JP2013257179A - 放射性物質を含む焼却灰の処理方法 - Google Patents

放射性物質を含む焼却灰の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】放射性物質を含む焼却灰を生活環境において安全レベルなものにする。
【解決手段】放射性物質を含む焼却灰を容器内に収容し、前記容器を密閉した状態で容器内に焼却灰と共に存在する水、水溶性液体又はそれらの混合物の臨界温度以下の温度、且つ飽和蒸気圧以上の圧力状態で前記焼却灰を加熱処理する工程、圧力を解放する工程、加熱処理後に容器外に出された物質を液体分と固形分に分離する工程、及び、加熱処理中に共存させる吸着剤により又は加熱処理後に吸着剤により、放射性物質を吸着させる工程を備える。
【選択図】なし

Description

本発明は放射性物質を含む焼却灰中の放射性物質を生活環境において安全レベルにまで低減する焼却灰の処理方法に関する。
原子力発電所などの事故で汚染されると、大量の汚染物質が発生するので、その放射性汚染度が高くないときは、汚染物質を焼却処理する方法が取られる。2011年の福島原発事故においても、大量の汚染物質に対し、その汚染度はそれほど高くないと判断し、焼却処理された。
しかしながら、焼却灰中の放射性物質は例えば5万Bq/kg程度の放射能レベルにまで濃縮される。焼却灰はダイオキシンの発生を抑えるため、通常、900℃前後の温度に曝されており、微細な機構を有する吸水性の高い多孔質体である。放射性物質はこの多孔質の孔の中に閉じ込められていると考えられる。
このような、焼却灰から放射性物質を取り出し、生活環境において安全レベルにまで低減させたことを具体的に示す報告は未だなく、このような焼却灰が大量に放置されたままになっているという問題がある。
本発明は上記課題を解決しようとするものである。
本発明は放射性物質を含む焼却灰を容器内に収容し、前記容器を密閉した状態で容器内に焼却灰と共に存在する水、水溶性液体又はそれらの混合物の臨界温度以下の温度、且つ飽和蒸気圧以上の圧力状態で前記焼却灰を加熱処理する工程、圧力を解放する工程、加熱処理後に容器外に出された物質を液体分と固形分に分離する工程、及び、加熱処理中に共存させる吸着剤により又は加熱処理後に吸着剤により、放射性物質を吸着させる工程を備えることを特徴とする放射性物質を含む焼却灰の処理方法である。
本発明によれば、放射性物質を含む焼却灰中の放射性物質を工業的な方法により除去又は低減することができ、本発明により処理された焼却灰は安全に生活環境に戻すことができる。特に加熱処理後に急激に圧力を解放すると除染の程度をより一層高めることができる。
なお、本発明で「放射性セシウム」或いは「セシウム」というときは、放射性セシウム化合物を包含する。
[放射性物質を含む焼却灰と水性液体とを容器内に収容し、好適には、水、水溶性液体若しくはそれらの混合物(以下、「水、水溶性液体若しくはそれらの混合物」を「水性液体」という)で焼却灰を覆う工程]
本発明ではまず放射性物質を含む焼却灰と水、水溶性液体若しくはそれらの混合物である水性液体とを容器内に収容し、好適には、加熱処理する前に前記焼却灰を覆う程度以上に水性液体で浸す。このようにすることで、その水性液体が密閉系下で加熱気化されることで生ずる圧力で、前記焼却灰の多孔質空孔に水性液体を浸入させることができる。これに対し、蒸煮のように水分が予め存在しない状況下で加熱すると、蒸煮のためのスチームが一部凝結されるとしても、その量は僅かであり、焼却灰の多孔質の隙間に浸入することができない。水性液体が浸入することによる効果は後述する。ここで「覆う」のは、水性液体の臨界温度以下で飽和蒸気圧以上の状態で前記焼却灰が水性液体で覆われている状態にあればよい。よって、加熱前に予め焼却灰を水性液体で覆う程度に浸す必要はなく、例えば、予め存在する水分は覆う程度になくても、加熱に用いる蒸気が凝結することにより生ずる水分が加わって、加熱処理中に覆う程度になってもよい。また、「覆う程度」とは、焼却灰の放射性物質の放射能の程度により異なるものの、焼却灰の70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上が覆われている状態であれば多くの場合、水性液体の浸入効果が期待できる。しかし、この範囲も容器が固定されている場合についてであり、条件によっては異なってくる。例えば、容器が回転するようなものであれば、焼却灰は少量の水性液体があれば、いずれかの時間帯で焼却灰が浸されるからである。焼却灰を完全に覆うと共に焼却灰表面よりも水性液体の表面が上回るようにすればするほど、水性液体の量が増えるので、水性液体に溶け出す放射性物質量も増え、除染効果はよくなる反面、温度を上げるためのエネルギーがより多く必要となるので、これらのバランスで「覆う程度」の最適条件が決められるとよい。一つの目安としては容器が固定されている場合には、焼却灰の容積の1.5〜5倍、より好ましくは2〜4倍である。ここで水性液体としては水、メタノール、エタノール、アセトンなどが好適に用いられる。また、界面活性剤を含む水性液体も900℃前後で焼却された通常の焼却炉における焼却灰の微細な多孔構造に浸透しやすいのでより好適に用いられる。
[水性液体の臨界温度以下の温度、飽和蒸気圧以上の圧力状態で焼却灰を加熱処理する工程]
次いで、容器の密閉状態で、前記焼却灰が水性液体で覆われる状態で水性液体の臨界温度以下の温度、且つ飽和蒸気圧以上の圧力状態で加熱処理される。この条件は亜臨界状態の一種である。亜臨界状態とは、水性液体が水の場合で説明すると、一般的に、水の臨界温度以上、臨界圧力以下(水の臨界温度は374℃、臨界圧力は22.1MPaである)の高温中圧の水蒸気の状態と、水の臨界温度以下で飽和水蒸気圧以上の中温中圧の液体水の状態を指すが、本発明では後者の水の臨界温度以下で飽和水蒸気圧以上の中温中圧の液体水の亜臨界状態で行う。このような亜臨界状態での水のイオン積は、室温、大気圧下と比較して非常に大きくなる。室温、大気圧下でのイオン積が10-14モル2/kg2であるのに対し、亜臨界状態では10-12〜10-11モル2/kg2と、室温、大気圧下でのイオン積の100〜1000倍になるので、H+とOH-の濃度は常温における値の約3〜30倍となり、加水分解力が非常に大きく、加水分解の起こり得る結合部位への攻撃が極めて大きくなる。水以外の水溶性液体も同様である。水と水溶性液体の混合物の場合には、各成分の持つ加水分解力と成分比を考慮していずれかの成分の臨界温度以下、飽和蒸気圧以上の中温中圧の液体の状態で行う。このような強い加水分解力から、放射性物質、特にセシウムは水性液体に溶解されやすくなっているものと思われる。330℃より温度が高くなると、温度の上昇に伴い、水のイオン積は急激に減少するため加水分解力も急激に衰え、加水分解力は臨界点を超えるとなくなるので、臨界点以下の温度で処理を行うとよい。また、130℃より低い温度でも加水分解力は緩やかではあるが低下するので、好ましくは130〜330℃で、より好ましくは180〜300℃、より一層好ましくは230〜280℃、特に好ましくは240〜270℃で行われる。この反応は無触媒でもよいが、触媒の存在下で行うとさらに効果的である。触媒としては鉄粉などの鉄材が好ましく用いられる。前記焼却灰は水性液体で覆われており、上記条件下で処理されるので、前記焼却灰は強い加水分解力を受け、前記焼却灰の多孔質中に存在すると思われる放射性セシウムが強い加水分解力を受ける。その結果、放射性セシウムは水性液体中に溶解されやすくなるものと思われる。これに対し、蒸煮では水性液体が多孔質の中に浸透するほど存在せず、多孔質は蒸気に接しているだけであるので、放射性セシウムは水性液体に溶解されて加水分解力を受ける状況下にはないか、あっても乏しいので、好ましくない。
焼却灰を加圧する圧力としては高圧ほど、焼却灰の細孔中に水性液体が浸透しやすくなるので望ましく、3気圧(0.3MPa)以上、好ましくは5気圧(0.5MPa)以上、より好ましくは10気圧(1.0MPa)以上である。熱処理は密閉空間を外部から加熱する方法をとってもよいし、密閉空間に例えば蒸気を注入するような加熱媒体を加える方法であってもよい。後者の場合は蒸気だけでは水分量が足りないので予め水分をある程度存在させておく必要があり、そのために水性液体で浸しておくとよいことは前述した通りである。
容器の大きさは大きいと内部の温度が不均一になりやすいので、容器の大きさを小さいものにするか、或いは攪拌させるのが望ましい。前者の場合は、容量が30〜200L程度、好適には30〜100L程度の小型のものを用いればよく、処理時間は亜臨界状態の温度によって異なるが、好ましい温度であれば、数秒で十分であるが、装置によって、好ましい温度に至らない場合も考慮すると、数秒〜60分、多くの場合は2〜30分あれば十分である。大量処理が必要な場合にはこのような小型容器を複数個用意する。このような小型容器を複数連動させることで、大型容器を所定の温度にするまでの昇温時間に比べて、短時間で所定温度に達することができ、容器内の温度分布を均一にできることと相俟って大型容器を用いて処理を行う以上に大量処理が可能である。例えば、コンベア上に置かれた焼却灰が計量されたことを光センサーで感知したところでバルブを閉めると、所定量の焼却灰が容器に送り込まれる。相互の容器の焼却灰や蒸気の入口と出口はそれぞれリミットスイッチにより所定の条件を満たすと開閉して、順次、熱処理される。
水性液体の臨界温度以下で飽和蒸気圧以上の状態は超臨界水のような酸化還元力がないので、超臨界水を扱う装置に比べれば亜臨界反応を行わせる容器は腐蝕され難いものの、水分と酸素が存在するので、腐蝕を加速させる要因を有する。しかしながら、熱処理において酸素を含まないようにすることで腐蝕そのものを起こさせないようにすることがかなりの程度まで可能である。また、容器内にある空気(酸素や窒素など)は圧力を急激に解放したとき、水蒸気と違って液体になるわけではないので、装置の小型化を図る点からもできるだけ存在しないようにするのが望ましい。そのような手段として、蒸気に用いる水にせよ、予め存在させる水にせよ、純水を使い、しかも80℃程度に加熱して酸素が仮に入り込んだ場合でも追い出したものを用いるのが好ましい。また焼却灰に吸着されている空気を例えば0.5〜0.8MPa程度の水蒸気でブロータンク或いは系外に追い出して系内のガスを水蒸気だけにすることも好ましい手段である。また、無機の燐が含まれないようにすることも好ましい手段である。このような配慮をした上で、後述のように熱処理後の圧力解放を、急激な圧力低下で行なうと、容器内部の全てのものが吹き飛ばされるので、容器内部は清浄にされるため、相対的に長期にわたる使用が可能であり、容器の長期使用の耐久性の面からも好ましい。本発明で用いられる容器の材料としてはオーステナイト系、マルテンサイト系や二層合金系などのステンレス鋼、高合金鋼などが好適に用いられるが、鉄等も使用可能である。しかしながら、この反応の過程で水酸化セシウムが生成するので、セシウム濃度が高い場合にはその強アルカリ性に対して用心が必要である。
[圧力を解放する工程]
加熱処理した後は、圧力を解放する。圧力の解放は急激に行なってもよいし、徐々に圧力を解放してもよい。急激に圧力を解放せずに、徐々に圧力を解放した場合には加熱条件下でせっかく活性化された例えばセシウムのような放射性物質のイオンが解離しているのに、高圧下で徐冷されるため、解離前の相手と再結合する可能性が高くなるので、再結合をできるだけ防ぐべく、加熱処理中に放射性物質を吸着する吸着剤を共存させる方法が用いられる。臨界温度以下という高温に耐えられる吸着剤としては、粘土、ゼオライトなどの無機系吸着剤が挙げられる。吸着剤については後述する。
上述した、加熱処理中に放射性物質を吸着する物質を共存させない場合には、圧力を解放する工程では圧力を急激に解放する。熱処理後に急激に圧力を解放すれば、その時点で放射性物質が吸着されていると考えられる焼却灰の多孔質の孔の中にまで含浸していた水性液体が熱膨張だけでなく、気化することで急激な体積膨張が生じ、その孔は急激な圧力を受けて更に拡げられる。その結果、放射性物質は水性液体とともに焼却灰外に飛び出すことができる。蒸煮のような、凝結による僅かな液体しかない場合と比べて、より多くの液体が多孔質の孔に含浸しているので、急激に圧力を解放することで、焼却灰のあちらこちらで急激な体積膨張が生じる。
熱処理後、圧力を急激に解放すれば、急激に加水分解しやすい条件からしにくい条件に移るため、放射性物質が再結合される可能性は薄らぎ、水性液体或いはその水性液体の気化と共に放出される可能性が高くなる。この意味でも急激に圧力を解放するのが好適である。ここで「急激に圧力を解放」とは、熱処理を行なった密閉空間の容積(cm)に対する、圧力を一度に解放するための開口部の面積(cm)の比が0.0002/cm以上のものである。この比が高いほど、好ましく、好適には0.005/cm以上であり、より好ましくは0.001/cm以上であり、より一層好ましくは0.005/cm以上であり、特に好ましくは0.01/cm以上である。これは圧力を解放する場が大気圧であって、開口部を一気に開けた場合について規定したものであるが、その他の条件下の場合には、適宜その圧力差と移動速度を換算するものとする。また、かかる意味で、加熱処理する前に焼却灰を微粉状にしておくことが好ましい。
熱処理と圧力を急激に解放する処理とを密閉系で一連に行なう装置としては、熱処理を行なう容器、容器にバルブを介して連結されるブロータンク、及び必要に応じてサイレンサー等から構成される。処理量が多く、容器を複数個用意する場合には、その後工程である、圧力を急激に解放する工程は共通のブロータンクにしてもよく、そこに熱処理された焼却灰が送り込まれる。容器中に焼却灰と液体の混合物の容積を10〜90容量%、好適には15〜85容量%、より好適には20〜80容量%で投入し、容器内を加熱、高圧にした後、バルブを開き、常圧のブロータンクに焼却灰と液体の混合物を送り込んで、急激な圧力変化により圧力を解放する。焼却灰の多孔質の孔に閉じ込められていると考えられる放射性物質は急激な圧力の解放により水性液体と共に飛散するが、ブロータンクの中に留まり、外界に拡散することはない。この過程で、放射性物質は水性液体に溶け込むものもあるが、圧力を急激に解放することで破砕された物やブロータンクの壁に付着しているものもある。後者の放射性物質はブロータンク内をときどき水洗浄することで水に溶け込ませて次の処理工程に廻すことができる。なお、容器中に占める焼却灰の量が上記好ましい範囲を下回ると処理効率が悪いだけであるが、逆に上記範囲を上回ると急激な圧力の解放効果が落ちるので、熱効果だけを期待するときには上記範囲にこだわる必要はない。圧力を急激に解放する装置と連動させることで処理前後の時間も短縮することが可能である。
[必要に応じてなされる、気体中の放射性物質の除去工程]
前記加熱処理されたものは、例えば密閉容器中で熱処理後、自然冷却されれば、殆どの放射性物質は水性液体中に溶解していて、気体中には僅かであるので、多くの場合、気体中の放射性物質の除去は不要である。しかしながら、急激に圧力を解放したような場合には、放射性物質は気化される水性ガスとともに放出されるものと、水性ガスが液体状態になった水性液体に溶け込んだり、同伴して水性液体中に分散したり沈澱したりするものに分かれる。圧力を急激に解放する程度が著しいほど、或いは、圧力を急激に解放した後、急激に冷却するほど、気体の状態であるものよりも液体の状態であるものの割合が高くなる。そのような場合であっても、本発明の処理をしない前の焼却灰の放射線強度が高いと、気体に占める放射線強度も無視できなくなり、生活環境にそのまま放出されるわけにはいかない場合も出てくる。かかる場合には気化された水性ガスと共に存在する放射性物質が外界に放出されないように密閉系で本発明処理を行ない、放射性物質の回収をしなければならない。その方法としては、気体を、フラッシュコンデンサーのような公知の熱交換手段を用いて冷却して水性液体とする方法、気体を吸着性カラムなどの吸着手段を通すことにより、放射性物質を吸着させる方法、あるいは気体を水性液体中に通すことで放射性物質を水性液体中に溶解させる方法など、公知の方法が採用される。これにより、熱処理後の気体は大気中に安全に放出することが可能である。
[液体分と固形分に分離する工程]
次いで、加熱処理して圧力を解放したものを液体分と固形分とに分離する。固形分と液体分の固液分離手段としては、特に制限されるものではなく、例えば、スクウィーズ、スクリュープレス、フィルタープレス、遠心分離或いは濾過などの公知の分離手段が用いられる。ここで「固形分」というのは、具体的には焼却灰や、熱処理時に吸着剤を併用した場合の吸着剤が挙げられ、前述の工程により破砕されたもの或いは破砕されることなく固体のまま残存したものであり、破断が細かいため、一見すると固体と認識しにくい場合が多い。そのため、本発明でいう「固形分」とは、固形分というより、ドロドロした液状といってもよい場合が多く、本発明でいう「固形分」とはこのような状態のものを包含する。また、固液分離手段によっては、微粒子であるがために固体でありながら、液体分に移行するものも当然存在する。このようなものまで固形分に移行させた方が好ましいのであるが、そうしなければならないわけではない。しかしながら、熱処理時に吸着剤を混在させる場合には、放射性物質を吸着した吸着剤と、除染された焼却灰との分離がしやすいようにしなければならない。その一つの方法としては比重の相違を利用する方法である。焼却灰はその種類により、比重が1を超えるものと1より小さいものがあるので、比重が1より大きい場合には、吸着剤としては比重が1より小さいものを選び、焼却灰の比重が1以下の場合には、吸着剤の比重が1より大きいものを選ぶことで分離可能である。しかし、これに限られるのではなく、焼却灰の比重が1より小さいとき、吸着剤も比重が1より小さいものを選び、放射性物質を吸着した吸着剤のみを後述工程で凝集剤で沈澱させることで除染された焼却灰と放射性物質を吸着した吸着剤を分離するようにしてもよい。
[必要に応じてなされる、焼却灰の表面に付着する放射性物質を水洗する工程]
固液分離の段階で既に固形分中の放射線強度が安全レベルであれば、固形分は生活居住空間に戻される。焼却灰の内部に取り込まれていた放射性物質は前記処理により、外に放出されたと言える。
他方、固形分の放射線強度が安全レベルを超えている場合には、固形分に放射性物質が付着している場合であるので、固形分を水洗して、表面に付着している放射性物質を水に溶かすことで安全レベルに至らせることができる。水洗浄は攪拌洗浄が好ましい。また、水洗の際に、固形分を振動させることも効果的である。また、それでも安全レベルを超える場合には、水洗を繰り返すか、または、洗浄前又は洗浄後の固形分に対して、熱処理と圧力解放処理を繰り返すことで、より安全レベルに達することが可能である。水洗後の水は、上述の液体分と合体させて後述の処理を行なう。
[吸着剤により放射性物質を吸着させる工程]
液体分についてはセシウム等の放射性物質が溶解しているので、吸着剤で放射性物質を吸着させて、放射性物質を集約させる。放射性物質の吸着は、化学吸着でも物理吸着でもよい。吸着剤としては、フェロシアン化物、ゼオライト、活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、粘土鉱物からなるss等が例示される。これら吸着剤はその見掛け比重により液体分中で浮遊するものもあれば沈澱するものもあり、後述するように適宜利用される。吸着剤はカラムに充填して液体分を通過させる形で接触させてもよいし、液体分中に必要な量の吸着剤を投入して攪拌させるような形でもよい。攪拌であれば、前述の洗浄工程を兼ねて行なうことができる。なお、前者のカラムに充填して液体分を通過させる場合、吸着剤は、カラムに充填でき、流出しない程度の粒径のものでなければならない。また、前述のように吸着剤は液体分と固形分に分けた後に用いられるのに限らず、液体分と固形分を分ける前の、水性液体の臨界温度以下、飽和蒸気圧以上の状態で加熱処理する工程中に用いてもよい。熱処理されて放射性物質が除去された焼却灰と吸着剤との比重の相違により、前述のように、これらの分離は可能である。
放射性物質を吸着した吸着剤と液体分との混合物はそのまま、最終処分場に運びこみ、水分を自然蒸発させてもよいが、液体分の放射性物質は殆ど無視できる程度の量であるので、吸着剤と液体分を分離して吸着剤のみを最終処分場に運び、液体分はそのまま排泄しても又は再利用しても環境に影響ない。吸着剤と液体分との分離は、吸着剤の物性を考慮して、遠心分離、濾過などの方法により行われる。
放射性物質を吸着した吸着剤は放射線強度が抑制できるような容器に収容保存する。容器の材質としてはコンクリート製、鉛製など、放射線を外界に放出する度合いを顕著に抑制できる材質であればよく、コンクリートが好適に用いられる。ここで容器は放射線を吸着した吸着剤の放射線量が大きいときには最終処分場の保管容器となるが、吸着剤の放射線量が少ないときには放射性物質を吸着した吸着剤を収容するまで容器の形態であればよく、収容後は口をコンクリートなどの封止材で封止し、別な用途、例えば、コンクリートであれば、コンクリートが本来用いられる用途、例えば、土木建築材に用いられる。放射性物質を吸着した吸着剤を容器に収容させるのには、生コンの原料の水とともに吸着剤を混ぜる方法が好適に用いられる。
または、放射性物質を吸着した吸着剤をさらに樹脂で固めて、それを密閉線源として放射線の有効利用、例えば滅菌用またはγナイフとして利用することも可能である。
(実施例1)
放射能が1385Bqの焼却灰30.6g(放射線強度45300Bq/kg)と湯160.4gを、吉村式穀類膨張機(有限会社ポン菓子機販売製)の釜に入れた。釜は開口部の形状が直径約5cmの円で、釜内容量が600cm3であり、開口部を蓋で閉じ、外部からプロパンガスで加熱して急速加熱させ、釜の表面温度を約240℃、圧力2MPaにし、5分間この状態で保持した。釜の表面温度は非接触温度計で釜外周での温度を計ったものである。この後、釜本体と釜の蓋とを密着させるべく止めているストッパーの爪を木槌で叩き、膨張機に向けて開口部を有し、回収用ポリスチロール容器を内装とするスチール箱に一気に圧力を解放した。膨張機の釜の加熱処理空間容積600cm3に対する開口部の面積約50cm2の比は約0.08/cmである。ポリスチロール容器は厚さが5mmであり、大きさは55cm×55cm×奥行き120cmの直方体であり、スチール箱は厚さ1.2mmであり、大きさは60cm×60cm×120cmの直方体である。箱壁面に付着している処理された、水を含んでいる焼却灰をキムワイプ(登録商標)で拭き取って回収し、31.9gを得た。その放射線強度は8390Bq/kgであった。なお、釜内には残渣はなく、投入した湯の殆どは蒸気として気散した。この実施例では気散した蒸気を冷却液化させて回収させることはしていないが、そうすれば、水中に溶解している放射性セシウムを吸着剤で吸着できることはいうまでもない。回収した31.9gに対し、湯301.2gに分散し、攪拌し、濾紙(No.1)を用い、固液分離した。濾液は251.2gであり、181Bqの放射能であり、放射線強度は720Bq/kgであった。濾液中に溶解している放射性セシウムは吸着剤で吸着して回収された。他方、濾過残渣(固形分)は水分が含まれているが72gであり、放射能は97Bqであり、1340Bq/kgの放射線強度であった。当初の焼却灰の放射線強度である45300Bq/kgが1340Bq/kgに減少しており、焼却灰に含まれていた放射能の約97%を除去することができた。
(実施例2)
実施例1と同様の熱処理をした後、1晩かけて自然冷却させて常温常圧に戻した。濾過、水洗は実施例1と同様に行なったところ、濾過残渣(固形分)の放射線強度は2984Bq/kgとなり、焼却灰に含まれていた放射能の約93%を除去することができた。
(比較例1)
実施例1のような熱処理をせず、水洗のみでどこまで放射能を減らせるかを見たものである。実施例1と同一の焼却灰30.6gを湯74.9gに分散し、攪拌し、No.1濾紙を用い、濾過し、その残渣に対し、更に湯16.5gを加え、同様に攪拌、濾過した。残渣は放射能が325Bqで、水分も含有する46.0gであり、その放射線強度は7065Bq/kgである。よって、焼却灰の約85%の放射能が除去されただけであった。この水洗後の焼却灰をさらに同様に水洗したが、放射線強度はそれ以下には下がらないことも分かった。
本発明は、放射性物質で汚染された焼却灰を安全レベルにするために利用することができる。

Claims (3)

  1. 放射性物質を含む焼却灰を容器内に収容し、前記容器を密閉した状態で容器内に焼却灰と共に存在する水、水溶性液体又はそれらの混合物の臨界温度以下の温度、且つ飽和蒸気圧以上の圧力状態で前記焼却灰を加熱処理する工程、圧力を解放する工程、加熱処理後に容器外に出された物質を液体分と固形分に分離する工程、及び、加熱処理中に共存させる吸着剤により又は加熱処理後に吸着剤により、放射性物質を吸着させる工程を備えることを特徴とする放射性物質を含む焼却灰の処理方法。
  2. 前記圧力を解放する工程が圧力を急激に解放処理することを特徴とする請求項1に記載の放射性物質を含む焼却灰の処理方法。
  3. 前記水、水溶性液体又はそれらの混合物が水であることを特徴とする請求項1または2に記載の放射性物質を含む焼却灰の処理方法。
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