JP2013258032A - 非水電解質二次電池用負極活物質、負極材、及び製造方法、ならびにリチウムイオン二次電池及び電気化学キャパシタ - Google Patents
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Abstract
【効果】本発明で得られた負極活物質を、非水電解質二次電池の負極材として用いることで、高い初回充放電効率を有し、サイクル性に優れた非水電解質二次電池を得ることができる。
【選択図】なし
Description
[1].珪素、一般式SiOx(0.8≦x<1.2)で表される酸化珪素及び珪素の微粒子が珪素系化合物に分散した複合体から選ばれる核粒子の表面に、カーボン被膜を有する被覆粒子であって、上記核粒子表面(表面を0としたとき深さ0〜5nm)におけるO/Siモル比(Xs)と、表面から100nmの粒子内部のO/Siモル比(X)とが、Xs<Xであることを特徴とする非水電解質二次電池用負極活物質。
[2].珪素、一般式SiOx(0.8≦x<1.2)で表される酸化珪素及び珪素の微粒子が珪素系化合物に分散した複合体から選ばれる核粒子の表面に、CVDによりカーボン被覆処理をし、得られたカーボン被覆粒子を冷却する製造方法であって、この冷却工程において、CVD後のカーボン被覆粒子の粉体温度が400℃以下になるまで、装置内の酸素濃度を1体積%以下に保つことを特徴とする[1]記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
[3].[1]記載の非水電解質二次電池用負極活物質を含む非水電解質二次電池用負極材。
[4].[1]記載の非水電解質二次電池用負極活物質を含む負極を有するリチウムイオン二次電池。
[5].[1]記載の非水電解質二次電池用負極活物質を含む負極を有する電気化学キャパシタ。
本発明の非水電解質二次電池用負極活物質は、珪素、一般式SiOx(0.8≦x<1.2)で表される酸化珪素及び珪素の微粒子が珪素系化合物に分散した複合体から選ばれる核粒子の表面に、カーボン被膜を有する被覆粒子であって、上記核粒子表面(表面を0としたとき深さ0〜5nm)におけるO/Siモル比(Xs)と、表面から100nmの粒子内部のO/Siモル比(X)とが、Xs<Xであるものである。
核粒子となるのは、珪素、一般式SiOx(0.8≦x<1.2)で表される酸化珪素及び珪素の微粒子が珪素系化合物に分散した複合体で、リチウムイオンを吸蔵、放出し得る材料である。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、珪素の微粒子が珪素系化合物に分散した複合体が好ましい。
珪素としては特に限定されず、従来公知のリチウムイオンを吸蔵、放出し得る材料が用いられる。
本発明において酸化珪素とは、金属珪素の酸化、二酸化珪素の還元、二酸化珪素と金属珪素との混合物を加熱して生成した一酸化珪素ガスを冷却・析出して得られた非晶質の珪素酸化物の総称であり、一般式SiOxで表されるものをいう。xは0.8≦x<1.2であり、0.8≦x<1.0が好ましい。
珪素系化合物としては、不活性なものが好ましく、二酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素、酸窒化珪素が好ましい。珪素の微結晶が珪素系化合物に分散した構造を有する粒子は、下記性状を有していることが好ましい。
i.銅を対陰極としたX線回折(Cu−Kα)において、2θ=28.4°付近を中心としたSi(111)に帰属される回折ピークが観察され、その回折線の広がりをもとに、シェーラーの式によって求めた珪素の結晶の粒子径が好ましくは1〜500nm、より好ましくは2〜200nm、更に好ましくは2〜20nmである。珪素の微粒子の大きさが1nmより小さいと、充放電容量が小さくなる場合があるし、逆に500nmより大きいと充放電時の膨張収縮が大きくなり、サイクル性が低下するおそれがある。なお、珪素の微粒子の大きさは透過電子顕微鏡写真により測定することができる。
ii.固体NMR(29Si−DDMAS)測定において、そのスペクトルが−110ppm付近を中心とするブロードな二酸化珪素のピークとともに−84ppm付近にSiのダイヤモンド結晶の特徴であるピークが存在する。なお、このスペクトルは、通常の酸化珪素(SiOx:x=1.0+α)とは全く異なるもので、構造そのものが明らかに異なっているものである。また、透過電子顕微鏡によって、シリコンの結晶が無定形の二酸化珪素に分散していることが確認される。
上記核粒子の表面にカーボン被膜を有することで導電性が付与される。カーボン被覆量は特に限定されるものではないが、核粒子に対して0.1〜40質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましい。カーボン被覆量が0.1質量%より少ないと、導電性を維持できなくなるおそれがあり、結果として非水電解質二次電池用負極活物質とした場合にサイクル性が低下するおそれがある。逆にカーボン被覆量が40質量%より多くても、効果の向上が見られないばかりか、負極材料に占めるカーボンの割合が多くなり、非水電解質二次電池用負極材として用いた場合、充放電容量が低下するおそれがある。
本発明の被覆粒子を得る方法としては、例えば、上記各粒子又はその混合物を、常圧又は減圧下で、600〜1300℃、好ましくは800〜1200℃で還元性を有する有機物ガス中で、CVDによりカーボン被覆処理をする方法が挙げられる。上記処理温度が600℃より低いと有機物ガスの熱分解が不十分でCVDが困難となるおそれがあり、逆に1300℃より高いと、二酸化珪素部の構造化が進み、リチウムイオンの往来が阻害されるので、リチウムイオン二次電池用負極材としての機能が低下するおそれがある。なお、処理時間は、カーボン被覆量、処理温度、処理圧力等によって適宜選定されるが、通常、1〜24時間、特に3〜15時間程度が経済的にも効率的である。
本発明は、上記被覆粒子を非水電解質二次電池用負極活物質として用いるものであり、これを用いた非水電解質二次電池負極材を用いて、負極を作製し、リチウムイオン二次電池を製造することができる。
リチウムイオン二次電池は、上記負極活物質を用いる点に特徴を有し、その他の正極、負極、電解質、セパレータ等の材料及び電池形状等は公知のものを使用することができ、特に限定されない。例えば、正極活物質としてはLiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、V2O5、MnO2、TiS2、MoS2等の遷移金属の酸化物、リチウム、及びカルコゲン化合物等が用いられる。電解質としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム、過塩素酸リチウム等のリチウム塩を含む非水溶液が用いられ、非水溶媒としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、2−メチルテトラヒドロフラン等の1種又は2種類以上を組み合わせて用いられる。また、それ以外の種々の非水系電解質や固体電解質も使用できる。
また、電気化学キャパシタを得る場合は、電気化学キャパシタは、上記負極活物質を用いる点に特徴を有し、その他の電解質、セパレータ等の材料及びキャパシタ形状等は限定されない。例えば、電解質として六フッ化リン酸リチウム、過塩素リチウム、ホウフッ化リチウム、六フッ化砒素酸リチウム等のリチウム塩を含む非水溶液が用いられ、非水溶媒としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、2−メチルテトラヒドロフラン等の1種又は2種類以上を組み合わせて用いられる。また、それ以外の種々の非水系電解質や固体電解質も使用できる。
平均粒子径5μmの酸化珪素粒子を準備した。この粒子の粒子表面近傍の元素比を、島津製作所のXPS装置(AXIS−Hs)で分析した。測定チャートを図1に示す。酸化珪素粒子表面から内部に向かってO/Si比は減少しており、粒子表面近傍(表面を0としたとき深さ0〜5nm)におけるO/Siモル比をXs、表面から100nmの粒子内部のO/Siモル比をXとした時、Xs>Xとなっていることがわかる。
この粒子50gをカーボン製トレイに入れ、バッチ式加熱炉内に仕込んだ。その後、油回転式真空ポンプで100Pa以下まで減圧しつつ、300℃/hrの昇温速度で1000℃まで昇温、保持した。次に、メタンガスを0.1NL/minで流入し、15時間のカーボン被覆処理(CVD処理)を行った。なお、この時の減圧度は1000Paであった。処理後は炉内が1000Paを保つようにArガスを通気しながら降温し、粉体温度が250℃になったところで、大気で大気圧まで復圧して取り出した。炉内の酸素濃度は第一熱研(株)エコアゼットTB−II F−Rで測定し、得られた電流値から酸素濃度を求めた。復圧前の炉内酸素濃度は8×10-12ppmであった。得られた黒色粒子は、平均粒子径=5.1μm、カーボン被覆量4.8質量%(対黒色粒子)の導電性粒子であった。
よってこの粒子はカーボン被覆処理によりXs<Xと変化しており、表面近傍が還元された酸化珪素であることがわかる。なお、カーボンCVD処理をすることによって、同時に酸化珪素の不均化反応が進行し、得られた粒子は、珪素の微粒子が珪素系化合物に分散した複合体粒子がカーボン被膜を有する被覆粒子であった。
次に、得られた負極材45質量%と人造カーボン(平均粒子径10μm)45質量%、ポリイミド10質量%を混合し、更にN−メチルピロリドンを加えてスラリーとした。
このスラリーを厚さ20μmの銅箔に塗布し、80℃で1時間乾燥後、ローラープレスにより電極を加圧成形し、この電極を350℃で1時間真空乾燥させた。その後、2cm2に打ち抜き、負極とした。
実施例1で使用した酸化珪素粒子を、炉芯管内径200mm、炉芯管長3mのロータリーキルンに、スクリュー式フィーダーを使用して1kg/時間で供給した。ヒーターは1020℃に設定した。このとき、炉芯管中央部は1000℃、炉内酸素濃度は2×10-15ppmであった。
ガスは、メタンを窒素で13体積%に希釈したものを、30L/minでガス入り口から流入させた。原料の供給開始から5時間経過すると時間当たりの排出量が安定したため、その時点から2時間分の生成物を回収した。ロータリーキルンから排出された処理物は窒素ガスを通気した容器で冷却したのち回収し、容器内の酸素濃度は0.05体積%、回収時の粉体温度は35〜40℃であった。得られた黒色粒子は、平均粒子径=5.2μm、カーボン被覆量5.3質量%の導電性粒子であった。
この粒子も実施例1と同様に酸素量分析、XPS分析を行い、実施例1と同様、Xs<Xの関係を満たす粒子であることを確認した。
実施例1で使用した酸化珪素粒子50gをカーボン製トレイに入れ、バッチ式加熱炉内に仕込んだ。油回転式真空ポンプで100Pa以下まで減圧しつつ、300℃/hrの昇温速度で800℃まで昇温、保持後、トルエンを0.5g/minで炉内に滴下し、3時間のカーボン被覆処理を行った。実施例1と同様、炉内圧が1000Paを保つようにArガスを通気しながら降温し、250℃で復圧して取り出した。復圧前の炉内酸素濃度は7×10-12ppmであった。得られた黒色粒子は、平均粒子径=5.0μm、カーボン被覆量4.9質量%の導電性粒子であった。
この粒子も実施例1と同様に酸素量分析、XPS分析を行い、実施例1と同様、Xs<Xの関係を満たす粒子であることを確認した。
実施例1と同様の酸化珪素粒子(Xs>X)をそのまま使用し、45質量%と人造カーボン(平均粒子径10μm)45質量%、ポリイミド10質量%を混合し、更にN−メチルピロリドンを加えてスラリーとした。その後は実施例1と同様に試験用電池を作製し、同様な電池評価を行った。
実施例1と同様の酸化珪素粒子(Xs>X)50gをカーボン製トレイに入れ、バッチ式加熱炉内に仕込んだ。常圧のまま300℃/hrの昇温速度で1000℃まで昇温、保持した。次に、水素を窒素で20体積%に希釈したものを、1NL/minで流入し、3時間の熱処理を行った。この粒子も同様に酸素量分析、XPS分析を行ったが、Xs>Xであり表面近傍が還元されてはいなかった。
この粒子を用いて実施例1と同じ方法で試験用電池を作製し、同様な電池評価を行った。
実施例1と同じ平均粒子径5μmの酸化珪素粒子を準備し、実施例1と同様にカーボン被覆処理を行った。
処理後はArガスを炉内が1000Paを保つように通気しながら降温したが、粉体温度が450℃の時点で大気中に取り出した。この粒子も同様に酸素量分析、XPS分析を行ったが、Xs>Xであり表面近傍が還元されてはいなかった。
Claims (5)
- 珪素、一般式SiOx(0.8≦x<1.2)で表される酸化珪素及び珪素の微粒子が珪素系化合物に分散した複合体から選ばれる核粒子の表面に、カーボン被膜を有する被覆粒子であって、上記核粒子表面(表面を0としたとき深さ0〜5nm)におけるO/Siモル比(Xs)と、表面から100nmの粒子内部のO/Siモル比(X)とが、Xs<Xであることを特徴とする非水電解質二次電池用負極活物質。
- 珪素、一般式SiOx(0.8≦x<1.2)で表される酸化珪素及び珪素の微粒子が珪素系化合物に分散した複合体から選ばれる核粒子の表面に、CVDによりカーボン被覆処理をし、得られたカーボン被覆粒子を冷却する製造方法であって、この冷却工程において、CVD後のカーボン被覆粒子の粉体温度が400℃以下になるまで、装置内の酸素濃度を1体積%以下に保つことを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
- 請求項1記載の非水電解質二次電池用負極活物質を含む非水電解質二次電池用負極材。
- 請求項1記載の非水電解質二次電池用負極活物質を含む負極を有するリチウムイオン二次電池。
- 請求項1記載の非水電解質二次電池用負極活物質を含む負極を有する電気化学キャパシタ。
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