JP2013257493A - 黒色材料、黒色材料分散液、黒色樹脂組成物、黒色膜及び黒色膜付き基材 - Google Patents

黒色材料、黒色材料分散液、黒色樹脂組成物、黒色膜及び黒色膜付き基材 Download PDF

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Abstract

【課題】高い遮光性を得ながら、現像感度が高く微細パターン形成性に優れ、膜厚が厚くても黒色遮光膜の下部まで露光紫外線が到達し、所望のパターン形状を形成しやすい黒色遮光膜が得られる黒色材料及びこの黒色材料を用いた黒色材料分散液、並びに黒色樹脂組成物、黒色膜及びこの黒色膜を有する黒色膜付き基材を提供する。
【解決手段】少なくとも銀元素及び錫元素を含有する微粒子を含む金属微粒子からなり、該銀元素の含有量が30質量%以上99質量%以下であり、前記金属微粒子の円直径相当の平均一次粒子径が3nm以上100nm以下である黒色材料であって、分散媒中に固形分量が0.0005体積%になるようにして前記黒色材料を分散させた分散液における、光路長10mmでの380nmから800nmの平均吸光度が0.8以上であり、313nmにおける吸光度d(I)313と555nmにおける吸光度d(I)555との比d(I)313/d(I)555が1.5以下、365nmにおける吸光度d(I)365と555nmにおける吸光度d(I)555との比d(I)365/d(I)555が1.5以下である黒色材料である。
【選択図】なし

Description

本発明は、黒色材料及びそれを用いた黒色材料分散液、並びに黒色樹脂組成物、黒色膜及び黒色膜付き基材に関する。
従来から、黒色材料は、黒色遮光性フィルム、黒色遮光性ガラス、黒色紙、黒色布、黒色インキに加え、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)及び有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどの表示素子のブラックマトリックス材料、ブラックシール材、ブラックマスク材等に黒色や遮光性を付与する材料として利用されている。
これらのうち、PDP、LCD及びELディスプレイなどの表示素子のブラックマトリックス材料等においては、コストや環境汚染の面から樹脂及び遮光剤からなる樹脂ブラックマトリクスが用いられている。この樹脂ブラックマトリクスは、紫外線感光性樹脂組成物(フォトレジスト)と、遮光剤であるカーボンブラック等の黒色材料を含有する黒色樹脂組成物(ブラックレジスト)を基板上に塗布、乾燥して黒色被膜を形成し、これを、フォトマスク等を使用して紫外線による露光・現像を行いパターン形成するフォトリソグラフィー法により、格子状に微細パターン化して得られる。
このうちLCDを例に挙げると、近年、液晶表示装置の小型化、および表示するコンテンツが文字から画像へと多様化したことにより、カラーフィルタの高性能化、高精細化が要求され、樹脂ブラックマトリクスに対しては、高遮光性および薄膜化、そして細線加工の要求が高まっている。その結果、遮光性を示す光学濃度(OD値:Optical Densty値)としては4.0以上を膜厚1.0μmで達成することが要求され、画素幅については従来の数10μmに対して、10μm以下、更には5μm以下と細線に加工することが要求されている。
また、LCDの製造には生産性の向上が求められており、カラーフィルタも例外ではない。たとえば、LCDの大型化に伴いカラーフィルタ基板の露光面積も広がるが、露光マスクを基板と同じ大きさとすることは難しい。そのため、一枚のカラーフィルタ基板を分割して繰り返し露光することになる。そうすると、一回あたりの露光時間は生産性に大きく影響し、高感度のフォトリソグラフィー材料が求められるようになる。さらに、塗布、乾燥、露光、現像といったフォトリソグラフィー工程自体の簡略化も重要な生産性向上の手段と考えられている。
特に樹脂ブラックマトリックスは、遮光性が高いことが本来の機能であるため、高遮光化を達成するためには、感光性樹脂組成物に黒色材料を従来よりも多量に添加しなければならない。しかし、カーボンブラック等の黒色材料は可視光領域だけでなく紫外線領域においても遮光性を有するため、黒色材料の含有量が増加すると、カラーフィルタ形成時、特にブラックレジスト膜では紫外線領域の光が塗膜深部にまで届きにくくなり、感度を上げることが非常に難しく、光硬化性組成物中の硬化不良によってパターンの密着不良とりわけ細線の密着不良、現像時のパターン剥がれ、エッジ形状のシャープ性損失が生じる等の微細パターン形成性に問題が発生する。
また、黒色材料自体は感光性や現像性を有さないため、黒色材料の添加量を増加させた場合、現像後に残渣として基板上に残留し、現像性の低下や解像度の劣化を生じるという問題があった。
さらに、黒色材料として通常用いられるカーボンブラックは導電性を有するため、添加量を増加させると、粒子同士が鎖状につながることによりブラックマトリックス自体に導電性が発現する。このため、液晶駆動回路や半導体素子とブラックマトリックスとの間を絶縁する必要があり、新たに絶縁膜を設ける必要があった。
このような、樹脂ブラックマトリックスの高遮光性(高OD値)と、現像感度、微細(細線)パターン形成性といった現像特性とを両立させる必要があるという問題については、紫外線感光性樹脂組成物(フォトレジスト)側で対応する方法と、黒色材料側で対応する方法が考えられる。
まず、フォトレジスト側での対応としては、高濃度の着色剤が含まれる場合でも硬化不良が生じないように、高感度の光重合開始剤や重合度の高いアクリルモノマーを用いたりすることがある。しかしながら、現在の技術では光重合開始剤やアクリルモノマーについて高感度化が限界に来ているのが現状であり、ブラックマトリックスの高遮光を達成させることは非常に困難となっている。そのため、アルカリ可溶性樹脂について、高感度化を達成し、低露光量でのパターン寸法安定性、パターン密着性、パターンのエッジ形状のシャープ性が良好なパターンを広い現像マージンで得ることが試みられている。また、高濃度の着色剤を分散させるための分散剤についても、良好な現像溶解性と現像時の基板への高密着性が求められているが、それぞれトレードオフの関係を有するため、現状では充分なパターニング特性が得られていない。すなわち、フォトレジストの特性として、モノマー、アルカリ可溶性樹脂、分散剤等からのアプローチがなされているが、十分な特性は得られていない。
次に、黒色材料側での対応としては、カーボンブラックに比べて紫外線領域、特に可視光領域との境界である波長400nm以下の透過性を向上させた黒色材料を用いることで、カーボンブラックの量を減じることが考えられている。この方法としては、特定の有機顔料や有機染料を用いる方法が検討されており、紫外線領域での光透過性の向上ははかれているものの、フォトレジストに対する黒色材料の添加量が増加するために、ブラックレジストとして見た場合には現像性の悪化や解像度の低下をきたしており、良好な特性は得られていない。
また、特定の金属粒子として、吸収波長の極小値が230〜350nmにある金属粒子および金属を含む粒子から選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする感光性組成物が報告されているが(例えば、特許文献1参照)、近紫外線、中紫外線、遠紫外線領域において極小値が存在する波長領域が示されているのみであり、吸収極小値の絶対値や、汎用的な露光機で用いられるi線(365nm)を含む350nm以上の長波長側の近紫外線の吸収特性、更には可視光領域の吸収と紫外線領域の吸収との相互関係に触れられておらず、課題を十分に解決できるものとはいえない。
また、LCD用の液晶パネルは、2枚の透明基板、例えばガラス基板等の間に液晶材料を挟み込む構造であるため、両透明基板間に液晶材料を充填し封入できるように、2枚の基板間にスペーサーを形成することが必要である。そしてこのスペーサーは遮光性を有することが好ましいことから、ブラックレジストを用いることや、樹脂ブラックマトリックスにこのスペーサー機能を持たせることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
このスペーサーには、各液晶素子を安定かつ均一な状態で駆動させるために、高い絶縁性と低い誘電率が求められる。また、2枚の透明基板間に液晶を封入するためには通常数μm以上の間隔が必要であり、このためスペーサーも数μm以上の高さを必要とするが、一方で、各液晶素子間で均一な駆動を行うためにはスペーサーの形状、特に高さ方向の均一性(パターン再現性)が求められる。このため、数μm以上の厚膜ブラックレジストにおいても、高い紫外線感光性と良好な現像特性が求められる。
しかしながら、現状のブラックレジストにおいては、高絶縁性と低誘電率を有し、かつパターン再現性に優れたものが得られていない。
また、特にMVA(Multi−domain Vertical Alignment)型液晶には、液晶の配向性を制御するための液晶配向性制御用バンプが設けられる場合があり、このバンプ形成にブラックレジストを用いることが検討されている(例えば、特許文献3参照)。
このバンプは液晶セル内の電極上に設けられることから、上記のスペーサーと同様、高い絶縁性と低い誘電率が求められ、またバンプによる光の反射を防ぐための遮光性や、各液晶素子間での均一な制御性を持たせるためのパターン再現性が必要とされる。
しかしながら、現状のブラックレジストにおいては、前記スペーサーの場合と同様、高絶縁性と低誘電率を有し、かつパターン再現性に優れたものが得られていない。
特開2008−256729号公報 特開2006−235153号公報 特開2008−3320号公報
しかし、上記の公知技術で得られた、ブラックマトリックス、液晶パネル用スペーサー、液晶配向性制御用バンプ等の形成用に用いられるブラックレジストや、当該ブラックレジストを用いて形成した黒色遮光膜では、高い遮光性を得ながら、現像感度が高く微細パターン形成性に優れ細線化が可能なものが得られない、黒色遮光膜の膜厚が厚い場合に黒色膜の下部まで露光紫外線が到達しないため黒色遮光膜の下部が十分に露光されず、その結果黒色遮光膜が十分に硬化しない(ネガ型の場合)、あるいは現像時に黒色遮光膜の除去が不十分となる(ポジ型の場合)、所望のパターン形状を形成しにくい、といった問題があった。
本発明はかかる状況に鑑みなされたもので、高い遮光性を得ながら、現像感度が高く微細パターン形成性に優れ細線化が可能であり、膜厚が厚くても黒色遮光膜の下部まで露光紫外線が到達し、所望のパターン形状を形成しやすい黒色遮光膜が得られる黒色材料及びこの黒色材料を用いた黒色材料分散液、並びに黒色樹脂組成物、黒色膜及びこの黒色膜を有する黒色膜付き基材を提供することを目的とする。
上記課題は、下記本発明により解決される。すなわち、本発明は、
〔1〕 少なくとも銀元素及び錫元素を含有する微粒子を含む金属微粒子からなり、該銀元素の含有量が30質量%以上99質量%以下であり、前記金属微粒子の円直径相当の平均一次粒子径が3nm以上100nm以下である黒色材料であって、
分散媒中に固形分量が0.0005体積%になるようにして前記黒色材料を分散させた分散液における、光路長10mmでの380nmから800nmの平均吸光度が0.8以上であり、313nmにおける吸光度d(I)313と555nmにおける吸光度d(I)555との比d(I)313/d(I)555が1.5以下、365nmにおける吸光度d(I)365と555nmにおける吸光度d(I)555との比d(I)365/d(I)555が1.5以下である黒色材料、
〔2〕 前記金属微粒子において、アスペクト比3以下の一次粒子の数が、一次粒子の全体数の20%以上である〔1〕に記載の黒色材料、
〔3〕 前記金属微粒子が、銀錫合金部を有する微粒子、銀錫合金部を有する微粒子と銀微粒子との混合微粒子、銀錫合金部を有する微粒子と錫微粒子との混合微粒子、銀錫合金部を有する微粒子と銀微粒子と錫微粒子との混合微粒子、及び銀微粒子と錫微粒子との混合微粒子、のいずれかである〔1〕または〔2〕に記載の黒色材料、
〔4〕 〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の黒色材料を、分散媒中に分散した黒色材料分散液であって、平均分散粒子径が3nm以上200nm以下であり、かつ90%累積体積粒子径が1μm以下である黒色材料分散液、
〔5〕 〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の黒色材料と、樹脂形成成分または樹脂成分と、を少なくとも含む黒色樹脂組成物、
〔6〕 〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の黒色材料と、樹脂成分と、を少なくとも含む黒色膜、
〔7〕 光学濃度(OD値)が1以上であり、313nmにおける吸光度d(II)313と555nmにおける吸光度d(II)555との比d(II)313/d(II)555が1.5以下、365nmにおける吸光度d(II)365と555nmにおける吸光度d(II)555との比d(II)365/d(II)555が1.5以下である〔6〕に記載の黒色膜、
〔8〕 表面抵抗が1011Ω/□以上である〔6〕または〔7〕に記載の黒色膜、及び、
〔9〕 1KHzにおける比誘電率が15以下である〔6〕〜〔8〕のいずれかに記載の黒色膜、
〔10〕 〔6〕〜〔9〕のいずれかに記載の黒色膜を基材表面に有する黒色膜付き基材、
を提供するものである。
本発明によれば、高い遮光性を得ながら、現像感度が高く微細パターン形成性に優れ細線化が可能で、膜厚が厚くても黒色遮光膜の下部まで露光紫外線が到達し、所望のパターン形状を形成しやすい黒色遮光膜が得られる黒色材料及びこの黒色材料を用いた黒色材料分散液、並びに黒色樹脂組成物、黒色膜及びこの黒色膜を有する黒色膜付き基材を提供することができる。
実施例1で得られた黒色材料分散液の分光吸収スペクトルである。 実施例2で得られた黒色材料分散液の分光吸収スペクトルである。 実施例3で得られた黒色材料分散液の分光吸収スペクトルである。 実施例4で得られた黒色材料分散液の分光吸収スペクトルである。 実施例5で得られた黒色材料分散液の分光吸収スペクトルである。
以下、本発明を実施形態により説明する。なおこの実施形態は、発明の趣旨をより良く説明するために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を制限するものでない。
<黒色材料>
本実施形態の黒色材料は、少なくとも銀元素及び錫元素を含有する微粒子を含む金属微粒子からなり、銀元素の含有量が30質量%以上99質量%以下であり、円直径相当の平均一次粒子径が3nm以上かつ100nm以下である。
金属微粒子においては、粒子径や粒子形状を制御することで金属微粒子が光を吸収する波長が変わることが知られている。例えば、球状で粒子径が小さい銀微粒子は420nm付近にプラズモン吸収を有している。
本実施形態では、銀に加えて錫を活用することで、可視光領域での遮光性及び黒色度が高く、紫外線の透過率が高いという特性を同時に実現することができた。この観点から定められる前記の金属微粒子中の銀元素の含有量範囲が、1つ目の要件となる。
黒色材料中の銀元素の含有量が30質量%を下回ると、黒色材料中に占める錫の割合が多くなってしまい、黒色膜の製造プロセス中に熱がかかる部分があると十分な光遮蔽性を得ることができない。錫は融点が230℃でありそれに近い温度以上では錫が酸化して黒色度が低い酸化錫となり黒色度が低下してしまうためである。また、錫元素起因の紫外線吸収により、紫外線領域の透過率が低下してしまう。
一方、黒色材料中の銀元素の含有量が99質量%を上回ると、銀元素のために反射率が高くなってしまい十分な黒色度が得られなかったり、可視光域の吸光度の波長依存性が大きくなり自然な黒色が得られなかったりしてしまう。
また、黒色材料が銀のみで形成されていると、大気中200℃以上で黒色膜を焼成すると、焼成前にくらべ可視光中央域である550nm付近の透過率が高くなり遮光性が低下する場合があるため、黒色膜の製造プロセス中に熱がかかる部分があると黒色材料が銀のみで形成されているのは好ましくない。この観点からも、黒色材料中の銀元素の含有量が99質量%以下であることが必要である。
前記黒色材料中の銀元素の含有量は、45質量%以上99質量%以下が好ましく、60質量%以上98質量%以下がより好ましく、70質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。
前記黒色材料中の銀元素の含有量は、当該黒色材料を酸等で溶解させた溶液をICP発光分析等の湿式定量分析を行うことで求めればよいが、主成分が金属元素である銀と錫のみで軽元素を含まないことから、圧粉体を用いたEPMA(電子線マイクロアナライザー)分析で測定することができる。本実施形態の黒色材料の主成分である金属元素は銀と錫だけであるから、金属微粒子中の銀元素の含有量(%)は、EPMAの測定値から下記式(1)により求めることができる。
銀元素の含有量(%)=〔銀元素の質量/(銀元素の質量+錫元素の質量)〕×100 ・・・ (1)
なお、式(1)中の分母には、例えば金属微粒子の周囲に付着している分散剤等に起因する炭素や金属微粒子の表面の酸化などに起因する酸素など、金属以外の元素は含まない。
また2つ目の要件として、黒色材料分散液中の金属微粒子の円直径相当の平均一次粒子径は、3nm以上かつ100nm以下であることが必要である。平均一次粒子径をこの範囲内とすることで所望の黒色遮蔽膜を容易に形成できる。すなわち、平均一次粒子径が3nm未満では、可視光の波長と比較して小さすぎるために透過光量が増加して所望の黒色度が得られないおそれがある。一方、平均一次粒子怪が100nmを超えると、散乱が生じて所望の黒色度が得られ難くなったり、黒色遮光膜の表面の凹凸が大きくなったりするおそれある。
上記平均一次粒子径は、3nm以上60nm以下が好ましく、5nm以上60nm以下がより好ましく、5nm以上40nm以下がさらに好ましい。
なお、本実施形態における円直径相当の平均一次粒子径とは、後述するように種々の形状を持つ金属微粒子をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察し、確認された微粒子と面積が同じになるような円に相当する直径である。
前記金属微粒子において、アスペクト比3以下の一次粒子の数が一次粒子の全体数の20%以上であることが好ましい。アスペクト比が3以下の一次粒子の比率が20%以上であると、黒色材料を用いて形成した塗膜にパターンを形成する場合、粒子の形状異方性が抑えられているために露光後に黒色材料を現像液で取り除く場合に黒色材料が残存しにくく、残渣がない良好なパターンを形成することができる。
アスペクト比3以下の一次粒子の数は、一次粒子の全体数の50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。また、黒色材料がアスペクト比が小さい粒子のみから形成されていると可視光の遮光性が十分でなくなる場合があるが、所望の遮光性が発現していればアスペクト比3以下の一次粒子の数比率に上限はない。
本実施形態において、上記アスペクト比は、黒色材料をTEMで観察した画像から、次のように規定した。
先ず、TEM画像で観測される金属微粒子において、その最も長い部分の長さをLとし、Lと直角方向の長さをWとした際に、L/Wで示される値をアスペクト比とした。すなわち、アスペクト比3以下の一次粒子では、TEM画像の形状(平面に転写された形状)が必ずしも完全な円状である必要はなく、歪んだ円状、歪んだ楕円状、多角形状、角が取れた多角形状等であってもよい。そして、TEM画像から任意に100個の粒子を抽出し、各々の粒子のアスペクト比を算出した上でアスペクト比が3以下の一次粒子の数が抽出した100個の粒子に占める割合を算出し、これを一次粒子の全体数中の割合とした。
本実施形態における金属微粒子の構成は、銀錫合金部を有する微粒子、銀錫合金部を有する微粒子と銀微粒子との混合微粒子、銀錫合金部を有する微粒子と錫微粒子の混合微粒子、銀錫合金部を有する微粒子と銀微粒子と錫微粒子との混合微粒子、及び銀微粒子と錫微粒子との混合微粒子、のいずれかであり、これらの金属微粒子の円直径相当の平均一次粒子径が3nm以上100nm以下であることが好ましい。なお、銀錫合金部については後述する。
また、黒色材料が銀のみで形成されていると、大気中200℃以上で黒色膜を焼成すると、焼成前に比べ可視光中央域である550nm付近の透過率が高くなり遮光性が低下する場合があるため、黒色膜の製造プロセス中に熱がかかる部分があると黒色材料が銀のみで形成されているのは好ましくない。この観点からも、黒色材料中金属微粒子の構成は、錫を含む上記のいずれかにすることが好ましい。
本実施形態における黒色材料は、銀錫合金部を有する微粒子を含むことが好ましい。ここで、上記「銀錫合金部」とは、銀と錫との金属間化合物、すなわち銀と錫を含み、かつ銀あるいは錫の結晶構造とは異なる銀錫金属間化合物の結晶構造を有する部分(以下、「銀錫金属間化合物相」とも言う)を含むが、それだけではなく、銀中に銀の結晶構造を保った状態で錫が固溶した部分(以下、「錫固溶銀相」とも言う)、あるいは錫中に錫の結晶構造を保った状態で銀が固溶した部分(以下、「銀固溶錫相」とも言う)も含まれる。また、上記「銀錫合金部を有する微粒子」とは、後述するように前記銀錫合金部のみで構成される微粒子のみでなく、銀錫合金部を一部に有し他の金属部と複合した微粒子等を含むものを意味する。
このように金属微粒子が銀錫合金部を含むことで、合金化により発生した散乱(電子の移動を阻害する作用)の効果で電子の移動が単体金属の場合よりも阻害されるため、黒色遮光膜の反射率を低下させることができる。
この観点から、本実施形態における金属微粒子の構成は、銀錫合金部を有する微粒子、銀錫合金部を有する微粒子と銀微粒子との混合微粒子、銀錫合金部を有する微粒子と錫微粒子の混合微粒子、銀錫合金部を有する微粒子と銀微粒子と錫微粒子との混合微粒子、のいずれかであることが好ましい。なおここで、銀微粒子とは、実質的に錫を含まない銀のみからなる微粒子であり、また錫微粒子とは、実質的に銀を含まない錫のみからなる微粒子である。
そして、銀錫合金部を有する微粒子としては、1つの粒子が銀錫合金部のみで構成された微粒子、銀錫合金部と銀部とが複合した微粒子、銀錫合金部と錫部とが複合した微粒子、銀錫合金部と銀部と錫部とが複合した微粒子、を挙げることができる。さらに、銀錫合金部は銀錫金属間化合物相のほか錫固溶銀相や銀固溶錫相であってもよいから、例えば1つの粒子が銀錫合金部のみで構成された微粒子においても、銀錫金属間化合物相単独の場合だけでなく、銀錫金属間化合物相と錫固溶銀相との混合物、銀錫金属間化合物相と銀固溶錫相との混合物、銀錫金属間化合物相と錫固溶銀相と銀固溶錫相との混合物であってもよい。なおここで、銀部とは、実質的に錫を含まない銀のみからなる部分であり、また錫部とは、実質的に銀を含まない錫のみからなる部分である。
このように、金属微粒子に銀錫合金部を有する微粒子を含ませることで、可視光領域での遮光性、黒色度、紫外線領域における高光透過性の三者をバランス良く得ることができる。
本実施形態において、銀錫合金部とは、例えば次のものであって、銀錫金属間化合物の結晶構造を有する銀錫金属間化合物相だけではなく、銀の結晶構造を有する錫固溶銀相、錫の結晶構造を有する錫固溶銀相を含んでもよい。
まず、銀錫金属間化合物相を有するものとしては、銀錫合金を化学式Ag1-XSnXで表した場合のXの範囲としては、0.118≦X≦0.2285のζ相(空間群P63/mmc)及び0.237≦X≦0.25のε相(空間群Pmmn)が知られている(Binary Alloy Phase Diagram,p.94−97による)。これらの相の組成と空間群を、X線回折のICDDカード(JCPDSカード)と比較すると、ε相のX線回折データがAg3Sn(IDCC 71−0530)、ζ相のX線回折データがAg4Sn(IDCC 29−1151)に相当すると考えられる。従って、斜方晶系であるε相(Ag3Sn)又は六方晶系であるζ相(Ag4Sn)の構造を有する銀錫合金部を有する微粒子であれば、化学的安定性と黒色度とを満足することができる。
次に、銀の結晶構造を有するものとしては、銀中に銀の結晶構造を保った状態で錫が固溶したもの(錫固溶銀相)、すなわち銀結晶中の銀原子の一部を錫原子が置換したものとなるが、この場合の銀錫合金を化学式Ag1-YSnYで表した場合、0<Y≦0.115であり、前記文献では(Ag)相(以下の表記で示される空間群:立方晶系)で示される。
Figure 2013257493
この範囲を、AgZSn(Zは実数)で表記すれば、7.70≦Z<∞(無限大)となる。
なお、Y=0(Ag1Sn0)あるいはZ=∞(Ag∞Sn)はAg単成分相に相当するため、ここで示す銀錫合金部としての規定範囲からは外してある。ただし、本実施形態において本黒色材料として用いられる銀元素及び錫元素を含有する微粒子を含む金属微粒子としては、前記のように銀錫合金部を有する微粒子だけでなく、銀錫合金部を有する微粒子及び銀微粒子の混合微粒子等も好適であることから、黒色材料中にはY=0のものを含んでもかまわない。
なお前記文献によれば、銀錫合金部としての銀固溶錫相は存在しないこととなっているため、銀固溶錫相に関する詳細な記載は省略する。ただし、銀固溶錫相が存在した場合には、本実施形態の銀錫合金部に含むものとする。
本実施形態の黒色材料の製造方法としては、上記のように、組成や粒子径を調整することにより黒色を呈する金属微粒子が得られる方法であれば、特に制限はなく、気相反応法、噴霧熱分解法、液相反応法、凍結乾燥法、水熱合成法など、通常の金属微粒子合成法を適用することができる。
これらの中でも銀錫合金部を有する微粒子を形成しやすいこと、合成条件により粒子の形状を制御しやすいことといった点から、液相反応法を用いることが好ましい。従来、金属微粒子の粒子径や粒子形状を制御しながら、酸化還元電位が大きく異なる錫と銀との合金を製造する方法は見出されていなかったが、本実施形態では、反応温度、pH、攪拌効率といった反応条件を厳密に制御することで、粒子径や粒子形状を制御しながら銀錫合金を生成させることが可能となった。
上記液相反応法の一例としては、例えば、錫コロイド分散液中に銀化合物溶液を滴下し、錫で銀イオンを還元して錫と銀とを合金化させ、銀錫合金部を有する微粒子と銀微粒子とを生成する方法を例示することができる。
この製造方法にあっては、反応条件(例えば、錫と銀イオンとの比率、反応液のpH、反応温度、反応時間など)を適宜調整することにより、金属微粒子中の銀元素の含有量を任意に制御することができる。
前記の液相反応では、液相中での反応により合成が完結するため、黒色材料を回収する必要はなく、そのままあるいは簡単な工程を経ることで、容易に後述する黒色材料分散液とすることも可能である。
また、この黒色材料を用いて黒色膜を作製する場合、樹脂成分との分散性を考慮して、水分散系から有機溶媒分散系に変更してもよい。有機溶媒分散系に変更する場合の一例としては、液相から回収したケーキ状の凝集物を、ボールミル、ビーズミル等の湿式混合機を用いて有機溶媒中にて分散処理する方法を挙げることができる。
こうして得られた本実施形態の黒色材料は、以下の特性を満たすことが必要とされる。
すなわち、分散媒中に固形分量が0.0005体積%になるようにして黒色材料を分散させた分散液(以下、「評価用分散液」と称する場合がある)における吸光度を光路長10mmで測定した場合に、まず、380nmから800nmの平均吸光度が0.8以上であることが必要である。平均吸光度が0.8を下回ると、本黒色材料を用いた黒色膜において遮光性が十分でなくなってしまう。このように平均吸光度が0.8以上であれば、この黒色材料と樹脂成分とを少なくとも含んでなる黒色膜を形成する場合に、黒色膜における所望の遮光性を維持しつつ黒色膜中の黒色材料の体積比率を下げ、感光性や現像性に寄与する樹脂成分等の体積比率を高めることができる。これにより、微細形状の形成性が向上し、例えば後述のブラックマトリックスに用いられる細線パターンの形状形成が容易になる。
上記平均吸光度は、1.0以上であることが好ましく、1.1以上であることがよりに好ましく、1.2以上であることがさらに好ましい。
また、313nmにおける吸光度d(I)313と555nmにおける吸光度d(I)555との比d(I)313/d(I)555が1.5以下であり、365nmにおける吸光度d(I)365と555nmにおける吸光度d(I)555との比d(I)365/d(I)555が1.5以下であることが必要である。吸光度の比がこの範囲内にあれば、可視光の透過性に対して紫外線の透過性が高いため、本黒色材料を用いて形成した黒色遮光膜の現像感度を高くすることができ、また微細パターン形成性に優れ細線化が可能となり、膜厚が厚くても黒色遮光膜の下部まで露光紫外線が到達し、所望のパターン形状を形成しやすくすることができる。
ここで紫外線の波長のうち313nm及び365nmを指標として選択したのは、例えば露光に一般に用いられる高圧水銀灯では365nmのi線にピークがあるが、その他の波長域の光も放射するために他波長の紫外線も考慮する必要があること、一方、パターンの微細化や高解像度化に伴い露光波長の短波長化が計られていることから、より短波長側のj線(313nm)についても指標とした。
前記313nm及び555nmにおける吸光度の比d(I)313/d(I)555は1.2以下が好ましく、1.0以下がより好ましく、0.8以下がさらに好ましい。なお、この値は低ければ低いほど好ましいため、下限はない。
また、前記365nm及び555nmにおける吸光度の比d(I)365/d(I)555は1.4以下が好ましく、1.3以下がより好ましく、1.2以下がさらに好ましい。なお、この値も低ければ低いほど好ましいため、下限はない。
前記評価用分散液に用いる分散媒としては、吸光度が最も高くなるような溶媒を適宜選択することができる。なお本実施形態において、上記評価用分散液を後述する本実施形態の黒色材料分散液を希釈することにより得る場合においては、前記分散媒は、実際上は後述の黒色材料分散液に用いられる分散媒と同一か、黒色材料分散液に用いられる分散媒との相溶性が高い必要がある。
具体的に、前記吸光度測定のための希釈溶媒(分散媒)としては、黒色材料分散液の溶媒が水である場合には、水、エタノール、メタノール、1−プロパノール、アセトン等を、黒色材料分散液の溶媒が非水系である場合には、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、ヘキサン等を例示できる。
例えば、分散媒として水を用いた場合、水の比重を1.00、黒色材料の比重を10.00として概算すると、吸光度測定用に黒色材料分散液を固形分量が0.0005体積%となるように希釈した液は、黒色材料の質量比に換算すると0.005質量%となる。
吸光度測定用の希釈液中の固形分は、周囲に付いている分散剤等は含まない黒色材料の質量ないし体積から算出する。
この評価用分散液を、後述する本実施形態の黒色材料分散液を希釈することにより得る場合、前記黒色材料を分散させる分散条件としては、後述の本実施形態の黒色材料分散液の作製条件により定まるものであるが、基本的には前記銀元素及び錫元素を含有する微粒子を含む金属微粒子の平均分散粒子径が3nm以上200nm以下、かつ90%累積個数粒子径が1μm以下となる程度まで分散を行えばよい。このような粒子径、粒度分布となるのであれば、分散装置、分散時間等は特に制限されない。
すなわち、分散装置としては、ビーズミル、ボールミル、超音波分散機等の公知の分散処理装置を用い、各装置の特性に合わせた分散時間を選定すればよく、また分散性の向上や分散安定性の向上のための、分散剤や分散助剤、表面処理剤等を用いることもできる。
また、黒色材料分散液からこの評価用分散液を得る方法としては、例えば、後述の方法により黒色材料分散液中の金属微粒子の含有率が25質量%の黒色材料分散液を作製した場合、黒色材料分散液に用いられる分散媒で黒色材料分散液を0.05体積%になるように希釈して手振りで混合し、さらに同じ分散媒で100倍に希釈して手振りで混合して、固形分量が0.0005体積%の吸光度測定用の希釈液を得ることができる。
<黒色材料分散液>
本実施形態の黒色材料分散液は、本実施形態の黒色材料を分散媒中に分散させた分散液である。
この分散液中における黒色材料の含有率は、1質量%以上80質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以上50重量%以下、さらに好ましくは10質量%以上40質量%以下である。ここで、黒色材料の含有率を1質量%以上80質量%以下が好ましいとした理由は、この範囲が黒色材料が良好な分散状態を取りうる範囲であり、含有率が1質量%未満であると、分散媒量が多すぎて黒色材料としての効果が低下する場合があり、また、80質量%を超えると、黒色材料の濃度が高くなり過ぎてペースト状態となり、分散液としての特徴が消失する場合があるからである。
(分散媒)
前記分散媒は、基本的には、水及び有機溶媒の少なくともいずれかを含有したものである。
上記の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル、γ−ブチロラクトン等の他のエステル類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;及びN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類が好適に用いられ、これらの溶媒のうち1種または2種以上を用いることができる。
上記のうち、非水溶性有機溶媒を用いた場合の分散液における含水率は、5質量%以下が好ましく、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
分散液の含水率が5質量%を超えると、黒色材料を分散した黒色材料分散液を塗料等の黒色樹脂組成物とする目的で非水系の樹脂成分ないしは樹脂形成成分と混合した場合に、分散液と樹脂成分ないしは樹脂形成成分とが分離し易くなり、安定した混合物(塗料等)が得難くなる場合がある。すなわち、分散液の含水率を5質量%以下とすることで、種類が多い非水系の樹脂成分ないしは樹脂形成成分の中から所望の特性に合ったものを適宜選択することができ、分散液、樹脂組成物(塗料)や塗膜における制約もなく、これらの設計の自由度を広げることができる。
(その他の成分)
本実施形態の分散液では、黒色材料の分散性の向上、分散安定性の向上のために、分散剤及び/又は分散助剤や表面処理剤を併用することが好ましい。中でも、特に分散剤として高分子分散剤を用いると経時の分散安定性に優れるので好ましい。なお、ここで、分散剤は黒色材料の分散安定性を確保するための、黒色材料とは全く構造の異なるポリマー等であり、分散助剤とは黒色材料の分散性を高めるための顔料誘導体をいう。
一般的に高分子分散剤の分類としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤、ポリカルボン酸塩、ポリアルキル硫酸塩、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリルアミド等が挙げられる。これらの中では、樹脂として使用する電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂との相溶性、有機溶剤に対する相溶性を考慮すると、ウレタン系分散剤が好ましい。
また、高分子分散剤を製法に依存した構造で分類した場合、ランダムコポリマー、櫛型コポリマー、ABA型ブロックコポリマー、BAB型ブロックコポリマー、両末端親水基含有ポリマー、片末端親水基含有ポリマーなどがある。これらの中では、樹脂として使用する電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂との相溶性、有機溶剤に対する相溶性を考慮すると、ランダムコポリマー、櫛形ポリマーが好ましい。
これらの条件を満たす分散剤の具体例としては、商品名で、EFKA(エフカーケミカルズビーブイ(EFKA)社製)、Disperbyk(ビックケミー社製)、SOLSPERSE(ゼネカ社製)等を挙げることができる。また、これらの分散剤は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
また、上記分散剤の黒色材料に対する添加量は、黒色材料を100部とした場合5質量部以上50質量部以下であることが好ましい。分散剤添加量が5質量部未満であると、黒色微粒子の分散に必要な分散剤量が足りずに分散液の分散性が保持できず、請求項に示す分散液の平均分散粒子径、90%累積体積粒子径を満たすことができない場合がある。また、添加分散剤量が50質量部を超えると、黒色材料に対して分散剤量が過剰となり、分散剤同士の相互作用などにより分散液の分散性が保持できず、後述する分散液における平均分散粒子径、90%累積体積粒子径を満たすことができない場合がある。
前記黒色材料分散液においては、溶媒中に分散した金属微粒子(黒色材料)の平均分散粒子径が3nm以上200nm以下であることが好ましい。本実施形態における金属微粒子の平均一次粒子径が3nm以上であるため、平均分散粒子径が3nm未満の分散液を得ることは困難である。平均分散粒子径が200nmを上回ると、黒色材料分散液中での微粒子の分散が十分でなく、遮光性が低下したり微粒子の散乱により外観が白っぽくなり、黒色度が低下したりする場合がある。
平均分散粒子径は5nm以上150nm以下がより好ましく、5nm以上100nm以下がさらに好ましく、5nm以上50nm以下が特に好ましい。
また、前記黒色材料分散液の溶媒中に分散した金属微粒子(黒色材料)の90%累積体積粒子径は1μm以下であることが好ましい。90%累積体積粒子径が1μmを上回ると、黒色材料分散液中での微粒子の分散が十分でなく粗大な粒子が存在するようになるため、遮光性が低下したり、微粒子の散乱により外観が白っぽくなり黒色度が低下したりする場合がある。
上記90%累積体積粒子径は0.6μm以下であることがより好ましく、0.4μm以下がさらに好ましく、0.3μm以下が特に好ましい。
上記分散液中の平均分散粒子径及び90%累積体積粒子径の測定方法については、動的光散乱法による粒度分布測定装置を用いてこの分散液の粒度分布を測定し、分散液中の微粒子の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、累積カーブが50%となる点の粒径を平均分散粒子径、90%となる点の粒径を90%累積体積粒子径とした。
また、後述の黒色塗料における平均分散粒子径及び90%累積体積粒子径についても、同様の測定方法により求めた。
本実施形態の黒色材料分散液は、黒色材料と、必要に応じて分散剤や分散助剤等の成分とを、分散媒に加えて混合分散することにより調製することができる。混合分散方法は、黒色材料等を混合した混合液を、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー、超音波分散機、ペイントシェーカー、ボールミル、ビーズミル、アイガーミルなどの公知の分散処理方法より選択した単独もしくは複数を組み合わせて分散処理すればよいが、分散性の点から少なくともビーズミルを用いるのが好ましい。
例えば上記ビーズミルを用いた場合、バッチ式のビーズミルにおいて分散室内での(ビーズの質量)/(分散液の質量)の比を0.5以上15以下、回転数を1000rpm以上4000rpm以下で、0.1時間以上10時間以内程度分散させることが好ましい。
好ましい分散条件としては、例えば(ビーズの質量)/(分散液の質量)の比を3.5とし、2500rpmで2時間程度分散する条件が挙げられる。
<黒色樹脂組成物>
本実施形態の黒色樹脂組成物は、少なくとも本実施形態の黒色材料と樹脂形成成分または樹脂成分とを含むものであり、塗料等が含まれる。なお樹脂成分とは、後述の黒色膜における樹脂成分と同一であり、樹脂形成成分とは、後述の黒色膜における樹脂成分を形成するための成分である。
ここで、黒色樹脂組成物を構成するための主たる成分は次に示す[A]から[E]の5種類である。なお、[B]と[E]とは異なるものとする。
[A]黒色材料
[B]黒色材料分散媒
[C]樹脂形成成分
[D]樹脂成分
[E]樹脂形成成分または樹脂成分の溶媒
前記黒色樹脂組成物は、主にこの5成分の組み合わせにより構成されており、その組み合わせは次の(1)から(7)の通りとなる。なお、黒色材料を構成する金属微粒子を黒色樹脂組成物中に分散させるために、黒色材料は分散剤で処理されていることが好ましいが、分散剤は付加的成分であるため、ここでの記述は省略する。また、必要に応じて添加することが可能な[A]から[E]以外の成分、すなわち、分散助剤や表面処理剤についても、ここでは記述を省略する。
(1):[A]+[C]
最小限の組み合わせである2成分系であり、液状の樹脂形成成分中に黒色材料を分散したものと捉えることができる。この場合、[C]は液状である必要がある。
(2):[A]+[B]+[C]
3成分系であり、前記「黒色材料分散液」と、樹脂形成成分とを混合したものと捉えることができる。一般的には[C]は液状である必要があるが、[C]が[B]に可溶の場合には、[C]は固体状であってもかまわない。
(3):[A]+[C]+[E]
3成分系であり、溶媒中に溶解させた樹脂形成成分中に黒色材料を分散させたものと捉えることができる。[C]は[E]に溶解させているため、液状でも固体状でもかまわない。
(4):[A]+[D]+[E]
3成分系であり、溶媒中に溶解させた樹脂成分中に黒色材料を分散させたものと捉えることができる。なお[D]は固体であるから、[D]が存在する限り[E]は不可欠である。
(5):[A]+[B]+[D]
[D]が[B]に可溶な場合にのみ可能な組み合わせであって、前記「黒色材料分散液」中に、樹脂成分を溶解したものと捉えることができる。この場合のみ、例外的に[E]は不要である。
(6):[A]+[B]+[C]+[E]
(7):[A]+[B]+[D]+[E]
4成分系であり、前記「黒色材料分散液」に、樹脂形成成分または樹脂成分を溶解させた溶液を混合したものと捉えることができる。この場合、[B]と[E]とは相溶性が高い必要がある。両者の相溶性が低い場合、「黒色材料分散液」と「樹脂形成成分または樹脂成分を溶解させた溶液」とがそれぞれ安定に存在しても、両者を混合した際に、相分離や粒子成分の凝集等が起こるため好ましくない。なお、[B]と[E]とが同一の場合には、(6)は(2)または(3)に、(7)は(4)または(5)に、それぞれ含めるものとする。
上記黒色材料[A]、黒色材料の分散媒[B]、樹脂形成成分[C]、樹脂成分[D]、樹脂形成成分または樹脂成分の溶媒[E]の内、黒色材料、黒色材料の分散媒については上述していることから、ここでは樹脂成分、樹脂形成成分、樹脂形成成分又は樹脂成分の溶媒、について説明する。
(樹脂形成成分、樹脂成分)
樹脂形成成分とは、後述の黒色膜における樹脂成分を形成するための成分であり、通常は樹脂成分のモノマー、オリゴマーやプレポリマーが含まれる。すなわち、樹脂成分として、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が各種使用可能であることから、これら樹脂のモノマー、オリゴマー、プレポリマーの少なくともいずれかもこれらに含まれる。
樹脂成分として電離放射線硬化性樹脂を選択する場合、樹脂形成成分である電離放射線重合性モノマー(単量体)としては、分子中にラジカル重合性官能基を有する重合性モノマーである多官能性(メタ)アクリレートが好ましく、具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。カチオン重合性官能基を有するモノマーとして、例えば、3,4−エポキシシクロへキセニルメチル−3',4'−エポキシシクロへキセンカルボキシレート等の脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等グリシジルエーテル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等ビニルエーテル類、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン等オキセタン類等が挙げられる。これらの電離放射線重合性モノマーは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、後述の電離放射線重合性プレポリマーと併用してもよい。
また、電離放射線重合性プレポリマー(オリゴマーも包含する)としては、例えばポリエステル(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリオール(メタ)アクリレート系、シリコーン(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル系等の分子中にラジカル重合性官能基を有する重合性オリゴマー、あるいはノボラック系型エポキシ樹脂プレポリマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂プレポリマー等のエポキシ系樹脂等の分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等が挙げられる。これらの電離放射線重合性プレポリマーは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。なおここで、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレートまたはメタクリレート」を意味する。
また、前記樹脂成分として熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂、フェノール−ホルマリン樹脂、尿素樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル−メラミン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリウレタン樹脂、汎用の2液硬化型アクリル樹脂(アクリルポリオール硬化物)等を選択する場合、樹脂形成成分としては、これら熱硬化性樹脂を形成するための原料化合物や、重合性樹脂のモノマー、オリゴマー、プレポリマーを挙げることができる。
さらに、前記樹脂成分として熱可塑性樹脂であるポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、 ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等を選択する場合にも、樹脂形成成分としては、これらの熱可塑性樹脂を形成するための原料化合物や、重合性樹脂のモノマー、オリゴマー、プレポリマーを挙げることができる。
さらに、これらの原料化合物や重合性樹脂モノマー、オリゴマー、プレポリマーから樹脂を反応生成させるために添加する、反応剤、反応開始剤や、重合剤、重合開始剤等を、樹脂形成成分に含めてもよい。
ここで、黒色樹脂組成物における全固形分中の樹脂形成成分の含有量は、5質量%以上70質量%以下とすることが好ましく、10質量%以上50質量%以下とすることがより好ましい。
この範囲よりも樹脂形成成分が多すぎると、黒色膜を形成したときに、樹脂成分単位体積中の黒色材料存在量が不足するために十分な遮光性が確保されない場合があり、一方樹脂形成成分が少なすぎると、均一な膜体が形成されない、必要な膜厚が得られない等、黒色膜としての好ましい形状が形成されない場合がある。
ここで、本実施形態の黒色樹脂組成物を用いて形成される黒色膜が、例えば表示素子のブラックマトリックスのような特定の形状にパターニングされた膜体である場合には、該黒色樹脂組成物を用いて形成される塗膜が光(紫外線)感光性を有することが好ましい。塗膜が光感光性を有していれば、塗膜をフォトマスク等を用いて特定のパターン状に露光した後現像して硬化処理することにより、ブラックマトリックス等の特定の形状の黒色膜を容易に得ることができる。特に本実施形態の黒色材料は、従来の黒色材料に比べて、可視光の透過性に対する紫外線の透過性が高いことから、感光に用いられる紫外線の塗膜中での吸収が抑えられ、紫外線による感光(露光)を容易に行うことができる。
塗膜に光(紫外線)感光性を持たせる方法としては、樹脂成分及び/又は樹脂形成成分として、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、エチレン性不飽和化合物を含有させることが好ましい。
前記アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基又は水酸基を含む樹脂であれば特に限定はなく、例えばエポキシアクリレート系樹脂、ノボラック系樹脂、ポリビニルフェノール系樹脂、アクリル系樹脂、カルボキシル基含有エポキシ樹脂、カルボキシル基含有ウレタン樹脂等が挙げられるが、これらのうち、エポキシアクリレート系樹脂、ノボラック系樹脂、アクリル系樹脂が好ましく、中でも芳香環構造を有する樹脂が高い体積抵抗率及び低い比誘電率を与える点において特に好ましい。
この場合、前記黒色樹脂組成物中の全固形分に対するアルカリ可溶性樹脂の割合は、5質量%以上70質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以上50質量%以下である。この範囲よりもアルカリ可溶性樹脂の割合が多過ぎると、ブラックマトリックスパターン形成時に充分な感度が確保されず、また必要な遮光性も確保できない場合があり、一方少な過ぎると樹脂ブラックマトリックスの好ましい形状が形成されない場合がある。
前記光重合開始剤とは、紫外線や熱によりエチレン性不飽和基を重合させるラジカルを発生させることのできる化合物である。
光重合開始剤としては、特に、感度の点でオキシム誘導体類(オキシム系化合物) が有効であり、遮光性を高くしたり、フェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂を用いる場合などは、感度の点で不利になるため、特にこのような感度に優れたオキシム誘導体類(オキシム系化合物)が有用である。本実施形態では、上記光重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂ブラックマトリクスを形成する場合、分散液中の光重合開始剤の割合は、全固形分に対して0.4質量%以上15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。この範囲よりも光重合開始剤の割合が多すぎると現像速度が遅くなり過ぎる場合があり、一方少なすぎると十分な感度が得られず、好ましい樹脂ブラックマトリクス形状も形成されない場合がある。
前記エチレン性不飽和化合物としては、エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物を意味するが、重合性、架橋性、及びそれに伴う露光部と非露光部の現像液溶解性の差異を拡大できる等の点から、エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物であることが好ましく、また、その不飽和結合が(メタ)アクリロイルオキシ基に由来する(メタ)アクリレート化合物が更に好ましい。さらに、エチレン性不飽和結合を分子内に3個以上有する化合物を用いると、形成膜の体積抵抗率や比誘電率などの電気特性にとって好ましい。
前記エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸、及びそのアルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、スチレン等が挙げられる。
また、前記エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート類、及び、(メタ)アクリル酸又はヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリエポキシ化合物とのエポキシ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
なお、本実施形態の黒色材料組成物中に含まれる黒色材料は、従来の黒色材料に比べて可視光の透過性に対する紫外線の透過性が高く、感光(露光)に用いられる紫外線の塗膜中での吸収が抑えられる。これにより、樹脂成分及び/又は樹脂形成成分として用いられるアルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、エチレン性不飽和化合物等については、紫外線感度の高い特殊な材料の選択や光重合開始剤の添加量増大等、紫外線に対する高感度化を行う必要がない。従って、黒色材料組成物自体の取り扱いも容易であり、また感光(露光)も容易に行うことができる。
(樹脂形成成分又は樹脂成分の溶媒)
樹脂形成成分又は樹脂成分の溶媒(以下、「樹脂溶媒」という場合がある)としては、樹脂形成成分又は樹脂成分の溶解度が高い液体であって、基本的には、水及び有機溶媒のうちの1種あるいは2種以上から選択されるものである。
前記樹脂溶媒としては、樹脂形成成分又は樹脂成分の溶解度が高いほかに、黒色材料の分散性が高いこと、黒色材料分散液との相溶性が高いこと、また、黒色材料分散液と混合した際に、黒色材料の分散性や樹脂成分や樹脂形成成分の溶解度が低下しないこと、という条件が必要である。これらの条件が満たされない場合には、「黒色材料分散液」と「樹脂形成成分又は樹脂成分を溶解させた溶液」とがそれぞれ安定に存在しても、両者を混合して黒色塗料、すなわち黒色樹脂組成物の内、樹脂形成成分又は樹脂成分の溶媒(樹脂溶媒)を含むもの、を形成した際に、相分離、黒色材料の凝集や沈降、樹脂形成成分又は樹脂成分の析出等が起こり、良好な黒色塗料が得られなくなるため好ましくない。ここで、樹脂溶媒と黒色材料分散液として、同一あるいは同類の溶媒を選択することができれば、このような問題点を回避できるので好ましい。
なお、前記有機溶媒としては、前述の黒色材料分散液に用いられる有機溶媒を同様に用いることができる。
また、本実施形態の黒色樹脂組成物においても、黒色材料分散液と同様、黒色材料の分散性の向上、分散安定性の向上のために、分散剤及び/又は分散助剤や表面処理剤を併用することが好ましい。中でも、特に分散剤として高分子分散剤を用いると経時の分散安定性に優れるので好ましい。なお、分散剤や分散助剤については、黒色材料分散液において記載したものと同一であるから、詳細は省略する。
また、本実施形態の黒色材料分散液として分散剤及び/又は分散助剤や表面処理剤を含む分散液を選択し、この黒色材料分散液を黒色樹脂組成物の原料として使用する場合においては、当該分散液中に既に含まれている分散剤、分散助剤や表面処理剤をそのまま使用してもよい。その理由として、分散剤、分散助剤や表面処理剤は、黒色材料の表面を修飾することで黒色材料表面が分散媒や溶媒に対して親和性を有するようにする物質であることから、黒色樹脂組成物における樹脂形成成分や分散媒、溶媒の特性が黒色材料分散液の分散媒と特性が変わらないのであれば、あえて別種の分散剤や分散助剤で処理する必要は無いからである。
以上説明した黒色樹脂組成物は、少なくとも前記黒色材料並びに樹脂形成成分及び/又は樹脂成分を選択し、必要に応じて黒色材料分散媒や樹脂形成成分又は樹脂成分の溶媒を加え、さらには光重合開始剤、分散剤その他の成分を加えて混合分散することにより調製することができる。これらの内、黒色材料、黒色材料分散媒、樹脂形成成分、樹脂成分、樹脂形成成分又は樹脂成分の溶媒の組み合わせについては、前述の通りである。
この場合、予め黒色材料分散液を調製し、これに樹脂形成成分等や光重合開始剤等を加えて溶解させることにより黒色樹脂組成物を調製してもよい。また、予め調製した黒色材料分散液と、樹脂形成成分等や光重合開始剤等の成分とを溶解させた溶液とを、混合することにより調製することもできる。
混合分散方法は、黒色材料や樹脂形成成分等を混合した混合液を、超音波分散機、ペイントシェーカー、ボールミル、ビーズミル、アイガーミルなどの公知の分散処理方法より選択すればよいが、分散性の点からビーズミルが好ましい。また、複数の分散方法を組み合わせて使用してもよい。なお、予め調製した黒色材料分散液を用いる場合、黒色樹脂組成物の製造時には上記分散処理方法を行うことなく、黒色材料分散液と樹脂形成成分等を溶解させた溶液とを十分に混合・攪拌すればよい場合もある。
<黒色膜>
本実施形態の黒色膜は、前記本実施形態の黒色材料と樹脂成分とを少なくとも含んでなるものである。
本実施形態における樹脂成分としては、黒色材料である黒色を呈する金属微粒子が分散された状態で硬化するものであって、形成された黒色膜に要求される特性に適したものを選択すればよい。この樹脂成分としては、前述の黒色樹脂組成物において説明した電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が各種使用可能である。
本実施形態の黒色膜は、本願の黒色樹脂組成物を膜体状に形成し、硬化することにより得られる。
好適には、本実施形態の黒色膜は、前述の黒色樹脂組成物の1つである黒色塗料(黒色樹脂組成物のうち樹脂溶媒を含むもの)を用いて、公知の各種塗工法により膜体を形成することにより得ることができる。例えば、黒色膜は、前記の黒色塗料を、基材の一主面上に、ロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、スリットコート法、スリット&スピンコート法、フローコート法、ダイコート法等の各種塗布法により塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜から樹脂溶媒等の溶剤を揮発等により除去して塗膜を形成し、該塗膜を必要により硬化処理することにより、容易に得ることができる。
この硬化処理は、通常は塗膜中の樹脂形成成分を重合等により反応させて樹脂成分とする工程であって、樹脂形成成分として電離放射線硬化型樹脂を用いる場合、紫外線、電子線、X線などの放射線の照射(放射線の照射後、必要に応じて熱処理を施してもよい。)が挙げられ、樹脂形成成分として熱重合触媒を添加した熱可塑性樹脂原料等の熱反応性樹脂を用いる場合には、加熱処理が挙げられる。
また、黒色塗料中の成分が溶媒中に溶解した樹脂成分の場合においては、硬化処理は、塗膜中の樹脂成分中から残留している溶媒を除去する工程となり、大気圧下あるいは減圧下での加熱処理が挙げられる。この場合、溶媒除去により硬化した樹脂成分は、同様の溶媒に曝されることで再度膨潤・溶解する可能性があるため、加熱処理条件を厳しくすることにより、溶媒を完全に除去することが好ましい。ここで、樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂を用いる場合には、溶媒除去後に紫外線、電子線、X線などの放射線の照射や、さらには熱処理を施して完全に硬化させればよく、樹脂成分として熱反応性樹脂を用いる場合には、溶媒除去後の熱処理により、硬化反応を完結させればよい。
前記黒色樹脂組成物を用いた黒色膜として、特定の形状にパターニングされた膜体、例えばブラックマトリックスとする場合には、前述のアルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、エチレン性不飽和化合物を含む黒色樹脂組成物を用い、該黒色樹脂組成物を塗布して形成された塗膜に光(紫外線)感光性を持たせることが望ましい。塗膜が光感光性を有していれば、塗膜をフォトマスク等を用いて特定のパターン状に露光した後現像して硬化処理することにより、ブラックマトリックス等の特定の形状の黒色膜を容易に得ることができる。
本実施形態の黒色膜は、可視光領域における光学濃度(OD値)が1以上であることが好ましい。黒色膜のOD値が1に満たないと、遮光性が不十分なために黒色膜としての機能を発現できない場合がある。可視光領域におけるOD値は1.5以上であることがより好ましく、2以上であればさらに好ましく、3以上が特に好ましく、4以上が最も好ましい。なお、OD値は高いほど望ましいが、測定上や露光・現像上の限界から上限は10程度である。
さらにまた、本実施形態の黒色膜は、厚さ1μm当たりの可視光領域におけるOD値が1以上であることが好ましい。1μm当たりのOD値が1に満たないと、黒色膜の厚さが数μm程度では十分な遮光性が得られず、また十分な遮光性を得るためには膜厚を厚くせざるを得ない。このため、特にブラックマトリックス等として用いた場合、膜厚が厚くなることにより、微細形状の再現性が低下したり、ブラックマトリックスと接する配線の断線や表示ムラ等が生じ易くなる。そこで、膜厚を必要以上に厚くしなくても十分な遮光性が得られる範囲として、1μm当たりのOD値を1以上とすることが好ましい。
また、1μm当たりの可視光領域におけるOD値は1.2以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましく、2.0以上であることがよりさらに好ましく、3.0以上であることが特に好ましく、4.0以上であることが最も好ましい。
なお、上記厚さ1μm当たりのOD値は、以下のようにして求めることができる。
試料は透過測定用として透明基板上に膜状に形成する。この膜状試料のOD値を透過濃度計で測定するとともに、触針式表面形状測定器等を用いて膜厚を測定し、得られた試料のOD値を膜厚で除すことにより、厚さ1μm当たりのOD値を求めることができる。
ここで、本実施形態の黒色材料は黒色度が高く、また樹脂中での分散性にも優れていることから、本実施形態の黒色膜は、黒色材料の量を増加させることにより、黒色材料の増加による悪影響、例えば膜強度の低下や黒色材料の凝集による黒色度の低下等を避けつつ、1μm当たりの可視光領域のOD値を2以上とすることも容易であり、3以上とすることもできる。従って、黒色膜の厚さを増すことなく、高い遮光性を得ることができる。
また、黒色膜における所望の遮光性(例えば厚さ1μm当たりの可視光領域におけるOD値を1以上とすること)を維持しつつ、黒色膜中の黒色材料の体積比率を下げ、感光性や現像性に寄与する樹脂成分等の体積比率を高めることができる。これにより、微細形状の形成性が向上し、例えばブラックマトリックスに用いられる細線パターンや複雑な形状を有するパターンにおける形状形成が容易になる。
なお、1μm当たりのOD値は高いほど望ましいが、測定上や露光・現像上の限界から上限は10程度である。
さらに、黒色膜の反射率は低い方が黒色膜の黒色度が高まり好ましい。反射率が高いと黒色膜の外観が白っぽくなり膜の品位が低下してしまう。380nmから800nmまでの反射率を平均した可視光の平均反射率は20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。
また、本実施形態の黒色膜は、313nmにおける吸光度d(II)313と555nmにおける吸光度d(II)555との比d(II)313/d(II)555が1.5以下であり、365nmにおける吸光度d(II)365と555nmにおける吸光度d(II)555との比d(II)365/d(II)555が1.5以下であることが好ましい。吸光度の比がこの範囲内にあれば、紫外線の透過性が高いため、可視光領域の遮光性を維持したままで黒色遮光膜の現像感度を高くすることができ、また微細パターン形成性に優れることから細線化が可能となり、膜厚が厚くても黒色遮光膜の下部まで露光紫外線が到達し、所望のパターン形状を形成しやすくすることができる。
前記313nm及び555nmにおける吸光度の比d(II)313/d(II)555は1.2以下が好ましく、1.0以下がより好ましく、0.8以下がさらに好ましい。なお、この値は低ければ低いほど好ましいため、下限はない。
また、前記365nm及び555nmにおける吸光度の比d(II)365/d(II)555は1.4以下が好ましく、1.3以下がより好ましく、1.2以下がさらに好ましい。なお、この値も低ければ低いほど好ましいため、下限はない。
なお、一般的なカーボンブラックを黒色材料として用いた場合、前記313nm及び555nmにおける吸光度の比d(II)313/d(II)555は1.7〜1.9程度、前記365nm及び555nmにおける吸光度の比d(II)365/d(II)555は1.5〜1.7程度の値である。
また、前記黒色膜の表面抵抗は1011Ω/□以上であることが好ましい。これは、COA方式やBOA方式の液晶表示素子や、自発光型表示装置において、ブラックマトリックス等や遮光壁に素子駆動用の配線が接触したり、ブラックマトリックスや遮光壁上に直接素子駆動用配線を設ける構造が主流となってきているために、前記黒色膜を用いて形成されたブラックマトリックス等や遮光壁の表面抵抗が1011Ω/□に満たないと、配線間が短絡を起こしやすくなり、TFT素子の動作不良等を起こすためである。またIPS駆動型液晶においても、前記黒色膜を用いて形成されたブラックマトリックスが導電性を有すると本来液晶を駆動するための電界とは異なる方向に不要電界が生じ、画像の乱れを誘発するためである。
この黒色膜の表面抵抗は1012Ω/□以上であることがより好ましく、1013Ω/□以上であることがさらに好ましく、1014Ω/□以上であることが特に好ましく、1015Ω/□以上であることが最も好ましい。黒色膜の表面抵抗は高いほど好ましく、その上限は特に制限はない。
なお、表面抵抗の測定は、市販の表面抵抗計を用い、例えば4探針法等により測定することができる。
本実施形態の黒色材料は黒色度が高いことから、従来の黒色材料に比べて黒色膜中の含有量を減じることができ、また樹脂中での分散性にも優れていることから、黒色材料粒子同士が連なるように凝集して形成される導電パスが発生しない。そこで、上記のように1μm当たりのOD値を高めても、表面抵抗を高い値に維持することができる。
また、前記黒色膜の比誘電率は15以下であることが好ましい。これは、COA方式やBOA方式の液晶表示素子や、自発光型表示装置において、ブラックマトリックス等や遮光壁に素子駆動用の配線が接触したり、ブラックマトリックスや遮光壁上に直接素子駆動用配線を設ける構造が主流となってきているために、前記黒色膜を用いて形成されたブラックマトリックス等や遮光壁の比誘電率が15を上回ると、配線間が短絡を起こしやすくなり、TFT素子の動作不良等を起こすためである。またIPS駆動型液晶においても、前記黒色膜を用いて形成されたブラックマトリックスが導電性を有すると本来液晶を駆動するための電界とは異なる方向に不要電界が生じ、画像の乱れを誘発するためである。
この黒色膜の比誘電率は12以下であることがより好ましく、10以下であることがより好ましく、6以下であることがさらに好ましい。黒色膜の比誘電率は低いほど好ましく、その下限は特に制限はない。
なお、比誘電率の測定は、例えば市販のLCRメータ等により測定することができる。
本実施形態の黒色材料は黒色度が高いことから、従来の黒色材料に比べて黒色膜中の含有量を減じることができ、また樹脂中での分散性にも優れていることから、黒色材料粒子同士が連なるように凝集して形成される導電パスが発生しない。そこで、上記のように1μm当たりのOD値を高めても、比誘電率を低い値に維持することができる。
本実施形態の黒色膜は、黒色樹脂組成物からなる黒色塗料を基材上に塗布した後、大気中120℃で2分間、ホットプレートによる直接加熱によりプリベークした後の膜厚A(μm)と、120℃2分間プリベーク後にさらに大気中で230℃30分間、温風循環式オーブンを用いた間接加熱によりポストベークした後の膜厚B(μm)との比率(膜厚B)/(膜厚A)が、0.60以上0.98以下であることが好ましい。通常、黒色樹脂組成物や黒色膜は、ポストベーク後のODや膜厚が所望の値になるように調製され、黒色膜にパターンを形成する場合は、プリベーク→露光→現像→ポストベークという手順を踏む。ここで、(膜厚B)/(膜厚A)の比率が小さいと、ポストベーク後の黒色膜のOD値や膜厚が同じであっても、露光時において、膜中の黒色材料微粒子の分布密度が小さいため、露光した光が膜内部の樹脂形成成分や樹脂成分に到達しやすくなり、パターン形成が容易になる。一方、(膜厚B)/(膜厚A)の比率が小さくなり過ぎると、ポストベーク時に樹脂分解や残留溶媒等による揮発分量が多くなるため、同一の黒色樹脂組成物を用いた場合でもポストベーク後のパターン形状のばらつきが大きくなり、膜厚や他の特性値が変動しやすくなるため好ましくない。
上記(膜厚B)/(膜厚A)の比率は、0.60以上0.98以下が好ましく、0.70以上0.95以下がより好ましく、0.75以上0.93以下がさらに好ましい。
前述の本実施形態の黒色樹脂組成物により、本実施形態の黒色膜である樹脂ブラックマトリックスを形成するには、透明基板上に本実施形態の黒色樹脂組成物の1つである黒色塗料を塗布して乾燥した後、該試料の上にフォトマスクを置き、該フォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化或いは光硬化することにより樹脂ブラックマトリックスを形成させる。なお、当該樹脂ブラックマトリックスはTFT素子基板上に形成させるのに有効であるが、その構成はCOA 、BOAそれぞれの方式において特に限定されるものではなく、種々の構成への対応が可能である。
透明基板上に本実施形態の黒色樹脂組成物の溶液を塗布する方法としては、ロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、スリットコート法、スリット&スピンコート法、フローコート法、ダイコート法などが挙げられ、粘度や溶媒の揮発性等の黒色樹脂組成物溶液の特性や基板材料や基板寸法等に合わせて任意に選択できる。
塗布膜は、プリベークを行い、露光、現像に適した塗膜を形成する。すなわち露光前の膜の膜厚は通常0.5〜5μm、好ましくは1〜4μmとするのがよい。プリベークには、ホットプレート等を用いた直接加熱や、IRオーブン、コンベクションオーブン、温風循環式オーブン等のオーブンを用いた間接加熱等を用いることができ、好ましい乾燥条件は40〜150℃ 、乾燥時間は10秒〜60分の範囲である。
なお、本実施形態における塗膜は、従来の黒色材料を用いた塗膜に比べ可視光の透過性に対する紫外線の透過性が高く、露光時おける紫外線の吸収が抑えられている。これにより、塗膜を厚くしても露光のための紫外線が塗膜底面まで十分に到達するので,塗膜の厚膜化を行っても露光不良によるパターン形成不良を抑えることができる。
また、露光に用いる光源としては、紫外線領域に主な発光強度を有する光源であればよく、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、Y A G レーザー、エキシマーレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。特定の照射光の波長のみを使用する場合には光学フィルターを利用することもできる。
現像処理は、未露光部のレジスト膜を溶解させる能力のある溶剤であれば特に制限は受けない。例えばアセトン、塩化メチレン、トリクレン、シクロヘキサノン等の有機溶剤を使用することができる。しかしながら、有機溶剤は環境汚染、人体に対する有害性、火災危険性などをもつものが多いため、このような危険性の無いアルカリ現像液を使用するのが好ましい。このようなアルカリ現像液として、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化アンモニウム等の無機のアルカリ剤、或いはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等の水酸化テトラアルキルアンモニウム塩、コリン等の有機のアルカリ剤を含有した水溶液が挙げられる。これらのアルカリ現像液は、1種類を用いても、2種以上の混合物として用いてもよい。
上記アルカリ現像液には、必要に応じ、界面活性剤、水溶性の有機溶剤、水酸基又はカルボキシル基を有する低分子化合物等を含有させることもできる。特に、界面活性剤は現像性、解像性、地汚れなどに対して改良効果をもつものが多いため添加するのが好ましい。
例えば、現像液用の界面活性剤としては、ナフタレンスルホン酸ナトリウム基、ベンゼンスルホン酸ナトリウム基を有するアニオン性界面活性剤、ポリアルキレンオキシ基を有するノニオン性界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム基を有するカチオン性界面活性剤等を挙げることができる。
現像処理方法については特に制限はないが、通常、15〜40℃ 、好ましくは20〜30℃ の現像温度で、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法により行われる。
なお、本実施形態における塗膜は、従来の黒色材料を用いた塗膜に比べ可視光の透過性に対する紫外線の透過性が高く、露光時における紫外線の吸収が抑えられている。これにより、露光方法や条件、現像方法や条件における制約が従来の黒色材料を用いた塗膜に比べ少なくなり、黒色材料を含まない通常の光感光性樹脂(フォトレジスト等)からなる塗膜と同様の条件や方法を選択することが可能である。また、露光不良によるパターン形成不良や、得られたパターン形状の不良も抑えることができる。
現像後、通常熱硬化処理(ポストベーク)又は光硬化処理、好ましくは熱硬化処理を施す。ポストベークは、プリベークと同様、直接加熱や間接加熱により行うことができ、その条件は、温度は100〜280℃の範囲、好ましくは150〜250℃の範囲で選ばれ、時間は5〜60分間の範囲で選ばれる。
<黒色膜付き基材>
本実施形態の黒色膜付き基材は、基材上に既述の本実施形態の黒色膜を設けて構成されたものである。具体的には、例えば光透過性基材の上に、前述の黒色樹脂組成物の1つである黒色塗料を用いて既述したように形成した層を、必要に応じてパターニングすることで作製される。
前記基材としては、特に限定されるものではないが、ガラス基材、プラスチック基材(有機高分子基材)等を挙げることができる。また、その形状としては、平板、フィルム状、シート状等が挙げられる。また、上記のプラスチック基材としては、プラスチックシート、プラスチックフィルム等が好適である。
前記ガラス基材の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、ソーダガラス、アルカリガラス、無アルカリガラス等から適宜選択することができる。
前記プラスチック基材の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、セルロースアセテート、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテル、ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリフッ化ビニリデン、トリアセチルセルロース、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート等から、用途や使用条件に基づいて適宜選択することができる。
また、前記黒色塗料を用いて形成した層を、パターニングする方法は特に限定はされないが、前述のように黒色塗料中にアルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、エチレン性不飽和化合物を含ませ、この黒色塗料を塗布して光(紫外線)感光性を持たせた塗膜を形成し、該塗膜をパターン状に露光した後現像して黒色膜を形成する工程を有してなり、必要に応じてポスト露光やポストベークなどの他の工程を設けて構成することが好ましい。
上記露光、現像などのパターニング工程については公知の方法を使用できるが、例えば画像表示装置用のブラックマトリックスとして適用する場合には、特開2006−251095号公報の段落番号0096から0106に記載の方法や、特開2006−251237号公報の段落番号0116から0126に記載の遮光画像の形成方法が、本実施形態においても好適に用いることができる。
なお、前記黒色塗料を使用し、インクジェット法を用いて、基材上に直接パターンが形成された層を作製する方法もある。
本実施形態の黒色膜は、可視光領域の広い範囲において、高い遮光性(光を透過しない)および黒色度(光の低反射性)を示す。従って、本実施形態の黒色膜付き基材は、遮光性と黒色度を利用した画像表示装置用部材として、好適に用いることができる。これらの部材としては、液晶表示素子やEL表示装置等の自発光型表示装置におけるブラックマトリックスとそれを用いたカラーフィルタやブラックストライプ、液晶表示装置や自発光型表示装置において各色の画素間を分離する遮光壁、液晶表示装置において液晶を充填する基板間のスペーサー、液晶配向性制御用バンプ等を挙げることができる。
すなわち、本実施形態の黒色膜付き基材は、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置等の自発光型表示装置、CRT表示装置、液晶表示装置等に好適に用いることができ、中でも液晶表示装置やEL表示装置に用いた場合に本実施形態の黒色膜の効果が顕著に発揮される。ここで、液晶表示装置の種類としては、STN、TN、VA、IPS、OCS、及びR−OCB等が挙げられる。
本実施形態の黒色膜は遮光性および黒色度が高く、既存のカーボンブラック等の黒色材料を用いた黒色膜に比べて黒色材料の体積分率が少なくても高い遮光性を得ることができる。この結果、例えばブラックマトリックスとそれを用いたカラーフィルタへの適用においては、黒色度が高いことからブラックマトリックスの厚さを減じることができ、結果として得られるカラーフィルタの平坦性を高めることができることから、このカラーフィルタを備えた液晶表示装置は、カラーフィルタと基板との間にセルギャップムラが発生せず、色ムラ等の表示不良の発生が改善される。
すなわち、本実施形態の黒色膜付き基材をブラックマトリクス基板としたときの、黒色膜の膜厚は0.2μm以上5.0μm以下が好ましく、特に0.2μm以上4.0μm以下が好ましい。このように、ブラックマトリクス基板における黒色膜として本実施形態の黒色膜を使用しているので、薄膜でも高度のOD値を有する。
また、本実施形態の黒色膜は黒色材料の体積分率が少なくても高い遮光性を得ることができ、黒色材料の分散性にも優れているため、膜中で黒色材料間の導電パスが生じにくくなり、膜の表面抵抗を高くすることができ、高い遮光性と高い膜の表面抵抗、さらには低い誘電率を有する黒色膜を得ることができる。
これにより、COA方式やBOA方式の液晶表示素子やEL表示装置等の自発光型表示装置のように、ブラックマトリックスと画素駆動用の配線とが接触する場合においても、配線の短絡等による素子の駆動不良をおこす虞がない。
また、遮光壁、スペーサーや液晶配向性制御用バンプへの適用においても、表面抵抗が高く誘電率が低いことから、各画素間の配線が短絡する虞がなく、従って素子の駆動不良をおこすことがない。さらに黒色度が高いことから、遮光壁の厚さを減じることができ、各画素における発光領域の拡大によるコントラストの向上、あるいは画素間隔の減少に伴う発光素子の高密度化等をはかることができる。
さらには、高い光吸収性を利用して、コントラスト増強フィルム等へ応用することも可能である。
そして、本実施形態の黒色膜を作製するための塗膜は、従来の黒色材料を用いた塗膜に比べ可視光の透過性に対する紫外線の透過性が高く、露光時における紫外線の吸収が抑えられており、紫外線を用いた露光・現像によるパターン形成を容易に行うことができる。これにより、微細形状の形成性がよく、また量産性にも優れているから、ブラックマトリックス、遮光壁、基板間のスペーサー、液晶配向性制御用バンプ等の形成を容易に行うことができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
<各測定・評価方法>
以下に、実施例または比較例において採用した、材料及びシートの特性等の各測定または評価方法を示す。
・黒色材料
後述する黒色微粒子の水分散液から粒子を分離、乾燥して粉末試料とし、以下の評価を行った。
(含まれる微粒子種の同定)
粉末試料について、X線回折装置(XRD)により結晶相を同定するとともに、圧粉体を電子線マイクロアナライザー(EPMA)で定性及び定量分析することにより、結晶相と組成比(含有比率)から含まれる金属粒子種を確認した。
[XRD測定による結晶相同定]
粉末試料をガラス製試料ホルダーに詰め、X線回折装置(PANalytical製、X'Pert PRO)により、CuKα線を用いて測定した。得られたXRDプロファイルの回折角2θ=38°付近および44°付近のピークを銀、2θ=34.7°付近および39.7°付近のピークを銀錫金属間化合物(Ag3Sn及び/又はAg4Sn)、2θ=30.7°付近および32°付近のピークを錫の結晶相ピークとして同定することにより、含まれる金属粒子種の結晶相を確認した。
[EPMA測定による定性・定量分析]
黒色材料粉末の圧粉体を電子線マイクロアナライザー(EPMA、日本電子社製、JXA8800)にて分析し、波長分散型X線分光器を用いた定性ならびに定量分析によって粉末中の錫及び銀の存在及び含有比率(質量比)を測定した。
[XRD測定とEPMA測定からの微粒子種の同定]
XRD測定で同定された結晶相に対して、その結晶相を構成する元素が十分な量存在することをEPMA測定で確認することにより、微粒子種を同定した。
すなわち、XRD測定で銀錫金属間化合物の結晶相が確認された試料については、EPMA測定で銀及び錫の存在を確認することで、微粒子種が銀錫金属間化合物を含むと同定し、XRD測定で錫の結晶相が確認された試料については、EPMA測定で錫の存在を確認することで、微粒子種が錫を含むと同定した。また、XRD測定で銀の結晶相が確認された試料については、EPMA測定で銀の存在を確認することで、微粒子種が銀を含むと同定したが、XRD測定では銀の結晶相のみが確認されているにもかかわらず、EPMA測定で銀及び錫の存在が確認された試料については、錫量も考慮し、銀のほかに、銀中に銀の結晶構造を保った状態で錫が固溶した錫固溶銀、すなわち銀錫合金部も含まれると同定した。
(金属微粒子の平均一次粒子径、アスペクト比等)
黒色材料粉末より作製した黒色材料分散液を希釈したものを試料とし、透過型電子顕微鏡(TEM:日立ハイテクフィールディング製、H−800)により観察した。観察視野から任意の粒子100個を選び、それぞれの粒子像を円で近似し、当該円の直径を該粒子の粒子径(円直径相当の粒子径)とした。得られた結果より粒子径の累積個数分布を求め、累積値50%に対応する粒子径(メジアン径)を膜中の黒色材料の平均一次粒子径とした。
また、TEM画像で観測される金属微粒子において、その最も長い部分の長さをLとし、Lと直角方向の長さをWとした際に、L/Wで示される値をアスペクト比とした。そして、TEM画像から100個の粒子を抽出し、各々の粒子のアスペクト比を算出した上で、アスペクト比が3以下の一次粒子の数が抽出した100個の粒子に占める割合を算出した。
・黒色材料分散液
(平均分散粒子径、90%累積体積粒子径)
調製した黒色材料分散液(固形分比率25質量%)にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を加えて手振りで混合し、固形分が1.25質量%の黒色材料粒度分布測定用評価液を作製した。この粒度分布測定用評価液について、動的光散乱法を適用した粒度分布測定装置(日機装社製、Microtrac 9340−UPA)を用いて、この評価液の粒度分布を測定し、得られた分布結果より体積平均粒子径(MV値)を算術平均により求め、その値を平均分散粒子径とした。また、前記測定された粒度分布から粒度の累積分布を算出し、体積累積値90%に対応する90%累積体積粒子径を求めた。
(分散液の吸光度)
黒色材料分散液(固形分比率25質量%)にPGMEAを加えて手振りで混合し、黒色材料の固形分量が0.0005体積%の希釈液を調製し、この希釈液の吸光度を自記分光光度計(島津製作所社製、UV−3150)で光路長10mmの測定セルを用いて測定した。
1nmごとに計測された380nmから800nmまでの吸光度を平均し、可視光域での平均吸光度とした。また、313nm、365nm、555nmにおける吸光度を示すとともに、313nmにおける吸光度d(I)313と555nmにおける吸光度d(I)555の比(d(I)313/d(I)555)、及び365nmにおける吸光度d(I)365と555nmにおける吸光度d(I)555の比(d(I)365/d(I)555)を算出した。
・黒色膜
(光学濃度(膜の遮光性))
黒色膜を形成したガラス基板について、透過濃度計(サカタインクス社製、BMT−1)を用いて可視光領域における光学濃度(OD値)を測定し、同様に測定したガラス基板単体(膜なし)の測定値を参照値とすることにより、黒色膜自体のOD値を得た。
(透過率)
黒色膜付きガラス基板の透過率を分光光度計(ジャスコエンジニアリング社製、V−570)で測定し、ガラス基板単体(膜なし)の測定値を参照値として、黒色膜自体の313nm、365nm、555nmにおける透過率を求めた。次いで、dを吸光度、Tを透過率(%)とし、下記(1)式
d=−log10(T/100) ・・・(1)
を用いて、前記各波長における透過率からそれぞれの吸光度を求めた。313nm、365nm、555nmにおける吸光度を示すとともに、313nmにおける吸光度d(II)313と555nmにおける吸光度d(II)555の比(d(II)313/d(II)555)、及び365nmにおける吸光度d(II)365と555nmにおける吸光度d(II)555の比(d(II)365/d(II)555)を算出した。
(黒色膜の表面抵抗)
上記の黒色膜について、絶縁抵抗計(エーディーシー社製、超高抵抗/微小電流計R8340A)を用いて表面抵抗を測定した。なお、表面抵抗測定はDC100Vにて実施した。
(黒色膜の比誘電率)
上記の黒色膜について、LCRメーター(Agilent社製、LCRメーター4284A)により比誘電率を1kHz・1Vにて測定した。
<実施例1>
(黒色材料分散液の調製)
硝酸銀56gを純水に溶解し1500gの硝酸銀水溶液(A−1液)を調製した。また、クエン酸3ナトリウム2水和物314g及び1質量%に希釈したポリビニルピロリドン360gを純水に溶解し、2500gのクエン酸3ナトリウム水溶液(B−1液)を調製した。次いで、B−1液中にA−1液を滴下して混合したのち、これに水素化ホウ素ナトリウム10gを純水に溶解した500gの水溶液を滴下して混合してC−1液を得た。
次いで、錫コロイドA(平均粒子径:20nm、固形分:10質量%、住友大阪セメント社製)150g及び純水を混合した4000gの錫微粒子分散液中に、上記C−1液を滴下、混合した。さらに酒石酸180gを純水2000gに溶解した水溶液を錫微粒子分散液とC−1液との混合液中に滴下、攪拌し、過剰の錫コロイドを溶解させた。その後、遠心分離により洗浄を行い、黒色微粒子の水分散液(D−1液、固形分:25質量%)を調製した。
次いで、上記D−1液100g、櫛形ウレタン系高分子分散剤(ビックケミー社製、D isperByk161、以下同様)を固形分換算で3.75g及びメチルエチルケトン34gを混合した後、エバポレーターを用いて混合物から水分、分散剤の溶媒及びメチルエチルケトンを蒸発させて、乾燥粉(E−1粉)を得た。
次いで、上記E−1粉29gと、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)71gとを混合し、これをビーズミルを用いて分散させ、黒色材料分散液(F−1液、固形分:25質量%)を得た。
(黒色樹脂組成物の調製)
上記黒色材料分散液(F−1液)を30.2g、アルカリ可溶性樹脂(日本化薬社製、KAYARAD ZCR−1569H、以下同様)を固形分換算で8.1g、DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬社製)を3.1g、光重合開始剤を1.2g、PGMEAを57.4g(アルカリ可溶性樹脂由来分を含む)を配合、攪拌して、黒色樹脂組成物の塗布液(黒色塗料:G−1液)を調製した。
(遮光性測定用黒色膜の作製)
次いで、100mm×100mm、厚さ0.7mmのガラス基板上に、前記調製した黒色塗料(G−1液)を、スピンコーターを用いてポストベーク後の膜厚が0.8〜1.0μmになるように塗布し、ホットプレート上で120℃にて2分間プリベークし、黒色膜を得た。この黒色膜付きガラス基板を100mm×50mmの2枚に分割し、片方を120℃2分間のプリベーク膜の遮光性評価に、片方はさらに230℃で30分間温風循環式オーブンでポストベークし、230℃30分ポストベーク膜の遮光性評価に供した。
(現像特性測定用黒色膜の作製)
前記調製した黒色塗料(G−1液)を、スピンコーターを用いて100mm×100mm、厚さ0.7mmのガラス基板上にポストベーク後の膜厚が0.8〜1.0μmとなるように塗布し、ホットプレート上で120℃ で2分間プリベーク後、開口部として10μm、5μm、4μmの3種類の幅を有する直線状パターンからなるフォトマスク(開口部:遮光部の比率が1:10程度)を介して、i線照度が30mW/cm2の超高圧水銀ランプで60mJ/cm2の紫外線を照射して露光し、露光部分の光硬化反応を行った。
次に、この露光済み塗板を、現像液として0.1%水酸化カリウム水溶液を用い、25℃ にて60秒間、0.1MPa圧でシャワー現像を行い、次いで0.5MPa圧のスプレー水洗を行うことで塗膜の未露光部を除去した。その後、温風循環式オーブンを用いて230℃ で30分間ポストベークして黒色膜を作製し、現像性評価及びパターン形状評価を行った。
(評価)
上記で得られた黒色材料、黒色材料分散液、黒色膜について、前記の条件にしたがって微粒子の平均一次粒子径、黒色材料分散液の吸光度等の測定を行った。なお図1に、上記黒色材料分散液(F−1液)の分光吸収スペクトルを示す。
結果をまとめて第1表及び第2表に示す。
また、得られた現像特性測定用黒色膜について、パターン形状、パターン剥がれ・欠けの有無、残さについて下記の方法で評価を行った。結果を第2表に示す。
−パターン形状−
各線幅におけるパターンの直線性について、走査型電子顕微鏡(FE−SEM:日立製作所社製、S−4000)観察により評価を行った。なお判定は、○:直線性良好、△:直線性おおむね良好、×:直線性不良として行った。
−パターン欠け・剥がれの有無−
各線幅に於いてパターンの剥がれや欠けが発生していないか、FE−SEM(日立製作所社製、S−4000)観察により判定を行った。なお判定は、○:欠け・剥がれ無し、×:欠け剥がれ有りとして行った。
−残さ−
各線幅に於いて残さはガラス上に顔料の残さが残っているかどうかを、FE−SEM(日立製作所社製、S−4000)観察により判定した。なお判定は、○: ガラス上に残さ無し、×:ガラス上に残さ有りとして行った。
<実施例2>
実施例1の黒色材料分散液の調製において、錫コロイドAの量を225gとした以外は、実施例1と同様にして、黒色材料分散液(F−2液)及び黒色塗料(G−2液)の調製、黒色膜の作製を行い、同様の評価を行った。なお図2に、上記黒色材料分散液(F−2液)の分光吸収スペクトルを示す。
これらの結果をまとめて第1表及び第2表に示す。
<実施例3>
実施例1の黒色材料分散液の調製において、錫コロイドAの量を300gとした以外は、実施例1と同様にして、黒色材料分散液(F−3液)及び黒色塗料(G−3液)の調製、黒色膜の作製を行い、同様の評価を行った。なお図3に、上記黒色材料分散液(F−3液)の分光吸収スペクトルを示す。
これらの結果をまとめて第1表及び第2表に示す。
<実施例4>
実施例1の黒色材料分散液の調製において、水素化ホウ素ナトリウムを添加せず、錫コロイドAの量を450gとした以外は、実施例1と同様にして、黒色材料分散液(F−4液)及び黒色塗料(G−4液)の調製、黒色膜の作製を行い、同様の評価を行った。なお図4に、上記黒色材料分散液(F−4液)の分光吸収スペクトルを示す。
これらの結果をまとめて第1表及び第2表に示す。
<実施例5>
実施例1の黒色材料分散液の調製において、錫コロイドA:150gの代わりに、錫コロイドB(平均粒子径:30nm、固形分:10質量%、住友大阪セメント社製)375gを用いた以外は、実施例1と同様にして黒色微粒子の水分散液(D−5液、固形分:25質量%)を調製し、次いで、これを用いて黒色材料分散液(F−5液)及び黒色塗料(G−5液)の調製、黒色膜の作製を行い、同様の評価を行った。なお図5に、上記黒色材料分散液(F−5液)の分光吸収スペクトルを示す。
これらの結果をまとめて第1表及び第2表に示す。
<実施例6>
実施例1の黒色材料分散液の調製において、錫コロイドA 150gの代わりに、錫コロイドB(平均粒子径:30nm、固形分:10質量%、住友大阪セメント社製)450gを用いた以外は、実施例1と同様にして黒色微粒子の水分散液(D−6液、固形分:25質量%)を調製し、次いで、これを用いて黒色材料分散液(F−6液)及び黒色塗料(G−6液)の調製、黒色膜の作製を行い、同様の評価を行った。
これらの結果をまとめて第1表及び第2表に示す。
<実施例7>
実施例1の黒色材料分散液の調製において、錫コロイドAの量を75gとした以外は、実施例1と同様にして、黒色材料分散液(F−7液)の及び黒色塗料(G−7液)のの調製、黒色膜の作製を行い、同様の評価を行った。
これらの結果をまとめて第1表及び第2表に示す。
<実施例8>
実施例1の黒色材料分散液の調製において、錫コロイドA:150gの代わりに、錫コロイドC(平均粒子径:80nm、固形分:10質量%、住友大阪セメント社製)225gを用い、クエン酸3ナトリウム2水和物の量を79g、及び1質量%に希釈したポリビニルピロリドンの量を90gとした以外は、実施例1と同様にして黒色微粒子の水分散液(D−8液、固形分:25質量%)を調製し、次いで、これを用いて黒色材料分散液(F−8液)及び黒色塗料(G−8液)の調製、黒色膜の作製を行い、同様の評価を行った。
これらの結果をまとめて第1表及び第2表に示す。
<実施例9>
硝酸銀56gを純水に溶解し1500gの硝酸銀水溶液(A−9液)を調製した。また、クエン酸3ナトリウム2水和物78g及び1質量%に希釈したポリビニルピロリドン60gを純水に溶解し、2500gのクエン酸3ナトリウム水溶液(B−9液)を調製した。次いで、B−9液中にA−9液を滴下して混合したのち、これに水素化ホウ素ナトリウム0.1gを純水に溶解した500gの水溶液を滴下して混合し、さらにアスコルビン酸18gを純水に溶解した500gの水溶液を滴下、混合してC−9液を得た。
次いで、錫コロイドA(平均粒子径:20nm、固形分:10質量%、住友大阪セメント社製)150g及び純水を混合した4000gの錫微粒子分散液中に、上記C−3液を滴下、混合した。さらに酒石酸180gを純水2000gに溶解した水溶液を、錫微粒子分散液とC−3液との混合液中に滴下、攪拌し、過剰の錫コロイドを溶解させた。その後、遠心分離により洗浄を行い、黒色微粒子の水分散液(D−9液、固形分:25質量%)を調製した。なお、D−9液中の黒色微粒子は、アスペクト比が3を超える一次粒子が90%を占める、略棒状粒子であった。
次いで、前記実施例1と同様にして作製した黒色微粒子の水分散液D−1液(液中の黒色微粒子の内、アスペクト比が3以下の一次粒子が90%を占める)を50g、前記の黒色微粒子の水分散液D−9液50g、櫛形ウレタン系高分子分散剤を固形分換算で3.75g及びメチルエチルケトン34gを混合した後、エバポレーターを用いて混合物から水分、分散剤の溶媒及びメチルエチルケトンを蒸発させて、乾燥粉(E−9粉)を得た。
次いで、前記E−9粉29gと、PGMEA71gとを混合し、これをビーズミルを用いて分散させ、黒色材料分散液(F−9液、固形分:25質量%)を得た。
以降の工程は実施例1と同様にして、黒色塗料(G−9液)の調製、黒色膜の作製を行い、同様の評価を行った。
これらの結果をまとめて第1表及び第2表に示す。
<実施例10>
前記実施例1と同様にして黒色微粒子の水分散液D−1液を、前記実施例9と同様にして黒色微粒子の水分散液D−9液をそれぞれ調製した。次いで、D−1液20g、D−9液80g、櫛形ウレタン系高分子分散剤を固形分換算で3.75g及びメチルエチルケトン34gを混合した後、エバポレーターを用いて混合物から水分、分散剤の溶媒及びメチルエチルケトンを蒸発させて、乾燥粉(E−10粉)を得た。
次いで、上記E−10粉29gと、PGMEA71gとを混合し、これをビーズミルを用いて分散させ、黒色材料分散液(F−10液、固形分:25質量%)を得た。
以降の工程は実施例1と同様にして、黒色塗料(G−10液)の調製、黒色膜の作製を行い、同様の評価を行った。
これらの結果をまとめて第1表及び第2表に示す。
<実施例11〜20>
(黒色樹脂組成物の調製)
それぞれ実施例1〜10で得た黒色材料分散液を用いて、黒色材料分散液を45.4g、アルカリ可溶性樹脂を固形分換算で5.6g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬社製)を2.2g、光重合開始剤を0.9g、PGMEAを45.9g(アルカリ可溶性樹脂由来分を含む)を配合、攪拌して、10種の黒色塗料を調製した。以降は、実施例1と同様にして、各々黒色膜の作製を行い、同様の評価を行った。
これらの結果をまとめて第1表及び第2表に示す。なお、実施例11〜20の黒色膜は、膜中の黒色材料含有量が多く光透過率が測定波長に依らず低かったために、吸光度の正しい値を算出することができなかった。このため、各波長における吸光度の値並びにこれら吸光度の比率は示していない。
<比較例1>
カーボンブラック(商品名Nipex35、デグサ社製)25g、櫛形ウレタン系高分子分散剤を固形分換算で3.75g、アルカリ可溶性樹脂1.25g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)70gを混合し、これをビーズミルを用いて分散させ、カーボンブラック分散液(F−11液、固形分:25質量%)を得た。
上記F−11液8.5g、アルカリ可溶性樹脂を固形分換算で11.6g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬社製)4.5g、光重合開始剤1.8g、及びPGMEA73.6g(アルカリ可溶性樹脂由来分を含む)を配合、攪拌して黒色塗料(G−11液)を調製した。以降は、実施例1と同様にして黒色膜の作製を行い、同様の評価を行った。
これらの結果をまとめて第1表及び第2表に示す。なお、比較例1の黒色膜は表面抵抗値が小さい、すなわち導電性が発現したため、比誘電率を測定することができなかった。
<比較例2>
比較例1と同様にして調製したF−11液30.1g、アルカリ可溶性樹脂を固形分換算で8.1g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬社製)3.1g、光重合開始剤1.2g、及びPGMEA57.4g(アルカリ可溶性樹脂由来分を含む)を配合、攪拌して黒色塗料(G−12液)を調製した。以降は実施例1と同様にして黒色膜の作製を行い、同様の評価を行った。
これらの結果をまとめて第1表及び第2表に示す。比較例2の黒色膜も、比較例1と同様の理由から比誘電率を測定できなかった。また、実施例11〜20の黒色膜と同様の理由で吸光度の正しい値を算出することができなかったため、各波長における吸光度の値並びにこれら吸光度の比率は示していない。
<比較例3>
実施例1の黒色材料分散液の調製において、黒色微粒子の水分散液D−1液100gの代わりに、錫コロイドA(平均粒子径:20nm、固形分:10質量%、住友大阪セメント社製)250gを用いた以外は、実施例1と同様にして、黒色材料分散液(F−13液)及び黒色塗料(G−13液)の調製、並びに黒色膜の作製を行い、同様の評価を行った。
これらの結果をまとめて第1表及び第2表に示す。
<比較例4>
実施例1の黒色材料分散液の調製において、錫コロイドA 150gの代わりに、錫コロイドD(平均粒子径:120nm、固形分:10質量%、住友大阪セメント社製)225gを用い、クエン酸3ナトリウム2水和物の量を40g、及び1質量%に希釈したポリビニルピロリドンの量を45gとした以外は、実施例1と同様にして、黒色材料分散液(F−14液)及び黒色塗料(G−14液)の調製、黒色膜の作製を行い、同様の評価を行った。
これらの結果をまとめて第1表及び第2表に示す。
<比較例5>
実施例9と同様にして、黒色微粒子の水分散液(D−9液、固形分:25質量%)を調製した。黒色微粒子の水分散液としてD−9液のみ、すなわち、液中の黒色微粒子としてはアスペクト比が3を超える一次粒子が90%を占める略棒状粒子のみを用い、その後は実施例1と同様にして、黒色材料分散液及(F−15液)び黒色塗料(G−15液)の調製、黒色膜の作製を行い、同様の評価を行った。
これらの結果をまとめて第1表及び第2表に示す。
Figure 2013257493
Figure 2013257493
第1表において、*1の結晶相欄における「銀錫」とは、「銀錫金属間化合物(Ag3Sn、Ag4Sn)」を示し、前述の[XRD測定による結晶相同定]に記載のXRDにより確認した結晶相を示す。また、*2の金属粒子種欄における「銀錫」とは、「銀錫合金(銀錫金属間化合物+錫固溶銀+銀固溶錫)」を示す。
第1表、第2表に示すように、実施例の黒色材料分散液は可視光の吸光度が高い上に紫外線の吸光度が低く、分散粒子径も小さく分散性に優れていた。また、黒色遮光膜は膜のOD値が高く可視光の遮光性に優れる上、さらにパターン形状性も良好でそのパターンに剥がれ等もなく、可視光の高い遮光性及び紫外線を用いた露光・現像性並びに微細パターン形成性という性能をすべて満たすことができた。
なお、実施例11〜20の黒色膜は、膜中の黒色材料含有量が多く光透過率が測定波長に依らず低かったために、吸光度の正しい値を算出できていない。しかしながら、各膜のOD値が十分に高く可視光遮光性に優れていること、一方、紫外線による露光と現像は問題なく行われており、またパターン形成性にも問題がないことから、黒色膜の紫外線透過性は実施例1〜10と同様に優れていることから、本願発明を満たすものと考えられる。
また、実施例11〜20は、対応する実施例1〜10の黒色材料と樹脂の比率を変え、黒色材料の比率を高めた以外には特段の差異を有さないことから、各黒色膜中の黒色材料の分散状態は対応する実施例1〜10と同等と考えられる。従って、実施例11〜20における波長555nmを基準とした波長313nmと365nmの吸光度比(d(II)313/d(II)555)及び(d(II)365/d(II)555)は、対応する実施例1〜10の値と同等と考えられる。
一方、比較例1は現像性や微細パターン形成性に優れるものの、膜のOD値が低く可視光の遮光性が十分ではなかった。比較例2は比較例1の黒色材料含有率を高めたものであるから、遮光性は高いものの、紫外線も同様に遮光されてしまうために、紫外線を用いた露光・現像性や微細パターン形成性に問題を生じた。また、比較例1及び2の黒色膜は表面抵抗値が小さく導電性が発現したため、比誘電率を測定することができなかった。この導電性は、黒色膜中でカーボンブラック粒子が鎖状につながった導電パスを形成したためと考えられる。
また、比較例3では、分散液及び120℃ベーク膜の遮光性は良好であったが、230℃ベーク後は遮光性が急激に低下し、また紫外線を用いた露光・現像性も所望とする性能が得られなかった。
さらに、比較例4では、膜のOD値が低く可視光の遮光性が十分ではない上、紫外線を用いた露光・現像性にも問題があった。また、比較例5では、膜のOD値は十分な値を有し可視光の遮光性も有していたが、紫外線を用いた露光・現像性においては所望とする性能が得られなかった。
本発明の黒色膜及びこれを用いた黒色膜付き基材は、液晶表示素子や有機EL素子等の代表される表示素子やこれを用いた画像表示装置において、好適に使用することができ、特に紫外線を用いた微細パターン形成性に優れている。また、本発明の黒色材料及びこれを用いた黒色材料分散液、黒色塗料は、前記黒色膜を有効に提供することができる。

Claims (10)

  1. 少なくとも銀元素及び錫元素を含有する微粒子を含む金属微粒子からなり、該銀元素の含有量が30質量%以上99質量%以下であり、前記金属微粒子の円直径相当の平均一次粒子径が3nm以上100nm以下である黒色材料であって、
    分散媒中に固形分量が0.0005体積%になるようにして前記黒色材料を分散させた分散液における、光路長10mmでの380nmから800nmの平均吸光度が0.8以上であり、313nmにおける吸光度d(I)313と555nmにおける吸光度d(I)555との比d(I)313/d(I)555が1.5以下、365nmにおける吸光度d(I)365と555nmにおける吸光度d(I)555との比d(I)365/d(I)555が1.5以下である黒色材料。
  2. 前記金属微粒子において、アスペクト比3以下の一次粒子の数が、一次粒子の全体数の20%以上である請求項1に記載の黒色材料。
  3. 前記金属微粒子が、銀錫合金部を有する微粒子、銀錫合金部を有する微粒子と銀微粒子との混合微粒子、銀錫合金部を有する微粒子と錫微粒子との混合微粒子、銀錫合金部を有する微粒子と銀微粒子と錫微粒子との混合微粒子、及び銀微粒子と錫微粒子との混合微粒子、のいずれかである請求項1または2に記載の黒色材料。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の黒色材料を、分散媒中に分散した黒色材料分散液であって、平均分散粒子径が3nm以上200nm以下であり、かつ90%累積体積粒子径が1μm以下である黒色材料分散液。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の黒色材料と、樹脂形成成分または樹脂成分と、を少なくとも含む黒色樹脂組成物。
  6. 請求項1〜3のいずれか記載の黒色材料と、樹脂成分と、を少なくとも含む黒色膜。
  7. 光学濃度(OD)が1以上であり、313nmにおける吸光度d(II)313と555nmにおける吸光度d(II)555との比d(II)313/d(II)555が1.5以下、365nmにおける吸光度d(II)365と555nmにおける吸光度d(II)555との比d(II)365/d(II)555が1.5以下である請求項6に記載の黒色膜。
  8. 表面抵抗が1011Ω/□以上である請求項6または7に記載の黒色膜。
  9. 1KHzにおける比誘電率が15以下である請求項6〜8のいずれかに記載の黒色膜。
  10. 請求項6〜9のいずれかに記載の黒色膜を基材表面に有する黒色膜付き基材。
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