもしくはタングステンを含有する化合物で交換されてよい、ゼオライトを含有する。SCR触媒コンバータは、そのアンモニア貯蔵が少なくとも部分的に満たされる場合に、特に活性がある。アンモニアの排気部分への計量供給は、通常、直接SCR触媒コンバータの上流の排気部分中への外的投与装置によって実施される。超過した計量供給の結果としてのアンモニアの減少又は急速な温度上昇の結果としてのアンモニア放出は、できるだけ妨げられる必要がある。それというのもアンモニアが、非常に刺激臭を有し、かつ第二又は第三放出として、大気中に未処理のまま通過してはいけないからである。アンモニア貯蔵機能で被覆した壁面流フィルターは、自明に、同様に設計した流通モノリスよりも、大きいアンモニア減少を有する。
【0064】
例えば一酸化窒素貯蔵触媒コンバータに続いてSCR触媒コンバータを有する排気ガス後処理システムに関して、アンモニア(NH3)の一定の量を貯蔵することが可能であるようにSCR触媒コンバータを設計することが好都合であることが証明されている。かかる排気ガス後処理装置の形状は、例えばEP1687514において記載されている。該システムにおいて、一酸化窒素貯蔵触媒コンバータが、再生段階で少量のアンモニアを製造することも利点である。下流に位置しているSCR触媒コンバータがNH3貯蔵所を有する場合に、製造されたNH3は、前記NH3貯蔵所中に貯蔵されることができ、そして一酸化窒素貯蔵触媒コンバータの上流を漏出してきたNOxの続く還元のために利用できる。
【0065】
NH3を貯蔵するために使用するために好都合であることが証明されている材料は、当業者に公知である(US2006/0010857;WO2004076829)。アンモニアのための貯蔵材料として、有利には、微孔性の前記材料、いわゆる分子ふるいを使用できる。それらは、ゼオライト含有材料、例えばモルデナイト(MOR)、Y−ゼオライト(FAU)、ZSM−5(MFI)、フェリエライト(FER)、チャバサイト(CHA)及びβ−ゼオライト(BEA)、並びにリン酸アルミニウム(AIPO)及びシリコーンリン酸アルミニウムSAPO、又はそれらの混合物であってよい。それらは、有利には、遷移金属で、特に有利委は、鉄、銅、コバルト又は銀で変換され、かつアンモニアと一酸化窒素とのSCR反応を触媒化する。特に有利には、鉄及び/又は銅で変換された、ZSM−5(MFI)、チャバサイト(CHA)、フェリエライト(FER)SAPO−34及びβ−ゼオライト(BEA)を使用できる。アンモニア貯蔵材料として、バナジウム化合物、一酸化セリウム、セリウム/ジルコニウム混合酸化物、二酸化チタン及びタングステン含有化合物、並びにそれらの混合物を使用することもできる。
【0066】
H2S貯蔵:
硫化水素は、非常に低い濃度で不快な匂いを有し、かつ比較的高濃度で非常に毒性があるガスである。それらの二次放出は、したがって、車両の排気システムにおいて完全に除去されなければならない。この目的のために、種々のいわゆる“H2Sブロッキング触媒コンバータ”、又は対応するブロッキング機能をさらに備えた排気ガス触媒コンバータが、先行技術において提供されている。
【0067】
前記硫化水素貯蔵は、流量方向において三元触媒コンバータ又はNOx貯蔵触媒コンバータの上流に配置され、かつ硫化水素が大気中に未処理のまま通過することから妨げることを意図している。いわゆる硫化水素トラップは、豊富な排気ガス条件下で硫化水素に関する高い貯蔵容量を有し、かつリーン大気において、貯蔵した硫化水素を放出し、かつ該硫化水素酸化して一酸化硫黄を形成することができる。ここで、元素の周期律表の亜族I及びIIの、又は亜族VI〜VIIIの遷移金属、有利には元素Cu、Zn、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Ag、Pb、Pd、特に有利にはNi、Mn、Fe、Cuを含有する、触媒コンバータを使用できる。該金属は、金属酸化物上で、例えばドープされた、広い表面積酸化アルミニウム、又は混合酸化物上で堆積されてよく、又はゼオライトとの結合において使用されてよい。
【0068】
HC貯蔵:
排気ガス後処理システムに関連するさらなる貯蔵材料は、炭化水素(HC)のための貯蔵材料である。かかる材料は、同様に当業者によく知られている(KR20040042177)。ゼオライト含有材料は、通常炭化水素を貯蔵するために使用される。炭化水素は、排気ガスが冷たい(例えば冷却開始中に)間に吸収され、かつ高い排気ガス温度に達する場合に放出及び転化される。炭化水素の転化は、大部分は触媒中枢で、例えば貴金属で行われる。従って、通常、触媒的に活性のある中枢がさらに活性化しない場合に炭化水素を貯蔵するために、及び触媒中枢がそれらの着火温度に達する場合に該炭化水素を放出ために、酸化触媒コンバータ又は三元触媒コンバータに炭化水素貯蔵材料を統合することがある。この場合において、炭化水素貯蔵は、フィルター中及び下流のモノリス中の双方に、可能な触媒機能と共に統合される。
【0069】
炭化水素のための貯蔵材料として、微孔質固体、いわゆる分子ふるいを使用できる。遊離には、ゼオライト含有材料、例えばモルデナイト(MOR)、Y−ゼオライト(FAU)、ZSM−5(MFI)及びβ−ゼオライト(BEA)又はそれらの混合物を使用できる。それらは、有利には、H型又はNH5型で使用され、従って、遷移金属で変換されてもよい。ある場合において、それらは、貴金属、Pt、Pd、Ru、Re、Ir及びRhでドープされてもよい。特に有利には、ZSM−5(MFI)及びβ−ゼオライト(BEA)を使用できる。
【0070】
O2貯蔵:
酸素含有材料は、レドックス特性を有し、かつ酸化成分、例えば酸素又は一酸化窒素と酸化大気中で、及び還元成分、例えば水素又は一酸化炭素と還元大気中で反応することができる。酸素貯蔵材料の例は、セリウム及びプラセオジム、又はさらにジルコニウム、ネオジミウム、イットリウム及びランタンの群から選択される成分を含有してよい対応する混合酸化物を含む。それらの酸素貯蔵材料は、しばしば、貴金属、例えばPd、Rh及び/又はPtでドープされ、それによって貯蔵容量及び貯蔵特性が改質されうる。
【0071】
EP1911506は、実質的に化学量論的範囲で操作する内燃機関の排気ガス後処理の設計を記載している。酸素貯蔵材料で提供された粒子フィルターを使用できる。該タイプの酸素貯蔵材料は、有利には、セリウム/ジルコニウム混合酸化物からなる。さらに、特に希土類金属の酸化物が存在してよい。従って、本発明による粒子フィルターの好ましい実施態様は、さらに酸化ランタン又は酸化ネオジミウムを含有する。最も一般的には、Ce2O3として及びCeO2として存在してよい酸化セリウムを使用できる。この点について、US6605264及びUS6468941の開示を参照できる。
【0072】
酸素貯蔵材料は、有利にはいわゆる三元触媒コンバータ中で使用される。三元触媒は、通常、セリウムの酸化物からなり、かつおそらく熱的に安定な混合相とし他の金属酸化物(例えばCe/Zr混合酸化物)で使用される、酸素貯蔵材料を含む。それらは、リーン条件下で排気ガスから酸素を除去し、かつリッチ排気ガス条件下で再度排気ガスを放出することができる。この方法において、ラムダ=1からリーン範囲中に燃料/空気比の簡単な偏差中に、TWC減少を介してNOx転化及びNOx漏出が生じる。さらに、充填された酸素貯蔵は、HC及びCO漏出の発生を、排気ガスが簡単にリッチ範囲に通過する場合に妨げる。それというのも、リッチ排気ガス条件下で、貯蔵された酸素は、最初に、過剰なHC及びCOと、漏出が生じる前に反応するからである。この場合において、酸素貯蔵は、ラムダ=1付近の変動に対する緩衝物として供給する。半分充填された酸素貯蔵は、ラムダ=1からの簡単な偏差を奪うために最良な性能を有する。操作中の酸素貯蔵の充填レベルを検出するために、ラムダセンサーを使用する。充填レベルの決定及び酸素貯蔵の利用は、貯蔵材料が壁面流フィルターに適応される場合に困難である。
【0073】
酸素貯蔵容量は、全体の三元触媒コンバータのエージング状態に関連する。OBD(オンボード診断)の環境の範囲内で、貯蔵容量の決定は、存在する活性及び従って触媒コンバータのエージング状態の検出のために供給する。さらに、フィルターの下流の漏出シグナルを鈍く上昇することのみは、かかる触媒コンバータのOBDを困難にする。
【0074】
例えば、EP1227231は、酸素に関する最少の及び最大の充填レベルを含み、かつ内燃機関の排気部分に配置される三元触媒コンバータを操作するための方法を記載しており、その際、機関に供給される空気/燃料混合物は、触媒コンバータの酸素貯蔵構成要素の充填レベルが、最少及び最大の充填レベルの中央のノミナルな範囲で維持されるような方法で調整される。
【0075】
WO 02/26379は、粒子フィルターを使用するリーン燃焼機関の排気ガス中の一酸化炭素、炭化水素及びスス粒子を還元するための方法を記載しており、その際、スス粒子は、スス着火温度T2を有し、かつ粒子フィルターは、随時、スス着火温度及びスス粒子の燃焼よりも粒子フィルターの温度を上昇することによって再生される。使用される粒子フィルターは、ススの着火温度を下げるために、少なくとも1つの酸素貯蔵構成要素、並びに白金、パラジウム及びロジウムの少なくとも1つの白金群金属を含有する、触媒的に活性のある被覆で提供される。粒子フィルターの好ましい一実施態様において、被覆は、一酸化炭素及び炭化水素を還元するために供給し、かつ酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、ゼオライト又はそれらの混合物を含む群から選択される支持材料上に支持した、白金、パラジウム及びロジウムの少なくとも1つの白金群金属を含有する化合物の2群を含む。2つの物質群は、有利には、一方を他方の上に配置した2つの分離層で配置され、その際酸化触媒的に活性のある被覆は、フィルター基材の流入ダクトに直接適用され、かつスス着火温度を下げる被覆は、精製されるべき排気ガスが、最初にスス着火温度を減少する被覆と接触するように、該触媒的に活性のある被覆を覆って配置される。文献において記載されている酸素貯蔵材料は、有利には、それらの酸化状態で変化を可能にする材料である。前記タイプのさらなる貯蔵材料は、例えばWO05113126、US6387338、US585944、US7041622、EP2042225、US2009093796において記載されている。
【0076】
“被覆”という表現は、前記の壁面流フィルター又は流通モノリスの方法で構成されてよい、実質的に不活性の支持体上での触媒的に活性のある材料及び/又は貯蔵構成要素の適用を意味すると解されるべきである。被覆は、実際の触媒機能を行い、かつ通常高い分散状態で、温度安定な、高表面積の金属酸化物上で堆積される貯蔵材料及び/又は触媒的に活性のある金属を含有する。該被覆は、通常、貯蔵材料及び触媒的に活性のある成分の水性懸濁液−ウォッシュコートとも言われる−の、不活性支持体の壁上への又は壁中への適用によって実施される。懸濁液の適用後に、該支持体を乾燥し、そして適宜、高温で焼成する。該被覆は、1つの層からなってよく、又は支持体の1つに他の層上に(多層形状において)適用され、及び/又は互いに関して相殺する(領域において)多数の層から構成されてよい。
【0077】
酸素含有材料は、通常、三元触媒コンバータ調合物において使用され、従って酸化触媒コンバータ及び一酸化窒素貯蔵触媒コンバータと協同しても使用されてよい。
【0078】
炭化水素含有材料は、通常、ディーゼル機関の排気ガス精製のために使用される、酸化触媒コンバータにおいて使用される。しかしながら、炭化水素彫像が、特定の厳しい排気ガス基準に従うために、三元触媒コンバータと協同して使用される適用は公知でもある。
【0079】
アンモニア貯蔵材料は、アンモニアと一酸化窒素との反応を触媒作用して、リーン大気中で窒素を形成する、SCR触媒コンバータにおいて有利には使用される。
【0080】
硫化水素貯蔵材料は、有利には、三元触媒コンバータと協同して使用され、従ってSCR反応の触媒作用を有する触媒コンバータにおいても使用されてよい。かかるSCR触媒コンバータは、当業者によく知られている(WO2007/137675、US4961917、DE10335785)。SCR触媒アコンバータは、リーン排気ガス条件下で、一酸化窒素を、還元剤、例えばアンモニアの添加で転化して、選択的に窒素を形成することを意味すると解されるべきである。該触媒コンバータは、酸性酸化物を含み、かつアンモニアを貯蔵することができる。典型的なSXR触媒コンバータは、例えば酸化チタンに対して酸化バナジウム及び/又は酸化タングステンを含有する。代わりに、H−型で使用され、又は金属、例えば銅及び/又は鉄で変換されてよいゼオライトを考慮する。かかる触媒コンバータは、通常、触媒的に活性のある白金金属を有する。それというのも該金属は、リーン排気ガス中でアンモニアを酸化して、一酸化窒素を形成するからである。本発明による排気ガス精製システムのために、有利には、ゼオライトを含有するSCR触媒コンバータを使用できる。ゼオライトは、特に、アンモニアのための及び炭化水素のための大きい貯蔵容量を有する。それらは、従って、一酸化窒素を有する排気ガスの該成分の貯蔵及び転化に極めて適している。
【0081】
下流に配置され、かつ貯蔵機能を有する構成要素(2)が、構成要素(1)の上流に直接配置されないことに注意すべきである。センサー、注入装置、他の触媒コンバータ、混合器、バーナー及び熱交換器を含む群から選択される排気ガス後処理システムにおいて対面させた他の装置が、構成要素(1)及び構成要素(2)の間に配置されることも可能である。
【0082】
さらに、下流に配置されたモノリス(2)は、車両のアンダーボディー領域に配置されてよく、かつフィルター(1)は、機関の近くに配置されてよい。ここで、機関の近くは、機関から約1メートル未満離れた距離を意味し、かつアンダーボディー位置は、機関から1メートルを超えて位置する。さらに、さらなる触媒コンバータが、他の機能を有する2つの貯蔵媒体環に配置されてもよい。例えば、HC貯蔵機能を有するさらなる触媒コンバータが、酸素貯蔵機能で被覆されたフィルターと酸素貯蔵機能を有する下流の三元触媒コンバータとの間に配置されることが、好都合であってよい。さらに、アンモニア貯蔵能力を有する提供されたフィルターは、アンモニア貯蔵能力を有さないNOx還元触媒コンバータ又は代わりにさらに酸化窒素転化を増加するためにアンモニア貯蔵能力を有するさらなる触媒コンバータに続くNO2形成触媒コンバータに、直接続いてよい。さらに、酸化触媒コンバータは、2つのHC貯蔵構成要素間に配置されてよく、酸化触媒コンバータは、フィルター上で貯蔵された炭化水素の一部を酸化することができる。例えば、酸化窒素のための貯蔵容量を有するフィルターが、代わりにNOx貯蔵機能を有するモノリスによって下流に続くアンモニア貯蔵及びNOx還元機能を有するSCR触媒コンバータに続くことが好都合であってよい。かかる適用は、当業者に公知である(DE69804371、US2004076565)。
【0083】
フィルター及びモノリス間に別々に触媒コンバータ上に予め配置された前記タイプの触媒機能が、フィルター(1)の出口側に、又は下流の流通モノリス(2)の入口側に被覆として適用されることが同様に可能である。
【0084】
先行技術において、記載されている本発明によるシステムに関連する逆の配置が選択される、数多くのシステムが公知である。すなわち、対応する貯蔵機能を提供した流通モノリスは、対応する貯蔵機能を提供された壁面流フィルターの上部に配置される(例えばUS20090193796A1)。しかしながら、該配置は、被覆されたフィルター上の貯蔵材料の改良した利用をもたらすことはない(図3)。全体のシステムの貯蔵容量は同様に増加するが、被覆した壁面流フィルターの貯蔵容量は完全に利用されない。さらに、Toyota社は、例えば、NOx貯蔵材料で被覆された流通モノリスが、NOx貯蔵材料で被覆された壁面流フィルターの上流に連結されている、それらの市販のDPNRシステムにおけるかかるシステムを使用する。
【0085】
すでに前記で挙げられたように、被覆されたフィルターの場合において、貯蔵されるべき媒体の著しく早い漏出があり、かつ従って、貯蔵材料の不適切な利用である(図2)。前記問題は、さらなる触媒コンバータが、被覆されたフィルターの上流に同時に配置されることで解決され、さらなる触媒コンバータは、フィルターとして同一の媒体のための貯蔵機能を有する。この方法において、実施例において示されているように、貯蔵されるべき成分の多くが、貯蔵プロセスごとに貯蔵されうる。前記構成要素は、続く反応のためにより有利に利用可能になってよい。
【0086】
実施例において、貯蔵材料で被覆され壁面流フィルター、及び、それらの下流に配置された、対応する被覆された流通モノリス(その際、フィルター及びモノリスは、同体積を有し、かつ酸素貯蔵材料の同量で被覆される)を含有するシステムが、下流に配置されたフィルターを有する被覆されたモノリスを含む同一のシステムよりも、より効率的な貯蔵材料を使用することができることが、モデル計算に基づいて示されている。さらに、貯蔵されるべき媒体の漏出−この例における酸素貯蔵−は、著しく急勾配であり、結果として対応する貯蔵方法及びモニタリング方法をより簡単に適用することができる。さらに、フィルター(1)の下流に配置されたモノリス(2)に対する貯蔵材料の体積及び量の双方が、被覆されたフィルターが最適な可能な方法で利用されるように構成されるべきであることに注意する必要がある。実施例において見ることができるように(図4)、約60%小さい触媒コンバータの体積、又は下流のモノリスに対応するより低い貯蔵量は、対応して、上流のフィルターに対する貯蔵材料を使用することができることが十分である。被覆されたフィルターを介してより浅く操作する漏出シグナルを有する適用において、下流のモノ率は、対応してより大きく設計される必要がある。
【0087】
本発明によるシステム配置のさらなる記載された利点は、流通モノリスの下流の漏出シグナルを著しくより急勾配に操作することをもたらすことである。被覆されたモノリスの下流の連結の結果として貯蔵されるべき媒体の急勾配な漏出シグナルの結果として、システムの調整は、自明に、非常により簡単である(図2)。理論は、被覆された壁面流フィルターにおいて、存在する貯蔵材料が、完全に利用することができないことを示唆している。それというのも、壁における他の点よりも排気ガスに関してより大きい浸透率を有する壁面流フィルターの壁における大きい孔があるからである。前記点として、排気ガスは、より急速に壁を通過することができ、それらに隣接して配置された貯蔵材料は、対応して、支持壁に対してより低い透過率の点で局在化された貯蔵材料よりも、より急速に充填される。このためのさらなる説明は、壁面流フィルターにおいて、排気ガスに対して側面上に吸気ダクト中に配置された貯蔵材料が、さらにダクトの下流に配置された貯蔵材料よりもより急速に充填されることができる。この方法において、貯蔵されるべきガスの漏出は、ダクトにおいてより深く配置された貯蔵材料がさらに完全に充填されない場合に、フィルターの入口の近くにある。これは、最終的に漏出シグナルにおけるぶれを導く。該ぶれは、貯蔵されるべき成分のための濃度曲線の急勾配で証明される(図2)。
【0088】
同一の貯蔵機能を有するフィルターの下流の貯蔵機能を有する流通モノリスの配置を達成するさらなる目的は、従って、モノリスの下流で吸収される根気成分のより急勾配に続く漏出シグナルのために、より容易に触媒転化を診断することの能力である。連続して急勾配に続く漏出シグナルは、フィルターの下流に連結された流通モノリスが、貯蔵材料の量を含有し、又は対応する貯蔵容量を有し、フィルターを突破する貯蔵されるべき成分が、フィルター上での貯蔵構成要素を完全に充填するまで、モノリス上で完全に貯蔵される。この場合において、全体の漏出シグナルは、フィルターの下流よりもモノリスの上流で急勾配である。しかしながら、モノリスの下流の漏出シグナルは、貯蔵されるべき成分の漏出の開始でのみ、フィルターの下流よりもより急勾配で操作することもできる。それというのも、貯蔵材料を空にするための測定が、通常すでに早い時間で、例えば貯蔵されるべき成分の少ない量でさえが検出される場合に、開始されるからである。この場合において、下流のモノリスに対する少量の貯蔵容量でさえ、少なくとも漏出の開始で、及びそれぞれの操作段階の終了の時間で、漏出シグナルをより急勾配に操作することを提供するために十分である。貯蔵されるべき媒体としてアンモニア又は硫化水素の場合において、目標値は、通常、排気ガス中で10〜150ppmの濃度である。酸素貯蔵材料を含有するシステムの調整において、目標値は、400〜750mVの電圧であり、0.98〜1.02のラムダ値である。当業者は、フィルターの、及び適用に従った下流のモノリスの貯蔵容量を構成する。
【0089】
全体で、システムをより容易に診断する可能性に加えて、改良した貯蔵性能が、貯蔵材料の同量を使用して得られ、又は反対の状況で、貯蔵材料上に蓄え又は不十分な貯蔵性能を有する安価な貯蔵材料を使用する間、同一の貯蔵性能を達することができるような、システム配置の使用の結果として、有利には排気ガス後処理システムを使用することが可能であることに注意する必要がある。かかる利点の効果は、適用の時点で先行技術における情報を基礎とした、当業者に少しも明らかではなかった。
【0090】
通常、当業者は、例えば、通常より大きい壁圧のためにより遅い暖機の挙動を有する、被覆されたモノリスの暖機が、被覆されたフィルターの暖機よりもより急速に実施され、かつ従って、排気システムの精製機能が、冷却開始後により急速に使用可能であるために、流量方向においてフィルターの上流に被覆されたモノリスを配置することがより好都合である。前記配置は、例えばUS2009193796において記載されている。
【0091】
フィルター上の貯蔵媒体の量及び使用の程度に依存して、貯蔵材料の確かな量が、できるだけ完全にフィルター上の貯蔵材料を使用することができるために、モノリスの下流で使用してよい。下流に配置された流通モノリス上の少量の貯蔵材料が、壁面流モノリス上の貯蔵材料の最適な利用を得るために十分であることは、当業者に明らかではない。同様に、適宜終了点で、より急勾配なシグナル分布をもたらすために、排気システムの有利な調整可能性を得ることが、本発明によるシステム及び方法で可能である。本発明による排気ガス精製システムの関連する利点は明白であり、かつ先行技術の教示に基づいて当業者によって直接予期されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】実施例の方法による、モノリス(2)の上流のフィルター(1)を有する本発明によるシステムは一を示す図。
【図2】実施例の方法による、酸素貯蔵材料で被覆された壁面流フィルター上の、及び酸素貯蔵材料を含有する流通モノリス上の酸素の貯蔵をどのように行うかを示す図。
【図3】酸素貯蔵上の酸素(O2)の貯蔵挙動を実施する実施例を示す図。
【図4】酸素貯蔵材料を含有するフィルターの下流の酸素のシグナル(点線)を示す図。
【0093】
図面:
図1は、実施例の方法による、モノリス(2)の上流のフィルター(1)を有する本発明によるシステムは一を示す。
【0094】
図2は、実施例の方法による、酸素貯蔵材料で被覆された壁面流フィルター上の、及び酸素貯蔵材料を含有する流通モノリス上の酸素の貯蔵をどのように行うかを示す。該図は、それぞれの場合に、触媒コンバータ(O2in)の上流の酸素の測定された量によって分けられる触媒コンバータ(O2)の上流の酸素の量として、それぞれの構成要素の下流の酸素の漏出シグナルを示す。本発明の計算において、酸素貯蔵材料の同量が、フィルター上及びモノリス上に存在する。貯蔵された酸素の合計量、すなわち双方の構成要素上の貯蔵容量は、同一である。しかしながら、フィルターを介した酸素漏出(点線)は、モノリス(実線)介するよりも早く始まり、かつモノリスの下流の漏出曲線は、フィルターの下流よりも非常に急勾配である。実際の条件下で操作される排気ガス後処理システムにおいて、貯蔵段階は、触媒コンバータの下流に貯蔵されるべき成分の最小の漏れを記録する場合に、終了させる。モノリスを介した貯蔵は、フィルターの下流の酸素漏出の検出までの約2秒に関連して、より長い間−漏出するまで約2.7秒−操作する。モノリス上の酸素貯蔵材料は、従って、フィルター上の酸素貯蔵材料よりも効率的に使用される。
【0095】
図3は、酸素貯蔵上の酸素(O2)の貯蔵挙動を実施する実施例を示す。それぞれの場合において、酸素貯蔵要素の同量は、壁面流フィルターに、及び流通モノリスにも適用されている。2つの構成要素の貯蔵挙動は、モノリスの下流に配置されたフィルター(点線)で、及びフィルターの下流に配置されたモノリス(実線)で算出される。モノリス+フィルターのシステムの漏出シグナルは、フィルター+モノリスの漏出シグナルよりも低い急勾配であることが見いだせる。フィルター+モノリスのシステムにおいて、彫像材料の92.1%が、貯蔵された成分の漏出が生じる前に使用されるが、一方でモノリス+フィルターのシステムにおいて、貯蔵媒体の72.7%のみが、漏出前に使用される。これは、好ましい適用(フィルター+モノリス)において、下流のモノリスが、モノリス+フィルターの配置におけるフィルターよりも19.4%多く貯蔵材料を使用することを意味する。前記システムにおける同一の貯蔵量のために、従って、9.7%より多くの貯蔵材料が、本発明による実施態様において使用され、かつ貯蔵されるべき化合物の漏れ(酸素の場合に)が、例えば下流に配置された酸素センサーによって、システムの調整及びモニタリングを著しく単純にする、著しくより急激に操作するシグナルで実施される。
【0096】
図4は、酸素貯蔵材料を含有するフィルターの下流の酸素のシグナルを示す(点線)。フィルター上の全体の貯蔵材料の最適な使用は、フィルター上の貯蔵材料の貯蔵容量が100%排気される場合に、下流のモノリスが、該モノリスの下流に貯蔵されるべき成分の漏出が生じる貯蔵材料の量を正確に含む場合に、図4における実線において示されているように実施される。4秒後に、フィルターを介した酸素の100%の漏出があり、一方でモノリスの下流の漏れがちょうど開始する。この実施例において、モノリスは、フィルターの貯蔵量の約40%を有し、かつしたがって、フィルター中の貯蔵材料の約33%を既に使用することができる。個々で、酸素の漏出までの時間は、2秒から約4秒までと、事実上2倍である。貯蔵されるべき成分のより早い漏出は、フィルターを介して行われ、かつフィルター上のより少ない貯蔵媒体が使用され、下流モノリスの貯蔵量をより高くするべきである。費用の理由から、フィルター上の貯蔵媒体の少なくとも70%が、下流のモノリスを介した漏出が行われる前に使用されることが好都合である。対照的に、既に前記で挙げられたように、改良した診断可能性を使用するために、下流のモノリス上の少量の貯蔵容量でさえが、モノリス中のフィルターを介する漏出の開始のみを遮るために及び漏出シグナルが少なくとも開始時により急勾配に上昇することを提供するために十分であってよい。従って、構成要素(2)に対する貯蔵容量が、漏出シグナルが、測定を開始する予め定義された目標値までだけ比較的高い勾配を有するように構成されることは、当業者に明白である。それというのも、構成要素(2)に対するより高い貯蔵容量が、目標値の点で漏出シグナルの勾配をさらに上昇しないが、しかしフィルター上の貯蔵材料の、及びフィルター+モノリスの全体の貯蔵容量の使用のみが増加するからである。
【0097】
図2及び3の漏出曲線を計算するための形式の記載
使用したシミュレーションモデルは、それぞれ場合に1つの吸気ダクト及び吐出しダクトを有するそれぞれの部分、並びに2つのダクト間の壁における濃度に関する平衡方程式を解く。かかるモデルは、Votsmeier, M.; Gieshoff, J.; Koegel, M.; Pfeifer, M.; Knoth, J. F.; Drochner, A.; Vogel, H. Wall−flow filters with wall−integrated oxidation catalyst: A simulation study. Appl Catal B 2007, 70, 233において詳細に記載されている。
【0098】
挙げられた文献は、貯蔵効果を有さない触媒反応を扱う。壁(例えば酸素貯蔵所)における貯蔵効果を記述するために、壁において貯蔵された成分のための追加の平衡方程式が解かれる。貯蔵した成分に関する分散も転化も考慮に入れる必要がないために、前記平衡方程式は、
【数2】
[式中、rは対応する貯蔵反応の反応速度を表す]に簡略化される同一の反応速度も、フィルター壁におけるガス状成分に関する平衡方程式中でみられる:
【数3】
【0099】
式2における残りの記号を説明するために、前記で挙げた参考文献を参照する。前記反応速度は、提供した実施例において
【数4】
[式中、cgは、吸気濃度に関連して規準化された、無次元のガス相、例えばガス相における酸素の濃度を示し、Cstoredは、壁における貯蔵された成分の濃度を示し、CMAXは、壁の最大の貯蔵容量を示す]のように計算される。Cstored及びCMAXは、同様に無次元であり、かつ特にガス相成分の吸気濃度を基準として規定される。
【0100】
流通モノリスのモデリングは、同様に、前記文献と同様に実施する。さらに、文献において論じられた触媒ガス相反応を、貯蔵反応に置き換える(式1〜2に対応)。貯蔵反応の速度は、式3によってさらに算出される。
【0101】
特定の実施例に関する相対パラメータは以下である:
空間回転数:37500 h−1
温度:400℃。
【0102】
壁面流フィルターに関して:
セル密度:300cpsi
壁厚:0.33mm
壁における分散計数:1E−5 m2/s
k:100 s-1
CMAX:111
【0103】
流通モノリスに関して:
セル密度:400cpsi
壁厚:0.1mm
ウォッシュコート層の厚さ:60μm
ウォッシュコートにおける分散計数:3E−6 m2/s
k:100 s-1
CMAX:182
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、有利には触媒的に活性のある機能を提供する、順に貫通流モノリス(流通モノリス)が続く、有利には触媒的に活性のあるプラスチックフィルター(壁面流フィルター)を含む、排ガス後処理システムに関する。双方の構成要素は、内燃機関の排気ガスにおいて存在するガス状物質のための同一の貯蔵機能を有する。前記システムは、特に、双方の主に希薄式の内燃機関の及び主に化学量論的空気/燃料混合物で操作される内燃機関の排気ガスからの粒子並びに汚染物質の同時除去に適している。同様に、排気ガス後処理のためのシステムの製造方法及び使用を記載している。
【0002】
自動車両の排気ガス中に含まれる放出物を、3つの群に分けることができる。“一次放出物”の表現は、機関内の燃料の燃焼プロセスによって直接発生し、かついわゆるシリンダー外部での未処理の排気ガス中に存在する有毒ガスを言う。希薄燃焼機関の未処理の排気ガスは、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)及び酸化窒素(NOx)の通常の一次放出物に加えて、15体積%までの比較的高い酸素含有率を含む。それらは、スス残留物及び有機アグロメレートを含み、かつシリンダー中に部分的に不完全な燃料燃焼を生じる、粒子放出であってよい。“二次燃焼物”は、排気ガス精製システムにおける副産物として発生しうる有毒ガスを言う。第三の群は、例えば触媒コンバータ表面(DeNOx、SCR)を介する一定の一次ガス又は二次放出ガスとの反応を作用させるために排気ガスに積極的に添加される排気ガス構成要素を含む。
【0003】
主に化学量論的空気/燃料混合物で操作される内燃機関の排気ガスは、従来の方法で、三元触媒コンバータによって精製される。これらは、前記機関の3つの重大なガス状汚染物質、特に炭化水素、一酸化炭素及び酸化窒素を、無毒成分に同時に添加することができる。炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)及び一酸化窒素(NOx)のガス状汚染物質を除いて、ガソリン機関の排気ガスは、燃料の不完全燃焼を生じ、かつ実質的にススを含む、極めて細かい粒子(PM)も含む。
【0004】
呼吸できる極めて小さい粒子(“細塵”)と関連する潜在的な健康リスクのため、ガソリン機関のための許可された粒子放出の限界は、2009年からの欧州においてEU−5排気ガス基準の導入で既に適している。ディーゼル機関のための存在する粒子質量の限界値に加えて、ディーゼル機関のためのより臨界的な粒子計数限界値による限界値の拡張は既に同意されている。電気着火機関のために、前記限界値は、現在未だ審議中である。従って、欧州及びおそらく北米及び日本において適用可能な自動車のための法定の排気ガス制限値の遵守は、今後は、排気ガスから有毒ガス、特に一酸化窒素の除去(“脱窒素”)だけでなく、粒子の効果的な除去も要求する。
【0005】
一酸化炭素及び炭化水素の有毒ガスは、比較的容易に、適した酸化触媒コンバータでの酸化によって希薄燃焼ガスから無毒にさせることができる。さらなる触媒活性コーティングを有する及び有しない粒子フィルターは、粒子放出物を除去するために適した装置である。窒素を形成するための一酸化窒素の還元は、希薄混合気内燃機関の排気ガス中の高い酸素含有率のためにさらに難しい。公知の方法は、一酸化窒素貯蔵触媒コンバータ(NOx貯蔵触媒、NSC)の使用又は通常、還元剤としてアンモニアによって、SCR触媒コンバータと略される、適した触媒コンバータ上での選択触媒還元(SCR)のための方法に基づく。前記方法の組合せは、例えば、アンモニアが、豊富な操作条件下で上流の一酸化窒素貯蔵触媒コンバータ上で二次放出物として生じ、アンモニアが、下流に配置されたSCR触媒コンバータ中に最初に貯蔵されて、そして続く希薄操作相中で一酸化窒素貯蔵触媒コンバータを通って一酸化窒素を還元するために使用されることも公知である。DE 102007060623は、脱窒素装置を有する排気ガス精製システムの先行技術の多くの別形を記載している。
【0006】
自動車両の排気ガス後処理の分野において、有利にはディーゼル車両において、スス粒子を減少するための壁面流フィルターとして公知であるものを使用する。かかるフィルターは、被覆無しに、又は触媒被覆で使用されてよい。炭化水素及びCOを酸化させる、有利には一酸化窒素(NO)を酸化して、二酸化窒素(NO2)を形成することができる酸化触媒の形での触媒被覆は、通常である。
【0007】
将来の法律は、しかしながら、全ての生じる有害な放出物、例えば粒子、HC及びCO及びNOxを、可能な限り減少させることを必要とする。最適な可能な方法における後処理システムのためのこの目的のための車両において使用可能な設置スペースを使用することができるために、さらなる触媒機能を提供させるために使用される壁面流フィルターのための将来性を必要とする。従って、既に、主題が酸化触媒的に活性のある被覆及び/又はスス添加温度を減少する被覆を有する粒子フィルターに関する、多くの特許明細書がある(Catalytically Activated Diesel Particular Traps、Engler et al.、1985年、SAE850007)。しかしながら、他の触媒的に活性のある材料での粒子の被覆は、徐々に考えられてもいる(酸化触媒的に被覆されたフィルターに関してEP1309775;TWC材料で被覆されたフィルターに関してEP2042225、EP2042226、US2009093796;NOx貯蔵触媒で被覆されたフィルターに関してEP1837497又はEP1398069;SCR触媒で被覆されたフィルターに関してWO08106523及びEP1663458)。いくつかの適用、例えばUS 2006/0057046において、フィルター基材の排気ガスの背圧の問題も考慮に入れている。ここで、触媒被覆の特別な空間的配置によって、ほとんど均一な、フィルター壁を介した排気ガスの可能な流量が、構成要素の全体の長さを超えて生じる。
【0008】
EP1300193の特許は、双方の側面で触媒的に被覆され、かつ開孔構造を有する多孔質の支持体壁を通過する排気ガスで内燃機関の排気ガス中の汚染物質の触媒転化のための方法を記載している。ここで、支持体自体は触媒的に活性な材料からなってよい。前記方法の特別な実施態様は、化学量論的に操作した内燃機関の排気ガスの精製に適している。ここで、基材は、一酸化窒素、炭化水素及び一酸化炭素を同時に転化することができる三元触媒被覆(これ以上詳細に明記されていない)を提供する。
【0009】
WO 00/29726は、触媒的に活性のあるフィルターを提供する、ディーゼル排気ガスの精製のための装置を記載している。前記フィルターは、第一の白金群金属及び第一のセリウム化合物を含有する第一触媒コンバータを含む。前記装置は、第二のセリウム化合物を含有する第二触媒コンバータも有する。実施態様は、双方の触媒コンバータがフィルター基材上に配置されていることが記載されている。このシステムは、第二の触媒コンバータにおいて含まれるセリウム化合物によって、ディーゼル粒子物におけるスス粒子に付着する揮発性有機成分(“揮発性有機留分”VOF)の割合が、酸化によって取り除かれうることを特徴とする。したがって、特定の好ましい実施態様において、第二の触媒コンバータは、触媒的に活性のあるディーゼル粒子フィルターの上流に配置される。
【0010】
使用される触媒被覆において、従来の触媒的に活性のある貴金属を除いて、排気ガスから一定の成分を分離又は吸収することができる材料が、常に大きな役割を果たしている。該排気ガス成分は、例えば、炭化水素、一酸化窒素、アンモニア、硫黄化合物及び酸素であってよい。現在の希薄燃焼機関(例えばディーゼル機関)は、将来的に徐々に、SCR触媒コンバータ又はNOx貯蔵触媒コンバータを使用するNOx後処理システムを備える。SCR触媒コンバータは、通常アンモニアのための貯蔵機能を有し、かつNOx貯蔵触媒コンバータは、一酸化窒素の貯蔵機能を有する。いくつかの適用において、下流に配置された触媒コンバータの失活を妨げるために排気ガスから硫黄を分離又は吸収することができるいわゆる硫黄トラップも要求する。非常に厳しい排気ガス規制のために、いわゆる炭化水素アキュムレータを使用することを必要としてもよい。該アキュムレータは、例えば冷温開始中の低い排気ガス温度で、排気ガスから未燃焼の炭化水素を分離し、そして再度より高い温度で未燃焼の炭化水素を転化する。電気着火機関の排気ガスの排気ガス後処理のために、酸素に関する貯蔵機能を有する三元触媒コンバータを使用する。
【0011】
記載されている触媒的に被覆された粒子トラップに加えて、触媒的に活性のある粒子トラップ及びさらにそれらの下流に触媒コンバータを有するシステムも公知である。前記配置の利点は、多数の触媒的に活性のある機能性及び要求される粒子の移動を、2つの装置のみで省スペース法で適合することができる事実である。公知の装置の大半は、さらに粒子トラップを粒子フィルターの被覆と異なる触媒機能を有する装置に続かせる酸化粒子トラップ及び/又はスス着火被覆を提供する粒子トラップである。それらは、例えば、下流の窒素貯蔵触媒コンバータ(NSC)に続く触媒的に活性のあるディーゼル粒子フィルターに対する多くの文献において引用される(WO08121167、EP1606498、EP1559879等)。
【0012】
貯蔵システムの全ての適用において、貯蔵媒体をできるだけ完全に使用することができる方法で、排気システムにおいて適応されることが、それぞれの貯蔵機能に必要であり、結果として、費用の低減、排気システムの逆圧における低減及び触媒コンバータの改良された暖機を導く、触媒コンバータ量を小さく維持することができる。挙げた貯蔵材料は、従来の概念におけるような、実際の触媒活性機能に埋め込まれる。該貯蔵材料の操作の形式は、通常、第一の層において、内燃機関の排気ガスからの成分の貯蔵を、例えば酸素、一酸化窒素又は硫黄成分の貯蔵中に実施し、そして貯蔵容量に達した場合に、排気ガスの異なる組成物を加える(特にリッチ/リーン変換)ことである。貯蔵された成分は、結果放出され、そして触媒活性機能によってそれらの付近で無害な排気ガスに転化される。さらに、既に示したように、前記貯蔵は、触媒コンバータ中の一定の排気ガス成分を豊富にするために、及び該成分を、他の排気ガス成分と反応することを可能にするためにも使用され、例えばアンモニアが、一酸化窒素と反応することを可能にするために貯蔵される。いくつかの貯蔵は、一時的に排気ガスに戻る低温で貯蔵された成分を放出するために、下流に配置された触媒コンバータがそれらの作業温度に達するまで、単に排気ガス成分を維持するためも供給され、そして、さらに、該成分は、例えば炭化水素及び一酸化窒素の場合においてそうであるように、下流の触媒コンバータによって転化される。
【0013】
それぞれの機能性によって、ある貯蔵媒体(例えばNSC、一酸化窒素貯蔵触媒コンバータ)は、従って、さらに、時々それらの機能化が損なわれないために空にさせる必要がある。他の貯蔵媒体は、排気システムの触媒機能をうまく実施する(例えばNH3をSCR触媒コンバータ中に貯蔵する)ために充填される必要がある。この目的のために、貯蔵媒体が充填されているか又は空であるかを検出する、種々の調整システムを使用する。貯蔵媒体の充填レベルの検出は、適したセンサーによって、又はモデル計算によって行われてよい。最も正確な可能な調整を可能にするために、しかしながら、貯蔵されるべき媒体を介して貯蔵されるべき排気ガス成分の漏出が、その貯蔵が事実上満たされている場合に、理論的に最初に行われる。この方法において、貯蔵を介して貯蔵されるべき成分の漏出が検出される場合に、対応する要求された工程が、直ちに開始されうる。
【0014】
車両における排気システムの操作のための重要な判断基準は、連続的に例えば触媒コンバータの機能性に関する分野におけるシステムを監視する能力がある。立法者によって規定されたこの“On Board Diagnosis(オンボード診断)”(OBD)は、車両が自己モニタリングのための自己電子システムを有することを規定している。最近の調整は、モニタリングのモニタリングまで及ぶ。前記基準は、診断を規則正しく耐用年数にわたって実施することができない懸念がある。従って、通常診断を実施し、かつ一定のモニタリングの割り当てを事前に定義するかどうかを記録させる必要がある。
【0015】
触媒コンバータの効率的な診断のために、センサーは、貯蔵機能が、十分な有効性で実施されているかどうかを調査するために、触媒コンバータの排気セクションの下流に配置される。三元触媒コンバータを監視するために、例えば排気ガス中の酸素含有率を測定するいわゆるラムダセンサーを使用する。酸素貯蔵における三元触媒コンバータの効率の減少は、その減少が、機関制御装置において貯蔵された限界値の超過の場合には、運転表示における示度及びできる限り緊急操作モードの状態への機関の切り替わりを導くことができる、センサー及び機関制御装置によって検出されうる。今後は、触媒コンバータのきれいな診断のための能力が、OBD閾値が常に低く設定されるために、さらにより重要になる。良好なモニタリング能力のための装置特性は、触媒コンバータにおける対応する貯蔵が排気される場合に、触媒コンバータの下流を通り抜ける物質のシグナルを、きれいに、急速に上昇し、又は減少することである。壁面流フィルターに適用され、かつ酸素貯蔵材料を有する三元触媒の場合において、非常に診断能力を妨げる酸素の通過は、比較的速く、かつ非常に急な勾配でなく実施する。さらに、ラムダセンサーの測定の正確さは、かかるシステムにおいて、診断の診断(センサーの機能のモニタリング)を妨げる、車両の耐用年数を超えたドリフトを受ける。
【0016】
触媒的に活性のある被覆における一定の貯蔵機能を作用させる材料として、一次的に発生した又は二次的に発生した成分、一酸化窒素(NOx)、アンモニア(NH3)、硫黄成分(例えば硫化水素(H2S)及び酸化硫黄(SOx))、酸素(O2)及び炭化水素(HC)を貯蔵する能力がある材料が、特に興味深い。
【0017】
全体として、もはや、内燃機関のための最新の排気ガス精製システムにおけるかかる貯蔵材料の使用を省くことが考えられる。適宜、同一の反応がフィルター基材上で又は下流の触媒コンバータ上でも触媒作用を有し、かつ同一の貯蔵材料が双方の装置上で使用される、触媒コンバータに続くフィルターの燃焼におけるかかる材料の使用に関して、Toyota社からの2つの出願(EP1843016、EP1959120)を参照できる。前記出願は、それぞれの場合において、内燃機関の排気部分において配置されている1つの粒子フィルターを記載している。内燃機関の排気ガスは、粒子フィルターを介して伝わる。粒子フィルターは、一酸化窒素貯蔵機能及び一酸化窒素還元機能を備える。前記開示によって、この方法において製造されたフィルターは、さらに同様に一酸化窒素貯蔵機能及び一酸化窒素還元機能を備えた流通触媒コンバータに続く。前記の配置は、個々の触媒コンバータと共に燃焼のために要求されるものの再生のための燃料の割合を減少することができるために、明確に提案されている。しかしながら、貯蔵材料の効率的な使用に関する報告はない。
【0018】
従って、本発明の目的は、環境面及び/又は経済面から先行技術のシステムに対して優れている、内燃機関の排気ガスのための排気ガス後処理システムを規定することであった。特に、排気ガス中に存在する一定の化合物が、貯蔵能力の最適な使用で使用され、それによって、遅い時間で要求される転化のためにより十分な量で該化合物を提供するために、貯蔵材料において貯蔵されることが所望される。同時に、自動車における構造状態を考慮に入れるべきである。OBD能力及び調整可能性に関して、最も明確な可能なシグナル検出を所望する。
【0019】
前記目的及び先行技術から浮上するさらなる目的は、請求項1の特徴を有するシステムによって達せられる。好ましい実施態様は、請求項1の後ろに関連する従属請求項から明らかになる。請求項6及び請求項8は好ましい使用を目的としている。
【0020】
構成要素として壁面流フィルター(1)及び、それらの下流に、構成要素として流通モノリス(2)を有し、その際、双方の構成要素(1)及び(2)が、排気ガス中に存在する、SOx、NOx、NH3、O2、HC、H2Sを含有する群から選択される、同一の化合物のための少なくとも1つの貯蔵機能を有し、構成要素(2)における貯蔵容量が、構成要素(2)の下流の漏出シグナルが、排気ガス化合物を考慮してそれぞれの末端で診断基準をもたらす濃度曲線の最も高い勾配を有する一方で、できるだけ少ない貯蔵材料を使用するように設計されるべきである、内燃機関のための排気ガス後処理システムを提供することによって、まず、全体のシステムの構造サイズが、種々の機能(排気ガス中に存在する、挙げられた粒子のフィルタリング及び化合物の貯蔵)が、最適な方法で組み合わされるために、制限内に維持されることが可能である。第二に、使用される貯蔵材料の使用が、本発明によるシステムレイアウトの結果として最も良好な可能な方法で補助される。これは、公知の技術の背景に対して、当業者に明らかではない。
【0021】
貯蔵材料、例えば酸素貯蔵材料(OSC)を含有する被覆された壁面流が、被覆された流通モノリスとは異なる貯蔵挙動を有することが観察されている。動的貯蔵試験において、壁面流フィルター上の貯蔵材料は、完全に使用することができない。それというのも、貯蔵されるべきガスが、明らかに、非常に速く完全に吸収されずにフィルターを通過して貯蔵されるからである。
【0022】
これは、貯蔵されるべきガスの漏出が、同一の貯蔵材料で被覆された流通モノリスよりも速く生じることを意味し、その際貯蔵されるべき媒体の漏出は、最初に、貯蔵材料を実質的に充填する場合に生じる(図2)。貯蔵材料を含有する壁面流フィルターの最大の可能な貯蔵容量は、従って、しばしば、フィルターの設計(例えば、体積、形状、多孔率、壁厚、平均孔直径及び孔直径分布)及び貯蔵媒体の吸収力学に依存して、約30〜70%だけで使用される。貯蔵材料の同一の量が、被覆された流通モノリスに適用される場合に、最大の貯蔵容量70〜95%が、実際の適用において使用されうる。
【0023】
さらに、排気ガス後処理システムの調整は、貯蔵材料で被覆された壁面流フィルターの場合において、貯蔵材料で被覆された流通モノリスの場合におけるよりも、非常に異なる。被覆されたフィルターの場合において、貯蔵されるべき構成要素の漏出は、非常により急速に生じる。従って、貯蔵媒体の空/充填を要求する可能性は、非常に速い調整戦略によって開始されることが必要である。ある状態下で、これは、追加の燃料を要求し、かつ/又は他の汚染物質放出において増加させる。さらに、貯蔵材料を含有するフィルターの下流に貯蔵されるべき構成要素の漏出シグナルの分布は、フィルターの下流の吸収されるべき構成要素の濃度における上昇が、貯蔵材料を含有するモノリスの場合においてほとんど急速ではなく上昇することにおいて異なる。ゆっくりと上昇するシグナルは、しかしながら、辛うじてさらに前記タイプのシステムの調整を妨げるセンサーによって検出されることができる。
【0024】
壁面流フィルター上のそれぞれの貯蔵材料は、しかしながら、流通モノリスが、同様に吸収されるべき同一のガスのための貯蔵機能を有する、例えばハニカム体の流通モノリスが、フィルターの下流に連結される場合に、より完全に使用されることができる。下流のモノリスが、吸収されるべきガスの被覆されたフィルターを介して横取りする事実の結果として、吸収されるべきガスは、大気中への妨げられていない通過から防がれる。さらに、延長した吸収相の結果として、フィルターにおける貯蔵媒体が、さらに充填され、かつしたがって、最良の場合において、吸収されるべきガスの漏出が、下流の流通モノリスで生じるまで、100%まで使用される(図3)。
【0025】
適用に依存して、壁面流フィルターは、種々の材料からなってよく、かつ種々の体積、壁厚、多孔率及び孔の半径分布を有する。触媒的に活性のある材料の、及びさらにフィルター上で収容されることができる貯蔵構成要素の可能な量は、従って、適用から適用まで著しく変動する。フィルターを介する動的圧力が、触媒的に活性のある材料の割合を増加しながら上昇することができることから、通常、できるだけ低い排気システムの過度に高い動的圧力から得られる機関の電力損失を維持するために、フィルター上での比較的低い貯蔵材料の量を維持することが都合がよい。
【0026】
本発明に従って、流通モノリス(2)が、モノリスの下流の漏出シグナルが最も高い勾配を有する、対応する材料の形で、正確に貯蔵容量に対して適用されることが、対費用効率の高い溶液として提案される。すなわち、構成要素(2)の貯蔵容量は、構成要素(2)の下流の漏出シグナルが、それぞれの貯蔵材料を有する対応するモノリスで達せられうる最も高い勾配を有するように構成される。モノリス(2)に対する貯蔵容量のさらなる増加の場合には、漏出シグナルにおける比較的急勾配な上昇は、もはや得られない。この点について、“最も高い勾配”は、貯蔵材料の容量の全体の範囲を超えて平均化した漏出シグナルの勾配を意味すると解されるべきである。これは、絶対点の値として解されるべきではなく、むしろ5%まで、有利には3%まで、及び特に有利には2%までの最も高い達成可能な勾配の値(エラー耐性)だけ下方向において変動してよい。図4は、構成要素(2)の貯蔵容量が、構成要素(1)の全体の貯蔵を使用するために構成される必要があるかどうかを実施例として示している。ここで、構成要素(2)の下流の全体の漏出シグナル(実線)は、構成要素(1)(点線)の下流要理も急勾配であり、かつ構成要素(2)で得られ、かつ貯蔵材料を提供することができる最も高い勾配を有する。貯蔵容量におけるさらなる増加は、さらに右に、構成要素(2)の下流の示された漏出曲線に対しておよそ平行に漏出曲線をシフトするが、さらなる勾配の増加はない。
【0027】
有利には、構成要素(2)の貯蔵容量は、構成要素(1)の貯蔵容量の効果的な使用を確実にするために、及びシステムの調整のための最良な可能な検出シグナルを有し、並びに機関の全ての関連する操作点を越えたOBD目的のために、必要な寸法に形成されなければならない。それぞれ、証明のための関連する試験サイクル及び関連するOBDマッピングマトリックスにおける、機関の全ての操作点のために、構成要素(2)の貯蔵容量を設計することが特に好ましい。これは、構成要素(2)の貯蔵容量が、最悪の場合の機関操作点を最適化させる必要があることを意味し、その際、構成要素(1)の貯蔵の効率は最も低く、かつ構成要素(2)の下流の検出シグナルは、それぞれ、構成要素(1)の貯蔵容量の完全な使用及び機関の全ての関連する操作モード中のシステムの最良な調整を確実にするために、最も低い傾斜を示す。
【0028】
貯蔵されるべきガス状のNOx、SOx、NH3、HC、O2及びH2Sに関して、構成要素(2)における貯蔵容量は、濃度曲線の最も高い可能な勾配が、排気ガス成分を考慮して、それぞれ終了基準で生じるように設計されるべきである。酸素に関する終了基準は、例えば、リーンからリッチへの又はリッチからリーンへのラムダシグナルにおける変化、例えばラムダ=1である。NOx、NH3、SOx、H2S及びHCに関しては、構成要素(2)の下流の測定された濃度、又はそれぞれ関連する質量流量及び累積質量であってよい。センサーに依存して、関連した出力シグナルは、電圧又は電流であってよい。
【0029】
法律に依存して、NOx及びHSに関する終了基準は、ppm(百万分率)範囲でのガス濃度であってよく、又はそれぞれ100ppmまで調整する。NH3、SOx及びH2Sに関して、最終基準は、ガスが環境に放出される場合に、関連する匂いの許容閾値であってよい。
【0030】
比較的少量の貯蔵容量が、及び従って、適した構成要素(2)の貯蔵容量の場合に、前記設計に関して十分であっても、ここで考えられるガスの場合において、目標値(例えば排気ガス中の濃度)は、極めて少ない漏出後ですら超過されうる。前記時間までだけが、構成要素(2)の貯蔵容量に関して、前記ガスの漏出を妨げるために必要であり、かつ従って、壁面流フィルター(1)のみと対照的に、非常に急勾配の及び従って容易に検出可能なシグナルの存在を確実にする(図4)。前記場合において、本発明の焦点は、本発明の貯蔵材料の最適な使用に対してではなく、むしろ、急勾配のシグナルのためにシステムの改良された調節可能性に対してであり、考慮される制限値へのより信頼できる準拠に寄与する。構成要素(2)の貯蔵材料のかかる構成は、図4においてさらに構成要素(1)の下流の漏出シグナル(点線)の方向に示された構成要素(2)の貯蔵材料の漏出シグナル(実線)をシフトしてよい。目標値が例えば入口の濃度の20%に対応する濃度であった場合に、その時構成要素(2)の貯蔵容量は、構成要素(2)曲線の下流の最大の勾配が、構成要素(2)に対して非常に少量の貯蔵容量でさえ達せられてよい0.2のO2/O2in値で生じるように構成されてよい。0.2のO2/O2in値を超えて、漏出シグナルは、操作に従って再びほとんど急勾配でなくなる。それというのも、構成要素(1)の下流の漏出は、構成要素(2)を介した漏出によっても直接従い、構成要素(2)の貯蔵容量がすでに消費されているからである。
【0031】
例えば、完全にフィルターを介してゆっくりと上昇する漏出シグナルをできるだけモノリスの下流のシグナルを急勾配に上昇又は下降するように転化することを要求する、モノリスに対する貯蔵容量の量として表現される貯蔵容量は、予測することが困難である。フィルターのデザイン及びフィルター上の貯蔵材料に依存して、フィルターの下流の漏出シグナルは、非常に変動しうる。構成要素(1)の下流で吸収されるべき媒体の漏出シグナルは、より狭い勾配で操作することが、一般的にあげられる:
・フィルター上でより多い量の貯蔵材料
・貯蔵されるべき成分のより低い貯蔵動力学
・フィルター材料のより大きい多孔率、より小さい壁圧及びより広い孔の半径分布(側路形成の増加させた確率−さらに上記を参照)
・非対称の吸気ダクト及び吐出しダクトの場合に、吸気ダクト(Aout)と吐出しダクト(Ain)との間の断面積のより低い比率(Aout/Ain)。
【0032】
対応して、モノリス(2)における貯蔵容量は、量、ウォッシュコート中に含まれるタイプ、及び貯蔵材料のタイプを選択することによって適合される。
【0033】
好ましい一実施態様において、使用される貯蔵材料は、同一の化合物である。従って、構成要素(1)及び構成要素(2)は、同一の貯蔵材料を有する。この場合、貯蔵材料の量、又は対応する貯蔵容量に関する利点であり、構成要素(2)において対応する構成要素(1)の貯蔵材料の量よりも小さいことが証明されている。特に好ましいのは、構成要素(2)の貯蔵容量が、構成要素(1)の貯蔵容量の約20〜70%だけまでの量である配置である。30〜50%である構成要素(2)の貯蔵容量が極めて好ましい。本発明のシステムの前記形状は、特に、2つの構成要素(1)及び(2)の互いの間隔が、50cm未満である背景に対して好ましい。適宜、2つの構成要素(1)及び(2)は、互いに対して隣接してもよい。
【0034】
しかしながら、70cm以上、有利には60cm以上、もしくはより特に有利には50cm以上の比較的広い間隔が2つの構成要素(1)及び(2)の間に存在する場合に、又はさらに触媒コンバータが、2つの構成要素の間に取り付けられる場合に、それは、同一の化合物に関する構成要素(1)及び(2)貯蔵材料が、互いに異なる場合に有利であってもよい。例えば、適宜、構成要素(1)及び(2)における異なる温度要求のために、異なる熱安定性又は異なる温度依存貯蔵特性を有する貯蔵材料を使用することが好都合であってよい。
【0035】
2つの上記の条件のためのさらなる代替法として、当業者は、異なる支持材料、異なって提供されるウォッシュコート、貴金属の異なる量及び/又は比、構成要素(1)及び(2)の製造のための貯蔵材料の異なるタイプを含む群から選択される、異なる測定法を考慮に入れてよい。
【0036】
貯蔵機能性の最も適切な可能な利用のために、同一の貯蔵機能性が、構成要素(1)及び(2)に対して提供されることが必要である。それは、双方の構成要素(1)及び構成要素(2)が少なくとも2つの触媒的に活性のある機能を有する、本発明によるさらに好ましいシステムである。より好ましい一実施態様において、双方の構成要素が、同じ化学反応の触媒作用を有することが同様に求められる。同一の貯蔵材料及び同一の触媒的に活性のある材料が、構成要素(1)に及び構成要素(2)に提供される適用が特に興味深い。
【0037】
本発明のシステムは、当業者に公知の物品から及び当業者に公知の方法で製造されてよい。しかしながら、当業者は、構成要素(1)として壁面流フィルター及びそれらの下流に構成要素(2)として流通モノリスを有する、内燃機関のための本発明に従った排気ガス後処理システムを提供することに注意しなければならず、その際、構成要素(1)及び(2)は、排気ガス中に存在するSOx、NOx、NH3、O2、HC、H2Sを含有する群から選択される、構成要素(2)の下流の漏出シグナルが、このシステムの全ての前記の実用的な側面をもたらすために、できるだけ小さい貯蔵材料を使用する一方で、排気ガス化合物を考慮に入れたそれぞれの終了基準で生じる濃度曲線の最も高い勾配を有するように設計されるべき、構成要素(2)における貯蔵容量を有する、同一の化合物のための少なくとも1つの貯蔵機能を有する。システム部分に対して挙げられた好ましい実施態様が従ってプロセスのためにも適用することは言うまでもない。
【0038】
本発明の主題は、同様に、内燃機関の排気ガスを精製するための方法における前記タイプの排気ガス後処理システムの使用を含む。特に、
a)排気ガスが、構成要素(1)を通過し、かつ続いて構成要素(2)を通過して導入され、
b)排気ガス中に存在するSOx、NOx、NH3、O2、HC、H2Sを含有する群から選択される化合物の濃度の測定又はモデリングが、構成要素(2)の下流で実施され、かつ
c)測定が、貯蔵した目標値が達せられる場合に、ECU(車両における電子制御装置)によって開始される
形での本発明によるシステムの使用が有利である。
【0039】
貯蔵されるべき排気ガス成分の濃度は、排気部分における対応するセンサーによって測定される。モデリングは、通常、機関特性マップにおいて貯蔵され又は算出された排気ガス成分の質量流量による貯蔵材料の充填の測定によって実施され、その際、貯蔵材料の算出された充填レベルは、貯蔵材料特性マップにおいて貯蔵された理論的貯蔵と合わせられる。ここで、測定は、例えば、貯蔵が貯蔵されるべき成分の漏出が差し迫った範囲まで充填される場合に、開始される。これは、例えば、排気ガスのラムダ値が変化する場合に、又は排気質量流が動的操作条件下で変化する場合に起こってよい。さらに、法外な温度の上昇が、モデリングもすることができる貯蔵材料から貯蔵されたガス(例えばHC、NH3又はNOx)の放出を開始する。温度の正確な測定のために、構成要素(2)の上流又は下流に配置された熱電対が使用されうる。
【0040】
貯蔵された目標値は、濃度、質量流量、累積質量、空気/燃焼率及びラムダ値を含む群から選択された値である。
【0041】
すでに示したように、漏出シグナルを急激な上昇の達成は、本発明の重要な目的の1つである。漏出シグナルの急な上昇は、できるだけ大きい濃度増加の指示であり、又は時間の単位ごとの弱化である(図2の濃度曲線の勾配)。構成要素(2)の上流の、本発明のシステム特性の機能として決定され及び前記に示されているような目標値が登録又は算出(モデリング)される場合に、排気ガス流を変化するための確実な測定が、ECUによって開始される。前記測定は、自明に、排気ガスからの化合物が貯蔵されるべきであることに依存する。
【0042】
ECUによって開始される測定は、有利には、排気ガスの温度変動、質量流量変動及び/又は濃度変動を含む群から選択される1つ以上であってよい。
【0043】
例えば、HC貯蔵材料が使用される場合に、構成要素(2)の下流の増加したHC漏出の事象において、排気部分における温度増加が、機関に関連する測定、又は貯蔵された炭化水素が触媒コンバータによって放出及び添加されうるために外的に加熱することによって開始されうる。
【0044】
さらに、酸素貯蔵材料を有するシステムを使用する場合に、構成要素(2)の下流の排気ガス中の酸素濃度における増加の検出の事象において、少なくとも部分的に酸素貯蔵を空にすることをもたらす、排気ガス成分における変化を開始することができる。ここで、酸素濃度は、公知のラムダセンサー又は酸素センサーによって測定されてよい。ラムダセンサーを使用する測定の場合において、しかしながら、直接的に、むしろ空気/燃料比及び従って酸素当量を測定される排気ガスにおける酸素の割合ではなく、同様に前記の測定の開始を考慮に入れてよい。ラムダセンサーに依存して、シグナルは、mVでの、又はラムダ値としての出力である。本発明によって、ラムダ値(λ)は、空気及び燃料からなる混合組成物を記載する値として定義されることを考慮すべきである。その数から、燃焼プロフィール、温度、汚染物質の形成及び効率に関する結論を導くことができる。他の表現は、空気比率、空気比率数、空気数、空気超過及び空気超過数である。
【0045】
燃焼空気比は、完全な燃焼のために要求される化学量論的空気質量mL,stを要求する最小値に関する比における、燃焼のために使用可能な実際の空気質量mL,actである:
【数1】
【0046】
λ=1である場合に、その比は、mL,act=mL,stである、化学量論的空気質量である。これは、全ての燃料分子が、理論的に、完全に、酸素の欠如がなく、かつあらゆる残りの未燃焼の酸素がない、空気酸素と反応する場合である。
【0047】
内燃機関に関して:
λ<1(z.B.0.9)は“空気の欠如”を意味する:リッチ混合物
λ>1(z.B.1.1)は“空気の超過”を意味する:リーン混合物
ステートメント:λ=1.1は、10%より多くの空気が化学量論的反応に要求されるよりも、燃焼において関与することを意味する。これは、空気の超過と同一である。
【0048】
H2S貯蔵材料を使用するシステムの場合に、例えば、構成要素(2)の下流の増加したH2S濃度の検出の場合において、ラムダ<1操作は、貯蔵所からH2Sを放出するため、及び該H2Sを酸化させてSO2を形成することを可能にするために、ラムダ≧1で機関の操作モードを切り替えられる。この切り替えは、例えば、機関自体における燃焼の切り替えによって、又は排気部分中への空気の注入によって行われてよい。
【0049】
増加したアンモニア減少が、NH3貯蔵材料を含むモノリスの下流で検出された場合に、排気部分における温度還元が開始され、結果としてアンモニア減少を減少する。さらに、アンモニア投与量の減少が起こる。かかる方法を使用する対応する当業者に入手可能な数多くの操作であることが明らかである。
【0050】
ECUによる測定を開始する貯蔵した目標値は、濃度、得られた質量流量、又は貯蔵されるべき物質の累積する量であってよい。例えば、不快な匂いを引き起こす物質、例えばアンモニア又は硫化水素の場合において、濃度又は質量流量が、機関制御装置中に目標値として貯蔵されることが好都合である。それというのも、前記物質の匂いの閾値が、周囲空気中に前記物質の出現として達せられるからである。あらかじめ定義された目標値としての累積量が、特に、その狙いが、排気ガス調整に応じること、例えば炭化水素放出の場合である。
【0051】
本発明によって使用され、かつ前記のような貯蔵構成要素を含む粒子フィルターの実施態様として、当業者には通常である金属及び/又はセラミック材料からなるあらゆるフィルター体を使用することができる。それらは、例えば、金属繊維及びニット繊維体、焼結金属体、並びにセラミック材料からなる泡構造を含む。使用は、有利には、コーディエライト、炭化ケイ素又はチタン酸アルミニウムからなる多孔質の壁面流量フィルター基材である。該壁面流量フィルター基材は、流入及び流出ダクトを有し、その際、流入ダクトの流出側の末端及び流出ダクトの流入側の末端が閉じられる場合に、気密“プラグ”を有する、互いに関して相殺する。ここで、フィルター基材を介して流れる精製されるべき排気ガスは、優れた粒子フィルター作用をもたらす、流入及び流出ダクト間の多孔質壁を介して通過させる。粒子に関するフィルター特性は、多孔性、孔/半径分布及び壁の厚さによって構成されうる。貯蔵材料及び可能な触媒材料は、流入ダクト及び流出ダクト間の多孔質壁中に、及びその上で、被覆の形で存在してよい。対応する貯蔵及び/又は触媒コンバータ材料から、直接押し出されるフィルター又は結合剤を使用することもできる。すなわち、多孔質壁は、直接触媒コンバータからなり、例えばバナジウムを基礎とするSCR触媒コンバータの場合における場合であってよい。
【0052】
使用されるべき好ましいフィルター基材は、EP1309775、EP2042225、US2009093796又はEP1663458から集められてよい。
【0053】
流通モノリス(構成要素(2))は、当業者に公知の触媒コンバータ支持体であり、前記のフィルター材料の場合において、金属又はセラミック材料からなってよい。有利には、耐火性セラミック、例えばコーディエライトを使用する。セラミックからなる流通モノリスは、通常、連続ダクトからなるハニカム形状の構造を有し、流通モノリスが、ダクト流モノリスとも言われる理由である。排気ガスは、前記ダクトを介して流れることができ、触媒的に活性のある物質及び可能な貯蔵材料で被覆された、ダクト壁と接触する。面積ごとのダクトの数は、通常、平方インチ(cpsi)毎に300〜900セルである、セル密度によって特徴づけられる。セラミックに関して、ダクト壁の壁圧は、0.5〜0.05mmである。
【0054】
NOx貯蔵:
排気ガス中の一酸化窒素は、定義したように、一酸化窒素及び二酸化窒素からなり、その際、一酸化窒素は、機関の捜査状況に依存持してリーン燃焼機関の排気ガス中に、一酸化窒素として約50〜90%存在する。リーン燃焼機関の排気ガス中の高い酸素含有率のために、燃焼中に製造した一酸化窒素(NOx)は、化学量論的に操作した火花点火機関における場合のように、同時に炭化水素及び一酸化炭素の酸化で、三元触媒コンバータによって連続して還元して、窒素を形成する。該一酸化窒素の触媒還元は、リッチ排気ガス混合物に化学量論的にのみ実施することができる。リーン排気ガス中の一酸化窒素の連続した還元を可能にするために、特別な触媒コンバータ、例えばHC−DeNOx触媒コンバータ又はSCR触媒コンバータを使用する。リーン排気ガス中の一酸化窒素の還元のためのさらなる可能性は、一酸化窒素貯蔵触媒コンバータの使用である。
【0055】
リーンにおいて、すなわち酸素が豊富な大気において、HC及びCO成分に加えて、一酸化窒素が、NOx貯蔵触媒コンバータにおいて存在する貴金属の触媒作用下で酸化されて、硝酸塩、例えば硝酸バリウムを形成するために、触媒コンバータ中に吸収され、従って排気ガス流から除去される。NOx貯蔵触媒コンバータの保持能力が消費される場合に、その時リッチな、還元した排気ガス混合物は、機関電子装置によって簡単に設定される(約10秒までの通常のリッチ操作)。一定の短い“エンリッチメント”の結果として、反応は、反対方向に起こり、貯蔵された一酸化窒素が再度排気ガス中に排出され、かつ還元成分、例えばHC−不完全燃焼した炭化水素−又は豊富な大気中に存在するCOによって還元される結果として、有利には窒素(N2)を形成する。
【0056】
この操作段階中に、貯蔵触媒コンバータは、三元触媒コンバータとして作用する。この方法において、触媒コンバータは、次の貯蔵サイクルのために再生される。このプロセスによって、経済的なリーン燃焼機関の汚染物質の放出を最少にすることができ、法律的に規定された放出限界を守る。一酸化窒素貯蔵触媒コンバータの保持容量は、NOxセンサーによって監視されてよい。一酸化窒素貯蔵触媒コンバータの操作の方式は、SAE文献SAE 950809において詳述されている。対応するNOxセンサーは、文献、Autoabgaskatalysatoren,Grundlagen−Herstellung−Entwicklung−Recycling[Automobile exhaust−gas catalytic converters、principles−manufacturing−development−recycling]、OEkologie、2005、Expert Verlag、2nd editionから推測される。
【0057】
NOx貯蔵触媒コンバータは、リーン燃焼ガス条件下で排気ガス流から言酸化窒素を除去し、ラムダ=1又は豊富な排気ガス条件下で一酸化窒素を放出及び転化することができる材料からなる。
【0058】
使用される一酸化窒素貯蔵触媒コンバータは、従って、長く当業者に公知である[EP0982066、EP1317953、WO2005/092481]。一酸化窒素貯蔵触媒コンバータ(NSC)の設計及び組成に関して、EP1911506及びEP1101528及びそれらに挙げられている文献における記載を参照できる。対応する触媒コンバータ材料は、当業者に公知の方法を使用して、共に、及び互いから分かれて被覆の形で、セラミック(例えばコーディエライト)又は金属からなるモノリシック、不活性な正方晶又は六方晶のハニカム体に適用される。該ハニカム体は、該ハニカム体の横断面を越えて密集した格子で配置され、かつ該ハニカム体の縦軸に平行に置かれた送風ダクトを有する。触媒活性被覆は、ハニカム体のリットル体積ごとに50〜450グラム(g/l)、有利には200〜400g/l及び非常に特に有利には250〜350g/lの濃度で送風ダクトの範囲を定めた、仕切りの壁表面に付着される。触媒コンバータ材料は、一酸化窒素貯蔵材料及び触媒的に活性のある成分を含有する。同様に一酸化窒素貯蔵材料は、事実上、支持材料上に高い分散状態で付着される一酸化窒素貯蔵成分からなる。貯蔵構成要素として、主に、一酸化窒素と反応して対応する硝酸塩を形成する、アルカリ金属の基本的な酸化物、アルカリ土類金属の基本的な酸化物、特に酸化バリウム、及び希土類金属の基本的な酸化物、特に酸化セリウムを使用できる。好ましい貯蔵材料は、Mg、Ba、Sr、La、Ce、Mn及びKを含む化合物である。触媒的に活性のある化合物として、通常、支持材料上で一般的に共に貯蔵構成要素に付着する白金群(例えばPt、Pd、Rh)の貴金属が使用できる。支持材料として、主に、活性のある、高表面積の酸化アルミニウムを使用できる。
【0059】
NOx貯蔵材料で被覆された壁面流フィルターの場合において、貯蔵及び放出/転化機能の双方が、被覆されたモノリスと比較して不十分な製造範囲に使用される。この方法において、実際の運転操作において、燃料消費の増加をもたらし、かつ車両のドライバビリティを逆に作用することができる、リーン操作時間は、非常に短い。さらに、フィルターを横切るNOxの全体の転化を非常に減少する、リーン段階中のフィルターを介したNOxの増加した漏出が予期されうる。NOx貯蔵充填レベルのモデリング又は測定、及びリーン段階の生じる終了は、計算によって、又はフィルターの下流に連結されたNOxセンサーによって行う。NOx貯蔵材料の再生のために開始されたリッチ段階の終了は、フィルターの下流のラムダセンサーによって通常行う。リッチ及びリーン段階の双方が、NOx貯蔵材料で被覆されたフィルターの場合におけるセンサーによって調整されるために、不十分に著しい漏出シグナルが、ここで非常に減少したNOx転化率を導く。
【0060】
SOx貯蔵:
一酸化窒素貯蔵触媒コンバータは、通常、排気ガス中の硫黄化合物によって不活性化される。特に、機関の燃焼室において生じた硫黄化合物が一酸化窒素貯蔵触媒コンバータの表面上に衝突する場合に、リーン大気中で、最初に、二酸化硫黄(SO2)又は三酸化硫黄(SO3)に転化される。酸化硫黄の吸収は、一酸化窒素貯蔵構成要素上で、又は酸化作用を有する構成要素上で直接実施してよい。一酸化窒素貯蔵触媒コンバータにおいて形成する対応する硫黄化合物が熱的に非常に安定であり、かつ、対応する硝酸塩と対照的に、分解することが困難であるために一酸化窒素貯蔵触媒コンバータを不活性化する前に、排気ガス中のSOxを最少化することが求められる。これは、第一に使用される燃料中の硫黄化合物の割合を最少化することによって、第二に実際の一酸化窒素貯蔵触媒コンバータ(NSC)の上流に特別な硫黄トラップを連結することによって実施される。
【0061】
排気ガス後処理の分野において、排気ガスから硫化水素及び一酸化硫黄の双方を除去することができる硫黄トラップは公知である。挙げられたように、それらの硫黄トラップは、有利には流量方向においてNOx貯蔵触媒コンバータの上流に配置され、かつNOx貯蔵触媒コンバータ中に通過することが可能であり、かつNOx貯蔵中枢を化学的に不活性化することが可能であることから硫黄成分を妨げることを意図している。いわゆる硫黄トラップは、硫黄のための高い貯蔵容量を有し、かつ触媒コンバータの上流の不活性化を妨げるために、硫黄を実質的に量的に吸収することができる必要がある。
【0062】
例えば、EP1959120及びEP1843016は、対応するSOxトラップが、粒子フィルターの上流に位置し、その際一酸化窒素触媒コンバータ(NSC)を有する、排気ガス後処理システムを記載している(EP1904721を参照)。種々の方法は、記載されている硫黄貯蔵の教示に関連するその開示に関して、この適用において含まれるようにみなされる、EP1911506に従う。該文献は、使用される一酸化窒素貯蔵材料の塩基性度の、特に酸化セリウムの添加による減少を提案している。主に、硫黄貯蔵のための貯蔵材料は、しかしながら、一酸化窒素貯蔵触媒コンバータのものとして同様に設計されている。特定の硫黄貯蔵材料の概要は、次の文献:EP1843016、EP1959120、EP0945165から推測してよい。
【0063】
NH3貯蔵:
SCR触媒コンバータは、リーン排気ガス条件下で、アンモニアと反応して、窒素を形成する、一酸化窒素を生じることを可能にする。SCR触媒コンバータは、通常、アンモニアのための貯蔵機能を有し、かつ遷移金属、又はバナジウムもしくはタングステンを含有する化合物で交換されてよい、ゼオライトを含有する。SCR触媒コンバータは、そのアンモニア貯蔵が少なくとも部分的に満たされる場合に、特に活性がある。アンモニアの排気部分への計量供給は、通常、直接SCR触媒コンバータの上流の排気部分中への外的投与装置によって実施される。超過した計量供給の結果としてのアンモニアの減少又は急速な温度上昇の結果としてのアンモニア放出は、できるだけ妨げられる必要がある。それというのもアンモニアが、非常に刺激臭を有し、かつ第二又は第三放出として、大気中に未処理のまま通過してはいけないからである。アンモニア貯蔵機能で被覆した壁面流フィルターは、自明に、同様に設計した流通モノリスよりも、大きいアンモニア減少を有する。
【0064】
例えば一酸化窒素貯蔵触媒コンバータに続いてSCR触媒コンバータを有する排気ガス後処理システムに関して、アンモニア(NH3)の一定の量を貯蔵することが可能であるようにSCR触媒コンバータを設計することが好都合であることが証明されている。かかる排気ガス後処理装置の形状は、例えばEP1687514において記載されている。該システムにおいて、一酸化窒素貯蔵触媒コンバータが、再生段階で少量のアンモニアを製造することも利点である。下流に位置しているSCR触媒コンバータがNH3貯蔵所を有する場合に、製造されたNH3は、前記NH3貯蔵所中に貯蔵されることができ、そして一酸化窒素貯蔵触媒コンバータの上流を漏出してきたNOxの続く還元のために利用できる。
【0065】
NH3を貯蔵するために使用するために好都合であることが証明されている材料は、当業者に公知である(US2006/0010857;WO2004076829)。アンモニアのための貯蔵材料として、有利には、微孔性の前記材料、いわゆる分子ふるいを使用できる。それらは、ゼオライト含有材料、例えばモルデナイト(MOR)、Y−ゼオライト(FAU)、ZSM−5(MFI)、フェリエライト(FER)、チャバサイト(CHA)及びβ−ゼオライト(BEA)、並びにリン酸アルミニウム(AIPO)及びシリコーンリン酸アルミニウムSAPO、又はそれらの混合物であってよい。それらは、有利には、遷移金属で、特に有利委は、鉄、銅、コバルト又は銀で変換され、かつアンモニアと一酸化窒素とのSCR反応を触媒化する。特に有利には、鉄及び/又は銅で変換された、ZSM−5(MFI)、チャバサイト(CHA)、フェリエライト(FER)SAPO−34及びβ−ゼオライト(BEA)を使用できる。アンモニア貯蔵材料として、バナジウム化合物、一酸化セリウム、セリウム/ジルコニウム混合酸化物、二酸化チタン及びタングステン含有化合物、並びにそれらの混合物を使用することもできる。
【0066】
H2S貯蔵:
硫化水素は、非常に低い濃度で不快な匂いを有し、かつ比較的高濃度で非常に毒性があるガスである。それらの二次放出は、したがって、車両の排気システムにおいて完全に除去されなければならない。この目的のために、種々のいわゆる“H2Sブロッキング触媒コンバータ”、又は対応するブロッキング機能をさらに備えた排気ガス触媒コンバータが、先行技術において提供されている。
【0067】
前記硫化水素貯蔵は、流量方向において三元触媒コンバータ又はNOx貯蔵触媒コンバータの上流に配置され、かつ硫化水素が大気中に未処理のまま通過することから妨げることを意図している。いわゆる硫化水素トラップは、豊富な排気ガス条件下で硫化水素に関する高い貯蔵容量を有し、かつリーン大気において、貯蔵した硫化水素を放出し、かつ該硫化水素酸化して一酸化硫黄を形成することができる。ここで、元素の周期律表の亜族I及びIIの、又は亜族VI〜VIIIの遷移金属、有利には元素Cu、Zn、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Ag、Pb、Pd、特に有利にはNi、Mn、Fe、Cuを含有する、触媒コンバータを使用できる。該金属は、金属酸化物上で、例えばドープされた、広い表面積酸化アルミニウム、又は混合酸化物上で堆積されてよく、又はゼオライトとの結合において使用されてよい。
【0068】
HC貯蔵:
排気ガス後処理システムに関連するさらなる貯蔵材料は、炭化水素(HC)のための貯蔵材料である。かかる材料は、同様に当業者によく知られている(KR20040042177)。ゼオライト含有材料は、通常炭化水素を貯蔵するために使用される。炭化水素は、排気ガスが冷たい(例えば冷却開始中に)間に吸収され、かつ高い排気ガス温度に達する場合に放出及び転化される。炭化水素の転化は、大部分は触媒中枢で、例えば貴金属で行われる。従って、通常、触媒的に活性のある中枢がさらに活性化しない場合に炭化水素を貯蔵するために、及び触媒中枢がそれらの着火温度に達する場合に該炭化水素を放出ために、酸化触媒コンバータ又は三元触媒コンバータに炭化水素貯蔵材料を統合することがある。この場合において、炭化水素貯蔵は、フィルター中及び下流のモノリス中の双方に、可能な触媒機能と共に統合される。
【0069】
炭化水素のための貯蔵材料として、微孔質固体、いわゆる分子ふるいを使用できる。遊離には、ゼオライト含有材料、例えばモルデナイト(MOR)、Y−ゼオライト(FAU)、ZSM−5(MFI)及びβ−ゼオライト(BEA)又はそれらの混合物を使用できる。それらは、有利には、H型又はNH5型で使用され、従って、遷移金属で変換されてもよい。ある場合において、それらは、貴金属、Pt、Pd、Ru、Re、Ir及びRhでドープされてもよい。特に有利には、ZSM−5(MFI)及びβ−ゼオライト(BEA)を使用できる。
【0070】
O2貯蔵:
酸素含有材料は、レドックス特性を有し、かつ酸化成分、例えば酸素又は一酸化窒素と酸化大気中で、及び還元成分、例えば水素又は一酸化炭素と還元大気中で反応することができる。酸素貯蔵材料の例は、セリウム及びプラセオジム、又はさらにジルコニウム、ネオジミウム、イットリウム及びランタンの群から選択される成分を含有してよい対応する混合酸化物を含む。それらの酸素貯蔵材料は、しばしば、貴金属、例えばPd、Rh及び/又はPtでドープされ、それによって貯蔵容量及び貯蔵特性が改質されうる。
【0071】
EP1911506は、実質的に化学量論的範囲で操作する内燃機関の排気ガス後処理の設計を記載している。酸素貯蔵材料で提供された粒子フィルターを使用できる。該タイプの酸素貯蔵材料は、有利には、セリウム/ジルコニウム混合酸化物からなる。さらに、特に希土類金属の酸化物が存在してよい。従って、本発明による粒子フィルターの好ましい実施態様は、さらに酸化ランタン又は酸化ネオジミウムを含有する。最も一般的には、Ce2O3として及びCeO2として存在してよい酸化セリウムを使用できる。この点について、US6605264及びUS6468941の開示を参照できる。
【0072】
酸素貯蔵材料は、有利にはいわゆる三元触媒コンバータ中で使用される。三元触媒は、通常、セリウムの酸化物からなり、かつおそらく熱的に安定な混合相とし他の金属酸化物(例えばCe/Zr混合酸化物)で使用される、酸素貯蔵材料を含む。それらは、リーン条件下で排気ガスから酸素を除去し、かつリッチ排気ガス条件下で再度排気ガスを放出することができる。この方法において、ラムダ=1からリーン範囲中に燃料/空気比の簡単な偏差中に、TWC減少を介してNOx転化及びNOx漏出が生じる。さらに、充填された酸素貯蔵は、HC及びCO漏出の発生を、排気ガスが簡単にリッチ範囲に通過する場合に妨げる。それというのも、リッチ排気ガス条件下で、貯蔵された酸素は、最初に、過剰なHC及びCOと、漏出が生じる前に反応するからである。この場合において、酸素貯蔵は、ラムダ=1付近の変動に対する緩衝物として供給する。半分充填された酸素貯蔵は、ラムダ=1からの簡単な偏差を奪うために最良な性能を有する。操作中の酸素貯蔵の充填レベルを検出するために、ラムダセンサーを使用する。充填レベルの決定及び酸素貯蔵の利用は、貯蔵材料が壁面流フィルターに適応される場合に困難である。
【0073】
酸素貯蔵容量は、全体の三元触媒コンバータのエージング状態に関連する。OBD(オンボード診断)の環境の範囲内で、貯蔵容量の決定は、存在する活性及び従って触媒コンバータのエージング状態の検出のために供給する。さらに、フィルターの下流の漏出シグナルを鈍く上昇することのみは、かかる触媒コンバータのOBDを困難にする。
【0074】
例えば、EP1227231は、酸素に関する最少の及び最大の充填レベルを含み、かつ内燃機関の排気部分に配置される三元触媒コンバータを操作するための方法を記載しており、その際、機関に供給される空気/燃料混合物は、触媒コンバータの酸素貯蔵構成要素の充填レベルが、最少及び最大の充填レベルの中央のノミナルな範囲で維持されるような方法で調整される。
【0075】
WO 02/26379は、粒子フィルターを使用するリーン燃焼機関の排気ガス中の一酸化炭素、炭化水素及びスス粒子を還元するための方法を記載しており、その際、スス粒子は、スス着火温度T2を有し、かつ粒子フィルターは、随時、スス着火温度及びスス粒子の燃焼よりも粒子フィルターの温度を上昇することによって再生される。使用される粒子フィルターは、ススの着火温度を下げるために、少なくとも1つの酸素貯蔵構成要素、並びに白金、パラジウム及びロジウムの少なくとも1つの白金群金属を含有する、触媒的に活性のある被覆で提供される。粒子フィルターの好ましい一実施態様において、被覆は、一酸化炭素及び炭化水素を還元するために供給し、かつ酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、ゼオライト又はそれらの混合物を含む群から選択される支持材料上に支持した、白金、パラジウム及びロジウムの少なくとも1つの白金群金属を含有する化合物の2群を含む。2つの物質群は、有利には、一方を他方の上に配置した2つの分離層で配置され、その際酸化触媒的に活性のある被覆は、フィルター基材の流入ダクトに直接適用され、かつスス着火温度を下げる被覆は、精製されるべき排気ガスが、最初にスス着火温度を減少する被覆と接触するように、該触媒的に活性のある被覆を覆って配置される。文献において記載されている酸素貯蔵材料は、有利には、それらの酸化状態で変化を可能にする材料である。前記タイプのさらなる貯蔵材料は、例えばWO05113126、US6387338、US585944、US7041622、EP2042225、US2009093796において記載されている。
【0076】
“被覆”という表現は、前記の壁面流フィルター又は流通モノリスの方法で構成されてよい、実質的に不活性の支持体上での触媒的に活性のある材料及び/又は貯蔵構成要素の適用を意味すると解されるべきである。被覆は、実際の触媒機能を行い、かつ通常高い分散状態で、温度安定な、高表面積の金属酸化物上で堆積される貯蔵材料及び/又は触媒的に活性のある金属を含有する。該被覆は、通常、貯蔵材料及び触媒的に活性のある成分の水性懸濁液−ウォッシュコートとも言われる−の、不活性支持体の壁上への又は壁中への適用によって実施される。懸濁液の適用後に、該支持体を乾燥し、そして適宜、高温で焼成する。該被覆は、1つの層からなってよく、又は支持体の1つに他の層上に(多層形状において)適用され、及び/又は互いに関して相殺する(領域において)多数の層から構成されてよい。
【0077】
酸素含有材料は、通常、三元触媒コンバータ調合物において使用され、従って酸化触媒コンバータ及び一酸化窒素貯蔵触媒コンバータと協同しても使用されてよい。
【0078】
炭化水素含有材料は、通常、ディーゼル機関の排気ガス精製のために使用される、酸化触媒コンバータにおいて使用される。しかしながら、炭化水素彫像が、特定の厳しい排気ガス基準に従うために、三元触媒コンバータと協同して使用される適用は公知でもある。
【0079】
アンモニア貯蔵材料は、アンモニアと一酸化窒素との反応を触媒作用して、リーン大気中で窒素を形成する、SCR触媒コンバータにおいて有利には使用される。
【0080】
硫化水素貯蔵材料は、有利には、三元触媒コンバータと協同して使用され、従ってSCR反応の触媒作用を有する触媒コンバータにおいても使用されてよい。かかるSCR触媒コンバータは、当業者によく知られている(WO2007/137675、US4961917、DE10335785)。SCR触媒アコンバータは、リーン排気ガス条件下で、一酸化窒素を、還元剤、例えばアンモニアの添加で転化して、選択的に窒素を形成することを意味すると解されるべきである。該触媒コンバータは、酸性酸化物を含み、かつアンモニアを貯蔵することができる。典型的なSXR触媒コンバータは、例えば酸化チタンに対して酸化バナジウム及び/又は酸化タングステンを含有する。代わりに、H−型で使用され、又は金属、例えば銅及び/又は鉄で変換されてよいゼオライトを考慮する。かかる触媒コンバータは、通常、触媒的に活性のある白金金属を有する。それというのも該金属は、リーン排気ガス中でアンモニアを酸化して、一酸化窒素を形成するからである。本発明による排気ガス精製システムのために、有利には、ゼオライトを含有するSCR触媒コンバータを使用できる。ゼオライトは、特に、アンモニアのための及び炭化水素のための大きい貯蔵容量を有する。それらは、従って、一酸化窒素を有する排気ガスの該成分の貯蔵及び転化に極めて適している。
【0081】
下流に配置され、かつ貯蔵機能を有する構成要素(2)が、構成要素(1)の上流に直接配置されないことに注意すべきである。センサー、注入装置、他の触媒コンバータ、混合器、バーナー及び熱交換器を含む群から選択される排気ガス後処理システムにおいて対面させた他の装置が、構成要素(1)及び構成要素(2)の間に配置されることも可能である。
【0082】
さらに、下流に配置されたモノリス(2)は、車両のアンダーボディー領域に配置されてよく、かつフィルター(1)は、機関の近くに配置されてよい。ここで、機関の近くは、機関から約1メートル未満離れた距離を意味し、かつアンダーボディー位置は、機関から1メートルを超えて位置する。さらに、さらなる触媒コンバータが、他の機能を有する2つの貯蔵媒体環に配置されてもよい。例えば、HC貯蔵機能を有するさらなる触媒コンバータが、酸素貯蔵機能で被覆されたフィルターと酸素貯蔵機能を有する下流の三元触媒コンバータとの間に配置されることが、好都合であってよい。さらに、アンモニア貯蔵能力を有する提供されたフィルターは、アンモニア貯蔵能力を有さないNOx還元触媒コンバータ又は代わりにさらに酸化窒素転化を増加するためにアンモニア貯蔵能力を有するさらなる触媒コンバータに続くNO2形成触媒コンバータに、直接続いてよい。さらに、酸化触媒コンバータは、2つのHC貯蔵構成要素間に配置されてよく、酸化触媒コンバータは、フィルター上で貯蔵された炭化水素の一部を酸化することができる。例えば、酸化窒素のための貯蔵容量を有するフィルターが、代わりにNOx貯蔵機能を有するモノリスによって下流に続くアンモニア貯蔵及びNOx還元機能を有するSCR触媒コンバータに続くことが好都合であってよい。かかる適用は、当業者に公知である(DE69804371、US2004076565)。
【0083】
フィルター及びモノリス間に別々に触媒コンバータ上に予め配置された前記タイプの触媒機能が、フィルター(1)の出口側に、又は下流の流通モノリス(2)の入口側に被覆として適用されることが同様に可能である。
【0084】
先行技術において、記載されている本発明によるシステムに関連する逆の配置が選択される、数多くのシステムが公知である。すなわち、対応する貯蔵機能を提供した流通モノリスは、対応する貯蔵機能を提供された壁面流フィルターの上部に配置される(例えばUS20090193796A1)。しかしながら、該配置は、被覆されたフィルター上の貯蔵材料の改良した利用をもたらすことはない(図3)。全体のシステムの貯蔵容量は同様に増加するが、被覆した壁面流フィルターの貯蔵容量は完全に利用されない。さらに、Toyota社は、例えば、NOx貯蔵材料で被覆された流通モノリスが、NOx貯蔵材料で被覆された壁面流フィルターの上流に連結されている、それらの市販のDPNRシステムにおけるかかるシステムを使用する。
【0085】
すでに前記で挙げられたように、被覆されたフィルターの場合において、貯蔵されるべき媒体の著しく早い漏出があり、かつ従って、貯蔵材料の不適切な利用である(図2)。前記問題は、さらなる触媒コンバータが、被覆されたフィルターの上流に同時に配置されることで解決され、さらなる触媒コンバータは、フィルターとして同一の媒体のための貯蔵機能を有する。この方法において、実施例において示されているように、貯蔵されるべき成分の多くが、貯蔵プロセスごとに貯蔵されうる。前記構成要素は、続く反応のためにより有利に利用可能になってよい。
【0086】
実施例において、貯蔵材料で被覆され壁面流フィルター、及び、それらの下流に配置された、対応する被覆された流通モノリス(その際、フィルター及びモノリスは、同体積を有し、かつ酸素貯蔵材料の同量で被覆される)を含有するシステムが、下流に配置されたフィルターを有する被覆されたモノリスを含む同一のシステムよりも、より効率的な貯蔵材料を使用することができることが、モデル計算に基づいて示されている。さらに、貯蔵されるべき媒体の漏出−この例における酸素貯蔵−は、著しく急勾配であり、結果として対応する貯蔵方法及びモニタリング方法をより簡単に適用することができる。さらに、フィルター(1)の下流に配置されたモノリス(2)に対する貯蔵材料の体積及び量の双方が、被覆されたフィルターが最適な可能な方法で利用されるように構成されるべきであることに注意する必要がある。実施例において見ることができるように(図4)、約60%小さい触媒コンバータの体積、又は下流のモノリスに対応するより低い貯蔵量は、対応して、上流のフィルターに対する貯蔵材料を使用することができることが十分である。被覆されたフィルターを介してより浅く操作する漏出シグナルを有する適用において、下流のモノ率は、対応してより大きく設計される必要がある。
【0087】
本発明によるシステム配置のさらなる記載された利点は、流通モノリスの下流の漏出シグナルを著しくより急勾配に操作することをもたらすことである。被覆されたモノリスの下流の連結の結果として貯蔵されるべき媒体の急勾配な漏出シグナルの結果として、システムの調整は、自明に、非常により簡単である(図2)。理論は、被覆された壁面流フィルターにおいて、存在する貯蔵材料が、完全に利用することができないことを示唆している。それというのも、壁における他の点よりも排気ガスに関してより大きい浸透率を有する壁面流フィルターの壁における大きい孔があるからである。前記点として、排気ガスは、より急速に壁を通過することができ、それらに隣接して配置された貯蔵材料は、対応して、支持壁に対してより低い透過率の点で局在化された貯蔵材料よりも、より急速に充填される。このためのさらなる説明は、壁面流フィルターにおいて、排気ガスに対して側面上に吸気ダクト中に配置された貯蔵材料が、さらにダクトの下流に配置された貯蔵材料よりもより急速に充填されることができる。この方法において、貯蔵されるべきガスの漏出は、ダクトにおいてより深く配置された貯蔵材料がさらに完全に充填されない場合に、フィルターの入口の近くにある。これは、最終的に漏出シグナルにおけるぶれを導く。該ぶれは、貯蔵されるべき成分のための濃度曲線の急勾配で証明される(図2)。
【0088】
同一の貯蔵機能を有するフィルターの下流の貯蔵機能を有する流通モノリスの配置を達成するさらなる目的は、従って、モノリスの下流で吸収される根気成分のより急勾配に続く漏出シグナルのために、より容易に触媒転化を診断することの能力である。連続して急勾配に続く漏出シグナルは、フィルターの下流に連結された流通モノリスが、貯蔵材料の量を含有し、又は対応する貯蔵容量を有し、フィルターを突破する貯蔵されるべき成分が、フィルター上での貯蔵構成要素を完全に充填するまで、モノリス上で完全に貯蔵される。この場合において、全体の漏出シグナルは、フィルターの下流よりもモノリスの上流で急勾配である。しかしながら、モノリスの下流の漏出シグナルは、貯蔵されるべき成分の漏出の開始でのみ、フィルターの下流よりもより急勾配で操作することもできる。それというのも、貯蔵材料を空にするための測定が、通常すでに早い時間で、例えば貯蔵されるべき成分の少ない量でさえが検出される場合に、開始されるからである。この場合において、下流のモノリスに対する少量の貯蔵容量でさえ、少なくとも漏出の開始で、及びそれぞれの操作段階の終了の時間で、漏出シグナルをより急勾配に操作することを提供するために十分である。貯蔵されるべき媒体としてアンモニア又は硫化水素の場合において、目標値は、通常、排気ガス中で10〜150ppmの濃度である。酸素貯蔵材料を含有するシステムの調整において、目標値は、400〜750mVの電圧であり、0.98〜1.02のラムダ値である。当業者は、フィルターの、及び適用に従った下流のモノリスの貯蔵容量を構成する。
【0089】
全体で、システムをより容易に診断する可能性に加えて、改良した貯蔵性能が、貯蔵材料の同量を使用して得られ、又は反対の状況で、貯蔵材料上に蓄え又は不十分な貯蔵性能を有する安価な貯蔵材料を使用する間、同一の貯蔵性能を達することができるような、システム配置の使用の結果として、有利には排気ガス後処理システムを使用することが可能であることに注意する必要がある。かかる利点の効果は、適用の時点で先行技術における情報を基礎とした、当業者に少しも明らかではなかった。
【0090】
通常、当業者は、例えば、通常より大きい壁圧のためにより遅い暖機の挙動を有する、被覆されたモノリスの暖機が、被覆されたフィルターの暖機よりもより急速に実施され、かつ従って、排気システムの精製機能が、冷却開始後により急速に使用可能であるために、流量方向においてフィルターの上流に被覆されたモノリスを配置することがより好都合である。前記配置は、例えばUS2009193796において記載されている。
【0091】
フィルター上の貯蔵媒体の量及び使用の程度に依存して、貯蔵材料の確かな量が、できるだけ完全にフィルター上の貯蔵材料を使用することができるために、モノリスの下流で使用してよい。下流に配置された流通モノリス上の少量の貯蔵材料が、壁面流モノリス上の貯蔵材料の最適な利用を得るために十分であることは、当業者に明らかではない。同様に、適宜終了点で、より急勾配なシグナル分布をもたらすために、排気システムの有利な調整可能性を得ることが、本発明によるシステム及び方法で可能である。本発明による排気ガス精製システムの関連する利点は明白であり、かつ先行技術の教示に基づいて当業者によって直接予期されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】実施例の方法による、モノリス(2)の上流のフィルター(1)を有する本発明によるシステムは一を示す図。
【図2】実施例の方法による、酸素貯蔵材料で被覆された壁面流フィルター上の、及び酸素貯蔵材料を含有する流通モノリス上の酸素の貯蔵をどのように行うかを示す図。
【図3】酸素貯蔵上の酸素(O2)の貯蔵挙動を実施する実施例を示す図。
【図4】酸素貯蔵材料を含有するフィルターの下流の酸素のシグナル(点線)を示す図。
【0093】
図面:
図1は、実施例の方法による、モノリス(2)の上流のフィルター(1)を有する本発明によるシステムは一を示す。
【0094】
図2は、実施例の方法による、酸素貯蔵材料で被覆された壁面流フィルター上の、及び酸素貯蔵材料を含有する流通モノリス上の酸素の貯蔵をどのように行うかを示す。該図は、それぞれの場合に、触媒コンバータ(O2in)の上流の酸素の測定された量によって分けられる触媒コンバータ(O2)の上流の酸素の量として、それぞれの構成要素の下流の酸素の漏出シグナルを示す。本発明の計算において、酸素貯蔵材料の同量が、フィルター上及びモノリス上に存在する。貯蔵された酸素の合計量、すなわち双方の構成要素上の貯蔵容量は、同一である。しかしながら、フィルターを介した酸素漏出(点線)は、モノリス(実線)介するよりも早く始まり、かつモノリスの下流の漏出曲線は、フィルターの下流よりも非常に急勾配である。実際の条件下で操作される排気ガス後処理システムにおいて、貯蔵段階は、触媒コンバータの下流に貯蔵されるべき成分の最小の漏れを記録する場合に、終了させる。モノリスを介した貯蔵は、フィルターの下流の酸素漏出の検出までの約2秒に関連して、より長い間−漏出するまで約2.7秒−操作する。モノリス上の酸素貯蔵材料は、従って、フィルター上の酸素貯蔵材料よりも効率的に使用される。
【0095】
図3は、酸素貯蔵上の酸素(O2)の貯蔵挙動を実施する実施例を示す。それぞれの場合において、酸素貯蔵要素の同量は、壁面流フィルターに、及び流通モノリスにも適用されている。2つの構成要素の貯蔵挙動は、モノリスの下流に配置されたフィルター(点線)で、及びフィルターの下流に配置されたモノリス(実線)で算出される。モノリス+フィルターのシステムの漏出シグナルは、フィルター+モノリスの漏出シグナルよりも低い急勾配であることが見いだせる。フィルター+モノリスのシステムにおいて、彫像材料の92.1%が、貯蔵された成分の漏出が生じる前に使用されるが、一方でモノリス+フィルターのシステムにおいて、貯蔵媒体の72.7%のみが、漏出前に使用される。これは、好ましい適用(フィルター+モノリス)において、下流のモノリスが、モノリス+フィルターの配置におけるフィルターよりも19.4%多く貯蔵材料を使用することを意味する。前記システムにおける同一の貯蔵量のために、従って、9.7%より多くの貯蔵材料が、本発明による実施態様において使用され、かつ貯蔵されるべき化合物の漏れ(酸素の場合に)が、例えば下流に配置された酸素センサーによって、システムの調整及びモニタリングを著しく単純にする、著しくより急激に操作するシグナルで実施される。
【0096】
図4は、酸素貯蔵材料を含有するフィルターの下流の酸素のシグナルを示す(点線)。フィルター上の全体の貯蔵材料の最適な使用は、フィルター上の貯蔵材料の貯蔵容量が100%排気される場合に、下流のモノリスが、該モノリスの下流に貯蔵されるべき成分の漏出が生じる貯蔵材料の量を正確に含む場合に、図4における実線において示されているように実施される。4秒後に、フィルターを介した酸素の100%の漏出があり、一方でモノリスの下流の漏れがちょうど開始する。この実施例において、モノリスは、フィルターの貯蔵量の約40%を有し、かつしたがって、フィルター中の貯蔵材料の約33%を既に使用することができる。個々で、酸素の漏出までの時間は、2秒から約4秒までと、事実上2倍である。貯蔵されるべき成分のより早い漏出は、フィルターを介して行われ、かつフィルター上のより少ない貯蔵媒体が使用され、下流モノリスの貯蔵量をより高くするべきである。費用の理由から、フィルター上の貯蔵媒体の少なくとも70%が、下流のモノリスを介した漏出が行われる前に使用されることが好都合である。対照的に、既に前記で挙げられたように、改良した診断可能性を使用するために、下流のモノリス上の少量の貯蔵容量でさえが、モノリス中のフィルターを介する漏出の開始のみを遮るために及び漏出シグナルが少なくとも開始時により急勾配に上昇することを提供するために十分であってよい。従って、構成要素(2)に対する貯蔵容量が、漏出シグナルが、測定を開始する予め定義された目標値までだけ比較的高い勾配を有するように構成されることは、当業者に明白である。それというのも、構成要素(2)に対するより高い貯蔵容量が、目標値の点で漏出シグナルの勾配をさらに上昇しないが、しかしフィルター上の貯蔵材料の、及びフィルター+モノリスの全体の貯蔵容量の使用のみが増加するからである。
【0097】
図2及び3の漏出曲線を計算するための形式の記載
使用したシミュレーションモデルは、それぞれ場合に1つの吸気ダクト及び吐出しダクトを有するそれぞれの部分、並びに2つのダクト間の壁における濃度に関する平衡方程式を解く。かかるモデルは、Votsmeier, M.; Gieshoff, J.; Koegel, M.; Pfeifer, M.; Knoth, J. F.; Drochner, A.; Vogel, H. Wall−flow filters with wall−integrated oxidation catalyst: A simulation study. Appl Catal B 2007, 70, 233において詳細に記載されている。
【0098】
挙げられた文献は、貯蔵効果を有さない触媒反応を扱う。壁(例えば酸素貯蔵所)における貯蔵効果を記述するために、壁において貯蔵された成分のための追加の平衡方程式が解かれる。貯蔵した成分に関する分散も転化も考慮に入れる必要がないために、前記平衡方程式は、
【数2】
[式中、rは対応する貯蔵反応の反応速度を表す]に簡略化される同一の反応速度も、フィルター壁におけるガス状成分に関する平衡方程式中でみられる:
【数3】
【0099】
式2における残りの記号を説明するために、前記で挙げた参考文献を参照する。前記反応速度は、提供した実施例において
【数4】
[式中、cgは、吸気濃度に関連して規準化された、無次元のガス相、例えばガス相における酸素の濃度を示し、Cstoredは、壁における貯蔵された成分の濃度を示し、CMAXは、壁の最大の貯蔵容量を示す]のように計算される。Cstored及びCMAXは、同様に無次元であり、かつ特にガス相成分の吸気濃度を基準として規定される。
【0100】
流通モノリスのモデリングは、同様に、前記文献と同様に実施する。さらに、文献において論じられた触媒ガス相反応を、貯蔵反応に置き換える(式1〜2に対応)。貯蔵反応の速度は、式3によってさらに算出される。
【0101】
特定の実施例に関する相対パラメータは以下である:
空間回転数:37500 h−1
温度:400℃。
【0102】
壁面流フィルターに関して:
セル密度:300cpsi
壁厚:0.33mm
壁における分散計数:1E−5 m2/s
k:100 s-1
CMAX:111
【0103】
流通モノリスに関して:
セル密度:400cpsi
壁厚:0.1mm
ウォッシュコート層の厚さ:60μm
ウォッシュコートにおける分散計数:3E−6 m2/s
k:100 s-1
CMAX:182
Claims (8)
- 構成要素(1)として壁面流フィルター、及びその下流に構成要素(2)として流通モノリスを有し、その際双方の構成要素(1)及び(2)が、排気ガス中に存在するSOx、NOx、NH3、O2、HC、H2Sを含有する群から選択される、同一化合物のための少なくとも1つの貯蔵機能を有する、内燃機関のための排気ガス後処理システムであって、構成要素(2)における貯蔵容量が、構成要素(2)の下流の漏出シグナルが、排気ガス化合物を考慮したそれぞれの終了基準で生じる濃度曲線の最も高い勾配を有する一方で、できるだけ少ない貯蔵材料を使用するように設計されるべきであることを特徴とする、排気ガス後処理システム。
- 構成要素(1)及び構成要素(2)の双方が、同一の貯蔵材料を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
- 構成要素(1)及び構成要素(2)の双方が、少なくとも1つの触媒的に活性のある機能を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のシステム。
- 構成要素(1)及び構成要素(2)が、同じ反応の触媒作用を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のシステム。
- 前記構成要素(2)における貯蔵容量が、構成要素(2)の下流の漏出シグナルが、排気ガス化合物を考慮したそれぞれの終了基準で生じる濃度曲線の最も高い勾配を有する一方で、できるだけ少ない貯蔵材料を使用するように設計されるべきであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載のシステムの製造方法。
- 内燃機関の排気ガスを精製するための、請求項1から4までのいずれか1項に記載のシステムの使用。
- a)排気ガスが、構成要素(1)を介して導入され、そして続いて構成要素(2)を通過し、
b)排気ガス中に存在する、SOx、NOx、NH3、O2、HC、H2Sを含有する群から選択される化合物の濃度の測定又はモデリングを、構成要素(2)の下流で実施し、かつ
c)測定を、貯蔵された目標値に達する場合に、ECUによって開始する、
請求項6に記載の使用。 - 前記貯蔵された目標値が、濃度、質量流量、累積質量、空気/燃料比及びラムダ値を含む群から選択された値であることを特徴とする、請求項7に記載の使用。
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