JP2013178199A - 放射性物質を生活環境において安全レベルにまで低減する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】汚染された環境から放射性物質を生活環境において安全レベルにまで低減する方法を提供する。
【解決手段】放射性物質を含有する被処理物を、水の亜臨界状態で加熱処理する工程と、圧力を急激に解放する工程の少なくともいずれかに処する工程、前工程に処した後の被処理物の流体分を冷却して液分にする工程、被処理物の固形分の少なくとも一部を含む部分をフィルタープレスし、それを水洗浄する工程及び水洗浄後の液分中の放射性物質を吸着剤で吸収させる工程をこの順序で包含する。
【選択図】なし

Description

本発明は固体核燃料を用いる原子力発電所の事故や核兵器テロ、原爆実験などで汚染された環境から放射性物質を生活環境において安全レベルにまで低減する方法に関する。
固体核燃料を用いる原子力発電所の事故や核兵器テロ、原爆実験などで汚染された環境中で、厄介な放射性物質はセシウム137とストロンチウム90である。これらは半減期がそれぞれ30年と28年であるのに対し、その他の放射性物質は放射能レベルが高くても半減期が短いためである。
かかる半減期がある程度長く、放射能レベルの影響が大きい放射性物質で汚染されている土壌や生物からこれら放射性物質を除去する方法としては、スイートソルガムに代表されるイネ科を始めとして、ひまわり、菜の花、牧草、キャベツなどの植物に吸収させ、植物を発酵処理し、得られた有機物をバイオ燃料とする方法が知られている(非特許文献1)。
DECONTAMINATE RADIATED SOIL AND GENERATION、[online]、[2012年1月30日検索]インターネット<URL:http://www.j-aid.jp/flowersforjapan>
しかしながら、この方法では生物の場合には、リグニンやセルロースの分子量が高いため、発酵処理に時間がかかりすぎる欠点があるとともに、細胞膜内に含まれたままの放射性物質を除去することができないという欠点を有し、土の場合には全く対処することができない。本発明はこれらの点を解消しようとするものである。
本発明は放射性物質を含有する被処理物を、水の亜臨界状態で加熱処理する工程と、圧力を急激に解放する工程の少なくともいずれかに処する工程、前工程に処した後の被処理物の流体分を冷却して液分にする工程、被処理物の固形分の少なくとも一部を含む部分をフィルタープレスし、それを水洗浄する工程及び水洗浄後の液分中の放射性物質を吸着剤で吸収させる工程をこの順序で包含することからなる、放射性物質を生活環境において安全レベルにまで低減する方法である。
本発明は放射性物質が生物体内に含まれている場合には、細胞膜外に放出することで、また、放射性物質が土壌に吸着されている場合には、吸着状態から放出することができるので、容易に除染することができるとともに、被処理物の固形分の少なくとも一部を含む部分をフィルタープレスした状態で水洗浄することで容易にしかも短時間で水に放射性物質を溶解させることができる。特に水の亜臨界状態での加熱処理と圧力を急激に解放する処理を併せて行われたものはその効果が顕著である。
本発明は放射性物質を含有するものを処理対象にする。放射性物質を含有するものとしては、環境から取り込ませ或いは取り込んだ生物や土壌が例示される。生物としては植物、微生物などが挙げられ、植物については汚染された環境に植栽することで、土壌或いは海洋から植物の体内に吸収させたものが包含される。土壌としては特に制限されるわけではないが、粘土は特に放射性物質、中でもセシウムを吸着しやすく、除染するには特に難しいものとされているが、そのようなものでも使用可能である。
本発明ではかかる放射性物質を含有するもの(「放射性物質を含有するもの」を以下「被処理物」という)を水の亜臨界状態で加熱処理する工程と、圧力を急激に解放する工程の少なくともいずれかに処する。水の亜臨界状態で加熱処理する工程と、圧力を急激に解放する工程の両方を行なうときはいずれを先に行なってもよい。これら処理に先だって、被処理物を粉砕することが水の亜臨界状態での加熱処理、圧力を急激に解放する処理のいずれに対しても効率よく行なう上で好ましい。
水の亜臨界状態は亜臨界水状態とも言われ、臨界点以下の温度における飽和蒸気圧以上の圧力下の水の有する加水分解力が非常に大きく、固体有機物を短時間に低分子の有機物に分解することができる。生物のリグニンやセルロースのような分子量の高いものも分解することが可能である。中でも水のイオン積が最大となるおよそ250℃付近の温度で常温におけるイオン積の約1000倍となり、HとOHの濃度は常温における値の30倍以上となり、加水分解力が非常に大きくこれらのイオンのエステル結合部など加水分解の起こり得る結合部位への攻撃が極めて大きくなる。その結果、生物の場合には、細胞膜を高温高圧の熱水の物理的、化学的作用により、生物の細胞膜を破断して、内部の細胞液が外界に流出し得る状態にする。また、土壌中に強く吸着している放射性物質を取り出すことができる。330℃より温度が高くなると、温度の上昇に伴い、水のイオン積は急激に減少するため加水分解力も急激に衰え、加水分解力は臨界点を超えるとなくなるので、臨界点以下の温度で処理を行うとよい。また130℃より低い温度でも加水分解力は緩やかではあるが低下するので、好ましくは130〜330℃で、より好ましくは180〜300℃、より一層好ましくは230〜280℃、特に好ましくは240〜270℃で行なわれる。加圧する圧力としては高圧ほど望ましく、3気圧以上、好ましくは5気圧以上、より好ましくは10気圧以上である。この反応は無触媒でもよいが、触媒の存在下で行なうとさらに効果的である。触媒としては鉄粉などの鉄材が好ましく用いられる。熱処理はあくまで水の少なくとも一部が気体になるようにすればよいので、水の亜臨界状態を実現するための装置としては、密閉容器中に被処理物を投入し、そこに蒸気を加える方法でもよいし、外部から加熱してもよい。
密閉容器には予め水分を含ませておいてもよいし、そのままでもよいが、好ましくは被処理物が亜臨界条件下で浸る程度に水分を含ませておく。ここで「浸る程度」とは、密閉容器に被処理物を投入するときには、被処理物の嵩比重も異なるので、一概には言えないのであるが、その2割程度が浸っている程度でも十分である。このような状態であっても、被処理物が亜臨界状態に置かれることで細胞膜内の水分の多くが細胞膜外に放出され、それとともに、被処理物の占める容積が減少し、加えて亜臨界という高圧下に置かれていることから、その容積は一層圧縮されるので、亜臨界状態で処理されているときには、被処理物の殆どが水分に浸っていることになるからである。このような状態にすることで被処理物は亜臨界条件下における水に触れているので、亜臨界水の強力な加水分解力を受け、リグニンやセルロースを分解することが強力に行なわれる。これに対し、水分が浸る程度にないと水蒸気の形で被処理物に接触するので、その効果は相対的に低いものになる。蒸煮といわれる、蒸気のみで処理する場合は蒸気と被処理物の接触で蒸気の一部は凝縮して水になるが、その量は被処理物を浸すほどの量ではないので、浸る程度の状態とするのが良い。
このような方法で、水の亜臨界状態の条件にさせ、その後圧力を解放し、常温、常圧に戻す。圧力の解放は徐々に行なってもよいが、好適には急激に圧力を解放する。急激に圧力を解放する場合は、後述の工程そのものであるので、そこで詳述する。容器の大きさは大きいと内部の温度が不均一になりやすいので、容器の大きさを小さいものにするか、或いは攪拌させるのが望ましい。前者の場合は、30〜200L程度、好適には30〜100L程度の小型のものを用いればよく、処理時間は亜臨界状態の温度によって異なるが、好ましい温度であれば、数秒で十分であるが、装置によって、好ましい温度に至らない場合も考慮すると、数秒〜60分、多くの場合は2〜30分あれば十分である。生物の場合は処理時間が長くなると可溶化状態になるので、圧力解放後に行なわれるフィルタープレス工程において、濾過できる程度、できれば、スムーズに濾過できる程度の大きさになる程度の時間とする。大量処理が必要な場合にはこのような小型容器を複数個用意する。このような小型容器を複数連動させることで、大型容器を所定の温度にするまでの昇温時間に比べて、短時間で所定温度に達することができ、容器内の温度分布が均一にできることと相俟って大型容器を用いて処理を行う以上に大量処理が可能である。例えば、コンベア上に置かれた被処理物からリミットスイッチによりバルブを介して開いた計量計に向けて被処理物が送り込まれ、所定量の被処理物が計量されたことを光センサーで感知したところでバルブを閉めると、所定量の被処理物が、容器に送り込まれる。相互の容器の被処理物や蒸気の入口と出口はそれぞれリミットスイッチにより所定の条件を満たすと開閉して、順次、熱処理される。
亜臨界水の状態は超臨界水のような酸化還元力がないので、超臨界水を扱う装置に比べれば亜臨界反応を行なわせる容器は腐蝕され難いものの、水分と酸が存在するので、腐蝕を加速させる要因を有する。しかしながら、熱処理において酸素を含まないようにすることで腐蝕そのものを起こさせないようにすることがかなりの程度まで可能である。また、容器内にある空気(酸素や窒素など)は圧力を急激に解放したとき、水蒸気と違って液体になるわけではないので、装置の小型化を図る点からもできるだけ存在しないようにするのが望ましい。そのような手段として、蒸気に用いる水にせよ、予め存在させる水にせよ、純水を使い、しかも80℃で加熱して酸素が仮に入り込んだ場合でも追い出したものを用いるのが好ましい。また、被処理物に含まれている空気を例えば0.5〜0.8MPa程度の水蒸気でブロータンクまたは反応容器外へ追い出して系内のガスを水蒸気だけにする。また、無機の燐が含まれないようにすることも好ましい手段である。このような配慮をした上で、熱処理後の圧力解放を、急激な圧力低下で行なうと、容器内部の全てのものが吹き飛ばされるので、容器内部は清浄にされるため、相対的に長期にわたる使用が可能であり、容器の長期使用の耐久性の面からも好ましい。被処理物が海水のような種々の成分を含む場合もあり得るので、本発明で用いられる容器は被処理物の内容に応じて適宜選択しなければならない。亜臨界水状態で使用される公知の材料が用いられ、オーステナイト系やマルテンサイト系、二層合金系などのステンレス鋼、高合金鋼などが用いられるが、鉄なども使用可能である。しかしながら、この反応の過程で水酸化セシウムが生成するので、セシウム濃度が高い場合にはその強アルカリ性に対して用心が必要である。
圧力を急激に解放する処理は、例えば、4〜5MPaから一気に常圧に戻すような急激な圧力変化により、生物の細胞膜を物理的に破断したり、土壌に吸着されていたセシウムを水熱処理で解放したものが再結合する機会を減らすことを可能とする。急激に圧力を解放せずに、徐々に圧力を解放した場合には加熱条件下でせっかく活性化された例えばセシウムのような放射性物質のイオンが解離しているのに、高圧下で徐冷されるため、解離前の相手と再結合される可能性が高くなるが、熱処理後、圧力を急激に解放すれば、急激に加水分解しやすい条件から加水分解しにくい条件に移るため、放射性物質が再結合される可能性は薄らぎ、液体或いはその液体の気化と共に放出される可能性が高くなる。その際、温度は常温でもよいし、亜臨界や超臨界のような高温であってもよい。ここで「急激に圧力を解放」とは、熱処理を行なった密閉空間の容積(cm)に対する、圧力を一度に解放するための開口部の面積(cm)の比が0.0002/cm以上のものである。この比が高いほど、好ましく、好適には0.0005/cm以上であり、より好ましくは0.001/cm以上であり、より一層好ましくは0.005/cm以上であり、特に好ましくは、0.01/cm以上である。これは圧力を解放する場が大気圧であって、開口部を一気に開けた場合について規定したものであるが、その他の条件下の場合には、適宜その圧力差と移動速度を換算するものとする。また、かかる意味で、加熱処理する前に被処理物を微粉状にしておくことが好ましい。急激な圧力変化をもたらす装置としては、爆砕装置がある。これは、圧力容器、圧力容器にバルブを介して連結されるブロータンク、及び必要に応じたサイレンサ等から構成する。圧力容器中に被処理物を60〜90容量%、好適には70〜80容量%で投入し、圧力容器内を高圧にした後、バルブを開き、常圧のブロータンクに被処理物を送り込んで、一気に圧力を解放する。細胞膜の中に閉じ込められた水分中に溶けていた放射性物質は爆砕により細胞膜が破裂することで細胞膜内の水分と共に外に出されて飛散するが、ブロータンクの中に留まり、焼却処理の場合のような煙やガスが放射性物質を同伴しつつ外界に拡散することはない。土壌に吸着する放射性物質の場合も、爆砕における急激な圧力解放により、吸着されている状態が壊れ、放射性物質が物理的に解放される。
好適な方法には、水の亜臨界状態で加熱処理する工程と、圧力を急激に解放する工程の組み合わせがある。具体的には、水の亜臨界状態で加熱処理した後、圧力を急激に解放する方法と、圧力を急激に解放した後、水の亜臨界状態で加熱処理する方法があるが、前者が中でも好適である。圧力容器中に被処理物を投入し、そこに高温高圧の蒸気を吹き込み、水の亜臨界状態の条件にさせ、圧力容器のバルブを開き、常温・常圧のブロータンクに被処理物を送り込んで、一気に圧力を解放する。それにより、ブロータンクの中で被処理物は冷却され、水蒸気は水となる。生物体の中に留まっていた放射性物質は細胞液とともに外界に放出されるか、破断された細胞膜に付着している。土壌の場合は放射性物質が吸着されていたものが外界に放出される。ssとも言われる浮遊物質についても同様に、内部に吸着されていた放射性物質が外界に放出される。尚、その過程で、放射性物質は水に溶け込むものもあるが、圧力を急激に解放することで破砕された物やブロータンクの壁に付着しているものもある。後者の放射性物質はブロータンク内をときどき水洗浄することで水に溶け込ませて次の処理工程に廻すことができる。
かかる効果と共に、加熱処理装置と圧力を急激に解放する装置とを連動させることで処理前後の時間も短縮することが可能である。例えば、被処理物と水の混合物を水の沸点より低い温度で予備加熱していたものを密閉容器に投入し、密閉容器の外側から加熱するとともに、蒸気を投入して所定の温度まで加熱するのに1分〜10分、処理時間は数秒〜60分、多くの場合は2〜30分、容器から被処理物を排除するのに数秒〜1分程度とすることができる。大量処理が必要な場合にはこのような小型容器を複数個用意する。このような小型容器を複数連動させることで、大型容器を所定の温度にするまでの昇温時間に比べて、短時間で所定温度に達することができ、容器内の温度分布が均一にできることと相俟って大型容器を用いて処理を行う以上に大量処理が可能である。例えば、コンベア上に置かれた被処理物からリミットスイッチによりバルブを介して開いた計量計に向けて被処理物が送り込まれ、所定量の被処理物が計量されたことを光センサーで感知したところでバルブを閉めると、所定量の被処理物が、容器に送り込まれる。相互の容器の被処理物や蒸気の入口と出口はそれぞれリミットスイッチにより所定の条件を満たすと開閉して、順次、熱処理される。
圧力を急激に解放することで、放射性物質は気化される水蒸気とともに放出されるものと、水蒸気が液体状態になった水に溶け込んだり、同伴して水中に分散したり沈澱したりするものに分かれる。圧力を急激に解放する程度が著しいほど、或いは圧力を急激に解放した後、急激に冷却するほど、気体の状態であるものよりも液体の状態であるものの割合が高くなる。いずれにせよ、本発明の処理をしない前の処理物中の放射線強度が高いと、水蒸気中に占める放射線強度も無視できなくなり、生活環境にそのまま放出されるわけにはいかない場合も出てくる。かかる場合には水蒸気とともに存在する放射性物質が外界に放出されないように密閉系で行ない、放射性物質の回収をしなければならない。密閉系で圧力を急激に解放するか、放射性物質を吸収する相に吸収させる方法が挙げられ、後者の例としては放射性物質を吸収することが可能な、水槽のような液相を介して外界に水蒸気を放出する方法が挙げられる。
水の亜臨界状態で加熱処理する工程と、圧力を急激に解放する工程の少なくともいずれかを経ると、被処理物は固形分と流体分の混合物になる。水の亜臨界状態で加熱処理と圧力を急激に解放する温度、圧力が適切であると、放射性物質の殆どは流体分側に移行し、固形分に残留する放射性物質は僅かとなる。この混合物或いは気体状のものを冷却することにより、流体分を液体の水にする。冷却手段としては、例えば、フラッシュコンデンサーのような熱交換器を用いるとか、水槽を通すなどの公知の手段を用いることができる。
次いで液分と固形分の混合体、即ちスラリーを液分と固形分に分ける。固形分と液分に分けるにはいきなりフィルタープレス工程にかけてもよいが、時間を要するので、粗粒分とそれ以外のものに分け、粗粒分を水洗して、安全レベルにした上で、粗粒分以外のものと粗粒分の洗浄に用いた水をフィルタープレス工程に移すのが好ましい。粗粒分は安全レベルになっているので、生活空間に戻すことができる。粗粒分とそれ以外のものに分ける方法としてはスラリーをロールフィルターの上から流し、粗粒分をロールフィルター上に残し、その他の分をロールフィルターを通し、フィルタープレスに回す。他方、ロールフィルター上に残った粗粒分は遠心分離し、その液分をフィルタープレスに回す方法が好適に用いられる。水洗に用いる水は放射性物質を除去しやすい温水が好適に用いられる。
フィルタープレス工程は前の工程より送られたスラリーをフィルタープレスし、それを水洗浄する。通常、スラリーをフィルタープレスする場合には、フィルタープレスすることで液分と固形分が分離され、固形分はケーキ状になる。本発明では、詰まりが生じてスラリーを送り込むことができないときに、水を流して詰まりを除くこともあるが、固形分の表面に付着する放射性物質を洗浄するために水洗浄する。フィルタープレスした後の固形分からなる積層体はこのような水洗浄が可能であることが分かったのである。フィルタープレスのフィルターの目開きはssともいわれる浮遊分も固形分側に残るような目開きとする。また、被処理物が生物の場合、水熱時間が長いと加水分解が進み、可溶化し、目詰まりを起こす程度になったのでは洗浄に時間が取られるので、水熱時間を適度にして、目詰まりを起こさないとともに、水洗が容易である程度の固形物にする。水洗の際の水は温水の方が放射性物質の溶解性が高いので好ましい。このような処理でスラリー中の固形分はケーキ状となり、それに含まれる放射性物質は安全レベルに至らせることができる。
上記方法により、スラリー中の液分は洗浄水と混合された形で得られる。この液(以下、これを単に「液」という)はセシウム、ストロンチウム等の放射性物質が溶解しているので、吸着剤で放射性物質を吸着させる。放射性物質の吸着は、化学吸着でも物理吸着でもよい。吸着剤としては、フェロシアン化物、ゼオライト、活性炭等が例示される。このような吸着剤はカラムに充填して液を通過させる形で接触させてもよいし、液中に必要な量の吸着剤を投入して攪拌させるような形でもよい。なお、前者のカラムに充填して液を通過させる場合、吸着剤は、カラムに充填でき、流出しない程度の粒径のものでなければならない。また、後者の液中に吸着剤を投入させる場合は液中に吸着剤が浮遊していては困るので、吸着剤だけ凝集させて沈澱させることができる凝集沈殿剤を用いる必要がある。例えば、フェロシアン化物は特に造粒しない限り、微粉であるため、フェロシアン化物を造粒するか、あるいは微粉のままで使うのであれば、凝集剤を用いるか、フェロシアン化物のような磁性体の場合には磁石で吸引するなどの凝集手段が用いられる。吸着剤で吸着された後の液の放射線強度は適切な吸着剤の選択と量を選べば、そのまま生活環境において安全なレベルにすることができる。
放射性物質を吸着した吸着剤と必要に応じて用いられる凝集剤との混合物はプレスして乾燥させる。プレスすることで混合物中の水分をある程度除去できるが、乾燥させないと、放射性物質の有する放射線強度によるが、放射性物質の放射能により混合物中の含有水分が分解して水素を発生し、場合によっては爆発するので、そのような事態にならないよう、乾燥する必要がある。その上で、放射性物質の放射線強度が抑制できるような容器に収容保存する。容器の材質としてはコンクリート製、鉛製など、放射線を外界に放出する度合いを顕著に抑制できる材質であればよく、コンクリートが好適に用いられる。ここで容器は放射線を吸着した吸着剤の放射線量が大きいときには公の機関が指定する最終処分場の保管容器となるが、吸着剤の放射線量が少ないときには放射性物質を吸着した吸着剤を収容するまで容器の形態であればよく、収容後は口をコンクリートなどの封止材で封止し、別な用途、例えば、コンクリートであれば、コンクリートが本来用いられる用途、例えば、土木建築材に用いられる。
本発明は、放射性物質で汚染された環境を元の状態に復帰させるのに利用することができる。特に燃料作物を植栽することで汚染された土地を速やかに元の状態に戻すことができ、併せて植栽した植物から安全に有用物として利用することができる。

Claims (5)

  1. 放射性物質を含有する被処理物を、水の亜臨界状態で加熱処理する工程と、圧力を急激に解放する工程の少なくともいずれかに処する工程、前工程に処した後の被処理物の流体分を冷却して液分にする工程、被処理物の固形分の少なくとも一部を含む部分をフィルタープレスし、それを水洗浄する工程及び水洗浄後の液分中の放射性物質を吸着剤で吸収させる工程をこの順序で包含することからなる、放射性物質を生活環境において安全レベルにまで低減する方法。
  2. 被処理物の固形分の少なくとも一部が被処理物の固形分の微細粒であることを特徴とする請求項1の、放射性物質を生活環境において安全レベルにまで低減する方法。
  3. 水の亜臨界状態で加熱処理した後に、圧力を急激に解放処理することを特徴とする請求項1又は2に記載の放射性物質を生活環境において安全レベルにまで低減する方法。
  4. 圧力を急激に解放処理した後に、水の亜臨界状態で加熱処理することを特徴とする請求項1又は2に記載の放射性物質を生活環境において安全レベルにまで低減する方法。
  5. 放射性物質を含有する被処理物を、水の亜臨界状態で加熱処理する際に、放射性物質を含有するものが浸る程度に水分を存在させて加熱処理することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の放射性物質を生活環境において安全レベルにまで低減する方法。
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